特許第6231408号(P6231408)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイセルの特許一覧

特許6231408感光性樹脂組成物及びその硬化物、並びに光学部品
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231408
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物及びその硬化物、並びに光学部品
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/24 20060101AFI20171106BHJP
   C08G 59/68 20060101ALI20171106BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20171106BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20171106BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   C08G59/24
   C08G59/68
   G02B1/04
   C08L63/00 C
   C08K3/04
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-42017(P2014-42017)
(22)【出願日】2014年3月4日
(65)【公開番号】特開2014-196475(P2014-196475A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2016年9月6日
(31)【優先権主張番号】特願2013-41701(P2013-41701)
(32)【優先日】2013年3月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】100101362
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 幸久
(74)【代理人】
【識別番号】100152559
【弁理士】
【氏名又は名称】羽明 由木
(72)【発明者】
【氏名】孫 珠姫
(72)【発明者】
【氏名】久保 隆司
(72)【発明者】
【氏名】藤川 武
(72)【発明者】
【氏名】石川 裕剛
【審査官】 海老原 えい子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−049301(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/116038(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59
C08L
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含む感光性樹脂組成物。
成分(A):カチオン重合性化合物として、脂環を構成する隣り合う2つの炭素原子が1つの酸素原子と共に環を形成してなる基を有し、且つエステル結合を有しない化合物を20〜95重量%と、分子内に1個以上のオキセタニル基を有する化合物を1〜35重量%含む
成分(B):下記式(b)
[(Rf)nPF6-n- (b)
(式中、Rfは水素原子の80%以上がフッ素原子で置換された炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜5の整数を示す)
で表されるフッ化アルキルフルオロリン酸イオン、CF3SO3-、C49SO3-、B(C654-、及びP(C654-から選択されるアニオン部とカチオン部からなる光カチオン重合開始剤
成分(C):遮光性材料
【請求項2】
成分(A)における脂環を構成する隣り合う2つの炭素原子が1つの酸素原子と共に環を形成してなる基を有し、且つエステル結合を有しない化合物が、下記式(a-1-1)で表される化合物である請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【化1】
[式中、R1〜R18は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を示す。Xは、単結合又は連結基(エステル結合を含む連結基を除く)を示す]
【請求項3】
成分(C)の含有量が、感光性樹脂組成物に含まれる硬化性化合物100重量部に対して0.3〜20重量部である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
成分(C)がカーボンブラックである請求項1〜3の何れか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の感光性樹脂組成物を硬化し硬化物。
【請求項6】
請求項5に記載の硬化物を含む光学部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物及びその硬化物、並びに光学部品に関する。より詳しくは、レンズ等の光学部品に塗布して光照射することにより、速やかに遮光膜又は遮光層を形成することができる感光性樹脂組成物及び硬化物、並びに前記硬化物を含む光学部品に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話、スマートフォン等の携帯型電子機器の需要が拡大している。このような電子機器には小型で薄型の撮像ユニットが搭載されており、前記撮像ユニットは、一般に、固体撮像素子(CCD型イメージセンサやCMOS型イメージセンサ等)、レンズ等の光学部品より構成されている。そして、解像度の向上を目的として複数枚のレンズが使用され、これら複数枚のレンズの間には、外部から侵入した不要な光によるゴーストやフレアの防止を目的として、遮光膜が設けられている。また、情報伝達量の増加に伴い、光ファイバーなどの光伝送路の役割が重要性を増しており、光モジュールの製造においては、熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂を接着剤として用いることにより、光芯線(光ファイバー)と基板との接続を強固に保持することが行われている。そして、光モジュールの製造において(例えば、部材の接合や組み立てにおいて)使用される接着剤には、優れた接着性に加えて遮光性も要求される。
【0003】
特許文献1には、遮光性材料、エポキシ(メタ)アクリレートやウレタン(メタ)アクリレート等の不飽和二重結合を有する硬化性樹脂、重合開始剤、及び熱硬化剤を含む遮光シール剤が記載されている。しかし、前記遮光シール剤は含有する遮光性材料によって硬化性樹脂内部への紫外線の照射が妨げられるため、紫外線照射のみでは硬化速度が遅く、紫外線照射に加えて長時間の加熱処理を施す必要がある等、硬化に時間がかかりすぎることが問題であった。
【0004】
特許文献2には、遮光性材料、エポキシ樹脂、及びアミン系硬化剤を含む遮光塗料を硬化して得られる遮光膜が記載されている。しかし、前記遮光塗料も特許文献1に記載の発明と同様に紫外線照射では速やかに硬化させることができず、室温で60分間乾燥させた後、更に80℃で120分加熱する等、硬化に時間がかかりすぎることが問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−99027号公報
【特許文献2】特開2011−186437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、被着体表面に塗布し、光照射することにより速やかに硬化して、優れた遮光性、初期接着性を有する硬化物を形成することができる感光性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物、及び該硬化物を含む光学部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、硬化性化合物として脂環式エポキシ基を有し、且つエステル結合を有しないカチオン重合性化合物を使用すると、エステル結合を有するエポキシ化合物を使用する場合と比べて硬化性に優れ、光照射することにより速やかに硬化することができることを見いだした。
また、特定の光カチオン重合開始剤を使用すると、遮光性材料を含有する場合であっても光の照射のみで速やかに硬化物を形成することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、下記成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含む感光性樹脂組成物を提供する。
成分(A):脂環式エポキシ基を有し、且つエステル結合を有しない化合物を含むカチオン重合性化合物
成分(B):フッ化アルキル基を含むアニオン部とカチオン部からなる光カチオン重合開始剤
成分(C):遮光性材料
【0009】
本発明は、また、成分(A)における脂環式エポキシ基を有し、且つエステル結合を有しない化合物が、下記式(a-1-1)で表される化合物である前記の感光性樹脂組成物を提供する。
【化1】
[式中、R1〜R18は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を示す。Xは、単結合又は連結基(エステル結合を含む連結基を除く)を示す]
【0010】
本発明は、また、成分(B)のアニオン部が下記式(b)
[(Rf)nPF6-n- (b)
(式中、Rfは水素原子の80%以上がフッ素原子で置換された炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜5の整数を示す)
で表されるフッ化アルキルフルオロリン酸イオンである前記の感光性樹脂組成物を提供する。
【0011】
本発明は、また、成分(C)がカーボンブラックである前記の感光性樹脂組成物を提供する。
【0012】
本発明は、また、前記の感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物を提供する。
【0013】
本発明は、また、前記の硬化物を含む光学部品を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の感光性樹脂組成物は上記構成を有するため、被着体表面に塗布して光照射すると速やかに硬化して、優れた遮光性、初期接着性を有する硬化物を形成することができる。そのため、本発明の感光性樹脂組成物を接着剤として使用すると、電子機器の撮像ユニットを構成する複数枚のレンズの間に塗布して光を照射することによって速やかにレンズとレンズを接着・固定することができると同時に、レンズとレンズの間に遮光層を形成することができる。また、本発明の感光性樹脂組成物を電子機器の製造に使用すると、作業工程を短縮することが可能であり、生産性を著しく向上することができる。その上、従来は遮光膜を接着剤層を介してレンズに貼り合わせていたが、本発明の感光性樹脂組成物を使用すると遮光膜と接着剤層の機能を兼ね備えた硬化物を形成することができるので、撮影ユニットのさらなるスリム化を達成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の感光性樹脂組成物は、下記成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含む。
成分(A):脂環式エポキシ基を有し、且つエステル結合を有しない化合物を含むカチオン重合性化合物
成分(B):フッ化アルキル基を含むアニオン部とカチオン部からなる光カチオン重合開始剤
成分(C):遮光性材料
【0016】
(成分(A):カチオン重合性化合物)
本発明の成分(A)は感光性樹脂組成物に含まれる硬化性化合物の一つであり、一分子内に脂環式エポキシ基を1個以上有し、且つエステル結合を有しない化合物(以後、「脂環式エポキシ化合物」と称する場合がある)を少なくとも含む。本発明の感光性樹脂組成物は成分(A)を含有するため硬化性に優れる。尚、本明細書において「脂環式エポキシ基」とは、脂環を構成する隣り合う2つの炭素原子が1つの酸素原子と共に環を形成してなる基である。前記脂環式エポキシ化合物は硬化性に優れる。
【0017】
上記脂環式エポキシ基としては、例えば、シクロヘキサン環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基等を挙げることができる。
【0018】
上記脂環式エポキシ化合物は、脂環式エポキシ基を一分子内に1個以上(例えば1〜6個)有していればよく、なかでも2〜5個、特に2個有していることが好ましい。
【0019】
上記脂環式エポキシ化合物としては、例えば、下記式(a-1-1)で表される化合物を挙げることができる。式中、R1〜R18は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を示す。Xは単結合又は連結基(エステル結合を含む連結基を除く)を示す。
【0020】
【化2】
【0021】
1〜R18におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
【0022】
1〜R18における炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等)、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びこれらが2以上結合した基を挙げることができる。
【0023】
上記アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、イソオクチル、デシル、ドデシル基等のC1-20アルキル基(好ましくはC1-10アルキル基、特に好ましくはC1-4アルキル基)等を挙げることができる。上記アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、メタリル、1−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、5−ヘキセニル基等のC2-20アルケニル基(好ましくはC2-10アルケニル基、特に好ましくはC2-4アルケニル基)等を挙げることができる。上記アルキニル基としては、例えば、エチニル、プロピニル基等のC2-20アルキニル基(好ましくはC2-10アルキニル基、特に好ましくはC2-4アルキニル基)等を挙げることができる。
【0024】
上記脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロドデシル基等のC3-12シクロアルキル基;シクロヘキセニル基等のC3-12シクロアルケニル基;ビシクロヘプタニル、ビシクロヘプテニル基等のC4-15架橋環式炭化水素基等を挙げることができる。
【0025】
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル、ナフチル基等のC6-14アリール基(好ましくはC6-10アリール基)等を挙げることができる。
【0026】
また、上述の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基から選択される基が2以上結合した基としては、例えば、シクロへキシルメチル基等のC3-12シクロアルキル置換C1-20アルキル基;メチルシクロヘキシル基等のC1-20アルキル置換C3-12シクロアルキル基;ベンジル基、フェネチル基等のC7-18アラルキル基(特に、C7-10アラルキル基);シンナミル基等のC6-14アリール置換C2-20アルケニル基;トリル基等のC1-20アルキル置換C6-14アリール基;スチリル基等のC2-20アルケニル置換C6-14アリール基等を挙げることができる。
【0027】
1〜R18における酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素基としては、上述の炭化水素基における少なくとも1つの水素原子が、酸素原子を有する基又はハロゲン原子で置換された基等を挙げることができる。上記酸素原子を有する基としては、例えば、ヒドロキシル基;ヒドロパーオキシ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロピルオキシ、ブトキシ、イソブチルオキシ基等のC1-10アルコキシ基;アリルオキシ基等のC2-10アルケニルオキシ基;C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、ハロゲン原子、及びC1-10アルコキシ基から選択される置換基を有していてもよいC6-14アリールオキシ基(例えば、トリルオキシ、ナフチルオキシ基等);ベンジルオキシ、フェネチルオキシ基等のC7-18アラルキルオキシ基;アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、(メタ)アクリロイルオキシ、ベンゾイルオキシ基等のC1-10アシルオキシ基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル基等のC1-10アルコキシカルボニル基;C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、ハロゲン原子、及びC1-10アルコキシ基から選択される置換基を有していてもよいC6-14アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、トリルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル基等);ベンジルオキシカルボニル基等のC7-18アラルキルオキシカルボニル基;グリシジルオキシ基等のエポキシ基含有基;エチルオキセタニルオキシ基等のオキセタニル基含有基;アセチル、プロピオニル、ベンゾイル基等のC1-10アシル基;イソシアナート基;スルホ基;カルバモイル基;オキソ基;これらの2以上がC1-10アルキレン基等を介して、又は介することなく結合した基等を挙げることができる。
【0028】
1〜R18におけるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロピルオキシ、ブトキシ、イソブチルオキシ基等のC1-10アルコキシ基を挙げることができる。
【0029】
前記アルコキシ基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C1-10アルコキシ基、C2-10アルケニルオキシ基、C6-14アリールオキシ基、C1-10アシルオキシ基、メルカプト基、C1-10アルキルチオ基、C2-10アルケニルチオ基、C6-14アリールチオ基、C7-18アラルキルチオ基、カルボキシル基、C1-10アルコキシカルボニル基、C6-14アリールオキシカルボニル基、C7-18アラルキルオキシカルボニル基、アミノ基、モノ又はジC1-10アルキルアミノ基、C1-10アシルアミノ基、エポキシ基含有基、オキセタニル基含有基、C1-10アシル基、オキソ基、及びこれらの2以上がC1-10アルキレン基等を介して、又は介することなく結合した基等を挙げることができる。
【0030】
1〜R18としては、なかでも水素原子が好ましい。
【0031】
上記式(a-1-1)におけるXは、単結合又は連結基(1以上の原子を有する2価の基)を示す。但し、上記連結基からは、エステル結合を含む基が除かれる。上記連結基としては、例えば、2価の炭化水素基、カルボニル基、エーテル結合、アミド基、及びこれらが複数個連結した基等を挙げることができる。上記2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン基等の直鎖又は分岐鎖状のC1-18アルキレン基;1,2−シクロペンチレン、1,3−シクロペンチレン、シクロペンチリデン、1,2−シクロヘキシレン、1,3−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシレン、シクロヘキシリデン基等の2価のC3-12シクロアルキレン基、及び2価のC3-12シクロアルキリデン基等を挙げることができる。
【0032】
上記式(a-1-1)で表される化合物としては、なかでも、立体障害が小さく、光照射により速やかに硬化反応を進行することができる点で、(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロへキシルが好ましい。
【0033】
上記脂環式エポキシ化合物は、例えば、対応するオレフィン化合物(脂環式エポキシ化合物が有する脂環式エポキシ基と同数の炭素−炭素不飽和二重結合を有するオレフィン化合物)の炭素−炭素不飽和二重結合をエポキシ化することによって製造することができる。エポキシ化反応は、公知乃至慣用の方法により実施することができる。市販の脂環式エポキシ化合物を使用してもよい。
【0034】
例えば上記式(a-1-1)で表される化合物は、式(a-1-1')で表されるオレフィンをエポキシ化することによって製造することができる。なお、式(a-1-1')におけるR1〜R18、Xは、式(a-1-1)におけるR1〜R18、Xと同じである。
【0035】
【化3】
【0036】
エポキシ化反応に使用されるエポキシ化剤としては、公知乃至慣用の酸化剤(例えば、有機過カルボン酸類、ハイドロパーオキサイド類等)を使用することができる。前記有機過カルボン酸類としては、例えば、過ギ酸、過酢酸、過プロピオン酸、過安息香酸、トリフルオロ過酢酸、過フタル酸等を挙げることができる。前記ハイドロパーオキサイド類としては、例えば、過酸化水素、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等を挙げることができる。
【0037】
本発明の脂環式エポキシ化合物としては、上記式(a-1-1)で表される化合物以外にも、例えば、分子内に脂環式エポキシ基を有し、さらに、シロキサン結合(Si−O−Si)により構成されたシロキサン骨格を有する化合物(=シロキサン化合物)を挙げることができる。
【0038】
前記シロキサン骨格としては、例えば、環状シロキサン骨格やポリシロキサン骨格[例えば、直鎖又は分岐鎖状のシリコーン(直鎖状又は分岐鎖状ポリシロキサン)や、かご型やラダー型のポリシルセスキオキサン等]等を挙げることができる。
【0039】
本発明のシロキサン化合物としては、なかでも、硬化性に優れ、得られる硬化物が耐熱性に特に優れる点で、下記式(a-1-2)で表される環状シロキサン骨格を有する化合物が好ましい。
【0040】
【化4】
【0041】
上記式(a-1-2)中、R19、R20は、脂環式エポキシ基を含有する一価の基又はアルキル基を示す。但し、式(a-1-2)で表される化合物におけるt個のR19及びt個のR20のうち、少なくとも1個は脂環式エポキシ基を含有する一価の基である。また、式(a-1-2)中のtは3以上の整数を示す。尚、式(a-1-2)で表される化合物におけるR19、R20は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、複数のR19は同一であってもよいし、異なっていてもよく、複数のR20も同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0042】
式(a-1-2)中のtは3以上の整数を示し、なかでも、感光性樹脂組成物の硬化性、及び硬化物の耐熱性及び機械強度に優れる点で3〜6の整数が好ましい。
【0043】
シロキサン化合物が分子内に有する脂環式エポキシ基の数は、感光性樹脂組成物の硬化性、硬化物の耐熱性及び機械強度の観点で2〜6個が好ましく、特に好ましくは2〜4個、最も好ましくは3〜4個である。
【0044】
シロキサン化合物のエポキシ当量(JIS K7236に準拠)は、感光性樹脂組成物の硬化性、及び硬化物の耐熱性に優れる点で180〜400が好ましく、特に好ましくは240〜400、最も好ましくは240〜350である。
【0045】
シロキサン化合物としては、例えば、2,4−ジ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−2,4,6,6,8,8−ヘキサメチル−シクロテトラシロキサン、4,8−ジ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−2,2,4,6,6,8−ヘキサメチル−シクロテトラシロキサン、2,4−ジ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−6,8−ジプロピル−2,4,6,8−テトラメチル−シクロテトラシロキサン、4,8−ジ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−2,6−ジプロピル−2,4,6,8−テトラメチル−シクロテトラシロキサン、2,4,8−トリ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−2,4,6,6,8−ペンタメチル−シクロテトラシロキサン、2,4,8−トリ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−6−プロピル−2,4,6,8−テトラメチル−シクロテトラシロキサン、2,4,6,8−テトラ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−2,4,6,8−テトラメチル−シクロテトラシロキサン、脂環式エポキシ基を有するシルセスキオキサン等を挙げることができる。
【0046】
より具体的には、下記式で表される環状シロキサン骨格を有する化合物等を挙げることができる。
【化5】
【0047】
尚、本発明の感光性樹脂組成物において、シロキサン化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。シロキサン化合物としては、例えば、商品名「X−40−2678」、「X−40−2670」、「X−40−2720」(以上、信越化学工業(株)製)等の市販品を用いることもできる。
【0048】
成分(A)において、脂環式エポキシ化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0049】
成分(A)には、上記脂環式エポキシ化合物以外のカチオン重合性化合物(以後「他のカチオン重合性化合物」と称する場合がある)を1種又は2種以上含有していてもよい。他のカチオン重合性化合物としては、カチオン重合性基として、例えば、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基等を含有する化合物を挙げることができる。すなわち、他のカチオン重合性化合物としては、上記脂環式エポキシ化合物以外のエポキシ化合物、分子内に1個以上のオキセタニル基を有する化合物、分子内に1個以上のビニルエーテル基を有する化合物等を挙げることができる。他のカチオン重合性化合物は、カチオン重合性官能基以外にも、例えば、水酸基、カルボキシル基、エーテル結合、エステル結合等を有していてもよい。
【0050】
他のエポキシ化合物としては、例えば、分子内に脂環構造を有するエポキシ化合物;ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物等の芳香族グリシジルエーテル系エポキシ化合物;脂肪族多価アルコールのモノ又はポリグリシジルエーテル等の脂肪族グリシジルエーテル系エポキシ化合物;グリシジルエステル系エポキシ化合物;グリシジルアミン系エポキシ化合物;ポリブタジエン骨格やポリイソプレン骨格を有する分子鎖の二重結合の一部がエポキシ化された化合物等を挙げることができる。
【0051】
また、前記分子内に脂環構造を有するエポキシ化合物には、(i)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物(例えば、下記式(a-2)で表される化合物)、(ii)芳香族グリシジルエーテル系エポキシ化合物を水素化して得られる水素化グリシジルエーテル系エポキシ化合物、及び(iii)脂環式エポキシ基及びエステル結合を有する化合物等が含まれる。
【0052】
【化6】
【0053】
式(a-2)におけるR’は、p価のアルコールからp個の−OHを除いた基を示す。また、p、kはそれぞれ自然数を表す。pは1〜6が好ましく、kは1〜30が好ましい。p価のアルコール[R’−(OH)p]としては、例えば、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノール等のC1-15多価アルコールを挙げることができる。pが2以上の場合、括弧内の基におけるkは同一でもよく、異なっていてもよい。上記式(a-2)で表される化合物としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物[例えば、商品名「EHPE3150」、(株)ダイセル製]等を好適に使用することができる。
【0054】
前記ポリブタジエン骨格やポリイソプレン骨格を有する分子鎖の二重結合の一部がエポキシ化された化合物としては、例えば、商品名「エポリードPB3600」((株)ダイセル製)等が市販品として入手可能である。
【0055】
また、他のエポキシ化合物として分子内にエステル結合を含むエポキシ化合物を使用する場合、分子内にエステル結合を含むエポキシ化合物の使用量は成分(A)全量(100重量%)の40重量%以下(好ましくは30重量%以下、特に好ましくは10重量%未満、最も好ましくは5重量%未満)であることが好ましい。分子内にエステル結合を含むエポキシ化合物の含有量が上記範囲を上回ると、硬化性が低下し、得られる硬化物の耐熱性が低下する傾向がある。また、分子内にエステル結合を含むエポキシ化合物は加水分解されやすいため、得られる硬化物の耐水性が低下する傾向がある。
【0056】
上記分子内に1個以上のオキセタニル基を有する化合物としては、例えば、3,3−ビス(ビニルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3−エチル−3−(ヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(クロロメチル)オキセタン、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、ビス([1−エチル(3−オキセタニル)]メチル)エーテル、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロヘキシル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]シクロヘキサン、1,4−ビス([(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル)ベンゼン、3−エチル−3([(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル)オキセタン、キシリレンビスオキセタン等を挙げることができる。本発明においては、例えば、商品名「OXT221」、「OXT121」(以上、東亞合成(株)製)等の市販品を使用することもできる。
【0057】
上記分子内に1個以上のビニルエーテル基を有する化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、1−メチル−3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−メチル−2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−ヒドロキシメチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,2−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、p−キシレングリコールモノビニルエーテル、m−キシレングリコールモノビニルエーテル、o−キシレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、ペンタエチレングリコールモノビニルエーテル、オリゴエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノビニルエーテル、テトラプロピレングリコールモノビニルエーテル、ペンタプロピレングリコールモノビニルエーテル、オリゴプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、及びこれらの誘導体等を挙げることができる。
【0058】
本発明の成分(A)としては、特に、上記脂環式エポキシ化合物と共に、分子内に1個以上のオキセタニル基を有する化合物を含有することが、初期接着力を向上することができる点で好ましい。
【0059】
また、本発明の成分(A)としては、他のエポキシ化合物として、分子内に脂環構造を有し、且つ芳香環構造及びエステル結合を有しないエポキシ化合物及び/又はポリブタジエン骨格やポリイソプレン骨格を有する分子鎖の二重結合の一部がエポキシ化された化合物を含有することが、得られる硬化物の架橋度を上げ、機械強度を向上することができる点で好ましい。
【0060】
本発明の感光性樹脂組成物全量(100重量%)における成分(A)の含有量は、例えば40〜99重量%程度、好ましくは50〜98重量%、特に好ましくは60〜97重量%である。成分(A)の含有量が上記範囲を下回ると、硬化性が低下し、初期接着性が得られにくくなる傾向がある。一方、成分(A)の含有量が上記範囲を上回ると、硬化性が低下する傾向があり、十分な接着性が得られにくくなる傾向がある。
【0061】
また、成分(A)全量(100重量%)における上記脂環式エポキシ化合物の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、例えば20〜95重量%程度、好ましくは30〜90重量%、特に好ましくは35〜85重量%である。脂環式エポキシ化合物の含有量が上記範囲を下回ると、硬化性が低下し、初期接着性が得られにくくなる傾向がある。
【0062】
また、成分(A)全量(100重量%)における他のエポキシ化合物の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、例えば10〜70重量%程度、好ましくは15〜65重量%、特に好ましくは20〜60重量%である。他のエポキシ化合物を上記範囲で含有すると、得られる硬化物に柔軟性及び強靱性を付与することができる。
【0063】
成分(A)全量(100重量%)における分子内に1個以上のオキセタニル基を有する化合物の含有量は、例えば1〜35重量%程度、好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは10〜25重量%である。
【0064】
(成分(B))
本発明の成分(B)は、光の照射によって酸を発生して、感光性樹脂組成物に含まれるカチオン重合性化合物の硬化反応を開始させる光カチオン重合開始剤であり、光を吸収するカチオン部と酸の発生源となるアニオン部からなる。
【0065】
本発明においては、フッ化アルキル基を含むアニオン部とカチオン部からなる光カチオン重合開始剤を使用することを特徴とする。そのため、カチオン重合性化合物が遮光性材料と共存する場合であっても、光照射により速やかに硬化反応を促進することができ、優れた遮光性、及び初期接着性を有する硬化物を形成することができる。光カチオン重合開始剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0066】
光カチオン重合開始剤におけるフッ化アルキル基を含むアニオン部としては、例えば、下記式(b)
[(Rf)nPF6-n- (b)
(式中、Rfは水素原子の80%以上がフッ素原子で置換された炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜5の整数を示す)
で表されるフッ化アルキルフルオロリン酸イオン、CF3SO3-、C49SO3-、B(C654-等を挙げることができる。本発明においては、なかでも安全性及びカチオン重合活性に優れる点で、前記式(b)で表されるフッ化アルキルフルオロリン酸イオンが好ましい。
【0067】
前記式(b)中、Rfは水素原子の80%以上がフッ素原子で置換された炭素数1〜4のアルキル基であり、なかでも、CF3、C25、(CF32CF、C37、C49、(CF32CFCF2、CF3CF2(CF3)CF、(CF33C等の、水素原子の100%がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状のC1-4アルキル基等が好ましい。
【0068】
従って、光カチオン重合開始剤のアニオン部としては、特に、[(C253PF3-、[(C373PF3-、[((CF32CF)3PF3-、[((CF32CF)2PF4-、[((CF32CFCF23PF3-、及び[((CF32CFCF22PF4-等が好ましい。
【0069】
光カチオン重合開始剤におけるカチオン部としては、例えば、ヨードニウムイオン、スルホニウムイオン等を挙げることができる。
【0070】
前記ヨードニウムイオンとしては、なかでもアリールヨードニウムイオンが好ましく、特にビスアリールヨードニウムイオンが好ましい。また、前記スルホニウムイオンとしては、なかでもアリールスルホニウムイオンが好ましく、特にトリアリールスルホニウムイオンが好ましい。
【0071】
前記ヨードニウムイオンとしては、例えば、ジフェニルヨードニウムイオン、ジ−p−トリルヨードニウムイオン、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウムイオン、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウムイオン、(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムイオン、ビス(4−デシルオキシ)フェニルヨードニウムイオン、4−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシフェニル)フェニルヨードニウムイオン、4−イソプロピルフェニル(p−トリル)ヨードニウムイオン、及び4−イソブチルフェニル(p−トリル)ヨードニウムイオン等のアリールヨードニウムイオン(特に、ビスアリールヨードニウムイオン)を挙げることができる。
【0072】
前記スルホニウムイオンとしては、例えば、トリフェニルスルホニウムイオン、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムイオン、及びトリ−p−トリルスルホニウムイオン等のアリールスルホニウムイオン(特に、トリアリールスルホニウムイオン)を挙げることができる。
【0073】
本発明の光カチオン重合開始剤としては、4−イソプロピルフェニル(p−トリル)ヨードニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、[1,1’−ビフェニル]−4−イル[4−(1,1’−ビフェニル)−4−イルチオフェニル]フェニル トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ジフェニル(4−フェニルチオ)フェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホスフェート等を好適に使用することができる。
【0074】
成分(B)の含有量としては、感光性樹脂組成物に含まれるカチオン重合性化合物100重量部に対して、例えば0.1〜30重量部程度、好ましくは0.5〜25重量部、特に好ましくは1〜20重量部である。成分(B)の含有量が上記範囲を下回ると、硬化性が低下する傾向がある。一方、成分(B)の含有量が上記範囲を上回ると、組成物の保存安定性が低下する傾向がある。また、本発明の感光性樹脂組成物には成分(B)以外の他の光重合開始剤を含有していてもよいが、他の光重合開始剤の含有量は、感光性樹脂組成物に含まれる全光重合開始剤(100重量%)において、例えば70重量%以下、好ましくは60重量%以下、特に好ましくは50重量%以下である。他の光重合開始剤の含有量が上記範囲を上回ると、硬化性が低下する傾向がある。
【0075】
(成分(C))
本発明の成分(C)は遮光性材料であり、感光性樹脂組成物及びその硬化物中に分散して遮光性を付与する材料である。本発明においては顔料や染料等を好適に使用することができる。
【0076】
上記顔料としては、例えば、無機顔料[カーボンブラック、酸化クロム、酸化鉄、チタンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、銅クロム系ブラック、銅鉄マンガン系ブラック、コバルト鉄クロム系ブラック、酸化ルテニウム、グラファイト、金属微粒子、金属酸化物微粒子、複合酸化物微粒子、金属硫化物微粒子、金属窒化物微粒子等の黒色無機顔料]、有機顔料[ペリレンブラック、シアニンブラック、アニリンブラック等の黒色有機顔料;赤、青、緑、紫、黄色、シアン、又はマゼンタ等を呈色する顔料(例えば、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、インダンスレン系顔料、ペリレン系顔料等)を2種以上混色して得られる疑似黒色化された混色有機顔料等];カーボンブラックやチタンブラック等の無機顔料の表面が樹脂等の有機材料によって被覆された顔料等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0077】
上記染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0078】
本発明においては、なかでも、分散性、遮光性、耐久性に優れる点で顔料(特に、カーボンブラック)が好ましい。
【0079】
遮光性材料の平均粒子径(動的光散乱測定法による)としては、例えば5〜500nm程度が好ましい。平均粒子径が上記範囲を上回ると、遮光性が低下する傾向がある。一方、平均粒子径が上記範囲を下回ると、凝集しやすくなり、高分散することが困難となる傾向がある。
【0080】
成分(C)の含有量は、硬化性化合物100重量部に対して、例えば0.05〜50重量部程度、好ましくは0.1〜30重量部、特に好ましくは0.3〜20重量部である。成分(C)の含有量が上記範囲を下回ると、十分な遮光性が得難くなる傾向がある。一方、成分(C)の含有量が上記範囲を上回ると、組成物の粘度が上昇し作業性が低下する傾向がある。
【0081】
本発明の感光性樹脂組成物には、上記成分(A)〜(C)以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を含有していてもよい。
【0082】
本発明の感光性樹脂組成物は硬化性化合物として上記成分(A)以外の化合物を含有していてもよく、例えば、水酸基含有化合物を1種又は2種以上含有することが、リフロー耐熱性を有する硬化物を得ることができる点で好ましい。前記水酸基含有化合物は1分子内に水酸基を2個以上(特に好ましくは2個)含有する化合物であり、例えば、(i)分子内にポリカーボネート骨格を有する水酸基含有化合物、(ii)分子内にポリエステル骨格を有する水酸基含有化合物、(iii)分子内にポリジエン骨格を有する水酸基含有化合物、(iv)分子内に炭化水素系骨格、若しくは2以上の炭化水素骨格が、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子からなる群より選択されるヘテロ原子を介して結合された骨格を有する水酸基含有化合物等を挙げることができる。
【0083】
水酸基含有化合物は硬化促進作用を有し、得られる硬化物にリフロー耐熱性及び可撓性を付与し、被着体の表面形状に対して良好に追従し、被着体との接着性を向上する作用を有する。
【0084】
(i)分子内にポリカーボネート骨格を有する水酸基含有化合物は、ホスゲン法、又はジアルキルカーボネート(例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等)若しくはジフェニルカーボネートとポリオールとのエステル交換反応(特開昭62−187725号、特開平2−175721号、特開平2−49025号、特開平3−220233号、特開平3−252420号公報参照)等で合成される。
【0085】
前記エステル交換反応で用いられるポリオールとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,12−ドデカンジオール、ポリブタジエンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−ジヒドロキシアセトン、ヘキシレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールオクタン、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。また、エステルグリコール(三菱瓦斯化学(株)製)やポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールを用いることも可能である。
【0086】
分子内にポリカーボネート骨格を有する水酸基含有化合物としては、例えば、商品名「プラクセルCD205」、「プラクセルCD205PL」、「プラクセルCD205HL」、「プラクセルD210」、「プラクセルCD210PL」、「プラクセルCD210HL」、「プラクセルCD220」、「プラクセルCD220PL」、「プラクセルCD220HL」、「プラクセルCD220EC」、「プラクセルCD221T」(以上、(株)ダイセル製)や商品名「UM−CARB90(1/3)」、「UM−CARB90(1/1)」、「UC−CARB100」(以上、宇部興産(株)製)等が市販品として入手可能である。
【0087】
(ii)分子内にポリエステル骨格を有する水酸基含有化合物は、ポリオールとカルボン酸を反応させることにより合成することができる。その他、ラクトン類を開環重合することでも合成することができる。
【0088】
前記分子内にポリエステル骨格を有する水酸基含有化合物の原料となるポリオールとしては、上記エステル交換反応で用いられるポリオールと同様の例を挙げることができる。
【0089】
前記分子内にポリエステル骨格を有する水酸基含有化合物の原料となるカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、クエン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シトラコン酸、1,10−デカンジカルボン酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、乳酸、リンゴ酸、グリコール酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等を挙げることができる。
【0090】
前記ラクトン類としては、例えば、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-ブチロラクトン等を挙げることができる。
【0091】
前記分子内にポリエステル骨格を有する水酸基含有化合物としては、例えば、商品名「プラクセル205U」、「プラクセルL205AL」、「プラクセルL208AL」、「プラクセルL212AL」、「プラクセルL220AL」、「プラクセルL230AL」、「プラクセル220ED」、「プラクセル220EC」、「プラクセル220EB」、「プラクセル303」、「プラクセル305」、「プラクセル308」、「プラクセル312」、「プラクセルL312AL」、「プラクセル320」、「プラクセルL320AL」、「プラクセル320ML」、「プラクセル410」、「プラクセル410D」、「プラクセルP3403」、「プラクセルE227」、「プラクセルDC2009」、「プラクセルDC2016」、「プラクセルDC2209」(以上、(株)ダイセル製)や、商品名「クラレ ポリオールP−510」(クラレ(株)製)等が市販品として入手可能である。
【0092】
分子内にポリエステル骨格を有する水酸基含有化合物としては、なかでもラクトン類を開環重合して得られる水酸基含有化合物(特に、カプロラクトン骨格を有する水酸基含有化合物)を使用することが、硬化物にリフロー耐熱性及び可撓性を付与することができる点で好ましい。
【0093】
(iii)前記分子内にポリジエン骨格を有する水酸基含有化合物としては、例えば、ポリブタジエン骨格やポリイソプレン骨格を有する分子鎖の両末端に水酸基を有する化合物を挙げることができる。
【0094】
前記分子内にポリジエン骨格を有する水酸基含有化合物としては、例えば、商品名「Poly ip」(出光興産(株)製)等が市販品として入手可能である。
【0095】
(≡)分子内に炭化水素系骨格、若しくは2以上の炭化水素骨格が、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子からなる群より選択されるヘテロ原子を介して結合された骨格を有する水酸基含有化合物としては、例えば、アルキル鎖、脂環式炭化水素骨格、若しくはこれらが、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子からなる群より選択されるヘテロ原子を介して結合された骨格を有する分子鎖の両末端に水酸基を有する化合物を挙げることができる。
【0096】
前記分子内に炭化水素系骨格を有する水酸基含有化合物としては、例えば、商品名「DEG」(丸善石油化学(株)製)等が市販品として入手可能である。
【0097】
本発明における水酸基含有化合物としては、なかでも、(i)分子内にポリカーボネート骨格を有する水酸基含有化合物を使用することが、硬化物にリフロー耐熱性、可撓性、及び強靭性を付与することができる点で好ましい。
【0098】
本発明の感光性樹脂組成物に含まれる硬化性化合物全量(例えば、成分(A)と水酸基含有化合物全量)(100重量%)における水酸基含有化合物の含有量は、例えば5〜35重量%程度、好ましくは3〜30重量%、特に好ましくは1〜25重量%である。水酸基含有化合物を上記範囲で含有すると、初期接着性を向上する効果が得られる。
【0099】
本発明の感光性樹脂組成物は、更に、他の成分として、多価アルコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、光増感剤(例えば、チオキサントン化合物等)、消泡剤、レベリング剤、カップリング剤(例えば、シランカップリング剤等)、界面活性剤、無機充填剤、難燃剤、紫外線吸収剤、イオン吸着体、蛍光体、離型剤、顔料分散剤、分散助剤等の慣用の添加剤を使用することができる。
【0100】
他の成分の含有量(2種以上を含有する場合はその総量)は、感光性樹脂組成物全量(100重量%)の10重量%以下程度である。
【0101】
本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、上記成分(A)〜(C)、及び必要に応じて他の成分を所定の割合で撹拌・混合して、必要に応じて真空下で脱泡することにより調製することができる。成分(C)(特に、顔料)の分散性を向上させるため、周知の方法(例えば、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、3本ロール、ペイントシェーカー、超音波、バブルホモジナイザー等を使用して分散させる方法)による分散処理を行ってもよい。
【0102】
(硬化物)
本発明の感光性樹脂組成物は、光を照射して組成物中のカチオン重合性化合物のカチオン重合反応を進行させることによって硬化物を形成することができる。当該重合反応を進行させるための光(活性エネルギー線)としては、特に限定されず、例えば、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等のいずれを使用することもできる。なかでも、取り扱い性に優れる点で、紫外線が好ましい。
【0103】
硬化物を形成する際の光の照射条件は、照射する光の種類やエネルギー、形成する硬化物の形状や大きさ等によって適宜調整することができ、紫外線を照射する場合には、その照射強度を例えば0.1〜1000mW/cm2程度(より好ましくは1〜500mW/cm2)とするのが好ましく、厚み20μmの硬化物を形成する場合、照射時間は、例えば1〜120秒程度、好ましくは3〜60秒、特に好ましくは5〜20秒である。なお、光の照射には、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、メタルハライドランプ、太陽光、LEDランプ、レーザー等を使用することができる。
【0104】
本発明の感光性樹脂組成物は上記構成を有するため、十分な遮光性を付与できる量の成分(C)を含有していても硬化速度が非常に速く、光を照射することにより速やかに硬化させることができ、硬化性に優れた硬化物を形成することができる。そのため、優れた初期接着力を有し、紫外線を200mW/cm2で15秒間照射した時点における接着力(対ガラス板)は、例えば1MPa以上、好ましくは5MPa以上、特に好ましくは7MPa以上である。
【0105】
また、本発明の感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は高い遮光性を有し、厚み20μmの成形体の遮光率は、例えば85%以上が好ましく、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは96%以上である。尚、遮光率は、厚み20μmの硬化物を試験片とし、当該試験片の全光線透過率を、光源としてD65光源を使用した以外はJIS K7105(1981年)に準じて測定し、下記式から算出することができる。
遮光率[%]=100[%]−全光線透過率[%]
【0106】
本発明の感光性樹脂組成物は、光学部品の所定の位置に塗布し、その後、光を照射することにより速やかに硬化して遮光膜又は遮光層を形成することができる。感光性樹脂組成物の塗布は、ディスペンス、転写印刷(グラビア印刷)等の公知乃至慣用の手法により実施することができる。上記遮光膜又は遮光層の形状は適宜選択可能であり、特に限定されない。
【0107】
本発明の感光性樹脂組成物は、上記遮光膜又は遮光層を形成する用途以外にも、例えば、印刷インク、インクジェットインク、フォトマスク作製材料、印刷用プルーフ作製用材料、エッチングレジスト、ソルダーレジスト、プラズマディスプレイパネルの隔壁、誘電体パターン、電極(導体回路)パターン、電子部品の配線パターン、導電ペースト、導電フィルム等の各種用途にも使用することが可能である。
【0108】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、光ファイバーと基板とを接合するなど、光モジュールの組み立てにおける光通信用接着剤としても用いられる。具体的には、基板と光素子との間隙や、基板と光ファイバー(光芯線)との間隙に、本発明の感光性樹脂組成物を塗布又は充填し、その後、光を照射することにより速やかに硬化して、基板と光ファイバー(光芯線)とを強固に接合することが可能となる。
【0109】
本発明の感光性樹脂組成物は光の照射によって、高い遮光性を有する硬化物を速やかに、安価に、且つ簡便に形成することができる。そのため、本発明の感光性樹脂組成物を使用して遮光膜を形成し、得られた遮光膜を撮像ユニットを構成する複数枚のレンズの間に接着剤を使用して貼り合わせてもよいが、本発明の感光性樹脂組成物を接着剤として使用すると、電子機器の撮像ユニットを構成する複数枚のレンズの間に塗布して光を照射することによって速やかにレンズとレンズを接着・固定することができると同時に、レンズとレンズの間に遮光層を形成することができ、作業工程を短縮し生産性を飛躍的に向上することができる。更に、撮影ユニットのさらなるスリム化を達成することもできる。
【0110】
(光学部品)
本発明の光学部品は、本発明の感光性樹脂組成物によって形成された高い遮光性を有する硬化物を含むため(例えば、遮光膜若しくは遮光層として含むため)、優れた品質を発揮できる。
【0111】
上記光学部品における硬化物の厚み(例えば、遮光膜若しくは遮光層の厚み)は、光学部品の種類、サイズ、形状等に応じて適宜選択でき、例えば50μm以下程度である。本発明の硬化物は上記感光性樹脂組成物を用いて形成されるため、比較的厚くても、感光性樹脂組成物の硬化不良に起因する不具合(例えば、初期接着力の低下、耐熱性の低下、表面タックの発生等)が生じることがない。
【0112】
上記光学部品としては公知乃至慣用の光学部品が挙げられ、例えば、携帯電話、スマートフォン等の携帯型電子機器等の分野におけるレンズ、固体撮像素子(CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等)、タッチパネル、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、LEDパッケージ、各種電子部品等を挙げることができる。上記光学部品において本発明の硬化物を遮光膜若しくは遮光層として含む場合、該遮光膜若しくは遮光層は、例えば、レンズ間(レンズ以外の部分)やレンズの一部の遮光領域、カラーフィルターの着色パターンの間隔部や周辺部分の遮光領域、LEDパッケージにおける遮光領域等として形成される。
【実施例】
【0113】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0114】
実施例1〜9、比較例1〜3
表に示す配合組成(単位:重量部)に従って各成分を配合し、自転公転型ミキサーで撹拌・混合することにより均一な感光性樹脂組成物を得た。
得られた感光性樹脂組成物について、以下の方法で遮光性、硬化性、及び初期接着性を評価した。評価結果は下記表にまとめて示す。
【0115】
(1)遮光性の評価
実施例及び比較例で得られた感光性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス上に塗布し、その上にガラスを被せた。次いで、塗布した感光性樹脂組成物に対して、紫外線照射装置(UVもしくはUV−LED照射装置)を用いて紫外線を照射し(照射強度:200mW/cm2、照射時間:15秒)、ガラス/硬化物(厚み:20μm)/ガラス積層体を作製した。
得られたガラス/硬化物/ガラス積層体をサンプルとして使用し、当該サンプルの全光線透過率を測定して、下記の式から遮光率を算出した。
遮光率[%]=100[%]−全光線透過率[%]
なお、全光線透過率は、濁度計(商品名「NDH2000」、光源:D65光源、日本電色工業(株)製)を用いて測定した。
【0116】
(2)硬化性の評価
実施例及び比較例で得られた感光性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス上に20μmの厚みで塗布した。次いで、塗布した感光性樹脂組成物に対して、紫外線照射装置(UV−LED照射装置)を用いて紫外線を照射し(照射強度:200mW/cm2、照射時間:15秒)、硬化物/ガラス(厚み:20μm)積層体を作製した。
得られた硬化物/ガラス積層体をサンプルとして使用し(サンプル数:20)、硬化物表面を綿棒で擦った場合に綿棒が黒くなるか否かによって硬化性を評価した。
評価基準
○:綿棒が黒くならない場合=十分に硬化している
×:綿棒が黒くなる場合=硬化が不十分である
【0117】
(3)初期接着性の評価
まず、縦45mm×横55mmの外形寸法のテフロン(登録商標)製のシート(シート厚み:20μm)を、上記縦の部分が開口となるようにコの字型に切り抜き、内寸が縦40mm×横50mmのスペーサ(テフロン(登録商標)製のシートスペーサ)を形成した。
次に、2枚のガラス板(外形寸法:縦45mm×横55mm、厚み:1mm)で上記スペーサを上下から挟み、2枚のガラス板同士の隙間に、実施例及び比較例で得られた感光性樹脂組成物を流し込んで充填した。その後、当該感光性樹脂組成物に対して、紫外線照射装置(UV−LED照射装置)を用いて紫外線を照射し(照射強度:200mW/cm2、照射時間:15秒)、感光性樹脂組成物を硬化させ、得られたガラス板/硬化物(厚み:20μm)/ガラス板積層体をサンプルとした。
得られたサンプルについて、硬化物とガラス板のせん断方向の接着強度(接着力)(MPa)を引張・圧縮試験機(商品名「テンシロンRTF−1350」、(株)エー・アンド・ディ製)を用いて、測定した。
尚、接着力が強く、測定時にガラス板の破断が起こった場合には、表において「>15」(即ち、15MPaを超える値)と記載した。
【0118】
【表1】
【0119】
尚、実施例及び比較例で使用した成分は、以下の通りである。
<硬化性化合物>
(カチオン重合性化合物)
(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロへキシル
EHPE3150:2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキセン付加物、(株)ダイセル製
YX8000:水素化グリシジルエーテル系エポキシ化合物、三菱化学(株)製
セロキサイド2021:3,4−エポキシシクロへキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、商品名「セロキサイド2021」、(株)ダイセル製
OXT221:3−エチル−3−([(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル)オキセタン、東亞合成(株)製
PB3600:エポキシ化ポリブタジエン、数平均分子量:5900、商品名「エポリード PB3600」、(株)ダイセル製
X−40−2670:分子内に2〜4個の脂環式エポキシ基を有する環状シロキサン、商品名「X−40−2670」、信越化学工業(株)製
(水酸基含有化合物)
CD220PL:ポリカーボネートジオール、数平均分子量:2000、商品名「プラクセル CD220PL」、(株)ダイセル製
(その他)
DEG:ジエチレングリコール、商品名「DEG」、丸善石油化学(株)
<光カチオン重合開始剤>
b−1:4−イソプロピルフェニル(p−トリル)ヨードニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート
b−2:[1,1’−ビフェニル]−4−イル[4−(1,1’−ビフェニル)−4−イルチオフェニル]フェニル トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート
b−3:ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート
b−4:ジフェニル(4−フェニルチオ)フェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホスフェート
<遮光性材料>
カーボンブラック:平均粒子径24nm、商品名「MA100R」、三菱化学(株)製