特許第6231186号(P6231186)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6231186音響吸収性が高い硬質ポリウレタンフォーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231186
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】音響吸収性が高い硬質ポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/76 20060101AFI20171106BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20171106BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20171106BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20171106BHJP
【FI】
   C08G18/76 057
   C08G18/48 004
   B60R13/02 A
   B60R13/02 C
   C08G101:00
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-504432(P2016-504432)
(86)(22)【出願日】2013年3月25日
(65)【公表番号】特表2016-514739(P2016-514739A)
(43)【公表日】2016年5月23日
(86)【国際出願番号】CN2013073114
(87)【国際公開番号】WO2014153701
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2016年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ、ボヘンケ
(72)【発明者】
【氏名】イェルン、ボージャン
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ、アルバッハ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リン、シー
【審査官】 久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−014210(JP,A)
【文献】 特開2006−183052(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/060903(WO,A1)
【文献】 特開平01−263110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00−18/87
C08G 101/00
B60R 13/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続気泡の、低温成形可能な、強化された、DIN ISO 4590-86により>50体積%連続気泡含有量の、高い、一様な音響吸収性を有する硬質ポリウレタン(PU)フォームであって、有機ポリイソシアネート成分A
ここで、前記有機ポリイソシアネート成分Aは、
A1)前記有機ポリイソシアネート成分A)に対して0〜10重量%の2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネート、
A2)前記有機ポリイソシアネート成分A)に対して0〜30重量%の2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、及び
A3)前記有機ポリイソシアネート成分A)に対して25〜75重量%の4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート
を含んでなる、
を、成分B
ここで、前記成分Bは、
B1)成分Bに対して10〜70重量%の、ヒドロキシル価が25〜110mgKOH/gであり、数平均官能性が2〜4である、ポリオキシアルキレンポリオール、
B2)成分Bに対して0〜20重量%の、ヒドロキシル価が150〜550mgKOH/gであり、官能性が2である、ポリオキシアルキレンポリオール、
B3)成分Bに対して10〜66重量%の、ヒドロキシル価が300〜900mgKOH/gであり、数平均官能性が2.5〜4である、ポリオキシアルキレンポリオール、
B4)成分Bに対して2.5〜25重量%の、ヒドロキシル価が25〜195mgKOH/gであり、官能性が6である、ポリオキシアルキレンポリオール、
B5)成分Bに対して0〜15重量%の、ヒドロキシル価が195〜500mgKOH/gであり、数平均官能性が2〜5である、オリゴマー状ポリエステルポリオール、
B6)成分Bに対して0〜8重量%のグリセロール、
B7)成分Bに対して2.5〜8重量%の水、
B8)成分Bに対して0.5〜4重量%の、ジアミンの脂肪酸アミドからなる群から選択される触媒、
B9)所望により補助成分及び/又は補助剤、
からなり、NCOインデックスが85〜135である、
と反応させることにより得ることができる、硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
DIN 53420による密度が15〜65kg/mである、請求項1に記載の硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
成分B8)で、再生可能な原料を基剤とする触媒を含んでなる、請求項1に記載の硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項4】
請求項1に記載の連続気泡の、低温成形可能な、強化された、硬質ポリウレタンフォームの、複合体材料における音響吸収材としての使用。
【請求項5】
請求項1に記載の連続気泡の、低温成形可能な、強化された、硬質ポリウレタンフォームの、自動車用室内トリムの製造への使用。
【請求項6】
請求項1に記載の連続気泡の、低温成形可能な、強化された、硬質ポリウレタンフォームを使用することを含んでなる、自動車用室内トリム、屋根ライニング、またはピラートリムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として(>50体積%)連続気泡(DIN ISO 4590-86による)の、低温変形し得る、音響吸収性が高く、一様な気泡構造を有し、自動車用室内トリム、より詳しくは、屋根ライニング及びピラートリム、の製造に好適な硬質ポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
サンドイッチ構造用の内層としての硬質ポリウレタン(PU)フォーム、及びその自動車用室内トリムを製造するための使用は、それ自体公知である。
【0003】
屋根ライニング又はピラートリムとして使用するためのサンドイッチ構造は、現在、通常、対応するサンドイッチパネルからコールドフォーミング製法により製造される。この製法では、硬質PUフォームパネルの両側に、熱硬化性接着剤及び補強材料、例えばガラス繊維及び/又は天然繊維のマット又はウェブ、及び/又はガラス繊維粗紡、及び紙、熱可塑性フィルム及び/又は不織繊維ウェブの外側層、及び所望により装飾層を取り付け、型に入れて温度100〜150℃で、サンドイッチに変形及びプレスする。
【0004】
自動車用室内トリム、自動車屋根ライニング、等の製造に使用されるフォームスラブ(「ボックスフォーミング」と呼ぶ)のバッチ製造の場合、製造されるフォームに望ましい特徴は、高い音響吸収性である。しかし、欧州特許出願公開第0437787A1号に記載されている種類の標準処方のフォームパネルは、中程度の音響吸収レベルしか有していない。さらに驚くべきことに、ブロックの下側区域から得られるフォームパネルは、音響吸収性が著しく低い。例えば、このフォームパネルを自動車屋根ライニングの製造にした場合、これらの自動車屋根ライニングの音響吸収性に差が生じることになり、これは好ましくない。
【0005】
欧州特許出願公開第0437787A1号によれば、密度が25〜30kg/mである熱可塑性の変形し得る硬質PUフォームは、MDI含有量が70〜90重量%であるジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及びポリフェニル−ポリメチレンポリイソシアネートの混合物、その混合物の12〜30重量%が2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートから構成され、10〜30重量%がポリフェニル−ポリメチレンポリイソシアネートから構成される (イソシアネート成分)と、50〜70重量%の、ヒドロキシル価が28〜600である二-及び/又は三官能性ポリオキシアルキレンポリオール、20〜35重量%の、ヒドロキシル価が150〜440である二官能性フタル酸ポリエステル、2〜10重量%のグリセロール、3.5〜7重量%の水、0.3〜1重量%の配合可能な第三級アミン触媒、及び0.1〜2重量%のシリコーンフォーム安定剤からなるポリオール混合物(ポリオール成分)、を反応させることにより製造することができる。そのようなフォームは、中程度の音響吸収性しか有していない。
【0006】
しかし、自動車工業は、車両内部における走行ノイズのレベルは可能な限り低くあるべきなので、より高い音響吸収性レベルを要求している。同時に、良好な音響特性を得るのに、例えば自動車屋根ライニングを形成するフォームの容易な加工性を犠牲にしてはならない。
【0007】
本発明の目的は、主として(>50体積%)連続気泡(DIN ISO 4590-86による)の、コールドフォーミング製法によりプレスして自動車用室内トリムを形成することができる、音響吸収性が非常に高い硬質PUフォームを提供することである。
【0008】
この状況下における連続気泡とは、フォームに存在する気泡の50体積%強が連続気泡であることを意味する。
【0009】
この状況下における高い音響吸収性とは、フォームブロック内の、周波数範囲800〜6350Hzの平均音響吸収が、35%以上、好ましくは40%以上であることを意味する。
【発明の概要】
【0010】
驚くべきことに、六官能性ポリオキシアルキレンポリオールを、非常に好ましくはジアミンの脂肪酸アミド、例えばトール油酸のN,N-ジメチルアミノプロピルアミド、との組合せで、使用することにより、そこから製造されたPUフォームの高い音響吸収性が得られることが分かった。その上、フォームブロックから得た異なった試料の音響吸収レベルは、ほとんど差が無い、つまり音響吸収レベルは、フォームブロックの全区域にわたって同程度である。
【0011】
従って、本発明は、連続気泡の、低温成形可能な、強化された、DIN ISO 4590-86により>50体積%連続気泡含有量の、高い、一様な音響吸収性を有する硬質ポリウレタン(PU)フォームであって、
工業用ポリイソシアネート成分A
ここで、工業用ポリイソシアネート成分Aは、
A1)有機ポリイソシアネート成分A)に対して0〜10重量%、好ましくは0.1〜8重量%の2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネート、
A2)有機ポリイソシアネート成分A)に対して0〜30重量%、好ましくは10〜25重量%の2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、及び
A3)有機ポリイソシアネート成分A)に対して25〜75重量%、好ましくは35〜55重量%の4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート
を含んでなる、
を、成分B
ここで、成分Bは、
B1)成分Bに対して10〜70重量%、好ましくは15〜35重量%の、ヒドロキシル価が25〜110mgKOH/g、好ましくは25〜60mgKOH/gであり、数平均官能性が2〜4である、ポリオキシアルキレンポリオール、
B2)成分Bに対して0〜20重量%、好ましくは5〜20重量%の、ヒドロキシル価が150〜550mgKOH/gであり、官能性が2である、ポリオキシアルキレンポリオール、
B3)成分Bに対して10〜66重量%、好ましくは15〜48重量%の、ヒドロキシル価が300〜900mgKOH/g、好ましくは370〜570mgKOH/gであり、数平均官能性が2.5〜4である、ポリオキシアルキレンポリオール、
B4)成分Bに対して2.5〜25重量%、好ましくは5〜20重量%の、ヒドロキシル価が25〜195mgKOH/gであり、官能性が6である、ポリオキシアルキレンポリオール、
B5)成分Bに対して0〜15重量%の、ヒドロキシル価が195〜500mgKOH/gであり、数平均官能性が2〜5である、オリゴマー状ポリエステルポリオール、
B6)成分Bに対して0〜8重量%のグリセロール、
B7)成分Bに対して2.5〜8重量%、好ましくは5〜7重量%の水、
B8)成分Bに対して0.5〜4重量%の触媒、
B9)所望により補助成分及び/又は補助剤、
からなり、NCOインデックスが85〜135、好ましくは90〜120である、
と反応させることにより、得られる硬質ポリウレタンフォームを提供する。
【0012】
NCOインデックスは、NCO基の数と、NCOと反応し得る基の数の比に、100を乗じたものである。
【0013】
本発明の硬質ポリウレタンフォームは、好ましくはDIN 53420による密度が15〜65kg/m、より好ましくは19〜24kg/mである。
【0014】
本発明の硬質ポリウレタンフォームは、成分B8)で、好ましくは再生可能な原料、より好ましくは脂肪酸を基剤とする触媒を含んでなる。
【発明の具体的説明】
【0015】
本発明の硬質ポリウレタンフォームは、好ましくはバッチ製法で製造する。これらのフォームは、好ましくは自動車用室内トリム、より好ましくは屋根ライニング及びピラートリムの製造に使用する。また、これらのフォームを、建物の内装及び外装又は見本市構造物における音響吸収材として使用することもでき、その場合、燃焼挙動は、建物材料区分(DIN 4102-1又はDIN EN 13501-1)の必要条件を満たす必要がある。この目的には、必要であれば、好適な難燃剤(トリス(1-クロロ-2-プロピル)ホスフェート、トリス(1,3-ジクロロイソプロピル)ホスフェート、トリエチルホスフェート、ポリ臭素化ポリオキシアルキレンポリオール、トリス(2-クロロエチル)ホスフェート、トリクレシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート))を追加する必要がある。
【0016】
本発明のフォームは、好ましくはポリオール処方物Bを、ポリイソシアネート成分Aと、一般的に重量比100:150〜100:200、好ましくは100:165で混合することにより、製造される。この混合は、典型的には、低圧発泡機械、例えばCannon C300又はHennecke HK 5000 Rで行う。ブロックの製造は、好ましくはバッチ様式で、発泡可能な混合物を、後の自動車用ライニングのサイズにより決定される基底部区域を有する、適当なサイズの箱の中に注ぎ込むことにより行う。
【0017】
音響吸収性の測定
フォームの音響吸収性は、Kundt管で測定する。測定は、層厚1cmのフォームで行う。試験試料の直径は3cmであり、Kundt管中に正確に適合する必要がある。
【0018】
Kundt管では、パイプを通過した音波が、試験試料を通して送られ、試験試料により反射され、さらに、試験試料の後ろに隙間無く配置された音響的に硬質な壁から反射される。音源と反射壁との間に配置された2個のマイクロホンを使用して、振幅情報及び相情報を捕らえることにより、入射音波と関連する反射音波の間の振幅比を測定することができる。この振幅比により、吸収程度を求める。
【0019】
使用するポリイソシアネート成分は、好ましくは4,4'-、2,4'-及び2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネート及びポリフェニルーポリメチレンポリイソシアネートの混合物(粗製MDI)を含んでなる。
【0020】
成分B1)として、ヒドロキシル価範囲が25〜110mgKOH/g、より好ましくは25〜60mgKOH/gにあるポリオキシアルキレンポリオールを使用するのが好ましく、これは、好ましくは、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを、三価のポリオール、例えばグリセロール、トリメチルロールプロパン、と、又は二価ポリオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-又は1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、イソソルビド、ネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール、ビスフェノール、等と反応させることにより得ることができる。
【0021】
成分B2)として、ヒドロキシル価範囲が150〜550mgKOH/gにある二官能性ポリオキシアルキレンポリオールを使用するのが好ましく、これは、好ましくは、プロピレンオキシドとポリオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-又は1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、イソソルビド、ネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール、ビスフェノール、等との反応により得ることができる。
【0022】
成分B3)として、ヒドロキシル価範囲が300〜900mgKOH/g、好ましくは370〜570mgKOH/gにあるポリオキシアルキレンポリオールを使用するのが好ましく、これは、好ましくは、プロピレンオキシドとグリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-又は1,3-プロピレングリコール、及び1,4-ブタンジオール、及びグリセロール及び1,1,1-トリメチルロールプロパン、等との反応により得ることができる。
【0023】
成分B4)として、ヒドロキシル価範囲が25〜195mgKOH/gにある六官能性ポリオキシアルキレンポリオールを使用するのが好ましく、これは、好ましくは、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとソルビトールとの反応により得ることができる。
【0024】
使用する触媒B8)としては、反応性水素原子、より詳しくは、ヒドロキシル基、を含む化合物、及び水もそうである、と、有機ポリイソシアネートa)の反応を促進する化合物が挙げられる。意図する化合物としては、有機金属化合物、好ましくは有機スズ化合物、例えば有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えばスズ(II)アセテート、スズ(II)オクトエート、スズ(II)エチルヘキサノエート、スズ(II)ラウレート、及び有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジオクチルスズジアセテート、及び第三級アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルベンジルアミン、N-メチルイミダゾール、N-メチル、N-エチル及びN-シクロヘキシルモルホリン、N,N-N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルブチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキシレン-1,6-ジアミン、ペンタメチル-ジエチレントリアミン、テトラメチルジアミノエチルエーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)尿素、ジメチルピペラジン、1,2-ジメチルイミダゾール、1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン、1,4-ジアザ-ビシクロ[2.2.2]オクタン、及びアルカノールアミン化合物、例えばトリエタノールアミン、トリス-イソプロパノールアミン、N-メチル及びN-エチルジエタノールアミン及びジメチルエタノールアミンが挙げられる。さらに意図する触媒は下記の通りである、即ちアミンオキシド、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、トリス(ジアルキルアミノ)-s-ヘキサヒドロトリアジン、より詳しくは、トリス(N,N-ジメチルアミノ)-s-ヘキサヒドロトリアジン、テトラアルキルアンモニウム塩、例えばN,N,N-トリメチル-N-(2-ヒドロキシプロピル)ホルメート、N,N,N-トリメチル-N-(2-ヒドロキシプロピル)2-エチルヘキサノエート、水酸化テトラアルキルアンモニウム、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、アルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムメトキシド及びカリウムイソプロポキシド、ビスマスの、チタンの、及び亜鉛の塩、及び1〜20個の炭素原子を有し、及び所望によりペンダントOH基を有する脂肪酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩である。
【0025】
イソシアネートと反応性のある第三級アミン、例えばN,N-ジメチルアミノプロピルアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、N,N-ジメチルアミノプロピル-N'-メチルエタノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミノ-2-プロパノール、N,N-ジメチルアミノプロピルジプロパノールアミン、N,N,N'-トリメチル-N'-ヒドロキシエチル-ビスアミノエチルエーテル、N,N-ジメチルアミノプロピル尿素、N-(2-ヒドロキシプロピル)イミダゾール、N-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾール、N-(2-アミノプロピル)イミダゾール、2-((ジメチルアミノ)エチル)メチル-アミノプロパノール、1,1'-((3-(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス-2-プロパノール及び/又は欧州特許出願公開第0629607号に記載されている、エチルアセトアセテート、ポリエーテルポリオール及び1-(ジメチルアミノ)-3-アミノプロパンの反応生成物、及び特にN,N-ジメチルアミノプロピルアミンのトール油酸アミド塩を使用するのが好ましい。
【0026】
本発明で所望により十分に使用できる補助成分及び/又は補助剤B9)のさらなる例は、乳化剤、反応遅延剤、エージング及び気候の影響に対する安定剤、可塑剤、無機難燃剤、リン及び/又はハロゲン含有有機難燃剤、殺真菌及び殺細菌作用を有する物質、顔料及び染料、及びそれ自体公知の通常の有機及び無機充填剤である。乳化剤の例は、エトキシル化されたアルキルフェノール、脂肪酸のアルカリ金属塩、硫酸化された脂肪酸のアルカリ金属塩、スルホン酸のアルカリ金属塩、及び脂肪酸及びアミンの塩でよい。
【0027】
好適なフォーム安定剤及び乳化剤の例としては、シロキサン-ポリオキシアルキレン共重合体、オルガノポリシロキサン、エトキシル化された脂肪アルコール、アルキルフェノール及びひまし油エステル及びリシノール酸エステル、及びベタイン、アミン及び脂肪酸を基剤とするアミンオキシドが挙げられる。
【0028】
活性な気泡開放剤としては、例えばパラフィン、ポリブタジエン、脂肪アルコール及び所望によりポリエーテル変性されたジメチルポリシロキサンが挙げられる。
【0029】
上記補助成分及び補助剤の使用様式及び作用様式に関するさらなる詳細は、例えばKunststoff-Handbuch, Polyurethane, Volume VII, Carl Hanser Verlag, Munich, Vienna, 第2版、1983に記載されている。
【0030】
本発明による連続気泡の、低温成形可能な、強化された、硬質ポリウレタン(PU)フォームは、好ましくは音響吸収材として複合体材料で使用する。
【0031】
本発明による連続気泡の、低温成形可能な、強化された、硬質ポリウレタン(PU)フォームは、好ましくは自動車用室内トリム、より詳しくは、屋根ライニング及びピラートリムの製造に使用する。
【実施例】
【0032】
下記の例は、本発明をより詳細に説明することを目的としている。
【0033】
実施例及び比較例
使用する製品
Niax(登録商標)Silicone SR 234及びNiax(登録商標)Silicone SR 272、Momentive Performance Materialsから、Siフォーム安定剤
【0034】
硬質PUフォームの製造
実施例1
22.7重量部の、ポリエーテルアルコール(B1)、グリセロール/プロピレンオキシド/エチレンオキシドを基剤とし、OH価35mgKOH/g、官能性3、
10.0重量部の、ポリエーテルアルコール(B2)、1,2-プロピレングリコールを基剤とし、OH価260mgKOH/g、官能性2、
41.4重量部の、ポリエーテルアルコール(B3)、グリセロールを基剤とし、OH価450mgKOH/g、官能性3、
8.8重量部の、ポリエーテルアルコール(B4)、ソルビトール/プロピレンオキシド/エチレンオキシドを基剤とし、OH価28.5mgKOH/g、官能性6、
6.0重量部のグリセロール(B6)、 3.0重量部の、トール油酸及びN,N-ジメチルアミノプロピルアミンの反応生成物(B8)、
1.5重量部のシリコーンフォーム安定剤(B9)(Niax(登録商標)Silicone SR 272、Momentive Performance Materialsから) 6.5重量部の水(B7)及び 0.10重量部の、Isopur N 黒色ペースト(B9)、Kuerten, DEのISL-Chemieから
の混合物(成分B)を、
165重量部のジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートの混合物(成分A)、ジフェニルメタンジイソシアネート異性体含有量60重量%及びNCO含有量31.8重量%、A1):有機ポリイソシアネート成分A)に対して13.9重量%の2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート及びA2):有機ポリイソシアネート成分A)に対して44.7重量%の4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、
と混合した。
【0035】
比較例1 31.0重量部の、ポリエーテルアルコール(B1)、グリセロール/プロピレンオキシド/エチレンオキシドを基剤とし、OH価28mgKOH/g、官能性3、
35.05重量部の、ポリエーテルアルコール(B3)、トリメチルロールプロパン/プロピレンオキシドを基剤とし、OH価550mgKOH/g、官能性3、
12.0重量部の、ポリエーテルアルコール(B2)、プロピレングリコール/プロピレンオキシドを基剤とし、OH価512mgKOH/g、官能性2、
15.0重量部の、無水フタル酸、ジエチレングリコール及びエチレンオキシドの反応生成物、OH価300mgKOH/g、官能性2(B5)、
0.50重量部の1,1'-((3-(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス-2-プロパノール及び0.05重量部のビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル(B8)、 0.20重量部のシリコーンフォーム安定剤(Niax(登録商標)Silicone SR 234、Momentive Performance Materialsから) (B9) 5.80重量部の水(B7)及び 0.50重量部の、Isopur N 黒色ペースト(B9)、Kuerten, DEのISL-Chemieから
の混合物(成分B)を、
175重量部のジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートの混合物(成分A)、ジフェニルメタンジイソシアネート異性体含有量60重量%及びNCO含有量31.8重量%、A1):有機ポリイソシアネート成分A)に対して13.9重量%の2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート及びA2):有機ポリイソシアネート成分A)に対して44.7重量%の4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、
と混合した。
【0036】
ブロックサイズ30x30x30cmのブロックを、フォームの音響特性を測定する目的で製造した。さらに、寸法1.0x1.0x0.8〜1.0m及び寸法1.4x2.2x1.0mのブロックを、音響特性の均質性を評価する目的で製造した。10mm及び14mmパネル厚のフォームパネルを試験し、評価した。
【0037】
この目的に、フォームブロック(1.4x2.2x1.0m)の底15cmを切り離した。この区域は、反応の終了時に気泡開放のために欠陥を有していることがあり、従って、あまり好適ではない。その上、フォームブロックのキャップを切り離した(約10cm)。フォームブロックをパネルに分割し、次いでパネルを底部、中央及び上部区域から取り、音響特性をKundt管で測定した。
【0038】
下記の表は、実施例1(フォームブロック1.0x1.0x0.8〜1.0m)から得た音響吸収性を含む。この表は、測定した試料を採取した位置を示す。本発明の状況下では、CTは「角上部」を、CMは「角中央部」を、CBは「角底部」を、MTは「中央上部」を、MMは「中央中央部」を、及びMBは「中央底部」を表す。
【0039】
【表1】
【0040】
フォームの物理的特性も、より均質になる。下記の表は、実施例1(フォームブロック1.0x1.0x0.8〜1.0m)から得た物理的特性を含む。
【0041】
【表2】
【0042】
下記の表は、比較例1(フォームブロック1.0x1.0x0.8〜1.0m)から得た音響吸収性を含む。
【0043】
【表3】
【0044】
下記の表は、比較例1(フォームブロック1.0x1.0x0.8〜1.0m)から得た物理的特性を含む。
【0045】
【表4】
【0046】
六官能性ポリエーテルを使用することにより、平均音響吸収性が高くなり、標準偏差により示されるように均質性が改良されることが分かった。総密度、連続気泡含有量、引張強度及び破断点伸びに関する標準偏差は、これらの特性に関しても、六官能性ポリエーテルの使用により、均質性が改良されることを示す。
【0047】
混合比の変化(実施例2)
下記のフォームは、サイズが約1lの厚紙ビーカー中で、
22.5重量部の、ポリエーテルアルコール(B1)、グリセロール/プロピレンオキシド/エチレンオキシドを基剤とし、OH価35mgKOH/g、官能性3、
10.0重量部の、ポリエーテルアルコール(B2)、1,2-プロピレングリコールを基剤とし、OH価260mgKOH/g、官能性2、
41.4重量部の、ポリエーテルアルコール(B3)、グリセロールを基剤とし、OH価450mgKOH/g、官能性3、
8.7重量部の、ポリエーテルアルコール(B4)、ソルビトール/プロピレンオキシド/エチレンオキシドを基剤とし、OH価28.5mgKOH/g、官能性6、
5.95重量部のグリセロール(B6)、
3.1重量部の、トール油酸及びN,N-ジメチルアミノプロピルアミンの反応生成物(B8)、
1.5重量部のシリコーンフォーム安定剤(B9)(Niax(登録商標)Silicone SR 272、Momentive Performance Materialsから)及び0.2重量部のシリコーンフォーム安定剤(B9)(Niax(登録商標)Silicone SR 234、Momentive Performance Materialsから) 6.45重量部の水(B7)及び 0.50重量部の、Isopur N 黒色ペースト(B9)
を含んでなる混合物(成分B)を、
I)160重量部のジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートの混合物(成分A)、ジフェニルメタンジイソシアネート異性体含有量60重量%及びNCO含有量31.8重量%、[A1):有機ポリイソシアネート成分A)に対して13.9重量%の2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート及びA2):有機ポリイソシアネート成分A)に対して44.7重量%の4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート]、又は
II)180重量部のジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートの混合物(成分A)、ジフェニルメタンジイソシアネート異性体含有量60重量%及びNCO含有量31.8重量%、[A1):有機ポリイソシアネート成分A)に対して13.9重量%の2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート及びA2):有機ポリイソシアネート成分A)に対して44.7重量%の4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート]、又は
III)200重量部のジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートの混合物(成分A)、ジフェニルメタンジイソシアネート異性体含有量60重量%及びNCO含有量31.8重量%、[A1):有機ポリイソシアネート成分A)に対して13.9重量%の2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート及びA2):有機ポリイソシアネート成分A)に対して44.7重量%の4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート]
と、4200rpmで21s、直径6.5cmの攪拌機プレートを有するPendraulic攪拌機を使用して混合することにより製造された。
【0048】
下記の表は、比較例1(フォームブロック約0.3x0.3x0.3m)から得た音響吸収性を含む。高さは幾分変わっており、混合比が増加するにつれて31.8cmから29.0cmに減少する。試験試料は、フォームの中央から採取した。
【0049】
【表5】
【0050】
この表から分かるように、全ての混合比で高い音響吸収性が得られる。
【0051】
実施例3
【表6】
の混合物(成分B)を、
160重量部の、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートの混合物(成分A)、ジフェニルメタンジイソシアネート異性体含有量60重量%及びNCO含有量31.8重量%、[A1):有機ポリイソシアネート成分A)に対して13.9重量%の2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート及びA2):有機ポリイソシアネート成分A)に対して44.7重量%の4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート]
と混合する。
【0052】
下記の表は、音響吸収性を含む(フォームブロック約0.3x0.3x0.3m)。
【0053】
【表7】