特許第6231381号(P6231381)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231381
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】呼吸用気体供給装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
   A61M16/00 380
【請求項の数】7
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-269455(P2013-269455)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-123211(P2015-123211A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】503369495
【氏名又は名称】帝人ファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤本 勝志
(72)【発明者】
【氏名】森下 裕太
【審査官】 落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−263190(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3069115(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸用気体の圧力を測定する圧力計を備えた装置であり、該圧力計に対し凸レンズ形状を持つ透明樹脂素材のカバーを備え、該カバーが圧力計の表示面に対して一定の傾きをもって取り付けられており、該カバーは、球面形状の底面を有する円筒状の第1のピース、および該第1のピースに覆われる凸レンズ形状の第2のピースを組み合わせた二重構造部材からなる呼吸用気体供給装置。
【請求項2】
該カバーの該圧力計の表示面に対する傾きの角度が3〜15度であり、該圧力計の圧力表示値に対して拡大率を上げる方向に取り付けられている、請求項1記載の呼吸用気体供給装置。
【請求項3】
該カバーが、同一素材からなる、請求項1または2記載の呼吸用気体供給装置。
【請求項4】
該カバーが、ポリカーボネートまたはアクリル樹脂製の透明素材である請求項1〜のいずれかに記載の呼吸用気体供給装置。
【請求項5】
照明用の光源を備え、該光源円筒状のカバーの下部に設置されると共に、該カバーの円筒側面部の下部から上方のレンズ方向に光を入射するように設けられている、請求項1〜4のいずれかに記載の呼吸用気体供給装置。
【請求項6】
該照明用の光源がLEDであり、該カバーの球面形状の底面を有する円筒状の第1のピースに光を入射するように設置されている請求項5記載の呼吸用気体供給装置。
【請求項7】
該照明用光源が、該カバーの圧力計の圧力値表示部の反対側から光を入射するように設置されている請求項5または6に記載の呼吸用気体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸用気体を使用者に供給する呼吸用気体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
肺気腫、慢性気管支炎等の呼吸器系疾患の患者が増える中、その治療法として最も効果的なものの1つに酸素吸入療法がある。この治療法のために使用する酸素供給源として、酸素濃縮装置、酸素ボンベ、あるいは液体酸素等が使用されている。使用時の便利さや保守管理の容易さから、在宅では酸素濃縮装置を使用し、病院への通院やショッピングのための外出、さらにはコンサートホールや映画館など静粛性が求められる場面での使用には、患者が持ち運びできる小型軽量の酸素ボンベが主流で用いられている。酸素ボンベには酸素切れに問題が有るので、小型軽量のポータブル酸素濃縮機も開発されているが、供給能力及び性能、価格面から普及には更なる技術革新を要する。
【0003】
酸素ボンベを使用する場合、ボンベ元弁に接続した減圧弁により高圧酸素の圧力を例えば1.5kg/cmに減圧したのち、流量設定器で0.5LPM〜7LPMといった所定流量に整流して使用者に供給される。またボンベの節約を行うために呼吸同調器を併用し、使用者の呼吸を検知し、吸気時にのみ酸素を供給することにより、酸素使用量を連続供給する場合の3倍〜6倍に節約することができ、その分、外出使用時間を延長することが可能となっている。
【0004】
呼吸同調器は、連続流および呼吸同調流での供給路の切替え、呼吸検出部および呼吸に同調して流路の開閉を行う自動開閉弁を備えた装置であり、酸素ボンベの減圧弁からカニューラ等で同調器に接続し、更に鼻カニューラ等で使用者に供給されるものの他、例えば特開平10−5335号公報や特開平10−80488号公報に記載の様に、ボンベの肩部上部の元弁(ストップ弁)に直接接合させるタイプのものが知られている。
【0005】
酸素ボンベは、酸素吸入療法を行っている呼吸器疾患患者が外出時に使用するため、長時間の使用と共に、小型、軽量であることが要求される。その為、酸素ガスの充てん量を上げる一方で、ボンベ材質を鉄からアルミニウム、GFRP、CFRPなどの軽量材に変更したボンベが使用されている。また、酸素ボンベは携帯用のバックに入れて持ち運ぶほか、カートで運搬する方法がとられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−5335号公報
【特許文献2】特開平10−80488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
呼吸用気体供給装置は、酸素供給源となるボンベの酸素残量により使用時間が制限される。交換用の予備のボンベを持ち合わせないと酸素切れになることから、酸素ボンベの残量確認は重要かつ必須な課題である。ボンベの残量は呼吸用気体供給装置にて確認するわけであるが、近年の装置の小型化に伴い、圧力ゲージは小さくなる傾向にある。高齢者の使用者が多い事もあり、特に夜間や暗所での圧力計の指示値を確認するのが困難な状況となっている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する手段として以下の機構を見出した。すなわち、圧力計のカバーに凸レンズ機能をもたせ、かつ圧力計の指示がある上部側の視認性を向上させるために圧力計の指示面に対し5°程度の傾きをもたせる。圧力計カバーを覆う凸レンズ機能を持ったカバーを2重構造とし、表面側のパーツ端面より光源による照明を当てることによりカバー全体の照度が上がる。
【0009】
本願発明は、以下の呼吸用気体供給装置を提供する。
(1)呼吸用気体の圧力を測定する圧力計を備えた装置であり、該圧力計に対し凸レンズ形状を持つカバーを備え、該カバーが圧力計の表示面に対して一定の傾きをもって取り付けられている呼吸用気体供給装置。
(2)該カバーの該圧力計の表示面に対する傾きの角度が3〜15°であり、該圧力計の圧力表示値に対して拡大率を上げる方向に取り付けられている、上記1記載の呼吸用気体供給装置。
(3)該カバーが、同一素材からなり、半円筒状で、半凸レンズ底面、およびそれを覆う半球形状の2つのピースを組み合わせた二重構造部材からなる、上記1記載の呼吸用気体供給装置。
(4)該カバーが、ポリカーボネートまたはアクリル樹脂の透明素材である上記3記載の呼吸用気体供給装置。
(5)照明用の光源を備え、該光源円筒状のカバーの下部に設置されると共に、該カバーの円筒側面部の下部から上方のレンズ方向に光を入射するように設けられている、上記3記載の呼吸用気体供給装置。
(6)該照明用の光源がLEDであり、該カバーの半球形状の底面を有する半円筒状の部材に光を入射するように設置されている上記5記載の呼吸用気体供給装置。
(7)該照明用光源が、該カバーの圧力計の圧力値表示部の反対側から光を入射するように設置されている上記5記載の呼吸用気体供給装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明の呼吸用気体供給装置においてボンベの残圧確認の際、圧力計に対し凸レンズ形状を持つカバーを傾けて取り付けることにより、圧力計の支持位置、圧力表示値の視認性が向上するとともに、暗所においては内蔵されたLED光源等により、二重構造化された圧力計カバーの外殻内を反射・導光されることで圧力計全体を照らすことで視認性は向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施態様例である呼吸用気体供給装置のフロー図。
図2】本発明の実施態様例である呼吸用気体供給装置の外観斜視図。
図3】本発明の実施態様例である呼吸用気体供給装置の圧力計カバーの配置断面。
図4】本発明の実施態様例である呼吸用気体供給装置に使用するブルドン管圧力計の表示部。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の呼吸用気体供給装置の実施態様例を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態である呼吸同調気体供給装置(呼吸同調器)を例示したフロー図である。かかる呼吸同調気体供給装置は、呼吸用気体として酸素ボンベに高圧に充填された酸素ガスを一定の低圧力に圧力調整する調圧弁、調圧された気体を流量設定つまみによって患者所望の流量に整流する流量調整手段、患者の呼吸を検知する圧力センサ、圧力の検知結果に基づいて呼吸に同調して整流された気体を供給する自動開放弁(電磁弁)、緊急時には使用者の呼吸には同調せず連続して供給するための流路切換弁(手動弁)、カニューラなどの気体供給手段から構成されている。
【0013】
まず、圧力調整手段は酸素ボンベから供給される高圧(1次圧力)の呼吸用気体の圧力を患者へ供給するのに適した低圧力(2次圧力)まで調圧する減圧弁と、酸素ボンベ内に充填された気体の残量を確認するための圧力計など(図示せず)を少なくとも含んで構成される。
【0014】
流量調整手段には回転切替バルブを用い、設定流量に応じた開孔が同心円上に配置された同軸可変オリフィスを用い流量設定つまみを回転させることで所定流量に調整する。
呼吸同調流、すなわち使用者の呼吸を検知し、吸気時にのみ自動開閉弁を開いて酸素を供給し、呼気時には酸素供給をストップする制御は、装置下流に設けられた呼吸センサである圧力センサにより、使用者の吸気および呼気の圧力変動を検知し、電磁弁の開閉制御を行う。呼吸センサには、かかる圧力センサの他、温度センサ、流量センサなども使用可能である。
【0015】
連続、同調の切替は、下流に設けた手動の切換弁で行い、同調流を供給する自動開閉弁である電磁弁の電源をOFFにすることで閉じ、連続流の供給流路である手動弁を開くことで連続流の供給が可能となる。患者の健康状態の悪化による供給量アップ、装置の異常、同調器の電池消耗などが生じたとしても、手動で酸素の連続供給が可能となる。
【0016】
図2に呼吸同調器の斜め上からみた外観斜視図を示す。酸素ボンベの上部に設けられている元弁を同調器の元弁挿入孔に入れて、同調器右側面に設けられたヨーク取付ネジにより、元弁と同調器を接合する。同調器の筐体はボンベ上部に設置可能な箱型形状をしており、正面に流量設定つまみ、上面の前に連続同調切替レバーを、上面奥側に図4に示すブルドン管圧力計、酸素取り出し口であるカニューラ接続ノズルを設置することで操作性および視認性を向上させている。
【0017】
本発明の呼吸同調気体供給装置においてボンベの残圧確認の際、図3のように圧力計に対し凸レンズ形状を持つカバーを傾けて取り付けることにより、圧力計の指示位置、圧力表示値の視認性が向上する。また暗所においては内蔵されたLED等の光源により、圧力計表示部を照明する。二重構造化された圧力計カバーの外殻内を反射・導光されることで圧力計全体を照らすことで視認性は向上させている。
このとき、圧力計の向きは、ユーザの視認性の観点から、上方に対してやや前方に傾いている事が望ましい。圧力計自体を正面上方から見やすくするために、5〜30度、10〜20度といった斜めに呼吸同調器に設置する事で、視認性を向上させることができる。
【0018】
カバーは、同一素材からなり、半円筒状で、半凸レンズ底面、およびそれを覆う半球形状の2つのピースを組み合わせた二重構造部材からなる。円筒形状のブルドン管圧力計を覆うようにカバーを取り付ける。かかるカバーにはポリカーボネートやアクリル樹脂、メタクリレート系、ウレタン系、PMMAなどの透明樹脂素材が用いられる。
【0019】
カバーの厚みやサイズは、当該圧力計のサイズや焦点距離、目標とする拡大率によって定められる。しかし、前述したとおり、装置の小型化が進む事で、求められる焦点距離は小さく、拡大率は大きくなるため、カバーの厚さもより大きくなっている。このとき、成形性の観点から一体型のカバーを実現する事が難しい場合は、同一素材からなる2つの部品を組み合わせて1つの厚いレンズ体を構成する事も可能である。
【0020】
また、カバーの傾きは、圧力計に対してさらに前方に傾ける事で、圧力指示位置、表示値が配置されている奥側を選択的に拡大させる事が可能となる。傾斜角度なしに表示部と平行に取り付けると、圧力計の中央部分の拡大率は上がるが、周囲の圧力表示値は見難くなるため、一定の傾斜角度を持って設置する。圧力計の大きさ、指示値の表示の大きさによって拡大率を調整し、その傾斜角度は3〜15度、好ましくは3〜10度とすることで表示部の視認性が向上する。
このとき、用いる圧力計の目盛角度を180度未満とすることで、目盛の表示範囲全域にわたって拡大させる事ができる。
【0021】
圧力計を照らすための光源は、圧力計の盤面を遮らない様に配置される事が望ましい。具体的には、圧力計の外側、かつ、カバーの下方に配置し、カバーに向かって照射される事で、図3に示すように、カバー内での反射・導光による点灯が可能となる。
光源の点灯期間に関しては、圧力計の指示値を確認するタイミングを踏まえると、呼吸同調気体供給装置の使用開始時、すなわち、機台に電源を投入した段階から一定期間(例えば15秒〜30秒程度)の点灯が望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本願発明の呼吸同調気体供給装置は、喘息、肺気腫症、慢性気管支炎等の呼吸器系器官疾患に苦しむ患者に対する酸素吸入療法において使用される酸素ボンベの使用し得る時間を可能な限り延長するために患者の呼吸パターンに同調して供給する呼吸同調気体供給装置(デマンドレギュレーター)として使用される。
図1
図2
図3
図4