(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来より、燃料電池として、例えば固体電解質層(固体酸化物層)を備えた固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell ;SOFC)が知られている。この燃料電池は、発電の最小単位である単セルを複数積層してなる燃料電池スタックを備えている。単セルは、空気極、燃料極及び固体電解質層を有して構成され、発電反応により電力を発生する。また、燃料電池スタックには、単セルに加えて、フレーム、セパレータ、インタコネクタ等が設けられ、それらが複数個ずつ積層されている。
【0003】
フレームは、ステンレスなどの導電性材料を用い、単セルの側面を囲むように枠状に形成される。また、セパレータも、ステンレスなどの導電性材料によって形成されており、単セルを配置するための開口部を中央に有する矩形枠状をなしている。そして、セパレータの開口部の内側に単セルを配置した状態で単セルの周縁部にセパレータが接合される。セパレータは、単セル間において、反応ガス(酸化剤ガスや燃料ガス)が供給される空気室や燃料室を区画するための仕切り板として機能する。さらに、インタコネクタも、ステンレスなどの導電性材料によって板状に形成されており、単セルの厚み方向の両側に配置される。そして、各インタコネクタにより単セル間の導通が確保される。
【0004】
ところで、従来の固体酸化物形燃料電池(例えば、特許文献1参照)では、コンプレッションシールによって、燃料電池スタックにおけるシール性が確保されるのが一般的であった。しかしながら、コンプレッションシールでは、反応ガスがリークし易く、セパレータ等が過度に変形することで、反応ガスの利用率特性が悪化するといったことが懸念されていた。
【0005】
特許文献2には、セパレータの接合を溶接によって行う燃料電池が開示されている。このように、燃料電池スタックを構成する金属部材(セパレータ、フレーム、インタコネクタ等)を溶接して接合体(燃料電池カセット)を形成することで、反応ガスの外部リークの発生が防止される。
【0006】
燃料電池スタックには、反応ガスを流すためにマニホールド形状のガス流路が形成されている。具体的には、ガス流路は、燃料電池スタックにおいて単セルの積層方向に貫通形成されるとともに、それぞれの単セルに繋がる(分岐または集合する)ように形成されている。つまり、燃料電池カセットを構成するセパレータ、フレーム及びインタコネクタには、ガス流路を構成するための複数の穴部が貫通形成されている。そして、これらセパレータ、フレーム及びインタコネクタを接合して燃料電池カセットを構成する際には、各穴部の周囲をレーザ溶接等にて封止することでガス流路のシール性が確保される。
【0007】
レーザ溶接では、接合する金属部材間を密着させないと金属部材が破れることがある。このため、例えばセパレータとフレームとをレーザ溶接する場合には、溶接治具を用いてセパレータをフレームに押さえつける必要がある。また、接合部の品質精度を向上させるためには、溶接治具による抑え面積を小さくして穴部の周囲における溶接面積を少なくすることが好ましい。さらに、レーザ溶接の際に、溶接長が長くなると、溶接時間が長くなり溶接工数が増大してしまう。このような理由から、
図12に示されるように、ガス流路を構成する各穴部110,111の周囲において、穴部110,111の形状に沿った形でセパレータ112とフレーム113とのレーザ溶接が行われている。このレーザ溶接によって、各穴部110,111の周囲には溶接痕115,116が形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、
図12に示すように、穴部111(マニホールド形状のガス流路)に沿ってレーザ溶接を行う場合、反応ガスの利用率が悪くなり、電池特性が低下する場合があった。具体的には、固体酸化物形燃料電池は、高温タイプのもので1000℃、中温タイプのもので700℃〜800℃で運転される。この運転時に燃料電池スタックに熱が加わることで、セパレータ112が変形して意図しない場所に反応ガスが流れる隙間が生じてしまう。
【0010】
より詳しくは、燃料電池スタックにおいて、単セル間の接触を確保するために、スタック外側と内側とでは内側の方が若干厚く形成される。また、
図13に示されるように、穴部111の近傍でレーザ溶接が行われるため、セパレータ112とフレーム113との固定は、フレーム113の内端部120側から離れた位置で行われる。このため、フレーム113の内端部120側では、セパレータ112が十分に密着せず、フレーム113とセパレータ112との間に隙間S1が形成される。単セルが配置されるフレーム113の内側には、反応ガスが流れるガス流路が形成されているが、
図13に示されるように、フレーム113とセパレータ112との間に形成される隙間S1は、発電反応に寄与しない無駄な反応ガスが流れるスペースとなる。このように、ガス流路の外側に無駄な反応ガスが流れる隙間S1が形成されることで、反応ガスの利用率が悪くなり、電池特性が低下してしまう。
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、反応ガスの利用率の低下を防止して、良好な電池特性を維持することができる燃料電池カセット及び燃料電池スタックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、燃料極、空気極及び電解質層を有する平板状の単セルと、前記単セルの側面を囲むように配置される枠状のフレームと、前記単セルの周縁部に接合されるとともに、前記フレームの一方の表面に配置されて、前記空気極に接する酸化剤ガス及び前記燃料極に接する燃料ガスを分離するセパレータと、前記フレームにおいて前記セパレータが配置される一方の表面の裏面側となる他方の表面に配置される板状のインタコネクタと、を積層してなる燃料電池カセットであって、前記セパレータ及び前記フレームが溶接にて接合されるとともに、前記酸化剤ガス及び前記燃料ガスを流すガス流路が形成され
、前記フレーム及び前記セパレータには、前記ガス流路を構成する穴部が形成されるとともに、前記フレームの開口部内には、前記ガス流路を構成し、前記燃料ガスを前記フレームの内縁部に沿って流すための空間が形成され、前記フレーム及び前記セパレータを接合する溶接部は、前記フレームの内縁部に沿って形成されるとともに、前記ガス流路に沿って形成される溶接部を有し
、前記フレームの内縁部に沿って形成される前記溶接部は、前記フレームの内縁部からの距離が前記穴部からの距離よりも近いことを特徴とする燃料電池カセットがある。
【0013】
従って、手段1に記載の発明によると、フレームの内縁部に沿って溶接部が形成されるため、フレームの内縁部に沿ってセパレータを確実に密着させることができる。従って、従来技術のようにガス流路の外側に反応ガス(酸化剤ガスまたは燃料ガス)が流れる隙間が形成されることが回避され、その隙間に発電反応に寄与しない無駄な反応ガスが流れるといった問題を防止することができる。また、溶接部はガス流路に沿って形成されるため、溶接部がガス流路の壁部となり反応ガスをスムーズに流すことができる。この結果、燃料電池カセットにおける反応ガスの利用率の低下が防止され、電池特性を良好に維持することができる。
【0014】
溶接部は、フレームの内縁部から0.75mm以上20mm以下の範囲内となる位置に形成されている。ここで、フレームの内縁部から0.75mm以下となる位置に溶接部を形成しようとすると、溶接時の位置ズレや、フレーム及びセパレータの寸法の誤差等により、レーザ照射位置がフレームから外れてセパレータに穴が開いてしまうといった問題が生じることがある。これに対して、本発明のように、フレームの内縁部から0.75mm以上20mm以下の範囲内となる位置に溶接部を形成する場合、フレームの内縁部に沿ってセパレータを確実に接合することができる。
【0015】
溶接部は、フレームの内縁部に沿って形成されるものであればよく、例えば直線的な線状の溶接痕であってもよいし、点線状、波線状、ギザギザ状の溶接痕であってもよい。
【0016】
フレーム及びセパレータには、ガス流路を構成する穴部が形成され、溶接により穴部の周囲を封止する閉回路形状の溶接痕が形成されていてもよい。またこの場合、閉回路形状の溶接痕の一部が、フレームの内縁部に沿って形成され、溶接部を兼ねるように構成してもよい。このようにすると、穴部の周囲を封止する溶接とフレームの内縁部に沿ってセパレータを接合する溶接とを別々に行う必要がなく、製造工程の簡素化が可能となる。
【0017】
閉回路形状の溶接痕は、穴部の外形形状と異なる形状を有していてもよい。このようにすると、溶接部を兼ねる溶接痕を容易に形成することができ、その溶接痕によって穴部の周囲を封止することができる。
【0018】
セパレータの厚みは、インタコネクタの厚みより薄くなっている。この場合、セパレータが変形し易く、その変形によってフレームとの間に隙間が生じ易くなる。このように、薄いセパレータを用いた場合でも、本発明のように溶接部を形成することにより、フレームの内縁部に沿ってセパレータを確実に密着させることができ、ガス流路の外側に無駄な反応ガスが流れるといった問題を防止することができる。
【0019】
フレーム及びセパレータを接合する溶接は、レーザによる溶接であってもよい。また、レーザはファイバーレーザを用いてもよい。ファイバーレーザによる溶接では、小さいスポットサイズに焦点を合わせることができるため、溶接痕の線幅を0.2mm以下とすることができる。従って、熱歪みを抑えつつフレームにセパレータを確実に溶接することができる。なお、レーザによる溶接以外にも、抵抗溶接やロウ付け等によって溶接を行ってもよい。
【0020】
単セルを構成するセパレータの厚みは、0.04mm以上0.3mm以下である。ここで、セパレータが0.04mmよりも薄くなると、セパレータの耐久性が低下する。一方、セパレータが0.3mmよりも厚くなると、セパレータが変形し難くなる。この場合、単セルの面外方向へのセパレータの追従変形が困難となるため、電極におけるクラックの発生が懸念される。従って、0.04mm以上0.3mm以下の厚さのセパレータを用いることで、酸化剤ガスと燃料ガスとを確実に分離することができる。
【0021】
また、上記課題を解決するための別の手段(手段2)としては
、燃料極、空気極及び電解質層を有する平板状の単セルと、前記単セルの側面を囲むように配置される枠状のフレームと、前記単セルの周縁部に接合されるとともに、前記フレームの一方の表面に配置されて、前記空気極に接する酸化剤ガス及び前記燃料極に接する燃料ガスを分離するセパレータと、前記フレームにおいて前記セパレータが配置される一方の表面の裏面側となる他方の表面に配置される板状のインタコネクタと、を積層してなる燃料電池カセットであって、前記セパレータ及び前記フレームが溶接にて接合されるとともに、前記酸化剤ガス及び前記燃料ガスを流すガス流路が形成され、前記フレーム及び前記セパレータを接合する溶接部は、前記フレームの内縁部に沿って形成されるとともに、前記ガス流路に沿って形成される溶接部を有するとともに、前記フレーム及び前記セパレータには、前記ガス流路を構成する穴部が形成され、溶接により前記穴部の周囲を封止する閉回路形状の溶接痕が形成され、前記閉回路形状の前記溶接痕は、前記穴部の外形形状と異なる形状を有し、前記閉回路形状の前記溶接痕の一部が、前記フレームの内縁部に沿って形成され、前記溶接部を兼ねることを特徴とする燃料電池カセットがある。
さらに別の手段(手段3)としては、手段1または2に記載の前記燃料電池カセットを、複数個積層したことを特徴とする燃料電池スタックがある。
【0022】
手段
3に記載の発明によると、各燃料電池カセットにおける反応ガスの利用率の低下を防止することができ、効率よく発電することができる。
【0023】
燃料電池スタックにおいて、各燃料電池カセットに形成されるガス流路は、マニホールド形状の流路であり、各カセットの積層方向に延設される縦孔部と、縦孔部に接続されてそれぞれの単セルに繋がるガス流路を分岐または集合すべく積層方向と直交する方向に延設される横孔部とを有する。また、フレーム及びセパレータに形成される穴部は、縦孔部と横孔部との分岐箇所に対応する分岐用穴部を含む。そして、分岐用穴部の周囲を封止する閉回路形状の溶接痕は、分岐用穴部の外形形状とは異なる形状を有する。具体的には、閉回路形状の溶接痕は、矩形状に形成され、フレームの内縁部に平行な長辺を有する。この閉回路形状の溶接痕では、フレームの内縁部側に形成され矩形状の長辺となる部分が溶接部を兼ねる。このように閉回路形状の溶接痕を形成すると、フレームの内縁部に沿ってセパレータを確実に密着させることができるとともに、分岐用穴部の周囲を封止することができる。
【0024】
フレームの内縁部に沿って形成される溶接部は、フレームの内縁部からの距離が分岐用穴部からの距離よりも近くなっている。このようにすると、フレームの内縁部の近傍でセパレータを確実に密着させることができるため、ガス流路の外側に反応ガスが流れることを確実に防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を燃料電池に具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0027】
図1及び
図2に示されるように、本実施の形態の燃料電池は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。燃料電池は、燃料電池カセット2を複数個(例えば20個)積層してなる燃料電池スタック3を備えている。燃料電池スタック3は、縦180mm×横180mm×高さ80mmの略直方体状をなしている。また、燃料電池スタック3は、同燃料電池スタック3を厚さ方向に貫通する8つの貫通孔4を有している。なお、燃料電池スタック3の四隅にある4つの貫通孔4に締結ボルト5を挿通させ、燃料電池スタック3の下面から突出する締結ボルト5の下端部分にナット(図示略)を螺着させる。また、残り4つの貫通孔4にガス流通用締結ボルト6を挿通させ、燃料電池スタック3の上面及び下面から突出するガス流通用締結ボルト6の両端部分にナット7を螺着させる。その結果、燃料電池スタック3において複数の燃料電池カセット2が固定される。
【0028】
図2及び
図3に示されるように、各燃料電池カセット2は、発電の最小単位である平板状の単セル11と、セパレータ12と、燃料極フレーム13と、インタコネクタ14とを積層し、各部材を溶接にて接合してなる接合体である。また、隣接する燃料電池カセット2において、一方(
図2では下方)の燃料電池カセット2のセパレータ12と他方(
図2では上方)の燃料電池カセット2のインタコネクタ14との間には空気極絶縁フレーム15が介在されている。
【0029】
単セル11は、空気極21、燃料極22及び固体電解質層23を有して構成され、発電反応により電力を発生する。燃料極フレーム13は、厚さが2mm程度の導電性材料(例えばステンレスなどの金属板)によって形成された略矩形枠状の部材であり、単セル11の側面を囲むように配置される。つまり、燃料極フレーム13の中央部には、同燃料極フレーム13を厚さ方向に貫通する矩形状の開口部31が設けられており、その開口部31よりも内側に単セル11が配置されている。
【0030】
セパレータ12は、厚さ0.1mmの導電性材料(例えばステンレスなどの金属板)によって形成されており、矩形状の開口部32を中央部に有する略矩形枠状をなしている。セパレータ12は、銀を含むロウ材を用いたロウ付けによって単セル11(固体電解質層23)の周縁部に接合されるとともに、燃料極フレーム13の一方の表面34(
図2では上面)に配置される。セパレータ12は、セル11間の仕切り板として機能し、空気極21に接する酸化剤ガス(空気)及び燃料極22に接する燃料ガスを分離する。
【0031】
インタコネクタ14は、厚さが0.8mm程度の導電性材料(例えばステンレスなどの金属板)によって略矩形板状に形成されている。インタコネクタ14は、燃料極フレーム13においてセパレータ12が配置される一方の表面34の裏面側となる他方の表面35(
図2では下面)側に配置される。
【0032】
燃料電池スタック3において複数の燃料電池カセット2を積層配置した場合、エンドプレート8,9は、単セル11の厚み方向の両側に一対配置される。各インタコネクタ14は、ガス流路を形成するとともに、隣接する単セル11同士を導通させるようになっている。隣り合う単セル11の間に配置されるインタコネクタ14は、隣り合う単セル11を区分する。両エンドプレート8,9は、燃料電池スタック3を挟持しており、燃料電池スタック3から出力される電流の出力端子となっている。なお、エンドプレート8,9は、インタコネクタ14よりも肉厚になっている。
【0033】
空気極絶縁フレーム15は、厚さ1.0mm程度のマイカシートによって略矩形枠状に形成されている。空気極絶縁フレーム15の中央部には、同絶縁フレーム15を厚さ方向に貫通する矩形状の開口部37が設けられている。
【0034】
単セル11を構成する固体電解質層23は、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)などのセラミック材料(酸化物)によって形成され、厚さ0.01mmの略矩形板状をなしている。固体電解質層23は、セパレータ12の下面に固定されるとともに、セパレータ12の開口部32を塞ぐように配置されている。固体電解質層23は、酸素イオン伝導性固体電解質体として機能するようになっている。
【0035】
また、固体電解質層23の上面には、燃料電池スタック3に供給された酸化剤ガスに接する空気極21が貼付され、固体電解質層23の下面には、同じく燃料電池スタック3に供給された燃料ガスに接する燃料極22が貼付されている。即ち、空気極21及び燃料極22は、固体電解質層23の両側に配置されている。また、空気極21は、セパレータ12の開口部32内に配置され、セパレータ12と接触しないようになっている。なお、本実施の形態では、燃料極フレーム13の開口部31、インタコネクタ14等によってセパレータ12の下方に燃料室17が形成されるとともに、空気極絶縁フレーム15の開口部37、インタコネクタ14等によってセパレータ12の上方に空気室18が形成されている。
【0036】
本実施の形態の単セル11において、空気極21は、金属の複合酸化物であるLSCF(La
0.6Sr
0.4Co
0.2Fe
0.8O
3)によって矩形板状に形成されている。また、燃料極22は、ニッケルとイットリア安定化ジルコニアとの混合物(Ni−YSZ)によって矩形板状に形成されている。単セル11において、空気極21はカソード層として機能し、燃料極22はアノード層として機能する。空気極21は、空気極側集電体38によってインタコネクタ14に電気的に接続され、燃料極22は、燃料極側集電体39によってインタコネクタ14に電気的に接続されている。
【0037】
燃料電池スタック3(各燃料電池カセット2)には、酸化剤ガス及び燃料ガスを流すガス流路が形成されている。燃料電池スタック3に形成されるガス流路は、マニホールド形状の流路であり、各燃料電池カセット2の積層方向に延設される縦孔部と、縦孔部に接続されてそれぞれの単セル11に繋がるガス流路を分岐または集合すべく積層方向と直交する方向に延設される横孔部とを有する。
【0038】
具体的には、
図2に示されるように、燃料電池スタック3のガス流路として、各単セル11の燃料室17に燃料ガスを供給する燃料供給経路50と、燃料室17から燃料ガスを排出する燃料排出経路51とが形成されている。燃料供給経路50は、ガス流通用締結ボルト6の中心部において軸方向に沿って延びる燃料供給孔52(縦孔部)と、燃料供給孔52及び燃料室17を連通させる燃料供給横孔53(横孔部)とによって構成されている。また、燃料排出経路51は、ガス流通用締結ボルト6の中心部において軸方向に沿って延びる燃料排出孔54(縦孔部)と、燃料排出孔54及び燃料室17を連通させる燃料排出横孔55(横孔部)とによって構成されている。よって、燃料ガスは、燃料供給孔52及び燃料供給横孔53を順番に通過して燃料室17に供給され、燃料排出横孔55及び燃料排出孔54を順番に通過して燃料室17から排出される。
【0039】
さらに燃料電池スタック3のガス流路として、各単セル11の空気室18に空気を供給する空気供給経路(図示略)と、空気室18から空気を排出する空気排出経路(図示略)とを備えている。空気供給経路は、燃料供給経路50と略同様の構造を有しており、ガス流通用締結ボルト6の中心部において軸方向に沿って延びる空気供給孔(図示略)と、空気供給孔及び空気室18を連通させる空気供給横孔(図示略)とによって構成されている。また、空気排出経路は、燃料排出経路51と略同様の構造を有しており、ガス流通用締結ボルト6の中心部において軸方向に沿って延びる空気排出孔(図示略)と、空気排出孔及び空気室を連通させる空気排出横孔(図示略)とによって構成されている。よって、空気は、空気供給孔(縦孔部)及び空気供給横孔(横孔部)を順番に通過して空気室18に供給され、空気排出横孔(横孔部)及び空気排出孔(縦孔部)を順番に通過して空気室18から排出される。
【0040】
本実施の形態において、燃料電池カセット2を構成するセパレータ12、燃料極フレーム13及びインタコネクタ14などの平板状の金属部材は、レーザ溶接によって各々接合されている。
図4には、燃料電池カセット2において、セパレータ12側から見た燃料極フレーム13との溶接部(溶接痕70〜72)を示している。
【0041】
図4に示されるように、セパレータ12には、中央部の開口部32に加えて、縁部に複数の穴部60が貫通形成されている。燃料極フレーム13、インタコネクタ14及び空気極絶縁フレーム15にも、同じ位置に複数の穴部60が貫通形成されている(
図3参照)。各穴部60は、締結ボルト5やガス流通用締結ボルト6を挿通させる貫通孔4(
図2参照)の一部を構成するものであり、円形状の穴部60aと楕円形状の穴部60bとを含む。
【0042】
ここで、セパレータ12及び燃料極フレーム13に形成される楕円形状の穴部60bは、上述したガス流路を形成するための穴部である。より詳しくは、
図4のセパレータ12の上下に形成される楕円形状の穴部60bにおいて、上側は燃料ガス供給用のガス流路(燃料供給経路50)を形成するための穴部であり、下側は燃料ガス排出用のガス流路(燃料排出経路51)を形成するための穴部である。また、セパレータ12の左右に形成される楕円形状の穴部60bにおいて、左側は酸化剤ガス供給用のガス流路(空気供給経路)を形成するための穴部であり、右側は酸化剤ガス排出用のガス流路(空気排出経路)を形成するための穴部である。さらに、左右に配置される楕円形状の穴部60bには、その上下方向に細長の穴部60cが延設されている。これら穴部60b及び穴部60cは、ガス流路の縦孔部と横孔部との分岐箇所に対応する分岐用穴部60dであり、楕円形状の穴部60bが縦孔部に相当し、上下方向に延びる穴部60cが横孔部に相当する。
【0043】
そして、セパレータ12の外周部65には、燃料極フレーム13と接合するために、レーザ溶接による閉回路形状の溶接痕70が形成されている。さらに、セパレータ12における各穴部60(60a,60d)の周囲にも、レーザ溶接による閉回路形状の溶接痕71,72が形成されている。また、インタコネクタ14にも、燃料極フレーム13と接合するために、レーザ溶接による閉回路形状の溶接痕が同様に形成されている。なお、インタコネクタ14の表面及びセパレータ12の表面における溶接痕70〜72の線幅は0.1mm程度である。
【0044】
このように、燃料極フレーム13の上面34にセパレータ12をレーザ溶接するとともに燃料極フレーム13の下面35にインタコネクタ14をレーザ溶接することで、燃料電池カセット2が形成される。また、閉回路形状の溶接痕70〜72によって各穴部60や外周部65が封止されることにより、燃料電池カセット2の内側に閉じた空間として燃料室17が形成されるようになっている。なお、本実施の形態では、
図2における燃料供給横孔53及び燃料排出横孔55として、燃料極フレーム13の開口部31側に穴部60bと連通する溝が存在し、燃料室17と連通している。また、空気供給横孔及び空気排出横孔として、空気極絶縁フレーム15の開口部37側に穴部60bと連通する溝が存在し、空気室18と連通している。
【0045】
本実施の形態において、セパレータ12における穴部60aの周囲を封止する閉回路形状の溶接痕71は、穴部60aの外形形状に沿って円形状に形成されている。一方、セパレータ12における分岐用穴部60dの周囲を封止する閉回路形状の溶接痕72は、分岐用穴部60dの外形形状とは異なる矩形状に形成されている。矩形状の溶接痕72は、燃料極フレーム13の内縁部74に平行な長辺を有している。つまり、溶接痕72において燃料極フレーム13の内縁部74側に形成される長辺の部分72aがその内縁部74に沿って形成されている。また、
図5に示されるように、溶接痕72の一部72a(長辺の部分)は、内縁部74からの距離D1として3mm程度離れた位置に形成されており、内縁部74からの距離D1が穴部60dからの距離D2よりも近くなっている。なお、燃料極フレーム13の幅W1は20mm程度である。
【0046】
燃料電池カセット2において、燃料極フレーム13の開口部31内に形成される燃料室17には、その燃料極フレーム13の内縁部74に沿った燃料ガスの流路(
図4では、上方から下方に向かう矢印方向Xのガス流路)が形成される。従って、燃料極フレーム13の内縁部74側に形成される溶接痕72の一部72aは、ガス流路に沿って形成される直線的な溶接部となっている。
【0047】
上記のように構成した燃料電池において、例えば、稼働温度(700℃程度)に加熱した状態で、燃料供給経路50から燃料室17に燃料ガスを導入するとともに、空気供給経路から空気室18に空気を供給する。その結果、燃料ガス中の水素と空気中の酸素とが固体電解質層23を介して反応(発電反応)し、空気極21を正極、燃料極22を負極とする直流の電力が発生する。なお、本実施の形態の燃料電池スタック3は、単セル11を複数積層して直列に接続しているため、空気極21に電気的に接続される上側エンドプレート8が正極となり、燃料極22に電気的に接続される下側エンドプレート9が負極となる。
【0048】
次に、本発明の燃料電池の製造方法を説明する。
【0049】
先ず、単セル11を、従来周知の手法に従って形成する。具体的には、燃料極22となるグリーンシート上に固体電解質層23となるグリーンシートを積層し、焼成する。さらに、固体電解質層23上に空気極21の形成材料を印刷した後、焼成する。この時点で、単セル11が形成される。
【0050】
次に、ステンレス板を打ち抜くことにより、穴部60を有するセパレータ12、燃料極フレーム13及びインタコネクタ14を形成する。また、マイカシートを所定形状に形成することにより、空気極絶縁フレーム15を形成する。具体的には、市販のマイカシート(マイカと成形用樹脂との複合体からなるシート)を切断して他の部材(燃料極フレーム13など)と略同じ形状に形成する。なお、マイカシートに含まれている樹脂成分は、他の部材と共に積層された後に行われる熱処理によって蒸発する。さらに、マイカシートは、各燃料電池カセット2を積層方向にボルト締めした際に他の部材(セパレータ12及びインタコネクタ14)に挟まれることによって、各部材をシールするようになっている。
【0051】
次に、セパレータ12、燃料極フレーム13及びインタコネクタ14をレーザ溶接により接合する。具体的には、セパレータ12及び燃料極フレーム13における各穴部60の位置合わせを行いつつ、
図6に示されるように、セパレータ12及び燃料極フレーム13を重ね合わせた状態で溶接治具装置100(上治具101と下治具102との間)に配置する。そして、図示しない固定部材(ボルト、ナット、クランプ部材など)によって上治具101と下治具102とを締め付けることでセパレータ12及び燃料極フレーム13を固定する。
【0052】
溶接治具装置100の上治具101には、溶接部位を露呈させる開口部103が形成されている。そして、レーザ照射装置105を用い、所定の照射条件(例えば、出力が150W、ビーム径が0.1mm程度)にて上治具101の開口部103に沿ってレーザL1を照射する。ここでは、セパレータ12側からレーザL1を照射し、燃料極フレーム13にセパレータ12をレーザ溶接する。なお、レーザ照射装置105としては、例えばファイバーレーザなどの照射装置が用いられる。ファイバーレーザは、波長が1080nmのレーザL1を照射する固体レーザである。また、図示しないX−Yテーブルを用いて溶接治具装置100を水平方向に移動させることで、上治具101の開口部103に沿ってレーザL1を照射するように構成している。
【0053】
レーザ溶接の後、接合したセパレータ12と燃料極フレーム13とを溶接治具装置100から一旦取り出す。そして、セパレータ12を、ロウ付けによって単セル11の固体電解質層23に対して固定する。具体的には、固体電解質層23とセパレータ12とのそれぞれにロウ材を配置した後、大気雰囲気下で、例えば850〜1100℃で加熱することでロウ材を溶融させて、固体電解質層23とセパレータ12とを接合する。
【0054】
その後、上記と同様の溶接治具装置を用いて、燃料極フレーム13の表面35側にインタコネクタ14をレーザ溶接する。ここでは、レーザ照射装置105により、インタコネクタ14側からレーザL1を照射する。なお、インタコネクタ14は、セパレータ12よりも厚いため、レーザ出力を300Wとした状態でレーザL1を照射して、燃料極フレーム13にインタコネクタ14をレーザ溶接する。この結果、各部材11〜14の接合体である燃料電池カセット2が形成される。
【0055】
そして、燃料電池カセット2と空気極絶縁フレーム15とを複数積層して一体化することにより、燃料電池スタック3を形成する。さらに、燃料電池スタック3の四隅にある4つの貫通孔4に締結ボルト5を挿通させ、燃料電池スタック3の下面から突出する締結ボルト5の下端部分にナット(図示略)を螺着させる。また、残り4つの貫通孔4にガス流通用締結ボルト6を挿通させ、燃料電池スタック3の上面及び下面から突出するガス流通用締結ボルト6の両端部分にナット7を螺着させる。その結果、燃料電池スタック3において各燃料電池カセット2が固定され、本発明の燃料電池が完成する。
【0056】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0057】
(1)本実施の形態の燃料電池カセット2では、燃料極フレーム13の内縁部74に沿って溶接部72aが形成されるため、燃料極フレーム13の内縁部74に沿ってセパレータ12を確実に密着させることができる(
図5参照)。従って、従来技術のようにガス流路の外側に燃料ガスが流れる隙間が形成されることが回避され、その隙間に発電反応に寄与しない無駄な燃料ガスが流れるといった問題を防止することができる。また、溶接部72aはガス流路に沿って形成されるため、溶接部72aがガス流路の壁部となり燃料ガスをスムーズに流すことができる。この結果、燃料電池カセット2における燃料ガスの利用率の低下が防止され、電池特性を良好に維持することができる。
【0058】
(2)本実施の形態の燃料電池カセット2において、溶接部72aは、燃料極フレーム13の内縁部74から3mm程度離れた位置に形成されている。このようにすると、溶接時の位置ズレや、セパレータ12及び燃料極フレーム13の寸法の誤差等があった場合でも、燃料極フレーム13の内縁部74に沿ってセパレータ12を確実に接合することができる。
【0059】
(3)本実施の形態の燃料電池カセット2において、セパレータ12及び燃料極フレーム13には、ガス流路を構成する穴部60(60a〜60d)が形成され、溶接により穴部60の周囲を封止する閉回路形状の溶接痕71,72が形成されている。そして、閉回路形状の溶接痕72の一部が、燃料極フレーム13の内縁部74に沿って形成され、溶接部72aを兼ねている。このようにすると、穴部60の周囲を封止する溶接と燃料極フレーム13の内縁部74に沿ってセパレータ12を接合する溶接とを別々に行う必要がなく、製造工程の簡素化が可能となる。
【0060】
(4)本実施の形態の燃料電池カセット2において、セパレータ12の厚みは、インタコネクタ14の厚みより薄くなっている。この場合、セパレータ12が変形し易く、その変形によって燃料極フレーム13との間に隙間が生じ易くなる。このように、薄いセパレータ12を用いた場合でも、本実施の形態のように溶接部72aを形成することにより、燃料極フレーム13の内縁部74に沿ってセパレータ12を確実に密着させることができ、ガス流路の外側に無駄な燃料ガスが流れるといった問題を防止することができる。
【0061】
(5)本実施の形態の燃料電池カセット2では、セパレータ12と燃料極フレーム13とを接合する溶接は、ファイバーレーザによる溶接である。この場合、小さいスポットサイズに焦点を合わせることができるため、溶接痕70〜72の線幅を0.1mm程度とすることができる。従って、熱歪みを抑えつつ燃料極フレーム13にセパレータ12を確実に溶接することができ、燃料電池カセット2におけるシール性を十分に確保することができる。また、ファイバーレーザを用いることで、レーザ照射装置105の小型化が可能となる。
【0062】
(6)本実施の形態の燃料電池カセット2において、燃料極フレーム13の内縁部74に沿って形成される溶接部72aは、燃料極フレーム13の内縁部74からの距離D1が分岐用穴部60dからの距離D2よりも近くなっている。このようにすると、燃料極フレーム13の内縁部74の近傍でセパレータ12を確実に密着させることができるため、ガス流路の外側に燃料ガスが流れることを確実に防止することができる。
【0063】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0064】
・上記実施の形態において、分岐用穴部60dの周囲を封止する矩形状の溶接痕72は、その長辺の長さが細長の穴部60cに対応した長さとなっていたが、これに限定されるものではない。具体的には、燃料ガスを供給するガス流路は、例えば燃料極フレーム13に溝を切ることで形成される。このガス流路の設計による燃料ガスの流配は、単セル11のサイズなどによってその都度変更される。ここで、燃料ガスの拡散が大きく、単セル11の面方向への広がりが大きい場合には、
図7に示されるように、穴部60cよりも長辺を長くして溶接痕80を形成してもよい。なおこの場合、閉回路形状の溶接痕80において、燃料極フレーム13の内縁部74に沿って形成される溶接部80aも長くなる。このようにすると、ガス流路に沿って燃料ガスを確実に流すことができる。
【0065】
・上記実施の形態において、各穴部60(60a〜60d)の周囲を封止する閉回路形状の溶接痕71,72の形状を適宜変更してもよい。その具体例を
図8〜
図10に示している。
図8では、セパレータ12及び燃料極フレーム13の上下に配置される楕円形状の穴部60bの周囲に、矩形状の溶接痕81が形成されている。また、
図9では、上側の円形状の穴部60aの周囲に矩形状の溶接痕82が形成されるとともに、下側の楕円形状の穴部60bの周囲に矩形状の溶接痕81が形成されている。さらに、
図10では、上下に配置される4つの円形状の穴部60aの周囲に矩形状の溶接痕82が形成されている。これら溶接痕81,82を形成した場合でも、ガス流路に沿って燃料ガスを確実に流すことができる。
【0066】
・上記実施の形態において、閉回路形状の溶接痕72の一部72aが、燃料極フレーム13の内縁部74に沿って形成された溶接部を兼ねるものであったが、これに限定されるものではない。
図11に示されるように、閉回路形状の溶接痕83とは別に、燃料極フレーム13の内縁部74に沿って溶接部85を形成してもよい。この溶接部85は、内縁部74と平行に形成された直線的な溶接痕である。なお、閉回路形状の溶接痕83と溶接部85とを別々に設ける場合、溶接部85は、点線状の溶接痕であってもよい。また、溶接部85は、直線的な線状の溶接痕に限定されるものではなく、波線状やギザギザ状の溶接痕としてもよい。
【0067】
・上記実施の形態では、ファイバーレーザを用いたレーザ溶接を行うものであったが、ファイバーレーザ以外に、炭酸ガスレーザやYAGレーザを用いたレーザ溶接にて溶接部70〜72,80〜83,85を形成してもよい。さらに、レーザ溶接以外に、例えばシームレス溶接(抵抗溶接)やロウ付けなどの他の手法によって溶接部70〜72,80〜83,85を形成してもよい。
【0068】
・上記実施の形態では、固体酸化物形燃料電池に具体化するものであったが、これ以外に溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)などの他の燃料電池に具体化してもよい。
【0069】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0070】
(1)手段1において、前記セパレータの厚みは、0.04mm以上0.3mm以下であることを特徴とする燃料電池カセット。
【0071】
(2)手段1において、前記閉回路形状の前記溶接痕は、矩形状に形成され、前記フレームの内縁部に平行な長辺を有することを特徴とする燃料電池カセット。
【0072】
(3)手段1において、前記溶接部は、レーザにより形成される線状の溶接痕であり、その溶接痕の線幅は、0.2mm以下であることを特徴とする燃料電池カセット。
【0073】
(4)技術的思想(3)において、前記レーザは、ファイバーレーザであることを特徴とする燃料電池カセット。
【0074】
(5)手段1において、前記電解質層は、固体酸化物からなる固体電解質層であることを特徴とする燃料電池カセット。
【0075】
(6)手段2において、各燃料電池カセットに形成される前記ガス流路は、前記燃料電池カセットの積層方向に延設される縦孔部と、前記縦孔部に接続されてそれぞれの前記単セルに繋がるガス流路を分岐または集合すべく前記積層方向と直交する方向に延設される横孔部とを有するマニホールド形状の流路であり、前記フレーム及び前記セパレータに形成される前記穴部は、前記縦孔部と前記横孔部との分岐箇所に対応する分岐用穴部を含み、前記分岐用穴部の周囲を封止する前記閉回路形状の前記溶接痕は、前記分岐用穴部の外形形状とは異なる形状を有することを特徴とする燃料電池スタック。
【0076】
(7)技術的思想(6)において、前記フレームの内縁部に沿って形成される前記溶接部は、前記フレームの内縁部からの距離が前記分岐用穴部からの距離よりも近いことを特徴とする燃料電池スタック。