(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ジケトンが、2,4−ペンタンジオン、又は3−(2−アミノエチル)−2,4−ペンタンジオン、又はC−3においてアンミン若しくはアミン含有官能基で置換された2,4−ペンタンジオンの誘導体、又はそれらの塩である、請求項1に記載の自己分散顔料。
前記塩基性アミンが、アンミン;1〜8個の炭素原子を有するN−アルキルアミン;3〜6個の炭素原子を有するN−シクロアルキルアミン;2〜16個の炭素原子を有するN,N−ジアルキルアミン;6〜12個の炭素原子を有するN,N−ジシクロアルキルアミン;又はアルキル及びシクロアルキル置換基の両方の混合物を含む、請求項2に記載の自己分散顔料。
前記二官能性化合物が、リジン、アルゲニン、アスパラギン酸、及びそれらの塩からなる群から選択されるαアミノ酸、又はβアラニン、γアミノ酪酸、εアミノカプロン酸、及びそれらの塩からなる群から選択されるα−ωアミノ酸を含む、請求項2に記載の自己分散顔料。
前記アミノマロネート誘導体が、2−(2−アミノエチル)マロン酸のメチルエステル、又は2−(2−アミノエチル)マロン酸のエチルエステル、又は2−(2−アミノエチル)ジメチルマロネートである、請求項9に記載の自己分散顔料。
前記アミノスクシナート誘導体が、N−置換アスパラギン酸のメチルエステル、N−置換アスパラギン酸のエチルエステル、又はN−(2−アミノエチル)アスパラギン酸である、請求項9に記載の自己分散顔料。
前記3−ケトブタンアミド(アミドアセテート)誘導体が、エチレンジアミンアミド、又はジエチレントリアミンアミド、又はN−(2−アミノエチル)−3−オキソ−ブタンアミドである、請求項9に記載の自己分散顔料。
前記アルミニウム化合物が、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、若しくは硝酸アルミニウム、又はそれらの混合物を含む塩から形成され、又は塩基性アルミン酸塩が、アルミン酸ナトリウム若しくはアルミン酸カリウムを含む原料から形成される、請求項2に記載の自己分散顔料。
酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、アルミノケイ酸塩、又はアルミノリン酸塩を含む、少なくとも1つの酸化物処理物(oxide treatment)を更に含む、請求項1に記載の自己分散顔料。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様では、本開示は、少なくとも約8、より典型的には約8〜約10の等電点を有し、無機粒子、より典型的には二酸化チタン(TiO
2)顔料を含む、自己分散顔料を提供し、無機粒子は、
(a)アルミニウム化合物又は塩基性アルミン酸塩を加水分解して含水アルミナ表面を堆積させる工程、及び
(b)
i.二官能性化合物を顔料表面に付着させる固定基と、
ii.1級、2級、又は3級アミンを含む塩基性アミン基と、を含む二官能性化合物を添加する工程により連続的に処理される。
【0009】
第1の態様では、本開示は、自己分散顔料を提供し、固定基は、アセテート若しくはその塩を含むカルボン酸官能基;マロネート、スクシナート、グルタレート、アジパート、若しくはそれらの塩を含むジカルボン酸基;ホスフェート、ホスホネート、サルフェート、若しくはスルホネートを含むオキソアニオン官能基;又は置換1,3−ジケトン若しくは置換3−ケトアミドである。
【0010】
第1の態様では、本開示は、自己分散顔料を提供し、塩基性アミン基は、アンミン;N−メチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロペンチル、若しくはシクロヘキシルアミン;又はN,N−ジメチル、ジエチル、ジプロピル、ジブチル、ジシクロペンチル、ジシクロヘキシルアミン、若しくは混合ジアルキルアミン(例えば、N,N−メチルエチルなど)である。より典型的に使用されるアミン基は、アンミン(−NH
2)、N−メチルアミン、又はN,N−ジメチルアミンを含む。
【0011】
第1の態様では、本開示は、固定基を塩基性アミン基に化学結合する連結基(tethering group)を更に含む自己分散顔料を提供し、連結基は、
(a)1〜8個の炭素原子、より典型的には1〜4個の炭素原子を有するアルキル鎖;
(b)ポリ(オキシエチレン)若しくはポリ(オキシプロピレン)、又はそれらの混合物を含み、連結基の重量平均分子量が約220〜約2000である、ポリエーテルアミン(例えば、Jeffamine(登録商標)のD、ED、及びEDRシリーズ);又は
(c)固定基への付着点における炭素、酸素、窒素、リン、若しくはイオウ原子を含む。
【0012】
第1の態様では、本開示は、自己分散顔料を提供し、二官能性化合物は、βアラニン、γアミノ酪酸、及びεアミノカプロン酸などのα−ωアミノ酸;リジン、アルゲニン、アスパラギン酸、又はそれらの塩などのαアミノ酸を含む。
【0013】
第1の態様では、本開示は、自己分散顔料を提供し、二官能性化合物は、
(i)以下の構造を有するアミノマロネート誘導体であって、
【0014】
【化1】
式中、Xは、上記のように固定基を塩基性アミン基に化学結合する連結基であり、
R’及びR”は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルキル−アリール、アルケニル、シクロアルケニル、アルケン、アルキレン、アリーレン、アルキルアリーレン、アリールアルキレン、又はシクロアルキレンからそれぞれ個別に選択され、
R
1及びR
2は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルケン、アルキレン、又はシクロアルキレンからそれぞれ個別に選択され、
n=0〜50である、アミノマロネート誘導体;
(ii)以下の構造を有するアミノスクシナート誘導体であって、
【0015】
【化2】
式中、Xは、上記のように固定基を塩基性アミン基に化学結合する連結基であり、
R’及びR”は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルキル−アリール、アルケニル、シクロアルケニル、アルケン、アルキレン、アリーレン、アルキルアリーレン、アリールアルキレン、又はシクロアルキレンからそれぞれ個別に選択され、
R
1及びR
2は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルケン、アルキレン、又はシクロアルキレンからそれぞれ個別に選択され、
n=0〜50である、アミノスクシナート誘導体;
(iii)以下の構造を有する2,4−ペンタンジオン誘導体であって、
【0016】
【化3】
式中、Xは、上記のように固定基を塩基性アミン基に化学結合する連結基であり、
R
1及びR
2は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルケン、アルキレン、及びシクロアルキレンからそれぞれ個別に選択され、
n=0〜50である、2,4−ペンタンジオン誘導体;又は
(iv)以下の構造を有する3−ケトブタンアミド誘導体であって、
【0017】
【化4】
式中、Xは、固定基を塩基性アミン基に化学結合する連結基であり、
R
1及びR
2は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルケン、アルキレン、及びシクロアルキレンからそれぞれ個別に選択される、3−ケトブタンアミド誘導体、を含む。
【0018】
第1の態様では、本開示は、自己分散顔料を提供し、Xは、メチレン、オキシエタン、若しくはオキシプロパン基を含み、n=0〜50であるか;又はオキソエチレン及びオキソプロピレンモノマーの両方を含むポリエーテルアミンコポリマーを含む。
【0019】
第1の態様では、本開示は、10%の顔料固体を含む自己分散顔料を含むスラリーを提供し、顔料スラリーのpHは約7未満、より典型的には約5〜約7である。
【0020】
第1の態様では、本開示は、少なくとも15m
2/gの表面積を有する自己分散顔料を提供する。
【0021】
第2の態様では、本開示は、自己分散顔料の調製方法を提供し、方法は、
(a)二官能性化合物を酸性アルミニウム塩に添加して水溶液を形成する工程であって、二官能性化合物が、
i 二官能性化合物を顔料表面に付着させる固定基、及び
ii 1級、2級、又は3級アミンを含む塩基性アミン基、を含む、工程;
(b)工程(a)の混合物に塩基を加え、それによってpHを約4〜約9に上昇させ、混濁液を形成する工程;及び
(c)工程(b)の混合物を無機粒子(特にTiO
2顔料粒子)のスラリーに添加し、それによって含水アルミナ及び二官能性化合物が表面処理を構成する工程、を含む。
【0022】
第2の態様では、本開示は、自己分散顔料の調製方法を提供し、酸性アルミニウム塩は、硫酸アルミニウム水和物、塩化アルミニウム水和物、又は硝酸アルミニウム水和物を含み、塩基は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、又は水酸化アンモニウムを含む。
【0023】
「自己分散顔料」とは、顔料のゼータ電位が支配力になるとき、顔料粒子の分離(即ち、水相中での分散)状態の維持を達成する特性を備えた顔料を意味するものとする。この力は、低せん断条件下で水性媒体中で懸濁するとき、弱く凝集した顔料粒子を分離するほど強いことがある。ゼータ電位は溶液のpH及びイオン強度に応じて変化するため、理想的には、顔料粒子は粒子の分離及び懸濁を維持する反発力を与える十分な同等の電荷を保持する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示では、「含む」は、明記した特徴、整数、工程、又は構成成分の存在を言及したように指定すると解釈されるべきであるが、1つ以上の特徴、整数、工程、若しくは構成成分、又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではない。更に、用語「含む」は、用語「〜から本質的になる」及び「〜からなる」によって包含される例を含むように意図される。同様に、用語「〜から本質的になる」は、用語「〜からなる」によって包含される例を含むように意図される。
【0025】
本開示では、量、濃度、又は他の値若しくはパラメータが、範囲、代表範囲、又は上方代表値及び下方代表値の一覧のいずれかとして与えられる場合、範囲が別々に開示されるかどうかにかかわらず、任意の上方範囲限界又は代表値及び任意の下方範囲限界又は代表値の任意の対から形成される全ての範囲を明確に開示すると理解されるべきである。本明細書で数値の範囲が挙げられる場合、特に明記しない限り、範囲は、それらの端点、並びに範囲内の全ての整数及び分数を含むように意図される。本開示の範囲は、範囲を定義する際に挙げられる特定の値に制限されることを意図しない。
【0026】
本開示では、単数及び単数形「a」、「an」、及び「the」などにおける用語は、特に内容が明示しない限り、複数形の指示対象を含む。したがって、例えば、「TiO
2粒子」、「the TiO
2粒子」、又は「a TiO
2粒子」への言及は、複数のTiO
2粒子も含む。
【0027】
無機粒子:
無機粒子は、典型的には無機金属酸化物又は混合金属酸化物顔料粒子であり、より典型的には顔料又はナノ粒子であり得る二酸化チタン粒子であり、無機粒子、典型的には無機金属酸化物又は混合金属酸化物粒子、より典型的には二酸化チタン粒子は、化粧紙の完成紙料中で高度な適合性を提供する。無機粒子とは、化粧紙組成物などの最終製品全体に分散化し、製品に色及び不透明度を付与する、無機粒子材料を意味する。無機粒子の幾つかの例としては、ZnO、TiO
2、SrTiO
3、BaSO
4、PbCO
3、BaTiO
3、Ce
2O
3、Al
2O
3、CaCO
3、及びZrO
2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
二酸化チタン顔料:
本開示に有用な二酸化チタン(TiO
2)顔料は、ルチル又はアナターゼ結晶形であり得るが、ルチル形態が典型的である。二酸化チタン顔料は、一般に塩化物法又は硫酸塩法のいずれかにより製造される。塩化物法では、TiCl
4をTiO
2粒子に酸化する。硫酸塩法では、硫酸及びチタン含有鉱石を溶解し、得られた溶液は一連の工程を経てTiO
2を生じる。硫酸塩法及び塩化物法は、共に「The Pigment Handbook」,Vol.1,2nd Ed.,John Wiley & Sons,NY(1988)に更に詳しく記載されており、その関連の教示は、参照により全ての目的で完全記載されるように本明細書に引用される。
【0029】
「顔料」とは、二酸化チタン粒子が約1マイクロメートル未満の平均サイズを有することを意味する。典型的には、粒子は、約0.020〜約0.95マイクロメートル、より典型的には約0.050〜約0.75マイクロメートル、最も典型的には約0.075〜約0.50マイクロメートルの平均サイズを有する。また、約3.5〜約6g/ccの範囲の比重を有する顔料も典型的である。
【0030】
未処理の二酸化チタン顔料を表面処理してもよい。「表面処理」とは、二酸化チタン顔料粒子が本明細書に記載の化合物と接触しており、化合物が二酸化チタン粒子の表面上に吸着されるか、又は少なくとも1つの化合物と二酸化チタン粒子との反応生成物が吸着種として表面上に存在するか若しくは表面に化学結合されることを意味する。化合物若しくはそれらの反応生成物又はそれらの組み合わせは、処理(特にコーティング)の単一層又は二重層のいずれかとして連続的又は非連続的に顔料の表面上に存在してもよい。
【0031】
例えば、二酸化チタン粒子、典型的には顔料粒子は、1つ以上の表面処理を有し得る。最も外側の処理は、
(a)アルミニウム化合物又は塩基性アルミン酸塩を加水分解して含水アルミナ表面を堆積させる工程、及び
(b)
(i)二官能性化合物を顔料表面に付着させる固定基と
(ii)1級、2級、又は3級アミンを含む塩基性アミン基と、を含む二官能性化合物を添加する工程により連続的に得られてもよい。
【0032】
アルミニウム化合物又は塩基性アルミン酸塩は、二酸化チタン粒子の表面(典型的には最外表面)上に含水アルミナ処理をもたらし、処理済み二酸化チタン粒子の全重量に基づいて少なくとも約3%、より典型的には約4.5〜約7%のアルミナの量で存在する。幾つかの好適なアルミニウム化合物及び塩基性アルミン酸塩としては、硫酸アルミニウム水和物、塩化アルミニウム水和物、又は硝酸アルミニウム水和物、及びアルミン酸アルカリ、より典型的にはアルミン酸ナトリウム若しくはカリウムが挙げられる。
【0033】
二官能性化合物は、二官能性化合物を顔料表面(典型的には最外表面)に付着させる固定基と、1級、2級、又は3級アミンを含む塩基性アミン基とを含む。固定基は、アセテート若しくはその塩を含むカルボン酸官能基;マロネート、スクシナート、グルタレート、アジパート、若しくはそれらの塩を含むジカルボン酸基;ホスフェート、ホスホネート、サルフェート、若しくはスルホネートを含むオキソアニオン官能基;又はC3置換2,4−ペンタンジオン若しくは置換3−ケトブタンアミド誘導体などのジケトンであり得る。二官能性化合物は、処理済み顔料の重量に基づいて10重量%未満、より典型的には処理済み顔料の重量に基づいて約0.4%〜約3%の量で存在する。
【0034】
塩基性アミン基上の置換基は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルケン、アルキレン、又はシクロアルキレン、より典型的にはメチル、エチル、又はプロピルを含む短鎖アルキル、更により典型的にはアンミンからなる群から選択される。
【0035】
二官能性化合物は、βアラニン、γアミノ酪酸、及びεアミノカプロン酸などのα−ωアミノ酸;リジン、アルゲニン、アスパラギン酸、又はそれらの塩などのαアミノ酸を含み得る。
【0036】
あるいは、二官能性化合物は、以下の構造を有するアミノマロネート誘導体を含み、
【0037】
【化5】
式中、Xは、固定基を塩基性アミン基に化学結合する連結基であり、
R’及びR”は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルキル−アリール、アルケニル、シクロアルケニル、アルケン、アルキレン、アリーレン、アルキルアリーレン、アリールアルキレン、又はシクロアルキレン;より典型的には水素、1〜8個の炭素原子を有するアルキル、6〜8個の炭素原子を有するアリールからそれぞれ個別に選択され、更により典型的にはR’及びR”は、水素、メチル、又はエチルから選択される。
R
1及びR
2は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルケン、アルキレン、又はシクロアルキレン、より典型的にはメチル、エチル、又はプロピルを含む短鎖アルキル、更により典型的にはアンミンからそれぞれ個別に選択され、
n=0〜50である。
【0038】
典型的には、Xがメチレンの場合、n=1〜8であり、より典型的にはn=1〜4である。Xがオキシメチレン又はオキシプロピレンの場合、nは2.5〜50、より典型的には6〜18の範囲である。アミノマロネート誘導体の幾つかの例としては、2−(2−アミノエチル)マロン酸のメチル及びエチルエステル、より典型的には2−(2−アミノエチル)ジメチルマロネートが挙げられる。
【0039】
二官能性化合物は、代わりに以下の構造を有するアミノスクシナート誘導体を含んでもよく、
【0040】
【化6】
式中、Xは、固定基を塩基性アミン基に化学結合する連結基であり、
R’及びR”は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルキル−アリール、アルケニル、シクロアルケニル、アルケン、アルキレン、アリーレン、アルキルアリーレン、アリールアルキレン、又はシクロアルキレン;より典型的には水素、1〜8個の炭素原子を有するアルキル、6〜8個の炭素原子を有するアリールからそれぞれ個別に選択され、更により典型的にはR’及びR”は、水素、メチル、又はエチルである。
R
1及びR
2は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルケン、アルキレン、又はシクロアルキレン、より典型的にはメチル、エチル、又はプロピルを含む短鎖アルキル、更により典型的にはアンミンからそれぞれ個別に選択され、
及び
n=0〜50である。
【0041】
典型的には、Xがメチレンの場合、n=1〜8であり、より典型的にはn=1〜4である。Xがオキシメチレン又はオキシプロピレンの場合、nは2.5〜50、より典型的には6〜18の範囲である。アミノスクシナート誘導体の幾つかの例としては、N−置換アスパラギン酸のメチル及びエチルエステル、より典型的にはN−(2−アミノエチル)アスパラギン酸が挙げられる。
【0042】
二官能性化合物は、代わりに以下の構造を有するアセトアセテート誘導体を含んでもよく、
【0043】
【化7】
式中、Xは、固定基を塩基性アミン基に化学結合する連結基であり、
R
1及びR
2は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルケン、アルキレン、又はシクロアルキレン、より典型的にはメチル、エチル、又はプロピルを含む短鎖アルキル、更により典型的にはアンミンからそれぞれ個別に選択され、
及び
n=0〜50である。
【0044】
典型的には、Xがメチレンの場合、n=1〜8であり、より典型的にはn=1〜4である。Xがオキシメチレン又はオキシプロピレンの場合、nは2.5〜50、より典型的には6〜18の範囲である。アセトアセテート誘導体の一例は、3−(2−アミノエチル)−2,4−ペンタンジオンである。
【0045】
二官能性化合物は、代わりに以下の構造を有する3−ケトアミド(アミドアセテート)誘導体を含んでもよく、
【0046】
【化8】
式中、Xは、固定基を塩基性アミン基に化学結合する連結基であり、
R
1及びR
2は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルケン、アルキレン、又はシクロアルキレン、より典型的にはメチル、エチル、又はプロピルを含む短鎖アルキル、更により典型的にはアンミンからそれぞれ個別に選択され、
及び
n=0〜50である。
【0047】
典型的には、Xがメチレンの場合、n=1〜8であり、より典型的にはn=1〜4である。Xがオキシメチレン又はオキシプロピレンの場合、nは2.5〜50、より典型的には6〜18の範囲である。アミドアセテート誘導体の幾つかの例としては、エチレンジアミン及びジエチレントリアミンアミド、より典型的にはN−(2−アミノエチル)−3−オキソ−ブタンアミドが挙げられる。
【0048】
顔料のIEPを上昇させる傾向は、顔料表面に付与されるアミン官能基の量に比例するため、100gの処理済み顔料に添加される二官能性化合物のモル量を添加されたNのミリモル%として表すことは妥当である。例えば、顔料のIEPを効果的に上昇させるのに使用される二官能性化合物の量は、2ミリモル%〜10ミリモル%、より典型的には4ミリモル%〜8ミリモル%の範囲であった。したがって、典型的な低分子量の二官能性化合物であるβアラニンでは、5ミリモル%の適用量は0.45重量%に変換される。これに対し、高分子量の例では、Jeffamine ED−2003(m.w.〜2000)付加物の3−ケトブタンアミドは、5ミリモル%のアミン当量を供給するのに10.4重量%を要する。
【0049】
二官能性化合物は、固定基を塩基性アミン基に化学結合する連結基を更に含み、連結基は、
(a)1〜8個の炭素原子、より典型的には1〜4個の炭素原子を有するアルキル基と、
(b)ポリ(オキシエチレン)若しくはポリ(オキシプロピレン)、又はそれらの混合物を含み、連結基の重量平均分子量が約220〜約2000である、ポリエーテルアミンと、を含む。(b)の幾つかの例としては、Jeffamine(登録商標)のD、ED、及びEDRシリーズが挙げられる。
【0050】
炭素、酸素、窒素、リン、又はイオウ原子が、連結基から固定基への付着点に存在し得る。
【0051】
特定の一実施形態では、自己分散顔料の調製に使用される二官能性化合物において、Xは、メチレン、オキシエタン、若しくはオキシプロパン基を含み、n=0〜50であるか;又はオキソエチレン及びオキソプロピレンモノマーの両方を含むポリエーテルアミンコポリマーを含む。
【0052】
自己分散顔料を使用して製造されるスラリーでは、顔料固体は少なくとも約10%、より典型的には35%を構成し、顔料スラリーのpHは約7未満、より典型的には約5〜約7である。自己分散顔料は、少なくとも15m
2/g、より典型的には25〜35m
2/gの表面積を有する。
【0053】
あるいは、処理済み無機粒子(特に二酸化チタン粒子)は、少なくとも1つの更なる酸化物処理物(oxide treatment)、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア又はセリア、アルミノケイ酸塩又はアルミノリン酸塩を含んでもよい。この代替処理物は、処理済み二酸化チタン粒子の全重量に基づいて約0.1重量%〜約20重量%、典型的には約0.5重量%〜約5重量%、より典型的には約0.5重量%〜約1.5重量%の量で存在し得る。処理は、当業者に周知の方法により施され得る。TiO
2粒子にシリカ処理を加える典型的な方法は、米国特許第5,993,533号に開示される方法に類似の湿式処理による。TiO
2粒子にシリカ処理を加える代替方法は、参照により本明細書に引用される、米国特許第5,992,120号に記載されるような焼成二酸化チタン粒子上への焼成シリカの堆積によるか、又は米国特許第5,562,764号及び同第7,029,648号に記載されるような四塩化ケイ素と四塩化チタンとの共酸素付加による。他の熱分解により堆積される金属酸化物処理物としては、揮発性金属塩化物の生成をもたらし、次いで気相中で酸化されて顔料粒子表面上に堆積される、ドープアルミニウム合金の使用が挙げられる。金属塩化物種の共酸素付加は、対応する金属酸化物を生成する。したがって、ケイ素−アルミニウム又はタングステン−アルミニウム合金の使用により、それぞれ対応する酸化ケイ素及び酸化タングステンの堆積が生じる。国際公開第2011/059938A1号及び同第2012/039730A1号は、これらの方法を更に詳しく記載しており、参照により本明細書に引用される。
【0054】
典型的には、提供される酸化物処理物は2層であってもよく、第1層は、処理済み二酸化チタン粒子の全重量に基づいて少なくとも約3.0%、より典型的には約5.5〜約6%のアルミナを含み、処理済み二酸化チタン粒子の全重量に基づいて少なくとも約1%の五酸化リン(P
2O
5)、より典型的には約1.5%〜約3.0%の五酸化リン(P
2O
5)を含む。特定の実施形態では、二酸化チタン顔料上の酸化物の第2層は、処理済み二酸化チタン粒子の全重量に基づいて少なくとも約1.5%、より典型的には約6〜約14%、更により典型的には約9.5〜約12%の量で存在するシリカを含む。
【0055】
表面処理される二酸化チタン顔料は、米国特許第4461810号、同第4737194号、及び国際公開第2004/061013号に開示されるような、1つ以上の金属酸化物及び/又はリン酸化表面処理も有し得る(それらの開示は参照により本明細書に引用される)。これらのコーティングは、当業者に周知の技術を使用して施され得る。
【0056】
典型的なのは、リン酸化金属酸化物でコーティングされた二酸化チタン顔料、例えば、リン酸化アルミナ及びリン酸化アルミナ/セリア酸化物でコーティングされた種類である。
【0057】
好適な市販の二酸化チタン顔料の例としては、R700及びR706(E.I.duPont de Nemours and Company,Wilmington DEから入手可能)などのアルミナでコーティングされた二酸化チタン顔料、R796+(E.I.duPont de Nemours and Company,Wilmington DEから入手可能)などのアルミナ/リン酸塩でコーティングされた二酸化チタン顔料、及びR794(E.I.duPont de Nemours and Company,Wilmington DEから入手可能)などのアルミナ/リン酸塩/セリアでコーティングされた二酸化チタン顔料が挙げられる。
【0058】
処理済み二酸化チタン粒子の調製方法
自己分散顔料の調製方法は、
(a)二官能性化合物を酸性アルミニウム塩に添加して水溶液を形成する工程であって、二官能性化合物が、
i 二官能性化合物を顔料表面に付着させる固定基、及び
ii 1級、2級、又は3級アミンを含む塩基性アミン基、を含む、工程;
(b)工程(a)の混合物に塩基を加え、それによってpHを約4〜約9に上昇させ、混濁液を形成する工程;及び
(c)工程(b)の混合物を無機粒子(特にTiO
2顔料)のスラリーに添加し、それによって含水アルミナ処理及び二官能性化合物が顔料表面上に堆積される工程、を含む。
【0059】
酸性アルミニウム塩は、硫酸アルミニウム水和物、又は硝酸アルミニウム水和物、より典型的には塩化アルミニウム水和物を含み、塩基は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、又はより典型的には水酸化アンモニウムを含む。初めに、所望の顔料のIEPを与えるように二官能性化合物の量を選択し、それに伴って、Alに対する二官能性化合物のモル比が3よりも小さい、より典型的には約1〜約2.5になるように、酸性アルミニウム塩の量を選択する。この方法では、加水分解及びその後の堆積をより起こしやすい混合物を使用し、顔料表面を増大させる。ここで望ましくないのは、アセチルアセトンのアニオン(即ち、2,4−ペンタンジオン)などの二座配位子のアルミニウム錯体である。このような錯体は、配位化学の文献から周知であり、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム錯体は、その安定性(314℃の沸点)及び無極性の性質で知られ、水不溶性である。
【0060】
二酸化チタン粒子は、先に引用した上記の参考文献により例示されるような、当業者に周知の多くの方法で表面処理され得る。例えば、インジェクタ処理、マイクロナイザへの添加により、又は二酸化チタンのスラリーとの単純混合により、処理を施すことができる。
【0061】
表面改質二酸化チタンは、当該技術分野で周知の任意の好適な技術を使用して、分散液の全重量に基づいて約10重量%未満、典型的には約3〜約5重量%の濃度で水中に分散され得る。好適な分散技術の一例は、超音波処理である。本開示の表面改質二酸化チタンは、カチオン性である。本開示の表面改質二酸化チタンの等電点(ゼータ電位がゼロの値を有するときのpH値により決まる)は、8より大きい、典型的には9より大きい、更に典型的には約9〜約10の範囲の等電点を有する。等電点は、本明細書で後述する実施例に記載のゼータ電位測定方法を使用して決定され得る。堆積される二官能性化合物の量により、少なくとも8.0、より典型的には8.0〜9.0の等電点の制御が可能になり、このような等電点は、工場加工及び化粧紙製造時に粒子組成物を分散及び/又は凝集しやすくするのに有益であり得る。高いIEPを有することは、顔料を化粧紙の完成紙料中に投入する際の条件下で、顔料粒子がカチオン電荷を持つことを意味する。7よりも小さいpHで十分な電荷を持つカチオン性顔料表面は、負帯電性の紙繊維と相互作用しやすく、カチオン性の湿潤強力樹脂を吸着しにくい。
【0062】
典型的には、粒子対粒子の表面処理は、実質的に均質である。これは、各コア粒子がその表面にかなりの量のアルミナ又はアルミノリン酸塩を付着していることにより、粒子間のアルミナ及びリン酸塩の濃度の変動性が非常に低いので、全ての粒子を同様に水、有機溶媒、又は分散剤分子と相互作用させる(即ち、全ての粒子がそれらの化学環境と一般的な方法で一般的な程度まで相互作用する)ことを意味するものとする。典型的には、処理済み二酸化チタン粒子は、水中で完全に分散され、10分未満、より典型的には約5分未満でスラリーを形成する。「完全に分散される」とは、分散が個々の粒子又は粒子形成段階で作られる粒子の小集団(硬質粒子団)から構成され、全ての軟質粒塊が個々の粒子に分解されていることを意味するものとする。
【0063】
この方法による処理後、顔料は、スラリーの中和、並びに必要に応じて濾過、洗浄、乾燥、及び多くの場合に乾式粉砕工程(微細化など)を含む周知の方法により回収される。ただし、水が液相である紙分散液の調製に製品のスラリーを直接使用できる場合、乾燥は不要である。
【0064】
用途
処理済み二酸化チタン粒子は、紙積層体に使用され得る。本開示の紙積層体は、床材、家具、カウンタートップ、人工木材表面、及び人工石材表面に有用である。
【0065】
化粧紙
化粧紙は、上記のように調製される処理済み二酸化チタンなどの充填剤、及び同様に追加の充填剤を含有し得る。他の充填剤の幾つかの例としては、滑石、酸化亜鉛、カオリン、炭酸カルシウム、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0066】
化粧紙の充填剤成分は、化粧紙の全重量に基づいて約10〜約65重量%、特に約30〜約45重量%であり得る。化粧紙基材の坪量は、約30〜約300g/m
2、特に約90〜約110g/m
2の範囲内であり得る。坪量は、特定用途に応じて選択される。
【0067】
紙シートを形成するために、二酸化チタン懸濁液を水性分散液中でパルプ、例えば精製木材パルプ(ユーカリパルプなど)と混合してもよい。パルプ分散液のpHは、典型的には約6〜約8、より典型的には約7〜約7.5である。パルプ分散液は、従来技術による紙の形成に使用され得る。
【0068】
針葉樹材パルプ(長繊維パルプ)又はユーカリなどの広葉樹材パルプ(短繊維パルプ)及びこれらの混合物は、化粧紙基材の製造におけるパルプとして有用である。綿繊維又はこれらのパルプの全種類の混合物を使用することもできる。約10:90〜約90:10、特に約30:70〜約70:30の割合の針葉樹材及び広葉樹材パルプの混合物が有用であり得る。パルプは、Schopper−Rieglerに従って20°〜約60°SRの叩解度を有し得る。
【0069】
化粧紙は、エピクロロヒドリン及び三級アミン又は四級アンモニウム化合物(例えば、塩化クロロヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム又は塩化グリシジルトリメチルアンモニウム)を含み得る、カチオン性ポリマーも含有し得る。最も典型的には、カチオン性ポリマーは四級アンモニウム化合物である。ポリアミド/ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、他のポリアミン誘導体若しくはポリアミド誘導体、カチオン性ポリアクリレート、変性メラミンホルムアルデヒド樹脂、又はカチオン化澱粉を含む、湿潤強度増強剤などのカチオン性ポリマーは、同様に有用であり、分散液を形成するために添加され得る。他の樹脂としては、例えば、フタル酸ジアリル、エポキシド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、尿素−アクリル酸エステルコポリエステル、メラミンホルムアルデヒド樹脂、メラミンフェノールホルムアルデヒド樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、及び/又は不飽和ポリエステル樹脂が挙げられる。カチオン性ポリマーは、紙に使用されるパルプ繊維全体の乾燥重量に対する乾燥ポリマー重量に基づいて、約0.5〜約1.5%の量で存在する。
【0070】
歩留り向上剤、湿潤紙力剤、保持剤、糊剤(内部及び表面)、及び定着剤、並びに他の物質、例えば、有機及び無機着色顔料、染料、蛍光増白剤、及び分散剤も、分散液の形成に有用であり、所望の紙の最終特性を達成するのに必要な場合に添加され得る。歩留り向上剤は、コストを増加させ、湿潤紙力剤などの他の添加剤の使用も増加させる、製紙工程中の二酸化チタン及び他の微細成分の損失を最小化するために添加される。
【0071】
紙積層体に使用される紙の例は、米国特許第6599592号(その開示は、参照により全ての目的で完全記載されるように本明細書に引用される)、並びに先に引用した米国特許第5679219号、同第6706372号、及び同第6783631号などの参考文献に見出され得るが、これらに限定されない。
【0072】
上述したように、紙は、典型的には多くの構成成分、例えば、種々の顔料、保持剤、及び湿潤紙力剤などを含む。顔料は、例えば、最終紙に不透明度及び白色度などの所望の特性を付与し、一般的に使用される顔料は二酸化チタンである。
【0073】
処理済み二酸化チタン粒子は、任意の習慣的な方法で化粧紙を調製するために使用でき、このような製紙に典型的に使用される二酸化チタン顔料の少なくとも一部、典型的には全ては、処理済み二酸化チタン顔料に置き換えられる。
【0074】
上述したように、本開示による化粧紙は、約45重量%以下、より典型的には約10重量%〜約45重量%、更により典型的には約25重量%〜約42重量%の量で二酸化チタン顔料成分を含有する不透明なセルロースパルプ系シートであり、二酸化チタン顔料成分は、本開示の処理済み二酸化チタン粒子の全て又は一部を含む。典型的な一実施形態では、処理済み二酸化チタン顔料成分は、(二酸化チタン顔料成分の重量に基づいて)少なくとも約25重量%、より典型的には少なくとも約40重量%の本開示の処理済み二酸化チタン顔料を含む。別の典型的な実施形態では、二酸化チタン顔料成分は、本質的に本開示の処理済み二酸化チタン顔料からなる。更に別の典型的な実施形態では、二酸化チタン顔料成分は、実質的に本開示の処理済み二酸化チタン顔料のみを含む。
【0075】
紙積層体
本開示による紙積層体は、先に引用した参考文献の多くに記載されるように、当業者に周知の任意の従来法により製造され得る。
【0076】
典型的には、紙積層体の製造方法は、フェノール及びメラミン樹脂などの含浸用樹脂、包装紙(クラフト紙など)、及び高級印刷紙(本開示による積層紙)の原材料をもって開始する。
【0077】
包装紙は、含浸用樹脂のキャリアとして使用し、完成積層体に強度及び厚さを増強する。高級紙は、無地、印刷模様、又は印刷木目などの化粧シートである。
【0078】
工業規模の方法では、典型的には樹脂で含浸するための樹脂処理機の「ウェットエンド」においてスピンドル上にロール紙を装填する。高級(化粧)表面紙は、紙の表面(化粧)外観に影響を及ぼさないように、メラミン樹脂などの透明な樹脂で処理される。包装紙では外観は重要でないため、包装紙はフェノール樹脂などの着色樹脂で処理されてもよい。
【0079】
紙に樹脂を含浸させるには、一般に2つの方法が用いられる。通常の方法(最速かつ最も効率的)は、「リバースロールコーティング」と呼ばれる。この方法では、紙を2つの大型ローラー間で延伸し、一方のローラーが紙の片側に樹脂の薄いコーティングを塗布する。この薄いコーティングは、紙が乾燥炉を通過する間に紙に浸透する。リバースロール法は、より効率的であり、より少ない樹脂及び廃棄物で完全コーティングを可能にするため、包装紙のほぼ全てはリバースロール法で処理される。
【0080】
別の方法は、「浸漬及び圧搾」法であり、紙を樹脂のバットに引き込み、次いで過剰な樹脂を絞り出すローラーに通過させる。浸漬及び圧搾法は、より低速であるが、最終積層体の表面特性(耐久性、耐汚染性及び耐熱性など)を改善するために含浸樹脂のより重質なコーティングを可能にするため、表面(化粧)紙は通常、浸漬及び圧搾法で樹脂含浸処理される。
【0081】
樹脂で含浸された後、紙は、紙をシートに切断する「ドライエンド」に向けて(連続紙として)乾燥(処理)炉に通過される。
【0082】
樹脂含浸紙は、完成積層体での凹凸を防ぐために均一な厚さを有する必要がある。
【0083】
積層体成分の組立体では、完成積層体の見た目は主に表面紙によるため、上面は一般的に表面紙である。ただし、硬化時に実質的に透明になる最上面の「オーバーレイ」シートを化粧シート上に配置し、例えば、完成積層体に外観の奥行及び耐摩耗性を与えてもよい。
【0084】
表面紙が淡色無地を有する積層体では、印刷表面シートの下に上質白色紙の追加シートを配置し、琥珀色のフェノール樹脂充填材シートがより明るい表面色を邪魔しないように防止してもよい。
【0085】
積層体表面の質感は、積層と共にプレス機に挿入される非平坦紙及び/又は板により決定される。典型的には、鋼板を使用し、高研磨板は光沢仕上げを生じ、エッチングした非平坦板はマット仕上げを生じる。
【0086】
完成した積層をプレス機に送り、各積層(積層体の対)を上記の鋼板により次の積層から分離する。プレス機では、水圧ラムなどにより積層に圧力を加える。低圧及び高圧法を使用し、紙積層体を形成する。典型的には、少なくとも6MPa(800psi)、時には10MPa(1500psi)もの圧力を加え、同時にプレス機内に組み込まれた被覆を通して過熱水又は蒸気を送ることにより温度を121℃(250°F)超に上げる。これらの温度及び圧力条件下で、樹脂含浸紙内の樹脂を再液化、流動、及び硬化するのに必要な一定時間(典型的には約1時間)積層を保持し、積層物を結合して単一シートの完成化粧積層体にする。
【0087】
プレス機から取り出すと、積層体シートは分離されて所望の完成サイズに整形される。典型的には、合板、ハードボード、パーティクルボード、複合材料などの1つ以上の基板に接合するための良好な接着面を提供するように、積層体の裏側も(サンディングなどにより)粗面化する。基板及び接着剤の必要性及び選択は、当業者には理解されるように、積層体の所望の最終用途によるであろう。
【0088】
本開示の事例的かつ典型的な実施形態の説明である以下の実施例は、本開示の範囲を限定することを意図しない。添付の請求項の本来の趣旨及び範囲から逸脱しない限り、種々の変更、代替構成、及び同等物を使用してもよい。
【実施例】
【0089】
ZetaProbe(Colloidal Dynamics)を使用した等電点特性評価
顔料の4%固体スラリーを分析カップに配置した。電気音響(ESA)プローブ及びpHプローブを撹拌した顔料懸濁液中に入れた。次に、塩基滴定液として2N KOH、酸滴定液として2N HNO
3を使用して、撹拌した懸濁液の滴定を行った。酸担持脚部(acid-bearing leg)をpH 4まで下げて滴定し、塩基担持脚部(base-bearing leg)をpH 9まで上げて滴定するように、機械パラメータを選択した。O’Brianら
*により述べられたESA技術を使用して測定した粒子の動的移動度スペクトルからゼータ電位を決定した。pH/ゼータ電位曲線に沿ってゼータ電位がゼロに等しい点で補間することにより、顔料の等電点を典型的に決定した。
【0090】
*O’Brien R.W.,Cannon D.W.,Rowlands W.N.J.Colloid Interface Sci.173,406〜418(1995)。
【0091】
O’Brien R.W.,Jones A.,Rowlands W.N.Colloids and Surfaces A 218,89〜101(2003)。
【0092】
(実施例1):
非晶質アルミナでコーティングされた二酸化チタン顔料(DuPont R−796)の30%(w/w)スラリーの200gを250mLのジャケット付きビーカーに投入し、55℃に加熱する。オーバーヘッドスターラーに取り付けられたプロペラ羽根を使用し、表面処理の過程を通してスラリーを撹拌する。このスラリーのpHは、55℃で5.5を示す。1.5gの43%アルミン酸ナトリウムゾル(24% Al
2O
3含量、顔料重量に基づいて約1% Al
2O
3)を5ccシリンジ内に充填する。添加完了時間が10分以内になるようにゾルを0.15mL/分の速度で添加する。pHが10まで上がるままにし、このpHで20% HCl溶液の同時添加を開始し、pHを10に維持する。アルミン酸塩の添加完了後、0.6g(7ミリモル%)の3−(2−アミノエチル)−2,4−ペンタンジオンを撹拌したスラリーに添加する。pHを10に調整し、30分間維持する。この時間の後、20% HClを更に添加してpHを5.5に下げ、pH 5.5で30分間維持する。Whatman #2紙を取り付けたブフナー漏斗を通してスラリーを真空濾過する。得られたケーキを脱イオン水100mLで4回洗浄し、ペトリ皿に移し、110℃で16時間乾燥する。乾燥ケーキを乳鉢及び乳棒で粉砕する。この顔料の10%固体スラリーは、6.5のpHを与えると見込まれる。この顔料の4%固体スラリーは、8.9のIEP(ZetaProbe)を与えると見込まれる。比較例として、開始R−796顔料のみは6.9のIEPを与えた。
【0093】
(実施例2):
非晶質アルミナでコーティングされた二酸化チタン顔料(DuPont R−796)の30%(w/w)スラリーの200gを250mLのジャケット付きビーカーに投入し、55℃に加熱する。オーバーヘッドスターラーに取り付けられたプロペラ羽根を使用してスラリーを撹拌する。1.5gの43%アルミン酸ナトリウムゾル(24% Al
2O
3含量、顔料重量に基づいて約1% Al
2O
3)を5ccシリンジ内に充填する。添加が10分以内に行われるような速度でゾルを添加する。pHが10まで上がるままにし、20% HCl溶液の同時添加を開始して、pHを10に維持する。アルミン酸塩の添加完了後、3.0g(5ミリモル%)のJeffamine(登録商標)ED−900付加物の3−オキソブタンアミドを撹拌したスラリーに添加する。pHを10に調整し、30分間維持する。この時間の後、20% HClを更に添加してpHを5.5に下げ、pH 5.5で30分間維持する。実施例1に記載したように、スラリーを濾過、洗浄、乾燥、及び粉砕する。この顔料の10%固体スラリーは、6.5のpHを与えると見込まれる。この顔料の4%固体スラリーは、8.9のIEP(ZetaProbe)を与えると見込まれる。
【0094】
(実施例3):
30%(w/w)固体R−796スラリーの3330g(即ち、約1kgの乾燥顔料を生成するのに十分な量)を5Lステンレス鋼製バケツに投入し、ホットプレート上で55℃に加熱する。オーバーヘッドスターラーに取り付けられたプロペラ羽根を使用し、全体を通してスラリーを撹拌する。20.0gの43%アルミン酸ナトリウムゾル(24% Al
2O
3含量)を20ccシリンジ内に充填する。添加が10分以内に完了するような速度でゾルを添加する。pHが10まで上がるままにし、20% HCl溶液の同時添加でpHを10に維持する。アルミン酸塩の添加完了後、7.25g(5ミリモル%)のN−(2−アミノエチル)−3−オキソ−ブタンアミドを撹拌したスラリーに添加する。pHを10に調整し、30分間維持する。この時間の後、20% HClを更に添加してpHを5.5に下げ、30分間維持する。Whatman #2紙を取り付けた大型ブフナー漏斗を通してスラリーを真空濾過する。濾液の導電度が0.2mS/cm未満に下がるまで、得られたケーキを脱イオン水で洗浄する。ぬれた状態のケーキをアルミニウム皿に移し、110℃で16時間乾燥する。乾燥ケーキを粉砕し、325メッシュスクリーンを通してふるい落とす。この物質の最終粉砕を水蒸気ジェットミルで行う。この顔料の10%固体スラリーは、6.5のpHを与えると見込まれる。この顔料の4%固体スラリーは、8.9のIEP(ZetaProbe)を与えると見込まれる。