(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1シールド及び前記第2シールドのそれぞれは、前記真空容器内に搬送される基板に対向する対向部と、前記対向部の外周から延在して前記供給源を取り囲む囲み部と、を含み、
前記対向部は、前記真空容器内に搬送される基板に対向する位置に開口を有することを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
図1は、本発明の一側面としての処理装置100の構成を示す概略平面図である。処理装置100は、ハードディスクのメディアなどの基板を処理する装置であって、本実施形態では、インライン式の処理装置として構成されている。インライン式とは、連結された複数のチャンバを経由して基板を搬送しながら基板を処理する方法である。
図1では、複数のチャンバ111乃至130が矩形のレイアウトを構成するように無端状に連結されている。
【0013】
チャンバ111乃至130は、スタッパチャンバなどのプロセスチャンバを含み、基板上に薄膜や薄膜の多層構造を形成する。チャンバ111乃至130のそれぞれには、キャリア10によって保持された基板1を搬送する搬送装置が配置されている。処理装置100において、互いに隣接するチャンバは、ゲートバルブを介して連結されている。
【0014】
チャンバ111乃至130のうち、例えば、チャンバ111は、キャリア10に基板1を取り付ける処理が行われるロードロック室であり、チャンバ116は、キャリア10から基板1を取り外す処理が行われるアンロードロック室である。また、チャンバ112、113、114及び115は、キャリア10(基板1)の搬送方向を90度転換する方向転換装置を備えたチャンバである。チャンバ112乃至114を除くチャンバ117乃至130の少なくとも1つは、スパッタリング(成膜)装置200が配置されるチャンバである。
【0015】
図2は、スパッタリング装置200の構成を示す図であって、
図2(a)は、スパッタリング装置200の正面図、
図2(b)は、
図2(a)に示すスパッタリング装置200のA−A断面図である。スパッタリング装置200は、主要な構成要素として、真空容器202と、カソード204と、キャリア10を搬送する搬送装置206と、シールド部材208と、シールド部材208を移動させる移動装置210とを有する。
【0016】
真空容器202は、ゲートバルブGVを介して隣接する真空容器と接続されている。真空容器202は、ゲートバルブGVを閉じた状態では、真空容器202に取り付けられた排気ポンプ(ターボ分子ポンプ、クライオポンプなど)214によって、その内部が真空排気される。真空容器202の内部(真空容器内)には、カソード204が配置されており、真空容器202の内部に搬送される基板1に対してスパッタリング(成膜)を行うことができる。真空容器202は、ゲートバルブGVを開いた状態では、隣接する真空容器と内部が連結され、隣接する真空容器との間で、搬送装置206を介して、キャリア10(基板1)を搬送する(移動させる)ことができる。
【0017】
搬送装置206は、キャリア10の下側に配置される。搬送装置206は、例えば、円筒の隔壁(不図示)と、かかる円筒の隔壁内に設けられたローラ側磁石216を含む磁気結合ローラと、姿勢維持ローラ218とを含む。姿勢維持ローラ218は、キャリア10とローラ側磁石216との間の距離を一定距離に維持するとともにキャリア10の姿勢(直立)を維持するためのものである。磁気結合ローラは、丸棒状の部材であって、螺旋状に伸びる細長い磁石であるローラ側磁石216を含む。ローラ側磁石216は、互いに異なる磁極を有する磁石を螺旋状に配置して構成され、隔壁を挟んでキャリア側磁石310に向かい合うように配置されている。隔壁は、高い透磁率を有する材料からなり、ローラ側磁石216とキャリア側磁石310とは、隔壁を通して磁気結合している。なお、隔壁のキャリア側の空間は、真空側(真空容器202の内部側)であり、磁気結合ローラ側の空間は、大気側である。磁気結合ローラが回転すると、ローラ側磁石216も回転する。ローラ側磁石216が回転する状態は、キャリア側磁石310から見ると、異なる磁極を有する磁石が交互に一列に配列され、かかる磁石がその配列方向に沿って一体に直線移動している状態とみなすことができる。従って、ローラ側磁石216に磁気結合しているキャリア側磁石310は、ローラ側磁石216の回転とともに直線移動する。これにより、キャリア10が直線移動する。
【0018】
カソード204は、基板1の直径よりも大きい直径を有するターゲットを保持し、かかるターゲットに高電圧を与える電極である。ターゲットの裏面(大気側)には、ターゲットの利用効率を向上させるための回転機構を備えたマグネットが配置される。カソード204は、基板1にプロセスを施すための物質を供給する供給源(プロセス源)であって、本実施形態では、基板1に薄膜を形成するためのプラズマを生成するためのユニットである。カソード204は、真空容器202の内部に搬送される基板1の第1面及び第1面とは反対側の第2面のそれぞれに対向して配置された第1カソード(第1供給源)204a及び第2カソード(第2供給源)204bを含む。なお、本実施形態では、スパッタリング装置200を例に説明しているため、カソード204をプロセス源としているが、これに限定されるものではない。例えば、ドライエッチングの真空処理装置の場合には、イオンビームソースがプロセス源となる。
【0019】
キャリア10は、全体が板状の部材であり、搬送装置206によって垂直の姿勢で搬送される。
図3は、キャリア10の構成を示す図であって、
図3(a)は、キャリア10の正面図、
図3(b)は、
図3(a)に示すキャリア10の側面図である。キャリア10は、スライダ302と、スライダ302の上部に設けられたホルダ304とを含む。ホルダ304は、本実施形態では、2枚の基板1を保持するが、1枚の基板1又は3枚以上の基板1を保持してもよい。また、ホルダ304は、基板1の両面、即ち、基板1の第1面及び第2面のそれぞれが露出するように基板1を保持する。キャリア10は、搬送装置206によって真空容器202の内部で搬送され、2枚の基板1が順次ターゲット(カソード204)の正面に位置する。従って、まず、搬送方向の前方の基板1がターゲットの正面に位置する状態となって成膜が行われ、その後、所定距離前進することで搬送方向の後方の基板1がターゲットの正面に位置する状態となって成膜が行われる。
【0020】
ホルダ304には、基板1の直径よりも大きい直径を有する円形の開口306が形成されている。また、開口306の縁部分には、基板1を支持するための支持爪308が取り付けられている。開口306の下縁に位置する支持爪308の先端は、保持した基板1の中心を通る鉛直線上に位置し、基板1の下縁の中央を支持する。また、支持爪308は、基板1の中心の高さよりも高い位置で基板1の側縁に接触して基板1を押さえるように構成されている。支持爪308は、板バネからなり、ロードロック室(チャンバ111)やアンロードロック室(チャンバ116)に設けられた開閉バーを接触させることで屈曲できるようになっている。ロードロック室やアンロードロック室では、支持爪308を屈曲させた状態でキャリア10(ホルダ304)への基板1の取り付けや取り外しが行われる。
【0021】
上述したように、本実施形態では、キャリア10を磁気結合させながら移動させることで、基板1が搬送されるようにしている。従って、キャリア10の下側には、ローラ側磁石216に磁気結合するキャリア側磁石310が設けられている。キャリア側磁石310は、上下方向に磁極を有し、キャリア10の搬送方向に対して磁極が交互になる永久磁石で構成されている。
【0022】
シールド部材208は、
図4に示すように、真空容器202の内部に搬送され、プロセス位置にあるキャリア10(基板1)を挟むように配置された第1シールド402及び第2シールド404(一対のシールド)を含む。第1シールド402は、第1カソード204aの周囲に設けられ、第2シールド404は、第2カソード204bの周囲に設けられている。第1シールド402及び第2シールド404は、移動装置210によって、プロセス位置にあるキャリア10に対して進退動(移動)できるように構成されている。具体的には、第1シールド402及び第2シールド404のそれぞれは、移動装置210と接続し、真空容器202の内部に搬送される基板側とは反対側に延在するシャフト部410を有する。移動装置210は、後述するように、第1シールド402と第2シールド404とが近接した近接状態、又は、第1シールド402と第2シールド404とが離間した離間状態となるように、第1シールド402及び第2シールド404を移動させる。
【0023】
また、シールド部材208は、第1シールド402と接触する第1シールドベース406と、第2シールド404と接触する第2シールドベース408とを含む。キャリア10の搬送位置を中心とし、真空容器202の壁側(チャンバ壁側)を外方向とすると、第1シールドベース406は、第1シールド402の外側に配置され、第2シールドベース408は、第2シールド404の外側に配置されている。第1シールドベース406及び第2シールドベース408のそれぞれには、第1シールド402及び第2シールド404に設けられたシャフト部410が貫通する孔414が形成されている。孔414は、シャフト部410の前後以外の移動を規制する。
【0024】
第1シールド402及び第2シールド404は、それぞれ、第1カソード204a及び第2カソード204bの前面の空間を囲むように形成されたアルミニウム又はステンレスの板部材である。第1シールド402は、真空容器202の内部に搬送された基板1に対向する矩形形状の対向部422と、対向部422の外周から延在して第1カソード204aを取り囲む囲み部424とを有する。同様に、第2シールド404は、真空容器202の内部に搬送された基板1に対向する矩形形状の対向部432と、対向部432の外周から延在して第2カソード204bを取り囲む囲み部434とを有する。対向部422及び432のそれぞれには、真空容器202の内部に搬送された基板1に対向する位置に開口426及び436が形成されている。
【0025】
シールド部材208は、移動装置210によって第1シールド402及び第2シールド404を移動させて近接状態としているとき(基板側に位置させた場合)に、プロセス空間(放電空間)を形成する。かかるプロセス空間は、第1カソード204aと基板1との間及び第2カソード204bと基板1との間のそれぞれに形成される。基板1の両面(の第1面及び第2面)は、第1シールド402の対向部422の開口426及び第2シールド404の対向部432の開口436を介して、プロセス空間に露出する。従って、プロセス空間において、基板1の両面にプロセスが施されることになる。なお、プロセス空間は、基板に成膜される薄膜の分布を良好に維持することが可能なサイズが必要であるため、プロセス空間のサイズは、ターゲットや基板のサイズに応じて決定される。
【0026】
第1シールドベース406及び第2シールドベース408は、略矩形の板部材であって、真空容器202の内壁側に固定されている。第1シールドベース406及び第2シールドベース408のそれぞれには、第1カソード204a及び第2カソード204bに取り付けられたターゲットを基板側に露出させるための開口442が形成されている。第1シールドベース406に形成された開口442は、第1カソード204aを取り囲み、第2シールドベース408に形成された開口442は、第2カソード204bを取り囲む。本実施形態では、カソード204の数に応じて、第1シールドベース406及び第2シールドベース408のそれぞれに2つの開口442が形成されている。
【0027】
また、第1シールドベース406の外周部には、第1シールド402の囲み部424の端部(第1シールドベース側に突出した第2凸部)を収納する凹部(第2凸部に対応する第2凹部)444が形成されている。かかる凹部444に囲み部424の端部を挿入することで、プロセス空間で生じるプロセス物質(スパッタ物質)がプロセス空間から外部の空間に漏れることを防止するための入れ子構造が構成される。このように、第1シールド402の囲み部424の端部及び第1シールドベース406の凹部444は、第1シールド402と第1シールドベース406とが接触した状態において、入れ子構造を構成する。
【0028】
同様に、第2シールドベース408の外周部には、第2シールド404の囲み部434の端部(第2シールドベース側に突出した第3凸部)を収納する凹部(第3凸部に対応する第3凹部)が形成されている。かかる凹部に囲み部434の端部を挿入することで、プロセス空間で生じるプロセス物質がプロセス空間から外部の空間に漏れることを防止するための入れ子構造が構成される。このように、第2シールド404の囲み部434の端部及び第2シールドベース408の凹部は、第2シールド404と第2シールドベース408とが接触した状態において、入れ子構造を構成する。
【0029】
このように、本実施形態では、カソード204の周囲へのプロセス物質の付着やカソード204からの物質の漏れを防止(低減)するために、第1シールドベース406及び第2シールドベース408を設けているが、必須の部材ではない。
【0030】
図5は、第1シールド402と第1シールドベース406とが接触した状態を示す図であり、
図6は、第2シールド404と第2シールドベース408とが接触した状態を示す図である。
【0031】
図5に示すように、第1シールド402の対向部422には、ホルダ304の周囲を囲むように、第2シールド側に突出した凸部(第1凸部)502が形成されている。また、第1シールド402の対向部422の下側には、キャリア10に設けられた第1シールド側に突出した凸部(第4凸部)312に対応する凹部(第4凹部)506が形成されている。更に、第1シールド402の囲み部424には、ガス導入路504が形成されている。ガス導入路504は、囲み部424の内側まで貫通し、囲み部424の外側から内側にプロセスガスを導入することを可能にしている。具体的には、
図2に示すように、真空容器202の上部には、真空容器202の内部にプロセスガス(放電ガス)を導入するガスシャワーパネル(ガス導入部)212が設けられている。ガスシャワーパネル212は、第1シールド402及び第2シールド404を移動させて近接状態としたときに、ガス導入路504と接続する。従って、かかる近接状態において、ガスシャワーパネル212からのプロセスガスがガス導入路504を介してプロセス空間に導入される。
【0032】
一方、
図6に示すように、第2シールド404の対向部432には、ホルダ304の周囲を囲むように、第1シールド402の凸部502に対応する凹部(第1凹部)602が形成されている。また、第2シールド404の対向部432の下側には、キャリア10に設けられた第2シールド側に突出した凸部(第5凸部)314に対応する凹部(第5凹部)606が形成されている。更に、第2シールド404の囲み部434には、ガス導入路604が形成されている。ガス導入路604は、囲み部434の内側まで貫通し、囲み部434の外側から内側にプロセスガスを導入することを可能にしている。ガス導入路604は、第1シールド402及び第2シールド404を移動させて近接状態としたときに、ガスシャワーパネル212と接続し、ガスシャワーパネル212からのプロセスガスがガス導入路604を介してプロセス空間に導入される。
【0033】
第1シールド402及び第2シールド404を移動させて近接状態とすると、第2シールド404の凹部602に第1シールド402の凸部502が挿入され、入れ子構造が構成される。このように、第1シールド402の凸部502及び第2シールド404の凹部602は、近接状態において、プロセス物質がプロセス空間から外部の空間に漏れることを防止するための入れ子構造を構成する。
【0034】
同様に、第1シールド402及び第2シールド404を移動させて近接状態とすると、第1シールド402の凹部506及び第2シールド404の凹部606のそれぞれにキャリア10の凸部312及び314が挿入され、入れ子構造が構成される。このように、第1シールド402の凹部506及びキャリア10の凸部312と、第2シールド404の凹部606及びキャリア10の凸部314は、近接状態で、プロセス物質がプロセス空間から外部の空間に漏れることを防止するための入れ子構造を構成する。
【0035】
本実施形態では、第1シールド402及び第2シールド404を移動させて近接状態とすると、真空容器202の内部に搬送された基板1の両側にプロセス空間が形成される。但し、プロセス空間で生じるプロセス物質は、上述した入れ子構造のいずれかを通過しないと、プロセス空間の外部に移動することができない。ここで、入れ子構造とは、プロセス空間から真空容器202の内壁を見えないようにする構造である。従って、プロセス物質は、プロセス空間の内壁のいずれかに複数回衝突しなければ、プロセス空間の外側に移動することができないため、本実施形態では、プロセス物質の漏れを効果的に防止することができる。
【0036】
図7は、シールド部材208(第1シールド402及び第2シールド404)を移動させる移動装置210の構成の一例を示す図である。移動装置210は、シャフト部410を進退動させるための動力を生成するエアシリンダ702を含む。エアシリンダ702は、固定軸704やガイド706を含むリンク機構を介して、シャフト部410に接続される。これにより、エアシリンダ702からシャフト部410に伝達される動力を制御する(動作速度を減速させる)ことが可能となり、シャフト部410の振動を低減することができる。そして、振動を低減することでパーティクルの低減も期待できる。また、移動装置210は、シャフト部410の周囲に配置されたベローズ708を有し、かかるベローズ708によって真空側と大気側とを遮断している。なお、移動装置210は、
図8に示すように、エアシリンダの代わりにモータ802を含んでもよい。シャフト部410を進退動させるための動力を生成するモータ802は、ボールネジ804やガイド706を介して、シャフト部410に接続される。
【0037】
図9を参照して、第1シールド402及び第2シールド404の近接状態及び離間状態を説明する。
図9(b)は、第1シールド402と第2シールド404とが離間した離間状態となるように、第1シールド402と第2シールド404とを移動させた状態を示している。キャリア10(基板1)を真空容器202の内部に搬送する際に、第1シールド402と第2シールド404とが近接した近接状態であると、真空容器202の内部でキャリア10を搬送することができず、プロセス位置に位置させることができない。従って、キャリア10を搬送する際には、第1シールド402及び第2シールド404を離間状態にする必要がある。そして、キャリア10をプロセス位置に位置させたら、
図9(a)に示すように、移動装置210によって、第1シールド402及び第2シールド404をキャリア側に移動させる。
図9(a)は、第1シールド402と第2シールド404とが近接した近接状態となるように、第1シールド402と第2シールド404とを移動させた状態を示している。これにより、第1シールド402及び第2シールド404がキャリア10を取り囲み、プロセス空間が形成される。この際、
図9(c)に示すように、第1シールド402と第2シールド404との間に上述した入れ子構造が構成される。また、第1シールド402と第1シールドベース406との間、第2シールド404と第2シールドベース408との間、第1シールド402及び第2シールド404とキャリア10との間にも、上述した入れ子構造が構成される。従って、プロセス物質がプロセス空間から外部の空間に漏れることを防止することができる。
【0038】
第1シールド402と第2シールド404とを近接させたら、ガスシャワーパネル212からプロセス空間にプロセスガスを導入して、基板1に対するプロセス(成膜)を開始する。また、生産性(タクト)を低下させないために、キャリア10をプロセス位置に位置させた後、第1シールド402及び第2シールド404を移動させながら(近接状態にさせながら)プロセスガスを導入してもよい。この場合、第1シールド402及び第2シールド404の移動が完了する前に、プロセス物質の一部がプロセス空間から外部に漏れる可能性がある。従って、第1シールド402及び第2シールド404の可動中にプロセス物質が漏れる箇所にシールドを配置するとよい。
【0039】
図10を参照して、スパッタリング装置200の動作について説明する。まず、真空容器202の内部にキャリア10を搬送する前に、
図10(a)に示すように、移動装置210によって、第1シールド402と第2シールド404とが離間した離間状態となるように、第1シールド402と第2シールド404とを移動させる。次いで、
図10(b)に示すように、第1シールド402と第2シールド404とが離間した離間状態を維持したまま、搬送装置206によって、真空容器202の内部にキャリア10(基板1)を搬送し、キャリア10をプロセス位置に位置させる。次に、
図10(c)に示すように、移動装置210によって、第1シールド402と第2シールド404とが近接した近接状態となるように、第1シールド402と第2シールド404とを移動させて、プロセス空間を形成する。次いで、
図10(d)に示すように、ガスシャワーパネル212からのプロセスガスを、ガス導入路504及び604を介してプロセス空間に導入し、プロセス空間にプラズマを形成して基板1の両面にスパッタリング(成膜)を行う。次に、
図10(e)に示すように、移動装置210によって、第1シールド402と第2シールド404とが離間した離間状態となるように、第1シールド402と第2シールド404とを移動させる。そして、搬送装置206によって、真空容器202からキャリア10(スパッタリングが行われた基板1)を搬送する。スパッタリング装置200は、このような動作(
図10(a)乃至
図10(e))を繰り返し、真空容器202の内部に搬送されてくる基板1に順次成膜を行う。
【0040】
本実施形態では、2つのシールド(第1シールド402と第2シールド404)とを近接状態にすることで、真空容器内に搬送される基板を取り囲むプロセス空間を形成し、真空容器内の壁面やユニットなどに薄膜が付着することを防止している。このように、本実施形態では、従来技術よりも少ない数のシールド(2つのシールド)でプロセス空間を形成することができるため、シールドを定期的に交換する場合にも、そのメンテナンスが容易となり、メンテナンスコストを抑制することができる。これは、シールドの数が少ないため、交換作業時間を大幅に短縮することができるからである。また、本実施形態では、シールドを可動にしているため、キャリアを搬送した後にプロセス空間を形成することが可能となり、真空容器の構造やキャリアの搬送経路を考慮することなく、真空容器内にシールドを配置することができる。更に、本実施形態では、プロセス空間以外の空間を最小限にすることができ、真空容器の内部の体積(真空排気する容積)を低減することができるため、真空容器内で安定した圧力分布を維持することが容易となる。
【0041】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、本実施形態では、シールドは、対向部及び囲み部を有しているが、囲み部だけを有していても、本発明の効果をある程度得ることができる。また、本発明は、スパッタリング装置に限定されるものではなく、真空容器内にシールドを配置する必要がある処理装置に適用することができる。