(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231188
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】部品実装ラインのトレーサビリティ情報管理システム及びトレーサビリティ情報管理方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-506000(P2016-506000)
(86)(22)【出願日】2014年3月5日
(86)【国際出願番号】JP2014055648
(87)【国際公開番号】WO2015132905
(87)【国際公開日】20150911
【審査請求日】2017年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】富士機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098420
【弁理士】
【氏名又は名称】加古 宗男
(72)【発明者】
【氏名】森田 幸寿
【審査官】
中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2007/080793(WO,A1)
【文献】
特開2013−149172(JP,A)
【文献】
特開2003−295936(JP,A)
【文献】
特開2003−280713(JP,A)
【文献】
特開2012−68975(JP,A)
【文献】
特開2013−120853(JP,A)
【文献】
特開2009−4400(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0086800(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 − 13/04
H05K 1/02
H05K 3/00
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に部品を実装する部品実装機を配置した部品実装ラインで生産する部品実装基板のトレーサビリティ情報を管理する部品実装ラインのトレーサビリティ情報管理システムにおいて、
前記部品実装ラインに搬入する回路基板には、基板識別情報(以下「基板ID」という)をコード化して記録した基板IDコードラベルが付与され、
前記部品実装ラインに搬入された回路基板の基板IDコードラベルから基板IDを読み取るコード読取り手段と、
仮の基板IDをコード化して記録した仮基板IDコードラベルを付与するコードラベルフィーダと、
前記コード読取り手段が前記基板IDの読み取りに失敗したときに前記コードラベルフィーダで付与を準備された前記仮基板IDコードラベルを前記基板IDの読み取りに失敗した回路基板に付与するコードラベル付与手段と、
前記コード読取り手段が読み取った前記基板ID又は前記仮の基板IDと関連付けて部品実装基板のトレーサビリティ情報をデータベースに登録して管理するトレーサビリティ情報管理手段と
を備えていることを特徴とする部品実装ラインのトレーサビリティ情報管理システム。
【請求項2】
回路基板に部品を実装する部品実装機を配置した部品実装ラインで生産する部品実装基板のトレーサビリティ情報を管理する部品実装ラインのトレーサビリティ情報管理システムにおいて、
前記部品実装ラインに搬入する回路基板には、基板識別情報(以下「基板ID」という)をコード化して記録した基板IDコードラベルが貼着され、
前記部品実装ラインに搬入された回路基板の基板IDコードラベルから基板IDを読み取るコード読取り手段と、
仮の基板IDをコード化して記録した仮基板IDコードラベルを供給するコードラベルフィーダと、
前記コード読取り手段が前記基板IDの読み取りに失敗したときに前記コードラベルフィーダで供給された前記仮基板IDコードラベルを前記基板IDの読み取りに失敗した回路基板に貼着するコードラベル貼着手段と、
前記コード読取り手段が読み取った前記基板ID又は前記仮の基板IDと関連付けて部品実装基板のトレーサビリティ情報をデータベースに登録して管理するトレーサビリティ情報管理手段と
を備えていることを特徴とする部品実装ラインのトレーサビリティ情報管理システム。
【請求項3】
前記部品実装機には、回路基板の基準位置マークを撮像するマーク撮像用のカメラが搭載され、
前記コード読取り手段は、前記マーク撮像用のカメラで前記回路基板の基板IDコードラベルを撮像して画像処理により前記基板IDを読み取り、その基板IDの読み取りに失敗したときに前記コードラベル貼着手段が前記回路基板に貼着した前記仮基板IDコードラベルを前記マーク撮像用のカメラで撮像して画像処理により前記仮の基板IDを読み取ることを特徴とする請求項2に記載の部品実装ラインのトレーサビリティ情報管理システム。
【請求項4】
前記コードラベルフィーダは、前記基板IDの読み取りに失敗した回路基板に貼着する前記仮基板IDコードラベルに記録されている前記仮の基板IDを前記トレーサビリティ情報管理手段に送信することを特徴とする請求項2に記載の部品実装ラインのトレーサビリティ情報管理システム。
【請求項5】
前記コードラベル貼着手段として前記部品実装機の吸着ノズルを使用し、前記コードラベルフィーダで供給された前記仮基板IDコードラベルを前記部品実装機の吸着ノズルで吸着して前記基板IDの読み取りに失敗した回路基板に貼着することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の部品実装ラインのトレーサビリティ情報管理システム。
【請求項6】
前記コードラベルフィーダは、前記部品実装機のフィーダセット台に、部品を供給するフィーダと並べてセットされることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の部品実装ラインのトレーサビリティ情報管理システム。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれかに記載の部品実装ラインのトレーサビリティ情報管理システムを使用して部品実装基板のトレーサビリティ情報を管理する部品実装ラインのトレーサビリティ情報管理方法において、
作業者は、前記部品実装ラインから搬出された部品実装基板の中から、前記仮基板IDコードラベルが貼着された部品実装基板を取り出して、当該部品実装基板の基板IDコードラベルと仮基板IDコードラベルをコード読取り装置で走査して当該部品実装基板の基板IDと仮の基板IDを読み取って前記トレーサビリティ情報管理手段に送信し、前記データベースに登録された当該部品実装基板のトレーサビリティ情報のIDを前記仮の基板IDから前記基板IDに書き換えることを特徴とする部品実装ラインのトレーサビリティ情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に部品を実装する部品実装ラインで生産する部品実装基板のトレーサビリティ情報(生産履歴情報)を管理する部品実装ラインのトレーサビリティ情報管理システム及びトレーサビリティ情報管理方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
近年、部品実装ラインで生産する部品実装基板についても、品質管理や安全管理等のために、基板毎にトレーサビリティ情報を登録して管理するようにしたものがある(特許文献1〜3参照)。従来の部品実装ラインのトレーサビリティ情報管理システムは、予め、基板識別情報(以下「基板ID」という)のバーコードを記録した基板IDコードラベルを回路基板に貼着しておき、部品実装ラインに搬入した回路基板の基板IDコードラベルから基板IDをバーコードリーダやカメラで読み取って、当該基板IDと関連付けて部品実装基板のトレーサビリティ情報をデータベースに登録して管理するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−49478号公報
【特許文献2】特開2012−169656号公報
【特許文献3】特開2013−235905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、部品実装ラインの稼働中(生産中)に、基板IDコードラベルの印刷状態等によって基板IDの読み取りに失敗する場合があるが、基板IDの読み取りに失敗すると、生産が停止して、作業者が基板IDの読み取りに失敗した回路基板をコンベアから取り出す等の復旧作業を行うまで生産が再開されないため、生産性が低下する。尚、基板IDの読み取り失敗時に、それを無視して生産を継続することも可能であるが、この場合は、基板IDの読み取りに失敗した部品実装基板のトレーサビリティ情報を基板IDと関連付けて管理することができず、当該部品実装基板のトレーサビリティ情報を後から確認できない。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、部品実装ラインに搬入する回路基板の基板IDの読み取りに失敗した場合でも、生産を停止させずに、部品実装基板のトレーサビリティ情報を基板IDと関連付けて管理することができる部品実装ラインのトレーサビリティ情報管理システム及びトレーサビリティ情報管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、回路基板に部品を実装する部品実装機を配置した部品実装ラインで生産する部品実装基板のトレーサビリティ情報を管理する部品実装ラインのトレーサビリティ情報管理システムにおいて、前記部品実装ラインに搬入する回路基板には、基板識別情報(以下「基板ID」という)をコード化して記録した基板IDコードラベルが貼着され、前記部品実装ラインに搬入された回路基板の基板IDコードラベルから基板IDを読み取るコード読取り手段と、仮の基板IDをコード化して記録した仮基板IDコードラベルを供給するコードラベルフィーダと、前記コード読取り手段が前記基板IDの読み取りに失敗したときに前記コードラベルフィーダで供給された前記仮基板IDコードラベルを前記基板IDの読み取りに失敗した回路基板に貼着するコードラベル貼着手段と、前記コード読取り手段が読み取った前記基板ID又は前記仮の基板IDと関連付けて部品実装基板のトレーサビリティ情報をデータベースに登録して管理するトレーサビリティ情報管理手段とを備えた構成としたものである。
【0007】
この構成では、コード読取り手段が基板IDの読み取りに失敗したときに、コードラベルフィーダで供給された仮基板IDコードラベルを基板IDの読み取りに失敗した回路基板に貼着するようにしているため、コード読取り手段が基板IDの読み取りに失敗したときには、仮の基板IDと関連付けて部品実装基板のトレーサビリティ情報をデータベースに登録して管理することができる。従って、作業者は、部品実装ラインから搬出された部品実装基板の中から、仮基板IDコードラベルが貼着された部品実装基板を取り出して、当該部品実装基板の基板IDコードラベルと仮基板IDコードラベルをバーコードリーダ等のコード読取り装置で走査して当該部品実装基板の基板IDと仮の基板IDを読み取ってトレーサビリティ情報管理手段に送信し、データベースに登録された当該部品実装基板のトレーサビリティ情報のIDを仮の基板IDから基板IDに書き換えるようにすれば良い。これにより、コード読取り手段が部品実装ラインに搬入する回路基板の基板IDの読み取りに失敗した場合でも、トレーサビリティ情報管理手段は、生産を停止させずに、部品実装基板のトレーサビリティ情報を基板IDと関連付けて登録して管理することができる。部品実装ラインに搬入した回路基板の基板IDコードラベルの印刷状態等によってコード読取り手段が基板IDの読み取りに失敗した場合でも、作業者がバーコードリーダ等のコード読取り装置を使用して手作業で基板IDコードラベルを走査すれば、基板IDを読み取ることができる。また、部品実装基板のトレーサビリティ情報のIDを仮の基板IDから本来の基板IDに書き換えるようにすれば、後の工程で当該部品実装基板のトレーサビリティ情報に新たな情報を追加する場合でも、トレーサビリティ情報管理手段は、前の工程と同じ基板IDで管理することができる。
【0008】
この場合、コード読取り手段としては、バーコードリーダ等を用いても良いが、部品実装機に搭載されたマーク撮像用のカメラが回路基板の基板IDコードラベルを撮像して画像処理により基板IDを読み取り、その基板IDの読み取りに失敗したときに前記コードラベル貼着手段が前記回路基板に貼着した前記仮基板IDコードラベルを前記マーク撮像用のカメラが撮像して画像処理により前記仮の基板IDを読み取るようにしても良い。このようにすれば、部品実装機に搭載されたマーク撮像用のカメラがコード読取り手段として兼用して、基板IDと仮の基板IDの両方を読み取ることができ、コード読取り専用の装置(バーコードリーダや外付けカメラ等)を設ける必要がなく、システム構成を簡単化できる。
【0009】
尚、本発明は、仮基板IDコードラベルから仮の基板IDを読み取る構成に限定されず、基板IDの読み取りに失敗した回路基板に貼着する仮基板IDコードラベルに記録されている仮の基板IDを、コードラベルフィーダからトレーサビリティ情報管理手段に送信するようにしても良い。
【0010】
また、本発明は、コードラベルフィーダにコードラベル貼着手段としての機能を搭載しても良いし、或は、コードラベル貼着手段として部品実装機の吸着ノズルを使用し、コードラベルフィーダで供給された仮基板IDコードラベルを部品実装機の吸着ノズルで吸着して基板IDの読み取りに失敗した回路基板に貼着するようにしても良い。
【0011】
また、本発明は、部品実装機のフィーダセット台に、部品を供給するフィーダと並べてコードラベルフィーダをセットするようにすると良い。このようにすれば、部品実装機のフィーダセット台の空きスロットを有効に使用してコードラベルフィーダをセットすることができる。
【0012】
また、本発明は、「コードラベル」について、レーザーマーキング、RFID等の態様を採用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は本発明の実施例1における部品実装ラインの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図2】
図2はモジュール型部品実装機の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は基板IDコードラベルを貼着した回路基板の平面図である。
【
図4】
図4は基板IDコードラベルと仮基板IDコードラベルを貼着した回路基板の平面図である。
【
図5】
図5は実施例1のトレーサビリティ情報管理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は実施例2のトレーサビリティ情報管理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を具体化した2つの実施例を説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明の実施例1を
図1乃至
図5に基づいて説明する。
まず、
図1に基づいて部品実装ライン全体の構成を説明する。
【0016】
回路基板11の搬送経路に沿って、半田印刷機12、印刷検査機13、モジュール型部品実装機14、リフロー炉15、外観検査機16等が配列されている。モジュール型部品実装機14は、複数台の実装機モジュール17を回路基板11の搬送方向に整列配置して構成されている。
【0017】
図2に示すように、各実装機モジュール17のフィーダセット台18には、部品を供給する複数のフィーダ19が着脱可能にセットされている。各実装機モジュール17は、回路基板11を搬送するコンベア(図示せず)と、フィーダ19で供給される部品を吸着して回路基板11に実装する実装ヘッド(図示せず)と、この実装ヘッドをX−Y−Z方向に移動させるヘッド移動装置(図示せず)と、実装ヘッドの吸着ノズル(図示せず)に吸着した部品をその下方から撮像する部品撮像用のカメラ(図示せず)と、回路基板11の基準位置マークを撮像するマーク撮像用のカメラ21等を備えた構成となっている。
【0018】
部品実装ラインに搬入する回路基板11には、基板ID(基板識別情報)を一次元コード又は二次元コード等で記録した基板IDコードラベル22(
図3、
図4参照)が貼着されている。モジュール型部品実装機14の最上流の実装機モジュール17のマーク撮像用のカメラ21は、回路基板11の基板IDコードラベル22を撮像して画像処理により基板IDを読み取るコード読取り手段としても使用される。
【0019】
最上流の実装機モジュール17のフィーダセット台18には、コードラベルフィーダ23がフィーダ19と並べて着脱可能にセットされている。このコードラベルフィーダ23は、仮の基板ID(仮の基板識別情報)を一次元コード又は二次元コード等で記録した仮基板IDコードラベル24(
図4参照)を供給するものである。
【0020】
最上流の実装機モジュール17の実装ヘッドに保持された吸着ノズル(図示せず)は、コードラベル貼着手段としても機能し、コードラベルフィーダ23で供給された仮基板IDコードラベル24を実装機モジュール17の吸着ノズルで吸着して、基板IDの読み取りに失敗した回路基板11の所定位置に貼着する。仮基板IDコードラベル24は、基板IDコードラベル22の貼着位置から離れた位置に貼着され、作業者が仮基板IDコードラベル24と基板IDコードラベル22とを容易に見分けることができるようになっている。最上流の実装機モジュール17のマーク撮像用のカメラ21は、仮基板IDコードラベル24を撮像して画像処理により仮の基板IDを読み取るコード読取り手段としても使用される。
【0021】
部品実装ラインを構成するモジュール型部品実装機14等の各装置の稼働状況は、部品実装ラインの生産を管理する生産管理用コンピュータ31によって管理される。この生産管理用コンピュータ31は、
図5のトレーサビリティ情報管理プログラムを実行することで、モジュール型部品実装機14の最上流の実装機モジュール17のマーク撮像用のカメラ21で読み取った基板ID又は仮の基板IDと関連付けて回路基板11(部品実装基板)のトレーサビリティ情報(例えば使用部品、生産日時、使用装置名、製品名等)をデータベース32に登録して管理するトレーサビリティ情報管理手段として機能する。
【0022】
図5のトレーサビリティ情報管理プログラムは、生産管理用コンピュータ31によって次のように実行される。本プログラムは、その起動後にステップ101で、モジュール型部品実装機14の最上流の実装機モジュール17に回路基板11が搬入されるまで待機する。そして、最上流の実装機モジュール17に回路基板11が搬入された時点で、本プログラムはステップ102に進み、最上流の実装機モジュール17のマーク撮像用のカメラ21を使用して、回路基板11の基板IDコードラベル22を撮像して画像処理により基板IDを読み取る。
【0023】
この後、ステップ103に進み、基板IDの読み取りに成功したか否かを判定し、基板IDの読み取りに成功したと判定されれば、ステップ104に進み、読み取った基板IDと関連付けて回路基板11(部品実装基板)のトレーサビリティ情報をデータベース32に登録して管理する。
【0024】
これに対して、上記ステップ103で、基板IDの読み取りに失敗したと判定されれば、ステップ105に進み、コードラベルフィーダ23で供給された仮基板IDコードラベル24を実装機モジュール17の吸着ノズルで吸着して、基板IDの読み取りに失敗した回路基板11の所定位置に貼着する。この後、本プログラムはステップ106に進み、最上流の実装機モジュール17のマーク撮像用のカメラ21を使用して、回路基板11の仮基板IDコードラベル24を撮像して画像処理により仮の基板IDを読み取る。この後、本プログラムはステップ107に進み、読み取った仮の基板IDと関連付けて回路基板11(部品実装基板)のトレーサビリティ情報をデータベース32に登録する。
【0025】
本プログラムは、上述したステップ104又は107で、読み取った基板ID又は仮の基板IDと関連付けて回路基板11(部品実装基板)のトレーサビリティ情報をデータベース32に登録した後、上記ステップ101に戻る。これにより、本プログラムは、最上流の実装機モジュール17に回路基板11が搬入される毎に、基板ID又は仮の基板IDを読み取ってトレーサビリティ情報をデータベース32に登録するという処理を繰り返す。
【0026】
一方、作業者は、部品実装ラインから搬出された回路基板11(部品実装基板)の中から、仮基板IDコードラベル24が貼着された回路基板11を取り出して、当該回路基板11の基板IDコードラベル22と仮基板IDコードラベル24をバーコードリーダ等のコード読取り装置(図示せず)で走査して当該回路基板11の基板IDと仮の基板IDを読み取って生産管理用コンピュータ31に送信し、データベース32に登録された当該回路基板11のトレーサビリティ情報のIDを仮の基板IDから基板IDに書き換える。
【0027】
このようにすれば、トレーサビリティ情報管理プログラムは、部品実装ラインに搬入する回路基板11の基板IDの読み取りに失敗した場合でも、生産を停止させずに、回路基板11のトレーサビリティ情報を基板IDと関連付けて登録して管理することができる。部品実装ラインに搬入した回路基板11の基板IDコードラベル22の印刷状態等によって基板IDの読み取りに失敗した場合でも、作業者がバーコードリーダ等のコード読取り装置を使用して手作業で基板IDコードラベル22を走査すれば、基板IDを読み取ることができる。また、回路基板11のトレーサビリティ情報のIDを仮の基板IDから本来の基板IDに書き換えるようにすれば、後の工程で当該回路基板11のトレーサビリティ情報に新たな情報を追加する場合でも、前の工程と同じ基板IDで管理することができ、トレーサビリティ情報の管理が容易である。
【0028】
しかも、本実施例1では、最上流の実装機モジュール17に搭載されたマーク撮像用のカメラ21をコード読取り手段として使用して、基板IDと仮の基板IDの両方を読み取るようにしたので、コード読取り専用の装置(バーコードリーダや外付けカメラ等)を設ける必要がなく、システム構成を簡単化できる利点がある。但し、本発明は、コード読取り専用の装置(バーコードリーダや外付けカメラ等)を設ける構成としても良い。
【0029】
また、本実施例1では、最上流の実装機モジュール17のフィーダセット台18に、部品を供給するフィーダ19と並べてコードラベルフィーダ23をセットするようにしたので、最上流の実装機モジュール17のフィーダセット台18の空きスロットを有効に使用してコードラベルフィーダ23をセットすることができ、省スペース化の要求を満たすことができる。
【0030】
尚、本実施例1では、コードラベルフィーダ23で供給された仮基板IDコードラベル24を、基板IDの読み取りに失敗した回路基板11の所定位置に貼着するコードラベル貼着手段として実装機モジュール17の吸着ノズルを使用するようにしたが、コードラベルフィーダ23にコードラベル貼着手段としての機能を搭載しても良い。
【実施例2】
【0031】
次に、
図6を用いて本発明の実施例2を説明する。但し、上記実施例1と実質的に同じ部分については、説明を省略又は簡略化して、主として異なる部分について説明する。
【0032】
上記実施例1では、基板IDの読み取りに失敗した場合に、最上流の実装機モジュール17のマーク撮像用のカメラ21を使用して、回路基板11に貼着された仮基板IDコードラベル24を撮像して画像処理により仮の基板IDを読み取るようにしたが、本実施例2では、
図6のトレーサビリティ情報管理プログラムを実行することで、基板IDの読み取りに失敗した回路基板11に貼着した仮基板IDコードラベル24に記録されている仮の基板IDを、コードラベルフィーダ23から生産管理用コンピュータ31に送信するようにしている。
【0033】
図6のトレーサビリティ情報管理プログラムは、上記実施例1で説明した
図5のトレーサビリティ情報管理プログラムのステップ106とステップ107の処理をそれぞれステップ106aとステップ107aに変更しただけであり、他のステップ101〜105の処理は同じである。つまり、基板IDの読み取りに失敗した場合に、コードラベルフィーダ23で供給された仮基板IDコードラベル24を、基板IDの読み取りに失敗した回路基板11の所定位置に貼着した後(ステップ103→105)、ステップ106aに進み、回路基板11に貼着した仮基板IDコードラベル24に記録されている仮の基板IDを、コードラベルフィーダ23から生産管理用コンピュータ31に送信する。この後、トレーサビリティ情報管理プログラムは、ステップ107aに進み、受信した仮の基板IDと関連付けて回路基板11(部品実装基板)のトレーサビリティ情報をデータベース32に登録する。
【0034】
以上説明した実施例2においても、上記実施例1と同じ効果を得ることができる。
尚、上記実施例1,2では、モジュール型部品実装機14の最上流の実装機モジュール17で、基板IDを読み取るようにしたが、部品実装ラインのうちのモジュール型部品実装機14よりも上流側の装置(半田印刷機12等)の基板搬入側に、基板IDを読み取るコード読取り手段と、仮基板IDコードラベルを供給するコードラベルフィーダと、仮基板IDコードラベルを基板IDの読み取りに失敗した回路基板11に貼着するコードラベル貼着手段を配置した構成としても良い。
【0035】
また、本発明は、「コードラベル」について、レーザーマーキング、RFID等の態様を採用しても良い。
【0036】
その他、本発明は、部品実装ラインの構成を適宜変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0037】
11…回路基板、12…半田印刷機、13…印刷検査機、14…モジュール型部品実装機、15…リフロー炉、16…外観検査機、17…実装機モジュール、18…フィーダセット台、19…フィーダ、21…マーク撮像用のカメラ(コード読取り手段)、22…基板IDコードラベル、23…コードラベルフィーダ、24…仮基板IDコードラベル、31…生産管理用コンピュータ(トレーサビリティ情報管理手段)、32…データベース