特許第6231221号(P6231221)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6231221調節可能な弁輪形成術リングおよびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231221
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】調節可能な弁輪形成術リングおよびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
   A61F2/24
【請求項の数】20
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-549623(P2016-549623)
(86)(22)【出願日】2013年10月25日
(65)【公表番号】特表2016-534847(P2016-534847A)
(43)【公表日】2016年11月10日
(86)【国際出願番号】EP2013072378
(87)【国際公開番号】WO2015058808
(87)【国際公開日】20150430
【審査請求日】2016年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】516124247
【氏名又は名称】ケファリオス ソシエテ・パル・アクスィオン・サンプリフィエ
【氏名又は名称原語表記】Kephalios S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル アヨ
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−516209(JP,A)
【文献】 特表2014−505525(JP,A)
【文献】 特表2008−534086(JP,A)
【文献】 特表2014−523309(JP,A)
【文献】 特表2014−532457(JP,A)
【文献】 特開2011−172934(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/33360(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調節可能な弁輪形成術リングアセンブリであって、支持リングと、該支持リング内に少なくとも部分的にはめ込まれた調節可能なリングと、該調節可能なリングの形状を調節するために、支持体として前記支持リングを使用することによって前記調節可能なリングを変形させるように展開可能な少なくとも1つの押付けエレメントと、を備え、前記少なくとも1つの展開可能な押付けエレメントは、流体展開可能な装置を有することを特徴とする、調節可能な弁輪形成術リングアセンブリ。
【請求項2】
前記流体展開可能な装置は、膨張可能なブラダ、可動なダイヤフラム、シリンダ内のピストンから選択される、請求項記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記流体展開可能な装置は、ガス、液体、ゲルから選択された流体によって展開可能である、請求項または記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記リングのうちの少なくとも1つを少なくとも部分的に被覆するためのフレキシブルなカバーをさらに備える、請求項1からまでのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記アセンブリによって治療される弁の性能に関するパラメータを検出するための少なくとも1つのセンサを備える、請求項1から4までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記センサは、血流を検出するためのドップラー効果センサ、ドップラー効果センサ用のトランスデューサ、音響トランスデューサ、超音波トランスデューサ、血圧を検出するための圧力センサ、から選択される少なくとも1つを含む、請求項記載のアセンブリ。
【請求項7】
心臓弁の部位において電気信号を提供または検出するための少なくとも1つの電極を備える、請求項1からまでのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記リングアセンブリは、前記弁輪形成術リングアセンブリの形状を調節するために埋め込み後に調節可能である、請求項からまでのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項9】
人工弁、好適には僧帽弁を収容するように配置された機械的なインターフェースを備える、請求項1からまでのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項10】
3つの展開可能な前記押付けエレメントが設けられている、請求項1から9までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの押付けエレメントは、前記支持リングに対する前記調節可能なリングの可変の変形を規定するために、前記押付けエレメントの位置において展開の可変の程度を有するように制御可能である、請求項1から10までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項12】
求項1から11までのいずれか1項記載の調節可能な弁輪形成術リングアセンブリと、
該リングアセンブリへ伝達するための物理的制御信号を発生するアクチュエータと、
前記物理的制御信号を前記アクチュエータから前記リングアセンブリへ伝達するために前記アクチュエータを前記リングアセンブリに接続する伝達ラインと、
該伝達ラインを前記リングアセンブリに解放可能に接続する解放可能なカップリングと、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項13】
前記物理的制御信号は、機械的な調節力、流体制御、空気圧制御、液圧制御から選択される、請求項12記載のシステム。
【請求項14】
前記調節可能な弁輪形成術リングアセンブリは、体内への埋め込み後に前記リングアセンブリの少なくとも一部の形状を調節する複数の作動可能なアジャスタを有
複数の前記アジャスタの作動を制御するアクチュエータを備える、請求項12または13記載のシステム。
【請求項15】
前記システムは、作動の少なくとも1つの所定のシーケンスで複数の前記アジャスタを作動させるように構成されている、請求項14記載のシステム。
【請求項16】
前記リングアセンブリは、治療される心臓弁の弁前尖の近くに取り付けるための前部と、該前部とは反対側の、弁後尖の近くに取り付けるための後部と、前記前部と前記後部との間の少なくとも1つの側部とを備え、
前記システムは、前記後部および/または前記前部に関連したアジャスタの作動の前に、前記側部に関連した少なくとも1つのアジャスタを作動させるように構成されている、請求項14または15記載のシステム。
【請求項17】
前記システムは、僧帽弁前尖の実質的な収縮期前方運動(SAM)の開始を引き起こすことなく僧帽弁の強化を提供するような形式で前記アジャスタの作動順序を制御するように構成されている、請求項14から16までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項18】
前記制御可能なアクチュエータは、前記流体展開可能な装置へのおよび/または前記流体展開可能な装置からの流体の流れを制御するように構成されている、請求項13から17までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項19】
前記制御可能なアクチュエータは、前記流体展開可能な装置に硬化性流体を導入するように作動可能であり、前記流体が硬化したときに前記装置の状態が設定される、請求項18記載のシステム。
【請求項20】
前記流体は、ガス、液体、ゲルから選択される、請求項18または19記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能不全性心臓弁を修復するための弁輪形成術リングおよびシステムに関する。幾つかの限定ではない例では、本発明は、(例えば、患者の体内で調節することができる)調節可能な弁輪形成術リングおよびシステムに関する。幾つかの限定ではない例は、僧帽弁または三尖弁などの房室性心臓弁を治療することに焦点を合わせているが、概念、機能および利点は、これらの弁に限定されない。
【背景技術】
【0002】
弁輪形成術(例えば、僧帽弁または三尖弁弁輪形成術)とは、無能力弁機能を修正するために弁輪を変形および/または補強するために、弁輪形成術リング(例えば、僧帽弁リングまたは三尖弁リング)を埋め込むものである。古典的な弁輪形成手術の間、外科医は、弁輪を測定し、それに応じて、決まったサイズの弁輪形成術リングを選択する。この手術は、心肺バイパス下で停止心臓において行われる。しかしながら、決まったサイズの弁輪形成術リングの有効性は、手術の間に評価することができない。なぜならば、心臓は停止させられているからである。心臓を再始動させてはじめて、リングが、弁機能を修正するための所望の効果を有していたかどうかを評価することができる。修復がうまくいかなかったとすると、患者は、二度目の手術を受けなければならない。二度目の手術を行わないと、あるレベルの残存逆流という長期的な結果が残る可能性がある。古典的な手術の別の制限は、弁輪形成術リングの埋め込み後、心臓および治療された弁輪のサイズおよびジオメトリが次第に変化する場合があるという点である。また、例えば、拡張した心臓は、通常のサイズに戻ることによって、修復された弁機能に応答することがある。決まったサイズの弁輪形成術リングは、次第に弁輪のサイズに対して無効または不適切になることがあり、再発性の僧帽弁逆流および不良臨床結果を生ずる。一般的な方式は、残存逆流のリスクを克服するために、小さすぎるリングを埋め込むことである。小さすぎるリングは、僧帽弁狭窄症と呼ばれる、僧帽弁を通る血流が少なくなりすぎるなどの他の問題を生ずる。
【0003】
体内への埋め込み後に調節することができる調節可能な弁輪形成術リングが提案されてきた。例えば、国際公開第2012/084714号は、リングの有効形状の制限された制御を達成することができる、部分的に調節可能な弁輪形成術リングシステムを提案している。弁輪形成術リングは、外側支持リングと、内側調節可能リングと、外側リングと内側リングとの間に取り付けられた永久押付けエレメントと、内側リングと外側リングとの間において円周に沿って押付けエレメントを摺動させるように設計された作動手段とを備えるアセンブリである。押付けエレメントを円周の周囲の所望の位置へ移動させ、その位置において内側リングの特定の部分が内方へ変形させられるように、アクチュエータ手段を制御することによって、アセンブリを調節可能である。外側リングおよび内側リングを使用するアセンブリの利点は、内側リングの周囲長さを減じることなく調節を行うことができ、これにより、弁狭窄症のリスクを低減することであると言われている。
【0004】
上記問題に加えて、僧帽弁修復および僧帽弁リングの埋め込みの後に生じ得るさらに別の合併症は、僧帽弁前尖が隔壁に向かってたわむ、収縮期前方運動(SAM)の問題である。SAMは、潜在的に生命を脅かす、左室流出路閉塞(LVOTO)の原因になり得る。僧帽弁解剖学的構造への僧帽弁リングの可能な影響を含む、SAMの可能な原因についての複数の理論が存在する。医学的治療がそれを修復することができない場合、SAMを修復するために、再介入が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の限定ではない態様は、弁輪形成術リングの融通性およびカスタム調節可能性を高めることを追求し、および/または上記問題のうちの1つまたは複数を軽減することを追求する。
【0006】
発明の複数の態様は、請求項に規定されている。
【0007】
付加的にまたは択一的に、発明の1つの独立した態様において、調節可能な弁輪形成術リングアセンブリは、支持リングと、少なくとも部分的に支持リング内にはめ合わされた、調節可能なリングと、調節可能なリングの形状を調節するために、支持体として支持リングを使用することによって、調節可能なリングを変形させるように展開可能な(deployable)少なくとも1つの押付けエレメントと、を備える。
【0008】
本明細書において使用される場合、「リング」という用語(「リング」アセンブリを含む)は、少なくとも弁輪の周囲の大部分を包囲するためのあらゆる形状をカバーすることが意図されている。リングは閉鎖されていてもよい(例えば、略「O」字形または略「D」字形)またはリングは開放していてもよい(例えば、略「C」字形)。リングは、略丸いまたは略円形のジオメトリであってもよい(例えば、略「O」字形または略丸い「C」字形)、またはリングは丸くなくてもよい(例えば、略「D」字形または略細長い「C」字形)。リングの形状は実質的に対称的であってもよいまたは実質的に非対称であってもよい。リングは選択的に分割されていてもよいおよび/または選択的に幾つかの場合には360°よりも多く延びていてもよい。リングは、平坦でない3D形状、例えば、略サドル形状であってもよい。リングは、略三次元の曲げられたO字形、C字形またはD字形を有してもよい。
【0009】
弁輪形成術リングの調節は、術中または術後に行うことができる。術中モードにおいて、調節はむしろ「試行錯誤」的なアプローチである。その目的は、外科手術結果を微調整し、残存逆流または過剰修正を排除することである。術後モードにおいて、逆流を修正しかつ/または時間の経過と共により漸進的なサイズ調節を操作するために、弁領域を減じることができる。これにより、弁の長期的な治療を提供することができる。
【0010】
少なくとも1つの押付けエレメントは、選択的に、支持リングまたは調節可能なリングによって支持されてもよい。幾つかの実施の形態では、少なくとも1つの押付けエレメントは、支持リングによって支持されている。支持リングは、押付けエレメントのためのより大きな収容スペースを提供してもよい。
【0011】
リングアセンブリは、さらに、以下の特徴のうちの1つまたはあらゆる組み合わせを含んでもよく、これらの特徴は全て選択的である。
【0012】
(A)幾つかの実施の形態では、複数の展開可能な押付けエレメントが、支持リングと調節可能なリングとの間の境界面の周囲の異なる位置に設けられてよい。各押付けエレメントは、押付けエレメントのそれぞれの位置において、調節可能なリングを、支持リングに対して内方へ変形させるように、展開可能であってもよい。
【0013】
複数の押付けエレメントを提供することは、弁輪形成術リングアセンブリの融通性と、弁輪形成術リングアセンブリの効率を高めるための、調節可能なリングをカスタム成形する可能性とを高めることができる。
【0014】
各押付けエレメントは、例えば、それぞれの制御部材の制御下で独立しておよび/または個々に展開可能であってもよい。
【0015】
好適には、弁輪形成術リングアセンブリは、僧帽弁に関して所定の位置、好適には解剖学的位置P1,P2およびP3において3つの押付けエレメントを備える。P1およびP3位置における2つの押付けエレメントにより、弁の横方向距離が調節されてもよく、P2位置における押付けエレメントにより、前後距離が調節されてもよい。
【0016】
(B)付加的にまたは択一的に、(少なくとも1つの)展開可能な押付けエレメントの少なくとも一部は、その押付けエレメントの展開中の使用時に、概して少なくとも1つのリング、例えば支持リングの(例えば内側の)周縁部に沿った所定の位置に、とどまってもよい。
【0017】
例えば、所定の位置にとどまる部分は、たわみ可能な板状部材の端部であってよい。
【0018】
所定の位置にとどまる部分は、概して、少なくともそれぞれのリングの周縁部に沿った移動に関して、不動であってもよい。付加的にまたは択一的に、所定の位置にとどまる部分は、リングの周縁部に沿って移動することなく、それぞれのリングに対して回転してもよい。
【0019】
複数の展開可能な押付けエレメントが設けられている場合、幾つかの実施の形態では、押付けエレメントのうちの少なくとも1つ、選択的に押付けエレメントの全てが、使用時に、概して(例えば支持)リングの(例えば内側)周縁部の周囲のそれぞれの所定の位置にとどまる、それぞれの部分を有してもよい。
【0020】
(C)付加的にまたは択一的に、(少なくとも1つの)押付けエレメントは、支持リングに対する調節可能なリングの可変の変形を規定するために、押付けエレメントの位置において展開の可変の程度を有するように制御可能であってもよい。
【0021】
例えば、押付けエレメントの展開のより大きな程度または状態は、押付けエレメントの位置における調節可能なリングのより大きな内方への変形を生ぜしめてもよい。
【0022】
押付けエレメントの展開の程度は、例えば、押付けエレメントに接続された制御部材によって制御されてもよい。
【0023】
展開の可変の程度を提供することは、弁輪形成術リングアセンブリの融通性と、弁輪形成術リングアセンブリの効率を高めるための、調節可能なリングをカスタム成形する可能性とを高めることができる。変形の程度を、例えば、埋め込みの後、増進的にまたは漸進的に、変化させることもできる。
【0024】
アセンブリは、調節後に押付けエレメントの展開の状態を維持するように構成されていてもよい。例えば、アセンブリは、展開状態を保持するためのラッチング(例えば自己ラッチング)機構を備えてもよい。ラッチング機構は、ラチェットを有してもよい。ラチェットは、(i)展開状態からの押付けエレメントの弛緩を妨害するように、かつ(ii)(展開の状態がさらに保持されてもよい)変形を増大させるために押付けエレメントのさらなる(例えば増進的または漸進的な)展開を許容するように、構成されていてもよい。幾つかの実施の形態では、ラッチ(例えばラチェット)は、展開可能な押付けエレメントの弛緩を許容するために制御可能に解放可能であってもよい。
【0025】
付加的にまたは択一的に、押付けエレメントは、展開の異なる程度を表す複数の所定の異なる展開状態の間で制御可能であってもよく、各程度において、展開状態が保持可能である。幾つかの実施の形態において、複数の所定の異なる状態は、ラチェットによって規定された保持位置に対応してもよい。
【0026】
複数の展開可能な押付けエレメントが設けられている場合、幾つかの実施の形態では、展開可能な押付けエレメントのうちの少なくとも1つ、および選択的に展開可能な押付けエレメントの全てに、可変の展開程度が提供されていてもよい。
【0027】
付加的にまたは択一的に、押付けエレメントは、弛緩可能であってもよい、すなわち、展開状態を少なくともある程度戻すために弛緩可能であってもよい。異なる状態は、所定の異なる展開状態であってもよい。
【0028】
(D)付加的にまたは択一的に、(少なくとも1つの)展開可能な押付けエレメントは、ブレードの少なくとも1つ(例えば端部)への機械的な力の提供に応答して反るように構成されたたわみ可能なブレードを備えてもよい。
【0029】
幾つかの実施の形態において、ブレードは、支持リングによって支持されてもよく、ブレードの少なくとも1つの部分(例えば端部)への機械的な力の提供に応答して、調節可能なリングに向かって内方へ反るように構成されていてもよい。
【0030】
幾つかの実施の形態では、ブレードは、非展開位置において、機械的な力が加えられたときに所定の展開方向に(例えば調節可能なリングに向かって)反りを促進する形状を有してもよい。例えば、ブレードは、(例えば調節可能なリングに向かって)僅かに反ったまたは凸状であるなどの、非直線形状を有してもよい。
【0031】
複数の展開可能な押付けエレメントが設けられている場合、幾つかの実施の形態では、展開可能な押付けエレメントのうちの少なくとも1つ、および選択的に展開可能な押付けエレメントの全てが、それぞれのブレードを備えてもよい。
【0032】
(E)付加的にまたは択一的に、(少なくとも1つの)展開可能な押付けエレメントは、流体展開可能な装置を備えてもよい。
【0033】
流体展開可能な装置は、例えば、膨張可能なブラダまたはバルーン、および/または可動なダイヤフラム、および/またはシリンダ内のピストンを備えてもよい。
【0034】
流体は、例えば、(例えば空圧式制御のための)ガス、または(例えば液圧式制御のための)液体またはゲルであってもよい。
【0035】
1つの形態において、硬化可能な流体、例えばセメントが、導入可能であってもよい。流体展開可能な装置の展開の程度は、膨張流体が流体にとどまる間、調節可能にとどまってよい。展開状態は、流体が硬化したとき、設定されてもよい。流体を硬化させることによって、流体の偶発的なまたは自然の漏れのあらゆるリスクが回避され得る。
【0036】
1つの形態では、可逆的に硬化可能な流体が導入される。流体は、質量において液体状態で導入され、体温に温められるとゲルに重合する(ゼリー化)してもよい。流体は、例えば低温食塩水などの低温の液体を境界面に導入することによって再び液化させられてもよい。流体の硬化は、物理的手段、すなわち光または化学的手段、すなわち触媒の結果として生じてもよい。
【0037】
1つの形態では、非硬化可能な流体は、まず、弁輪形成術リングのさらなる調節が望まれる期間の間、導入され、保持されてよい。さらなる調節が望まれないような治療段階に達すると、非硬化可能な流体は、最終的な展開状態を固定するために、硬化可能な流体(または成分)によって置き換えられてよく(または増強されよく)、バルーンまたはブラダは、正しいサイズを見つけるために周期的に調節されてもよい。バルーンまたはブラダは、可逆的に膨張可能である。正しいサイズが見つかると、治療段階は終了し、さらなる調節は望まれず、ブラダまたはバルーンは収縮させられ、取り出される。次いで、ブラダまたはバルーンを置き換えるために、ステントが導入されてもよい。ある程度時間が経った後にさらなる調節が必要とされる場合は、ステントをさらに拡張させるために、ステントにガイドワイヤが接続されてもよい。
【0038】
(F)付加的にまたは択一的に、(少なくとも1つの)展開可能な押付けエレメントは、1つまたは複数の拡張可能なステントを備えてもよい。
【0039】
ステントは、1つまたは複数の膨張可能なバルーンによって拡張可能であってもよい。幾つかの実施の形態では、3つのステントが、1つの円筒状バルーンまたは複数のバルーンまたは成形されたバルーンに配置されていてもよい。ステントは、支持リングによって支持されていてもよい。択一的に、ステントおよびバルーンは、共通のアセンブリまたは別個のアセンブリへの支持リングおよび調節可能リングの埋め込みの後、さらに後で導入されてもよい。膨張可能なバルーンは、ステント内に配置されてもよく、流体、例えばガス、または液体またはゲルの導入により拡張する。
【0040】
(G)付加的にまたは択一的に、(少なくとも1つの)展開可能な押付けエレメントは、ケージ状構造または平行四辺形構造、すなわち「クリック(crick)」またはパンタグラフなどの、半径方向に拡張可能な構造を備えてもよい。
【0041】
クリックは、支持リングに取り付けられた基礎を備える。2つのラチェットは、基礎に対して基本的に垂直に延びている。ラチェットは、力を加えることによって2つのカウンターラチェット内で移動することができる。好適には、力は、アクチュエータによって加えられる。基礎と向かい合って、調節可能なリングの近くのラチェットの上部において、別のプレートが配置されている。この別のプレートは、ラチェットをカウンターラチェット内で移動させることによって内方へ移動させられる。
【0042】
クリックまたはケージは、引張力によってまたは圧力下の流体を介して半径方向に拡張可能であってもよい。クリックまたはケージは、支持リングによって支持されていてもよい。パンタグラフは、2つの側部と、側部の間に延びた、平行四辺形に基づく形式で接続された機械的なリンクであるバーとを備える。プレートは、調節可能なリングの近くでバーの上部に配置されている。プレートは、少なくとも1つの側部が他方の側部に向かって移動させられたときに内方へ延びている。平行四辺形は、プロセスの間、その形状を変化させるが、平行四辺形のままである。好適には、両側部は、互いに向かって移動させられる。この移動プロセスの間、バーの交差箇所は、基本的に、それらの位置にとどまる。好適には平行四辺形の側部に取り付けられた他の角は、移動プロセスの間、内方へ移動する。
【0043】
択一的に、パンタグラフは、側部を有さないが、平行四辺形に基づく形式でバーに接続された機械的なリンクと、その上部におけるプレートのみを有する。バーの外側の角を互いに向かって移動させることによって、プレートは内方へ移動させられる。
【0044】
(H)付加的にまたは択一的に、(少なくとも1つの)展開可能な押付けエレメントは、回転可能なカム状構造を備えてもよい。
【0045】
カム状構造は、支持リングに埋め込まれてもよい。カム状構造は、外側回動点を中心に回転させることができる。外側回動点は、支持リングに埋め込まれてもよい。外側回動点を中心にカム状構造を回転させることにより、カム状構造の一方の端部が、調節可能なリングを内方へ押し付ける。展開は、回転させられた角度に依存する。
【0046】
発明の別の独立した態様(選択的に前述の特徴のうちのいずれかと組み合わせて使用可能である)は、リングアセンブリの形状を調節するための少なくとも1つのアジャスタを備える、調節可能な弁輪形成術リングアセンブリを提供してもよく、アジャスタは、流体展開可能な装置を有する(例えば、膨張可能なブラダ、および/または可動なダイヤフラム、および/またはシリンダ内のピストンを有する)。
【0047】
発明の別の独立した態様(選択的に、前述の特徴のうちのいずれかと組み合わせて使用可能である)は、弁輪形成術リングによって治療される弁の性能に関するパラメータを送信するための少なくとも1つのセンサを備える弁輪形成術リング(例えば、および調節可能な弁輪形成術リング)を提供してもよい。選択的に、センサは、血流を検出するためのドップラー効果センサ、ドップラー効果センサのためのトランスデューサ、血流に基づいてその他のセンサを作動させる電流トランスデューサ、音響トランスデューサ、超音波トランスデューサ、血圧を検出するための圧力センサ、pH電解液センサなどから選択された少なくとも1つを含んでもよい。
【0048】
発明の別の独立した態様(選択的に、前述の特徴のうちのいずれかと組み合わせて使用可能である)は、心臓弁の部位において電気信号を提供または検出するための少なくとも1つの電極、特に細動除去電極を備える弁輪形成術リング(例えば、および調節可能な弁輪形成術リング)を提供してもよい。
【0049】
発明の別の態様(選択的に前述の特徴のうちのいずれかと組み合わせて使用可能である)は、選択的に上に規定された、調節可能な弁輪形成術リングまたはリングアセンブリと、リングへの伝達のための物理的調節制御を生じるためのアクチュエータと、アクチュエータからリングへの物理的調節制御を伝達するために、アクチュエータをリングに接続するための伝達ラインと、を備えるシステムを提供してもよい。
【0050】
システムは、以下の特徴のうちの1つまたは複数を備えてもよく、これらの特徴は全て選択的である:
(A)伝達ラインは、少なくとも部分的に(および選択的に実質的に全体的に)生分解性および/または人体において再吸収可能である材料から形成されていてもよい。
(B)伝達ラインは、さらに、例えば電気的除細動のための電気ショックを提供するためにセンサと通信するためのケーブルとして機能してもよい。
(C)伝達ラインをリングまたはリングアセンブリに解放可能に接続するために、解放可能なカップリングが提供されてもよい。
(D)弁輪形成術リングは、リングの形状を調節するために複数のアジャスタ(例えば押付けエレメント)を有してもよく、アクチュエータは、複数のアジャスタを制御するように構成されていてもよい。
【0051】
例えば、システムは、少なくとも1つの所定のシーケンスで作動を制御するように構成されていてもよい。
【0052】
また、例えば、システムは、後部および/または前部に関連したアジャスタの作動前に、リングの側部に関連した少なくとも1つのアジャスタの強制的な作動のために構成されていてもよい。
【0053】
また、例えば、(および選択的に上記のように最初の強制的な側部調節の結果として)、システムは、僧帽弁前尖の実質的な収縮期前方運動(SAM)の開始を引き起こすことなく僧帽弁の強化を提供するような形式でアジャスタの作動順序を制御するように構成されていてもよい。前尖は、心室の側壁から離れる方向へ向けられていてよい。これにより、環作動後の左心室流出路の閉塞のリスクが低減される。
【0054】
また、例えば、(および選択的に上記のように最初の側部調節の結果として)、弁輪形成術リングおよびひいては弁輪形成術領域は、より解剖学的な形状を有する。
【0055】
(E)(選択的に機械的な力の伝達のための)伝達ラインは、少なくとも1つのらせん形または非らせん形のコイルを備えてもよく、複数のコイル巻回部を有する。コイル巻回部は、軸方向圧縮力の不在時に伝達ラインの軸方向柔軟性を可能にするように構成されていてもよく、コイル巻回は、軸方向圧縮力に応答して互いに対して軸方向に支持し、これにより、伝達ラインに沿って軸方向圧縮力を伝達するためのコラム強度を提供する。
【0056】
伝達ラインは、管腔を有するカテーテルとして構成されていてもよい。
【0057】
上記態様は独立して使用されてもよいが、有利には組み合わせて使用されてもよい。好適な実施の形態は、全ての態様が組み合わされたものを示している。
【0058】
別の独立した態様は、支持リングと、少なくとも部分的に支持リング内にはめ込まれた、調節可能なリングと、支持体として支持リングを使用して、調節可能なリングを変形させるための、展開可能な少なくとも1つの押付けエレメントと、を備える、調節可能な弁輪形成術リングアセンブリを提供する。複数の押付けエレメントは、リングの周囲の異なる位置において使用されてもよい。各押付けエレメントは、押付けエレメントの位置において、調節可能なリングの変形の程度を変化させるために、可変の程度の展開を有してもよい。各押付けエレメントは、たわみ可能なブレードを備えてもよく、ブレードの状態は、ラチェットによって保持されてもよい。押付けエレメントは、所定の制御されたシーケンスで作動させられてもよい。
【0059】
幾つかの態様、特徴および概念が、上記および添付の請求項に示されているが、保護は、それが強調されているか否かにかかわらず、本明細書に説明されたおよび/または図面に例示されたあらゆる新規の概念または特徴の組み合わせのために請求されている。
【0060】
本発明の限定ではない実施の形態を、添付の図面に関連して、例示のみを目的として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】弁輪形成術リングアセンブリおよびアクチュエータを備える、弁輪形成術リングシステムの概略図である。
図2図1のアセンブリの概略的な分解図である。
図3】隔離状態における単一の押付けエレメントの概略図であり、制御部材によって加えられた機械的な力に応答して押付けエレメントが展開させられる様子を示している。
図4】アクチュエータ制御ステップを示す流れ図である。
図5a】調節ステップを示す流れ図である。
図5b】調節ステップを示す流れ図である。
図6】クリックを備える、弁輪形成術リングシステムの概略図である。
図7】クリックおよびパンタグラフを備える、弁輪形成術リングシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図1図3を参照すると、弁輪形成術リングアセンブリ10が示されている。リングアセンブリ10は、選択的に、1つまたは複数の伝達ライン16によってリングアセンブリ10に接続された(または接続可能な)アクチュエータ14をさらに有するシステム12の部分であってもよい。リングアセンブリ10は、アクチュエータ14および伝達ライン16によって、例えば人体への埋め込み後に調節可能であってもよい。
【0063】
リングアセンブリ10は、人間の心臓弁、例えば僧帽弁または三尖弁などの房室弁の弁輪形成術のために構成されていてもよい。リングアセンブリ10の構成は、このアセンブリ10がいずれの心臓弁を治療しようとしているかに応じて選択されてもよい。本明細書において使用される場合、「リング」という用語(「リング」アセンブリを含む)は、少なくとも弁輪の周囲の大部分を包囲するためのあらゆる形状をカバーすることが意図されている。リングは閉鎖されていてもよいし(例えば、略「O」字形または略「D」字形)、またはリングは開放していてもよい(例えば、略「C」字形)。リングは、略丸いまたは略円形のジオメトリであってもよい(例えば、略「O」字形または略丸い「C」字形)。このような形状は、選択的に、三尖弁リングのために選択されてもよい。択一的に、リングは、丸くなくてもよい(例えば、略「D」字形または略細長い「C」字形)。このような形状は、選択的に、僧帽弁リングのために選択されてもよい。リングは選択的に分割されていてもよいし、および/または選択的に幾つかの場合には360°よりも多く延びていてもよい。このようなリングは、開放したリングのその他の特性(例えば、可動な端部が、永久に閉鎖されたリングよりも大きな範囲のサイズ変化をさらに容易に提供することができる)とともに、閉鎖したリングの幾つかの特性(例えば、ある領域を完全に包囲している)を提供してもよい。
【0064】
リングは、曲げられて、略サドル状であってもよい。サドルは、全体的に、曲げられた「O」字形、「C」字形または「D」字形の形態であってもよい。
【0065】
例示されたリングアセンブリ10は、人間の心臓の僧帽弁の周囲への埋め込みに適した略「D」字形を有している。しかしながら、同じ原理が、異なるリング形状または構成を有するその他の実施の形態において使用されてもよいということが強調される。「D」字形形状は、弁の前尖の近くに取り付けるための略直線的な(またはわずかに湾曲させられた)前部20と、弁の後尖の近くに取り付けるための、前部20とは反対側の略湾曲した(またはより湾曲した)後部22と、2つの側部24とを有してもよい。
【0066】
幾つかの実施の形態では、リングアセンブリ10は、一般に、(例えば外側の)支持リング30と、少なくとも部分的に支持リング30内にはめ込まれた、(例えば内側の)調節可能なリング32と、リングアセンブリの形状を調節するための少なくとも1つのアジャスタとを備える。アジャスタは、支持体として支持リング30を使用することによって調節可能なリング32を変形させて、調節可能なリング32の形状を調節するために、例えば展開可能な押付けエレメント34の形式の押付けエレメントであってもよいし、または押付けエレメントを備えてもよい。(この説明では、符号34は、概して1つまたは複数の押付けエレメントを示すために使用されてもよい。押付けエレメントは、図面では34a〜34cで示されている)。
【0067】
幾つかの実施の形態では、支持リング30は、アセンブリのための形状支持体として作用するように、調節可能なリング32よりも、形状がより剛性的であってもよい。調節可能なリング32は、変形可能であってもよく、これにより、調節可能なリング32は、少なくとも1つの押付けエレメント34の効果を受けて所定の形状を採る。調節可能なリング32の形状およびサイズは、治療される本来の弁輪においておよび/または弁輪の周囲におけるリングアセンブリの修正ブレーシング効果の位置決めおよび程度を決定してもよい(または少なくとも影響を与えてもよい)。
【0068】
調節可能なリング32は、弁輪、例えば僧帽弁輪に縫合されてもよい。択一的に、調節可能なリング32は、例えば、フック、鉤などの、弁修理/交換のために使用されるその他の外科的手段によって弁輪に接続される。支持リング30および調節可能なリング32の周囲にカバーが設けられていてもよい。カバー33は、アセンブリを弁輪に縫合するための縫合領域33を有する。択一的に、支持リング30の周囲にカバーが設けられていない。アセンブリを弁輪に縫合するための縫合領域は、支持リング30における内側ラインまたは領域として構成されている。
【0069】
支持リング30および調節可能なリング32のための1つまたは複数の適切な材料は、例えば、金属(例えば、ステンレス鋼、および/またはチタン、および/または鋼−クロム−コバルト合金)および/または生体適合性のある医療グレードのプラスチック(例えば、PETまたはPEEK)を含む。リング30および32は、互いに同じ材料、または互いに異なる材料から形成されていてもよい。幾つかの実施の形態では、支持リング30は、チタンから形成されていてもよく、調節可能なリング32は、鋼−コバルト−クロム合金から形成されていてもよい。
【0070】
図示の例では、支持リング30および調節可能なリング32の両方が、閉鎖されたリング構成を有する。しかしながら、リング30および32のうちの一方または両方が、選択的に、望まれるならば、開放したリング構成または分割されたリング構成を有していてもよい。特に、調節可能なリング32は、ほとんど閉鎖された周囲形状を維持しながら、異なるサイズの範囲を提供するために、互いを超えて滑ることができるかまたは一方の端部が他方の端部へ滑り込むことができる端部を有する、分割リング構成を有していてもよい。
【0071】
リングアセンブリ10は、さらに、リング30および32のうちの少なくとも一方を少なくとも部分的に被覆する(および、選択的に伝達ライン16用のポート38を除いてリング30および32を実質的に完全に被覆する)フレキシブルなカバー36を備えてもよい。図1には、アセンブリ10の他の構造を不明瞭にすることを回避するために、カバー36の一部のみが示されている。しかしながら、カバー36は、両リング30および32の組み合わされた範囲または設置面積の周囲に実質的に全体に延びていてもよいことが認められるであろう。カバー36のための特定の設計の例は、後で説明する。
【0072】
例示された実施の形態では、少なくとも1つの押付けエレメント34が、支持リング30によってまたは支持リング30において支持されていてもよく、展開されたときに、調節可能なリング32に対して押し付けられてもよい。幾つかの択一的な実施の形態では、押付けエレメント34は、その代わりに、調節可能なリング32によって支持されていてもよい。
【0073】
幾つかの実施の形態では、リングアセンブリ10は、支持リング30と調節可能なリング32との間の境界面の周囲の異なる位置に設けられた複数の展開可能な押付けエレメント34a〜34cを備える。各押付けエレメント34a〜34cは、各押付けエレメント34a〜34cのそれぞれの位置において、調節可能なリング32を、支持リング30に対して内方へ変形させるように、展開可能であってもよい。この例では、3つの押付けエレメント34a〜34cが設けられている。押付けエレメント34a〜34cは、選択的に、リングアセンブリ10の側部24に(少なくとも部分的に)関連した側部押付けエレメント34aおよび34c、および後部22に関連した後側押付けエレメント34cとして組織化されていてもよい。支持リング30と調節可能なリング32との間の境界面の周囲の押付けエレメント34のその他の位置および数も考えられる。
【0074】
幾つかの実施の形態では、(少なくとも1つの)押付けエレメント34は、支持リング30に対する調節可能なリング32の可変の変形を規定するために、押付けエレメント34の位置において展開の可変の程度を有するように制御可能であってもよい。アセンブリは、調節後に押付けエレメント34の展開の状態を保持するように構成されていてもよい。アセンブリは、展開の異なる程度を表す複数の所定の異なる展開状態を規定するように構成されていてもよく、各程度において、展開状態を保持可能である。幾つかの実施の形態において、複数の所定の異なる状態は、ラチェットによって規定された保持位置に対応してもよい。
【0075】
押付けエレメント34の様々な形態が考えられる。図示の例では、各押付けエレメント34は、(図2および図3に示されているような)ブレード40を有する。ブレード40は、ブレードの一部に加えられた機械的な力に応答してたわむかまたは反るように構成されていてもよい。例えば、ブレード40は、支持リング30によって支持されていてもよく、機械的な力に応答して、調節可能なリング32に向かって内方へたわむかまたは反るように構成されていてもよい。機械的な力は、例えば、ブレード40の少なくとも一方の端部に加えられてもよい。図示の態様では、制御部材42は、力を加えるためにブレードの一方の端部40aから延びている。ブレード40の反対側の(例えば自由な)端部40bは、この端部40bが当接している支持リング30の停止輪郭部44によって拘束されている。図3を参照すると、制御部材42を介した(矢印45によって示されているような)張力の提供が、端部40aを端部40bに向かって引っ張り、矢印46によって示されているように、ブレード40を、展開された状態に反らせる。展開の程度は、制御部材42を介して提供される移動の量によって制御可能である。より大きな移動は、反りの程度、およびブレードが展開するまたは突出する程度を増大させる。
【0076】
図2および図3に見られるように、ブレード40は、非展開状態のときの形状を有していてもよく、この形状は、所定の展開方向、例えば、調節可能なリング32に向かって一貫してブレードの曲げまたは反りを促進する(例えば、反対の、調節可能なリング32から離れる方向では促進しない)。ブレード40は、例えば所望の方向に単に部分的にまたは僅かに反らされた、非直線的形状を有していてもよい。このような構成により、反りの方向がブレードにおいて予め設定され、これにより、機械的な力の提供により、ブレード40を、調節可能なリング32に向かって一貫して反らせる。非展開形状は、ブレード40の自然形状であってもよいし、または、例えば、ブレード40を支持する支持リング30の部分の輪郭形状によってブレードに付与された形状であってもよい。
【0077】
ラッチング(例えばセルフラッチング)機構が、例えば、ラチェット50の形式で、押付けエレメント34(例えばブレード40)を、押付けエレメントが移動させられた展開の状態に保持するために設けられていてもよい。この例では、ラッチ(例えばラチェット50)は、先に言及した複数の所定の異なる展開状態を規定してもよい。ラチェット50は、制御部材42による力の提供により、ブレード40が、展開の程度を増大させるように漸進的にまたは増進的に移動させられるように構成されていてもよい。ラチェット50は、ブレード40が再び非展開状態に向かって弛緩することを防止する(後述のように、少なくとも、選択的なリセット制御が作動させられるまで)ように構成されていてもよい。
【0078】
押付けエレメント34(例えばブレード40)の展開状態を保持するためにラッチング機構(例えばラチェット50)を提供することによって、アクチュエータ14および/または制御ライン16がその後リングアセンブリ10から切断されたとしても、調節可能なリング32の形状を設定および保持することができる。これは、各押付けエレメント34の展開状態を保存するために制御ライン16において機械的張力を維持する必要性をも回避することができる。
【0079】
ラチェット50の様々な態様が考えられる。図示の例において、ラチェット50は、ブレード40、例えばブレード40の端部40aと直接に協働する。ラチェット50は、端部40aが当接している支持リング30のエッジまたは面の鋸歯状輪郭によって提供されてもよい。ラチェット位置の数は、望みに応じて選択されてもよい。例示した形式では、ラチェットは、4つのラチェット位置を有する(非展開状態に対応し、鋸歯状輪郭の3つの谷部において、ブレード40の端部40aが、第1の部分的に展開した状態と、第2のさらに展開した状態と、第3の完全に展開した状態に漸進的に配置することができる)。しかしながら、より多数の位置(例えば、4つ、5つ、6つまたはそれ以上)、またはより少数の位置(例えば、1つ、2つまたは3つ)を望みに応じて実現することができる。例示した形態では、各押付けエレメント34は、同数のラチェット位置(例えば3つ(または非展開位置を含む4つ))を有するが、望まれるならば、異なる押付けエレメント34に、それぞれの異なる数のラチェット位置を提供することができる。
【0080】
択一的な形態(図示せず)では、ラッチング機構(例えばラチェット)は、例えば、ポート38の近くで制御部材42に作用する、支持リング30内または支持リング30上のどこかで実現することができる。しかしながら、例示した形態は、幾つかの可動部分を備える、コンパクトな設計で、良好かつ信頼できる機能性を提供してもよい。
【0081】
幾つかの実施の形態では、ラチェット50は、ラチェット効果をオーバーライド(override)するようにするオーバーライド機構を有し、これにより、ブレード40は、保持された展開状態から再び非展開状態に向かってまたは非展開状態へ弛緩してもよい。オーバーライド機構は、付加的な制御部材(図示せず)に応答して、および/または制御部材42の組み合わせに一斉に加えられる機械的な力に応答して作動させられてもよい。オーバーライド機構は、個々におよび/または他のものから独立して各ラッチ50のために作動可能であってもよいし、または、全てのブレード40を一斉に弛緩させるように全てのラッチ50のためにまとめて作動可能であってもよい。
【0082】
それぞれの異なるブレード40から延びる制御部材42は、ポート38に向かって、支持リング30内で略周方向または周囲方向に延びていてもよい。例示した形式では、各制御部材42は、それぞれのブレード40の一体的な延長部であり、すなわち、ブレード40の端部40aにおいて折り返されている。その他の形態では、制御部材42は、ブレードに接続された別個の部材であってもよい。あらゆる適切な材料が、ブレード40および/または制御部材42のために使用されてもよい。1つまたは複数の適切な材料は、例えば、金属(例えば、ステンレス鋼、および/またはチタン、および/または鋼−クロム−コバルト合金)および/または生体適合性のある医療グレードのプラスチック(例えば、PETまたはPEEK)を含む。幾つかの実施の形態では、一体的なブレード40および制御部材42は、鋼−コバルト−クロム合金から成る。
【0083】
ブレード40は、選択的に、弾性的に反ることができてもよい。
【0084】
制御部材42は、各制御部材42を伝達ライン16のそれぞれの張力フィラメントに接続するためのカップリング52まで延びている。カップリング52は、選択的に、伝達ライン16から切断されることができるように解放可能であってもよい。カップリング52は、選択的に、切断後に伝達ライン16の再接続を許容してもよい。
【0085】
他の実施の形態(図示せず)では、(少なくとも1つの)アジャスタまたは押付けエレメント34は、流体により展開可能な(fluid-deployable)装置を備えてもよい。流体により展開可能な装置は、例えば、膨張可能なブラダ、および/または可動なダイヤフラム、および/またはシリンダ内のピストンを有してもよい。作動流体は、例えば、(例えば空圧式制御のための)ガス、または(例えば液圧式制御のための)液体またはゲル、または(例えば電子制御のための)電気的活性ポリマであってもよい。
【0086】
1つの形態において、硬化性流体を導入可能であってもよい。流体展開可能な装置の展開の程度は、膨張流体が流体にとどまる間、調節可能にとどまってよい。展開状態は、流体が硬化したとき、固定されてもよい。流体を硬化させることにより、流体の偶発的なまたは自然の漏れのあらゆるリスクが回避されてもよい。
【0087】
1つの形態では、非硬化性流体は、まず、導入され、弁輪形成術リングのさらなる調節が望まれ得る期間の間、保持されてよい。さらなる調節が望まれないような治療段階に達すると、非硬化性流体は、最終的な展開状態を固定するために、硬化性流体(または成分)によって置き換えられてもよい(または増強されてもよい)。
【0088】
別の実施の形態(図示せず)では、(少なくとも1つの)アジャスタまたは押付けエレメント34は、拡張可能なステントを含んでもよい。拡張可能なステントは、拡張するために、膨張可能なバルーンまたはバルーンを有してもよい。膨張可能なバルーンは、ガス、液体またはゲルなどの流体によって膨張させられてもよい。
【0089】
図1を参照すると、上述のように、フレキシブルなカバー36は、リング30および32のうちの少なくとも一方を少なくとも部分的に被覆していてもよい(および、選択的に、伝達ライン16用のポート38を除いてリング30および32を実質的に完全に被覆していてもよい)。フレキシブルなカバー36は、心臓組織に対する非外傷性接触面として、および/または心臓組織に縫合するための縫合可能面として、および/またはあらゆる血餅を捕捉するための塞栓保護フィルタとして、機能してもよい。
【0090】
フレキシブルなカバーは、支持リング30に対する調節可能なリング32の形状変化の程度を提供するように構成されていてもよい。幾つかの実施の形態では、カバーの形状変化および/または形状対応の程度は、少なくとも2mm、または少なくとも3mm、または寸法の最大値の少なくとも30%の、調節可能なリング32の内側寸法(例えば、内側半径、または内径、または内側周長)に対応してもよい。幾つかの実施の形態では、フレキシブルなカバー36は、調節可能なリング32の形状変化に合致することができる伸張可能な材料(例えば弾性的に伸張可能な材料)から成ってもよい。択一的に、カバー36は、実質的に非伸張材料であってもよく、調節可能なリング32の形状変化を提供するために「オーバーサイズ」であってもよい。あらゆる適切な材料がカバー36のために使用されてもよい。材料は、織物、例えばポリエステル織物であってもよい。
【0091】
リングアセンブリ10は、選択的に、概して符号60で示された1つまたは複数のセンサおよび/または電極をさらに備えてもよい。センサおよび/または電極60は、支持リング30によって支持されていてもよく、選択的に、カバー36または支持リング30によって支持されていてもよい。センサ60は、治療される弁の性能に関するパラメータを検出するように構成されていてもよい。例えば、センサは、血流を検出するためのドップラー効果センサまたはそのためのトランスデューサ(例えば超音波トランスデューサなどの音響トランスデューサ)、または血圧を検出するための圧力センサ、または心房性不整脈(例えば粗動または心房性細動)を検出するための心臓リズムセンサであってもよい。付加的にまたは択一的に、センサ60は、音響センサまたは超音波センサによって逆流を検出してもよい。逆流の検出は、修正性能の表示であり、調節の効果は、センサ60によって直接に認識することができ、オペレータに伝達することができる。電極60は、治療される心臓弁の部位において電気信号を提供または検出するための電極であってもよい。望まれるならば、2つ以上のセンサ/電極60が提供されてもよく、アセンブリ10の特定の設計構成に適合するように、アセンブリ10における位置を望みに応じて変化させてもよい。
【0092】
図1を参照すると、伝達ライン16は、弁輪形成術リングアセンブリ10をアクチュエータ14に接続するように機能してもよい。同時に、伝達ライン16は、センサ60との通信のためのケーブルとして機能してもよい。アクチュエータ14は、例えば、経皮的にまたは無線で制御可能な皮下アクチュエータであってもよいし、またはアクチュエータ14が患者の身体の外部にあってもよい。図1から図3に示された機械的に作動または調節される押付けエレメント34のタイプの場合、アクチュエータ14は、それぞれの押付けエレメント34(例えばブレード40)を作動させるために制御部材42への伝達のために、それぞれのフィラメントの制御可能な張力および/または制御可能な移動を生じてもよい。アクチュエータ14の様々な設計およびタイプが考えられる。例えば、アクチュエータ14は、電子的または電気的に作動されるか、または流体作動されるか、または機械的であってもよい。
【0093】
幾つかの実施の形態では、アクチュエータ14からリングアセンブリ10までの伝達ライン16は、フレキシブルであってもよい。伝達ライン16は、提供された作動張力に対する反力を伝達するために、十分なコラム強度を提供するように構成されていてもよい。伝達ライン16は、複数のフィラメントのための1つの導管であってもよいし、または伝達ライン16は、例えば各フィラメントに対して1つの、複数の導管を備えてもよい。伝達ライン16は、例えば、コイル状および/またはらせん状の導管を備えてもよい。導管16は、少なくとも1つのらせん状または非らせん状のコイルを備えてもよい。導管16は、複数のコイル巻回部を有してもよい。アクチュエータによって加えられる張力が存在しないと、導管において反力が存在せず、コイルは比較的緩くてもよく、これにより、高い柔軟性を提供する。張力がアクチュエータ14によって導管内のフィラメントに加えられると、導管のコイルまたは巻回部は、軸方向に潰れまたは圧縮されてもよく、これにより、軸方向で互いに対して当接し、加えられた張力に対する反力のためのコラム強度を提供する。伝達ライン16の導管内のコラム強度は、例えば、伝達ライン16内のフィラメントを介した張力の提供を可能にするために、支持リング30とアクチュエータ14のハウジングとの間の基準を提供することができる。
【0094】
幾つかの実施の形態では、伝達ライン16は、中空の管(すなわちカテーテル)であってもよく、この中空の管を通って、調節可能なリングを展開させるために膨張可能なバルーンが挿入されてもよい。
【0095】
伝達ライン16は、リングアセンブリ10から分離可能であってもよい。アクチュエータ14および/または伝達ライン16は、分離後に容易に回収されてもよい。
【0096】
伝達ライン16のフィラメントおよび導管は、あらゆる適切な材料から形成されていてもよい。1つまたは複数の適切な材料は、例えば、金属(例えば、ステンレス鋼、および/またはチタン、および/または鋼−クロム−コバルト合金)および/または生体適合性のある医療グレードのプラスチック(例えば、PETまたはPEEK)を含む。フィラメントおよび導管は、互いに同じ材料、または互いに異なる材料から形成されていてもよい。幾つかの実施の形態では、フィラメントおよび導管は両方とも、鋼−コバルト−クロム合金から形成されている。
【0097】
択一的な実施の形態では、伝達ライン16は、身体によって実質的に完全に再吸収可能な材料から形成されていてもよい。適切な再吸収可能な材料は、例えばポリグラクチンであってもよい。これは、弁輪形成術リングアセンブリ10が自律的になることを可能にすることができ、幾つかの場合、心臓まで延びる永久伝達ライン16を除去するために、望まれるならば、後の外科的または経皮的手術を回避するという意味で有利であり得る。
【0098】
流体展開可能なアジャスタまたは押付け部材34が使用される幾つかの択一的な実施の形態(図示せず)において、伝達ライン16は、少なくとも1つの流体導管を備えてもよく、アクチュエータ14は、所望の調節を行うために、リングアセンブリ10へのおよび/またはリングアセンブリ10からの流体供給を制御してもよい。アクチュエータ14は、既に説明したように、硬化性流体、または硬化性(または硬化する)流体成分の導入を制御してもよい。
【0099】
図4および図5は、弁輪形成術リングアセンブリ10の調節を制御するためのプロセスの例示的な流れ図を概略的に示している。図4において、心臓弁における埋め込み(ステップ70)の後、心臓弁に予備的な修正を付与するために、リングアセンブリ10を調節するように第1の調節手術72が行われてもよい。その後、さらに後で(例えば、数週間、数ヶ月またはさらには数年後に)、リングアセンブリ10の修正効果を増大するために、第2の調節手術74が行われてもよい。付加的なその後の調節手術(図示せず)が用いられてもよい。
【0100】
埋め込み後の漸進的な手術において調節を行うことによって、弁輪形成術リングアセンブリ10の修正効果は、緩やかなまたは適切な増進で、漸進的に提供することができる。これは、その人の心臓がそれぞれの調節に対してより容易に適応することを可能にし得る。特に、これは、弁の解剖学的構造に対する急激な大きな修正によって患者の心臓が大きすぎるストレスを受けるような危険な状況を回避することができる。大きな調節は、心臓、特に無力弁機能によって既に影響された心臓にとって大きすぎるショックであり得る。本発明は、患者の快適さに対する不要なリスクを回避することができる。
【0101】
図5を参照すると、異なる調節が異なる手術において行われるか否かにかかわらず、システム12は、所定のシーケンスでの調節可能なリング32の形状の調節を制御するように構成されていてもよい。例えば、シーケンスは、後部/前部押付けエレメント(ここでは後部押付けエレメント34b)の調節の前に、少なくとも1つの側部押付けエレメント34aまたは34cの調節を含んでもよい。図5aにおいて、シーケンスは、第1の側部押付けエレメント34a/cの調節(ステップ80)、第2の側部押付けエレメント34a/cの調節(ステップ82)、後部押付けエレメント34bの調節(ステップ84)である。択一的に、図5bにおいて、ステップ82および84の順序は逆転される。
【0102】
僧帽弁治療の場合は最も特に、前部/後部調節の前に少なくとも1つの側部調節が行われるシーケンスを用いることによって、僧帽弁前尖の実質的な収縮期前進運動(SAM)の開始を引き起こすリスクをより少なくして弁機能を修正するように、弁を強化および/または変形させることができると考えられる。したがって、このようなシーケンスは、SAMのリスクを軽減しながら、僧帽弁の治療に対する極めて有利な貢献を提供することができる。
【0103】
所定のシーケンスは、電子制御によって、または、一方(または両方)の側部押付けエレメント34aおよび34cがまず調節されるまで後部押付けエレメント34bが調節されるのを防止する(例えば、アクチュエータ14またはリングアセンブリ10における)機械的なロックアウトによって、行われてもよい。
【0104】
調節のシーケンスは、各押付けエレメント34が、展開状態において1つの増分だけしか調節され得ないように、制御されてもよい。これは、例えば、隣接する押付けエレメントがニアステーツに調節される前に、押付けエレメント34のうちの1つが極端な展開された状態に調節されるのを防止してもよい。増分調節のみに制限することにより、元来の弁輪形状から著しく逸脱する極めてゆがめられた修正の適用に対するフェイルセーフが提供されてもよい。
【0105】
前に説明したように、各押付けエレメント34のラチェット50は、例えばアクチュエータ14からの制御下で、非展開状態へまたは非展開状態に向かって弛緩させられる全ての押付けエレメント34に対するオーバーライド機構を有してもよい。オーバーライド機構は、例えば極端すぎる変形が調節によって提供された場合、あるいは患者の心臓または元来の弁輪の形態により弁輪形成術リングの弛緩が適切になる場合、リングアセンブリ10が「リセット」されることを許容することができる。
【0106】
上記説明は単に本発明の好適な非制限的な形態を例示していることが強調される。発明の範囲および/または原理内で多くの変更、改良および均等物が用いられてもよい。
【0107】
図6を参照すると、クリック(crick)60を含む3つの押付けエレメント34が示されている。クリック60は、一方の端部で支持リング30に取り付けられている。クリック60は、アクチュエータ14(図示せず)によって作動させられてもよい。各クリック60は、2つのラチェットおよびカウンターラチェットを備える。クリック60は、ラチェットをカウンターラチェット内で移動させることによって、調節可能なリング32に向かって押し付けられてもよい。各クリック60は、調節可能なリング32に向かって数ミリメートルだけ移動させることができる。好適には、側部押付けエレメント34a,34cがまず移動させられ、2つの側部押付けエレメント34a,34cが調節された後に、後部押付けエレメント34bが移動させられる。クリック60は、好適な位置への調節可能なリング32の滑らかな制御された調節を許容する。図7において、後部押付けエレメント34bは、クリック50の代わりにパンタグラフ61を備える。側部押付けエレメント34a,34cは、図6のように、クリック60を備える。パンタグラフは、付加的にまたは択一的に、一方または両方の側部24に配置されていてもよい。パンタグラフ61は、クリック60よりもさらに大きく移動させることができ、クリック60の場合よりも、前後直径のより大きな減少を許容する。パンタグラフ61は、2つの側部を有する。側部のうちの一方が固定され、他方の横方向部分は、第1の横方向部分の方向に可動であってもよく、これにより、複数の平行四辺形を形成した2つのワイヤを調節可能なリング32の方向に延長させる。これにより、調節可能なリング32の後前直径は減じられる。択一的に、パンタグラフの両側部は、ワイヤを調節可能なリングの方向へ延長させるように可動である。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7