(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。例えば、以下の実施形態における「…部」や「…機器」は、総てをハードウェアで構成しても、総てをコンピューターに所定のソフトウェアプログラムを実行させることにより機能的に実現してもよい。また一部をハードウェアで構成し、残りをソフトウェアプログラムの実行により機能的に実現するように構成してもよい。また、「データベース」の区分けは例示であり、複数のデータベースを1つにまとめたり、1つのデータベースを複数のデータベースに分割したり、データベースにおけるレコードやフィールドの構成を適宜編成したりして、実施形態以外の編成でデータベースを構成してもよい。またさらに、必要に応じて示す上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図示の表示に基づくものとする。さらにまた、図面における各種の寸法比率は、その図示の比率に限定されるものではない。
【0024】
(0.定義)
本明細書では、以下のように用語を定義する。
「監視」:動作状態を把握すること、異常の有無を検出すること、測定情報を参照することを含む。
「監視情報」:機器が測定機器である場合にはその測定値および動作状態を含む情報をいい、機器が制御機器である場合にはその動作状態を含む情報をいう。
「プラント」:監視すべき機器が配置された工場等の空間をいい、屋内であるか屋外であるかを問わない。
【0025】
(1.実施形態1)
本発明の実施形態1は、プラント監視サーバー側で音声情報を生成し、携帯情報端末側で当該音声情報に基づく音声を提供する態様に関する。
【0026】
(1−1.プラント監視システム)
図1に、実施形態1に係るプラント監視システムの概要を説明するシステム図を示す。
図1に示すように、本実施形態1に係るプラント監視システム1000は、プラント監視サーバー100、各種の監視対象となる機器200−1、2、3、…、N(以下、機器を特定する必要がない場合には単に「機器200」と呼ぶ。)、携帯情報端末300、およびコントローラー500を備えている。
【0027】
各機器200とコントローラー500とは、フィールド機器通信バス401で相互に接続されている。フィールド機器通信バス401は、機器200に対する制御信号や機器200からの検出信号を送受信可能な通信バスであり、例えばXbus規格に準拠している。
【0028】
機器200は、プラントに設置されるフィールド機器であって、測定機器と制御機器とに大別される。「測定機器」は、プラント内の所定の物理量(流量、温度、圧力等)を測定するフィールド機器であって、例えば、流量センサ、温度センサ、圧力センサ等が該当する。「制御機器」は、プラント内で所定の制御(流量制御、温度制御、圧力制御、回転数制御等)をするフィールド機器であって、例えば、バルブ、ヒーター、ポンプ、ファン等が該当する。ただし、「機器」は、ユーザーが利用可能な情報を出力可能な装置であれば、上記測定機器および制御機器に限定されない。
【0029】
各機器200は、フィールド機器通信バス401を介してコントローラー500と通信可能に接続されており、各機器200の動作状態や異常の有無、機器200が測定機器である場合の測定情報を含む監視情報を送信可能に構成されている。なお、機器200は、図示しないシリアルインターフェース回路を介して、フィールド機器通信バス401と接続されている。機器200とシリアルインターフェース回路とは、アナログ信号またはHART規格等のフィールド機器通信信号を伝送する通信線で接続されている。
【0030】
コントローラー500は、各機器200を統括制御する制御部である。コントローラー500は、測定機器である機器200から取得した測定情報(流量、温度、圧力等)を取得し、プラント監視サーバー100に送信可能に構成されている。またコントローラー500は、測定情報に基づいて、制御機器である機器200に対して、制御情報(流量、温度、圧力、回転数等)を送信するように構成されている。さらにコントローラー500は、測定機器である機器200から取得した測定情報に基づいて当該機器200の動作状態が適正範囲を外れている場合や、制御機器を含む機器200から異常を示す信号が送信された場合には、その旨を示すステータス情報をプラント監視サーバー100に送信可能に構成されている。
【0031】
プラント監視サーバー100、携帯情報端末300、およびコントローラー500は、上位ネットワーク400で相互に接続されている。上位ネットワーク400は、有線及び/又は無線によって通信可能なコンピューターネットワークであり、例えば、イーサネット(登録商標)規格に準拠したLAN(Local Area Network)やインターネット等のWAN(Wide Area Network)である。なお、プラント監視サーバー100と携帯情報端末300との通信プロトコルとしては、IrDA(Infrared Data Association)等の赤外線短距離通信規格、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信規格、 HID(Human Interface Device Profile)等のコンピューターの周辺機器接続規格、 PAN(Personal Area Network Profile)等の機器間 無線ネットワーク規格、HSP(Headset Profile)等の ヘッドセット(イヤホンマイク)接続規格、第3世代通信規格(W−CDMA等)や第3.9世代/第4世代通信規格(LTE等)といった携帯電話用の移動体通信規格、PHS(Personal Handy−phone System)等の小型移動体通信規格を適用してもよい。
【0032】
携帯情報端末300は、作業者であるユーザーが携帯可能なコンピューター装置であり、後述するように、少なくとも通信機能、位置検出機能、音声発生機能を有する。本実施形態では、携帯情報端末300は、ユーザーが装着するウェアラブルコンピューターであるものとする。携帯情報端末300は、ユーザーの入力により記憶したユーザー識別情報、および、位置検出機能を利用して検出した位置情報をプラント監視サーバー100に送信可能に構成されている。またオプショナルで、ユーザーの音声に対応して生成した音声情報および/または撮影機能を利用して生成した画像情報をプラント監視サーバー100に送信可能に構成されている。携帯情報端末300の詳細については、
図3において後述する。
【0033】
(1−2.プラント監視サーバー100)
プラント監視サーバー100は、上位ネットワーク400を介して、携帯情報端末300からユーザー識別情報、位置情報、選択的に、音声情報および画像情報等を受信し、後述する処理によって抽出した情報を携帯情報端末300に送信可能に構成されている。プラント監視サーバー100は、典型的にはプラントに一台設置されているが、複数のコンピューター装置が分散処理を実行することにより、総合的に実現されるように構成してもよい。またプラント監視サーバー100は、クラウドコンピューティングにより提供されるものであってもよい。またプラント監視サーバー100は、コントローラー500を介して、各機器200の動作状態や異常の有無、機器200が測定機器である場合の測定情報を含む監視情報を受信することが構成されている。
【0034】
図2に、実施形態1に係るプラント監視サーバー100のブロック図を示す。プラント監視サーバー100は、図示しないが、ハードウェアとして、中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)、ROM(Read−only Memory)、RAM(Random Access Memory)、インターフェース回路、大容量記憶装置、通信装置等、汎用コンピューター装置やワークステーションとしての構成を備える。CPUは、本発明に係るプラント監視方法に係るソフトウェアプログラムは、例えば大容量記憶装置に格納されており、実行時にRAMに読み込まれ、CPUにより当該プログラムを実行することにより、
図2に示すような機能ブロックが実現される。
【0035】
図2に示すように、本実施形態1に係るプラント監視サーバー100は、データベースとして、ユーザー定義情報データベース101、機器定義情報データベース102、監視情報データベース108、文章テンプレートデータベース107、および重要度定義データベース112を備える。これらデータベースは、RAMまたは大容量記憶装置等の記憶部が仮想的に分割されることにより構成されている。各データベースに格納される情報は、図面で説明するような文字を表すテキストデータであってよいが、コンピューターが認識可能な、当該文字に対応する数値・記号であってもよい。またプラント監視サーバー100は、受信部113および送信部114を備え、機能ブロックとして、ユーザー定義情報取得部103、位置判定部104、情報抽出部105、音声情報生成部106、情報解析部109、監視情報更新部110、および重要度決定部111を備える。以下、具体的に説明する。
【0036】
(受信部113)
受信部113は、上位ネットワーク400を介して、携帯情報端末300から、少なくともユーザー識別情報および位置情報を受信するように構成されている。受信部113は、さらに必要に応じて、携帯情報端末300から音声情報および/または画像情報を受信する。さらに受信部113は、コントローラー500から送信されてきた各機器200の測定情報またはステータス情報を含む監視情報を受信する。
【0037】
(ユーザー定義情報データベース101)
ユーザー定義情報データベース101は、ユーザーの定義情報を格納するデータベースであり、主としてユーザー定義情報取得部103に参照される記憶部である。
【0038】
図4に、本実施形態に係るユーザー定義情報データベース101の構成例を示す。
図4に示すように、ユーザー定義情報データベース101は、「ユーザーID」、「所属」、「職責」、「プリファランス」の各フィールドを例示的に備える。「ユーザーID」は、ユーザーを特定するためにユーザーごとに割り振られるユーザー識別情報であり、例えばアルファベット、番号等で記録される。
図4では、ユーザーIDとして例示的に、アルファベット「A」〜「F」が割り振られている。「所属」は、ユーザーの所属を示す情報であり、例えば組織内のグループ、部課名等が割り振られる。
図4では、所属として例示的に、「Pグループ」、「Qグループ」、「Rグループ」が割り振られている。「職責」は、ユーザーの職責を示す情報であり、例えば監視作業における役割や組織内での役職等が割り振られる。
図4では、職責として例示的に、「日次点検」、「月次点検」、「監査」が割り振られている。「プリフェランス」は、ユーザーが任意に設定するフィールドで、ユーザーの関心事、すなわちユーザーが特に懸念しており監視対象としたい事象を予め記録するものである。
図4では、プリフェランスとして例示的に、「センサ圧力」、「ポンプ」が割り振られている。
【0039】
(ユーザー定義情報取得部103)
図2に戻り、ユーザー定義情報取得部103は、携帯情報端末300からユーザー識別情報を取得し、上記ユーザー定義情報データベース101を検索し、当該ユーザー識別情報に対応付けられたユーザーの定義情報を取得する機能ブロックである。例えば、携帯情報端末300から送信されてきたユーザー識別情報が「C」であった場合、ユーザー定義情報取得部103は、ユーザー定義情報データベース101を検索し、「ユーザーID」が「C」であるレコードから、「所属」として「Pグループ」、「職責」として「監査」、「プリファランス」として「センサ圧力」を読み出す。また例えば、携帯情報端末300から送信されてきたユーザー識別情報が「F」であった場合、ユーザー定義情報取得部103は、ユーザー定義情報データベース101を検索し、「ユーザーID」が「F」であるレコードから、「所属」として「Rグループ」、「職責」として「月次点検」、「プリファランス」として「N/A」(適用対象外)を読み出す。
【0040】
(機器定義情報データベース102)
機器定義情報データベース102は、監視対象となる機器の定義情報を格納するデータベースであり、機器特定部104や情報抽出部105に参照される記憶部である。
【0041】
図5に、本実施形態に係る機器定義情報データベース102の構成例を示す。
図5に示すように、機器定義情報データベース102は、「機器ID」、「設置位置」、「種別」、「測定制御対象」、「適正範囲」、「単位」の各フィールドを例示的に備える。「機器ID」は、各々の機器を特定するために機器ごとに割り振られる識別情報であり、例えば番号やアルファベット等で記録される。
図5では、機器IDとして例示的に、番号「1001」〜「1006」が割り振られている。「設置位置」は、各々の機器の設置位置を示す情報である。設置位置は、携帯情報端末300がGPS(Global Positioning System)で位置を検出するように構成されている場合には、GPSの出力と照合可能な情報であることが好ましく、例えば、緯度/経度に対応する情報が割り振られる。
図5では、設置位置として例示的に、(N1,E1)(N:北緯、E:東経)〜「N6,E6」が割り振られている。ただし、携帯情報端末300が他の手段、例えば一次元、二次元コードの読み取りやユーザーの入力により位置を検出する場合には、それらの手段と対比可能な情報を格納する。「種別」は、機器の種類を示す情報であり、例えば測定機器であればどのような物理量を検出するセンサであるか、制御機器であればどのような制御手段であるか等が割り振られる。
図5では、種別として例示的に、測定機器に対しては「流量センサ」、「圧力センサ」、「温度センサ」が割り振られ、制御機器に対しては「流量制御弁」、「ポンプ」、「ファン」が割り振られている。「測定制御対象」は、機器の測定または制御に係る物理量を示す情報である。
図5では、測定制御対象として例示的に、測定機器に対しては「流量」、「圧力」、「温度」が割り振られ、制御機器に対しては「流量」、「回転数」、「回転数」が割り振られている。「適正範囲」は、各々の機器で検出されるべき測定値または制御されるべき駆動量の範囲を示す情報である。「単位」は、上記「適正範囲」で示される数値の単位を指定する範囲である。
図5では、単位として例示的に、「m
3/h」(流量)、「Pa」(圧力)、「℃」(温度)、「rpm」(回転数)が示されている。
【0042】
(機器特定部104)
図2に戻り、機器特定部104は、携帯情報端末300から位置情報を取得し、機器定義情報データベース102を検索して、携帯情報端末300と所定の位置関係にある機器200を特定する機能ブロックである。具体的には、携帯情報端末300に対し所定の近傍領域内に位置する機器200を発見した場合、当該機器200を「近傍」にあるものとして特定する。例えば、近傍領域を携帯情報端末300から判定距離Δd以内であると設定する場合、ある機器200が判定距離Δd以内にあれば「近傍」にある機器200と判定する。判定距離に代えて、携帯情報端末300を中心として緯度と経度からなる複数の座標点で囲まれる範囲を「近傍領域」として設定してもよい。また携帯情報端末300が機器200の「近傍」であって携帯情報端末300の正面が向いている方角に当該機器200が存在する場合、機器特定部104は、当該機器200を「正面」にある機器200として特定する。例えば、携帯情報端末300から送信されてきた位置情報が(北緯、東経、方角)=(N3’,E3’,D3)であって、位置(N3,E3)と位置(N3’,E3’)との距離dが判定距離Δd以下であった場合(d≦Δd)、機器特定部104は、機器ID「1003」の温度センサが「近傍」に存在する機器200であると特定する。また携帯情報端末300の位置(N3’,E3’)から方角D3の方向に温度センサが位置していた場合、機器特定部104は、機器ID「1003」の温度センサが「正面」に存在する機器200であると特定する。なお、携帯情報端末300が仰角を検出可能に構成されているのであれば、方角に加えて仰角を位置情報に加えてもよい。例えば、水平方向を0°として、上向きの仰角を正の角度、下向きの仰角を負の角度として送受信し、機器特定に用いることが可能である。
【0043】
なお、本実施形態では、監視対象となる機器200が「近傍」であって携帯情報端末300の向いている方向に存在している場合に「正面」と判断するが、これに限らない。例えば、監視対象となる機器200と携帯情報端末300との距離とは無関係に、携帯情報端末300の向いている方向のみに基づいて「正面」と判断してもよい。携帯情報端末300(ユーザー)が正面を向いていれば、ユーザーはどの機器200に注視しているかを自ら把握しているので相対的に遠距離に機器200が配置されていてもユーザーはそれと認識できるからである。また「正面」と判断する条件となる機器200と携帯情報端末300との距離d2を「近傍」と判断する距離dとは異なる距離に設定してもよい。例えば、「近傍」と判断する距離dに比べて「正面」と判断する距離d2を大きく設定することは妥当である。上述したように、正面を向いていれば、相対的に遠距離に機器200が配置されていてもユーザーはそれと認識できるが、正面を向いていなければ、相対的に近距離に機器200が配置されていなければユーザーはどの機器200が監視対象とされているのか認識できないからである。
【0044】
(監視情報データベース108)
監視情報データベース108は、監視対象となる機器に対応付けられた監視情報を格納するデータベースであり、情報抽出部105に参照され、監視情報更新部110により更新可能に構成される記憶部である。
【0045】
図6に、本実施形態に係る監視情報データベース108の構成例を示す。
図6に示すように、監視情報データベース108は、「機器ID」、「種別」、「測定制御対象」、「測定値」、「ステータス」の各フィールドを例示的に備える。「機器ID」、「種別」、および「測定制御対象」は各々、機器定義情報データベース102の同名のフィールドと同じ情報である。「測定値」は、測定機器である場合にはその測定値、制御機器である場合はその制御量を示す情報である。「ステータス」は、機器の動作状態が正常であるか異常であるか等のステータスを示す情報である。
図6では、ステータスとして例示的に、「OK」(正常)または「NG」(異常)のいずれかが格納される。当該「ステータス」フィールドには、コントローラー500(
図1参照)が各機器200との通信により把握した動作状態が反映される。例えば、「ステータス」は、機器200が機器定義情報データベース102の「適正範囲」内の測定値を返してきた場合には「OK」とされ、「適正範囲」外の測定値が返されたり「適正範囲」外の駆動量で制御されたりした場合に「NG」とされる。また「ステータス」は、機器200の動作状態が正常と判断した場合に「OK」とされ、異常と判断した場合に「NG」とされる。
図6では、機器ID「1003」の温度センサが「適正範囲」内の測定値であったため「ステータス」が「OK」とされ、機器ID「1002」の温度センサが「適正範囲」外の測定値であったため「ステータス」が「NG」とされ、機器ID「1006」のファンが「適正範囲」を外れる測定値(駆動量)であったため「NG」とされている。また機器ID「1004」の流量制御弁が、「適正範囲」で制御されているが、異常を示す情報を返信してきたため、「ステータス」が「NG」とされている。
【0046】
(情報抽出部105)
図2に戻り、情報抽出部105は、監視情報データベース108を検索し、取得されたユーザー定義情報に基づいて、特定された機器200について、提供すべき監視情報を抽出する機能ブロックである。具体的には、情報抽出部105は、機器特定部104が「近傍」または「正面」であると判定した機器200について機器IDをインデックスとして監視情報データベース108を検索し、該当する機器200の「測定値」および「ステータス」を抽出して出力する。例えば、「近傍」に位置すると判定された機器200が機器ID「1003」の温度センサであった場合、情報抽出部105は、監視情報データベース108から測定値「26」とステータス「OK」を抽出する。「正面」に位置すると判定された機器200が機器ID「1006」のファンであった場合、情報抽出部105は、監視情報データベース108から測定値(駆動量)「320」とステータス「NG」を抽出する。
【0047】
(文章テンプレートデータベース107)
文章テンプレートデータベース107は、ユーザーに提供する音声の文章テンプレートを格納し、主として音声情報生成部106に参照される記憶部である。
【0048】
図7に、文章テンプレートデータベース107の構成例を示す。
図7に示すように、文章テンプレートデータベース107は、「文章#」、「項目1」、「項目2」、「テキスト1」、「項目3」、「テキスト2」、「項目4」、「項目5」、「項目6」、「テキスト3」の各フィールドを例示的に備える。「文章#」は、文章の種類を特定するユニークな番号である。
図7では例示的に、文章「1」が測定機器用のテキストであり、文章「2」が制御機器用のテキストとなっている。「項目」の各フィールドは、監視情報データベース108のどのフィールドを参照するかを指定する情報である。
図7では、文章「1」について「項目1」は監視情報データベース108の「種別」フィールドを参照し、「項目2」は「機器ID」フィールドを参照し、「項目3」は「測定制御対象」フィールドを参照し、「項目4」〜「項目6」は「測定値」、「単位」、および「ステータス」のそれぞれを参照することを示している。また文章「2」について「項目1」、「項目2」、および「項目6」は文章「1」と同じであるが、「項目3」〜「項目5」は空欄となっている。「テキスト」の各フィールドは、それぞれの「盲目」に付随する、文章を構成する助詞や語尾変換、動詞の活用形を示している。
図7では、文章「1」について、「テキスト1」が助詞「の」を、「テキスト2」が助詞「は」を、「テキスト3」が語尾「です」を示す。また文章「2」について、「テキスト1」および「テキスト3」は文章「1」と同じであるが、「テキスト2」が「ステータスは」となっている。
【0049】
(音声情報生成部106)
図2に戻り、音声情報生成部106は、抽出された監視情報に基づいて携帯情報端末300において提供される音声に対応する音声情報を生成する機能ブロックである。具体的には、音声情報生成部106は、機器特定部104が「近傍」または「正面」に位置すると判定した機器200について、情報抽出部105が監視情報データベース108から抽出した情報(「測定値」、「ステータス」)と、機器定義情報データベース102から読み出した情報(「機器ID」、「種別」、「測定制御対象」、「単位」)とに基づいて、文章テンプレートデータベース107に格納されている文章テンプレートに従った文章情報を生成する。文章テンプレートとしては、対象となる機器200が測定機器である場合には文章#「1」のテンプレートが選択され、制御機器である場合には文章#「2」のテンプレートが選択される。例えば、「近傍」または「正面」に位置すると判定した機器200が機器ID「1003」の温度センサであった場合、音声情報生成部106は、文章テンプレートデータベース107の測定機器についての文章テンプレートである文章#「1」を参照し、「項目1」に機器ID「1003」の種別「温度センサ」を、「項目2」に機器ID「1003」を、「項目3」に測定制御対象「温度」を、「項目4」に測定値「26」を、「項目5」に単位「℃」を、「項目6」にステータス「OK」をそれぞれ当て嵌め、文章情報「温度センサ1003の温度は26℃OKです」というテキスト列を生成する。また、「近傍」または「正面」に位置すると判定した機器200が機器ID「1006」のファンであった場合、音声情報生成部106は、文章テンプレートデータベース107の制御機器についての文章テンプレートである文章#「2」を参照し、「項目1」に機器ID「1006」の種別「ファン」を、「項目2」に機器ID「1006」を、「項目6」にステータス「NG」をそれぞれ当て嵌め、「ファン1006のステータスはNGです」というテキスト列を再現するための文章情報を生成する。文章情報に含まれるデータには、音声合成されることにより上記したテキスト列が読み上げられるものであれば限定はなく、例えばアスキーコードで表現されたデータでもよいし、テキスト読み上げシステムにおける記号化言語表現に変換したデータでもよい。
【0050】
(重要度定義データベース112)
重要度定義データベース112は、ユーザー定義情報と監視情報とに応じた文章情報の重要度を定義するデータベースであり、主として重要度決定部111により参照される記憶部である。
【0051】
図8に、重要度定義データベース112の構成例を示す。
図8に示すように、重要度定義データベース112は、「設定#」、「所属」、「職責」、「ステータス」、「距離」、「プリファランス」、「重要度」の各フィールドを例示的に備える。「設定#」は、重要度設定を特定するユニークな番号である。「所属」、「職責」、および「プリフェランス」はユーザー定義情報データベース101の同名のフィールドと同じ情報である。なお「any」は該当フィールドに何が定義されていてもよいことを意味する。「N/A」は当該フィールドの設定は考慮しないことを意味する。「ステータス」は、監視情報データベース108の同名のフィールドと同じ情報である。「距離」は、後述する機器特定部104が判定する情報に対応する情報である。
図8では、「距離」フィールドとして「近傍」または「正面」が格納されている。「重要度」は、以上の各フィールドの組合せに対応して設定される重要度を数値で示した情報である。
図8では、「重要度」として「3」、「2」、「1」が設定されている。本実施形態では重要度が高いほど数値が大きくなるものとする。
【0052】
例えば、
図8では、重要度設定#「1」は、ユーザーの「所属」や「職責」、「プリファランス」とは無関係に、「近傍」に位置する機器について「ステータス」が「NG」である場合に、重要度「2」として音声情報を送出すべきという設定を意味する。プラント監視中のユーザーの近傍に動作状態が異常であると検出された機器200が存在することを注意喚起するためである。重要度設定#「2」は、ユーザーの「所属」や「職責」、「プリファランス」とは無関係に、「正面」に位置する機器について「ステータス」が「NG」である場合に、重要度「3」として音声情報を送出すべきという設定を意味する。プラント監視中のユーザーの正面に配置されている機器200の動作状態が異常であることを注意喚起するためである。重要度設定#「3」は、「所属」は問わず、「職責」が「監査」となっているユーザーに対しては、「近傍」に位置する機器200が「ファン」であって、ステータスが「OK」である場合に、重要度「1」として音声情報を送出すべきという設定を意味する。重要度設定#「4」は、「所属」は問わず、「職責」が「監査」となっているユーザーに対しては、「正面」に位置する機器200が「センサ」であって、ステータスが「OK」である場合に、重要度「1」または「2」として音声情報を送出すべきという設定を意味する。監査業務に就いているユーザーの近傍または正面にある機器200の動作状態が正常であることを参考までに報知するものである。一方、重要度設定#「12」は、「所属」、「職責」は問わず、「プリファランス」として対象機器が設定されている場合には、「正面」に位置する機器200のステータスが「OK」であっても、重要度「2」で音声情報を送出すべきという設定を意味する。「プリファランス」が設定されている場合にはユーザーの関心度が高いことを意味するため、指定された機器200と向き合った場合に、高い重要度で「プリファランス」で指定された機器200である旨の注意喚起をするためである。
【0053】
(重要度決定部111)
図2に戻り、重要度決定部111は、ユーザー定義情報取得部103によって抽出されたユーザー定義情報と、情報抽出部105によって抽出された監視情報とに基づいて、音声情報生成部106が生成した文章情報の重要度を決定する機能ブロックである。具体的には、重要度決定部111は、携帯情報端末300を使用しているユーザーのユーザー定義情報(「所属」、「職責」、「プリファランス」)、抽出された監視情報(「ステータス」)、選択的に、監視対象となっている機器200の位置情報(「近傍」か「正面」かの「位置関係」)の組合せに該当するレコード(「設定#」)を重要度定義データベース112から検索する。そして該当するレコードの「重要度」を読み出す。例えば、携帯情報端末300を使用するユーザーがユーザーID「A」(
図4参照)に該当し、機器ID「1001」(
図6参照)で特定される機器200の正面に立った場合、重要度定義データベース(
図8参照)の設定#「7」が抽出され、重要度「1」が出力される。また携帯情報端末300を使用するユーザーがユーザーID「B」(
図4参照)に該当し、機器ID「1002」(
図6参照)で特定される機器200の近傍を通過している場合、重要度定義データベース(
図8参照)の設定#「1」が抽出され、重要度「2」が出力される。さらに携帯情報端末300を使用するユーザーがユーザーID「C」(
図4参照)に該当し、機器ID「1003」(
図6参照)で特定される機器200の正面に立った場合、「プリファランス」が設定されているため、重要度定義データベース(
図8参照)の設定#「12」が抽出され、重要度「2」が出力される。
【0054】
(情報解析部109)
情報解析部109は、携帯情報端末300から送信された音声情報および/または画像情報を解析して、監視情報データベース108に登録すべき監視情報を抽出する機能ブロックである。情報解析部109は、選択的に採用可能なオプショナルな機能ブロックである。具体的に、情報解析部109は、送信された音声情報を公知の技術を適用して音声認識して文字情報または数値情報に変換し、監視情報データベース108に格納すべき測定値またはステータスに関する情報を抽出する。また情報解析部109は、送信された画像情報を公知の技術を適用して画像認識して文字情報または数値情報に変換し、監視情報データベース108に格納すべき測定値またはステータスに関する情報を抽出する。
【0055】
(監視情報更新部110)
監視情報更新部110は、情報解析部109によって抽出された監視情報または機器ネットワークを介して各機器200から提供された監視情報を参照して、監視情報データベース108に格納されている監視情報を更新または追加する機能ブロックである。監視情報更新部110は、選択的に採用可能なオプショナルな機能ブロックである。具体的に、監視情報更新部110は、情報解析部109が測定値またはステータスに関する情報を抽出してきた場合には、これらの情報に基づいて監視情報データベース108を更新する。例えば、測定値やステータスが抽出された場合には、現時点で「近傍」または「正面」に存在するものとして認識されている機器200の該当機器IDのレコードにおいて、測定値やステータスを上書き保存する。
【0056】
また監視情報更新部110は、コントローラー500経由で各機器200についての測定情報またはステータス情報を含む監視情報を受信したら、これらの情報に基づいて監視情報データベース108を更新する。例えば、測定情報やステータス情報を受信した場合には、これら情報に付随している機器200の識別情報に基づき監視情報データベース108を検索し、当該機器200の該当機器IDのレコードにおける「測定値」や「ステータス」フィールドに格納する。
【0057】
(送信部114)
送信部114は、ネットワーク400を介して、音声情報生成部106で生成された文章情報および重要度決定部111で決定された重要度情報を携帯情報端末300へ送信するように構成されている。送信部114は、図示しないが、さらに必要に応じて、画像情報を携帯情報端末300へ送信するように構成されていてもよい。
【0058】
(1−3.携帯情報端末300)
本実施形態1に係る携帯情報端末300は、上記プラント監視サーバー100と通信可能に構成され、プラント監視サーバー100から送信された文章情報および重要度情報に基づいて当該文章情報に対応する音声を特定された重要度に応じた態様で提供可能に構成されている。携帯情報端末300は、少なくとも通信機能、位置検出機能、音声発生機能を有する携帯可能なコンピューター装置であり、本実施形態1では、腕時計タイプまたは眼鏡タイプのウェアラブルコンピューターとする。ただし、携帯情報端末300は、その他のハードウェア態様として、HMD(Head Mount Display)、スマートフォン、ノート型またはラップトップ型パーソナルコンピューター、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants)等を使用することも可能である。
【0059】
図3に本実施形態1に係る携帯情報端末300のブロック図を示す。
図3に示すように、携帯情報端末300は、ウェアラブルコンピューターとしての構成を備えており、受信部301、送信部302、およびメモリ310とともに、機能ブロックとして、音声合成部303、画像生成部305、音声取得部306、画像取得部307、位置情報取得部308、および操作情報取得部309を備えている。また携帯情報端末300は、データベースとして、音源データベース304aおよび音声態様特定データベース304bを備えている。
【0060】
携帯情報端末300には、ヘッドセット320が着脱自在に接続されるように構成されている。ヘッドセット320は、スピーカー321、ディスプレイ322、およびマイクロフォン323を備える。
【0061】
なお、携帯情報端末300は、ハードウェアとしては、通常のパーソナルコンピューターが具備する構成を全て備える。例えば、図示しないが、CPU(Central Processing Unit:中央演算装置)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read−only Memory)、インターフェース回路等を備える。例えば、音源データベース304aおよび音声態様特定データベース304bはROMの一部の記憶領域が割り当てられ、メモリ310はRAMの一部の記憶領域が割り当てられる。上記機能ブロックは、CPUがROMに記憶され、またはRAMに転送されたソフトウェアプログラムを実行することにより機能的に実現されるものである。
【0062】
(受信部301)
受信部301は、上位ネットワーク400を介して、プラント監視サーバー100から、少なくとも文章情報および重要度情報を受信するように構成されている。また受信部301は、選択的に、プラント監視サーバー100から画像情報を受信する。
【0063】
(音源データベース304a)
音源データベース304aは、文章情報に含まれるテキストの各々に対する音声を再現するための波形データを音声合成部303に参照可能に格納する音声ライブラリである。音源データとしては、種々の音声合成方法に対応する音声を再現するための波形データが格納される。例えば、音声合成方法として波形接続法を適用する場合には、テキストの各々について人間の音声を再現する波形データが格納される。フォルマント合成法を適用する場合には、実効的に調整された人工的な音声の波形データが格納される。特に音源データベース304aは、1つのテキストについて異なる態様の複数の波形データを格納している。例えば、1つのテキストについて、男性の声に対応する波形データと女性の声に対応する波形データを格納する。
【0064】
(音声態様特定データベース304b)
音声態様特定データベース304bは、プラント監視サーバー100から送信された重要度情報に対応してどのような音声態様を割り当てるかを定義する対照テーブルデータである。
【0065】
図9に本実施形態における音声態様特定データベース304bの構成例を示す。
図9に示すように、本実施形態で使用される重要度「1」〜「3」に対応して、「声質」、「回数」、および「音量」が定義されている。「声質」は、音声合成される音声の特徴、例えば男性の声であるか女性の声であるかを定義する。「回数」は、提供された文章情報に対応するテキスト列の繰り返し発音回数を定義する。「音量」は、発音の音量を定義する。
図9では、重要度「1」では、声質が「男性」で繰り返し回数が「1」回のみ、音量「小」でテキスト列が読み上げられる。重要度「1」は機器200の「ステータス」が「OK」であって問題のない状態に対応しており、万一聞き逃しても影響がないため、落ち着いた声質で一回、小さな音量で提供されることで問題ないからである。また重要度「2」では、声質が「男性」で繰り返し回数が「2」回、音量「中」でテキスト列が読み上げられる。重要度「2」は、ユーザーの「職責」が「監査」であったり「測定値」や「ステータス」の確認に高い責務を負っている「グループ」の監視であったりするため、聞き逃しがないように複数回、中程度の音量で提供することが妥当だからである。一方、重要度「3」では、声質が「女性」で「繰り返し」再生となり、音量「大」でテキスト列が読み上げられる。重要度「3」は機器200の「ステータス」が「NG」であって何らかの措置を採ることが要求される状況であるため、聞き逃しのないように、かつ、異常状態であることを注意喚起可能なように、周囲の騒音レベルが大きくても聞き取り易い女性の高い声質で繰り返し、大音量で提供することが必要だからである。
【0066】
(音声合成部303)
図3に戻り、音声合成部303は、プラント監視サーバー100から提供された文章情報に基づいて当該文章情報に対応する音声を発音させるための音声情報を生成する機能ブロックである。具体的には、文章情報に含まれているデータを順次参照し、参照された順序で音源データベース304aに格納されている波形データを参照する。このとき、音声合成部303は、プラント監視サーバー100から提供された重要度情報をインデックスとして音声態様定義情報データベース304bを参照し、重要度情報によって特定される音声態様を取得する。そして音声合成部303は、重要度情報で特定される重要度に対応した声質の波形データを音源データベース304aから読み出して音声合成し、重要度に応じた音量で、重要度に対応した回数だけ発音させる音声情報を生成する。この音声情報に対応した音声は、ヘッドセット320のスピーカー321から当該ヘッドセット320を装着するユーザーに提供される。
【0067】
(画像生成部305)
画像生成部305は、プラント監視サーバー100から文章情報が提供された場合に当該文章情報に対応したテキスト列を画像表示させる画像データを生成し、ディスプレイ322に表示させようになっている。文章情報に対応したテキスト列が、音声で提供されるとともに、画像でも提供されるので、万一音声を聞き逃した場合でも、ユーザーはその内容をテキスト列で視認することが可能である。また、画像生成部305は、プラント監視サーバー100からその他の画像情報が提供された場合にも、当該画像情報に対応した画像を表示させる画像データを生成し、ディスプレイ322に提供するようになっている。
【0068】
(音声取得部306)
音声取得部306は、ヘッドセット320のマイクロフォン323からユーザーの音声が入力された場合にこれに対応する音声情報をデジタル信号に変換し、プラント監視サーバー100に転送する機能ブロックである。当該音声情報は、プラント監視サーバー100の情報解析部109で解析されるものである。上述したように、当該音声情報に機器200の測定値やステータスに係る情報が含まれていた場合には、その機器200の監視情報として監視情報データベース108に監視されることになる。
【0069】
(画像取得部307)
画像取得部307は、カメラ331から出力された、所定の画像に対応する画像情報をプラント監視サーバー100に転送する機能ブロックである。当該画像情報は、プラント監視サーバー100の情報解析部109で解析されるものである。上述したように、当該画像情報に機器200の測定値やステータスに係る情報が含まれていた場合には、その機器200の監視情報として監視情報データベース108に監視されることになる。
【0070】
(位置情報取得部308)
位置情報取得部308は、GPSアンテナ332により受信されたGPS衛星信号に基づいて当該携帯情報端末300の現在位置を取得する機能ブロックである。また位置情報取得部308は、GPS衛星信号と内蔵された方位検出デバイス(電子コンパスや方位検出ジャイロ等)の出力を参照して、当該携帯情報端末300が向いている方角を検出する。そして位置情報取得部308は、現在位置をプラント監視サーバー100との間で取り決めた形式、例えば、(緯度、経度、方角)等の組合せでプラント監視サーバー100に提供する。なお、位置情報取得部308による現在位置の取得は、GPS衛星信号を利用する代わりに、屋内用の位置情報特定システム、例えば無線LANを用いた位置特定、QR(Quick Response)コードの読み取りによる位置特定、超音波(赤外線含む)による位置特定等の技術を用いてもよい。無線LANを用いる位置特定としては、例えば通信が確立されたルーターを判別して位置を特定する。QRコード(登録商標)を用いる位置特定としては、例えば機器200に特異なQRコードを貼付し、カメラ331でQRコードを読み取ることで携帯情報端末300の近傍に存在する特定の機器200を特定する。超音波による位置特定としては、携帯情報端末300および機器200の双方に超音波通信機能を持たせ、超音波通信を行うことで携帯情報端末300と通信する機器200を特定する。
【0071】
(操作情報取得部309)
操作情報取得部309は、ユーザーが操作部333を操作することにより入力した文字情報をメモリ310に格納する機能ブロックである。メモリ310に格納された文字情報のうち、ユーザー識別情報については、携帯情報端末300とプラント監視サーバー100との通信が確立されたのち、適時にプラント監視サーバー100に送信される。
【0072】
(送信部302)
送信部302は、ネットワーク400を介して、操作情報取得部309により取得されたユーザー識別情報、位置情報取得部308により取得された位置情報、選択的に、音声取得部306により取得された音声情報、または、画像取得部307により取得された画像情報をプラント監視サーバー100へ送信するように構成されている。
【0073】
(1−4.動作)
図10に、本実施形態1に係る動作を説明するフローチャートを示す。
図10において、ステップS101〜S111は、プラント監視サーバー100において実行されるステップであり、ステップS301〜S306は、携帯情報端末300において実行されるステップである。これらの当該フローチャートの一連の処理は、定期的に、または、ユーザーが指定する任意のタイミングで繰り返し実行される。なお、以下の各ステップの処理内容は例示であり、ステップの順番を入れ替えても、複数のステップを1つのステップとして処理しても、1つのステップを複数のステップに分離して処理してもよい。
【0074】
まず、携帯情報端末300を操作するユーザーは、当該端末の電源を投入したりリセットしたりしたのち、自らのユーザー識別情報を操作部333から入力する。このユーザー識別情報は、メモリ310に格納され、監視作業に先立った適当なタイミングでプラント監視サーバー100に送信される。
【0075】
プラント監視サーバー100では、ステップS101において、ユーザー識別情報が取得されたか否かを判定し、取得された場合には(ステップS101:YES)、ステップS102に移行し、ユーザー定義情報取得部103がユーザー定義情報データベース101を参照してユーザー定義情報を取得する。
【0076】
さて、携帯情報端末300bを装着したユーザーは、プラント内を移動する。ユーザーが移動すると、携帯情報端末300では新たな現在位置が取得される。すなわち、携帯情報端末300では、ステップS301において、位置情報取得部308が新たな位置情報を取得したか否かを判定し、取得された場合には(ステップS301:YES)、ステップS302に移行し、プラント監視サーバー100に新たに取得された位置情報(緯度N,経度E,方角D)が送信される。
【0077】
プラント監視サーバー100は、ステップS103において、携帯情報端末300から新たな位置情報が取得されたか否かを判定し、取得された場合には(ステップS103:YES)、ステップS104に移行する。機器特定部104は、ステップS104において、機器定義情報データベース102を参照して、取得された位置情報(緯度N,経度E,方角D)で特定される携帯情報端末300の現在位置と所定の位置関係にある機器200を検索する。本実施形態では、現在位置の「近傍」または「正面」に位置する機器200が検索される。
【0078】
そして、ステップS105において、携帯情報端末300の現在位置と所定の位置関係にある機器200が存在するか否かが判定され、所定の位置関係にある機器200が存在していた場合(ステップS105:YES)、ステップS106に移行する。情報抽出部105は、ステップS106において、監視情報データベース108を検索し、ユーザー定義情報に基づいて、特定された機器200について、提供すべき監視情報を抽出する。すなわち、該当する機器200の「測定値」および「ステータス」を抽出して出力する。
【0079】
次いで、ステップS107に移行し、音声情報生成部106は、抽出された監視情報に基づいて携帯情報端末300において提供される音声に対応する音声情報を生成する。すなわち、音声情報生成部106は、ステップS106において抽出された監視情報と機器定義情報データベース102から読み出された機器定義情報とに基づいて、文章テンプレートデータベース107に格納されている文章テンプレートに従った文章情報を生成する。
【0080】
次いで、ステップS108に移行し、重要度決定部111は、ステップS102において取得されたユーザー定義情報と、ステップS106において抽出された監視情報とに基づいて、音声情報生成部106が生成した文章情報の重要度を決定する。
【0081】
そして、ステップS109において、送信部114は、ステップS107において生成された文章情報とステップS108で決定された重要度情報とを携帯情報端末300に送信する。
【0082】
なお、プラント監視サーバー100は、ステップS103において、新たな位置情報が取得されなかった場合には(ステップS103:NO)、当該処理ルーチンを終了する。また、ステップS105において、所定の位置関係にある機器200が存在しなかった場合(ステップS105:NO)、当該処理ルーチンを終了する。なお、新たな位置情報が取得されなかった場合(ステップS103:NO)や所定の位置関係にある機器200が存在しなかった場合(ステップS105:NO)に、ユーザーが意図的に停止の指示をするまで、文章情報の送信を繰り返し(ステップS109)、これを受けた携帯情報端末300が繰り返し音声を送出し続けるように処理してもよい(ステップS303−306)。また、携帯情報端末300は、プラント監視サーバー100のステップS109からの次の文章情報を取得するまで、前回の音声を繰り返し送出し続けるように処理してもよい(ステップS303−306)。
【0083】
携帯情報端末300は、ステップS303において、プラント監視サーバー100から文章情報が送信されたか否かを判定し、文章情報が送信されてきた場合には(ステップS303:YES)、ステップS304に移行し、音声合成部303は、音源データベース304aを参照しながら、文章情報に基づいて当該文章情報に対応する音声を発音させるための音声情報を音声合成により生成する。
【0084】
次いで、ステップS305に移行し、音声合成部303は、当該文章情報とともに送信された重要度情報をインデックスとして音声態様定義情報データベース304bを参照し、重要度情報によって特定される音声態様を取得する。
【0085】
そして、ステップS306に移行し、音声合成部303は、取得された音声態様に従って、重要度に対応した声質、繰り返し回数、音量で、音声合成された音声情報を送出することによって、ユーザーに音声を提供する。
【0086】
なお、プラント監視サーバー100が音声情報で提供される監視情報と同一内容の画像情報を携帯情報端末300に送信し、携帯情報端末300において、画像生成部305がヘッドセット320のディスプレイ322にこの画像情報を出力して表示させるように構成してもよい。音声情報と同一内容の監視情報が画像で提供されることによって、周囲のノイズ等によって万一監視情報を報知する音声を聞き逃した場合でも、画像によって監視情報の内容をユーザーに報知することができ、監視情報の確実な告知を担保可能である。
【0087】
プラント監視サーバー100では、ステップS110において、携帯情報端末300の現在位置と所定の位置関係にある機器200が他にも存在するか否かが判定され、存在する場合には(ステップS110:YES)、ステップS106〜S110の処理が繰り返される。
携帯情報端末300では、文章情報および重要度情報を受信する度に(ステップS303:YES)、ステップS304〜S306が繰り返され、現在位置と所定の位置関係にある他の機器200についての音声が提供される。
【0088】
(1−5.効果)
本実施形態1では以下のような利点を有する。
(1)本実施形態1によれば、ユーザー定義情報に基づいて機器200の監視情報が抽出されるので、不必要な監視情報が除外され、ユーザーに必要な監視情報が提供されるので、必要十分な監視情報を効率的に得ることができ、迅速かつ適正な措置をとることが可能である。
【0089】
(2)本実施形態1によれば、必要十分な監視情報が音声でユーザーに提供されるので、監視作業中のユーザーの視認作業や手足による確認作業を妨げることなく、必要十分な監視情報をユーザーに知得させることが可能である。
【0090】
(3)本実施形態1によれば、ユーザーの「所属」に応じて監視情報が抽出されるので、所属に応じて監視作業の内容を異ならせている場合に、所属に応じた適切な監視情報を提供することが可能である。
【0091】
(4)本実施形態1によれば、ユーザーの「職責」に応じて監視情報が抽出されるので、職責に応じて監視作業の内容を異ならせている場合に、職責に応じた適切な監視情報を提供することが可能である。
【0092】
(5)本実施形態1によれば、ユーザーの「プリファランス」に応じて監視情報が抽出されるので、ユーザーが監視作業における特別な関心事について登録しておくことで、ユーザーの関心事に対応した適切な監視情報を提供することが可能である。
【0093】
(6)本実施形態1によれば、携帯情報端末300と機器200との位置関係が「近傍」である場合に監視情報を抽出可能に構成したので、ユーザーが機器200の方角を向いていない場合であっても監視情報を提供して注意を喚起することが可能である。
【0094】
(7)本実施形態1によれば、携帯情報端末300と機器200との位置関係が「正面」である場合に監視情報を抽出可能に構成したので、ユーザーが機器200の方角を向いており、ユーザーが監視対象となる機器200に注意を払っている際に適切な監視情報を提供することが可能である。
【0095】
(8)本実施形態1によれば、ユーザーの「所属」、「職責」、携帯情報端末300と機器200との「位置関係」に応じて重要度を変更して設定でき、ユーザーに提供される音声態様を変更できるので、ユーザーが機器200の方角を向いており、「所属」、「職責」、「位置関係」に応じた適切な音声態様で機器200の監視情報を提供することが可能である。
【0096】
(9)本実施形態1によれば、機器200の「ステータス」が「NG」である場合に高い重要度を設定し、高い重要度に対応した音声態様で音声を提供できるので、機器200が異常状態である際に、遅滞なくユーザーの注意を喚起することが可能である。
【0097】
(10)本実施形態1によれば、ユーザーが「プリファランス」を登録している場合に高い重要度が設定され、高い重要度に対応した音声態様で音声を提供できるので、ユーザーに関心事が存在する場合にユーザーの関心事に対応する監視情報を適切に提供することが可能である。
【0098】
(2.実施形態2)
本発明の実施形態2は、プラント監視サーバー側が提供した機器の識別情報に基づいて、携帯情報端末側で直接機器の監視情報を取得し、取得した監視情報に基づく音声を提供する態様に関する。
【0099】
(2−1.プラント監視システム)
図11に、実施形態2に係るプラント監視システムの概要を説明するシステム図を示す。
図11に示すように、本実施形態に係るプラント監視システム1000bは、プラント監視サーバー100b、各種の監視対象となる機器200b−1、2、3、…、N(以下、機器を特定する必要がない場合には単に「機器200b」と呼ぶ。)、携帯情報端末300b、コントローラー500、フィールド機器通信バス401、および上位ネットワーク400を備えている。コントローラー500、フィールド機器通信バス401、および上位ネットワーク400については、上記実施形態1と同じであるため説明を省略する。
【0100】
本実施形態2にかかるプラント監視システム1000bは、プラント監視サーバー100bが上位ネットワーク400を介して携帯情報端末300bと通信可能に接続され、各機器200bからの監視情報がコントローラー500を介してプラント監視サーバー100bに提供される点では、上記実施形態1のプラント監視システム1000と同様である。
【0101】
ただし、本実施形態2に係るプラント監視システム1000bでは、機器200bおよび携帯情報端末300bが直接的に相互通信可能に構成されている点で、上記実施形態1と異なる。具体的に、本実施形態2に係る機器200bと携帯情報端末300bとは、無線通信可能に構成されており、携帯情報端末300bはプラント監視サーバー100bの仲介無しに機器200bから直接監視情報を取得することが可能になっている。この無線通信の通信プロトコルに限定はないが、近距離通信が可能な方式であれば、無線LAN、赤外線短距離通信規格、近距離無線通信規格等を採用可能である。
【0102】
(2−2.プラント監視サーバー100b)
図12に、本実施形態2に係るプラント監視サーバーのブロック図を示す。
図12に示すように、プラント監視サーバー100bは、携帯情報端末300からユーザー識別情報、位置情報、選択的に、音声情報および画像情報等を受信する点で上記実施形態1と同じであるが、音声情報および重要度情報に代えて、装置識別情報およびユーザー定義情報を携帯情報端末300bへ提供する点で上記実施形態1と異なる。
【0103】
図12に示すように、本実施形態2に係るプラント監視サーバー100bは、データベースとして、上記実施形態1と同様のユーザー定義情報データベース101、機器定義情報データベース102、監視情報データベース108を備えているが、上記実施形態1の文章テンプレートデータベース107および重要度定義データベース112を備えていない。本実施形態2では、携帯情報端末300b側で音声情報を生成するからである。なお、本実施形態2では、携帯情報端末300が機器200から直接監視情報を取得可能に構成するので、機器200の監視情報を特定の場所に蓄積しておく必要がない場合には、プラント監視サーバー100bは監視情報データベース108を備えていなくてもよい。
【0104】
また本実施形態2に係るプラント監視サーバー100bは、受信部113および送信部114の他に、機能ブロックとして、ユーザー定義情報取得部103、機器特定部104、情報抽出部105b、情報解析部109、および監視情報更新部110を備える。本実施形態2に係るプラント監視サーバー100bは、音声情報生成部106および重要度決定部111を備えていない点並びに情報抽出部105bが装置識別情報およびユーザー定義情報を抽出する点で、上記実施形態1と異なる。受信部113、ユーザー定義情報取得部103、機器特定部104、情報解析部109、および監視情報更新部110については、上記実施形態1と同様であるため説明を省略する。以下、上記実施形態1と異なる機能ブロックを中心に説明する。なお、本実施形態2では、携帯情報端末300が機器200から直接監視情報を取得可能に構成するので、プラント監視サーバー100bは情報解析部109や監視情報更新部110を備えていなくてもよい。
【0105】
(情報抽出部105b)
情報抽出部105bは、機器定義情報データベース102を検索し、特定された機器の識別情報を抽出する機能ブロックである。具体的には、情報抽出部105は、機器特定部104が「近傍」または「正面」であると判定した機器200について機器IDをインデックスとして機器定義情報データベース102を検索し、該当する機器200の「機器ID」を抽出して出力する。例えば、「近傍」に位置すると判定された機器200が温度センサであった場合、情報抽出部105bは、機器定義情報データベース102から温度センサの機器ID「1003」を抽出する。「正面」に位置すると判定された機器200がファンであった場合、情報抽出部105bは、機器定義情報データベース102からファンの機器ID「1006」を抽出する。また情報抽出部105bは、ユーザー定義情報取得部103が取得したユーザー定義情報を送信部114に出力する。
【0106】
(送信部114)
送信部114は、ネットワーク400を介して、情報抽出部105bが抽出した機器識別情報、および、ユーザー定義情報取得部103が取得したユーザー定義情報を携帯情報端末300bへ送信するように構成されている。
【0107】
(2−3.携帯情報端末300b)
本実施形態2に係る携帯情報端末300bは、上記プラント監視サーバー100bと通信可能に構成され、プラント監視サーバー100bから提供された機器200bの機器識別情報およびユーザー定義情報の一部を、当該機器識別情報に対応付けられた機器200bと通信し、これに対応して当該機器200bから提供された監視情報を取得し、当該監視情報に対応する音声を発音させるための音声情報を生成するように構成されている。携帯情報端末300bは、少なくとも通信機能、位置検出機能、音声発生機能を有する携帯可能なコンピューター装置であり、本実施形態1と同様に、ウェアラブルコンピューターである。ただし、携帯情報端末300bは、その他のハードウェア態様として、HMD、スマートフォン、ノート型またはラップトップ型パーソナルコンピューター、携帯電話、PDA等を使用することも可能である。
【0108】
図13に本実施形態2に係る携帯情報端末300bのブロック図を示す。
図13に示すように、携帯情報端末300bは、ウェアラブルコンピューターとしての構成を備えており、受信部301、送信部302、およびメモリ310とともに、機能ブロックとして、音声合成部303b、画像生成部305、音声取得部306、画像取得部307、位置情報取得部308、操作情報取得部309、および機器通信部311を備えている。また携帯情報端末300bは、データベースとして、音源データベース304aを備えている。
【0109】
携帯情報端末300bの各構成のうち、受信部301、送信部302、およびメモリ310とともに、機能ブロックとして、音声合成部303b、画像生成部305、音声取得部306、画像取得部307、位置情報取得部308、および操作情報取得部309については、上記実施形態1と同様であるため説明を省略する。以下、上記実施形態1と異なる構成について説明する。
【0110】
(機器通信部311)
プラント監視サーバー100bから提供された機器識別情報およびユーザー定義情報の一部を監視対象となっている機器200bに送信し、当該識別情報に対応付けられた機器200bと通信網402経由で通信する機能ブロックである。具体的には、機器通信部311は、ユーザー定義情報を参照して、機器識別情報により特定される機器200bが監視対象であるのか否かを判定し、監視対象であると判定した場合に機器IDを監視対象となっている機器200bに送信する。具体的には、ユーザーは、「プリファランス」にユーザーの関心事を特定することができる。例えば、監視したい機器200bを識別する情報を「プリファランス」に登録しておくことができる。機器通信部311は、ユーザー定義情報の「プリフェランス」を参照して、機器識別情報により特定される機器200bがユーザーの監視対象として「プリフェランス」に登録されている場合に当該機器200bを監視対象とする。また例えば、ユーザーは監視したい機器200bを複数グループとして登録することも可能である。具体的には、監視対象として「プリフェランス」に「測定機器」と登録したり「制御機器」と登録したりすることができる。グループとして登録されている場合には、機器識別情報により特定される機器200bが「プリフェランス」に登録されているグループに属する場合に当該機器200bを監視対象とすることになる。例えば、「プリフェランス」に「測定機器」と登録されていた場合には、機器200bが圧力センサ、温度センサ、流量センサなどの「測定機器」である場合に監視対象となる。
【0111】
機器200b側では、当該機器識別情報を受信すると、自らが監視対象となっていることを認識し、携帯情報端末300bに自らの監視情報を送信するように動作する。なお、携帯情報端末300bと機器200bとの通信網402に適用する通信規格は、上述したような近距離無線通信規格が好適であるが、その他の通信規格に準拠していてもよい。
【0112】
(音声合成部303b)
音声合成部303bは、監視対象となっている機器200bから提供された監視情報を取得し、当該監視情報に対応する音声を発音させるための音声情報を生成する機能ブロックである。具体的には、上記実施形態1の音声合成部303と同様に、監視情報が送信されてきたら、音声合成部303bは、音源データベース304aを参照し、波形データを用いて音声合成することにより、当監視情報に対応する音声を発音させるための音声情報を生成する。音声情報に対応した音声は、ヘッドセット320のスピーカー321から当該ヘッドセット320を装着するユーザーに提供される。
【0113】
(2−4.動作)
図13に、本実施形態2に係る動作を説明するフローチャートを示す。
図13において、ステップS121〜S127は、プラント監視サーバー100bにおいて実行されるステップであり、ステップS321〜S326は、携帯情報端末300bにおいて実行されるステップであり、ステップS201〜S202は、機器200bにおいて実行されるステップである。これらの当該フローチャートの一連の処理は、定期的に、または、ユーザーが指定する任意のタイミングで繰り返し実行される。なお、以下の各ステップの処理内容は例示であり、ステップの順番を入れ替えても、複数のステップを1つのステップとして処理しても、1つのステップを複数のステップに分離して処理してもよい。
【0114】
図13において、携帯情報端末300を操作するユーザーは、当該端末の電源を投入したりリセットしたりしたのち、自らのユーザー識別情報を操作部333から入力する。このユーザー識別情報は、メモリ310に格納され、監視作業に先立った適当なタイミングでプラント監視サーバー100bに送信される。
【0115】
プラント監視サーバー100bでは、ステップS121において、ユーザー識別情報が取得されたか否かを判定し、取得された場合には(ステップS121:YES)、ステップS122に移行し、ユーザー定義情報取得部103がユーザー定義情報データベース101を参照してユーザー定義情報を取得する。
【0116】
さて、携帯情報端末300bを装着したユーザーは、プラント内を移動する。ユーザーが移動すると、携帯情報端末300bでは新たな現在位置が取得される。すなわち、携帯情報端末300bでは、ステップS321において、位置情報取得部308が新たな位置情報を取得したか否かを判定する。新たな位置情報が取得された場合には(ステップS321:YES)、ステップS322に移行し、プラント監視サーバー100bに新たに取得された位置情報(緯度N,経度E,方角D)が送信される。
【0117】
プラント監視サーバー100bは、ステップS123において、携帯情報端末300bから新たな位置情報が取得されたか否かを判定し、取得された場合には(ステップS123:YES)、ステップS124に移行する。機器特定部104は、ステップS124において、機器定義情報データベース102を参照して、取得された位置情報(緯度N,経度E,方角D)で特定される携帯情報端末300bの現在位置と所定の位置関係にある機器200bを検索する。所定の位置関係にある機器200bとして、例えば、現在位置の「近傍」または「正面」に位置する機器200bが検索される。
【0118】
そして、ステップS125において、携帯情報端末300bの現在位置と所定の位置関係にある機器200bが存在するか否かが判定され、所定の位置関係にある機器200bが存在していた場合(ステップS125:YES)、ステップS126に移行する。情報抽出部105bは、ステップS126において、機器定義情報データベース102を検索し、所定の位置関係にある機器200bの機器識別情報である「機器ID」を抽出する。また、ユーザー定義情報取得部103が取得したユーザー定義情報として当該ユーザーの「ユーザーID」に対応付けられたレコードの「所属」、「職責」、「プリファランス」(
図4参照)を転送する。抽出された装置識別情報およびユーザー定義情報は、ステップS127において、送信部114から携帯情報端末300bに送信される。
【0119】
なお、プラント監視サーバー100bは、ステップS123において新たな位置情報が取得されなかった場合には(ステップS123:NO)、当該処理ルーチンを終了する。また、ステップS125において、所定の位置関係にある機器200bが存在しなかった場合(ステップS125:NO)、当該処理ルーチンを終了する。
【0120】
携帯情報端末300bは、ステップS323において、プラント監視サーバー100bから装置識別情報およびユーザー定義情報が送信されたか否かを判定する。送信されてきた場合には(ステップS323:YES)、ステップS324に移行し、機器通信部311は、ユーザー定義情報を参照して、機器識別情報により特定される機器200bが監視対象であるのか否かを判定する。例えば、ユーザー定義情報の「プリフェランス」を参照して、所定の位置関係にある機器200bがユーザーの関心事のある監視対象として「プリフェランス」に登録されているか否かを判定する。監視対象の機器200bであった場合(ステップS324:YES)、ステップS325に移行し、機器通信部311は対象機器の機器識別情報として例えば機器IDを送信する。なお、機器識別情報の送信は機器200b側で通信準備のためであり、必須の情報ではない。例えば、機器識別情報に代えて、携帯情報端末300bが直接通信を欲している旨の通信確立情報を送受信してもよい。また直接監視情報の要求ステップ(S326)に移行してもよい。
【0121】
機器200bでは、ステップS201において、機器識別情報を受信したら、自らが監視対象となっていることを知り、監視情報の送信に必要な準備をする。
【0122】
携帯情報端末300bでは、ステップS326に移行し、機器通信部311が機器200bに監視情報を要求するコマンドを送信する。機器200bは、監視情報を要求するコマンドを受信したら、ステップS202において、自らの監視情報を携帯情報端末300bへ送信する。例えば、監視対象となっている機器200bが測定機器であれば直近の測定値を送信する。また監視対象となっている機器200bが制御機器であれば現在の動作状況をステータスとして送信する。
【0123】
携帯情報端末300bでは、監視情報を受信したら、ステップS327において、音声合成部303が、当該監視情報をユーザーに報知するための音声情報を音声合成により生成する。音声合成により生成された音声情報は、ヘッドセット320のスピーカー321に供給され、監視情報を報知する音声としてユーザーに提供される。
【0124】
なお、音声情報として提供される監視情報は、画像生成部305が画像情報として生成し、ヘッドセット320のディスプレイ322に出力して表示させるように構成してもよい。音声情報と同一内容の監視情報が画像で提供されることによって、周囲のノイズ等によって万一監視情報を報知する音声を聞き逃した場合でも、画像によって監視情報の内容をユーザーに報知することができ、監視情報の確実な告知を担保可能である。
【0125】
また、音声合成により生成する音声情報は、例えば、機器200bから送信された監視情報である測定値やステータスをそのまま読み上げる簡単なものでもよいし、上記実施形態1のプラント監視サーバー100における音声情報生成部106が実行していた複雑なものでもよい。このように構成する場合、音声合成部303bは、文章テンプレートデータベースをさらに備える。また上記実施形態1において適用した重要度に応じた音声態様の変更を実行するように構成してもよい。このように構成する場合、重要度定義データベースおよび音声態様データベースをさらに備える。
【0126】
ステップS328において、ユーザーが操作部333を操作してさらなる監視情報の提供を指示した場合(ステップS328:NO)、携帯情報端末300bは再びステップS326〜S327の処理を続行し、機器200bはそれに対応して監視情報をさらに返信する(ステップS202)。当該機器200bに対する監視を終了する場合には(ステップS328:YES)、当該処理を終了する。
【0127】
なお、携帯情報端末300bにおいて、装置識別情報およびユーザー定義情報の送信がない場合(ステップS323:NO)並びにユーザー定義情報から監視対象機器200bではないと判断される場合(ステップS324:NO)、当該処理を一旦終了する。
【0128】
(2−5.効果)
本実施形態2では以下のような利点を有する。
(1)本実施形態2によれば、携帯情報端末300bが機器200bと直接通信して監視情報を取得可能に構成されており、プラント監視サーバー100bと携帯情報端末300bとが通信するのは、ユーザーが現在位置を移動した場合のみである(
図14:ステップS321)。よって、プラント監視サーバー100bと携帯情報端末300bとの通信量を些少にし、プラント監視サーバー100bの処理負担を軽減することができる。携帯情報端末300bの情報処理能力が比較的高い場合に有効な実施形態である。
【0129】
(2)本実施形態2によれば、ユーザー定義情報に基づいて監視対象とする機器200bが選択されるので、ユーザーが特に監視対象としたい1以上の機器200bを事前登録しておけば、ユーザーがそれらの機器200bから所定の位置関係となる度に、例えば「近傍」を通過する度に、その機器200bの監視情報が音声にて提供される。よって、ユーザーは監視対象としたい機器200bの位置を予め調べることなく、プラント内を任意に歩き回るだけで、必要な監視情報を取得することが可能である。
【0130】
(3)本実施形態2によれば、上記実施形態1と同様に、必要十分な監視情報が音声でユーザーに提供されるので、監視作業中のユーザーの視認作業や手足による確認作業を妨げることなく、必要十分な監視情報をユーザーに知得させることが可能である。
【0131】
(6.変形例)
本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を変更しない限度において様々な変形が可能である。例えば以下のような変形が可能である。
(6−1)上記実施形態では、監視対象となる機器200として流量センサ、温度センサ、圧力センサ等の測定機器およびバルブ、ヒーター、ポンプ、ファン等の制御機器を対象としたが、これらに限られない。ユーザーが利用可能な情報を出力可能な装置であれば、測定機器や制御機器の概念から外れる装置・機械を監視対象とすることが可能である。例えば、コンピューター装置を備えた工作機械、圧延装置、印刷装置、その他任意のものを監視対象とすることが可能である。
【0132】
(6−2)上記実施形態では、ユーザー定義情報データベース101に格納するユーザー定義情報として、「ユーザーID]、「所属」、「職責」、「プリファランス」を例示したが、これらに限られない。ユーザーの特徴を示す情報であれば、他の社会的、技術的、観点的概念によってユーザーを定義する情報を適用することができる。
【0133】
(6−3)上記実施形態では、機器定義情報データベース102に格納する機器定義情報として、「機器ID」、「設置位置」、「種別」、「測定制御対象」、「適正範囲」、「単位」を例示したが、これらに限られない。機器の特徴を示す情報であれば、これら情報に加えて、または、これら情報の一部に代えて適用することが可能である。これら情報一部は、監視情報データベース108に格納される情報とも一部重複するため、重複する情報を省略してもよい。
【0134】
(6−4)上記実施形態では、監視情報データベース108に格納する監視情報として、「機器ID」、「種別」、「測定制御対象」、「測定値」、「ステータス」を例示したが、これらに限られない。機器200が出力可能な情報であれば、これら情報に加えて、または、これら情報の一部に代えて適用することが可能である。これら情報一部は、監視情報データベース108に格納される情報とも一部重複するため、重複する情報を省略してもよい。
【0135】
(6−5)上記実施形態1では、文章テンプレートデータベース107として測定機器用の文章および制御機器用の文章を例示したが、これら文章は例示に過ぎず、当然ながら異なる文章としてよい。文章テンプレートの数も、機器の種別や状況に応じてさらに増やしてもよい。また重要度に応じて異なる文章テンプレートを読み出して文章情報を生成するように構成してもよい。例えば、装置の動作状態がNGであるなど、緊急時に特別な注意を喚起可能な文章を適用するようにすることができる。
【0136】
(6−6)上記実施形態1における重要度定義データベース112に格納される設定は例示に過ぎず、これらに限られない。重要度に応じて、どのようなユーザー定義情報や監視情報を対応付けるのかは任意である。また重要度も「1」〜「3」の3段階としたのは例示に過ぎず、さらに多段階としてもよいし、2段階に抑えてもよい。
【0137】
(6−7)上記実施形態1では、音声態様定義情報として、「声質」、「回数」、「音量」で態様を変更するものを例示したが、これに限られない。変更することによりユーザーに重要度の違いを認識させることが可能な音響要素であれば、その他のものを追加可能である。例えば、音声再生の速度を変えたり音声に合わせて警報音、効果音等を加えたりしてもよい。
【0138】
(6−8)上記実施形態2では、携帯情報端末300bが機器200bの位置情報を送信し、プラント監視サーバー100bが位置情報に基づき検査対象となる機器200bのタグ情報として装置識別情報およびユーザー定義情報を送信するように構成したが、これに限られない。携帯情報端末300bにおいて必要となる情報であれば、異なる情報をプラント監視サーバー100bから携帯情報端末300bに送信するようにしてもよい。例えば、プラント監視サーバー100bが監視対象となる機器200bの過去の測定値やステータスを送信し、携帯情報端末300bがこれら過去の測定値やステータス情報をユーザーに音声で提供するようにしてもよい。このように構成すれば、ユーザーは監視対象となる機器200bの現在の測定値やステータスと過去の測定値やステータスとを比較することができ、測定値の変遷やステータスの変化状態を認識することができるので、機器200bの動作状態をより的確に把握し診断することができる。
【0139】
(6−9)上記実施形態2では、携帯情報端末300bがユーザー識別情報および位置情報を送信し、プラント監視サーバー100bがタグ情報として装置識別情報およびユーザー定義情報を送信するように構成したが、これに限られない。携帯情報端末300bの情報処理能力がさらに高ければ、プラント監視サーバー100b側の処理の一部または全部を携帯情報端末300bで実施させてもよい。例えば、携帯情報端末300bがユーザー定義情報データベース101、機器定義情報データベース102、監視情報データベース108に相当する情報を自ら保有したり、クラウドサーバーに保有してアクセス可能に構成したりしてもよい。このように構成すれば、携帯情報端末300bはプラント監視サーバー100bを介することなく、直接機器200bと通信して必要な監視情報を取得することができる。
【0140】
(6−10)上記実施形態1では、プラント監視サーバー100が文章情報(テキスト)を生成し、携帯情報端末300が音声合成により当該文章情報に対応する音声情報(音声データ)を生成するように構成していたが、これに限られない。例えばプラント監視サーバー100側で音声合成により音声情報を生成して送信し、携帯情報端末300側で当該音声情報を発音させるように構成してもよい。このような構成によれば、携帯情報端末300における情報処理負荷を軽減することが可能である。