(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記単独保管ラックの底面は、平板もしくは前記物品又は物品収納容器の移動方向に沿って配置される軸材を含むものであって、前記平板もしくは前記軸材は、前記単独保管ラックを構成する領域内に単一部材としての前記平板もしくは前記軸材がそれぞれ配置され、該それぞれ配置された前記平板もしくは前記軸材がつなぎ材を介して連接されて構成され、前記連接されるそれぞれの前記平板同士もしくは前記軸材同士の表面高さの位置が移動に支障のない範囲でほぼ同一高さであることを特徴とする請求項1に記載の立体自動倉庫。
前記伸縮機構として多段式のアーム、ボールネジ、ラック・アンド・ピニオン又は多節リンクのうちの少なくともいずれかを用いることを特徴とする請求項1に記載の立体自動倉庫。
前記搬送機構に構成される前記伸縮機構の底部には、少なくとも一か所に前記伸縮機構の先端側底部に、保管ラックの棚表面に接する回転体を含む低摩擦ガイド機構を有することを特徴とする請求項1に記載の立体自動倉庫。
【背景技術】
【0002】
従来から、種類も量も増加する一方である倉庫内の物品等を短時間で配送しなければならないという市場のニーズに対応し、立体自動倉庫には、保管効率と物流効率という両立し難い機能の実現が望まれ、様々な立体自動倉庫が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、保管ラックが、水平方向及び垂直方向に碁盤目状に区画されるだけでなく、奥行き方向(保管ラックの水平方向に対して直角方向)にも複数区画され、所定の間隔の通路を介して複数配列されることによって、立体自動倉庫の保管効率を高める一方、通路に配備される水平方向及び垂直方向に位置決め可能なスタッカクレーンに、スタッカクレーンとは独立に保管棚の奥行き方向に走行し、通路に臨む両面の保管ラックとスタッカクレーンとの間又は保管ラック間で物品等を移載できる横行台車を搭載することによって、立体自動倉庫の物流効率を高めることができると記載されている。確かに、保管ラック間で物品等を移載できるため、物流効率の向上が期待される。しかしながら、スタッカクレーン自体による物品等の移載と、スタッカクレーンに搭載され、スタッカクレーンとは独立した横行台車による物品等の移載の併用は、スタッカクレーン及び横行台車を含めた搬送機構を複雑にし、高価な立体自動倉庫になるという問題がある。特に、全ての保管ラックを横行台車が走行可能な構造とすることは、保管棚が所定の間隔の通路を介して複数配列される保管庫を極めて複雑かつ高価なものとすると考えられる。
【0004】
また、特許文献2では、水平方向及び垂直方向に碁盤目状に区画される保管ラックが背面で隣接して一対をなし、その一対の保管ラックが所定の間隔の通路を介して複数配列されており、その通路に水平方向及び垂直方向に位置決め可能なスタッカクレーンが配備された立体自動倉庫において、背面で隣接する2列の保管ラックに渡って物品等を保管することができる保管棚に工夫すると共に、保管ラックとスタッカクレーンとの間で物品等を移載するスライドアームを工夫することによって、立体自動倉庫の保管効率を高めることができると記載されている。具体的には、大きい寸法の物品収納容器2個分の保管ラックに、小さい寸法の物品収納容器を3個保管することができるようにすると共に、3段式のスライドアームをスタッカクレーンに搭載するものである。しかしながら、この場合、スタッカクレーンに搭載されるスライドアームを3段式にした以外に工夫は認められず、通路に面した物品収納容器に物品がある場合の通路に面していない物品収納容器の物品の取扱いや、物品収納容器間の物品移動についても言及されていないため、物流効率を高めることは困難である。
【0005】
このような課題に対して、特許文献3では、次のような解決手段を提案している。水平方向及び垂直方向に碁盤目状に区画されるだけでなく、奥行き方向にも複数区画された保管ラックが、所定の間隔の通路を介して複数配列され、水平方向及び垂直方向に位置決め可能なスタッカクレーンが通路に配備される立体自動倉庫において、スタッカクレーンに備えられる物品等の移載装置が、一方の通路側に位置する物品等をその通路側(前方側)から移載する一部移載状態と、その通路の奥行き側に位置する物品等をその通路側から移載する全体移載状態とを自在に切換可能な制御手段によって動作し、保管ラックの両面から物品等を移載でき、通路側から奥行き方向の位置にある物品等も移載が容易になることが記載されている。しかし、この場合も、通路の両側に面した位置に物品等がある場合の通路に面していない物品等の取扱いや、物品収納容器間の物品移動についても言及されていないため、物流効率を高めることは困難である。
【0006】
一方、特許文献4に示すように、水平方向及び垂直方向に碁盤目状に複数配列する保管ラックと、この保管ラックの背面で隣接する保管ラックとが一対をなし、所定の間隔の通路を介して、複数列設けられており、垂直方向の各段に搬送機構として設けられる走行台車が、通路に臨む両面の保管ラックの物品等の移載を行うと共に、通路に設けられたリフト機構によって、垂直方向に物品等の往復移動が行われる立体自動倉庫が開発されている。確かに、この立体自動倉庫では、特に、垂直方向の各段に搬送機構として設けられる走行台車により、保管効率と物流効率の向上を図ることができたが、走行台車が移動する通路に臨む保管ラック間の物品等の移載は可能であるのに対し、背面で隣接する保管ラック間の物品等の移動を行うことができず、保管ラック全領域の物流効率の改善には至っていない。すなわち、保管ラックの横断方向(水平方向と直角方向)の物流効率が悪いという問題点がある。
【0007】
特に、保管ラックの横断方向の物流効率が悪いため、立体自動倉庫内での物品等の仕分けが不可能であり、予め設定された順序通りに出庫させる順出しを機能させるためには、時間調整や仕分けするためのコンベアが多数配備されなければならず、出庫部付近を中心として大きなスペースを必要としてきた。
【0008】
また、従来の入出庫作業が自動化された立体自動倉庫においては、出庫作業における物品等の処理、例えば、物品等の品種別、送付先方面別、顧客別等の分類、倉庫内の物品等の再配置、整理・整頓、処分等の仕分け作業を効率的に行うことができる搬送方式に着目した技術は認められない。特に、上記保管ラックの横断方向の物流効率が改善された場合、背面で隣接する保管ラック間の物品移動による立体自動倉庫内での物品等の仕分けが可能となり、予め設定された順序通りに出庫させる順出し機能が向上するため、時間調整や仕分けするためのコンベアが不要となると共に、出庫処理能力を大幅に向上させることができる。従って、従来方式ではこれらの問題を解決する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記背景技術を鑑み、水平方向及び垂直方向に碁盤目状に複数配列する保管ラックが、所定の間隔の通路を介して、複数列設けられており、垂直方向の各段に運搬機構として設けられる走行台車が、通路に臨む両面の格納棚の物品等の移載を行うと共に、通路に設けられたリフト機構によって、垂直方向に物品等の往復移動が行われる立体自動倉庫において、立体自動倉庫内の物品等のスムーズな移動、特に格納棚の横断方向への移動、を効率的に行うことができ、立体自動倉庫の稼働システム全体でのロスを低減すると同時に、立体自動倉庫における物品等のスペース占有率を向上させ、総合的な経済効果が得られる保管効率及び物流効率の高い立体自動倉庫の提供を目的とする。ここで、「ロスを低減する」とは、リフトや搬送機構等のメンテナンスを行う際に、装置を強制的に停止することなく、搬送ルートを迂回することで稼働を継続させることも含まれる。
【0011】
また、本発明は、上記立体自動倉庫において、出庫された物品等の処理を効率的に行うことができる搬送方式を備えた立体自動倉庫の提供を目的とする。特に、立体自動倉庫内での物品等の仕分けが可能となる上記立体自動倉庫において生じる出庫処理能力の不足という課題を解決することができる立体自動倉庫の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、立体自動倉庫における特定の移動領域を設け、入出庫部と保管ラックとの間で物品等の移動を行う他、保管ラック内における物品等の移動、および、通路を介さずに互いに隣り合う保管ラック間での移動を可能とするため、立体自動倉庫における高さ方向に同一階にあって互いに隣り合う保管ラックにおいて、奥行き方向に同列に位置する空隙スペースの間で物品等の自在な移動が可能な状態において、搬送機構による物品等の移動が行える構造とすることを特徴とする。
【0013】
すなわち、本発明は、物品等を格納するための棚が多段に設けられ、物品等の格納面がその棚の一側に設けられた外側保管ラックと、物品等を格納するための棚が多段に設けられ、且つ、物品等の格納面がその棚の両側に設けられた物品等を格納面から奥に向かって単数又は複数保管しうる単独保管ラックと、外側保管ラックと外側保管ラックに隣接する単独保管ラックとの間、もしくは、互いに隣接する二つの単独保管ラック間に設けられた通路を走行する搬送機構と、物品等の格納面の奥行き正方向の略全長に亘って物品を引き込むと共に、その引き込まれた物品等を前記物品等の格納面の奥行き逆方向の略全長に亘って移動させることが可能な搬送機構に搭載される伸縮機構と、単独保管ラックを構成する棚であって物品等が奥行き正逆二方向に横断可能に空隙スペースを提供する特定収納棚と、特定収納棚において、同時刻では指示された唯一の搬送されるべき物品等に対して唯一つの搬送機構のみが稼働するようにする手段とを具備することを特徴とする立体自動倉庫である。
【0014】
本発明により、搬送機構が、保管ラックおよび単独保管ラックに保管しうる全ての物品等を保管又は取り出しできるようになり、物品等が単独保管ラック間を自在に移動することが可能となる。より具体的には、物品等を押すかもしくは引くかの何れかによって単独保管ラック内を移動させることができる搬送機構に搭載される伸縮機構は、隣り合う搬送機構に挟まれる単独保管ラック部の幅に相当する長さまで物品等を移動することができるので、単独保管ラックの両側に二台の搬送機構が位置する場合には、いずれか一方の搬送機構に搭載された伸縮機構のみが操作を行い、立体自動倉庫の中間部に位置する単独保管ラックの両側を走行する何れもが物品等の搬送並びに移動に対応可能である。すなわち、伸縮機構を搭載した搬送機構は、それと高さ方向に同一の階の中間部に位置する単独保管ラックにおいて、搬送機構が走行する方向と直角方向である単独保管ラックの奥行き方向に最大幅まで双方向に移動可能となる。そして、下記の物品等の奥行き方向の長さと単独保管ラックの奥行き方向の長さとの関係から明らかなように、最少でも奥行き方向に二列の移動領域が確保され、単独保管ラック間の物品等の移動を効率よく行うことができる。
【0015】
従来の保管ラックにおいては、その奥行き方向の長さをL’とし、搬送対象の物品等の奥行き方向の最大寸法をDとした際に、D<L’<2Dの関係にある。一方、本発明の単独保管ラックにおける奥行き方向の長さをLとすると、物品等の奥行き方向の最大寸法Dに対し、D<L<n×Dの関係にある。すなわち、単独保管ラックは奥行き方向に複数の物品等を保管し得る領域を有した一体型構造であり、重複する機構部材を低減することも可能である。
【0016】
また、本発明は、このような単独保管ラックを構成する棚であって物品等が奥行き正逆二方向に横断可能に空隙スペースを提供する特定収納棚が設けられているため、奥行き方向に位置する複数の空隙スペースを貫通して物品等の移動が行えるという物品移動の自由度が高められる。ここで、空隙スペースとは単独保管ラックの構造内において搬送される物品等が移動する領域を示している。
【0017】
更に、特定収納棚には、同時刻では指示された唯一の搬送されるべき物品等に対して、唯一つの搬送機構のみが稼働することで、異なる場所の搬送機構もしくは搬送機構が有する伸縮機構が接触もしくは衝突することなく、安定した走行と稼働が可能となる。
【0018】
また、このような特定収納棚は、搬送機構が走行する通路に面した単独保管ラックに複数設けることが、立体自動倉庫全体における物品移動の自由度を高める上でより好ましく、その特定収納棚の位置は、単独保管ラックの何れの位置にでも設置されることが可能で、移動指示された物品等によって決まるものであり、倉庫内に保管された物品等の情報を基にした最適な特定収納棚が設定される。
【0019】
一方、本発明の搬送機構は、特に限定されないが、通路内の水平方向および垂直方向に移動可能なスタッカクレーン方式であること、あるいは、通路内の水平方向にのみ移動可能な走行台車方式であることが好ましい。
【0020】
そして、本発明の立体自動倉庫は、物品等が奥行き正逆二方向に横断可能なように空隙スペースを提供する特定収納棚が設定される単独保管ラックの底面は、平板もしくは物品等の移動方向に沿って配置される軸材を含むものであって、平板もしくは軸材は、単独保管ラックを構成する領域内に単一部材としての平板もしくは軸材がそれぞれ配置され、それぞれ配置された平板もしくは軸材がつなぎ材を介して連接されて構成され、連接されるそれぞれの平板同士もしくは軸材同士の表面高さの位置が移動に支障のない範囲でほぼ同一高さであることを特徴としている。この特徴により、本発明の立体自動倉庫を構成する単独保管ラックの強度が維持されると共に、単独保管ラックに設定される特定収納棚における移動がよりスムーズな動きとなり、搬送機構に備えられた伸縮機構を簡略化でき、負荷が少なくなる。
【0021】
従って、このような本発明の立体自動倉庫は、保管倉庫の全領域において、特定収納箇所に保管され移動指示を受けた物品等に対し、搬送機構を単数又は複数用いて別の特定収納箇所に、特定収納棚を経由して移動可能である。因みに、ここに記載の特定収納棚とは、単独保管ラックであって、物品等の移載のための空隙スペースが設けられる棚を意味し、特定収納箇所とは、移動指示を受けた保管ラック内又は単独保管ラック内の特定の収納箇所を意味する。
【0022】
一方、本発明の搬送機構は、特に限定されないが、伸縮機構としては、多段式のアーム、ボールネジ、ラック・アンド・ピニオン又は多節リンクのうちの少なくともいずれかを用いることが好ましい。更に、このような伸縮機構に限らず、伸縮機構の先端側底部の少なくとも一か所に、保管ラックの棚表面に接する回転体を含む低摩擦ガイド機構を有することが伸縮機構の構造に対する負荷を低減する上で好ましい。もちろん、多段式のアーム、ボールネジ、ラック・アンド・ピニオン又は多節リンクにこのような低摩擦ガイド機構を設けることがより更に好ましい。この低摩擦ガイド機構を有することで、保管ラック部の幅に相当する充分な長さまで伸縮する機構の自重による変形がなくなるので、軽量化可能で安定した軸力伝達が可能な伸縮機構部を構成することが可能となる。
【0023】
上記の通り、特定収納棚を設けることで、立体自動倉庫システムにおける保管効率を高めると同時に、リアルタイムで移動の最適ルートを適宜選択しながら一連の動作を行うので、ロスを低減することが可能となる。このロスは、稼働中のロスの低減ばかりではなく、例えば、リフトを点検するとした場合、これまでの技術では、リフトが所掌する範囲の搬送自体は停止せざるを得なかったのに対し、本発明の立体自動倉庫では、異なる所掌範囲の二つのリフトをオーバーラップさせることが可能となるために、非稼働のリフトの所掌範囲を稼働中のリフトで所掌させることによって、全体の搬送系として稼働が停止されず搬送作業を継続することができる。
【0024】
上記本発明の立体自動倉庫システムの全体的な稼働率を上げるために、跨いだ特定収納棚を跨ぐ、搬送機構が走行する通路の下面に浮上式搬送コンベアを設けることがより好ましい。
【0025】
更に、本発明は、上記保管ラックの横断方向への物品等の効率的な移動が可能な立体自動倉庫において、その入出庫部の入庫部および/又は出庫部の近くに、集品容器提示部を設けたことを特徴とする立体自動倉庫である。そして、その入出庫部の入庫部および/又は出庫部に物品等が供給される物品等提示部を設置し、その近くに集品容器提示部が備えられていることがより好ましい。更に、入出庫部に延長搬送手段を介して物品等提示部が設置されることより更に好ましい。
【0026】
この入出庫部は、物品等の搬入と搬出に係わる装置全体をいい、特に出庫部は、物品の処理、例えば、物品等を品種別、送付先方面別、顧客別等に分ける仕分け、倉庫内の物品等の再配置、整理、処分等を行うために、物品等が供給される移載装置であれば限定されるものではないが、入庫部がこの物品等が供給される移載装置を兼ねることも可能である。特に、このような移載装置として、入庫部および/又は出庫部に物品等が提示される物品等提示部を設けることが好ましい。この場合には、物品等提示部の近くに集品容器提示部を設ける。この物品等提示部を設けることによって、立体自動倉庫の物品等の出庫作業における物品等の仕分け作業、並びに、倉庫内の物品等の仕分け作業の自由度を高めることができる。そのため、上記物品等が供給される移載装置およびこの物品等提示部を構成する移載装置は、必要に応じ、一時貯留機構(アキュムレーションコンベア)、速度制御機構、正逆搬送機構、分岐搬送機構、合流搬送機構、および、停止機構の少なくとも一つ以上の機構を有するコンベアで構成されている。
【0027】
ここで、入出庫部あるいは物品等提示部を構成する移載装置と集品容器提示部との位置関係を示す「近く」とは、作業者又はロボット等(以下、「作業者」という。)が実質的に移動することなく、入出庫部あるいは物品等提示部に供給されてきた物品等を取り出し、その取り出した物品等を集品容器に投入しうることが可能であることを意味する。
【0028】
上記入出庫部あるいは上記物品等提示部を構成する移載装置の近くに設けられる集品容器提示部は、作業者が実質的に移動することなく、入出庫部や物品等提示部に供給されてきた物品等を処理できる手段であって、段ボール箱やオリコン等の集品容器や袋やハンガー等の箱状でない容器を順次供給および搬出するコンベアゾーンであれば、特に限定されるものではない。また、物流効率の観点から、集品容器提示部には、種々の集品容器の供給部および搬出部に接続されていることが好ましい。
【0029】
更に、上記物品等提示部は、倉庫の省スペース化や適正なレイアウトおよび動線の構築等の種々の目的に応じて、作業者による物品等の処理を保管ラックの近辺で行う必要はなく、保管ラックから離れたところで行う方が好ましい場合には、すなわち、集品容器提示部を保管ラックから離れたところに設置する方が好ましい場合には、延長搬送手段を介して設けることができる。また、同様に、作業者による物品等の処理を、保管ラックと同一階で行う必要はなく、保管ラックの階下あるいは階上で行うことが好ましい場合には、すなわち、集品容器提示部を保管ラックの階下あるいは階上に設置する方が好ましい場合には、物品等提示部を階下あるいは階上に設置することができる。つまり、物品等提示部及び集品容器提示部は、保管棚が設けられる全ての階及び保管棚のない階においても設置することができる。このような場合には、昇降手段やコンベア等の移載搬送装置を用いた物品等の上下搬送を利用することが好ましい。
【0030】
このような出庫作業を効率的に行える搬送方式を、上記保管ラックの横断方向への物品等の効率的な移動が可能な立体自動倉庫に更に付与すれば、立体自動倉庫のどこからでも所望の物品等を搬出入することができるという上記本発明の特徴を生かして、立体自動倉庫全領域の物品等が入出庫部あるいは物品等提示部に搬送されるので、それらの近くに設けられた集品容器提示部を用いると、作業者が実質的に移動することなく、効率的な物品等の処理、例えば、物品等の品種別、送付先方面別、顧客別等の分類、倉庫内の物品等の再配置、整理、処分等を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0031】
以上、本発明の立体自動倉庫によれば、立体自動倉庫全領域の物品等のスムーズな移動、特に、保管ラックの横断方向のスムーズな移動ができ、立体自動倉庫における物流効率を低下することがなくなる。この結果、立体自動倉庫内での物品等の仕分けが可能となり、予め設定された順序通りに出庫させる順出し機能が向上するため、時間調整や仕分けするためのコンベアが不要となるので、立体自動倉庫の省スペース化を図ることができると共に、出庫処理能力を大幅に向上させることができる。
【0032】
また、本発明の立体自動倉庫によれば、出庫作業における物品等の処理、例えば、物品等の品種別、送付先方面別、顧客別等の分類、倉庫内の物品等の再配置、整理・整頓、処分等の仕分け作業を効率的に行うことができる。特に、上記物品等のスムーズな移動が可能な立体自動倉庫の順出し機能に対応した出庫処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図3】従来の立体自動倉庫の保管倉庫部のより詳しい構成図である。
【
図4】本発明の立体自動倉庫の一実施形態に係る保管倉庫部の構成図である。
【
図5】
図2に示した従来の立体自動倉庫における物品等の流れを示す概念図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る、単独保管ラックと、単独保管ラックであって物品等の横断搬送可能な空隙スペースを提供する特定収納棚と、横断搬送を可能とする伸縮機構を備えた搬送機構とを備えた立体自動倉庫の構成図であると共に、物品等の流れを示す概念図である。
【
図7】本発明の特定収納棚の別の一実施形態を示す保管倉庫部の平面図である。
【
図8A】本発明の一実施形態に係る、単独保管ラックの底面形状の平面図及び断面図である。
【
図8B】本発明の一実施形態に係る、単独保管ラックの底面形状の平面図及び断面図である。
【
図8C】本発明の一実施形態に係る、単独保管ラックの底面形状の平面図及び断面図である。
【
図8D】本発明の一実施形態に係る、単独保管ラックの底面形状の平面図及び断面図である。
【
図8E】本発明の一実施形態に係る、単独保管ラックの底面形状の平面図及び断面図である。
【
図8F】本発明の一実施形態に係る、単独保管ラックの底面形状の平面図及び断面図である。
【
図9】本発明の立体自動倉庫の一実施形態における、物品等が、保管ラックの特定収納箇所から特定収納棚を通過して別の保管ラックの特定収納箇所に移動する経路を示す概念図である。
【
図10】本発明の立体自動倉庫の一実施形態における、物品等が、保管ラックの特定収納箇所から特定収納棚を通過して単独保管ラックの特定収納箇所に移動する経路を示す概念図である。
【
図11】本発明の第1の特定収納棚6における、搬送機構の操作領域を示す図である。
【
図12】本発明の第2の特定収納棚7における、搬送機構の操作領域を示す図である。
【
図13】本発明の搬送機構に備えられた摺動式伸縮機構の一実施形態を示す図である。
【
図14】本発明の搬送機構に備えられた回転体を有する摺動式伸縮機構の一実施形態示す図である。
【
図15】本発明の搬送機構に備えられた回転体を有する蛇腹式伸縮機構の一実施形態示す図である。
【
図16】本発明の一実施態様である、入出庫部の搬出入コンベアの近くに集品容器提示部を設けた出庫搬送方式およびその物品等の流れを示す概念図である。
【
図17】本発明の一実施態様である、入出庫部に物品等提示部を設け、その近くに集品容器提示部を備えた出庫搬送方式を備えた立体自動倉庫およびその物品等の流れを示す概念図である。
【
図18】本発明の一実施態様である、入出庫部に延長コンベアおよび物品等提示部を設け、その近くに集品容器提示部を備えた出庫搬送方式およびその物品等の流れを示す概念図である。
【
図19】本発明の一実施態様である、保管ラックから離れた位置に物品等提示部を設け、その近くに集品容器提示部を備えた出庫搬送方式およびその物品等の流れを示す概念図である。
【
図20】本発明の一実施態様である、保管ラックの階下に物品等提示部や集品容器提示部等を備えた出庫搬送方式を示す概念図である。
【
図21】本発明の一実施態様である、保管ラックの直下に物品等提示部や集品容器提示部等を備えた出庫搬送方式を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、保管ラックの概念図であり、その具体例として、3段5列の保管場所22を有する保管ラック211を示している。
【0035】
図2は、従来の立体自動倉庫の概念図であり、その具体例として、保管ラック211が格納面の背面で隣接して一組の保管ラックを形成し、それが複数配置され、倉庫全体の外側には格納面が一側である外側保管ラック211がその両側に配置されている保管倉庫部2と、コンベア及びリフトで構成される入出庫部4とを有する立体自動倉庫1を示しており、保管倉庫部2には、各保管ラック間の搬送機構のための通路23も含む。なお、本明細書において、物品等5の移動方向を、「水平方向」、「垂直方向」、並びに、「奥行き方向」及び「横断方向」を用いて説明しているが、これらは、それぞれ、
図2のx方向、y方向、並びに、z方向を示している。
【0036】
図3は従来の立体自動倉庫の保管倉庫部2のより詳しい構成図である。保管ラック211が格納面の背面で隣接して一組の保管ラックを形成し、それが複数配置され、倉庫全体の外側には格納面が一側である外側保管ラック211がその両側に配置されている。そして、この場合における、保管ラック211の奥行き方向(
図2のz方向)の長さ(L’)と物品等5の奥行き方向の最大寸法(D)との関係は、D<L’<2Dの関係にあるのが一般的である。
【0037】
図4は本発明の立体自動倉庫の保管倉庫部2の一構成例である。
図3の保管ラック211の長さ(L’)以上の長さ(L)を有し、保管ラック内に支柱や間仕切り等の物品等5の移動の障害となるものがない単独保管ラック212が複数配置され、倉庫全体の外側には格納面が一側である外側保管ラック211がその両側に配置されている。ここでは、単独保管ラック212の長さ(L)は、保管ラック211の略2倍の場合が示されているが、この長さに限定される訳ではなく、物品等5が複数(n個)保管される長さを有するものである。従って、本発明の単独保管ラック212においては、単独保管ラック212の長さ(L)と物品等5の奥行き方向の最大寸法(D)とは、D<L<n×Dの関係にある。
【0038】
図5は、
図2に示した従来の立体自動倉庫における物品等5の流れの一例を示す概念図である。保管ラック211間の通路23を含む保管倉庫部2とコンベア及びリフトを含む入出庫部4とで構成され、同一階では通路23を搬送機構3が走行して物品等5を所定の位置から所定の位置まで搬送するのである。例えば、矢印Aは入庫〜保管の流れの例を示し、保管されるべき保管ラック211が第3のコンベア43と同一階にある場合、第3のコンベア43から送られる物品等5は、保管されるべき保管ラック211と同一階に位置するように移動してきた第2のコンベア42、そして、保管されるべき保管ラック211と同一階にある第1のコンベア41を経由し、搬送機構3に搭載されて所定の位置に保管される。また、矢印Bは保管〜出庫の流れの例を示し、矢印Aとは逆方向に、保管されるべき保管ラック211の所定の位置に保管されていた物品等5は、搬送機構3に搭載されて第1のコンベア41に搬送され、保管されるべき保管ラック211と同一階に位置するように移動してきた第2のコンベア42、そして、保管されるべき保管ラック211と同一階にある第3のコンベア43を経由してその後工程に移動するのである。一方、異なる階との物品等5の搬送は、第2のコンベアが備えられているリフト44が担い、第3のコンベア43から送られる物品等5は、第3のコンベア43と同一階に位置するように移動してきた第2のコンベアに載せられて、リフト44によって、上下階に搬送され、各階に備えられた第1のコンベア41、搬送機構3を経由して保管ラック211の所定の位置に保管される。保管ラック211の所定の位置に保管されていた物品等5の出庫はこの逆の経路を辿る。
【0039】
このように、従来の立体自動倉庫では、搬送機構3による保管ラックの水平方向(x方向)への物品等5の自在な搬送、リフト44による保管ラックの垂直方向(y方向)への物品等5の自在な搬送、および、通路23に面した保管ラックと搬送機構3との物品等5の自在な搬送が可能であったが、保管ラック211の格納面の背面で隣接する保管ラック間の物品移動はできなかった。
【0040】
図6は、
図4に示す保管倉庫部2に備えられた単独保管ラックに加え、単独保管ラックであって物品等の横断搬送可能な空隙スペースを提供する特定収納棚と、横断搬送を可能とする伸縮機構を備えた搬送機構とを備えた、本発明の立体自動倉庫の一実施形態を示す構成図である。それと共に、
図6は、本発明の立体自動倉庫の一実施形態における物品等5の流れを示す概念図である。ここでは、同一階において、保管倉庫部2の両側に格納面が一側である外側保管ラック211が配備され、その間に単独保管ラック212が2台設けられている場合を示している。そして、各保管ラックの間の通路23に搬送機構3が走行する。
【0041】
本発明は、外側保管ラック211及び単独保管ラック212の水平方向に、物品等がz方向の正逆二方向に横断可能とするために、単独保管ラックであって空隙スペースを提供する特定収納棚を設けたこと、並びに、物品等の格納面の奥行き正方向の略全長に亘って物品等を引き込むことができると共に、引き込まれた物品等を格納面の奥行き逆方向の略全長に亘って移動させることが可能な搬送機構に搭載される伸縮機構を設けたことに特徴がある。
【0042】
図6の一実施形態を用いて、本発明の立体自動倉庫における物品等5の流れを説明する。ここでは、物品等5の移動を可能とする空隙スペースを提供する第1の特定収納棚6が、一点鎖線で示されている。この第1の特定収納棚6において、例えば、第2列の単独保管ラック212に保管されている第1の物品等51が第2の搬送機構3bの伸縮機構31により引き込まれ、更に、第2の搬送機構3bを経由して、第3列の前記単独保管ラック212に移動して破線で示す位置に移載されることができる。一方、第1の特定収納棚6において、例えば、第3列の単独保管ラック212に保管されている第2の物品等52が第3の搬送機構3cの伸縮機構31により押し出され、更に、第2の搬送機構3bを経由して、第2列の単独保管ラック212に移動して破線で示す位置に移載されることができる。このように、単独保管ラック212であって、物品等5の移載が可能な空隙スペースを提供する第1の特定収納棚6を設けることによって、同一階におけるz方向の物品等5の移載ができ、更に、搬送機構3のx方向の自在な移動と相まって、同一階の物品等5の仕分けが可能となる。また、
図6では図示されていないリフト44によってy方向の物品等5の移動ができるため、本発明の立体自動倉庫では、保管倉庫部2の全領域の物品等5を自在に移動、仕分けを実現可能となる。
【0043】
図6では、本発明の一実施形態として、第1の特定収納棚6を一点鎖線の領域に設定したが、例えば、
図7に示したように、第2の特定収納棚7を一点鎖線で囲まれた単独保管ラックに設定することもできる。
図6で示した第1の特定収納棚6とは異なり、搬送機構3に備えられた伸縮機構31による引き込みと押し出しとを行うことができる空隙スペースを同一の単独保管ラックに設定したものである。更に、
図6及び
図7のような特定収納棚6及び7は、単独保管ラックであれば、設定される場所は限定されるものではなく、どこにでも設定できる。そして、特定収納棚は、集積された膨大なデータに基づいて統括する一般的な立体自動倉庫の(図示しない)制御部によって、単独保管ラックに空隙スペースが提供されるように設定される。
【0044】
ところで、本発明の単独保管ラック212は、
図4に示したように、従来の保管ラックと比較してz方向に物品等5を数多く保管するため、従来の保管ラックよりも強度が必要である。また、単独保管ラックは、物品等の移載のための空隙スペースを提供する特定収納棚に設定されるため、z方向への物品等の移載が容易に行われなければならない。そこで、以下、
図8A〜
図8Fに、本発明の単独保管ラックの底面形状の種々の実施形態を平面図及び断面図で示す。
【0045】
図8Aは、保管ラック211の奥行き方向の長さL’の略2倍の奥行き方向の長さを有する単独保管ラック212を貫通する状態で平板71が配置され、単独保管ラックの底面を形成する一実施例である。従来の保管ラック211が背面で隣接する場合、平板71が分割され、それぞれが柱によって支えられていた。しかし、本発明の単独保管ラック212の場合、物品等の移載が行われる空隙スペースを提供する特定収納棚となるため、このような柱に代わって、補強部75によって平板71を支える梁構造を設けたことを特徴としている。補強部75は、平板71の撓み量を制御する構造であれば図示する形状に限定されるものではない。
【0046】
図8Bは、
図8Aと同様、保管ラック211の奥行き方向の長さL’の略2倍の奥行き方向の長さを有する単独保管ラック212に2つに分割された平板72が配置され、単独保管ラック212の底面を形成する一実施例であり、図示したような特殊な形状の補強部75によって平板72を支える梁構造を設けたことを特徴としている。
【0047】
図8Cは、保管ラック211の奥行き方向の長さL’の略3倍の奥行き方向の長さを有する単独保管ラック212を貫通する状態で平板71が配置され、単独保管ラックの底面を形成する一実施例である。この場合、
図8Aで示された補強部75を2箇所設けることによって単独保管ラック212の強度を確保している。
【0048】
図8Dは、保管ラック211の奥行き方向の長さL’の略2倍の奥行き方向の長さを有する単独保管ラック212を貫通する状態で2本の軸材73が配置され、単独保管ラック212の底面を形成する一実施例である。この場合、補強部75は軸材73の下から支える筋交い構造が適しているが、軸材73の撓み量を制御する構造であれば図示する形状に限定されるものではない。
【0049】
図8Eは、保管ラック211の奥行き方向の長さL’の略2倍の奥行き方向の長さを有する単独保管ラック212に2つに分割された2本の軸材74が配置され、単独保管ラック212の底面を形成する一実施例であり、図示したような特殊な形状の補強部75によって軸材74を支える梁構造を設けたことを特徴としている。
【0050】
図8Fは、保管ラック211の奥行き方向の長さL’の幅の略3倍の奥行き方向の長さを有する単独保管ラック212を貫通する状態で軸材73が配置され、単独保管ラック212の底面を形成する一実施例であり、
図8C同様、2箇所の補強部75を設けて、単独保管ラック212の強度を確保している。
【0051】
次いで、
図9〜
図10を用いて、特定収納棚を通過して物品等が移動する例を説明する。
【0052】
図9は、移動指示を受けた保管ラック内の特定収納箇所から、特定収納棚6を通過して、別の保管ラック内の特定収納箇所に物品等5が移動する一例で、第1列の保管ラック211の特定収納箇所に保管されていた物品等5を、第4列の保管ラック211の特定収納箇所に移動させる場合のルートを示している。第1列の保管ラック211の特定収納箇所に保管されている破線で示された物品等5が、第1の搬送機構3aにより第2列の単独保管ラック212であって空隙スペースが提供される一点鎖線の領域の第1の特定収納棚6に移載され、第2の搬送機構3bの伸縮機構31の操作により、第3列の単独保管ラック212であって空隙スペースが提供される一点鎖線の領域の特定収納棚6を通過して第3の搬送機構3cにより第4列の保管ラック211の破線で物品等5が示された特定収納箇所に保管される。
【0053】
図10は、移動指示を受けた保管ラック内の特定収納箇所から、特定収納棚6を通過して、別の単独保管ラック内の特定収納箇所に物品等5が移動する一例で、第4列の保管ラック211の特定収納箇所に保管されていた物品等5を、第2列の単独保管ラック212の特定収納箇所に移動させる場合のルートを示している。第4列の保管ラック211の特定収納箇所に保管されている破線で示された物品等5が、第3の搬送機構3cにより第3列の単独保管ラック212であって空隙スペースが提供される一点鎖線の領域の第1の特定収納棚6に移載され、第3の搬送機構3cの伸縮機構31の操作により、この第1の特定収納棚6を経由して第2の搬送機構3bにより第2列の単独保管ラック212の破線で物品等5が示された特定収納箇所に保管される。
【0054】
そして、
図11は、
図6、
図9、及び、
図10に示したように、第1の特定収納棚6が入出庫部4に隣接して設けられ、2箇所の特定収納棚で双方向の移動を行う場合の搬送機構3の操作領域を示す図である。
【0055】
図12は、
図7に示したように、第2の特定収納棚7が単独保管ラック212のほぼ中央部に位置し、1箇所の特定収納棚で双方向の移動を行う場合の搬送機構3の操作領域を示す図である。この第2の特定収納棚は、保管倉庫部2のいずれの位置にある単独保管ラック212にも設定されるが、z方向の搬送機構3の操作領域に変わりはない。これは、全体の物品等5の流れの中で保管ラック211又は単独保管ラック212間をz方向に移動する頻度が少ない場合には有効である。
【0056】
図11及び
図12において、物品等が特定収納棚を通過する例を示したが、あくまでも一例であって、立体自動倉庫全体における物品等の配置や保管ラック又は単独保管ラック間をz方向に移動する頻度等に応じて、特定収納棚の位置や数を任意に設定することが可能である。
【0057】
このような通路23を跨いで設けられる特定収納棚6又は7における物品等5の移動は搬送機構3によって行われるが、特定収納棚6又は7に位置する搬送機構3が走行する通路23の下面に、(図示していない)浮上式搬送コンベアを設け、特定収納棚6又は7における物品等の移動を行うこともできる。この浮上式搬送コンベアによって、搬送機構3の動きとは独立して物品等5の搬送が可能となり、立体自動倉庫システムの稼働効率を大きく高めることができる。
【0058】
ところで、
図13〜
図15には、本発明の物品等のz方向の移動に重要な役割を果たす搬送機構3に備えられた伸縮機構31の特徴を示す。
【0059】
図13は、ガイドレール25に沿って走行ホイール34の回転によって走行する搬送機構3に取付けられた、摺動する複数の板状構造物の組合せによる摺動式伸縮機構32の例を示している。
【0060】
図14は、
図13のC−C破線の矢視図で、本発明の一実施形態に係る伸縮機構32を示す。
図14は、この摺動式伸縮機構32が充分長く伸びても、組み合わせ構造物が常に伸縮方向に対して撓みなどの変形をしないように伸縮機構32の先端部には回転体35を設けることによって、この問題を解決した例である。
【0061】
図15は、本発明の一実施形態に係る、剛性を保持する梁状の両端を交互に組み合わせた蛇腹式伸縮機構33であることを特徴とする伸縮機構である。摺動式伸縮機構同様、スムーズな伸縮移動を行うためには、先端部に回転体35を設けることが好ましい。
【0062】
以上、本発明の立体自動倉庫によれば、立体自動倉庫全領域の物品等のスムーズな移動、特に、保管ラックの横断方向のスムーズな移動ができ、立体自動倉庫における物流効率を低下することがなくなる。この結果、立体自動倉庫内での物品等の仕分けが可能となり、予め設定された順序通りに出庫させる順出し機能が向上するため、時間調整や仕分けするためのコンベアが不要となるので、立体自動倉庫の省スペース化を図ることができると共に、出庫処理能力を大幅に向上させることができる。
【0063】
そこで次に、出庫処理能力の向上に伴って出庫搬送方式を考案した。すなわち、本発明の上記立体自動倉庫において、入出庫部の入庫部および/又は出庫部の近くに、あるいは、入庫部および/又は出庫部に設けた物品等提示部の近くに、集品容器提示部を設けたことを特徴とする出庫搬送方式を備えた立体自動倉庫である。以下、図面により詳細に説明する。
【0064】
図16は、本発明の一実施態様である、入出庫部4の入庫部および/又は出庫部の近くに集品容器提示部10を設けた出庫搬送方式およびその物品等5の流れを示す概念図である。通路23の両側には保管ラック212が設けられており、伸縮アーム31を備えた搬送機構3が通路23を自在に走行することができる。従って、
図6〜8で説明したような伸縮アーム31の動作と搬送機構3の走行によって、同一階の全ての保管ラック212の間における物品移動が自在に可能である。更に、リフト44は、物品等5を保管ラックの高さ方向に移動させることができるので、本発明の立体自動倉庫の全領域の物品等5を自在に移動させることが可能となる。これは、本発明の立体自動倉庫内で物品等5の仕分けができることを意味するものである。
【0065】
特に、同一階の保管ラック212間の物品移動をより具体的に説明する。例えば、通路23に面する同一階の第3の物品等53の位置(1)531と第3の物品53の位置(2)532との物品移動は、搬送機構3に備えられた伸縮アーム31と搬送機構3の走行によって行われる。更に、保管ラック212の第3の物品等53の位置(2)532と第3の物品等53の位置(3)533との物品移動は、
図6〜8で説明したように、伸縮アーム31によって自在に行われる。このように、通路23に設置されたガイドレール25上の搬送機構3の走行および伸縮アーム31の動作によって、同一階の保管ラック212の全領域で、物品移動が自在に行われる。更に、リフト44を使用することによって、同一階にない保管ラック212の物品移動も自在に行われる。
【0066】
ここで、入出庫部4は、物品等5を入出庫するため、搬送機構3に物品等5を移載するための保管ラックの一端に設けられる第1のコンベア41、リフト44、物品等5を入出庫する第3のコンベア43と第1のコンベアとの物品移動の媒介をするためのリフト44に備えられる第2のコンベア42とから構成されている。この第3のコンベア43は、物品等5の様々な出庫処理に対応するため、一時貯留機構(アキュムレーションコンベア)、速度制御機構、正逆搬送、分岐搬送、合流搬送、および、停止の少なくともいずれか一つ以上の機能が付与されたコンベアから構成されている。
【0067】
そして、集品容器提示部10が、物品等5を入出庫する第3のコンベア43に隣接するように設けられており、作業者8は、例えば、搬送機構3、第1のコンベア41、第2のコンベア42を経て、第3のコンベア43に供給される保管ラック212に保管されていた物品等5を取扱う。
【0068】
このような第3のコンベア43と集品容器提示部10との位置関係は、作業者8が実質的に移動することなく、例えば、第3のコンベア43に供給されてきた物品等を取り出し、その取り出した物品等を集品容器9に投入しうる距離や場所のことである。なお、取り出し作業は作業者8による場合だけではなく、ロボット等のマテハン装置を用いる場合もある。
【0069】
また、第3のコンベア43の破線で示した領域45’は、作業者8が集品作業を行うための物品等が提示される、いわゆる、後述する物品等提示部の機能を果たす領域である。
【0070】
更に、空の集品容器9を集品容器提示部10へ供給するための周知のコンベアと分岐機構等からなる集品容器供給部11と、集品された集品容器9を次工程へと搬出するための周知のコンベアと合流機構等を備える集品容器搬出部12が設けられている。ただし、このような集品容器供給部11および集品容器搬出部12の装置や方式は特に限定されるものではない。
【0071】
このように構成された本発明の一実施形態である
図16を用いて、入出庫される物品等5の流れを説明する。例えば、第3のコンベア43を用いて搬送されてきた物品等53について説明すると、物品等53が、第2のコンベア42、第1のコンベア41を経由し、通路23の搬送機構3を用いて、第3のコンベア43と同一階の保管ラック211の指定された保管ラック、例えば、531や532の位置に入庫される。更に、リフト44を使用することによって、別の階の保管ラック211にも入庫することができる。
【0072】
次いで、ある仕向け先への特定の物品等、例えば、物品等53を集品する場合、本発明の立体自動倉庫の全域にある保管ラック212から、搬送機構3、搬送機構3に備えられた伸縮アーム31、第1のコンベア41、第2のコンベア42、および、リフト44を用いて、その仕向け先への特定の物品等53を集品容器提示部10と同一階の保管ラック212の特定の保管ラック、例えば、ここでは、その特定の物品等53を531の位置に仕分けしておく。ここに移動された物品等53は、搬送機構3によって取出され、第1のコンベア41、第2のコンベア42を経由して、第3のコンベア43の535の位置に移動される。ここで、集品容器提示部10が、第3のコンベア43に隣接して設けられているため、作業者8が、実質的に移動することなく、物品等53を処理することができる。物品等53から集品されるものがある場合には、(図示されていない)表示器に従って、作業者8が、移動することなく集品容器供給部11から供給される集品容器9に物品等53の一部を移載し、指示された範囲の数量で集品容器9に収容されたことを確認した後、集品容器搬出部12に送り出される。そして、集品容器提示部10に、集品容器供給部11より次の空の集品容器9が供給される。そして、物品等53は、次の集品作業に備え、再度保管されるため、第3のコンベア43、第2のコンベア42、第1のコンベア41、搬送機構3を経由して531の位置に戻される。しかし、その後の注文状況によっては、物品等53の元の仕分け先531ではなく、状況に応じて、532、533、534等どこにでも仕分け先を変更することができる。一方、第3のコンベア43の535の位置に移動された物品等53の全てが集品された場合には、第3のコンベア43によって立体自動倉庫から搬出される。従って、第3のコンベア43は、物品等53の様々な出庫処理に対応するため、一時貯留機構(アキュムレーションコンベア)、速度制御機構、正逆搬送、分岐搬送、合流搬送、および、停止の少なくともいずれか一つ以上の機能が付与されたコンベアから構成されているのである。
【0073】
集品する物品等が仕分けられた保管ラック212が、集品容器提示部10と同一階の場合は、搬送機構3を用いて、順次、その仕向け先への物品等を搬送し、リフト44を介することなく入出庫部4の端部にある第1のコンベア41へと搬送され、第2のコンベア42を経て、第3のコンベア43に供給される。そして、集品する物品等の保管ラック212が、集品容器提示部10と同一階にない場合は、リフト44に備えられた第2のコンベア42を介して、入出庫部4の端部にある第3のコンベア43へと搬送される。しかし、上述したように、本発明の立体自動倉庫では、ある仕向け先への特定の物品等を集品する場合、立体自動倉庫全域にある物品等から、搬送機構3に備えられた伸縮アーム31、搬送機構3、および、リフト44を用いて、その仕向け先への特定の物品等を集品容器提示部10と同一階の保管ラック212に仕分けしておくように制御される。
【0074】
このような特定の物品等7の移動は、集積されたデータに基づいて、各種コンベヤ、搬送機構、表示器、集品容器等を連動、統括する一般的な立体自動倉庫の(図示しない)制御部によって実行される。
【0075】
なお、ここで、入出庫部4における物品等の搬送順は、立体自動倉庫の制御部によって、同一仕向け先のものとなるように整列されてもよいが、もちろん、同一仕向け先かどうかに限らず配送順が指定されている場合には、そのような順番に物品等を並べ直して搬送することが自在にできる。
【0076】
また、
図16に示された保管ラック212や通路23は、立体自動倉庫の一実施形態の一部であって、それぞれ、4ゾーンおよび3通路に限定されず、更に多数のゾーンや通路であってもよく、同様の機構により、ゾーン間の自在な移動を実現することができる。
【0077】
一方、集品容器提示部10、集品容器供給部11、集品容器搬出部12は、ローラーコンベア等によるとしたが、ローラー以外のコンベア、例えばベルトコンベアや、モノレール、リフト等、コンベア以外の手段であってもよい。
【0078】
更に、集品容器9としては、段ボール箱やオリコン等の容器が好ましいが、それに限定せず、袋やハンガー等の箱状でない容器や、容器のないコンベアのゾーン等であってもよい。
【0079】
このようにして、作業者8は、その位置を実質的に移動する必要がなく、目の前に搬送されてくる物品等5を集品容器9へと移載すればよく、効率的な集品および出庫作業ができる。
【0080】
図17は、入出庫部4の保管ラック212の反対側の端部に、第2のコンベア42と隣接して物品等5が供給される物品等提示部45を設け、その近くに集品容器9を集品のために提示する集品容器提示部10を配備したことを特徴とする本発明の一実施形態である。ここでも、物品等提示部45と集品容器提示部10との位置関係は、作業者8が実質的に移動することなく、入出庫部4の一部を構成する物品等提示部45に供給されてきたある仕向け先の特定の物品等、例えば、53を取り出し、その取り出した物品等5を集品容器9に投入しうる距離や場所にあることである。
【0081】
この物品等提示部45は、
図16における第3のコンベア43の破線の領域45’と同様の機能を果たすものである。しかし、
図17に示す物品等提示部45を設けることによって、立体自動倉庫の物品等の入出庫、出庫作業における物品等の処理、例えば、物品等の品種別、送付先方面別、顧客別等の分類、更には、保管庫内の物品等の再配置、整理・整頓、処分等の仕分け作業の自由度を高めることができる。従って、物品等提示部45は、必要に応じ、一時貯留機構(アキュムレーションコンベア)、速度制御機構、正逆搬送機構、分岐搬送機構、合流搬送機構、および、停止機構の少なくとも一つ以上の機構を有するコンベアで構成される。物品等の流れは、物品等提示部45を経由すること、物品等の搬出入は、専用の装置43で行われることを除き、上述した通りである。
【0082】
更に、
図18は、
図17の第2のコンベア42と物品等提示部45との間に延長コンベア46を設けたことを特徴とする本発明の一実施形態である。この延長コンベア46によって、作業者8の作業環境およびスペース、集品容器供給部11や集品容器搬出部12等が自在に配置できるようになる。延長コンベア46を設けた物品等の流れも、延長コンベア46を経由することを除き変わりなく行われる。
【0083】
特に、
図19に示すように、延長コンベア46を長くすると、立体自動倉庫敷地内において、保管ラックと出庫作業場とが、同一の建屋であっては、建屋内で自由な配置が可能であり、同一建屋内にある必要もない。
【0084】
また、物品等提示部45と集品容器提示部10とから構成される出庫搬送方式が保管ラック212と同一階にない場合の一実施形態として、
図18に示したような構成とすることもできる。
図20は、
図18において、物品等提示部45と集品容器提示部10に加え、延長コンベア46を備えた出庫搬送方式を保管ラック212の階下に配設した場合の、切断線I付近における断面の概念図である。ただし、ここでは、
図18が、物品等提示部45、延長コンベア46、および、集品容器提示部10とから構成される出庫搬送方式を保管ラック212の階下に配設した場合の
図20の平面図を示すものとして説明する。
【0085】
この場合、物品等の流れは、次のようになる。例えば、ある仕向け先の特定の物品等53が、
図18の531の位置に保管されている場合、その物品等53は、搬送機構3に備えられた伸縮アーム31の動作と搬送機構3の走行によって第1のコンベア41を経て、リフト44に備えられた第2のコンベア42の536の位置に搬送される。そして、リフト44を介して、階下に移動された物品等53は、
図20に示した階下の延長コンベア46に移載され、階下の物品等提示部45に搬送される。ここで、作業者8によって、階下の物品等提示部45の物品等53を指示された範囲の数量を取出し、階下の集品容器提示部10に収容される。この物品等53の処理後の物流は、上述した通りであるが、物品等提示部45、リフト44、および、延長コンベア46を経由する。更に、これは、物品等提示部と集品容器提示部とからなる出庫搬送方式をある保管ラックの階下に置いた例であるが、階上に配設することも可能であり、保管ラックのある任意の階に配設することができる。
【0086】
更に、立体自動倉庫の省スペース化を図るために、保管ラックの直下に物品等提示部45、延長コンベア46、および、集品容器提示部10とからなる出庫搬送方式を配設した、本発明の一実施形態の断面の概念図を
図21に示す。このように、物品等提示部45、集品容器提示部10、および、延長コンベア46に加え、集品容器供給部11および集品容器搬出部12を保管ラック212の直下に配設することによって、立体自動倉庫のスペースが大幅に削減可能となる。