【文献】
Crit Care Med,2006年,Vol.34,No.6,pp.1707-1712,p.1708,左欄,パラグラフ6,7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記限外ろ過膜が、50kDa未満の、40kDa未満の、30kDA未満の、20kDa未満の、10kDa未満、5kDa未満の、または3kDA未満の分画分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の一実施形態は、アスパラギン酸およびアラニンのアミノ酸側鎖を有するジケトピペラジン(DA−DKP)を含む有効量の医薬組成物を、それを必要とする動物に投与
することにより、鼻炎を処置する方法に関する。一態様では、鼻炎はアレルギー性鼻炎である。
【0008】
一態様では、上記組成物中のDA−DKPの有効量は、1日当たり約100μgから約3000μgまでである。別の態様では、上記組成物中のDA−DKPの有効量は、1日当たり約500μgから約1500μgまでである。
【0009】
さらなる他の態様では、DA−DKPを含む組成物の投与は、鼻炎の診断の24時間以内に開始される。さらなる他の態様では、DA−DKPを含む組成物の投与は、鼻炎の1つまたは複数の初期徴候、または鼻炎を発症する素因の出現の際に開始される。鼻炎の1つまたは複数の初期徴候には、鼻漏、鼻閉、鼻部そう痒感およびくしゃみがあり得る。
【0010】
本方法のさらなる他の態様では、DA−DKPは、ヒト血清アルブミン組成物の溶液からアルブミンを除去することにより調製される組成物に含まれている。例えば、除去工程は、ある分離方法によりヒト血清アルブミン組成物を処置することで可能になる。このような分離方法には、限外ろ過、ショ糖密度勾配遠心分離、クロマトグラフィ、塩析および超音波処理を挙げることができる。さらに、除去工程は、ヒト血清アルブミン組成物に、アルブミンを保持する分画分子量を有する限外ろ過膜を通過させることで可能になり、得られるろ液は、DA−DKPを含有する。一態様では、限外ろ過膜は、50kDa未満の分画分子量を有する。さらなる別の態様では、限外ろ過膜は、40kDa未満の、30kDa未満の、20kDa未満の、10kDa未満の、5kDa未満の、または3kDa未満の分画分子量を有する。
【0011】
さらなる別の態様では、DA−DKPを含む組成物を、鼻炎の処置に適した第2の薬物と組み合わせて投与する。例えば、第2の薬物は、抗ヒスタミン剤、うっ血除去薬、抗炎症薬、肥満細胞安定薬、ロイコトリエン修飾薬およびIgEブロッカーから選択することができる。
【0012】
本発明の別の実施形態は、吸入、吹送および経鼻投与から選択される経路による鼻への投与のために製剤化されたDA−DKP含有組成物を含む、医薬品に関する。一態様では、吸入による投与のために製剤化されたDA−DKP含有組成物は、インサフレーター、ネブライザー、加圧パック、搾り出し式ボトル、注射器、点滴器、スプレーデバイス、噴霧器デバイスおよびエアロゾル発生器から選択されるデバイスの中に包装される。一態様では、加圧パックは、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンおよび二酸化炭素から選択される推進薬を含み得る。
【0013】
本医薬品のさらなる別の態様では、吸入または吹送による投与のために製剤化されたDA−DKP含有組成物は、DA−DKP含有組成物と粉末基剤との混合粉末を含む。一態様では、混合粉末は、カプセル剤、カートリッジ剤、ゼラチンパック剤およびブリスターパック剤から選択される剤形になり得る。混合粉末は、吸入器、インサフレーターおよび定量吸入器から選択されるデバイスにより送達することができる。
【0014】
本医薬品のさらなる別の態様では、経鼻投与のために製剤化されたDA−DKP含有組成物は、点滴薬またはスプレーの形態である。一態様では、DA−DKP含有組成物中のDA−DKPは、この組成物の約0.1%(w/v)から約10%(w/v)までを占める。点滴薬またはスプレーは、鼻腔内送達システム内に内包され得る。一態様では、鼻腔内送達システムは、噴霧デバイスを含む。一態様では、噴霧デバイスは、ボトルおよびポンプを含む。好ましい一態様では、ポンプは定量ポンプである。定量ポンプは、ある点鼻量のDA−DKP含有組成物を送達することができる。一態様では、定量ポンプは、ポンプ1回当たり約0.15mlという点鼻量のDA−DKP含有組成物を送達することがで
きる。さらなる別の態様では、医薬品は、分散剤、可溶化剤および懸濁剤から選択される1つまたは複数の作用剤を含む、水性または非水性基剤をさらに含む。
【0015】
本医薬品のさらなる別の態様では、DA−DKP含有組成物は、軟膏、ゲルおよびクリームから選択される形態になるよう、経鼻投与のために製剤化される。一態様では、医薬品は、動物性脂肪、植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、酸化亜鉛およびそれらの混合物から選択される賦形剤をさらに含む。さらなる別の態様では、本医薬品は、吸収促進剤または浸透促進剤をさらに含む。さらなる別の態様では、本医薬品は、鼻内でのDA−DKP含有組成物の滞留時間を増大させるための増粘剤または粘度増強剤をさらに含む。さらなる別の態様では、本医薬品は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0016】
本医薬品のさらなる他の態様では、DA−DKPは、ヒト血清アルブミン組成物の溶液からアルブミンを除去することにより調製された組成物に含まれている。例えば、除去工程は、ある分離方法によりヒト血清アルブミン組成物を処置することで可能になる。このような分離方法には、限外ろ過、ショ糖密度勾配遠心分離、クロマトグラフィ、塩析および超音波処理を挙げることができる。さらに、除去工程は、ヒト血清アルブミン組成物に、アルブミンを保持する分画分子量を有する限外ろ過膜を通過させることで可能になり、得られるろ液は、DA−DKPを含有する。一態様では、限外ろ過膜は、50kDa未満の分画分子量を有する。さらなる別の態様では、限外ろ過膜は、40kDa未満の、30kDa未満の、20kDa未満の、10kDa未満の、5kDa未満の、または3kDa未満の分画分子量を有する。
【0017】
本発明は、限定されはしないが感染性鼻炎、アレルギー性鼻炎および非アレルギー性鼻炎を含めた鼻炎を処置する方法を提供する。本方法は、DA−DKPを含む有効量の医薬組成物を、それを必要とする動物に投与することを含む。
【0018】
本発明はまた、吸入、吹送または経鼻投与等の経路による鼻への投与のために製剤化された医薬品も提供する。本組成物は、DA−DKP含有組成物を含む。
アレルギー性鼻炎は、埃または花粉等の屋外アレルゲンまたは室内アレルゲンに対する炎症誘発性免疫応答である。非アレルギー性鼻炎は、アレルゲンまたは感染病原体により誘発されない鼻炎である。非アレルギー性鼻炎の種類には、限定されはしないが血管運動性、自律神経性、内分泌性、薬剤誘発性、萎縮性および味覚性の鼻炎および薬物性鼻炎が挙げられる。
【0019】
鼻炎を処置するために、DA−DKPを含む組成物が、処置を必要とする動物に投与される。好ましくは、動物は、ウサギ、ヤギ、イヌ、ネコ、ウマまたはヒト等の哺乳動物である。最も好ましくは、動物はヒトである。
【0020】
本発明の化合物(すなわち、DA−DKPを含む組成物と、後述する5000MW未満の画分等、DA−DKPのろ液を含む調製物)に関する有効な剤形、投与方法および投薬量は、本願明細書で提供されるガイダンスを用いて実験により測定することができる。投薬量は、処置しようとする特定の疾患または状態、疾患または状態の重症度、投与の経路(複数可)、処置の持続期間、動物に投与される他の任意の薬物のアイデンティティ、動物の年齢、大きさおよび種、ならびに、医療分野および獣医学分野において公知の同様の因子に伴って変化することは、当業者ならば理解される。一般に、本発明の化合物の適切な1日量は、治療効果を生じさせるのに有効な最低の用量である本化合物の量になる。しかしながら、1日用量は、健全な医学的判断の範囲内で担当の医師または獣医師により決定される。所望ならば、有効な1日量は、1日を通して適当な間隔で別々に投与される2
つ、3つ、4つ、5つまたは6つ以上の小用量として、投与してもよい。本化合物の投与は、許容される応答が達成されるまで継続すべきである。このような許容される応答は、例えば、鼻炎の症状が抑制されたときおよび/または鼻炎の症状が対象により検出されなくなったときにあり得る。
【0021】
本発明の組成物は、約10μM、約20μM、約30μM、約40μM、約50μM、約60μM、約70μM、約80μM、約90μM、約100μM、約110μM、約120μM、約130μM、約140μM、約150μM、約160μM、約170μM、約180μM、約190μM、約200μM、約210μM、約220μM、約230μM、約240μM、約240、約250μM、約260μM、約270μM、約280μM、約290μM、約300μM、約310、約320μM、約330μM、約340μM、約350μM、約360μM、約370μM、約380μM、約390μMまたは約400μMが下端点のDA−DKP濃度範囲を有する薬液であり得る。本発明の組成物は、約600μM、約580μM、約570μM、約560μM、約550μM、約540μM、約530μM、約520μM、約510μM、約500μM、約490μM、約480μM、約470μM、約460μM、約450μM、約440μM、約430μM、約420μM、約410μM、約400μM、約390μM、約380μM、約370μΜ、約360μM、約350、約340μM、約330μM、約320μM、約310μM、約300μM、約290μM、約280、約270μM、約260μM、約250μM、約240μM、約230μM、約220μM、約210μMまたは約200μMが上端点のDA−DKP濃度範囲を有する薬液であり得る。
【0022】
鼻炎を処置するための本発明の組成物中のDA−DKPの有効量は、約10μg、約15μg、約20μg、約25μg、約30μg、約35μg、約40μg、約45μg、約50μg、約55μg、約60μg、約65μg、約70μg、約75μg、約80μg、約85μg、約90μg、約95μg、約100μg、約110μg、約120μg、約130μg、約140μg、約150μg、約160μg、約170μg、約180μg、約190μg、約200μg、約210μg、約220μg、約230μg、約240μg、約250μg、約260μg、約270μg、約280μg、約290μg、約300μg、約310μg、約320μg、約330μg、約340μg、約350μg、約360μg、約370μg、約380μg、約390μg、約400μg、約425μg、約450μg、約475μgまたは約500μgが下端点の範囲であり得る。鼻炎を処置するための本発明の組成物中のDA−DKPの有効量は、約500μg、約490μg、約480μg、約470μg、約460μg、約450μg、約440μg、約430μg、約420μg、約410μg、約400μg、約390μg、約380μg、約370μg、約360μg、約350μg、約340μg、約330μg、約320μg、約310μg、約300μg、約290μg、約280μg、約270μg、約260μg、約250μg、約240μg、約230μg、約220μg、約210μg、約200μg、約190μg、約180μg、約170μg、約160μg、約150μg、約140μg、約130μg、約120μg、約110μg、約100μg、約90μg、約80μg、約70μg、約60μg、約50μg、約40μg、約30μgまたは約20μgが上端点の範囲であり得る。
【0023】
さらに、DA−DKP含有組成物がスプレー組成物もしくは製剤および/または点滴用組成物もしくは製剤として投与される場合、有効な投薬量は、約0.01%(重量/体積(w/v))、約0.02%(w/v)、約0.03%(w/v)、約0.04%(w/v)、約0.05%(w/v)、約0.06%(w/v)、約0.07%(w/v)、約0.08%(w/v)、約0.09%(w/v)、約0.10%(w/v)、約0.11%(w/v)、約0.12%(w/v)、約0.13%(w/v)、約0.14%(w/v)、約0.15%(w/v)、約0.16%(w/v)、約0.17%(w/v)、約
0.18%(w/v)、約0.19%(w/v)、約0.20%(w/v)、約0.25%(w/v)、約0.30%(w/v)、約0.35%(w/v)、約0.40%(w/v)、約0.45%(w/v)、約0.50%(w/v)が下端点の範囲であり得る。最も好ましくは約0.1%(w/v)である。さらに、DA−DKP含有組成物がスプレー組成物もしくは製剤および/または点滴用組成物もしくは製剤として投与される場合、有効な投薬量は、上端点約10.0%(w/v)、約9.0%(w/v)、約8.0%(w/v)、約7.0%(w/v)、約6.0%(w/v)、約5.0%(w/v)、約4.0%(w/v)、約3.0%(w/v)、約2.0%(w/v)、1.0%(w/v)、約0.95%(w/v)、約0.90%(w/v)、約0.85%(w/v)、約0.80%(w/v)、約0.75%(w/v)、約0.70%(w/v)、約0.65%(w/v)、約0.60%(w/v)または約0.55%(w/v)の範囲であり得る。
【0024】
DA−DKP含有組成物の投与は、鼻炎の診断の24時間以内に開始され得る。DA−DKP含有組成物の投与は、鼻炎の1つまたは複数の初期徴候、または鼻炎を発症する素因の出現の際に開始され得る。鼻炎の初期徴候には、限定されはしないが鼻漏、鼻閉、鼻部そう痒感およびくしゃみが挙げられる。
【0025】
本発明の化合物(すなわち、DA−DKPを含む組成物と、後述する5000MW未満の画分等、DA−DKPのろ液を含む調製物)は、経口、経鼻、非経口(例えば、静脈内、腹腔内、皮下または筋肉内)、経皮、眼内および局所(口腔および舌下を含める)を含めた任意の適切な投与経路により、療法のために動物患者に投与することができる。本発明に従って処置できる任意の疾患または状態のための経口投与、経眼投与または経鼻投与が好ましい。経鼻投与が特に好ましい。
【0026】
本発明のDA−DKP含有組成物を単独で投与することもできるが、DA−DKP含有組成物を医薬製剤または医薬品として投与することが好ましい。本発明の医薬組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体と混合し、任意選択により1つまたは複数の他の化合物、薬物または他の物質とも混合した1つまたは複数の本発明の化合物を、有効成分として含む。各担体は、製剤の他の成分と適合しかつ動物に有害でないという意味で、「許容される」ものでなければならない。薬学的に許容される担体は、当分野において周知である。選択された投与経路に関わらず、本発明のDA−DKP含有組成物は、当業者に公知の従来の方法により製剤化されて、薬学的に許容される剤形になる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciencesを参照されたい。
【0027】
経口投与に適した本発明の製剤は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤の形態であり得、あるいは、水性もしくは非水性液体中の、または水中油型もしくは油中水型の液体エマルション中の液剤または懸濁剤としてあり得、あるいは、エリキシル剤またはシロップ剤としてあり得、あるいは、(ゼラチンやグリセリン等またはショ糖やアカシア等の不活性基剤を用いた)トローチ剤等としてあり得、それぞれが、所定量の1つまたは複数の本発明の化合物を有効成分として含有する。本発明の製剤はまた、ボーラス剤、舐剤またはペースト剤として投与することもできる。
【0028】
経口投与のための本発明の固体剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤および顆粒剤等)では、有効成分(すなわち、DA−DKPを含む組成物と、後述する5000MW未満の画分等、DA−DKPのろ液を含む調製物)は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム等、1つまたは複数の薬学的に許容される担体、および/または次のいずれかと混合される:(1)デンプン、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸等の充填剤または増量剤、(2)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖および/またはアカシア
等の結合剤、(3)グリセロール等の保湿剤、(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のシリケートおよび炭酸ナトリウム等の崩壊剤、(5)パラフィン等の溶解遅延剤、(6)第4級アンモニウム化合物等の吸収促進剤、(7)例えばセチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート等の湿潤剤、(8)カオリンクレーおよびベントナイトクレー等の吸収剤、(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物等の滑沢剤、ならびに(10)着色料。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、本医薬組成物はまた、緩衝剤も含み得る。同様の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコール等のような賦形剤を用いた軟質充填型および硬質充填型のゼラチンカプセル中に、充填剤として用いられ得る。
【0029】
錠剤は、圧縮または成型により製造することができ、任意選択により1つまたは複数の副成分を有する。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存料、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、界面活性剤または分散剤を用いて調製することができる。成型錠剤は、不活性希釈液によって濡らした粉末状化合物の混合物を適切な機械装置内で成型することにより、製造することができる。
【0030】
本発明の医薬組成物の錠剤および他の固体剤形、例えば糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒剤は、任意選択により、割線を入れることもでき、または、腸溶性コーティングおよび製薬分野において周知の他のコーティング等、コーティングおよびシェルを用いて調製することもできる。それらはまた、その中への有効成分の徐放または制御放出を、例えば、所望の放出プロフィールを提供するように比率が変化するヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはミクロスフィアを用いて実現するようにも製剤化することができる。それらは、例えば、細菌保留フィルターを用いたろ過により滅菌することができる。これらの組成物はまた、任意選択により不透明化剤も含有し得、それらが消化管のある特定の部分中への有効成分のみの放出または有効成分の優先的な放出を、任意選択により遅延される様式にして行うようになる組成物であり得る。使用され得る包埋用組成物の例には、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。有効成分はまた、マイクロロカプセル化された形態であってもよい。
【0031】
本発明の化合物の経口投与のための液体剤形には、薬学的に許容される乳剤、マイクロエマルション剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。有効成分に加えて、液体剤形は、例えば水または他の溶媒等の当分野で一般的に使用される不活性希釈剤と、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル等の可溶化剤および乳化剤と、それらの混合物とを含有し得る。
【0032】
不活性希釈剤の他にも、経口用組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、香料、着色料、芳香剤および保存剤等の補助剤を含み得る。
懸濁剤は、有効成分に加えて、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天ならびにトラガント、ならびにそれらの混合物のような、懸濁剤を含有し得る。
【0033】
医薬製剤および医薬品には、吸入もしくは吹送による投与に適した、または経鼻投与に
適した医薬製剤および医薬品が挙げられる。吸入による上部(鼻側)気道または下部気道への投与に関しては、本発明のDA−DKP含有組成物は、インサフレーター、ネブライザーもしくは加圧パック、または、エアロゾルスプレーを送達する他の好都合な手段等、吸入式送達用のデバイスから好都合に送達される。加圧パックが、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切な気体等の適切な推進薬を含み得る。加圧エアロゾルの場合、用量単位は、定量を送達するためのバルブを設けることにより決定することができる。
【0034】
代替的には、吸入または吹送による投与のために、本組成物は、乾燥粉末の形態になり得、例えば、本発明のDA−DKP含有組成物とラクトースまたはデンプン等の適切な粉末基剤との混合粉末の形態になり得る。粉末組成物は、例えばカプセルもしくはカートリッジ中の、または、例えば、吸入器、インサフレーターまたは定量吸入器を用いてこの粉末がそこから投与され得るゼラチンパックもしくはブリスターパック中の単位剤形にして提供することができる。
【0035】
経鼻投与に関しては、本発明のDA−DKP含有組成物は、プラスチックボトルスプレーまたは噴霧器または定量吸入器等を用いて、点鼻薬または液体スプレーにより投与することができる。液体スプレーは、好都合には、加圧パックから送達される。
【0036】
点鼻薬は、1つまたは複数の分散剤、可溶化剤または懸濁剤をさらに含む水性または非水性基剤を用いて製剤化することができる。点滴薬は、単純な点眼器型キャップ付きボトルにより送達することもでき、または、特殊な形状の閉じ具を用いて内容液を液滴にして送達するようになされたプラスチックボトルにより送達することもできる。
【0037】
軟膏剤、ゲル剤およびクリーム剤もまた、本発明のDA−DKP含有組成物の経鼻投与のために使用することもできる。有効成分は、無菌条件下で、薬学的に許容される担体、および必要になることがある任意の緩衝液または推進薬と混合され得る。軟膏剤、クリーム剤およびゲル剤は、有効成分に加えて、動物性脂肪および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの混合物等の賦形剤を含有し得る。
【0038】
本発明の化合物の局所投与または経皮投与のための剤形には、散剤、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、パッチ剤、点滴薬および吸入剤が挙げられる。有効成分は、無菌条件下で、薬学的に許容される担体、および必要になることがある任意の緩衝液または推進薬と混合され得る。軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤およびゲル剤は、有効成分に加えて、動物性脂肪および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの混合物等の賦形剤を含有し得る。散剤およびスプレー剤は、有効成分に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物等の賦形剤を含有し得る。スプレー剤は、クロロフルオロ炭化水素およびブタンやプロパン等の揮発性の非置換炭化水素のような、慣用の推進薬をさらに含有し得る。経皮パッチ剤は、身体への本発明の化合物の制御された送達を実現するという、さらなる利点を有する。このような剤形は、エラストマー性マトリックス材料等の適当な媒体中に、1つまたは複数の本発明の化合物を溶解させ、分散させ、または他の方法で組み込むことにより、製造することができる。吸収促進剤はまた、皮膚を通り抜ける本化合物の流束を増大させるために使用することもできる。このような流束の速度は、速度調節膜の設置またはポリマーマトリックスもしくはゲル中への本化合物の分散のいずれかにより制御することができる。薬物含漬済み固体担体(例えば、包帯剤)もまた、局所投与のために使
用することもできる。
【0039】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、製剤を所期の受容者の血液または懸濁剤もしくは増粘剤と等張にする抗酸化剤、緩衝剤、溶質を含有し得る、1つまたは複数の薬学的に許容される無菌で等張性な水性または非水性の溶液、分散液、懸濁液もしくはエマルション、または、使用の直前に無菌で注射可能な溶液もしくは分散液へと再構成することが可能な無菌粉末と組み合わせた、1つまたは複数の本発明の化合物を含む。さらに、薬物コーティング済みステントを使用することもできる。
【0040】
本発明の医薬組成物中に用いられ得る適切な水性および非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール等)、および適切なそれらの混合物、オリーブ油等の植物油、ならびにエチルオレエート等の注射可能な有機エステルが挙げられる。適当な流動性は、例えば、レシチン等のコーティング材料の使用、分散液の場合に必要とされる粒径の維持、および界面活性剤の使用により維持することができる。
【0041】
これらの組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および分散剤等の補助剤も含有し得る。糖および塩化ナトリウム等のような等張剤を本組成物中に含むことも、望ましい場合がある。さらに、注射可能な医薬形態の長期的吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン等、吸収を遅延させる作用剤の組み入れにより実現することができる。
【0042】
場合によっては、薬物の効果を長期化するために、皮下注射または筋肉内注射による薬物の吸収を遅らせることが望ましい。これは、難水溶性の結晶性材料または非晶質材料の液体懸濁液の使用により達成することができる。その後、薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、溶解速度については、結晶サイズおよび結晶性形態に依存し得る。代替的には、非経口的に投与される薬物の吸収の遅延は、油ビヒクル中に薬物を溶解または懸濁させることにより達成される。
【0043】
注射可能なデポ剤形態は、ポリラクチド−ポリグリコライド等の生分解性ポリマー中に、薬物のマイクロカプセル型マトリックスを形成することにより製造される。薬物のポリマーに対する比、および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出の速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポ剤型の注射可能な製剤はまた、身体組織と適合性のリポソームまたはマイクロエマルション中に薬物を封入することにより調製される。注射可能な物質は、例えば、細菌保留フィルターを用いたろ過により滅菌することができる。
【0044】
上記製剤は、単回用量型密封容器または多回用量型密封容器、例えばアンプルおよびバイアルに入れて提供することもでき、使用の直前に無菌液体担体、例えば注射用水の添加しか必要にならない、凍結乾燥された状態で貯蔵しておくこともできる。即製の注射用液剤および懸濁剤は、上述した種類の無菌散剤、顆粒剤および錠剤から調製することができる。
【0045】
鼻炎を処置するためにDA−DKP含有組成物を単独で与えることもできるが、代替的には、DA−DKP含有組成物を、鼻炎の処置に適した1つまたは複数の他の処置または薬物と組み合わせて与えてもよい。例えば、DA−DKP含有組成物は、他の処置または薬物の前に、一緒に(同時を含める)、または後に投与することができる。別の薬物の場合、その薬物とDA−DKP含有組成物は、別々の医薬組成物として投与してもよく、または、同じ医薬組成物の一部として投与してもよい。適切な他の薬物には、抗ヒスタミン剤、うっ血除去薬、抗炎症薬(ステロイド系および非ステロイド系)、肥満細胞安定薬、ロイコトリエン修飾薬およびIgEブロッカーが挙げられる。具体的な適切な薬物には、
フェキソフェナジン、ドキシラミン、ジフェンヒドラミン、トリプロリジン、ロラチジン、セチリジン、プソイドフェドリン、フェニレフリン、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、プレドニゾン、プレドニゾロンおよびメチルプレドニゾロンが挙げられる。点鼻用スプレー中への組み入れに適した薬物は、ステロイド(フルチカゾンプロピオネート、モメタゾン、ブデソニト、フルニソリド、トリアムシノロンおよびベクロメタゾン等)、抗ヒスタミン剤(アゼラスチン等)、抗コリン薬(イプラトプロイウム等)および肥満細胞安定薬(クロモリン等)である。
【0046】
DA−DKP等のジケトピペラジンを製造する方法は、当分野において周知であり、こうした方法は、本発明のジケトピペラジンを合成するために用いることができる。例えば、それらの全開示を参照により本願明細書に援用する米国特許第4,694,081号、米国特許第5,817,751号、米国特許第5,990,112号、米国特許第5,932,579号、米国特許第6,555,543号、米国特許出願公開第2004/0024180号、PCT出願WO96/00391およびPCT出願WO97/48685、ならびにスミス(Smith)らのBioorg.Med.Chem.Letters,8,2369−2374(1998)を参照されたい。
【0047】
例えば、DA−DKP等のジケトピペラジンは、先ずジペプチドを合成することにより調製することができる。ジペプチドは、L−アミノ酸、D−アミノ酸、またはD−アミノ酸とL−アミノ酸の組合せを用いて、当分野において周知の方法により合成することができる。固相ペプチド合成法が好ましい。当然ながら、ジペプチドはまた、DMI Synthesis Ltd.,Cardiff,UK(受託合成)、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO(一次受託合成)、Phoenix Pharmaceuticals,Inc.,Belmont,CA(受託合成)、Fisher Scientific(受託合成)およびAdvanced ChemTech,Louisville,KYを含めた数多の供給元から市販されてもいる。
【0048】
ジペプチドが合成または購入されると、ジペプチドは環化してジケトピペラジンを形成する。これは、種々の技法により達成することができる。例えば、米国特許出願公開第2004/0024180号は、ジペプチドを環化する方法を記述している。簡単に言うと、蒸留により水を除去しながら、ジペプチドを有機溶媒中で加熱する。好ましくは、アセトニトリル、アリルアルコール、ベンゼン、ベンジルアルコール、n−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、酢酸ブチルエステル、四塩化炭素、クロロベンゼンクロロホルム、シクロヘキサン、1,2−ジクロルエタン、ジエチルアセタール、ジメチルアセタール、酢酸エチルエステル、ヘプタン、メチルイソブチルケトン、3−ペンタノール、トルエンおよびキシレン等の有機溶媒は、水との低沸点共沸混合物である。温度は、環化が起こる反応速度と、使用される共沸剤の種類とに依存する。反応は、好ましくは50〜200℃、より好ましくは80〜150℃で実施される。環化が起こるpH範囲は、当業者ならば容易に決定することができる。この範囲は、有利には2〜9になり、好ましくは3〜7になる。
【0049】
ジペプチドのアミノ酸の片方または両方が、その側鎖にカルボキシル基を有する、または有するように誘導体化されている場合(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸)、ジペプチドは、好ましくは、米国特許第6,555,543号で記述されているように環化される。簡単に言うと、ジペプチドは、その側鎖カルボキシルが依然として保護されており、中性条件下で加熱される。一般的には、ジペプチドは、約80℃から約180℃までで加熱され、好ましくは約120℃で加熱される。溶媒は、中性溶媒になる。例えば、溶媒は、アルコール(ブタノール、メタノール、エタノールおよび高級アルコール等だが、フェノールではない)、および共沸性共溶媒(トルエン、ベンゼンまたはキシレン等)を含み得る。好ましくは、アルコールはブタン−2−オールであり、共沸性共溶媒はト
ルエンである。加熱は、反応が完了するまで継続され、このような時間は、実験により決定することができる。一般的には、ジペプチドは、約8〜24時間、好ましくは約18時間還流させることにより環化される。最後に、保護基がジケトピペラジンから除去される。このように行うとき、強酸(硫酸または塩酸等の鉱酸)、強塩基(水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウム等のアルカリ性塩基)、および強力な還元剤(例えば、水素化アルミニウムリチウム)の使用は、最終的な化合物のキラリティーを維持するために回避すべきである。
【0050】
固相樹脂上に生成されたジペプチドは、1ステップで環化してこの樹脂から放出させることができる。例えば、米国特許第5,817,751号を参照されたい。例えば、N−アルキル化ジペプチドが付着した樹脂は、酢酸(例えば、1%)またはトリエチルアミン(例えば、4%)の存在下、トルエン中またはトルエン/エタノール中に懸濁される。一般的に、それらの環化時間をより速くするためには塩基性環化条件が好ましい。
【0051】
ジペプチドを環化する他の方法およびジケトピペラジンを製造する他の方法は、当分野において公知であり、本発明の実施に有用なジケトピペラジンの調製に用いることができる。例えば、上記で列挙した参考資料を参照されたい。さらに、本発明における使用に適した数多くのジケトピペラジンは、後述するように、タンパク質およびペプチドから製造することができる。さらに、本発明の実施における使用のためのジケトピペラジンは、例えば、DMI Synthesis Ltd.,Cardiff,UK(受託合成)から購入することができる。
【0052】
本発明のDA−DKP組成物および/または生成物は、ヒト血清アルブミン等のアルブミンを含む市販の医薬組成物を含めた、DA−DKPを含有する溶液から、限外ろ過、クロマトグラフィ(サイズ排除クロマトグラフィ(例えば、セントリコンろ過)、(例えば、所望のジケトピペラジン(複数可)を対象とする1つもしくは複数の抗体または切断型タンパク質もしくはペプチドを対象とする1つもしくは複数の抗体が付着したビーズのカラムを用いた)アフィニティクロマトグラフィ、アニオン交換またはカチオン交換)、ショ糖密度勾配遠心分離、クロマトグラフィ、塩析または超音波処理等、溶液中のアルブミンの一部またはすべてを除去する周知の方法により調製することができる。得られたDA−DKP含有組成物および/または生成物は、使用することができ、上述した医薬組成物中に組み込むことができる。
【0053】
限外ろ過式分離方法を用いると、ヒト血清アルブミン組成物は、アルブミンを保持する分画分子量を有する限外ろ過膜を通過することができ、一方、DA−DKPは、得られるろ液または画分の中に移る。このろ液は、約50kDA未満の、約40kDa未満の、30kDa未満の、約20kDa未満の、約10kDa未満の、約5kDa未満の、約3kDa未満の分子量を有する構成成分を含み得る。好ましくは、ろ液は、約5kDa未満の分子量(「5000MW未満」とも呼ぶ)を有する構成成分を含む。この5000MW未満の画分またはろ液は、アルブミンのジペプチドアスパルテート−アラニンが切断され、その後、環化されてジケトピペラジンになった後に形成される、DA−DKPを含有する。5000MW未満の画分は、その全開示を参照により本願明細書に援用する米国特許第7,732,403号で記述されたようにして調製することができる。
【0054】
本発明のDA−DKPの生理学的に許容される塩はまた、本発明の実施において使用することできる。生理学的に許容される塩には、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸および硝酸等)、有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、安息香酸、サリチル酸、シュウ酸およびアスコルビン酸等)、または塩基(例えば、Ν,Ν−ジベンジルエチレンジアミン、D−グルコサミンまたはエチレンジアミンに由来す
る、薬学的に許容される金属カチオンまたは有機カチオンの水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩)に由来する塩等の従来の非毒性塩が挙げられる。上記塩は、従来の方法により調製され、例えば、遊離塩基形態の本化合物を酸によって中和することで調製される。
【0055】
本発明の医薬品を含むキットもまた、提供される。本キットは、経鼻投与のために製剤化されたDA−DKP組成物を含み得る。DA−DKPは、本願明細書で記述したように、ヒトアルブミン組成物の溶液からアルブミンを除去すること等により調製することができる。本キットは、単回用量型密封容器または多回用量型密封容器、例えば、搾り出し式ボトル、注射器、点滴器、スプレーデバイス、噴霧器デバイス、エアロゾル化器、ネブライザー、インサフレーターまたは加圧パックを内包し得る。キットは、内容物を直接使用できるようにした状態で貯蔵しておくことができる。交互に、キットは、使用の直前に無菌液体担体、例えば水の添加しか必要にならない、凍結乾燥された状態で貯蔵しておくことができる。
【0056】
本願明細書で使用されるとき、「1」または「1つの」は、1つまたは複数を意味する。
本願明細書で使用されるとき、「含む」および「含んでいる」は、それらの範囲内に、本願明細書において「含む」または「含んでいる」により特徴付けられた本発明の代替的実施形態のように、「から本質的になる」および「からなる」等のより狭義のすべての用語を含める。「から本質的になる」の使用に関して、この言い回しは、請求の範囲を、指定した工程および材料、ならびに、本願明細書で開示された本発明の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響しないものに限定する。
【0057】
本発明のさらなる目的、利点および新規な特徴は、下記の非限定的な実施例を考慮することで当業者には明らかとなろう。下記の実験結果は、例示のために提供されており、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0058】
実施例
lb相ランダム化二重盲検プラセボ対照平行群試験を実施して、成人のヒトにおけるアレルギー性鼻炎の処置に関する、5000MW未満の画分の効能を評価した。簡単に言うと、上記試験を以下のように実施した。
【0059】
対象は、1年超の間(継続的または断続的に)療法を受けていた、アレルギー性鼻炎の病歴がある18〜65歳の男性または女性のヒトだった。各対象は、標準的な皮膚試験を介してアレルギー性鼻炎を引き起こすと知られている、少なくとも1つの季節性アレルゲン(樹木花粉/牧草花粉)に対する感受性が実証されていた。各対象は、スクリーニング受診の日(第1日目)に、≧5という最小限の対象報告式の反省型(reflective)総合鼻症状スコア(rTNSS:reflective Total Nasal Symptom Score)を有していた。
【0060】
7日間の休薬期間(第1日目〜第7日目)の間、対象はいかなる種類の処置も受けず、下記の尺度を用いてそれらの症状を1日2回(入浴前、食品もしくは飲料の消費の前、または活発な活動前の午前中と、12時間後とに)記録した。
・0=無し(徴候/症状はない)
・1=軽度(徴候/症状がはっきりとあるが最低限の認識であり、容易に耐えられる)
・2=中等度(煩わしいが耐えることはできる徴候/症状の確定的な認識)
・3=重度(耐えるのが難しい徴候/症状であり、日常生活の活動および/または睡眠に対する干渉が起こる)。
【0061】
対象は、休薬期間の後に(第8日目に)ランダム化して、処置群にした(5000MW
未満の画分またはプラセボ(すなわち生理食塩水))。
処置は第8日目に開始し、第17日目までずっと継続した(合計10日)。処置の間、対象は、上記の尺度を用いてそれらの症状を1日2回(上述したようにして、午前中の試験薬の投与前に)再び記録した。対象は、それらの症状を記録した直後、午前中に1日1回、鼻孔1つにつき0.15mlで試験薬のうちの1つを0.3ml投与した。最初の試験薬投与は、試験施設の人員が監督した。試験薬は、同一の鼻腔内用スプレー形式にした点鼻用スプレーおよびプラセボスプレー(通常の生理食塩水、0.9%NaClを含有)として使用した、5000MW未満の画分(3.72%DA−DKPを含有)だった。
【0062】
試験薬の効能を、以下のように評価した。
この試験における有効性の測定項目には、対象報告式の総合鼻症状スコア(TNSS:Total Nasal Symptom Score)を含めていた。TNSSは、4つの鼻症状:鼻漏(鼻水)、鼻閉、鼻部そう痒感およびくしゃみに関する、対象報告式症状スコアの合計として規定される。各スコアは、上記で規定した0から3までの範囲の重症度尺度により評価する。
【0063】
対象には、反省型(reflective)TNSS(すなわち、スコアの記録前の過去12時間にわたる症状重症度の評価)と、即時型(instantaneous)TNSS(すなわち、最後の10分にわたる症状重症度の評価)の両方を評定するように依頼した。
【0064】
reflectiveおよびinstantaneousのTNSSは、4つの鼻症状に関する対象報告式の症状スコアの合計として規定される。各対象は、症状スコアを対象の日誌に記録した。各スコアに関しては、下記を含めた情報を日誌に記録した。
・鼻漏(鼻水)
・鼻閉
・鼻部そう痒感
・くしゃみ
症状評価のそれぞれに関する重症度尺度は、上記で与えられている。
【0065】
平均のreflective(r)およびinstantaneous(i)の対象報告式の総合鼻症状スコア(TNSS:total nasal symptom score)を、各対象について計算した。平均TNSSは、ベースライン(ベースライン効能値)および処置期間(二重盲検効能値)の間での、毎日のAMおよびPMにおけるスコアのすべて(各スコアは、0から12までの尺度によりランク付けされる)の平均である。
【0066】
効能の変化を、以下のように、二重盲検値−ベースライン値の変化として計算した:
・rTNSSの変化:平均二重盲検rTNSS−平均ベースラインrTNSS
・iTNSSの変化:平均二重盲検iTNSS−平均ベースラインiTNSS
ステューデントのt検定:下記に関する、処置群間での平均(SD)差異:
・(rTNSS/iTNSS)の平均変化
・AM(rTNSS/iTNSS)の平均変化
・PM(rTNSS/iTNSS)の平均変化
・4つの鼻症状のそれぞれに関する、個々の症状スコアの平均変化。
【0067】
ステューデントのt検定を用いた分析により得られた結果は、テーブル1〜テーブル5に提供されており、以下に要約されている(中間解析の時点で治験を完了した対象の数:n=20、プラセボはn=10(解析対象(ITT:Intent to Treat)母集団、5000MWを超える画分、n=10(ITT母集団)。
【0068】
rTNSS:5000MW未満の画分は、プラセボによる1.7ポイントの低下に比較して、reflective症状重症度の2.4ポイントの低下を示していた(テーブル2)。プラセボによる23%の改善と対比すると、5000MW未満の画分により35%のrTNSSの改善があった。最大の改善は、くしゃみおよび鼻水の症状を伴っていた(テーブル3)。6/7の効能測定項目は、5000MW未満の画分によってプラセボより大きな改善を示していた(鼻のそう痒感の症状を除くすべての評定)。ベースラインrTNSS<中央値(7.5)の部分集合には、顕著なrTNSS改善があった。
【0070】
iTNSS:5000MW未満の画分は、プラセボによる1.7ポイントの低下に比較して、instantaneous症状重症度の2.0ポイントの低下を示していた(テーブル4)。5/7の効能測定項目は、5000MW未満の画分によってプラセボより大きな改善を示していた。くしゃみの鼻症状で最大の改善が得られた(テーブル5)。instantaneous症状とreflective症状との対比では、より小さな改善が見受けられた。
【0072】
本発明の様々な実施形態を詳細に記述してきたが、こうした実施形態の修正および改造は当業者ならば思いつくことが明らかである。しかしながら、このような修正および改造は、例示的な下記の請求項に記載されたように、本発明の範囲内であることを明確に理解すべきである。
項目1
アスパラギン酸およびアラニンのアミノ酸側鎖を有するジケトピペラジン(DA−DKP)を含む有効量の医薬組成物を、それを必要とする動物に投与することを含む、鼻炎を処置する方法。
項目2
前記鼻炎がアレルギー性鼻炎である、項目1に記載の方法。
項目3
前記組成物中の前記DA−DKPの有効量が、1日当たり約100μgから約3000μgまでである、項目1に記載の方法。
項目4
前記組成物中の前記DA−DKPの有効量が、1日当たり約500μgから約1500μgまでである、項目1に記載の方法。
項目5
DA−DKPを含む前記組成物の投与が、鼻炎の診断の24時間以内に開始される、項目1に記載の方法。
項目6
DA−DKPを含む前記組成物の投与が、鼻炎の1つまたは複数の初期徴候、または鼻炎を発症する素因の出現の際に開始される、項目1に記載の方法。
項目7
鼻炎の前記1つまたは複数の初期徴候が、鼻漏、鼻閉、鼻部そう痒感およびくしゃみからなる群より選択される、項目6に記載の方法。
項目8
前記DA−DKPが、ヒト血清アルブミン組成物の溶液からアルブミンを除去する工程により調製される組成物に含まれている、項目1に記載の方法。
項目9
前記アルブミンを除去する工程が、限外ろ過、ショ糖密度勾配遠心分離、クロマトグラフィ、塩析および超音波処理からなる群より選択される分離方法により、前記ヒト血清アルブミン組成物を処置することを含む、項目8に記載の方法。
項目10
前記除去する工程が、前記ヒト血清アルブミン組成物に、前記アルブミンを保持する分画分子量を有する限外ろ過膜を通過させることを含み、得られるろ液がDA−DKPを含む、項目9に記載の方法。
項目11
前記限外ろ過膜が、50kDa未満の、40kDa未満の、30kDA未満の、20kDa未満の、10kDa未満の、5kDa未満の、または3kDA未満の分画分子量を有する、項目10に記載の方法。
項目12
DA−DKPを含む前記組成物を、鼻炎の処置に適した第2の薬物と組み合わせて投与する、項目1に記載の方法。
項目13
鼻炎の処置に適した前記第2の薬物が、抗ヒスタミン剤、うっ血除去薬、抗炎症薬、肥満細胞安定薬、ロイコトリエン修飾薬およびIgEブロッカーからなる群より選択される、項目12に記載の方法。
項目14
吸入、吹送および経鼻投与からなる群より選択される経路による鼻への投与のために製剤化されたDA−DKP含有組成物を含む、医薬品。
項目15
前記DA−DKP含有組成物が、吸入による投与のために製剤化されており、インサフレーター、ネブライザー、加圧パック、搾り出し式ボトル、注射器、点滴器、スプレーデバイス、噴霧器デバイスおよびエアロゾル発生器からなる群より選択されるデバイスの中に包装される、項目14に記載の医薬品。
項目16
前記加圧パックが、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンおよび二酸化炭素からなる群より選択される推進薬を含む、項目15に記載の医薬品。
項目17
吸入または吹送による投与のために製剤化された前記DA−DKP含有組成物が、前記DA−DKP含有組成物と粉末基剤との混合粉末を含む、項目14に記載の医薬品。
項目18
前記混合粉末が、カプセル剤、カートリッジ剤、ゼラチンパック剤およびブリスターパック剤からなる群より選択される剤形である、項目17に記載の医薬品。
項目19
前記混合粉末が、吸入器、インサフレーターおよび定量吸入器からなる群より選択されるデバイスにより送達される、項目18に記載の医薬品。
項目20
経鼻投与のために製剤化された前記DA−DKP含有組成物が、点滴薬またはスプレーの形態である、項目14に記載の医薬品。
項目21
前記DA−DKPが、前記組成物の約0.1%(w/v)から約10%(w/v)までを占める、項目20に記載の医薬品。
項目22
前記点滴薬またはスプレーが、鼻腔内送達システム内に内包される、項目20に記載の医薬品。
項目23
前記鼻腔内送達システムが、噴霧デバイスを含む、項目22に記載の医薬品。
項目24
前記噴霧デバイスが、ボトルおよびポンプを含む、項目23に記載の医薬品。
項目25
前記ポンプが定量ポンプである、項目24に記載の医薬品。
項目26
前記定量ポンプが、ポンプ1回当たり約0.15mlの点鼻量の前記DA−DKP含有組成物を送達する、項目25に記載の医薬品。
項目27
分散剤、可溶化剤および懸濁剤からなる群より選択される1つまたは複数の作用剤を含む、水性または非水性基剤をさらに含む、項目20に記載の医薬品。
項目28
経鼻投与のために製剤化された前記DA−DKP含有組成物が、軟膏、ゲルおよびクリームからなる群より選択される形態である、項目14に記載の医薬品。
項目29
前記DA−DKP含有組成物が、動物性脂肪、植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、酸化亜鉛およびそれらの混合物からなる群より選択される賦形剤をさらに含む、項目28に記載の医薬品。
項目30
吸収促進剤または浸透促進剤をさらに含む、項目14に記載の医薬品。
項目31
鼻内での前記DA−DKP含有組成物の滞留時間を増大させるための増粘剤または粘度増強剤をさらに含む、項目14に記載の医薬品。
項目32
薬学的に許容される担体をさらに含む、項目14に記載の医薬品。
項目33
前記DA−DKPが、ヒト血清アルブミン組成物の溶液からアルブミンを除去する工程により調製される、項目14に記載の医薬品。
項目34
前記アルブミンを除去する工程が、限外ろ過、ショ糖密度勾配遠心分離、クロマトグラ
フィ、塩析および超音波処理からなる群より選択される分離方法により、前記ヒト血清アルブミン組成物を処置することを含む、項目33に記載の医薬品。
項目35
前記除去する工程が、前記ヒト血清アルブミン組成物に、前記アルブミンを保持する分画分子量を有する限外ろ過膜を通過させることを含み、得られるろ液がDA−DKPを含む、項目34に記載の医薬品。
項目36
前記限外ろ過膜が、50kDa未満の、40kDa未満の、30kDA未満の、20kDa未満の、10kDa未満、5kDa未満の、または3kDA未満の分画分子量を有する、項目35に記載の医薬品。