【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題は、本発明によると、冷媒回路に組み込んで配置された熱交換器を有する空気を暖めるための熱交換器装置によって解決される。熱交換器は、熱が冷媒から空気へ伝達可能であるように、冷媒が貫流可能である一方で、空気が供給可能に形成されている。冷媒は、熱放出時に抜熱、凝縮、及び過冷却される。
【0018】
本発明の概念によれば、熱交換器は互いに分離して形成された2つの構成部品を有する。第1構成部品は、凝縮面と抜熱面とを備えて形成され、第2構成部品は、過冷却面を備えて形成されている。凝縮器として作動される熱交換器の第1構成部品に冷媒が流入した後に、過熱された蒸気として、若しくはガスとして存在する冷媒が抜熱され、すなわち、凝縮温度に達するまで冷却される。熱を冷媒から空気質量流へ引き続き伝達することによって、冷媒が、一定の温度、凝縮温度で液化される。続いて、液化した冷媒は、熱交換器の第1構成部品から第2構成部品に誘導され、第2構成部品内で熱をさらに放出することによって凝縮温度よりも低い温度に冷却される。過冷却は、凝縮温度よりも低い第2構成部品の出口における温度に当てはまる。
【0019】
熱交換器の互いに分離して形成された2つの構成部品間には、冷媒側に冷媒・相分離要素が配置されている。相分離によって、過冷却面を備えて形成されている第2構成部品には液体冷媒しか誘導されないことが確保される。全くの液相の冷媒は、有利にも、気体分を有する液体冷媒、若しくは2相冷媒よりも体積が小さい。
冷媒・相分離要素として、液体分離器が組み込まれたコレクタが使用されることが好ましい。
【0020】
本発明では、熱交換器装置の熱交換器は、列で配置された管を有する管型熱交換器として形成されている。その場合、凝縮面及び抜熱面を有する第1構成部品は、少なくとも2列で形成される一方で、過冷却面を有する第2構成部品は、少なくとも1列で形成されている。
【0021】
本発明の一実施形態では、第1構成部品は、少なくとも第2構成部品と同じ数の管列を有している。しかし、第1構成部品は、少なくとも第2構成部品の2倍の数の管列を備えて形成されていることが好ましい。その場合、第1構成部品は、4つの管列を備えて形成され、第2構成部品は2つの管列を有することが有利である。
【0022】
第1変形実施形態では、すべての管列がそれぞれ単流式である。その場合、管列は、空気の流れ方向に対して垂直に方向調整されていることが有利である。冷媒は、管列のすべての管を通って一方向に平行に流れ、次に、後続の管列の管を通じて誘導される。このようにして、異なった管列の管に冷媒側で連続的に貫流させる。その場合、1つの管列から後続の管列への冷媒の貫流は、空気側の流れ方向で行われてもよいし、これとは逆の方向で行われてもよい。
第2変形実施形態では、凝縮器として作動される熱交換器は、複数の管列の少なくとも1つの列が、複流式であるように形成される。その場合、冷媒は、1つの管列の幾つかの管を通って第1方向に誘導される一方で、同じ管列の別の管を通って第1方向とは逆の第2方向に流れる。その場合、冷媒は、管列の管を通ってそれぞれ平行に流れる。
【0023】
本発明では、熱交換器装置の熱交換器を通って流れる空気質量流は、冷媒の凝縮温度レベルよりも高い温度レベルに加熱可能である。
【0024】
熱交換器は、交差向流熱交換器として形成されていることが有利である。
【0025】
本発明のさらなる改良の実施形態では、熱交換器の流面積は、2dm
2〜10dm
2の範囲であるが、好ましくは4dm
2〜5dm
2である。この流面積によって、熱交換器は、それぞれ必要な出力を伝達するために、自動車の空調システムの冷却設備運転とヒートポンプ運転の両方において凝縮器として使用可能である。
【0026】
熱交換器は、空気の流れ方向に対して垂直に形成されている扁平管から形成されていることが有利である。扁平管は、8mmよりも大きい幅を有している。その場合、扁平管の幅は、11.5mm〜18mmの範囲であることが好ましい。扁平管を12.3mm又は16mmの幅で形成することが有利である。扁平管の幅とは、空気の流れ方向の管の広がりと解される。
【0027】
本発明の変形実施形態では、熱交換器は、空気の流れ方向に対して長手方向に所定角度傾斜させた扁平管から形成されている。有利な傾斜の値は、30°〜60°である。それによって、傾斜角度に応じて、扁平管の有効な広がり、若しくは管列の貫流時の空気質量流が流れる有効経路が拡大される
【0028】
本発明のさらなる改良の実施形態では、熱交換器装置の熱交換器には、空気側にリブが形成されている。その場合、リブは、1dm当たり100個のリブよりも少ない密度で配置されていることが好ましい。リブは、1dm当たり65〜75個のリブの密度で配置することが有利である。
【0029】
本発明の変形実施形態では、冷媒と空気との間の熱交換を最適化するために、熱交換器は空気側に多孔質媒体を備えて形成されており、この多孔質媒体は扁平管間に配置されている。多孔質媒体としては、その優れた熱伝導性ゆえに、開口金属発泡体が使用される。さらに、空気側の圧力損失を低く抑えるために、空孔率が75%〜90%、及び細孔密度が5ppi〜40ppiの範囲の金属発泡体を使用することが有利である。
【0030】
さらに、本発明のさらに別の有利な実施形態では、熱交換器が、凝縮面及び抜熱面を有する第1構成部品と、過冷却面を有する第2構成部品とに並行して空気が供給可能であるように形成及び配置されている。
【0031】
熱交換器装置は、熱交換器の周囲に、異なった空気質量流が供給可能である少なくとも2つの部分領域に熱交換器面を分割する空気ガイド機構を有していることが好ましい。その場合、第1部分領域は、熱交換器の熱交換面全体の0%〜100%の範囲で設定可能であり、第2部分領域は、残りの100%〜0%の範囲を有する。
空気ガイド機構による分割は、第1変形実施形態により制御可能である。制御とは、0%〜100%の分割の無段調節と解される。第2変形実施形態により、分割は静的であり、従って、制御可能でないか、若しくは調節可能でない。
熱交換器の熱交換面は、全面積の0%〜30%、若しくは100%〜70%に分割されることが好ましい。
【0032】
加熱機能を有するシステムを提供するという課題は、上記の熱交換器装置を備えた自動車の客室の空気を調和する空調システムによって解決される。その場合、空調システムは、空気を誘導するための第1フローチャネル及び第2フローチャネルを備えたハウジング、並びに蒸発器と第1熱交換器と圧縮機と第2熱交換器と膨張素子とを備えた冷媒回路を有し、第1熱交換器は、第1フローチャネルに配置され、第2熱交換器は第2フローチャネルに配置されている。その場合、第2熱交換器は、本発明による熱交換器装置の熱交換器に相当する。
【0033】
本発明の概念によれば、空調システムは、客室を冷却及び加熱する冷却設備運転とヒートポンプ運転との組合せ、並びに再熱運転のために形成されている。それぞれの運転モードの設定は、空調システムのハウジング内に配置された空気ガイド装置の操作のみを介して行われ、冷媒回路の制御によっては行われない。
【0034】
本発明では、第2熱交換器は、運転モードに関係なく、空気質量流を暖める凝縮器として、それぞれ運転モードにおいて必要な出力が熱交換面上に誘導される空気質量流に伝達可能であるように、形成されており、且つ作動可能である。凝縮器として形成された第2熱交換器には、冷却設備運転でもヒートポンプ運転でも冷媒側及び空気側でそれぞれ同じ方向に貫流する。
【0035】
第1熱交換器は、運転モードに関係なく、蒸発器として形成され、且つ空気質量流を冷却及び/又は除湿するように作動されることが好ましい。
【0036】
特に凝縮器として作動されるべき熱交換器の熱交換構成を用いて、
−ヒートポンプ運転において、有利にも
−+10℃よりも低い好ましくは0℃よりも低い凝縮器への空気流入温度の100kg/hを上回る、好ましくは約250kg/hの空気質量流が、冷媒回路内の冷媒の凝縮温度よりも高い、好ましくは凝縮温度より10Kよりも高い温度に暖められ、
−例えば、250kg/h、及び凝縮器への空気流入温度が−20℃の空気質量流が、冷媒回路内の冷媒の凝縮温度より15K高い温度に加熱され、且つ、
−1kW〜8kWの範囲の出力が伝達され、その場合、例えば、−10℃の周囲温度で、2kW〜6kWの範囲、好ましくは3.5kW〜4.5kWの範囲の出力が伝達可能であり、且つ、
−冷却設備運転において、有利にも
−凝縮器への空気流入温度が+10℃を上回る、好ましくは+30°を上回る、2000kg/hよりも小さく、好ましくは約1000kg/hの空気質量流が、凝縮温度よりも高い、好ましくは冷媒回路内の冷媒の凝縮温度よりも10Kよりも高い温度に暖められ、且つ、
−2kWよりも高い出力が伝達され、その場合、例えば、+30°よりも高い周囲温度で、2kW〜15kWの範囲の出力、好ましくは約10kWの出力が伝達可能である。
【0037】
ヒートポンプ機能を備えた、すなわち第1空気質量流を冷却及び/又は除湿すると同時に第2空気質量流を暖める空調システムは、リヒート運転とも呼ばれる再熱運転で作動可能であることが有利である。その場合、再熱運転は、全くの再熱運転として、すなわち調和されていない空気の混入なしに可能である。空気の冷却及び/又は除湿、並びに空気の加熱又は再熱の過程は、空気側でのみ操作される。冷媒回路は、運転モードの種類には関係なく作動される。
【0038】
本発明による、自動車の客室の空気を冷却及び加熱する冷却設備運転とヒートポンプ運転との組合せ、並びに空気を調和する再熱運転のために空調システムを作動させる方法は、再熱運転において、
−第1部分空気質量流と第2部分空気質量流とを空調システムに導入するステップと、
−蒸発器として形成及び作動される第1熱交換器を流れた後の第2部分空気質量流を、再熱のための部分空気質量流と冷気質量流とに分割するステップと、
−第1部分空気質量流と再熱のための部分空気質量流とを、凝縮器として形成及び作動される第2熱交換器の熱交換面を流れる際に、冷媒の凝縮温度よりも高い温度に暖めるステップであって、
−第1部分空気質量流が加熱され、
−再熱のための部分空気質量流が再熱され、且つ
−熱出力が空気側で制御される、ステップと、
−第1部分空気質量流を自動車の周囲に導出するステップと、
−再熱された部分空気質量流を予め調和された冷気質量流と混合するステップであって、
−冷気質量流が、蒸発器として形成及び作動される第1熱交換器を流れる際に冷却及び/又は除湿され、
−第2熱交換器を用いて伝達される再熱のための熱出力が第2部分空気質量流の配分比率を介して制御され、
−混合された空気質量流の温度が、空気質量流中に配置された温度センサによって検出され、且つ凝縮器内の冷媒の圧力レベルを介して制御されるステップと、
−混合された第2部分空気質量流を客室に導入するステップと、を有する。
【0039】
その場合、加熱とは、第1部分空気質量流が、凝縮器として形成及び作動される第2熱交換器が第1領域を流れる際に暖められる過程と解されるべきである。第1部分空気質量流は、空調システムに導入されて暖められる。
再熱とは、第2部分空気質量流の一部分が、凝縮器として形成及び作動される第2熱交換器の第2領域を流れる際に暖められる過程と解されるべきである。第2部分空気質量流は、空調システムに導入され、蒸発器として形成及び作動される第1熱交換器を流れる際に冷却及び/又は除湿され、続いて再び暖められる。再び暖めることを再熱と呼んでいる。
【0040】
本発明のさらなる改良の実施形態では、凝縮器の熱交換面上を流れる空気質量流は、2000kg/hよりも小さい値を有する。空気質量流の値は、約1000kg/hであることが好ましい。加熱出力は、2kWよりも大きい値であることが好ましい。
【0041】
冷却及び加熱する冷却設備運転とヒートポンプ運転との組合せ、並びに自動車の車室の空気を調和する再熱運転のために空調システムを作動させる本発明によるさらに別の方法は、再熱運転において、
−凝縮器として形成及び作動される第2熱交換器の第1領域に第1部分空気質量流を供給し、第2熱交換器の第2領域に第2部分空気質量流を供給するステップであって、部分空気質量流は、異なった温度及び/又は異なった絶対空気湿度を有する、ステップと、
−第2熱交換器により伝達された出力を第2熱交換器の領域の面の分割によって、且つ第2熱交換器の第1領域を通じて誘導される第1部分空気質量流によって制御するステップと、
−第2熱交換器の第1領域を通じて誘導される第1部分空気質量流を自動車の周囲へ排出するステップと、
−第2熱交換器の第2領域を通じて誘導される第2部分空気質量流の温度を第2熱交換器内の冷媒の圧力レベルを介して制御するステップであって、温度は、空気の流れ方向で第2熱交換器の下流に配置された温度センサによって検出される、ステップと、
−第2熱交換器の第2領域を通じて誘導される第2部分空気質量流を客室に導入するステップと、を有する。
【0042】
冷却及び加熱する冷却設備運転とヒートポンプ運転との組合せ、並びに自動車の客室の空気を調和する再熱運転のために空調システムを作動させる本発明による代替的方法は、再熱運転において、
−凝縮器として形成及び作動される第2熱交換器の第1領域に第1部分空気質量流を供給するステップと、
−蒸発器として形成及び作動される第1熱交換器を流れた後の第2部分空気質量流を再熱のための部分空気質量流と冷気質量流とに分割するステップと、
−第2熱交換器の第2領域に再熱のための部分空気質量流を供給するステップと、
−第2熱交換器の領域の面を分割することによって、且つ第2熱交換器の第1領域を通じて誘導される部分空気質量流とによって、且つ第2部分空気質量流の配分比率によって再熱のための熱出力を制御するステップと、
−第2熱交換器の第1領域を通じて誘導される部分空気質量流を周囲へ排出するステップと、
−再熱された部分空気質量流を予め調和された冷気質量流と混合するステップと、
−第2熱交換器の第2領域を通じて誘導される部分空気質量流の温度を、第2熱交換器内の冷媒の圧力レベルを介して制御するステップであって、温度は、空気の流れ方向で第2熱交換器の下流に配置された温度センサによって検出される、ステップと、
−混合された第2部分空気質量流を客室に導入するステップと、
を有する。
【0043】
第1部分空気質量流と第2部分空気質量流とが第2熱交換器の熱交換面上を流れる際に混ざり合わないか、又は無視できる程度しか混ざり合わないことが有利である。
【0044】
本発明の一実施形態では、凝縮器によって伝達される出力は、空気の流れ方向で圧縮機の上流に配置された空気ガイド装置によって凝縮器の第2領域を通じて誘導される部分空気質量流を介して制御される。
【0045】
本発明による解決策の種々の利点は、以下のようにまとめられる。
−除湿と加熱とを同時に行うことができる効率的な空調システム、
−周囲温度が低い場合、及び内燃機関を備えた自動車でのエンジン冷却水が低温の場合における暖気の迅速な提供、
−冷媒回路における最低限の複雑性、すなわち、実質的に切替弁の省略と、膨張弁、熱交換器、及び冷媒管路の数の最小化、
−冷媒回路内の冷媒の凝縮温度よりも高い可能な限り高い温度への、客室に給送されるべき空気のヒートポンプ運転での、若しくは周囲へ導出されるべき空気の冷却設備運転での加熱、
−従来の加熱システムと比べて低い高圧レベルでの熱出力の提供、そしてそれにより
−特にヒートポンプモードでの運転時の空調システムの効率の向上、並びに
−小型の空調設備で適切な空気誘導を行う凝縮器は従来のシステムと比べて、冷媒回路において冷却設備運転で使用される凝縮器に、そしてエンジン冷却回路において加熱熱交換器に代わるので、コスト削減。