(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231456
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】ヒステリシス電動機用ドライブ装置
(51)【国際特許分類】
H02P 5/74 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
H02P5/74
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-209759(P2014-209759)
(22)【出願日】2014年10月14日
(65)【公開番号】特開2016-82638(P2016-82638A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2016年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(72)【発明者】
【氏名】土井 信明
【審査官】
▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−204594(JP,A)
【文献】
特開昭55−133699(JP,A)
【文献】
特開昭53−025819(JP,A)
【文献】
特開2011−041404(JP,A)
【文献】
特開2004−088863(JP,A)
【文献】
特開2002−233181(JP,A)
【文献】
実開昭56−158698(JP,U)
【文献】
特開2000−295893(JP,A)
【文献】
米国特許第06392378(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台のヒステリシス電動機を駆動するためのインバータ装置と、
前記インバータ装置の出力側に直列接続されたリアクトルと、
前記リアクトルの出力側に各々開閉器を介して並列接続された複数台のコンデンサと、
前記リアクトルの出力側に並列接続され、前記複数台のヒステリシス電動機を複数のグループに分岐し、ヒステリシス電動機に並列給電する複数台の分岐スイッチと、
前記複数台のコンデンサ用の開閉器及び前記複数台の分岐スイッチの投入、開放指令を出力する負荷/コンデンサ投入制御器と、
前記インバータ装置及び前記負荷/コンデンサ投入制御器の制御を行うインバータ制御装置と
を具備し、
前記インバータ装置が前記複数台のヒステリシス電動機を定常運転中に、前記インバータ装置が故障するか、または前記インバータ装置が主回路停電となったとき、
前記負荷/コンデンサ投入制御器は、
前記複数台のコンデンサ用の開閉器を順次開放し、開放された各々のコンデンサ容量に見合う定格容量の前記分岐スイッチを各々所定の時間経過後開放して全てのコンデンサ用の開閉器及び分岐スイッチを開放するようにしたことを特徴とするヒステリシス電動機用ドライブ装置。
【請求項2】
複数台のヒステリシス電動機を駆動するためのインバータ装置と、
前記インバータ装置の出力側に直列接続されたリアクトルと、
前記リアクトルの出力側に各々開閉器を介して並列接続された複数台のコンデンサと、
前記リアクトルの出力側に並列接続され、前記複数台のヒステリシス電動機を複数のグループに分岐し、ヒステリシス電動機に並列給電する複数台の分岐スイッチと、
前記複数台のコンデンサ用の開閉器及び前記複数台の分岐スイッチの投入、開放指令を出力する負荷/コンデンサ投入制御器と、
前記インバータ装置及び前記負荷/コンデンサ投入制御器の制御を行うインバータ制御装置と
を具備し、
前記インバータ装置が前記複数台のヒステリシス電動機を定常運転中に、前記インバータ制御装置に保守リクエスト信号が与えられたとき、
前記負荷/コンデンサ投入制御器は、
前記複数台のコンデンサ用の開閉器を1台開放し、開放された各々のコンデンサ容量に見合う定格容量の前記分岐スイッチを所定の時間経過後開放し、以下次のコンデンサ用の開閉器を開放し、当該コンデンサ容量に見合う定格容量の分岐スイッチを所定の時間経過後に開放する動作を次々と行うことによって、全てのコンデンサ用の開閉器及び分岐スイッチを開放するようにしたことを特徴とするヒステリシス電動機用ドライブ装置。
【請求項3】
複数台のヒステリシス電動機を駆動するためのインバータ装置と、
前記インバータ装置の出力側に直列接続されたリアクトルと、
前記リアクトルの出力側に各々開閉器を介して並列接続された複数台のコンデンサと、
前記リアクトルの出力側に並列接続され、前記複数台のヒステリシス電動機を複数のグループに分岐し、ヒステリシス電動機に並列給電する複数台の分岐スイッチと、
前記複数台のコンデンサ用の開閉器及び前記複数台の分岐スイッチの投入、開放指令を出力する負荷/コンデンサ投入制御器と、
前記インバータ装置及び前記負荷/コンデンサ投入制御器の制御を行うインバータ制御装置と
前記インバータ装置の出力電流を検出する電流検出器と
を具備し、
前記インバータ装置が前記複数台のヒステリシス電動機を定常運転中に、前記インバータ制御装置に保守リクエスト信号が与えられたとき、
前記負荷/コンデンサ投入制御器は、
前記電流検出器で検出される電流値が所定の閾値以上となるまで前記複数台のコンデンサ用の開閉器を次々と開放し、次に前記電流値が前記所定の閾値未満となるまで前記分岐スイッチを所定の時間経過後次々と開放し、これらを繰り返すことによって全てのコンデンサ用の開閉器及び分岐スイッチを開放するようにしたことを特徴とするヒステリシス電動機用ドライブ装置。
【請求項4】
故障または主回路停電が発生してから全てのコンデンサ用の開閉器及び分岐スイッチを開放するまでの処理時間を所定の閾値以内としたことを特徴とする請求項1に記載のヒステリシス電動機用ドライブ装置。
【請求項5】
保守リクエスト信号が与えられてから全てのコンデンサ用の開閉器及び分岐スイッチを開放するまでの処理時間を所定の閾値以内としたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のヒステリシス電動機用ドライブ装置。
【請求項6】
前記コンデンサ用の開閉器を開放する前に前記インバータ装置の出力電圧を絞るようにしたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のヒステリシス電動機用ドライブ装置。
【請求項7】
前記所定の時間は、全ての前記コンデンサ用の開閉器及び前記分岐スイッチの動作バラツキ時間を超える値としたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のヒステリシス電動機用ドライブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数台のヒステリシス電動機を並列駆動するヒステリシス電動機用ドライブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数台のヒステリシス電動機を負荷として駆動するヒステリシス電動機用ドライブ装置においては、リアクトルとコンデンサとから成る力率改善用のフィルタ装置を設けることが普通である。この理由は、ヒステリシス電動機の運転時の力率が極端に悪いためである。フィルタ装置を設けることによってドライブ装置に用いられるインバータの出力力率が改善され、インバータの容量が大幅に低減される。また、力率改善用のフィルタ装置によって出力の電圧波形が改善される効果もある。このような力率改善用のフィルタ装置を備えたヒステリシス電動機用ドライブ装置において、停電再起動時に不安定現象を生じさせないようにする手法が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−88863号公報(全体)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されたドライブ装置においては、主回路電源が復電したときの停電再起動時にヒステリシス電動機の力率が改善し、そのために力率改善用のフィルタ装置のコンデンサ容量が過補償となる点が指摘され、この対策が示されている。
【0005】
この停電再起動の場合、あるいはドライブ装置に用いるインバータの故障時若しくは保守時にはヒステリシス電動機がフィルタ装置用のコンデンサに接続された状態で切離されてフリーランとなる事象が生じる。このようなとき、フリーラン状態のヒステリシス電動機がコンデンサによって励磁され、端子電圧が急激に上昇する所謂過励磁現象が生ずる恐れがある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みて為されたもので、主回路停電を含むインバータの異常時若しくは保守時に、ドライブ装置の負荷が切り離されても、過励磁現象を抑制することが可能なヒステリシス電動機用ドライブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のヒステリシス電動機用ドライブ装置は、複数台のヒステリシス電動機を駆動するためのインバータ装置と、前記インバータ装置の出力側に直列接続されたリアクトルと、前記リアクトルの出力側に各々開閉器を介して並列接続された複数台のコンデンサと、前記リアクトルの出力側に並列接続され、前記複数台のヒステリシス電動機を複数のグループに分岐し、ヒステリシス電動機に並列給電する複数台の分岐スイッチと、前記複数台のコンデンサ用の開閉器及び前記複数台の分岐スイッチの投入、開放指令を出力する負荷/コンデンサ投入制御器と、前記インバータ装置及び前記負荷/コンデンサ投入制御器の制御を行うインバータ制御装置とを具備し、前記インバータ装置が前記複数台のヒステリシス電動機を定常運転中に、前記インバータ装置が故障するか、または前記インバータ装置が主回路停電となったとき、前記負荷/コンデンサ投入制御器は、前記複数台のコンデンサ用の開閉器を順次開放し、開放された各々のコンデンサ容量に見合う定格容量の前記分岐スイッチを各々所定の時間経過後開放して全てのコンデンサ用の開閉器及び分岐スイッチを開放するようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、インバータの異常時若しくは保守時にドライブ装置の負荷が切り離されても、過励磁現象を抑制することが可能なヒステリシス電動機用ドライブ装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例1に係るヒステリシス電動機用ドライブ装置のシステム構成図。
【
図2】本発明の実施例1に係るヒステリシス電動機用ドライブ装置の動作フローチャート。
【
図3】本発明の実施例2に係るヒステリシス電動機用ドライブ装置の動作フローチャート。
【
図4】本発明の実施例2の変形例に係るヒステリシス電動機用ドライブ装置の動作フローチャート。
【
図5】本発明の実施例3に係るヒステリシス電動機用ドライブ装置の動作フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
以下,本発明の実施例1に係る電動機用ドライブ装置を
図1及び
図2に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明の実施例1に係るヒステリシス電動機用ドライブ装置のシステム構成図である。インバータ装置2は交流電源1から供給される交流電圧をコンバータ21で直流に変換し、インバータ22で再び交流に変換して出力する。インバータ22の出力は切替開閉器3を介してリアクトル4とコンデンサバンク5から成るフィルタ装置が接続されている。コンデンサバンク5はN台の開閉器511、512、・・・、51Nとこれらの開閉器に夫々直列に接続されたN台のコンデンサ521、522、・・・、52Nとから構成されている。そしてコンデンサバンク5の出力側に分岐スイッチ61、62、・・・、6Nが並列に接続されている。分岐スイッチ61の出力にはヒステリシス電動機711、・・・、71Mが夫々接続されている。同様に分岐スイッチ62の出力にはヒステリシス電動機721・・・、72Mが夫々接続され、分岐スイッチ6Nの出力にはヒステリシス電動機731、・・・、7NMが夫々接続されている。個々のヒステリシス電動機731、・・・、7NMの入力にスイッチが設けられる場合もあるがここでは図示していない。
【0013】
また、切替開閉器3の他方の入力は交流電源1Aから給電されたインバータ装置2Aの出力が接続されている。インバータ装置2Aは基本的にインバータ装置2と同様の内部構成であり、インバータ装置2のバックアップ装置として機能している。尚、交流電源1Aは交流電源1と同一であっても良い。
【0014】
リアクトル4に流れる電流すなわちインバータ装置2または2Aの出力電流は電流検出器31で検出され、インバータ制御装置8に与えられる。インバータ制御装置8には上記のインバータ22の出力電流の他、インバータ22の出力電圧等が入力されているがそれらの図示は省略している。インバータ制御装置8はインバータ装置2の制御用であるが、このインバータ制御装置8によってインバータ装置2Aも同時に制御するように構成しても良い。インバータ制御装置8は、負荷/コンデンサ投入制御器9に対して投入/解放指令を与える。負荷/コンデンサ投入制御器9は与えられた指令に従って分岐スイッチ61、62、・・・、6N及び開閉器511、512、・・・、51Nの開閉制御を行う。
【0015】
図2は本発明の実施例1に係るヒステリシス電動機用ドライブ装置の異常処理に関する動作フローチャートである。この異常処理は、インバータ制御装置8が処理内容を決め、負荷/コンデンサ投入制御器9を動作させることによって行われる。以下、
図2に従って異常処理の内容を説明する。
【0016】
ステップS10でインバータ装置2が全てのヒステリシス電動機7を定常運転しているとき、ステップS11でインバータ装置2が異常となった場合を考える。インバータ装置2の異常とは、故障または主回路停電の何れかとする。尚、主回路停電とはインバータ装置の主回路に給電している電源が停電するなど給電が途切れることを意味する。故障または主回路停電が発生すると、ステップS12でコンデンサの一部または全部を開放する。すなわち、開閉器511、512、・・・、51Nの一部または全部に開放指令を与える。そしてステップS13において、S12で開放されたコンデンサ容量に見合う負荷を切り離す。すなわち分岐スイッチ61、62、・・・、6Nのうち、上記に見合う一部または全部に開放指令を与える。ここで重要なことは、ステップS12を実施後、所定の時間ΔT経過後にステップS13を実行することである。この理由は、コンデンサ用の開閉器51の動作遅れによって、コンデンサ用開閉器51が接続された状態で負荷を切り離すことを防止するためである。このΔTは、開閉器511、512、・・・、51N間の動作遅れ時間のバラツキ及び分岐スイッチ61、62、・・・、6Nの動作遅れ時間のバラツキ、更に開閉器51及び分岐スイッチ61の型式の違いによる動作遅れ時間のバラツキの総和の動作バラツキ時間より大きい値とする。これらの開閉器には通常電磁接触器が用いられるが、上記動作バラツキ時間は長くても100msのオーダーであるので、例えばΔT=1000msとしておけば充分である。
【0017】
すなわち、この実施例1によれば、インバータ装置2が異常となったとき、全てのコンデンサを切り離し、各々のコンデンサに対応した分岐スイッチを所定時間ΔT以上経過後に開放するようにする。ここでΔTは、全てのコンデンサ用開閉器及び分岐スイッチの動作バラツキ時間(最大の遅れ時間−最小の遅れ時間)を超える値とする。
【0018】
ステップS13終了後未開放のコンデンサがある場合は、ステップS14において残りのコンデンサ及び対応分岐スイッチを上記考え方に基づいて開放する。尚、ステップS14終了後、インバータ装置2の故障の場合はインバータ装置2Aによるバックアップ運転を、また主回路停電が復電した場合は、インバータ装置2またはインバータ装置2Aによる停電再起動を行うことになるが、
図2にはそれらの処理内容を図示していない。前者の場合、インバータ装置2Aによって交流電動機71を順次再接続したとき、インバータ装置2Aには定常時の電流以上の電流が所定の時間継続して流れることになる。この過負荷時間は
図2において一連の処理が終了するまでの時間に略比例する。また、後者の場合も同じ議論が成立する。従って、
図2においてステップS11でインバータ装置2が異常となってからステップS14で全てのコンデンサ及び負荷が切り離されるまでの処理時間を所定の閾値以内とし、インバータ装置2Aまたはインバータ装置2が過負荷トリップしないようにする必要がある。
【実施例2】
【0019】
図3は本発明の実施例2に係るヒステリシス電動機用ドライブ装置の異常処理に関する動作フローチャートである。
【0020】
ステップS10でインバータ装置2が全てのヒステリシス電動機7を定常運転しているとき、ステップS11Aでインバータ制御装置8に対し保守リクエスト信号が外部から発せられた場合を考える。この場合、インバータ装置2を即時停止して実施例1で示す
図2のフローチャートに従って異常処理を行うことも可能である。しかしながら、この場合はインバータ装置2は正常であり、主回路停電も発生していないので、インバータ装置2を動作させたままソフトにインバータ装置2を停止させることが可能となる。以下その内容について説明する。
【0021】
ステップS15において、kの初期値を1と設定する。そしてステップS12Aにおいて開閉器51kを開放することによってコンデンサ52kを開放する。そして時間ΔT経過後、分岐スイッチ6kを開放する。そしてステップS16で引数kに1を加え、ステップS17でk=NになるまでステップS12A、S13A、S16を繰り返す。ステップS17でk=Nになれば全ての開閉器51及び分岐スイッチ6が開放される。そこでステップS18でインバータ装置2を停止する。ステップS18でインバータ装置2を停止したあと、切替開閉器3をバックアップ電源であるインバータ装置2A側に切り替えればインバータ装置2の保守作業が可能となる。このときインバータ装置2Aを運転した状態で開閉器52及び分岐スイッチ6を順次投入して再接続することになるがこれらのフローチャート
図3上での図示は省略している。
【0022】
尚、この実施例2の場合も、
図3において保守リクエスト信号が与えられてからインバータ装置2が停止するまでの処理時間を所定の閾値以内とし、インバータ装置2Aが過負荷トリップしないようにする必要がある。
【0023】
図4は実施例2の変形例に係るヒステリシス電動機用ドライブ装置の異常処理に関する動作フローチャートである。
【0024】
図4の
図3との違いは、ステップS12Aのコンデンサ51k開放動作の前にステップS12Bとしてインバータ装置2の電圧絞りを挿入した点である。この変形例のように、コンデンサの開放動作の前にインバータ装置2の出力電圧を短時間絞って電圧を下げた状態でコンデンサを開放するようにすれば、コンデンサ開放による過渡擾乱を緩和でき、よりソフトな異常処理を行うことが可能となる。
【実施例3】
【0025】
図5は本発明の実施例3に係るヒステリシス電動機用ドライブ装置の異常処理に関する動作フローチャートである。
【0026】
実施例2の場合と同様、ステップS10でインバータ装置2が全てのヒステリシス電動機7を定常運転しているとき、ステップS11Aでインバータ制御装置8に対し保守リクエスト信号が外部から発せられた場合を考える。
【0027】
この実施例3の場合は、まず例えば開閉器511を開放することによってコンデンサ521を開放する。この場合、開放するコンデンサは何れか1台であるのでステップ12Cにコンデンサ1台開放と記してある。そして、ステップS19において、電流検出器31によって得られる電流が所定値以上になったかどうかチェックする。すなわち、コンデンサを1台開放することによって、インバータ装置2から見た負荷力率が悪くなり出力電流は増大する。この電流の増大が定められた所定の閾値に達したかどうかチェックする。そして、所定の閾値未満であれば再びステップS12Cに戻って更に1台、例えば開閉器512を開放する。そしてステップS19で電流検出器31によって得られる電流が所定値以上になったとき、ステップS13Bで分岐スイッチ1台、例えば分岐スイッチ61を開放する。このとき、コンデンサ512を開放して時間ΔT経過後とする。次にステップS20で全てのコンデンサ用開閉器51及び分岐スイッチ6が開放されたかをチェックする。ステップS20でNOの場合はステップS19に戻り、出力電流をチェックし、依然として出力電流が所定値以上であれば更にステップS13Bで分岐スイッチを1台開放し、S19で出力電流が減少して所定値満となった場合にはステップS12Cに戻ってコンデンサを1台開放する。このように所定の電流閾値を基準としてコンデンサ開放を優先し、電流が閾値を超えたとき負荷を開放することを繰り返すことによって最終的にはステップS20で全てのコンデンサ及び負荷が開放され、ステップS18でインバータ装置2を停止させる。
【0028】
この実施例3の場合も、実施例1、2と同様、
図4において保守リクエスト信号が与えられてからインバータ装置2が停止するまでの処理時間を所定の閾値以内とし、インバータ装置2Aが過負荷トリップしないようにする必要がある。
【0029】
また、この実施例3の場合も、実施例2の変形例と同様、コンデンサ開放の前にインバータ装置2の出力電圧を絞るようにすれば、コンデンサ開放による過渡擾乱を緩和でき、よりソフトな異常処理を行うことが可能となることは明らかである。
【0030】
以上、いくつかの実施例について説明したが、これらの実施例は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施例やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0031】
例えば、
図1はコンデンサ用開閉器51及び分岐スイッチ6がと共にN個の場合であるが、必ずしも同一である必要はない。また、各々の分岐スイッチ8で分割されたグループに接続されるヒステリシス電動機の数は同一のM台としたが、これも必ずしも同一数である必要はない。
【0032】
また、
図1ではコンデンサ52を分岐スイッチ6の入力側に配置しているが、これを出力側に配置しても良い。
【0033】
また、負荷/コンデンサ投入制御器9はインバータ制御装置8の内部に設ける構成としても良い。
【符号の説明】
【0034】
1、1A 交流電源
2、2A インバータ装置
21 コンバータ
22 インバータ
3 切換開閉器
31 電流検出器
4 リアクトル
5 コンデンサバンク
51、511、・・・、51N 開閉器
52、521、・・・、52N コンデンサ
6、61、・・・、6N 分岐スイッチ
7、711、・・・、71M、721、・・・、72M、731、・・・7NM ヒステリシス電動機
8 インバータ制御装置
9 負荷/コンデンサ投入制御器