(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る補助吸収具1を広げた状態にて示す平面図である。補助吸収具1は、着用者が着用する使い捨ておむつ等の外装物品の内側(すなわち、着用者側)に取り付けられて着用者からの排泄物を受ける吸収性物品である。
図1では、着用時に着用者に接する側の面を手前にして補助吸収具1を描いている。
【0015】
図2は、補助吸収具1を
図1中に示すII−IIの位置で長手方向(すなわち、
図1中における縦方向)に垂直な面で切断した断面図である。
図2では、図示の都合上、補助吸収具1の各構成を厚さ方向(すなわち、
図2中における上下方向)に離して描いている(後述の
図4において同様)。
図1および
図2に示すように、補助吸収具1は、略シート状の本体部2、および、本体部2の両側部(すなわち、長手方向に垂直な方向の両側)上に配置されて本体部2の長手方向のおよそ全長に亘る一対のサイドシート3を備える。
【0016】
補助吸収具1の
図1中における上側の部位11および下側の部位12はそれぞれ、着用者の腹側および背側の肌に接する部位であり、以下の説明では、「前方部11」および「後方部12」と呼ぶ。また、前方部11と後方部12との間において前方部11および後方部12から連続するとともに着用者の股間部に対向する部位13を「中央部13」と呼ぶ。補助吸収具1は、前方部11、中央部13および後方部12を長手方向に順に有し、前方部11および後方部12の幅(本体部2の幅)が、中央部13の幅よりも大きい。換言すれば、補助吸収具1は、平面視においていわゆる砂時計型である。以下の説明では、広げた状態の補助吸収具1を示す
図1中の縦方向を「前後方向」と呼び、横方向を「左右方向」と呼ぶ。
【0017】
図2に示すように、本体部2は、透液性のトップシート21、撥水性または不透液性のバックシート23、トップシート21とバックシート23との間に配置された吸収体22、および、吸収体22とトップシート21との間に配置される拡散部24を備える。
図2では、1枚のシートにてバックシート23が形成されるが、バックシート23は、複数のシートが積層された積層構造を有してもよい。
【0018】
トップシート21は、前後方向に伸びる吸収体22の周りにおいてホットメルト接着剤を介してバックシート23に接合される。
図1では、図の理解を容易にするために、トップシート21とバックシート23との間に配置された吸収体22の輪郭を太い破線にて描いている。また、各サイドシート3の左右方向の外側の部位33は、前後方向の全長に亘ってトップシート21の側端部およびバックシート23の側端部にホットメルト接着剤を介して接合される。以下の説明では、サイドシート3の外側の部位33を「接合部33」といい、左右方向における接合部33の内側において接合部33に連続する部位34を「側壁部34」という。
【0019】
上記ホットメルト接着剤としては、ポリオレフィン系、ゴム系、酢酸ビニル系等のものが利用される。なお、トップシート21とバックシート23との接合や、サイドシート3とトップシート21およびバックシート23との接合、あるいは、後述するサイドシート3の部位同士の接合は、ホットメルト接着剤等の接着剤を用いる以外に、熱融着接合や超音波接合等により行われてもよい。
【0020】
左右一対の側壁部34は、本体部2の両側部上において前後方向のおよそ全長に亘って伸びており、
図1に示すように、前後方向の両端部である側壁端部341においてホットメルト接着剤により(あるいは、熱融着接合または超音波接合により)本体部2上に固定される。各側壁部34において2つの側壁端部341の間の起立部342では、前後方向に伸びる弾性部材32が、内側のエッジ近傍(すなわち、自由端近傍)にホットメルト接着剤により接合される。弾性部材32が収縮することにより、
図2に示すように、起立部342が上方(着用者側)に向かって起立し、着用者の脚の付け根近傍に接する立体ギャザーとなる。
【0021】
トップシート21は透液性のシートであり、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して拡散部24および吸収体22へと移動させる。トップシート21は、例えば、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布であり、当該不織布として、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布が利用される。なお、トップシート21として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。
【0022】
バックシート23としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルム、あるいは、これらの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用される。これにより、バックシート23に到達した排泄物の水分等が、本体部2の外側にしみ出すことが防止される。補助吸収具1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点では、プラスチックフィルムは透湿性(通気性)を有することが好ましい。
【0023】
サイドシート3は、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS不織布)に弾性部材32を接合することにより形成される。弾性部材32としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が用いられ、本実施の形態では、ポリウレタン糸が利用される。
【0024】
図3は、トップシート21およびサイドシート3を省略して補助吸収具1を示す平面図であり、
図1に対応する。
図4は、補助吸収具1を
図1中に示すIV−IVの位置で左右方向に垂直な面で切断した断面図である。
図3に示すように、前方部11および後方部12における吸収体22の幅は、中央部13における吸収体22の幅よりも大きい。換言すれば、吸収体22は、いわゆる砂時計型である。吸収体22は、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維に、粒状の高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))や高吸収性ファイバー等の高吸収性材料を混合したものをティッシュペーパーや透液性不織布等により包み込んで形成される。
【0025】
図3および
図4に示すように、拡散部24は、前後方向に伸びるシート状の拡散層26、拡散層26とトップシート21との間に配置される上側吸収層25、および、拡散層26と吸収体22との間に配置される下側吸収層27を備える。上側吸収層25および下側吸収層27のそれぞれは、積層された2枚の透液性シート(例えば、透液性の不織布)の間に、高吸収性ポリマーや高吸収性ファイバー等の高吸収性材料を配置したシート状部材である。高吸収性材料は、全体におよそ均一に分散され、例えばスパイラル状に塗布された接着剤により当該2枚の透液性シートの間に固定される。本実施の形態では、当該2枚の透液性シートの間には、接着剤を除き、高吸収性材料のみが配置され、上側吸収層25および下側吸収層27において同種の高吸収性材料が用いられる。上側吸収層25および下側吸収層27では、互いに異なる種類の高吸収性材料が用いられてよい。
【0026】
拡散層26は、ポリマー発泡体にて形成され、好ましくは、親水性ポリウレタンフォームにて形成される。拡散層26を形成するポリマー発泡体として、他の材料が用いられてよい。原則として、拡散層26は高吸収性材料を含まず(僅かに含んでいてもよい。)、拡散層26の内部におけるセル(細孔)を介して水分が流動可能である。すなわち、拡散層26は、吸液性および離液性を有する。ポリマー発泡体の拡散層26では、着用者における肌触りも良好である。
【0027】
本実施の形態では、拡散層26、上側吸収層25および下側吸収層27は矩形である。拡散層26の大部分は中央部13に配置される。上側吸収層25は中央部13の後側(後方部12側であり、
図3中の下側)および後方部12に配置され、下側吸収層27は中央部13の前側(前方部11側であり、
図3中の上側)および前方部11に配置される。したがって、上側吸収層25は、拡散層26の後部262と対向する位置に設けられ、後部262よりも前側の拡散層26の前部261と対向する位置には設けられない。また、下側吸収層27は、拡散層26の前部261と対向する位置に設けられ、拡散層26の後部262と対向する位置には設けられない。
【0028】
左右方向において、上側吸収層25および下側吸収層27の幅はほぼ同じである。また、拡散層26の幅は、上側吸収層25および下側吸収層27の幅よりも小さい。左右方向において、上側吸収層25の両側端(すなわち、前後方向に沿って伸びるエッジ)および下側吸収層27の両側端は、拡散層26の両側端よりも外側に位置する。拡散層26の幅は、好ましくは上側吸収層25(および下側吸収層27)の幅の1/3倍以上であり、より好ましくは1/2倍以上である。上側吸収層25および下側吸収層27の幅は、中央部13における吸収体22の幅よりも僅かに小さい。上側吸収層25の両側端および下側吸収層27の両側端は、吸収体22の両側端よりも内側に位置する(吸収体22の両側端と同じ位置であってもよい)。
【0029】
各サイドシート3の側壁部34の固定端343(
図2参照)を、
図3では、符号343を付す二点鎖線にて示している。固定端343は、側壁部34における左右方向の外側のエッジである。左右方向において、一対の側壁部34の固定端343は、中央部13における吸収体22の両側端よりも内側に位置する。上側吸収層25の両側端および下側吸収層27の両側端は、一対の側壁部34の固定端343よりも外側に位置する。また、拡散層26の両側端は、一対の側壁部34の固定端343よりも内側に位置する。
【0030】
前後方向において上側吸収層25の後端は、吸収体22の後端よりも前側に位置し(吸収体22の後端と同じ位置であってもよい)、拡散層26の後端よりも後側に位置する。拡散層26の後端の全体は、前後方向および左右方向に垂直な上下方向の両側から上側吸収層25および吸収体22により挟まれる。下側吸収層27の前端は、吸収体22の前端よりも後側に位置し(吸収体22の前端と同じ位置であってもよい)、拡散層26の前端よりも前側に位置する。補助吸収具1を上下方向に沿って平面視した場合に、拡散層26、上側吸収層25および下側吸収層27のそれぞれの全体が吸収体22と重なる。
【0031】
また、下側吸収層27の後端は、上側吸収層25の前端よりも前側に位置する。よって、補助吸収具1を平面視した場合に、上側吸収層25と下側吸収層27とが重ならない。この場合において、上側吸収層25と拡散層26とが重なる領域の前後方向の長さは、下側吸収層27と拡散層26とが重なる領域の前後方向の長さよりも大きいことが好ましい。上側吸収層25と拡散層26とが重なる領域の前後方向の長さは、好ましくは、上側吸収層25の前後方向の長さの1/3以上である。
【0032】
ここで、拡散部24における上側吸収層25、拡散層26および下側吸収層27を同じ大きさの3層構造として捉える。この場合、
図4に示す上側吸収層25では、拡散層26の後部262と対向する位置に高吸収性材料が存在する上側存在領域251が設けられ、拡散層26の前部261と対向する位置に高吸収性材料が非存在である上側非存在領域252が設けられていると捉えることができる。また、下側吸収層27では、上側非存在領域252と重なる位置に高吸収性材料が存在する下側存在領域271が設けられ、上側存在領域251と重なる位置に高吸収性材料が非存在である下側非存在領域272が設けられていると捉えることが可能である。
【0033】
拡散部24では、上側非存在領域252に上側吸収層25が存在しないため、拡散層26が上側非存在領域252を介してトップシート21に対して直接的に対向する(接する)。また、下側非存在領域272に下側吸収層27が存在しないため、拡散層26が下側非存在領域を272介して吸収体22に対して直接的に対向する(接する)。
【0034】
補助吸収具1では、上側吸収層25、拡散層26、下側吸収層27および吸収体22のそれぞれにおいて、上面および下面の少なくとも一方に接着剤が塗布され、各面が対向する他の部材の面に接合される。接着剤は、例えばスパイラル状に塗布されることにより、水分の移動を阻害することなく、上側吸収層25、拡散層26、下側吸収層27および吸収体22が、トップシート21およびバックシート23に対して固定される。上側吸収層25、拡散層26、下側吸収層27および吸収体22の固定は、他の手法により実現されてよい。
【0035】
補助吸収具1を内部に取り付けた外装物品を着用者が装着した状態において、拡散層26の前部261は、トップシート21のみを介して着用者の股間部に対向する。すなわち、上側吸収層25により覆われていない拡散層26の前部261が、着用者の排泄位置近傍に位置する。着用者から排泄された尿等の水分は、トップシート21のみを介して拡散層26の前部261近傍へと速やかに導かれる。拡散層26の前部261の下側には、水分の吸収が緩やかな下側吸収層27が配置される。したがって、トップシート21を通過した水分の大部分は拡散層26の前部261にて吸収され、拡散層26の全体に拡散される。
【0036】
拡散層26の後部262と接する吸収体22の吸収速度(吸水速度)は、上側吸収層25および下側吸収層27に比べて高いため、拡散層26の内部では、前部261から後部262へと向かう水分の流れが生じる。また、吸収体22内に吸収された水分は、内部の親水性繊維を介して吸収体22の全体に広がりつつ、親水性繊維に混合された高吸収性材料に吸収される(保持または固定される)。さらに、吸収体22において高吸収性材料に未だ吸収されていない水分の一部や、吸収体22の高吸収性材料にて吸収しきれない水分が、吸収体22の表面を流れる場合でも、当該水分は、吸収体22と着用者との間に位置する上側吸収層25および下側吸収層27により吸収される。
【0037】
以上に説明したように、補助吸収具1では、吸収体22とトップシート21との間に配置される拡散部24が、拡散層26、上側吸収層25および下側吸収層27を備える。上側吸収層25は、拡散層26とトップシート21との間にて拡散層26の後部262と対向する位置に設けられる。下側吸収層27は、拡散層26と吸収体22との間にて拡散層26の前部261と対向する位置に設けられる。これにより、着用者から排泄される尿等の水分を、拡散層26を介して後方部12における吸収体22の広範囲に導くことができる。また、上側吸収層25および下側吸収層27により、吸収体22側の水分が着用者側に戻ることを抑制することができる。その結果、尿等の水分が吸収体22の表面を流れて、当該水分が補助吸収具1の外部に漏れたり、着用者に不快感を与えることを防止することができる。
【0038】
体圧等による圧縮に対する剛性が高い(すなわち、体圧により潰れにくい)ポリマー発泡体を拡散層26として利用することにより、拡散層26の形が崩れることを抑制することができ、水分を適切に吸収体22に導くことができる。また、拡散層26のポリマー発泡体が可撓性を有することにより、補助吸収具1を着用者の肌に適切に沿わせることが可能となる。その結果、着用者における補助吸収具1の着用感を向上するとともに、尿等の水分の外部への漏れをさらに抑制することができる。
【0039】
ところで、仮に上側吸収層25と下側吸収層27とが部分的に重なる場合、補助吸収具1の厚さが大きくなる(嵩高になる)。また、上側吸収層25および下側吸収層27における高吸収性材料の膨潤により拡散層26が圧迫され、拡散層26を介した吸収体22への水分の移動が不安定となるおそれがある。さらに、拡散層26がトップシート21と接する領域の面積が小さくなり、拡散層26における水分の取込量が少なくなる、または、拡散層26が吸収体22と接する領域の面積が小さくなり、拡散層26から吸収体22への水分の移動量が少なくなる。
【0040】
したがって、補助吸収具1では、平面視において上側吸収層25と下側吸収層27とが互いにずれた位置に配置され、両者が重ならないことが好ましい。これにより、補助吸収具1の厚さが大きくなることを避けることができる。また、上側吸収層25および下側吸収層27により拡散層26が圧迫されることを防止することができ、拡散層26を介した吸収体22への水分の移動を安定して実現することができる。さらに、拡散層26がトップシート21と接する領域の面積をある程度確保して、拡散層26にて水分を取り込みやすくするとともに、拡散層26が吸収体22と接する領域の面積をある程度確保して、拡散層26から吸収体22へと水分を移動しやすくすることができる。補助吸収具1の設計によっては、上側吸収層25と下側吸収層27とが部分的に重なってもよい。
【0041】
また、拡散部24では、上側吸収層25の両側端および下側吸収層27の両側端が、拡散層26の両側端よりも左右方向の外側に位置する。これにより、拡散層26の両側端から染み出した水分が補助吸収具1の両側端へと到達する前に、上側吸収層25および下側吸収層27の両側部に吸収されやすくなる。その結果、水分が補助吸収具1の両側端から漏れ出す横漏れの発生を抑制することができる。
【0042】
補助吸収具1では、トップシート21上において、拡散部24の両側部と重なる位置にて前後方向に伸びる一対の側壁部34がさらに設けられる。また、左右方向において、上側吸収層25の両側端および下側吸収層27の両側端が、一対の側壁部34の固定端343よりも外側に位置する。これにより、吸収体22上において上側吸収層25および下側吸収層27の外側を通って、水分が側壁部34の内側に戻ることを防止することができる。さらに、拡散層26の両側端が、一対の側壁部34の固定端343よりも内側に位置することにより、水分が補助吸収具1の両側端近傍まで拡散層26により過度に広げられることを防止することができ、横漏れの発生を抑制することができる。
【0043】
前後方向において、上側吸収層25の後端が拡散層26の後端よりも後側に位置し、拡散層26の後端の全体が上側吸収層25に覆われる。これにより、拡散層26の後端から染み出した水分が補助吸収具1の後端へと到達する前に、上側吸収層25の後端部にて吸収されやすくなる。その結果、水分が補助吸収具1の後端(背側)から漏れ出すことを抑制することができる。また、拡散層26の後端が、吸収体22の後端よりも前側に位置することにより、拡散層26の後端の全体が上側吸収層25および吸収体22により挟まれる。これにより、水分が補助吸収具1の後端から漏れ出すことをさらに抑制することができる。さらに、拡散層26の前端が、下側吸収層27の前端および吸収体22の前端よりも後側に位置することにより、拡散層26内の水分が補助吸収具1の前端(腹側)から漏れ出すことも抑制される。
【0044】
上記補助吸収具1では様々な変形が可能である。
【0045】
図3の補助吸収具1では、上側吸収層25が中央部13および後方部12のみに設けられるが、
図5に示すように、上側吸収層25の一部が前方部11に設けられてよい。
図5の上側吸収層25では、拡散層26の後部262よりも前側にて拡散層26の一部と対向する位置に、上側吸収層25が非存在である上側非存在領域252が設けられる。下側吸収層27においても同様に、下側吸収層27の一部が後方部12に設けられてよく、この場合、平面視において上側存在領域251と重なる位置に下側非存在領域が設けられる。
【0046】
また、2枚の透液性シートの間に高吸収性材料を配置することにより形成される上側吸収層25において、
図6に示すように、当該2枚の透液性シートの外形を後方部12から前方部11まで伸びる長尺の帯状とし、中央部13の後側および後方部12に位置する上側存在領域251(
図6中にて平行斜線を付す領域)のみに高吸収性材料を配置してもよい。この場合も、着用者から排泄された尿等の水分は、トップシート21および当該2枚の透液性シートのみを介して拡散層26の前部261へと速やかに移動する。下側吸収層27においても同様に、高吸収性材料を挟む2枚の透液性シートの外形を、前方部11から後方部12まで伸びる長尺の帯状とし、中央部13の前側および前方部11に位置する下側存在領域のみに高吸収性材料を配置してもよい。この場合も、拡散層26の水分は、後部262から当該2枚の透液性シートのみを介して吸収体22へと速やかに移動し、拡散層26の内部では、前部261から後部262へと向かう水分の流れが生じる。
【0047】
以上のように、補助吸収具1の上側吸収層25では、拡散層26の後部262と対向する位置に高吸収性材料が存在する上側存在領域251が設けられ、後部262よりも前側にて拡散層26の一部と対向する位置に少なくとも高吸収性材料が非存在である上側非存在領域252が設けられる。また、下側吸収層27では、上側非存在領域252と重なる位置に高吸収性材料が存在する下側存在領域271が設けられ、上側存在領域251と重なる位置に少なくとも高吸収性材料が非存在である下側非存在領域272が設けられる。これにより、尿等の水分を吸収体22の広範囲に導くとともに、吸収体22側の水分が着用者側に戻ることを抑制することが実現される。
【0048】
拡散層26は、必ずしもポリマー発泡体にて形成される必要はなく、一定の吸液性および離液性を有し、体圧等による圧縮に対する剛性が高い不織布(例えば、太い繊維にて形成される低密度の不織布)等にて形成されてもよい。また、拡散層26を実現する不織布では、上側吸収層25および下側吸収層27よりも少ない量の高吸収性材料が含まれてよい。一方、このような不織布は可撓性(柔軟性)が低いため、補助吸収具1を着用者の肌に適切に沿わせるという観点では、拡散層26は、ポリマー発泡体にて形成されることが好ましい。
【0049】
補助吸収具1の設計によっては、上側吸収層25および下側吸収層27において、複数の線状要素が密に配列されたストライプ状の領域上に高吸収性材料が配置されてもよい。この場合でも、上側吸収層25および下側吸収層27における高吸収性材料が膨潤して線状要素間の隙間が狭くなることにより、吸収体22側の水分が着用者側に戻ることを抑制することができる。
【0050】
上記実施の形態に係る補助吸収具1の構造は、例えば、着用者の腹側に接する部位と背側に接する部位とを腰回りで止着して着用するテープタイプの使い捨ておむつや、上端に胴部開口を有するとともに下部に一対の脚部開口を有するパンツタイプの使い捨ておむつに適用されてもよい。このように、補助吸収具1の構造は使い捨ておむつ等の他の吸収性物品に適用されてよい。
【0051】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。