(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のLVDS送信部と前記基準電流生成部は、パワーセーブ信号に応じてその動作可否が制御されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の光ディスク装置。
前記LVDS送信処理部は、前記駆動部のパワートランジスタから離間して配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の光ディスク装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の光ディスク装置では、マイコン100と光ピックアップ400との間で高速データ通信を行うために、LVDSトランスミッタ200を設けなければならず、セットの大型化やコストアップが招かれれていた。
【0008】
また、昨今では、光ピックアップ400のさらなる小型化(ポート削減)を図るべく、書込データ以外の制御信号(例えば球面収差モータ440の駆動信号)についても、LVDS受信部410を介して受け取ることが検討されている。
【0009】
しかしながら、従来のモータ駆動装置300は、LVDS信号を出力する術を持たないので、光ピックアップ400で上記の新方式が採用された場合には、光ピックアップ400に組み込まれた駆動対象の一部(例えば球面収差モータ440)を直接制御することができなくなってしまう、という問題があった。
【0010】
本発明は、本願の発明者らにより見出された上記の問題点に鑑み、LVDS方式で駆動対象を直接制御することが可能なモータ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本明細書中に開示されたモータ駆動装置は、モータまたはサーボを駆動する駆動部と、正負一対のLVDS出力信号を装置外部に送信するLVDS送信処理部と、装置外部から格納されるレジスタ値に応じて前記LVDS出力信号の論理レベルを設定するロジック部と、を有する構成(第1の構成)とされている。
【0012】
なお、上記第1の構成から成るモータ駆動装置において、前記LVDS送信処理部は、前記ロジック部から与えられる各々の入力信号に応じてそれぞれ独立に前記LVDS出力信号を生成する複数のLVDS送信部と、前記複数のLVDS送信部の基準電圧を一元的に生成する基準電圧生成部と、前記複数のLVDS送信部の基準電流を一元的に生成する基準電流生成部と、を含む構成(第2の構成)にするとよい。
【0013】
また、上記第2の構成から成るモータ駆動装置において、前記LVDS送信処理部は、ミュート信号に応じて前記入力信号のミュート制御を行うミュート部を含む構成(第3の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第2または第3の構成から成るモータ駆動装置において、前記複数のLVDS送信部と前記基準電流生成部は、パワーセーブ信号に応じてその動作可否が制御される構成(第4の構成)にするとよい。
【0015】
また、上記第2〜第4いずれかの構成から成るモータ駆動装置において、前記複数のLVDS送信部は、それぞれ、前記基準電流の入力を受けて前記LVDS出力信号を差動出力する差動出力部と、前記LVDS出力信号の中間電圧を生成する中間電圧生成部と、前記中間電圧が前記基準電圧と一致するように前記差動出力部を制御する帰還部と、を含む構成(第5の構成)にするとよい。
【0016】
また、上記第1〜第5いずれかの構成から成るモータ駆動装置において、前記LVDS送信処理部は、前記駆動部のパワートランジスタから離間して配置されている構成(第6の構成)にするとよい。
【0017】
また、上記第1〜第6いずれかの構成から成るモータ駆動装置において、前記複数のLVDS送信部は、ペア性を持つように配置されている構成(第7の構成)にするとよい。
【0018】
また、本明細書中に開示された光ディスク装置は、光ディスクの再生または記録再生を行う光ピックアップと、前記光ディスクを回転駆動するスピンドルモータと、前記光ディスクまたはディスクトレイを出し入れするローディングモータと、前記光ピックアップを前記光ディスクの半径方向に駆動するスレッドモータと、上記第1〜第7いずれかの構成から成るモータ駆動装置と、前記モータ駆動装置を制御するマイコンと、を有し、前記光ピックアップは、前記モータ駆動装置からのLVDS出力信号に応じて球面収差モータの駆動制御を行う構成(第8の構成)とされている。
【0019】
なお、上記第8の構成から成る光ディスク装置において、前記光ピックアップは、前記光ディスクのマウント時には前記LVDS出力信号に応じて前記球面収差モータの駆動制御を行う一方、前記光ディスクへのデータ記録時には前記LVDS出力信号に応じてレーザダイオードの駆動制御を行う構成(第9の構成)にするとよい。
【0020】
また、本明細書中に開示されたカーAV機器は、上記第8または第9の構成から成る光ディスク装置を有する構成(第10の構成)とされている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、LVDS方式で駆動対象を直接制御することが可能なモータ駆動装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<光ディスク装置>
図1は、光ディスク装置の一構成例を示すブロック図である。本構成例の光ディスク装置1は、モータ駆動装置10と、光ピックアップ20と、スピンドルモータ30と、ローディングモータ40と、スレッドモータ50と、マイコン60と、を有する。
【0024】
モータ駆動装置10は、マイコン60からの指示を受けて光ディスク装置1に搭載された種々のモータやサーボを一元的に駆動する半導体集積回路装置(いわゆるシステムモータドライバIC)である。モータ駆動装置10の内部構成については、後ほど詳述する。
【0025】
光ピックアップ20は、光ディスクDの再生または記録再生を行う手段であり、フォーカス/チルトサーボ21及び22と、トラッキングサーボ23と、LVDS受信処理部24と、球面収差モータ駆動部25と、球面収差モータ(SA[spherical aberration]モータ)26と、レーザダイオード駆動部27と、レーザダイオード28とを含む。
【0026】
フォーカス/チルトサーボ21及び22は、アクチュエータを用いて対物レンズ(不図示)を駆動することにより、レーザビームの焦点位置を光ディスクDの記録面に合わせ込んだり、レーザビームの光軸を光ディスクDの記録面に対して垂直に維持する。
【0027】
トラッキングサーボ23は、アクチュエータを用いて対物レンズ(不図示)を駆動することにより、レーザビームの焦点位置を光ディスクDのトラックに追従させる。
【0028】
LVDS受信処理部24は、モータ駆動装置10から入力される2チャンネルのLVDS出力信号を各々受信するLVDS受信部241及び242と、LVDS受信部241及び242で受信されたLVDS出力信号に応じて球面収差モータ駆動部25及びレーザダイオード駆動部27の制御信号を生成するロジック部243と、を含む。
【0029】
特に、ロジック部243は、光ディスクDのマウント時には、2チャンネルのLVDS出力信号の両方を用いて球面収差モータ26の駆動制御を行うように、球面収差モータ駆動部25の制御信号を生成する。このような動作を行うことにより、光ディスクDのマウント時には、光ディスクDの種別(BD、若しくは、DVD及びCD)に応じて球面収差を補正することが可能となる。
【0030】
一方、光ディスクDのマウント時における球面収差の補正後は、別の光ディスクDがマウントされるまで球面収差モータ26を駆動する必要がなくなる。そこで、ロジック部243は、光ディスクDへのデータ記録時には、2チャンネルのLVDS出力信号の一方を用いてレーザダイオード28の駆動制御を行うように、レーザダイオード駆動部27の制御信号を生成する。
【0031】
このような構成とすることにより、マイコン60と光ピックアップ20との間に、LVDSトランスミッタを別途設けることなく、モータ駆動装置10を介して球面収差モータ26とレーザダイオード28の双方を制御することができるので、セットの小型化やコストダウンを実現することが可能となる。
【0032】
球面収差モータ駆動部25は、ロジック部243から入力される制御信号に応じて球面収差モータ26の駆動制御を行う。
【0033】
球面収差モータ26は、コリメータレンズ(不図示)を駆動することにより、光ディスクDの基材厚差に起因する球面収差を補正する。この補正により、光ディスクDの種類や記録層数に依らず、様々な光ディスクDの記録再生を行うことが可能となる。
【0034】
レーザダイオード駆動部27は、ロジック部243から入力される制御信号(書込データ)に応じてレーザダイオード28の駆動制御(点消灯制御)を行う。
【0035】
レーザダイオード28は、光ディスクDの記録面に対してレーザビームを照射することにより、データの書き込みを行う。
【0036】
スピンドルモータ30は、光ディスクDを回転駆動する。ローディングモータ40は、光ディスクD(または光ディスクDが載置されるディスクトレイ)を出し入れする。スレッドモータ50は、光ピックアップ20を光ディスクDの半径方向に駆動する。なお、ローディングモータ40とスレッドモータ50は同時に使用されることがないので、スレッド/ローディング兼用モータとして共通化することもできる。
【0037】
マイコン60は、光ディスク装置1の全体動作を統括的に制御する主体であり、モータ駆動装置10との間では、主としてSPI[Serial Peripheral Interface]規格に準拠した通信信号(シリアルデータ入力信号SDI、シリアルデータ出力信号SDO、シリアルクロック信号SCLK、シリアルスレーブ信号SLEなど)の入出力を行う。
【0038】
<モータ駆動装置>
モータ駆動装置10は、フォーカス/チルトサーボ駆動部11及び12と、トラッキングサーボ駆動部13と、LVDS送信処理部14と、スピンドルモータ駆動部15と、ローディングモータ駆動部16と、スレッドモータ駆動部17と、ロジック部18と、シリアルインタフェイス部19と、を含む。
【0039】
フォーカス/チルトサーボ駆動部11は、ロジック部18からの制御信号に応じてフォーカス/チルトサーボ21の駆動信号(FCTLO1+、FCTLO1−)を生成する。
【0040】
フォーカス/チルトサーボ駆動部12は、ロジック部18からの制御信号に応じてフォーカス/チルトサーボ22の駆動信号(FCTLO2+、FCTLO2−)を生成する。
【0041】
トラッキングサーボ駆動部13は、ロジック部18からの制御信号に応じてトラッキングサーボ23の駆動信号(TKO+、TKO−)を生成する。
【0042】
LVDS送信処理部14は、ロジック部18から与えられる入力信号(SAIN1)に応じて正負一対のLVDS出力信号(SAO1+、SAO1−)を光ピックアップ20に送信するLVDS送信部141と、同じくロジック部18から与えられる入力信号(SAIN2)に応じて正負一対のLVDS出力信号(SAO2+、SAO2−)を光ピックアップ20に送信するLVDS送信部142と、を含む。
【0043】
このようにLVDS送信処理部14を内蔵したモータ駆動装置10であれば、LVDS方式で駆動対象を直接制御することが可能となる。特に、2チャンネル分のLVDS出力信号を出力する構成であれば、レーザダイオード28の駆動制御はもちろん、球面収差モータ26の駆動制御にも対応することが可能となる。
【0044】
スピンドルモータ駆動部15は、ロジック部18からの制御信号に応じてスピンドルモータ30の駆動信号(U_OUT、V_OUT、W_OUT)を生成する。
【0045】
ローディングモータ駆動部16は、ロジック部18からの制御信号に応じてローディングモータ40の駆動信号(LDO+、LDO−)を生成する。
【0046】
スレッドモータ駆動部17は、ロジック部18からの制御信号に応じてスレッドモータ50の駆動信号(SLO1+、SLO1−、SLO2+、SLO2−)を生成する。
【0047】
ロジック部18は、マイコン60からレジスタ181に格納されるレジスタ値に応じてLVDS出力信号(SAO1+、SAO1−、SAO2+、SAO2−)の論理レベルなどを設定する。なお、レジスタ181には、LVDS送信処理部14に関連するレジスタ値として、いずれも1ビットのレジスタ値DSAx(x=1、2)、レジスタ値SA_OUTEN、及び、レジスタ値SA_PSBが格納される。
【0048】
インタフェイス部19は、マイコン60との間でSPI規格に準拠した通信信号(シリアルデータ入力信号SDI、シリアルデータ出力信号SDO、シリアルクロック信号SCLK、シリアルスレーブ信号SLEなど)の入出力を行う。
【0049】
<レジスタ>
図2は、レジスタ値DSAxとLVDS出力信号SAOxとの相関図である。レジスタ値DSAxは、LVDS出力信号SAOx+及びSAOx−の論理レベルを設定するためのレジスタ値である。レジスタ値DSAxが「0」である場合、ロジック部18は、LVDS出力信号SAOx+をローレベルとし、LVDS出力信号SAOx−をハイレベルとするように、LVDS送信出力部14への入力信号SAINxを生成する。一方、レジスタ値DSAxが「1」である場合、ロジック部18は、LVDS出力信号SAOx+をハイレベルとし、LVDS出力信号SAOx−をローレベルとするように、LVDS送信出力部14への入力信号SAINxを生成する。
【0050】
このように、LVDS出力信号SAOx+及びSAOx−の論理レベルは、レジスタ値DSAxによって一義的に決定される。従って、マイコン60は、レジスタ181のレジスタ値DSAxを書き換えることにより、モータ駆動装置10を介して光ピックアップ20に任意のLVDS出力信号SAOx+及びSAOx−を送信することが可能となる。
【0051】
図3は、LVDS出力信号SAOx(x=1、2)の出力タイミングチャートである。本図に示すように、LVDS出力信号SAO1及びSAO2は、各チャンネル毎に独立して制御することが可能である。なお、LVDS出力信号SAOxの差動信号レベルVODxは、VODx=|V(SAOx+)−V(SAOx−)|で算出することができる。また、LVDS出力信号SAOxの中間電圧VOCxは、VOCx={V(SAOx+)+V(SAOx−)}/2で算出することができる。
【0052】
図4は、レジスタ値SA_OUTENとLVDS出力動作との相関図である。レジスタ値SA_OUTENは、LVDS送信処理部14の出力可否を設定するためのレジスタ値である。レジスタ値SA_OUTENが「0」である場合、ロジック部18は、LVDS送信処理部14の出力動作を許可するように、LVDS送信処理部14へのミュート信号MUTEBをハイレベル(LVDS出力動作:イネーブル)とする。一方、レジスタ値SA_OUTENが「1」である場合、ロジック部18は、LVDS送信処理部14の出力動作を禁止するように、ミュート信号MUTEBをローレベル(LVDS出力動作:ディセーブル)とする。なお、ミュート信号MUTEBの詳細については後述する。
【0053】
このように、LVDS送信処理部14の出力可否は、レジスタ値SA_OUTENによって一義的に決定される。従って、マイコン60は、レジスタ181のレジスタ値SA_OUTENを書き換えることにより、LVDS送信処理部14の出力可否を任意に設定することが可能となる。
【0054】
図5は、レジスタ値SA_PSBとLVDSパワーセーブ動作との相関図である。レジスタ値SA_PSBは、LVDS送信処理部14の内部回路をオン/オフするためのレジスタ値である。レジスタ値SA_PSBが「0」である場合、ロジック部18は、LVDS送信処理部14の内部回路をオフするように、LVDS送信処理部14へのパワーセーブ信号PSBをローレベル(パワーセーブ動作:イネーブル)とする。一方、レジスタ値SA_PSBが「1」である場合、ロジック部18は、LVDS送信処理部14の内部回路をオンするように、パワーセーブ信号PSBをハイレベル(パワーセーブ動作:ディセーブル)とする。なお、パワーセーブ信号PSBの詳細については後述する。
【0055】
このように、LVDS送信処理部14に含まれる内部回路のオン/オフ状態は、レジスタ値SA_PSBによって一義的に決定される。従って、マイコン60は、レジスタ181のレジスタ値SA_PSBを書き換えることにより、LVDS送信処理部14の内部回路を任意にオン/オフすることが可能となる。例えば、光ディスクDのマウント時とデータ書込時以外には、LVDS送信処理部14の内部回路をオフすることにより、モータ駆動装置10の消費電力を大幅に削減することが可能となる。
【0056】
<LVDS送信処理部>
図6は、LVDS送信処理部14の一構成例を示すブロック図である。本構成例のLVDS送信処理部14は、LVDS送信部141及び142のほかに、ミュート部143及び144と、基準電圧生成部145と、基準電流生成部146と、を含む。
【0057】
ミュート部143は、基本的に、ロジック部18からの入力信号SAIN1に応じて、互いに逆論理の制御信号V1P及びV1Nを生成し、これらをLVDS送信部141に出力する。同様に、ミュート部144は、基本的に、ロジック部18からの入力信号SAIN2に応じて、互いに逆論理の制御信号V2P及びV2Nを生成し、これらをLVDS送信部142に出力する。また、ミュート部143及び144は、それぞれ、ロジック部18からのミュート信号MUTEBに応じて入力信号SAIN1及びSAIN2のミュート制御を行う機能を備えている。このミュート制御については、ミュート部143及び144の回路構成と共に後ほど詳述する。
【0058】
基準電圧生成部145は、LVDS送信部141及び142の基準電圧VREFを一元的に生成する。基準電圧生成部145としては、例えば、温度特性や電源特性のフラットなバンドギャップ基準電圧源を用いることができる。
【0059】
基準電流生成部146は、LVDS送信部141及び142の基準電流IREF1及びIREF2を一元的に生成する。基準電流生成部146の回路構成については、後ほど具体例を挙げて説明する。
【0060】
このように、本構成例のLVDS送信処理部14では、基準電圧生成部145及び基準電流生成部146が2チャンネル分のLVDS送信部141及び142によって共通化されている。このような構成とすることにより、各チャンネルの差動信号レベルVODx及び中間電圧VOCxを互いに一致させることができるので、LVDS出力精度を高めることが可能となる。
【0061】
また、本構成例のLVDS送信処理部14において、LVDS送信部141及び142と基準電流生成部146は、いずれもパワーセーブ信号PSBに応じてその動作可否が制御される。このパワーセーブ制御については、LVDS送信部141及び142や基準電流生成部146の回路構成と共に後ほど詳述する。
【0062】
図7は、ミュート部143の一構成例を示す回路図である。本構成例のミュート部143は、インバータ143aと、セレクタ143b及び143cと、を含む。インバータ143aの入力端とセレクタ143bの第1入力端(H)は、いずれも入力信号SAIN1の印加端に接続されている。インバータ143aの出力端は、セレクタ143cの第1入力端(H)に接続されている。セレクタ143b及び143cの第2入力端(L)は、いずれも接地端に接続されている。セレクタ143bの出力端は、制御信号V1Pの印加端に接続されている。セレクタ143cの出力端は、制御信号V1Nの印加端に接続されている。セレクタ143b及び143の制御端は、いずれもミュート信号MUTEBの印加端に接続されている。なお、ミュート部144は、基本的に上記と同様の構成から成るので、重複した説明は割愛する。
【0063】
本構成例のミュート部143において、ミュート信号MUTEBがハイレベル(LVDS出力動作:イネーブル)である場合、セレクタ143b及び143cは、各々の第1入力端(H)と出力端とを導通する。従って、入力信号SAIN1がハイレベルであるときには、制御信号V1Pがハイレベルとなり、制御信号V1Nがローレベルとなる。逆に、入力信号SAIN1がローレベルであるときには、制御信号V1Pがローレベルとなり、制御信号V1Nがハイレベルとなる。このように、ミュート信号MUTEBがハイレベルである場合には、制御信号V1P及びV1Nが入力信号SAIN1に応じた論理レベルとなり、その入力を受けたLVDS送信部141では、入力信号SAIN1に応じたLVDS出力信号SAO1+及びSAO1−が生成される。
【0064】
一方、ミュート信号MUTEBがローレベル(LVDS出力動作:ディセーブル)である場合、セレクタ143b及び143cは、各々の第2入力端(L)と出力端とを導通する。従って、制御信号V1P及びV1Nは、入力信号SAIN1の論理レベルに依ることなくいずれもローレベルとなり、その入力を受けたLVDS送信部141は、出力ハイインピーダンス状態となる。
【0065】
図8は、基準電流生成部146の一構成例を示す回路図である。本構成例の基準電流生成部146は、所定の基準電流IREF0を生成する電流源146aと、基準電流IREF0(例えば10μA)をミラーして基準電流IREF1及びIREF2(例えば各々20μA)を生成するカレントミラー146bと、パワーセーブ信号PSBに応じて基準電流IREF0の流れる電流経路を導通/遮断するNチャネル型MOS電界効果トランジスタ146cと、を含む。
【0066】
本構成例の基準電流生成部146において、パワーセーブ信号PSBがハイレベル(パワーセーブ動作:イネーブル)である場合には、トランジスタ146cがオンするので、基準電流IREF0の流れる電流経路が導通されて、カレントミラー146bから基準電流IREF1及びIREF2が出力される状態となる。
【0067】
一方、パワーセーブ信号PSBがローレベル(パワーセーブ動作:ディセーブル)である場合には、トランジスタ146cがオフするので、基準電流IREF0の流れる電流経路が遮断されて、カレントミラー146bから基準電流IREF1及びIREF2が出力されない状態となる。
【0068】
図9は、LVDS送信部141の一構成例を示す回路図である。本構成例のLVDS送信部141は、差動出力部141aと、中間電圧生成部141bと、帰還部141cと、カレントミラー141d及び141eと、パワーセーブ制御部141fと、を含む。
【0069】
差動出力部141aは、ミラー電流IM4(例えば4mA)の入力を受けてLVDS出力信号SAO1+及びSAO1−を差動出力する回路部であり、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタa1〜a4を含む。トランジスタa1及びa2のドレインは、いずれもミラー電流IM4の印加端に接続されている。トランジスタa1のソースとトランジスタa3のドレインは、いずれもLVDS出力信号SAO1+の印加端に接続されている。トランジスタa2のソースとトランジスタa4のドレインは、いずれもLVDS出力信号SAO1−の印加端に接続されている。トランジスタa4及びa4のソースは、いずれも帰還部141cを介して接地端に接続されている。トランジスタa1及びa4のゲートは、いずれも制御信号V1Pの印加端に接続されている。トランジスタa2及びa3のゲートは、いずれも制御信号V1Nの印加端に接続されている。
【0070】
本構成例の差動出力部141aにおいて、制御信号V1Pがハイレベルであり、制御信号V1Nがローレベルである場合には、トランジスタa1及びa4がオンし、トランジスタa2及びa3がオフする。従って、ミラー電流IM4は、トランジスタa1及びa4を介する電流経路でLVDS受信部241(例えば100Ωの抵抗)に流れる。その結果、LVDS出力信号SAO1+がハイレベル(例えばVOC1+200mV)となり、LVDS出力信号SAO1−がローレベル(例えばVOC1−200mV)となる。
【0071】
一方、制御信号V1Pがローレベルであり、制御信号V1Nがハイレベルである場合には、トランジスタa1及びa4がオフとなり、トランジスタa2及びa3がオンとなる。従って、ミラー電流IM4は、トランジスタa2及びa3を介する電流経路でLVDS受信部241に流れる。その結果、LVDS出力信号SAO1+がローレベル(例えばVOC1−200mV)となり、LVDS出力信号SAO1−がハイレベル(例えばVOC1+200mV)となる。
【0072】
中間電圧生成部141bは、LVDS出力信号SAO1+及びSAO1−の中間電圧VOC1を生成する回路部であり、抵抗値の等しい抵抗b1及びb2を含む。抵抗b1及びb2は、LVDS出力信号SAO1+の印加端とLVDS出力信号SAO1−の印加端との間に直列接続されており、互いの接続ノードから中間電圧VOC1を出力する分圧回路を形成している。
【0073】
帰還部141cは、中間電圧VOC1が基準電圧VREFと一致するように差動出力部141aを制御する回路部であり、オペアンプc1とNチャネル型MOS電界効果トランジスタc2を含む。オペアンプc1の非反転入力端(+)は、基準電圧VREFの印加端に接続されている。オペアンプc1の反転入力端(−)は、中間電圧VOC1の印加端に接続されている。オペアンプc1の正電源端は、ミラー電流IM3(例えば160μA)の印加端に接続されている。オペアンプc1の負電源端は、接地端に接続されている。オペアンプc1の出力端は、トランジスタc2のゲートに接続されている。トランジスタc2のドレインは、トランジスタa3及びa4のソースに接続されている。トランジスタc2のソースは、接地端に接続されている。
【0074】
本構成例の帰還部141cにおいて、オペアンプc1は、中間電圧VOCが基準電圧VREFと一致するようにトランジスタc2の導通度を制御する。
【0075】
カレントミラー141dは、基準電流IREF1(例えば20μA)の入力を受けてミラー電流IM1及びIM2(例えば各々80μA)を生成する回路部であり、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタd1〜d6を含む。トランジスタd1のドレインは、基準電流IREF1の印加端に接続されている。トランジスタd1〜d3のゲートは、いずれもトランジスタd1のドレインに接続されている。トランジスタd2のドレインは、ミラー電流IM2の印加端に接続されている。トランジスタd3のドレインは、ミラー電流IM3の印加端に接続されている。トランジスタd4のドレインは、トランジスタd1のソースに接続されている。トランジスタd4〜d6のゲートは、いずれもトランジスタd4のドレインに接続されている。トランジスタd5のドレインは、トランジスタd2のソースに接続されている。トランジスタd6のドレインは、トランジスタd3のソースに接続されている。トランジスタd4〜d6のソースは、いずれも接地端に接続されている。
【0076】
カレントミラー141eは、ミラー電流IM1及びIM2の入力を受けてミラー電流IM3及びIM4を生成する回路部であり、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタe1〜e7を含む。トランジスタe1のソースは電源端に接続されている。トランジスタe1〜e4のゲートは、いずれもトランジスタe1のドレインに接続されている。トランジスタe1のドレインは、トランジスタd2のドレインに接続されている。トランジスタe2のドレインは、トランジスタd3のドレインに接続されている。トランジスタe3のドレインは、オペアンプc1の正電源端に接続されている。トランジスタe4のドレインは、トランジスタa1及びa2のドレインに接続されている。トランジスタe2のソースは、トランジスタe5のドレインに接続されている。トランジスタe3のソースは、トランジスタe6のドレインに接続されている。トランジスタe4のソースは、トランジスタe7のドレインに接続されている。トランジスタe5〜e7のソースは、いずれも電源端に接続されている。トランジスタe5〜e7のゲートは、いずれもトランジスタe2のドレインに接続されている。
【0077】
このように、本構成例のカレントミラー141d及び141eは、いずれもカスケード型とされているので、各々のミラー精度を高めることが可能となる。
【0078】
パワーセーブ制御部141fは、パワーセーブ信号PSBに応じてカレントミラー141d及び141eの動作可否を制御する回路部であり、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタf1及びf2と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタf3と、を含む。トランジスタf1及びf2のソースは、いずれも電源端に接続されている。トランジスタf1及びf2のゲートは、いずれもパワーセーブ信号PSBの印加端に接続されている。トランジスタf1のドレインは、トランジスタe2のドレインに接続されている。トランジスタf2のドレインは、トランジスタe1のドレインに接続されている。トランジスタf3のドレインは、トランジスタd1のドレインに接続されている。トランジスタf3のソースは、接地端に接続されている。トランジスタf3のゲートは、反転パワーセーブ信号XPSB(パワーセーブ信号PSBの論理反転信号)の印加端に接続されている。
【0079】
本構成例のパワーセーブ制御部141fにおいて、パワーセーブ信号PSBがハイレベルであり、反転パワーセーブ信号XPSBがローレベルである場合には、トランジスタf1〜f3がいずれもオフとなる。従って、カレントミラー141d及び141eは、いずれもミラー動作が可能な状態となり、差動出力部141a及び帰還部141cへの電流供給が行われる。
【0080】
一方、パワーセーブ信号PSBがローレベルであり、反転パワーセーブ信号XPSBがハイレベルである場合には、トランジスタf1〜f3がいずれもオンとなる。従って、カレントミラー141d及び141eは、いずれもミラー動作が禁止された状態となり、差動出力部141a及び帰還部141cへの電流供給が停止される。
【0081】
なお、LVDS送信部142は、基本的に上記と同様の構成から成るので、重複した説明は割愛する。
【0082】
<平面レイアウト>
図10は、モータ駆動装置10の平面レイアウト図である。多数のモータやサーボを駆動しているときには、各種駆動部の出力段を形成するパワートランジスタが発熱する。そこで、モータ駆動装置10では、ICの両端側にパワートランジスタを分離して配置し、各々のパワートランジスタに挟まれる形でロジック部やアナログ部が設けられている。このような平面レイアウトを採用することにより、パワートランジスタの発熱がロジック部やアナログ部の信号処理に及ぼす影響を低減することが可能となる。
【0083】
特に、LVDS送信処理部14は、駆動部のパワートランジスタからできる限り離間すべく、アナログ部の中央付近に配置されている。また、LVDS送信処理部14に含まれる2チャンネル分のLVDS送信部141及び142は、互いにペア性を持つように並列に配置されている。このような平面レイアウトを採用することにより、パワートランジスタの発熱に依ることなく、高精度のLVDS送信処理を実現することが可能となる。
【0084】
<カーAV[audio/visual]機器>
図11は、カーAV機器の外観図である。本構成例のカーAV機器Xは、光ディスクD(CD、DVD、BDなど)を再生する光ディスク装置1と、光ディスクDの挿入口/排出口であるディスクスロットX1と、ディスクスロットX1から光ディスクDを排出させるためのイジェクトボタンX2と、光ディスクDの再生映像やコンテンツ情報(再生トラック番号や再生時間など)ないしはタッチパネルUI[user interface]画面を表示するための表示パネルX3と、を有する。
【0085】
<その他の変形例>
なお、上記の実施形態では、本発明の適用対象としてカーAV機器向けのシステムモータドライバICを例に挙げて説明を行ったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、他の用途に供されるモータ駆動装置(例えばDVDドライブやBDレコーダ向けのシステムモータドライバIC)にも組み込むことが可能である。
【0086】
また、本明細書中に開示されている発明は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。例えば、バイポーラトランジスタとMOS電界効果トランジスタとの相互置換や、各種信号の論理レベル反転は任意である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。