特許第6231139号(P6231139)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231139
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】ウエットシート包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20171106BHJP
   B65D 83/08 20060101ALI20171106BHJP
   A47K 7/00 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   B65D77/20 J
   B65D83/08 A
   A47K7/00 C
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-27204(P2016-27204)
(22)【出願日】2016年2月16日
(65)【公開番号】特開2017-145022(P2017-145022A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2016年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】515196355
【氏名又は名称】篠原 勇治
(74)【代理人】
【識別番号】110001645
【氏名又は名称】特許業務法人谷藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠原 勇治
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−080274(JP,U)
【文献】 特開2003−012053(JP,A)
【文献】 実開昭59−106373(JP,U)
【文献】 実開平02−114690(JP,U)
【文献】 特開2014−065510(JP,A)
【文献】 特開2005−329953(JP,A)
【文献】 特開平02−004681(JP,A)
【文献】 特開2007−119063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00−79/02
B65D 81/18−81/30
B65D 81/38
B65D 83/08
A47K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面側に形成された外取り出し口と、粘着部を介して上面側に貼着され且つ前記外取り出し口を開閉自在な封口シートとを備えた外装袋内に、含浸液を含浸するウエットシートの積層体を収容してピロー包装したウエットシート包装体において、
保形性を有し且つ前記積層体及び前記含浸液を収容する内容器を備え、
該内容器の開口部を密封し且つ前記外取り出し口に対応する内取り出し口を形成可能な破断部を有する内側シートを備え、
前記内容器は上端に前記開口部を有する周壁部と、該周壁部の下端に一体に形成された底壁部と、前記周壁部の上端から外周側に屈曲して一体に形成された外周縁とを備え、
前記周壁部は内側又は外側へと突出して内外方向に屈曲状に形成され且つ前記底壁部側と前記外周縁側とに跨がって上下方向に配置された、周方向に複数の補強部を備え、
前記内側シートの全周を前記外周縁に固着し、
前記封口シートの前記粘着部を前記内取り出し口の外周側から前記周壁部の上端近傍に対応して設けた
ことを特徴とするウエットシート包装体。
【請求項2】
前記破断部は前記外取り出し口に対応して前記内側シートの周方向の全周に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のウエットシート包装体。
【請求項3】
前記破断部は前記内側シートの厚さ方向の一部を残して形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のウエットシート包装体。
【請求項4】
前記封口シートは前記外装袋の前記外取り出し口の外周に粘着部を介して貼着可能であり、
前記内側シートは前記破断部よりも外側が前記封口シートの前記粘着部に対応して平坦状である
ことを特徴とする請求項1〜の何れかに記載のウエットシート包装体。
【請求項5】
前記内側シートは前記ウエットシートの取り出し時に前記内取り出し口の周縁で前記ウエットシートの付着液を除去可能である
ことを特徴とする請求項1〜の何れかに記載のウエットシート包装体。
【請求項6】
前記内取り出し口の周縁は、前記外取り出し口の周縁よりも内側に位置する
ことを特徴とする請求項1〜の何れかに記載のウエットシート包装体。
【請求項7】
前記内容器は前記底壁部の中央側に配置された凸部と、該凸部の両側に配置された凹部とを有し、
略逆U字状の前記積層体の中間の部分が前記凸部上に、折り曲げ方向の両端部分が前記各凹部に夫々対応するように前記内容器内に収容した
ことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のウエットシート包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエットティッシュ、パック用フェイスマスク等のウエットシートを取り出し可能に包装したウエットシート包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウエットティッシュ、パック用フェイスマスク等のウエットシートを複数枚積層して外装袋に取り出し可能に包装したウエットシート包装体は、ガスバリヤー性を有する外装袋を使用し、その外装袋の上面側に取り出し口と、この取り出し口を封口する粘着式の封口シートとを設けておき、必要に応じて封口シートを剥離して取り出し口からウエットシートを取り出し、その後、封口シートを貼着して取り出し口を密封する。
【0003】
この種のウエットシート包装体では、外装袋の取り出し口の周辺部分に皺等が発生すれば密封性を確保できなくなるため、外装袋の取り出し口の周辺部分を補強する補強シートを設け、この補強シートに封口シートを開閉自在に貼着するようにしたものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−160782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は、外装袋の上面側に補強シートがあって外観上の体裁が悪く高級感を出しにくいだけでなく、内部のウエットシートの残量の多少によって、外装袋の上面側の高さが大きく変化し、ウエットシートの残量が少なくなれば、封口シートの剥離、貼着による取り出し口の開閉が煩雑になるという問題がある。
【0006】
また1枚の補強シートを袋本体の取り出し口の周辺部分に固着しているに過ぎないので、ウエットシートの残量が少なくなれば、補強シート自体が変形する惧れがあり、確実に封口できない等の問題がある。
【0007】
そこで、近時のウエットシート包装体では、保形性を有する蓋付きの内容器を使用して、その内容器内に積層体を入れて蓋をした状態で外装袋で包装し、蓋の開口部から外装袋の取り出し口を経てウエットシートを取り出すようにすることが考えられている。
【0008】
このようにすれば外観上の体裁を良好にできると共に、ウエットシートの残量に関係なく高さを一定に保てるだけでなく、外装袋の上面側を内容器上の蓋で下側から支持できるため、外装袋の上面側の皺等の発生を防止でき、封口シートを容易に開閉できる等の利点がある。
【0009】
しかし、このウエットシート包装体では、次のような問題点がある。即ち、ウエットシートがパック用フェイスマスクの場合には内容器内にパック用の化粧液を入れる等、ウエットシートの用途に応じた含浸液を内容器内に所定量充填して、ウエットシートが含浸液を十分に含浸し易いようにしている。
【0010】
そのためウエットシート包装体が倒れた場合には、含浸液が内容器から外装袋内へと零れてしまい、その後にウエットシート包装体を起こしても、含浸液が外装袋内に溜まったままで内容器内に戻らなくなることがある。そのため従来のウエットシート包装体は、物流段階その他の取り扱い時に、内容器内の含浸液が零れないように慎重に取り扱う必要がある。
【0011】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、ウエットシートの残量の多少に拘わらず、封口シートにより外取り出し口を容易に開閉できると共に、転倒等の際にも含浸液の零れを防止して容易に取り扱うことができるウエットシート包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上面側に形成された外取り出し口と、粘着部を介して上面側に貼着され且つ前記外取り出し口を開閉自在な封口シートとを備えた外装袋内に、含浸液を含浸するウエットシートの積層体を収容してピロー包装したウエットシート包装体において、保形性を有し且つ前記積層体及び前記含浸液を収容する内容器を備え、該内容器の開口部を密封し且つ前記外取り出し口に対応する内取り出し口を形成可能な破断部を有する内側シートを備え、前記内容器は上端に前記開口部を有する周壁部と、該周壁部の下端に一体に形成された底壁部と、前記周壁部の上端から外周側に屈曲して一体に形成された外周縁とを備え、前記周壁部は内側又は外側へと突出して内外方向に屈曲状に形成され且つ前記底壁部側と前記外周縁側とに跨がって上下方向に配置された、周方向に複数の補強部を備え、前記内側シートの全周を前記外周縁に固着し、前記封口シートの前記粘着部を前記内取り出し口の外周側から前記周壁部の上端近傍に対応して設けたものである。
【0013】
記破断部は前記外取り出し口に対応して前記内側シートの周方向の全周に形成されていることが望ましい。
【0014】
前記破断部は前記内側シートの厚さ方向の一部を残して形成されていることが望ましい。前記封口シートは前記外装袋の前記外取り出し口の外周に粘着部を介して貼着可能であり、前記内側シートは前記破断部よりも外側が前記封口シートの前記粘着部に対応して平坦状であってもよい。
【0015】
前記内側シートは前記ウエットシートの取り出し時に前記内取り出し口の周縁で前記ウエットシートの付着液を除去可能であってもよい。前記内取り出し口の周縁は、前記外取り出し口の周縁よりも内側に位置することが望ましい。前記内容器は前記底壁部の中央側に配置された凸部と、該凸部の両側に配置された凹部とを有し、略逆U字状の前記積層体の中間の部分が前記凸部上に、折り曲げ方向の両端部分が前記各凹部に夫々対応するように前記内容器内に収容してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ウエットシートの残量の多少に拘わらず、封口シートにより外取り出し口を容易に開閉できると共に、転倒等の際にも含浸液の零れを防止して容易に取り扱うことができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態を示すウエットシート包装体の開封状態の斜視図である。
図2】同内容器等の断面図である。
図3】同内容器等の一部破断分解斜視図である。
図4】同内容器の要部の拡大図である。
図5】同ウエットシート包装体の一部破断平面図である。
図6】同ウエットシートの折り畳み工程の工程図である。
図7】同ウエットシートの取り出し状態の断面図である。
図8】本発明の第2の実施形態を示す内側シートの平面図である。
図9】本発明の第3の実施形態を示すウエットシート包装体の断面図である。
図10】同ウエットシートの折り畳み工程の工程図である。
図11】同内容器等の断面図である。
図12】本発明の第4の実施形態を示す内容器等の断面図である。
図13】同第1内容器、第2内容器の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて詳述する。
【0019】
図1図7は本発明のウエットシート包装体の第1の実施形態を例示する。このウエットシート包装体1は、図1図2に示すように、フェイスマスク等の複数枚のウエットシート2(図6参照)を積層した積層体3と、この積層体3のウエットシート2に含浸させる化粧液等の含浸液4とを内容器5に入れて、その内容器5の上側の開口部6を内側シート7で密封し、その後に全体を外装袋8により密封状に包装したものであって、全体として略六面の直方体又は立方体状に構成されている。
【0020】
ウエットシート2は、図6(a)に示すように、不織布その他のシート材を略円形状に裁断して構成され、目用開口部9、鼻用切込部10、口用開口部11等が設けられている。なお、ウエットシート2にはフェイスマスクの他にウエットティッシュ、その他のものがある。また含浸液4はウエットシート2がフェイスマスクの場合にはパック用の化粧液が使用されているが、ウエットティッシュ、その他のものの場合にはその使用目的に応じた液体を使用すればよい。
【0021】
積層体3は、図6(a)に示すように2本の折れ線12で三つ折り状に折り畳み、略中央の折れ線13で二つ折り状に折り畳んで、図6(b)に示すように内容器5に収容するに適した大きさにした後、その折り畳み状態のウエットシート2を図6(c)に示すように上下方向に複数枚積層して構成されている。なお、ウエットシート2の積層枚数が多い場合には、積層体3は下半分の下積層部3aと上半分の上積層部3bとに分けて逆向きに装入することが望ましい。
【0022】
外装袋8はガスバリアー性を有する複合フィルム又は複合シート等の外装材を使用してピロー包装等により製袋されている。この外装袋8は各面が略正方形であって、図1に示すように、その上面部17には外取り出し口18と、この外取り出し口18を開閉自在に封口する封口シート19とが設けられている。外取り出し口18はウエットシート2の取り出しに適した大きさの略矩形状に形成されている。
【0023】
封口シート19は外取り出し口18の外周側の全周に形成された粘着部20と、粘着部20の外側に設けられた摘まみ部21と、摘まみ部21と反対側に設けられた剥離阻止部22とを有し、剥離阻止部22間の粘着部20を除く他の粘着部20が上面部17に剥離可能に貼着されている。なお、封口シート19には、外装袋8の外取り出し口18に対応する切除片23が貼付されている。
【0024】
内容器5は保形性を有する薄手のプラスチック製であって、図2図3に示すように、上側が広がるテーパー状の周壁部24と、この周壁部24の下端側に一体に形成された底壁部25と、周壁部24の上端から外側に屈曲してフランジ状に形成された外周縁26とを有し、上側が開放する開口部6となっており、下側の受け皿27に載せた状態で外装袋8により包装されている。内容器5と受け皿27との間には位置決め手段28が設けられている。
【0025】
周壁部24には上下方向に長い複数本の補強部29が、また底壁部25には積層体3を受ける突起部30が夫々設けられている。補強部29は周壁部24の上下方向の剛性を確保するためのものであり、外側が溝状となるように内側に凹入しているが、外側に凸状に突出するように設けてもよい。突起部30は周方向に連続する平面視角形状であって、同心状に複数条設けられている。この突起部30は内容器5の底壁部25から上側に突出しており、その裏側が位置決め凹部30aとなっている。
【0026】
受け皿27は内容器5の外周縁26の外側と略同じ大きさであって、外装袋8により包装したときにウエットシート包装体1の上下両側が略同じ寸法となるように構成されている。この受け皿27の底壁部31には、内容器5の位置決め凹部30aに下側から入る位置決め凸部32が設けられている。位置決め手段28は位置決め凹部30aと位置決め凸部32とによって構成されている。
【0027】
内側シート7にはラミネート複合フィルム等のガスバリアー性を有するシートが使用されており、内容器5の開口部6を密封するように外周縁26にヒートシール、その他により周方向の全周の固着部34で固着されている。なお、内側シート7はその略全面が略平坦状となるように張り状態で固着されている。
【0028】
内側シート7には、外取り出し口18に対応する内取り出し口35を形成可能な破断部37が周方向に設けられている。破断部37は図4(a)に示すように、内側シート7の厚さ方向の一部を残すハーフカットにより形成されている。そして、内側シート7は破断部37よりも内側部分を手指で押圧したときに破断部37の残り部分が破断し、図4(b)に示すようにその破断片38が内側シート7から分離して.その除去跡に内取り出し口35ができるようになっている。内側シート7のハーフカットはレーザ加工が適当であるが、他の方法により加工してもよい。
【0029】
なお、内側シート7に略四角形の内取り出し口35用の破断部37を設ける場合、図3に二点鎖線で示す如く内取り出し口35の四隅に凹入部ができるように外側に膨らむ膨らみ破断部37aを設けてもよい。
【0030】
また破断部37は内側シート7の破断片38を上側に引っ張れば容易に除去できるように全周に設けてもよいし、周方向の一部を残して破断片38を内側シート7の下側に折り込むようにしてもよい。
【0031】
内側シート7の内取り出し口35は、図5に示すように、外装袋8の上面部17の外取り出し口18と上下に相対応して配置され、外取り出し口18よりも若干小さくなっている。
【0032】
即ち、内側シート7の内取り出し口35の開口縁35aは、外取り出し口18の開口縁18aよりも内側に位置しており、図7に示すように、積層体3の最上位のウエットシート2の中央側を摘んで取り出すときに、ウエットシート2の外側を擦って余分な付着液を掻き落として除去するようになっている。なお、内取り出し口35の周縁は波状に屈曲して形成されているが、直線状、円弧状等でもよい。
【0033】
破断部37は外装袋8の外取り出し口18の開口縁18aよりも内側にあり、破断部37で内側シート7を破断して内取り出し口35を形成した場合にも、内側シート7の内取り出し口35よりも外側の部分が封口シート19の粘着部20に平坦状に対応して、封口シート19を上側から押圧したときに、外装袋8の上面部17を内側シート7の内取り出し口35よりも外側の部分を下側から支持できるようになっている。
【0034】
このウエットシート包装体1を製造するに際しては、内容器5にウエットシート2の積層体3と所定量の含浸液4とを入れた後、外周縁26上の固着部34で内側シート7を内容器5に固着して開口部6を密封し、その状態で外装袋8により包装する。
【0035】
このようなウエットシート包装体1では、内容器5の開口部6を内側シート7により密封した状態にあるので、内容器5が傾斜、転倒するようなことがあっても、内容器5内の含浸液4が外装袋8の内部に漏れ出すようなことがなく、ウエットシート包装体1の製造後の取り扱いを容易にできる。
【0036】
また内容器5内の含浸液4の零れがなく、内容器5内の含浸液4により常時安定的にウエットシート2を湿潤化できるため、内容器5内の含浸液4の絶対量を少なくすることが可能である。
【0037】
しかも、このウエットシート包装体1は、外装袋8の上面側にユーザーの購買意欲を喚起するような名称その他の情報を印刷するのが一般的であるが、内容器5内の含浸液4の零れがないため、小売店の店頭に展示の際に、外装袋8の上面側を前に向けた状態で展示することも可能である。
【0038】
ウエットシート2を使用する場合には、外装袋8の封口シート19を剥離して外取り出し口18を開けた後、内側シート7の中央側を下方に押圧すると、破断部37が破断して内取り出し口35が開口する。このとき内側シート7の破断片38は引っ張って除去してもよいし、下側に折り込んでもよい。
【0039】
内取り出し口35が開口すると、その内取り出し口35から内容器5内に手指を挿入して、積層体3の最上位のウエットシート2の中央部を摘む等して、ウエットシート2を内取り出し口35から上側へと引き出す。
【0040】
このときウエットシート2は図7に示すように山状になりながら引き出されるため、その外周側が内側シート7の内取り出し口35の開口縁35aにより擦られることとなり、ウエットシート2に含浸し付着した含浸液4の内、余分な付着液を内側シート7の周縁で除去することができる。
【0041】
そのためウエットシート2を取り出す都度、内容器5内の多くの含浸液4が必要以上に減少する等の問題もなくなり、内容器5内の含浸液4を残りのウエットシート2の積層枚数に応じた量に保つことが可能であり、ウエットシート2に対する含浸液4の含浸状況のバラツキを防止することができる。
【0042】
またウエットシート2を取り出した後は、封口シート19を粘着部20で外装袋8の上面側に貼着して外取り出し口18を密封する。この密封に際しても、内側シート7の開口縁35aでウエットシート2の余分な付着液を除去できる上に、内取り出し口35が外取り出し口18よりも小さくなっているので、ウエットシート2に付着した含浸液4が外装袋8の上面側に付着し難くなり、封口シート19を粘着部20を介して外装袋8の上面側に確実に貼着することができる。
【0043】
更に封口シート19を粘着部20を介して外装袋8の上面側に貼着する際には、封口シート19を上側から手指等により軽く押圧するが、このときに内側シート7が外装袋8を下側から支えるため、粘着部20を介して封口シート19を確実に外装袋8に貼着することができる。従って、外装袋8の上面側に皺等が発生するようなことがなく、外装袋8を封口シート19により容易に密封することができる。
【0044】
図8は本発明の第2の実施形態を例示する。内側シート7に破断部41,42等を形成するに当たっては、図8(a)〜(d)に示すように形成してもよい。図8(a)は内側シート7に内取り出し口35用の第1破断部41と、この第1破断部41よりも内側に設けられた略U字状、略C字状、その他の屈曲状に形成された第2破断部42とが設けられている。
【0045】
この場合には内側シート7の中心部分を押圧して第2破断部42を破断すれば、内側シート7の中央部分に指掛け孔43を形成することができる。そして、指掛け孔43から内側シート7に指を挿入して下側から指を掛けて内側シート7を上側に引っ張ることにより、第1破断部41が破断して内取り出し口35を形成することができる。従って、第1の実施形態の場合に比較して内取り出し口35を容易に設けることができ、しかも同時に破断片38を取り除くことができる。
【0046】
図8(b)は内側シート7に内取り出し口35用の第1破断部41と、この第1破断部41の相対向する二辺に跨がって形成されたS字状、その他の指掛け孔43用の第2破断部42とが設けられている。
【0047】
この場合には内側シート7の中心部分を押圧して第2破断部42を破断するので、そこから指を挿入して、第2破断部42を挟む両側部分を夫々上側へと引っ張り、その各部分を第1破断部41で破断して内取り出し口35を形成することができる。なお、第2破断部42の両端又は一端が第1破断部41に接続せずに、その間に接続部分が残るようにしてもよい。
【0048】
図8(c)は内側シート7に内取り出し口35用の第1破断部41と、この第1破断部41の一辺から中央側にJ字状に形成された第2破断部42とが設けられている。この場合には内側シート7の中心部分を押圧して第2破断部42を破断し、そこから指を挿入して第1破断部41の内側部分を上側へと引っ張ると、第1破断部41が破断して内取り出し口35を形成することができる。
【0049】
図8(d)は内側シート7の略中央部分で略直角方向に交差するように第1破断部41と第2破断部42とが十字状に形成されている。この場合には内側シート7の中心部分を押圧すると、第1破断部41と第2破断部42とが破断して十字状の内取り出し口35を形成することができる。この内取り出し口35は十字状になっているので、そこから指を挿入して積層体3の最上位のウエットシート2を取り出すことになる。
【0050】
図9図11は本発明の第3の実施形態を例示する。この実施形態では、内容器5の底壁部25は、中央部分の凸部45と、この凸部45の両側に配置された凹部46とを有する。凸部45は内容器5の相対向する側壁間に跨がって設けられており、その凸部45の上面側は剛性を確保し、含浸液4を溜まり易くするために溝状になっている。なお、平面視において中央部分に凸部45を配置し、その凸部45の外周側を凹部46で取り囲むようにしてもよい。内容器5の他の構成は各実施形態と略同様である。
【0051】
この内容器5は、次のような態様で使用することができる。第1態様は、図10に示すようにウエットシート2の積層体3を略逆U字状(逆U字状、C字状を含む)に折り曲げる。そして、図9に二点鎖線で模式的に示すように、積層体3の曲げ部分が凸部45上に、両端部分が凹部46内に夫々位置すべく積層体3を内容器5内に入れて所定量の含浸液4を注入する。
【0052】
例えばウエットシート2がフェイスマスクの場合には、先ず図10(a)に示すように折れ線47,48で三つ折りにする等により、図10(b)に示すように長く折り畳み、その折り畳み状態のウエットシート2を所定枚数積層した後、図10(c)に示すように逆U字状に折り曲げて、内容器5内に挿入する。次に内容器5内に化粧液等の含浸液4を注入して、ウエットシート2にその含浸液4を含浸させた後、内容器5の開口部6側を内側シート7により密封し、外装袋8により包装すればよい。
【0053】
このようにすれば、内容器5の底部に凸部45があり、その両側の凹部46に積層体3の両端部分が入っているため、積層体3はその両端部分を介して毛細管現象により凹部46内の含浸液4を吸収し含浸することができる。そのため内容器5内の含浸液4の量を少なくできる利点がある。
【0054】
しかも内容器5の底壁に凸部45と凹部46とがあるため、周壁部24の補強部29と合わせて、内容器5自体の保形性が向上し、薄手の材料を使用して内容器5を構成することが可能である。またウエットシート2の折り畳み回数が少ないので、取り出し後にウエットシート2を容易に広げることができ、使用時の利便性が向上する。
【0055】
第2態様は、図11に示すように、内容器5の底壁部25の凸部45上にウエットシート2の積層体3を平積み状に載せて収容することができる。勿論、積層体3の収容後に含浸液4を注入することは云うまでもない。その場合の注入量は、積層体3の全体が含浸液4を含浸した状態において、少なくとも積層体3の下部側のウエットシート2が含浸液4に浸る程度であればよい。
【0056】
このようにすれば、積層体3の中央部分が底壁部25の凸部45上に載っており、この凸部45により積層体3の中央部分が持ち上げられた状態で下側から支えられているため、内取り出し口35から手指を挿入して積層体3の最上位のウエットシート2を摘まむ際に、ウエットシート2を容易に掴むことができる。
【0057】
特に残りのウエットシート2の積層枚数が少なくなった場合には、その効果が顕著である。更に凸部45の上側が溝状であるため、凸部45上のウエットシート2を押しても、手指がウエットシート2を介して凸部45上から外れるようなことがなく、容易にウエットシート2を摘むことができる。
【0058】
図12図13は本発明の第4の実施形態を例示する。この実施形態では、図12図13に示すように、底壁部25に凸部45、凹部46が設けられた第1内容器49と、この第1内容器49内に上側から着脱自在に挿入された第2内容器50とを備えている。第2内容器50はウエットシート2の積層体3と含浸液4とを入れた後、その開口部6側を内側シート7により密封されている。内側シート7は内取り出し口35の成型用の破断部37を有する。
【0059】
第1内容器49は、開口部6の外周に受け縁49aを有する。第2内容器50はその底壁部25が第1内容器49の凸部45上に乗り、また開口部6の外周側に、第1内容器49の受け縁49a上に乗る外周縁26が設けられている。内側シート7は内取り出し口35用の破断部37を有し、外周の固着部34が第2内容器50の外周縁26の全周で固着されている。なお、第2内容器50は、その底壁部25と外周縁26の何れか一方が第1内容器49側に当接すれば十分である。他の構成は各実施形態と略同様である。
【0060】
積層体3を構成するウエットシート2の積層枚数が少ない場合には、このように第1内容器49内に第2内容器50を配置して、この第2内容器50内に積層体3、含浸液4を入れて、その開口部6側を内側シート7により密封するようにしてもよい。
【0061】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく種々の変更が可能である。例えば、内容器5を下側から受ける受け皿27を備えたものを例示しているが、受け皿27は省略することもできる。
【0062】
破断部37は一般的には内側シート7に筋状又は線状に1本あればよいが、内外に複数本の破断部37を設けておき、破断すべき破断部37を選択することにより、ユーザーの好みに応じて内取り出し口35の大きさを調整できるようにしてもよい。
【0063】
内容器5の開口部6を密閉する内側シート7を設けるに当たっては、支持枠に内側シート7を備え、その支持枠を内容器5の開口部6側に密封可能に装着するようにしてもよい。内容器5に対する内側シート7の固着法は熱溶着、接着その他の任意の方法を採用することが可能である。
【0064】
内側シート7はガスバリアー性を有する複合フィルム等が適当であるが、外装袋8により密封しているので、含浸液4の液漏れを防止できるものであれば、必ずしもガスバリアー性のないものでもよい。
【0065】
封口シート19の粘着部20は外取り出し口18の外周側に広幅状に設ける他、外取り出し口18の外周側を取り囲むように内外方向に複数本の筋状に設けることも可能である。
【0066】
内取り出し口35の開口量は、内取り出し口35から手指を挿入してウエットシート2を摘むときの利便性と、内取り出し口35からウエットシート2を取り出すときの付着液の除去効果とを勘案して適宜決定すればよい。
【0067】
内取り出し口35の開口縁35aでウエットシート2に付着した含浸液4を掻き落とすか否かは、ウエットシート2と内取り出し口35との大きさの大小によって相対的に決まるものであり、ウエットシート2の取り出し時に、その取り出し方向によってはウエットシート2が内取り出し口35の開口縁35aに軽く接触する程度であってもよく、含浸液4を積極的に掻き落とすような機能のないものでもよい。
【0068】
内取り出し口35の開口縁35aは、その全周が外取り出し口18の開口縁18aよりも内側に位置することが望ましい。また内取り出し口35の開口縁35aと外取り出し口18の開口縁18aとの間には、ウエットシート2の含浸液4が粘着部20に付着しないように内外方向に所定の間隔を設けることが望ましい。しかし、粘着部20の内周側と外取り出し口18の開口縁18aとの間に十分な間隔がある場合には、内取り出し口35の開口縁35aと外取り出し口18の開口縁18aとが略同じになるか、内取り出し口35の開口縁35aが外取り出し口18の開口縁18aよりも若干内側となる程度であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 ウエットシート包装体
2 ウエットシート
3 積層体
4 含浸液
5 内容器
6 開口部
7 内側シート
8 外装袋
18 外取り出し口
19 封口シート
20 粘着部
26 外周縁
35 内取り出し口
37 破断部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13