(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231338
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】軌道走行作業車両の制動力制御装置
(51)【国際特許分類】
B60T 8/30 20060101AFI20171106BHJP
B60T 8/00 20060101ALI20171106BHJP
B61D 15/00 20060101ALI20171106BHJP
B60F 1/04 20060101ALN20171106BHJP
【FI】
B60T8/30 H
B60T8/00 Z
B61D15/00 C
!B60F1/04
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-195811(P2013-195811)
(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公開番号】特開2015-58907(P2015-58907A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大島 正則
(72)【発明者】
【氏名】新 和也
(72)【発明者】
【氏名】白井 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】植田 一平
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕一郎
【審査官】
長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−326930(JP,A)
【文献】
特開2009−006840(JP,A)
【文献】
特開2000−043703(JP,A)
【文献】
特開2001−315511(JP,A)
【文献】
特開2010−126309(JP,A)
【文献】
特開2012−035924(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0116284(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 8/30
B60T 8/00
B61D 15/00
B60F 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道を走行する軌道走行用車輪が走行方向に複数配置された走行体と、
走行体に設けられ、水平方向に旋回及び起伏可能なブームとブームの先端部に設けられた作業台とを有し、ブームの先端部を後方に向けて作業台を走行体の後端部から後方に張り出させることで、ブームの先端部を前方に向けて作業台を走行体の上方に位置させる場合と比較して作業台の高さ位置を低くした姿勢とすることが可能な作業装置と、
各軌道走行用車輪の回転を制動する制動手段と、
走行体に対するブームの旋回位置を検出する旋回位置検出手段と、
ブームの先端部を後方に向けて作業台を走行体の後端部から後方に張り出させた姿勢で軌道を走行する際に、旋回位置検出手段の検出結果に基づいて、走行体の後側に位置する軌道走行用車輪の制動手段による制動力を、走行体の前側に位置する軌道走行用車輪の制動手段による制動力よりも大きくなるように設定する制動力設定手段と、を備えた
ことを特徴とする軌道走行作業車両の制動力制御装置。
【請求項2】
制動力設定手段は、旋回位置検出手段によってブームの先端が後方に向けられている旋回位置を検出した場合に、走行体の後側に位置する軌道走行用車輪の制動力を所定の第1制動力に設定し、走行体の前側に位置する軌道走行用車輪の制動力を第1制動力よりも小さい所定の第2制動力に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の軌道走行作業車両の制動力制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、軌道を走行する軌道走行用車輪を有する高所作業車等、水平旋回可能なブームを備えた軌道走行作業車両の制動力制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の軌道走行作業車両としては、軌道を走行する軌道走行用車輪が走行方向に複数配置された走行体と、走行体に設けられ、水平方向に旋回可能なブームと作業台を有する高所作業装置と、各軌道走行用車輪の回転を制動する制動手段と、を備えた高所作業車が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記高所作業車では、通常、ブームの先端を走行体の前方に向けた姿勢で走行しながら、作業台の作業者が架線工事等の作業を行う。前記高所作業車では、ブームの先端を走行体の前方に向けた姿勢において、走行体の前側に位置する軌道走行用車輪の軸重が後側に位置する軌道走行用車輪の軸重よりも大きくなる。このため、前記高所作業車の制動手段は、走行体の前側に位置する軌道走行用車輪の制動力を後側に位置する軌道走行用車輪の制動力よりも大きく設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−315511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記高所作業車では、例えばトンネル内の壁面に対する作業等、作業台の高さを、ブームの先端を走行体の前方に向けた姿勢における最低高さよりも低くして作業を可能とする要求がある。この要求に対して、前記高所作業車では、ブームの先端を走行体の後方に向けた姿勢にすることによって、作業台の高さを、ブームの先端を走行体の前方に向けた姿勢における最低高さよりも低くすることが可能である。
【0006】
しかし、前記高所作業車では、ブームの先端を走行体の後方に向けた姿勢にすると、ブームの先端を走行体の前方に向けた姿勢と比較して重心が後方に位置することになるため、走行体の前側に位置する軌道走行用車輪の軸重が小さくなり、後側に位置する軌道走行用車輪の軸重が大きくなる。このため、前記高所作業車では、ブームの先端を走行体の後方に向けた姿勢で走行させ、制動手段によって軌道走行用車輪の回転を制動すると、軸重が大きくなった走行体の後側に位置する軌道走行用車輪に対して小さな制動力が作用するのみであり制動力が不足する。また、前記高所作業車では、ブームの先端を走行体の後方に向けた姿勢で走行させ、制動手段によって軌道走行用車輪の回転を制動すると、軸重が小さくなった走行体の前側に位置する軌道走行用車輪に対して大きな制動力が作用する。ブームの先端を走行体の後方に向けた姿勢で走行する高所作業車では、軸重が小さくなった走行体の前側の軌道走行用車輪に大きな制動力が作用することにより、軌道走行用車輪が完全に停止するロック状態が発生する。前記高所作業車では、軌道走行用車輪がロック状態となると軌道上を滑走する状態となり安全性に問題が生じるおそれがあるため、ブームの先端を走行体の後方に向けた姿勢での走行を設定によって禁止している。
【0007】
本発明の目的とするところは、重心位置が異なる作業装置の様々な姿勢において軌道走行を可能とする軌道走行作業車両の制動力制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するために、軌道を走行する軌道走行用車輪が走行方向に複数配置された走行体と、走行体に設けられ、水平方向に旋回
及び起伏可能なブーム
とブームの先端部に設けられた作業台とを有
し、ブームの先端部を後方に向けて作業台を走行体の後端部から後方に張り出させることで、ブームの先端部を前方に向けて作業台を走行体の上方に位置させる場合と比較して作業台の高さ位置を低くした姿勢とすることが可能な作業装置と、各軌道走行用車輪の回転を制動する制動手段と、走行体に対するブームの旋回位置を検出する旋回位置検出手段と、
ブームの先端部を後方に向けて作業台を走行体の後端部から後方に張り出させた姿勢で軌道を走行する際に、旋回位置検出手段の検出結果に基づいて、走行体の
後側に位置する軌道走行用車輪の制動手段による制動力を、
走行体の前側に位置する軌道走行用車輪の制動手段による制動力
よりも大きくなるように設定する制動力設定手段と、を備えている。
【0009】
これにより、走行体に対するブームの先端側の向きに応じて変化する重心の位置に応じて走行体の走行方向の一方側に位置する軌道走行用車輪の制動力及び他方側に位置する軌道走行用車輪の制動力がそれぞれ設定される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、軸重の小さい軌道走行用車輪に大きな制動力が作用することによって生じる軌道走行用車輪のロック状態を防止することが可能となるので、重心位置が異なる作業装置の様々な姿勢での軌道走行が可能となる。また、軸重が大きくなる側の軌道走行用車輪の制動力の不足を防止することが可能となり、軌道走行時の安全性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態を示す軌陸両用高所作業車の側面図である。
【
図3】ブーム後方姿勢走行を示す軌陸両用高所作業車の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至
図4は、本発明の一実施形態を示すものである。
【0013】
本発明の制動力制御装置が適用される軌道走行作業車両としての軌陸両用高所作業車1は、
図1に示すように、車道または軌道Tを走行するための走行体としての車両10と、高所作業を行うための作業装置としての高所作業装置100と、を備えている。
【0014】
車両10は、
図1に示すように、前後方向に延びるシャシフレーム11の前部に運転キャブ12が設けられ、後側に高所作業装置100が設けられている。また、車両10は、車道走行用の車輪20と、軌道走行用車輪としての鉄輪30と、高所作業装置100による作業時に車両10を安定的に支持するためのアウトリガ40と、例えば踏切等の車道と軌道Tとが交差する位置において車両10の向きを変更するための転車台50と、を備えている。
【0015】
車輪20は、シャシフレーム11の前側および後側の左右両側に設けられ、エンジンEを動力源として車道上を走行可能である。
【0016】
鉄輪30は、前側の車輪20の後方および後側の車輪20の後方にそれぞれ設けられ、シャシフレーム11の上面に設けられたサブフレーム13の左右両側から下方に延びる鉄輪支持部材31の下端側に回転自在に設けられている。鉄輪支持部材31は、それぞれ上部側の部材31aに対して下部側の部材31bが前後方向に揺動自在に設けられている。鉄輪支持部材31は、鉄輪上下動油圧シリンダ32の伸縮動作によって、鉄輪30を車輪20よりも下方に張り出した状態である軌道走行位置と、鉄輪30を車両10の下部に格納した状態である格納位置に移動させることが可能である。鉄輪30は、油圧ポンプから吐出された作動油によって駆動する油圧モータ33によって回転する。油圧ポンプは、PTO機構を介して伝達されたエンジンEの駆動力によって駆動する。各鉄輪30には、油圧式のブレーキキャリパーとディスクとからなるブレーキ34(
図2)が設けられている。油圧モータ33によって回転する鉄輪30は、油圧モータ33への作動油の供給を停止するとともに、ブレーキ34が作動することで回転が制動される。また、各鉄輪30のブレーキ34は、鉄輪30に付与する制動力が可変であり、後述するコントローラ200からの信号に基づいて制動力が所定の第1制動力(制動力:大)または第1制動力よりも制動力が小さい所定の第2制動力(制動力:小)に設定される。
【0017】
アウトリガ40は、車両10の前側および後側の左右両側に設けられている。アウトリガ40は、幅方向外側に移動可能であるとともに、油圧式のジャッキシリンダによって下方に伸長可能である。アウトリガ40は、下端側を下方に張り出させることにより車両10を持ち上げて支持する。
【0018】
転車台50は、車両10の中央下部に設けられている。転車台50は、サブフレーム13に設けられた車両10の幅方向一対の支持脚(図示せず)と、支持脚の下端に設けられた上板51と、上板51に対して水平回転自在な下板52と、を有している。転車台50は、支持脚の内部に設けられた油圧式のジャッキシリンダ(図示せず)によって下方に張り出すことによって車両10を持ち上げることが可能である。転車台50は、車両10を持ち上げた状態で、接地した下板52に対して上板51を回転させることによって車両10を任意の方向に向けることが可能である。
【0019】
高所作業装置100は、
図1に示すように、油圧式の旋回モータによって水平旋回可能に設けられた旋回台101と、旋回台101に対して油圧式の起伏シリンダ102によって起伏可能に設けられた伸縮ブーム103と、伸縮ブーム103の先端部に油圧式のレベリングシリンダ104によって揺動可能に設けられた作業台105と、を備えている。作業台105は、伸縮ブーム103の起伏にかかわらずレベリングシリンダ104によって常に作業床が水平な状態が保持される。
【0020】
また、軌陸両用高所作業車1は、車両10の軌道T上の走行を制御するためのコントローラ200を備えている。
【0021】
コントローラ200は、
図2に示すように、CPU、ROM、RAM等からなる。コントローラ200は、入力側に接続された装置からの入力信号を受信すると、CPUが、入力信号に基づいてROMに記憶されたプログラムを読み出すとともに、入力信号によって検出された状態をRAMに記憶したり、出力側に接続された装置に出力信号を送信したりする。
【0022】
コントローラ200の入力側には、車両10の軌道T上の走行に関する操作及び高所作業装置100の動作に関する操作を入力するための操作入力部201と、旋回台101の旋回位置を検出するための旋回位置検出器202と、が接続されている。操作入力部201は、傾倒操作によって操作入力を行うレバーや、押しボタンスイッチ等からなる。旋回位置検出器202は、例えば、複数の旋回領域を検出可能な分割導電リングと導電リングに接触する接触子とからなる。また、コントローラ200の出力側には、ブレーキ34が接続されている。
【0023】
以上のように構成された軌陸両用高所作業車1において、車両10を車道から軌道Tに載線する際には、まず、踏切等の車道と軌道Tが交差する場所で転車台50を下方に張り出して車両10を持ち上げる。その後、使用者が、持ち上げられた車両10を回転させて車両10の向きを軌道Tの延びる方向に向けるとともに、鉄輪30を軌道走行位置とする。最後に、転車台50によって持ち上げられた車両10を下して鉄輪30をレールに乗せて転車台50を格納する。
【0024】
軌道T上の軌陸両用高所作業車1は、作業者が操作入力部201を操作することによって、軌道T上を走行するとともに、高所作業装置100の作業台105を水平方向及び上下方向に移動する動作を行う。
【0025】
軌陸両用高所作業車1は、
図1に示すように、高所作業装置100の伸縮ブーム103の先端を前方に向けた姿勢で作業台105を上下方向に移動させるとともに、車両10を走行させることが可能である。
【0026】
また、軌陸両用高所作業車1は、
図3に示すように、高所作業装置100の伸縮ブーム103の先端を後方に向けた姿勢で作業台105を上下方向に移動させるとともに、車両10を走行させることが可能である。伸縮ブーム103を後方に向けた姿勢の軌陸両用高所作業車1は、伸縮ブーム103の先端の高さ位置を、伸縮ブーム103の先端を前方に向けた姿勢における伸縮ブーム103の先端の高さ位置よりも低くすることで、伸縮ブーム103の先端を前方に向けた姿勢と比較して、作業台105の高さを低くすることが可能である。
【0027】
車両10の走行の際には、操作入力部201の軌道走行用の操作レバーを前方または後方に傾倒する操作を行うことで、油圧モータ33に作動油が供給され、各鉄輪30が回転する。また、車両10の走行の際には、操作レバーの傾倒する操作を解除すると、油圧モータ33への作動油の供給が停止されるとともに、ブレーキ34によって各鉄輪30の回転が制動される。
【0028】
このとき、コントローラ200は、高所作業装置100の伸縮ブーム103の先端の向きに応じて、車両10の前側の鉄輪30及び後側の鉄輪30のそれぞれのブレーキ34の制動力を第1制動力(制動力:大)または第2制動力(制動力:小)に設定する制動力設定処理を行う。このときのコントローラ200のCPUの動作を
図4のフローチャートを用いて説明する。
【0029】
(ステップS1)
ステップS1においてCPUは、操作入力部201に軌道Tを走行する操作がなされたか否かを判定する。軌道Tを走行する操作がなされたと判定した場合にはステップS2に処理を移し、軌道Tを走行する操作がなされたと判定しなかった場合には制動力設定処理を終了する。
【0030】
(ステップS2)
ステップS1において軌道Tを走行する操作がなされたと判定した場合に、ステップS2においてCPUは、伸縮ブーム103の先端が車両10の前方に向いているか否かを判定する。伸縮ブーム103の先端が車両10の前方に向いていると判定した場合にはステップS3に処理を移し、伸縮ブーム103の先端が車両10の前方に向いていると判定しなかった場合(伸縮ブーム103の先端が車両10の後方に向いている場合)にはステップS4に処理を移す。
このとき、伸縮ブーム103の先端が車両10の前方に向いているか否かの判定は、旋回位置検出器202の検出結果に基づいて行われる。
【0031】
(ステップS3)
ステップS2において伸縮ブーム103の先端が車両10の前方に向いていると判定した場合に、ステップS3においてCPUは、車両10の前側の鉄輪30のブレーキ34の制動力を第1制動力(制動力:大)に設定し、車両10の後側の鉄輪30のブレーキ34の制動力を第2制動力(制動力:小)に設定し、制動力設定処理を終了する。
【0032】
(ステップS4)
ステップS2において伸縮ブーム103の先端が車両10の前方に向いていると判定しなかった場合に、ステップS4においてCPUは、車両10の前側の鉄輪30のブレーキ34の制動力を第2制動力(制動力:小)に設定し、車両10の後側の鉄輪30のブレーキ34の制動力を第1制動力(制動力:大)に設定し、制動力設定処理を終了する。
【0033】
このように、本実施形態の軌道走行作業車両の制動力制御装置によれば、旋回位置検出器202の検出結果に基づいて、車両10の走行方向の一方側に位置する鉄輪30のブレーキ34の制動力と他方側に位置する鉄輪30のブレーキ34の制動力とをそれぞれ設定するようにしている。
これにより、軸重の小さい鉄輪30に大きな制動力が作用することによって生じる鉄輪30のロック状態を防止することが可能となるので、重心位置が異なる高所作業装置100の様々な姿勢での軌道走行が可能となる。
【0034】
また、各鉄輪30の制動力を、所定の第1制動力と第1制動力よりも小さい所定の第2制動力の一方に設定するようにしている。
これにより、各鉄輪30の制動力を「大」または「小」の二段階に設定することができるので、簡単な制御の構成とすることで製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0035】
また、車両10の走行方向の一方側に位置する鉄輪30のブレーキ34の制動力を第1制動力及び第2制動力の一方に設定した場合に、走行方向の他方側に位置する鉄輪30のブレーキ34の制動力を第1制動力及び第2制動力の他方に設定するようにしている。
これにより、旋回位置検出器202の検出結果に応じて、車両10の走行方向の一方の鉄輪30のブレーキ34の制動力と他方の鉄輪30のブレーキ34の制動力を切り換えることで設定がなされるので、簡単な制御の構成とすることで製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0036】
なお、前記実施形態では、ブームを有する作業装置として高所作業装置100を備えた軌陸両用高所作業車1を示したが、ブームを有するクレーン装置を備えた軌道Tの走行が可能な移動式クレーンであっても本発明を適用可能である。
【0037】
また、前記実施形態では、伸縮ブーム103の先端が車両10の前方に向いているか否かによって、車両10の走行方向一方の鉄輪30の制動力及び他方の鉄輪30の制動力をそれぞれ二段階のいずれかに設定するようにしたものを示したがこれに限られるものではない。例えば、伸縮ブーム103を有する軌陸両用高所作業車1は、伸縮ブーム103の起伏角度や伸縮長さに応じて重心位置が変わるため、伸縮ブーム103の向き、伸縮ブーム103の起伏角度や伸縮長さに基づいて、車両10の走行方向一方の鉄輪30の制動力及び他方の鉄輪30の制動力をそれぞれ三段階以上のいずれかに設定するようにしてもよい。また、伸縮ブーム103の向き、伸縮ブーム103の起伏角度や伸縮長さに基づいて、車両10の走行方向一方の鉄輪30の制動力及び他方の鉄輪30の制動力を、無段階の任意の制動力に設定するようにしてもよい。
【0038】
また、前記実施形態では、車両10の走行方向一方の鉄輪30の制動力及び他方の鉄輪30の制動力をそれぞれ設定するようにしたものを示したが、例えば、伸縮ブーム103の先端が車両10の側方を向いている場合等、車両10の幅方向一方の鉄輪30の制動力及び他方の鉄輪30の制動力をそれぞれ異なる制動力に設定するようにしてもよい。
【0039】
また、前記実施形態では、車両10の走行方向一方の鉄輪30の制動力及び他方の鉄輪30の制動力をそれぞれ第1制動力または第2制動力に設定するようにしたものを示したが、これに限られるものではない。車両10の走行方向一方の鉄輪30の軸重と他方の鉄輪30の軸重とのバランスに応じて、車両10の走行方向一方の鉄輪30の制動力及び他方の鉄輪30の制動力をそれぞれ異なる制動力の範囲内で大きく設定したり小さく設定したりしてもよい。
【0040】
また、前記実施形態では、伸縮ブーム103の先端が車両10の走行方向前方に向いているか否かによって、車両10の走行方向一方の鉄輪30の制動力及び他方の鉄輪30の制動力をそれぞれ設定するようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、伸縮ブーム103の先端が車両の走行方向前方に向いているか否か、及び、車両10の走行方向に基づいて、車両10の走行方向一方の鉄輪30の制動力及び他方の鉄輪30の制動力をそれぞれ設定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…軌陸両用高所作業車、10…車両、30…鉄輪、34…ブレーキ、100…高所作業装置、103…伸縮ブーム、200…コントローラ、201…操作入力部、202…旋回位置検出器、T…軌道。