(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231446
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】排気混合装置
(51)【国際特許分類】
F02M 26/18 20160101AFI20171106BHJP
F02M 26/50 20160101ALI20171106BHJP
F02M 26/19 20160101ALI20171106BHJP
F02M 26/06 20160101ALI20171106BHJP
F02M 35/10 20060101ALI20171106BHJP
F01P 3/20 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
F02M26/18
F02M26/50 321
F02M26/19 331
F02M26/06 311
F02M35/10 311E
F01P3/20 G
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-138362(P2014-138362)
(22)【出願日】2014年7月4日
(65)【公開番号】特開2016-17407(P2016-17407A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2016年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若山 正人
(72)【発明者】
【氏名】別所 崇
【審査官】
小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−060926(JP,A)
【文献】
実開昭53−128420(JP,U)
【文献】
特開2013−053558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 1/00−11/20
F02B 47/08−47/10
F02M 26/00−26/74、35/00−35/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気通路を流れる吸気に排気を導入して前記吸気と前記排気とを混合させる排気混合装置であって、
前記吸気通路の外周に環状に設けられ、前記排気が流れる排気環路と、
前記排気環路に前記排気を導入するための排気導入路と、
前記吸気通路と前記排気環路との間の通路壁には、前記通路壁の内側を前記吸気と前記排気との合流部とし、その合流部に前記排気を導入するための排気導入孔が設けられることと、
前記排気環路に隣接して設けられ、温水が流れる温水通路と、
前記通路壁は、前記排気環路の側の壁面が熱伝導材料で形成され、前記合流部の側の壁面が断熱材料で形成されることと
を備えたことを特徴とする排気混合装置。
【請求項2】
前記合流部の通路断面積が、前記合流部の上流側及び下流側の前記吸気通路の通路断面積より大きく設定され、前記合流部における前記吸気の流れに対して前記排気が直角又は直角に近い角度で導入されるように前記通路壁に前記排気導入孔が形成されることを特徴とする請求項1に記載の排気混合装置。
【請求項3】
前記排気環路の中には、前記排気導入孔の周囲に、前記排気の流れを整えるための整流壁が形成されることを特徴とする請求項2に記載の排気混合装置。
【請求項4】
前記排気導入路の入口には、前記排気の流れを調節するための排気調節弁が設けられ、
前記合流部と前記排気調節弁との間には、前記吸気通路から前記吸気を導入するための吸気導入路が接続される
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の排気混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、吸気通路を流れる吸気に排気を導入して吸気と排気とを混合させる排気混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術として、例えば、下記の特許文献1に記載される排気還流装置が知られている。この装置は、気化器の側壁に排気を流す第1通路が設けられる。この第1通路は、一端が気化器のベンチュリ部と絞弁との間の吸気通路に開口すると共に、他端が気化器の上流に開口する。また、吸気マニホールドには、一端がエンジンの排気通路に連通され、第1通路の気化器の下端開口に連通される第2通路が設けられる。更に、吸気マニホールドには、一端が第1通路に開口すると共に、他端が大気もしくは気化器のベンチュリ部の上流の吸気通路に開口する空気通路が設けられる。そして、気化器の側壁に設けられる第1通路には、断熱層を介して筒状管が装着される。これにより、第1通路へのデポジットの堆積を防止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭53−128420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載の装置では、冷間時に気化器を低温の空気が流れることで、第1通路の中で排気中の水分が結露して凝縮水が生じるおそれがあった。このように凝縮水が生じると、通路の配管が錆びたりする不具合が起きるおそれがある。
【0005】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、冷間時に吸気と混合される排気の冷えを抑えて凝縮水の発生を防止することを可能とした排気混合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、吸気通路を流れる吸気に排気を導入して吸気と排気とを混合させる排気混合装置であって、吸気通路の外周に環状に設けられ、排気が流れる排気環路と、排気環路に排気を導入するための排気導入路と、吸気通路と排気環路との間の通路壁には、通路壁の内側を吸気と排気との合流部とし、その合流部に排気を導入するための排気導入孔が設けられることと、排気環路に隣接して設けられ、温水が流れる温水通路と、通路壁は、排気環路の側の壁面が熱伝導材料で形成され、合流部の側の壁面が断熱材料で形成されることとを備えたことを趣旨とする。
【0007】
上記発明の構成によれば、排気導入路から排気環路へ流れた排気は、複数の排気導入孔を介して合流部へ導入され吸気と混合される。ここで、通路壁は、排気環路の側の壁面が熱伝導材料で形成され、合流部の側の壁面が断熱材料で形成されるので、合流部に低温の吸気が流れても、排気環路の中が冷やされ難い。また、排気環路に隣接して温水通路が設けられるので、排気環路が温水通路を流れる温水によって早めに暖められ、排気環路を排気が流れ始めるときの排気の冷えが抑えられる。
【0008】
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、合流部の通路断面積が、合流部の上流側及び下流側の吸気通路の通路断面積より大きく設定され、合流部における吸気の流れに対して排気が直角又は直角に近い角度で導入されるように通路壁に排気導入孔が形成されることを趣旨とする。
【0009】
上記発明の構成によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、合流部の通路断面積が、合流部の上流側及び下流側の吸気通路の通路断面積より大きく設定されるので、合流部での吸気の流速が低減され、合流部における吸気の流れに対して排気が直角又は直角に近い角度で導入されるので、その吸気の流れの中央へ向けて排気の流れが指向する。
【0010】
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、排気環路の中には、排気導入孔の周囲に、排気の流れを整えるための整流壁が形成されることを趣旨とする。
【0011】
上記発明の構成によれば、請求項2に記載の発明の作用に加え、合流部における吸気の流れの中央へ向けて、整流壁により、排気の流れがより強く指向する。また、整流壁が排気環路の中に位置するので、整流壁が合流部における圧力損失を低減させることがない。
【0012】
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明において、排気導入路の入口には、排気の流れを調節するための排気調節弁が設けられ、合流部と排気調節弁との間には、吸気通路から吸気を導入するための吸気導入路が接続されることを趣旨とする。
【0013】
上記発明の構成によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の作用に加え、冷間時に排気調節弁から排気導入路へ排気が漏れたとしても、その漏れた排気が、吸気導入路により排気へ導入される吸気により希釈されるので、排気中の水分割合が低下する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、冷間時に吸気と混合される排気の冷えを抑えることができ、これによって凝縮水の発生を防止することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、合流部での吸気の流速を低減することができ、合流部における吸気と排気との混合を効果的なものにすることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、吸気と排気との混合をより一層効果的なものにすることができ、合流部における圧力損失増加を防止することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の効果に加え、排気中の湿度を低減することができ、その意味で合流部、排気環路及び排気導入路での凝縮水の発生防止効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】一実施形態に係り、低圧ループ式EGR装置を含む過給機付きガソリンエンジンシステムを示す概略構成図。
【
図2】一実施形態に係り、排気混合装置を示す正面図。
【
図3】一実施形態に係り、排気混合装置を示す左側面図。
【
図4】一実施形態に係り、排気混合装置を示す右側面図。
【
図5】一実施形態に係り、排気混合装置を示す
図2のA−A線断面図。
【
図6】一実施形態に係り、排気混合装置の通路壁の部分を示す拡大断面図。
【
図7】一実施形態に係り、排気混合装置を示す
図2のB−B線断面図。
【
図8】一実施形態に係り、排気混合装置を示す
図3のC−C線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明における排気混合装置をエンジンの排気還流装置に具体化した一実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1に、この実施形態における低圧ループ式排気還流装置(低圧ループ式EGR装置)を含む過給機付きガソリンエンジンシステムを概略構成図により示す。このエンジンシステムは、レシプロタイプのエンジン1を備える。エンジン1の吸気ポート2には、吸気通路3が接続され、排気ポート4には、排気通路5が接続される。吸気通路3の入口には、エアクリーナ6が設けられる。エアクリーナ6より下流の吸気通路3には、排気通路5との間に、吸気通路3における吸気を昇圧させるための過給機7が設けられる。
【0021】
過給機7は、吸気通路3に配置されたコンプレッサ8と、排気通路5に配置されたタービン9と、コンプレッサ8とタービン9を一体回転可能に連結する回転軸10とを含む。過給機7は、排気通路5を流れる排気によりタービン9を回転させて回転軸10を介してコンプレッサ8を一体的に回転させることにより、吸気通路3における吸気を昇圧させる、すなわち過給を行うようになっている。
【0022】
過給機7に隣接して排気通路5には、タービン9を迂回する排気バイパス通路11が設けられる。この排気バイパス通路11には、ウェイストゲートバルブ12が設けられる。ウェイストゲートバルブ12により排気バイパス通路11を流れる排気が調節されることにより、タービン9に供給される排気流量が調節され、タービン9及びコンプレッサ8の回転速度が調節され、過給機7による過給圧が調節されるようになっている。
【0023】
吸気通路3において、コンプレッサ8とエンジン1との間には、インタークーラ13が設けられる。このインタークーラ13は、コンプレッサ8により昇圧されて高温となった吸気を適温に冷却するようになっている。インタークーラ13とエンジン1との間の吸気通路3には、サージタンク3aが設けられる。インタークーラ13より下流であってサージタンク3aより上流の吸気通路3には、電動式のスロットル弁である電子スロットル装置14が設けられる。電子スロットル装置14は、吸気通路3に配置されるバタフライ形のスロットル弁21と、そのスロットル弁21を開閉駆動するためのDCモータ22と、スロットル弁21の開度(スロットル開度)を検出するためのスロットルセンサ23とを備える。電子スロットル装置14は、運転者によるアクセルペダル(図示略)の操作に応じてスロットル弁21がDCモータ22により開閉駆動されることにより、スロットル弁21の開度が調節されるように構成される。また、タービン9より下流の排気通路5には、排気を浄化するための排気触媒を内蔵した触媒コンバータ15が設けられる。
【0024】
エンジン1には、燃焼室16に燃料を噴射供給するための、インジェクタ25が設けられる。インジェクタ25には、燃料タンク(図示略)から燃料が供給されるようになっている。また、エンジン1には、各気筒に対応して点火プラグ29が設けられる。各点火プラグ29は、イグナイタ30から出力される高電圧を受けて点火動作する。各点火プラグ29の点火時期は、イグナイタ30による高電圧の出力タイミングにより決定される。点火プラグ29とイグナイタ30により点火装置が構成される。
【0025】
この実施形態において、エンジン1には低圧ループ式のEGR装置が設けられる。このEGR装置は、エンジン1の燃焼室16から排気通路5へ排出される排気の一部をEGRガスとして吸気通路3へ流して燃焼室16へ還流させる排気還流通路(EGR通路)17と、EGR通路17におけるEGRガスの流れを調節するための排気還流弁(EGR弁)18とを備える。EGR通路17は、触媒コンバータ15より下流の排気通路5と、コンプレッサ8より上流の吸気通路3との間に設けられる。すなわち、EGR通路17は、その入口がタービン9及び触媒コンバータ15より下流の排気通路5に接続され、その出口がEGR弁18及び排気混合装置19を介してコンプレッサ8より上流の吸気通路3に接続される。EGR通路17には、同通路17を流れるEGRガスを冷却するためのEGRクーラ20が設けられる。EGR弁18は、EGRクーラ20より下流のEGR通路17に配置される。
【0026】
この実施形態で、EGR弁18は、ポペット弁として、かつ、電動弁として構成される。また、大量EGRを実現するために、EGR弁18は、従前の技術に比べて弁座33の開口面積が拡大され、それに合わせて弁体32が大型化されている。
【0027】
上記した低圧ループ式EGR装置によれば、エンジン1の運転時であって過給機7が動作する過給時には、コンプレッサ8より上流の吸気通路3に負圧が生じる。このとき、EGR弁18が開弁することにより、燃焼室16から排気通路5へ排出される排気の一部がEGRガスとしてEGR通路17、EGR弁18及び排気混合装置19を介してコンプレッサ8より上流の吸気通路3へ流れ、コンプレッサ8及び吸気通路3を更に流れて燃焼室16へ還流される。ここで、排気混合装置19は、吸気が流れる吸気通路3にEGRガスを導入して吸気と効果的に混合させるために吸気通路3に設けられる。
【0028】
次に、排気混合装置19の構成を詳しく説明する。
図2に、排気混合装置19を正面図により示す。
図3に、排気混合装置19を左側面図により示す。
図4に、排気混合装置19を右側面図により示す。
図5に、排気混合装置19を、
図2のA−A線断面図により示す。
図6に、排気混合装置19の通路壁53の部分を拡大断面図により示す。
図7に、排気混合装置19を、
図2のB−B線断面図により示す。
図8に、排気混合装置19を、
図3のC−C線断面図により示す。
【0029】
図2に示すように、排気混合装置19は、金属製の2つのパイプブロック31,32を備え、それらのパイプブロック31,32がボルト33で締結されることにより一つのユニットとして構成される。二つのパイプブロック31,32は、例えば、ステンレス鋼やアルミニウムを材料として形成される。
図2及び
図8において、左側に位置する第1パイプブロック31は、吸気通路3に接続される第1パイプ41と、第1フランジ42とを備える。右側に位置する第2パイプブロック32は、吸気通路3に接続される第2パイプ51と、第2フランジ52とを備える。二つのパイプブロック31,32は、第1フランジ42と第2フランジ52にてボルト33により締結される。
図8に示すように、第1フランジ42と第2フランジ52との間には、シールのためにゴムパッキン70が設けられる。これら二つのパイプ41,51は、吸気通路3と接続されることにより吸気通路3の一部を構成する。
【0030】
図8に示すように、第2パイプブロック32は、第2パイプ51の上流側に連続する部分が二重管構造をなしている。
図5及び
図8に示すように、二重管の内側は吸気通路3を構成する円環状の通路壁53であり、二重管の外側は通路壁53と空間を隔てて配置される円環状の外周壁54である。第2フランジ52は、この外周壁54に連続して形成される。通路壁53と外周壁54との間は、環状をなしてEGRガスが流れる排気環路55となっている。
図2及び
図8において、外周壁54の下側には、下方へ延びる第3パイプ56が形成される。第3パイプ56の中は、排気環路55にEGRガスを導入するための排気導入路57となっている。この排気導入通路57の入口には、本発明の排気調節弁の一例に相当するEGR弁18が接続される。
【0031】
図5及び
図8に示すように、通路壁53には、通路壁53の内側を吸気とEGRガスとの合流部58とし、その合流部58にEGRガスを導入するための複数(4つ)の排気導入孔59が等角度間隔に設けられる。合流部58の通路断面積は、合流部58の上流側の吸気通路3である第1パイプ41及び下流側の吸気通路3である第2パイプ51の通路断面積よりも大きく設定される。複数の排気導入孔59は、合流部58における吸気の流れに対してEGRガスが直角又は直角に近い角度で導入されるように通路壁53に形成される。
図5及び
図8に示すように、各排気導入孔59の周囲には、EGRガスの流れを整えるための整流壁60が形成される。整流壁60は、排気環路55の中に配置され、通路壁53の半径方向外側へ突出するように形成される。
【0032】
図5、
図6及び
図8に示すように、通路壁53は、排気環路55の側の壁面が熱伝導材料である金属(第2パイプブロック32と同じ材料)で形成され、合流部58の側の壁面が断熱材料である樹脂層61により形成される。すなわち、通路壁53の合流部58の側の壁面は、樹脂材料で形成された樹脂層61で覆われる。この実施形態では、一例として、通路壁53の厚さを「1〜2(mm)」とすると、樹脂層61の厚さを「1(mm)」にすることができる。
【0033】
図7及び
図8に示すように、第2パイプブロック32には、排気環路55に隣接して温水が流れる温水通路62が設けられる。温水通路62は、合流部58の周りをコ形に囲むように形成される。
図2、
図4及び
図7に示すように、温水通路62の入口と出口には、それぞれパイプ継手63,64が設けられる。これらパイプ継手63,64には、エンジンで暖められた温水(エンジンの冷却水)を流すためのパイプ(図示略)が接続されるようになっている。
【0034】
図2、
図3及び
図8に示すように、合流部58とEGR弁18との間であって、EGR弁18の直下流の排気導入路57には、吸気通路3から吸気を導入するためのパイプ65よりなる吸気導入路66の出口66aが接続される。この吸気導入路66の入口66bは、第1パイプブロック31の第1パイプ41の中に連通して接続され、吸気導入路66の中に吸気が導入されるようになっている。
【0035】
以上説明したこの実施形態の排気混合装置19によれば、排気導入路57から排気環路55へ流れたEGRガスは、複数の排気導入孔59を介して合流部58へ導入されて吸気と混合される。ここで、通路壁53は、排気環路55の側の壁面が熱伝導材料である金属で形成され、合流部58の側の壁面が断熱材料である樹脂層61で形成されるので、合流部58に低温の吸気が流れても、排気環路55の中が冷やされ難い。また、排気環路55に隣接して温水通路62が設けられるので、排気環路55が温水通路62を流れる温水によって早めに暖められ、排気環路55を排気が流れ始めるときの排気の冷えが抑えられる。このため、冷間時に吸気と混合されるEGRガスの冷えを抑えることができ、これによって凝縮水の発生を防止することができる。
【0036】
この実施形態によれば、合流部58の通路断面積が、合流部58の上流側及び下流側の吸気通路(第1パイプ41及び第2パイプ51)の通路断面積より大きく設定されるので、合流部58での吸気の流速が低減され、合流部58における吸気の流れに対してEGRガスが直角又は直角に近い角度で導入されるので、その吸気の流れの中央へ向けてEGRガスの流れが指向することになる。このため、合流部58での吸気の流速を低減することができ、合流部58における吸気とEGRガスとの混合を効果的なものにすることができる。
【0037】
この実施形態によれば、合流部58における吸気の流れの中央へ向けて、整流壁60により、EGRガスの流れがより強く指向する。また、整流壁60が排気環路55の中に位置するので、整流壁60が合流部58における圧力
を損
失させることがない。このため、吸気とEGRガスとの混合をより一層効果的なものにすることができ、合流部58における圧力損失増加を防止することができる。
【0038】
この実施形態によれば、冷間時にEGR弁18から排気導入路57へEGRガスが漏れ出たとしても、その漏れたEGRガスが、吸気導入路66によりEGRガスへ導入される吸気により希釈されるので、EGRガス中の水分割合が低下する。このため、EGRガス中の湿度を低減することができ、その意味で合流部58、排気環路55及び排気導入路57での凝縮水の発生防止効果を向上させることができる。
【0039】
なお、この発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもきる。
【0040】
(1)前記実施形態では、合流部58の通路断面積を、合流部58の上流側及び下流側の吸気通路(第1パイプ41及び第2パイプ51)の通路断面積より大きく設定したが、合流部の通路断面積と合流部の上流側及び下流側の吸気通路の通路断面積とを同じに設定することもできる。
【0041】
(2)前記実施形態では、合流部58における吸気の流れに対してEGRガスが直角又は直角に近い角度で導入されるように通路壁53に排気導入孔59を形成したが、合流部における吸気の流れに対して排気が斜めに導入されるように通路壁に排気導入孔を形成してもよい。
【0042】
(3)前記実施形態では、排気導入孔59の周囲に、EGRガスの流れを整えるための整流壁60を形成したが、この整流板60を省略することもできる。
【0043】
(4)前記実施形態では、EGR弁18の直下流の排気導入路57に、吸気通路3から吸気を導入するための吸気導入路66を接続したが、この吸気導入路66を省略することもできる。
【0044】
(5)前記実施形態では、EGR弁18の直下流の排気導入路57に吸気導入路66の出口66aを接続したが、この出口66aの接続位置は、合流部58とEGR弁18との間であれば、どの位置に接続することもできる。
【0045】
(6)前記実施形態では、吸気導入路66の入口66bを、第1パイプ41の中に接続したが、吸気導入路66の入口66bを、排気混合装置19以外の位置にて吸気通路3に接続することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
この発明は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンの吸気通路に利用することができ、特にEGR装置を備えたエンジンに利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
3 吸気通路
18 EGR弁(排気調節弁)
19 排気混合装置
41 第1パイプ(吸気通路)
51 第2パイプ(吸気通路)
53 通路壁
55 排気環路
57 排気導入路
58 合流部
59 排気導入孔
60 整流壁
61 樹脂層(断熱材料)
62 温水通路
65 パイプ
66 吸気導入路