(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231111
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】組織を接近させる方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/04 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
A61B17/04
【請求項の数】26
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-534551(P2015-534551)
(86)(22)【出願日】2013年9月18日
(65)【公表番号】特表2015-530189(P2015-530189A)
(43)【公表日】2015年10月15日
(86)【国際出願番号】US2013060308
(87)【国際公開番号】WO2014052109
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2016年8月24日
(31)【優先権主張番号】13/629,112
(32)【優先日】2012年9月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512080321
【氏名又は名称】エシコン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】フリント・ジェームズ・エイ
【審査官】
宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−237966(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0065402(US,A1)
【文献】
特開2012−035089(JP,A)
【文献】
特開2012−030101(JP,A)
【文献】
特開2011−025036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 − 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷閉鎖デバイスであって、
第一組織アンカーと、
近位末端で前記第一組織アンカーに固定して連結し、遊離遠位末端まで長さに沿って伸びる第一縫合フィラメントと、
第二組織アンカーと、
近位末端で前記第二組織アンカーに固定して連結し、遊離遠位末端まで長さに沿って伸びる第二縫合フィラメントと、を含み、
前記第一縫合フィラメントが、前記第一組織アンカーに実質的に隣接して、その近位末端にて引き結びを形成するように構成され、
前記第二縫合フィラメントが、前記第二組織アンカーに実質的に隣接して、その近位末端にて引き結びを形成するように構成され、
前記第一縫合フィラメントの前記引き結び以外の部分が、前記第二縫合フィラメントの引き結びを通過し、前記第二縫合フィラメントの前記引き結び以外の部分が、前記第一縫合フィラメントの引き結びを通過する、創傷閉鎖デバイス。
【請求項2】
前記第一及び第二組織アンカーが実質的に軸状であり、組織穿通遠位末端を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第一及び第二縫合フィラメントが、それぞれ前記第一及び第二組織アンカーの中央部に連結する、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第一及び第二組織アンカーが、吸収性材料から構成される、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記吸収性材料が、ポリジオキサノンである、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第一及び第二組織アンカーが、およそ7mmの長さを有する、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第一及び第二アンカーの近位末端が、凹部をその中に有し、前記凹部が、挿入デバイスの遠位末端をその中に着脱可能に受領するために大きさ指定され、成形される、請求項2に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第一及び第二縫合フィラメントが、吸収性材料から構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記吸収性材料がポリジオキサノンである、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
さらに、
第三組織アンカーと、
近位末端で前記第三組織アンカーと固定して連結し、遊離遠位末端まで長さに沿って伸びる、第三縫合フィラメントと、
第四組織アンカーと、
近位末端で前記第四組織アンカーと固定して連結し、遊離遠位末端まで長さに沿って伸びる、第四縫合フィラメントと、を含み、
前記第三縫合フィラメントが、前記第三組織アンカーに実質的に隣接して、その近位末端にて引き結びを形成するように構成され、
前記第四縫合フィラメントが、前記第四組織アンカーに実質的に隣接して、その近位末端にて引き結びを形成するように構成され、
前記第三縫合フィラメントが、前記第四縫合フィラメントの引き結びを通過し、前記第四縫合フィラメントが、前記第三縫合フィラメントの引き結びを通過し、
前記第三縫合フィラメントが、引き結びの対応する対の間である、前記第三及び第一縫合フィラメントの前記長さに沿った位置で、前記第一縫合フィラメントと絡み合う、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
組織接近を実施するためのキットであって、
組織穿通遠位末端、及び近位末端中における凹部を有する、実質的に軸状である第一組織アンカーと、近位末端にて前記第一組織アンカーと固定して連結し、遊離遠位末端まで長さに沿って伸びる第一縫合フィラメントと、組織穿通遠位末端、及び近位末端中における凹部を有する、実質的に軸状である第二組織アンカーと、近位末端にて前記第二組織アンカーと固定して連結し、遊離遠位末端まで長さに沿って伸びる第二縫合フィラメントと、を含む創傷閉鎖デバイスであって、前記第一縫合フィラメントが、前記第一組織アンカーに実質的に隣接して、その近位末端にて引き結びを形成し、前記第二縫合フィラメントが、前記第二組織アンカーに実質的に隣接して、その近位末端にて引き結びを形成し、前記第一縫合フィラメントの前記引き結び以外の部分が、前記第二縫合フィラメントの引き結びを通過し、前記第二縫合フィラメントの前記引き結び以外の部分が、前記第一縫合フィラメントの引き結びを通過する、創傷閉鎖デバイスと、
前記第一及び第二アンカー中の凹部内で着脱可能に受領されるように、大きさ指定され、成形された遠位先端を有する、実質的に軸状である挿入デバイスと、を含む、キット。
【請求項12】
前記第一及び第二縫合フィラメントが、それぞれ前記第一及び第二組織アンカーの中央部に連結する、請求項11に記載のキット。
【請求項13】
前記第一及び第二組織アンカーが、吸収性材料から構成される、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
前記吸収性材料が、ポリジオキサノンである、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
前記第一及び第二組織アンカーが、およそ7mmの長さを有する、請求項14に記載のキット。
【請求項16】
前記第一及び第二縫合フィラメントが、吸収性材料から構成される、請求項11に記載のキット。
【請求項17】
前記吸収性材料が、ポリジオキサノンである、請求項16に記載のキット。
【請求項18】
創傷閉鎖デバイスであって、
所定の数の創傷閉鎖デバイスNが含まれ、ここでN>1であり、各創傷閉鎖デバイスには、組織アンカーと、それに固定して連結した縫合フィラメントが含まれ、前記縫合フィラメントが、遊離遠位末端に外に向かって伸びる前に、前記アンカーに実質的に隣接して引き結びを形成しており、
x=1〜Nの各創傷閉鎖デバイスに対して、創傷閉鎖デバイスx=1〜(N−1)の縫合フィラメントの前記引き結び以外の部分が、創傷閉鎖デバイスx+1の引き結びを通過し、創傷閉鎖デバイスx=Nの縫合フィラメントの前記引き結び以外の部分が、創傷閉鎖デバイスx=1の引き結びを通過する、創傷閉鎖デバイス。
【請求項19】
前記第一及び第二組織アンカーが実質的に軸状であり、組織穿通遠位末端を含む、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記第一及び第二縫合フィラメントが、それぞれ前記第一及び第二組織アンカーの中央部に連結する、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記第一及び第二組織アンカーが、吸収性材料から構成される、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記吸収性材料が、ポリジオキサノンである、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記第一及び第二組織アンカーが、およそ7mmの長さを有する、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記第一及び第二アンカーの近位末端が、凹部をその中に有し、前記凹部が、挿入デバイスの遠位末端をその中に着脱可能に受領するために大きさ指定され、成形される、請求項19に記載のデバイス。
【請求項25】
前記第一及び第二縫合フィラメントが、吸収性材料から構成される、請求項18に記載のデバイス。
【請求項26】
前記吸収性材料が、ポリジオキサノンである、請求項25に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、組織接近の分野、よりとりわけ、腹腔鏡手術又は手術部位へのアクセスが難しい他の手順の間に、組織を接近させるため、又は穿通することが難しい組織を接近させるための特定の応用を有する方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
組織接近は、ほとんどの手術手順の重要な部分である。組織を接近させることによる伝統的な方法には、湾曲したニードルに接続した手術縫合の利用が含まれる。湾曲したニードルと縫合の利用は時間がかかり、多くの手術手順において、とりわけ、大きな傷に対して空間にアクセスすることの難しさにおいて、及び/又は標的組織が穿通することが難しい場合に、困難であり得る。子宮と膣口の閉鎖を必要とする筋腫摘出手順は、そのような手段のちょうど1つの例である。縫合に接続した組織アンカーの利用が、組織接近の効率を改善可能である。いくつかのデバイスが、引き結びを援用することが知られてきている。例えば、その内容が、その全てにおいて参考によって本明細書に組み込まれている、2011年6月20日に出願された、米国特許明細書第13/163,798号は、1つの末端にて第一アンカーと連結し、引き結びを形成し、第二組織アンカー中のチャネルを通過もする縫合の単一素線を含むデバイスを記述している。組織を接近させるために本デバイスを締めるために、ユーザーは、第二アンカー中の小チャネルを通して滑る縫合フィラメントのさらなる摩擦力を克服しなければならない。米国特許明細書第2009/0024144号にて記述された、もう一つの公知のデバイスがまた、1つの末端にて第一アンカーに連結した単一縫合フィラメントを有し、引き結びを形成し、第二アンカー中のチャネルを通過する代わりに、当該発行物の
図11で示すように、第一縫合フィラメントに第二縫合アンカーを結ぶ唯一の目的のために使用される第二縫合フィラメント中の結びを通過する。本デバイスは、組織を接近させるためにデバイスを締めることに、デバイスに第二組織アンカーを固定する結びを通過している第一縫合フィラメントのさらなる摩擦力を克服することが必要であることにおいて、同一の欠点に悩まされる。したがって、以上で記述したようにアンカー又は結びを通して滑る時に、縫合の摩擦係合が、2つのアンカー点間の距離を短くするために必要な力を増加させ、したがって、デバイスを拘束された空間にて使用することが難しくなりうる。したがって、接近させるべき組織の型にかぎらず、アンカー点の間の距離を短くするために、縫合遊離末端上で引く時に、一貫して最小な力を必要な、縫合に基づいた、二重アンカー組織接近デバイスを提供することが望ましい。腹腔鏡手順にて容易に使用可能なそのようなデバイスを提供することがさらに望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、第一組織アンカーと、近位末端にて前記第一組織アンカーに固定して連結し、遊離遠位末端まで長さに沿って伸びる第一縫合フィラメントと、第二アンカーと、近位末端にて前記第二組織アンカーに固定して連結し、遊離遠位末端まで長さに沿って伸びる第二縫合フィラメントと、を有する創傷閉鎖デバイスを提供する。前記第一縫合フィラメントは、第一組織アンカーに実質的に隣接するその近位末端にて、引き結びを形成するように設定され、前記第二縫合は、前記第二組織アンカーに実質的に隣接するその近位末端にて、引き結びを形成するように設定される。前記第一縫合フィラメントの長さは、前記第二縫合の引き結びを通過し、前記第二縫合フィラメントの長さは、前記第一縫合フィラメントの引き結びを通過する。
【0004】
一つの実施形態において、第一及び第二組織アンカーは実質的に軸状であり、組織穿通遠位末端を含む。前記第一及び第二縫合フィラメントは、それぞれ第一及び第二組織アンカーの中央部に連結されてよく、さらにポリジオキサノンのような吸収性材料からなってよい。アンカーは更に、およそ7mmの長さを有してよい。
【0005】
また他の実施形態において、第一及び第二アンカーの近位末端は、凹部をその中に有し、前記凹部は、挿入デバイスの遠位末端をそこで着脱可能に受領するために大きさ指定され、成形される。
【0006】
また他の実施形態において、第一及び第二縫合フィラメントは、吸収性材料からなり、ポリジオキサノンであってよい。
【0007】
他の実施形態において、デバイスは更に、第三組織アンカーと、近位末端にて前記第三組織アンカーと固定して連結し、遊離遠位末端まで長さに沿って伸びる第三縫合フィラメントと、第四組織アンカーと、近位末端にて前記第四組織アンカーと固定して連結し、遊離遠位末端まで長さに沿って伸びる第四縫合フィラメントと、を含む。第三縫合フィラメントは、第三組織アンカーに実質的に隣接するその近位末端にて、引き結びを形成するように設定され、第四縫合は、第四組織アンカーに実質的に隣接するその近位末端にて、引き結びを形成するように設定される。前記第三縫合フィラメントの長さは、前記第四縫合の引き結びを通過し、前記第四縫合フィラメントの長さは、前記第三縫合フィラメントの引き結びを通過する。さらに、第三縫合は、引き結びの対応する対の間である、前記第三及び第一縫合の長さに沿った位置で、前記第一縫合と絡み合う。
【0008】
本発明はまた、組織穿通遠位末端、及び近位末端中における凹部を有する、実質的に軸状である第一組織アンカーと、近位末端にて前記第一組織アンカーと固定して連結し、遊離遠位末端まで長さに沿って伸びる第一縫合フィラメントと、組織穿通遠位末端、及び近位末端中における凹部を有する、実質的に軸である第二組織アンカーと、近位末端にて前記第二組織アンカーと固定して連結し、遊離遠位末端まで長さに沿って伸びる第二縫合フィラメントと、を含む創傷閉鎖デバイスを含む、組織接近を実施するためのキットを提供する。前記第一縫合フィラメントは、前記第一組織アンカーに実質的に隣接して、その近位末端にて引き結びを形成し、前記第二縫合フィラメントは、前記第二組織アンカーに実質的に隣接して、その近位末端にて引き結びを形成する。前記第一縫合フィラメントの長さが、前記第二縫合フィラメントの引き結びを通過し、前記第二縫合フィラメントの長さが、前記第一縫合フィラメントの引き結びを通過する。キットには、第一及び第二アンカー中の凹部内に着脱可能に受領されるように、大きさ指定され、成形された遠位先端を有する、実質的に軸状の挿入デバイスが含まれる。
【0009】
1つの実施形態にしたがって、第一及び第二縫合フィラメントは、それぞれ第一及び第二組織アンカーの中央部に連結する。アンカーは、ポリジオキサノンのような吸収性材料からなってよく、さらにおよそ7mmの長さを有してよい。
【0010】
また他の実施形態において、第一及び第二縫合フィラメントは、ポリジオキサノンのような吸収性材料からなってよい。
【0011】
本発明はまた、所定数Nの創傷閉鎖デバイスが含まれる創傷閉鎖デバイスも提供し、ここでN>1であり、各創傷閉鎖デバイスには、組織アンカーと、それに固定して連結し、遊離遠位末端に外に向かって伸張する前に、前記アンカーに実質的に隣接した引き結びを形成している縫合フィラメントが含まれる。x=1〜Nの各創傷閉鎖デバイスに対して、x=1〜(N−1)の創傷閉鎖デバイスの縫合フィラメントが、x+1の創傷閉鎖デバイスの引き結びを通過し、x=Nの創傷閉鎖デバイスの縫合フィラメントが、x=1の創傷閉鎖デバイスの引き結びを通過する。
【0012】
一つの実施形態において、第一及び第二組織アンカーが実施的に軸状であり、組織穿通遠位末端を含み、さらにそれぞれ第一及び第二組織アンカーの中央部に連結されてよい。
【0013】
また他の実施形態において、第一及び第二組織アンカーは、ポリジオキサノンのような吸収性材料からなってよい。アンカーは更に、およそ7mmの長さを有してよい。
【0014】
また他の実施形態において、第一及び第二アンカーの近位末端は、凹部をその中に有し、前記凹部が、挿入デバイスの遠位末端をそこで着脱可能に受領するために大きさ指定され、成形される。
【0015】
また他の実施形態において、第一及び第二フィラメントは、ポリジオキサノンのような吸収性材料からなってよい。
【0016】
本発明のこれら及び他の目的、特徴並びに利点は、添付図面と関連づけて読まれる、その例示的実施形態に関する以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に従った創傷閉鎖デバイスを説明している。
【
図2】挿入デバイスに着脱可能に連結した1つのアンカーを有する、
図1のデバイスを説明している。
【
図4】4つの縫合アンカーを有する本発明の他の実施形態を説明している。
【
図5】4つの縫合アンカーを有する本発明のまた他の実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明に従った組織閉鎖デバイス100の例示実施形態を説明している。組織閉鎖デバイス100は、第一アンカー102と第二アンカー104とを含み、両方が好ましくは、それぞれ先細り先端部107、109を有する自己解離アンカーであり、接近させるべき組織を穿通可能である。各アンカーは、好ましくはアンカーの中央部111、113にて単純な結びなどによって、それに連結しており、アンカーから外側に伸びる、縫合フィラメント110、112を有する。1つの実施形態において、アンカーは、縫合よりも直径がわずかに大きく、形成された結びの大きさよりも小さい縫合に対して、貫通孔を有する。結びよりもわずかに大きい皿孔が、結びがアンカーの表面の下に横たわることを許容する。結びは、単純なかがり縫い結び、複撚りかがり縫い結び、又は積み重ね又は重複している結びであってよい。第一縫合フィラメント110が、その近位末端113にて第一アンカー102に接続し、遊離遠位末端114に向かって外側に伸張する。第一縫合フィラメントはさらに、遊離遠位末端114に向かって外側に伸張する前に、第一アンカーに隣接する第一引き結び116を形成する。第二縫合フィラメント112は、その近位末端118にて、第二アンカー104に接続し、遊離遠位末端120に向かって外側に伸張する。第二縫合フィラメントはまた、遊離遠位末端120に向かって外側に伸張する前に、第二アンカーに隣接する第二引き結び120を形成する。さらに、第二縫合フィラメント112は、第一引き結び116を通過し、第一縫合フィラメント110は、第二引き結び122を通過する。この様式にて、いずれかの縫合フィラメントの遠位末端上で引くことによって、他の縫合フィラメントの引き結びが、その縫合アンカー上に位置する張力によって締められるまで、縫合フィラメントが最小の摩擦で、他の縫合フィラメント中の引き結びを通して滑ることを許容する。例えば、(
図3にて示した矢印の方向にて)第二縫合フィラメントに連結される第二縫合アンカー上に位置する張力により、第二縫合フィラメントの引き結びが、第一縫合フィラメント110周辺で形状が変化し、第一縫合フィラメントに対する位置に保持するために十分にそれを係合するために、第一縫合フィラメントを最終的に係合する。
【0019】
図3は、本発明のデバイス中で使用可能な例示引き結びの拡大バージョンであり、第一縫合フィラメント110が、第二縫合フィラメント112中に形成された第二引き結び122を通過する。引き結びの1つの実施形態が
図3で示されているけれども、本明細書で使用するところの用語「引き結び」は、フィラメント状要素の1つの末端上で引くことによって、フィラメント状要素の長さに沿って滑り、結びを通したフィラメントの連続滑りを防止するためにロック可能である任意の結びを意味することが意図される。
【0020】
本発明の組織閉鎖デバイスは、子宮壁中の傷の腹腔鏡閉鎖、または膣口が、仙棘靱帯にアンカーされる膣円蓋サスペンションを実施することにおける利用のための特定の応用を有する。好ましい実施形態において、アンカーは実質的に軸状であるか、直線であり、長さにしておよそ7mmであり、吸収性ポリジオキサノンから成型される。さらに、縫合フィラメントは好ましくは、サイズ2−0ポリジオキサノン縫合(PDS)である。アンカーはまた、その近位末端130、132中に、腹腔鏡手順のために、腹腔鏡ポート内に簡単に適合するために、それ自身が大きさ指定され、成形される、線形インサータ136(
図2を参照のこと)の遠位末端134を受領するように大きさ指定され、成形される、凹部を含んでよい。線形アプリケータを用いることで、アプリケータの主要軸に対して垂直、又は主要軸からオフセットである軸に沿ってアンカーを埋め込むことを試みることによって導入されるであろう任意の曲げモーメントを除去し、腹腔鏡ポートを通して縫合するために湾曲したニードルを用いることの困難さを除去する。
【0021】
各アンカーは独立して、線形アプリケータと、その上にマウントされた自己解離アンカーを用いて、接近されるべき領域の反対側上の組織内に、埋め込まれ、固定される。傷が接近され、傷を閉じたまま維持するために、引き結びを介して相当するフィラメントを係合するために、十分な張力がアンカー上に配置されるまで、他の縫合フィラメントの引き結びを通して、各縫合フィラメントがすべり、各フィラメントの遠位末端がついで、一緒に傷を引き込むために使用される。以上で記述したデバイスは更に、組織表面の二点間の固定を提供し、組織周辺の縫合の通過を除外し、それによって組織絞扼と局在化した虚血に対する潜在性を最小化する。
【0022】
上記アセンブリはさらに、更なる組織アンカーと縫合フィラメントと直列に接続可能である。ここで
図5を参照して、第一501、第二502、第三503及び第四504アンカーが、
図1に関して以上で詳細に記述したのと同一の様式で、調節可能引き結びを形成し、遊離遠位末端まで外側に伸張するように、それぞれそこに連結した縫合フィラメントを有するように示される。その対応する組織アンカーに連結した各縫合は、連続するアンカー/縫合組み合わせの引き結びを通過するであろう。例えば、縫合フィラメント501aに連結されるアンカー501が、引き結び502bを通過し、一方で縫合フィラメント502aは、引き結び503bを通過し、以下同じである。4つのアンカー/縫合組み合わせが
図5で説明されているけれども、上記アセンブリは、x=2〜Nの任意の数のそのような組み合わせに適用可能である。そのような実施形態において、各アンカー及び関連した縫合フィラメントxに関して、アンカー/フィラメント組み合わせNからの縫合フィラメントが、アンカー/フィラメント組み合わせ番号1の引き結びを通過するであろう点である、x=Nまで、縫合フィラメントが、アンカー/フィラメント組み合わせx+1の引き結びを通過するであろう。
【0023】
図5で説明した実施形態において、隣接している組み合わせの縫合フィラメント、すなわちフィラメント501a及び502aの遊離末端上で引くことによって、結果として、それらの2つの隣接するアンカー間(それぞれ501、502及び502、503)で組織を接近させることになる。
図4にて説明した他の実施形態において、4つの組織アンカー401、402、403、404が存在するけれども、アンカーが、その各対が
図1を参照して以上で記述したように設定される対で設定される。各所定の対(401、402及び403、404)に対して、組織アンカーの対間で伸びる少なくとも1つの縫合フィラメント(すなわちフィラメント401a及び403a)が、接合部420として示したように互いに結合し、それによって一緒にアセンブルを接続する。この構成において、404a及び403aのような縫合フィラメントの対応する対の遊離末端に対して張力を適用することによって、直交方向に沿っての組織接近となるであろう。
【0024】
本発明の例示的実施形態を、添付図面を参照して本明細書で説明したが、当然のことながら、本発明はこれらと同じ実施形態に限定されず、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者によって本明細書において様々なその他変更及び修正が達成できることが理解される。
【0025】
〔実施の態様〕
(1) 創傷閉鎖デバイスであって、
第一組織アンカーと、
近位末端で前記第一組織アンカーに固定して連結し、遊離遠位末端まで長さに沿って伸びる第一縫合フィラメントと、
第二組織アンカーと、
近位末端で前記第二組織アンカーに固定して連結し、遊離遠位末端まで長さに沿って伸びる第二縫合フィラメントと、を含み、
前記第一縫合フィラメントが、前記第一組織アンカーに実質的に隣接して、その近位末端にて引き結びを形成するように設定され、
前記第二縫合が、前記第二組織アンカーに実質的に隣接して、その近位末端にて引き結びを形成するように設定され、
前記第一縫合フィラメントの前記長さが、前記第二縫合の引き結びを通過し、前記第二縫合フィラメントの前記長さが、前記第一縫合フィラメントの引き結びを通過する、創傷閉鎖デバイス。
(2) 前記第一及び第二組織アンカーが実質的に軸状(axial)であり、組織穿通遠位末端を含む、実施態様1に記載のデバイス。
(3) 前記第一及び第二縫合フィラメントが、それぞれ前記第一及び第二組織アンカーの中央部に連結する、実施態様2に記載のデバイス。
(4) 前記第一及び第二組織アンカーが、吸収性材料から構成される、実施態様3に記載のデバイス。
(5) 前記吸収性材料が、ポリジオキサノンである、実施態様4に記載のデバイス。
【0026】
(6) 前記第一及び第二組織アンカーが、およそ7mmの長さを有する、実施態様5に記載のデバイス。
(7) 前記第一及び第二アンカーの近位末端が、凹部をその中に有し、前記凹部が、挿入デバイスの遠位末端をその中に着脱可能に受領するために大きさ指定され、成形される、実施態様2に記載のデバイス。
(8) 前記第一及び第二縫合フィラメントが、吸収性材料から構成される、実施態様1に記載のデバイス。
(9) 前記吸収性材料がポリジオキサノンである、実施態様8に記載のデバイス。
(10) さらに、
第三組織アンカーと、
近位末端で前記第三組織アンカーと固定して連結し、遊離遠位末端まで長さに沿って伸びる、第三縫合フィラメントと、
第四組織アンカーと、
近位末端で前記第四組織アンカーと固定して連結し、遊離遠位末端まで長さに沿って伸びる、第四縫合フィラメントと、を含み、
前記第三縫合フィラメントが、前記第三組織アンカーに実質的に隣接して、その近位末端にて引き結びを形成するように設定され、
前記第四縫合が、前記第四組織アンカーに実質的に隣接して、その近位末端にて引き結びを形成するように設定され、
前記第三縫合フィラメントの前記長さが、前記第四縫合の引き結びを通過し、前記第四縫合フィラメントの前記長さが、前記第三縫合フィラメントの引き結びを通過し、
前記第三縫合が、引き結びの対応する対の間である、前記第三及び第一縫合の前記長さに沿った位置で、前記第一縫合と絡み合う、実施態様1に記載のデバイス。
【0027】
(11) 組織接近を実施するためのキットであって、
組織穿通遠位末端、及び近位末端中における凹部を有する、実質的に軸状である第一組織アンカーと、近位末端にて前記第一組織アンカーと固定して連結し、遊離遠位末端まで長さに沿って伸びる第一縫合フィラメントと、組織穿通遠位末端、及び近位末端中における凹部を有する、実質的に軸状である第二組織アンカーと、近位末端にて前記第二組織アンカーと固定して連結し、遊離遠位末端まで長さに沿って伸びる第二縫合フィラメントと、を含む創傷閉鎖デバイスであって、前記第一縫合フィラメントが、前記第一組織アンカーに実質的に隣接して、その近位末端にて引き結びを形成し、前記第二縫合フィラメントが、前記第二組織アンカーに実質的に隣接して、その近位末端にて引き結びを形成し、前記第一縫合フィラメントの前記長さが、前記第二縫合フィラメントの引き結びを通過し、前記第二縫合フィラメントの前記長さが、前記第一縫合フィラメントの引き結びを通過する、創傷閉鎖デバイスと、
前記第一及び第二アンカー中の凹部内で着脱可能に受領されるように、大きさ指定され、成形された遠位先端を有する、実質的に軸状である挿入デバイスと、を含む、キット。
(12) 前記第一及び第二縫合フィラメントが、それぞれ前記第一及び第二組織アンカーの中央部に連結する、実施態様11に記載のキット。
(13) 前記第一及び第二組織アンカーが、吸収性材料から構成される、実施態様12に記載のキット。
(14) 前記吸収性材料が、ポリジオキサノンである、実施態様13に記載のキット。
(15) 前記第一及び第二組織アンカーが、およそ7mmの長さを有する、実施態様14に記載のキット。
【0028】
(16) 前記第一及び第二縫合フィラメントが、吸収性材料から構成される、実施態様11に記載のキット。
(17) 前記吸収性材料が、ポリジオキサノンである、実施態様16に記載のキット。
(18) 創傷閉鎖デバイスであって、
所定の数の創傷閉鎖デバイスNが含まれ、ここでN>1であり、各創傷閉鎖デバイスには、組織アンカーと、それに固定して連結した縫合フィラメントが含まれ、前記縫合フィラメントが、遊離遠位末端に外に向かって伸びる前に、前記アンカーに実質的に隣接して引き結びを形成しており、
x=1〜Nの各創傷閉鎖デバイスに対して、創傷閉鎖デバイスx=1〜(N−1)の縫合フィラメントが、創傷閉鎖デバイスx+1の引き結びを通過し、創傷閉鎖デバイスx=Nの縫合フィラメントが、創傷閉鎖デバイスx=1の引き結びを通過する、創傷閉鎖デバイス。
(19) 前記第一及び第二組織アンカーが実質的に軸状であり、組織穿通遠位末端を含む、実施態様18に記載のデバイス。
(20) 前記第一及び第二縫合フィラメントが、それぞれ前記第一及び第二組織アンカーの中央部に連結する、実施態様19に記載のデバイス。
【0029】
(21) 前記第一及び第二組織アンカーが、吸収性材料から構成される、実施態様20に記載のデバイス。
(22) 前記吸収性材料が、ポリジオキサノンである、実施態様21に記載のデバイス。
(23) 前記第一及び第二組織アンカーが、およそ7mmの長さを有する、実施態様22に記載のデバイス。
(24) 前記第一及び第二アンカーの近位末端が、凹部をその中に有し、前記凹部が、挿入デバイスの遠位末端をその中に着脱可能に受領するために大きさ指定され、成形される、実施態様19に記載のデバイス。
(25) 前記第一及び第二縫合フィラメントが、吸収性材料から構成される、実施態様18に記載のデバイス。
【0030】
(26) 前記吸収性材料が、ポリジオキサノンである、実施態様25に記載のデバイス。