特許第6231153号(P6231153)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231153
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】光学測定装置のための保持機器
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20171106BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20171106BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20171106BHJP
   G02B 21/24 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   G01B11/00 H
   G01B11/02 H
   G01B11/24 K
   G02B21/24
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-84173(P2016-84173)
(22)【出願日】2016年4月20日
(65)【公開番号】特開2016-206193(P2016-206193A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2016年6月16日
(31)【優先権主張番号】10 2015 105 978.9
(32)【優先日】2015年4月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506027848
【氏名又は名称】カール マール ホールディング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ロッツ、 マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ラルス、 ハイザー
(72)【発明者】
【氏名】シュテプタート、 ミハエル
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開平4−97307(JP,A)
【文献】 実開昭63−137855(JP,U)
【文献】 米国特許第4298281(US,A)
【文献】 米国特許第4764010(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第19927872(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B11/00−11/30
G02B 7/00
G02B 7/18− 7/24
G02B23/24−23/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学測定装置(10)のための保持機器(30)であって、
前記光学測定装置(10)の光学ユニット(25)のための少なくとも1つの保持ユニット(31)を備え、前記保持ユニット(31)は、光学軸(O1、O2)の方向において互いに隔てて配置された第1のベアリング装置(37)と第2のベアリング装置(38)とを有し、
前記第1のベアリング装置及び前記第2のベアリング装置(37、38)はそれぞれ、第1のベアリング位置(39)における第1のベアリング要素(40)と、第2のベアリング位置(41)における第2のベアリング要素(42)と、第3のベアリング位置(43)における第3のベアリング要素(44)とを有し、
前記第1のベアリング要素(40)は第1の調節軸(J1)に沿って位置決めされ、前記第2のベアリング要素(42)は第2の調節軸(J2)に沿って位置決めされ、第1の調節軸(J1)と第2の調節軸(J2)とは光学軸(O1、O2)に対して直角に延在するとともに、
前記保持ユニット(31)は、前記光学軸(O1、O2)に平行に方向付けられている第4の調節軸(J4)に沿って位置決め可能な、第4のベアリング位置(49)における第4のベアリング要素(50)を有し、
少なくとも1つの前記光学ユニット(25)はテレセントリックであり、前記光学軸(O1、O2)の一部に沿ったテレセントリック領域(T)を有することを特徴とする、
保持機器
【請求項2】
前記第3のベアリング要素(44)は第3の調節軸(J3)に沿って位置決めされることを特徴とする、
請求項1に記載の保持機器。
【請求項3】
前記第1、第2、及び第3の調節軸(J1、J2、J3)は、前記光学軸(O1、O2)に対して放射状に方向付けられていることを特徴とする、
請求項1又は請求項2に記載の保持機器。
【請求項4】
前記第1のベアリング装置及び前記第2のベアリング装置(37、38)のそれぞれの前記第1の調節軸(J1)と前記第2の調節軸(J2)とは、それぞれの共通の調節平面(E1、E2)内に配置されていることを特徴とする、
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の保持機器。
【請求項5】
前記保持ユニット(31)の2つの前記調節平面(E1、E2)は互いに平行に方向付けられていることを特徴とする、
請求項4に記載の保持機器。
【請求項6】
前記少なくとも1つの保持ユニット(31)は、前記光学軸(O1、O2)に対して直角に方向付けられている枢動軸(S)の周りで枢動可能であり、枢動された位置において固定可能であることを特徴とする、
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の保持機器。
【請求項7】
少なくとも1つの前記光学ユニット(25)はテレセントリックであり、前記光学軸(O1、O2)の一部に沿ったテレセントリック領域(T)を有し、前記枢動軸(S)は少なくとも1つの前記テレセントリック領域(T)を通過することを特徴とする、
請求項6に記載の保持機器。
【請求項8】
前記第4のベアリング要素(50)は、前記光学ユニット(25)を前記第4の調節軸(J4)に沿って移動させるように適合され、これによって前記テレセントリック領域(T)は、前記枢動軸(S)が前記テレセントリック領域(T)を通過する位置に移動される、
請求項7に記載の保持機器。
【請求項9】
前記枢動軸(S)は、前記光学軸(O1、O2)の方向において、前記第1の調節軸(J1)及び前記第2の調節軸(J2)から隔てて配置されることを特徴とする、
請求項6又は請求項7に記載の保持機器。
【請求項10】
2つの前記光学ユニット(25)のための2つの保持ユニット(31)を備え、前記2つの保持ユニット(31)が、関連する前記光学軸(O1、O2)に平行に互いに隔てて配置されることを特徴とする、
請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の保持機器。
【請求項11】
前記2つの保持ユニット(31)は共通の支持部(32)上に配置されることを特徴とする、
請求項10に記載の保持機器。
【請求項12】
前記支持部(32)は、枢動軸(S)の周りで枢動可能であるとともに枢動された位置において固定可能であるようにボディ(34)上に配置されることを特徴とする、
請求項11に記載の保持機器。
【請求項13】
前記ボディ(34)は、移動可能に案内される様態で案内装置(15)上に取り付けられることを特徴とする、
請求項12に記載の保持機器。
【請求項14】
対象物(11)の平面表面(12)を測定するように構成される、少なくとも1つの光学ユニット(25)を備える光学測定装置(10)における、請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載の保持機器の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学測定装置のための保持機器に関する。光学測定装置は好ましくは、対象物、特にシャフトの測定のために、特に平面表面を有するシャフトの測定のために設計される。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第10319947(A1)号明細書には、回転対称の工作物の表面輪郭を測定するための装置が記載されている。光源と光学センサとが、測定される工作物に対して向かい合って配置され、これにより工作物は光ビーム内に位置付けされ得る。このようにして透過光の測定が可能となる。
【0003】
透過光測定のための測定装置は、例えば独国特許出願公開第3630702(A1)号明細書にも記載されている。工作物はキャリッジ上に留められ得、キャリッジは工作物の軸に沿って移動可能である。従って工作物はその長手方向軸に沿って、放射源と放射検出器との間の光路を通して移動され得、シャドウイングが測定可能である。これから、工作物の軸方向及び半径方向の寸法を判定できる。
【0004】
回転対称の工作物のための、独国特許出願公開第4030994(A1)号明細書に記載された試験装置では、機械的プローブと光学測定装置とが提供される。これらは測定される回転対称の工作物に対して半径方向において互いに反対側に配置される。光学測定装置の位置は、光学測定装置の生成されるビームストリップ内に工作物が最大半分まで進入するように決定される。ビームストリップは、工作物の輪郭において、測定点における接線方向に平行に方向付けられる。工作物は最大半分までビームストリップ内に進入するため、工作物の輪郭の測定は、最もシャープな結像を伴う点において行われ、従って正確な測定が可能になる。
【0005】
シャフトを測定するための様々な光学測定装置が従来技術から知られている。例えば本願出願人は、シャフトの測定を可能にする「MarShaft Scope」タイプの光学測定機を販売している。そのような光学測定装置は2つの光学ユニット、具体的には光源ユニットと受光ユニットとを、例えば、透過光内のシャフト又は別の対象物を測定するために有し得る。テレセントリック光学ユニットをこの目的のために使用することも知られており、なぜならテレセントリック光学ユニットを用いれば、対象物からの距離とは無関係にサイズを判定できるからである。
【0006】
実際には多くの課題が依然として存在する。テレセントリック受光ユニット及びテレセントリック光源装置を使用した場合でも測定不正確性は発生し得、これは特に、シャフトの2つの平面表面の間で長さ測定が行われる場合に影響を及ぼし、平面表面とは例えば、シャフトの2つの異なる直径の円筒形部分が互いに接触する位置におけるものである。更なる課題は、光学ユニットの光学軸が互いに相対的に傾いた場合、及び/又は互いにずれた場合に測定誤差が発生するという事実にある。
【0007】
既知の機器を起点として、本発明の目的は、光学測定装置のための保持機器であって、その保持機器は測定誤差を減らすために役立ち、かつ経済的に生産され得る、保持機器を作成するという目的であると考えることができる。
【0008】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する保持機器によって達成される。
【0009】
保持機器は、光学測定装置における使用のためにセットアップされる。保持機器は、測定装置に備えられる各光学ユニットのための、すなわち光源ユニットのための、及び受光ユニットのための、少なくとも1つの保持ユニットを有する。各保持ユニットは第1のベアリング装置と第2のベアリング装置とを有する。保持ユニットの2つのベアリング装置は、関連する光学ユニットの光学軸又は機械軸の方向において互いに隔てて配置される。機械軸は、光学ユニットの中央の縦軸であり、これは一般に光学軸とほぼ一致する。
【0010】
各ベアリング装置は、第1のベアリング位置における第1のベアリング要素と、第2のベアリング位置における第2のベアリング要素と、第3のベアリング位置における第3のベアリング要素とを有する。ベアリング位置は光学軸の周囲に、周方向において分散される。周方向におけるベアリング位置同士の間の距離は、すぐ隣のベアリング位置同士の間でそれぞれ異なってもよい。ベアリング装置につき正確に3つのベアリング位置が光学軸の周囲の周方向において好ましくは設けられ、これにより、冗長性なしに、光学軸に相対的な放射状方向における明確な位置が予め規定され得る。
【0011】
第1のベアリング要素及び第2のベアリング要素、及び好ましくは第3のベアリング要素も位置決め可能である。位置決めのために、第1、第2、及び第3のベアリング要素は、各場合においてそれぞれ第1、第2、又は第3の調節軸に沿って、光学軸又は機械軸に近付くように、あるいは光学軸又は機械軸から離れるように移動されてもよく、そして所望の位置において固定されてもよい。第1の調節軸、第2の調節軸、及び第3の調節軸は、光学軸に対して実質的に直角に方向付けられる。これらの調節軸の実質的に直角の向きは、第1の調節軸又は第2の調節軸又は第3の調節軸の間の角度が最大で30°又は15°又は10°の値だけ直角から逸脱することを意味すると理解される。
【0012】
この配置の結果として、光学ユニットを、3つのベアリング要素を用いて光学軸に対して横方向に位置決めすることが可能である。保持ユニットの2つのベアリング装置は光学軸又は機械軸に沿って互いに隔てて配置されるため、保持ユニット内に保持される光学ユニットの光学軸の、測定装置の基準軸に相対的な傾きが加えて提供され得、基準軸は例えば、更なる光学ユニットの光学軸であり、測定される対象物がその周りに回転可能に取り付けられるものである。このようにして、保持ユニットを用いて、光学ユニットの光学軸を、少なくとも1つの他の基準軸に相対的に方向付けることが可能である。従って、光学ユニットの誤整列による測定不正確性は減少され得る。光学軸の可能な最大の傾き調節は、個々のベアリング要素の、調節軸に沿った可能な変位経路と、保持ユニットの2つのベアリング装置の間の、光学軸又は機械軸に沿った距離とによって決まる。可能な最大の傾き調節は、例えば5.2°であってもよい。
【0013】
調節はベアリング要素を用いて容易に行われ得る。例として、ネジ付きボルトがベアリング要素として働いてもよい。
【0014】
1つ以上又は全ての調節軸は、光学軸に対して実質的に放射状に方向付けられてもよい。
【0015】
また、ベアリング装置の第1の調節軸と第2の調節軸と第3の調節軸とが共通の調節平面内に配置される場合、有利である。このようにして、ベアリング装置の関連するベアリング要素の位置決めが、光学軸の傾きに関して実質的に同じ効果を有することが保証される。
【0016】
好ましい例示的実施形態では、保持ユニットのベアリング装置の調節平面は互いに平行に方向付けられる。これにより保持ユニット内の光学ユニットの調節は簡素化される。
【0017】
好ましい実施形態では、各保持ユニットは、第4のベアリング位置における第4のベアリング要素を有する。第4のベアリング要素は第4の調節軸に沿って位置決め可能である。第4の調節軸は、光学軸又は機械軸に実質的に平行に方向付けられる。実質的に平行な向きは、第4の調節軸の間の角度が最大で30°又は15°又は10°であることを意味すると理解される。例として、光学ユニットのテレセントリック領域(telecentric region)又は被写界深度領域(depth of field region)は、第4の調節軸に沿って位置決め可能な第4のベアリング要素を用いて、光学又は機械軸の方向において位置決めされ得る。光学又は機械軸に沿った可能な最大の調節経路は、例えば4mmであってもよい。
【0018】
加えて、少なくとも1つの保持ユニットが、光学軸に対して実質的に直角に方向付けられた枢動軸の周りで枢動され得、枢動された位置において固定され得る場合、有利である。光学軸に対して実質的に直角に延在する枢動軸は、枢動軸と光学軸との間の角度が最大で10°又は5°だけ直角から逸脱することを意味すると理解される。枢動可能性により、光学軸は基準軸に相対的に直角に方向付けられることが可能である。枢動軸は好ましくは、光学軸の方向において、保持ユニットの調節軸から隔てて配置される。枢動軸は好ましくは、調節平面に平行に方向付けられる。
【0019】
保持機器の好ましい実施形態では、各光学ユニットのための2つの保持ユニットが備えられる。2つの保持ユニットは、光学軸に平行に互いに隔てて配置される。光学軸は2つの保持ユニットによって互いに相対的に方向付けられ得る。目的は、光学軸を平行に、及び好ましくは一直線に整列するように方向付けることである。
【0020】
2つの保持ユニットが共通の支持部上に配置される場合、有利である。支持部は、分離点及び接合部なしに一体的に形成されてもよい。支持部は好ましくは軽量の構成要素として、特に成形体(profile body)として形成される。例として、支持部は押出成形(extruded profile)によって生産されてもよい。支持部は、金属又は金属合金からなってもよい。
【0021】
保持ユニットの枢動可能性を提供するために、支持部が、枢動軸の周りで枢動可能かつ所望の枢動された位置において固定可能であるようにボディ上に配置される場合、有利である。このようにして、互いに相対的に方向付けられた、かつ好ましくはベアリング装置のベアリング要素によって一直線に整列された光学ユニットの光学軸は、一緒に枢動され得、従ってそれらは基準軸に相対的に所望の向きを取り、例えば基準軸に対して直角に方向付けられる。
【0022】
支持部が枢動可能に配置されたボディが、移動可能に案内される様態で案内装置上に取り付けられる場合、好ましい。ボディは、例として、直線的に移動可能なキャリッジを形成してもよい。従って両方の測定ユニットが、移動可能に案内されるボディを用いて、例えば直線的に、経路に沿って一緒に移動してもよい。
【0023】
少なくとも1つの、特に両方の、備えられる光学ユニットは、好ましくはテレセントリック光学ユニットとして形成される。枢動軸が、テレセントリック光学ユニットのテレセントリック領域、特に両方のテレセントリック光学ユニットの両方のテレセントリック領域を通過するように配置される場合、好ましい。
【0024】
上述の保持機器は、少なくとも1つの光学ユニット、好ましくは少なくとも1つのテレセントリック光学ユニットを含む光学測定装置における使用のためにセットアップされることが好ましい。測定装置は、対象物上の、好ましくはシャフト上の平面表面を測定するために設計される。平面表面は特に、シャフトの長手方向軸に対して傾いて又は直角に延在する。
【0025】
保持機器の有利な実施形態は、従属請求項、説明、及び図面から明らかになる。本発明の好ましい例示的実施形態について、図面に基づいて以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】光学測定装置の例示的実施形態の斜視図を示す。
図2】鉛直方向の視野における、図1の測定装置の、ブロック図に類似した図を示す
図3図1及び図2による測定装置の保持機器の例示的実施形態の斜視図を示す。
図4】光学ユニットの光学軸にほぼ並行な縦方向における、図3の保持装置の図を示す。
図5】平面表面を有するシャフトの測定の間の、図1及び図2による光学測定装置のテレセントリック領域の、ブロック図に類似した概略図を示す。
図6】保持機器の例示的実施形態のベアリング装置の、第4のベアリング位置の領域内の、ブロック図に類似した部分図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1及び図2は、対象物、例えばシャフト11、特にシャフト11上の平面表面12を測定するための光学測定装置10の実施形態を示す。平面表面12を有する例示的なシャフト11は、図5に概略的に示されている。測定される対象物は回転対称であってもよいが、そうである必要はない。
【0028】
光学測定装置10は、図1及び図2に示す例示的実施形態では、本体13を有する。案内柱14が本体13に固定され、本体13から開始して鉛直方向Hに延在する。案内装置15が案内柱14上に備えられ、これは本例によれば、鉛直方向Hにおいて互いに平行に延在する2本の案内レール16によって形成される。キャリッジ17が、鉛直方向Hにおいて変位可能に案内される様態で、案内装置15上に配置される。
【0029】
鉛直方向H、縦方向L、及び横方向Qはデカルト座標系を形成する。
【0030】
本明細書に示す例示的実施形態では、回転テーブル20が本体13上に配置され、この回転テーブルの回転軸Dは鉛直方向Hに平行に、従って案内柱14に平行に方向付けられる。回転テーブル20は、回転駆動装置21によって回転軸Dの周りを駆動されてもよい。
【0031】
心押台22が、手動で及び/又はモータ駆動の様態で変位可能であるように案内柱14上に配置される。測定のために、シャフト11は、心押台22と回転テーブル20との間に配置され保持されてもよい。この目的のために、マンドレル23が、この例示的実施形態では心押台22上及び回転テーブル20上の両方に備えられる。シャフト11は、各端面上に配置された対応する調心穴において、2つのマンドレル23の間に受け入れられてもよく、そして回転軸Dの周りを回転可能に保持されてもよい。
【0032】
光学測定装置は2つの光学ユニット25を有し、これらは本例によればテレセントリック光学ユニット25として形成される。一方の光学ユニット25は光源26であり、他方の光学ユニット25は受光器27、例えばマトリックスカメラ又はラインスキャンカメラである。2つのテレセントリック光学ユニット25は、回転軸Dを基準にして反対側に向かい合って配置される。各光学ユニット25は光学軸を有し、光源26の光学軸は第1の光学軸O1として示され、受光器27の光学軸は第2の光学軸O2として示される(図2図3、及び図5)。
【0033】
2つの光学ユニット25の取り付け及び調節のために、保持機器30が備えられる。保持機器30は、各光学ユニット25のための保持ユニットを有する。2つの保持ユニット31は、例示的実施形態では共通の支持部32上に配置される。支持部32は、例示的実施形態では枢動軸Sの周りを枢動可能に取り付けられる。枢動軸Sは横方向Qにおいて延在する。支持部32は横方向Qに対して直角に延在し、例として、実質的に縦方向Lにおいて延在してもよい。しかし枢動可能性により、支持部32は縦方向Lに対して傾いて延在することも可能である。
【0034】
枢動軸Sの周りの支持部32の枢動ベアリングが図2に概略的に示されている。枢動ジャーナル33が支持部32をボディ34に接続し、ボディ34上に支持部32は枢動可能に取り付けられる。ボディ34は、例示的実施形態ではキャリッジ17によって形成される。支持部32のこの枢動ベアリングによって、光学ユニット25の光学軸O1、O2は枢動軸Sの周りを一緒に傾き得る。従って光学軸O1、O2を基準軸に対して直角に、例えば回転軸Dに対して直角に方向付けることが可能である。
【0035】
所望の枢動された位置において、支持部32と、ボディ34又はキャリッジ17とは互いに固定され、これにより所望の枢動された位置が保持され、測定装置10の動作の間、変化しないままとなる。枢動軸Sの周りの枢動可能性は、測定装置10の最初の試用時の、又は修理又は保守の後の、測定装置の較正に役立つ。測定動作の間、枢動軸Sの周りの枢動移動は発生しない。
【0036】
各保持ユニット31は、第1のベアリング装置37と第2のベアリング装置38とを有する。保持ユニット31の2つのベアリング装置37、38は、当該の光学軸O1又はO2の方向において互いに隔てて配置される。ベアリング装置37、38は、特に図3及び図4においてより詳細に見ることができる。各ベアリング装置37、38は、第1のベアリング位置39又はベアリング点における第1のベアリング要素40と、第2のベアリング位置41又はベアリング点における第2のベアリング要素42と、第3のベアリング位置43又はベアリング点における第3のベアリング要素44とを有する。ベアリング要素40、42、44のうちの少なくともいくつかは位置決め可能である。従って当該のベアリング位置39、41、43は空間内で、及び本例によれば当該の光学軸O1、O2に対して直角にシフトされてもよい。各ベアリング位置39、41、43において、当該のベアリング要素40、42、44は、関連する光学ユニット25と接触する。ベアリング位置39、41、43を位置決めした場合、光学ユニット25はそれにより位置決め又は調節される。
【0037】
例示的実施形態では、第1のベアリング要素40は第1の調節軸J1に沿って位置決めされ得、第2のベアリング要素42は第2の調節軸J2に沿って位置決めされ得、第3のベアリング要素44は第3の調節軸J3に沿って位置決めされ得る。関連する調節軸J1、J2、J3に沿ってベアリング要素40、42、44を位置決めする可能性は、図3及び図4における両方向矢印によって、並びに図2における描画平面内の及びそれに垂直な矢印によって示されている。関連する調節軸J1、J2、J3に沿ってベアリング要素40、42、44を位置決めする可能性は全てのベアリング装置37、38に備えられるが、図3及び図4のそれぞれにおいては、わかりやすくするために、これは第1のベアリング装置37についてのみ示されている。
【0038】
第1、第2、及び第3の調節軸J1、J2、J3は、例示的実施形態では、共通の調節平面内にそれぞれ配置される。ここで、第1のベアリング装置37は第1の調節平面E1を形成し、第2のベアリング装置38は第2の調節平面E2を形成する。2つの調節平面E1、E2は、本明細書に記載する例示的実施形態では互いに平行に方向付けられる。
【0039】
特に図4において見ることができるように、第1、第2、及び第3の調節軸J1、J2、J3は、例示的実施形態では共通点において、好ましくは関連する光学軸O1又はO2において互いに交差する。
【0040】
枢動軸Sは調節平面E1、E2に平行に延在する。保持ユニット31に関連する光学ユニット25は、各調節平面E1、E2内で両方の次元又は自由度において位置決めされてもよい(図2)。従って関連する光学軸O1、O2は、支持部32、又は枢動軸S、又は回転軸D、又は測定装置10の別の基準部に相対的に傾けられるか又は傾斜され、結果として方向付けられてもよい。従って、保持ユニット31ごとに正確に2つのベアリング装置37、38が備えられる。
【0041】
各光学ユニット25について、2つのベアリング装置37、38を有する対応する保持ユニット31が備えられるため、2つの光学軸O1、O2は互いに相対的に、及び/又は少なくとも1つの基準軸(例えば回転軸D)に相対的に方向付けられ得る。特に、2つの光学軸O1、O2を、それらが互いに平行に延在するように、及び理想的には互いに一直線に整列するように方向付けることが可能である。光学軸O1、O2の誤整列が、単なる例として図3に概略的に示されている。これらの軸は、ここでは角度αで互いに交差する。理想的に方向付けられていない光学軸O1、O2はまた、交差する点なしに互いに対して斜めに延在することもあり得る。ベアリング装置37、38を用いて、これらの誤整列をなくすか又は少なくとも減らすことが可能である。
【0042】
図示された例示的実施形態では、第1のベアリング装置37は、第4のベアリング要素50を有する第4のベアリング位置49又はベアリング点を有する。第4のベアリング位置49において、第4のベアリング要素50は関連する光学ユニット25と接触する。第4のベアリング要素50は第4の調節軸J4に沿って位置決めされ得る。第4の調節軸J4は、当該の光学軸O1又はO2に実質的に平行に、及び本例によれば枢動軸Sに対して直角に延在する。位置決め可能な第4のベアリング要素50を用いて、光学ユニット25は枢動軸Sに近付くように、又は枢動軸Sから離れるように位置決めされ得る。
【0043】
本明細書に示す保持機器30の好ましい例示的実施形態では、ベアリング要素40、42、44、50はそれぞれ調節ネジによって形成される。それらはロックナットによってそれらの位置に固定されてもよい。当該の光学ユニット25に対して、第1又は第2又は第3のベアリング要素40、42、44に開始位置において弾性的に予荷重をかけること、及び上記のベアリング要素を予荷重要素の力に抗して移動可能であるように配置することも可能である。
【0044】
支持部32はその2つの端領域のそれぞれにおいてプリズム状のくぼみ55を有し、それらのくぼみは、本例によれば互いに直角に延在する2つのフランク56によって形成される。2つのフランク56が互いに交差する位置におけるカッティングエッジは、枢動軸Sに対して放射状に方向付けられる。第1のベアリング要素40は、位置決め可能な様態で一方のフランク56内に配置され、第2のベアリング要素42は、位置決め可能な様態で他方のフランク56内に配置され、それらのベアリング要素は本例によればロック可能なネジ接続によって位置決め可能である。
【0045】
各フランク56はその自由端縁において固定フランジ57を有する。2つの固定フランジ57は好ましくは共通平面内で延在する。少なくとも1つの保持クリップ58が固定フランジに固定されてもよく、例えばネジ留めされてもよい。例として、各ベアリング装置37、38は保持クリップ58を有し、その上に第3のベアリング要素44が位置決め可能な様態で配置される。第3のベアリング要素44は、ネジ接続を用いて調節されてもよく、そしてその所望の位置においてロック可能であるように保持クリップ58上に配置されてもよく、又は上述のように、弾性的に予荷重をかけられた様態で予荷重要素の力に抗して移動可能に取り付けられてもよい。
【0046】
保持クリップはU字形状又はV字形状の設計を有する。例示的実施形態では、これは互いに平行に延在する2本の肢を有し、それらの肢の自由端には固定フランジ57が割り当てられる。保持クリップ58の2本の肢59は、支持部32の反対側で接続部60によって相互に接続される。
【0047】
例示的実施形態では、第1の調節軸J1及び第2調節軸J2はほぼ直角を成す。第1の調節軸又は第2の調節軸J1又はJ2と、第3の調節軸J3との間の角度は、各場合において例えば135°である。
【0048】
少なくとも1つの保持要素、及び本例によれば2つの保持要素64が、第1のベアリング装置37の保持クリップ58上に加えて配置される。保持要素64は、保持クリップ58の接続部60にほぼ平行に、2本の肢59の間に延在する。第4のベアリング要素50が一方の保持要素64上に配置され、固定は他のベアリング要素40、42、44と同様に実施される。第4のベアリング要素50を支持する保持要素64は、本例によれば、第1のベアリング装置37の保持クリップ58の、同じ保持ユニット31の第2のベアリング装置38から離れて面する側に配置される。本例により備えられる更なる保持要素64は、保持クリップ58の反対側、すなわち第2のベアリング装置38の方に向いた側に配置される。第4の調節軸J4に沿って調節可能なストップ65がそこに配置されてもよい。
【0049】
この配置は、図6において非常に概略的に示されている。よりわかりやすくするために、保持クリップ58はここには示されておらず、2つの保持要素64のみが示されている。本例による光学ユニット25は環状フランジ66を有し、これは部分的に2つの保持要素64の間に延在する。従って環状フランジ66は第4のベアリング要素50によって作用され得、ストップ65によっても作用され得る。従って光学ユニット25の軸方向位置は、第4の調節軸J4に沿って、又は当該の光学軸O1又はO2に沿って調節され固定されてもよい。ストップ65は、ベアリング要素50と同様に、ネジ接続によって保持要素64上に調節可能に保持されてもよく、そして、ベアリング要素40、42、44、50の場合と同様に、例えばロックナットによってその所望の位置において固定されてもよい。
【0050】
第1のベアリング装置37の第1のベアリング要素40、第2のベアリング要素42、及び第3のベアリング要素44も、環状フランジ66に作用してもよい。
【0051】
測定装置10を用いたシャフト11の測定は、図5において非常に概略的な様態で示されており、ここでは2つの光学ユニット25のみが示されている。2つの光学ユニット25は、2つの光学軸O1、O2が互いに平行に延在し、かつ好ましくはオフセットなしに互いに一直線に整列するように、関連する保持ユニット31によって互いに相対的に方向付けられる。加えて、2つの光学軸O1、O2は、それらが回転軸Dに対して直角に方向付けられるように枢動軸Sの周りを枢動される。
【0052】
光学ユニット25を関連する光学軸O1、O2に沿って変位させることによって、テレセントリック領域Tは回転軸Dの周囲に配置され得る。光源26から照射される光ビームはテレセントリック領域T内で互いに十分に平行であり、これにより、必要な精度で寸法測定が行われることが可能になる。またこれにより、回転軸Dに対して実質的に直角に方向付けられた、シャフト11上の平面表面12の測定も可能になる。
【0053】
シャフト11及びその上に設けられた平面表面12の測定のためにセットアップされる、測定装置10における保持装置30の使用により、光学ユニット25の不正確な向きによって発生する測定誤差は最小にされ得る。光源26の光学軸O1と受光器27の光学軸O2とは互いに相対的に方向付けられ得、理想的には一直線に整列され得る。加えて、光源26と受光器27との間のほぼ中央に最小のテレセントリック偏差を有して提供されるテレセントリック領域Tは、関連する光学軸O1、O2に沿った光源26及び/又は受光器27の位置決めによって、回転軸D又は測定されるシャフトの周囲に配置され得る。
【0054】
本発明は、光学測定装置10のための保持機器30に関する。保持機器30は、測定装置10の、好ましくは2つのテレセントリック光学ユニット25のための2つの保持ユニット31を有する。各保持ユニット31は、第1のベアリング装置37と第2のベアリング装置38とを有する。2つのベアリング装置37、38は、光学ユニットの光学軸O1、O2の方向において互いに隔てて配置される。関連する光学ユニット25のための3つのベアリング要素40、42、44による3点ベアリングが、各ベアリング装置37、38上で提供される。ベアリング要素40、42、44のうちの少なくとも2つは、関連する調節軸J1、J2、J3に沿って位置決めされ得る。調節軸J1、J2、J3は、関連する光学軸O1、O2に対して実質的に直角に延在する。従って光学ユニット25は、調節軸J1、J2、J3によって張られた平面内で変位され得、互いに間隔をあけられた2つのベアリング装置37、38によって傾けられるか又は傾斜され得る。当該の光学軸O1、O2は、両方のベアリング装置37、38上での調節軸J1、J2、J3に沿ったベアリング要素40、42、44の同じ調節によって直角に変位される。
【符号の説明】
【0055】
10 光学測定装置
11 シャフト
12 平面表面
13 本体
14 案内柱
15 案内装置
16 案内レール
17 キャリッジ

20 回転テーブル
21 回転駆動装置
22 心押台
23 マンドレル

25 光学ユニット
26 光源
27 受光器

30 保持機器
31 保持ユニット
32 支持部
33 枢動ジャーナル
34 ボディ

37 第1のベアリング装置
38 第2のベアリング装置
39 第1のベアリング位置
40 第1のベアリング要素
41 第2のベアリング位置
42 第2のベアリング要素
43 第3のベアリング位置
44 第3のベアリング要素

49 第4のベアリング位置
50 第4のベアリング要素

55 くぼみ
56 フランク
57 固定フランジ
58 保持クリップ
59 肢
60 接続部

64 保持要素
65 ストップ
66 環状フランジ

α 角度
E1 第1の調節平面
E2 第2の調節平面
H 鉛直方向
J1 第1の調節軸
J2 第2の調節軸
J3 第3の調節軸
J4 第4の調節軸
L 縦方向
O1 第1の光学軸
O2 第2の光学軸
Q 横方向
T テレセントリック領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6