特許第6231391号(P6231391)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイヘンの特許一覧

特許6231391アーク処理用トーチ、アーク処理システム
<>
  • 特許6231391-アーク処理用トーチ、アーク処理システム 図000002
  • 特許6231391-アーク処理用トーチ、アーク処理システム 図000003
  • 特許6231391-アーク処理用トーチ、アーク処理システム 図000004
  • 特許6231391-アーク処理用トーチ、アーク処理システム 図000005
  • 特許6231391-アーク処理用トーチ、アーク処理システム 図000006
  • 特許6231391-アーク処理用トーチ、アーク処理システム 図000007
  • 特許6231391-アーク処理用トーチ、アーク処理システム 図000008
  • 特許6231391-アーク処理用トーチ、アーク処理システム 図000009
  • 特許6231391-アーク処理用トーチ、アーク処理システム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231391
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】アーク処理用トーチ、アーク処理システム
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/29 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
   B23K9/29 E
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-8779(P2014-8779)
(22)【出願日】2014年1月21日
(65)【公開番号】特開2015-136708(P2015-136708A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2016年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【弁理士】
【氏名又は名称】土居 史明
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】大久保 淳
【審査官】 竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−199268(JP,A)
【文献】 実開平6−61370(JP,U)
【文献】 国際公開第2014/147054(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/00 − 10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる筒状を呈するハンドルと、
前記ハンドルから延び出ているトーチヘッドと、
トーチスイッチ、第1誤作動防止スイッチ、および第2誤作動防止スイッチと、を備え、
前記ハンドルは、作業者が握るための把持用筒部と、前記把持用筒部よりも前記第1方向側に位置し且つ前記トーチヘッドが延び出る先端筒部と、を含み、
前記トーチスイッチは、前記第1方向において、前記先端筒部と重なる位置に位置しており、
前記第1誤作動防止スイッチおよび第2誤作動防止スイッチは、いずれもが前記第1方向において前記把持用筒部に重なる位置に位置しており、且つ、前記ハンドルの周方向において互いに異なる位置に位置している、アーク処理用トーチ。
【請求項2】
前記先端筒部は、前記トーチスイッチよりも、前記ハンドルの径方向外方に突出する突出部分を有し、
前記トーチスイッチは、前記突出部分よりも前記第1方向側に位置している、請求項1に記載のアーク処理用トーチ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のアーク処理用トーチと、
前記トーチヘッドに挿通された電極にアーク電流を流す電源と、を備え、
前記電源は、前記複数のスイッチのいずれもがオン状態である場合にのみ、前記アーク電流を流す、アーク処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーク処理用トーチと、アーク処理システムと、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アークを用いて被処理部材の処理を行うアーク処理が知られている。アーク処理の一つとしてアーク溶接方法が挙げられる。たとえば特許文献1にはアーク溶接方法に用いるアーク溶接トーチが開示されている。同文献に開示のアーク溶接トーチは、トーチホルダとトーチスイッチとを備える。アーク溶接を行う場合、作業者がトーチホルダを保持しつつ、トーチスイッチをオン状態とする。これにより、アーク溶接トーチに挿通された溶接ワイヤに溶接電流が給電され、当該ワイヤが被処理部材に向かって送給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−214455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のアーク溶接においては、粉塵等の異物がトーチホルダの内部に侵入するおそれがあった。異物がトーチホルダの内部に侵入すると、トーチスイッチの故障を招きかねない。また、作業者は、作業が終了すると、アーク溶接トーチを床面や作業机等に置くことがある。床面や作業机等にアーク溶接トーチを置いた際、トーチスイッチが突起物等に接触することにより、トーチスイッチがオン状態となってしまう不具合が発生するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、不具合の発生を回避できるアーク処理用トーチを提供することをその主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によると、ハンドルと、前記ハンドルから延び出ているトーチヘッドと、前記ハンドルに収容されたスイッチと、を備え、前記ハンドルは、形状保持部と、前記形状保持部につながり且つ前記形状保持部より柔軟である変形容易部と、を含み、前記スイッチは、前記変形容易部を介して、前記ハンドルの外部から力を受けることにより、オン状態となる、アーク処理用トーチが提供される。
【0007】
好ましくは、前記スイッチの個数および前記変形容易部の個数はそれぞれ、複数であり、前記複数のスイッチは、トーチスイッチおよび第1誤作動防止スイッチを含み、前記複数の変形容易部は、トーチスイッチ用変形容易部および第1変形容易部を含み、前記トーチスイッチ用変形容易部は、前記トーチスイッチに当接可能であり、前記第1変形容易部は、前記第1誤作動防止スイッチに当接可能である。
【0008】
好ましくは、前記複数のスイッチは、第2誤作動防止スイッチを含み、前記複数の変形容易部は、第2変形容易部を含み、前記第2変形容易部は、前記第2誤作動防止スイッチに当接可能である。
【0009】
好ましくは、前記ハンドルは、第1方向に延びる筒状を呈しており、前記ハンドルは、作業者が握るための把持用筒部と、前記把持用筒部よりも前記第1方向側に位置し且つ前記トーチヘッドが延び出る先端筒部と、を含み、前記トーチスイッチは、前記第1方向において、前記先端筒部と重なる位置に位置しており、前記第1誤作動防止スイッチおよび第2誤作動防止スイッチは、いずれもが前記第1方向において前記把持用筒部に重なる位置に位置しており、且つ、前記ハンドルの周方向において互いに異なる位置に位置している。
【0010】
好ましくは、前記先端筒部は、前記トーチスイッチよりも、前記ハンドルの径方向外方に突出する突出部分を有し、前記トーチスイッチは、前記突出部分よりも前記第1方向側に位置している。
【0011】
好ましくは、前記複数の変形容易部は、少なくとも1つの追加変形容易部を含み、各追加変形容易部は、前記形状保持部につながり且つ前記形状保持部より柔軟であり、前記トーチスイッチ用変形容易部および前記少なくとも1つの追加変形容易部は、いずれもが前記先端筒部によって構成されており、且つ、前記ハンドルの周方向において互いに異なる位置に位置している。
【0012】
好ましくは、前記ハンドルは、前記形状保持部につながり且つ前記形状保持部より柔軟である柔軟部を含み、前記形状保持部は、第1部品と、前記第1部品とは別体の第2部品とを含み、前記第2部品は、前記第1方向視において、前記トーチヘッドを挟んで前記第1部品とは反対側に位置しており、且つ、前記柔軟部を介して前記第1部品に固定されている。
【0013】
好ましくは、前記スイッチは、シートスイッチである。
【0014】
本発明の第2の側面によると、第1方向に延びる筒状を呈するハンドルと、前記ハンドルから延び出ているトーチヘッドと、トーチスイッチ、第1誤作動防止スイッチ、および第2誤作動防止スイッチと、を備え、前記ハンドルは、作業者が握るための把持用筒部と、前記把持用筒部よりも前記第1方向側に位置し且つ前記トーチヘッドが延び出る先端筒部と、を含み、前記トーチスイッチは、前記第1方向において、前記先端筒部と重なる位置に位置しており、前記第1誤作動防止スイッチおよび第2誤作動防止スイッチは、いずれもが前記第1方向において前記把持用筒部に重なる位置に位置しており、且つ、前記ハンドルの周方向において互いに異なる位置に位置している、アーク処理用トーチが提供される。
【0015】
好ましくは、前記先端筒部は、前記トーチスイッチよりも、前記ハンドルの径方向外方に突出する突出部分を有し、前記トーチスイッチは、前記突出部分よりも前記第1方向側に位置している。
【0016】
本発明の第3の側面によると、本発明の第1の側面または第2の側面によって提供されるアーク処理用トーチと、前記トーチヘッドに挿通された電極にアーク電流を流す電源と、を備え、前記電源は、前記複数のスイッチのいずれもがオン状態である場合にのみ、前記アーク電流を流す、アーク処理システムが提供される。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態のアーク処理システムを示す図である。
図2図1に示したアーク処理用トーチを示す正面図である。
図3図2に示したアーク処理用トーチを示す背面図である。
図4図2に示したアーク処理用トーチの一部を断面として示す部分断面図である。
図5図4のV−V線に沿う部分拡大断面図である。
図6】本発明の第1実施形態のアーク処理システムの回路図である。
図7】本発明の第1実施形態の第1変形例のアーク処理用トーチを示す斜視図である。
図8】本発明の第2実施形態のアーク処理用トーチを示す正面図である。
図9】本発明の第3実施形態のアーク処理用トーチを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
<第1実施形態>
図1図6を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1実施形態のアーク処理システムを示す図である。
【0022】
同図に示すアーク処理システムA1は、アーク処理用トーチT1および電源5を備える。アーク処理システムA1は、アーク処理を行うためのものであり、本実施形態では、被処理部材W1に対してアーク溶接を行うためのものである。アーク処理システムA1は電極19を用いて、被処理部材W1に対しアーク溶接を行う。本実施形態では、電極19は、消耗電極すなわちワイヤである。アーク処理用トーチT1は、送給装置(図示略)から送給された電極19を、被処理部材W1に案内するためのものである。
【0023】
図2は、図1に示したアーク処理用トーチを示す正面図である。図3は、図2に示したアーク処理用トーチを示す背面図である。図4は、図2に示したアーク処理用トーチの一部を断面として示す部分断面図である。
【0024】
図2図4に示すアーク処理用トーチT1は、トーチヘッド1と、ハンドル3と、複数のスイッチ500と、を含む。
【0025】
トーチヘッド1は、被処理部材W1のアーク処理に際し、電極19を所望の箇所へと案内する。トーチヘッド1は、ハンドル3から延び出ている。本実施形態では、トーチヘッド1内に電極19が挿通される。
【0026】
トーチヘッド1は、ノズル11と、トーチボディ12と、を含む。
【0027】
ノズル11は、アーク処理用トーチT1の先端に位置する筒状の部材である。本実施形態では、溶接対象である被処理部材W1に対して、ガス供給装置(図示略)から供給されたシールドガスを噴出する。ノズル11は、上述のように筒状に形成されているため、ノズル11から噴出したシールドガスは、被処理部材W1における、溶接すべき箇所を外気から遮断する。このことにより、大気中の窒素が被処理部材に溶け込むことによる溶接欠陥(ブローホール)が防止される。ノズル11の内部には、給電チップ(図示略)が設けられている。当該給電チップは、アーク処理用トーチT1の使用時において、送給されている電極19に給電する。そして、被処理部材W1に向かって、給電された電極19が送給される。
【0028】
トーチボディ12は、筒状の部材である。トーチボディ12はハンドル3から延び出ており、トーチボディ12の先端はノズル11に接続されている。トーチボディ12は、作業者が被処理部材W1に対してノズル11を向けやすいように、屈曲部分を有している。
【0029】
複数のスイッチ500は、ハンドル3に収容されており、ハンドル3に対し相対的に固定されている。本実施形態では、複数のスイッチ500はシートスイッチであり、ハンドル3内の部品に固定されている。図示は省略するが、シートスイッチにおいては、たとえば、上部電極シート、下部電極シートと呼ばれる2枚の電極フィルムが、空隙を挟んで配置されている。上部電極シートを上から押すことで上部電極シートおよび下部電極シートが接触し、互いに導通する。このとき、シートスイッチがオン状態となる。一方、上部電極シートが押されていない場合、上部電極シートおよび下部電極シートは離間しており、互いに絶縁されている。このとき、シートスイッチはオフ状態である。なお、本実施形態とは異なり、スイッチ500はシートスイッチに限定されず、たとえば、押しボタン式のプッシュスイッチ、あるいは、レバースイッチであってもよい。
【0030】
複数のスイッチ500は、トーチスイッチ50と、第1誤作動防止スイッチ51と、第2誤作動防止スイッチ52と、を含む。第1誤作動防止スイッチ51と、第2誤作動防止スイッチ52とについては、後述する。
【0031】
ハンドル3は、第1方向X1に延びる筒状を呈している。ハンドル3は、作業者がアーク処理を行う際の持ち手部分として機能するものである。ハンドル3は、アーク処理の作業効率を向上させるために、たとえば、人間の握りやすい形状とするとよい。本実施形態では、ハンドル3内に電極19が挿通される。ハンドル3は、絶縁性の材料よりなる。本実施形態では、ハンドル3は、二色成形によって形成されている。
【0032】
図2図4に示すように、ハンドル3は、把持用筒部35と、先端筒部36と、を含む。
【0033】
把持用筒部35は、作業者が握るための部分である。先端筒部36は、把持用筒部35よりも第1方向X1側に位置している。先端筒部36からは、トーチヘッド1が延び出ている。先端筒部36は突出部分361を有する。突出部分361は、トーチスイッチ50よりも、ハンドル3の径方向外方(換言すれば、ハンドル3内を通る第1方向X1に延びる仮想の中心線の径方向外方)に突出している。
【0034】
ハンドル3は、形状保持部34と、複数の変形容易部300と、柔軟部38と、を有する。図2では、変形容易部300を、ハッチングを付すことにより示している。
【0035】
形状保持部34は、ハンドル3としての形状を保持するための部分であり、変形容易部300よりも硬い樹脂よりなる。形状保持部34は、たとえば、ナイロン系の樹脂、PET(polyethylene terephthalate)、または、PBT(polybutylene terephthalate)によって構成される。形状保持部34は第1方向X1に延びる筒状を呈している。
【0036】
複数の変形容易部300および柔軟部38は、同一材料よりなる。変形容易部300および柔軟部38は、形状保持部34より柔軟である。変形容易部300および柔軟部38は、たとえば、エラストマー(たとえばシリコーン)、ポリ塩化ビニル、または、オレフィン系の樹脂によって構成される。複数の変形容易部300は各々、形状保持部34につながっている。上述のようにハンドル3は二色成形によって形成されるため、変形容易部300の周縁は全て、形状保持部34につながっており、変形容易部300と形状保持部34との間に隙間は形成されていない。変形容易部300を介して、スイッチ500が、ハンドル3の外部から力を受けることにより、オン状態となる。この際、変形容易部300は、スイッチ500の位置する側に変形している。
【0037】
図2図4に示すように、複数の変形容易部300は、トーチスイッチ用変形容易部30と、2つの追加変形容易部30Aと、第1変形容易部31と、第2変形容易部32と、を含む。
【0038】
トーチスイッチ用変形容易部30は、トーチスイッチ50に当接可能である。トーチスイッチ用変形容易部30は、上述の先端筒部36によって構成されている。トーチスイッチ用変形容易部30は、突出部分361よりも第1方向X1側に位置している。そして、トーチスイッチ用変形容易部30よりもハンドル3の径方向外方に、突出部分361が突出している。
【0039】
図2図3に示すように、2つの追加変形容易部30Aは、上述の先端筒部36によって構成されている。2つの追加変形容易部30Aおよびトーチスイッチ用変形容易部30は、ハンドル3の周方向(換言すれば、ハンドル3内を通る第1方向X1に延びる仮想の中心線の周方向)において互いに異なる位置に位置している。本実施形態では、追加変形容易部30Aの内側には、スイッチは配置されていない。
【0040】
第1変形容易部31は、第1誤作動防止スイッチ51に当接可能である。第1変形容易部31は、上述の把持用筒部35によって構成されている。本実施形態では、第1変形容易部31は、ハンドル3において、図2図4にて上方に位置している。
【0041】
第2変形容易部32は、第2誤作動防止スイッチ52に当接可能である。第2変形容易部32は、上述の把持用筒部35によって構成されている。第2変形容易部32および第1変形容易部31は、ハンドル3の周方向において互いに異なる位置に位置している。本実施形態では、第2変形容易部32は、ハンドル3において、図2図4にて下方に位置している。
【0042】
図5は、図4のV−V線に沿う部分拡大断面図である。
【0043】
図2図5に示すように、上述の形状保持部34は、第1部品341と、第1部品341とは別体の第2部品342とを含む。図示は省略するが、第1部品341は、半円状の断面形状を有する。第1部品341は、上述のトーチスイッチ用変形容易部30および第2変形容易部32と一体となっている。一方、第2部品342は、第1方向X1視において、トーチヘッド1を挟んで第1部品341とは反対側に位置している。本実施形態では、第2部品342は半円状の断面形状を有する。第2部品342は、上述の追加変形容易部30Aおよび第1変形容易部31と一体となっている。そして、第2部品342は、第1部品341に対し固定されている。第2部品342を第1部品341に対し固定するには、たとえばねじ(図示略)を用いるとよい。
【0044】
図5に示すように、本実施形態では特に、第2部品342は、柔軟部38を介して第1部品341に対し固定されている。柔軟部38は第1部品341と一体となっており、溝381が形成されている。そして、溝381に、第2部品342が嵌まりこんだ状態で、柔軟部38に第2部品342が押し付けられている。
【0045】
ハンドル3は、二色成形によって、たとえば以下のように製造される。
【0046】
まず、ある金型を用い、1種類目の材料によって第1部品341を形成する。次に、別の金型を用い、2種類目の材料によって、トーチスイッチ用変形容易部30と第2変形容易部32と柔軟部38とを形成する。このようにして、第1部品341とトーチスイッチ用変形容易部30と第2変形容易部32と柔軟部38とが一体となった製品が製造される。同様に、ある金型を用い、1種類目の材料によって第2部品342を形成する。次に、別の金型を用い、2種類目の材料によって、追加変形容易部30Aと第1変形容易部31とを形成する。このようにして、第2部品342と追加変形容易部30Aと第1変形容易部31とが一体となった製品が製造される。
【0047】
図2図4等に示すトーチスイッチ50は、第1方向X1において、先端筒部36と重なる位置に位置している。そして、本実施形態では、トーチスイッチ50は先端筒部36に囲まれている。一方、第1誤作動防止スイッチ51および第2誤作動防止スイッチ52は、いずれもが第1方向X1において把持用筒部35に重なる位置に位置している。本実施形態では、第1誤作動防止スイッチ51および第2誤作動防止スイッチ52はいずれも、把持用筒部35に囲まれている。第1誤作動防止スイッチ51および第2誤作動防止スイッチ52は、ハンドル3の周方向において互いに異なる位置に位置している。図6に示すように、本実施形態では、トーチスイッチ50と第1誤作動防止スイッチ51と第2誤作動防止スイッチ52とは、いずれも電気的に直列に接続されている。
【0048】
ケーブル4(図2図5では図示略、図6参照)は、スイッチ500のON/OFF信号を電源5に伝達するものである。
【0049】
図1図6に示す電源5は、トーチヘッド1に挿通された電極19にアーク電流を流す。本実施形態では、アーク処理システムA1の使用時には、電極19と被処理部材W1との間にアークが発生する。電極19からアークを経由して被処理部材W1へと電流が流れる。上述のように、トーチスイッチ50と第1誤作動防止スイッチ51と第2誤作動防止スイッチ52とは、いずれも電気的に直列に接続されている。よって、電源5は、複数のスイッチ500(トーチスイッチ50と第1誤作動防止スイッチ51と第2誤作動防止スイッチ52)のいずれもがオン状態である場合にのみ、電極19に電流を流す。そして、本実施形態では、電極19として消耗電極を用いるので、複数のスイッチ500(トーチスイッチ50と第1誤作動防止スイッチ51と第2誤作動防止スイッチ52)のいずれもがオン状態である場合にのみ、送給装置(図示略)によって電極19が送給される。
【0050】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0051】
本実施形態においては、ハンドル3は、二色成形によって形成され、変形容易部300を含む。変形容易部300は、形状保持部34につながり且つ形状保持部34より柔軟である。スイッチ500は、ハンドル3に収容され、変形容易部300を介して、ハンドル3の外部から力を受けることにより、オン状態となる。このような構成によると、ハンドル3を二色成形によって形成するため、変形容易部300と形状保持部34との間に隙間が形成されることを防止できる。よって、ハンドル3の内部に粉塵等の異物が侵入することを防止できる。これにより、スイッチ500が故障する不具合を防止できる。特に、従来、スイッチ500は作業者の手が直接触れるため、ハンドル3の内部に異物が侵入しやすい。そのため、ハンドル3の内部への異物の侵入を防止できる本実施形態の構成は、非常に有用である。
【0052】
アーク処理システムの作業者は、作業が終了すると、アーク処理用トーチを床面や作業机等に置くことがある。床面や作業机等にアーク処理用トーチを置いた際、従来のアーク処理用トーチでは、トーチスイッチが突起物等に接触することにより、トーチスイッチがオン状態となり、アーク処理システムが作動してしまうおそれがある。このような場合、電極に電流が通電したり、電極が送給されたり、あるいは、ノズルからシールドガスが噴出し続けてしまう。一方、本実施形態では、複数のスイッチ500は、トーチスイッチ50および第1誤作動防止スイッチ51を含む。このような構成によると、少なくともトーチスイッチ50および第1誤作動防止スイッチ51のいずれもをオン状態としなければ、アーク処理システムA1が作動しない。このことは、トーチスイッチ50が誤ってオン状態になった場合にアーク処理システムA1が作動してしまう不具合(誤作動)を防止できる。
【0053】
本実施形態では、複数のスイッチ500は、第2誤作動防止スイッチ52を更に含む。このような構成によると、トーチスイッチ50と第1誤作動防止スイッチ51とに加え、第2誤作動防止スイッチ52もオン状態としなければ、アーク処理システムA1が作動しない。そのため、トーチスイッチ50および第1誤作動防止スイッチ51が誤ってオン状態になった場合であっても、アーク処理システムA1が作動してしまう不具合をより好適に防止できる。また、本実施形態では、第1誤作動防止スイッチ51および第2誤作動防止スイッチ52は、いずれもが第1方向X1において把持用筒部35に重なる位置に位置しており、且つ、ハンドル3の周方向において互いに異なる位置に位置している。そうすると、作業者が把持用筒部35を片手で握ることによって、第1誤作動防止スイッチ51および第2誤作動防止スイッチ52を一度にオン状態とすることが可能である。そして、本実施形態では、トーチスイッチ50は、第1方向X1において、先端筒部36と重なる位置に位置している。そのため作業者が把持用筒部35を握ることにより第1誤作動防止スイッチ51および第2誤作動防止スイッチ52をオン状態としつつ、たとえば作業者の人差し指によって、トーチスイッチ50をオン状態とすることができる。以上の構成によると、アーク処理システムA1の誤作動をほぼ回避できるのみならず、作業者が別の防止装置を解除する等の煩わしい作業が必要なくなる。したがって、本実施形態のアーク処理用トーチT1は、アーク処理システムA1の作業者にとって非常に作業性の良いものとなる。
【0054】
本実施形態では、先端筒部36は、トーチスイッチ50よりも、ハンドル3の径方向外方に突出する突出部分361を有する。このような構成によると、アーク処理用トーチT1を床面や作業机等に置いた際に、トーチスイッチ50が突起物等に接触することを防止できる。その結果、トーチスイッチ50が誤ってオン状態になる不具合を更に回避できる。
【0055】
本実施形態では、ハンドル3は、追加変形容易部30Aを含む。トーチスイッチ用変形容易部30および追加変形容易部30Aは、いずれもが先端筒部36によって構成されており、且つ、ハンドル3の周方向において互いに異なる位置に位置している。このような構成によると、ハンドル3の設計変更をすることなく、トーチスイッチ50の位置を、トーチスイッチ用変形容易部30の内側から、追加変形容易部30Aの内側に変更することが可能となる。
【0056】
本実施形態では、図5に示したように、第2部品342は、柔軟部38を介して第1部品341に固定されている。このような構成によると、第1部品341と第2部品342との間を通って、ハンドル3内に異物が侵入することを防止できる。
【0057】
第1誤作動防止スイッチ51および第2誤作動防止スイッチ52がシートスイッチであると、把持用筒部35を握った際に、第1誤作動防止スイッチ51および第2誤作動防止スイッチ52をオン状態とするのに適する。
【0058】
<第1実施形態の第1変形例>
図7を用いて、本発明の第1実施形態の第1変形例について説明する。
【0059】
なお、以下の説明では、上記と同一または類似の構成については上記と同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0060】
図7は、本発明の第1実施形態の第1変形例のアーク処理用トーチを示す斜視図である。
【0061】
本変形例の構成は、以下の点において、上述の実施形態のアーク処理用トーチT1とは異なっている。
【0062】
本変形例では、第1変形容易部31および第2変形容易部32の位置、並びに、第1誤作動防止スイッチ51および第2誤作動防止スイッチ52の位置が、図2図3等に示したものと異なっている。本変形例では、第1変形容易部31および第2変形容易部32がいずれも、第2部品342と一体となっており、ハンドル3の上部に位置している。第1変形容易部31が、図7の手前側に位置し、第2変形容易部32が図7の奥側に位置している。そして、本変形例においても、第1変形容易部31の内側に第1誤作動防止スイッチ51が配置されており、第2変形容易部32の内側に第2誤作動防止スイッチ52が配置されている。
【0063】
このような構成によっても、アーク処理用トーチT1に関して述べた作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0064】
<第2実施形態>
図8を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。
【0065】
図8は、本発明の第2実施形態のアーク処理用トーチを示す正面図である。
【0066】
本実施形態のアーク処理用トーチT2は、スイッチ500が、トーチスイッチ50のみを含み、変形容易部300が、トーチスイッチ用変形容易部30のみを含む点において、上述のアーク処理用トーチT1と主に相違する。すなわち、アーク処理用トーチT2においては、スイッチ500は、アーク処理用トーチT1における第1誤作動防止スイッチ51および第2誤作動防止スイッチ52を含まない。また、変形容易部300が追加変形容易部30A、第1変形容易部31、および第2変形容易部32を含まない。その他の点については、アーク処理用トーチT1と同様である。
【0067】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0068】
本実施形態においても、ハンドル3は、変形容易部300を含む。変形容易部300は、形状保持部34につながり且つ形状保持部34より柔軟である。スイッチ500がハンドル3に収容され、変形容易部300を介して、ハンドル3の外部から力を受けることにより、オン状態となる。このような構成によると、アーク処理用トーチT1に関して述べたのと同様の理由により、ハンドル3の内部に異物が侵入することを防止できる。これにより、スイッチ500が故障する不具合を防止できる。
【0069】
本実施形態では、先端筒部36は、トーチスイッチ50よりも、ハンドル3の径方向外方に突出する突出部分361を有する。このような構成によると、アーク処理用トーチT1に関して述べたのと同様に、アーク処理用トーチT2を床面や作業机等に置いた際に、トーチスイッチ50が突起物等に接触することを防止できる。その結果、トーチスイッチ50が誤ってオン状態になる不具合を回避できる。
【0070】
本実施形態では、第2部品342は、柔軟部38を介して第1部品341に固定されている。このような構成によると、第1部品341と第2部品342との間を通って、ハンドル3内に異物が侵入することを防止できる。
【0071】
<第3実施形態>
図9を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。
【0072】
図9は、本発明の第3実施形態のアーク処理用トーチを示す正面図である。
【0073】
本実施形態のアーク処理用トーチT3は、以下の点が、アーク処理用トーチT1と異なる。
【0074】
アーク処理用トーチT3では、ハンドル3は二色成形によって形成されておらず、単一の樹脂材料よりなる。複数のスイッチ500のうちトーチスイッチ50がレバースイッチであり、スイッチ500のうち第1誤作動防止スイッチ51および第2誤作動防止スイッチ52が押しボタン式のプッシュスイッチである。そして、複数のスイッチ500はいずれも、ハンドル3から露出している。
【0075】
本実施形態においても、トーチスイッチ50は、第1方向X1において、先端筒部36と重なる位置に位置している。一方、第1誤作動防止スイッチ51および第2誤作動防止スイッチ52は、いずれもが第1方向X1において把持用筒部35に重なる位置に位置している。第1誤作動防止スイッチ51および第2誤作動防止スイッチ52は、ハンドル3の周方向において互いに異なる位置に位置している。トーチスイッチ50と第1誤作動防止スイッチ51と第2誤作動防止スイッチ52とは、いずれも電気的に直列に接続されている。
【0076】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0077】
本実施形態では、複数のスイッチ500は、トーチスイッチ50および第1誤作動防止スイッチ51を含む。このような構成によると、アーク処理用トーチT1に関して述べたのと同様の理由により、トーチスイッチ50が誤ってオン状態になった場合にアーク処理システムA1が作動してしまう不具合を防止できる。
【0078】
本実施形態では、複数のスイッチ500は、第2誤作動防止スイッチ52を更に含む。第1誤作動防止スイッチ51および第2誤作動防止スイッチ52は、いずれもが第1方向X1において把持用筒部35に重なる位置に位置しており、且つ、ハンドル3の周方向において互いに異なる位置に位置している。このような構成を有するアーク処理用トーチT3は、アーク処理用トーチT1に関して述べたのと同様の理由により、アーク処理システムA1の作業者にとって非常に作業性の良いものとなる。
【0079】
本実施形態では、先端筒部36は、トーチスイッチ50よりも、ハンドル3の径方向外方に突出する突出部分361を有する。このような構成によると、アーク処理用トーチT1に関して述べたのと同様の理由により、トーチスイッチ50が誤ってオン状態になる不具合を回避できる。
【0080】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0081】
上述の説明においては、電極19が消耗電極である例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、電極19が非消耗電極であってもよい。
【0082】
第1実施形態において、複数の変形容易部300が、2つの追加変形容易部30Aを含む例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、追加変形容易部30Aの個数は、1あるいは3以上であってもよい。
【0083】
上述の説明においては、アーク処理がアーク溶接である例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、アーク処理が、溶断や溶射であってもよい。
【0084】
上述の説明においては、ハンドル3が柔軟部38を有する例を示したが、本発明はこれに限定されず、ハンドル3が柔軟部38を有していなくてもよい。
【0085】
上述の説明においては、ハンドル3が2種類の材料より構成され、そして二色成形によって形成される例を示したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、ハンドル3が、3種類以上の材料より構成されていてもよい。また、ハンドル3の色はどのようなものであっても良く、色の種類の数は問わない。
【符号の説明】
【0086】
1 トーチヘッド
11 ノズル
12 トーチボディ
19 電極
3 ハンドル
300 変形容易部
30 トーチスイッチ用変形容易部
30A 追加変形容易部
31 第1変形容易部
32 第2変形容易部
34 形状保持部
341 第1部品
342 第2部品
35 把持用筒部
36 先端筒部
361 突出部分
38 柔軟部
381 溝
4 ケーブル
5 電源
500 スイッチ
50 トーチスイッチ
51 第1誤作動防止スイッチ
52 第2誤作動防止スイッチ
A1 アーク処理システム
T1,T2,T3 アーク処理用トーチ
W1 被処理部材
X1 第1方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9