(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
A.実施形態:
A−1.経路探索システムの構成:
図1は、本発明の実施形態における経路探索システム10の概略構成を示す説明図である。本実施形態の経路探索システム10は、サーバ100と携帯端末装置としての携帯電話機200とを備えている。
図1には、携帯電話機200を1台のみ示しているが、経路探索システム10には、複数の携帯電話機200および携帯ゲーム機、PND(Personal Navigation Device)、PDA(Personal Digital Assistant)といった様々な携帯端末装置が含まれ得る。
【0020】
携帯電話機200は、主制御部210と、GPSユニット201と、表示パネル202と、音声出力部203と、無線通信回路205と、操作部206と、通話制御部220と、を備えている。
【0021】
主制御部210は、携帯電話機200の各部を制御する。主制御部210は、CPU211と、RAM212と、ROM213とを備えている。CPU211は、ROM213に記憶されたプログラムをRAM212にロードして実行することで、後述する種々の処理を実行するために機能する。
【0022】
GPSユニット201は、GPS(Global Positioning System/全地球測位システム)から人工衛星の位置を示す電波を受信する。主制御部210は、GPSユニット201が受信した人工衛星の位置を用いて、携帯電話機200の現在位置(緯度、経度)を特定し、一定時間ごとに特定した携帯電話機200の現在位置を示す位置情報を生成する。
【0023】
表示パネル202は、液晶ディスプレイと液晶ディスプレイを駆動する駆動回路とを備えている。表示パネル202としては、液晶ディスプレイに限らず、有機ELディスプレイなど、種々の表示デバイスを採用できる。主制御部210は、表示パネル202を制御することで、例えば、地図画像や推奨経路、現在位置などを表示する。音声出力部203は、音声を出力するためのスピーカーや、スピーカーを駆動する駆動回路などから構成される。
【0024】
無線通信回路205は、基地局BSとの間でデータ通信もしくは音声通信を無線によって行なう。主制御部210は、無線通信回路205を制御することで、基地局BSを介して(より詳細には、送受信アンテナ、基地局BS、交換局を介して)、インターネットINT上のサーバ100と通信する。
【0025】
操作部206は、テンキー206aやカーソルキー206bやタッチパネルなどから構成される入力デバイスである。操作部206は、利用者による目的地の設定入力等を受け付ける。通話制御部220は、音声通話のための着信や呼出、音声信号と電気信号の変換などを行なう。
【0026】
サーバ100は、インターネットINTを介して携帯電話機200との通信を行なう通信部102と、情報記憶部110と、経路探索部120と、を備えている。情報記憶部110は、CPUやRAM、ROMにより構成された制御部を有し、情報を記憶する記憶装置118と、を備えている。記憶装置118は、例えば、ハードディスク装置により構成されている。記憶装置118は、地図情報データベース(DB)114と、エリア情報データベース(DB)115と、を含んでいる。地図情報DB114は、地図上のネットワークを構成するリンク情報およびノード情報であるネットワーク情報と、画像データとしての地図画像データと、を記憶している。地図情報DB114は、リンク情報として、ユーザがリンクを通過する際に要する時間をリンクコストとして記憶している。なお、リンクのリンクコストは、当該リンクを通過するための時間(分)として設定されている。
【0027】
エリア情報DB115は、地図情報DB114に記憶された2つ以上のノードと1つ以上のリンクとから構成される複数のエリアを特定するエリアデータ300を記憶している。また、エリアデータ300は、複数のエリアのそれぞれにおけるエリアの面積、エリア内に含まれる商業施設の数、エリアに滞在する滞在平均時間、エリアで使用される平均予算、観光地等のエリアのジャンル、などのエリア情報を特定する。なお、本実施形態におけるサーバ100は、請求項における経路探索装置に相当し、情報記憶部110は、請求項におけるデータ記憶部に相当する。また、地図情報DB114に記憶されたネットワーク情報は、請求項におけるネットワークデータに相当する。
【0028】
図2および
図3は、エリアデータ300の一例を示す概略図である。
図2には、ネットワーク上で特定されているエリアA1とエリアA2とエリアA3とが、周辺付近のノードおよびリンクと合わせて示されている。
図2では、リンクが直線もしくは折れ線で示され、リンクの交点がノードである。また、ノードの内、2つの大きい道路であるリンクの交点となるノード(以下、「区別ノード」とも呼ぶ)は、黒丸で示されている。
図2に示すように、エリアのそれぞれは、異なるハッチングによって示されている。本実施形態では、エリアは、区別ノードを結ぶ直線によって特定されている。
図3には、各エリアの面積と、エリアのジャンルと、エリアを滞在する平均滞在時間と、を特定するエリアデータ300が表によって示されている。
図3に示すように、エリアA1は、面積が120000平方メートル(m
2)で、ジャンルが観光地であり、平均滞在時間が60分である。エリアA2は、面積が80000(m
2)で、ジャンルが飲食店街であり、平均滞在時間が90分である。エリアA3は、面積が40000(m
2)で、ジャンルが観光地であり、平均滞在時間が30分である。
【0029】
経路探索部120は、CPUやRAM、ROMにより構成された制御部を有する。経路探索部120は、ユーザによって携帯電話機200に目的地と目的地に到着する到着時刻とが設定されると、到着時刻までに目的地に到着できる範囲で、携帯電話機200の現在位置と設定された目的地とを結ぶ経路を探索する。経路探索部120は、エリアも含めて、現在位置から目的地までの経路を探索する。なお、以下では、目的地に到着するまでの時間を「持ち時間」とも呼ぶ。経路探索の詳細については、後述する。
【0030】
図1に示すように、経路探索部120は、最適経路探索部123と、類似経路探索部124と、コスト設定部128と、を備えている。最適経路探索部123は、地図情報DB114に記憶してあるネットワーク情報と受信した位置情報および目的地情報に基づいて、各リンクのリンクコストを足し合わせて、現在位置と目的地とを結ぶ経路を構成するリンクのリンクコストの累計値が最小である最適経路を探索する。なお、本実施形態では、リンクコストは、リンクを通過する分単位の時間である。また、以下では、経路を構成するリンクのリンクコストの累計値を「経路コスト」とも呼ぶ。
【0031】
類似経路探索部124は、ネットワーク情報と最適経路の経路コストとに基づいて、設定された許容コストを最適経路の経路コストに加算した経路コスト以下となる現在位置と目的地とを結ぶ類似経路を探索する。許容コストは、ユーザの持ち時間によって自動的に設定されたり、ユーザの操作によって設定される任意のコストである。経路探索部120は、通信部102を介して、携帯電話機200に現在位置と目的地とを結ぶ最適経路と類似経路と示す経路情報を送信する。最適経路と類似経路との探索の詳細については、後述する。
【0032】
コスト設定部128は、経路探索部120による経路探索が行なわれる際に、エリアデータによって特定されるエリア内のリンクのリンクコストを設定する。詳細については、後述するが、経路探索が行なわれる際に、コスト設定部128は、経路探索の対象となるエリア内のリンクのリンクコストを、エリアデータによって特定されるリンクコストよりも小さい値であるゼロに設定する。また、コスト設定部128は、特定のエリアを経由する経路が探索された場合に、詳細については後述するが、エリア内のリンクのリンクコストとは別に、経由されるエリア(以下、「経由エリア」とも呼ぶ)を通過するのに要する時間(以下、「散策時間」とも呼ぶ)を設定する。なお、コスト設定部128は、請求項におけるリンクコスト設定部および通過コスト設定部に相当する。
【0033】
A−2.経路探索処理:
次に、起点としての現在位置から終点としての目的地までの経路探索処理について説明する。
図4は、経路探索処理の流れを示す説明図である。本実施形態の経路探索処理は、出発地や目的地等の各種情報の入力を受け付けた後に、特定のエリアを経由する出発地から目的地までの移動経路において、エリアデータ300を用いて経由エリアの散策時間を設定し、散策時間を踏まえた移動経路をユーザに提示する処理である。
【0034】
経路探索処理では、初めに、携帯電話機200が出発地や目的地等の各種情報の入力を受け付ける情報入力受付処理を行なう(ステップS10)。なお、情報入力受付処理の詳細については、後述し、以下の経由エリア探索処理、誘導経路決定処理、および、誘導方法決定処理の詳細についても後述する。次に、経路探索部120は、移動経路における経由エリア外の経路と、エリア内を通過するだけの経路を探索する経由エリア探索処理を行なう(ステップS20)。次に、経路探索部120は、1つ以上の移動経路を誘導経路として決定する誘導経路決定処理を行なう(ステップS60)。次に、経路探索部120は、誘導経路のそれぞれに含まれる経由エリアの散策時間の決定を含む誘導方法を決定する誘導方法決定処理を行なう(ステップS80)。
【0035】
図5は、情報入力受付処理の流れを示す説明図である。情報入力受付処理では、初めに、携帯電話機200は、移動経路の起点となる出発地と、移動経路の終点となる目的地と、移動経路を移動するのに許容される時間である持ち時間と、についてのユーザからの入力を受け付ける(ステップS11)。次に、携帯電話機200は、経由エリアを散策する目的についてのユーザからの入力を受け付ける(ステップS13)。なお、携帯電話機200は、この後に探索される移動経路に経由エリアが含まれるか否かにかかわらず、散策する目的の入力を受け付ける。
【0036】
図6および
図7は、経由エリア探索処理の流れを示す説明図である。経由エリア探索処理は、ネットワーク上の複数のノードに経路コストの情報を含む確定ラベルや負けラベルを付与し、付与したラベルに基づいて、経由エリアの候補となるエリアを通過する移動経路を見つける処理である。この移動経路には、エリアを経由エリアの候補とする場合の経路と、エリアを経由エリアとはせずに通過だけする場合の経路を含む。どちらの経路も、エリア内のノードに付与されたラベルに基づいて探索されるため、エリア情報を考慮した移動経路と考慮していない移動経路とを並列にユーザに提示できる。本実施形態において、経路探索部120は経路を探索する際に第1の確定ラベル、第2の確定ラベル、候補ラベルおよび負けラベルを用いる。第1の確定ラベルとは、経路を構成するリンクのリンクコストの累計値が最少となるラベルである。また、第2の確定ラベルとは、第1の確定ラベルが対象エリアの境界ノードに付与される事に伴い、対象エリアの境界ノードの内の、第1の確定ラベルが付与された境界ノードを除いた全ての境界ノードに付与されるラベルである。候補ラベルとは、第1の確定ラベル、第2の確定ラベル、または負けラベルになりうるラベルである。負けラベルとは、経路コストが最小でないラベルである。
【0037】
経由エリア探索処理では、初めに、サーバ100がインターネットINTを介して携帯電話機200に入力された情報を取得し、経路探索部120は、出発地と、目的地と、入力された散策する目的に対応する散策対象エリアと、を設定する(ステップS21)。経路探索部120は、例えば、散策する目的が「観光」と携帯電話機200に、入力された場合には、エリアのジャンルが「観光地」であるエリア(
図3)を、散策対象エリアとして設定する。
【0038】
次に、経路探索部120は、出発地のノードに経路コストがゼロの候補ラベルを付与する(ステップS23)。
図8は、出発地のノードに候補ラベルが付与された状態を示す概略図である。
図8には、ネットワーク上に設定された出発地Sと目的地Gと複数のリンクおよび複数のノードを含むエリアA4とが示されている。また、
図8に示すように、出発地Sには、候補ラベルであるラベルLB00が付与されている。なお、ノードの内の複数の黒丸は、
図2と同様の区別ノードである。
【0039】
出発地Sに候補ラベルが付与されると、経路探索部120は、目的地Gに既に確定ラベルが付与されているか否かを判定する(
図6のステップS25)。
図8に示すように、まだ、目的地Gに確定ラベルが付与されていないため(
図6のステップS25:NO)、経路探索部120は、ネットワーク上のノードに付与された候補ラベルの内、経路コストが最小の候補ラベルを第1の確定ラベルに変更する(ステップS29)。なお、対象エリア外のノードに付与される確定ラベルは全て第1の確定ラベルである。一方、対象エリア内の確定ラベルには、第1の確定ラベルと第2の確定ラベルとの2つがある。
図8に示すように、経路コストが最小の候補ラベルがラベルLB00であり、ラベルLB00が付与されたノードが対象エリア外のノードである。経路探索部120は、ラベルLB00を第1の確定ラベルに変更する。
【0040】
次に、経路探索部120は、第1の確定ラベルに変更されたラベルLB00が対象エリアの境界ノードであるか否かを判定する(
図6のステップS31)。境界ノードとは、エリアに含まれるノードであると共に、リンクを介してエリアに含まれない1つ以上のノードに接続するノードである。
図8に示すように、ラベルLB00が付与された出発地Sのノードは、境界ノードでないため(
図6のステップS31:NO)、経路探索部120は、変更された第1の確定ラベルまたは第2の確定ラベルに基づいて候補ラベルを付与する対象ノードを取得する対象ノード取得処理を行なう(ステップS50)。
【0041】
図9は、対象ノード取得処理の流れを示す説明図である。対象ノード取得処理では、初めに、経路探索部120は、確定ラベルが付与されたノードにリンクを介して接続する全てのノードである接続ノードを取得する(ステップS51)。次に、経路探索部120は、接続ノードの基となる確定ラベルが第2の確定ラベルであるか否かを判定する(ステップS53)。出発地Sに付与されたラベルLB00は、第1の確定ラベルであるため(ステップS53:NO)、経路探索部120は、対象ノード取得処理を終了する。
【0042】
対象ノード取得処理が行なわれると、経路探索部120は、全ての対象ノードにラベルを付与する処理を行なったか否かを判定する(
図7のステップS35)。全ての対象ノードにラベルを付与したと判定された場合には(ステップS35:YES)、経路探索部120は、
図6のステップS25以降の処理を行なう。全ての対象ノードにラベルを付与していないと判定された場合には(ステップS35:NO)、経路探索部120は、対象ノードに既に確定ラベルが付与されているか否かを判定する(ステップS37)。
図8に示すように、出発地Sの接続ノードには確定ラベルが付与されていないため(ステップS37:NO)、経路探索部120は、対象ノードに候補ラベルが付与されているか否かを判定する(ステップS39)。確定ラベルと同様に、出発地Sの接続ノードには候補ラベルが付与されていないため(ステップS39:NO)、経路探索部120は、対象ノードに候補ラベルを付与して(ステップS45)、引き続き、ステップS35以降の処理を行なう。
【0043】
図10は、経路探索処理の際にノードにラベルを付与する処理の途中の一例を示す説明図である。
図10には、出発地Sの接続ノードであると共に対象ノードでもあるノードN01に、ラベルLB00を基にするラベルLB01が付与された状態が示されている。
図8に示すように、ノードN01には、ラベルLB01が付与される前には、確定ラベルも候補ラベルも付与されていないため、経路探索部120は、ノードN01に候補ラベルとしてLB01を付与する。
【0044】
図10に示すように、出発地Sの接続ノードの全てを対象ノードとしてラベルを付与する処理が終了しているため(
図7のステップS35:YES)、経路探索部120は、
図6のステップS25以降の処理を行ない、ノードN01に付与された候補ラベルのラベルLB01を第1の確定ラベルに変更した後に、ラベルLB01を確定ラベルとしてノードN01の接続ノードにラベルを付与する処理が行なわれる。
【0045】
図11は、経路探索処理の際にノードにラベルを付与する処理の途中の一例を示す説明図である。
図11には、ノードN01に付与された第1の確定ラベルであるラベルLB01を基に、ノードN01の接続ノードであるノードN02、ノードN03、ノードN04のそれぞれにラベルLB02、ラベルLB03、ラベルLB04が付与された状態が示されている。
図11に示すように、ノードN02、ノードN03、ノードN04のいずれにも確定ラベルおよび負けラベルが付与されていないため、ノードN02、ノードN03、ノードN04のそれぞれに付与されたラベルLB02、ラベルLB03、ラベルLB04は、候補ラベルである。なお、
図11に示すように、ラベルLB03の経路コストが6であり、ラベルLB02とラベルLB04との経路コストは、同様に7である。
【0046】
図6のステップS29の処理において、経路探索部120は、経路コストが最小の6であるラベルLB03を第1の確定ラベルに変更する。次に、ラベルLB03がエリアA4の境界ノードであるため(ステップS31:YES)、経路探索部120は、エリアA4と同一エリア内のラベルLB03が付与されたノードN03以外の全境界ノードにラベルLB03と同一の経路コストを有する第2の確定ラベルを付与して(ステップS33)、対象ノード取得処理を行なう(ステップS50)。すなわち、経路探索部120は、出発地SとエリアA4に含まれる複数の境界ノードとを結ぶ複数の経路の内、経路コストが最小である出発地Sと境界ノードのノードN03とを結ぶ経路の経路コストを有する第2の確定ラベルを、エリアA4の全ての境界ノードに付与する。なお、出発地SとノードN03とを結ぶ経路の経路コストは、請求項における最小中途経路コストに相当する。また、エリアA4は、請求項における第1のエリアに相当する。
【0047】
対象ノード取得処理では、経路探索部120は、第1の確定ラベルまたは第2の確定ラベルが付与されたエリアA4内の全ての境界ノードのそれぞれにリンクを介して接続する接続ノードの全てを取得する(
図9のステップS51)。
図11に示すように、接続ノードの基となるノードは、第1の確定ラベルであるラベルLB03が付与されたノードN03を除いて、第2の確定ラベルが付与された境界ノードであるため(
図9のステップS53)、第2の確定ラベルが付与された境界ノードの接続ノードの内、エリアA4内の接続ノードを処理対象から削除する(ステップS55)。一方で、第1の確定ラベルであるラベルLB03が付与されたノードN03にリンクを介して接続する接続ノードは、全て対象ノードとなる。すなわち、経路探索部120は、第2の確定ラベルが付与されたエリアA4内の全ての境界ノードを基に、エリアA4内の境界ノードにリンクを介して接続するエリアA4外のノードにラベルを付与するとともに、第1の確定ラベルが付与されたノードN03を基にエリアA4内のノードを含めた全てのノードにラベルを付与する。
【0048】
図12は、エリアA4内の境界ノードに付与された第1の確定ラベル、および、第2の確定ラベルに基づいて接続ノードにラベルが付与される状態の概略図である。
図12に示すように、本実施形態の経路探索処理では、エリアA4内の境界ノードのいずれかに第1の確定ラベルが付与されると、エリアA4内の第1の確定ラベルが付与された境界ノード以外の境界ノードのそれぞれの接続ノードの内、エリアA4外のノードにラベルが付与されるとともに、第1の確定ラベルが付与された境界ノードの全ての接続ノードにラベルが付与される。
【0049】
図13は、ネットワーク上のノードN10に付与されたラベルの処理の途中経過を示す概略図である。
図13には、ノードN10に候補ラベルとしてのラベルLB11が付与された状態で、ノードN07に付与された第1の確定ラベルに基づいて、ノードN10へと新しいラベルとしてラベルLB15が付与される状態が示されている。なお、ラベルLB11の経路コストは17であり、ラベルLB15の経路コストは15である。
図7のステップS37の処理において、
図13に示すように、対象ノードであるノードN10には確定ラベルが付与されていないが(ステップS37:NO)、候補ラベルとしてラベルLB11が付与されているため(ステップS39:YES)、経路探索部120は、ノードN10にステップS45で付与されたラベルLB11の経路コストがノードN07に基づいて付与されたラベルLB15の経路コストよりも小さいか否かを判定する(ステップS41)。
図13に示すように、ラベルLB11の経路コストは、17であり、ラベルLB15の経路コストの15よりも大きいため(ステップS41:NO)、経路探索部120は、ノードN10に付与済であったラベルLB11を負けラベルに変更する(ステップS43)とともに、ノードN10に新たなラベルLB15を候補ラベルとして付与する(ステップS45)。ステップS41の処理において、付与済ラベルの経路コストが新規ラベルの経路コスト未満と判定された場合(ステップS41:YES)、または、ステップS37の処理において、対象ノードに確定ラベルが付与されている場合には(ステップS47)、経路探索部120は、対象ノードに負けラベルを付与する(ステップS47)。以上のように、経路探索部120は、確定ラベルを基にして、ネットワーク上のノードに候補ラベルまたは負けラベルを付与していく。なお、経路探索部120は第1の確定ラベルを付与した境界ノードを基に対象エリア内を探索すると、第2の確定ラベルが付与されている境界ノードには負けラベルが付与する。すなわち、対象エリア内のリンクコストが加算されるので、第2の確定ラベルが付与されている境界ノードの経路コストよりも経路コストが大きくなり、負けラベルが付与される。この境界ノードにおける第2の確定ラベルの経路コストと負けラベルの経路コストとの差が第1の確定ラベルが付与された境界ノードから第2の確定ラベルが付与された境界ノードまでの通過コストとすることができる。
【0050】
次に、目的地Gに確定ラベルが付与された場合について説明する。
図6のステップS25の処理において、目的地Gに確定ラベルが付与されると(ステップS25:YES)、経路探索部120は、ネットワーク上の経路コストが最大の第1の確定ラベルの経路コストが持ち時間以上であるか否かを判定する(ステップS27)。第1の確定ラベルにおける最大の経路コストが持ち時間以上であると判定された場合には(ステップS27:YES)、経路探索部120は、経路探索処理を終了する。なお、目的地Gに付与された確定ラベルに基づいて特定される経路は、経路コストが最小の移動経路であり、すなわち、最適経路に相当する。
【0051】
ステップS27の処理において、第1の確定ラベルにおける最大の経路コストが持ち時間よりも小さいと判定された場合には(ステップS27:NO)、経路探索部120は、ステップS29以降の処理を繰り返す。すなわち、本実施形態では、経路探索部120は、第1の確定ラベルの経路コストが持ち時間以上となるまで、ネットワーク上のノードにラベルを付与する処理を繰り返し行なう。なお、持ち時間以内の経路コストを有する移動経路は、類似経路であり、持ち時間から最適経路の経路コストを差し引いた値は、請求項における許容コストに相当する。
【0052】
経由エリア探索処理が終了すると(
図4のステップS20)、経路探索部120は、誘導経路決定処理を行なう(ステップS60)。
図14は、誘導経路決定処理の流れを示す説明図である。誘導経路決定処理は、出発地Sと目的地Gとを結ぶエリア外経路が探索された場合に、経由エリア内を散策する時間を設定した後に、1つ以上の移動経路をユーザに提示する処理である。
【0053】
誘導経路決定処理では、初めに、経路探索部120は、各散策対象エリアを経由する移動経路の洗い出しを行なう(ステップS61)。
図15は、出発地S1と目的地G1とを結ぶいくつかの移動経路を示す概略図である。
図15には、出発地S1と目的地G1とを結ぶ4つの移動経路である経路R11、経路R12、経路R13、および、経路R14が示されている。複数の移動経路のいくつかの経路は、エリアA5やエリアA6を通過する。
図15に示すように、移動経路として、エリアA5のみを経由しエリアA6を通過する経路、エリアA5は通過しエリアA6のみを経由する経路、および、エリアA5とエリアA6のどちらも経由する経路、などの複数のパターンの経路がある。
【0054】
経路R11は、最適経路探索部123によって探索され、目的地G1に付与された確定ラベルによって特定される経路コストが最小の最適経路である。他の3つの経路である経路R12、経路R13、経路R14のそれぞれは、類似経路探索部124によって探索され、最適経路である経路R11に含まれるノードである最適ノードに付与された負けラベルに基づいて特定される類似経路である。類似経路は、最適ノードに付与された負けラベルに基づいて特定される出発地S1から最適ノードまでの経路と、最適ノードから目的地G1までの経路であると共に最適経路と重複する経路と、から構成される。そのため、類似経路は、出発地S1から目的地G1までの一部または全ての区間において、最適経路と異なる経路である。ここで、最適経路および類似経路は、エリア内およびエリア外の複数のノードに付与された確定ラベルと負けラベルとに基づいて探索される。エリア内の境界ノードに付与される確定ラベルには、第1の確定ラベルと第2の確定ラベルとの2種類の確定ラベルがあるため、移動経路の内、エリア内の経路を探索する方法と、エリア外の経路を探索する方法は異なる。エリア内の複数の境界ノードには、出発地Sと境界ノードとを結ぶ経路の内の最小の経路コストが確定ラベルと付与されるため、エリア内の経路探索における経路コストは、エリア外の経路探索の経路コストよりも小さくなる。そのため、移動経路には、エリアを経由する経路が抽出されやすくなる。
【0055】
次に、経路探索部120のコスト設定部128は、エリアデータ300(例えば、
図3)によって特定されるエリア情報に基づいて、少なくとも1つの移動経路に含まれる経由エリアの全ての散策度数を算出する(
図14のステップS63)。本実施形態では、散策度数は、エリア情報に含まれる経由エリアの面積の比によって算出される。本実施形態では、エリアA5とエリアA6との面積比が2対3(2:3)であるため、コスト設定部128は、エリアA5とエリアA6とを散策する時間を2:3として算出する。なお、エリアA5とエリアA6とは、請求項における第3のエリアと第4のエリアとに相当する。
【0056】
散策度数が算出されると(ステップS63)、経路探索部120は、移動経路ごとの散策対象エリアの平均滞在時間をエリア外経路の経路コストに加算する(ステップS65)。本実施形態では、エリアA5の平均滞在時間が20分、エリアA6の平均滞在時間を30分である。経路探索部120は、移動経路ごとの経由エリアの平均滞在時間をエリア外経路の経路コストに加算して、移動経路ごとの経路コストを算出する。
【0057】
次に、経路探索部120は、設定された持ち時間内に出発地S1から目的地G1までを移動できる移動経路があるか否かを判定する(ステップS67)。持ち時間内に移動できる移動経路がないと判定された場合には(ステップS67:NO)、経路探索部120は、移動経路をユーザに提示せずに、誘導経路決定処理を終了する。ステップS67の処理において、持ち時間内に移動できる移動経路があると判定された場合には(ステップS67:YES)、経路探索部120は、出発地S1から目的地G1へと持ち時間内に移動できる複数の移動経路があるか否かを判定する(ステップS69)。移動経路が1つしかないと判定された場合には(ステップS69:NO)、経路探索部120は、持ち時間内に移動できる唯一の移動経路をユーザに提示して(ステップS75)、誘導経路決定処理を終了する。
【0058】
ステップS69の処理において、出発地S1から目的地G1へと持ち時間内に移動できる複数の移動経路があると判定された場合には(ステップS69:YES)、経路探索部120は、複数の移動経路に優先順位をつけてユーザに提示する。本実施形態では、優先順位について、持ち時間をいっぱいに使える移動経路を優先順位が高いものとして取り扱う。すなわち、経路コストが大きい移動経路ほど優先順位が高くなる。次に、経路探索部120は、携帯電話機200に対するユーザの移動経路の選択を受け付け、選択された移動経路の詳細を携帯電話機200の表示パネル202に表示させる(ステップS73)。
【0059】
図16は、携帯電話機200の表示パネル202に表示される移動経路の一覧を示す概略図である。
図16に示すように、出発地S1と目的地G1とを結ぶと共に設定された持ち時間の120分以内に目的地G1に到着できる移動経路は、経路R01、経路R02、経路R03の3つである。また、移動経路のそれぞれについて、目的地G1に到着するまでに要する時間が示されている。ユーザは、いずれかの移動経路を選択することによって、選択した移動経路の詳細なデータを見ることができる。
【0060】
誘導経路決定処理が行なわれると(
図4のステップS60)、経路探索部120は、誘導方法決定処理を行なう(ステップS80)。
図17は、誘導方法決定処理の流れを示す説明図である。誘導方法決定処理は、ユーザによって選択された移動経路に対して、持ち時間から移動経路の経路コストを差し引いた時間を、経由エリアで要する時間に配分する処理である。
【0061】
誘導経路決定処理では、初めに、経路探索部120は、ユーザに選択された移動経路に経由エリアが含まれるか否かを判定する(ステップS81)。移動経路に経由エリアが含まれないと判定された場合には(ステップS81:NO)、経路探索部120は、選択された移動経路に従って、経路どおりにユーザを誘導し(ステップS87)、誘導方法決定処理を終了する。
【0062】
ステップS81の処理において、ユーザに選択された移動経路に経由エリアが含まれると判定された場合には(ステップS81:YES)、経路探索部120は、選択された移動経路に複数の経由エリアが含まれるか否かを判定する(ステップS83)。移動経路に複数の経由エリアが含まれないと判定された場合には(ステップS83:NO)、移動経路には1つの経由エリアしか含まれないため、コスト設定部128は、持ち時間から移動経路の経路コストを差し引いた余った時間を、経由エリアの散策時間に割り当て(ステップS89)、誘導方法決定処理を終了する。
【0063】
ステップS83の処理において、ユーザに選択された移動経路に複数の経由エリアが含まれると判定された場合には(ステップS83:YES)、コスト設定部128は、余った時間を経由エリアの散策度数に応じて配分する(ステップS85)。例えば、
図16において、移動経路として経路R02が選択された場合に、経由エリアがエリアA5とエリアA6との複数あり、経路コストが115(分)である。そのため、コスト設定部128は、持ち時間の120から経路コストの115を差し引いた5分を、エリアA5とエリアA6との面積比で割って配分することで、エリアA5とエリアA6との散策時間を増やす。エリアA5とエリアA6との面積比が2:3であるため、エリアA5の散策時間は、平均滞在時間の20に2を加算した22分である。また、エリアA6の散策時間は、平均滞在時間の30に3を加算した33分である。以上のように、経路探索部120は、
図17のステップS85の処理を終えた後に、誘導方法決定処理を終了する。
【0064】
以上説明したように、本実施形態におけるサーバ100では、経路探索部120は、エリア内のノードに付与された第1の確定ラベルと第2の確定ラベルとに基づいて、移動経路の内のエリア内の経路探索における経路コストがエリア外の経路探索における経路コストよりも小さくなるように、移動経路を探索する。そのため、本実施形態のサーバ100では、出発地と目的地とを結ぶ移動経路が探索される際に、エリアを経由する経路の経路コストが小さい状態で経路探索が行なわれるので、より多くのエリアを経由した移動経路を探索できる。
【0065】
また、本実施形態におけるサーバ100では、対象エリアの境界ノードに第1の確定ラベルが付与された際に、同一エリア内における当該境界ノード以外の全境界ノードに第1の確定ラベルと同一の経路コストを有する第2の確定ラベルを付与して、対象ノード取得処理を行なう。そのため、本実施形態のサーバ100では、経由エリア探索処理が行なわれる際に、通常の経路探索が行なわれる場合と比較して、出発地と目的地とを結ぶ移動経路にエリア内のリンクが含まれやすくなる。これにより、エリアを経由する移動経路を探索しやすくなるため、ユーザの目的に合わせて特定のエリアを散策でき、ユーザの利便性や使い勝手が向上する。
【0066】
また、本実施形態におけるサーバ100では、経路探索部120は、ネットワーク上のノードに持ち時間以上とならない範囲で、ノードにラベルを付与する。経路探索部120の最適経路探索部123は、目的地G1に付与された確定ラベルに基づいて、経路コストが最小の移動経路である最適経路を探索する。また、経路探索部120の類似経路探索部124は、最適経路に含まれる最適ノードに付与された確定ラベルと負けラベルとに基づいて、経路コストが持ち時間以下である類似経路を探索する。そのため、本実施形態のサーバ100では、最適経路と一部のリンクが重複する類似経路をユーザに提示でき、ユーザの利便性や使い勝手が向上する。また、確定ラベルと負けラベルとに基づいて類似経路が探索されるため、持ち時間の設定に応じて、種々の移動経路をユーザに提示でき、さらに、ユーザの利便性や使い勝手が向上する。また、最適経路だけでなく類似経路まで探索されるので、エリアを経由する移動経路をさらに探索しやすくなるため、ユーザの利便性や使い勝手がさらに向上する。
【0067】
また、本実施形態におけるサーバ100では、コスト設定部128は、エリアデータ300によって特定されるエリア情報に基づいて、少なくとも1つの移動経路に含まれる経由エリアの全ての散策度数を算出し、散策度数に基づいて散策時間を算出する。そのため、本実施形態のサーバ100では、ユーザの目的等に応じて、経由エリアの選択や経由エリアにおける散策時間の設定が行なわれるため、ユーザの利便性や使い勝手が向上する。
【0068】
また、本実施形態におけるサーバ100では、例えば、コスト設定部128は、経由エリアのエリア情報としての複数のエリアの面積比によって、各エリアの散策時間を算出する。そのため、本実施形態のサーバ100では、経由エリアの選択に加え、経由エリア間の関係を踏まえた散策時間の決定が行なわれるため、ユーザの利便性や使い勝手がさらに向上する。
【0069】
また、本実施形態におけるサーバ100では、経路探索部120は、出発地と特定のエリアに含まれる複数の境界ノードとを結ぶ複数の経路の内、経路コストが最小となる出発地といずれかの境界ノードとを結ぶ経路の経路コストを有する第2の確定ラベルを、特定のエリアの境界ノードに付与する。そのため、本実施形態のサーバ100では、出発地と特定のエリア内の境界ノードとを結ぶ経路が探索されると、探索された経路に基づいて、特定のエリア内の複数の境界ノードと目的地とを結ぶ複数の経路が探索されやすくなる。これにより、エリアを経由する移動経路が探索されやすくなり、また、同じエリアを経由する移動経路の内、異なる経路によって構成される複数の経路が抽出され、ユーザにより多くの移動経路を提示でき、ユーザにとっての利便性が向上する。
【0070】
B.変形例:
なお、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0071】
B1.変形例1:
上記実施形態では、経路探索部120は移動経路に含まれる全ての経由エリア内について、ネットワークデータのリンクコストに基づいて移動経路が探索したが、経由エリア内はリンクコストをゼロに設定して探索しても良い。この変形例では、経由エリア探索処理において、経路探索部120は、エリアA4と同一エリア内のラベルLB03が付与されたノードN03以外の全境界ノードにラベルLB03と同一の経路コストを有する第2の確定ラベルを付与する処理(
図6のステップS33)を行わず、エリア内のリンクはリンクコストをゼロとして探索を行う。この変形例では、経路探索部120が対象エリア内リンクのリンクコストを設定するコスト設定部128を備えている。コスト設定部128はエリア内のリンクコストを設定でき、例えばエリア内はリンクコストをゼロと設定する。経路探索部120は、第1の確定ラベルが対象エリアの境界ノードである場合(
図6のステップS31でYes)、エリア内のリンクはリンクコストをゼロとして、エリア自体を1つのノードと見做した経路探索を行う。対象エリア内のリンクのリンクコストをゼロと設定することで、経路探索部120は、ステップS31で付与した境界ノードにおける第1の確定ラベルと同一の経路コストを有する第1の確定ラベルを対象エリアの他の境界ノードへ付与することになり、経由エリアを含む多くの経路を探索できる。これによりユーザは経由するエリアの選択肢が広がり、ユーザの利便性や使い勝手が向上する。なお、この変形例におけるエリアA4は、請求項における第2のエリアに相当する。上記実施形態におけるエリアA4と、この変形例におけるエリアA4と、上記実施形態におけるエリアA5およびエリアA6と、は互いに異なるエリアであってもよいし、同じエリアであってもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、移動経路に含まれる経由エリア内の経路探索処理を、境界ノードに付与されたラベルの種類によって異なる方法で探索したが、移動経路の経路探索については、これに限られず、種々変形可能である。例えば、経路探索部120はエリア内のリンクは探索しない探索方法を用いてもよい。また例えば、上記実施形態の探索方法によって探索された移動経路と、エリアデータを用いずに探索された出発地と目的地とを結ぶ移動経路と、を並列にユーザに提示してもよい。
【0073】
B2.変形例2:
上記実施形態では、コスト設定部128が対象エリア内のリンクのリンクコストをゼロに設定したが、対象エリア内のリンクのリンクコストの設定については、これに限られず、種々変形可能である。例えば、コスト設定部128は、対象エリア内のリンクのリンクコストをゼロではなく、特定されたリンクコストの50%のリンクコストに設定してもよいし、一部のリンクのみのリンクコストを設定してもよい。
【0074】
上記実施形態では、ノードに付与された確定ラベルと負けラベルとに基づいて、出発地と目的地とを結ぶ移動経路が探索されたが、移動経路の探索方法については、これに限られず、種々変形可能である。例えば、上記実施形態と同様に、コスト設定部128が対象エリア内のリンクのリンクコストをゼロに設定した後に、経路探索部120は、ダイクストラ法やエースター(A
*)法によって、移動経路を探索してもよい。
【0075】
上記実施形態では、散策時間がエリアの平均滞在時間や2つのエリアの面積の比によって決定されたが、散策時間を決定するエリア情報については、これに限られず、種々変形可能である。
図3に示すように、エリアのジャンルによって決定されてもよい。また、エリアデータ300は、エリア情報として、エリア内のジャンル別の店舗数、散策する時間帯別の平均滞在時間、店舗の床面積、などを特定してもよい。エリアのジャンルや店舗のジャンルとしては、ショッピングセンター、図書館などの公共施設、公園等が含まれてもよい。また、時間帯別のエリア情報としては、飲食店の営業時間や図書館などの公共施設の利用可能時間等が含まれていてもよい。一方、エリア情報として、例えば、エリアの面積のみが特定されてもよい。この変形例では、エリア情報として、エリアに関する種々の情報に基づいて、散策時間等が設定されるため、ユーザの利便性や使い勝手が向上する。
【0076】
B3.変形例3:
また、上記実施形態では、エリアデータ300が大きい道路であるリンクの交点の区別ノードによってエリアを特定したが、エリアの特定の方法は、これに限られず、種々変形可能である。例えば、リンクの大小にかかわらず、全てのノードを対象にエリアが特定されてもよい。また、住所等によって、エリアが特定されてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、誘導経路決定方法における移動経路の優先順位について、持ち時間をいっぱいに使える移動経路の優先順位が高くなるように設定したが、移動経路の優先順位の決定方法については、これに限られず、種々変形可能である。上記実施形態とは異なり、移動経路の経路コストが小さいほど優先順位が高くなるように設定されてもよい。また、より多くのエリアを経由する移動経路の優先順位が高く設定されてもよい。また、優先順位自体が設定されずに、任意で並列に複数の移動経路がユーザに提示されてもよい。
【0078】
B4.変形例4:
上記実施形態では、リンクコストがリンクを通過する時間(分)であったが、リンクを通過する時間とリンクコストとの関係は、これに限られず、種々変形可能である。例えば、特定されたリンクコストに対して、携帯電話機200を介して設定されたユーザの移動手段に応じて、リンクコストが時間(例えば、分単位)に換算されてもよい。また、リンクコストは、分単位ではなく、リンクを通過する秒単位の時間であってもよい。
【0079】
上記実施形態では、各リンクについて、向きにかかわらず、リンクコストが同じである態様であったが、各リンクの設定については、種々変形可能である。例えば、ユーザが自動車に乗車している場合には、リンクは、一方通行や右折禁止と知った規制が反映されていてもよい。また、リンクのリンクコストについても、例えば、坂道のリンクであった場合には、通過する向きに応じてリンクコストが変更されてもよい。
【0080】
上記実施形態では、情報入力受付処理において、移動経路の起点となる出発地がユーザによって入力されたが、出発地等の入力の方法については、これに限られず、種々変形可能である。例えば、携帯電話機200のGPSユニット201によって特定された現在位置を出発地として自動に認識されてもよい。携帯電話機200の通話制御部220による音声認識によって、現在位置や目的地等が設定されてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、
図1に示すようにサーバ100が情報記憶部110および経路探索部120を備える態様としたが、情報記憶部110および経路探索部120を備える装置はこの態様に限られず、種々変形可能である。例えば、情報記憶部110と経路探索部120とは異なるサーバに備えられていてもよいし、経路探索部120が携帯電話機200に搭載されていてもよい。
【0082】
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現できる。例えば、発明の概要の欄に記載した角形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行なうことができる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除できる。