特許第6231256号(P6231256)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6231256異方性導電接着剤、及び電子部品の接続方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231256
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】異方性導電接着剤、及び電子部品の接続方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 163/10 20060101AFI20171106BHJP
   C09J 4/00 20060101ALI20171106BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20171106BHJP
   C09J 5/06 20060101ALI20171106BHJP
   H01R 11/01 20060101ALI20171106BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   C09J163/10
   C09J4/00
   C09J4/02
   C09J5/06
   H01R11/01 501E
   H01R43/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-274840(P2011-274840)
(22)【出願日】2011年12月15日
(65)【公開番号】特開2013-124329(P2013-124329A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年12月15日
【審判番号】不服2016-7575(P2016-7575/J1)
【審判請求日】2016年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(72)【発明者】
【氏名】小高 良介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大祐
【合議体】
【審判長】 佐々木 秀次
【審判官】 天野 宏樹
【審判官】 井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−278324(JP,A)
【文献】 特開2006−49482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J1/00-201/10
H01R11/00-11/32
H01R43/00-43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子中にエポキシ基を有する(メタ)アクリレートと、110℃以上の1分間半減期温度を有するラジカル重合開始剤とを含有し
前記1分子中にエポキシ基を有する(メタ)アクリレートの配合量が、バインダ1gあたり5×10−4mol以上であり、
第1の電子部品と第2の電子部品の少なくとも一方がプリフラックス処理され、第1の電子部品の端子と第2の電子部品の端子とを接続するための異方性導電接着剤。
【請求項2】
前記ラジカル重合開始剤の1分間半減期温度が、130℃以上である請求項1記載の異方性導電接着剤。
【請求項3】
1分子中にエポキシ基を有する(メタ)アクリレートと、110℃以上の1分間半減期温度を有するラジカル重合開始剤とを含有する接着剤を、少なくとも一方がプリフラックス処理された第1の電子部品の端子と第2の電子部品の端子との間に挟み、第1の電子部品と第2の電子部品とを熱圧着し、第1の電子部品の端子と、第2の電子部品の端子とを電気的に接続する電子部品の接続方法。
【請求項4】
前記ラジカル重合開始剤の1分間半減期温度が、130℃以上である請求項記載の電子部品の接続方法。
【請求項5】
前記1分子中にエポキシ基を有する(メタ)アクリレートの配合量が、バインダ1gあたり5×10−4mol以上である請求項又は記載の電子部品の接続方法。
【請求項6】
前記第1の電子部品と前記第2の電子部品との圧着温度が、160℃以上である請求項乃至のいずれか1項に記載の電子部品の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異方性導電接着剤、及びそれを用いた電子部品の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、基板の回路部分の保護のために樹脂系のプリフラックス処理が施されている。しかし、比較的低温で圧着を行う導電性接着剤を用いた接続工法では、端子上に存在するプリフラックス層が導通を阻害するという問題が生じる。
【0003】
この問題を解決するために、異方導電性接着フィルム中に酸成分等の有機膜分解成分を配合すること(例えば、特許文献1参照。)、圧着前にトリクロロエタン等でプリフラックスを洗浄除去すること(例えば、特許文献2参照。)などが提案されている。
【0004】
しかし、特許文献1の方法では、配合の自由度に制約が生じるとともに、酸成分等が端子等の部材を腐食する懸念がある。また、特許文献2の方法では、工程が増えるために製造コストが増大してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−77045号公報
【特許文献2】特開平5−63355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、プリフラックス処理された基板に対して良好な導通を得ることができる異方性導電接着剤、及び電子部品の接続方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本件発明者らは、鋭意検討を行った結果、1分子中にエポキシ基を有する(メタ)アクリレートを用い、1分間半減期温度が所定温度以上のラジカル重合開始剤を用いることにより、プリフラックス処理された基板に対して良好な導通が得られることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明に係る異方性導電接着剤は、1分子中にエポキシ基を有する(メタ)アクリレートと、110℃以上の1分間半減期温度を有するラジカル重合開始剤とを含有し、1分子中にエポキシ基を有する(メタ)アクリレートの配合量が、バインダ1gあたり5×10−4mol以上であり、第1の電子部品と第2の電子部品の少なくとも一方がプリフラックス処理され、第1の電子部品の端子と第2の電子部品の端子とを接続することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る電子部品の接続方法は、1分子中にエポキシ基を有する(メタ)アクリレートと、110℃以上の1分間半減期温度を有するラジカル重合開始剤とを含有する接着剤を、少なくとも一方がプリフラックス処理された第1の電子部品の端子と第2の電子部品の端子との間に挟み、第1の電子部品と第2の電子部品とを熱圧着し、第1の電子部品の端子と、第2の電子部品の端子とを電気的に接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、1分子中にエポキシ基を有する(メタ)アクリレートを用い、1分間半減期温度が110℃以上のラジカル重合開始剤を用いることにより、熱圧着時にプリフラックスが除去され、導通が確保された後、接着剤成分が完全に硬化するため、プリフラックス処理された基板に対して良好な導通を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、下記順序にて詳細に説明する。
1.接着剤
2.電子部品の接続方法
3.実施例
【0012】
<1.導電性接着剤>
本実施の形態における接着剤は、第1の電子部品と第2の電子部品の少なくとも一方がプリフラックス処理され、第1の電子部品の端子と第2の電子部品の端子とを接続する際に好適に用いることができる。ここで、プリフラックス処理は、樹脂系プリフラックスとして使用されるイミダゾール類の被膜を形成するものである。
【0013】
また、本実施の形態における接着剤は、1分子中にエポキシ基を有する(メタ)アクリレート(以下、エポキシ基含有アクリレートと呼ぶ。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートをいう。)と、110℃以上の1分間半減期温度を有するラジカル重合開始剤とを含有する。これにより、次のようにプリフラックス成分が除去されるものと推定される。
【0014】
例えば、基板の端子同士の間に接着剤を挟んで加熱圧着する際、エポキシ基含有アクリレートのエポキシ基がプリフラックス中のイミダゾール成分と結合すると同時に、エポキシ含有アクリレートの(メタ)アクリロイル基がラジカル重合反応を生じ、接着剤成分の高分子量化が始まる。そして、加熱圧着により、端子間の余分な接着剤成分が流動・除去され、アクリレートと結合したイミダゾール成分が引き抜かれる形で端子表面から除去される。その後、端子同士が接触し、又は導電性粒子が存在する場合は導電性粒子を介し、端子間が電気的に接続され、ラジカル重合の硬化反応の終了により基板同士が強固に接合される。
【0015】
なお、接着剤として、エポキシ系熱硬化型のものを用いると、良好な導通が得られるが、エポキシ系の接着剤は、圧着後にリペアの必要が生じたときに、大変手間が掛かってしまうため、アクリル系熱硬化型のものを用いることが好ましい。
【0016】
具体例として示す接着剤は、接続時の硬化温度が低く、タクトタイムを短縮することができるアクリル系熱硬化型のものであり、膜形成樹脂と、重合性アクリル系化合物と、ラジカル重合開始剤とを含有する。
【0017】
膜形成樹脂としては、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド、EVA等の熱可塑性エラストマー等を使用することができる。これらの中でも、耐熱性、接着性のために、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンより合成されるフェノキシ樹脂を好ましく使用することができる。
【0018】
膜形成樹脂の使用量は、少なすぎるとフィルムを形成せず、多すぎると電気接続を得るための樹脂の排除性が低くなる傾向があるので、樹脂固形分(重合性アクリル系化合物と膜形成樹脂との合計)の20〜80質量%、より好ましくは20〜60質量%である。
【0019】
重合性アクリル系化合物としては、エポキシ基含有アクリレートを用いる。エポキシ基含有アクリレートとしては、例えば、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、ノボラック部分エポキシアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート等が挙げられ、中でも4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルを用いることが好ましい。
【0020】
また、エポキシ基含有アクリレートの含有量は、樹脂成分であるバインダ1gあたり5×10−4mol以上であることが好ましい。エポキシ基含有アクリレートの含有量がバインダ1gあたり5×10−4mol未満となると、エポキシ基とプリフラックスの結合が十分に生じないため、プリフラックスを十分に除去するのが困難となる。
【0021】
また、重合性アクリル系化合物として、他のアクリレートを併用してもよく、例えば、ウレタンアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、リン酸エステル型アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート等を用いてもよい。
【0022】
重合性アクリル系化合物の使用量は、少なすぎると導通信頼性が低くなり、多すぎると接着強度が低くなり、さらにフィルムを形成できない傾向があるので、好ましくは樹脂固形分(重合性アクリル系化合物と膜形成樹脂との合計)の20〜70質量%、より好ましくは30〜60質量%である。
【0023】
ラジカル重合開始剤としては、110℃以上の1分間半減期温度を有する有機過酸化物、アゾ系化合物等を用いる。有機過酸化物としては、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド(1分間半減期温度128.2℃)、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド(1分間半減期温度131.1℃)、ジベンゾイル パーオキサイド(1分間半減期温度 130.0℃)、t−ヘキシル パーオキシベンゾエート(1分間半減期温度 160.3℃)、t−ブチル パーオキシベンゾエート(1分間半減期温度 166.8℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチル パーオキシ−2−エチルヘキサノエート(1分間半減期温度 124.3℃)、ジラウロイル パーオキサイド(1分間半減期温度 116.4℃)、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(1分間半減期温度 112.6℃)、t−ブチル パーオキシピバレート(1分間半減期温度 110.3℃)等が挙げられる。アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル(1分半減期温度116.0℃)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(1分半減期温度119.0℃)、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカーボニトリル(1分半減期温度141.0℃)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(1分半減期温度119.0℃)、1,1’−アゾビス−(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)(1分半減期温度111.0℃)等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0024】
これらのラジカル重合開始剤の中でも、1分間半減期温度が130℃以上のものを用いることが好ましい。1分間半減期温度が130℃以上であることにより、エポキシ基含有アクリレートのエポキシ基と端子上のプリフラックスとの反応が十分に進行した後にラジカル重合・硬化反応が進行するため、プリフラックスを十分に除去することができる。なお、1分間半減期温度が180℃を超えるようなラジカル重合開始剤を用いると、高温による部材へのダメージや、タクトタイムの増加が生じるため好ましくない。
【0025】
ラジカル重合開始剤の含有量は、少なすぎると反応性が無くなり、多すぎると接着剤の製品ライフが低下する傾向があるため、樹脂100重量部に対し、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは0.5〜20重量部である。
【0026】
また、本実施の形態における接着剤を構成する他の添加組成物として、必要に応じて、各種アクリルモノマー等の希釈用モノマー、充填剤、軟化剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤、カップリング剤等を含有することができる。また、導電性粒子を添加することで導電性接着剤とすることができる。
【0027】
このような構成からなる接着剤は、エポキシ基含有アクリレートを用い、1分間半減期温度が110℃以上のラジカル重合開始剤を用いることにより、熱圧着時にプリフラックスが除去され、導通が確保された後、接着剤成分が完全に硬化するため、プリフラックス処理された基板に対して良好な導通を得ることができる。
【0028】
次に、前述した接着剤の製造方法について、接着フィルムを例に挙げて説明する。本実施の形態における接着フィルムの製造方法は、剥離基材上に、膜形成樹脂と、エポキシ基含有アクリレートと、ラジカル重合開始剤とを含有する組成物を塗布する塗布工程と、剥離基材上の組成物を乾燥させる乾燥工程とを有する。
【0029】
塗布工程では、前述のように膜形成樹脂と1分子中にエポキシ基を有する(メタ)アクリレートと1分間半減期温度が110℃以上のラジカル重合開始剤とを配合し、有機溶剤を用いて調整した後、この組成物を剥離基材上にバーコーター、塗布装置等を用いて塗布する。
【0030】
有機溶剤としては、トルエン、酢酸エチル、又はこれらの混合溶剤、その他各種有機溶剤を用いることができる。また、剥離基材は、例えば、シリコーンなどの剥離剤をPET(Poly Ethylene Terephthalate)、OPP(Oriented Polypropylene)、PMP(Poly-4-methlpentene−1)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)などに塗布した積層構造からなり、組成物のフィルム形状を維持する。
【0031】
次の乾燥工程では、剥離基材上の組成物を熱オーブン、加熱乾燥装置などにより乾燥させる。これにより、前述した接着剤が膜状に形成された接着フィルムを得ることができる。
【0032】
<2.電子部品の接続方法>
次に、導電性接着剤を用いた電子部品の接続方法について説明する。具体例として示す電子部品の接続方法は、1分子中にエポキシ基を有する(メタ)アクリレートと、110℃以上の1分間半減期温度を有するラジカル重合開始剤とを含有する接着剤を、少なくとも一方がプリフラックス処理された第1の電子部品の端子と第2の電子部品の端子との間に挟み、第1の電子部品と第2の電子部品とを熱圧着し、第1の電子部品の端子と、第2の電子部品の端子とを電気的に接続する。
【0033】
本実施の形態では、第1の電子部品と第2の電子部品とを160℃以上の温度、より好ましくは170℃以上の温度で熱圧着する。これにより、エポキシ含有アクリレートのエポキシ基と端子上のプリフラックスとの反応が十分に進行し、端子上からプリフラックスが除去されるため、十分な導通を得ることができる。なお、圧着温度が200℃を超えると、高温による部材へのダメージ、タクトタイムの増加、エネルギー消費の増加などが生じるため好ましくない。
【0034】
本実施の形態における接着剤は、様々な場面で使用することができるが、第1の電気部品が、液晶パネル、プリント配線板(PWB)など、また、第2の電気部品が、フレキシブル印刷回路基板、テープキャリアパッケージ(TCP)基板、チップオンフィルム(COF)基板などである場合、導電性粒子を配合し、異方性導電フィルムとして好ましく適用できる。また、導電性粒子を配合した導電性接着フィルムとして太陽電池モジュールにおける太陽電池セルの端子とタブ線との接続に用いることもできる。
【実施例】
【0035】
<3.実施例>
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。ここでは、1分子中にエポキシ基を有するアクリレート(以下、エポキシ基含有アクリレートと呼ぶ。)と、所定の1分間半減期温度を有する有機過酸化物とを含むアクリル系熱硬化型の異方性導電フィルムを作製した。そして、この異方性導電フィルムを用いてプリフラックス処理(以下、OSP(Organic Solderability Preservative)処理と呼ぶ。)されたプリント基板と、OSP処理されたフレキシブルプリント基板とを接続させ、導通抵抗及びリペア性について評価した。評価用の接続構造体の作製、導通抵抗の評価及びリペア性の評価は、次のように行った。
【0036】
[接続構造体の作製]
フレキシブルプリント基板(FPC、新日鐵化学(株)、銅配線:ライン/スペース(L/S)=100μm/100μm、端子高:12μm)にOSP処理を行った。具体的には、PWBを40℃の水溶性プリフラックス(商品名:F2LX、四国化成社製)中に1分間浸漬させ、乾燥させた。
【0037】
プリント基板(PWB、FR−4グレード、パナソニック(株)、銅配線:ライン/スペース(L/S)=100μm/100μm、配線高:35μm)についても、FPCと同様にしてOSP処理を行った。また、PWBについては、はんだ接続時における表面実装、裏面実装、及びリペアを想定して、ピークトップ260℃のリフローに3回Passさせた。
【0038】
このようにOSP処理を施したPWBとFPCとを下記に示す異方性導電フィルムを用いて所定条件で熱圧着し、接続構造体を作製した。
【0039】
[導通抵抗の評価]
各接続構造体について、デジタルマルチメータ(品番:34401A、アジレント・テクノロジー(株)社製)を用いて4端子法にて電流1mAを流したときの導通抵抗値(初期)の測定を行った。そして、導通抵抗値が200mΩ以下のものを○、200mΩ超500mΩ以下のものを△、500mΩ超のものを×と評価した。
【0040】
[リペア性の評価]
各接続構造体について、フレキシブルプリント基板をプリント基板から剥がし、IPA(イソプロピルアルコール)を十分にしみ込ませた綿棒で接続部を50往復擦り、残存する異方性導電膜が剥がれたものを○、剥がれなかったものを×とした。
【0041】
[実施例1]
(異方性導電フィルムの作製)
エポキシ基含有アクリレート(商品名:4HBAGE、日本化成社製)を15質量部、2官能エポキシアクリレート(商品名:3002A、共栄社化学社製)を27質量部、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(商品名:YP50、東都化成社製)を27質量部、ブタジエン−アクリロニトリルゴム(商品名:XER−91、JSR社製)を18質量部、水酸基含有アクリルゴム(商品名:SG−80H、長瀬ケムテックス社製)を4質量部、有機過酸化物(商品名:ナイパーBW、日本油脂社製、1分間半減期温度:130℃)を6質量部、及び平均粒径10μmのNi/Auメッキアクリル樹脂粒子(日本化学社製)を3質量部を配合した合計100質量部の樹脂組成物を調製した。このエポキシ基含有アクリレートを用いた場合のエポキシ基含有量は、エポキシ基含有アクリレートのモル数に等しいので、1質量部を1gとした場合の15質量部のエポキシ基のモル数は、15/200.23=0.0749molである。また、導電性粒子を除くバインダ1gあたりのエポキシ基含有量は、0.0749mol/(100質量部−3質量部)=7.72×10−4molである。
【0042】
この100質量部の樹脂組成物を、トルエン100質量部に溶解・混合後、バーコーターを用いて剥離処理されたPETに塗布し、60℃のオーブンで10分間乾燥させ、溶剤を揮発させ、厚さ35μmの異方性導電フィルムを作製した。
【0043】
実施例1の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施したFPCとOSP処理を施したPWBとを170℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は○であった。また、リペア性の評価は○であった。表1にこれらの評価結果を示す。
【0044】
[実施例2]
実施例1の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施したFPCとOSP処理を施したPWBとを160℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は△であった。また、リペア性の評価は○であった。表1にこれらの評価結果を示す。
【0045】
[参照例1]
実施例1の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施していないFPCとOSP処理を施していないPWBとを170℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は○であった。また、リペア性の評価は○であった。表1にこれらの評価結果を示す。
【0046】
[実施例3]
(異方性導電フィルムの作製)
エポキシ基含有アクリレート(商品名:4HBAGE、日本化成社製)を10質量部、エポキシ−エステル樹脂(商品名:3002A、共栄社化学社製)を32質量部とした以外は、実施例1と同様にして実施例3の異方性導電フィルムを作製した。
【0047】
このエポキシ基含有アクリレートを用いた場合のエポキシ基含有量は、エポキシ基含有アクリレートのモル数に等しいので、導電性粒子を除くバインダ1gあたりのエポキシ基含有量は、5.15×10−4molである。
【0048】
実施例3の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施したFPCとOSP処理を施したPWBとを170℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は△であった。また、リペア性の評価は○であった。表1にこれらの評価結果を示す。
【0049】
[実施例4]
実施例3の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施したFPCとOSP処理を施したPWBとを160℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は△であった。また、リペア性の評価は○であった。表1にこれらの評価結果を示す。
【0050】
[参照例2]
実施例3の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施していないFPCとOSP処理を施していないPWBとを170℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は○であった。また、リペア性の評価は○であった。表1にこれらの評価結果を示す。
【0051】
[実施例5]
(異方性導電フィルムの作製)
1分間半減期温度が116.4℃の有機過酸化物(商品名:パーロイルL、日本油脂社製、)を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例5の異方性導電フィルムを作製した。
【0052】
このエポキシ基含有アクリレートを用いた場合のエポキシ基含有量は、エポキシ基含有アクリレートのモル数に等しいので、導電性粒子を除くバインダ1gあたりのエポキシ基含有量は、7.72×10−4molである。
【0053】
実施例5の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施したFPCとOSP処理を施したPWBとを170℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は△であった。また、リペア性の評価は○であった。表1にこれらの評価結果を示す。
【0054】
[実施例6]
実施例5の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施したFPCとOSP処理を施したPWBとを160℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は△であった。また、リペア性の評価は○であった。表1にこれらの評価結果を示す。
【0055】
[参照例3]
実施例5の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施していないFPCとOSP処理を施していないPWBとを170℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は○であった。また、リペア性の評価は○であった。表1にこれらの評価結果を示す。
【0056】
【表1】
【0057】
[比較例1]
(異方性導電フィルムの作製)
エポキシ基含有アクリレートの代わりに、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(商品名:EP828、ジャパンエポキシレジン社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例1の異方性導電フィルムを作製した。
【0058】
比較例1の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施したFPCとOSP処理を施したPWBとを170℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は×であった。また、リペア性の評価は○であった。表2にこれらの評価結果を示す。
【0059】
[比較例2]
比較例1の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施したFPCとOSP処理を施したPWBとを160℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は×であった。また、リペア性の評価は○であった。表2にこれらの評価結果を示す。
【0060】
[参照例4]
比較例1の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施していないFPCとOSP処理を施していないPWBとを170℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は○であった。また、リペア性の評価は○であった。表2にこれらの評価結果を示す。
【0061】
[比較例3]
(異方性導電フィルムの作製)
エポキシ基含有アクリレートの代わりに、2官能アクリレート(商品名:DCP、新中村化学社製)を用い、1分間半減期温度が116.4℃の有機過酸化物(商品名:ナイパーBW、日本油脂社製、)を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例3の異方性導電フィルムを作製した。
【0062】
比較例3の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施したFPCとOSP処理を施したPWBとを170℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は×であった。また、リペア性の評価は○であった。表2にこれらの評価結果を示す。
【0063】
[比較例4]
比較例3の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施したFPCとOSP処理を施したPWBとを160℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は×であった。また、リペア性の評価は○であった。表2にこれらの評価結果を示す。
【0064】
[参照例5]
比較例3の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施していないFPCとOSP処理を施していないPWBとを170℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は○であった。また、リペア性の評価は○であった。表2にこれらの評価結果を示す。
【0065】
[比較例5]
(異方性導電フィルムの作製)
エポキシ基含有アクリレートの代わりに、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(商品名:EP828、ジャパンエポキシレジン社製)を用い、有機過酸化物の代わりに潜在性イミダゾール系硬化剤(商品名:ノバキュア3941HP、旭化成ケミカルズ社製、)を40質量部用い、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(商品名:YP50、東都化成社製)を20質量部とした以外は、実施例1と同様にして比較例5のエポキシ系熱硬化型の異方性導電フィルムを作製した。
【0066】
比較例5の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施したFPCとOSP処理を施したPWBとを190℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は×であった。また、リペア性の評価は○であった。表2にこれらの評価結果を示す。
【0067】
[参照例6]
比較例5の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施していないFPCとOSP処理を施していないPWBとを190℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は○であった。また、リペア性の評価は×であった。表2にこれらの評価結果を示す。
【0068】
【表2】
【0069】
実施例1〜6と比較例1〜4との比較により、エポキシ基含有アクリレートを用いることにより、OSP処理のイミダゾール類が除去され、良好な導通が得られることが分かった。また、実施例1〜6と比較例5との比較により、エポキシ系熱硬化型の接着剤よりも、リペア性が良好であることが分かった。