(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231485
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】金属ストリップを金属被覆で溶融めっきするための方法および装置
(51)【国際特許分類】
C23C 2/40 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
C23C2/40
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-540375(P2014-540375)
(86)(22)【出願日】2012年10月11日
(65)【公表番号】特表2014-532814(P2014-532814A)
(43)【公表日】2014年12月8日
(86)【国際出願番号】EP2012070180
(87)【国際公開番号】WO2013068196
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2015年7月14日
(31)【優先権主張番号】102011118197.4
(32)【優先日】2011年11月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510041496
【氏名又は名称】ティッセンクルップ スチール ヨーロッパ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ThyssenKrupp Steel Europe AG
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ギュゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ヨルグ シュルト
(72)【発明者】
【氏名】マルク ブルメナウ
(72)【発明者】
【氏名】フレッド ジンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ディルク クズフィーナ
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ シェーネンベルグ
【審査官】
祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−158797(JP,A)
【文献】
実開昭55−054358(JP,U)
【文献】
特開平10−158796(JP,A)
【文献】
特開平08−060327(JP,A)
【文献】
特開平07−145460(JP,A)
【文献】
特開2005−042151(JP,A)
【文献】
特開平09−228016(JP,A)
【文献】
特開平11−279730(JP,A)
【文献】
特開2011−127180(JP,A)
【文献】
米国特許第05639419(US,A)
【文献】
特開平06−256923(JP,A)
【文献】
米国特許第3667425(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 2/00−2/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ストリップ(M)を金属被覆で溶融めっきするための方法であって、
前記金属ストリップ(M)は連続的に溶融浴(3)を通るように方向付けられ、
前記金属ストリップ(M)が前記溶融浴(3)を離れるときに前記金属ストリップ(M)上に存在する前記金属被覆の厚さは掻き取り装置(7)によって調整され、
前記溶融浴(3)上に存在するスラグ(S)は、気体流(G1、G2)によって前記溶融浴(3)を離れる前記金属ストリップ(M)から吹き払われる、方法において、
前記金属ストリップ(M)の表面(O1、O2)から50〜500mmの間隔(d)を置いて配置される少なくとも1つのノズル(10、11)によって前記金属ストリップ(M)から前記スラグ(S)を吹き払うために、前記気体流(G1、G2)は前記溶融浴(3)上に存在する前記スラグ(S)を、前記金属ストリップ(M)に対して横方向に向けられた方向に前記金属ストリップ(M)から吹き払うように、前記金属ストリップ(M)の幅(B)にわたって延在する気体流(G1、G2)が、前記溶融浴(3)の表面(6)上に方向付けられ、前記ノズルに供給される前記気体流の圧力は、1〜15バールの範囲であり、かつ、前記気体流(G1、G2)が前記溶融浴(3)の前記表面(6)を打つ流入角度(β)は、0〜60°の範囲であることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記気体流(G1、G2)は、前記金属ストリップ(M)の搬送方向(F)に対して横方向に、かつ前記金属ストリップ(M)から遠ざかるように方向付けられた方向に生成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記気体流(G1、G2)の少なくとも部分流(G11〜G22)は、前記金属ストリップ(M)に対して方向付けられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記溶融浴(3)の前記表面(6)上の前記気体流(G1、G2)の影響領域(X)は、前記金属ストリップ(M)の前に位置することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ノズル(10、11)は、前記金属ストリップ(M)の前記幅(B)の少なくとも20%にわたって延在することを特徴とする、請求項1から4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記それぞれの気体流(G1、G2)は、空気、前記溶融浴(3)に関して不活性である気体、または空気および前記溶融浴(3)に関して不活性である気体によって形成される気体混合物を含むことを特徴とする、請求項1から5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記それぞれの気体流(G1、G2)によって吹き払われる前記スラグ(S)は、機械的に動作される装置によって前記溶融浴(3)から除去されることを特徴とする、請求項1から6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
金属ストリップ(M)を金属被覆で溶融めっきするための装置であって、
溶融浴(3)を有し、
前記金属ストリップ(M)が連続的に前記溶融浴(3)を通るように方向付けるための搬送装置を有し、
前記金属ストリップ(M)が前記溶融浴(3)を離れるときに前記金属ストリップ(M)上に存在する前記金属被覆の厚さを調整するための掻き取り装置(7)を有し、
前記溶融浴(3)を離れる前記金属ストリップ(M)から前記溶融浴(3)上に存在するスラグ(S)を吹き払う気体流(G1、G2)を生成するための少なくとも1つのノズル(10、11)を有する、装置において、
前記気体流(G1、G2)を生成するための前記ノズル(10、11)は、前記金属ストリップ(M)の表面(O1、O2)から50〜500mmの間隔(d)を置いて配置され、前記気体流(G1、G2)は前記溶融浴(3)上に存在する前記スラグ(S)を、前記金属ストリップ(M)に対して横方向に向けられた方向に前記金属ストリップ(M)から吹き払うように、前記金属ストリップ(M)の幅(B)にわたって延在しかつ前記溶融浴(3)の表面(6)上に方向付けられる気体流(G1、G2)を生成し、前記ノズルに供給される前記気体流の圧力は、1〜15バールの範囲であり、かつ、前記気体流(G1、G2)が前記溶融浴(3)の前記表面(6)を打つ流入角度(β)は、0〜60°の範囲であることを特徴とする、装置。
【請求項9】
前記スラグ(S)を吹き払うためのノズル(10、11)は、前記金属ストリップ(M)の各表面(O1、O2)にそれぞれ関連付けられることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ノズル(10、11)は、スロットノズルまたはスロット付きパイプであることを特徴とする、請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記ノズル(10、11)は、互いに間隔を置いて配置された複数のノズル開口部が設けられたノズルバーによって形成されることを特徴とする、請求項8または9に記載の装置。
【請求項12】
前記ノズル(10、11)は、前記溶融浴(3)を離れる前記金属ストリップ(M)の前記幅(B)に関して中央に配置されることを特徴とする、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
前記ノズルは、前記金属ストリップ(M)の前記幅(B)の少なくとも20%にわたって延在することを特徴とする、請求項8から12の何れか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ストリップを金属被覆で溶融めっきするための方法に関し、この方法においては金属ストリップが連続的に溶融浴を通るように方向付けられ、金属ストリップが溶融浴を離れるときに金属ストリップ上に存在する金属被覆の厚さは掻き取り装置(scraping device, Abstreifeinrichtung(英、独訳))によって調整され、溶融浴上に存在するスラグは、気体流によって溶融浴を離れる金属ストリップから吹き払われる。典型的に、この態様でコートされる金属ストリップは熱間または冷間圧延鋼ストリップである。
【0002】
本発明はさらに、金属ストリップを金属被覆で溶融めっきするための装置に関し、この装置は、溶融浴と、金属ストリップを連続的に溶融浴を通るように方向付けるための搬送装置と、金属ストリップが溶融浴を離れるときに金属ストリップ上に存在する金属被覆の厚さを調整するための掻き取り装置と、溶融浴を離れる金属ストリップから溶融浴上に存在するスラグを吹き払う気体流を生成するための少なくとも1つのノズルとを含む。
【背景技術】
【0003】
序文において言及したタイプの連続的溶融めっき処理は、工業的に確立された経済的かつ環境学的に有利な方法原理であり、この方法によって、たとえば防食などの目的で、平坦な金属製品を金属被覆でコートすることができる。よって、先にインラインで再結晶アニールされた金属ストリップを、Zn(熱間亜鉛めっき)またはAl合金被覆(熱間アルミニウムコート)によって溶融めっき処理することは、自動車工学、家庭用品構成および機械工学における金属シート適用のための半製品の製造にとって非常に重要である。
【0004】
連続的溶融めっき処理動作の際に、アニールされた金属ストリップは溶融浴を通るように方向付けられ、溶融浴はそれぞれの被覆を形成する金属またはそれぞれの被覆を形成する金属合金の溶融物を含み、次いで金属ストリップはローラーシステムを介して溶融浴内で少なくとも1回向きを変えられ、溶融浴を離れるまでその経路に関して安定化される。次いで、コーティング浴を離れた後に、なおも溶融している過剰な被覆材料が掻き取りノズルによって掻き取られる。一般的に、この場合の掻き取りは気体流による吹き付けによって行われる。しかし、純粋に機械的な態様で機能する掻き取りシステムも用いられる。
【0005】
コーティング浴における浸漬段階の間に、鋼ストリップの鋼材料のいくらかが必然的に常にコーティング浴中に溶解する。同時に、溶融コーティング浴は永続的に周囲空気と直接接触する。これら両方によって、溶融浴内にスラグの不可避の蓄積がもたらされる。このスラグがいわゆる「上部スラグ」として金属浴に浮かぶ。
【0006】
もし、コーティング浴を離れる金属ストリップによって上部スラグがともに運ばれれば、結果としてもたらされる欠陥位置によってコーティング品質が永続的な態様で損なわれ得る。たとえば、いわゆる「汚れたストリップ(smearing strip(s), Schmierstreifen(英、独訳))」が生じるか、または運ばれたスラグがその後ローラーに蓄積して焼き付けられたときに、痕跡によってストリップが損傷を受ける。これはときには、その後の処理およびコートされた金属ストリップの価値低下の発生に起因するかなりのコストをもたらす。上部スラグの比較的大きなまとまり(chunks, Brocken(英、独訳))、いわゆる「塊(lumps, Batzen(英、独訳))」の除去を行っても、一般的にインラインの下流に配置されるスキンパスミルにおける高価なローラーの損傷がもたらされ得る。
【0007】
したがって、設備オペレータは、コートされた金属ストリップによって上部スラグが運ばれることを可能な限り最大限に防ぐという永続的な課題に直面している。
【0008】
金属浴を離れる金属ストリップによるスラグの運搬が防がれると考えられるいくつかの異なる可能性が公知である。
【0009】
ここでは最初に手動/機械的方法が言及されるべきである。実際には、作業者が除去器具を用いて短い時間間隔でコーティング浴から上部スラグを取り除く。この動作方法は、上部スラグの除去が不連続的態様で行われるために、結果としてたとえ短くとも常に時間間隔が存在し、その間に上部スラグが排出される金属ストリップに妨げられない態様で接触し得るという短所を有する。溶融浴を離れる金属ストリップの直接的近接部から上部スラグが手動で除去されるとき、コーティング浴の過剰な撹拌および掻き取り器具が金属ストリップに接触することによって、コーティングの品質がさらに損なわれるおそれがある。
【0010】
加えて、電動式の態様で駆動され、かつそれぞれの溶融浴からスラグを自動的に除去するいわゆるスラグ除去ロボットが公知である。こうしたスラグ除去ロボットは手動除去を模倣するものであり、構造的状況によって、すべての溶融めっき設備に設置することができない。
【0011】
さらに実際に用いられているのはいわゆるミラーローラーであり、これは排出される金属ストリップの幅軸と平行に位置決めされて、自身に接触してその表面に結合したままのスラグを溶融浴から除去する。特許文献1に記載される装置もこの先行技術に属するものであり、この装置においてはモータ駆動される動作手段が均一な速度でコーティング浴表面から上部スラグを掻き取る。電動式ミラーローラーまたは電動式掻き取り手段を用いることによって連続的な動作方法が可能になるが、この場合には移動する構成要素がコーティング浴と永続的に接触する。日常の工業的ルーチンにより、溶融コーティング浴の攻撃的な性質によって、こうした移動する構成要素にかなりの摩耗が生じることが示されている。これは、アルミニウムベースの被覆による鋼ストリップのコート(熱間アルミニウムコート)にも当てはまる。
【0012】
溶融浴を離れる金属ストリップからスラグを遠ざけるための第3の可能性は、コーティング浴の連続的な回転および冷却ゾーンの設置を含み、それによってスラグ形成を選択的態様でストリップ経路から離れた溶融浴の表面領域に移動させることができる。これらの方策の有効性は、コーティング浴内の流れがストリップ経路と反対に作用するような態様で流れを方向付けることによって高くすることができる。それによって、解放された金属ストリップ構成要素は金属ストリップから遠ざかるように輸送される。このタイプの方法は、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5および特許文献6にそれぞれ記載される。これらの方法の問題点は、それらが部分的に非常に複雑かつ高価な装置を必要とし、そうした装置は多くの場合に各既存の溶融めっき設備に組み込めないことである。さらに、必要とされる浴の流れを日常の工業的ルーチンにおいて維持することは非常に困難であることが見出されている。さらに、これらの方法を行うために必要とされる装置において、多くの機械的構成要素が溶融コーティング浴と直接接触し、したがって高度の摩耗を受ける。
【0013】
コーティング浴表面上に直接位置決めされる掻き取りノズルによって、金属ストリップから過剰な被覆材料が掻き取られるとき、高い気体圧力およびそれによる気体流の高い流速は、コーティング浴表面に方向付けられた部分的気体流が上部スラグを押して、排出される金属ストリップから遠ざけるという正の副作用を有する。これを達成する掻き取りノズルは、たとえば特許文献7および特許文献8などに記載される。しかし、溶融浴を離れる金属ストリップからのスラグの除去は、制御されないランダムな態様で行われる。たとえば、ストリップ移動速度が遅い場合またはコーティング厚さが大きい場合に調整される気体圧力など、気体圧力が低いときには、「溶融浴を離れる金属ストリップからスラグを押して遠ざける」ことを伴う副作用が起こらない。
【0014】
最後に特許文献9より、ノズルキャリアを、溶融浴を離れる金属ストリップに対して横方向に、かつ溶融浴の表面と平行に配置することによって、ノズルキャリアから気体が排出されると、ストリップと平行に、かつ溶融浴の表面に対して接線方向に作用し、かつ鋭角の切妻屋根の屋根表面の態様で互いから遠ざかるように方向付けられる気体流によって、溶融浴上に存在するスラグが溶融浴の外側端縁に対して横方向に動かされるような態様にすることが公知である。そこに蓄積されたスラグは、次いで機械的に除去されてもよい。しかしながら、本発明に最も近いこの手順の欠点は、ノズルキャリアの下の領域に必然的に生成されるデッドスペースである。このデッドスペースにスラグが蓄積して、溶融浴を離れるストリップと接触し、その場所でストリップ幅の中心における顕著な表面欠陥をもたらすおそれがある。この手順の別の欠点は、ノズルバーの気体流の大部分が金属ストリップからかなりの間隔を置いて配置されているために、スラグの金属ストリップへの侵入の危険がまったくない溶融浴の表面の場所にスラグが動かされることである。これは不必要な気体消費をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】独国特許第10 2006 030 914(A1)号
【特許文献2】国際公開第2009/098362(A1)号
【特許文献3】国際公開第2009/098363(A1)号
【特許文献4】米国特許第5 084 094(A1)号
【特許文献5】米国特許第6 426 122(B1)号
【特許文献6】米国特許第6 177 140(B1)号
【特許文献7】独国特許第43 00 868(C1)号
【特許文献8】独国特許第42 23 343(C1)号
【特許文献9】特開平07−145460号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上に説明した先行技術の背景に対し、本発明の目的は、簡単かつ費用対効果が大きい手段を用いて、溶融浴を離れる金属ストリップにスラグが接触することを防ぐことを可能にすることで、最適な表面品質を確実にすることを可能にする、金属ストリップを溶融めっきするための方法および装置を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この方法に関して、こうした方法が請求項1に示される方策を含むことで、この目的は本発明に従って達成される。
【0018】
この装置に関して、こうした装置が請求項9に示される特徴を有することで、この目的は本発明に従って達成される。
【0019】
本発明の有利な実施形態は従属請求項に示されており、かつ本発明の一般的な概念とともに以下に詳細に説明される。
【0020】
金属ストリップを金属被覆で溶融めっきするための本発明に従う方法においては、前に説明した先行技術に従って、金属ストリップが連続的に溶融浴を通るように方向付けられ、金属ストリップが溶融浴を離れるときに金属ストリップ上に存在する金属被覆の厚さはその後掻き取り装置によって調整され、溶融浴上に存在するスラグは、溶融浴を離れる金属ストリップから気体流によって吹き払われる。
【0021】
本発明に従うと、金属ストリップに近接して配置される少なくとも1つのノズルによってスラグを吹き払うために、金属ストリップの幅にわたって延在する気体流は溶融浴の表面に向けて方向付けられる。
【0022】
したがって本発明に従う装置は、金属ストリップを金属被覆で溶融めっきするために、溶融浴と、金属ストリップを連続的に溶融浴を通るように方向付けるための搬送装置と、金属ストリップが溶融浴を離れるときに金属ストリップ上に存在する金属被覆の厚さを調整するための掻き取り装置と、金属ストリップが溶融浴を離れるときに金属ストリップから溶融浴上に存在するスラグを吹き払う気体流を生成するための少なくとも1つのノズルとを含む。
【0023】
本発明に従うと、気体流を生成するためのノズルは、金属ストリップに近接して配置され、金属ストリップの幅にわたって延在しかつ溶融浴の表面に向けて方向付けられる気体流を生成する。
【0024】
驚くべきことに、溶融浴の表面に向けて方向付けられ、かつ溶融浴を離れる金属ストリップの幅にわたって延在する気体流によって、コーティング浴表面に存在する表面スラグを離れゆく金属ストリップから遠ざけることができることが見出された。この場合、気体流は容易に制御および調整され得る。特に、気体流の圧力および流入角度をコーティング浴、所望の被覆の厚さおよびストリップの速度に適合させることができ、それらは常に気体流がコーティング浴に直接作用するような態様で選択される。その結果、簡単な手段を用いて、かつ特に動作的に信頼性の高い態様で、溶融浴に存在するスラグに被覆が接触することによる表面欠陥が起こる危険性が効果的に最小限まで低減される。
【0025】
本発明に従う手順および本発明に従う装置の特定の実施形態の結果として、摩耗のレベルが特に低くなり、故障する可能性も低くなる。その結果、最小限の動作コストによって高レベルの維持しやすさおよびユーザの使いやすさが得られる。
【0026】
本発明の別の利点は、ほとんど複雑性を伴わずに既存の溶融めっき設備に本発明に従う装置を組み込むことができ、本発明に従う態様で動作できることである。この場合、処理される溶融浴の組成と独立して本発明が用いられてもよい。
【0027】
有利には、気体流は、金属ストリップのそれぞれの表面上に直接流れることが防がれるような態様で方向付けられる。直接の流れの結果として、掻き取りノズルにおける金属ストリップのストリップ位置が不安定にされ得る。
【0028】
したがって、本発明に従って配置されたノズルによって生成された気体流は、各々の場合に最適な態様で方向付けられることによって、気体流が金属ストリップの搬送方向に対して横方向に、金属ストリップから遠ざかるように方向付けられるようにされる。この場合、好ましくは気体流は、それぞれのノズルに関連付けられる金属ストリップの表面に対して実質的に直角に向けられるような態様で方向付けられる。
【0029】
金属ストリップから遠ざかるように流れる気体流によって、金属ストリップの搬送方向に対して横方向に向けられるが金属ストリップの表面に対して方向付けられるパルスが、気体流によってできる限りもたらされないようにすることが確実にされる。
【0030】
気体流が金属ストリップの関連表面から遠ざかるように方向付けられた状態で流れ去る場合において、流入角度が0〜60°、特に0〜45°の範囲であるときに最適な効果が達成される。こうした方向付けによって、スラグを吹き払うために十分なパルスによってスラグのない状態に保つことが意図される溶融浴の表面領域を気体流が打つことが確実にされる。
【0031】
気体流を生成するために本発明に従って提供されるノズルは、好ましくは金属ストリップのできる限り近くに配置され、実際のノズルとストリップとの間隔は、実際に起こるストリップ位置の変動の場合にもノズルとストリップとが接触しないような態様で選択される。そのために、ノズルと金属ストリップとの間隔は50〜500mmの範囲に調整されてもよい。
【0032】
多くの場合、本発明に従って気体流を生成するために提供されるノズルが、金属ストリップの関連表面の直接の近傍に配置されることは可能ではない。代わりに、特定の最小間隔が維持される必要がある。こうした場合、ノズルから排出される気体流の少なくとも部分流(part-flow, Teilstrom(英、独訳))が金属ストリップに対して方向付けられることが好ましい。好ましくは、溶融浴の表面の影響領域が金属ストリップの前に置かれ、よって気体流が金属ストリップの表面を通過しないような態様で気体流が方向付けられる。この態様で、気体流が掻き取り装置の前で金属ストリップを打つことによってもたらされ得る被覆の凹凸が防がれる。さらに、掻き取り装置を通る搬送経路における金属ストリップの正しいストリップ位置を気体流が不安定にすることが防がれる。
【0033】
実際には、それぞれの気体流は、空気、溶融浴に関して不活性である気体、または空気および溶融浴に関して不活性である気体によって形成される気体混合物を含んでもよい。この場合、ノズルに供給される気体流の圧力を、実際の条件下で1〜15バールの範囲で加えることによって良好な結果がもたらされることが見出されている。気体流の調整および制御は、オペレータが、本発明に従う装置の水平、鉛直および任意には軸方向の方向付けと、気体圧力とを調整することによって行われてもよい。各々の場合に調整される圧力は、一方では排出される金属ストリップの表面から上部スラグを吹き払うために十分でなければならない。しかし、気体圧力は15バールを超えることは意図されない。なぜなら、過剰な高圧においては、打ちつける気体のパルスによってコーティング浴の表面が望ましくない態様で振動させられる危険があるからである。
【0034】
「吹き払われた」上部スラグは、排出される金属ストリップから十分な間隔を置いて、それ自体が公知である態様でコーティング浴から機械的にすくい取られてもよい。
【0035】
実験的観察から、気体流にN
2または金属被覆および溶融浴に関して不活性である別の気体が用いられるときに、本発明に従う方法の特に良好な効果が達成されることが示されている。これは、上部スラグを純粋に吹き払うことに加えて、窒素または同等に不活性の気体が用いられるときに、その気体流によって覆われる領域における上部スラグの再構成も顕著に低減されるという事実の結果である。
【0036】
本発明に従う態様で処理される金属ストリップは、典型的に冷間または熱間圧延された鋼ストリップである。
【0037】
溶融浴に対しては、溶融めっきによって適用可能なすべての金属溶融物が用いられてもよい。それらはたとえば亜鉛または亜鉛合金溶融物、およびアルミニウムまたはアルミニウム合金溶融物などを含む。
【0038】
たとえば、それ自体が公知の構成タイプのスロットノズルは、本発明に従う目的のためのノズルとして好適である。加えて、スロットノズルとして働くスロット付きパイプまたは穿孔したパイプ、および互いに並んで配置された2つまたはそれ以上の個別のノズルが設けられたノズルユニットをノズルとして用いることも可能である。実際のテストでは、コートされるそれぞれの金属ストリップの幅よりも狭いノズル幅によって本発明を実施することもできることが示された。たとえば、金属ストリップの幅に関して中央の配置の場合には、金属ストリップ幅の20%しか延在しないノズルまたはノズル配置でも十分である。しかし、ノズルまたはノズル配置は、コートされる金属ストリップよりも広くてもよい。ただし、金属ストリップ幅の120%を超えるノズル幅は、無駄に作用する気体の割合が増えるために経済的に有利ではない。
【0039】
スラグを吹き払うためのノズルが金属ストリップの各々の表面にそれぞれ関連付けられているとき、最適な保護と同時に最適化されたプロセス安定性が達成される。
【0040】
本発明に従って用いられるノズルに流れ込む気体に作用される圧力は、好ましくは1バールから15バールの範囲である。
【0041】
実施形態を参照しながら、以下に本発明をより詳細に説明する。概略図は次のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】鋼ストリップを溶融めっきするための装置の側面図である。
【
図3】代替的動作モードにおける
図2に対応する
図1に従う装置を示す図である。
【
図4】別の代替的動作モードにおける
図2に対応する
図1に従う装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
たとえば、腐食されやすい鋼を含む冷間圧延鋼ストリップなどである金属ストリップMを溶融めっきするための装置1は、容器2に導入された溶融浴3を含み、コートされることが意図され、かつ予め公知の態様で適切な浸漬温度にされた金属ストリップMは、ノズル4を介して容器2内に方向付けられる。
【0044】
溶融めっき浴3内で、金属ストリップMは、溶融浴3から鉛直に向けられた搬送方向Fに排出されるような態様で、方向変換ローラー5において向きを変えられる。この場合、溶融浴3から排出された金属ストリップMは、溶融浴3の表面6の上に特定の間隔を置いて配置された掻き取り装置7を通過する。この場合の掻き取り装置7は、スロットノズルとして構築された2つの掻き取りノズル8、9を含み、掻き取りノズル8、9の一方は掻き取り気体流AG1を金属ストリップMの一方の表面O1の上に方向付け、この表面は金属ストリップMの長手方向端縁の間の一方の側に延在し、掻き取りノズル8、9の他方は金属ストリップMの反対側に存在する表面O2の上に掻き取り気体流AG2を方向付ける。
【0045】
最適な動作条件下で、溶融浴3から排出される金属ストリップMは、表面O1、O2の間の中心に向けられる金属ストリップMの中心位置MLが、鉛直に向けられた面Hに位置するような態様で方向付けられる。
【0046】
掻き取り装置7の掻き取りノズル8、9と、溶融浴3の表面6との間には、金属ストリップMの各々の側に200mmの間隔dを置いてノズル10、11が配置され、ノズル10、11はそれぞれ、金属ストリップMの幅Bにわたって延在する気体流G1、G2を生成する。
【0047】
ノズル10、11は、従来のスロットノズルとして構築されてもよい。しかし、実際にノズル10、11としてテストされたのは、内径20mmのパイプを含むエアバー(air bar(s), Luftbalken(英、独訳))であって、その中に各々が直径2mmの円筒形のノズル開口部が12個、それぞれ25mmの間隔を置いて開けられたものであった。気体供給は中央で行われた。実際にテストされた実施形態において、使用されたエアバーは約300mmの幅であり、金属ストリップMの1370mmの幅Bに関して中央に向けられた。
【0048】
図2に示される動作方法において、ノズル10、11の排出開口部は、それぞれの気体流G1、G2の比較的大きな部分流G11、G21が溶融浴3の表面上に方向付けられ、各々の場合のその中心軸Ga1は溶融浴3の表面に対する垂直に関して約30°の流入角度βを有し、その場所で金属ストリップMの関連表面O1、O2から、それぞれの表面O1、O2に対して実質的に垂直に遠ざかるように方向付けられた流れ方向に流れるような態様で方向付けられる。これに対し、それぞれの気体流G1、G2のより小さな部分流G12、G22は、金属ストリップの関連表面O1、O2に対して方向付けられる。この場合、溶融浴3に対する垂直に関するこの部分流G12、G22の流入角度β’は、それぞれの気体流G1、G2が溶融浴3の表面6を打つ領域である金属ストリップMに関連する影響領域Xの境界が、金属ストリップMの前でわずかな間隔を置いて終わるような態様で選択される。よって、金属被覆が設けられた金属ストリップMの表面O1、O2は、関連気体流G1、G2によって接触されない。
【0049】
図3に示される動作方法において、ノズル10、11は、金属ストリップMの方向に方向付けされるいかなる部分流G12、G22も生成しないような態様で調整される。
【0050】
これに対し、
図4に示される動作方法において、ノズル10、11は、金属ストリップMから遠ざかるように方向付けされるいかなる部分流G11、G21も生成しないような態様で調整される。
【0051】
金属ストリップMの方に、またはそこから遠ざかるように方向付けられるように気体流G1、G2が部分的または全体的に生成されたかどうかに関わらず、気体流G1、G2は溶融浴3上に存在するスラグSを、金属ストリップMに対して横方向に向けられた方向に金属ストリップMから吹き払うことによって、各々の場合にスラグSは、金属ストリップMにとって重要ではなく、かつ十分に間隔を置かれた領域である領域B1、B2に蓄積し、そこから機械的に、すなわち手動または好適なモータ駆動装置によって、溶融浴3の表面6から除去されてもよい。
【0052】
動作テストのために、熱間アルミニウムコートの際の大規模な工業用溶融めっき設備において、ノズル10、11の態様で配置された2つのエアバーによって、溶融浴と掻き取りノズルとの間にN
2気体流を吹き込んだ。コーティング浴は、9.5重量%のSi、2.5重量%のFe、ならびに残余部のAlおよび微量のその他の元素および不可避の不純物を含んだ。溶融浴から排出される金属ストリップの速度は38m/minであり、適用されるべき層の厚さは金属ストリップMの側部当り最低75g/m
2であった。
【0053】
吹き払われた上部スラグは、手動/機械的態様でアルミニウム浴表面から除去された。比較的長い製造時間にわたり、ともに運搬された上部スラグによってもたらされる表面欠陥を効果的に低減または防止できた。
【0054】
表1は、掻き取りノズルの下に本発明に従う態様で配置されたスロットノズルについて、もし気体流が適用されなければ、またはもし本発明に従って提供された周辺条件が逸脱していれば、この良好な結果が得られなかったことを示す。
【符号の説明】
【0056】
1 溶融めっきのための装置
2 容器
3 溶融浴
4 ノズル
5 方向変換ローラー
6 溶融浴3の表面
7 掻き取り装置
8、9 掻き取りノズル
10、11 ノズル
β、β’ 流入角度
AG1、AG2 掻き取り気体流
B 金属ストリップMの幅
B1、B2 溶融浴3の表面6の領域
d 間隔
F 搬送方向
G1、G2 気体流
G11〜G22 それぞれの気体流G1、G2の部分流
Ga1、Ga2 気体流G1、G2の中心軸
H 中心位置MLの鉛直に向けられた面
M 金属ストリップ
ML 中心位置
O1、O2 金属ストリップMの表面
S スラグ
X 影響領域