特許第6231215号(P6231215)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6231215鉄道車両に補助空気を供給する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231215
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】鉄道車両に補助空気を供給する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 5/24 20060101AFI20171106BHJP
   B60T 17/00 20060101ALI20171106BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   B60L5/24 A
   B60T17/00 B
   B60L1/00 D
【請求項の数】10
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-537288(P2016-537288)
(86)(22)【出願日】2014年8月28日
(65)【公表番号】特表2016-534702(P2016-534702A)
(43)【公表日】2016年11月4日
(86)【国際出願番号】EP2014068216
(87)【国際公開番号】WO2015028532
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2016年4月27日
(31)【優先権主張番号】102013109475.9
(32)【優先日】2013年8月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503159597
【氏名又は名称】クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア シーネンファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Schienenfahrzeuge GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ウラ
(72)【発明者】
【氏名】ゲアト アスマン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス キップ
【審査官】 久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−245949(JP,A)
【文献】 特開2011−004566(JP,A)
【文献】 特開昭63−274303(JP,A)
【文献】 特開平10−323532(JP,A)
【文献】 実公昭48−013529(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00− 3/12
7/00−13/00
15/00−15/42
B60T 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧ブレーキシステムのための圧縮空気を生成する主圧縮機(1)と、電気エネルギを供給する車載バッテリ(6)と、鉄道車両の空気圧ブレーキシステムのための貯蔵圧力容器(3)とを備える、鉄道車両の圧縮空気供給装置であって、
パンタグラフ(5)用の調整駆動部である少なくとも1つの空気圧アクチュエータ(4)を動作させるために、追加的に補助空気を供給するための圧縮空気生成手段が設けられている、
圧縮空気供給装置において、
前記補助空気を供給するための前記圧縮空気生成手段は、前記鉄道車両の、電気モータ駆動式の前記主圧縮機(1)を、前記車載バッテリ(6)から供給される電気駆動エネルギによって低回転数で動作させるための電気的な周波数変換器(7)を含み、
前記主圧縮機(1)に接続された圧縮空気通路(8)に補助通路(9)が接続されており、前記圧縮空気通路(8)から、前記空気圧アクチュエータ(4)に前記補助空気を供給するために前記補助空気が分岐されており、
前記主圧縮機(1)は、前記主圧縮機(1)が前記圧縮空気生成手段へ前記補助空気を供給するときは、前記主圧縮機(1)が前記貯蔵圧力容器(3)へ空気を供給するときよりも低回転数で、前記周波数変換器(7)を用いて駆動される
ことを特徴とする圧縮空気供給装置。
【請求項2】
前記主圧縮機(1)は、前記主圧縮機(1)が前記貯蔵圧力容器(3)へ空気を供給するときは、前記車載バッテリ(6)以外の電源によって駆動される、請求項1記載の圧縮空気供給装置
【請求項3】
前記主圧縮機(1)には、吸着式エアドライヤ(2)が後置接続されており、前記吸着式エアドライヤ(2)の吐出口側の前記圧縮空気通路(8)において、補助空気回路を接続するための前記補助通路(9)が分岐している、
請求項1または2記載の圧縮空気供給装置。
【請求項4】
前記圧縮空気通路(8)は、前記貯蔵圧力容器(3)に繋がっている
請求項1から3いずれか1項記載の圧縮空気供給装置。
【請求項5】
前記圧縮空気通路(8)内の前記吸着式エアドライヤ(2)と前記貯蔵圧力容器(3)との間の領域に、最小圧力弁(10)が配置されており、
前記最小圧力弁(10)は、前記吸着式エアドライヤ(2)に向かって方向付けられた阻止方向を有し、
前記補助通路(9)は、前記圧縮空気通路(8)における、前記吸着式エアドライヤ(2)と前記最小圧力弁(10)との間の領域から分岐している、
請求項3記載の圧縮空気供給装置。
【請求項6】
前記最小圧力弁(10)は、圧力が4bar、好ましくは8barを上回ると開弁される、
請求項記載の圧縮空気供給装置。
【請求項7】
前記吸着式エアドライヤ(2)は、2チャンバ式のドライヤの形態で構成されており、2つの乾燥容器(11a,11b)を含み、
前記2つの乾燥容器(11a,11b)は、乾燥サイクルと再生サイクルとで交互に動作可能である、
請求項記載の圧縮空気供給装置。
【請求項8】
圧縮空気供給装置の動作方法であって、
主圧縮機(1)によって、空気圧ブレーキシステムのための圧縮空気を生成し、
車載バッテリ(6)によって、電気エネルギを供給し、
パンタグラフ(5)用の調整駆動部である少なくとも1つの空気圧アクチュエータ(4)に、追加的に補助空気を供給する、
動作方法において、
前記補助空気を供給するときは、鉄道車両の、電気モータ駆動式の前記主圧縮機(1)を、前記車載バッテリ(6)から供給される電気駆動エネルギによって、電気的な周波数変換器(7)によって、前記空気圧ブレーキシステムのための圧縮空気を生成するときより低回転数で動作させ、
前記主圧縮機(1)に接続された圧縮空気通路(8)から、補助通路(9)を介して前記補助空気を分岐させる、
ことを特徴とする動作方法。
【請求項9】
前記主圧縮機(1)は、前記主圧縮機(1)が前記空気圧ブレーキシステムのための圧縮空気を生成するときは、前記車載バッテリ(6)以外の電源によって駆動される、請求項8記載の動作方法
【請求項10】
少なくとも1つのパンタグラフ(5)を備える鉄道車両であって、
前記パンタグラフ(5)の調整駆動部は、少なくとも1つの空気圧アクチュエータ(4)の形態で構成されており、
前記少なくとも1つの空気圧アクチュエータ(4)に、請求項1からのいずれか1項記載の圧縮空気供給装置が圧縮空気を供給する、
ことを特徴とする鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気圧ブレーキシステムのための圧縮空気を生成する主圧縮機と、電気エネルギを供給する車載バッテリとを備える、鉄道車両の圧縮空気供給装置であって、パンタグラフ用の調整駆動部である少なくとも1つの空気圧アクチュエータを動作させるために、追加的に補助空気を供給するための圧縮空気生成手段が設けられている、圧縮空気供給装置に関する。本発明はさらに、このような圧縮空気供給装置の動作方法と、このような圧縮空気供給装置が装備された鉄道車両とに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の適用分野は、鉄道車両工学を対象としている。電流を取り込むためのパンタグラフが装備された鉄道車両は、このパンタグラフを調整駆動部によって上昇位置と下降位置との間で移動させるための補助エネルギを必要としている。本発明に関連する形式の調整駆動部としては、例えば、圧縮空気の形態の補助エネルギを供給可能な、圧縮媒体シリンダの形態の空気圧アクチュエータが使用される。
【0003】
一般的に周知の従来技術によれば、補助空気を供給するために別個の補助空気圧縮機が使用される。この補助空気圧縮機には、パンタグラフの調整駆動部のための空気圧エネルギを供給する補助空気供給装置の枠内で、鉄道車両の車載バッテリによって電気エネルギが供給される。寸法が比較的小さい補助空気圧縮機を駆動するためには車載バッテリの電気エネルギで充分であり、これによって補助空気を供給するために充分な圧縮空気を生成することが可能である。
【0004】
しかしながら、このような補助空気供給装置は、通常の週ごとでの利用率が低いにもかかわらず、非常に高い総合技術的コスト及びメンテナンスコストを引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の課題は、追加的に補助空気を供給するための圧縮空気生成手段を備える圧縮空気供給装置を改良して、技術的構造の簡単さとメンテナンスコストの低さとにおいて優れた圧縮空気供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、請求項1の上位概念に記載された圧縮空気供給装置を前提にして、請求項1の下位概念に記載された特徴的構成が組み合わせられて解決される。上記の課題は、方法技術的には請求項7によって解決される。それぞれの従属請求項は、本発明の有利な発展形態を示している。
【0007】
本発明の技術的教示によれば、前記補助空気を供給するための前記圧縮空気生成手段は、前記鉄道車両の、電気モータ駆動式の前記主圧縮機を、前記車載バッテリから供給される電気駆動エネルギによって低回転数で動作させるための電気的な周波数変換器を含み、前記主圧縮機に接続された圧縮空気通路に補助通路が接続されており、前記圧縮空気通路から、補助空気回路の前記アクチュエータに前記補助空気を供給するために前記補助空気が分岐される。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る解決方法の利点は、とりわけ補助空気圧縮機のような、補助空気供給装置の追加的な構成要素、並びにその電気接続部及び空気圧接続部を省略することができることにある。本発明に係る解決方法はさらに、構造形態のコンパクトさにおいて優れているので、対応する構造スペースを節約することが可能である。なぜなら本発明に係る解決方法では、鉄道車両の電気的な装備に、主圧縮機の駆動部に電気的に接続可能な追加的な電気的な周波数変換器を組み込むだけでよいからである。主圧縮機の圧縮空気通路から分岐した補助通路も、パンタグラフを移動させるための調整駆動部として使用される空気圧アクチュエータの制御弁に僅かな取り付けコストで敷設することが可能である。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記鉄道車両の前記主圧縮機には、吸着式エアドライヤ又は別の適切なエアドライヤが後置接続されており、前記吸着式エアドライヤ又は前記別の適切なエアドライヤの吐出口側の前記圧縮空気通路において、補助空気回路を接続するための前記補助通路が分岐している。前記圧縮空気通路は、好ましくは後置接続された貯蔵圧力容器に流入している。圧縮空気通路のこの特別な場所において、補助空気を効率的に取り出すことができる。
【0010】
さらには、前記圧縮空気通路内の前記吸着式エアドライヤと前記貯蔵圧力容器との間の領域に、最小圧力弁を配置することができる。この場合には、前記最小圧力弁は、前記吸着式エアドライヤに向かって方向付けられた阻止方向と共に使用すべきであり、この特別な実施形態では、前記補助通路は、前記圧縮空気通路における、前記吸着式エアドライヤと前記最小圧力弁との間の領域から分岐している。これによって補助空気の供給を保証することができ、かつ貯蔵圧力容器の充填は、設定された最小圧力を超えて初めて、すなわち4bar、好ましくは8barを上回ると初めて実施されるようになる。
【0011】
本発明を改善するさらなる手段は、従属請求項に示されているか、又は以下に、図面に基づく本発明の好ましい実施形態についての説明と共により詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】追加的な補助空気供給手段を備える、鉄道車両に組み込まれた圧縮空気供給装置の概略図である。
図2】主圧縮機の圧縮空気通路からの補助空気の取り出しを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1によれば、図示されていない鉄道車両の空気圧ブレーキシステムのための圧縮空気を生成するために、主圧縮機1が使用される。主圧縮機1には、第1電気端子Iを介して電気エネルギが供給され、主圧縮機1は、電気モータによって駆動される。主圧縮機1によって生成された圧縮空気は、吸着式エアドライヤ2を通過する。吸着式エアドライヤ2には、貯蔵圧力容器3が後置接続されている。貯蔵圧力容器3から、鉄道車両の空気圧ブレーキシステムへの供給が実施される。
【0014】
さらには、パンタグラフ5用の調整駆動部である空気圧アクチュエータ4を動作させるために、追加的に補助空気を供給するための圧縮空気生成手段が設けられている。このために車載バッテリ6から電気エネルギが取り出され、この電気エネルギが電気的な周波数変換器7を介して導かれ、これによって鉄道車両の、電気モータ駆動式の主圧縮機1が、車載バッテリ6から供給される電気エネルギによって第2電気端子IIを介して低回転数で動作される。これによって主圧縮機1は、小さいながらも補助空気を供給するためには充分な圧送出力で動作し、圧送された圧縮空気は、吸着式エアドライヤ2を通過した後、吐出口側の圧縮空気通路8へと導かれる。この圧縮空気通路8から、アクチュエータ4に補助空気を供給するために補助空気を流通させる補助通路9が分岐している。
【0015】
図2によれば、圧縮空気通路8内の吸着式エアドライヤ2と貯蔵圧力容器3との間の領域に、吸着式エアドライヤ2に向かって方向付けられた阻止方向を有する最小圧力弁10が配置されている。貯蔵圧力容器3内に存在する圧縮空気が補助空気供給回路に進入するのを回避するために、補助通路9は、圧縮空気通路8における、吸着式エアドライヤ2と最小圧力弁10との間の領域から分岐している。
【0016】
吸着式エアドライヤ2は、この実施形態では、2チャンバ式のドライヤの形態で構成されている。従って、吸着式エアドライヤ2は、2つの乾燥容器11a及び11bを含み、これら2つの乾燥容器は、一般的に周知の方法によって乾燥サイクルと再生サイクルとで交互に動作可能である。このために、弁12a及び12bによって切り替えが行われる。
【符号の説明】
【0017】
1 主圧縮機
2 吸着式エアドライヤ
3 貯蔵圧力容器
4 アクチュエータ
5 パンタグラフ
6 車載バッテリ
7 周波数変換器
8 圧縮空気通路
9 補助通路
10 最小圧力弁
11 乾燥容器
12 弁
図1
図2