特許第6231289号(P6231289)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231289
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】車両用センターコンソール
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20171106BHJP
   B60N 2/46 20060101ALI20171106BHJP
   B60N 3/10 20060101ALI20171106BHJP
   A47C 7/54 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   B60R7/04 C
   B60N2/46
   B60N3/10 A
   A47C7/54 B
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-69023(P2013-69023)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-189244(P2014-189244A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100123696
【弁理士】
【氏名又は名称】稲田 弘明
(74)【代理人】
【識別番号】100100413
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 温
(72)【発明者】
【氏名】大家 敏宏
(72)【発明者】
【氏名】大原 智彦
【審査官】 田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−092186(JP,A)
【文献】 特開2000−325181(JP,A)
【文献】 実開平06−023833(JP,U)
【文献】 特開平06−099775(JP,A)
【文献】 特開2009−126304(JP,A)
【文献】 特開2011−246006(JP,A)
【文献】 実開昭61−158535(JP,U)
【文献】 特開2014−151709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
A47C 7/54
B60N 2/46
B60N 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の左右前席の間隔に配置される車両用センターコンソールであって、
上方に開口が設けられた収納空間部と、
前記収納空間部の前記開口の上部に設けられたアームレストとを備え、
前記アームレストは、前部及び後部に分割して構成され、
前記前部は前記後部と独立して前記収納空間部の前方側へ移動可能であり、
前記収納空間部の前記開口近傍でありかつ前記アームレストの下側に設けられ飲料容器を保持するカップホルダを備え、
前記カップホルダは前記収納空間部に対して車両前後方向に移動可能であり、該カップホルダは後退させた前記アームレストの前記前部の前端部の前方側で利用される第1の位置と、前進させた前記アームレストの前記前部の後端部の後方側でありかつ前記後部の前端部の前方側で利用される第2の位置とを選択可能であること
を特徴とする車両用センターコンソール。
【請求項2】
前記アームレストの車両前方側にはタッチパネルを有する操作部材が設けられ、
前記アームレストの前記前部を前方側へ移動させた状態での該アームレストの上面部前端部から前記タッチパネル上端部までの距離が350mm以下であること
を特徴とする請求項1に記載の車両用センターコンソール。
【請求項3】
前記カップホルダは、実質的に全体が前記アームレストの下側に収容可能であること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用センターコンソール。
【請求項4】
前記アームレストの前記後部は、前記前部と独立して前記収納空間部に対して前後方向に移動可能であること
を特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の車両用センターコンソール。
【請求項5】
前記アームレストの前記後部は、後端部近傍に設けられた回転軸回りに回動可能であること
を特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の車両用センターコンソール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両の左右前席の間隔に設けられる車両用センターコンソールに関し、特に収容空間部の利便性を確保しつつ前方に設けられる操作部材の操作性を向上したものに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両の左右前席の間隔には、収容空間部、カップホルダ、アームレスト等を有する車両用センターコンソールが設けられる。
また、センターコンソールの前方側には、ナビゲーション装置やオーディオ装置等を操作する操作部材であるタッチパネルが設けられる場合が多い。
走行中に加速度や振動等が発生している状態で、このようなタッチパネルを指先で正確に操作するためには、操作者の肘部をセンターコンソールのアームレストによって保持することが好ましい。
【0003】
このような車両用センターコンソールに関する従来技術として、例えば特許文献1には、センターコンソール上部に設けられたスイッチ類の操作性を改善する目的で、収容空間部の上部蓋を兼ねるアームレストを前方側へスライド可能としたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−246006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術のように、アームレストを前進させて前方側の操作部材を操作する際に腕や肘を支持する構成とした場合、腕を安定させて操作性を向上することはできる。
しかし、インストルメントパネルに内蔵されたタッチパネルの操作時にもこのような効果を得るためには、アームレストの前進量を相当大きくする必要がある。このようにアームレストを大きく前進させた状態で収容空間部へ小物や飲料容器等の物品を出し入れしようとした場合、アームレストの後端部よりもさらに後方側から収容空間部内、カップホルダ等へアクセスする必要があり、利便性が著しく悪化してしまう。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、収容空間部の利便性を確保しつつ前方に設けられる操作部材の操作性を向上した車両用センターコンソールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1に係る発明は、車両の左右前席の間隔に配置される車両用センターコンソールであって、上方に開口が設けられた収納空間部と、前記収納空間部の前記開口の上部に設けられたアームレストとを備え、前記アームレストは、前部及び後部に分割して構成され、前記前部は前記後部と独立して前記収納空間部の前方側へ移動可能であり、前記収納空間部の前記開口近傍でありかつ前記アームレストの下側に設けられ飲料容器を保持するカップホルダを備え、前記カップホルダは前記収納空間部に対して車両前後方向に移動可能であり、該カップホルダは後退させた前記アームレストの前記前部の前端部の前方側で利用される第1の位置と、前進させた前記アームレストの前記前部の後端部の後方側でありかつ前記後部の前端部の前方側で利用される第2の位置とを選択可能であることを特徴とする車両用センターコンソールである。
これによれば、アームレストの前部を前進させてここに肘を載せ、腕が安定した状態でタッチパネル等の操作部材の操作を行なうことが可能となり、操作部材の操作性が向上する。
また、アームレストの前部と後部との間隔から収納空間部へアクセスすることが可能となり、収容空間部の利便性も確保することができる。
また、アームレストの前部を後退させた状態においては、カップホルダをその前方の第1の位置で利用することによって、飲料容器の出し入れを容易として利便性を向上することができる。
また、アームレストの前部を前進させた状態においては、カップホルダをその後方の第2の位置へ移動させることによって、アームレストの前部がカップホルダを塞いで利用不可能となることを防止することができる。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記アームレストの車両前方側にはタッチパネルを有する操作部材が設けられ、前記アームレストの前記前部を前方側へ移動させた状態での該アームレストの上面部前端部から前記タッチパネル上端部までの距離が350mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の車両用センターコンソールである。
これによれば、例えばAM50(成人男性の50パーセンタイル)相当の体格のユーザがアームレストの前部に肘部を載せた状態でタッチパネルの上端部を操作することが可能となり、上述した効果をより確実に得ることができる。
【0009】
請求項に係る発明は、前記カップホルダは、実質的に全体が前記アームレストの下側に収容可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用センターコンソールである。
これによれば、カップホルダをアームレストの下側に収容して収容空間部へのアクセス開口を大きくし、大型の収容対象物を収容することができる。
【0010】
請求項に係る発明は、前記アームレストの前記後部は、前記前部と独立して前記収納空間部に対して前後方向に移動可能であることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の車両用センターコンソールである。
これによれば、腕を乗せて寛ぎたい場合には、アームレストの前部と後部とを実質的に一体として所望の位置へスライドさせて利用することができ、また、収容空間部へのアクセス性を重視する場合には、前部と後部との間に隙間を設けてここから収納空間部へのアクセスを行なうことができる。
【0011】
請求項に係る発明は、前記アームレストの前記後部は、後端部近傍に設けられた回転軸回りに回動可能であることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の車両用センターコンソールである。
これによれば、収容空間部へ大型の収容対象物を出し入れする場合の利便性を向上することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、収容空間部の利便性を確保しつつ前方に設けられる操作部材の操作性を向上した車両用センターコンソールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明を適用した車両用センターコンソールの実施例の二面図であって、図1(a)は上方から見た平面図であり、図1(b)は図1(a)のb−b部矢視図である。
図2図1のII部拡大図である。
図3図1の車両用センターコンソールにおけるアームレスト及びカップホルダのアレンジのバリエーションを示す図である。
図4図1の車両用センターコンソールにおけるアームレスト及びカップホルダのアレンジのバリエーションを示す図である。
図5図1の車両用センターコンソールにおけるアームレスト及びカップホルダのアレンジのバリエーションを示す図である。
図6図1の車両用センターコンソールにおけるアームレスト及びカップホルダのアレンジのバリエーションを示す図である。
図7図1の車両用センターコンソールを用いてインストルメントパネルに設けられたタッチパネルを操作する際の腕の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、収容空間部の利便性を確保しつつ前方に設けられる操作部材の操作性を向上した車両用センターコンソールを提供する課題を、アームレストを前部、後部に分割して独立して前後にスライド可能とし、前部に肘を載せてタッチパネルの操作を可能とするとともに、前部と後部の間隔から収容空間部にアクセス可能とすることによって解決した。
【実施例】
【0015】
以下、本発明を適用した車両用センターコンソールの実施例について説明する。
実施例の車両用センターコンソール(以下、単に「センターコンソール」と称する。)は、例えば乗用車等の自動車の左右前席の間隔に設けられるものである。
図1は、実施例のセンターコンソールの二面図であって、図1(a)は上方から見た平面図であり、図1(b)は図1(a)のb−b部矢視図である。
図2は、図1(b)のII部拡大図である。
【0016】
センターコンソール100は、例えば乗用車等の自動車の左右前席(運転席及び助手席)の間に配置される内装部材であって、インストルメントパネル10の下端部近傍から車両後方側に延びて配置されている。
インストルメントパネル10は、前席乗員の前方側に配置された内装部材であって、空調噴出口11、タッチパネル12、図示しないコンビネーションメータ、グローブボックス等を有する。
空調噴出口11は、ブロワファンによって加圧された空調風が車室内へ吹き出されるグリル部であって、その一部は、インストルメントパネル10の車幅方向における中央部の上部に配置されている。
【0017】
タッチパネル12は、カーナビゲーション装置、オーディオ装置、テレマティクス装置等の車載電子機器の画像表示部を兼ねた操作部である、
タッチパネル12は、インストルメントパネル10の車幅方向における中央部の下部に、車両後方側に向けて配置されている。
タッチパネル12は、下端部が上端部に対してやや車両後方側となるように、鉛直方向に対してわずかに傾斜して配置されている。
タッチパネル12は、ユーザの手指によるタップ操作、ドラッグ操作、フリック操作、ピンチアウト操作、ピンチイン操作等を受け付けるようになっている。
タップ操作は、タッチパネル12の所定領域を指で叩く(触る)操作である。
ドラッグ操作は、タッチパネル12の所定領域を指で触った状態のまま、指を他の領域にずらす操作である。
フリック操作は、画面上に表示されたリストをスクロールする場合等に、タッチパネル12を指で触った状態で指をずらしながらタッチパネル12から離す操作である。
ピンチアウト操作、ピンチイン操作は、2本の指でタッチパネル12に触りながら指の間隔を広げ、あるいは、狭める操作である。
タッチパネル12の上端部は、空調噴出口11の下端部に隣接して配置されている。
タッチパネル12の下部は、センターコンソール100のシフトセレクタ111における前端部に隣接して配置されている。
【0018】
センターコンソール100は、シフト操作部110、収容空間部120、フロントアームレスト130、リアアームレスト140、カップホルダ150等を有して構成されている。
【0019】
シフト操作部110は、シフトバイワイヤ式のシフトセレクタ111が設けられる部分である。
シフトセレクタ111は、例えば、変速機制御ユニットと電気的に接続された押しボタン式等のスイッチによって、自動変速機の変速レンジ(前進、後退、ニュートラル、パーキング等)を切り替えるものである。
シフト操作部110は、センターコンソール100の上面部における前方の部分に配置されている。
シフト操作部110の下方には、車幅方向に開口した空間部112が形成されている。
空間部112は、小物等を収容する収容空間部として機能する。
シフト操作部110の前端部は、タッチパネル12の下端部に隣接して配置されている。
【0020】
収容空間部120は、各種収容対象物を収容する容器状の部分である。
収容空間部120は、前後方向、車幅方向、上下方向から見た平面形がそれぞれ実質的に矩形に形成されるとともに、上方に開口121を有するボックス状となっている。
また、収容空間部120には、図示しない電源端子、オーディオ外部入力端子等が設けられる。
【0021】
フロントアームレスト130、リアアームレスト140は、協働してユーザ(運転席又は助手席に着座した乗員)の腕部が載せられるアームレストを構成するものである。
フロントアームレスト130、リアアームレスト140は、それぞれアームレストの前部及び後部を構成するものである。
【0022】
フロントアームレスト130、リアアームレスト140は、収容空間部120の開口121の側端部に設けられ前後に延びた図示しないレールに沿って、収容空間部120に対して独立して前後方向に相対移動可能となっている。
フロントアームレスト130は、その前端部が収容空間部120の開口121の前端部近傍となるまで前進可能となっている。
リアアームレスト140は、その後端部が収容空間部120の開口121の後端部近傍となるまで後退可能となっている。
また、リアアームレスト140は、図2に破線で示すように、後端部近傍に設けられ車幅方向に沿って延びた回転軸回りに、前端部を上昇させる方向に回動可能となっている。
【0023】
カップホルダ150は、飲料容器である瓶B、カップCなどの下部を保持可能な凹部を、前後方向に例えば2個並べて配置したトレイ状の部材である。
カップホルダ150は、収容空間部120の開口121の側端部に設けられた図示しないレールに沿って、収容空間部120に対して車両前後方向にスライド可能となっている。
このとき、カップホルダ150は、フロントアームレスト130、リアアームレスト140と独立して、これらの下方で移動可能となっている。
このため、カップホルダ150は、その一部又は全部をフロントアームレスト130、リアアームレスト140の下方に配置したり、前後方向にすれ違わせることが可能となっている。
図1図2に示す例においては、例えば、フロントアームレスト130、リアアームレスト140を一体として最後端まで後退させるとともに、カップホルダ150を最前端まで前進させた状態となっている。
このとき、カップホルダ150は、フロントアームレスト130の前方側でありかつ収容空間部120の前部において、2本の瓶B等を収容可能な状態となっている。
【0024】
また、実施例のセンターコンソール100は、各部材の配置を変更することによって、様々なアレンジが可能となっている。
以下、上述したセンターコンソール100における各部材のアレンジのバリエーションについて説明する。
図3乃至図6は、図1の車両用センターコンソールにおけるアームレスト及びカップホルダのアレンジのバリエーションを示す図である。
【0025】
図3に示す例においては、フロントアームレスト130、リアアームレスト140を一体として可動範囲最後端まで後退させるとともに、カップホルダ150を中間部分までフロントアームレスト130の下側に配置した状態となっている。
このとき、カップホルダ150は、前方側の収容部が利用可能であり、さらに、カップホルダ150の前方側から例えば1.5Lのペットボトル等の大型の瓶Bを収容空間部120内に挿入可能となっている。
【0026】
図4に示す例においては、フロントアームレスト130、リアアームレスト140を一体として可動範囲最後端まで後退させるとともに、カップホルダ150のほぼ全体をフロントアームレスト130、リアアームレスト140の下側に収容した状態となっている。
このとき、カップホルダ150は利用できなくなるが、開口121の大半がフロントアームレスト130の前方側で利用可能となることから、比較的大型の収容対象物であっても容易に出し入れすることが可能となり、利便性が向上する。
【0027】
図5に示す例においては、フロントアームレスト130は、その前端部が収容空間部120の前端部とほぼ一致する可動範囲最前端の位置まで前進し、リアアームレスト140は、可動範囲最後端まで後退した状態となっており、これらは相対距離が最も大きくなるように分離して配置されている。
また、カップホルダ150は、その前端部が収容空間部120の前端部とほぼ一致する可動範囲最前端の位置まで前進している。
このとき、カップホルダ150は、後方側の収容部がフロントアームレスト130の後方側で利用可能となっている。
また、カップホルダ150の後端部とリアアームレスト140の前端部との間からは、収容空間部120へのアクセスが可能となり、例えば、大型の瓶B等を収容空間部120に収容可能となっている。
【0028】
図6に示す例においては、カップホルダ150は可動範囲最前端の位置まで前進して配置され、フロントアームレスト130は、カップホルダ150における後方側の収容部の上方に配置される。
リアアームレスト140は、可動範囲最後端の位置まで後退し、さらに、回転軸回りに前端部が上昇する方向に回転させられている。
この状態においては、フロントアームレスト130の前方側において、カップホルダ150に一人分の飲料容器を収容することが可能であり、さらに、フロントアームレスト130の後方側において、収容空間部120の開口121の後方側の大部分がユーザ側に露出することから、比較的大型の収容対象物の出し入れを容易に行うことができる。
【0029】
また、実施例のセンターコンソール100においては、ユーザがタッチパネル12を操作する際に、フロントアームレスト130を可動範囲の前端部まで前進させ、ここに肘部を載せてタッチパネル12を操作することが可能となっている。
図7は、図1の車両用センターコンソールを用いてインストルメントパネルに設けられたタッチパネルを操作する際の腕Aの状態を示す図である。
図7に示すように、腕Aは、肘Eがフロントアームレスト130の上部に載置された状態で安定して保持され、ユーザはこのとき手指によってタッチパネル12の実質的に全面を操作可能となっている。
例えば、このときのフロントアームレスト130の前端部と、タッチパネル12の上端部との直線距離Dが350mm以下となるように設定すると、AM50(成人男性の50パーセンタイル)相当の体型のユーザが上述した効果を確実に得ることが可能となる。
また、シフトセレクタ111は、その上端部がフロントアームレスト130の前端部とタッチパネル12の下端部とを結ぶ直線よりも下側に配置されるよう配置すると、タッチパネル12の操作時にシフトセレクタ111が邪魔となることがない。
【0030】
以上説明したように、本実施例によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)フロントアームレスト130をリアアームレスト140から独立して前後にスライド可能とすることによって、フロントアームレスト130を前進させてここに肘を載せ、腕が安定した状態でタッチパネル12の操作を行なうことが可能となり、タッチパネル12の操作性が向上する。
また、フロントアームレスト130とリアアームレスト140との間隔から収納空間部120へアクセスすることが可能となり、収容空間部120の利便性も確保することができる。
(2)タッチパネル12の上端部とフロントアームレスト130を前進させたときの前進部との距離を350mm以下としたことによって、例えばAM50(成人男性の50パーセンタイル)相当の体格のユーザがフロントアームレスト130に肘Eを載せた状態でタッチパネル12の上端部を操作することが可能となり、上述した効果をより確実に得ることができる。
(3)フロントアームレスト130の下方で前後方向にすれ違い可能なカップホルダ150を設けたことによって、フロントアームレスト130を後退させた状態においては、カップホルダ150をその前方の第1の位置で利用することによって、飲料容器の出し入れを容易として利便性を向上することができる。
また、フロントアームレスト130を前進させた状態においては、カップホルダ150をその後方の第2の位置へ移動させることによって、フロントアームレスト130が前進時にカップホルダ150を塞いで利用不可能となることを防止することができる。
(4)カップホルダ150の全体がフロントアームレスト130、リアアームレスト140の下方に収容可能としたことによって、カップホルダ150をアームレストの下側に収容して収容空間部120へのアクセス開口を大きくし、大型の収容対象物を収容することができる。
(5)リアアームレスト140をフロントアームレスト130から独立して前後方向にスライド可能とすることによって、腕を乗せてくつろぎたい場合には、フロントアームレスト130とリアアームレスト140とを実質的に一体として体格に合わせた所望の位置へスライドさせて利用することができ、また、収容空間部120へのアクセス性を重視する場合には、フロントアームレスト130とリアアームレスト140との間に隙間を設けてここから収納空間部120へのアクセスを行なうことができる。
(6)リアアームレスト140を後部に設けられた回転軸回りに回動可能とすることによって、収容空間部120へ大型の収容対象物を出し入れする場合の利便性を向上することができる。
【0031】
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
センターコンソールを構成する各部材の形状、構造、配置等は上述した実施例に限定されず、適宜変更することが可能である。
例えば、アームレストの前部、後部が、それぞれ収容空間部の前端部を超えて前進、収容空間部の後端部を超えて後退可能な構成としてもよい。この場合、これらの各部は、収容空間部に対して前後にオーバーハングして配置されることになる。
また、例えば、実施例の場合にはシフトバイワイヤ式のシフト操作部を有するが、機械的にシフト操作を行うシフトレバーを有する構成としてもよい。
また、シフト操作部をインストルメントパネル等の他部材に設けて、センターコンソールには設けないようにしてもよい。
また、フロントアームレスト、リアアームレストの内部に収容部を設けたり、これらをさらに車両の前後方向、車幅方向に分割し、独立して移動可能としてもよい。
【符号の説明】
【0032】
10 インストルメントパネル 11 空調噴出口
12 タッチパネル 100 センターコンソール
110 シフト操作部 111 シフトセレクタ
112 空間部 120 収容空間部
121 開口 130 フロントアームレスト
140 リアアームレスト 150 カップホルダ
B 瓶 C カップ
A 腕 E 肘
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7