(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記液密ステップでは、前記第1対向面、および前記処理液吐出口を有する前記下面ノズルの第2対向面が、同一平面上に配置される、請求項1または2に記載の基板処理方法。
前記液密ステップに先立って実行され、前記基板の下面に、前記第1間隔よりも大きい第2間隔を隔てて前記第1対向面を対向させ、前記第1回転速度よりも速くかつ前記第2回転速度よりも遅い第3回転速度で前記基板を回転させながら、前記処理液吐出口から前記基板の下面と前記第1対向面との間の空間に洗浄液を供給させて、前記第1対向面を洗浄する洗浄ステップをさらに含む、請求項5に記載の基板処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、基板に対する処理時間の経過後にも基板の下面に処理液の液膜が保持されてしまい、その結果、基板の下面における処理液処理が進行する問題がある。すなわち、基板の下面に保持された液膜を除去するために所定の時間を要するので、基板の下面が所期の処理量を超えて処理されるおそれがあり、その結果、基板の下面に良好な処理液処理を施すことができない場合がある。
【0006】
そこで、この発明の目的は、処理液の消費量の低減を図りつつ、基板の下面に処理液処理を良好に施すことができる基板処理方法および基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するための請求項1に記載の発明は、基板(W)を、所定の鉛直軸線(10)まわりに第1回転速度(ω1)で回転させる基板回転ステップと、前記基板回転ステップと並行して実行され、回転中の前記基板の下面に所定の第1間隔を隔てて第1対向面(8a)を対向させつつ、前記基板の下面に対向する下面ノズル(15)の処理液吐出口(17)から処理液を吐出させて、前記基板の下面と前記第1対向面との間の空間(38)を処理液で液密状態にする液密ステップ(S3,S7,S13,S17)と、前記液密ステップの後、前記基板の下面と前記第1対向面とを離反させることにより、前記基板の下面と前記第1対向面との間の空間の液密状態を解除する液密解除ステップ(S4,S8,S14,S18)と
、前記液密ステップに先立って実行され、前記第1回転速度よりも速い第2回転速度(ω3,ω4)で前記基板を回転させながら当該基板の下面に処理液を供給する高速回転処理ステップ(S2,S5,S12,S15)とを含み、前記液密ステップは、前記高速回転処理ステップの終了に連続して実行開始する、基板処理方法である。
【0008】
なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、特許請求の範囲を実施形態に限定する趣旨ではない。以下、この項において同じ。
この発明の方法によれば、液密ステップにおいて、基板の下面と第1対向面との間に処理液が供給される。これにより、基板の下面と第1対向面との間の空間が液密状態にされる。前記空間の液密状態は、小流量の処理液によって実現できる。その結果、処理液の消費量の低減を図ることができる。
【0009】
また、液密解除ステップにおいて、基板の下面と第1対向面とを離反させることにより、前記空間の液密状態を瞬時に解除することができる。これにより、液密解除ステップ後には、基板の下面に処理液が接液せず、その結果、基板の下面における処理液処理の進行を阻止できる。これにより、処理液処理を所期の処理量に保つことができる。ゆえに、処理液の消費量の低減を図りつつ、基板の下面に処理液処理を良好に施すことができる基板処理方法を提供することができる。
また、高速回転処理ステップにおいて基板の下面に処理液処理が施され、次いで、液密ステップにおいて基板の下面に処理液処理が施される。そのため、基板の下面を、より一層良好に処理できる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記第1対向面は円板状をなし、その外周端が、前記基板の下面における基板周端よりも外側に位置している、請求項1に記載の基板処理方法である。
この発明の方法によれば、第1対向面の外周端が、基板の下面周端よりも外側に位置しているので、基板の下面と第1対向面との間の処理液の液密状態を、基板の下面全域で形成できる。そのため、基板の下面全域に処理液を接液させることができるから、基板の下面を、処理液を用いて良好かつ均一に処理できる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記液密ステップでは、前記第1対向面、および前記処理液吐出口を有する前記下面ノズルの第2対向面(16a)が、同一平面上に配置される、請求項1または2に記載の基板処理方法である。
この発明の方法によれば、液密ステップにおいて、下面ノズルの第2対向面が基板の下面と対向して配置され、かつ第2対向面に形成された処理液吐出口から処理液が吐出される。そのため、下面ノズルの第2対向面と基板の下面との間に外郭筒状の処理液の液柱が形成される。そして、第1対向面と第2対向面とが同一平面上に配置されているために、第2対向面と基板の下面との間の液柱は、基板の下面および第1対向面を伝いながら、基板の下面および第1対向面の間の空間を拡がる。これにより、基板の下面と第1対向面との間の空間において、処理液の液密状態を、比較的容易に形成できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記基板の上面に処理液を供給して、当該基板の上面を処理液で処理する上面処理ステップをさらに含み、前記上面処理ステップに並行して前記液密ステップが実行される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理方法である。
この発明の方法によれば、基板の上面に対する処理液処理と、基板の下面に対する処理液処理とを並行して行うので、基板の上面および下面の双方に処理液処理を施す場合の処理時間を短縮できる。
【0013】
また、基板の上面に供給される処理液が高温に加熱されている場合、基板の上面に供給された直後は高温であるが、基板の周縁部に向けて流れる過程で、その液温が低下してしまう。そのため、基板上において、その中央部で処理液の温度が相対的に高くなり、周縁部で処理液の温度が相対的に低くなってしまう。その結果、基板の上面の中央部で処理液による処理が速く進み、基板の上面の周縁部で処理液による処理が相対的に遅く進むといった、基板上面における処理レートのばらつきを生じるおそれがある。
【0014】
請求項3に記載の発明の方法において、基板の下面と第1対向面との間の処理液の液密状態が形成されるから、基板の下面に供給される処理液も高温に加熱されていれば、基板の下面の広範囲(全域)にわたって高温の処理液を接液させることができる。そのため、基板を、高温、かつ均一な温度分布にすることができる。これにより、基板の上面に高温の処理液を供給する場合であっても、供給された処理液が基板の周縁部で温度低下するのを防止できる。その結果、基板の上面を均一な処理レートで処理できる。
【0016】
請求項
5に記載の発明は、前記高速回転処理ステップから前記液密ステップに移行するタイミングで、前記基板に供給される処理液の流量を低減させる、請求項
1〜4のいずれか一項に記載の基板処理方法である。
【0017】
この発明の方法によれば、高速回転処理ステップで比較的大流量の処理液が基板の下面に供給されるとすると、高速回転処理ステップの終了時には、比較的多量の処理液が基板の下面に存在している。そして、液密ステップの開始時には、第1対向面を基板の下面に第1間隔を隔てて対向させ、かつ基板の回転速度をそれまでよりも減速させる。この状態で、基板の下面に比較的多量の処理液が存在しているので、第1対向面と基板の下面との間の空間に、処理液の液密状態を良好に形成できる。これにより、高速回転処理ステップから液密ステップへの移行をスムーズに行える。
【0018】
請求項
6に記載の発明は、前記液密ステップに先立って実行され、前記基板の下面に、前記第1間隔よりも大きい第2間隔を隔てて前記第1対向面を対向させ、前記第1回転速度よりも速くかつ前記第2回転速度よりも遅い第3回転速度(ω2)で前記基板を回転させながら、前記処理液吐出口から前記基板の下面と前記第1対向面との間の空間に洗浄液を供給させて、前記第1対向面を洗浄する洗浄ステップ(S6,S16)をさらに含む、請求項
5に記載の基板処理方法である。
【0019】
この発明の方法によれば、第1対向面を基板の下面に第2間隔を隔てて対向させた状態で、第3回転速度で基板を回転させながら基板の下面に洗浄液が供給される。基板の下面に供給された洗浄液は、基板の下面を周縁部に向けて拡がった後、重力を受けて下方に向けて落液し、第1対向面に供給される。これにより、第1対向面を伝って流れる洗浄液により第1対向面を洗浄できる。
【0020】
また、第1対向面を洗浄するための洗浄ステップが、液密ステップに先立って実行されるので、処理液が基板に付着していない状態で液密ステップを開始できる。そのため、高速回転処理ステップにおいて用いられる処理液と液密ステップにおいて用いられる処理液とが互いに異なる種類のものである場合に、異なる種類の処理液の混触を防止できる。
請求項
7に記載の発明は、前記洗浄液は、前記処理液を含み、前記液密ステップは、前記洗浄ステップの終了に連続して実行開始するものであり、前記洗浄ステップから前記液密ステップへの移行と同期して、前記基板に供給する処理液の流量をそれまでよりも低減させる、請求項
6に記載の基板処理方法である。
【0021】
この発明の方法によれば、洗浄ステップで比較的大流量の洗浄液が基板の下面に供給されるとすると、洗浄ステップの終了時には、比較的多量の洗浄液が基板の下面に存在している。この状態で、基板に供給する洗浄液の流量をそれまでよりも低減させつつ、洗浄ステップの終了に連続して、液密ステップが実行開始される。この場合、基板の下面に比較的多量の洗浄液が存在しているので、第1対向面と基板の下面との間の空間に、洗浄液の液密状態を良好に形成できる。これにより、洗浄ステップから液密ステップへの移行をスムーズに行える。
【0022】
前記処理液は、請求項
8に記載の発明のように、エッチング液であってもよい。
エッチング液を用いて基板を処理する場合には、所期のエッチング処理時間の経過後にも基板の下面に処理液の液膜が保持されることがあり、基板の下面におけるエッチング処理が進行するという問題がある。
しかしながら、この発明の方法では、液密解除ステップにおいて基板の下面と第1対向面とを離反させることにより、液密解除ステップ後には、基板の下面にエッチング液が接液しない。その結果、基板の下面におけるエッチング処理の進行を阻止できる。
【0023】
請求項
9に記載の発明は、基板(W)を水平姿勢で保持しつつ、所定の鉛直軸線(10)まわりに回転させる基板保持回転手段(3)と、前記基板保持回転手段により回転される前記基板の下面に対向する第1対向面(8a)を有する基板対向板(8)と、前記基板対向板を昇降させる対向板昇降手段(24)と、前記基板の下面に対向する処理液吐出口(17)を有し、前記基板の下面と前記第1対向面との間の空間(38)に処理液を供給するための下面ノズル(15)と、前記下面ノズルに処理液を供給する処理液供給手段(54,55)と、前記基板保持回転手段、前記対向板昇降手段および前記処理液供給手段を制御して、前記基板を所定の第1回転速度(ω1)で回転させ、前記基板の下面に所定の第1間隔を隔てて前記第1対向面を対向させ、かつ前記処理液吐出口から処理液を吐出させて、前記基板の下面と前記第1対向面との間の空間を処理液で液密状態にする液密ステップ(S3,S7,S13,S17)を実行する液密制御手段と、前記液密ステップの実行終了後、前記対向板昇降手段を制御して、前記液密ステップが実行されている状態から前記基板の下面と前記第1対向面とを離反させて、前記基板の下面と前記第1対向面との間の空間の液密状態を解除する液密解除制御手段と
、前記液密ステップに先立って、前記基板保持回転手段を制御して、前記第1回転速度よりも速い第2回転速度で前記基板を回転させながら当該基板の下面に処理液を供給する高速回転処理ステップを実行する高速回転制御手段とを含み、前記液密解除制御手段は、前記高速回転処理ステップの終了に連続して、前記液密状態の解除を開始する、基板処理装置である。
【0024】
この構成によれば、請求項1の発明の方法に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる基板処理装置を提供することができる。
請求項
10に記載の発明は、前記第1対向面は円板状をなし、その外周端が、前記基板の下面における基板周端よりも外側に位置しており、前記基板保持回転手段は、前記鉛直軸線を中心に回転可能なベース(4)と、前記ベースに立設されて、前記基板を保持する複数の保持部材(5)とを有し、前記基板対向板には、前記保持部材を挿通するための複数の挿通用凹所(20)が、当該基板対向板の厚み方向に貫通して形成されている、請求項
9に記載の基板処理装置である。
【0025】
この構成によれば、請求項2の発明の方法に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる基板処理装置を提供することができる。また、基板対向板には保持部材を挿通するための複数の挿通用凹所が形成されているので、基板対向板の昇降が邪魔されない。したがって、基板の下面と基板対向板との間に、処理液の液密状態をスムーズに形成することができる。
【0026】
請求項
11に記載の発明は、各挿通用凹所は、挿通孔である、請求項
10に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、基板対向板の周縁部は、各挿通孔から外側に向けて張り出しており、各挿通孔と基板対向板の外周端との間に肉厚が設けられている。この肉厚部分により、基板の下面全域に処理液による液密状態を確実に形成できる
請求項12に記載の発明は、前記下面ノズルを昇降させるノズル昇降機構(72)をさらに含む、請求項9〜11のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、下面ノズルを上昇させる場合、処理液の吐出位置を基板の下面に接近させることができるので、基板の下面と第1対向面との間の空間における液密状態の形成を促進することができる。また、液密ステップの実行終了時には、ノズル昇降機構を用いて、基板対向板とともに下面ノズルを基板の下面から、容易に離反できる。
請求項13に記載の発明は、前記下面ノズルは、前記基板の下面に間隔を隔てて対向し、前記処理液吐出口を有する第2対向面(16a)を有する、請求項
9〜12のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0027】
この構成によれば、請求項3の発明に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる基板処理装置を提供することができる
。
【0028】
前記第2対向面は、請求項1
4に記載の発明のように、前記基板保持回転手段による前記基板の回転中心を含む領域と対向しており、前記第1対向面は、平面視で、前記第2対向面の周囲を取り囲む環状をなしていてもよい。
請求項
15に記載の発明は、前記第1対向面は親水面を含む、請求項
9〜
14のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0029】
この構成によれば、基板対向板の第1対向面の表面には、親水面が含まれる。第1対向面の表面が親水性であれば、基板の下面と第1対向面との間の空間を液密状態にし易い。
親水面を含む第1対向面の例としては、第1対向面に多数の凹所を形成したものや、所定の表面粗さを用いて濡れ性を向上させたものを挙げることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1の概略構成を示す図である。
図2は、
図1の基板処理装置1の概略構成を示す平面図である。なお、
図1は、
図2に示す矢印Iの方向に見た切断線に沿う断面を示す図である。
基板処理装置1は、基板Wを一枚ずつ処理する枚葉型の装置である。基板Wとして半導体基板を採用する場合を例に挙げて、以下説明する。基板処理装置1は、隔壁で区画された処理室2と、処理室2内で基板Wを水平に保持して回転させるスピンチャック3とを備えている。
【0032】
スピンチャック3は、鉛直方向に沿う回転軸線10のまわりに回転可能な円板状のスピンベース4と、スピンベース4上に設けられた保持部材5と、スピンベース4から鉛直下方に延びる筒状の回転軸6と、スピンベース4および回転軸6を回転軸線10まわりに回転させる回転駆動機構7と、スピンベース4の上面と保持部材5による基板保持高さとの間に配置された第1基板対向板8とを備えている。
【0033】
スピンチャック3は、複数の保持部材5で基板Wを水平方向に挟んで当該基板Wを水平姿勢に保持する挟持式のチャックである。回転駆動機構7として電動モータが採用されており、この回転駆動機構7からの回転駆動力が回転軸6に入力されることにより、保持部材5によって保持された基板Wは、スピンベース4と一体的に回転軸線10まわりに回転させられる。
【0034】
保持部材5は、
図2に示すように、スピンベース4の上面の周縁部に周方向に沿って間隔を空けて複数本(この実施形態では、たとえば6本)設けられている。各保持部材5は、スピンベース4の上面から一定の間隔を空けた上方の基板保持高さにおいて、基板Wを水平に保持するように構成されている。保持部材5には、スピンベース4内に収容配置された基板保持部材可動機構9が取り付けられている。これにより、保持部材5は、スピンベース4に対して可動となる。基板保持部材可動機構9は、たとえば、回転軸6の回転に応じて保持部材5を可動させる公知のリンク機構である。
【0035】
以下では、複数の保持部材5に保持された状態で、スピンベース4の上面と対向する基板Wの表面を基板Wの下面といい、当該下面と反対側の面を基板Wの上面という。
回転軸6は、円筒状の中空軸である。回転軸6の内部には、基板Wの下面側から処理液を供給する処理液供給管13と、基板Wの下面側から不活性ガスを供給する不活性ガス供給管14とが挿通されている。不活性ガス供給管14は、処理液供給管13の外周を取り囲んでいる。
【0036】
処理液供給管13の鉛直方向の上端は、スピンベース4の中央部に設けられた貫通穴を介してスピンベース4の上面上に突出している。つまり、処理液供給管13の鉛直方向の上端は、スピンベース4の上面と基板Wの下面との間に位置している。処理液供給管13の上端に、下面ノズル15が結合されている。
下面ノズル15は、スピンベース4の上面と基板Wの下面との間に配置された第2基板対向板16を備えている。第2基板対向板16は、ほぼ円板状に形成されており、基板Wの下面と対向する第2基板対向面16aを有している。第2基板対向板16の中央部には、処理液供給管13の上端を露出させるための開口が形成されている。この開口が、基板Wの下面側で処理液を吐出する処理液吐出口17である。処理液吐出口17は、スピンベース4上に配置される基板Wの下面の回転中心と対向している。第2基板対向板16の周縁部には外向きにフランジ18が形成されている。
【0037】
第1基板対向板8は、基板Wの直径よりも大きい外径を有する円板状の部材であり、基板Wの下面と対向する第1基板対向面8aを有している。つまり、第1基板対向板8の外周端は、基板Wの下面における基板Wの周端よりも外側に位置している。
第1基板対向板8の周縁部には、保持部材5に対応する位置に、複数の挿通用凹所20が形成されている。挿通用凹所20は、第1基板対向板8の厚み方向に貫通する挿通孔である。各挿通用凹所20には、対応する保持部材5が挿通している。第1基板対向板8の中央部には、処理液供給管13の外周面および不活性ガス供給管14を取り囲むように、開口21が形成されている。つまり、第1基板対向面8aは、平面視で、第2基板対向板16の第2基板対向面16aの周囲を取り囲む環状をなしている。第1基板対向板8の開口21には、段差部19が形成されている。段差部19は、第2基板対向板16のフランジ18と整合するようになっている。
【0038】
第1基板対向板8は、スピンベース4の上面に近い下位置(
図1に実線で示す位置)と、当該下位置よりも上方において保持部材5に保持された基板Wの下面に微小間隔を空けて接近する第1接近位置(
図1に破線で示す位置)との間で昇降可能に設けられている。第1基板対向板8が第1接近位置に位置するとき、第1基板対向板8の段差部19と第2基板対向板16のフランジ18とが合わさり、第1基板対向板8の第1基板対向面8aと第2基板対向板16の第2基板対向面16aとが同一平面上に位置する。第1基板対向板8の昇降は、第1基板対向板8の下面に取り付けられた磁気浮上機構24により制御されている。
【0039】
磁気浮上機構24は、案内機構25と、磁石保持部材26と、第1基板対向板側永久磁石27と、昇降用永久磁石28と、昇降アクチュエータ29とを備えている。
案内機構25は、第1基板対向板8の下面に取り付けられ、回転軸線10と平行に鉛直方向に延びたガイド軸30と、ガイド軸30と結合されたリニア軸受け31とを備えている。ガイド軸30は、回転軸6と保持部材5との間の位置に配置されている。より具体的には、ガイド軸30は、
図2に示すように、回転軸線10から見て、第1基板対向板8の周方向に等間隔を空けた3箇所に配置されている。ガイド軸30は、スピンベース4の対応箇所に設けられたリニア軸受け31と結合されており、このリニア軸受け31によって案内されながら、鉛直方向に昇降可能である。これにより、第1基板対向板8は、ガイド軸30およびリニア軸受け31により、回転軸線10に平行な上下方向に沿って案内される。
【0040】
ガイド軸30は、リニア軸受け31を貫通しており、その下端に、外向きに突出したフランジ32を備えている。フランジ32がリニア軸受け31の下端に当接することにより、ガイド軸30の上方への移動、すなわち第1基板対向板8の上方への移動が規制される。つまり、フランジ32は、第1基板対向板8の上方への移動を規制する規制部材である。
【0041】
磁石保持部材26は、磁極方向を上下方向に向けて第1基板対向板側永久磁石27を保持している。磁石保持部材26は、ガイド軸30よりも回転軸線10から遠い外方であって、かつ保持部材5よりも回転軸線10に近い内方の位置で第1基板対向板8の下面に固定されている。
磁石保持部材26は、たとえば、
図2に示すように、周方向に等間隔を空けて6箇所に設けられている。より具体的には、回転軸線10から見て、隣り合う保持部材5の間(この実施形態では中間)に対応する角度位置に、各磁石保持部材26が配置されている。さらに、回転軸線10から見て6個の磁石保持部材26によって分割(この実施形態では等分)される6個の角度領域のうち、一つおきの角度領域内(この実施形態では当該角度領域の中央位置)に、3本のガイド軸30がそれぞれ配置されている。
【0042】
スピンベース4には、6個の磁石保持部材26に対応する6箇所に、貫通孔33が形成されている。各貫通孔33は、対応する磁石保持部材26をそれぞれ回転軸線10と平行な鉛直方向に挿通させることができるように形成されている。第1基板対向板8が下位置に位置するとき、
図1に示すように、磁石保持部材26は貫通孔33を挿通してスピンベース4の下面よりも下方に突出しており、第1基板対向板側永久磁石27は、スピンベース4の下面よりも下方に位置している。第1基板対向板側永久磁石27は、たとえば、下側にS極を有し、上側にN極を有するように磁石保持部材26に固定されていてもよい。
【0043】
昇降用永久磁石28は、たとえば、回転軸線10を中心として水平面に沿って配置された円環状の永久磁石片であり、第1基板対向板側永久磁石27に対して下方から対向する円環状の磁極を有している。昇降用永久磁石28の磁極の極性は、第1基板対向板側永久磁石27の下側の磁極と同じ極性である。したがって、昇降用永久磁石28は、第1基板対向板側永久磁石27に対して、上向きの反発磁力を作用させる。昇降用永久磁石28は、円環状の昇降用磁石保持部材35に内蔵されて保持されている。昇降用磁石保持部材35に、昇降アクチュエータ29の作動軸34が結合されている。
【0044】
昇降アクチュエータ29は、たとえばエアシリンダからなり、作動軸34を回転軸線10に平行な方向に上下動させるように構成されている。昇降アクチュエータ29は、昇降用永久磁石28を上位置と下位置との間を昇降させることができる。下位置は、昇降用永久磁石28がスピンベース4から充分に下方に位置し、昇降用永久磁石28と第1基板対向板側永久磁石27との間に、それらの間の磁気反発力が第1基板対向板8に作用する重力をよりも小さくなるような充分な距離が確保されるように設定されている。上位置は、下位置よりも上方の位置であり、昇降用永久磁石28と第1基板対向板側永久磁石27との間の磁気反発力によって、磁石保持部材26に結合された第1基板対向板8が第1接近位置まで上昇させられる位置に設定されている。
【0045】
したがって、昇降アクチュエータ29を作動させて昇降用永久磁石28を下位置から上位置まで上昇させると、その過程で、昇降用永久磁石28と第1基板対向板側永久磁石27との間の磁気反発力が第1基板対向板8に作用する重力およびその他の上昇抵抗力(摩擦力等)を上回る。それにより、第1基板対向板8がスピンベース4の上面から浮上し、第1接近位置まで上昇する。第1基板対向板8の上昇は、ガイド軸30の下端に設けられたフランジ32がリニア軸受け31の下端に当接することによって規制される。
【0046】
一方、昇降アクチュエータ29を作動させて昇降用永久磁石28を上位置から下位置まで下降させると、その過程で、第1基板対向板8に作用する重力が、昇降用永久磁石28と第1基板対向板側永久磁石27との間の磁気反発力およびその他の下降抵抗力(摩擦力等)を上回る。それにより、第1基板対向板8が第1接近位置から下降して、スピンベース4に到達する。
【0047】
基板処理装置1は、さらに、基板Wの上面に薬液(処理液)を供給する上面薬液供給機構42と、基板Wの上面にリンス液(処理液、洗浄液)を供給する上面リンス液供給機構43と、基板Wの下面に薬液を供給する下面薬液供給機構54と、基板Wの下面にリンス液を供給する下面リンス液供給機構55と、基板Wの下面側に不活性ガスを供給する不活性ガス供給機構64とを備えている。
【0048】
上面薬液供給機構42は、上面薬液ノズル44と、上面薬液供給配管45と、上面薬液バルブ46とを備えている。上面薬液供給配管45は、上面薬液ノズル44に接続されている。上面薬液バルブ46は、上面薬液供給配管45に介装されている。上面薬液バルブ46が開かれると、上面薬液供給配管45から上面薬液ノズル44に薬液が供給される。また、上面薬液バルブ46が閉じられると、上面薬液供給配管45から上面薬液ノズル44への薬液の供給が停止される。上面薬液ノズル44から吐出された薬液は、スピンチャック3に保持された基板Wの上面中央部に供給される。
【0049】
上面リンス液供給機構43は、上面リンス液ノズル49と、上面リンス液供給配管50と、上面リンス液バルブ51とを備えている。上面リンス液供給配管50は、上面リンス液ノズル49に接続されている。上面リンス液バルブ51は、上面リンス液供給配管50に介装されている。上面リンス液バルブ51が開かれると、上面リンス液供給配管50から上面リンス液ノズル49にリンス液が供給される。また、上面リンス液バルブ51が閉じられると、上面リンス液供給配管50から上面リンス液ノズル49へのリンス液の供給が停止される。上面リンス液ノズル49から吐出されたリンス液は、スピンチャック3に保持された基板Wの上面中央部に供給される。
【0050】
なお、上面薬液ノズル44は、スピンチャック3に対して固定的に配置されている必要はなく、たとえば、スピンチャック3上方において水平面内で揺動可能なアームに取り付けられて、このアームの揺動により基板Wの表面における薬液の着液位置がスキャンされる、いわゆるスキャンノズルの形態が採用されてもよい。また、上面リンス液ノズル49についても、スピンチャック3に対して固定的に配置されている必要はなく、いわゆるスキャンノズルの形態が採用されてもよい。
【0051】
下面薬液供給機構54は、下面薬液供給配管57と、下面薬液バルブ58と、薬液流量調節バルブ59とを備えている。下面薬液供給配管57は、処理液供給配管60に接続されている。処理液供給配管60は、さらに回転軸6に挿通された処理液供給管13に接続されている。下面薬液バルブ58および薬液流量調節バルブ59は、下面薬液供給配管57に介装されている。次に述べる下面リンス液バルブ62が閉じられつつ下面薬液バルブ58が開かれると、下面薬液供給配管57および処理液供給配管60を介して処理液供給管13に薬液が供給される。また、下面薬液バルブ58が閉じられると、処理液供給管13への薬液の供給が停止される。処理液供給管13に供給された薬液は、下面ノズル15の処理液吐出口17からスピンチャック3に保持された基板Wの下面中央部に向けて吐出される。薬液流量調節バルブ59は、下面薬液供給配管57の開度を調節することにより、下面ノズル15から吐出される薬液の吐出流量を調整する。
【0052】
下面リンス液供給機構55は、下面リンス液供給配管61と、下面リンス液バルブ62と、リンス液流量調節バルブ63とを備えている。下面リンス液供給配管61は、下面薬液供給配管57と同様に、処理液供給配管60に接続されている。下面リンス液バルブ62およびリンス液流量調節バルブ63は、下面リンス液供給配管61に介装されている。下面薬液バルブ58が閉じられつつ下面リンス液バルブ62が開かれると、下面リンス液供給配管61および処理液供給配管60を介して処理液供給管13にリンス液が供給される。また、下面リンス液バルブ62が閉じられると、処理液供給管13へのリンス液の供給が停止される。処理液供給管13に供給されたリンス液は、下面ノズル15の処理液吐出口17からスピンチャック3に保持された基板Wの下面中央部に向けて吐出される。リンス液流量調節バルブ63は、下面リンス液供給配管61の開度を調節することにより、下面ノズル15から吐出されるリンス液の吐出流量を調整する。
【0053】
なお、この実施形態では、下面薬液供給配管57および下面リンス液供給配管61を、共通配管である処理液供給配管60を介して処理液供給管13に接続させているが、下面リンス液供給配管61下面薬液供給配管57および下面リンス液供給配管61を、直接、処理液供給管13に接続させてもよい。
不活性ガス供給機構64は、不活性ガス供給配管65と、不活性ガスバルブ66と、不活性ガス流量調節バルブ67とを備えている。不活性ガス供給管14は、回転軸6に挿通された不活性ガス供給管14に接続されている。不活性ガスバルブ66および不活性ガス流量調節バルブ67は、不活性ガス供給配管65に介装されている。不活性ガスバルブ66が開かれると、不活性ガス供給配管65から不活性ガス供給管14に不活性ガスが供給される。また、不活性ガスバルブ66が閉じられると、不活性ガス供給配管65から不活性ガス供給管14への不活性ガスの供給が停止される。不活性ガス流量調節バルブ67は、不活性ガス供給配管65の開度を調節することにより、不活性ガス供給管14の上端から吐出されるリンス液の吐出流量を調整する。
【0054】
不活性ガス供給管14の鉛直方向の上端から吐出される不活性ガスは、第1基板対向板8が下位置に位置するときは、第2基板対向板16のフランジ18下部を通り、基板Wの下面と第1基板対向板8の第1基板対向面8aとの間の空間を通って、基板Wの回転範囲外に案内される。また、第1基板対向板8が第1接近位置に位置するときは、不活性ガスは、第2基板対向板16のフランジ18の下部を通り、スピンベース4の上面と第1基板対向板8の下面との間の空間を通って、基板Wの回転範囲外に案内される。
【0055】
上面薬液ノズル44および下面ノズル15に供給される薬液として、たとえば、HF(フッ化水素)、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)、SCl(ammonia-hydrogen peroxide mixture:アンモニア過酸化水素水混合液)などのエッチング液を例示できる。また、上面リンス液ノズル49および下面ノズル15に供給されるリンス液として、たとえば、純水(deionized water:脱イオン水)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水や、希釈塩酸水(たとえば、希釈濃度が10〜100ppm程度)などを例示できる。また、不活性ガス供給管14に供給される不活性ガスは、たとえば窒素ガスである。
【0056】
基板処理装置1は、当該基板処理装置1の各部の制御のために制御装置69を備えている。制御装置69は、回転駆動機構7、基板保持部材可動機構9、昇降アクチュエータ29などを制御するように構成されている。また、基板処理装置1は、上面薬液バルブ46、上面リンス液バルブ51、下面薬液バルブ58、下面リンス液バルブ62、不活性ガスバルブ66等の開閉を制御し、薬液流量調節バルブ59、リンス液流量調節バルブ63、不活性ガス流量調節バルブ67などの開度を制御する。
【0057】
図3は、
図1に示す基板処理装置1の処理例を説明するためのフローチャートである。
図4は、
図1に示す基板処理装置1の処理例を説明するためのタイムチャートである。
図5A〜
図5Jは、
図3および
図4の処理例を説明するための図である。
図1、
図3、
図4および
図5A〜
図5Jを参照して、基板処理装置1の処理例を説明する。
図3の処理例に際して、まず、図示しない基板搬送ロボットにより未処理の基板Wが処理室2内に搬入されて、
図5Aに示すように、基板Wがそのデバイス形成面を上方に向けた状態でスピンチャック3に保持される(S1:基板搬入工程)。基板Wの搬入時には、第1基板対向板8は、
図4および
図5Aに示すように、下位置に配置されている。
【0058】
次いで、
図3、
図4および
図5Bに示すように、制御装置69は、回転駆動機構7を制御して、基板Wを静止状態から回転速度ω3(たとえば500rpm)で回転軸線10回りに高速回転させる。また、制御装置69は、上面薬液バルブ46(
図1参照)を開いて基板Wの上面に薬液を供給するとともに、下面薬液バルブ58(
図1参照)を開いて基板Wの下面に薬液を供給する(S2:高速回転薬液処理工程)。上面薬液ノズル44および下面ノズル15からの薬液の吐出流量は、それぞれ、たとえば1.0L/minである。
【0059】
ステップS2の高速回転薬液処理工程において、上面薬液ノズル44から吐出された薬液は、基板Wの上面中央部に着液した後、基板Wの回転遠心力によって基板Wの上面周縁部にまで拡がる。これにより、基板Wの上面全域が薬液処理される。また、下面ノズル15から吐出された薬液は、基板Wの下面中央部に着液した後、基板Wの回転遠心力を受けて基板Wの下面を伝って下面周縁部にまで拡がる。これにより、基板Wの下面全域が薬液処理される。
【0060】
薬液の吐出開始から予め定める高速回転薬液処理時間(たとえば、5sec)が経過すると、
図3、
図4および
図5Cに示すように、制御装置69は、回転駆動機構7を制御して、基板Wの回転を、回転速度ω3からより低速の回転速度ω1(たとえば10rpm)に減速させる。また、制御装置69は、薬液流量調節バルブ59を制御して、下面ノズル15からの薬液の吐出流量を、たとえば1.0L/minから0.4L/minに低減させる。また、制御装置69は、昇降アクチュエータ29を制御して、第1基板対向板8を下位置(
図5B参照)から第1接近位置(
図5C参照)まで上昇させる。これにより、基板Wの下面と第1接近位置にある第1基板対向面8aとの間の空間38において、薬液が液密状態とされる。液密状態にされた薬液によって基板Wの下面が薬液処理される(S3:薬液液密工程)。
【0061】
具体的には、ステップS3の薬液液密工程では、
図5Cに示すように、第1基板対向板8の第1基板対向面8aと、下面ノズル15の第2基板対向面16aとが同一平面上に配置される。そして、第1基板対向板8が第1接近位置に配置された状態で、基板Wの減速により、基板Wの下面と第2基板対向板16の第2基板対向面16aとの間に外郭筒状の薬液の液柱39が形成される。
【0062】
薬液の液柱39の維持のためには、薬液の吐出流量は少ないことが望ましいのであるが、薬液の液柱39の形成時には、所定量の薬液が必要である。この処理例では、ステップS2の高速回転薬液処理工程において比較的大流量の薬液が基板Wの下面に供給されるので、ステップS3の薬液液密工程の開始時には比較的多量の薬液が基板Wの下面に存在している。したがって、薬液の液柱39を良好に形成できる。
【0063】
そして、基板Wの下面と第2基板対向板16の第2基板対向面16aとの間の薬液の液柱39は、基板Wの下面と第1基板対向板8の第1基板対向面8aとの間を伝いながら、基板Wの下面と第1基板対向面8aとの間の空間38を、基板Wの周縁部に向けて拡がる(
図5Cの矢印方向参照)。これにより、当該空間38の全域において、薬液の液密状態が実現される。当該空間38における液密状態は、小流量の薬液によって実現できるから、これにより、薬液の消費量の低減を図ることができる。
【0064】
また、各保持部材5を挿通させるための挿通用凹所20が第1基板対向板8に形成されているので、第1基板対向板8を下位置から第1接近位置に上昇させる際に保持部材5と第1基板対向板8とが干渉しない。これにより、第1基板対向板8の昇降を良好に行うことができる。
第1基板対向板8の第1接近位置への上昇から、予め定める時間(たとえば、5sec)が経過すると、制御装置69は、
図3、
図4および
図5Dに示すように、薬液流量調節バルブ59を制御して、下面ノズル15からの薬液の吐出流量を、たとえば0.4L/minから1.0L/minに増加させる。
【0065】
その結果、空間38に供給される薬液の流量が増加し、これにより基板Wの下面全域において、空間38を薬液の液密状態にすることができる。この状態では、基板Wの下面全域に薬液が接液するから、基板Wの下面の全域を、良好かつ均一に薬液処理できる。また、基板Wの上面に対する薬液処理および基板Wの下面に対する薬液処理が並行して実行されるので、基板Wの上面および基板Wの下面の双方に薬液処理を施す場合の処理時間を短縮できる。
【0066】
また、
図5Dに示すように、第1基板対向板8の周縁部は、各挿通用凹所20から外側に向けて張り出しており、各挿通用凹所20と第1基板対向板8の外周端との間に肉厚が設けられている。この肉厚部分により、ステップS3の薬液液密工程では、保持部材5に保持されている部分を含む基板Wの周縁部も液密状態にすることができる。その結果、基板Wの下面全域に薬液による液密状態を確実に、かつ良好に形成できる。
【0067】
このように、基板Wに薬液処理を行う際には、ステップS2の高速回転薬液処理工程において基板Wの下面に薬液処理が施され、次いで、ステップS3の薬液液密工程において基板Wの下面に薬液処理が施される。そのため、基板Wの下面を、より一層良好に薬液処理できる。
次いで、下面ノズル15からの薬液の吐出流量を増加させてから予め定める時間(たとえば、20sec)が経過すると、制御装置69は、
図3、
図4および
図5Eに示すように、上面薬液バルブ46および下面薬液バルブ58を閉じ、基板Wへの薬液の供給を停止させる。また、制御装置69は、昇降アクチュエータ29を制御して、第1基板対向板8を第1接近位置(
図5D参照)から下位置(
図5E参照)に下降させる。これにより、第1基板対向板8の第1基板対向面8aが基板Wの下面から離反して、基板Wの下面と第1基板対向板8の第1基板対向面8aとの間における薬液の液密状態が瞬時に解除される(S4:薬液液密解除工程)。
【0068】
また、制御装置69は、回転駆動機構7を制御して、基板Wの回転を、回転速度ω1から回転速度ω3に加速させる。また、制御装置69は、上面リンス液バルブ51(
図1参照)を開いて基板Wの上面にリンス液を供給するとともに、制御装置69下面リンス液バルブ62(
図1参照)を開いて基板Wの下面にリンス液を供給する(S5:高速回転リンス液処理工程)。上面リンス液ノズル49および下面ノズル15から吐出されるリンス液の吐出流量は、たとえば4.0L/minである。さらに、制御装置69は、不活性ガスバルブ66(
図1参照)を開き、基板Wの下面と第1基板対向面8aとの間の空間38に不活性ガスを供給する。不活性ガスの吐出流量は、たとえば50L/minである。
【0069】
ステップS5の高速回転リンス液処理工程において、上面リンス液ノズル49から吐出されたリンス液は、基板Wの上面中央部に着液した後、基板Wの回転遠心力によって基板Wの上面周縁部にまで拡がる。これにより、基板Wの上面全域において、基板Wの上面に付着していた薬液がリンス液によって洗い流される。また、不活性ガス供給管14の鉛直方向の上端から吐出された不活性ガスは、第2基板対向板16のフランジ18下部を通り、回転軸線10を中心とした放射状に吹き出される。この不活性ガスは、基板Wの下面と第1基板対向板8の第1基板対向面8aの間の空間を通って、基板Wの回転範囲外に排出される。これにより、リンス液およびリンス液によって洗い流された薬液の液滴が、不活性ガス供給管14内および下面ノズル15の処理液吐出口17内に侵入することを防止することができる。
【0070】
リンス液の吐出開始から予め定める時間(たとえば、1sec)が経過すると、制御装置69は、
図3、
図4および
図5Fに示すように、回転駆動機構7を制御して、基板Wの回転を、回転速度ω3からさらに高速の回転速度ω4(たとえば1000rpm)に加速させる。これにより、下面ノズル15から吐出されたリンス液は、基板Wの下面中央部に着液した後、基板Wの回転遠心力を受けて、基板Wの下面を伝って、基板Wの下面周縁部にまで拡がる。その結果、基板Wの下面全域において、基板Wの下面に付着していた薬液がリンス液によって洗い流される。また、この状態では、上面リンス液ノズル49から吐出されたリンス液も、基板Wの上面全域に供給され続けるから、基板Wの上下面の全域でリンス処理が良好に行われる。
【0071】
次いで、基板Wの加速から予め定める時間(たとえば、10sec)が経過すると、制御装置69は、
図3、
図4および
図5Gに示すように、回転駆動機構7を制御して、基板Wの回転を、回転速度ω3よりも低速であるが回転速度ω1よりは高速の回転速度ω2(たとえば100rpm)に減速させる。また、制御装置69は、リンス液流量調節バルブ63を制御して、下面ノズル15からのリンス液の吐出流量を、たとえば4.0L/minから1.0L/minに低減させる。
【0072】
このとき、基板Wの下面中央部に供給されたリンス液は、基板Wの下面を周縁部に向けて拡がった後、重力を受けて下方に向けて落液し、第1基板対向板8の第1基板対向面8aに供給され、第1基板対向板8の第1基板対向面8aを伝って流れる。第1基板対向面8aを流れるリンス液により、第1基板対向面8aを含む第1基板対向板8の外表面全域が洗浄される(S6:第1基板対向板洗浄工程)。
【0073】
次いで、基板Wの減速から予め定める第1基板対向板洗浄工程時間(たとえば、10sec)が経過すると、制御装置69は、
図3、
図4および
図5Hに示すように、回転駆動機構7を制御して、基板Wの回転を、回転速度ω2から回転速度ω1に減速させる。また、制御装置69は、リンス液流量調節バルブ63を制御して、下面ノズル15からのリンス液の吐出流量を、たとえば1.0L/minから0.4L/minに低減させる。
【0074】
また、制御装置69は、昇降アクチュエータ29を制御して、第1基板対向板8を下位置(
図5G参照)から第1接近位置(
図5H参照)まで上昇させる。これにより、基板Wの下面と、第1接近位置にある第1基板対向面8aとの間の空間38において、リンス液が液密状態とされる。液密状態にされたリンス液によって基板Wの下面がリンス液処理される(S7:リンス液液密工程)。
【0075】
具体的には、ステップS7のリンス液液密工程では、
図5Hに示すように、第1基板対向板8の第1基板対向面8aと、下面ノズル15の第2基板対向面16aとが、同一平面上に配置される。そして、第1基板対向板8が第1接近位置に配置された状態で、基板Wの減速により、基板Wの下面と第2基板対向板16の第2基板対向面16aとの間に外郭筒状のリンス液の液柱40が形成される。
【0076】
リンス液の液柱40の維持のためには、リンス液の吐出流量は少ないことが望ましいのであるが、リンス液の液柱40の形成時には、所定量のリンス液が必要である。この処理例では、ステップS5の高速回転リンス液処理工程において比較的大流量のリンス液が基板Wの下面に供給されるので、ステップS7のリンス液液密工程の開始時には比較的多量のリンス液が基板Wの下面に存在している。したがって、リンス液の液柱40を良好に形成できる。
【0077】
そして、基板Wの下面と第2基板対向板16の第2基板対向面16aとの間のリンス液の液柱40は、基板Wの下面と第1基板対向板8の第1基板対向面8aとの間を伝いながら、基板Wの下面と第1基板対向面8aとの間の空間38を、基板Wの周縁部に向けて拡がる(
図5Hの矢印方向参照)。これにより、当該空間38の全域において、リンス液の液密状態が実現される。当該空間38における液密状態は、小流量のリンス液によって実現できるから、これにより、リンス液の消費量の低減を図ることができる。
【0078】
第1基板対向板8の第1接近位置への上昇から、予め定める時間(たとえば、5sec)が経過すると、制御装置69は、リンス液流量調節バルブ63を制御して、下面ノズル15からのリンス液の吐出流量を、たとえば0.4L/minから1.0L/minに増加させる。
その結果、空間38に供給されるリンス液の流量が増加するので、基板Wの下面全域において、空間38をリンス液の液密状態にすることができる。これにより、基板Wの下面全域にリンス液を接液させることができるから、基板Wの下面の全域を、良好かつ均一にリンス液処理できる。また、基板Wの上面に対するリンス液処理および基板Wの下面に対するリンス液処理が並行して実行されるので、基板Wの上面および基板Wの下面の双方にリンス液処理を施す場合の処理時間を短縮できる。
【0079】
また、
図5Iに示すように、第1基板対向板8の周縁部は、各挿通用凹所20から外側に向けて張り出しており、各挿通用凹所20と第1基板対向板8の外周端との間に肉厚が設けられている。この肉厚部分により、ステップS7のリンス液液密工程では、保持部材5に保持されている部分を含む基板Wの周縁部も液密状態にすることができる。その結果、基板Wの下面全域にリンス液による液密状態を確実に、かつ良好に形成できる。
【0080】
このように、基板Wにリンス液処理を行う際には、ステップS5の高速回転リンス液処理工程において基板Wの下面にリンス液処理が施され、次いで、ステップS6の第1基板対向板洗浄工程を経て、ステップS7のリンス液液密工程において基板Wの下面にリンス液処理が施される。そのため、基板Wの下面を、より一層良好にリンス液処理できる。
次いで、下面ノズル15からのリンス液の吐出流量を増加させてから予め定める時間(たとえば、15sec)が経過すると、制御装置69は、
図3、
図4および
図5Jに示すように、上面リンス液バルブ51および下面リンス液バルブ62を閉じ、基板Wへのリンス液の供給を停止させる。また、制御装置69は、昇降アクチュエータ29を制御して、第1基板対向板8を第1接近位置(
図5I参照)から下位置(
図5J参照)に下降させる。これにより、第1基板対向板8の第1基板対向面8aが基板Wの下面から離反して、基板Wの下面と第1基板対向板8の第1基板対向面8aとの間におけるリンス液の液密状態が瞬時に解除される(S8:リンス液液密解除工程)。
【0081】
その後、制御装置69は、
図3および
図4に示すように、回転駆動機構7を制御して、基板Wを加速して、基板Wを振り切り乾燥させる(S9:乾燥工程)。基板Wの加速は段階的に行う。具体的には、制御装置69は、まず、基板Wの回転を、回転速度ω1から回転速度ω3に加速させる。また、制御装置69は、不活性ガス流量調節バルブ67を制御して、不活性ガスの流量を、それまでの50L/minから、たとえば100L/minに増加させる。
【0082】
次いで、基板Wの加速から予め定める時間(たとえば、1sec)が経過すると、制御装置69は、
図4に示すように、回転駆動機構7を制御して、基板Wの回転を、回転速度ω4からさらに高速の回転速度ω5(たとえば1500rpm)に加速させる。これにより、基板Wに付着したリンス液を確実に、基板Wの回転遠心力によって振り切ることができる。
【0083】
S9の乾燥工程では、第1基板対向板8の第1基板対向面8aと基板の下面との間の空間に大流量の不活性ガスが供給されるので、当該空間に不活性ガスの気流を形成することができる。これにより、基板Wの下面の乾燥の促進を図りつつ、基板Wの下面にウォータマークの発生を効果的に抑制することができる。
基板Wの加速から予め定める乾燥時間(たとえば、2sec)が経過すると、制御装置69は、回転駆動機構7を制御して、基板Wの回転を停止させる。その後、基板搬送ロボットによって、処理済みの基板Wが処理室2内から搬出される(S10:基板搬出工程)。
【0084】
以上のように、第1実施形態の基板処理方法によれば、ステップS4の薬液液密解除工程において、基板Wの下面と第1基板対向板8とを離反させることにより、基板Wの下面と第1基板対向面8aとの間の空間38の液密状態を瞬時に解除することができる。これにより、ステップS4の薬液液密解除工程後には、基板Wの下面に薬液(第1実施形態ではエッチング液)が接液せず、その結果、薬液液密解除工程後における、基板Wの下面での薬液処理の進行を阻止できる。これにより、基板Wの下面の処理レート(エッチングレート)を所期の処理レートに保つことができる。ゆえに、基板Wの下面に薬液処理を良好に施すことができる基板処理方法を提供することができる。
【0085】
また、ステップS8のリンス液液密解除工程において、基板Wの下面と第1基板対向板8とを離反させることにより、基板Wの下面と第1基板対向面8aとの間の空間38の液密状態を瞬時に解除することができる。これにより、ステップS8のリンス液液密解除工程後には、基板Wの下面にリンス液が接液せず、その結果、基板Wの下面でリンス液処理の進行を阻止できる。
【0086】
図6は、本発明の第2実施形態に係る基板処理装置71の概略構成を示す図である。
図7は、
図6に示す基板処理装置71の概略構成を示す平面図である。なお、
図6は、
図7に示す矢印VIの方向に見た切断線に沿う断面を示す図である。
第2実施形態に係る基板処理装置71が前述の第1実施形態の基板処理装置1と異なる点は、下面ノズル昇降機構72を備えている点である。その他の構成は、前述の第1実施形態に係る基板処理装置1と同様の構成である。
図6、
図7および
図10A〜
図10Lにおいて、前述の第1実施形態に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0087】
下面ノズル昇降機構72は、たとえばエアシリンダによって構成されており、処理液供給管13の鉛直方向の下端側に連結されている。下面ノズル昇降機構72の駆動力が処理液供給管13に入力されると、処理液供給管13は鉛直方向に昇降し、これと一体的に第2基板対向板16が昇降する。下面ノズル昇降機構72を設けたために、第2実施形態では、第2基板対向板16は、第1接近位置と、第1接近位置からさらに基板Wの下面に接近する第2接近位置(
図10Cに示す第2基板対向板16の位置)との間を昇降可能な構成とされている。
【0088】
また、第2実施形態では、第1基板対向板8は、スピンベース4の上面に近い下位置と第2接近位置との間で昇降可能に設けられている。このような第1基板対向板8の昇降範囲の調節は、第1基板対向板側永久磁石27と昇降用永久磁石28との間の距離、および、案内機構25におけるガイド軸30の長さ、フランジ32の位置等の調整により実現できる。なお、第1接近位置にある第1基板対向板8の第1基板対向面8aは、第1接近位置にある第2基板対向板16の第2基板対向面16aと同一平面上にあり、そのため、第2基板対向板16の第1接近位置は、第1基板対向板8の第1接近位置と同視できる。また、第2接近位置にある第1基板対向板8の第1基板対向面8aは、第2接近位置にある第2基板対向板16の第2基板対向面16aと同一平面上にあり、そのため、第2基板対向板16の第2接近位置は、第1基板対向板8の第2接近位置と同視できる。
【0089】
基板処理装置71は、当該基板処理装置71の各部の制御のために制御装置69を備えている。制御装置69は、回転駆動機構7、基板保持部材可動機構9、昇降アクチュエータ29、下面ノズル昇降機構72などを制御するように構成されている。また、基板処理装置71は、上面薬液バルブ46、上面リンス液バルブ51、下面薬液バルブ58、下面リンス液バルブ62、不活性ガスバルブ66等の開閉を制御し、薬液流量調節バルブ59、リンス液流量調節バルブ63、不活性ガス流量調節バルブ67などの開度を制御する。
【0090】
図8は、
図6に示す基板処理装置71の処理例を説明するためのフローチャートである。
図9は、
図6に示す基板処理装置71の処理例を説明するためのタイムチャートである。
図10A〜
図10Lは、
図8および
図9の処理例を説明するための図である。
図6、
図8、
図9および
図10A〜
図10Lを参照して、基板処理装置71の処理例を説明する。
図8の処理例に際して、まず、図示しない基板搬送ロボットにより未処理の基板Wが処理室2内に搬入されて、
図10Aに示すように、基板Wがそのデバイス形成面を上方に向けた状態でスピンチャック3に保持される(S11:基板搬入工程)。基板Wの搬入時には、第1基板対向板8は、
図9および
図10Aに示すように、下位置に配置されている。また、第2基板対向板16は、第1接近位置に配置されている。
【0091】
次いで、
図8、
図9および
図10Bに示すように、制御装置69は、回転駆動機構7を制御して、基板Wを静止状態から回転速度ω3(たとえば500rpm)で回転軸線10回りに高速回転させるとともに、昇降アクチュエータ29を制御して、第1基板対向板8を下位置(
図10A参照)から第1接近位置(
図10B参照)まで上昇させる。このとき、第1基板対向板8の第1基板対向面8aと、第2基板対向板16の第2基板対向面16aとが同一平面上に配置される。
【0092】
さらに、制御装置69は、上面薬液バルブ46(
図6参照)を開き、基板Wの上面に薬液を供給するとともに、下面薬液バルブ58(
図6参照)を開き、基板Wの下面に薬液を供給する(S12:高速回転薬液処理工程)。このとき、上面薬液ノズル44および下面ノズル15からの薬液の吐出流量は、それぞれ、たとえば1.0L/minである。
ステップS12の高速回転薬液処理工程において、上面薬液ノズル44から吐出された薬液は、基板Wの上面中央部に着液した後、基板Wの回転遠心力によって基板Wの上面周縁部にまで拡がる。これにより、基板Wの上面全域が薬液処理される。また、下面ノズル15から吐出された薬液は、基板Wの下面中央部に着液した後、基板Wの回転遠心力を受けて基板Wの下面を伝って下面周縁部にまで拡がる。これにより、基板Wの下面全域が薬液処理される。
【0093】
薬液の吐出開始から予め定める高速回転薬液処理時間(たとえば、5sec)が経過すると、
図8、
図9および
図10Cに示すように、制御装置69は、回転駆動機構7を制御して、基板Wの回転を、回転速度ω3からより低速の回転速度ω1(たとえば10rpm)に減速させる。また、制御装置69は、下面ノズル昇降機構72を制御して、第2基板対向板16を、第1接近位置(
図10B参照)から第2接近位置(
図10C参照)まで上昇させる。さらに、制御装置69は、昇降アクチュエータ29を制御して、第1基板対向板8を下位置(
図10B参照)から基板Wの下面に接近する第2接近位置(
図10C参照)まで上昇させる。これにより、基板Wの下面と、第2接近位置にある第1基板対向面8aとの間の空間38において、薬液が液密状態とされる。液密状態にされた薬液によって基板Wの下面が薬液処理される(S13:薬液液密工程)。
【0094】
具体的には、ステップS13の薬液液密工程では、第1基板対向板8と第2基板対向板16とが第2接近位置に到達すると、第1基板対向板8の第1基板対向面8aと、下面ノズル15の第2基板対向面16aとが同一平面上に配置される。そして、第1基板対向板8が第2接近位置に配置された状態で、基板Wの減速により、基板Wの下面と第2基板対向板16の第2基板対向面16aとの間に外郭筒状の薬液の液柱73が形成される。
【0095】
薬液の液柱73の維持のためには、薬液の吐出流量は少ないことが望ましいのであるが、薬液の液柱73の形成時には、所定量の薬液が必要である。この処理例では、ステップS12の高速回転薬液処理工程において比較的大流量の薬液が基板Wの下面に供給されるので、ステップS13の薬液液密工程の開始時には比較的多量の薬液が基板Wの下面に存在している。したがって、薬液の液柱73を良好に形成できる。
【0096】
そして、基板Wの下面と第2基板対向板16の第2基板対向面16aとの間の薬液の液柱73は、基板Wの下面と第1基板対向板8の第1基板対向面8aとの間を伝いながら、基板Wの下面と第1基板対向面8aとの間の空間38を、基板Wの周縁部に向けて拡がる(
図10Cの矢印方向参照)。これにより、
図10Dに示すように、当該空間38の全域において、薬液の液密状態が実現される。当該空間38における液密状態は、小流量の薬液によって実現できるから、これにより、薬液の消費量の低減を図ることができる。
【0097】
また、各保持部材5を挿通させるための挿通用凹所20が第1基板対向板8に形成されているので、第1基板対向板8を下位置から第2接近位置に上昇させる際に保持部材5と第1基板対向板8とが干渉しない。これにより、第1基板対向板8の昇降を良好に行うことができる。
次いで、第2接近位置において、予め定める時間(たとえば、5sec)が経過すると、制御装置69は、
図8、
図9および
図10Eに示すように、昇降アクチュエータ29および下面ノズル昇降機構72を制御して、第1基板対向板8と第2基板対向板16とを、第2接近位置(
図10D参照)から第1接近位置(
図10E参照)まで一体的に下降させる。第1基板対向板8および第2基板対向板16は、液密状態を維持したまま、第2接近位置から第1接近位置まで下降する。
【0098】
このとき、
図10Eに示すように、第1基板対向板8の周縁部は、各挿通用凹所20から外側に向けて張り出しており、各挿通用凹所20と第1基板対向板8の外周端との間に肉厚が設けられている。この肉厚部分により、ステップS13の薬液液密工程では、保持部材5に保持されている部分を含む基板Wの周縁部も液密状態にすることができる。この状態では、基板Wの下面全域に薬液が接液するから、基板Wの下面の全域を、良好かつ均一に薬液処理できる。また、基板Wの上面に対する薬液処理および基板Wの下面に対する薬液処理が並行して実行されるので、基板Wの上面および基板Wの下面の双方に薬液処理を施す場合の処理時間を短縮できる。
【0099】
このように、基板Wに薬液処理を行う際には、ステップS12の高速回転薬液処理工程において基板Wの下面に薬液処理が施され、次いで、ステップS13の薬液液密工程において基板Wの下面に薬液処理が施される。そのため、基板Wの下面を、より一層良好に薬液処理できる。
次いで、第1接近位置において、予め定める薬液液密時間(たとえば、20sec)が経過すると、制御装置69は、
図8、
図9および
図10Fに示すように、上面薬液バルブ46および下面薬液バルブ58を閉じ、基板Wへの薬液の供給を停止させる。また、制御装置69は、昇降アクチュエータ29を制御して、第1基板対向板8を第1接近位置(
図10E参照)から下位置(
図10F参照)に下降させる。これにより、第1基板対向板8の第1基板対向面8aが基板Wの下面から離反して、基板Wの下面と第1基板対向板8の第1基板対向面8aとの間における薬液の液密状態が瞬時に解除される(S14:薬液液密解除工程)。
【0100】
また、制御装置69は、回転駆動機構7を制御して、基板Wの回転を、回転速度ω1から回転速度ω3に加速させる。また、制御装置69は、上面リンス液バルブ51(
図6参照)を開いて基板Wの上面にリンス液を供給するとともに、下面リンス液バルブ62(
図6参照)を開いて基板Wの下面にリンス液を供給する(S15:高速回転リンス液処理工程)。上面リンス液ノズル49および下面ノズル15から吐出されるリンス液の吐出流量は、たとえば4.0L/minである。さらに、制御装置69は、不活性ガスバルブ66(
図6参照)を開き、基板Wの下面と第1基板対向面8aとの間の空間38に不活性ガスを供給する。不活性ガスの吐出流量は、たとえば50L/minである。
【0101】
ステップS15の高速回転リンス液処理工程において、上面リンス液ノズル49から吐出されたリンス液は、基板Wの上面中央部に着液した後、基板Wの回転遠心力によって基板Wの上面周縁部にまで拡がる。これにより、基板Wの上面全域において、基板Wの上面に付着していた薬液がリンス液によって洗い流される。また、不活性ガス供給管14の鉛直方向の上端から吐出された不活性ガスは、第2基板対向板16のフランジ18下部を通り、回転軸線10を中心とした放射状に吹き出される。この不活性ガスは、基板Wの下面と第1基板対向板8の第1基板対向面8aとの間の空間を通って、基板Wの回転範囲外に排出される。これにより、リンス液およびリンス液によって洗い流された薬液の液滴が、不活性ガス供給管14内および下面ノズル15の処理液吐出口17内に侵入することを防止することができる。
【0102】
リンス液の吐出開始から予め定める時間(たとえば、1sec)が経過すると、制御装置69は、
図8、
図9および
図10Gに示すように、回転駆動機構7を制御して、基板Wの回転を、回転速度ω3からさらに高速の回転速度ω4(たとえば1000rpm)に加速させる。これにより、下面ノズル15から吐出されたリンス液は、基板Wの下面中央部に着液した後、基板Wの回転遠心力を受けて、基板Wの下面を伝って、基板Wの下面周縁部にまで拡がる。その結果、基板Wの下面全域において、基板Wの下面に付着していた薬液がリンス液によって洗い流される。また、この状態では、上面リンス液ノズル49から吐出されたリンス液も、基板Wの上面全域に供給され続けるから、基板Wの上下面の全域でリンス処理が良好に行われる。
【0103】
次いで、基板Wの加速から予め定める時間(たとえば、10sec)が経過すると、制御装置69は、
図8、
図9および
図10Hに示すように、回転駆動機構7を制御して、基板Wの回転を、回転速度ω3よりも低速であるが回転速度ω1よりは高速の回転速度ω2(たとえば100rpm)に減速させる。また、制御装置69は、リンス液流量調節バルブ63を制御して、下面ノズル15からのリンス液の吐出流量を、たとえば4.0L/minから1.0L/minに低減させる。
【0104】
このとき、基板Wの下面中央部に供給されたリンス液は、基板Wの下面を周縁部に向けて拡がった後、重力を受けて下方に向けて落液し、第1基板対向板8の第1基板対向面8aに供給され、第1基板対向板8の第1基板対向面8aを伝って流れる。第1基板対向面8aを流れるリンス液により、第1基板対向面8aを含む第1基板対向板8の外表面全域が洗浄される(S16:第1基板対向板洗浄工程)。
【0105】
次いで、基板Wの減速から予め定める第1基板対向板洗浄工程時間(たとえば、5sec)が経過すると、制御装置69は、
図8、
図9および
図10Iに示すように、回転駆動機構7を制御して、基板Wの回転を、回転速度ω2から回転速度ω1に減速させる。また、制御装置69は、下面ノズル昇降機構72を制御して、第2基板対向板16を、第1接近位置(
図10H参照)から第2接近位置(
図10I参照)まで上昇させる。さらに、制御装置69は、昇降アクチュエータ29を制御して、第1基板対向板8を下位置(
図10H参照)から第2接近位置(
図10I参照)まで上昇させる。これにより、基板Wの下面と、第2接近位置にある第1基板対向面8aとの間の空間38において、リンス液が液密状態とされる。液密状態にされたリンス液によって基板Wの下面がリンス液処理される(S17:リンス液液密工程)。
【0106】
具体的には、ステップS17のリンス液液密工程では、第1基板対向板8と第2基板対向板16とが第2接近位置に到達すると、第1基板対向板8の第1基板対向面8aと、下面ノズル15の第2基板対向面16aとが同一平面上に配置される。そして、第1基板対向板8が第2接近位置に配置された状態で、基板Wの減速により、基板Wの下面と第2基板対向板16の第2基板対向面16aとの間に外郭筒状のリンス液の液柱74が形成される。
【0107】
リンス液の液柱74の維持のためには、リンス液の吐出流量は少ないことが望ましいのであるが、リンス液の液柱74の形成時には、所定量のリンス液が必要である。この処理例では、ステップS15の高速回転リンス液処理工程において比較的大流量のリンス液が基板Wの下面に供給されるので、ステップS17のリンス液液密工程の開始時には比較的多量のリンス液が基板Wの下面に存在している。したがって、リンス液の液柱74を良好に形成できる。
【0108】
そして、基板Wの下面と第2基板対向板16の第2基板対向面16aとの間のリンス液の液柱74は、基板Wの下面と第1基板対向板8の第1基板対向面8aとの間を伝いながら、基板Wの下面と第1基板対向面8aとの間の空間38を、基板Wの周縁部に向けて拡がる(
図10Iの矢印方向参照)。これにより、
図10Jに示すように、当該空間38の全域において、リンス液の液密状態が実現される。当該空間38における液密状態は、小流量のリンス液によって実現できるから、これにより、リンス液の消費量の低減を図ることができる。
【0109】
次いで、第2接近位置において、予め定める時間(たとえば、5sec)が経過すると、制御装置69は、
図8、
図9および
図10Kに示すように、昇降アクチュエータ29および下面ノズル昇降機構72を制御して、第1基板対向板8と第2基板対向板16とを、第2接近位置(
図10J参照)から第1接近位置(
図10K参照)まで一体的に下降させる。第1基板対向板8および第2基板対向板16は、液密状態を維持したまま、第2接近位置から第1接近位置まで下降する。
【0110】
このとき、
図10Kに示すように、第1基板対向板8の周縁部は、各挿通用凹所20から外側に向けて張り出しており、各挿通用凹所20と第1基板対向板8の外周端との間に肉厚が設けられている。この肉厚部分により、ステップS17のリンス液液密工程では、保持部材5に保持されている部分を含む基板Wの周縁部も液密状態にすることができる。その結果、基板Wの下面全域にリンス液による液密状態を確実に、かつ良好に形成できる。また、基板Wの上面に対するリンス液処理および基板Wの下面に対するリンス液処理が並行して実行されるので、基板Wの上面および基板Wの下面の双方にリンス液処理を施す場合の処理時間を短縮できる。
【0111】
このように、基板Wにリンス液処理を行う際には、ステップS15の高速回転リンス液処理工程において基板Wの下面にリンス液処理が施され、次いで、ステップS16の第1基板対向板洗浄工程を経て、ステップS17のリンス液液密工程において基板Wの下面にリンス液処理が施される。そのため、基板Wの下面を、より一層良好にリンス液処理できる。
【0112】
次いで、第1接近位置において、予め定める時間(たとえば、15sec)が経過すると、制御装置69は、
図8、
図9および
図10Lに示すように、上面リンス液バルブ51および下面リンス液バルブ62を閉じ、基板Wへのリンス液の供給を停止させる。また、制御装置69は、昇降アクチュエータ29を制御して、第1基板対向板8を第1接近位置(
図10K参照)から下位置(
図10L参照)に下降させる。これにより、第1基板対向板8の第1基板対向面8aが基板Wの下面から離反して、基板Wの下面と第1基板対向板8の第1基板対向面8aとの間におけるリンス液の液密状態が瞬時に解除される(S18:リンス液液密解除工程)。
【0113】
その後、制御装置69は、
図8および
図9に示すように、回転駆動機構7を制御して、基板Wを加速して、基板Wを振り切り乾燥させる(S19:乾燥工程)。基板Wの加速は段階的に行う。具体的には、制御装置69は、まず、基板Wの回転を、回転速度ω1から回転速度ω3に加速させる。また、制御装置69は、不活性ガス流量調節バルブ67を制御して、不活性ガスの流量を、それまでの50L/minから、たとえば100L/minに増加させる。
【0114】
次いで、基板Wの加速から予め定める時間(たとえば、1sec)が経過すると、制御装置69は、
図9に示すように、回転駆動機構7を制御して、基板Wの回転を、回転速度ω4からさらに高速の回転速度ω5(たとえば1500rpm)に加速させる。これにより、基板Wに付着したリンス液を確実に、基板Wの回転遠心力によって振り切ることができる。
【0115】
ステップS19の乾燥工程では、第1基板対向板8の第1基板対向面8aと基板の下面との間の空間に大流量の不活性ガスが供給されるので、当該空間に不活性ガスの気流を形成することができる。これにより、基板Wの下面の乾燥の促進を図りつつ、基板Wの下面にウォータマークの発生を効果的に抑制することができる。
基板Wの加速から予め定める乾燥時間(たとえば、2sec)が経過すると、制御装置69は、回転駆動機構7を制御して、基板Wの回転を停止させる。その後、基板搬送ロボットによって、処理済みの基板Wが処理室2内から搬出される(S20:基板搬出工程)。
【0116】
以上のように、第2実施形態の基板処理方法によっても、前述の第1実施形態の基板処理方法について述べた効果と同様の効果を発揮することができる。
以上、この発明の実施形態について説明してきたが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、第1基板対向面8aを有する第1基板対向板8について説明したが、
図11A〜
図11Cに示す第1基板対向板81,82,83の構成例を採用してもよい。
【0117】
図11A〜
図11Cは、第1基板対向板8の他の構成例を示す平面図である。
図11Aでは、第1基板対向板81を示している。第1基板対向板81が前述の実施形態の第1基板対向板8と異なる点は、挿通用凹所20としての挿通孔に替えて、挿通用凹所20としての切り欠き部20aが形成されている点である。切り欠き部20aは、前述の第1および第2実施形態と同様に、保持部材5に対応する位置に形成されている。切り欠き部20aは、基板Wの外周端から回転軸線10側に向けて凹状に形成されているため、前述の実施形態と異なり、挿通用凹所20と基板Wの外周端との間に肉厚部が設けられていない。
【0118】
このような構成によっても、前述の実施形態において述べた効果と概ね同様の効果を発揮することができるが、この場合、前述の実施形態のように、肉厚部が形成される挿通用凹所20として挿通孔が形成されていることが好ましい。
また、
図11Bでは、第1基板対向板82を示している。第1基板対向板82が、前述の実施形態の第1基板対向板8と異なる点は、第1基板対向板82の第1基板対向面82aが親水面を含む点である。
【0119】
第1基板対向面82aには、第1基板対向板82の開口21から見て、複数の切り欠き82bが同心円状に形成されている。この複数の切り欠き82bにより、第1基板対向板82の第1基板対向面82a上に多数の凹部が形成されている。これにより、第1基板対向面82aが親水面となっている。
このように、第1基板対向面82aが親水面を含む場合、ステップS3,S13の薬液機密工程では、基板Wの下面と第1基板対向面82aとの間の距離は、複数の切り欠き82bにより形成された凹部によって、部分的に近接したり離間したりしている。これにより、基板Wの下面と第1基板対向面82aとの間の空間38に供給された薬液の濡れ性を向上させることができる。その結果、基板Wの下面と第1基板対向面8aとの間の空間38を薬液によって液密状態にし易くなる。また、ステップS7,S17のリンス液機密工程でも、同様に、基板Wの下面と第1基板対向面82aとの間の空間38に供給されたリンス液の濡れ性を向上させることができる。その結果、基板Wの下面と第1基板対向面8aとの間の空間38をリンス液によって液密状態にし易くなる。
【0120】
また、
図11Cに示す第1基板対向板83は、前述の
図11Bの第1基板対向板82と同様に、親水面を含む第1基板対向面83aを有している。
図11Cに示す第1基板対向板83が、前述の
図11Bに示す第1基板対向板82と異なる点は、第1基板対向面83aが所定の表面粗さを有している点である。このように、所定の表面粗さを有する第1基板対向面83aによっても、前述の
図11Bにおいて述べた効果と同様の効果を発揮することができる。
【0121】
また、
図11A〜
図11Cで示した第1基板対向板81,82,83は、前述の実施形態における第1基板対向板8の構成と組み合わせて使用してもよい。また、前述の
図11A〜
図11Cに示した第1基板対向板81,82,83の他にも、滑らかな凹面状の第1基板対向面を有するお椀型の第1基板対向板を採用してもよい。このような構成であれば、液だまりを作りやすく、基板Wの下面と第1基板対向面8aとの間の空間38を液密状態にし易い。
【0122】
また、前述の実施形態では、磁力によって第1基板対向板8を昇降させる案内機構25の例を示したが、昇降アクチュエータ29の駆動力をそのまま第1基板対向板8に入力させる機構を採用してもよい。
また、前述の実施形態では、基板Wの上面および基板Wの下面に供給される薬液の薬液温度について言及しないが、基板Wの上面および基板Wの下面には、高温に加熱された薬液(エッチング液)が供給されてもよい。
【0123】
薬液が高温に加熱されている場合、基板Wの上面に供給された直後は高温であるが、基板Wの周縁部に向けて流れる過程で、その液温が低下してしまう。そのため、基板W上において、その中央部で薬液の温度が相対的に高くなり、周縁部で薬液の温度が相対的に低くなってしまう。その結果、基板Wの表面の中央部で薬液による処理が速く進み、基板Wの上面の周縁部で薬液による処理が相対的に遅く進むといった、基板Wの上面における処理レート(エッチングレート)のばらつきを生じるおそれがある。
【0124】
しかしながら、前述の実施形態の基板処理方法によれば、ステップS3,S13の薬液液密工程に示すように(
図5D、
図10E等参照)、基板Wの下面と第1基板対向面8aとの間の空間38には、薬液による液密状態が形成されるから、基板Wの下面に供給される薬液も高温に加熱されていれば、基板Wの下面全域にわたって高温の薬液を接液させることができる。そのため、基板Wを、高温、かつ均一な温度分布にすることができる。これにより、基板Wの上面に高温の薬液を供給する場合であっても、供給された薬液が基板Wの周縁部で温度低下するのを防止できる。その結果、基板Wの上面を均一な処理レート(エッチングレート)で処理できる。
【0125】
また、前述の実施形態では、基板処理装置1が、円板状の基板Wを処理する装置である場合について説明したが、基板処理装置1は、液晶表示装置用基板などの多角形の基板を処理する装置であってもよい。
また、前述の第2実施形態では、第2基板対向板16を、第1接近位置と第2接近位置との間を昇降させる例について説明したが、第2基板対向板16を、下位置と第2接近位置との間で昇降させてもよい。
【0126】
この場合、制御装置69は、前述のステップS14の薬液液密解除工程(
図10Eおよび
図10F参照)において、昇降アクチュエータ29および下面ノズル昇降機構72を制御して、第1基板対向板8と第2基板対向板16とを同時に第1接近位置から下位置に降下させる。これにより、第1基板対向板8の第1基板対向面8aおよび第2基板対向板16の第2基板対向面16aが基板Wの下面から離反して、基板Wの下面と第1基板対向板8の第1基板対向面8aとの間だけでなく、第2基板対向板16の第2基板対向面16aにおける薬液の液密状態を瞬時に解除することができる。また、ステップS18のリンス液液密解除工程(
図10Kおよび
図10L参照)においても同様の効果を発揮することができる。
【0127】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。