特許第6231171号(P6231171)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許62311716−アミノヘキサノイル乳糖(6−amino Hexanoyl Lactose)−NOTA(triazanonane tetraacetic acid)結合物の新規合成法
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  • 特許6231171-6−アミノヘキサノイル乳糖(6−amino  Hexanoyl  Lactose)−NOTA(triazanonane  tetraacetic  acid)結合物の新規合成法 図000009
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231171
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】6−アミノヘキサノイル乳糖(6−amino Hexanoyl Lactose)−NOTA(triazanonane tetraacetic acid)結合物の新規合成法
(51)【国際特許分類】
   C07H 15/26 20060101AFI20171106BHJP
   A61K 51/04 20060101ALN20171106BHJP
【FI】
   C07H15/26
   !A61K51/04 320
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-137080(P2016-137080)
(22)【出願日】2016年7月11日
(65)【公開番号】特開2017-114842(P2017-114842A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2016年7月11日
(31)【優先権主張番号】104143830
(32)【優先日】2015年12月25日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】599171866
【氏名又は名称】行政院原子能委員會核能研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159916
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】陳瑞宇
(72)【発明者】
【氏名】江▲彦▼鋒
(72)【発明者】
【氏名】王美惠
(72)【発明者】
【氏名】王仁聰
(72)【発明者】
【氏名】林武智
【審査官】 伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0107236(US,A1)
【文献】 特開2006−052222(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/101937(WO,A1)
【文献】 国際公開第2002/048163(WO,A2)
【文献】 CHERNYAK, A. Y. et al.,2-Azidoethyl glycosides: glycosides potentially useful for the preparation of neoglycoconjugates,Carbohydrate Research,1992年,Vol. 223,pp. 303-309
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H 15/26
A61K 51/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンゾイル基により保護される乳糖及び臭化水素酸塩に臭化反応を発生させる方法と、
アジ化物により保護されるアミノヘキサノールに糖化反応を発生させて前駆物質を獲得する方法と、
前記前駆物質の保護基除去反応を2つの方法を経て発生させてヘキシルアミン乳糖を獲得し、トリエチルアミンアルカリ性溶媒中で2,2'-(7-(1-carboxy-4-((4-isothiocyanatobenzyl)amino)-4-oxobutyl)-1,4,7-triazonane-1,4-diyl)diacetic acid(p-NCS-benzyl-NODA-GAとの結合反応を発生させ、ヘキシルアミン乳糖-NCS-benzyl-NODA-GA結合物(conjugate)を獲得する方法とを含むことを特徴とする6-アミノヘキサノイル乳糖(6-amino Hexanoyl Lactose)−NOTA(triazanonane tetraacetic acid)結合物の新規合成法。
【請求項2】
臭化水素酸塩は33%の臭化水素酸塩の酢酸溶液であることを特徴とする、請求項1に記載の6-アミノヘキサノイル乳糖(6-amino HexanoylLactose)−NOTA(triazanonane tetraacetic acid)結合物の新規合成法。
【請求項3】
ベンゾイル基により保護される乳糖はpyridine及びbenzoyl chlorideが氷浴環境下で合成されることを特徴とする、請求項1に記載の6-アミノヘキサノイル乳糖(6-amino HexanoylLactose)−NOTA(triazanonane tetraacetic acid)結合物の新規合成法。
【請求項4】
前記臭化反応は、
ベンゾイル化乳糖が無水ジクロロメタンに溶かされる方法と、
氷浴中に臭化水素酸塩がゆっくりと添加される方法とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の6-アミノヘキサノイル乳糖(6-amino Hexanoyl Lactose)−NOTA(triazanonane tetraacetic acid)結合物の新規合成法。
【請求項5】
前記アジ化物により保護されるアミノヘキサノールは6-Bromo-1-hexanolがDMF及びNaN3溶液に溶かされて80℃で反応を完成させることを特徴とする、請求項1に記載の6-アミノヘキサノイル乳糖(6-amino Hexanoyl Lactose)−NOTA(triazanonane tetraacetic acid)結合物の新規合成法。
【請求項6】
前記保護基除去反応は、
前記前駆物質がメタノール(methanol)中に溶かされる方法と、
触媒量のナトリウムメトキシドが添加されて60℃で反応させる方法によってベンゾイル基が除去される方法とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の6-アミノヘキサノイル乳糖(6-amino HexanoylLactose)−NOTA(triazanonane tetraacetic acid)結合物の新規合成法。
【請求項7】
前記保護基除去反応は、
前記前駆物質が1:1のメタノールと水との共溶媒に溶かされる方法と、
パラジウム−炭素が添加されて水素化される方法によりアジ化物基が除去される方法とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の6-アミノヘキサノイル乳糖(6-amino HexanoylLactose)−NOTA(triazanonane tetraacetic acid)結合物の新規合成法。
【請求項8】
前記結合反応はp-NCS-benzyl-NODA-GA及びヘキシルアミン乳糖がトリエチルアミンアルカリ性溶媒で6時間反応されて完成することを特徴とする、請求項1に記載の6-アミノヘキサノイル乳糖(6-amino HexanoylLactose)−NOTA(triazanonane tetraacetic acid)結合物の新規合成法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゾイル基乳糖臭化物及びアジ化物基化アミノヘキサノールがAgOTfを触媒としてジクロロメタン溶媒中でアミノヘキサノールグリコシル化反応を完成させた後、2つの方法により保護を行い、ナトリウムメトキシドによりベンゾイル保護基がそれぞれ除去され、且つパラジウム-炭素水素化反応によりアジ化物保護基が除去され、ヘキシルアミン乳糖が形成される。次に、トリエチルアミンアルカリ性溶媒中でp-NCS-benzyl-NODA-GA(2,2'-(7-(1-carboxy-4-((4-isothiocyanatobenzyl)amino)-4-oxobutyl)-1,4,7-triazonane-1,4-diyl)diacetic acid)に結合されてヘキシルアミン乳糖及びp-NCS-benzyl-NODA-GAの結合物を獲得する新規合成法に関する。
【背景技術】
【0002】
正常な肝細胞の表面には非常に特殊なレセプターを有し、末端に乳糖或いはガラクトシルを含有する糖ペプチドに強力に結合される。この特性を利用し、ヘキシルアミン乳糖或いはヘキソサミンガラクトサミン派生物結合キレート剤が肝細胞のレセプターの標的造影薬物(TWI 392511)として使用されている。従来のヘキシルアミン乳糖の準備はKartha氏の方法(J Carbo Chem 9, 777-781, 1990.)を参照し、一つの方法でアセトブロモb-乳糖(acetobromo b-lactose)の合成を完成させ、その後、Weigel氏等の方法(Carbohydr Res 70, 83-91, 1979.)により6-トリフルオロアセチルアミノヘキシルb-ラクトシド(6-trifluoroacetylaminohexyl b-lactoside)の合成を行う。簡単に説明すれば、β-乳糖はフラスコ中で無水酢酸及びHBr/HOAcにより処理が施され、アセトブロモ糖が形成された後、溶媒量が減少し、エーテルが添加されて再結晶化される。この際、アセトブロモb-乳糖のきれいな結晶が出現する。次に、6-トリフルオロ酢酸アミノヘキサノール及びアセトブロモb-乳糖が、シアン化水銀を触媒として、体積比1:1のトルエン-ニトロエタン中で反応を完成させ、6-トリフルオロアセチルアミノヘキシルb-乳糖が生成される。
【0003】
乳糖アセトキシ基のアセチル基を除去する方法は、化合物及び10mMのsodium methoxideの純アルコール溶液で2時間反応させ、アセトキシ基のアセチル基が除去され、反応生成物を酸性型Dowex 50により中和させた後、濾過液を取得すると共に蒸発乾燥が行われる。
【0004】
トリフルオロ酢酸塩を除去する方法は、10%のアルコール及び10%TEA(triethylamine) を室温で夜通し反応させて完成させる。混合液が抽出乾燥された後、余剰物が水酸化ナトリウム顆粒及び濃硫酸で構成される真空デシケータ(Vacuum desiccator) で乾燥される。アミンの対イオン(counter ion)を除去するため、残留物を50%のアルコールに溶解させると共にDowex 1(H+形) により表層の液体をアルカリ性に変化させ、次に濾過した後、濾過液を抽出乾燥させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した従来の技術では、すなわち、従来のアミノヘキサノールの糖化準備フローチャートでは、先に乳糖をアセチル化するには、pyridine及びacetic anhydrideを使用する反応条件の下で準備を行う。簡潔に述べると、乳糖(1.0 equiv, 20.0 g, 58.4 mmol)が500 mLの反応フラスコ内に入れられ、撹拌棒が入れられると共にpyridine(180 mL)が添加され、且つ溶液が氷浴に移されて撹拌された後、Acetic anhydride(12 equiv, 88 mL, 87.6 mmol)が添加されて撹拌される。TLCを用いて観察し、反応が完成したのを確認した後(溶液が澄んだ黄色になる)、溶液が抽出フラスコ内に移されると共にEtOAc(500mL)が添加される。1MのHCl(aq)(400 mL×4)、NaHCO3(aq)(200 mL×2)、 蒸留水(200 mL)及び飽和食塩水(200m L)により有機相の不純物がそれぞれ除去される。
【0006】
以上のことから、20gの乳糖開始剤によりアセチル基を保護する場合、500mLの反応フラスコ及び1Lの抽出フラスコが必要であることが分かった。但し、乳糖のアセチル化保護方法は保護する場合に脱糖現象が発生し易く、純化が困難であり、且つ最終生成物の生産率が非常に低かった。この方法を拡大適用するには、十分に大きなガラス器材を購入してより多くの溶媒を使用せねばならず、生産率の低さという欠点は解消できない。このような体積の大きい器材及び溶媒を使用すれば、全ての実験作業員がこの反応を楽に操作できるようにならない。
【0007】
以上のように、上述の従来の方法の生産率は約10-15%であり、且つ脱糖現象が発生し易いため、後続のヘキシルアミン乳糖-NCS-benzyl-NODA-GA結合物の量産作業には不向きである。
【0008】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に到った。
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものである。上記課題解決のため、本発明は、6-アミノヘキサノイル乳糖(6-amino Hexanoyl Lactose)−NOTA(triazanonane tetraacetic acid)結合物の新規合成法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、上記目的を達成するための本発明は、合成方法は、ベンゾイル基により保護される乳糖及び臭化水素酸塩に臭化反応を発生させ、アジ化物により保護されるアミノヘキサノールに糖化反応を発生させて前駆物質を獲得し、前駆物質が2つの方法を経て保護反応させてヘキシルアミン乳糖を獲得し、続いて、トリエチルアミンアルカリ性溶媒中でp-NCS-benzyl-NODA-GAに結合されてヘキシルアミン乳糖及びp-NCS-benzyl-NODA-GAの結合物を獲得させる方法を含む。
好ましい実施形態において、臭化水素酸塩は33%の臭化水素酸塩の酢酸溶液である。
好ましい実施形態において、ベンゾイル基により保護される乳糖はpyridine及びbenzoyl chlorideが氷浴環境下で合成される。
【0010】
上述した課題を解決し、上記目的を達成するための本発明は、合成方法は、ベンゾイル基により保護される乳糖及び臭化水素酸塩に臭化反応を発生させ、アジ化物により保護されるアミノヘキサノールに糖化反応を発生させて前駆物質を獲得し、前駆物質の保護基除去反応を2つの方法を経て発生させてヘキシルアミン乳糖を獲得し、続いて、トリエチルアミンアルカリ性溶媒中で2,2'-(7-(1-carboxy-4-((4-isothiocyanatobenzyl)amino)-4-oxobutyl)-1,4,7-triazonane-1,4-diyl)diacetic acid(p-NCS-benzyl-NODA-GAに結合されてヘキシルアミン乳糖及びp-NCS-benzyl-NODA-GAの結合物を獲得させる方法を含む。
【0011】
好ましい実施形態において、保護基除去反応は、前駆物質が1:1のメタノールと水との共溶媒に溶かされる方法と、パラジウム−炭素が添加されて水素化される方法によりアジ化物基が除去される方法とを含む。
【0012】
好ましい実施形態において、結合反応に使用されるキレート剤はp-NCS-benzyl-NODA-GAである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るヘキシルアミン乳糖-NCS-benzyl-NODA-GA合成方法は、本発明により獲得されるヘキシルアミン乳糖-NCS-benzyl-NODA-GA生成物の安定性が高く、生産率も高く、量産方法に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態による6-アミノヘキサノイル乳糖-NCS-benzyl-NODA-GA結合物の構成図及び調製法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
まず、図1は本発明の第1実施形態による6-アミノヘキサノイル乳糖-NCS-benzyl-NODA-GA結合物の構成図及び調製法のフローチャートである。本発明の一実施形態に係るヘキシルアミン乳糖-NCS-benzyl-NODA-GA結合物の合成方法は、以下の方法を含む。
S01:benzoyl chlorideが乳糖に結合されて化合物1ベンゾイル基乳糖が形成される。
S02:化合物1ベンゾイル基乳糖が臭化水素酸塩により臭化され、化合物2ベンゾイル基乳糖臭化物が形成される。
S03:6-bromo-1-hexanolがNaN3に結合され、化合物3azidohexanolが形成される。
S04:化合物2ベンゾイル基乳糖臭化物及び化合物3azidohexanolを使用し、溶媒及び触媒によりグリコシル化反応を発生させ、化合物4アジ化物ヘキシルアミン-ベンゾイル基乳糖化合物が形成され、前記触媒はAgOTfである。
S05:化合物4にナトリウムメトキシドが使用されてベンゾイル基保護が除去されて化合物5アジ化物ヘキシルアミン-乳糖化合物が形成される。
S06:化合物5が触媒により水素化反応を発生させて、アジ化物が除去され、化合物6ヘキシルアミン乳糖が形成され、前記触媒は10%のパラジウムを含む活性炭素である。
S07:化合物6がトリエチルアミンアルカリ性溶媒によりp-NCS-benzyl-NODA-GAに結合されて化合物7ヘキシルアミン乳糖-NCS-benzyl-NODA-GA結合物が形成される。
【実施形態】
【0016】
(第1実施形態:pyridine及び無水酢酸によりアセチル化保護法を実施してヘキシルアミン乳糖を合成する)
以下の式一に、pyridine及び無水酢酸アセチル化保護法によりヘキシルアミン乳糖を合成する合成経路を示す。
【0017】
【化1】
(式一)
【0018】
先ず、乳糖(6.61 g,18.35 mmol)250mLが丸底反応フラスコ内に入れられ、磁石が入れられると共にピリジン(180 mL)が添加され、且つこの懸濁溶液が氷浴に移されて撹拌が行われる。その後、無水酢酸(80 mL)が反応フラスコ内にゆっくりと添加され、且つ氷浴下で10分間撹拌される。次に、反応フラスコが室温に移されて窒素下で18時間反応が行われる。反応の完成後に、溶液が懸濁状態から淡く澄んだ黄色に変化する。続いて、酢酸エチル(300 mL)が添加されると共に反応フラスコの溶液が抽出フラスコ内に移され、且つ1Mの塩酸水溶液(150 mL、三回)により有機層内のピリジンが水層に収集される。そして、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(150 mL、二回)により有機層内の酢酸が水層に集められる。最後に、飽和食塩水(100 mL、一回)により有機層が洗浄される。有機層が三角フラスコに収集され、且つ硫酸マグネシウムが添加されて有機相の残留水分が除去される。その後、濾過により塩類が除去され、減圧濃縮(ウォーターバス50oC) により溶媒が除去され、且つ高真空乾燥により泡状コロイドα、βアセチル化乳糖混合物(12.38 g)が獲得され、生産率は99%に達する。続いて、臭化が行われ、上述のアセチル化乳糖(1.01 g, 1.49 mmol)が50mLの丸底反応フラスコに入れられ、磁石が入れられると共に無水ジクロロメタン(16 mL)が添加される。その後、反応フラスコから氷浴に移されて撹拌され、臭化水素酸塩(33%が酢酸内に溶かされる、2.0 mL)がゆっくりと添加される。反応フラスコが氷浴下に置かれて10分間反応が行われた後に室温に移されて、窒素下で5時間反応が行われる。反応過程では、溶液の色が濃いオレンジ色からコーヒー色に変化する。反応が完成した後、酢酸エチル(120 mL)が添加されると共に抽出フラスコ内に移され、有機層で飽和炭酸水素ナトリウム(50 mL、一回)により臭化水素酸塩及び酢酸が除去される。次に、水(100 mL)及び飽和食塩水(50 mL)により各々一回洗浄が行われる。有機層が三角フラスコ内に収集され、硫酸マグネシウムが添加されて有機相の残留水分が除去される。濾過により塩類が除去された後、減圧濃縮(ウォーターバス40oC)により大部分の溶媒が除去され、この際、淡い黄色の油体になる。次に、エーテル(80 mL)が添加されると共に強く振られて均一になり、白色の固体の生成物が分離され、ブーフナー漏斗が使用されて減圧濾過が行われ、少量の冷たいエーテルにより固体の洗浄が行われる。白色の固体が収集されて2時間高真空乾燥が行われ、臭化アセチル乳糖生成物(0.79 g)が獲得され、生産率は76%になる。注意する点は、この化合物は長時間放置するのに適さず、密封保存する必要があり、準備した後には一週間以内に後続の反応を行う必要がある点である。
【0019】
臭化アセチル乳糖(18.75 g, 26.80 mmol)及びCbzにより保護される6-アミノヘキサノール(10.08 g, 40.11 mmol)が500mLの二つ口反応フラスコ中に獲得され、2時間高真空乾燥が行われる。本実施形態では、Cbzにより6-アミノヘキサノールが保護され、CbzのUV吸収により紫外線ランプの追随反応を発生させ、且つCbzは水素化されるのみで簡単に除去できる。乾燥後に窒素が入れられ、且つ無水ジクロロメタン(200 mL)、Na2HPO4(7.2 g, 50.72 mmol)及び活化後の分子篩(4A MS、約11g)が反応フラスコ内に順に添加される。上述の反応フラスコが氷浴に移されて撹拌が行われ、正圧の窒素の環境で、他の反応フラスコ口にAgOTf(8.37 g, 32.58 mmol)がゆっくりと添加される。材料の添加が完成した後、血清が塞がれると共に室温に移されて、窒素下で5時間反応させる。反応過程では、反応フラスコ内で黄色の固体が分離され(AgBrは黄色である)、その後灰褐色の懸濁液に徐々に変化してゆく。反応の完成後、celiteがG3抽気漏斗に載せられて減圧濾過が行われる。固体が少量の酢酸エチル(約20 mL、繰り返し三回)により洗浄され、濾過液が収集されると共に減圧濃縮により大部分の溶媒が除去される。濃縮後、酢酸エチル(400 mL)が添加されて希釈されると共に抽出フラスコに移される。有機相はそれぞれ1MのHCI(150 mL、洗浄二回)であり、飽和炭酸水素ナトリウム(150 mL)、水(100 mL)及び飽和食塩水(100 mL)でそれぞれ一回洗浄される。有機層は硫酸マグネシウムにより有機相の残留水分が除去され、濾過されると共に減圧濃縮により大部分の溶媒が除去される。粗生成物は短いシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/トルエン 5:5)により初期の分離が行われ、Cbzにより保護される6-ヘキシルアミンアセチル化乳糖生成物(3.52 g)が獲得される。(注意すべきは、Cbz-6-ヘキシルアミンアセチル化乳糖及び臭化アセチル乳糖のカラムクロマトグラフィーの結果は相当近似するため、直接後続の水分解反応を行い、その後に純化を行う点である。)
【0020】
上述のCbz-6-ヘキシルアミンアセチル化乳糖(3.52 g)が無水メタノール(32 mL)に溶かされる。次に、配合された5.4 Mのナトリウムメトキシドメタノール溶液(1.3 mL)が添加されて室温下で3時間反応が行われる。反応の完成後、酸性樹脂(DowexR 50WX8)がゆっくりと添加され、且つ広く普及しているpH試験紙により即時に判定が行われ、pH値が中性の範囲に近付くように調整される。次に、減圧濾過により酸性樹脂が除去され、濾過液が収集されると共に減圧濃縮により溶媒が除去される。段階分離システムが自動的に高速に準備されて純化が行われ、逆相カラムクロマトグラフィー(RP-18)が採用され、測定波長は254nmに設定され、移動相は50%のメタノール/水流速毎分26ミリリットルで溶離が行われる。クロマトグラフ分離の後、生成物領域が収集されると共に減圧濃縮(ウォーターバス温度50oC)が行われ、高真空で乾燥が行われて白色の固体の単鎖乳糖構造生成物(2.26 g)が獲得される。生産率は15%であり、水素化反応が行われた後に等量のヘキシルアミン乳糖が獲得されるが、但し往々にして脱糖副産物を有する。
【0021】
(第2実施形態:無水酢酸及びヨウ素によりアセチル化保護法を実施してヘキシルアミン乳糖を合成する)
以下の式二に、無水酢酸及びヨウ素保護法によりヘキシルアミン乳糖を合成する合成経路を示す。
【0022】
【化2】
(式二)
【0023】
先ず、乳糖(1.0 equiv, 60.0 g, 175.3 mmol)が500mLの反応フラスコ内に入れられ、撹拌棒が入れられると共にAcetic anhydride(12 equiv, 198 mL, 2.10 mol)が添加される。反応フラスコが冷水中に置かれて30分間撹拌される。最後に、I2(50 mg/g sugar, 3 g)が添加される。窒素及び水浴下で6時間反応が行われる。TLCによる観察で、反応の完成が確認された後(溶液が濃黒色を呈する)、溶液が抽出フラスコ内に移されると共にEtOAc(500 mL)が添加され、飽和Na2S2O3(aq)(300mL×4)により抽出され、溶液が濃黒色から淡い透明な黄色の溶液に変化する。次に、有機層が収集され、飽和NaCl(aq)(300 mL)及び飽和NaHCO3(aq)(300 mL×4)によりそれぞれ抽出される。有機層が収集され、Na2SO4が添加されて脱水、濾過、及び減圧濃縮が行われ、高真空で乾燥されてやや茶色の泡状コロイドアセチル化乳糖(104.0 g)が獲得される。次に、アセチル化乳糖の臭化が行われ、アセチル化乳糖(1.0 equiv, 90.0 g, 0.133 mol) が無水CH2Cl2(500 mL)に溶かされて1Lの丸底反応フラスコに入れられる。続いて、反応フラスコが氷浴中でHBr(33% in acetic acid)(150 mL)を添加され、且つ氷浴で20分間反応された後室温に移されて4時間反応が行われる。TLCにより反応の完成が確認された後にCH2Cl2(100 mL)が添加されると共に抽出フラスコに移される。有機層は飽和NaHCO3(aq)(300 mL×2) 及び飽和NaCl(aq)(200 mL)によりそれぞれ抽出される。有機層が収集されてMgSO4により脱水、濾過、及び減圧濃縮が行われて大部分の溶媒が除去される。エーテル(700 mL)が添加されると共に強く振られて均一になった後、白色の固体生成物が分離される。濾過が行われると共に少量の冷たいエーテルにより固体が洗浄される。白色の固体が収集されて2時間高真空乾燥が行われ、臭化アセチル乳糖生成物(23.63 g)が獲得される。
【0024】
次に、臭化アセチル乳糖(1.0 equiv, 54.0 g, 77.2 mmol)及びCbzアミノヘキサノール(1.5 equiv, 29.1 g, 115.8 mmol)が1Lの反応フラスコに入れられ、2時間高真空乾燥が行われる。無水CH2Cl2(500 mL)、Na2HPO4(2.0 equiv, 21.9 g, 154.4 mmol)及び活化後の分子篩(4A MS、約35 g)が反応フラスコ内に順に添加される。そして、反応フラスコが氷浴下に移されて30分間撹拌されて平衡になる。最後に、窒素の環境でAgOTf(1.2 equiv, 23.8 g, 92.6 mmol)がゆっくりと添加される。反応フラスコが室温に移され、窒素下で5時間反応が行われる。反応の終結後に、溶液にcelite及びG3抽気漏斗により減圧濾過が行われる。固体は少量のEtOAc(50 mL×3)で洗浄される。濾過液が減圧濃縮により大部分の溶媒が除去される。EtOAc(600 mL)が添加されて希釈されると共に抽出フラスコ中に移される。有機相はそれぞれ1MのHCI(300 mL、洗浄二回)、続いて飽和NaHCO3(aq)(300 mL)、水(100 mL)、飽和NaCl(aq)(100 mL)によりそれぞれ一回洗浄される。有機層が収集されてMgSO4により脱水、濾過、及び減圧濃縮が行われて大部分の溶媒が除去される。粗生成物は短いシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc:toluene = 5:5)で初期の分離が行われ、Cbz-ヘキシルアミンアセチル化乳糖(4.52 g)が獲得される。生成物中には脱糖副産物が存在する。アセチル化後の純化が困難であり、且つ生産率は5%しかない。AgOTfをAg2CO3に変更することも試したが、但し、糖化を行った際には脱糖副産物が生成されてしまい、反応が完成した後の純化がやはり困難であった。Benzyl含有及びCbzにより保護されるアミノヘキサノールにより糖化反応を発生させることで獲得された単鎖benzyl-Cbzヘキシルアミンアセチル化乳糖生成物は、酢酸エステルの保護を解く際に乳糖が脱落する現象が発生し、分子構造の影響による結果と推測される。このため、アセチル化を使用しない乳糖の保護の新しい方法を試した。
【0025】
(第3実施形態:pyridine及びbenzoyl chlorideによりベンゾイル化保護法を実施してヘキシルアミン乳糖を合成する)
以下の式三に、pyridine及びbenzoyl chlorideによりベンゾイル化保護法を実施してヘキシルアミン乳糖を合成する合成経路を示す。
【0026】
【化3】
(式三)
【0027】
先ず、乳糖(1.0 equiv, 15.0 g, 48.8 mmol)が500mLの反応フラスコ内に入れられ、撹拌棒が入れられると共にpyridine(38.0 equiv, 150 mL, 1.86 mol)、Benzoyl chloride(13.0 equiv, 53.0 mL, 64.0 mol)及びDMAP(dimethyl aminopyridine、0.01 equiv, 100 mg, 0.8 mmol)が順に添加され、室温で4時間撹拌される。溶液が抽出フラスコ内に移されると共にEtOAc(200 mL)が添加され、飽和NaHCO3(aq)(300mL×2)により抽出されて有機層が収集される。MgSO4が添加されて脱水、濾過、及び減圧濃縮が行われ、高真空下で乾燥されて乳白色の固体(38.8 g)が獲得される。ベンゾイル化乳糖(1.0 equiv, 20.0 g, 17.0 mmol)がジクロロメタン(70 mL)中に溶かされ、HBr(33% in acetic acid)(17.5 mL)が添加される。室温で4時間撹拌される。溶液が抽出フラスコ内に移されると共にジクロロメタン(200 mL)が添加され、飽和NaHCO3(aq)(300mL×2)により抽出されて有機層が収集される。MgSO4が添加されて脱水、濾過、及び減圧濃縮が行われ、高真空下で乾燥されて乳白色の固体(18.7 g)が獲得される。
【0028】
次に、臭化ベンゾイル化乳糖(1.0 equiv, 6.0 g, 5.3 mmol)、アジ化物保護アミノヘキサノール(1.5 equiv, 1.2 mL, 8.0 mmol)、分子篩(1.1 g)及びジクロロメタン(12 mL)が獲得される 。−78oCでAgOTf(1.5equiv, 2.1 g, 8.2 mmol)が添加された後に5時間撹拌される。反応の終結後に、溶液がcelite及びG3抽気漏斗により減圧濾過が行われ、固体は少量のEtOAc(50 mL×3)により洗浄される。濾過液は減圧濃縮により大部分の溶媒が除去される。EtOAc(150 mL)が添加されて希釈されると共に抽出フラスコに移される。有機相はそれぞれ1MのHCI(100 mL、洗浄二回)により、その後飽和NaHCO3(aq)(100 mL)、水(100 mL)、飽和NaCl(aq)(100 mL)によりそれぞれ一回洗浄が行われる。有機層が収集されてMgSO4により脱水、濾過、及び減圧濃縮が行われて大部分の溶媒が除去される。粗生成物は短いシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc:toluene = 1:9)により初期の分離が行われ、アジ化物保護ヘキシルアミンベンゾイル化乳糖(3.3 g)が獲得される。次に、アジ化物保護ヘキシルアミンベンゾイル化乳糖(3.3 g)がメタノール(50 mL)中に溶かされ、NaOMe(3 mg)が添加された後、60oCで3時間撹拌される。酸性樹脂(Amberlite IR-120 resin(H+))がゆっくりと添加され、且つ広く使用されるpH試験紙により即時の測定が行われ、pH値が中性の範囲に近付くように調整される。減圧濾過により酸性樹脂が除去され、濾過液が収集されると共に減圧濃縮により溶媒が除去される。アセトン(100 mL)が添加され、減圧濾過を経て固体が収集されてメタノール-水(1:1,20 mL)中に溶かされ、Pd/C(10 mg)が添加された後に水素条件で5時間撹拌され、減圧濾過及び減圧濃縮により溶媒が除去され、ヘキシルアミン乳糖(1.1 g)が獲得される。
【0029】
合成経路は式三に示す。本実施形態の方法は乳糖を開始剤とし、Pyridine及びbenzoyl chlorideの条件でベンゾイル化保護を行う。次に、33%の臭化水素酸塩が添加される酢酸溶液の臭化反応が行われ、benzoylによる保護及び臭化が完成した化合物が獲得される。AgOTf及びmolecular sieveの条件でアジ化物アミノヘキサノールが添加されて反応が行われ、生成物が獲得された後にベンゾイル基及び脱水素反応が行われ、単鎖ヘキシルアミン乳糖が獲得される。本実施形態の方法では脱糖がなく、生産率が約44%にまで上昇し、且つNOTA結合が行われる際に生成物の獲得が成功する。
【0030】
化合物の分析データは、C18H35NO11; PR-TLC(MeOH/1% TFA = 5:5) Rf = 0.64; 1H NMR(300 MHz, CD3OD) δ 4.46(1 H, d, J = 7.2 Hz), 4.28(1 H, d, J = 7.8 Hz), 3.92-3.67(7 H, m), 3.60-3.38(7 H, m), 3.23(1 H, t, J = 7.8 Hz), 2.78(1 H, t, J = 7.8 Hz), 1.67-1.56(4 H, m), 1.43-1.40(4 H, m); 13C NMR(75 MHz, CD3OD) δ 103.93, 103.05, 79.56, 75.91, 75.33, 75.26, 73.64, 73.60, 71.39, 69.53, 69.11, 61.33, 60.76, 40.30, 29.68, 29.35, 26.25, 25.55; ESI-MS: calcd for 442.22, found: m/z 442.22 [M+H]+
【0031】
(第4実施形態:6-アミノヘキサノイル乳糖-NOTA結合物の合成)
以下の式四は、6-アミノヘキサノイル乳糖及びNCS-benzyl-NODA GAの結合反応の合成経路を示す。
【0032】
【化4】
(式四)
【0033】
先ず、6−アミノヘキサノイル乳糖(10 μmol)がTEA/DMF(0.1 mL/1 mL)に溶かされ、p−NCS−benzyl−NODA GA(20 μmol, CheMatech, France. FW=521.59)が添加され、反応を発生させて6時間撹拌される。diethyl ether(30 mL)が添加されて固体が分離され、遠心された後に上澄み液が取り除かれ、diethyl ether(30 mL)が添加され、超音波により5分間振動される。次に、遠心及び上澄み液が取り除かれることで、固体の粗生成物が獲得される。粗生成物は自動的に高速に段階分離システムが準備されて純化が行われ、減圧濃縮及び冷凍乾燥を経た後に6−アミノヘキサノイル乳糖−NCS−benzyl−NODA GA(6 μmol)が獲得され、生産率は約60%である。
【0034】
化合物の分析データは、C41H66N6O18S; ESI−MS: calcd for 963.42, found: m/z 963.42 [M+H]+。
【0035】
(第5実施形態:Cbzによる6−アミノヘキサノールの保護方法)
以下の式五には、Cbzにより6−ヘキシルアミンを保護する方法の合成経路を示す。
【0036】
【化5】
(式五)
【0037】
先ず、6−アミノヘキサノール(8.30 g, 70.8 mmol)及び炭酸カリウム(5.86 g, 40.2 mmol)が100mLの丸底反応フラスコ中に入れられ、磁石が入れられると共に水(35 mL)が添加されて強く撹拌される。その後、エーテル(12 mL)に溶かされるクロロギ酸ベンジル(CbzCl;12.1 g, 70.9 mmol)がゆっくり注入される。室温で夜通し(約15時間、反応過程では白色の固体の顆粒が分離される)反応が行われる。反応の完成後、G3抽気漏斗により減圧濾過が行われると共に固体がそれぞれ少量の水(約20 mL)及びヘキサン(約30 mL)で洗浄される。固体が収集されると共に酢酸エチル(300 mL)により溶解され、抽出フラスコに移されると共にそれぞれ1MのHCI(200 mL)及び飽和食塩水(200 mL)で有機相が各々一回洗浄される。有機相は硫酸マグネシウムにより残留水分が除去され、濾過及び減圧濃縮の後(ウォーターバス45oC)に高真空乾燥が行われ、白色の固体生成物(13.3 g)が獲得され、生産率は74%である。
【0038】
化合物の分析データは、C14H21NO3; TLC(EtOAc/toluene = 5:5) Rf = 0.41; 1H NMR(300 MHz, CDCl3) δ 7.37-7.28(5 H, m), 5.09(2 H, s), 4.77(1 H, br), 3.63(2 H, q, J = 6.3 Hz), 3.20(2 H, q, J = 6.6 Hz), 1.58-1.36(9 H, m); ESI-MS: calcd for 252.15, found:m/z 252.16 [M+H]+
【0039】
(第6実施形態:benzyl Cbzによる6-アミノヘキサノールの保護方法)
以下の式六は、benzyl Cbzにより6-アミノヘキサノールを保護する方法の合成経路を示す。
【0040】
【化6】
(式六)
【0041】
先ず、6-Amino-1-hexanol(1.0 equiv, 8.30 g, 70.8 mmol)及び100 mLのEtOHが250mLの反応フラスコに入れられ、窒素下でbenzaldehyde(1.01 equiv, 7.3 mL, 71.5 mmol)がゆっくりと添加され、且つ50oCで1時間〜16時間反応が行われる(TLCにninhydrinの追随反応が組み合わせられ、展開液はEtOAc:toluene = 4:6である)。反応の終結が確認されると減圧により溶媒が除去される。中間物が250mLの二つ口フラスコに移されて150 mLのMeOHが添加されると共に氷浴で10min撹拌される。次に、窒素下でNaBH4(1.15 equiv, 3.1 g, 81.4 mmol)がゆっくり添加される。投薬が完成すると、反応フラスコが自然に温度を回復し、且つ2時間反応が行われる。反応フラスコの余剰のNaBH4にquenchが行われ、ethanol(3.3 ml, 56.7 mmol)がゆっくりと添加された後、飽和NaHCO3(aq)(100 mL)が添加されて30分間撹拌が行われる。最後に、水層の混合物に300mLのエーテルが添加されて二回抽出が行われ、有機層が収集されると共に200mLまで減圧濃縮が行われる。有機層に100mLの水及びNaHCO3(10.7 g, 127 mmol)が添加される。最後に、CbzCl(1.05 equiv, 10.6 mL, 7.44 mmol) が反応フラスコにゆっくりと添加され、且つ室温で14時間反応が行われる。混合液に150mLのエーテルが添加され、且つ水層が捨てられる。続いて、それぞれ1MのHCI(aq)(200mL)及び飽和NaCl(aq)(200 mL)が各々一回抽出される。有機相が収集されてMgSO4により脱水、濾過、及び減圧濃縮が行われる。外観は黄色の油状物を呈する。
【0042】
(第7実施形態:アジ化物による6-アミノヘキサノールの保護方法)
以下の式七は、アジ化物により6-アミノヘキサノールを保護する方法の合成経路を示す。
【0043】
【化7】
(式七)
【0044】
先ず、市販の開始剤6-Bromo-1-hexanol(1.0 equiv, 7.2 g, 10 mL, 39.9 mmol)が40mLのDMFに溶かされ、100mLの丸底フラスコに添加され、配置が完了したNaN3(3.0 equiv, 9.1 g,120 mmol) in H2Oが30mL添加される。反応フラスコがオイルバスに入れられると共に80℃まで加熱され、還流で24時間反応が行われる。反応フラスコが終結した(溶液が褐色或いは赤褐色を呈する)後に反応フラスコが室温に戻る。飽和NaCl(aq)120mLが添加され、その後、n-hexane(100 mL×3)により抽出が行われ、有機層が収集されてNa2SO4により脱水、濾過、及び減圧濃縮が行われて抽出乾燥される。
化合物の分析データは、C6H13N3O; TLC(EtOAc/Hexane = 3:7) Rf = 0.5; 1H NMR(300 MHz, CD3OD) δ 3.66-3.62(2 H, t, J = 6.0 Hz), 3.30-3.25(2 H, t, J = 6.9 Hz), 1.67-1.54(4 H, m), 1.46-1.36(4 H, m); 13C NMR(75 MHz, CD3OD) δ 62.64, 51.35, 32.50, 28.771, 26.49, 25.30。
【0045】
本発明に係るヘキシルアミン乳糖合成方法によると、本発明で獲得されるヘキシルアミン乳糖の生成物は安定性が高く、生産率も高く、量産方法に適用される。
上述の実施形態は本発明の技術思想及び特徴を説明するためのものにすぎず、当該技術分野を熟知する者に本発明の内容を理解させると共にこれをもって実施させることを目的とし、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。従って、本発明の精神を逸脱せずに行う各種の同様の効果をもつ改良又は変更は、後述の請求項に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0046】
なし
図1