特許第6231437号(P6231437)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231437
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】レバー装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
   B60K20/02 A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-106303(P2014-106303)
(22)【出願日】2014年5月22日
(65)【公開番号】特開2015-221603(P2015-221603A)
(43)【公開日】2015年12月10日
【審査請求日】2016年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】仲野 洋平
(72)【発明者】
【氏名】清水 悦夫
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−254944(JP,A)
【文献】 特開2009−132231(JP,A)
【文献】 特開平09−210049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 20/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバー部を互いに異なる複数方向に操作可能なレバー装置において、
前記レバー部に少なくとも交差する形状で2つ以上設けられ、当該レバー部を操作するときの回動軸となる延設軸部と、
前記レバー部が組み付けられるハウジング及び当該レバー部の間に設けられ、上から載置される前記レバー部を支持可能であり、前記レバー部及びハウジングの当接面において少なくとも一方が球面状に形成されることにより、前記レバー部の複数方向への動きを許容するレバー支持部とを備え
前記延設軸部が当接される受け面が、ハウジング本体の開口を閉じるカバーに設けられている
ことを特徴とするレバー装置。
【請求項2】
前記延設軸部の延設幅方向は、前記カバーに設けられた一対の前記受け面にそれぞれ当接されている
ことを特徴とする請求項1に記載のレバー装置。
【請求項3】
前記延設軸部は、レバー軸を中心に十字形状に形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のレバー装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記レバー部を下から支持して収納する前記ハウジング本体と、当該ハウジング本体の開口を閉じるとともに当該レバー部を上から支持する前記カバーとを備え、
前記カバーは、前記レバー部を上から支持するレバー押し当て部を備え、
前記レバー部は、前記レバー支持部及びレバー押し当て部によって挟み込まれた状態で組み付けられている
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のレバー装置。
【請求項5】
前記レバー部とハウジングとの間には、これら部材の間に発生するがたつきを抑えるレバーがたつき抑制部が設けられている
ことを特徴とする請求項1〜のうちいずれか一項に記載のレバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差する少なくとも2方向に操作レバーを操作可能なレバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両においてシフト位置を切り替える際に操作されるレバー装置が周知である(特許文献1等参照)。この種のレバー装置は、シフト位置に応じた電気信号を変速機に出力して、変速機の作動状態を切り替えるシフトバイワイヤ型が広く普及している。操作レバーは、例えば車体前後方向に沿うシフト方向と、シフト方向に直交する向きのセレクト方向との2方向に操作可能なものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4563832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1において、操作レバーは、シフト方向に操作されるときの回動軸となるシャフトと、セレクト方向に操作されるときの回動軸となるシャフトとによって、レバー装置のハウジングに連結される。すなわち、操作レバーには、ハウジングへ取り付けるにあたり、2本のシャフトが必要であった。このように、従来の構造では、シャフトが2本必要となるので、部品点数を削減したいニーズがあった。
【0005】
本発明の目的は、部品点数を削減することができるレバー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するレバー装置は、レバー部を互いに異なる複数方向に操作可能な構成において、前記レバー部に少なくとも交差する形状で2つ以上設けられ、当該レバー部を操作するときの回動軸となる延設軸部と、前記レバー部が組み付けられるハウジング及び当該レバー部の間に設けられ、上から載置される前記レバー部を支持可能であり、前記レバー部及びハウジングの当接面において少なくとも一方が球面状に形成されることにより、前記レバー部の複数方向への動きを許容するレバー支持部とを備えた。
【0007】
本構成によれば、レバー部を所定方向に操作するときには、複数の延設軸部の1つが回動軸となり、他の1つが摺動することにより、同方向へのレバー操作が許容される。また、レバー部を所定方向に対して交差する方向に操作するときには、前述のレバー操作において回動軸となった延設軸部が摺動し、前述のレバー操作において摺動した延設軸部が回動軸となり、同方向へのレバー操作が許容される。このように、レバー部を複数方向に操作可能なレバー装置において、レバー部をハウジングに取り付けるにあたり、シャフトを使用せずに済む。よって、レバー部を複数方向に操作可能なレバー装置において、部品点数を削減することが可能となる。
【0008】
前記レバー装置において、前記延設軸部の延設幅方向は、前記ハウジングに設けられた一対の受け面にそれぞれ当接されていることが好ましい。この構成によれば、レバー部及びハウジングの間のがたつきを抑制するのに有利となる。
【0009】
前記レバー装置において、前記延設軸部は、レバー軸を中心に十字形状に形成されていることが好ましい。この構成によれば、レバー部をハウジングに安定した姿勢で組み付けることが可能となる。
【0010】
前記レバー装置において、前記ハウジングは、前記レバー部を下から支持して収納するハウジング本体と、当該ハウジング本体の開口を閉じるとともに当該レバー部を上から支持するカバーとを備え、前記カバーは、前記レバー部を上から支持するレバー押し当て部を備え、前記レバー部は、前記レバー支持部及びレバー押し当て部によって挟み込まれた状態で組み付けられていることが好ましい。この構成によれば、第1レバー支持部及び第2レバー支持部により、レバー部を上下からしっかりとハウジングに位置合わせすることが可能となる。
【0011】
前記レバー装置において、一対の前記受け面は、ハウジング本体の開口を閉じるカバーに設けられていることが好ましい。この構成によれば、カバーを利用して受け面を設けることが可能となる。
【0012】
前記レバー装置において、前記レバー部とハウジングとの間には、これら部材の間に発生するがたつきを抑えるレバーがたつき抑制部が設けられていることが好ましい。この構成によれば、レバー部とハウジングとの間のがたつきをレバーがたつき抑制部によって抑制するので、レバー部をがたつかなくするのに一層有利となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、レバー装置において、部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態のレバー装置の斜視図。
図2図1のII−II線断面図。
図3】レバー装置の分解斜視図。
図4】レバー部とハウジングとの分解図。
図5】レバー部とカバーとの分解図。
図6図1のIII−III線断面図。
図7】ハウジング本体及びカバーの組付箇所の一部分を示す断面図。
図8】レバー部をホーム位置からN位置に操作するときの動作図。
図9】レバー部をN位置からD位置に操作するときの動作図。
図10】別例のレバーがたつき抑制部の一例を示す構成図。
図11】他の別例のレバーがたつき抑制部の一例を示す模式図。
図12】他の別例のレバー装置の平面図。
図13図12のIV−IV線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、レバー装置の一実施形態を図1図9に従って説明する。
図1に示すように、車両は、車載された変速機のシフト位置を切り替えるときに操作されるレバー装置1を備える。レバー装置1は、レバー装置1のハウジング2と、機器を操作するための入力部材であるレバー部3とを備える。レバー装置1は、レバー部3の操作位置(シフト位置)に応じた電気信号を変速機に出力して、変速機の作動状態を切り替えるシフトバイワイヤ型である。ハウジング2は、例えば直方体形状に形成される。
【0016】
レバー部3は、異なる複数方向に操作可能である。レバー部3は、車体前後方向に沿うシフト方向(図1の矢印F1方向)と、シフト方向に直交する向きのセレクト方向(図1の矢印F2方向)との2方向に回動操作可能である。シフト位置には、ホーム位置、ニュートラル位置(N位置)、ドライブ位置(D位置)、リバース位置(R位置)、回生ブレーキ位置(B位置)がある。レバー装置1は、レバー部3をホーム位置から操作した後、レバー部3から手を離すと、レバー部3が自動でホーム位置に戻るモーメンタリ式である。
【0017】
図3に示すように、ハウジング2は、有底のハウジング本体4と、ハウジング本体4の開口4aを閉じるカバー5とを備える。ハウジング本体4及びカバー5は、例えば複数のスナップフィット6によって固定される。レバー装置1は、ハウジング本体4を複数のカラー7によって車体に固定することにより、車体に組み付けられる。カバー5には、中央から少しずれた位置において、レバー部3が挿し込まれるレバー挿通孔8が貫設されている。
【0018】
レバー部3は、先端にノブ9が取着されるレバー軸10と、レバー軸10を根元において支持するレバー軸支持体11とを備える。レバー軸10は、例えば棒状に形成され、ハウジング2の外部に露出される。レバー軸支持体11は、レバー軸10と同一軸心上に配置され、ハウジング2の内部に収納される。
【0019】
レバー軸支持体11の側部には、レバー部3のシフト操作を案内するガイドピン12が突設される。ガイドピン12は、ハウジング2の底壁に設けられたガイド溝13に係止される。ガイド溝13は、レバー部3の操作パターン(本例は英子文字「h」)に応じた孔形状に形成される。すなわち、レバー部3は、ガイドピン12をガイド溝13に沿わせて操作することにより、ホーム位置、N位置、D位置、R位置、B位置の各位置に操作される。
【0020】
ハウジング2及びレバー軸支持体11の間には、操作されたレバー部3に節度を付与する節度発生機構14が設けられる。節度発生機構14は、必要な荷重を分担できるように複数設けられる。節度発生機構14が複数の場合、一方の節度発生機構14aをシフト方向用とし、他方の節度発生機構14bをセレクト方向用とする。節度発生機構14は、先端が曲面状を呈する節度ピン15と、節度ピン15を後から押す付勢部16と、節度ピン15が押し付けられる節度山17とを備える。節度ピン15は、間に付勢部16を挟みながら、レバー軸支持体11の側壁に設けられた取付筒18に内嵌されることにより、レバー軸支持体11に取り付けられる。
【0021】
レバー軸支持体11の裏面には、ボールジョイント19を介してマグネット部品20が取り付けられている。すなわち、レバー軸支持体11の裏面には、先端が球状のマグネット取付突21が突設され、これがマグネット部品20のボス部22に挿嵌される。マグネット取付突21は、ハウジング本体4の底壁に設けられた逃げ孔23に通され、ハウジング2の外部に露出する球状部位がマグネット部品20に連結される。レバー部3が回動操作されたときには、回動運動がボールジョイント19によってマグネット部品20の平面運動に変換される。レバー装置1は、マグネット部品20に設けられたマグネット24の位置を、例えばMRE等の磁気センサ25によって検出することにより、レバー部3のシフト位置を検出する。
【0022】
図2及び図3に示すように、レバー装置1は、レバー部3を操作するときの回動軸となる延設軸部26を、レバー部3に少なくとも2つ以上備える。延設軸部26は、例えばレバー軸支持体11に設けられる。延設軸部26は、例えばレバー部3の略中央、言い換えるならば、レバー軸支持体11の上部に配置される。延設軸部26は、例えば板状に、かつレバー軸10を中心として十字形状に形成される。延設軸部26が十字形状の場合、レバー軸10を挟んで対向する延設軸部26a,26cがシフト方向操作時の回動軸となり、延設軸部26a,26cと平面方向(図3のX−Y軸平面方向)において直交する延設軸部26b,26dがセレクト方向操作時の回動軸となる。
【0023】
図2に示すように、カバー5には、延設軸部26を摺動可能に嵌め込み可能な係止部27が複数凹設されている。本例の場合、係止部27は、延設軸部26aが嵌合される係止部27aと、延設軸部26bが嵌合される係止部27bと、延設軸部26cが嵌合される係止部27cと、延設軸部26dが嵌合される係止部27dとを備える。係止部27a〜27dは、十字形状の延設軸部26が嵌め込まれるので、この延設軸部26と同様に、レバー軸10を挟んで略十字状に配設される。
【0024】
延設軸部26a〜26dの延設幅方向は、ハウジング2に設けられた一対の受け面にそれぞれ当接されている。具体的にいうと、係止部27aは、対向する一対の内側面を受け面28aにして延設軸部26aが当接されている。同様に、係止部27bの一対の対向する受け面28bに延設軸部26bが当接され、係止部27cの一対の対向する受け面28cに延設軸部26cが当接され、係止部27dの一対の対向する受け面28dに延設軸部26dが当接されている。
【0025】
延設軸部26aの先端と係止部27aの内面との間には、レバー部3が回動するときの動きを許容するスペースとして空隙部29aが設けられている。同様に、延設軸部26bの先端と係止部27bの内面との間に空隙部29bが設けられ、延設軸部26cの先端と係止部27cの内面との間に空隙部29cが設けられ、延設軸部26dの先端と係止部27dの内面との間に空隙部29dが設けられている。
【0026】
図4に示すように、レバー装置1は、上から載置されるレバー部3を、複数方向への動きを許容して支持するレバー支持部30を備える。レバー支持部30は、延設軸部26と対をなすように形成される。本例の場合、3つの延設軸部26(26a〜26c)が設けられたところに、それぞれレバー支持部30が存在している。具体的に述べると、レバー支持部30は、延設軸部26aの下部に設定されたレバー支持部30aと、延設軸部26bの下部に設定されたレバー支持部30bと、延設軸部26cの下部に設定されたレバー支持部30cとを備える。
【0027】
レバー支持部30は、レバー軸支持体11に設けられた円弧状リブ31と、ハウジング本体4に設けられたリブ支持部32とを備える。円弧状リブ31は、延設軸部26の根元の裏面に設けられるとともに、垂直方向(図4の紙面上下方向)に沿って延びる板状(略扇形状)に形成される。円弧状リブ31は、延設軸部26aの各々の下部に設定された円弧状リブ31a〜31dの4つを備える。円弧状リブ31は、リブ支持部32との接触面が球面状に形成される。
【0028】
リブ支持部32は、円弧状リブ31を下から支持するものであって、リブ支持部32との接触面が球面状に形成される。リブ支持部32は、ハウジング本体4の内面に形成される。リブ支持部32は、円弧状リブ31に対応するように形成されている。すなわち、リブ支持部32は、円弧状リブ31a〜31cを各々下から摺動可能に支持するリブ支持部32a〜32cの3つを備える。このように、円弧状リブ31及びリブ支持部32の組は、3組形成されている。
【0029】
図5に示すように、レバー装置1は、レバー部3を上から支持するレバー押し当て部33を備える。レバー押し当て部33は、レバー部3を複数方向に作動可能に支持する。レバー押し当て部33は、レバー軸支持体11に設けられた複数の円弧状リブ34と、カバー5に設けられた1つのリブ支持部35とを備える。円弧状リブ34は、延設軸部26の根元の表面に設けられるとともに、垂直方向(図5の紙面上下方向)に沿って延びる板状(略扇形状)に形成される。円弧状リブ34は、各延設軸部26a〜26dの表面に各々設定された円弧状リブ34a〜34dの4つを備える。リブ支持部35は、例えば略半球状、すなわちドーム状を呈し、球面状の内面に円弧状リブ34が当接する。レバー部3は、レバー支持部30及びレバー押し当て部33によって挟み込まれた状態で組み付けられる。
【0030】
図6に示すように、レバー支持部30は、ハウジング2及びレバー部3の間に設けられ、ハウジング2及びレバー部3の当接面36において少なくとも一方が球面状に形成されることにより、レバー部3の複数方向への動きを許容する。レバー押し当て部33も、ハウジング2及びレバー部3の間に設けられ、ハウジング2及びレバー部3の当接面37において少なくとも一方が球面状に形成されることにより、レバー部3の複数方向への動きを許容する。
【0031】
レバー押し当て部33は、レバー支持部30よりもサイズが小さく形成される。具体的にいうと、レバー押し当て部33の円弧状リブ34は、レバー支持部30の円弧状リブ31よりも小さいサイズに形成されている。各延設軸部26a〜26dとカバー5の内面との間には、レバー部3の回動時に延設軸部26a〜26dが揺動したときの逃げのスペースとなる空隙が形成されている。図6においては、延設軸部26bの上方の隙間38bと、延設軸部26dの上方の隙間38dとを図示する。
【0032】
レバー支持部30の円弧状リブ31は、それぞれ円弧外形に沿って円を描いたとすると、各円中心が一致するように形成される。レバー部3は、円弧状リブ31の円弧外径に沿って描かれる円の中心Oを回動中心として回動する。レバー押し当て部33の円弧状リブ34は、それぞれ円弧外形に沿って円を描いたとすると、各円中心が一致するとともに、円弧状リブ31の中心Oとも一致するように形成される。
【0033】
レバー部3とハウジング2との間には、これらの部材の間に発生するがたつきを抑えるレバーがたつき抑制部39が設けられている。レバーがたつき抑制部39は、例えばカバー5の内面と円弧状リブ34との間に配設されたOリングである。Oリングの場合、カバー5の内面に、レバー軸10を囲むようにリング取付溝40を凹設し、このリング取付溝40にOリングを係止する。
【0034】
図7に示すように、ハウジング本体4及びカバー5の間には、これら部材の間に発生するがたつきを抑えるハウジングがたつき抑制部41が設けられる。ハウジングがたつき抑制部41は、カバー5とハウジング本体4との間に生じるクリアランスを要因とするがたつきを抑制する。ハウジングがたつき抑制部41は、例えば弾性のあるエラストマーを使用する。ハウジングがたつき抑制部41は、例えばハウジング2の4隅に設けられる。
【0035】
次に、図8及び図9を用いて、レバー装置1の動作を説明する。
図8に示すように、レバー部3がセレクト方向(図8はホーム位置→N位置)に操作されるとき、レバー部3は、延設軸部26b,26dを回動軸にして図中の矢印F2’方向に回動する。このとき、中心Oを通って延設軸部26b,26dの延設方向に延びる線を軸L1とすると、延設軸部26b,26dは、係止部27b,27dの溝内において軸L1回りに回動する動きをとる。また、延設軸部26a,26cは、係止部27a,27cを摺動しながら軸L1回りに揺動する動きをとり、一方の延設軸部26aが係止部27aの溝内において上に持ち上がり、他方の延設軸部26cが係止部27cの溝内において下に移動する。
【0036】
レバー装置1は、レバー部3がN位置に位置したことを磁気センサ25によって検出すると、N位置検出信号をECU(Electronic Control Unit)に出力する。ECUは、N位置検出信号の入力をトリガにして変速機をN位置に切り替える。
【0037】
図9に示すように、レバー部3がシフト方向(図9はN位置→D位置)に操作されるとき、レバー部3は、延設軸部26a,26cを回動軸にして図中の矢印F1’方向に回動する。このとき、中心Oを通って延設軸部26a,26cの延設方向に延びる線を軸L2とすると、延設軸部26a,26cは、係止部27a,27cの溝内において軸L2回りに回動する動きをとる。また、延設軸部26b,26dは、係止部27b,27dの溝内を摺動しながら軸L2回りに揺動する動きをとり、一方の延設軸部26bが係止部27bの溝内において上に持ち上がり、他方の延設軸部26dが係止部27dの溝内において下に移動する。
【0038】
レバー装置1は、レバー部3がD位置に位置したことを磁気センサ25によって検出すると、D位置検出信号をECUに出力する。ECUは、D位置検出信号の入力をトリガにして変速機をD位置に切り替える。
【0039】
なお、レバー部3をR位置やB位置に操作するときのレバー装置1の動きは、動きの方向が異なるだけで、前述したN位置やD位置に操作するときと同様であるので、説明を省略する。また、レバー部3を各シフト位置に操作した後にレバー部3がホーム位置に戻るときの動きも、動きの方向が異なるだけであるので、説明を省略する。
【0040】
さて、本例の場合、レバー部3に十字形状の延設軸部26a〜26dを一体に設け、一対の延設軸部26a,26cをシフト方向F1の回動軸とし、もう一対の延設軸部26b,26dをセレクト方向F2の回動軸とすることにより、レバー部3をシフト方向F1及びセレクト方向F2の両方向に回動操作可能とした。このため、シフト方向F1の回動操作時の回動軸となるシャフトと、セレクト方向F2の回動操作時の回動軸のシャフトとで、レバー部3をハウジング2に取り付ける構造をとらずに済む。よって、レバー部3に対して別部材となるシャフトを使用せずに済むので、レバー装置1にかかる部品点数を削減することが可能となる。
【0041】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)レバー部3の軸途中に、レバー操作時の回動軸となる2つ以上の延設軸部26を設け、ハウジング2及びレバー部3の間に、レバー部3を回動可能に下から支持するレバー支持部30を設けた。そして、レバー部3をシフト方向F1に操作するときには、延設軸部26a,26cが回動軸となり、延設軸部26b,26dがハウジング2の内壁面を摺動することにより、同方向へのレバー操作が許容される。一方、レバー部3をセレクト方向F2に操作するときには、今度は延設軸部26b,26dが回動軸となり、延設軸部26a,26cがハウジング2の内壁面を摺動することにより、同方向へのレバー操作が許容される。このように、レバー部3を複数方向に操作可能なレバー装置1において、レバー部3をハウジング2に取り付けるにあたり、シャフトを使用せずに済む。よって、レバー部3を複数方向に操作可能なレバー装置1において、部費点数を削減することができる。
【0042】
(2)延設軸部26a〜26dの延設幅方向は、ハウジング2に設けられた一対の受け面28a〜28dにそれぞれ当接されている。よって、ハウジング2及びレバー部3の間のがたつきを抑制するのに有利となる。
【0043】
(3)延設軸部26は、レバー軸10を中心に十字形状に形成されている。このため、レバー部3をハウジング2に安定した姿勢で組み付けることができる。
(4)レバー部3は、レバー支持部30及びレバー押し当て部33によって挟み込まれた状態で組み付けられる。こうすれば、レバー部3を上下方向からしっかりとハウジング2に位置合わせすることができる。
【0044】
(5)受け面28a〜28dをカバー5に設けたので、カバー5を利用して受け面28a〜28dを形成することができる。
(6)ハウジング2とレバー部3との間に、これらの間のがたつきを抑えるレバーがたつき抑制部39を設けた。よって、本例の場合、ハウジング2とレバー部3との間のがたつきをレバーがたつき抑制部39によって抑制するので、レバー部3をがたつかなくするのに一層有利となる。
【0045】
(7)ハウジング本体4及びカバー5の間に、これらの間のがたつきを抑えるハウジングがたつき抑制部41を設けた。こうすれば、ハウジング2に支持されているレバー部3にがたつきが発生し難くなる。よって、レバー部3をがたつかなくするのに有利となる。
【0046】
(8)各々のレバー支持部30は、各延設軸部26と対をなすように形成されている。このように、本例においては、レバー支持部30及び延設軸部26を組で形成するので、レバー支持部30をそれぞれの延設軸部26によって下からしっかりと支持することができる。
【0047】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・レバーがたつき抑制部39は、環状のOリングに限らず、例えば部分的にゴム材などの弾性部材を配置した構造のものでもよい。
【0048】
図10に示すように、レバーがたつき抑制部39は、ハウジング2の内壁面に設けた複数の撓み部51でもよい。撓み部51は、各延設軸部26を両側から挟むように形成されるとよい。
【0049】
図11に示すように、レバーがたつき抑制部39は、上側が開放された撓み部52でもよい。
図12及び図13に示すように、レバー部3とハウジング2との間に、これらの部材の間の上下方向のがたつきを抑えるレバーがたつき抑制部55を設けてもよい。がたつき抑制部55は、例えば爪形状をなし、カバー5に設けられる。爪状のがたつき抑制部55は、バランスを考え、十字方向の4箇所に形成されるとよい。この場合、レバー部3のがたつきを抑制するのに一層有利となる。
【0050】
・一対の受け面28a〜28dは、「O」を中心とする円弧形状に形成してもよい。この場合、延設軸部26a〜26dが受け面28a〜28dをスムーズに摺動することが可能となるので、レバー部3の操作性を確保するのに有利となる。
【0051】
・ハウジングがたつき抑制部41は、ハウジング2の開口に沿って周状に形成されてもよい。また、ハウジングがたつき抑制部41は、ゴム材などの弾性部材に限らず、がたつきを抑えられる部材であればよい。
【0052】
・レバー部3を操作可能な複数方向は、交差する方向であれば、どの向きにでも設定することが可能である。
・レバー部3を複数方向に操作可能とするにあたり、操作方向は3方向以上でもよい。
【0053】
・レバー部3の構造や形状は、種々のものに適宜変更できる。
・レバー装置1のガイドピン12、ガイド溝13、節度発生機構14、ボールジョイント19、マグネット部品20などの配置位置は、実施形態で述べた以外の他の位置に配置を変更できる。
【0054】
・延設軸部26の個数は、実施形態のような4つに限定されず、少なくとも2つあればよい。
・延設軸部26の形状は、板状に限らず、例えば円柱等の他の形状に変更できる。
【0055】
・レバー支持部30の円弧状リブ31は、延設軸部26の裏面に一体に形成されることに限らず、延設軸部26とは別の箇所に設けられてもよい。
・延設軸部26及びレバー支持部30は、対をなすように形成されることに限らず、延設軸部26のないところに、レバー支持部30が形成されてもよい。すなわち、延設軸部26及びレバー支持部30の配置組み合わせは、種々の態様に変更可能である。
【0056】
・レバー装置1は、モーメンタリ式に限らず、ステーショナリ式でもよい。
・レバー装置1は、車両に適用されることに限らず、他の装置、機器、システムに適用してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…レバー装置、2…ハウジング、3…レバー部、4…ハウジング本体、5…カバー、10…レバー軸、26(26a〜26d)…延設軸部、28a〜28d…受け面、30(30a〜30c)…レバー支持部、33…レバー押し当て部、36…当接面、39…レバーがたつき抑制部、41…ハウジングがたつき抑制部、51,52…レバーがたつき抑制部の一例である撓み部、F1…レバー部の一操作方向であるシフト方向、F2…レバー部の一操作方向であるセレクト方向。
図1
図2
図3
図4
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図8
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図10
図11
図12
図13