(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231451
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】浄化装置
(51)【国際特許分類】
B01D 29/11 20060101AFI20171106BHJP
B01D 29/66 20060101ALI20171106BHJP
B05B 3/06 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
B01D29/10 520B
B01D29/10 510D
B01D29/10 510F
B01D29/10 530A
B01D29/38 510C
B01D29/38 520A
B05B3/06 Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-158720(P2014-158720)
(22)【出願日】2014年8月4日
(65)【公開番号】特開2016-34628(P2016-34628A)
(43)【公開日】2016年3月17日
【審査請求日】2016年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000149790
【氏名又は名称】株式会社大気社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】石田 浩三
【審査官】
菊地 寛
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−523345(JP,A)
【文献】
特開2002−263411(JP,A)
【文献】
特開昭56−010307(JP,A)
【文献】
特開2004−230298(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0238435(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 29/00
B05B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状フィルタを装置ケースに内装し、この装置ケースには、その内部における前記円筒状フィルタの外側領域である処理前領域に処理液を導入する処理液導入口、
及び、その処理前領域から前記円筒状フィルタの内側領域である処理済領域に向けて前記円筒状フィルタを通過した処理済の浄化処理液を前記装置ケースの内部から導出する処理済液導出口を設け、
前記円筒状フィルタの内側領域である前記処理済領域には、ノズルヘッダを前記円筒状フィルタの中心軸芯周りでの回転が自在な状態で配置し、
このノズルヘッダには、逆洗液路を通じて前記ノズルヘッダに供給される逆洗液を前記ノズルヘッダの回転に伴い前記円筒状フィルタの内周面に向けて噴出する逆洗用ノズルを設けてある浄化装置であって、
前記ノズルヘッダには、前記逆洗液路を通じて前記ノズルヘッダに供給される逆洗液の一部を前記円筒状フィルタの円周方向に対する接線方向に沿う速度成分のある状態で噴出して、その噴出反力により前記ノズルヘッダを前記円筒状フィルタの中心軸芯周りで回転させる回転用ノズルを設け、
前記装置ケースの内部には、前記円筒状フィルタを配置するフィルタ配置域と、前記円筒状フィルタの中心軸芯方向で前記フィルタ配置域から外れて前記円筒状フィルタの内側領域である前記処理済領域に連通するフィルタ不存域とを設け、
前記回転用ノズルは、前記フィルタ不存域に配置するとともに、前記円筒状フィルタにおける円形断面形状の半径より長い回転半径を有する状態で前記ノズルヘッダに装備してある浄化装置。
【請求項2】
前記逆洗液路を形成する逆洗液管を、前記装置ケースに貫通させた状態で前記装置ケースに固定し、
前記装置ケースの内部における前記逆洗液管の端部に対して前記ノズルヘッダを、前記円筒状フィルタの中心軸芯周りでの回転が自在な状態で接続してある請求項1記載の浄化装置。
【請求項3】
前記逆洗用ノズルは、前記ノズルヘッダに供給される逆洗液を前記円筒状フィルタの内周面に向かう速度成分のある状態で噴出する逆洗用噴出口部と、前記ノズルヘッダに供給される逆洗液を前記円筒状フィルタの円周方向に対する接線方向に沿う速度成分のある状態で噴出する回転用噴出口部とを備える構成にしてある請求項1又は2記載の浄化装置。
【請求項4】
前記逆洗用ノズル又は前記回転用ノズルから前記装置ケースの内部に噴出された逆洗液を逆洗用ポンプにより前記逆洗液路を通じて前記ノズルヘッダに還送する逆洗用循環路を設けてある請求項1〜3のいずれか1項に記載の浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装前処理設備における被塗物洗浄用ノズルに対して循環供給する洗浄水などを処理液として、その処理液を濾過により浄化する浄化装置に関し、
詳しくは(
図2参照)、円筒状フィルタ7を装置ケース6に内装し、この装置ケース6には、その内部における円筒状フィルタ7の外側領域である処理前領域Oに処理液Wを導入する処理液導入口11、
及び、その処理前領域Oから円筒状フィルタ7の内側領域である処理済領域Iに向けて円筒状フィルタ7を通過した処理済の浄化処理液Wを装置ケース6の内部から導出する処理済液導出口13を設け、
円筒状フィルタ7の内側領域である処理済領域Iには、ノズルヘッダ15を円筒状フィルタ7の中心軸芯Q周りでの回転が自在な状態で配置し、
このノズルヘッダ15には、逆洗液路18を通じてノズルヘッダ15に供給される逆洗液Wをノズルヘッダ15の回転に伴い円筒状フィルタ7の内周面に向けて噴出する逆洗用ノズル19を設けてある浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の浄化装置では(同
図2参照)、処理液導入口11から装置ケース6の内部における円筒状フィルタ7の外側領域O(処理前領域)に導入される処理液Wを円筒状フィルタ7に通過させることで、処理液Wを浄化処理するが、この浄化処理において処理液W中における塵埃等の捕集対象物が円筒状フィルタ7により捕集されることに対し、円筒状フィルタ7に対する逆洗処理として、円筒状フィルタ7の中心軸芯Q周りで回転動作させる逆洗用ノズル19により円筒状フィルタ7の内側からフィルタ内周面に向けて逆洗液を噴出することで、円筒状フィルタ7が捕集した塵埃等の捕集物を円筒状フィルタ7から除去して円筒状フィルタ7を再生する。
【0003】
ところで従来、この種の浄化装置では、ノズルヘッダ15を回転させて逆洗用ノズル19を回転動作させるのに、特許文献1に見られるように、装置ケースの外部にモータを配置し、このモータによりノズルヘッダを回転させるようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−230298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ノズルヘッダ回転用のモータを装備する従来装置では、そのモータとしてギアモータなどの低速・高トルク仕様の特殊モータを要することで装置コストが嵩む問題があり、また、このモータが装置ケースの蓋部などに取り付けられることで、モータが支障となって装置ケース内部のメンテナンス作業が行い難い問題もあった。
【0006】
しかも、モータとノズルヘッダとを連結する可動連結部を装置ケースに対して貫通させるため、その可動連結部の貫通部に対して液漏れ防止用のシール手段を装備しなければならず、このシール手段に対する頻繁な保守メンテナンスが必要になる問題もあった。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、ノズルヘッダの回転に合理的な駆動方式を採ることで、上記の如き問題を解消する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は浄化装置に係り、その特徴は、
円筒状フィルタを装置ケースに内装し、この装置ケースには、その内部における前記円筒状フィルタの外側領域である処理前領域に処理液を導入する処理液導入口、
及び、その処理前領域から前記円筒状フィルタの内側領域である処理済領域に向けて前記円筒状フィルタを通過した処理済の浄化処理液を前記装置ケースの内部から導出する処理済液導出口を設け、
前記円筒状フィルタの内側領域である前記処理済領域には、ノズルヘッダを前記円筒状フィルタの中心軸芯周りでの回転が自在な状態で配置し、
このノズルヘッダには、逆洗液路を通じて前記ノズルヘッダに供給される逆洗液を前記ノズルヘッダの回転に伴い前記円筒状フィルタの内周面に向けて噴出する逆洗用ノズルを設けてある浄化装置であって、
前記ノズルヘッダには、前記逆洗液路を通じて前記ノズルヘッダに供給される逆洗液の一部を前記円筒状フィルタの円周方向に対する接線方向に沿う速度成分のある状態で噴出して、その噴出反力により前記ノズルヘッダを前記円筒状フィルタの中心軸芯周りで回転させる回転用ノズルを設け
、
前記装置ケースの内部には、前記円筒状フィルタを配置するフィルタ配置域と、前記円筒状フィルタの中心軸芯方向で前記フィルタ配置域から外れて前記円筒状フィルタの内側領域である前記処理済領域に連通するフィルタ不存域とを設け、
前記回転用ノズルは、前記フィルタ不存域に配置するとともに、前記円筒状フィルタにおける円形断面形状の半径より長い回転半径を有する状態で前記ノズルヘッダに装備してある点にある。
【0009】
この構成によれば、逆洗液路を通じてノズルヘッダに供給される逆洗液を利用してノズルヘッダを回転させ、これにより、逆洗用ノズルを円筒状フィルタの中心軸芯周りで回転動作させながら、その逆洗用ノズルから円筒状フィルタの内周面に向けて逆洗液を噴出する逆洗処理を円筒状フィルタに対して施すことができる。
【0010】
即ち、ノズルヘッダ回転用モータの装備を不要にすることができ、これにより、装置コストを安価にするとともに、装置ケースの内部に対するメンテナンス作業もモータを支障とすることなく容易に行うことができる。
【0011】
また、上記第1特徴構成によれば、
前記装置ケースの内部には、前記円筒状フィルタを配置するフィルタ配置域と、前記円筒状フィルタの中心軸芯方向で前記フィルタ配置域から外れて前記円筒状フィルタの内側領域である前記処理済領域に連通するフィルタ不存域とを設け、
前記回転用ノズルは、前記フィルタ不存域に配置するとともに、前記円筒状フィルタにおける円形断面形状の半径より長い回転半径を有する状態で前記ノズルヘッダに装備するから、次の作用効果も得ることができる。
【0012】
つまり、回転用ノズルが円筒状フィルタの半径より長い回転半径を有するから、円筒状フィルタの中心軸芯周りでの噴出反力による回転モーメントとして大きな回転モーメントを得ることができる。
【0013】
したがって、ノズルヘッダを円筒状フィルタの逆洗処理に適した低速・高トルクで回転させることができ、この点で逆洗機能に一層優れた装置にすることができる。
【0014】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記逆洗液路を形成する逆洗液管を、前記装置ケースに貫通させた状態で前記装置ケースに固定し、
前記装置ケースの内部における前記逆洗液管の端部に対して前記ノズルヘッダを、前記円筒状フィルタの中心軸芯周りでの回転が自在な状態で接続してある点にある。
【0015】
この構成によれば、ノズルヘッダを回転自在にするにしても、逆洗液管を装置ケースに貫通させた状態で装置ケースに固定し、この固定した逆洗液管の装置ケース内部における端部にノズルヘッダを回転自在に接続するから、前述した従来装置の如く可動連結部(モータとノズルヘッダとを連結する可動部)を装置ケースに対し貫通させる必要がなくて、その貫通部に対するシール手段も不要にすることができる。
【0016】
したがって、そのシール手段に対する保守メンテナンスも不要にすることができて、メンテナンスの負担を一層効果的に軽減することができる。
【0017】
本発明の第
3特徴構成は、第1又は第2特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記逆洗用ノズルは、前記ノズルヘッダに供給される逆洗液を前記円筒状フィルタの内周面に向かう速度成分のある状態で噴出する逆洗用噴出口部と、前記ノズルヘッダに供給される逆洗液を前記円筒状フィルタの円周方向に対する接線方向に沿う速度成分のある状態で噴出する回転用噴出口部とを備える構成にして
ある点にある。
【0018】
この構成によれば、逆洗用ノズルを回転用ノズルに兼用するから、回転専用のノズル
を装備するにしても少数にすることができ、その分、装置をコンパクトにすることができる。
【0019】
本発明の第
4特徴構成は、第1〜第
3特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記逆洗用ノズル又は前記回転用ノズルから前記装置ケースの内部に噴出された逆洗液を逆洗用ポンプにより前記逆洗液路を通じて前記ノズルヘッダに還送する逆洗用循環路を設けてある点にある。
【0020】
この構成によれば、円筒状フィルタに対して逆洗作用させた逆洗液やノズルヘッダの回転に使用した逆洗液を循環使用するから、逆洗用ノズル及び回転用ノズルに対して新鮮な逆洗液のみを一過的に供給する場合に比べ、逆洗液の必要量を大幅に削減することができ、これにより、装置の運転コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】塗装前処理設備における予備洗浄部を示す設備構成図
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は塗装前処理設備における予備洗浄部を示し、この予備洗浄部では、予備洗浄槽1に貯留された洗浄水Wを洗浄用ポンプ2により多数の洗浄用ノズル3から被塗物A(本例では自動車ボディ)に向けて噴出させ、この洗浄水噴出により被塗物Aを塗装処理に先立ち予備洗浄する。
【0023】
洗浄用ノズル3から噴出した洗浄水Wは、被塗物Aに対し洗浄作用させた後、被塗物Aから洗い落とされた塵埃等とともに流下床4を通じて予備洗浄槽1に戻す。即ち、洗浄水Wは予備洗浄槽1と洗浄用ノズル3との間で循環する。
【0024】
予備洗浄が完了した被塗物Aは、その後、脱脂処理や化成処理などの他の前処理工程を経た上で塗装工程に送られる。
【0025】
予備洗浄槽1の近くには、予備洗浄槽1における貯留洗浄水Wを浄化する浄化装置5を配置してあり、予備洗浄槽1の貯留洗浄水W中における塵埃等(即ち、被塗物Aから洗い落とされた塵埃等)は、この浄化装置5において洗浄水Wから除去される。
【0026】
即ち、洗浄用ノズル3から噴出させる洗浄水Wは、この浄化処理により清浄度が保持され、これにより、被塗物Aに対する予備洗浄効果が維持される。
【0027】
浄化装置5は、予備洗浄槽1における貯留洗浄水Wの水面よりも高い位置で縦姿勢に配置される円筒状の装置ケース6を備え、
図2、
図3にも示すように、この装置ケース6には、同じく縦姿勢の円筒状フィルタ7を同芯状に内装してある。
【0028】
円筒状フィルタ7は例えば40メッシュ程度のSUS製金網からなり、円筒状フィルタ7の下面部は底板8により閉塞してある。
【0029】
装置ケース6の上面開口部は蓋6aにより閉塞し、また、装置ケース6の底部6bは逆円錐状のホッパ形状にし、この装置ケース底部6bの下端頂部には排出口9を形成してある。
【0030】
装置ケース6の内部は、円筒状フィルタ7を配置するフィルタ配置域Xと、フィルタ配置域Xから上方に外れたフィルタ不存域Yと、フィルタ配置域Xから下方に外れてホッパ状底部6b内に位置する排出域Zとに区分してある。
【0031】
また、フィルタ配置域Xは、円筒状フィルタ7により、その円筒状フィルタ7の外側領域である処理前領域Oと、円筒状フィルタ7の内側領域である処理済領域Iとに区分される。
【0032】
円筒状フィルタ7の内側領域である処理済領域Iは上方のフィルタ不存域Yに対し開放させて連通させるのに対し、円筒状フィルタ7の外側領域である処理前領域Oと上部のフィルタ不存域Yとは円環状の隔壁10により仕切ってある。
【0033】
また、円筒状フィルタ7の外側領域である処理前領域Oは下部の排出域Zに対し開放させて連通させるのに対し、円筒状フィルタ7の内側領域である処理済領域Iと下部の排出域Zとは円筒状フィルタ7の底板8により仕切ってある。
【0034】
装置ケース6の周壁下部には、円筒状フィルタ7の外側領域である処理前領域Oに連通する処理液導入口11を形成し、この処理液導入口11には、予備洗浄槽1からの洗浄水送り路12aを接続してある。
【0035】
装置ケース6の周壁上部には、上部のフィルタ不存域Yに連通する処理済液導出口13を形成し、この処理済液導出口13には、処理済の浄化洗浄水Wを予備洗浄槽1に戻す洗浄水戻し路12bを接続してある。
【0036】
つまり、この浄化装置5では、予備洗浄槽1から洗浄水循環用ポンプ14により洗浄水送り路12aを通じて装置ケース6内の処理前領域Oに送給される洗浄水Wを処理液として、その洗浄水Wを円筒状フィルタ7に通過させることで浄化する。
【0037】
円筒状フィルタ7を通過して内側の処理済領域Iに至った浄化洗浄水Wは、装置ケース6内における上部のフィルタ不存域Yから洗浄水戻し路12bを通じて自重流下により予備洗浄槽1に戻す。
【0038】
円筒状フィルタ7の内側領域である処理済領域Iには、縦姿勢のノズルヘッダ15を、円筒状フィルタ7の中心軸芯Q周りでの回転が自在な状態で円筒状フィルタ7と同芯状に配置してある。
【0039】
このノズルヘッダ15には、逆洗液タンク16から逆洗用ポンプ17により逆洗液路18を通じて供給される逆洗液としての逆洗水Wrを円筒状フィルタ7の内側から円筒状フィルタ7の内周面に向けて噴出する複数の逆洗用ノズル19を、上下方向に分散させた状態で、また、ノズルヘッダ15からの分岐管15aを支持脚として配置してある。
【0040】
即ち、差圧計20により計測される円筒状フィルタ7の内外差圧Δpが円筒状フィルタ7における捕集物の蓄積で設定差圧を超えると、洗浄水循環用ポンプ14により予備洗浄槽1と浄化装置5との間で洗浄水Wを循環させる浄化運転を停止するとともに、装置ケース6の排出口9に接続した排出弁21aを開いた状態にして、
図4に示す如く、逆洗処理としてノズルヘッダ15の回転に伴い複数の逆洗用ノズル19から逆洗水Wrを噴出させることで、先の浄化運転において円筒状フィルタ7が捕集した塵埃等の捕集物を円筒状フィルタ7から洗い落とす。
【0041】
円筒状フィルタ7から洗い落した塵埃等の捕集物は、噴出逆洗水Wrとともに装置ケース6底部の排出域Zを経て排出口9から排出路21を通じて回収バッグ22に回収し、この回収バッグ22において、回収した塵埃等の捕集物から同伴の使用済逆洗水Wrを分離する水切り処理を行う。
【0042】
装置ケース6の近傍において逆洗液路18を形成する逆洗液管23は、装置ケース6における蓋6aの中心部に貫通させた状態で装置ケース6の蓋6aに固定してあり、ノズルヘッダ15は、装置ケース6内のフィルタ不存域Yで回転継手24を介して逆洗液管23の下端に接続することで、円筒状フィルタ7の中心軸芯Q周りでのノズルヘッダ15の回転を自在にしてある。
【0043】
また、ノズルヘッダ15の上部には、逆洗液路18からノズルヘッダ15に供給される逆洗水Wrの一部をフィルタ不存域Yにおいて円筒状フィルタ7の円周方向に対する接線方向Cに沿う向きに噴出する一対の回転用ノズル25を、ノズルヘッダ15からの分岐管15bを支持脚として設けてある。
【0044】
つまり、これら回転用ノズル25からの接線方向Cに向けての逆洗水Wrの噴出に伴う噴出反力Fcにより、洗浄用ノズル19を円筒状フィルタ7の内周面に向けての逆洗水Wrの噴出に伴いノズルヘッダ15とともに円筒状フィルタ7の中心軸芯Q周りで回転動作させる。
【0045】
円筒状フィルタ7の内側領域である処理済領域Iに位置させる逆洗用ノズル19の回転半径R1が、円筒状フィルタ7の円形断面形状における半径Rよりある程度短くなる(R1<R)のに対し、回転用ノズル25はフィルタ不存域Yに配置することで、その回転半径R2を円筒状フィルタ7の円形断面形状における半径Rより大きく(R2>R)してあり、これにより、洗浄用ノズル19及びノズルヘッダ15を、円筒状フィルタ7の逆洗処理に適した低速・高トルク状態で回転させる。
【0046】
逆洗液路18のうち装置ケース6の蓋6aに固定した逆洗液管23に続く部分は、フレキシブル管26で形成して、そのフレキシブル管26の先端をワンタッチ接続具27により蓋6aに固定の逆洗液管23に接続するようにしてあり、これにより、装置ケース6内部のメンテナンス作業にあたって、装置ケース6の蓋6aをノズルヘッダ15とともに容易に装置ケース6の本体部から離脱させられるようにしてある。
【0047】
図中28は、装置ケース6の蓋6aに装備した自動エア抜き弁である。
【0048】
〔別実施形態〕
次に本発明の別実施形態を列記する。
【0049】
前述の実施形態では、予備洗浄槽1と浄化装置5との間での洗浄水W(処理液)の循環を停止して、浄化装置5における装置ケース6内の水位を低下させた状態で、逆洗用ノズル19及び回転用ノズル25から逆洗水Wr(逆洗液)を噴出させるようにしたが、円筒状フィルタ7により捕集する捕集対象物が沈降性の高いものである場合、予備洗浄槽1と浄化装置5との間での洗浄水Wの循環を継続して、浄化装置5における装置ケース6内の水位を高く保ったままの状態で、逆洗用ノズル19及び回転用ノズル25から逆洗水Wrを噴出させるようにしてもよい。
【0050】
また、この場合、装置ケース6内の水位が高く保たれることから、
図5に示すように、逆洗用ノズル19や回転用ノズル25から装置ケース6の内部に噴出された逆洗水Wr(逆洗液)を、逆洗用ポンプ17により装置ケース6内におけるフィルタ不存域Yや円筒状フィルタ7内の処理済領域Iから逆洗用循環路29及び逆洗液路18を通じてノズルヘッダ15に還送するようにしてもよい。
【0051】
そしてまた、上記の如く浄化装置5における装置ケース6内の水位を高く保ったままの状態で逆洗用ノズル19及び回転用ノズル25から逆洗水Wrを噴出させる場合、装置ケース6内の水位を低下させる必要がないことから、同
図5に示すように、浄化装置5の装置ケース6を予備洗浄槽1の水位と同等の位置ないしはより低い位置に配置するようにしてもよい。
【0052】
本発明の実施において、浄化装置5により浄化する処理液は、塗装前処理設備における予備洗浄槽1の貯留洗浄水Wに限らず、円筒状フィルタ7による濾過により浄化することができる液体であれば、どのような液体であってもよい。
【0053】
円筒状フィルタ7を内装する装置ケース6の形状は、円筒状に限らず、角筒状やその他の形状であってもよく、また、装置ケース6やそれに内装する円筒状フィルタ7の設置姿勢も縦姿勢に限らず、水平姿勢や傾斜姿勢であってもよい。
【0054】
逆洗用ノズル19に、逆洗液Wを円筒状フィルタ7の内周面に向かう速度成分のある状態で噴出する逆洗用噴出口部と、逆洗液Wを円筒状フィルタ7の円周方向に対する接線方向Cに沿う速度成分のある状態で噴出する回転用噴出口部とを備え、これにより、逆洗用ノズル19を回転用ノズル25に兼用するようにしてもよい。
【0055】
逆洗用ノズル19及び回転用ノズル25から噴出させる逆洗液Wrは、水に限られるものではなく、浄化対象の処理液Wに応じて、円筒状フィルタ7の逆洗処理に適した種々の液体を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明による浄化装置は、フィルタによる浄化が必要な液を扱う種々の分野において利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
7 円筒状フィルタ
6 装置ケース
O 処理前領域(外側領域)
W 処理液
11 処理液導入口
I 処理済領域(内側領域)
13 処理済液導出口
15 ノズルヘッダ
Q 中心軸芯
18 逆洗液路
Wr 逆洗液
19 逆洗用ノズル
C 接線方向
Fc 噴出反力
25 回転用ノズル
23 逆洗液管
X フィルタ配置域
Y フィルタ不存域
R 円筒状フィルタの半径
R2 回転用ノズルの回転半径
17 逆洗用ポンプ
29 逆洗用循環路