【実施例】
【0015】
以下、本発明を適用した車両用センターコンソールの実施例について説明する。
実施例の車両用センターコンソール(以下、単に「センターコンソール」と称する。)は、例えば乗用車等の自動車の左右前席の間隔に設けられるものである。
図1は、実施例のセンターコンソールの二面図であって、
図1(a)は上方から見た平面図であり、
図1(b)は
図1(a)のb−b部矢視図である。
図2は、
図1(b)のII部拡大図である。
【0016】
センターコンソール100は、例えば乗用車等の自動車の左右前席(運転席及び助手席)の間に配置される内装部材であって、インストルメントパネル10の下端部近傍から車両後方側に延びて配置されている。
インストルメントパネル10は、前席乗員の前方側に配置された内装部材であって、空調噴出口11、タッチパネル12、図示しないコンビネーションメータ、グローブボックス等を有する。
空調噴出口11は、ブロワファンによって加圧された空調風が車室内へ吹き出されるグリル部であって、その一部は、インストルメントパネル10の車幅方向における中央部の上部に配置されている。
【0017】
タッチパネル12は、カーナビゲーション装置、オーディオ装置、テレマティクス装置等の車載電子機器の画像表示部を兼ねた操作部である、
タッチパネル12は、インストルメントパネル10の車幅方向における中央部の下部に、車両後方側に向けて配置されている。
タッチパネル12は、下端部が上端部に対してやや車両後方側となるように、鉛直方向に対してわずかに傾斜して配置されている。
タッチパネル12は、ユーザの手指によるタップ操作、ドラッグ操作、フリック操作、ピンチアウト操作、ピンチイン操作等を受け付けるようになっている。
タップ操作は、タッチパネル12の所定領域を指で叩く(触る)操作である。
ドラッグ操作は、タッチパネル12の所定領域を指で触った状態のまま、指を他の領域にずらす操作である。
フリック操作は、画面上に表示されたリストをスクロールする場合等に、タッチパネル12を指で触った状態で指をずらしながらタッチパネル12から離す操作である。
ピンチアウト操作、ピンチイン操作は、2本の指でタッチパネル12に触りながら指の間隔を広げ、あるいは、狭める操作である。
タッチパネル12の上端部は、空調噴出口11の下端部に隣接して配置されている。
タッチパネル12の下部は、センターコンソール100のシフトセレクタ111における前端部に隣接して配置されている。
【0018】
センターコンソール100は、シフト操作部110、収容空間部120、フロントアームレスト130、リアアームレスト140、カップホルダ150等を有して構成されている。
【0019】
シフト操作部110は、シフトバイワイヤ式のシフトセレクタ111が設けられる部分である。
シフトセレクタ111は、例えば、変速機制御ユニットと電気的に接続された押しボタン式等のスイッチによって、自動変速機の変速レンジ(前進、後退、ニュートラル、パーキング等)を切り替えるものである。
シフト操作部110は、センターコンソール100の上面部における前方の部分に配置されている。
シフト操作部110の下方には、車幅方向に開口した空間部112が形成されている。
空間部112は、小物等を収容する収容空間部として機能する。
シフト操作部110の前端部は、タッチパネル12の下端部に隣接して配置されている。
【0020】
収容空間部120は、各種収容対象物を収容する容器状の部分である。
収容空間部120は、前後方向、車幅方向、上下方向から見た平面形がそれぞれ実質的に矩形に形成されるとともに、上方に開口121を有するボックス状となっている。
また、収容空間部120には、図示しない電源端子、オーディオ外部入力端子等が設けられる。
【0021】
フロントアームレスト130、リアアームレスト140は、協働してユーザ(運転席又は助手席に着座した乗員)の腕部が載せられるアームレストを構成するものである。
フロントアームレスト130、リアアームレスト140は、それぞれアームレストの前部及び後部を構成するものである。
【0022】
フロントアームレスト130、リアアームレスト140は、収容空間部120の開口121の側端部に設けられ前後に延びた図示しないレールに沿って、収容空間部120に対して独立して前後方向に相対移動可能となっている。
フロントアームレスト130は、その前端部が収容空間部120の開口121の前端部近傍となるまで前進可能となっている。
リアアームレスト140は、その後端部が収容空間部120の開口121の後端部近傍となるまで後退可能となっている。
また、リアアームレスト140は、
図2に破線で示すように、後端部近傍に設けられ車幅方向に沿って延びた回転軸回りに、前端部を上昇させる方向に回動可能となっている。
【0023】
カップホルダ150は、飲料容器である瓶B、カップCなどの下部を保持可能な凹部を、前後方向に例えば2個並べて配置したトレイ状の部材である。
カップホルダ150は、収容空間部120の開口121の側端部に設けられた図示しないレールに沿って、収容空間部120に対して車両前後方向にスライド可能となっている。
このとき、カップホルダ150は、フロントアームレスト130、リアアームレスト140と独立して、これらの下方で移動可能となっている。
このため、カップホルダ150は、その一部又は全部をフロントアームレスト130、リアアームレスト140の下方に配置したり、前後方向にすれ違わせることが可能となっている。
図1、
図2に示す例においては、例えば、フロントアームレスト130、リアアームレスト140を一体として最後端まで後退させるとともに、カップホルダ150を最前端まで前進させた状態となっている。
このとき、カップホルダ150は、フロントアームレスト130の前方側でありかつ収容空間部120の前部において、2本の瓶B等を収容可能な状態となっている。
【0024】
また、実施例のセンターコンソール100は、各部材の配置を変更することによって、様々なアレンジが可能となっている。
以下、上述したセンターコンソール100における各部材のアレンジのバリエーションについて説明する。
図3乃至
図6は、
図1の車両用センターコンソールにおけるアームレスト及びカップホルダのアレンジのバリエーションを示す図である。
【0025】
図3に示す例においては、フロントアームレスト130、リアアームレスト140を一体として可動範囲最後端まで後退させるとともに、カップホルダ150を中間部分までフロントアームレスト130の下側に配置した状態となっている。
このとき、カップホルダ150は、前方側の収容部が利用可能であり、さらに、カップホルダ150の前方側から例えば1.5Lのペットボトル等の大型の瓶Bを収容空間部120内に挿入可能となっている。
【0026】
図4に示す例においては、フロントアームレスト130、リアアームレスト140を一体として可動範囲最後端まで後退させるとともに、カップホルダ150のほぼ全体をフロントアームレスト130、リアアームレスト140の下側に収容した状態となっている。
このとき、カップホルダ150は利用できなくなるが、開口121の大半がフロントアームレスト130の前方側で利用可能となることから、比較的大型の収容対象物であっても容易に出し入れすることが可能となり、利便性が向上する。
【0027】
図5に示す例においては、フロントアームレスト130は、その前端部が収容空間部120の前端部とほぼ一致する可動範囲最前端の位置まで前進し、リアアームレスト140は、可動範囲最後端まで後退した状態となっており、これらは相対距離が最も大きくなるように分離して配置されている。
また、カップホルダ150は、その前端部が収容空間部120の前端部とほぼ一致する可動範囲最前端の位置まで前進している。
このとき、カップホルダ150は、後方側の収容部がフロントアームレスト130の後方側で利用可能となっている。
また、カップホルダ150の後端部とリアアームレスト140の前端部との間からは、収容空間部120へのアクセスが可能となり、例えば、大型の瓶B等を収容空間部120に収容可能となっている。
【0028】
図6に示す例においては、カップホルダ150は可動範囲最前端の位置まで前進して配置され、フロントアームレスト130は、カップホルダ150における後方側の収容部の上方に配置される。
リアアームレスト140は、可動範囲最後端の位置まで後退し、さらに、回転軸回りに前端部が上昇する方向に回転させられている。
この状態においては、フロントアームレスト130の前方側において、カップホルダ150に一人分の飲料容器を収容することが可能であり、さらに、フロントアームレスト130の後方側において、収容空間部120の開口121の後方側の大部分がユーザ側に露出することから、比較的大型の収容対象物の出し入れを容易に行うことができる。
【0029】
また、実施例のセンターコンソール100においては、ユーザがタッチパネル12を操作する際に、フロントアームレスト130を可動範囲の前端部まで前進させ、ここに肘部を載せてタッチパネル12を操作することが可能となっている。
図7は、
図1の車両用センターコンソールを用いてインストルメントパネルに設けられたタッチパネルを操作する際の腕Aの状態を示す図である。
図7に示すように、腕Aは、肘Eがフロントアームレスト130の上部に載置された状態で安定して保持され、ユーザはこのとき手指によってタッチパネル12の実質的に全面を操作可能となっている。
例えば、このときのフロントアームレスト130の前端部と、タッチパネル12の上端部との直線距離Dが350mm以下となるように設定すると、AM50(成人男性の50パーセンタイル)相当の体型のユーザが上述した効果を確実に得ることが可能となる。
また、シフトセレクタ111は、その上端部がフロントアームレスト130の前端部とタッチパネル12の下端部とを結ぶ直線よりも下側に配置されるよう配置すると、タッチパネル12の操作時にシフトセレクタ111が邪魔となることがない。
【0030】
以上説明したように、本実施例によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)フロントアームレスト130をリアアームレスト140から独立して前後にスライド可能とすることによって、フロントアームレスト130を前進させてここに肘を載せ、腕が安定した状態でタッチパネル12の操作を行なうことが可能となり、タッチパネル12の操作性が向上する。
また、フロントアームレスト130とリアアームレスト140との間隔から収納空間部120へアクセスすることが可能となり、収容空間部120の利便性も確保することができる。
(2)タッチパネル12の上端部とフロントアームレスト130を前進させたときの前進部との距離を350mm以下としたことによって、例えばAM50(成人男性の50パーセンタイル)相当の体格のユーザがフロントアームレスト130に肘Eを載せた状態でタッチパネル12の上端部を操作することが可能となり、上述した効果をより確実に得ることができる。
(3)フロントアームレスト130の下方で前後方向にすれ違い可能なカップホルダ150を設けたことによって、フロントアームレスト130を後退させた状態においては、カップホルダ150をその前方の第1の位置で利用することによって、飲料容器の出し入れを容易として利便性を向上することができる。
また、フロントアームレスト130を前進させた状態においては、カップホルダ150をその後方の第2の位置へ移動させることによって、フロントアームレスト130が前進時にカップホルダ150を塞いで利用不可能となることを防止することができる。
(4)カップホルダ150の全体がフロントアームレスト130、リアアームレスト140の下方に収容可能としたことによって、カップホルダ150をアームレストの下側に収容して収容空間部120へのアクセス開口を大きくし、大型の収容対象物を収容することができる。
(5)リアアームレスト140をフロントアームレスト130から独立して前後方向にスライド可能とすることによって、腕を乗せてくつろぎたい場合には、フロントアームレスト130とリアアームレスト140とを実質的に一体として体格に合わせた所望の位置へスライドさせて利用することができ、また、収容空間部120へのアクセス性を重視する場合には、フロントアームレスト130とリアアームレスト140との間に隙間を設けてここから収納空間部120へのアクセスを行なうことができる。
(6)リアアームレスト140を後部に設けられた回転軸回りに回動可能とすることによって、収容空間部120へ大型の収容対象物を出し入れする場合の利便性を向上することができる。
【0031】
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
センターコンソールを構成する各部材の形状、構造、配置等は上述した実施例に限定されず、適宜変更することが可能である。
例えば、アームレストの前部、後部が、それぞれ収容空間部の前端部を超えて前進、収容空間部の後端部を超えて後退可能な構成としてもよい。この場合、これらの各部は、収容空間部に対して前後にオーバーハングして配置されることになる。
また、例えば、実施例の場合にはシフトバイワイヤ式のシフト操作部を有するが、機械的にシフト操作を行うシフトレバーを有する構成としてもよい。
また、シフト操作部をインストルメントパネル等の他部材に設けて、センターコンソールには設けないようにしてもよい。
また、フロントアームレスト、リアアームレストの内部に収容部を設けたり、これらをさらに車両の前後方向、車幅方向に分割し、独立して移動可能としてもよい。