【実施例】
【0035】
<3.実施例>
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。ここでは、1分子中にエポキシ基を有するアクリレート(以下、エポキシ基含有アクリレートと呼ぶ。)と、所定の1分間半減期温度を有する有機過酸化物とを含むアクリル系熱硬化型の異方性導電フィルムを作製した。そして、この異方性導電フィルムを用いてプリフラックス処理(以下、OSP(Organic Solderability Preservative)処理と呼ぶ。)されたプリント基板と、OSP処理されたフレキシブルプリント基板とを接続させ、導通抵抗及びリペア性について評価した。評価用の接続構造体の作製、導通抵抗の評価及びリペア性の評価は、次のように行った。
【0036】
[接続構造体の作製]
フレキシブルプリント基板(FPC、新日鐵化学(株)、銅配線:ライン/スペース(L/S)=100μm/100μm、端子高:12μm)にOSP処理を行った。具体的には、PWBを40℃の水溶性プリフラックス(商品名:F2LX、四国化成社製)中に1分間浸漬させ、乾燥させた。
【0037】
プリント基板(PWB、FR−4グレード、パナソニック(株)、銅配線:ライン/スペース(L/S)=100μm/100μm、配線高:35μm)についても、FPCと同様にしてOSP処理を行った。また、PWBについては、はんだ接続時における表面実装、裏面実装、及びリペアを想定して、ピークトップ260℃のリフローに3回Passさせた。
【0038】
このようにOSP処理を施したPWBとFPCとを下記に示す異方性導電フィルムを用いて所定条件で熱圧着し、接続構造体を作製した。
【0039】
[導通抵抗の評価]
各接続構造体について、デジタルマルチメータ(品番:34401A、アジレント・テクノロジー(株)社製)を用いて4端子法にて電流1mAを流したときの導通抵抗値(初期)の測定を行った。そして、導通抵抗値が200mΩ以下のものを○、200mΩ超500mΩ以下のものを△、500mΩ超のものを×と評価した。
【0040】
[リペア性の評価]
各接続構造体について、フレキシブルプリント基板をプリント基板から剥がし、IPA(イソプロピルアルコール)を十分にしみ込ませた綿棒で接続部を50往復擦り、残存する異方性導電膜が剥がれたものを○、剥がれなかったものを×とした。
【0041】
[実施例1]
(異方性導電フィルムの作製)
エポキシ基含有アクリレート(商品名:4HBAGE、日本化成社製)を15質量部、2官能エポキシアクリレート(商品名:3002A、共栄社化学社製)を27質量部、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(商品名:YP50、東都化成社製)を27質量部、ブタジエン−アクリロニトリルゴム(商品名:XER−91、JSR社製)を18質量部、水酸基含有アクリルゴム(商品名:SG−80H、長瀬ケムテックス社製)を4質量部、有機過酸化物(商品名:ナイパーBW、日本油脂社製、1分間半減期温度:130℃)を6質量部、及び平均粒径10μmのNi/Auメッキアクリル樹脂粒子(日本化学社製)を3質量部を配合した合計100質量部の樹脂組成物を調製した。このエポキシ基含有アクリレートを用いた場合のエポキシ基含有量は、エポキシ基含有アクリレートのモル数に等しいので、1質量部を1gとした場合の15質量部のエポキシ基のモル数は、15/200.23=0.0749molである。また、導電性粒子を除くバインダ1gあたりのエポキシ基含有量は、0.0749mol/(100質量部−3質量部)=7.72×10
−4molである。
【0042】
この100質量部の樹脂組成物を、トルエン100質量部に溶解・混合後、バーコーターを用いて剥離処理されたPETに塗布し、60℃のオーブンで10分間乾燥させ、溶剤を揮発させ、厚さ35μmの異方性導電フィルムを作製した。
【0043】
実施例1の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施したFPCとOSP処理を施したPWBとを170℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は○であった。また、リペア性の評価は○であった。表1にこれらの評価結果を示す。
【0044】
[実施例2]
実施例1の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施したFPCとOSP処理を施したPWBとを160℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は△であった。また、リペア性の評価は○であった。表1にこれらの評価結果を示す。
【0045】
[参照例1]
実施例1の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施していないFPCとOSP処理を施していないPWBとを170℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は○であった。また、リペア性の評価は○であった。表1にこれらの評価結果を示す。
【0046】
[実施例3]
(異方性導電フィルムの作製)
エポキシ基含有アクリレート(商品名:4HBAGE、日本化成社製)を10質量部、エポキシ−エステル樹脂(商品名:3002A、共栄社化学社製)を32質量部とした以外は、実施例1と同様にして実施例3の異方性導電フィルムを作製した。
【0047】
このエポキシ基含有アクリレートを用いた場合のエポキシ基含有量は、エポキシ基含有アクリレートのモル数に等しいので、導電性粒子を除くバインダ1gあたりのエポキシ基含有量は、5.15×10
−4molである。
【0048】
実施例3の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施したFPCとOSP処理を施したPWBとを170℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は△であった。また、リペア性の評価は○であった。表1にこれらの評価結果を示す。
【0049】
[実施例4]
実施例3の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施したFPCとOSP処理を施したPWBとを160℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は△であった。また、リペア性の評価は○であった。表1にこれらの評価結果を示す。
【0050】
[参照例2]
実施例3の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施していないFPCとOSP処理を施していないPWBとを170℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は○であった。また、リペア性の評価は○であった。表1にこれらの評価結果を示す。
【0051】
[実施例5]
(異方性導電フィルムの作製)
1分間半減期温度が116.4℃の有機過酸化物(商品名:パーロイルL、日本油脂社製、)を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例5の異方性導電フィルムを作製した。
【0052】
このエポキシ基含有アクリレートを用いた場合のエポキシ基含有量は、エポキシ基含有アクリレートのモル数に等しいので、導電性粒子を除くバインダ1gあたりのエポキシ基含有量は、7.72×10
−4molである。
【0053】
実施例5の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施したFPCとOSP処理を施したPWBとを170℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は△であった。また、リペア性の評価は○であった。表1にこれらの評価結果を示す。
【0054】
[実施例6]
実施例5の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施したFPCとOSP処理を施したPWBとを160℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は△であった。また、リペア性の評価は○であった。表1にこれらの評価結果を示す。
【0055】
[参照例3]
実施例5の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施していないFPCとOSP処理を施していないPWBとを170℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は○であった。また、リペア性の評価は○であった。表1にこれらの評価結果を示す。
【0056】
【表1】
【0057】
[比較例1]
(異方性導電フィルムの作製)
エポキシ基含有アクリレートの代わりに、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(商品名:EP828、ジャパンエポキシレジン社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例1の異方性導電フィルムを作製した。
【0058】
比較例1の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施したFPCとOSP処理を施したPWBとを170℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は×であった。また、リペア性の評価は○であった。表2にこれらの評価結果を示す。
【0059】
[比較例2]
比較例1の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施したFPCとOSP処理を施したPWBとを160℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は×であった。また、リペア性の評価は○であった。表2にこれらの評価結果を示す。
【0060】
[参照例4]
比較例1の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施していないFPCとOSP処理を施していないPWBとを170℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は○であった。また、リペア性の評価は○であった。表2にこれらの評価結果を示す。
【0061】
[比較例3]
(異方性導電フィルムの作製)
エポキシ基含有アクリレートの代わりに、2官能アクリレート(商品名:DCP、新中村化学社製)を用い、1分間半減期温度が116.4℃の有機過酸化物(商品名:ナイパーBW、日本油脂社製、)を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例3の異方性導電フィルムを作製した。
【0062】
比較例3の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施したFPCとOSP処理を施したPWBとを170℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は×であった。また、リペア性の評価は○であった。表2にこれらの評価結果を示す。
【0063】
[比較例4]
比較例3の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施したFPCとOSP処理を施したPWBとを160℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は×であった。また、リペア性の評価は○であった。表2にこれらの評価結果を示す。
【0064】
[参照例5]
比較例3の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施していないFPCとOSP処理を施していないPWBとを170℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は○であった。また、リペア性の評価は○であった。表2にこれらの評価結果を示す。
【0065】
[比較例5]
(異方性導電フィルムの作製)
エポキシ基含有アクリレートの代わりに、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(商品名:EP828、ジャパンエポキシレジン社製)を用い、有機過酸化物の代わりに潜在性イミダゾール系硬化剤(商品名:ノバキュア3941HP、旭化成ケミカルズ社製、)を40質量部用い、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(商品名:YP50、東都化成社製)を20質量部とした以外は、実施例1と同様にして比較例5のエポキシ系熱硬化型の異方性導電フィルムを作製した。
【0066】
比較例5の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施したFPCとOSP処理を施したPWBとを190℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は×であった。また、リペア性の評価は○であった。表2にこれらの評価結果を示す。
【0067】
[参照例6]
比較例5の異方性導電フィルムを用いて、OSP処理を施していないFPCとOSP処理を施していないPWBとを190℃、2MPa、10秒という条件で熱圧着した。この接続構造体の導通抵抗の評価は○であった。また、リペア性の評価は×であった。表2にこれらの評価結果を示す。
【0068】
【表2】
【0069】
実施例1〜6と比較例1〜4との比較により、エポキシ基含有アクリレートを用いることにより、OSP処理のイミダゾール類が除去され、良好な導通が得られることが分かった。また、実施例1〜6と比較例5との比較により、エポキシ系熱硬化型の接着剤よりも、リペア性が良好であることが分かった。