(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231476
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】湾曲した金属板フロアを含む車両本体
(51)【国際特許分類】
B62D 33/02 20060101AFI20171106BHJP
B60P 1/28 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
B62D33/02 B
B60P1/28 Z
【請求項の数】18
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-521876(P2014-521876)
(86)(22)【出願日】2012年7月23日
(65)【公表番号】特表2014-526995(P2014-526995A)
(43)【公表日】2014年10月9日
(86)【国際出願番号】AU2012000867
(87)【国際公開番号】WO2013013260
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2015年7月6日
(31)【優先権主張番号】2011902965
(32)【優先日】2011年7月25日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】507324658
【氏名又は名称】デッカーソン,アラン,ウィリアム
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100129861
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 滝治
(74)【代理人】
【識別番号】100182176
【弁理士】
【氏名又は名称】武村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】デッカーソン,アラン,ウィリアム
【審査官】
梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−534356(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0018135(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 33/02
B60P 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の荷重担持本体であって、該荷重担持本体が、湾曲した金属板フロアと、その本体の対向する側面間にそのフロアが懸架されるように前記本体の前記側面に前記フロアを付設するフロア付設システムとを含んでおり、該フロア付設システムが複数の引っ張り部材を含んでおり、該引っ張り部材のそれぞれが、一方端において前記車両の前記本体の前記側面のうちの一つに結合され、他方端において前記フロアの側部縁端に結合されており、各引っ張り部材が、(a)前記フロアの縁端内の窪み、又は、(b)前記フロアの上側表面から下側表面に前記フロアを経由して延在する開口部、の内部に保持される結合要素を有しており、前記引っ張り部材が、前記フロアから前記本体のそれ以外の部分に力を伝達するための少なくとも主要手段であり、前記結合要素、及び前記窪み又は前記開口部が、二つの相互に垂直な方向における前記窪み又は前記開口部内での前記結合要素の旋回する動きを可能にして、前記フロア上における前記荷重の変動及び/又は製造ばらつきの結果として生じ得る前記フロアと前記本体のアライメントのばらつきに対応するように形成されている、本体。
【請求項2】
前記二つの相互に垂直な方向のうちの一つが、前記フロアの前記側部縁端における前記フロアの平面に対して垂直な方向である、請求項1に記載の本体。
【請求項3】
前記結合要素、及び前記窪み又は前記開口部が、前記フロアと前記本体の長手方向における前記フロアと前記本体のアライメントのばらつきに対応するように形成されている、請求項1又は2に記載の本体。
【請求項4】
前記引っ張り部材が細長い要素を含んでいる、請求項1から3のいずれか一項に記載の本体。
【請求項5】
前記結合要素と前記細長い要素が一体に形成されている、請求項4に記載の本体。
【請求項6】
前記結合要素と前記細長い要素が共に結合され得る別個の要素である、請求項4に記載の本体。
【請求項7】
前記結合要素が、前記フロアの縁端内の前記窪み内に受けられて該窪みの内部に保持される、ナットなどの形成体である、請求項1から6のいずれか一項に記載の本体。
【請求項8】
前記結合要素が、前記フロアの上部表面及び底部表面に関してその要素を位置決めして前記窪み内にその要素を保持する上部フランジ及び底部フランジを含んでいる、請求項7に記載の本体。
【請求項9】
前記結合要素が、前記フロアの対応する当接表面に係合して前記窪み内における前記結合要素の旋回する動きを可能にするように適合された少なくとも一つの当接表面を含んでいる、請求項7又は8に記載の本体。
【請求項10】
前記当接表面が、二つの相互に垂直な軸の周りで湾曲している、請求項9に記載の本体。
【請求項11】
前記窪みが切欠の形を有している、請求項1から10のいずれか一項に記載の本体。
【請求項12】
前記窪みが切り抜かれた区域の形を有している、請求項1から11のいずれか一項に記載の本体。
【請求項13】
前記切り抜かれた区域が鍵穴の形状である、請求項12に記載の本体。
【請求項14】
前記結合要素がクレビス及びクレビスピンのアセンブリであって、前記クレビスピンが、前記フロア内の前記開口部を経由して延在している、請求項1から6のいずれか一項に記載の本体。
【請求項15】
前記開口部が、前記フロアの近い方の側部縁端の少なくとも1mm内側に存在している、請求項14に記載の本体。
【請求項16】
前記引っ張り部材が前記本体及び前記フロアの一方又は両方に解除自在に結合され、前記フロアの取り替えが可能となっている、請求項1から15のいずれか一項に記載の本体。
【請求項17】
前記引っ張り部材が、板の厚さの中心線において、又は、該中心線の付近において、フロア板に対して引張荷重を印加している、請求項1から16のいずれか一項に記載の本体。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の荷重担持本体を含む車両であって、該荷重担持本体が、湾曲した金属板フロアと、そのフロアを本体のそれ以外の部分に付設するフロア付設システムとを有している、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湾曲した金属板フロアを含む車両本体に関するものである。
【0002】
本発明は、決して専らということはないが、特に、トラック又は鉄道貨車などの車両の荷重担持本体の支持フレームに、湾曲した金属板フロアを付設するためのシステムに関するものである。
【0003】
本発明は、特に、トラック及びトラック本体という文脈において以下に説明される。しかしながら、本発明がトラック及びトラック本体に限定されないことが強調される。
【0004】
本発明のフロア付設システムは、
- フロアの容易な設置及び取り替えをもたらす。
- 類似する本体間における幾何学的形状のバリエーションを可能にする。
- フロアから本体の構造への、荷重のより均一な伝達をもたらす。
- 設計により、フロアの可撓性を変動させることを可能にする。
【0005】
本発明のフロア付設システムは、特に、以下の用途に適する。
- トラック本体のフロアが、トラックの載荷動作中に高衝撃荷重に晒される。
- トラック本体のフロアが、高摩耗損傷の状況に晒される。
- トラックの動作寿命中に少なくとも一回は、フロアの取り替え又は補足的めっきが必要とされる。
【0006】
上記の状況は、典型的に、採鉱及び採石産業で使用されるトラックの多くの用途において生じる。これらの状況は、他の用途でも生じる。
【背景技術】
【0007】
殆どの採鉱及び採石用途において、トラック本体のフロアは、当該本体の主構造内に溶接された平板で構築される。より最近のトラック本体によっては、フロア板が湾曲しており、本体の主構造内に溶接されているものもある。
【0008】
板フロアは、本体の側面と、フロア板の下側の支持梁とに溶接される。フロア板は一般に、高強度耐摩耗鋼で製作される。
【0009】
採鉱トラックの本体は、典型的に極めて大きい。100トンを超える積載能力が一般的であり、最も大きなトラックでは、積載量が350トンよりも大きい。トラックの載荷動作中に、トラック本体のフロア上には直接、約100トンまでの積荷が数メートル上から落とされ得る。
【0010】
採鉱又は採石トラックに載荷される材料は、一つの鉱山においてさえも、自然界では広く変動し得る。一つの用途において、材料は、殆どが大きく、硬く、角が鋭利であって、極めて研磨性の高い岩石であり得る。別の用途において、積載材料は、極めて研磨性の高い、より小さく、より軟らかい岩石から成り得る。さらに別の用途において、積載物は、本体の部分に固着して、積荷傾斜(load tipping)動作中にも当該本体から完全に振り落とされない粘着性材料を高い割合で有し得る。典型的に、採鉱トラック本体、及び、特にフロアは、(主に積荷傾斜/投下動作中における)岩石の衝撃及び摩耗損傷と、担持された材料の粘着性との広いばらつきに対処可能でなければならない。
【0011】
採鉱トラックは、典型的に、少なくとも60,000動作時間の実用寿命を有することが期待されており、この時間中に、一台のトラックは、約300,000回の載荷-運搬-投下サイクルを経験し得る。
【0012】
鋼製のトラック本体のフロアの厚さは、典型的に、16〜50mmの範囲にある。
【0013】
約25mmよりも大きな厚さは、典型的に、基板と、当該基板の上部上に溶接される高硬度耐摩損鋼板とから製作される。この上部板は、フロアの全域にわたって均一に配置されるのではなく、むしろ、選択的に配置され得る。時として、フロア板の摩耗損傷を減らすために、離して配置された棒材が使用される。さらに、これらのフロア板の下には、多数の大きな支持梁が必要とされる。これらの梁は、大きな岩石がフロア上に落とされたときに、当該フロアの、過度に膨らんだタイプの永久変形を防止するために必要とされる。
【0014】
トラック本体のフロアの取り替え又は実質的修理は、典型的に、採鉱トラックの動作寿命中に少なくとも二回は必要とされる。この修理作業は、一般に、トラック本体を新規の本体若しくは修理済みの本体と交換すること、又は、トラックが工場内でかなり長い時間を費やすことを要する。多くの採鉱トラックにとって、トラック本体のフロアの修理は、著しくコストの嵩む項目である。
【0015】
平鋼板で製作されたフロアにまつわる課題及びコストを克服しようとして、トラック本体において懸架されたラバーフロアを使用することも、採鉱産業において確立されている。この場合、フロアは、本体の側面区域の基部において梁と梁との間に渡された多数のケーブルによって支持された、一片の一重厚のラバー又は二重厚のラバーシート材から成る。ケーブルは、鋼又はエラストマー材料の複数本の撚線で製作される。ケーブルは、吊橋のケーブルが「吊橋」の道路区域からの荷重を担持する方式と類似する方式で、当該ケーブル内の引張によって、本体における荷重からの鉛直力を担持するように働く。
【0016】
懸架されたラバーフロアの主な利点は以下の通りである。
- 積荷を投下するために本体を傾斜させたときに、粘着性材料を含有する湿った粘土が、当該本体により固着しにくい。
- フロアが摩損するか、又は、ひどく損傷を受けたときに、当該フロアを比較的迅速に取り替えることができる。
- 本体の自重が、時として、等価な容量を有する全鋼製本体の自重よりも小さい。
【0017】
粘着性(固着性)材料の振り落としの改善は、主に、積荷傾斜動作中におけるラバーフロアの撓みから生じる。
【0018】
懸架されたラバーフロアの欠点は以下の通りである。
- 初期購入コストが、全鋼製トラックの本体の初期購入コストよりも高い。
- フロア支持ケーブルの再調節が、(生じる永久伸張に応じて調節を行なうために)頻繁に必要とされる。
- 故障したか、又は、激しく損傷を受けたケーブルの、散発的で予測不可能な取り替えが必要とされる。
- ラバーフロアが、大きく鋭利な岩石によって引き裂かれ得る。
- フロアの取り替えが高価である。
【0019】
上記の困難により、本願出願人は、懸架されたラバーフロアの使用が、全採鉱用途の10%未満に限られてきたものと見ている。懸架されたラバーフロアの使用は、主に、固着性材料の振り落としを改善することが極めて重要である用途、及び/又は、本体のフロア上への補足的な耐摩損鋼めっきの廃止が大いに有益である用途に限られる。
【0020】
解析モデリング作業及び採鉱地の実証実験では、上で説明したフロアの代替案が、懸架された、湾曲した金属の(典型的に鋼であり、鋼という文脈で以下に説明する)、トラック本体のフロアであることが示された。
【0021】
任意の所与の用途において、湾曲した鋼板は、トラック本体の二つの側面においてのみ支持されており、それにより、当該湾曲した鋼板は、当該側面の支点と支点との間から下に湾曲しており、当該支点と支点との間で懸架される。
【0022】
懸架された、湾曲した鋼フロア板は、一般的な積荷収容機能を提供し、積荷からのフロア上への鉛直力を、トラック本体の支持フレーム内へ伝達される引張力に伝達する、引張部材として働く。支持フレームは、本体の側面の基部において梁を備える。懸架された、湾曲した鋼フロア板が、主として当該板の内部の引張力によって、積載物から生じる力を担持するため、当該湾曲した鋼フロア板は、時として、鋼メンブレンフロアと称されてきた。しかしながら、実際に、当該板が(摩耗損傷に対抗して長寿命をもたらすのに必要とされる厚さから生じる)曲げ剛度を有すること、担持される積荷の配置に高い変動性があること、及び、場合によっては、フロアの縁端上の荷重伝達点が偏心していることは、この懸架された、湾曲した鋼フロア板もまた、中程度の曲げ荷重に晒されることを意味する。懸架された、湾曲した鋼フロア板は、酷く過荷重の状態にならない限り、その初期形状から小さな変化しか経験しない。
【0023】
縁端が支持された、いくつかの湾曲した鋼板フロアは、1996年及び1997年における長期の採鉱地の実証実験において、成功裏に作動した。これらのフロアシステムは、ほぼ180トンの定格積載能力を有する、大きな採鉱用後方ダンプトラックのためのものであった。
【0024】
しかしながら、今日まで、縁端が支持された、湾曲した鋼板フロアは、採鉱トラック又は他の用途に対して商業的に採用されていない。本願出願人は、この技術が採用されなかった主な理由が以下のものであると考える。
- 本体の支持フレームとフロア板との間の付設システムを製造するコスト。
- フロア板の取り替えが必要とされるときに、フロア板上の当接棒材とフレーム上の相手棒材との間の、良好で均一な接触を得ることが困難であること。
- このフロアの、固着性材料を振り落とす能力性が定かではないこと。
【0025】
本願出願人は、トラック又は鉄道貨車などの車両の荷重担持本体に、湾曲した金属板フロアを付設するシステムを発明した。このシステムは、本願出願人の名前で豪州特許第2006228988号において記載及び権利主張されており、この特許の特許明細書の開示内容は、相互参照により本明細書に組み込まれている。このシステムは、対向端において、(a)フロア板、及び、(b)車両の本体、に直接的又は間接的に連結された一連の引っ張り部材を含み、これらの引っ張り部材は、フロア板から本体に力を伝達するための少なくとも主要手段である。この特許は、当該引っ張り部材の特定の形について記載している。
【0026】
本願出願人は、トラック又は鉄道貨車などの車両の荷重担持本体に、湾曲した金属板フロアを付設する代替的システムを発明した。本明細書は、この代替的システムについて記載する。
【0027】
上記の説明は、豪州又はその他の地域における一般常識の承認であるものとして扱われるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
一般的な観点において、本発明は、トラック又は鉄道貨車などの車両の荷重担持本体に湾曲した金属板フロアを付設するシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0029】
より特定的に、本発明は、車両用の荷重担持本体を提供し、当該荷重担持本体は、湾曲した金属板フロアと、当該本体の対向する側面間に当該フロアが懸架されるように当該本体の当該側面に当該フロアを付設するフロア付設システムとを含んでおり、当該フロア付設システムは複数の引っ張り部材を含んでおり、当該引っ張り部材のそれぞれは、一方端において当該車両の当該本体の当該側面のうちの一つに結合され、他方端において当該フロアの側部縁端に結合されており、各引っ張り部材は、(a)当該フロアの当該縁端内の窪み、又は、(b)当該フロアの上側表面から下側表面に当該フロアを経由して延在する開口部、の内部に保持される結合要素を有しており、当該引っ張り部材は、当該フロアから当該本体のそれ以外の部分に力を伝達するための少なくとも主要手段である。
【0030】
本発明の文脈における「引っ張り部材」という用語は、当該部材の引張荷重を付与及び除去する機構により、車両本体のフロア以外の部分を基準とした、当該フロアの動きを可能にする部材を意味するものと理解される。これは、フロアの縁端と車両本体の隣接する部分との間のいかなる動きをも防止する剛性クランプ留めが存在する場合に動作する機構とは異なる。
【0031】
「当該引っ張り部材は、当該フロアから当該本体のそれ以外の部分に力を伝達するための少なくとも主要手段である」という上記の言及における「主要手段」という用語は、当該フロアから当該本体のそれ以外の部分に力を伝達する他の要素が存在し得るものの、当該引っ張り部材が、当該フロアと当該本体のそれ以外の部分との間における力の伝達のうちの、少なくとも60%、典型的には少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは全てをもたらすように意図されることを意味するものと、本明細書では理解される。
【0032】
当該結合要素と当該窪み/開口部とは、当該窪み/開口部内における当該結合要素の旋回する動きを可能にして、当該フロア上における当該荷重の変動、及び/又は、アライメントの製造ばらつきの結果として生じ得る、二つの相互に垂直な方向における当該フロア及び当該本体のミスアライメントに対応するように形成され得る。当該二つの相互に垂直な方向における、当該フロアを基準とした、当該結合要素の、結果的に生じる旋回する動きは、二つの重要な用件を満たす。一つの要件とは、当該フロア上の荷重の変動の結果としての幾何学的形状の変化に対応することである。もう一つの結果とは、製造中のアライメントの変化に対応することである。例として、これらの製造アライメントの問題は、フロアを製作する、隣り合う板の部分的重複又は製造寸法のばらつきの結果であることが考えられる。
【0033】
当該結合要素と当該窪み/開口部とは、当該フロア上における当該荷重の変動、及び/又は、アライメントの製造ばらつきの結果として生じ得る、二つの相互に垂直な方向における当該フロア及び当該本体のミスアライメントに対応するように形成され得る。
【0034】
当該結合要素と当該窪み/開口部とは、当該フロア上における当該荷重の変動、及び/又は、アライメントの製造ばらつきの結果として生じ得る、当該フロアの当該側部縁端における、当該フロアの平面に対して垂直な方向の当該フロア及び当該本体のミスアライメントに対応するように形成され得る。
【0035】
当該結合要素と当該窪み/開口部とは、当該フロア上における当該荷重の変動、及び/又は、アライメントの製造ばらつきの結果として生じ得る、当該フロア及び当該本体の長手のミスアライメントに対応するように形成され得る。
【0036】
当該本体の各側面は、長手梁を含み得、当該結合要素と窪み/開口部とは、当該フロア上における当該荷重の変動、及び/又は、アライメントの製造ばらつきの結果として生じ得る、当該本体の当該長手梁及び当該フロアの長手のミスアライメントに対応するように形成され得る。
【0037】
「当該フロア及び当該本体の長手のミスアライメント」並びに「当該本体の当該長手梁及び当該フロアの長手のミスアライメント」という用語は、当該本体の前向き-後ろ向きの方向におけるミスアライメントを意味するものと、本明細書では理解される。
【0038】
当該引っ張り部材は、細長い要素を備え得る。
【0039】
当該結合要素及び当該細長い要素は、一体に形成され得る。
【0040】
当該結合要素及び当該細長い要素は、共に結合され得る別個の要素であり得る。
【0041】
当該結合要素は、当該フロアの当該縁端内の当該窪み内に受けられて当該窪みの内部に保持される、ナットなどの形成体であり得る。
【0042】
当該結合要素は、当該フロアの上部表面及び底部表面に関して当該要素を位置決めして当該窪み内に当該要素を保持する、上部フランジ及び底部フランジを含み得る。
【0043】
当該結合要素は、当該フロアの対応する当接表面に係合して、当該窪み内における当該結合要素の旋回する動きを可能にするように適合された、少なくとも一つの当接表面を含み得る。
【0044】
当該当接表面は、二つの相互に垂直な軸の周りにおいて湾曲し得る。
【0045】
当該窪みは、切欠の形を有し得る。
【0046】
当該窪みは、切り抜かれた区域の形を有し得る。
【0047】
当該切り抜かれた区域は、鍵穴の形状であり得る。
【0048】
当該結合要素は、クレビス及びクレビスピンのアセンブリであり得、当該クレビスピンは、当該フロア内の当該開口部を経由して延在している。
【0049】
当該開口部は、当該フロアの近い方の側部縁端の少なくとも1mm内側に存在し得る。
【0050】
当該引っ張り部材は、当該本体及び当該フロアの一方又は両方に解除自在に結合されて、当該フロアの取り替えを可能にし得る。
【0051】
当該引っ張り部材は、当該本体の当該長手梁及び当該フロアの一方又は両方に解除自在に結合されて、当該フロアの取り替えを可能にし得る。
【0052】
当該引っ張り部材は、調節自在な長さを有し得る。
【0053】
当該引っ張り部材は、当該板の厚さの中心線において、又は、当該中心線の付近において、当該フロア板に対して引張荷重を印加し得る。当該引っ張り部材は、当該フロア板の厚さの中心線を基準として、当該板の厚さの10%以内のところにある作用線に沿って、当該フロア板に引張荷重を印加し得る。
【0054】
当該引っ張り部材、及び、典型的には、引っ張り要素は、それらの直径よりも著しく大きい無支持長を有し得る。たとえば、無支持長は、当該部材の直径の少なくとも二倍、典型的には少なくとも四倍、より典型的には少なくとも六倍であり得る。この長い無支持長は、引っ張り部材の撓みを可能にして、生じ得るアライメントのあらゆる変化に対応することを助け、また、当該無支持長は、当該引っ張り部材の両端において必要とされる旋回の角度も減少させる。別の利点とは、当該無支持長が、当該フロアシステムの可撓性も増加させることである。当該引っ張り部材の長い無支持長は、当該フロア板上への鉛直荷重の付与が変化するのに伴い、当該フロア板の鉛直の動きも増大させる。当該フロア板の鉛直の動きの増大は、その他の態様であれば当該荷重担持本体の角部の回りに累積するであろう固着性材料が離脱することを補助する。
【0055】
本発明は、上で説明した荷重担持本体を含む車両も提供し、当該荷重担持本体は、湾曲した金属板フロアと、当該フロアを当該本体のそれ以外の部分に付設するフロア付設システムとを有している。
【0056】
当該フロアは、当該フロアの当該側部縁端に沿って間隔を置いて、上で説明した複数の窪みを備え得る。
【0057】
当該フロアは、当該フロアの当該側部縁端に沿って間隔を置いて、当該フロアの上側表面から下側表面に当該フロアを経由して延在する、上で説明した複数の開口部を備え得る。
【0058】
当該開口部は、当該フロアの近い方の側部縁端の少なくとも1mm内側に存在し得る。
【0059】
本発明は、湾曲した金属板フロアであって、当該フロアの当該側部縁端に沿って間隔を置いて、上で説明した複数の窪みを含む、湾曲した金属板フロアも提供する。
【0060】
本発明は、湾曲した金属板フロアであって、当該フロアの当該側部縁端に沿って間隔を置いて、当該フロアの当該上側表面から当該下側表面に当該フロアを経由して延在する、上で説明した複数の開口部を含む、湾曲した金属板フロアも提供する。
【0061】
当該開口部は、当該フロアの近い方の側部縁端の少なくとも1mm内側に存在し得る。
【発明の効果】
【0062】
この発明の利点のいくつかは以下の通りである。
- 当該湾曲した金属フロア上に、別個の溶接された当接板又は固定板が存在しない。
- 製造コストが下がる。
- 用途によっては、より高硬度の(より耐摩損性の)フロア板を使用することができる(溶接の要件がないため)。
- 引っ張り部材からの力が、板の厚さの中心線上に、又は、当該中心線のごく近傍に作用する。
- 用途によっては、より薄いフロアが可能になる(引っ張り部材によって誘発される曲げモーメントが無視できるものであり、より低い作用応力レベルを必要とする溶接が廃止されるため)。
- このシステムは、引っ張り部材の作用線がフロアの縁端に対して垂直から著しく外れた状態で、(鉛直方向及び長手方向の両方において)機能する。
- 部分的に重複するフロア区分の使用を-引っ張り部材の外側端については線形配列が行なわれる状態で-可能にする(当該区分を共に突合せ溶接するのではなく)。
- フロア区分の長さにわたり、(部分円錐形の区域を製作するために)フロアの曲率半径を変化させることを可能にする。
【0063】
以下の図を含む添付の図面を参照して、本発明を例としてさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】上で説明したような、縁端が支持された、湾曲した金属板フロアの原理を示す図である。
【
図2】担持位置にあるトラック本体であって、本発明による、当該本体の湾曲した金属板フロアを当該本体のそれ以外の部分に付設するためのシステムの一実施形態を含むトラック本体を有するトラックの側面図である。
【
図3】
図2に示すトラックであって、トラック本体が荷降ろし位置にある状態のトラックの側面図である。
【
図4】
図2及び
図3に示すトラックのトラック本体の平面図である。
【
図5】
図4の線5-5に沿った断面図であり、
図2〜
図4に示すトラック本体のフロアを支持する梁構造の配列及びフロア付設システムを示す図である。
【
図6】
図5で「B」と記された円によって表された領域の詳細図であり、
図2〜
図4に示すトラック本体のフロア付設システムを示す図である。
【
図7】
図2〜
図4に示すトラック本体のフロア付設システムの部分を形成する、フロアの側部縁端内の窪みの形状を示す、本体のフロアの部分平面図である。
【
図8】
図7で円「C」によって表された領域の詳細図である。
【
図9】
図2〜
図4に示すトラック本体のフロア付設システムを簡略化した形で示す、上方からの部分斜視図である。
【
図10】
図2〜
図4に示すトラック本体のフロア付設システムを簡略化した形で示す、下方からの部分斜視図である。
【
図11】
図4の「A」と記された円によって表された領域の詳細図であり、
図2〜
図4に示すトラック本体のフロア付設システムを示す図である。
【
図13】
図12の円「C」によって表された領域の詳細図である。
【
図14】
図2〜
図4に示すトラック本体のフロア付設システムの部分を形成する結合要素の三つの図を提示する図である。
【
図15】
図2〜
図4に示すトラック本体のフロア付設システムの結合要素を保持するためのシステムの上側部分を示す、上方からの部分図である。
【
図16】
図2〜
図4に示すトラック本体のフロア付設システムの結合要素を保持するためのシステムの上側部分をより完全に示す、上方からの部分斜視図である。
【
図17】
図2〜
図4に示すトラック本体のフロア付設システムの結合要素を保持するためのシステムの下側部分をより完全に示す、下方からの部分斜視図である。
【
図18】本発明による、車両の本体の湾曲した金属板フロアを当該本体のそれ以外の部分に付設するためのシステムの、唯一の別の実施形態ではないが、別の実施形態の斜視図である。
【
図19】
図19に示す結合システムの、より詳細を示す二つの線図を提示する図である。
【
図20】
図18及び
図19に示す結合要素が、
図2〜
図4に示すトラック本体のフロアの縁端を基準として、長手方向及び上向き/下向き方向の両方において、どのように連接をもたらし得るかを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本発明の以下の説明は、トラック及びトラック本体という文脈で行なわれる。上で注記したように、本発明は、あらゆるタイプの車両にまで及ぶ。
【0066】
図1は、トラック本体の、縁端が支持された、湾曲した鋼板フロア10の原理を示す。図示されたフロア10は、典型的には、12〜50mmの厚さであり、4〜10トンの重量であって、一定の又は変化する半径Rに丸められる。フロア10は、当該フロア10の側部縁端12においてのみ支持される。フロア10によって生じる縁端力Fは、フロア10の縁端に対して接線方向に作用する。フロア10の曲率により、接線は、水平の上方に角度(θ)をなして存在する。接線力の鉛直成分(F×sinθ)は、フロア10の重量と当該フロア10によって担持される積載物の重量(W)とを加えたものに釣り合う。
【0067】
殆どの用途では、及び、特に採鉱トラックの用途では、積載物についての重心ができるだけ低くなるように、フロア板に対して最大の実用曲率半径を有することが望ましいが、その理由は、積載物についての重心の高さを増大させると、トラックの安定性が低下し、コーナリング、制動などの間に、トラックのコンポーネントのうちの多くのコンポーネントにかかる応力を増大させるためである。
【0068】
縁端が支持された、湾曲した鋼板フロア10は、以下についての可能性をもたらす。
- トラックの製造コストを上昇させずに、トラックの自重をより低下させる。
- トラック本体のフロアの取り替えが、迅速で低コストになる。
- 従来の剛性を有する全鋼製本体に比較して、粘着性(固着性)材料の振り落としが改善される。
【0069】
図2及び
図3に示すトラックは、露天掘鉱山において採掘された鉱石及び廃棄材料を運搬するための使途に好適である。採掘される鉱石は、鉄鉱石及び石炭などの任意のタイプの鉱石であり得る。
【0070】
トラックは、車輪が装着されたシャーシと、キャビンと、包括的に数字2によって識別される、採掘された材料を収容するためのトラック本体とを含む。本体2は、対向する側面と、前端と、後端とを有する。本体2は、それぞれ
図2及び
図3に示す担持位置と荷降ろし位置との間で旋回する動きを行なうために、トラックのシャーシ上で支持される。本発明は、
図2及び
図3に示すトラックの特定の構成に限定されない。
【0071】
本体2は、共に溶接されて、本体2の支持フレームを規定する、横手梁30と長手梁31及び32との群列を含む。内側の対の長手梁31は、当該梁及びシャーシ上の旋回結合装置を介して、並びに、トラックのシャーシと本体との間の支持パッド27を介して、トラックの当該本体2から当該シャーシに荷重を伝達する。
【0072】
本体2は、最も外側の長手梁32から上向きに延在する側壁28、前壁34、及び天蓋36も含む。側壁28、前壁34、及び天蓋36は、平板鋼で製作される。
【0073】
本体2は、当該本体2の対向する側面の間において懸架される、湾曲した金属板フロア10も含む。
【0074】
本体2は、本発明による、湾曲した金属板フロア10用の付設システムの一実施形態も含む。当該システムは、本体2の最も外側の長手梁32にフロア10を結合し、それによって本体2の側面間にフロア10を懸架する。
図4及び
図5は、横手梁及び長手梁の配列をより詳細に示す。
図5及び
図6は、最も外側の長手梁32へのフロア10の付設を示す。フロア10は、所定の半径Rを有するように丸められるか、又は、その他の態様で形成された鋼板で製作される。この半径は、フロア10の幅にわたって一定であり得、又は、変化し得る。半径Rは、フロアの長さに沿って変化もし得る。フロア10は、上部表面60及び底部表面62を含む。フロア10は、当該フロア10の側部縁端40に沿って間隔を置いて、複数の窪み48を含む(
図7及び
図9〜
図11)。
【0075】
以下により詳細に説明するように、窪み48は、本発明によるフロア付設システムの一実施形態の部分を形成する。
【0076】
図7及び
図8を特に参照すると、各窪み48は、フロア10の側部縁端40から内向きに延在する第1の喉状区域50と、より大きな主区域52とを有する鍵穴の形をとる。主区域52は、喉状区域50から外向きに延在し、側部縁端40から内向きに延在し、湾曲した表面-主区域52の内部から見て凹状の表面である-を規定する、フロア10の一対の当接表面56によって部分的に規定される。当接表面56は、上部表面60及び底部表面62に対してほぼ垂直である-
図13を参照されたい。
【0077】
図6及び
図9〜
図11を参照すると、これらの図が示すフロア付設システムの実施形態は、数字38によって包括的に識別され、一方端においては最も外側の長手梁32に結合され、他方端においてはフロア10の側部縁端40に結合されている、一連の引っ張り部材も含み、当該引っ張り部材は、フロアから本体に力を伝達するための少なくとも主要手段である。引っ張り部材38は、フロア10の上部表面60と底部表面62との間におけるフロア10の厚さの中心線において、又は中心線の近傍において、フロア10に引張荷重を印加する。
【0078】
各引っ張り部材38は、(a)一方端において頭部44と他方端においてねじ山とを有するボルトの形をとった細長い要素42、及び、(b)当該細長い要素42のねじ付き端を受け得るねじ付き穴76を有するナットの形をとった別個の結合要素46を備える。
【0079】
結合要素46は、当該結合要素46が、フロア10の側部縁端40内の窪み48の主区域52の内部に保持され得るように形成される。
【0080】
結合要素46及び窪み48は、フロア10上における荷重の変動及び/又は製造アライメントの変動の結果として生じ得る、二つの相互に垂直な方向における、フロア10及び本体2のミスアライメントに対応するように形成される。一方の方向は、フロア10の側部縁端40における、フロア10の平面に対して垂直な方向であり、他方の方向は、本体2の長手方向である。フロア10の側部縁端40における、フロア10の上部表面60又は底部表面62は、フロア10の平面であるものと、本明細書では理解される。フロア10の平面に対して垂直な方向におけるミスアライメントは、フロア10内の窪み48内の対応する表面上において鉛直方向に丸まっている、結合要素46上の当接表面74上の半径141によってもたらされる。本体2の長手方向におけるミスアライメントは、結合要素46上の半径143とフロア10内の窪み48内の当接表面の半径56との間の回転摺動によってもたらされる。
【0081】
図5、
図6、及び
図12を特に参照すると、最も外側の長手梁32のそれぞれは、当該梁のそれぞれ外側側壁80及び内側側壁82内においてアライメントされた開口部を有する、中空の箱状区域である。各引っ張り部材38は、頭部44が旋回回転タイプの座金アセンブリ441を介して壁80に係合する状態で、細長い要素42が開口部を経由して延在するように位置付けられ得る。
【0082】
図13及び
図14を特に参照すると、各結合要素46は、フロア10の上部表面60及び底部表面62に関して結合要素46を位置決めして、窪み48内に当該結合要素を保持する、一対の上部フランジ70及び底部フランジ72を有する。各結合要素46は、フランジ70とフランジ72との間に一対の当接表面74(
図14)も含む。当接表面74は、フロア10の当接表面56と係合する。当接表面74は湾曲した表面であり、湾曲部は、結合要素46内の雌ねじ付き穴76に関して外向き及び後ろ向きに延在している。当接表面74は、結合要素46の上部フランジ70と底部フランジ72との間において凸状でもある-
図14を参照されたい。したがって、結合要素46の各当接表面74は、二つの相互に垂直な軸の周りにおいて湾曲している。
【0083】
フロア10の当接表面56及び結合要素46の当接表面74の湾曲した表面は、二つの方向における、結合要素46とフロア10との間のアライメントの限られた相対的変化に対応することができる。この動きは、旋回回転する動きとして説明され得る。この旋回回転する動きは、細長い要素42に容認不可能な曲げを強いることなく、本体2のフロア10以外の部分を基準とした、二つの方向における、フロア10の限られた動きを可能にする。担持位置にあるトラック上に位置決めされたトラック本体2の文脈において、これらの方向のうちの一方の方向は、前向き/後ろ向き(すなわち、長手)の方向として説明され得、他方の方向は、上向き/下向きの方向として説明され得る。
【0084】
使用時には、以下の連続するステップが、フロア10を、本体2のそれ以外の部分内の必要とされる位置に懸架する。最初のステップは、
図15に示すように、フロア10の窪み48の主区域52内に各結合要素46を位置付けることである。主区域52は、結合要素46よりも僅かに大きく、結合要素46が主区域52内に位置決めされることを可能にする。一列に並んだ結合要素46がそれぞれの窪み48内に一旦位置決めされると、結合要素46の内面131の近傍に、上部保持板86及び底部保持板88が位置付けられて、窪み48内に結合要素46を保持し、図示するように、結合要素46は、当該結合要素46の保持フランジ70、72がフロア10の上部表面60及び底部表面62の上方及び下方に位置決めされるように、当該フロアの側部縁端40に向けて外向きに付勢される。保持板86及び88は、当該保持板86及び88内の開口部を経由して、並びに、フロア10内の開口部87も経由して延在する複数のボルト90によって、フロア10に保持される。上部保持板86及び底部保持板88の輪郭、並びに、結合要素46を基準とした当該保持板のこの位置付けにより、フロア10を基準とする結合要素46の、以前に説明した旋回回転する動きに対して充分なクリアランスが可能にされる。保持板86及び88は、結合要素46の取り囲まれた部分の周囲において、高粘度グリースを保持することもできる。フロア10及び結合要素46のアセンブリは、次いで、本体2内まで持ち上げられて、当該本体2内の必要とされる位置に、安全な態様で支持される。この時点で、最も外側の長手梁32の壁80、82内の開口部を経由して、細長い要素42が挿入され、結合要素46のねじ付き開口部内へと、ねじ付き端が回転される(
図6、
図16、及び
図17)。本体2内の定位置にフロア10を適切に懸架するために、細長い要素42及び結合要素46の、必要とされる引張が行なわれる。フロア10の高さであって、本体2のその他の部分を基準としたフロア10の高さは、最も外側の長手梁32に付設された当接板89の底部表面と上側保持板86との間の接触によって制御される(
図6を参照されたい)。この時点で、フロア10用の外部支持を取り除くことができ、本体2内へのフロア10の組み付けが完了する。
【0085】
図18、
図19、及び
図20に示すフロア付設システムの実施形態は、当該システムが以下の点において、
図5〜
図17に示す実施形態に類似する。
【0086】
(a)フロア10から本体2に力を伝達するための少なくとも主要手段である、細長い要素42を含み、
(b)本体2のフロア10と結合要素182との間において、旋回回転する動き、すなわち、複数の方向における動きを可能にする。
【0087】
図18、
図19、及び
図20に示すシステムは、
図5〜
図17に関して説明した実施形態の窪み48の代わりに、フロア10の上部表面60から底部表面62にフロア10を経由して延在する複数の開口部92を含む。
【0088】
このシステムは、(a)上で説明した細長い要素42、並びに、(b)クレビス、クレビスピン、及びブシュのアセンブリの形をとった結合要素46、を含む引っ張り部材38も含む。各アセンブリは、細長い要素42用のねじ付き開口部を有するクレビス96と、クレビスピン98と、樽形状のブシュ102とを備え、クレビスピン98及び樽形状のブシュ102が、フロア10内の開口部90を経由して延在している。
【0089】
クレビスピン98は、ねじ付きボルトの形をとり得る。クレビスピンは、樽形状のブシュ102を介して、フロア10を経由して延在する開口部92の側面と係合する。ブシュの樽形状は、フロア10を基準とした、長手方向及び上向き/下向きの方向の両方における、結合クレビス96の回転を可能にする(
図20)。
【0090】
円筒形状のエラストマー封止物104は、フロア10を基準として鉛直方向に、結合クレビス96の中心を出す。封止物のエラストマー材料のコンプライアンスは、結合クレビス96が、フロア10を基準として、上向き/下向きの方向に回転することを可能にする。このエラストマー封止物は、樽形状のブシュ102の周囲の空間内に潤滑グリースを保持して、研磨性材料がこの空間内に侵入することも防止する。
【0091】
本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、上で説明したような好ましい実施形態に対し、多くの変更を行なうことができる。
【0092】
例として、
図5〜
図17に示す結合部材の実施形態が、別個の細長い要素42及び結合要素46を備えているものと説明されているが、本発明が、そのように限定されず、これらの二つの要素42、46が一体に形成されている構成体にまで及ぶことに留意されたい。