特許第6231118号(P6231118)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231118
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】インビトロ診断用分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20171106BHJP
   G01N 35/04 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   G01N35/02 D
   G01N35/04 H
【請求項の数】10
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-541210(P2015-541210)
(86)(22)【出願日】2013年10月30日
(65)【公表番号】特表2015-534089(P2015-534089A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】FR2013052597
(87)【国際公開番号】WO2014072616
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2016年7月22日
(31)【優先権主張番号】12/60661
(32)【優先日】2012年11月9日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515124543
【氏名又は名称】アルテイオン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アラン ルソー
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−508529(JP,A)
【文献】 特開2002−071699(JP,A)
【文献】 特表昭61−500184(JP,A)
【文献】 特表2007−527011(JP,A)
【文献】 特開2003−004751(JP,A)
【文献】 特表平07−507633(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第1932514(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インビトロ診断用分析装置(2)であって、
シール部材(8)を有しかつ分析対象である生体液の検体を収容する複数の容器(7)を列状に配列されるように受け入れるように構成された少なくとも1つのラック(6)と、
前記少なくとも1つのラック(6)内での前記複数の容器(7)の配列方向に直交する第1の移動方向(D1)に沿って、前記少なくとも1つのラック(6)を、ローディング位置(P1)と第1の中間位置(P2)との間で移動させるように構成されたローディングモジュール(14)と、
前記少なくとも1つのラック(6)を、前記第1の中間位置(P2)と第2の中間位置(P3)との間で移動させ、かつ前記少なくとも1つのラック(6)をシェークするように構成されているとともに、前記少なくとも1つのラック(6)を、前記第1の中間位置(P2)と前記第2の中間位置(P3)とにおいて略同じ向きに延びるように配置するシェークモジュール(21)と、
前記少なくとも1つのラック(6)内での前記複数の容器(7)の配列方向に直交する第2の移動方向(D3)に沿って、前記少なくとも1つのラック(6)を、前記第2の中間位置(P3)とアンローディング位置(P4)との間で移動させるように構成されたアンローディングモジュール(37)と、
前記少なくとも1つのラック(6)に受け入れられた複数の容器(7)内の生体液の検体を採取するように構成された検体採取モジュール(43)と、
を備え、
前記シェークモジュール(21)は、
前記少なくとも1つのラック(6)の、前記第1の中間位置(P2)と前記第2の中間位置(P3)との間の移動を、案内方向(D2)に沿って案内するとともに、旋回軸(A)を中心に旋回可能に設けられかつハウジング(23)を規定するラック支持部材(22)と、
前記少なくとも1つのラック(6)を、前記案内方向(D2)に沿って、前記第1の中間位置(P2)と前記第2の中間位置(P3)との間で並進移動するように駆動する並進移動駆動手段と、
前記ラック支持部材(22)を、前記旋回軸(A)を中心に旋回駆動する旋回手段と、
を有し、
前記少なくとも1つのラック(6)は、前記ハウジング(23)内を前記案内方向(D2)に摺動可能であり、
前記ラック支持部材(22)は、前記ラック(6)が該ラック支持部材(22)の前記ハウジング(23)内を摺動している間、該ラック(6)の側壁と連係するように構成された少なくとも1つの第1の案内壁(24)と、前記ラック支持部材(22)が旋回している間、前記ラック(6)に受け入れられた複数の容器(7)を該ラック(6)に保持するべく、該複数の容器(7)のシール部材(8)と連係するように構成された保持壁(25)と、を有し、
前記検体採取モジュール(43)は、前記シェークモジュール(21)にロードされかつ前記第1の中間位置(P2)と前記第2の中間位置(P3)との間の位置に位置する前記少なくとも1つのラック(6)に受け入れられた複数の容器(7)内の生体液の検体を採取するように構成されていることを特徴とするインビトロ診断用分析装置(2)。
【請求項2】
請求項1記載のインビトロ診断用分析装置(2)において、
前記ローディングモジュール(14)及び前記アンローディングモジュール(37)は、前記少なくとも1つのラック(6)の、前記第1の移動方向(D1)及び前記第2の移動方向(D)に沿った移動中、前記少なくとも1つのラック(6)を略鉛直方向に起立した状態で保持するように構成されていることを特徴とするインビトロ診断用分析装置(2)。
【請求項3】
請求項1又は2記載のインビトロ診断用分析装置(2)において、
前記シェークモジュール(21)は、前記少なくとも1つのラック(6)の、前記第1の中間位置(P2)と前記第2の中間位置(P3)との間の移動中、前記少なくとも1つのラック(6)を略鉛直方向に起立した状態で保持するように構成されていることを特徴とするインビトロ診断用分析装置(2)。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載のインビトロ診断用分析装置(2)において、
前記シェークモジュール(21)、前記ローディングモジュール(14)及び前記アンローディングモジュール(37)は、略U字状のラック搬送経路を規定することを特徴とするインビトロ診断用分析装置(2)。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載のインビトロ診断用分析装置(2)において、
前記ローディングモジュール(14)及び前記アンローディングモジュール(37)は、第1のコンベヤー(16)及び第2のコンベヤー(39)をそれぞれ有することを特徴とするインビトロ診断用分析装置(2)。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1つに記載のインビトロ診断用分析装置(2)において、
前記ローディングモジュール(14)と前記アンローディングモジュール(37)との間に配置され、略鉛直方向に延びる回転軸を有し、分析対象である生体液の検体又は試薬を収容する複数の容器(57)を受け入れ可能な複数の受入部(56)を有するローディングロータ(55)と、
前記ローディングロータ(55)に連結され、該ローディングロータ(55)を、該ローディングロータ(55)の前記回転軸を中心に回転駆動するように構成された回転駆動手段と、
を更に備え、
前記検体採取モジュール(43)は、前記ローディングロータ(55)に受け入れられた前記容器(57)内の検体又は試薬を採取するように構成されていることを特徴とするインビトロ診断用分析装置(2)。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1つに記載のインビトロ診断用分析装置(2)において、
調製・測定モジュール(59)を更に備え、
前記調製・測定モジュール(59)は、
複数の調製キュベット(62)を有し、略鉛直方向に延びる回転軸を中心に回転する調製ロータ(61)と、
前記調製ロータ(61)に連結され、該調製ロータ(61)を該調製ロータ(61)の前記回転軸を中心に回転駆動する回転駆動手段と、
を有し、
前記検体採取モジュール(43)は、前記調製キュベット(62)に対して、予め採取された生体液の検体又は試薬を供給するように構成されていることを特徴とするインビトロ診断用分析装置(2)。
【請求項8】
請求項記載のインビトロ診断用分析装置(2)において、
前記複数の調製キュベット(62)のそれぞれは、前記調製ロータ(61)の径方向に対して略垂直な平面内で延びていることを特徴とするインビトロ診断用分析装置(2)。
【請求項9】
請求項又は記載のインビトロ診断用分析装置(2)において、
少なくとも1つの前記調製キュベット(62)は、丸みを帯びた上向きの凹面とされた底面を有していることを特徴とするインビトロ診断用分析装置(2)。
【請求項10】
請求項のいずれか1つに記載のインビトロ診断用分析装置(2)において、
前記調製ロータ(61)に連結された前記回転駆動手段は、該調製ロータ(61)を第1の回転方向(S1)と、該第1の回転方向(S1)とは反対の第2の回転方向(S2)とに回転駆動するように構成されていることを特徴とするインビトロ診断用分析装置(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インビトロ診断用分析装置に関し、より具体的には全血分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、インビトロ診断用分析装置を開示している。この分析装置は、
シール部材を有しかつ分析対象である生体液の検体を収容する複数の容器を受け入れるように構成された複数のラックと、
前記複数のラックのそれぞれを、ローディング位置と第1の中間位置との間で移動させるように構成されたローディングモジュールと、
前記複数のラックのそれぞれを、前記第1の中間位置と第2の中間位置との間で移動させ、かつ当該ラックをシェークする(揺り動かす)ように構成されたシェークモジュールと、
前記複数のラックのそれぞれを、前記第2の中間位置とアンローディング位置との間で移動させるように構成されたアンローディングモジュールと、
少なくとも1つの前記ラックに受け入れられた複数の容器内の生体液の検体を採取するように構成された検体採取モジュールと、
を有している。
【0003】
前記特許文献1によれば、前記ローディングモジュールは、複数のラックを略水平にロードすることを可能にするように設けられた収容部材と、これらのラックをシェークモジュールの方向に収容部材から取り出す取出手段と、を備える。この取出手段は、より具体的には、各ラックを、水平方向に沿って、該ラックが延びる平面に平行に移動させるように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】仏国特許発明第2907905号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記ラックを収容部材内に前記のように平坦に並べて配置するためには、それらのラックを収容部材に手動でロードする必要がある。これにより、作業者には手間のかかる手作業がどうしても必要になるとともに、分析速度が遅くなることも避けられない。
【0006】
また、前記特許文献1によれば、シェークモジュールは、前記ラックを、該ラックが略水平方向に延びる、該シェークモジュールにおける導入位置から、該ラックが略鉛直方向に延びる、シェークモジュールにおける取り出し位置に移動させる移動・傾斜手段を有する。
【0007】
ローディングモジュール、アンローディングモジュール及びシェークモジュールの前記のような構成によって、前記特許文献1に開示された分析装置は、構造が複雑であり、また、その製造コストも高くなる。
【0008】
本発明は、これらの欠点を克服することを目的とする。
【0009】
したがって、本発明の根底をなす技術上の課題は、高い分析速度を実現しつつ、単純でかつ経済的な構造を有するインビトロ診断用分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的のために、本発明は、以下の構成のインビトロ診断用分析装置に関わる。
【0011】
すなわち、インビトロ診断用分析装置は、
シール部材を有しかつ分析対象である生体液の検体を収容する複数の容器を列状に配列されるように受け入れるように構成された少なくとも1つのラックと、
前記少なくとも1つのラック内での前記複数の容器の配列方向に直交する第1の移動方向に沿って、前記少なくとも1つのラックを、ローディング位置と第1の中間位置との間で移動させるように構成されたローディングモジュールと、
前記少なくとも1つのラックを、前記第1の中間位置と第2の中間位置との間で移動させ、かつ前記少なくとも1つのラックをシェークする(揺り動かす)ように構成されているとともに、前記少なくとも1つのラックを、前記第1の中間位置と前記第2の中間位置とにおいて略同じ向きに延びるように配置するシェークモジュールと、
前記少なくとも1つのラック内での前記複数の容器の配列方向に直交する第2の移動方向に沿って、前記少なくとも1つのラックを、前記第2の中間位置とアンローディング位置との間で移動させるように構成されたアンローディングモジュールと、
前記少なくとも1つのラックに受け入れられた複数の容器内の生体液の検体を採取するように構成された検体採取モジュールと、
を備え、
前記シェークモジュールは、
前記少なくとも1つのラックの、前記第1の中間位置と前記第2の中間位置との間の移動を、案内方向に沿って案内するとともに、旋回軸を中心に旋回可能に設けられかつハウジングを規定するラック支持部材と、
前記少なくとも1つのラックを、前記案内方向に沿って、前記第1の中間位置と前記第2の中間位置との間で並進移動するように駆動する並進移動駆動手段と、
前記ラック支持部材を、前記旋回軸を中心に旋回駆動する旋回手段と、
を有し、
前記少なくとも1つのラックは、前記ハウジング内を前記案内方向に摺動可能であり、
前記ラック支持部材は、前記ラックが該ラック支持部材の前記ハウジング内を摺動している間、該ラックの側壁と連係するように構成された少なくとも1つの第1の案内壁と、前記ラック支持部材が旋回している間、前記ラックに受け入れられた複数の容器を該ラックに保持するべく、該複数の容器のシール部材と連係するように構成された保持壁と、を有し、
前記検体採取モジュールは、前記シェークモジュールにロードされかつ前記第1の中間位置と前記第2の中間位置との間の位置に位置する前記少なくとも1つのラックに受け入れられた複数の容器内の生体液の検体を採取するように構成されている
【0012】
このような構成を有するシェークモジュール、ローディングモジュール及びアンローディングモジュールにより、簡略な移動手段を用いて、複数のラックをローディング位置とアンローディング位置との間で移動させることが確実に可能になり、これによって、本発明による分析装置の信頼性を向上させ、かつその製造コストを削減することが可能になる。
【0013】
また、このような構成を有するローディングモジュール及びアンローディングモジュールにより、例えば、ローディングモジュール及びアンローディングモジュールに、ローディングコンベヤー及びアンローディングコンベヤーをそれぞれ配置することによって、複数のラックを、本発明による分析装置に自動的にロードしかつ分析装置から自動的にアンロードすることが確実に可能になる。これらの構成によって、高い分析速度を保証することが可能になる。
【0014】
本発明による分析装置は、具体的には、血液学的分析、全血球計算(Complete BloodCount (CBC))分析、細胞診断分析、フローサイトメトリー(流動細胞計測)分析、免疫血液学的分析、血液凝固分析を実行するのに用いることができ、細胞の顕微鏡分析により自動観察用のブレードを調製したり、沈降速度を決定したりすることにも用いることができる。
【0015】
本発明の或る実施形態によれば、前記シェークモジュールは、前記少なくとも1つのラックを、前記第1の中間位置と前記第2の中間位置とにおいて略同じ平面内で延びるように配置するよう構成される。
【0016】
本発明の或る実施形態によれば、前記シェークモジュールは、前記少なくとも1つのラックを、前記第1の中間位置と前記第2の中間位置とにおいて略鉛直方向に延びるように配置するよう構成される。
【0017】
或る好適な態様では、前記第1及び第2の中間位置は、前記ラックを前記シェークモジュールに導入する位置、及び、前記ラックを前記シェークモジュールから取り出す位置にそれぞれ対応する。
【0018】
好ましくは、前記第1及び第2の中間位置は、ローディングモジュールの一端部、及び、アンローディングモジュールの一端部にそれぞれ配置される。
【0019】
本発明の或る実施形態によれば、前記ローディングモジュール及び前記アンローディングモジュールは、前記第1及び第2の移動方向が、前記少なくとも1つのラックが延びる平面に対して略垂直な方向になるように構成される。
【0020】
本発明の1つの特徴によれば、前記ローディングモジュール及び前記アンローディングモジュールは、前記少なくとも1つのラックの、前記第1及び第2の移動方向に沿った移動中、前記少なくとも1つのラック(具体的には、そのラックに受け入れられた複数の容器)を略鉛直方向に起立した状態で保持するように構成される。
【0021】
本発明の或る実施形態によれば、前記シェークモジュールは、前記少なくとも1つのラックの、前記第1の中間位置と前記第2の中間位置との間の移動中、前記少なくとも1つのラック(具体的には、そのラックに受け入れられた複数の容器)を略鉛直方向に起立した状態で保持するように構成されている。
【0022】
本発明の或る実施形態によれば、前記第1及び第2の移動方向は略平行である。
【0023】
前記ローディングモジュール及び前記アンローディングモジュールは、例えば、第1のコンベヤー及び第2のコンベヤーをそれぞれ有する。これら第1及び第2のコンベヤーは、ベルトコンベヤー又はバンドコンベヤーであることが有利である。
【0024】
本発明の或る実施形態によれば、前記案内方向は、前記第1及び第2の移動方向に対して略垂直な方向である。
【0025】
本発明の或る実施形態によれば、前記案内方向並びに前記第1及び第2の移動方向は、装置使用中、略水平である。
【0026】
本発明の或る実施形態によれば、前記ラック支持部材は、ローディングモジュールの端部とアンローディングモジュールの端部との間に配置される。
【0027】
本発明の或る実施形態によれば、前記ラック支持部材は、前記少なくとも1つのラックの、前記第1の中間位置と前記第2の中間位置との間の前記案内方向に沿った並進移動を、側方から案内するように構成される。
【0028】
本発明の或る実施形態によれば、前記シェークモジュール、前記ローディングモジュール及び前記アンローディングモジュールは、略U字状のラック搬送経路を規定する。そのラック搬送経路は、装置使用時に略水平であることが有利である。
【0029】
前記ラック支持部材の旋回軸は、前記案内方向に対して略平行であることが有利である。或る有利な態様では、前記ラック支持部材の旋回軸は、装置使用時に略水平である。
【0030】
利な態様では、前記ラック支持部材により規定された前記ハウジングは、複数のラックを同時に収容可能に構成される。
【0031】
本発明の或る実施形態によれば、前記ラック支持部材は、ラック導入部と、ラック取出部とを有しており、前記並進移動駆動手段は、前記ラック支持部材の前記ハウジングに収容された前記少なくとも1つのラックを、前記ラック導入部と前記ラック取出部との間で並進移動するように駆動するよう構成される。
【0032】
前記ラック支持部材は、前記ローディングモジュール及び前記アンローディングモジュールに対して略垂直に延びていることが有利である。
【0033】
本発明の或る実施形態によれば、前記ラック支持部材は、前記ラックを前記ラック支持部材に対して挿入又は取り出し可能な少なくとも第1の角度位置と、該第1の角度位置から角度的にずらされた第2の角度位置との間で、前記旋回軸を中心として旋回可能なように設けられており、そのラック支持部材の前記旋回軸は、該ラック支持部材が前記第1の角度位置にあるとき、ラック支持部材のハウジングの下側に配置される。このような構成によって、前記シェークモジュールに配置されたラックにおける複数の容器を、簡単にかつ効率的にシェークすることが確実に可能になる。
【0034】
前記ラック支持部材は、前記第1の角度位置において、略鉛直方向に延びていることが有利である。
【0035】
本発明の或る実施形態によれば、前記ラック支持部材は、前記ラックが該ラック支持部材の前記ハウジング内を摺動している間、該ラックの底部と連係するように構成された案内面を有しており、前記ラック支持部材の前記旋回軸は、該ラック支持部材が前記第1の角度位置にあるときに前記案内面の下側に位置する。
【0036】
本発明によれば、前記ラック支持部材は、前記ラックが該ラック支持部材の前記ハウジング内を摺動している間、該ラックの側壁と連係するように構成された少なくとも1つの第1の案内壁と、該ラック支持部材が旋回している間、該ラックに受け入れられた複数の容器を該ラックに保持するべく、該複数の容器のシール部材と連係するように構成された保持壁と、を有する。このような構成を有するラック支持部材により、簡略で安価なラックの使用を可能にしながら、複数のラックの、前記第1の中間位置と前記第2の中間位置との間での最適な案内を確実に可能にする。
【0037】
本発明の或る実施形態によれば、前記ラック支持部材は、前記ラックが該ラック支持部材の前記ハウジング内を摺動している間、該ラックの下面と連係するように構成された第2の案内壁を更に有する。
【0038】
本発明の或る実施形態によれば、前記保持壁はまた、前記ラックが前記ラック支持部材の前記ハウジング内を摺動している間も、該ラックに受け入れられた複数の容器のシール部材と連係するように構成される。
【0039】
本発明の或る実施形態によれば、前記保持壁は、検体採取針を通すための通過オリフィスを有している。
【0040】
本発明の或る実施形態によれば、前記旋回手段は、0°から160°までの間の角度変位を伴うように(例えば、0°の角度位置と約120°角度変位した角度位置との間で)、前記ラック支持部材を前記旋回軸を中心に旋回駆動するように構成される。
【0041】
前記ラック支持部材は、前記第2の角度位置にあるときには、鉛直方向に対して約120°の角度でもって傾斜することが有利である。
【0042】
本発明の或る実施形態によれば、前記検体採取モジュールは、前記シェークモジュールの近傍に配置される。
【0043】
本発明の或る実施形態によれば、前記並進移動駆動手段は、前記少なくとも1つのラックを、前記第1の中間位置と前記第2の中間位置との間に位置する少なくとも1つの検体採取位置に固定するように構成され、前記検体採取モジュールは、前記ラックが前記少なくとも1つの検体採取位置に固定されたとき、該ラックに受け入れられた少なくとも1つの容器内の生体液の検体を採取するように構成される。
【0044】
好ましくは、前記並進移動駆動手段は、前記少なくとも1つのラックを、前記第1の中間位置と前記第2の中間位置との間に位置する複数の検体採取位置に固定するように構成される。各検体採取位置は、検体採取モジュールが、ラックに受け入れられた各容器内に収容された生体液の検体をそれぞれ採取する位置に対応している。例えば、N個の容器がラックに受け入れられている場合には、前記並進移動駆動手段は、前記ラックをN個の別々の検体採取位置に固定するように構成される。
【0045】
本発明の或る実施形態によれば、前記並進移動駆動手段は、前記ラック支持部材の前記ハウジングに収納されたラックと連係するように設けられた少なくとも1つのフォーク状部材と、前記案内方向と平行に延び、該フォーク状部材が摺動可能なように取り付けられる案内レールと、該フォーク状部材に接続された、例えば無端歯付ベルトのような無端ベルトと、この無端ベルトを駆動する駆動モータと、を有する。
【0046】
本発明の或る実施形態によれば、前記シェークモジュールは、前記ラック支持部材を、前記少なくとも1つのラックが前記第1及び第2の中間位置の間で案内され得る移送位置で固定するように構成される。
【0047】
本発明の或る実施形態によれば、前記旋回手段は、前記ラック支持部材に回転一体に取り付けられたプーリーであって、該プーリーの軸がラック支持部材の旋回軸と一致するプーリーに対して、例えば無端歯付ベルトのような無端ベルトを介して連結された、ステッピングモータのような駆動モータを有する。
【0048】
本発明の或る実施形態によれば、前記分析装置は、前記ラック支持部材の前記ハウジングへのラックの挿入を検出する検出手段と、該検出手段に接続された制御手段であって、該検出手段がラック支持部材のハウジングへのラックの挿入を検出したとき、ラック支持部材の旋回を開始させるように構成された制御手段と、を備えている。
【0049】
本発明の或る実施形態によれば、前記旋回手段は、前記旋回軸を中心とした揺動運動によって、前記ラック支持部材を旋回駆動するように構成される。前記旋回手段は、前記ラック支持部材を、前記旋回軸を中心にして、例えば1分間当たり少なくとも12回揺動させるように構成される。ここで、ラックに受け入れられた各容器の中に生じた気泡が、当該容器の高さ方向の全体に亘って移動して、これにより検体が最適なかたちで混合されるように、1回の揺動と次の揺動との間に休止期間を挟むことが好ましい。
【0050】
本発明の或る実施形態によれば、前記旋回手段は、前記ラックを、該ラックが上向きとなる位置と、該ラックが下向きとなる位置との間で、傾動可能に構成される。より具体的には、前記旋回手段は、前記ラックを、該ラックに受け入れられた複数の容器が上向きになる位置と、該ラックに受け入れられた複数の容器が下向きになる位置との間で、傾動可能に構成される。
【0051】
本発明の或る実施形態によれば、前記分析装置は、
前記ローディングモジュールと前記アンローディングモジュールとの間に配置され、略鉛直方向に延びる回転軸を有し、分析対象である生体液の検体又は試薬を収容する複数の容器を受け入れ可能な複数の受入部を有するローディングロータと、
前記ローディングロータに連結され、該ローディングロータを、該ローディングロータの前記回転軸を中心に回転駆動するように構成された回転駆動手段と、
を更に備え、
前記検体採取モジュールは、前記ローディングロータに受け入れられた前記容器内の検体又は試薬を採取するように構成されている。
【0052】
本発明の或る実施形態によれば、前記ローディングロータは、取り外すことが可能である。
【0053】
本発明の或る実施形態によれば、前記ローディングロータに設けられた各受入部は、該ローディングロータの上面に開口している。
【0054】
本発明の或る実施形態によれば、前記ローディングロータに設けられた少なくとも2つの受入部が、互いに異なる寸法を有する。これらの構成により、互いに異なる寸法を有する複数の容器を、前記ローディングロータに装填することが可能になる。
【0055】
本発明の或る実施形態によれば、前記分析装置は、調製・測定モジュールを更に備え、その調製・測定モジュールは、
複数の調製キュベットを有し、略鉛直方向に延びる回転軸を中心に回転する調製ロータと、
前記調製ロータに連結され、該調製ロータを該調製ロータの前記回転軸を中心に回転駆動する回転駆動手段と、
を有し、
前記検体採取モジュールは、前記調製キュベットに、予め採取された生体液の検体又は試薬を供給するように構成されている。
【0056】
前記調製キュベットのそれぞれは、例えば、前記調製ロータの径方向に対して略垂直な平面内で延びていてもよい。
【0057】
本発明の或る実施形態によれば、各調製キュベットの延びる方向の中央を通る線は、前記調製ロータの径方向に延びる。
【0058】
本発明の或る実施形態によれば、前記調製キュベットは、前記調製ロータの周縁部に分散配置され、好ましくは、該調製ロータの周縁部に等間隔で分散配置される。
【0059】
少なくとも1つの前記調製キュベットは、丸みを帯びた上向きの凹面とされた底面を有していることが有利である。
【0060】
本発明の或る実施形態によれば、前記調製ロータは透明である。前記調製ロータは、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)のような透明プラスチック材料からなる。
【0061】
前記調製ロータに連結された前記回転駆動手段は、該調製ロータを第1の回転方向と、該第1の回転方向とは反対の第2の回転方向とに回転駆動するように構成されることが有利である。前記調製ロータに連結された前記回転駆動手段は、例えば、1つ又は複数の調製キュベットに収容された液体の固有振動数に一致する振動数でもって、調製ロータを第1及び第2の回転方向に交互に回転駆動するように構成される。
【0062】
本発明の或る実施形態によれば、前記調製ロータに連結された前記回転駆動手段は、ステッピングモータを有する。
【0063】
本発明の或る実施形態によれば、前記調製・測定モジュールは、前記複数の調製キュベットの温度を所定のレベルに調整する調整手段を有する。
【0064】
本発明の或る実施形態によれば、前記調製・測定モジュールは、前記調製ロータの周辺に配置された少なくとも1つの測定及び/又は分析ステーションを有する。その少なくとも1つの測定及び/又は分析ステーションは、例えば、分光光度読み出しモジュール、蛍光読み取りモジュール、ルミネセンス読み取りモジュール又は凝血測定モジュールである。
【0065】
本発明の或る実施形態によれば、前記調製ロータは、前記調製キュベットが着脱可能に取り付けられる回転体を有する。本発明の或る実施形態によれば、前記分析装置は、その回転体に複数の調製キュベットを供給するように構成された供給ステーションを備える。これらの構成により、特に調製ロータを用いて全血凝固試験を行うことが可能になる。実際、そのような試験を行えば、洗浄が困難な調製キュベット内に凝血塊が形成されるので、そのような試験は、取り外しできない複数の調製キュベットを備えた調製ロータでは、実行が不可能である。
【0066】
本発明の或る実施形態によれば、前記調製ロータは回転体を有し、該回転体上に、複数の調製キュベットが配列される。
【0067】
本発明の或る実施形態によれば、前記少なくとも1つのラックは、前記ラックに受け入れられた複数の容器が持つ識別コードを光学的に読み取ることを可能にする複数の窓を有する。
【0068】
本発明の或る実施形態によれば、前記検体採取モジュールは、検体採取針が設けられた検体採取ヘッドと、該検体採取ヘッドを、略水平方向でかつ前記案内方向に対して垂直な方向に並進移動させる第1の移動手段と、該検体採取ヘッドを略鉛直方向に移動させる第2の移動手段と、を有する。
【0069】
前記検体採取針は、前記少なくとも1つのラックに受け入れられた複数の容器のシール部材に突き刺すことが可能な先端部を有することが有利である。
【0070】
本発明の或る実施形態によれば、前記検体採取モジュールは、前記検体採取ヘッドの検体採取針を受け入れて、これを洗浄することが可能な少なくとも1つの洗浄ウェルを有する。
【0071】
本発明の或る実施形態によれば、前記ローディングモジュール及び前記アンローディングモジュールは、前記少なくとも1つのラックに設けられた相補的案内手段と連係するように構成された第1及び第2の案内手段を有する。これら第1及び第2の案内手段は、例えば、前記少なくとも1つのラック(より具体的には、前記ラックの底部)に設けられた前記相補的案内手段と連係可能な第1及び第2の案内レールをそれぞれ有する。
【0072】
本発明の或る実施形態によれば、前記ローディングモジュール及び前記アンローディングモジュールは、それぞれ、少なくとも15個のラックを保持する容量を有する。
【0073】
本発明の或る実施形態によれば、各ラックは、対応する複数の容器を受け入れるように設けられかつ該ラックが延びる平面内で略直線状に配列された複数の受入部を有する。有利な態様では、各受入部は、ラックの外側の面に開口する導入口であって、対応する容器を該受入部内に導入することを可能にする形状の導入口を有する。好ましくは、各容器は、対応するラックに着脱可能に装填される。本発明の或る実施形態によれば、各受入部は、略円形の断面を有する。有利な態様では、各容器は、対応する受入部内に回転自在に装填される。
【0074】
いずれにせよ、本発明は、添付の模式的図面を参照して、以下に述べる説明を読めば、よりよく理解できることであろう。それらの図面は、本分析装置の一実施形態を非限定的な例として示しているにすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1図1は、本発明によるインビトロ診断用分析装置の正面斜視図である。
図2図2は、図1に示す分析装置の部分背面斜視図である。
図3図3は、図2の詳細拡大図である。
図4図4は、図1に示す分析装置の部分側面斜視図である。
図5図5は、図1に示す分析装置の構成要素であるローディングロータ、ローディングモジュール、アンローディングモジュール及びシェークモジュールを示す、該分析装置の部分側面斜視図である。
図6図6は、図1に示す分析装置の構成要素であるローディングロータ、ローディングモジュール、アンローディングモジュール及びシェークモジュールを示す、該分析装置の部分側面斜視図である。
図7図7は、図1に示す分析装置の構成要素であるローディングロータ、ローディングモジュール、アンローディングモジュール及びシェークモジュールを示す、該分析装置の部分側面図である。
図8図8は、図1に示す分析装置の構成要素であるローディングモジュールを示す、該分析装置の部分斜視図である。
図9図9は、図1に示す分析装置の構成要素であるローディングモジュールを示す、該分析装置の部分斜視図である。
図10図10は、複数のラックの、ローディング位置とアンローディング位置との間の経路を示す、図1に示す分析装置の部分平面図である。
図11図11は、図1に示す分析装置の構成要素であるシェークモジュールを示す、該分析装置の部分斜視図である。
図12図12は、図11の詳細拡大図である。
図13図13は、図1に示す分析装置の構成要素である並進移動駆動手段を示す、該分析装置の部分斜視図である。
図14図14は、図13の詳細拡大図である。
図15図15は、図1に示す分析装置の構成要素である検体採取モジュールの検体採取ヘッドが或る位置に位置している状態を示す、該分析装置の部分斜視図である。
図16図16は、図1に示す分析装置の構成要素である検体採取モジュールの検体採取ヘッドが別の位置に位置している状態を示す、該分析装置の部分斜視図である。
図17図17は、図1に示す分析装置の構成要素である検体採取モジュールの検体採取ヘッドが更に別の位置に位置している状態を示す、該分析装置の部分斜視図である。
図18図18は、図1に示す分析装置の構成要素である検体採取モジュールの検体採取ヘッドが更に別の位置に位置している状態を示す、該分析装置の部分斜視図である。
図19図19は、図1に示す分析装置の構成要素である調製ロータの平面図である。
図20図20は、図19のXX−XX線断面図である。
図21図21は、図19のXXI−XXI線断面図である。
図22図22は、調製ロータが小振幅の往復運動により駆動されているときの、該調製ロータの調製キュベット内における液体の運動を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
以下に本発明の一実施形態を説明するが、その実施形態は一例を示すものにすぎず、本発明がそれに限定されるわけではない。
【0077】
図1は、インビトロ診断用分析装置2を示す。この分析装置2は、より具体的には、全血検査のような血液検査を行うために用いられる。
【0078】
分析装置2は、フレーム3と、該フレーム3上に搭載された通信・表示インタフェース4と、フレーム3内に収容されたオンボード電子機器(不図示)と、を備えている。
【0079】
通信・表示インタフェース4は、例えば、PC(コンピュータ)に接続されたタッチスクリーン5を有する。より具体的には、PC(コンピュータ)は、操作者によりタッチスクリーン5を用いて手動でロードされた分析リクエスト、又は、分析実験室の中央処理装置からロードされた分析リクエストを記録し、前記オンボード電子機器に分析クエリーを送信し、測定データを回収し、特定のアルゴリズムによりそれらのデータを処理し、それらの結果を操作者が閲覧可能となるように構成されている。
【0080】
図1図4及び図8に、より具体的に示すように、分析装置2は、複数のラック6(「コンパートメント」や「カセット」と呼ばれることもある)を備えている。これら複数ののラック6はそれぞれ、シール部材8を有する複数の容器7を受け入れるように構成されている。複数の容器7は、分析対象である生体液の検体(たとえば血液検体)を収容する。容器7は、検体管であることが有利である。
【0081】
各ラック6は、略直方体形状を有していて、ラック6が延びる平面内で直線状に配列された複数の受入部9(好ましくは円筒状の受入部9)を有している。これら受入部9は、複数の容器7を該受入部9内へと容易に導入しかつ受入部9から容易に取り出すことができるように、上向きに開口している。各受入部9は、対応する容器7が該受入部9内において回転自在に装填されるような形状を有することが好ましい。
【0082】
また、各ラック6は、複数の容器7が持つ識別コードを光学的に読み取ることを可能にする列状の第1の窓11と、容器7の内容物の表示を見えるようにする列状の第2の窓12と、を有する。
【0083】
各ラック6の底部は、横断ノッチ13を有する。この横断ノッチ13の機能については後述する。
【0084】
図8に示すように、各ラック6は、5つの容器7を受け入れ可能に設けられている。しかしながら、各ラック6は、5つ未満、又は5つを超える数の容器7を受け入れ可能に設けられていてもよい。
【0085】
分析装置2は、ローディングモジュール14を更に備えている。このローディングモジュール14は、該ローディングモジュール14にロードされた各ラック6を、該ラック6が延びる前記平面に対して垂直でかつ水平な第1の移動方向D1に沿って、ローディング位置P1と第1の中間位置P2(図10参照)との間で移動させるように構成されている。
【0086】
ローディングモジュール14は、第1の移動方向D1に対して平行に延びる案内レール15を有する。この案内レール15は、ローディングモジュール14にロードされた各ラック6の横断ノッチ13と連係することにより、ローディング位置P1と第1の中間位置P2との間のラック6の移動中、ラック6を並進移動するように案内するよう構成されている。案内レール15は蟻継ぎ形状の断面を有しかつ各ラック6の横断ノッチ13は案内レール15に対して相補的な形状を有していることが有利である。
【0087】
ローディングモジュール14は、コンベヤー16を更に有する。このコンベヤー16は、複数の駆動フィンガー18(図9に示す)が設けられた2つのコンベヤーベルト17を有している。駆動フィンガー18は、ローディングモジュール14にロードされた各ラック6の底部と連係することにより、該ラック6をローディング位置P1と第1の中間位置P2との間で並進移動するように駆動するよう構成されている。
【0088】
2つのコンベヤーベルト17は、フレーム3に取り付けられたモータ19により駆動される(具体的には図11を参照のこと)。
【0089】
分析装置は、シェークモジュール21を更に備える。シェークモジュール21は、少なくとも1つのラック6を、第1の移動方向Dに対して垂直でかつ水平な案内方向D2に沿って、第1の中間位置P2と第2の中間位置P3との間で並進移動するように案内するラック支持部材22を有する。
【0090】
ラック支持部材22は、ハウジング23を規定する。このハウジング23内には、少なくとも1つのラック6(例えば、最大で同時に3つまでのラック6)が導入可能であり、ハウジング23は、好ましくはラック支持部材22に一体化される。
【0091】
ラック支持部材22は、ハウジング23に導入されたラック6の側壁と連係するように構成された少なくとも1つの第1の案内壁24と、ラック6に受け入れられた複数の容器7のシール部材8と連係するように構成された第2の案内壁25と、ラック6の下面と連係するように構成された第3の案内壁26と、を有する。より具体的には、第2の案内壁25は、ラック支持部材22の旋回中、複数の容器7をラック6に保持することを目的として、ラック6に受け入れられた複数の容器7のシール部材8と連係するように構成されており、これによって、第2の案内壁25は保持壁を構成する。また、第2の案内壁25は、検体採取針を通すための通過オリフィス25aを有する。
【0092】
ラック支持部材22は、案内方向D2に対して平行でかつ水平な旋回軸Aを中心に旋回可能なように、フレーム3に取り付けられている。
【0093】
シェークモジュール21は、旋回手段を更に有する。この旋回手段は、ラック支持部材22が鉛直方向に起立する第1の角度位置(図5参照)と、ラック支持部材22が鉛直方向に対して傾斜する第2の角度位置(図6参照)との間で、ラック支持部材22を旋回軸Aを中心に旋回駆動するように構成されている。より具体的には、前記旋回手段は、0°から160°までの間の角度変位を起こすように(例えば、0°の角度位置と約120°角度変位した角度位置との間で)、ラック支持部材22を旋回軸Aを中心に旋回駆動するように構成されている。図5及び図6に示すように、前記旋回手段は、シェークモジュール21にロードされたラック6を、該ラック6に受け入れられた複数の容器7が上向きとなる位置と、該ラック6に受け入れられた複数の容器7が下向きとなる位置との間で、傾動させることを可能に構成されている。
【0094】
前記旋回手段は、旋回軸Aを中心とした揺動運動によって、ラック支持部材22を旋回駆動するように構成されていることが好ましい。前記旋回手段は、ラック支持部材22を旋回軸Aを中心として、例えば1分間当たり少なくとも12回揺動させるように構成される。ここで、シェークモジュール21にロードされたラック6に受け入れられた各容器7の中に生じた気泡が、当該容器7の高さ方向の全体に亘って移動して、これにより容器7内の検体が最適なかたちで混合されるように、1回の揺動と次の揺動との間に休止期間を挟むことが好ましい。
【0095】
図示された実施形態によれば、前記旋回手段は、ステッピングモータ27(図12を参照)を有する。ステッピングモータ27の出力軸は、ラック支持部材22に対して回転一体に取り付けられたプーリー29に対して、例えば無端歯付ベルトのような無端ベルト28を介して連結されている。プーリー29の軸は、旋回軸Aと一致する。
【0096】
シェークモジュール21は、並進移動駆動手段を更に有する。この並進移動駆動手段は、シェークモジュール21にロードされたラック6を、案内方向D2に沿って、第1の中間位置P2と第2の中間位置P3との間で並進移動するように駆動するよう構成されている。
【0097】
図示された実施形態によれば、前記並進移動駆動手段は、具体的には、フレーム3に取り付けられかつ案内方向D2に対して平行に延びる案内レール31と、この案内レール31に対して摺動可能に取り付けられ、ラック支持部材22のハウジング23に収納されたラック6と連係するように設けられたフォーク状部材32と、を有する(図13及び図14を参照)。フォーク状部材32は、具体的には、互いに平行な2つのアーム33を有する。これら2つのアーム33は、ラック6の長さに略一致する距離を隔てて配置されていて、ラック支持部材22に設けられた通過スロット34を通過して延びるように設けられている。
【0098】
前記並進移動駆動手段はまた、フォーク状部材32に接続された、例えば無端歯付ベルトのような無端ベルト35と、この無端ベルト35を駆動する駆動モータ36(図12参照)と、を更に有する。駆動モータ36の出力軸には、(好ましくは歯付の)ピニオンプーリが設けられている。
【0099】
本発明の一実施形態によれば、前記フォーク状部材には、ラック支持部材22のハウジング23へのラック6の挿入を検出する光学検出手段が設けられており、分析装置2には、その光学検出手段に接続された制御手段が設けられている。この制御手段は、前記光学検出手段がハウジング23へのラック6の挿入を検出したとき、ラック支持部材22の旋回を開始させるように構成されている。
【0100】
ラック支持部材22及び前記並進移動駆動手段は、各ラック6が案内方向D2に沿って移動している間、該ラック6を略鉛直方向に起立した状態に保持するように構成されていることが好ましい。
【0101】
分析装置2は、アンローディングモジュール37を更に備える。アンローディングモジュール37は、ラック6が延びる前記平面に対して垂直でかつ水平な第2の移動方向D3に沿って、第2の中間位置P3とアンローディング位置P4との間でラック6を移動させるように構成されている。第2の移動方向D3は、第1の移動方向D1に対して平行でかつ案内方向D2に対して垂直であることが有利である。
【0102】
アンローディングモジュール37は、ローディングモジュール14と実質的に同じ構成である。したがって、アンローディングモジュール37も、案内レール38を有する。案内レール38は、第2の移動方向Dに対して平行に延びていて、ラック6が第2の中間位置P3とアンローディング位置P4と間で移動している間、ラック6を並進移動するように案内するために、アンローディングモジュール37にロードされた各ラック6の横断ノッチ13と連係するように構成されている。アンローディングモジュール37は、コンベヤー39を更に有する。このコンベヤー39は、複数の駆動フィンガーが設けられた2つのコンベヤーベルト41を有している。2つのコンベヤーベルト41は、フレーム3に取り付けられたモータ42により駆動される(具体的には図11に示されている)。
【0103】
図10に示すように、シェークモジュール21、ローディングモジュール14及びアンローディングモジュール37は、略水平な略U字状のラック搬送経路を規定する。このような構成を有するローディングモジュール14及びアンローディングモジュール37により、例えば、ローディングモジュール14及びアンローディングモジュール37に、ローディングコンベヤー及びアンローディングコンベヤーをそれぞれ配置することによって、複数のラック6を、本発明による分析装置2に自動的にロードしかつ分析装置2から自動的にアンロードすることが確実に可能になる。
【0104】
前記並進移動駆動手段は、更に、シェークモジュール21に導入された各ラック6を、第1の中間位置P2と第2の中間位置P3との間に位置する複数の検体採取位置(より具体的には、ラック6に受け入れられた複数の容器7の数と同数の検体採取位置)に、鉛直方向に起立した状態で固定するように構成されている。
【0105】
分析装置2は、シェークモジュール21の近傍に配置された検体採取モジュール43(図16図18を参照)を備える。検体採取モジュール43は、シェークモジュール21にロードされた各ラック6に受け入れられた複数の容器7内の生体液の検体を採取するように構成されている。具体的には、検体採取モジュール43は、シェークモジュール21にロードされたラック6の前記各検体採取位置において、ラック6に受け入れられた各容器7内の生体液の検体をそれぞれ採取するように構成されている。
【0106】
検体採取モジュール43は、検体採取支持部材44と、該検体採取支持部材44に取り付けられ、検体採取針46が設けられた検体採取ヘッド45と、を有する。検体採取針46は、各ラック6に受け入れられた複数の容器7のシール部材8に突き刺すことが可能な先端部を有する。検体採取モジュール43は、検体採取ヘッド44を、水平方向でかつ案内方向D2に対して垂直な方向に並進移動させるように構成された第1の移動手段と、検体採取ヘッド44を鉛直方向に移動させるように構成された第2の移動手段と、を更に有する。
【0107】
前記第1の移動手段は、図17に示すように、
前記フレームに取り付けられ、水平方向でかつ案内方向D2に対して垂直な方向に延びるとともに、検体採取支持部材44が摺動可能に取り付けられた案内レール47と、
検体採取支持部材44に接続され、該検体採取支持部材44を案内レール47に沿って摺動するように駆動する(好ましくは歯付の)無端ベルト48と、
出力軸に、(好ましくは歯付の)ピニオンプーリが設けられ、無端ベルト48を駆動する駆動モータ49と、
を有する。
【0108】
前記第2の移動手段は、図17に示すように、
検体採取支持部材44に取り付けられ、鉛直方向に延びるとともに、検体採取ヘッド45が摺動可能に取り付けられた案内レール51と、
検体採取ヘッド45に接続され、該検体採取ヘッド45を案内レール51に沿って摺動するように駆動する(好ましくは歯付の)無端ベルト52と、
出力軸に、(好ましくは歯付の)ピニオンプーリが設けられ、無端ベルト52を駆動する駆動モータ53と、
を有する。
【0109】
検体採取モジュール43は、検体採取ヘッド45の検体採取針46を受け入れてこれを洗浄することが可能な洗浄ウェル54を更に有する。
【0110】
検体採取モジュール43は、レベル(液面)検出手段を更に有していることが有利である。このような検出手段により、血液学的分析器の多くに見られるような、検体採取針46を容器の底にほぼ達するほど深くまで浸漬する(そのようにすると、検体採取針がほぼ全長にわたって汚染されることになる)ことを避けることが可能になるとともに、バイアル内の高純度試薬をピペットで採取することが可能になる。前記レベル検出手段は、例えば、容量検出装置を含み得る。
【0111】
図15及び図16に、より具体的に示すように、分析装置2は、ローディングモジュール14とアンローディングモジュール37との間に配置されかつ略鉛直方向に延びる回転軸を有するローディングロータ55を備えている。このローディングロータ55は、分析対象である生体液の検体又は試薬を収容する複数の容器57を受け入れ可能な複数の受入部56を有する。ローディングロータ55に設けられた各受入部56は、複数の容器57を該受入部56内へと容易に導入しかつ受入部56から容易に取り出すことができるように、ローディングロータ55の上面に開口している。図示された実施形態によれば、ローディングロータ55は、互いに異なる寸法の複数の容器57をローディングロータ55に装填できるように、互いに異なる寸法の複数の受入部56を有する。
【0112】
また、分析装置2は、ローディングロータ55に連結されかつローディングロータ55を該ローディングロータ55の前記回転軸を中心に回転駆動するように構成された回転駆動手段を更に備えている。図11に示すように、ローディングロータ55に連結された前記回転駆動手段は、例えばステッピングモータのような駆動モータ58を有する。
【0113】
図16に示すように、検体採取モジュール43は、ローディングロータ55に受け入れられた複数の容器57内の検体又は試薬を、検体採取ヘッド45を用いて採取するように構成されている。
【0114】
ローディングロータ55は、分析対象である検体を収容しかつ予め手動でシェークしておくべき複数の容器57、及び/又は、試薬のバイアルを、手動でかついつでも分析装置2にロードすることを可能にするものである。
【0115】
図17及び図18に、より具体的に示すように、分析装置2は、フレーム3の内側に配置された調製・測定モジュール59を更に備えている。
【0116】
調製・測定モジュール59は、具体的に、略鉛直方向に延びる回転軸を中心に回転する調製ロータ61を有する。図19図22に、より具体的に示すように、調製ロータ61は、その周縁部に等間隔で分散配置された複数の調製キュベット62を有する。
【0117】
図17に示すように、検体採取モジュール43は、検体採取ヘッド45を用いて、調製キュベット62に生体液の検体又は試薬を供給するように構成されている。調製キュベット62への前記供給中における検体採取ヘッド45の位置は、ローディングロータ55に受け入れられた容器57内の液体を採取している間における検体採取ヘッド45の位置、ラック6に受け入れられた容器7内の検体を採取している間における検体採取ヘッド45の位置、及び、検体採取針46の洗浄を行っている間の検体採取ヘッド45の位置と一直線上に並ぶことが有利である。
【0118】
各調製キュベット62は、調製ロータ61の径方向に対して垂直な平面内で延び、各調製キュベット62の延びる方向の中央を通る線は、調製ロータ61の径方向に延びていることが有利である。
【0119】
図示された実施形態によれば、調製ロータ61は回転体を有し、該回転体上に前記複数の調製キュベット62が配列される。しかしながら、不図示の変形例では、調製ロータ61は、調製キュベットが着脱可能に取り付けられる回転体を有していてもよい。このような変形例では、分析装置2は、その回転体に対して複数の調製キュベットを供給するように構成された供給ステーションを備えることになる。
【0120】
図20及び図21に示すように、各調製キュベット62は、丸みを帯びた上向きの凹面とされた底面を有している。
【0121】
調製・測定モジュール59は、調製ロータ61に連結された回転駆動手段を更に有する。この回転駆動手段は、例えば、複数の調製キュベット62に収容された液体の固有振動数に一致する振動数でもって、調製ロータ61をその回転軸を中心に、第1の回転方向と、該第1の回転方向とは反対の第2の回転方向とに交互に回転駆動するように構成されることが有利である。
【0122】
図示された実施形態によれば、調製ロータ61に連結された前記回転駆動手段は、図17に、より具体的に示すように、ステッピングモータ63を有する。
【0123】
調製・測定モジュール59は、複数の調製キュベット62の温度を所定のレベルに調整する調整手段を有していることが有利である。図11に示すように、前記調整手段は、調製ロータ61の下側に配置された熱伝導性金属板64と、該熱伝導性金属板64を加熱する加熱手段と、を有していてもよい。
【0124】
調製ロータ61は、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)のような透明プラスチック材料からなる。この構成により、調製ロータ61の材料を通した種々の測定(例えば、測光)を行うことが可能になる。
【0125】
したがって、分析装置2は、調製ロータ61の周辺に配置された少なくとも1つの測定ステーションを備えることが有利である。この測定ステーションとしては、例えば、分析対象である検体中のヘモグロビン量、又は、分析対象である検体中のD−ダイマー若しくはCRPの量を測定するように設けられた測光ステーションが挙げられる。
【0126】
また、分析装置2は、調製ロータ61の周辺に配置された分光光度読み出しモジュール、蛍光読み取りモジュール、ルミネセンス読み取りモジュール又は凝血測定モジュールを更に備えていてもよい。
【0127】
図3に示すように、分析装置2は、全血球計算に関する血液学的測定の全てを精度良く実行することを可能にする1つ以上の血球計算測定ヘッド65を更に備えていてもよい。分析装置2は、例えば、赤血球又は血小板の測定を行う第1の血球計算測定ヘッド65と、白血球の測定を行う第2の血球計算測定ヘッド65と、を備えていてもよい。これらの構成により、複数種類の測定を並行して実行することが可能になり、その結果、本発明による分析装置2の分析速度を向上させることが可能になる。
【0128】
尚、分析装置2は、ローディングモジュール14及びアンローディングモジュール37の下側に配置された、液体系として機能する等張性希釈液を収容する平型の容器66を更に備える。この平型の容器66には、適切な突き刺し部材を移動させることにより該移動の最後に該突き刺し部材が自動的に突き刺さるゴム製のプラグが設けられていることが有利である。これにより、前記液体系が分析装置2に利用可能になるとともに、空気抜きも可能になる。前記液体系は、公知の装置により加熱されることが有利である。使用済みの液体を回収するように設けられた容器は、図示されていない。
【0129】
分析装置2は、以下のように動作する。
【0130】
分析対象である生体液の検体を収容する複数の容器7が装填されたラック6が、複数、ローディングモジュール14に、手動で、又は自動的にロードされる。これら複数のラック6は、シェークモジュール21によりシェークする(揺り動かす)ために、ラック支持部材22へと次々に導入される。
【0131】
各ラック6は、シェークされた後、第1の検体採取位置へと移動される。その後、検体採取モジュール43の検体採取ヘッド45が移動することにより、検体採取針46が、第2の案内壁25に形成された通過オリフィス25aを通過して、前記第1の検体採取位置に固定されたラック6における第1容器7内の分析対象である生体液の検体を所定量だけ採取可能となる。検体採取針46が第1容器7から取り出されたとき、第1容器7のシール部材8と連係する第2の案内壁25が、第1容器7をラック支持部材22のハウジング23内に保持する。
【0132】
次に、検体採取針46により前記所定量の検体を調製ロータ61の或る1つの調製キュベット62内に導入するように、検体採取モジュール43の検体採取ヘッド45を移動させる。その後、分析対象である生体液の第1回目の希釈を行うために、平型の容器66から採取された液体系を、適切な供給ステーションを用いて、その調製キュベット62内に導入する。
【0133】
前記液体系と分析対象である生体液とを確実に均一に混合するために、調製キュベット62内の混合液の固有振動数に実質的に一致する振動数でもって、調製ロータ61を、その回転軸を中心に、第1の回転方向S1と該第1の回転方向S1とは反対の第2の回転方向S2とに交互に回転させる。
【0134】
調製ロータ61の、このような往復運動は、調製キュベット62に収容されている液体を、図22に示すように動かし、これら液体を最適なかたちで確実に混合することができる。このようにできるのは、調製ロータの回転軸に対する複数の調製キュベット62の配置と該調製キュベット62の形状とによる。尚、調製キュベットの側壁は、前記振動中に液体があふれることを回避するのに十分な高さを有する。
【0135】
もし必要ならば、こうして得られた混合液を、検体採取針46で吸い取って、例えば第2回目の希釈を行うために、空の調製キュベット62内に供給する。その希釈工程が終了したとき、分析対象である前記混合液を収容する調製キュベット62を、血液学的測定を実行するための溶液を得るために溶解試薬供給ステーションに面するように、調製ロータが回転駆動される。
【0136】
前記検体に対して実行すべき様々な処置が実行されたとき、ラック6に受け入れられた別の容器7の分析のために、調製キュベット62が取り外し不能である場合には、調製キュベット62が適切な洗浄ステーションで洗浄され、調製キュベット62が使い捨ての場合には、別の複数の調製キュベットと交換される。
【0137】
前記第1容器7に収容された検体の分析が完了したとき、前記並進移動駆動手段が、対応するラック6を第2の検体採取位置へと移動させる。これにより、そのラック6に受け入れられた第2容器7内の検体を調製することが可能となり、検体採取モジュール43を用いてこの検体の分析を行うことが可能になる。これらの工程を繰り返し行うことにより、ラック6に受け入れられた異なる容器7内の検体の分析が可能になる。
【0138】
ラック6に収容された各容器7内の検体の分析が完了したとき、アンローディングモジュール37を用いて、そのラック6をアンロードするために、該ラック6を第2の中間位置P3へと移動させる。しかし、もし必要ならば、前記ラック6に収容された複数の容器のうち1つの容器内の検体の新たな分析を実行するために、駆動モータ36,42の動作方向を反転させることにより、ラック6を検体採取位置へと移送してもよい。
【0139】
分析装置2によれば、ローディングロータ55に、分析対象である生体液の検体又は特定の試薬を収容する複数の容器57を配置することにより、ローディングロータ55を用いて、特定の又は緊急の分析を実行することも可能になる。この場合、所望の容器57を所定の位置(図16参照)に配置するようにローディングロータ55が回転駆動されることにより、検体採取針46を用いてその所望の容器57内の液体を採取することが可能になる。その後、この液体は、調製ロータ61の調製キュベット62内に導入される。
【0140】
本発明は、単なる一例として説明した分析装置の実施形態のみに限定されないことは当然のことであり、本発明は、種々の変形例のすべてを包含するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
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