(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下記(a)成分、(b)成分、(c)成分及び水を含有し、(a)成分の含有量と(c)成分の含有量との質量比が、(c)成分/(a)成分で、0.1以上、8以下であり、(a)成分の含有量と(c)成分の含有量の合計が0.5質量%以上、5質量%以下であり、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量の合計が、3質量%以上、70質量%以下である、衣料用液体洗浄剤組成物に関する。
(a)成分:LogPが3以上、5以下である香料化合物
(b)成分:下記一般式(1)で表される陰イオン界面活性剤
RO−〔(AO)p/(EO)q〕−SO3M (1)
〔式中、Rは炭素数8以上、22以下の炭化水素基を示し、AOは炭素数3のアルキレンオキシ基及び炭素数4のアルキレンオキシ基から選ばれるアルキレンオキシ基を示し、EOはエチレンオキシ基を示し、p及びqは平均付加モル数を示し、pは0.5以上、5以下の数、qは0以上、10以下の数である。“/”はAO基及びEO基がランダム又はブロックのいずれに結合したものであってもよいことを示す。Mは陽イオンである。〕
(c)成分:総炭素数3以上、8以下のカルボン酸及びその塩から選ばれる1種以上の化合物であって、以下の(c1)及び(c2)から選ばれる1種以上の化合物
(c1)総炭素数が3以上、7以下である2価のカルボン酸、及び総炭素数が4以上、7以下である3価のカルボン酸、並びにこれらの塩から選ばれる1種以上の化合物。
(c2)総炭素数が7又は8であり分子内に芳香族基を有する1価のカルボン酸、及びこれらの塩から選ばれる1種以上の化合物。
更に(d)成分として、下記一般式(2)で表される非イオン界面活性剤を含有し、(b)成分の含有量と(d)成分の含有量との質量比が、(d)成分/(b)成分で、0.1以上、10以下である、請求項1記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
R1O−(EO)m−H (2)
〔式中、R1は炭素数8以上、18以下の炭化水素基を示し、EOはエキレンオキシ基を示し、mは平均付加モル数を示し、1以上、10以下の数である。〕
更に(f)成分として、炭素数12以上、18以下の脂肪酸及びその塩を含有し、(c)成分の含有量に対する(f)成分の含有量の質量比が、(f)成分/(c)成分で、2以上、8以下である、請求項1又は2に記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
水1リットルに対して、請求項1〜5の何れかに記載の衣料用液体洗浄剤組成物を0.1g以上、2g以下の割合で添加して調製した洗浄液で、衣料の質量(kg)と前記洗浄液の量(リットル)で表される浴比が、洗浄液の量(リットル)/衣料の質量(kg)=3以上、50以下の条件で、衣料を1分間以上、7分間以下洗浄する、衣料の洗浄方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者らは、(a)成分と(c)成分を特定の質量比で配合し、(b)成分を配合することで、洗浄時間が十分な標準コースと同等の香りを、洗浄時間が短くても達成できることを見出した。以下、本発明について説明するが、「接触時間が十分な標準コースと同等の香調を、同等の強さで、洗浄時間が短くても達成できる」という意味を「着香速度が速い」又は「着香速度が向上できる」と表現する場合がある。
【0013】
<(a)成分>
(a)成分は、LogPが3以上、5以下である香料化合物である。残香性の点で、(a)成分のLogPは、3.2以上が好ましい。また、4.8以下が好ましく、4.6以下がより好ましい。ここで、LogPとは、有機化合物の水と1−オクタノールに対する親和性を示す係数である。1−オクタノール/水分配係数Pは、1−オクタノールと水の2液相の溶媒に微量の化合物が溶質として溶け込んだときの分配平衡で、それぞれの溶媒中における化合物の平衡濃度の比であり、底10に対するそれらの対数LogPの形で示すのが一般的である。
【0014】
多くの化合物のLogP値が報告され、Daylight Chemical Information Systems, Inc. (Daylight CIS)などから入手しうるデータベースには多くの値が掲載されているので参照できる。実測のLogP値がない場合には、Daylight CISから入手できるプログラム“CLOGP"で計算すると最も便利である。このプログラムは、実測のLogP値がある場合にはそれと伴に、Hansch, Leoのフラグメントアプローチにより算出される“計算LogP(ClogP)”の値を出力する。
【0015】
フラグメントアプローチは化合物の化学構造に基づいており、原子の数及び化学結合のタイプを考慮している(cf. A. Leo, Comprehensive Medicinal Chemistry, Vol.4, C. Hansch, P.G. Sammens, J.B. Taylor and C.A. Ramsden, Eds., p.295, Pergamon Press, 1990)。このCLogP値は現在最も汎用的で信頼できる推定値であるので、化合物の選択に際して実測のLogP値の代わりに用いることができる。本発明では、LogPの実測値があればそれを、無い場合はプログラムCLOGP v4.01により計算したCLogP値を用いる。
【0016】
LogPが3以上、5以下の香料化合物として、例えば
i)α−ピネン(4.2)、β−ピネン(4.2)、カンフェン(4.2)、リモネン(4.4)、テルピノーレン(4.4)、ミルセン(4.3)、p−サイメン(4.1)から選ばれる、香料として用いられる炭化水素化合物、
ii)サンダルマイソールコア(3.9)、サンタロール(3.9)、l−メントール(3.2)、シトロネロール(3.3)、ジヒドロミルセノール(3.0)、エチルリナロール(3.1)、ムゴール(3.0)、ネロリドール(4.6)から選ばれる、香料として用いられるアルコール、
iii)アルデヒドC−111(4.1)、グリーナール(3.1)、シトラール(3.1)、シトロネラール(3.3)、アミルシンナミックアルデヒド(4.3)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(4.9)、リリアール(3.9)、ジヒドロジャスモン(3.1)、イオノンα(3.7)、メチルイオノンα(4.2)、メチルイオノンG(4.0)から選ばれる、香料として用いられるアルデヒド化合物、香料として用いられるケトン化合物、
iv)ヘプチルアセテート(3.4)、シトロネリルアセテート(4.2)、ゲラニルアセテート(3.7)、リナリルアセテート(3.5)、エチルシンナメート(3.0)、ベンジルサリシレート(4.2)、イソブチルサリシレート(3.9)から選ばれる、香料として用いられるエステル化合物、
v)チモール(3.4)、バニトロープ(3.1)から選ばれる、香料として用いられるフェノール化合物、
vi)シトロネリルエチルエーテル(4.4)、アネトール(3.3)、ネロリンヤラヤラ(3.2)、エステラゴール(3.1)、メチルイソオイゲノール(3.0)から選ばれる、香料として用いられるエーテル化合物
を挙げることができる。なお、( )内はLogP値である。
【0017】
(b)成分であるポリオキシアルキレン基に溶け込みやすく、洗浄液中で(b)成分と共に衣料に接触しやすい点で、(a)成分は、環状構造を有するLogPが3以上、5以下の香料化合物を含むことが好ましい。環状構造としては、炭素数5、炭素数6、炭素数7又は炭素数10の環状炭化水素基が挙げられる。
【0018】
環状構造を有するLogPが3以上、5以下の香料化合物として、具体的には、
vii)α−ピネン(4.2)、β−ピネン(4.2)、カンフェン(4.2)、リモネン(4.4)、テルピノーレン(4.4)、p−サイメン(4.1)から選ばれる、香料として用いられる炭化水素化合物、
viii)サンダルマイソールコア(3.9)、サンタロール(3.9)、l−メントール(3.2)、から選ばれる、香料として用いられるアルコール、
ix)アミルシンナミックアルデヒド(4.3)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(4.9)、リリアール(3.9)、ジヒドロジャスモン(3.1)、イオノンα(3.7)、メチルイオノンα(4.2)、メチルイオノンG(4.0)から選ばれる、香料として用いられるアルデヒド化合物、香料として用いられるケトン化合物、
x)エチルシンナメート(3.0)、ベンジルサリシレート(4.2)、イソブチルサリシレート(3.9)から選ばれる、香料として用いられるエステル化合物、
xi)チモール(3.4)、バニトロープ(3.1)から選ばれる、香料として用いられるフェノール化合物、
xii)アネトール(3.3)、ネロリンヤラヤラ(3.2)、エステラゴール(3.1)、メチルイソオイゲノール(3.0)から選ばれる、香料として用いられるエーテル化合物
を挙げることができる。
【0019】
本発明では、(a)成分以外の香料化合物として、LogPが3未満、好ましくは2.8以下の香料を使用することができる。LogPが3未満の香料としては、たとえば、テルピネオール(2.6)、ゲラニオール(2.8)、リナロール(2.6)、ミルセノール(2.6)、ネロール(2.8)、シス−ジャスモン(2.6)、フェニルエチルアセテート(2.1)、アリルアミルグリコレート(2.5)、リファローム(2.3)、シス−3−ヘキシルアセテート(2.3)、スチラリルアセテート(2.3)、o−t−ブチルシクロヘキサノン(2.3)、p−t−ブチルシクロヘキサノン(2.3)、アセチルオイゲノール(2.8)、シンナミルアセテート(2.4)、オイゲノール(2.4)、イソオイゲノール(2.6)、モスシンス(2.9)、アニソール(2.1)、メチルオイゲノール(2.8)、クマリン(1.4)、フェニルエチルアルコール(1.2)等を挙げることができる。
【0020】
本発明では、全香料化合物中、(a)成分の比率が40質量%以上、更に50質量%以上、更に60質量%以上、そして、90質量%以下、更に80質量%以下、更に75質量%以下であることが好ましい。
本発明では、(a)成分中、環状構造を有する(a)成分の比率が30質量%以上、更に40質量%以上、更に50質量%以上、そして、80質量%以下であることが好ましい。
【0021】
香料化合物は「香料と調香の基礎知識」(中島基貴 著、産業図書株式会社発行、1996年第2版)や、「香料の実際知識」(印藤元一 著、東洋経済新報社発行、1985年第2版)を参考にすることができる。
【0022】
<(b)成分>
(b)成分は、(a)成分と併用することで、(b)成分を含む液体洗浄剤組成物と水とを含有する組成物と衣料との接触時間が短時間でも、接触後の脱水直後の衣料に香りを付与することができる。
【0023】
本発明で用いられる(b)成分の陰イオン界面活性剤は、下記一般式(1)で表される化合物である。
RO−〔(AO)
p/(EO)
q〕−SO
3M (1)
〔式中、Rは炭素数8以上、22以下の炭化水素基を示し、AOは炭素数3のアルキレンオキシ基及び炭素数4のアルキレンオキシ基から選ばれるアルキレンオキシ基を示し、EOはエチレンオキシ基を示し、p及びqは平均付加モル数を示し、pは0.5以上、5以下の数、qは0以上、10以下の数である。“/”はAO基及びEO基がランダム又はブロックのいずれに結合したものであってもよいことを示す。Mは陽イオンである。〕
【0024】
(b)成分の一般式(1)中、Rは炭素数8以上、22以下の炭化水素基である。Rは、洗浄工程の後の脱水後の衣料から(a)成分である香料由来の香りを香らせる点で炭素数8以上であり、10以上、更に12以上が好ましく、そして、16以下、更に14以下が好ましい。Rの炭化水素基としては、原料の入手性の点から、アルキル基、アルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。Rは、(a)成分である香料化合物由来の香りを香らせる点や原料の入手性の点から、直鎖の炭化水素基が好ましい。Rは、炭素数12以上、14以下のアルキル基、更に直鎖アルキル基が好ましい。一般式(1)において酸素原子に結合するRの炭素原子は第1級の炭素原子が好ましい。
【0025】
一般式(1)中のAOである炭素数3のアルキレンオキシ基及び炭素数4のアルキレンオキシ基から選ばれるアルキレンオキシ基としては、オキシトリメチレン基、オキシプロパン−1,2−ジイル基、オキシブタン−1,2−ジイル基、オキシブタン−1,3−ジイル基、オキシブタン−2,3−ジイル基、オキシテトラメチレン基から選ばれる1種以上の基が挙げられる。入手性の点から、オキシプロパン−1,2−ジイル基〔一般的にプロピレンオキシ基と呼ばれることもある。〕、オキシブタン−1,2−ジイル基(一般的にブチレンオキシ基と呼ばれることもある。)がより好ましく、特にオキシプロパン−1,2−ジイル基が最も好ましい。
【0026】
一般式(1)中のpは、AOの平均付加モル数であり、0.5以上、5以下の数である。洗浄工程の後の脱水後の衣料に対する残香性を高める点から、pは、好ましくは0.8以上であり、より好ましくは1以上であり、更に好ましくは1.5以上であり、より更に好ましくは1.8以上である。洗浄工程の後の脱水後の衣料に対する残香性を高める点から、pは、5以下であり、好ましくは4以下であり、より好ましくは3以下である。
【0027】
一般式(1)中のqは、EOの平均付加モル数であり、洗浄工程の後の脱水後の衣料から(a)成分である香料由来の香りを強く香らせる点から、0以上、10以下の数である。qは、好ましくは0.5以上であり、より好ましくは0.8以上であり、更に好ましくは1以上、より更に好ましくは2以上の数である。洗浄工程の後の脱水後の衣料に対する残香性を高める点から、qは、10以下であり、好ましくは8以下であり、より好ましくは5以下であり、更に好ましくは3以下の数である。
【0028】
一般式(1)の陰イオン界面活性剤は、衣料に(a)成分由来の香りを強く付与できる点で、AOとEOとがブロックで結合していることが好ましい。その場合、RO−に、(AO)
p−(EO)
q−の順にブロック結合していることが好ましい。すなわち、一般式(1)の陰イオン界面活性剤としては、RO−(AO)
p−(EO)
q−SO
3Mで表される化合物が好ましい。
【0029】
また、一般式(1)中のMは陽イオンである。Mの好ましい例は、水素イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、及び炭素数1以上、6以下のアルカノールアンモニウムイオンが挙げられる。
【0030】
アルカリ金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオンが挙げられ、アルカリ土類金属イオンとしては、マグネシウムイオンが挙げられ、炭素数1以上、6以下のアルカノールアンモニウムイオンとしては、モノエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオンが挙げられる。これらの中では、洗浄力の点で、ナトリウムイオン、カリウムイオンのアルカリ金属イオン又はモノエタノールアンモニウムイオンが好ましく、モノエタノールアンモニウムイオンがより好ましい。
【0031】
一般式(1)で表される陰イオン界面活性剤の製法は特に限定されない。例えば、炭素数8以上、22の炭化水素基を有するアルコール、好ましくは炭素数10以上、14以下の直鎖1級の脂肪族飽和アルコール1モルに、炭素数3のアルキレンオキサイド及び/又は炭素数4のアルキレンオキサイド、好ましくはプロピレンオキサイドを0.5モル以上、好ましくは0.8モル以上、より好ましくは1モル以上、更に好ましくは1.5モル以上、より更に好ましくは1.8モル以上、そして、5モル以下、好ましくは3モル以下の量で付加させた中間化合物(1)を得る。次に中間化合物(1)に対してエチレンオキサイドを0モル以上、好ましくは0.5モル以上、より好ましくは0.8モル以上、より好ましくは1モル以上、更に好ましくは1.5モル以上、より更に好ましくは1.8モル以上、そして、10モル以下、好ましくは8モル以下、より好ましくは5モル以下、更に好ましくは3モル以下の量で付加させて中間化合物(2)を得る。次に中間化合物(2)を硫酸化し、場合によっては中和することで一般式(1)で表される陰イオン界面活性剤を得ることができる。また、前記の製造方法の例において、原料のアルコールに対して、前記アルキレンオキシド、好ましくはプロピレンオキシドと、エチレンオキシドを付加する順番を変えることや、ランダムに付加させることもできる。
【0032】
<(c)成分>
(c)成分は、炭素数3以上、8以下のカルボン酸及びその塩から選ばれる1種以上の化合物である。(c)成分を(a)成分と(b)成分と所定条件で併用することで、衣料と洗浄液の接触時間が1分以上、7分以下の短い接触時間でも、洗浄工程の後の脱水後の衣料に(a)成分である香料化合物由来の香りを、強く付与することが出来る。
【0033】
(c)成分の具体例としては、以下の(c1)及び(c2)から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
(c1)総炭素数が3以上、7以下である2価のカルボン酸、及び総炭素数が4以上、7以下である3価のカルボン酸、並びにこれらの塩から選ばれる1種以上の化合物。
具体的には、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、クエン酸、及びこれらの塩から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
(c2)総炭素数が7又は8であり分子内に芳香族基を有する1価のカルボン酸、及びこれらの塩から選ばれる1種以上の化合物。
具体的には、安息香酸、メチル安息香酸、サリチル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びこれらの塩から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
【0034】
(c)成分の塩としては、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム塩、アルカノールアミン塩、例えばモノエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩が挙げられる。
【0035】
洗浄工程の後の脱水後の衣料に対する残香性を高める点から、(c)成分としては、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、及びこれらの塩から選ばれる1種以上の化合物が好ましく、クエン酸、安息香酸、及びこれらの塩から選ばれる1種以上の化合物がより好ましく、安息香酸、及びその塩から選ばれる1種以上の化合物が特に好ましい。
【0036】
<水>
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、0℃〜40℃における状態を液体状態とする為に、水を含有する。水は脱イオン水(イオン交換水とも言う場合もある)や次亜塩素酸ソーダをイオン交換水に対して1mg/kg以上、5mg/kg以下、添加した水を使用することが出来る。
【0037】
<衣料用液体洗浄剤組成物>
(a)成分の含有量と(b)成分の含有量の質量比は、洗浄工程の後の脱水後の衣料への残香性を高める点で、(a)成分/(b)成分で、0.015以上が好ましく、0.02以上がより好ましい。また、(a)成分由来の香りを洗浄工程の後の脱水後の衣料から香らせる点で、前記質量比は、0.08以下が好ましく、0.06以下がより好ましい。
【0038】
なお、本発明では、(b)成分及び(c)成分は、酸であっても塩であっても、酸型の化合物、すなわちカルボキシル基の対イオンを水素原子イオンと仮定した化合物の質量を(b)成分の質量として質量比や質量%を算出するものとする。
【0039】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物において、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量の合計量は、一定の使用量に対してより高い着香効果を得る点、及び当該組成物の1回当たりの使用量を少なくできる点から、3質量%以上であり、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。また、衣料用液体洗浄剤組成物の使用量が少なすぎず適度な使用勝手で使用できる点で、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量の合計は、70質量%以下であり、60質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
【0040】
また、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物では、洗浄工程の後の脱水後の衣料に対して(a)成分由来の香りを、強く付与できる点から、(a)成分の含有量と(c)成分の含有量との質量比が、(c)成分/(a)成分で、0.1以上、8以下である。(a)成分由来の香りを洗浄工程の後の脱水後の衣料から香らせる点で、前記質量比は、0.15以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.5以上がより好ましく、1.0以上がより好ましく、1.3以上がより好ましい。経済性の観点から、前記質量比は、7以下が好ましく、6以下がより好ましく、5以下が更に好ましい。
【0041】
また、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物では、洗浄工程の後の脱水後の衣料に対して(a)成分由来の香りを、強く付与できる点から、(a)成分の含有量と(c)成分の含有量の合計が、0.5質量%以上、5質量%以下である。(a)成分由来の香りを洗浄工程の後の脱水後の衣料から香らせる点で、0.6質量%以上が好ましく、0.7質量%以上がより好ましく、0.8質量%以上が更に好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がより好ましい。経済性の観点から、4.5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましい。
【0042】
(c)成分が、(c1)総炭素数が3以上、7以下である2価のカルボン酸、及び総炭素数が4以上、7以下である3価のカルボン酸から選ばれる1種以上の化合物、並びにこれらの塩から選ばれる1種以上の化合物〔以下、(c1)成分という〕である場合は、(a)成分の含有量と(c1)成分の含有量との質量比が、(c1)成分/(a)成分で、0.1以上、8以下であり、(a)成分由来の香りを衣料から香らせる点で、前記質量比は0.15以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.5以上が更に好ましい。経済性の点で、前記質量比は7以下が好ましく、6以下がより好ましく、5以下が更に好ましい。
【0043】
(c)成分が、(c2)総炭素数が7又は8であり分子内に芳香族基を有する1価のカルボン酸及びこれらの塩から選ばれる1種以上の化合物〔以下、(c2)成分という〕である場合は、(a)成分の含有量と(c2)成分の含有量との質量比が、(c2)成分/(a)成分で、0.1以上、8以下であり、(a)成分由来の香りを洗浄工程の後の脱水後の衣料から香らせる点で、前記質量比は0.15以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.5以上が更に好ましい。経済性の点で、前記質量比は7以下が好ましく、6以下がより好ましく、5以下が更に好ましい。
【0044】
水の含有量は、全配合原料の合計含有量を100質量%としたときの、前記(a)成分、(b)成分、(c)成分、及び後述の(d)成分等の任意成分の合計含有量を除く残部である。本発明の組成物は、洗浄に使用する水に添加した際に速やかに分散することで、着香速度をより向上できる。その観点から、本発明の組成物において、水の含有量は、5質量%以上が好ましく、8質量%以上がより好ましい。
【0045】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、洗浄工程の後の脱水後の衣料に(a)成分由来の香りをより香らせることが出来る点で、更に下記(d)成分の非イオン界面活性剤を含有することができる。
(d)成分:下記一般式(2)で表される非イオン界面活性剤
R
1O−(EO)
m−H (2)
〔式中、R
1は炭素数8以上、18以下の炭化水素基を示し、EOはエキレンオキシ基を示し、mは平均付加モル数を示し、1以上、10以下の数である。〕
【0046】
(d)成分の一般式(2)中、R
1は炭素数8以上、18以下の炭化水素基であり、洗浄工程の後の脱水後の衣料に(a)成分である香料由来の香りを賦与できる点から、炭素数10以上、そして、16以下、更に14以下の炭化水素基が好ましい。R
1の炭化水素基としては、原料の入手性の点から、アルキル基、アルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。R
1は、原料の入手性の点から、直鎖又は分岐鎖の炭化水素基が好ましく、直鎖の炭化水素基がより好ましい。一般式(2)において酸素原子に結合するR
1の炭素原子は、第1級の炭素原子でもよく、第2級の炭素原子でもよい。
【0047】
一般式(2)の化合物を得る方法は、特に限定されるものではないが、炭素数8以上、18以下の炭化水素基を有するアルコールに、エチレンオキシドを付加反応することによって得ることができる。エチレンオキシドの平均付加モル数mは、1以上、10以下である。着香速度が向上できる点から、mは1以上であり、2以上、更に2.5以上、更に3以上が好ましい。また、香りの強さの点で、10以下であり、9以下、更に8以下が好ましい。
【0048】
(d)成分としては、原料の入手性と着香速度が向上できる観点から、一般式(2)中のR
1が炭素数10以上、14以下の直鎖の1級又は2級のアルキル基であり、平均付加モル数であるmが3以上、8以下の数である非イオン界面活性剤が好ましい。
【0049】
(d)成分は(b)成分と併用することで、(a)成分の洗浄工程の後の脱水後の衣料への残香性を高めることが出来る。(d)成分を含有する場合、(b)成分の含有量と(d)成分の含有量との質量比が、(d)成分/(b)成分で、0.1以上、更に0.2以上が好ましく、そして、10以下、更に8以下、更に5以下、更に4以下が好ましい。
【0050】
また、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、洗浄工程の後の脱水後の衣料への残香性を高める点で、(e1)成分として、分子内に水酸基を1つ以上有する有機溶剤を含有することが好ましい。有機溶剤は、着香速度が向上できる点で、分子内に水酸基及びエーテル基を有する有する有機溶剤が好ましい。
【0051】
分子内に水酸基を1つ以上有する有機溶剤としては、以下の(e1−1)成分〜(e1−3)成分から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
(e1−1)成分:炭素数2以上、6以下の2価以上、6価以下のアルコール〔(e1−3)成分を除く〕
例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール及びグリセリンから選ばれる2価又は3価のアルコールが挙げられる。
(e1−2)成分:炭素数2以上、4以下のアルキレングリコール単位を含有するポリアルキレングリコール
例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールから選ばれるポリアルキレングリコールが挙げられる。
(e1−3)成分:炭素数2以上、4以下のアルキレングリコール単位と、炭素数1以上、4以下のアルキル基とを有する、(モノ又はポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテル
例えばジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール及び1−エトキシ−2−プロパノールから選ばれる化合物が挙げられる。
【0052】
前記(e1−3)成分において「(モノ又はポリ)アルキレングリコール」なる用語は、モノアルキレングリコール又はポリアルキレングリコールを意味する。また、「ポリアルキレングリコール」とは、アルキレングリコール単位が1分子内に9個以下の量で含有することを意味する。
【0053】
(e1)成分は、プロピレングリコール及びジエチレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる有機溶剤、更にジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
【0054】
(e1)成分の含有量は、洗浄工程の後の脱水後の衣料への残香性を高める点から、組成物中、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、13質量%以上が更に好ましい。経済性や保存安定性の点から、(e1)成分の含有量は、組成物中、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、25質量%以下が更に好ましい。
【0055】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、アルカリ剤〔以下、(e2)成分という〕を含有することが洗浄力の点から好ましい。アルカリ剤は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩などの他に、窒素原子に結合する基のうち、1つ以上、3つ以下が炭素数2以上、4以下のアルカノール基であり、残りが炭素数1以上、4以下のアルキル基又は水素原子であるアルカノールアミンを挙げることができる。このうちアルカノール基はヒドロキシアルキル基、更にヒドロキシエチル基であるものが好ましい。アルカノール基以外は水素原子、又はメチル基が好ましく、特に水素原子が好ましい。アルカノールアミンとしては、2−アミノエタノール、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類が挙げられる。本発明では、(e2)成分として、モノエタノールアミン及びトリエタノールアミンから選ばれるアルカノールアミンが好ましく、モノエタノールアミンがより好ましい。
【0056】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(e2)成分を、組成物中、0.01質量%以上、更に0.5質量%以上、そして、10質量%以下、更に8質量%以下含有することが好ましい。なかでも、(e2)成分としてアルカノールアミンを、0.5質量%以上、更に1質量%以上、更に3質量%以上、そして、8質量%以下、更に7質量%以下、更に6質量%以下含有することが好ましい。なお、本発明では、(e2)成分のアルカリ剤、中でもアルカノールアミンの含有量には、(a)成分や(b)成分の対イオンなど、他の成分に由来して組成物中に取り込まれる分も算入するものとする。
【0057】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、洗浄工程の後の脱水後の衣料に(a)成分由来の香りをより香らせることが出来る点で、更に下記(f)成分の脂肪酸及びその塩を含有することができる。
(f)成分:炭素数12以上、18以下の脂肪酸及びその塩
【0058】
(f)成分である脂肪酸は、洗浄液中の硬度成分であるカルシウムイオン及びマグネシウムイオンから選ばれる1種以上のイオンと結合し、疎水性が高まることで、(c)成分と相まって、(a)成分である香料化合物を衣料に吸着させることができる。
【0059】
洗浄工程の後の脱水後の衣料に(a)成分である香料由来の香りを賦与できる点から、(f)成分は、不飽和基を有する炭素数14以上、18以下の脂肪酸が好ましい。脂肪酸が不飽和基を有することで、(a)成分が洗濯工程での洗浄液中で(f)成分が形成する会合体に取り込まれやすくなり(f)成分と共に衣料に吸着しやすくなる。(f)成分中の不飽和基を有する炭素数14以上、18以下の脂肪酸の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がより好ましい。そして、洗浄工程の後の脱水後の衣料に(a)成分である香料由来の香りを賦与できる点で、(f)成分中の不飽和基を有する炭素数14以上、18以下の脂肪酸の含有量は、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がより好ましい。
【0060】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物では、洗浄工程の後の脱水後の衣料に(a)成分である香料由来の香りを賦与できる点から、(c)成分の含有量に対する(f)成分の含有量の質量比は、(f)成分/(c)成分で、2以上、8以下が好ましい。洗浄工程の後の脱水後の衣料に(a)成分である香料由来の香りを賦与できる点から、前記質量比は、3以上がより好ましく、3.5以上がより好ましい。衣料から(f)成分由来の油っぽい臭いを感じにくくする点で、前記質量比は、7.5以下が好ましく、7以下がより好ましく、6.5以下がより好ましい。
なお、(f)成分の質量は、脂肪酸イオンの対イオンを酸型に換算した質量とする。
【0061】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物の20℃のpHは、香料の保存安定性の点で、6以上、更に6.5以上、更に7以上が好ましく、そして、11以下、更に9以下、更に8以下が好ましい。pHは、JIS K3362:1998の項目8.3に記載の方法で測定し、その際温度は記載の20℃で測定する。
【0062】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、洗浄時間が1分以上、7分以下の洗浄方法に用いることができる。本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、例えば10分という通常の適度な洗浄時間で十分な洗浄力が得られることに加えて、10分の洗浄時間の場合と同等の香りの強さを洗浄工程の後の脱水後の衣料に付与できる。そのため、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物を洗浄時間が1分以上、7分以下の洗浄方法に用いることは、作業者に洗浄時間の短縮しても香り付与効果が維持されることをより顕著に実感させるものとなる。
【0063】
〔衣料の洗浄方法〕
本発明は、水1リットルに対して、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物を0.1g以上、2g以下の割合で添加して調製した洗浄液で、衣料の質量(kg)と前記洗浄液の量(リットル)で表される浴比が、洗浄液の量(リットル)/衣料の質量(kg)=3以上、50以下の条件で、衣料を1分間以上、7分間以下洗浄する、衣料の洗浄方法を提供する。
【0064】
洗浄液を調製する水としては、特に制限はないが、水道水、河川水、井戸水、湧き水、イオン交換水等が挙げられる。とりわけ、カルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの硬度成分を含む水を使用することが、(a)成分由来の香りを、洗浄工程の後の脱水後の衣料から強く香らせることができる点で好ましい。
【0065】
水中のマグネシウムイオンやカルシウムイオンなどの硬度成分が、(c)成分のカルボン酸とイオン結合することで、(c)成分を適度に疎水化し、LogPが3以上、5以下の疎水性の高い香料成分である(a)成分と混ざり易くなり、疎水性の高い化合物群の量が見かけ上増加することで、短い洗浄時間でも洗浄工程の後の脱水後の衣料に付着しやすくなっていると考えられる。(a)成分が短い時間でも衣料に付着し、残香性を高める点から、水の硬度はドイツ硬度で0°DHを超え、10°DH以下が好ましい。より好ましくは1°DH以上、8°DH以下が好ましい。
【0066】
洗浄工程の後の脱水後の衣料に(a)成分由来の好ましい香りを強く付与できる点で、水1リットルに対する、衣料用液体洗浄剤組成物の投入量が、質量で0.1g以上が好ましく、0.2g以上が好ましい。洗浄工程の後の脱水後の衣料から香る香りを適度にできる点で、2g以下が好ましく、1.5g以下がより好ましく、1g以下が更に好ましい。
【0067】
本発明の衣料の洗浄方法は、洗浄時間が短くても、洗浄工程の後の脱水後の衣料から(a)成分由来の香りを強く香らせることが出来る。残香性向上の点で洗浄時間は1分以上であり、2分以上が好ましく、3分以上がより好ましい。着香速度の向上の効果がより得られる点で、7分以下であり、5分以下が好ましい。
【0068】
洗浄液の温度は、洗浄工程の後の脱水後の衣料への香り付与の点で0℃以上、40℃以下であることが好ましい。(a)成分由来の香りを洗浄工程の後の脱水後の衣料から強く香らせる点で、0℃以上が好ましく、3℃以上がより好ましく、5℃以上が更に好ましい。洗浄工程の後の脱水後の衣料の残香性をより高める点で、35℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。
【0069】
近年、洗濯機の大型化に伴い、衣料の質量と洗浄液の水量(リットル)の比で表される浴比(洗浄液の水量(リットル))/衣料の質量(kg)の値が小さくなる傾向にある。浴比が小さくなると、家庭用洗濯機を用いた場合には、攪拌による機械力が衣料に伝わりにくくなり、洗浄液中の(a)成分が衣料全体に均一に付着しにくくなる。本発明の衣料の洗浄方法は、浴比が小さい洗浄条件下でも、洗浄工程の後の脱水後の衣料全体の残香性を高めることができる。洗浄工程の後の脱水後の衣料の残香性の向上が良好である点で、浴比は3以上、50以下であり、衣料に均一に(a)成分を付着できる点で4以上が好ましく、5以上がより好ましい。洗浄工程の後の脱水後の衣料の残香性をより高める点で、45以下が好ましく、40以下がより好ましく、30以下が更に好ましく、20以下がより更に好ましい。
【0070】
本発明の洗浄方法では、洗浄液は、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物を0.01質量%以上、更に0.02質量%以上、そして、0.2質量%以下、更に0.1質量%以下を含有することが好ましい。また、洗浄液は(a)成分の含有量と(b)成分の含有量の合計で0.002質量%以上、更に0.004質量%以上、そして、0.02質量%以下、更に0.01質量%以下を含有することが好ましい。
【0071】
本発明の衣料の洗浄方法は、繊維の精練方法のように、ローラー等で繊維を送りながら、精錬に使用する液に浸漬する方法よりも、消費者の用途に合わせて繊維を構成した衣料の様に、均一に機械力がかからないような対象物に対して、本発明のより優れた着香効果が得られる。また、回転式洗浄方法において本発明の洗浄方法は適している。回転式洗浄方法とは、回転機器に固定されていない衣料が洗浄液と共に、回転軸の周りに回転する洗浄方法を意味する。回転式洗浄方法は回転式洗濯機により実施できる。従って、本発明では、衣料の洗浄を、回転式洗濯機を用いて行うことが好ましい。
【実施例】
【0072】
(1)衣料用液体洗浄剤組成物の調製
300mlのガラス製ビーカーに、直径60mmのスターラーピース(テフロン(登録商標)製)を入れ、出来上がり質量が200g、且つ表1に記載の含有量になるように(a)成分、(b)成分又は(b’)成分、(c)成分及び必要量の95質量%の水を投入した。投入後、100回転/分の回転数で20分攪拌した。その後、必要に応じて(d)成分、(e1)成分を投入し、(e2)成分で組成物のpHを表1に記載のpHに調整し、残分の水を用いて最終出来上がり質量(200g)になるように調整し、表1の衣料用液体洗浄剤組成物を得た。pHは、JIS K3362:1998の項目8.3に記載の
方法で測定した(測定時の組成物の温度は20℃)。得られた各組成物を用い、下記の各評価を行った。表中の成分は以下のものである。結果を表1に示す。また、本発明の効果が得られると考えられる配合例を表3に示す。
【0073】
(a)成分
(a−1):表2に記載の香料組成物〔(a)成分であるLogPが3以上の香料化合物の含有量が67質量%〕
【0074】
(b)成分
(b−1):一般式(1)において、Rが炭素数12、14の直鎖1級アルキル基、AOがプロピレンオキシ基、pが平均2.0、qが0、Mがモノエタノールアンモニウムの化合物〔表中の配合量は(b)成分相当の酸型の配合量であり、対塩のモノエタノールアミンは(e2)成分に合計した。〕。
(b−2):一般式(1)において、Rが炭素数12、14の直鎖1級アルキル基、AOがプロピレンオキシ基、pが2.0、qが2.0、Mがモノエタノールアンモニウムの化合物であり、AOとEOは、RO−(AO)
2.0−(EO)
2.0−の順でブロック結合している〔表中の配合量は(b)成分相当の酸型の配合量であり、対塩のモノエタノールアミンは(e2)成分に合計した。〕。
(b−3):一般式(1)において、Rが炭素数12、14の直鎖1級アルキル基、AOがプロピレンオキシ基、pが平均0.7、qが2.0、Mがモノエタノールアンモニウムの化合物であり、AOとEOは、RO−(AO)
0.7−(EO)
2.0−の順でブロック結合している〔表中の配合量は(b)成分相当の酸型の配合量であり、対塩のモノエタノールアミンは(e2)成分に合計した。〕。
【0075】
(b’)成分((b)成分の比較化合物)
(b’−1):一般式(1)において、Rが炭素数12、14の直鎖1級アルキル基、pが0、qが2.0、Mがモノエタノールアンモニウムの化合物〔表中の配合量は(b’)成分相当の酸型の配合量であり、対塩のモノエタノールアミンは(e2)成分に合計した。〕。
【0076】
(c)成分
(c−1):クエン酸
(c−2):安息香酸ナトリウム
【0077】
(d)成分
(d−1):炭素数12〜14の2級アルコールにエチレンオキサイドを平均7モル付加させた化合物〔ソフタノール70(商品名)、株式会社日本触媒製〕
(d−2):炭素数12の1級アルコールにエチレンオキサイドを平均4モル付加させた化合物
(d−3):炭素数12の1級アルコールにエチレンオキサイドを平均6モル付加させた化合物
【0078】
(e1)成分
(e1−1−1):プロピレングリコール
(e1−3−1):ジエチレングリコールモノブチルエーテル
【0079】
(e2)成分
(e2−1)成分:モノエタノールアミン
【0080】
(f)成分
(f−1):以下の組成を有する脂肪酸
ラウリン酸 50質量%、ミリスチン酸 20質量%、ステアリン酸10質量%、オレイン酸 20質量%、不飽和基を有する脂肪酸の含有量は20質量%
(f−2):以下の組成を有する脂肪酸
ラウリン酸 30質量%、ミリスチン酸 20質量%、ステアリン酸10質量%、オレイン酸 40質量%、不飽和基を有する脂肪酸の含有量は40質量%
【0081】
水:次亜塩素酸塩ナトリウムを3mg/kgの量で含むイオン交換水
【0082】
(2)着香性評価
<評価用布の調製>
下記組成のモデル皮脂人工汚染液を布に付着して評価用布を調製した。モデル皮脂人工汚染液の布への付着は、グラビアロールコーターを用いて人工汚染液を布に印刷することで行った。モデル皮脂人工汚染液を布に付着させモデル皮脂人工汚染液を作製する工程は、グラビアロールのセル容量58cm
3/m
2、塗布速度1.0m/min、乾燥温度100℃、乾燥時間1minで行った。布は木綿#2003(谷頭商店製)を使用した。
*モデル皮脂人工汚染液の組成:ラウリン酸0.4質量%、ミリスチン酸3.1質量%、ペンタデカン酸2.3質量%、パルミチン酸6.2質量%、ヘプタデカン酸0.4質量%、ステアリン酸1.6質量%、オレイン酸7.8質量%、トリオレイン13.0質量%、パルミチン酸n-ヘキサデシル2.2質量%、スクアレン6.5質量%、卵白レシチン液晶物1.9質量%、鹿沼赤土8.1質量%、カーボンブラック0.01質量%、水残部(合計100質量%)
【0083】
<着香評価方法>
内径12cm、高さ16cmの円筒の形状のステンレスビーカーに、ドイツ硬度で4°DHの水1リットルに、表1記載の衣料用液体洗浄剤組成物を0.35g投入し、評価用布(6cm×6cm)を5枚入れ、浴比が20となるように、木綿#2003(6cm×6cm)を投入して調整した。ターゴトメーター(Ueshima, MS-8212、直径6.8cmの円盤が、円盤の回転軸と撹拌棒の回転軸が同一軸になるように撹拌棒の末端に配置され、且つ円盤上に最大直径8cmの撹拌羽根が120度間隔で3枚配置された撹拌棒。)にて85r/minで5分間洗浄した。その後、評価用布を取り出し、1分間脱水を行った(ナショナル製全自動洗濯機NA−F60E)、5枚の評価布を重ね合わせて評価布(5)を得た。着香のための洗浄時間を10分とした以外は、前記と同じ洗浄条件で調製した評価布(10)を得た。評価布(10)を基準として、評価布(5)の香調及び香りの強さを、香りの評価パネラー(30代の女性10人)で、下記の評価基準で評価し平均値を算出した。
【0084】
・香調の評価
平均値で1.2以上を合格とした。値の差が0.2以上異なると優位な差と認められる。
+2:評価布(5)から香る香りは、評価布(10)と同様な香調である。
+1:評価布(5)から、評価布(10)と同様な香りがするが、やや異なる香りも香る。
0:評価布(5)から、評価布(10)と同様な香りがかすかに香るが、明らかに異なる香りが強く香る。
【0085】
・香りの強さの評価
平均値で1.2以上を合格とした。値の差が0.2以上異なると優位な差と認められる。
+2:評価布(5)から香る香りの強さが、評価布(10)と同程度の強さである。
+1:評価布(5)から香る香りの強さが、評価布(10)よりもやや弱い。
0:評価布(5)から香る香りの強さが、評価布(10)よりも明らかに弱い。
【0086】
【表1】
【0087】
*1 表中の数字は(a)成分としての質量%を示す。
*2 (b)成分から取り込まれるモノエタノールアミンの量を含めてpH調整に必要な量とした。
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】