【課題を解決するための手段】
【0017】
この本発明の課題を解決するために、印刷ステンシルの製造方法およびこのような方法で製造された印刷ステンシルが、独立請求項に記載されている。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態に関する。
【0018】
本発明は、従来のレーザ切断方法で知られているような、くり抜かれる担体層開口部の縁部に沿って広い範囲で、フォーカスされたレーザ光を用いて担体層の担体層開口部が担体層から切り抜かれるのではなく、デフォーカスされたレーザ光を用いてくり抜き加工する、すなわち打ち抜き照射("herausschiesen")するというアイデアに基づいたものであり、ここでレーザ光は(通常行われるようには)フォーカスされず、担体層開口部の幅に依存してデフォーカスされる。
【0019】
とりわけ本発明のアイデアは、担体層の表面のレーザ入射位置でのデフォーカスされたレーザ光の断面が、担体層開口部の幅に依存して選択された幅を有し、実質的に、従来の方法の場合のようにフォーカス点に集光されていない。
【0020】
この本発明による基本的なアイデアに基づいて、1個のレーザ光パルスまたは適宜複数のレーザ光パルスを担体層の位置に用いて、対応した幅の担体層開口部のくり抜き加工あるいは「打ち抜き照射」を行うことができ、これらのレーザ光パルスの断面は実質的にデフォーカスされたレーザ光の断面に対応している。このようにして印刷ステンシルの製造を容易かつ安価に時間効率良く行うことができる。これは担体層開口部が、くり抜かれるこの担体層開口部の周囲に沿ってフォーカスされたレーザ光によって切り抜かれなければならないという、時間のかかる方法によるのではなく、既に1つ以上のレーザ光パルスを用いて20μm〜100μmの範囲の幅で、担体層開口部がくり抜かれあるいは「打ち抜き照射」することができるためである。ここで、従来の方法に対して、大幅な時間節約が行われ、この時間節約は1桁の%の領域でなく10〜80%の領域で行われて、印刷ステンシルの製造を加速できることを意味している。
【0021】
好ましくは、担体層の表面のレーザ入射側の位置でのデフォーカスされたレーザ光の断面の幅は、くり抜かれる担体層開口部の所望の幅よりわずかに小さい(担体層の厚さおよび材料により約50%〜90%)ことが好適である。これはレーザ光によって持ち込まれる熱エネルギーによって、くり抜かれた担体層開口部が、使用されるデフォーカスされたレーザ光の断面より大きくなるためである。
【0022】
本発明の第1の態様によれば、基板の上に印刷パターンを取り付けるためのテクニカル印刷用の印刷ステンシルの製造方法が提案され、以下のステップ、印刷ステンシルの担体層を準備するステップと、この印刷ステンシルの担体層の下にある、とりわけ5μmより大きな層厚を有するパターン層を準備するステップと、印刷層において長く引き延ばされた、あるいは長手方向に延びた印刷パターンの少なくとも一部に対応した印刷開口部をレーザ光パルス加工するステップと、この担体層における担体層開口部を印刷像開口部の領域でくり抜き加工するステップとを備え、印刷媒質がこれらの担体層開口部および印刷像開口部を通って基板に塗布される。
【0023】
本発明による方法は、
20μm〜800μmの厚さを有する印刷ステンシルの担体層における、担体層開口部のくり抜き加工の際に、くり抜かれる担体層開口部の幅に依存してデフォーカスされたレーザ光が用いられ、すなわち実質的に担体層の表面の位置にないレーザ光、すなわちこの担体層のわずかに上側あるいは下側にあるフォーカス点に、従来のように集光されたレーザ光を用いるのではなく、担体層の表面の位置で実質的にデフォーカスされており、とりわけ担体層の表面の位置で10μmより大きい幅の断面を有し、好ましくは20μmの幅の断面を有するレーザ光が用いられることを特徴とする。すでの上記に示したように、こうして印刷ステンシルの製造を容易にかつ安価および時間効率良く行うことができる。これは担体層開口部が、この担体開口部の周囲に沿ってフォーカスされたレーザ光によって切り出されなければならないという、時間のかかる方法によるのではなく、既に1個のあるいは複数個のレーザ光パルスを用いて幅広の担体層開口部がくり抜き加工あるいは「打ち抜き照射」されることができることによる。
【0024】
好ましくは、担体層開口部のくり抜き加工の際にレーザ装置が利用される。このレーザ装置はフォーカス装置を含み、レーザ光をレーザ光パルスで出力し、このフォーカス装置を用いて、このレーザ光を担体層の表面の位置で、くり抜かれる担体層開口部の幅に依存してデフォーカスされる。ここで、パルス化したレーザ光を出力するパルスレーザ装置が使用されてもよく、また連続したレーザ光を出力するレーザ源を含み、周期的に開口あるいは閉鎖されるシャッタ装置で制御され、とりわけ高周波数で開口あるいは閉鎖するシャッタ装置で制御されるレーザ装置が使用されてもよい。
【0025】
好ましくは、このレーザ装置は、担体層の表面の位置でのレーザ光の断面の幅が、1つ以上のレーザ光パルスを用いてくり抜かれる担体層開口部の幅の50%〜95%を有する。すなわち上述したように、好ましくは、担体層の表面のレーザ入射側の位置でのデフォーカスされたレーザ光の断面の幅は、くり抜かれる担体層開口部の所望の幅よりわずかに小さい(担体層の厚さおよび材料により約50%〜90%)ことが好適である。これはレーザ光によって持ち込まれる熱エネルギーによって、くり抜かれた担体層開口部が、使用されるデフォーカスされたレーザ光の断面より大きくなるためである。
【0026】
好ましくは、この担体層開口部のくり抜き加工は、印刷像開口部の長手方向に延在する担体層開口部の列のくり抜き加工を含み、ここで1つの担体層開口部のくり抜き加工の後で、担体層に対し2個の続いたレーザ光パルスの間で相対的に、かつ後続のくり抜かれる担体層開口部の位置に対して印刷像開口部の長手方向で、レーザ光の位置が移動される。これは、レーザの位置が1つの担体層開口部から次のくり抜かれる担体層開口部へ、2個のレーザ光パルスの間で担体層に対し相対的に移動されることによって、担体層開口部の間の安定化用のブリッジを時間効率良くかつ容易に形成することを可能にする。
【0027】
とりわけ適合した好ましい1つの実施形態によれば、この列のそれぞれの担体層開口部のくり抜き加工の際に、レーザ光の位置がそれぞれの担体層開口部に位置され、好ましくはこれらのそれぞれの担体層開口部は、これらの位置での1個以上のレーザ光パルスを用いてくり抜かれ、とりわけ好ましくは1〜10個のレーザ光パルスを用いてくり抜かれる。好ましくはこれらの特に適合した、好ましい実施形態例によれば、1個以上のレーザ光パルスを用いたそれぞれの担体層開口部のくり抜き加工中のレーザ光の位置は、実質的に移動されない。
【0028】
以上に述べた特に適合した、好ましい実施形態例において、本発明のアイデアは、個々の担体層開口部が、従来知られたレーザ切断方法のように、レーザ光がくり抜かれる担体層開口部の縁部に沿ってガイドされて、それぞれフォーカスされたレーザ光を用いて担体層から切り抜かれるのでなく、本発明によれば、むしろ個々の担体層開口部がそれぞれ、パターン層の印刷像開口部の領域でくり抜かれる担体層の上でのレーザ光の1回の位置決めによって、好ましくは1つ以上のレーザ光パルスを用いて実質的にその同じ位置でくり抜かれる。ここで担体層開口部の間隔は、レーザのパルス周波数および/または漸進によって制御される。
【0029】
担体層開口部のくり抜き加工の後に、上記で説明したとりわけ好適で好ましい実施形態においては、担体層の上のレーザ光の位置が、2つのレーザ光パルスの間で、次のくり抜かれる担体層開口部の位置にガイドされ、そこで次のくり抜かれる担体層開口部が、後続の1個以上のレーザ光パルスを用いてくり抜かれる。、印刷像開口部の領域において2つ以上の担体層開口部からなる列のすべての担体層開口部がくり抜かれるまで、これらのステップは繰り返される。この結果、これらの実施形態例の方法により、極めて容易かつ有利に最短の時間で、1つの列の担体層開口部全部が印刷像開口部の長手方向に沿ってくり抜かれる。このため、担体層開口部のくり抜き加工の前後のパターン層が準備されているかどうかは重要ではなく、とりわけ担体層開口部のくり抜き加工の前後のパターン層が担体層もしくは中間層に取り付けられているかは重要ではない。
【0030】
このように、パターン層開口部の引き延ばされた印刷像開口部の全領域において、従来知られたレーザ切断方法に比べ、非常に有利に顕著に時間効率良く、そしてコスト削減可能に、担体層開口部をくり抜くことができる。個々の担体層開口部のくり抜き加工では、用いられるレーザのタイプによって、約0.9〜3kHzでくり抜き加工され、非常に厚い担体層における、ある稀な場合にのみ、2個以上のレーザ光パルスが必要とされる。そして担体層を、レーザ光位置に対し相対的に常に2個のレーザ光パルスの間で移動させることにより、このように短い時間で印刷像開口部の領域での担体層開口部の列をくり抜くことができる。
【0031】
個々の担体層開口部は、移動の際に、上記に説明したとりわけ好適な実施形態によれば、主に担体層の位置におけるレーザ光の形状(とりわけレーザ光入射側の担体層の表面の位置でのレーザ光の断面形状)によって所定の形状とされる。これはそれぞれの担体層開口部は、担体層の1つの位置での個々のレーザ光パルスによってくり抜かれ、あるいは「打ち抜き照射」されるのであって、フォーカスしたレーザ光を担体層開口部の周囲に沿ってガイドすることによって切り抜かれるのではないからである。
【0032】
このようにすると、実質的に円形にデフォーカスされたレーザ光により、この担体層がフォーカス装置あるいはレーザ光に対して動かされない場合は、個々の担体層開口部は、たとえば実質的に円形にくり抜かれる。レーザ光パルスを当てる際に、この担体層が動くと、この動きに対応して、引き延ばされ、端部が丸められた、長穴の形状を有する担体層開口部が形成される。すなわち長穴形状の担体層開口部が形成される。この担体層開口部の幅は、実質的に担体層の表面上のレーザ光のデフォーカスされた断面の大きさにより決定され、この際もたらされる熱エネルギーのために、一般的にはより幅広の担体層開口部となり得る。こうして、たとえば20μm幅のレーザ光断面は、横方向への熱エネルギーの照射により、レーザ光の位置を変えることなしに、25μmに達する幅の担体層開口部をくり抜くことができる。
【0033】
レーザ光のエネルギー密度は、絶対値で見て、デフォーカスされたレーザ光の担体層上の断面が大きくなると減少するので、1個あるいは少数のレーザ光パルスで実現可能な担体層開口部の大きさには上限があるが、実際の使用範囲では、300μmまでの担体層開口部直径は実現することができ、とりわけ一般的な20μm〜800μmの担体層厚では、0.9〜3kHzの周波数で1個のレーザ光パルスで、20μmから約150μmまでの範囲の直径を有する担体層開口部をくり抜くことができる。これは、たとえば太陽電池の前面のコンタクトフィンガーを20〜100μmの範囲で印刷するための印刷像開口部の通常の幅に対応し、このような印刷像開口部に対して、印刷像開口部の領域において、既に個々のレーザ光パルスで、それぞれくり抜かれた担体層開口部の列の個々の担体層開口部を形成することができる。
【0034】
ステンシルの安定性を改善するために、ここでそれぞれ2つの担体層開口部の間に担体層におけるブリッジが残っていてよい。このブリッジの幅は、仕様に応じて、2個のレーザ光パルス間の時間により(すなわちたとえばパルス化されたレーザの任意のデューティ比(Tastverhaltnis)での周期Tとパルス幅τとの差によって、それぞれ50%のデューティ比では周期Tの半分によって、あるいは周波数の2倍の逆数により)、および2個のレーザ光パルス間でのレーザ光の位置に対する担体層の相対的な漸進速度により影響を受ける。
【0035】
ここで、上記に説明したとりわけ好適な実施形態においては、従来のレーザ切断方法と比較して、1つの引き延ばされた印刷像開口部に対しより多くのブリッジが形成される。これは、担体層開口部のくり抜き加工の際にこのレーザ光が移動しなければ、担体層開口部の長さは、ほぼ担体層開口部(たとえば実質的に円形あるいは楕円形に形成された担体層開口部)の幅に対応したプロセスによって決まるからであり、従来のレーザー切断方法における大きく引き延ばされたあるいは矩形に形成された担体層開口部とは対照的である。もしこれらのブリッジの幅が10μm〜20μmにまで顕著に削減されても、従来と同等の安定性あるいはむしろ従来より良い安定性がこのようにして達成される。従来のレーザ切断方法では、安定性の理由から、少なくとも30μm以上のブリッジ幅が必要であった。このブリッジの幅が実質的に担体層の厚さ程度であれば、良好な安定性を保証するのには充分である。
【0036】
さらに、担体層開口部の従来より小さな長手方向の長さおよび印刷像開口部の領域における従来より多くのブリッジによって、従来レーザ切断方法を用いて担体層開口部が形成されていた印刷スクリーンおよび印刷ステンシルに比べてドクターブレードの性能を顕著に改善することができる。これは印刷工程においては、近接して互いに並設されたブリッジに均等にドクターブレードが戴置され、担体層開口部のエッジが引っ掛からないからである。このようにして、多数回の使用におけるステンシルやこれに用いられるドクターブレードの摩耗を大幅に低減することができる。
【0037】
このように印刷像開口部の領域におけるブリッジの数を多くすることが、狭い網目を有する印刷スクリーンを用い場合に知られているような、一目で分かる印刷像の劣化をもたらさないということは驚くべきことである。むしろ、これは極めて有利なしかも極めて優れた印刷像を生成することができる。これは担体層におけるこれらのブリッジが、レーザ入射側すなわちパターン層側でのプロセスによって決まり、とりわけ10μm〜20μmのブリッジ幅で融解され、これにより高さの伸張が低減されるからである。
【0038】
こうして、投入された印刷ペーストは、融解したブリッジの下で極めて良好に合流し、印刷画像開口部の全長に渡りクリーンな印刷像を生成する。とりわけ驚くべきことに、多数のブリッジにも拘わらず、印刷像開口部の全領域で、印刷媒質の均等な高さを実現することができる。このことは太陽電池セルの前面のコンタクトフィンガーの印刷に有利であるが、これはコンタクトフィンガーの全領域に渡って十分なフィンガー高さが達成できるからであり、これにより極めて均等なアスペクト比のためにコンタクトフィンガーの電気抵抗が小さく維持することができる。これにより、従来のレーザ切断方法を用いて担体層開口部が形成されている印刷スクリーンおよび印刷ステンシルによる印刷像に比べ、太陽電池の前面のコンタクトフィンガーの印刷の際の印刷像は、顕著に改善される。
【0039】
しかしながら、パターン層の印刷像開口部の領域におけるブリッジの数を削減することを望む場合、担体層開口部の数を削減すると同時に担体層開口部の長手方向の長さが拡大されなければならないが、本発明による方法を用いて、最高度の時間節約を提供することができる。以下では、このための代替であるが同様に好適な実施形態例を説明する。
【0040】
この代替におけるとりわけ好適な実施形態は、上述の実施形態例と異なり、担体層に対する相対的なレーザ光の位置が、レーザ光のレーザ光パルス間でなく、レーザ光パルス中に移動されることである。
【0041】
ここで好ましくは、列になったそれぞれの担体層開口部のくり抜き加工において、それぞれのくり抜かれる担体層開口部の第1の位置にレーザ光の位置が位置決めされ、それぞれの担体層開口部は、レーザ光パルスを用いてくり抜かれ、ここで1個のレーザ光パルスの中でレーザ光の位置がそれぞれの担体層開口部の第1の位置から第2の位置へ移動させられる。好ましくは、1個のレーザ光パルスの中でのレーザ光の位置は、それぞれの担体層開口部の第1の位置から第2の位置へ印刷像開口部の長手方向で移動される。このようにして、担体層の表面におけるデフォーカスされたレーザ光の断面に対応した断面形状を有する担体層開口部が生成されず、その端部の形状がデフォーカスされたレーザ光の断面によって定められる長穴形状の担体層開口部が生成される(たとえばデフォーカスされたレーザ光の断面が円形の場合には半円形状の端部となり、またはデフォーカスされたレーザ光の断面が楕円形の場合には半楕円形状の端部となる。)。
【0042】
好ましくは、担体層に対するレーザ光の相対的な位置の移動における、くり抜かれる担体層開口部の第1の位置から第2の位置への漸進速度、および/またはレーザ光のレーザ光パルス幅は、くり抜かれる担体層開口部の長さに依存して選択される。
【0043】
具体的な実施形態とは関係なく、本発明の第1の態様によるこの方法は、好ましくはさらに担体層の表面の位置でのデフォーカスされたレーザ光の断面の形状/およびまたは大きさをこのレーザ装置のフォーカス装置を用いて設定する。好ましくは、ここで担体層の表面の位置での印刷像開口部の長手方向に対し横方向のレーザ光の断面の幅が印刷像開口部の幅に依存して設定される。既に上述したように、この方法は、くり抜かれた担体層開口部の大きさおよび/または形状を仕様に対応して変化させるという有利な点を可能とする。
【0044】
とりわけこの担体層開口部の幅は、レーザ装置のフォーカス装置の設定によって、パターン層の印刷像開口部の幅に合わせることができる。好ましくは、レーザ光は、フォーカス装置を用いて、担体層の表面の位置で実質的に円形の断面でデフォーカスされる。好ましい代替の実施形態例によれば、レーザ光は、このフォーカス装置を用いて、担体層の表面の位置で実質的に楕円形の断面でデフォーカスされる。好ましくは、ここで担体層開口部の楕円の長軸は、印刷像開口部に対し横方向に、とりわけ直交する方向に向いている。これは、担体層開口部の楕円形状のために、生成されるブリッジの形状が、印刷像開口部の横方向で均等になり、特に均等な幅で形成されるという有利さを可能とする。
【0045】
好ましくは、この方法はさらに、パルス化されたレーザ(レーザ光パルス)の周波数あるいは周期、レーザ光パルスのデューティ比、およびパルス化されたレーザ光のオン/オフ比等の1つ以上のパラメータを設定するステップを備える。これは、たとえば隣接したくり抜かれた担体層開口部の間のブリッジ幅を、レーザ装置のフォーカス装置に対し相対的に担体層を移動した際に設定される漸進速度に依存して変化あるいは設定することを可能とする。ここで上記のパラメータは、互いに依存しており、これら上記のパラメータの2つを設定することによって既に、通常他のパラメータもまた決定される。
【0046】
好ましくは、担体層に対する相対的なレーザ光の位置が、2個の続いたレーザ光パルスの間に、担体層開口部の列の2つの隣接した担体層開口部の間で移動される際に、担体層におけるブリッジが形成される。既に上述したように、このようにして有利な印刷ステンシルの高い安定性が実現でき、とりわけ、たとえば太陽電池の前面のコンタクトフィンガの印刷のために必要な、大きく引き延ばされた形成された印刷像開口部において高い安定性が実現できる。
【0047】
好ましくは、担体層に対する相対的なレーザ光の位置の移動の際の漸進速度は、くり抜かれた担体層開口部の位置から次にくり抜かれる担体層開口部まで、所定のブリッジ幅に依存して選択される。好ましくは、担体層に対する相対的なレーザ光の位置の移動の際の漸進速度は、くり抜かれた担体層開口部の位置からさらに次のくり抜かれる担体層開口部まで、印刷像開口部の長手方向における担体層開口部の幅に依存して、あるいは担体層の表面の位置でのデフォーカスされたレーザ光の断面の幅に依存して選択される。
【0048】
好ましくは、担体層に対する相対的なレーザ光の位置の移動の際の漸進速度は、くり抜かれた担体層開口部の位置から次にくり抜かれる担体層開口部まで、とりわけ、(BL+SB)/(T−τ)より小さいかまたは実質的にこれに等しく設定され、ここでBLは印刷像開口部の長手方向における担体層開口部の幅を表し(これは、担体層開口部のくり抜き加工におけるレーザ光の位置が移動されない場合の実施形態に有効であり、担体層開口部のくり抜き加工におけるレーザ光の位置が移動される場合の方法においても有効であり、BLはデフォーカスされたレーザの断面の幅に依存して選択される。ただしここでBLは多少大きく選択される。)、SBは所定のブリッジ幅を表し、τはレーザ光パルスのパルス幅を表している。このようにして、レーザ装置のフォーカス装置に対し相対的に、2つのレーザ光パルスの間の時間(たとえばT−τで与えられる)に、担体層は、少なくとも、印刷像開口部の長手方向における担体層開口部の幅と所定のブリッジ幅との和に対応した距離分が移動され、この担体層において所定の幅のブリッジが残される。
【0049】
好ましくは、担体層に対する相対的なレーザ光の位置の移動の際に、フォーカス装置が移動される。代替あるいは追加として、担体層に対する相対的なレーザ装置のフォーカス装置の移動の際に、担体層も移動されてよい。ここで、もしこれらの担体層開口部がそれぞれ1個のレーザ光パルスでくり抜かれる、あるいは「打ち抜き照射」される場合は、この担体層開口部の列のくり抜き加工の間の移動は、連続的に行われてよい。代替として、担体層開口部の列のくり抜き加工の間の移動は、ステップ的に行われてよく、ここで2個のパルスの間で、実質的に印刷像開口部の長手方向における担体層開口部の幅と所定のブリッジ幅との和に対応した距離部分が移動されてよく、次のくり抜かれる担体層開口部の位置で、所定の1つ以上のレーザ光パルスで担体層開口部がくり抜かれるまで停止され、再び2つの続いたパルスの間で、実質的に印刷像開口部の長手方向における担体層開口部の幅と所定のブリッジ幅との和に対応した、次にくり抜かれる担体層開口部の位置までの距離部分が移動される。
【0050】
好ましくは、担体層の材料はメタルを含み、とりわけ貴金属またはニッケル、および/またはプラスチックを含む。
【0051】
好ましくは、パターン層は、感光性の材料を含み。とりわけ感光乳剤またはフィルムを含む。ここで、印刷像開口部のくり抜き加工は、好ましくは、所定の波長または所定の波長範囲の電磁波、とりわけ赤外光、可視光および/または紫外光を用いた、印刷パターンの印刷像によるステップ露光を含み、パターン層の感光材料の現像を含む。
【0052】
好ましくは、このパターン層は、直接担体層に取り付けられるか、または担体層とパターン層に取り付けられる中間層との間に取り付けられる。
【0053】
好ましくは、担体層開口部のくり抜き加工は、さらに、印刷像開口部の長手方向で担体層開口部の第1の列に平行に延びた、少なくとも1つのさらなる担体層開口部の第2の列のくり抜き加工を含む。ここで、第2の列のそれぞれの担体層開口部のくり抜き加工の際に、好ましくはレーザ装置のフォーカス装置がそれぞれの担体層開口部の位置に位置決めされ、好ましくはそれぞれの担体層開口部は、1個以上のレーザ光パルスを用いてこの位置でくり抜かれる。好ましくは、担体層開口部のくり抜き加工の後で、このレーザ装置のフォーカス装置は、2個の続いたレーザ光パルスの間で、担体層に対して相対的に、くり抜かれた担体層開口部の位置から移動され、引き延ばされた印刷像開口部の長手方向で次にくり抜かれる担体層開口部まで移動される。
【0054】
好ましくは、第1の列のそれぞれの担体層開口部には、少なくとも1つのさらなる第2の列の担体層開口部が重ねられており、製造される印刷ステンシルにおけるそれぞれの担体層開口部は、少なくとも2つの列の2つ以上の担体層開口部から形成され、ここで好ましくは印刷像開口部の長手方向で隣接した担体層開口部の間にブリッジが形成されている。これは、担体層上のレーザの有効断面、すなわち充分なエネルギー密度を有する断面に対し、自動的に大きな幅を有する幅広の担体層開口部が、容易にかつ時間効率良く、本発明による方法によってくり抜かれるという有利さがあり、この方法で2つ以上の実質的に平行に配設された担体層開口部の列がくり抜かされる。ここで、印刷像開口部に対し横方向に隣接する、互いに平行に配設された別の列の担体層開口部は重なっており、これにより完成した印刷ステンシルにおいてはそれぞれ1つの幅広の担体層開口部が形成される。ここで印刷像開口部の長手方向に隣接した担体層開口部の間に、さらにまたそれぞれのブリッジが形成されてよい。
【0055】
本発明の第2の態様によれば、基板の上に印刷パターンを取り付けるテクニカル印刷のための印刷ステンシルが提案される。この印刷ステンシルは、上述の第1の態様の方法によって製造され、ここでこの印刷ステンシルは、
20μm〜800μmの厚さを有する印刷ステンシルの担体層と、この担体層の下にある印刷ステンシルのパターン層とを備える。ここで、本発明による印刷ステンシルの利点は、本発明による方法およびその好ましい実施形態に関連して上記で説明した通りである。
【0056】
本発明によれば、パターン層は、引き延ばされた、少なくとも一部の印刷パターンに対応する印刷像開口部をこのパターン層に備え、担体層は、印刷像開口部の領域において、印刷像開口部の長手方向に延びた担体層開口部の1つ以上の列を備え、これらの担体層開口部は、従来のレーザ切断方法でくり抜かれた担体層開口部に対して、実質的に矩形に形成されておらず、むしろレーザの有効断面に対応した円形の輪郭を備える。場合によっては、印刷像開口部の長手方向に対して横方向の幅は、この印刷像開口部の長手方向の長さにほぼ対応しているか、または印刷像開口部の長手方向に対し横方向に重なった2つ以上の担体層開口部から形成されており、これらの担体層開口部は、それぞれレーザの有効断面に対応して円形の輪郭を備え、場合によっては、印刷像開口部の長手方向に対して横方向の幅は、ほぼ印刷像開口部の長手方向の長さに対応している。
【0057】
好ましくは、1つの列の担体層開口部は、実質的に円形に形成されている。代替として、1つの列の担体層開口部は、好ましくは実質的に楕円形に形成されている。ここで、1つの列の担体層開口部の楕円の長軸は、印刷像開口部に対し横方向に、とりわけ直交する方向に向いている。代替として、1つの列の担体層開口部は、実質的に長穴形状に形成されており、すなわち引き延ばされているが端部が丸められており、これらの端部は、実質的に半円形または半楕円形で形成されている。
【0058】
好ましくは、担体層の材料はメタルを含み、とりわけ貴金属またはニッケル、および/またはプラスチックを含む。好ましくは、パターン層は、感光性の材料を含み。とりわけ感光乳剤またはフィルムを含む。
【0059】
好ましくは、このパターン層は、直接担体層に取り付けられるか、または担体層とパターン層に取り付けられる中間層との間に取り付けられる。
【0060】
好ましくは、担体層は、印刷像開口部において、丁度印刷像開口部の長手方向に延びた、担体層開口部の列を備え、好ましくは、ここで隣接する担体層開口部の間には、それぞれのブリッジが形成されている。好ましくは、このそれぞれのブリッジは、パターン層に向いた側で融解されており、このようにして担体層の高さに比べ低くなっている。上述したように、これは本発明によって、パターン層に向いた担体層の側がレーザ入射側とし、すなわちレーザ光がこのパターン層に向いた担体層の側に入射して、素早く進行されて、熱的効果によって所望の高低差が生成される。
【0061】
さらにもう1つの好適な実施形態によれば、第1の列のそれぞれの担体層開口部は、少なくとも1つのさらなる第2の列の担体層開口部に覆われており、印刷ステンシルにおけるそれぞれの担体層開口部は、少なくとも2つの列の2つ以上の担体層開口部から形成され、ここで好ましくは印刷像開口部の長手方向に隣接した担体層開口部の間にそれぞれのブリッジが形成されている。
【0062】
以上をまとめると、本発明によれば、印刷ステンシルの製造方法が提供され、この方法では、印刷ステンシルの担体層のそれぞれの担体層開口部は、印刷像開口部の領域において、1つの位置におけるそれぞれ1個以上のレーザ光パルスによって、くり抜かれ、あるいは「打ち抜き照射」される。これは、従来これらの担体層開口部では強くフォーカスされたレーザ光を用いて、担体層開口部から周囲で切り抜かれていたのに比べ、容易かつ効率的であり、顕著に時間短縮を行うことができる。
【0063】
とりわけ、コストのかかるレーザ切断装置での担体層開口部のくり抜き加工を顕著に短縮することができるので、時間効率が改善され、印刷ステンシルの製造における費用効果を大幅に改善することができる。さらに、本発明によって製造された印刷ステンシルは、本方法により印刷スクリーンに対して構造的に改善され、印刷ステンシルとしても従来強くフォーカスされたレーザ光を用いて周囲から切り抜かれていたものに比べ改善されている。これは担体層の安定性が顕著に改善され、またドクターブレードの性能の改善が達成されているからである。とにかく、とりわけ太陽電池の前面のコンタクトフィンガの印刷において極めて優れた印刷像が実現されている。
【0064】
本発明による印刷像ステンシルの好ましい適用領域には、とりわけ以下のようのものがある。厚膜への使用、導電ペーストの印刷、抵抗ペーストの印刷、熱伝導ペーストあるいは熱伝導接着剤の印刷、接着剤、シリコン、アクリル、(濡れ層強度に対応した)高粘性ペーストおよび乳剤、非導電性ペーストおよび乳剤、等である。