(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231131
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】医療用撮像システムのCアーム及び医療用撮像システム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
A61B6/00 300X
A61B6/00 300D
【請求項の数】17
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-553173(P2015-553173)
(86)(22)【出願日】2013年1月17日
(65)【公表番号】特表2016-503703(P2016-503703A)
(43)【公表日】2016年2月8日
(86)【国際出願番号】IB2013000159
(87)【国際公開番号】WO2014111741
(87)【国際公開日】20140724
【審査請求日】2016年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(74)【代理人】
【識別番号】100115462
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 猛
(72)【発明者】
【氏名】ギャローニ,ブルーノ
【審査官】
増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−279433(JP,A)
【文献】
特開2009−018162(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/029202(WO,A2)
【文献】
特表2009−505767(JP,A)
【文献】
米国特許第06325537(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
C型構造(14)と、放射線検出器支持部(13)と、前記支持部(13)が前記C型構造(14)の端部(11)に対して接近または離間できるように、前記支持部(13)を前記C型構造(14)に連結する接続部(6)とを備え、前記接続部(6)が、その嵩を小さくするように湾曲可能な構造とされており、前記支持部(13)が前記C型構造(14)の前記端部(11)から最も離れているときに、前記接続部(6)がケーシング(14)内に部分的に格納されており、前記ケーシング(14)の外側にある前記接続部(6)の全体が強固に直線状を成しており、前記ケーシング(14)の内側にある前記接続部(6)の少なくとも一部が湾曲している、Cアーム。
【請求項2】
C型構造(14)と、放射線検出器支持部(13)と、前記支持部(13)が前記C型構造(14)の端部(11)に対して接近または離間できるように、前記支持部(13)を前記C型構造(14)に連結する接続部(6)とを備え、前記接続部(6)が、その嵩を小さくするように湾曲可能な構造とされており、前記C型構造(14)が少なくとも部分的に中空であり、前記支持部(13)が前記C型構造(14)の前記端部(11)に最も近づくときに、前記接続部(6)が少なくとも部分的に、好ましくは完全に、前記中空のC型構造(14)内に格納され得る、Cアーム。
【請求項3】
C型構造(14)と、放射線検出器支持部(13)と、前記支持部(13)が前記C型構造(14)の端部(11)に対して接近または離間できるように、前記支持部(13)を前記C型構造(14)に連結する接続部(6)とを備え、前記接続部(6)が、その嵩を小さくするように湾曲可能な構造とされており、前記接続部(6)が、回転関着された複数のリンク(5)を含むチェーン(4)を備える、Cアーム。
【請求項4】
前記接続部(6)が、前記C型構造(14)の前記端部(11)を越えて前記C型構造(14)から外向きに突出しないように配置されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のCアーム。
【請求項5】
前記ケーシング(14)から出て来る前記接続部(6)の全体が、前記ケーシング(14)から出て来る前に直線状態で自動的にロックされ、前記ケーシング(14)に入って来る前記接続部(6)の部分が、前記ケーシング(14)に入って来た後に自動的に湾曲可能になる、請求項1に記載のCアーム。
【請求項6】
前記C型構造(14)の中空部の領域(A)が前記C型構造(14)の全体の領域の少なくとも半分よりも大きい、請求項2に記載のCアーム。
【請求項7】
前記中空のC型構造(14)が、前記中空のC型構造(14)の前記端部(11)から、中空直線部分(3)および中空湾曲部分(2)を連続的に備え、両方の部分(2、3)を通じて前記接続部(6)が前後に移動することができる、請求項2又は6に記載のCアーム。
【請求項8】
前記中空直線部分(3)が、関着されたリンク(5)の長さ(L1)の1.1〜1.5倍の範囲の長さ(L2)を呈する、請求項7の両方に記載のCアーム。
【請求項9】
前記接続部(6)が、前記チェーン(4)を押して前記チェーンを延展させ、また前記チェーン(4)を引いて前記チェーンを格納させるようになったアクチュエータ(12)を備える、請求項3に記載のCアーム。
【請求項10】
前記チェーン(4)が、4〜12個の関着されたリンク(5)を備える、請求項3又は9に記載のCアーム。
【請求項11】
前記関着されたリンク(5)が、前記リンクの移動方向の長さ(L1)と、前記C型構造(14)の湾曲方向の厚さ(T1)とを有し、前記長さ(L1)が前記厚さ(T1)よりも大きく、前記長さ(L1)が、好ましくは前記厚さ(T1)の1.1〜2倍の範囲であり、前記長さ(L1)が、より好ましくは前記厚さ(T1)の1.3〜1.7倍の範囲である、請求項3、9又は10に記載のCアーム。
【請求項12】
前記関着されたリンク(5)が、前記リンクの移動方向の長さ(L1)を有し、前記長さ(L1)が80mm〜150mmの範囲であり、より好ましくは100mm〜130mmの範囲である、請求項3、9乃至11のいずれか一項に記載のCアーム。
【請求項13】
前記関着されたリンク(5)が、前面で凸形状を呈し、前記関着されたリンク(5)が、好ましくは後面で平坦形状を呈し、前記関着されたリンク(5)の前面が、前記関着されたリンク(5)の後面の前に格納される、請求項3、9乃至12のいずれか一項に記載のCアーム。
【請求項14】
前記関着されたリンク(5)のそれぞれが1つまたは複数の回転用軸受(7)を備える、請求項3、9乃至13のいずれか一項に記載のCアーム。
【請求項15】
前記支持部(13)の行程が、400mmよりも大きく、好ましくは500mmよりも大きい、請求項1乃至14のいずれか1項に記載のCアーム。
【請求項16】
前記CアームがX線医療用撮像システムの前記Cアームであり、前記支持部(13)が、X線検出器を受けるようになった支持部(13)である、請求項1乃至15のいずれか1項に記載のCアーム。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載のCアーム(1)と、前記支持部(13)に載せられた放射線検出器とを含む、医療用撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用撮像システムのCアームに関する。特に、本発明は、放射線検出器支持部がC型構造の端部に対して接近または離間できるように、放射線検出器支持部をC型構造に連結する接続部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術によれば、放射線検出器支持部をC型構造に連結し、リフトのように移動する強固に固定された直線状の接続部が知られている。このため、この接続部、放射線検出器支持部、および放射線検出器は、全てが互いに固定され一体化しており、同時に上向きまたは下向きに直線移動する。この従来技術では、Cアームの物体撮像距離(OID)を最大に設定すると、接続部は、C型構造から外向きにC型構造の端部を超えてはるか遠くへ突出する。このことは、Cアームが回転するときに、医療用撮像システムが置かれた部屋の床とCアームが干渉するリスクを冒すという欠点を呈する。したがって、この従来技術を使用すると、Cアームが回転する構成では、物体撮像距離の最高値を使用することができない。このため、この従来技術は、Cアームが回転する構成では、リフトの存在のために、物体撮像距離が制限されるという欠点を呈する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010303207号明細書
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、上述した欠点を少なくとも部分的に軽減することである。
【0005】
特に、本発明は、放射線検出器支持部とC型構造の間の接続部が、全ての構成で、Cアームが回転するときでさえも、制限された嵩を呈する、Cアームを提供することを目的とする。この接続部は、湾曲されない状況と比べて、その嵩を小さくするように湾曲できる構造とされる。嵩の減少は、必ずしも全体積の減少を意味しておらず、接続部の1つの寸法を少なくとも小さくし、好ましくは、そのような寸法を小さくしない場合にC型構造の端部を越える接続部の突出と比べて、C型構造の端部を越えて突出する接続部を小さくするように接続部の寸法を小さくすることを意味している。
【0006】
この目的は、C型構造と、放射線検出器支持部と、前記支持部が前記C型構造の端部に対して接近または離間できるように、前記支持部を前記C型構造に連結する接続部とを備え、前記接続部が、その嵩を小さくするように湾曲可能な構造とされている、医療用撮像システムのCアームにより達成される。前記接続部は、その嵩を小さくするような方法で湾曲することができる。例えば、前記接続部が湾曲すると、接続部の最大寸法が小さくなる。
【0007】
本発明の別の目的は、構造と、可動要素と、前記可動要素が前記構造に対して接近または離間できるように、前記可動要素を前記構造に連結する接続部とを備え、前記接続部が、その嵩を小さくするように湾曲可能である、システムにより達成することができる。本発明のこの別の目的は、医療用撮像システムのCアームの分野以外のシステムを扱うことができる。前記可動要素の少なくとも1つの位置、有利には前記可動要素の殆どの位置に対して、前記接続部の一部が案内され、前記接続部の一部が案内されないことが好ましい。前記接続部は、前記構造の内側に格納可能となるように湾曲可能であることが好ましい。
【0008】
好ましい実施形態は、以下の特徴の1つまたは複数を備え、それらの特徴は、別個にまたは一緒に備えることができ、また、部分的な組合せまたは完全な組合せで備えることができる。
【0009】
前記接続部は、前記C型構造の前記端部を越えて前記C型構造から外向きに突出しないように配置されていることが好ましい。したがって、Cアームが回転するときに、最高の(highest)物体撮像距離の幾つかが使用できるのみならず、Cアームと床の間の干渉の著しいリスクなしに最大の(maximal)物体撮像距離を使用することもできる。Cアームから外向きの接続部の嵩は、非常に小さくなる。
【0010】
前記支持部が前記C型構造の前記端部から最も離れているときに、前記接続部は、ケーシング内に部分的に格納されており、前記ケーシングの外側にある前記接続部の全体は強固に直線状を成しており、前記ケーシングの内側にある前記接続部の少なくとも一部は湾曲しているのが好ましい。これによって、画像安定性と接続部の嵩の間で最適な妥協を得ることが可能となる。
【0011】
前記ケーシングから出て来る前記接続部の全体は、前記ケーシングから出て来る前に直線状態で自動的にロックされ、前記ケーシングに入って来る前記接続部の部分は、前記ケーシングに入って来た後に自動的に湾曲可能になることが好ましい。このように、直線状態のロックは、有用なときにのみ行われ、つまり、ケーシングの外側で行われ、直線状態のこのロックがもはや不要になるとすぐに接続部が再びロック解除され、湾曲可能になる。
【0012】
前記C型構造が少なくとも部分的に中空であり、前記支持部が前記C型構造の前記端部に最も近づくときに、前記接続部は、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、前記中空のC型構造内に格納され得ることが好ましい。このように、接続部を格納するための追加の自由空間が不要となるため、格納されているときの接続部の嵩が最小化される。
【0013】
前記C型構造の中空部の領域は、前記C型構造の全体の領域の少なくとも半分よりも大きいことが好ましい。C型構造の内側の著しい部分は、役に立たず無駄な空間となる代わりに、必要なときに接続部の格納空間として使用される。
【0014】
前記中空のC型構造は、前記中空のC型構造の前記端部から、中空直線部分および中空湾曲部分を連続的に備え、両方の部分を通じて前記接続部は、前後に移動できることが好ましい。中空湾曲部分は、C型構造の外側から格納空間へ、またはその逆で、接続部の向きを変えることが可能である。中空直線部分は、接続部の様々な部分をC型構造から出て来る前に位置合せするのを可能にする。
【0015】
前記接続部は、回転関着された複数のリンクを含むチェーンを備えることが好ましい。このことは、格納されているときの接続部の可撓性とC型構造の外側にあるときの接続部の強固な直線性との間で妥協を得るのを非常に容易にする、この湾曲可能な接続部の簡単で効率的な実現形態である。
【0016】
前記中空直線部分は、関着されたリンクの長さの1.1〜1.5倍の範囲の長さを呈することが好ましい。これによって、C型構造の内側に配置された格納空間から出て来る前に、この延在部の長さをチェーンのリンクを適当に位置合せするのに十分に保つと同時に、C型構造の延在部の嵩を最小化することが可能になる。
【0017】
前記接続部は、前記チェーンを押して前記チェーンを延展させ、また前記チェーンを引いて前記チェーンを格納させるようになったアクチュエータを備えることが好ましい。このように、チェーンの操作がより簡単になる。
【0018】
前記チェーンは、4〜12個の関着されたリンクを備えることが好ましい。前記チェーンは、6〜10個の関着されたリンクを備えることがより好ましい。例えば、前記チェーンは、7または8個の関着されたリンクを備える。これによって、格納されているときに必要とされるチェーンの可撓性または湾曲性と、C型構造の外側にあるときに必要とされるチェーンの強固な直線性を得るためのチェーンの相対的な簡単性との間で良好な妥協が可能となる。
【0019】
上述した好ましい実施形態は、より効率的で有用な接続部を可能にするチェーンのリンクの正確な形成を扱う、以下の特徴の1つまたは複数を備えてもよく、それらの特徴は、別個にまたは一緒に備えることができ、また、部分的な組合せまたは完全な組合せで備えることができる。
【0020】
前記関着されたリンクは、リンクの移動方向の長さと、前記C型構造の湾曲方向の厚さとを有し、前記長さは前記厚さよりも大きく、前記長さは、好ましくは前記厚さの1.1〜2倍の範囲であり、前記長さは、より好ましくは前記厚さの1.3〜1.7倍の範囲であることが好ましい。
【0021】
前記関着されたリンクは、リンクの移動方向の長さを有し、前記長さは80mm〜150mmの範囲であり、より好ましくは100mm〜130mmの範囲であることが好ましい。
【0022】
前記関着されたリンクは、前面で凸形状を呈し、前記関着されたリンクは、好ましくは後面で平坦形状を呈し、前記関着されたリンクの前面は、前記関着されたリンクの後面の前に格納されることが好ましい。別のオプションでは、前記関着されたリンクは、前面で凸形状を呈し、前記関着されたリンクは、好ましくは後面で平坦形状を呈し、前記関着されたリンクの前面は、前記関着されたリンクの後面の前に延展する。凸形状のリンクと、隣の平坦形状のリンクとのこの対応によって、チェーンが湾曲するときに、隣り合う2つのリンクの間でより流れるような関着が可能となる。
【0023】
前記関着されたリンクのそれぞれは、1つまたは複数の回転用軸受を備えることが好ましい。
【0024】
前記支持部の行程は、400mmよりも大きく、好ましくは500mmよりも大きいことが好ましい。これによって、医療用撮像システムに有用な大きな範囲の物体撮像距離に対応する大きな行程範囲が可能となる。
【0025】
前記CアームはX線医療用撮像システムのCアームであり、前記支持部は、X線検出器を受けるようになった支持部であることが好ましい。これは、可撓性と撮像品質の間で妥協に到達するのが特に難しい、本発明の好ましい適用である。
【0026】
本発明は、本発明によるCアームと、前記支持部に載せられた放射線検出器とを含む医療用撮像システムも扱うことが好ましい。
【0027】
本発明は、本発明による医療用撮像システムを使用して、物体撮像距離を増加または減少させる医療用撮像方法も扱うことが好ましい。
【0028】
本発明のさらなる特徴および利点は、非限定的な例として与えられる、本発明の実施形態の、以下に列挙する添付図面を参照した以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明のある実施形態による医療用撮像システムのCアームの一例の断面図を示している。
【
図2】本発明のある実施形態による医療用撮像システムのCアームの一例の斜視図を示している。
【
図3】本発明のある実施形態による医療用撮像システムのCアームの放射線検出器支持部とC型構造の間の接続部の一対のリンクの一例の斜視図を示している。
【
図4】本発明のある実施形態による医療用撮像システムのCアームのC型構造の一例の断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明のある実施形態による医療用撮像システムのCアームの一例の断面図を示している。Cアーム1は、中空のC型構造14を備える。この場合、接続部6を格納するケーシングは、中空のC型構造14である。C型構造14は、まず中空湾曲部分2、次に中空直線部分3を備える、延在部により終わっている。中空直線部分3の外側開口は、Cアーム1のC型構造14の端部11である。
【0031】
支持部13は、
図1では簡略化のために示していない放射線検出器を受けるようになっている。放射線検出器は、支持部13の下に固定される。接続部6は、チェーン4およびアクチュエータ12を備える。アクチュエータ12は、アクチュエータ12を表す両方向矢印12で示すように、チェーン4を押してチェーンをC型構造14の外側に延展させ、またチェーン4を引いてチェーンをC型構造14の内側に格納させるようになっている。チェーン4は、関着された複数のリンク5を備える。これらのリンク5には、互いに位置合せされ、支持部13と位置合せされてロックされるリンク5aがある。この直線状の強固な、リンク5aの相互の位置合せおよび支持部13との位置合せを両方向矢印10で表している。最後のリンク5aがC型構造14の中空直線部分内にまだあるので、支持部13の安定性が良く、撮像品質が良好である。これらのリンク5には、互いに自由であり、チェーン4の湾曲部を構成するリンク5bもある。
図1では簡略化のために5個のリンク5のみを示しているが、現実には、例えば7または8個のリンク5があってもよい。
【0032】
物体撮像距離を小さくするように支持部13が下方に動くと、より多くの自由なリンク5bがロックされたリンク5aとなり、つまり、直線状に強固に互いに位置合せされ、支持部13とも位置合せされる。アクチュエータ12は、チェーン4をC型構造14の外側に押してチェーンを延展させる。残りの自由なリンク5bがチェーン4の湾曲部を構成する一方で、ロックされたリンク5aがチェーン4の直線部を構成する。物体撮像距離を大きくするように支持部13が上方に動くと、より多くのロックされたリンク5aが自由なリンク5bとなり、つまり、もはや直線状に強固に互いに位置合せされず、支持部13と位置合せされない。アクチュエータ12は、チェーン4をC型構造14の内側に引いてチェーンを格納させる。自由なリンク5bがチェーン4の湾曲部を構成する一方で、残りのロックされたリンク5aがチェーン4の直線部を構成する。
【0033】
リンク5は、回転関着されている。リンク5は、リンク5のそれぞれがC型構造14の内側から外側に向けて移動するときに前面となる前面で凸形状を呈しており、リンク5がC型構造14の内側から外側に向けて移動するときに後面となる後面で平坦形状を呈している。
【0034】
C型構造14の延在部の長さL2は、単一のリンク5の長さL1の約1.5倍の大きさである。このように、この延在部から出て行く1つのリンク5は、延在部を去る前に常に位置合せされ、延在部の内側の別のリンク5によりロックされる。したがって、C型構造14の外側の全てのリンク5は、直線状の強固な位置合せでロックされる。
【0035】
各リンク5の長さL1は、その厚さT1よりも大きく、好ましくは少なくとも25%大きい。これによって、中空のC型構造14内でのリンク5の傾斜のために把持の著しいリスクを伴わずに、C型構造14内でのリンクの流れるような摺動が可能となる。
【0036】
図2は、本発明のある実施形態による医療用撮像システムのCアームの一例の斜視図を示している。チェーン4の各リンク5が、その両面のそれぞれに1つの軸受7を有することが見て取れる。これらの軸受7は、中空のC型構造14の内側でのチェーン4の摺動をより容易にする機能を有する。
図4では、中空のC型構造14の断面を示しており、詳述している。Aは、C型構造14の中空断面の領域である。
【0037】
リンク5は、回転関着されている。リンク5のそれぞれは、リンク5がC型構造14の外側から内側に向けて移動するときに前面となる前面で凸形状を呈しており、リンク5がC型構造14の外側から内側に向けて移動するときに後面となる後面で平坦形状を呈している。この配向は、C型構造14の端部11と当接しないためには、中空のC型構造14から去るときよりも中空のC型構造14に進入するときに凸形状が先である方がより有用であるため、
図1の配向と比べて好ましい。
【0038】
図3は、本発明のある実施形態による医療用撮像システムのCアームの放射線検出器支持部とC型構造の間の接続部の一対のリンクの一例の斜視図を示している。2つのリンク5をそれらの間の2つのロック装置8とともに示している。これらのロック装置8は、2つのリンク5の間の回転を阻止することができるか、この回転を自由にすることができる。各ロック装置8は、2個のディスクを備え、2個のディスクは、互いに離間するときに2個のリンク5の間の回転を自由にし、また、互いに密に接触するときに2個のリンク5の相対回転を阻止することができる。これらのロック装置8を複数の異なる方法で作動させることができる。ロック装置8を作動させる一方法は、ラック・ピニオン機構である。ロック装置8を作動させる別の方法は、ステータ・ロータ機構である。ロック装置8を作動させるさらに別の方法は、電動ジャッキである。
【0039】
図4は、本発明のある実施形態による医療用撮像システムのCアームのC型構造の一例の断面図を示している。Aは、C型構造14の中空断面の領域である。Aは、C型構造14の全断面の領域の半分よりも大きい。案内用レール9が見えている。
図2で説明した軸受7は、これらの案内用レール9の上を転がって進む。
【0040】
好ましい実施形態を参照して、本発明を説明してきた。しかし、本発明の範囲内で多くの変形が可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 Cアーム
2 中空湾曲部分
3 中空直線部分
4 チェーン
5、5a、5b リンク
6 接続部
7 軸受
8 ロック装置
9 案内用レール
10 位置合せ
11 端部
12 アクチュエータ
13 支持部
14 C型構造
A 領域
L1、L2 長さ
T1 厚さ