(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに軸方向で隣り合う前記軸方向切り欠き部分同士は、その軸方向端部が、互いに周方向に所定の間隔を隔てた状態で所定の長さにわたって互いに軸方向で重なり合っていることを特徴とする請求項1に記載の管状体。
互いに軸方向で隣り合う前記軸方向切り欠き部分同士は、その軸方向の端位置が、互いに周方向に所定の間隔を隔てた状態で互いに軸方向で一致していることを特徴とする請求項1に記載の管状体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述したインクジェット印刷は、プリンタの印刷方式の1つであり、液状のインク粒子を飛ばしてプリント基材に点を描き、その集まりで文字や図形を印字するものであるが、前記特許文献1に開示されるようなインクジェットプリンタのように、インクノズルから噴射されるインクがプリント基材に付着すると同時に照射部から紫外線が照射されてプリント基材に付着したインクが即座に硬化される印刷形態では、特に釣竿などの管状体に対してそのような印刷形態で装飾層を印刷する場合に1つの問題が生じる。
【0005】
すなわち、紫外線のような活性エネルギー線の照射によって硬化可能な樹脂組成物を用いる塗装方法では、近年、活性エネルギー線の照射による硬化において収縮を伴い、その硬化物に反りや割れが生じてしまうという問題点が指摘されており、管状体、特に、釣竿のように長い管状体が曲げ力を頻繁に受ける製品に対して活性エネルギー線硬化型インクにより装飾層を施す場合には、曲げ等の外力により装飾層の剥離や破損が誘発される虞がある。前記特許文献2に開示されるように管状体としての釣竿の表面の一部に周方向にわたって部分的に装飾層が形成される場合には、そのような装飾層が釣竿の曲げに追従し易いため、装飾層が剥離や破損に至り難いが、装飾層が管状体の半周以上にわたって(例えば全周にわたって)形成される場合には、管状体の表面の活性エネルギー線硬化における収縮等によって内部応力が高まり、曲げ等によって装飾層が剥離または破損し易くなる。
【0006】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、活性エネルギー線硬化型インクにより装飾層を半周以上にわたって形成しても装飾層が破損し難い管状体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明の管状体は、管状の素材本体と、該素材本体の表面の所定の部位に素材本体の半周以上にわたって活性エネルギー線硬化型インクにより形成される着色層を有する装飾層とを備え、前記着色層が該着色層の少なくとも一部を切り欠く切り欠き部を有し、該切り欠き部は、前記着色層が前記素材本体の半周にまで至らない位置で活性エネルギー線照射による硬化に伴う内部応力を逃がすように前記着色層を部分的に分断
し、前記切り欠き部は、前記素材本体の略軸方向に延びる複数の軸方向切り欠き部分からなり、複数の前記軸方向切り欠き部分は、互いに異なる周方向位置で互いに軸方向にずれて設けられることを特徴とする。
【0008】
上記した構成の管状体によれば、活性エネルギー線硬化型インクにより形成される着色層は、素材本体の半周以上にわたって形成されているにもかかわらず、素材本体の半周にまで至らない位置で切り欠き部により部分的に分断されているため、活性エネルギー線照射による硬化に伴う内部応力を前記切り欠き部により効果的に逃がして発散および低下させることができ、したがって、素材本体に曲げ等の外力が加わった場合でも破損し難い(例えば、クラックが生じ難い)。これは、特に曲げ力を頻繁に受ける釣竿などの管状体製品において有益である。また、上記した構成の管状体によれば、着色層が素材本体の半周以上にわたって形成されているため、外観や視認性を向上させることもできる。
【0009】
なお、上記構成において、活性エネルギー線とは、電子線、X線、紫外線、低波長領域の可視光等エネルギーの高い電子線若しくは電磁波の総称であり、通常利用できる照射装置の簡便性および普及性を考えると、紫外線であることが好ましい。しかしながら、活性エネルギー線およびそれにより硬化されるインクの種類は特に限定されない。
【0010】
また、上記構成において、「切り欠き部」とは、着色層の少なくとも一部を切り欠いてできる着色層の表面の凹領域あるいは欠如領域のことである。また、前記切り欠き部は、他の着色層部位の厚さよりも薄い着色層から成っていてもよい。つまり、本発明における着色層の部分的分断とは、着色層をその延在全域の一部でのみ分断することは無論のこと、その分断部分で着色層が部分的に残存する(着色層が完全に除去されない)ことも含む。切り欠き部が他の着色層部位の厚さよりも薄い着色層から成っていれば、切り欠き部にも装飾効果を持たせることができ、有益である。
【0011】
また、上記構成におい
て、互いに軸方向で隣り合う前記軸方向切り欠き部分同士は、その軸方向端部が、互いに周方向に所定の間隔を隔てた状態で所定の長さにわたって互いに軸方向で重なり合っていてもよく、あるいは、互いに軸方向で隣り合う前記軸方向切り欠き部分同士は、その軸方向の端位置が、互いに周方向に所定の間隔を隔てた状態で互いに軸方向で一致していてもよい。複数の前記軸方向切り欠き部分が全体として軸方向の全長に及んでいれば、装飾層全域にわたって着色層の破損を防止でき、有益である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の管状体によれば、着色層が素材本体の半周にまで至らない位置で切り欠き部により部分的に分断されているため、活性エネルギー線硬化型インクにより装飾層(着色層)を半周以上にわたって形成しても、活性エネルギー線照射による硬化に伴う内部応力を前記切り欠き部により効果的に逃がすことができ、装飾層が破損し難い。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る装飾層を備える管状体の一実施形態について説明する。
【0015】
図1には、本発明の管状体の一例として釣竿1が示されている。図示のように、この釣竿1は、複数の管状体としての竿杆、具体的には、グリップ3aを有する元竿3と、第1中竿5と、第2中竿7と、釣糸締結具9aを有する穂先竿9とによって構成される。この場合、各竿杆3,5,7は、振出し式または並継ぎ式に構成されており、各竿杆3,5,7を構成する竿本体(素材本体20;
図3参照)は、強化繊維に合成樹脂を含浸した繊維強化プリプレグを巻回することで形成され(スチール等の金属によって形成されてもよい)、各竿杆3,5,7には装飾部Aが形成されている。
【0016】
装飾部Aは、インクジェットにより形成され、竿杆3,5,7の周方向の少なくとも半周以上(本実施形態では全周)にわたって延びる連続模様A1(薄い着色層32Aと厚い着色層32Bとを有する;後述する)、竿杆3,5,7の周方向の少なくとも半周以上(本実施形態では全周)にわたって線状に延びる線模様A2(断面円形の周方向に延びる線模様),A3(斜めに蛇行して周方向に延びる線模様)、竿杆3,5,7の周方向の少なくとも半周以上(本実施形態では全周)にわたって延在する格子模様A4、および、竿杆3,5,7の周方向の少なくとも半周以上にわたって延びるぼかし模様A5を含む。ここで、ぼかし模様A5とは、例えばインクの濃度が他の部位よりも薄い領域から成るぼかし部A5’(例えば軸方向に線状に延び且つ周方向に所定の幅を有する)を周方向に間隔を隔てて有する模様のことであり、ぼかし部A5’は、例えば周方向または軸方向に沿って段階的に濃度が変化してもよい。あるいは、ぼかし部A5’は、インクの色の配合が徐々に変化するものであってもよい。
【0017】
また、装飾部A(A1,A2,A3,A4,A5)は、
図3に示されるように、各竿杆3,5,7を構成する素材本体20の表面の所定の部位上に形成される装飾層50から成る。具体的に、装飾層50は、素材本体20上に形成される第1の下地層(例えば、厚さが5〜20μm)30と、第1の下地層30上に形成される第2の下地層31(例えば、厚さが5〜20μm)と、第2の下地層31上に形成される着色層32(例えば、厚さが10〜60μm)と、着色層32上に形成される透明な保護層33(例えば、厚さが15〜25μm)とを積層することによって構成される。
【0018】
第1の下地層30は、素材本体20の外表面を平滑化するために設けられるものであり、例えば、エポキシ、ウレタン、アクリル、アクリルシリコン、シリコン等の合成樹脂から成り、吹き付け塗装、シゴキ塗装、刷毛塗り塗装等の各種の塗装方法によって形成される。また、第1の下地層30は、顔料等を混入して着色したものであっても良い。
【0019】
また、第2の下地層31は、下地の隠ぺい、着色層32の明度、色調などの調整を目的としており、光反射層、白色層から成る。光反射層は、光輝性のある材料、例えば、所定の合成樹脂(アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニール系樹脂等)に、光輝性を有する複数の粒子(以下、光輝性粒子と称する)を、所望の密度で且つ均一に混入したものを、塗装することで形成することが可能である。
【0020】
前記所定の合成樹脂に混入される光輝性粒子は、例えば、Al,Cu,Ag,Mg,In,Cr,Si,Ni,Ti,Au,Rh,Pt等、光輝性があり各種の色彩を有する金属材料を用いることが可能である。この場合、各粒子の大きさは、2μm以下、好ましくは、0.3μm〜1μmに設定するのが良く、且つ、その厚さは、1μm以下、好ましくは、0.03μm〜0.5μmに設定するのが良い。すなわち、この範囲以外に粒子本体の大きさ及び厚さを設定すると、光輝性粒子を合成樹脂中に所望の密度で、かつ均一に配置できなくなると共に、光輝性粒子の境界が目立つようになったり、光の反射方向が一定しなくなって均一な光輝性外観を発揮できなくなってしまうからである。
【0021】
このような光輝性粒子の形成方法は、例えば、テフロン(登録商標)やシリコン樹脂等から成るフィルム状の支持基板上に、上記金属材料を蒸着又はスパッタリングして金属層を形成した後、この金属層を支持基板から剥離して粉砕することによって形成することが可能である。このようにして形成された複数の光輝性粒子は、その光輝性を充分に発揮すると共に、所望の色彩を生じる程度の密度で、かつ均一に配置されることが好ましい。具体的には、合成樹脂中に混入される光輝性粒子の密度は、単位面積当たりの光輝性粒子の個数が、5万〜2000万個/mm
2 となるように設定することが好ましい。このようにして形成される光反射層によれば、均一で所望の色に着色された光輝性外観を呈示することが可能となる。
【0022】
また、前述した構成以外にも、光反射層は、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、クロム、コバルト、ニッケル、鉄、亜鉛等の金属片、或いは顔料等の粒子を単体として、或いはこれらを任意に組み合わせ、これを微量の合成樹脂に混入すると共に、多量の溶剤で希釈し、これをガン吹き塗装等により吹き付け、その後、溶剤を除去(揮発)することによって形成することも可能である。なお、金属片や顔料等の粒子のサイズ、組み合わせ等を変えることにより、様々な外観を形成することが可能である。
【0023】
あるいは、前述した構成以外にも、光反射層は、Cr,Ni,Ti,Al,Ag,Be等の金属、TiN,TiCN,CrN,Fe−Cr−Ni等の合金類、TiO
2,SiC等のセラミックスを主要材料として形成することが可能であり、これによっても外観を向上することが可能である。このような金属やセラミックスを用いた光反射層は、イオンプレーティング、スパッタリング、蒸着等の物理的蒸着、化学的蒸着、真空蒸着等のドライプレーティングや、湿式メッキ等を用いて形成することが可能である。なお、白色層は、所定の合成樹脂の塗装により形成されてもよいが、インクジェットにより形成されてもよい。この場合、下地を隠蔽し、着色層の明度調整をし易くするのがよい。
【0024】
第2の下地層31上に形成される着色層32は、例えば光透過性を有しており、素材本体20の半周以上にわたって活性エネルギー線硬化型インクにより形成される。着色層32を構成する材料は、例えば、顔料や染料等の着色材を、エポキシやウレタン等の透明、又は半透明の合成樹脂に混入した主材に、硬化剤を含有させることで形成することも可能であるが、本実施形態では、硬化用光線(活性エネルギー線)である紫外線の照射により硬化される紫外線硬化型のインクが使用される。光硬化型インクには、アクリル系、エポキシカチオン系のものなどが使用されるが、特に紫外線硬化形のインクには、多官能モノマー及びアクリレートオリゴマーに増感剤を配合したものが用いられる。このようなインクでは、増感剤がラジカルを形成し、オリゴマー、モノマーの連鎖反応を起こすことが利用される。また、インクは、熱硬化型、溶剤(水、有機材)乾燥型、二液反応型等のものが使用されてもよい。
【0025】
なお、着色層
32上に形成される保護層33は、エポキシ、ウレタン、アクリル、アクリルシリコン等の透明または半透明の合成樹脂によって形成される。
【0026】
図4には、装飾部Aとしての一例である格子模様A4(
図2参照)の断面が示されている。ここで、
図4の(a)は、
図2のA−A線に沿う断面図であって、格子模様の格子部分(後述する着色層部分32x)の中央を貫く断面であり、また、
図4の(b)は、
図2のB−B線に沿う断面図であって、格子部分(後述する着色層部分32x)の角部70(
図2も参照)の繋がり部分に沿う(着色層部分32xの周方向の側縁に沿う)断面である。
【0027】
竿杆3,5,7(素材本体20)の全周にわたって形成されるこの格子模様A4の装飾層50(
図3参照)を構成する着色層32は、矩形の着色層部分32xと着色層32が完全に除去された(切り欠かれた)矩形の切り欠き部60とが軸方向および周方向に交互に配列されて成り(
図2参照)、これにより、着色層32は、素材本体20の半周にまで至らない位置で切り欠き部60により部分的に分断されている。この場合、各着色層部分32xの角部70は、その周囲の隣接する着色層部分32xの角部70と繋がって(接合して)おり、したがって、これらの角部70の繋がり部分では、
図4の(b)に示されるように、着色層32がその周方向側縁に沿って全周にわたり分断されることなく連続している。
【0028】
また、
図5および
図6には、装飾部Aとしての一例であるぼかし模様A5(
図2参照)の断面が示されている。ここで、
図5は
図2のC−C線に沿う断面図であり、
図6は
図5の着色層部分の展開図である。
【0029】
図示のように、竿杆3,5,7(素材本体20)の半周以上にわたって形成されるこのぼかし模様A5の着色層32も、該着色層32が素材本体20の半周にまで至らない位置で着色層32を部分的に分断する切り欠き部62を有する。すなわち、
図5に示されるように、着色層32は、その周方向一端部32aからその周方向他端部32bに至るまで素材本体20の半周以上にわたって延びているが、その周方向一端部32aおよびその周方向他端部32bのいずれからも素材本体20の半周にまで至らない位置に切り欠き部62が設けられている。
【0030】
また、このぼかし模様A5の着色層32における切り欠き部62は、
図6(
図2)に明確に示されるように、素材本体20の軸方向Xに延びる複数の軸方向切り欠き部分62Aから成る。また、図示のように、複数の軸方向切り欠き部分62Aは、互いに異なる周方向Yの位置で互いに軸方向Xにずれて設けられている。具体的には、互いに軸方向Xで隣り合う軸方向切り欠き部分62A同士は、その軸方向Xの端部62’が、互いに周方向Yに所定の間隔を隔てた状態で所定の長さLにわたって互いに軸方向Xで重なり合っている。あるいは、複数ある軸方向切り欠き部分62Aの一部または全部は、互いに軸方向Xで隣り合う軸方向切り欠き部分62A同士が、その軸方向の端位置62aを互いに周方向に所定の間隔を隔てた状態で互いに軸方向で一致させていてもよい。いずれにしても、このぼかし模様A5の着色層32において、複数の軸方向切り欠き部分62Aは、全体として、軸方向Xの全長に及んでいる(軸方向の全長を網羅している)。
【0031】
なお、各軸方向切り欠き部分62Aは、本実施形態では素材本体20の長手方向中心軸線に沿って軸方向に真っ直ぐに延びているが、素材本体20の長手方向中心軸線に対して所定の角度を成して斜めに延びていても構わない。本明細書中において、「略軸方向」とは、そのような意味に解釈されるべきである。
【0032】
また、
図7(
図2のD−D線に沿う断面図)には、装飾部Aとしての一例である連続模様A1(
図2参照)の断面が示されている。図示のように、竿杆3,5,7(素材本体20)の全周にわたって形成されるこの連続模様A1の着色層32(32A,32B)も、該着色層32が素材本体20の半周にまで至らない位置で着色層32を部分的に分断する切り欠き部64を有する。この場合、切り欠き部64は、他の着色層部位32Bの厚さよりも薄い着色層32Aから成っている。つまり、この連続模様A1の着色層32は、厚さが薄い着色層32Aと、厚さが厚い着色層32Bとから成るとともに、薄い着色層32Aが、厚い着色層32Bを素材本体20の半周にまで至らない位置で部分的に分断する切り欠き部64としての機能を果たしている。なお、この連続模様A1において、薄い着色層32Aは、文字、図形、絵などの模様を構成してもよい。
【0033】
以上説明したように、本実施形態の管状体としての釣竿1において、活性エネルギー線硬化型インクにより形成される装飾部Aの着色層32は、素材本体20の半周以上にわたって形成されているにもかかわらず、素材本体20の半周にまで至らない位置で切り欠き部60,62,64により部分的に分断されているため、活性エネルギー線照射による硬化に伴う内部応力を切り欠き部60,62,64により効果的に逃がして発散および低下させることができ、したがって、(着色層32の一部が半周以上にわたって連続している部位(例えば、
図4に示される格子模様A4の角部70の繋がり部分(
図4の(b)参照))が存在する場合であっても)素材本体20に曲げ等の外力が加わった場合でも破損し難い(例えば、クラックが生じ難い)。
【0034】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、前述した実施形態では、管状体として釣竿が示されているが、本発明は様々な管状の製品(管状体)に適用できる。また、前述した3つの装飾部の構成(
図4;
図5,6;
図7)を任意に組み合わせることも可能である。例えば、
図4に示される格子模様A4の切り欠き部60が
図7に示される連続模様A1の薄い層32Aによって形成されてもよい。
【0035】
また、
図7の着色層32(32A,32B)の構成を
図8のように変形させることもできる。すなわち、
図8の着色層は、薄い着色層32Aと厚い着色層32Bとの配置形態が
図7の場合と逆になっており、半周以上にわたって延びる薄い着色層
32Aの前記切り欠き部64に相当する位置に厚い着色層32Bが(素材本体20の半周以下にわたって)設けられている。ここで、厚い着色層32Bは、薄い着色層
32Aの切り欠き部64から径方向に突出する部位が薄い着色層32Aにより拘束されていないため、この突出部位が周方向に変形して紫外線硬化に伴う応力を逃がすことができる。なお、
図8の構成では、薄い着色層32Aを素材本体20の半周にまで至らない位置で分断する切り欠き部60が設けられても構わないが、そのような切り欠き部60を設けなくてもよい。
【0036】
また、前述した実施形態では、着色層のインクを硬化させる活性エネルギー線として紫外線が使用されるが、電子線、X線、低波長領域の可視光等エネルギーの高い電子線若しくは電磁波などの他の活性エネルギー線が使用されてもよい。また、着色層を構成するインクとしての活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、種々の基材の表面に塗布することができ、例えば、紙、硬質及び可橈性プラスチック、金属基板、セメント、ガラス、石、セラミック、木材、その他を含む広い範囲の基板上へ適用できる。