(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231480
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】EEG記録を分析するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/04 20060101AFI20171106BHJP
A61B 5/0476 20060101ALI20171106BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
A61B5/04ZDM
A61B5/04 322
A61B5/04 324
A61B10/00 H
【請求項の数】2
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-531890(P2014-531890)
(86)(22)【出願日】2012年9月17日
(65)【公表番号】特表2014-526367(P2014-526367A)
(43)【公表日】2014年10月6日
(86)【国際出願番号】US2012055692
(87)【国際公開番号】WO2013043517
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2015年9月16日
(31)【優先権主張番号】61/536,236
(32)【優先日】2011年9月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/620,855
(32)【優先日】2012年9月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513238084
【氏名又は名称】パーシスト ディベロップメント コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,スコット,ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ニエレンバーグ,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】シェウエアー,マーク
【審査官】
永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0249431(US,A1)
【文献】
特開平11−347008(JP,A)
【文献】
特表2006−518608(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/107473(WO,A1)
【文献】
特開平11−318843(JP,A)
【文献】
米国特許第7957793(US,B2)
【文献】
国際公開第2008/057365(WO,A2)
【文献】
特表2010−504132(JP,A)
【文献】
特表2011−523366(JP,A)
【文献】
特開2006−109964(JP,A)
【文献】
Zhanfeng Ji, et al.,An Automatic Spike Detection System Based on Elimination of False Positives Using the Large-Area Context in the Scalp EEG,IEEE TRANSACTIONS ON BIOMEDICAL ENGENEERING,米国,IEEE,2011年 9月,VOL. 58, NO. 9,p.2478-2488
【文献】
Alison A. Dingle, et al.,A Multistage System to Detect Epileptiform Activity in the EEG,IEEE TRANSUACTIONS ON BIOMEDICAL ENGINEERING,米国,IEEE,1993年12月,VOL.40, NO.12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/0476 − 5/0484
A61B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳波図(EEG)記録を分析するための方法であって、
前記方法は、EEGシステムからのEEG記録を生成する工程を含み、前記EEGシステムは、
10から20の電極に及び、10/20システムに従って配置された、複数のEEG信号を生成するための複数の電極と、
前記複数のEEG信号の各々を増幅するように、複数のワイヤによって前記複数の電極の各々に接続された少なくとも1つの増幅器と、
前記複数のEEG信号からEEG記録を生成するように前記増幅器に接続されたプロセッサであって、前記EGG記録が、前記複数の電極のうちの2つの電極に対応する脳活動を表示する複数のチャネルを備え、前記電極の数が前記複数のチャネルのチャネル数を決定する、プロセッサと、
EEG記録を表示するために前記プロセッサに接続されたディスプレイと、を備え、
前記方法は、分析用の処理済みEGG記録を生成するように、前記プロセッサで前記EEG記録を処理する工程を含み、
前記方法は、前記処理済みEEG記録内の複数の検出されたスパイクを前記プロセッサで識別する工程を含み、前記複数の検出されたスパイクの各スパイクは、前記処理済みEGG記録のバックグラウンド活動と異なる単独の波動又はパターンであり、前記各単独の波動又はパターンは、尖ったピーク及び20から70ミリ秒の持続時間を有し、前記プロセッサは、前記複数の検出されたスパイクを識別するように構成され、且つ、ニューラルネットワークアルゴリズムによって、検出感度スライダが第1位置にあるときに、てんかん型異常であることの高い確率を有する鋭波を識別することが可能であり、且つ、前記検出感度スライダがより高感度の第2位置にあるときに、より低振幅の過渡電流を識別することが可能であるように構成され、
前記方法は、各スパイク焦点で前記複数の検出されたスパイクの全てを数学的に平均化することによって、スパイク焦点による前記複数の検出されたスパイクの平均値を生成するために、前記システムの前記複数の電極の各々によって前記処理済みEEG記録内の前記複数の検出されたスパイクを前記プロセッサでソートする工程を含み、
前記方法は、前記システムのディスプレイ上で、前記スパイク焦点によって前記複数の検出されたスパイクの平均値を表示する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
脳波図(EEG)記録を分析するためのシステムであって、
10から20の電極に及び、10/20システムに従って配置された、複数のEEG信号を生成するための複数の電極と、
前記複数のEEG信号の各々を増幅させるように、複数のワイヤで前記複数の電極のそれぞれに接続された、少なくとも1つの増幅器と、
前記複数のEEG信号からEEG記録を生成するように前記増幅器に接続されたプロセッサであって、前記EGG記録が、前記複数の電極のうちの2つの電極に対応する脳活動を表示する複数のチャネルを備え、前記電極の数が前記複数のチャネルのチャネル数を決定する、プロセッサと、
EEG記録を表示するために前記プロセッサに接続されたディスプレイと、
を備え、
前記プロセッサは、分析用の処理済みEEG記録を生成するように、複数のニューラルネットワークアルゴリズムを使用して前記EEGを処理するように構成され、
前記プロセッサは、前記処理済みEEG記録内の複数の検出されたスパイクを識別するように構成され、前記複数の検出されたスパイクの各スパイクは、前記処理済みEGG記録のバックグラウンド活動と異なる単独の波動又はパターンであり、前記各単独の波動又はパターンは、尖ったピーク及び20から70ミリ秒の持続時間を有し、前記プロセッサは、ニューラルネットワークアルゴリズムによって、検出感度スライダが第1位置にあるときに、てんかん型異常であることの高い確率を有する鋭波を識別することが可能であり、且つ、前記検出感度スライダがより高感度の第2位置にあるときに、より低振幅の過渡電流を識別することが可能であるように構成され、
前記プロセッサは、各スパイク焦点で前記複数の検出されたスパイクの全てを数学的に平均化することによって、スパイク焦点による前記複数の検出されたスパイクの平均値を生成するために、前記システムの前記複数の電極の各々によって前記処理済みEEG記録内の前記複数の検出されたスパイクを前記プロセッサでソートするように構成され、
前記プロセッサは、前記システムのディスプレイ上で、前記スパイク焦点によって前記複数の検出されたスパイクの平均値を表示するように構成されていることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主にEEG記録(脳波記録)に関し、より具体的には、本発明はEEG記録の分析に関する。
【背景技術】
【0002】
脳波図(electroencephalogram, EEG)は、大脳機能を評価するためにヒトの脳の電気的活動を測定及び記録する診断用ツールである。複数の電極がヒトの頭部に取り付けられ、ワイヤで機械に接続される。該機械は信号を増幅し、且つ、脳の電気的活動を記録する。電気的活動は複数の神経にわたる神経作用(活動)の累積(summation)によって作り出される。これらの神経は小規模な電圧場を生成する。これらの電圧場の集合は、ヒトの頭部の電極によって検出及び記録可能な電気測定値を作り出す。EEGは複数の単純な信号の重ね合わせである。正常な成人では、EEG信号の振幅(強度)は一般的に1μボルトから100μボルトであり、且つ、EEG信号は硬膜下電極で測定する場合、約10mvから20mvである。電気信号の振幅及び時間的力学(temporal dynamics)のモニタリングにより、その人物の潜在的な神経活動及び医学的状態に関する情報が得られる。
【0003】
EEGは、てんかんの診断、意識消失又は認知症に関する問題の検証、こん睡状態にあるヒトの脳活動の検証、睡眠障害の研究、手術中の脳活動のモニタリング及びさらなる身体的問題に使用される。
【0004】
EEG記録の間、複数の電極(一般的には17個から21個だが、標準位置は少なくとも70個ある)が人の頭に取り付けられる。電極は、ヒトの脳葉又は脳領域に関連する電極位置で参照される。参照記号はF=前頭部、Fp=前頭極、T=側頭部、C=中心部、P=頭頂部、O=後頭部、及び、A=耳介部(耳部電極)である。数字が位置をさらに狭めることに使用され、「Z」点がヒトの頭部の正中線における電極サイト(位置、場所)に関連している。また、心電図(EKG)がEEG表示に表されてもよい。
【0005】
EEGは、モンタージュ(montages)と呼ばれる電極の様々な組み合わせを使用して、異なる増幅器からの脳波を記録する。一般的に、モンタージュは大脳皮質に亘るEEGの空間分布の鮮明な画像を提供するために作成される。モンタージュは、導出電極の空間的アレイ(配列)から得られた電気的マップであり、好ましくは、一定時間内に特定の点で試験される電極の特定の組み合わせを示す。
【0006】
双極モンタージュ(bipolar montage)では、連続する電極対が1つのチャネル(経路)の電極入力2を、連続するチャネルの入力1に接続することによりリンク(結合)される。これによって、隣接するチャネルが共通する1つの電極を有することになる。電極の双極連鎖(bipolar chains)が、前方から後方(縦方向)又は左方から右方(横方向)に接続されてもよい。双極モンタージュでは、2つの動作中の電極サイト間の信号が比較され、その結果、記録された活動の差異を生じる。別の種類のモンタージュは、基準モンタージュ(referential montage)又は単極モンタージュ(monopolar montage)である。基準モンタージュでは、様々な電極が各増幅器の入力1に接続され、且つ、基準電極が各増幅器の入力2に接続される。基準モンタージュでは、動作中の電極サイトで信号が収集され、共通の基準電極と比較される。
【0007】
基準モンタージュは、真振幅及び波形の形態を決定するのに適している。側頭電極には、CZが頭皮での基準点として適している。
【0008】
電気的活動の起点を配置可能とすること(「局在化(localization)」)は、EEGを分析するためには極めて重要である。双極モンタージュの正常又は異常な脳波の局在化は、通常、「位相反転(phase reversal)」、つまり、反対の方向を指す連鎖内の2つのチャネルの偏位(deflection)を識別することによって実施される。基準モンタージュでは、すべてのチャネルは同一方向に偏位を示しうる。動作中の電極における電気的活動が、基準電極での活動と比較した際に正極であった場合、偏位が下降する。電気的活動が基準電極と同様である電極は偏向を生じない。一般的に、最大上昇偏位(largest upward deflection)を有する電極は、基準モンタージュにおいて、最大負活動(maximum negative activity)を示す。
【0009】
あるパターンは、ヒトの発作傾向を示す。医師はこれらの波形を「てんかん型異常」又は「てんかん波形」と呼ぶことがある。ここには、スパイク、鋭波、棘徐波放電(spike−and−wave discharge)が含まれる。左側頭葉のような脳の特定エリアにおけるスパイク及び鋭波は、部分的な発作がそのエリアから起こる可能性を示している。一方、原発性広汎(全般)性発作は、特に大脳の両半球で同時に棘徐波放電が発生する場合には、大脳の両半球に亘って広範囲に広がる棘徐波放電によって示唆される。
【0010】
いくつかの種類の脳波が存在する。アルファ波、ベータ波、デルタ波、シータ波、ガンマ波である。アルファ波は8ヘルツから12ヘルツ(Hz)の周波数を有する。アルファ波は通常、ヒトがリラックスしている時、又は、目は閉じられているが緊張している起床時の状態で見受けられる。アルファ波はヒトの目が開いているか、集中している時には停止する。ベータ波は、13Hzから30Hzの周波数を有する。通常、ベータ波は人が緊張状態にあるとき、思考しているとき、動揺しているとき、又は特定の医薬品を高用量接種しているときに見受けられる。デルタ波は3Hz以下の周波数を有する。デルタ波は通常、睡眠中のヒト(ノンレム又は夢を見ない睡眠)、又は若年層の子供にみられる。シータ波は4Hzから7Hzの周波数を有する。シータ波は通常、睡眠中のヒト(夢を見る睡眠又はレム睡眠)、又は若年層の子供にみられる。ガンマ波は30Hzから100Hzの周波数を有する。ガンマ波は通常、高い精神活動及び運動機能の最中にみられる。
【0011】
以下の定義が本明細書で使用される。
【0012】
「振幅(amplitude)」は、最大ピーク(ネガティブ又はポジティブ)を通じて計測された、垂直方向の距離を意味する。また、構成要素の生成時におけるニューロン集団のサイズ及びその活性化の同期性に関する情報を表す。
【0013】
「アナログ・デジタル変換(analogue to difital conversion)」という用語は、アナログ信号が追加的な処理のためにコンピュータに保存されうるデジタル信号に変換されるケースを意味する。アナログ信号は「現実世界(real world)」信号(例えば、脳波図、心電図、又は眼電図のような生理的信号)である。それらがコンピュータに保存され、コンピュータによって操作されるために、これらの信号はコンピュータが理解可能な個別のデジタル形式に変換されなければならない。
【0014】
「アーチファクト(artifacts)」とは、頭皮に沿ってEEGが検出する電気信号であるが、大脳が発生源ではない。アーチファクトには、患者に関連するアーチファクト(例えば、動く、発汗する、ECG、眼球の動き)と、技術的アーチファクト(50/60Hzアーチファクト、ケーブルの動き、電極ペースト関連)とがある。
【0015】
「差動増幅器(differential amplifier)」は電気生理的機器の要所を意味する。2つの入力間の差異を拡大する(一対の電極につき1つの増幅器)。
【0016】
「持続期間(duration)」とは、電圧の変化開始から、基線(ベースライン)に戻るまでの時間間隔を意味する。構成要素の生成に含まれるニューロンの同期的活動の計測をも意味する。
【0017】
「電極(electrode)」は回路の非金属部分と電気的接触とをもたらすために使用される導体を意味する。EEG電極は通常、塩化銀コーティングで覆われたステンレス、スズ、金又は銀で作られる小さな金属ディスクである。これらの電極は頭皮の特有の位置に配置される。
【0018】
「電極ジェル(electorode gel)」は電極の適応性延長としての役割を果たし、それにより、電極リード線の動きによるアーチファクトの生成を減少させる。ジェルは皮膚接触を最大限に拡大し、皮膚を通じた低抵抗記録(low−resistance recording)を可能とする。
【0019】
「電極位置決め(electrode positioning)」(10/20システム)とは、標準的なEEG記録を目的とした頭皮電極の標準的な配置を意味する。このシステムの本質は、ナジオン(鼻根点)−イニオン(外後頭隆起点)と定点との間が、10/20範囲の割合における間隔である。これらの定点は、全頭極(Fp)、中央部(C)、頭骨頭頂部(P)、後頭部(O)、及び、側頭部(T)と呼ばれる。正中部電極は下付き文字zで表され、ゼロを意味する。奇数は左半球の定点の下付き数字として使用され、偶数は右半球に使用される。
【0020】
「脳波図(electroencephalogram)」又は「EEG」は脳波計によって表される脳波を、脳の電気運動を頭皮から記録することにより、トレースすることを意味する。
【0021】
「脳波計(electroencephalograph)」は脳波を検出及び記録するための機器である(脳造影(encephalograph)ともいう)。
【0022】
「てんかん型(epileptiform)」とは、てんかんに類似したものを意味する。
【0023】
「フィルタリング(filtering)」とは、信号から望ましくない周波数を除去するプロセスを意味する。
【0024】
「フィルタ(filter)」とは、信号の周波数の構成要素を変える装置である。
【0025】
「モンタージュ(montage)」とは、電極の配置位置である。EEGは、双極モンタージュ又は基準モンタージュのいずれかでモニタリングすることができる。双極は1つのチャネルにつき2つの電極が存在することを意味し、それゆえ、各チャネルには基準電極が備わっている。基準モンタージュは、すべてのチャネルに共通する基準電極が存在することを意味する。
【0026】
「形態(morphology)」とは、波形の形状を意味する。波形又はEGGパターンの形状は、波形を作り出すために結合する周波数によって、及び、それらの相と電圧との関係性によって決定される。波形パターンは以下のように表すことができる。すなわち、「単相型(monomorphic)」は1つの優性活性から成るように見える独自のEEG活性である。「多形型(polymorphic)」は複雑な波形を形成するために結合する複数の周波数から成る独自のEEG活性である。そして、「正弦波(sinusoidal)」は正弦波に類似した波動である。単一形活性は通常、正弦波曲線である。「過度電流(transient)」はバックグラウンドの活動と極めて異なる単独の波動又はパターンである。
【0027】
「スパイク(棘波、spike)」とは、急激なピークの過度電流を意味し、持続期間は20ミリ秒から70ミリ秒である。
【0028】
「鋭波(sharp wave)」とは、急激なピークの過度電流を意味し、持続期間は70ミリ秒から200ミリ秒である。
【0029】
「ニューラルネットワーク(神経回路)アルゴリズム(neural network algorithms)」とは、てんかん型異常を高確率で有する急激な過度電流を識別するアルゴリズムを意味する。
【0030】
「ノイズ(noise)」とは、所望の信号を変更する、望ましくない信号を意味する。「ノイズ」には複数の原因がある。
【0031】
「周期性(periodicity)」とは、一定時間内におけるパターン又は要素の配分を意味する(例えば、おおよそ一定の間隔で、特有のEEG活性が表れる)。該活性は全般性、限局(局所)性、又は側性であってもよい。
【0032】
EEGエポック(epoch)は、時間及び周波数の関数としてのEGG信号の振幅である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
EEGデータを医師又は技師に示すために様々な技術が開発されてきた。しかしながら、これらの技術にはまだ不足していることがある。未処理のEEGレポートが医師又は技師に示された場合、典型的には、アーチファクトによって、EEGレポートで発作のような脳活動とアーチファクトとが区別不能となる。アーチファクト低減アルゴリズムを使用しても、真の生理学的周期性をアーチファクトから正確に見分けることができないことは、現状でのソフトウェアシステムの重大な欠点であり、専門家による評価を要する。
【0034】
EEGレポートはヒトの脳活動に関する膨大な量の情報を作成する。しかしながら、脳活動を適切に分析するためには、迅速かつ容易な解釈が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明の1つの形態は、EEG記録を分析するための方法である。この方法は、複数の電極、増幅器及びプロセッサを備える機械からEEG記録を生成することを含む。また、この方法は、分析のために、EEGを処理して処理済みEEG記録を作成することを含む。また、この方法は、EEGのパラメータを作成するために、処理済みEEG記録を分析することをも含む。
【0036】
本発明の別の形態は、EEG記録の分析のための方法である。この方法は複数の電極、増幅器及びプロセッサを備える機械からEEG記録を生成することを含む。また、この方法は、分析のために、EEGを処理して処理済みEEG記録を作成することを含む。また、この方法は、スパイク焦点(spike focus)によって複数の検出(又は、検出波、検出値、ditections)を組織化(オーガナイズ、organize)することを含む。
【0037】
さらに、本発明の別の形態は、EEG記録の分析のための方法である。この方法は複数の電極、増幅器及びプロセッサを備える機械からEEG記録を生成することを含む。また、この方法は、分析のために、EEGを処理して処理済みEEG記録を作成することを含む。また、この方法は、スパイク焦点による検出の数に基づいて相対頻度(relative frequency)を決定することを含む。
【0038】
さらに、本発明の別の形態は、EEG記録の分析のための方法である。この方法は複数の電極、増幅器及びプロセッサを備える機械からEEG記録を生成することを含む。また、この方法は、分析のために、EEGを処理して処理済みEEG記録を作成することを含む。また、この方法は、スパイク焦点によって組織化されるスパイク検出の連続した表示(back−to−back view)を作成することを含む。
【0039】
さらに、本発明の別の形態は、EEG記録の分析のための方法である。この方法は複数の電極、増幅器及びプロセッサを備える機械からEEG記録を生成することを含む。また、この方法は、分析のために、EEGを処理して処理済みEEG記録を作成することを含む。。また、この方法は、コンテクスト(背景、context)のために、EEGの拡張部分(extended portion)を視認するように、スパイク焦点のEEGクリップ(clip)を選択することを含む。
【0040】
さらに、本発明の別の形態は、EEG記録の分析のための方法である。この方法は複数の電極、増幅器及びプロセッサを備える機械からEEG記録を生成することを含む。また、この方法は、分析のために、EEGを処理して処理済みEEG記録を作成することを含む。また、この方法は、スパイク焦点からの複数の検出をサマリー(要約)上で平均値化することを含む。
【0041】
さらに、本発明の別の形態は、EEG記録の分析のための方法である。この方法は複数の電極、増幅器及びプロセッサを備える機械からEEG記録を生成することを含む。また、この方法は、分析のためにEEGを処理して処理済みEEG記録を作成することを含む。また、この方法は、スパイク焦点からの複数の検出の平均値から個別の検出へと移動(展開、moving)することを含む。
【0042】
さらに、本発明の別の形態は、EEG記録の分析のための方法である。この方法は複数の電極、増幅器及びプロセッサを備える機械からEEG記録を生成することを含む。また、この方法は、分析のために、EEGを処理して処理済みEEG記録を作成することを含む。また、この方法は、複数のスパイクの平均値及びスパイク焦点における複数の個別検出をマーキングすることを含む。
【0043】
さらに、本発明の別の形態は、EEG記録の分析のための方法である。この方法は複数の電極、増幅器及びプロセッサを備える機械からEEG記録を生成することを含む。また、この方法は、分析のために、EEGを処理して処理済みEEG記録を作成することを含む。また、この方法は、検出を表示するためにEEGの感度を変更することにより、複数のスパイク検出のうちのどれをグルーピング、平均値化、又は最終分析に含めるかを決定することを含む。
【0044】
さらに、本発明の別の形態は、EEG記録の分析のための方法である。この方法は複数の電極、増幅器及びプロセッサを含む機械からEEG記録を生成することを含む。さらに、この方法は、分析のために、EEG記録を複数のニューラルネットワークアルゴリズムで処理して、処理済みEEG記録を作成することを含む。また、この方法はEEGのためのパラメータを作成するために、該処理済みEEG記録を分析することを含む。
【0045】
さらに、本発明の別の形態は、EEG記録の分析のためのシステムである。このシステムは、複数の電極、少なくとも1つの増幅器、プロセッサ及びディスプレイを含む。複数の電極は複数のEEG信号を生成する。少なくとも1つの増幅器が、複数のEEG信号の各々を増幅させるように、複数のワイヤによって複数の電極の各々に接続されている。プロセッサは、複数のEEG信号からEEG記録を生成するように増幅器に接続されている。ディスプレイはEEG記録を表示するようにプロセッサに接続されている。プロセッサは処理済みEEG記録を分析してEEGのパラメータを作成するように構成されている。
【0046】
さらに、本発明の別の形態は、EEG記録の分析のためのシステムである。このシステムは、複数の電極、少なくとも1つの増幅器、プロセッサ及びディスプレイを含む。複数の電極は複数のEEG信号を生成する。少なくとも1つの増幅器が、複数のEEG信号の各々を増幅させるように、複数のワイヤによって複数の電極の各々に接続されている。プロセッサは、複数のEEG信号からEEG記録を生成するように増幅器に接続されている。ディスプレイはEEG記録を表示するようにプロセッサに接続されている。プロセッサは、スパイク焦点によって処理済みEEGの複数の検出を組織化するように構成されている。
【0047】
さらに、本発明の別の形態は、EEG記録の分析のためのシステムである。このシステムは、複数の電極、少なくとも1つの増幅器、プロセッサ及びディスプレイを含む。複数の電極は複数のEEG信号を生成する。少なくとも1つの増幅器が、複数のEEG信号の各々を増幅させるように、複数のワイヤによって複数の電極の各々に接続されている。プロセッサは、複数のEEG信号からEEG記録を生成するように増幅器に接続されている。ディスプレイはEEG記録を表示するようにプロセッサに接続されている。プロセッサは、スパイク焦点による検出の数に基づいて相対頻度を決定することを含む。
【0048】
さらに、本発明の別の形態は、EEG記録の分析のためのシステムである。このシステムは、複数の電極、少なくとも1つの増幅器、プロセッサ及びディスプレイを含む。複数の電極は複数のEEG信号を生成する。少なくとも1つの増幅器が、複数のEEG信号の各々を増幅させるように、複数のワイヤによって複数の電極の各々に接続されている。プロセッサは、複数のEEG信号からEEG記録を生成するように増幅器に接続されている。ディスプレイはEEG記録を表示するようにプロセッサに接続されている。プロセッサは、スパイク焦点によって組織化されるスパイク検出の連続した表示(back−to−back view)を作成することを含む。
【0049】
さらに、本発明の別の形態は、EEG記録の分析のためのシステムである。このシステムは、複数の電極、少なくとも1つの増幅器、プロセッサ及びディスプレイを含む。複数の電極は複数のEEG信号を生成する。少なくとも1つの増幅器が、複数のEEG信号の各々を増幅させるように、複数のワイヤによって複数の電極の各々に接続されている。プロセッサは、複数のEEG信号からEEG記録を生成するように増幅器に接続されている。ディスプレイはEEG記録を表示するようにプロセッサに接続されている。プロセッサは、コンテクスト(背景、context)のためのEEGの拡張部分(extended portion)を視認するように、スパイク焦点のEEGクリップを選択することを含む。
【0050】
さらに、本発明の別の形態は、EEG記録の分析のためのシステムである。このシステムは、複数の電極、少なくとも1つの増幅器、プロセッサ及びディスプレイを含む。複数の電極は複数のEEG信号を生成する。少なくとも1つの増幅器が、複数のEEG信号の各々を増幅させるように、複数のワイヤによって複数の電極の各々に接続されている。プロセッサは、複数のEEG信号からEEG記録を生成するように増幅器に接続されている。ディスプレイはEEG記録を表示するようにプロセッサに接続されている。プロセッサは、スパイク焦点による処理済みEEG記録の複数の検出をサマリー上で平均値化することを含む。
【0051】
さらに、本発明の別の形態は、EEG記録の分析のためのシステムである。このシステムは、複数の電極、少なくとも1つの増幅器、プロセッサ及びディスプレイを含む。複数の電極は複数のEEG信号を生成する。少なくとも1つの増幅器が、複数のEEG信号の各々を増幅させるように、複数のワイヤによって複数の電極の各々に接続されている。プロセッサは、複数のEEG信号からEEG記録を生成するように増幅器に接続されている。ディスプレイはEEG記録を表示するようにプロセッサに接続されている。プロセッサは、スパイク焦点による処理済みEEG記録の複数の検出の平均値から、個別の検出へと移動することを含む。
【0052】
さらに、本発明の別の形態は、EEG記録の分析のためのシステムである。このシステムは、複数の電極、少なくとも1つの増幅器、プロセッサ及びディスプレイを含む。複数の電極は複数のEEG信号を生成する。少なくとも1つの増幅器が、複数のEEG信号の各々を増幅させるように、複数のワイヤによって複数の電極の各々に接続されている。プロセッサは、複数のEEG信号からEEG記録を生成するように増幅器に接続されている。ディスプレイはEEG記録を表示するようにプロセッサに接続されている。プロセッサは、処理済みEEG記録の複数のスパイクの平均値及びスパイク焦点における処理済みEEG記録の複数の個別検出を示すことを含む。
【0053】
さらに、本発明の別の形態は、EEG記録の分析のためのシステムである。このシステムは、複数の電極、少なくとも1つの増幅器、プロセッサ及びディスプレイを含む。複数の電極は複数のEEG信号を生成する。少なくとも1つの増幅器が、複数のEEG信号の各々を増幅させるように、複数のワイヤによって複数の電極の各々に接続されている。プロセッサは、複数のEEG信号からEEG記録を生成するように増幅器に接続されている。ディスプレイはEEG記録を表示するようにプロセッサに接続されている。プロセッサは、検出を表示するためにEEGの感度を変更することにより、処理済みEEG記録の複数のスパイク検出のうちのどれをグルーピング、平均値化、又は最終分析に含めるかを決定することを含む。
【0054】
さらに、本発明の別の形態は、EEG記録の分析のためのシステムである。このシステムは、複数の電極、少なくとも1つの増幅器、プロセッサ及びディスプレイを含む。複数の電極は複数のEEG信号を生成する。少なくとも1つの増幅器が、複数のEEG信号の各々を増幅させるように、複数のワイヤによって複数の電極の各々に接続されている。プロセッサは、複数のEEG信号からEEG記録を生成するように増幅器に接続されている。ディスプレイはEEG記録を表示するようにプロセッサに接続されている。プロセッサは、EEG記録を複数のニューラルネットワークアルゴリズムで処理し、分析のために処理済みEEG記録を作成することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】
図1はEEG記録を分析するためのシステムのブロック図である。
【0056】
【0057】
【
図3】
図3は分析されるEEG記録の未処理検出画面の図である。
【0058】
【
図4】
図4は分析されるEEG記録の、拡大検出ビュー画面の図である。
【0059】
【
図5】
図5は分析されるEEG記録の最終レポート画面の図である。
【0060】
【
図6】
図6はEEG記録を分析するための標準的な方法のフロー図である。
【0061】
【
図7】
図7は正常な覚醒状態の患者のEEG記録の図である。
【0062】
【
図7A】
図7Aは全般性のスパイクEEGのための、分析されるEEG記録の図である。
【0063】
【
図7B】
図7Bは限局性のスパイクEEGのための、分析されるEEG記録の図である。
【0064】
【
図8】
図8はEEG記録を分析するためのシステムのブロック図である。
【0065】
【
図9】
図9はEEG記録を分析するための標準的な方法のフロー図である。
【0066】
【
図10】
図10はEEG記録を分析するための特定の方法のフロー図である。
【0067】
【
図11】
図11はEEG記録を分析するための特定の方法のフロー図である。
【0068】
【
図12】
図12はEEGのための電極配置のための国際10−20法を表したマップである。
【0069】
【
図13】
図13はEEGの電極配置を目的として、全米脳波記録法協会(American Electroencephalographic Society)によって標準化された中間10%電極配置(intermediate 10% electrode positions)を示した詳細図である。
【0070】
(発明を実施するための最適な形態)
図1に示すとおり、一般にEEGシステムは20で表される。システムは、好ましくは患者コンポーネント(構成要素)30、EEG機械コンポーネント40、ディスプレイコンポーネント50を含む。患者コンポーネント30は患者15に取り付けられるとともに、ケーブル38によってEEG機械コンポーネント40に接続された複数の電極35a、35b、35cを備えている。EEG機械コンポーネント40は、好ましくは、CPU41と増幅器コンポーネント42とを備える。EEG機械コンポーネント40は、合体EEGレポート(combined EEG report)を表示するために、並びに、処理済みEEGレポート(processed EEG report)の合体EEGレポートへの切り替え、又は、処理済みEEGレポートからオリジナルEEGレポートへの切り替えのために、ディスプレイコンポーネント50に連結されている。
図8に示すように、EEG機械コンポーネント40は、好ましくは、検証エンジン(review engine)及びニューラルネットワークアルゴリズムを備える。機械コンポーネントは、好ましくは、メモリ、メモリコントローラ、マイクロプロセッサ、DRAM及びI/Oを備える。当業者は、本発明の範囲及び意図から離脱することなく、機械コンポーネント40がその他の構成要素を含みうることに気付くであろう。そして、EEG記録はニューラルネットワークアルゴリズムを使用して処理され、それにより、表示のために分析用処理済みEEG記録を生成する。
【0071】
患者は、その頭部に取り付けられた複数の電極を有し、これら電極は、電極からの信号を分析するとともにEEG記録を作成することに使用されるプロセッサに対して、信号を増幅させるための増幅器にワイヤで接続されている。脳は患者の頭部の異なる位置で異なる信号を生成する。
図12、13に示すように、複数の電極が患者の頭部に配置されている。例えば、
図12のFp1は
図8のチャネルFp1−Fp7で表される。電極の数でEEGのチャネル数が決定される。チャネルの数が多ければ、患者の脳活動はより詳細に表示される。好ましくは、EEG機械コンポーネント40の各増幅器は、患者の頭部に取り付けられた2つの電極に対応する。EEG機械コンポーネントからの出力は、2つの電極によって検出される電気的運動における差異である。各電極の位置はEEGレポートにとって極めて重要である。なぜなら、近接する電極ペアはEEG機械コンポーネントによって記録される脳波にほとんど差がないからである。本発明で使用される電極のさらに詳細な記載は、米国特許第8112141「EEG電極のクイックプレス法及び装置(Method And Device For Quick Press On EEG Electrode)」(Wilsonなど)にあり、参照によりすべてここに組み込まれる。EEGは自動化されたアーチファクトフィルタリング用に最適化される。そして、EEG記録はニューラルネットワークアルゴリズムを使用して処理され、それにより、表示のために分析される処理済みEEG記録を生成する。
【0072】
EEGからアーチファクトを除去するためのアルゴリズムは、典型的には、CCA(正準相関分析,canonical correlation analysisu)やICA(独立成分分析,Independent Component Analysis)のようなブラインド音源分離(Blind Source Separation、BSS)アルゴリズムを使用して、一連(一組)のチャネルからの信号を一連の成分波(component wave)又は「ソース(source)」に変換する。アーチファクトを含むと判定されたソースが除去されて、残りのソースはチャネルのセットに再度組み入れられる。
【0073】
図2から
図5は分析されるEEG記録を示している。
図2に示すように、コンピュータ画面上の分析されるEEG記録の表示は200とする。参照205は電極焦点(electrode foci)(T3)及びこの感度で選択された検出の数(2969)を表す。モンタージュバー(montage bar)は210であり、モンタージュの制御を可能とする。参照215は主要な電極検出焦点である。検出感度スライダ(detection sensitivity slider)は220で示され、操作者に表示のための感度を選択させる。スライダを右方向に動的にドラッグすると、検出感度が増し、これによって、より多くの真陽性(true positive)と、同時により多くの偽陽性(false positive)が生ずる。感度が低いと、スパイクも少なくなる。グループタブは221で表され、タブはメインウィンドウで表示される検出グループを選択することに使用される。下記の種類のタブが使用可能である。電極焦点によって構成された検出平均値であり、選択された検出感度でのすべての検出の平均値を表示するオーバービュー;例えばT3やT5のような個別の電極焦点;そして手動で選択された検出のスパイク平均値であり、電極焦点によってソートされる最終レポート(Final Report)である。検出の数は選択された感度のそれぞれの焦点に表示される。ナビゲーションタブは222で表され、現在、ウィンドウに表示されていない他のタブに誘導する。ページタブごとのスパイク検出(spike detection)は223で表され、毎1秒のスパイク検出ごとに約30mmを形成(yield)する多数の検出を可能とする。EEG電圧増幅セレクタは224で表される。モンタージュ選択タブは225、LFFタブは226、HFFタブは227、ノッチタブは228、そして、顧客フィルタータブは229でそれぞれ表される。オペレータは、ポイント230などにおけるグループをクリックすることにより、グループの構成成分であるスパイクにジャンプすることができる。ページ前進タブは235である。
【0074】
図3に示すように、コンピュータ画面上で、分析用EEG記録のT3における未処理(raw)検出を示す表示を300として表す。検出の時間は305で表される。検出に関連する電極は、典型的に通常ハイライト(強調)で表示され、参照310として表す。マーク又はマーク解除タブは315であり、最終レポートで表示させるように検出をマーキングすることができる。ナビゲートタブ320は検出焦点間のナビゲーション(誘導)を可能にする。325で示されるように、すでに閲覧された検出はアスタリスクの印がつく。手動マーク検出(hand marked detection)330は、該検出の周囲にボックスを表示させる。スパイク検出の中心のEEGは335として表される。タブ340で次ページの検出へと移動する。
【0075】
図4に示すとおり、コンピュータ画面上の分析用EEG記録の表示400は、拡大表示された検出ビュー画面である。
図5に示されるように、コンピュータ画面上の分析用EEG記録の最終レポート表示は500として表される。T3の最大電圧を有するユーザ選択スパイクの平均値が、番号505で表される。510a、510b及び510cは個々の構成成分であるユーザ選択スパイクである。
【0076】
正常な覚醒状態の患者のEEG700が
図7で示される。全般性(generalized)スパイクを含むEEG725は
図7Aで示される。限局性(focal)スパイクを含むEEG750は
図7Bで示される。
【0077】
EEG記録の分析に使用するとき、技術者又は医師は検証プログラムを作動させ、そして、数秒後に検証プログラムが起動する。オーバービュー(Overview)ウィンドウが最初に表示される。このオーバービュー(概観)では、スパイク検出機構によって検出された様々なスパイク焦点からの平均値が図示される。このオーバービュー平均値を作成するために、スパイク検出は検出焦点(電極)によってソート(分類)され、そして、特定の焦点における全検出が数学的に平均化される。例えば、EEGの第1列は、T3電極で検出の最大極点を含む2969の事象の平均値を表す。このEEGの列は、白色の細い帯でその他の列と区別されていることが好ましい。各EEG列は特徴あるグループ平均値を表す。各平均値の主要電極焦点(focal point)、各平均値に組み込まれる検出の事象は、EEG列の上に示される。検出焦点の電極を含むチャネルは赤色でハイライトされる。誘発電位と同様に複数の検出を平均化することで、信号対雑音比を増加させ、てんかん型異常の分布領域をより容易に表現できる。
【0078】
スパイク検出器(SpikeDetector)の感度は検証プロセスの間に動的に調節することができる。この操作は、表示されている検出感度スライダを使用して行われる。簡易スパイクレビュー(EasySpikeReview)が最初に開かれたとき、検出感度スライダは左端に位置する。この位置では、スパイク検出器のニューラルネットワークアルゴリズムは、高確率のてんかん型異常を有する鋭波を識別する。これらは、検出器が高い確率で真のてんかん型異常であると指定した事象である。この設定での偽陽性の割合が最も低い。よって、この設定では、偽陽性のノイズに対する真のてんかん型信号の割合が最も高い。しかしながら、適正に形成されていないスパイク及び鋭波は、その最低感度のスライダ設定では明確に表れないこともある。検出器の感度はスライダを右方向にドラッグすることで、素早く調節することができるため、より感度を高めることができ、さらに適正に形成されていない又は低振幅の過度電流を識別しやすくなる。そして、スパイク平均値のオーバービュー表示に、新しいグループが表示されうる。真のスパイク検出が増加するのに応じて、偽陽性検出も増加する。
【0079】
検出感度調整スライダを左から右端(赤色の矢印参照)に移動させることに関連して、検出される事象の数が変化する一例が示されている。T3の検出のみに着目すると、検出された事象の数は2969から4528に増加した(黄色のハイライト参照)。
【0080】
稀なてんかん型異常の記録、又は、スパイク検出器のニューラルネットワークが最低感度に設定されたときにてんかん型異常を良好に認識しない記録において、検出感度スライダを最も高い設定に切り替えることで、実在(real)のてんかん型異常の視覚化が可能となる。このようなケースでは、稀な事象を認識するために、個別の未処理検出の評価が屡々求められる。これは、オーバービューページ上のスパイク平均値を受けて全未処理検出を連続して(背中合わせに、back−to−back)で表示させることにより、又は、EEGウィンドウの頂部で位置タブを段階的に選択することで各電極位置での検出を検証(レビュー)することにより、実行される(下記参照)。
【0081】
EEGウィンドウの頂部にある電極位置タブのいずれかをクリックすると、特定の電極位置から発生する未処理(平均化されていない)スパイク検出が表示される。個別の検出が白色の細い帯で分離されており、検出点(detection point)がEEGの1秒のセグメント内の中心となるとともに薄いグレーの垂直線によって示される。個別の検出上でマウスを左ダブルクリックすると、特定の検出が全表示される。全表示ビュー上で左ダブルクリックすると、連続する個別検出が表示される。
【0082】
個別のスパイク検出を閲覧する際(EEGウィンドウの上方のタブからアクセス)、事例(exemplar)スパイクは、所望の例示の上でマウスを左クリックすることにより、手動でマーキングすることができる。選択したスパイクを囲む長方形が表れる。手動マーキングされた検出は最終レポートに表れるスパイク平均値に包含される。これら手動マーキングされた事象は、最終レポートの平均のすぐ後に連続して表示可能であり、且つ、保管記録のため、又は、別の検証者による評価のために印刷可能である。
【0083】
EEGウィンドウの頂部にある最終レポートをクリックすると、手動マーキングした全ての事象のサマリー(要約、概略)が表示される。初期(デフォルト)ビューでは、ユーザが選択した手動マーキングされた事象の数学的平均値が表示され、電極焦点によってソートされる。前述のとおり、頭部電圧トポグラム(topogram)及び連続する個別のユーザ選択事象が、メニューオプションの選択又はマウスの右クリック選択によって表示される。電圧トポグラムは基準モンタージュにおけるEEGを閲覧する場合にのみ作成される。
【0084】
検出感度スライダが左端(最低感度)に設定された初期オーバービュー画面を使用して、疑いのない又は可能性のあるてんかん型異常を識別して、それらの位置を通知する。てんかん型異常をダブルクリックして、その平均値に寄与する個別の事例を表示することにより、さらにその特性を検証する。必要に応じて、(最終レポートのための)事例の個別事象をマークする。
【0085】
検出感度スライダを右端(最高感度)にスライドし、他の明確な又は可能性のあるてんかん型異常があるか否かを判断するために、オーバービュー画面を再評価する。
【0086】
オーバービュー画面を介して、てんかん型異常が発見及び立証された場合、上記のように連続する未処理検出をさらに検証して進める。
【0087】
オーバービュー上でてんかん型異常が明確でない場合、種々の位置タブを選択して、連続する事象の検出を見る(ページングする)ことによって、全ての未処理検出を入念に評価する。真のてんかん型異常が発見された場合、最終レポートへの包含のために、それらをクリックしてマーキングして検証(レビュー)を続ける。
【0088】
検証が完了したら、最終レポートへと進む。最終レポートでは、てんかん型異常の平均のみを表示するか、又は、平均値及び連続する手動選択した事象の両方を表示するかを選択する。必要に応じて、最終レポートを印刷する。
【0089】
図6に示すように、EEG記録の分析のための一般的な方法は600として表される。ブロック610では、複数のEEG信号が増幅器に伝送される。ブロック615では、EEG信号は増幅器によって増幅される。ブロック620では、増幅信号がプロセッサに伝送される。ブロック625では、プロセッサによってEEG記録が生成される。ブロック630では、分析のための処理済みEEG記録を生成するように、EEG記録が処理される。好ましくは、この処理には、未処理EEG記録のアーチファクトの低減の実行が含まれる。ブロック635では、処理済みEEG記録がEEGのパラメータを作成するように分析される。
【0090】
図9に示すように、EEG記録を分析するための方法が1000で表される。ブロック1001では、EEG記録が、電極、増幅器及びプロセッサを含む機械によって生成される。ブロック1002では、分析用の処理済みEEG記録を作成するように、EEG記録が処理される。ブロック1003では、処理済みEEG記録がEEGのパラメータを作成するために分析される。
【0091】
図10に示すように、EEG記録を分析するための特定の方法は2000として表される。ブロック2001では、EEG記録が電極、増幅器及びプロセッサを含む機械で生成される。ブロック2002では、分析のための処理済みEEG記録を生成するように、EEG記録が処理される。ブロック2003では、処理済みEEG記録において、スパイク焦点による検出が識別される。ブロック2004では、スパイク焦点による検出が、好ましくは電極の順にソート(並び替え)される。ブロック2005では、スパイク焦点の検出が平均化される。ブロック2006では、スパイク焦点による検出の平均値が、技術者又は医師に対して表示される。
【0092】
図11に示すように、EEG記録を分析するための特定の方法は3000として表される。ブロック3001では、EEG記録は電極、増幅器及びプロセッサを含む機械で生成される。ブロック3002では、分析のための処理済みEEG記録を生成するように、EEG記録が処理される。ブロック3003では、処理済みEEG記録において、スパイク焦点による検出が識別される。ブロック3004では、スパイク焦点による検出が、好ましくは電極の順にソートされる。ブロック3005では、スパイク焦点の検出が組織化(organized)される。ブロック3006では、スパイク焦点による検出の組織が、技術者又は医師に対して表示される。
【0093】
2011年9月19日に出願された米国仮出願61/536236が、全体として参照により本文に組み込まれる。