(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
顕色剤が、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンから選ばれる少なくとも1種である請求項3記載のマイクロカプセル色材。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明のマイクロカプセル色材は、ロイコ色素、顕色剤及び下記式(I)で示される変色温度調整剤を少なくとも含むことを特徴とするものである。
【化2】
〔上記式(I)中のR1、R2は、炭素数7〜21のアルキル基を表し、R3は、水素原子もしくは炭素数1〜7のアルキル基を表す。〕
【0011】
<ロイコ色素>
用いることができるロイコ色素としては、電子供与性染料で、発色剤としての機能するものであれば、特に限定されものではない。具体的には、発色特性に優れるインクを得る点から、トリフェニルメタン系、スピロピラン系、フルオラン系、ジフェニルメタン系、ローダミンラクタム系、インドリルフタリド系、ロイコオーラミン系等従来公知のものが、単独(1種)で又は2種以上を混合して(以下、単に「少なくとも1種」という)用いることができる。
具体的には、6−(ジメチルアミノ)−3,3−ビス[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1(3H)−イソベンゾフラノン、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジメチルアミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジブチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−エチルイソアミルアミノフルオラン、2−メチル−6−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(N−フェニル−N-−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(3’−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メトキシ−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、3−メトキシ−4−ドデコキシスチリノキノリンなどが挙げられ、これらは、少なくとも1種用いることができる。
更に、黄色〜赤色の発色を発現させるピリジン系化合物、キナゾリン系化合物、ビスキナゾリン系化合物等も用いることができる。
これらのロイコ染料は、ラクトン骨格、ピリジン骨格、キナゾリン骨格、ビスキナゾリン骨格等を有するものであり、これらの骨格(環)が開環することで発色を発現するものである。
【0012】
<顕色剤>
本発明に用いる顕色剤は、上記ロイコ色素を発色させる能力を有する成分となるものである。用いられる顕色剤は、従来公知のものが使用可能であり、例えば、無機酸、芳香族カルボン酸及びその無水物又は金属塩類、有機スルホン酸、その他の有機酸及びフェノール性化合物等が挙げられる。
これらのうちから、上記式(I)との溶解性との関係から顕色剤が、その骨格中にベンゼン環を有することが好ましく、更に好ましくは、トリフェニルメタン系の化合物や、下記化3〜化6に示される化合物が好ましい。
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【0013】
トリフェニルメタン系の化合物としては、具体的には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンなどが挙げられる。
また、上記化3〜化6に示される化合物は、化3が1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、化4が1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、化5が1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、化6が2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンである。
【0014】
本発明においては、これらの顕色剤を1種又は2種以上組み合わせて用いること、または、従来公知の顕色剤を本発明の顕色剤の諸特性を損なわない範囲内で組み合わせて用いることにより、発色時の色彩濃度を自由に調節することができる。従って、その使用量は、所望される色彩濃度に応じて任意に選択すればよく、特に限定されるものではないが、通常、前記したロイコ色素1質量部に対して、0.1〜100質量部程度の範囲内で選択するのが好適である。
【0015】
<変色温度調整剤>
本発明に用いる変色温度調整剤は、前記ロイコ色素と顕色剤の呈色において変色温度をコントロールする物質である。
本発明において、用いることができる変色温度調整剤は、下記式(I)で示されるものである。
【化7】
〔上記式(I)中のR1、R2は、炭素数7〜21のアルキル基を表し、R3は、水素原子もしくは炭素数1〜7のアルキル基を表す。〕
上記式(I)中のR1、R2は、それぞれ独立して炭素数7〜21のアルキル基を表すものであり、同一であっても異なっていても良く、直鎖又は分岐鎖を有する炭素数7〜21のアルキル基であれば、特に限定されず、例えば、n−ヘプチル基、n−ノニル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘプタデシル基、n−ヘンイコシル基、イソヘプチル基、イソウンデシル基、イソヘプタデシル基等が挙げられる。
また、上記式(I)中のR3は、水素原子もしくは炭素数1〜7の直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基を表すものであり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
【0016】
用いることができる前記式(I)の化合物は、その製造方法は既知であり、具体的には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジカプリレート(C
7H
15)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジラウレート(C
11H
23)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジミリステート(C
13H
27)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルエタンジミリステート(C
13H
27)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジパルミテート(C
15H
30)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジベヘネート(C
21H
43)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルエチルヘキシリデンジミリステート(C
13H
27)等の少なくとも1種が挙げられる。
【0017】
この変色温度調整剤の使用量は、所望されるヒステリシス幅及び発色時の色彩濃度等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、通常、ロイコ色素1質量部に対して、1〜1000質量部程度の範囲内で使用するのが好ましい。
なお、本発明のインク組成物の諸特性を損なわない範囲内であれば、この種の感温変色性組成物において従来公知の変色温度調整剤を組み合わせて用いることもできる。
【0018】
<マイクロカプセル色材>
本発明のマイクロカプセル色材は、少なくともロイコ色素、顕色剤、変色温度調整剤を含む熱変色性組成物を、好ましくは、平均粒子径が0.1〜1.0μmとなるように、マイクロカプセル化することにより製造することができる。
マイクロカプセル化法としては、例えば、界面重合法、界面重縮合法、insitu重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライニング法などを挙げることができ、用途に応じて適宜選択することができる。
【0019】
例えば、水溶液からの相分離法では、ロイコ色素、顕色剤、変色温度調整剤を加熱溶融後、乳化剤溶液に投入し、加熱攪拌して油滴状に分散させ、次いで、カプセル膜剤として、樹脂原料などを使用、例えば、アミノ樹脂溶液、具体的には、メチロールメラミン水溶液、尿素溶液、ベンゾグアナミン溶液などの各液を徐々に投入し、引き続き反応させて調製後、この分散液を濾過することにより目的の熱変色性のマイクロカプセル顔料を製造することができる。
【0020】
これらのロイコ色素、顕色剤、変色温度調整剤の含有量は、用いるロイコ色素、顕色剤、変色温度調整剤の種類、マイクロカプセル化法などにより変動するが、当該色素1に対して、質量比で顕色剤0.1〜100、変色温度調整剤1〜100である。また、カプセル膜剤は、カプセル内容物に対して、質量比で0.1〜1である。
本発明のマイクロカプセル色材では、ロイコ色素、顕色剤及び変色温度調整剤の種類、量などを好適に組み合わせることにより、各色の発色温度、消色温度を好適な温度に設定することができる。
【0021】
本発明のマイクロカプセル色材では、描線濃度、保存安定性、筆記性の更なる向上の点から、壁膜がウレタン樹脂、エポキシ樹脂、あるいはアミノ樹脂で形成されることが好ましい。ウレタン樹脂としては、例えば、イソシアネートとポリオールとの化合物が挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂とアミンの化合物が挙げられる。アミノ樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などで形成されること、更に好ましくは、製造性、保存安定性、筆記性の点から、メラミン樹脂で形成されることが望ましい。
マイクロカプセル色材の壁膜の厚さは、必要とする壁膜の強度や描線濃度に応じて適宜決められる。
なお、壁膜がアミノ樹脂で形成するためには、各マイクロカプセル化法を用いる際に、好適なアミノ樹脂原料(メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等)、並びに、分散剤、保護コロイドなどを選択する。
【0022】
本発明のマイクロカプセル色材の平均粒子径は、着色性、発色性、易消色性、安定性の点、並びに、筆記性への悪影響を抑制する点から、好ましくは、0.1〜1.0μm、更に好ましくは、0.3〜1.0μmであるものが望ましい。なお、本発明(実施例等含む)で規定する「平均粒子径」は、粒度分布測定装置〔粒子径測定器N4Plus(COULTER社製)〕にて、平均粒子径を測定した値である。
この平均粒子径が0.1μm未満であると、十分な描線濃度が得られず、一方、1.0μmを越えると、筆記性の劣化やマイクロカプセル色材の分散安定性の低下が発生し、好ましくない。
なお、上記平均粒子径の範囲(0.1〜1.0μm)となるマイクロカプセル顔料は、マイクロカプセル化法により変動するが、水溶液からの相分離法などでは、マイクロカプセル顔料を製造する際の攪拌条件を好適に組み合わせることにより調製することができる。
【0023】
このように構成される本発明のマイクロカプセル色材は、ロイコ色素を用いたマイクロカプセル色材において、用いる変色温度調整剤を選択する際の材料選択の自由度を増し、その量を設定する際の設定の自由度を広げると共に、製造の負荷の低減と、熱変色の多様化の向上を図り、マイクロカプセル色材の利用度を更に高めることができ、しかも、従来の熱変色性の色材と同様に発色濃度、易消色性、復色性に優れ、筆記具用の熱変色性の色材として好適に用いることができ、後述するように、溶媒種が水性、または、油性の筆記具用インク組成物の色材として用いても、その溶媒種等に影響を受けずに、上記効果を発揮することができるものである。
【0024】
<筆記具用インク組成物>
本発明の筆記具用インク組成物は、上記構成のマイクロカプセル色材を含有することを特徴とするものであり、ボールペン用、マーキングペン用等の筆記具用インク組成物として用いることをできる。
本発明のマイクロカプセル色材の含有量は、インク組成物全量に対して、好ましくは、5〜30質量%(以下、単に「%」という)、更に好ましくは、10〜25%とすることが望ましい。
このマイクロカプセル色材の含有量が5%未満であると、着色力、発色性が不十分となり、一方、30%を超えると、カスレが生じやすくなり、好ましくない。
【0025】
<筆記具用水性インク組成物>
本発明の筆記具用インク組成物において、水性では、上記マイクロカプセル色材の他、残部として溶媒である水(水道水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水等)の他、各筆記具用(ボールペン用、マーキングペン用等)の用途に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、水溶性有機溶剤、増粘剤、潤滑剤、防錆剤、防腐剤もしくは防菌剤などを適宜含有することができる。
【0026】
用いることができる水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、3−ブチレングリコール、チオジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類や、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、単独或いは混合して使用することができる。
【0027】
用いることができる増粘剤としては、例えば、合成高分子、セルロースおよび多糖類からなる群から選ばれた少なくとも一種が望ましい。具体的には、アラビアガム、トラガカントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、カラギーナン、ゼラチン、キサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカン、ダイユータンガム、デキストラン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸及びその塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸及びその塩、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレシオキサイド、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、架橋型アクリル酸重合体及びその塩、非架橋型アクリル酸重合体及びその塩、スチレンアクリル酸共重合体及びその塩などが挙げられる。
【0028】
潤滑剤としては、顔料の表面処理剤にも用いられる多価アルコールの脂肪酸エステル、糖の高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、アルキル燐酸エステルなどのノニオン系や、高級脂肪酸アミドのアルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩などのアニオン系、ポリアルキレングリコールの誘導体やフッ素系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。また、防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロへキシルアンモニウムナイトライト、サポニン類など、防腐剤もしくは防菌剤としては、フェノール、ナトリウムオマジン、安息香酸ナトリウム、ベンズイミダゾール系化合物などが挙げられる。
【0029】
この筆記具用水性インク組成物を製造するには、従来から知られている方法が採用可能であり、例えば、上記マイクロカプセル顔料の他、上記水性における各成分を所定量配合し、ホモミキサー、もしくはディスパー等の攪拌機により攪拌混合することによって得られる。更に必要に応じて、ろ過や遠心分離によってインク組成物中の粗大粒子を除去してもよい。
【0030】
<筆記具用油性インク組成物>
本発明の筆記具用インク組成物において、油性では、上記構成のマイクロカプセル顔料を含有すると共に、主溶剤として、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルから選ばれる少なくとも一つとを含有することが好ましい。これらの溶剤を主溶剤として選択、使用することで、上記マイクロカプセル顔料の経時的な凝集を発生しないように作用するものである。
【0031】
用いるポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールは、各重合度のものが使用できるが、本発明の効果を更に発揮せしめる点から、ポリプロピレングリコールでは重合度(重量平均)400〜700の範囲の使用が好ましく、ポリブチレングリコールでは重合度(重量平均)500〜700の範囲の使用が好ましい。
また、本発明で用いるポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル〔POP(n)ジグリセリルエーテル〕はジグリセリンの水酸基にポリオキシプロピレンが付加重合したものである。本発明においてポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル〔POP(n)ジグリセリルエーテル〕におけるオキシプロピレンの付加モル数(n)は、本発明の効果を更に発揮せしめる点から、4〜25が好ましく、更に好ましくは4〜14である。
【0032】
これらの主溶剤の含有量は、インク組成物中の全溶剤量に対して、50〜100%とすることが好ましく、更に好ましくは、80〜100%とすることが望ましい。この主溶剤の含有量が、50%以上とすることにより、経時的な凝集の発生を極力抑制することができる。なお、本発明の効果を損なわない範囲で、上記主溶剤の他、主溶剤と相溶する性質を有する溶剤、例えば、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコールなどの溶剤を適宜含有することができる。
【0033】
この筆記具用油性インク組成物では、上記マイクロカプセル顔料、主溶剤の他、各筆記具用(ボールペン用、マーキングペン用等)の用途に応じて、また、必要に応じて、油性インクに悪影響を及ぼさず相溶することができる樹脂や分散剤、防錆剤、防腐剤、潤滑剤等を含有することができる。
用いることができる樹脂としては、例えば、ケトン樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、フェノール系樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、ロジン系樹脂、アクリル系樹脂、尿素アルデヒド系樹脂、マレイン酸系樹脂、シクロヘキサノン系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン等に代表される樹脂が挙げられる。
【0034】
用いることができる分散剤として、上記に挙げたような樹脂の中からマイクロカプセル顔料を分散できるものを選択して使用することができ、界面活性剤やオリゴマーでも目的に沿うものであれば、含有することができる。
具体的な分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル、スチレン−マレイン酸共重合体、ケトン樹脂、ヒドロキシエチルセルロースやその誘導体、スチレン−アクリル酸共重合体等の合成樹脂やPO・EO付加物やポリエステルのアミン系オリゴマー等が挙げることができる。
また、防錆剤、防腐剤、潤滑剤としては、上述の水性で用いた各種の防錆剤、防腐剤、潤滑剤を用いることができる。
【0035】
この筆記具用油性インク組成物を製造するには、従来から知られている方法が採用可能であり、例えば、上記マイクロカプセル顔料の他、上記油性における各成分を所定量配合し、ホモミキサー、もしくはディスパー等の攪拌機により攪拌混合することによって得られる。更に必要に応じて、ろ過や遠心分離によってインク組成物中の粗大粒子を除去してもよい。
【0036】
このように構成される本発明の筆記具用インク組成物では、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップを筆記先端部に備えたマーキングペン体や、ボールペンチップを筆記先端部に備えたボールペン体に搭載して使用に供される。
本発明の筆記具用インク組成物及び筆記具では、ロイコ色素、顕色剤及び上記式(I)で示される変色温度調整剤を少なくとも含むマイクロカプセル色材を含有する水性、または、油性のインクを処方し、このインクを搭載したボールペン体、マーキングペン体などの筆記具にて紙面等に筆記しても、経時的なマイクロカプセル色材の凝集や変色が発生せず、筆跡を良好に変色させることができ、消色性、復色性に優れた筆記具用インク組成物、筆記具が得られるものとなる。
【実施例】
【0037】
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。なお、以下において、配合単位である「部」は質量部を意味する。
【0038】
〔マイクロカプセル色材:A−1〜A−12の処方、下記表1〕
(マイクロカプセル色材:A−1)
下記表1に示される各量となるロイコ色素、顕色剤、及び変色性温度調整剤の組み合わせにて色材を得た。
具体的には、ロイコ色素として、メチル−3’,6’−ビスジフェニルアミノフルオラン1部、顕色剤として、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン2部、及び変色性温度調整剤として、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジカプリレート24部を100℃に加熱溶融して、均質な組成物27部を得た。
上記で得た組成物27部の均一な熱溶液を、保護コロイド剤として、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合樹脂〔ガンツレッツAN−179:ISP(株)社製〕40部をNaOHにてpH4に溶解させた90℃の水溶液100部中に徐々に添加しながら、加熱攪拌して直径約0.5〜1.0μmの油滴状に分散させ、次いでカプセル膜剤として、メラミン樹脂(スミテックスレジンM−3、(株)住友化学製)20部を徐々に添加し、90℃で30分間加熱してマイクロカプセル化を行い、膜剤がメラミン樹脂からなる可逆感温変色性ヒステリシス組成物のマイクロカプセル分散液を得た。この分散液を常温に冷却後、酸添加、濾別、水洗を行い、スプレードライ機を用いて乾燥することにより、平均粒子径が0.55μmとなるパウダー状のマイクロカプセル色材を得た。色相は、発色状態においては濃厚な青色を呈していた。
【0039】
(マイクロカプセル色材:A−2〜A−12)
下記表1に示される各量となるロイコ色素、顕色剤、及び変色性温度調整剤の組み合わせで、他は上記A−1の処方と同様にして、パウダー状の各マイクロカプセル色材を得た。
得られたマイクロカプセル色材A−2〜A−12の平均粒子径、色相(発色状態)を下記表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
(実施例1〜12)
(インクの処方)
上記製造例で得られたマイクロカプセル色材(A−1〜A−12)を用いて下記表2に示す配合処方にしたがって、常法により各水性のボールペン用水性インク組成物を調製した。
【0042】
(水性ボールペンの作製)
上記で得られた各インク組成物を用いて水性ボールペンを作製した。具体的には、ボールペン〔三菱鉛筆株式会社製、商品名:UF−202〕の軸を使用し、内径3.8mm、長さ90mmポリプロピレン製インク収容管とステンレス製チップ(超硬合金ボール、ボール径0.5mm)及び該収容管と該チップを連結する継手からなるリフィールに上記各水性、油性インクを充填し、インク後端に鉱油を主成分とするインク追従体を装填し、水性ボールペンを作製した。
得られた実施例1〜12の各ボールペンを用いて、下記評価方法で消色性、復色性の評価を行った。
これらの結果を下記表2に示す。
【0043】
(消色性の評価方法)
上記ペンを用いて直径約3cmの円をPPC用紙に筆記後、65℃において3分間保管した後、下記評価基準に基づいて評価した。
評価基準:
○:完全に消色した。
△:消え残りがやや観察された。
×:はっきりとした消え残りが観察された。
【0044】
(復色性の評価方法)
上記消色性の評価によって消色した用紙を、−20℃において20分間保管した後、下記評価基準に基づいて評価した。
評価基準:
○:元の濃度まで復色した。
△:復色したものの、やや濃度が低下した。
×:復色したものの、大きく濃度が低下した。あるいは復色しなかった。
【0045】
【表2】
【0046】
上記表1及び表2の結果から明らかなように、本発明となる実施例1〜12の筆記具用インク組成物は、満足のいく十分な消色性、復色性となることが判明した。これにより、ロイコ色素を用いたマイクロカプセル色材において、用いる変色温度調整剤を選択する際の材料選択の自由度を増し、その量を設定する際の設定の自由度が広がると共に、製造の負荷の低減と、熱変色の多様化の向上が図られ、マイクロカプセル色材の利用度を更に高めることができることが確認された。