特許第6231487号(P6231487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6231487組成物、器具、キットおよび方法、ならびにそれらの使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231487
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】組成物、器具、キットおよび方法、ならびにそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   A61L 15/26 20060101AFI20171127BHJP
   A61L 15/58 20060101ALI20171127BHJP
   A61M 27/00 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   A61L15/26 100
   A61L15/58 100
   A61M27/00
【請求項の数】20
【全頁数】77
(21)【出願番号】特願2014-542924(P2014-542924)
(86)(22)【出願日】2012年11月26日
(65)【公表番号】特表2014-534039(P2014-534039A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】GB2012000866
(87)【国際公開番号】WO2013076450
(87)【国際公開日】20130530
【審査請求日】2015年11月9日
(31)【優先権主張番号】1120454.2
(32)【優先日】2011年11月25日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1209619.4
(32)【優先日】2012年5月30日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】391018787
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・ヤーベリー・ハートウェル
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ジョン・フライヤー
(72)【発明者】
【氏名】サラ・ジェニー・コリンソン
(72)【発明者】
【氏名】マーカス・ダミアン・フィリップス
【審査官】 常見 優
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−542408(JP,A)
【文献】 特表2007−534344(JP,A)
【文献】 特表2007−531567(JP,A)
【文献】 特表2011−504126(JP,A)
【文献】 特表2010−505510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L15/00−33/18
A61F 2/00− 4/00
13/00−13/84
15/00−17/00
A61B13/00−18/28
A61M25/00−99/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯可能および/または断続型の陰圧源を使用して局所陰圧(TNP)療法が適用されながら創傷部位を覆うことが意図された創傷用ドレッシングからの陰圧損失を管理するために、携帯可能および/または断続型の陰圧源のための、ドレープ、機能性創傷治療層、および一体型アタッチメントを組み込んだ、組合せ局所陰圧(TNP)創傷用ドレッシングのためのシーラント組成物であって、少なくとも1つのパートAおよび少なくとも1つのパートBに配分される、硬化性組成物を含み、
1分子当たり少なくとも1つのアルケニル基または部分を有する1種または2種以上のアルケニル基含有ポリマー(i)、
1分子当たり少なくとも1つのSi−H単位を有する1種または2種以上のSiH含有ポリマー(ii)、および
アルケニル含有ポリマー(i)のSiH含有ポリマー(ii)への付加によって硬化させるための触媒(iii)を含み、
パートAおよびパートBが、独立して、23℃、10s−1の剪断速度で5〜300Pa・sの範囲の粘度を有し、かつ1つのパートに組み合わせた場合に、23℃で0.5分〜25分の範囲の硬化時間を有し、
シーラントとしての使用は空気を通さない皮膚親和性カバーで覆われた創傷の周辺にシールを形成するための施用を含み、それによってドレッシングが適用されかつその周辺に前記ドレッシングと前記ドレッシングの周辺の皮膚とに架かるシーラントとしての組成物がシールされた創傷部位において陰圧を維持することができ、前記創傷用ドレッシングが創傷部位および前記創傷部位の周辺の皮膚を覆い、前記施用は前記ドレッシングの外縁及び前記ドレッシングの外縁の周辺の皮膚に密着して覆うようにしたものであり、それによって前記組成物が前記外縁および前記皮膚と接触したまま32℃で硬化し、0.5分から30分未満の範囲の時間でゼロまたは低いタックを示すエラストマーになる、組合せTNP創傷用ドレッシングのためのシーラント組成物。
【請求項2】
前記ドレッシングが、穏やかに粘着する、皮膚親和性のある粘着性皮膚接触面を含む、請求項1に記載の組合せTNP創傷用ドレッシングのためのシーラント組成物。
【請求項3】
前記施用が、前記ドレッシングの周辺に連続的または不連続的である請求項1または2に記載の組合せTNP創傷用ドレッシングのためのシーラント組成物。
【請求項4】
カバーが、気体に対して不透過性であるが、水蒸気透過性である、カバー層であって、創傷用ドレッシングの幅にわたって延びているカバー層を備え、前記カバー層は、創傷をカバーしそれを覆って創傷用ドレッシングが配置される創傷空洞をシールし、それによってカバー層と創傷部位との間に有効なチャンバーが形成され、そこで陰圧を確立することができる請求項1から3のいずれか一項に記載の組合せTNP創傷用ドレッシングのためのシーラント組成物。
【請求項5】
カバー層が前記ドレッシングの周囲の縁端領域で創傷接触層にシールされ、前記縁端領域を通って空気が引き込まれないことを確実にし、それによって前記カバー層が創傷を外来性細菌汚染から保護し(細菌バリア)、かつ創傷分泌物に由来する液体が層を通って移行すること、およびフィルム外表面から蒸発することを可能にする請求項1から4のいずれか一項に記載の組合せTNP創傷用ドレッシングのためのシーラント組成物。
【請求項6】
携帯可能なシステムが、有限の電力寿命を有し、例えば有限の電池寿命を有し、かつ5ml min−1〜10ml min−1の漏洩速度(単位時間当たりの空気流)仕様を有する請求項1から5のいずれか一項に記載の組合せTNP創傷用ドレッシングのためのシーラント組成物。
【請求項7】
20ml min−1以下、より好ましくは15ml min−1以下、より好ましくは5ml min−1以下の漏洩速度(単位時間当たりの空気流)を有する携帯可能なNPWTシステムのための陰圧に有効なシールを提供する請求項1から6のいずれか一項に記載の組合せTNP創傷用ドレッシングのためのシーラント組成物。
【請求項8】
発生させた陰圧からの伝達された陰圧の偏りを最小にするような方法で、発生させた陰圧と対照して創傷における伝達された陰圧の監視を容易にする請求項1から6のいずれか一項に記載の組合せTNP創傷用ドレッシングのためのシーラント組成物。
【請求項9】
高さ1mmのサンプルとして硬化した後の組成物が、1分当たり300mmの伸長速度で20%の伸長をもたらすのに必要な荷重が、幅1cm当たり1.4kgf(kgfcm−1)以下の範囲にあるような伸長性を有し、かつ/または硬化した組成物に関して破断時伸びが50%〜1200%であり、かつ/または硬化した組成物に関して、永久歪が20%〜0%の範囲にある、請求項1から8のいずれか一項に記載の組合せTNP創傷用ドレッシングのためのシーラント組成物。
【請求項10】
前記組成物が、硬化して、0.5分から30分未満の範囲の時間で、0〜400kgfcm−2範囲の、ゼロから低いレベルのタックを有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の組合せTNP創傷用ドレッシングのためのシーラント組成物。
【請求項11】
前記ドレッシングが、創傷および該創傷の周辺の皮膚を覆うための、皮膚および/または創傷接触表面を備え、前記皮膚および/または創傷接触表面がシリコーン表面である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組合せTNP創傷用ドレッシングのためのシーラント組成物。
【請求項12】
施用が、前記ドレッシングと該ドレッシングの周辺の皮膚との間の境界に架かり、任意でさらに、一部重なり合うドレッシングの間の境界に架かり、任意でさらに、前記ドレッシングの周辺および/または下にある皮膚のトポグラフィー状の凹状形体に架かる、不連続または連続なビードまたはフィルムの形態で、施される、請求項1から11のいずれか一項に記載の組合せTNP創傷用ドレッシングのためのシーラント組成物。
【請求項13】
創傷部位で陰圧を保持することのできる、組合せTNP療法ドレッシングのための、および凹部または陥没部などの不規則状皮膚トポグラフィーのためのシーラントとしての、請求項1から12のいずれか一項に記載の組合せTNP創傷用ドレッシングのためのシーラント組成物。
【請求項14】
連携施用デバイスから連携して施すのに適したそれぞれの容器中または支持体上に密閉された、少なくとも1つのパートAおよび少なくとも1つのパートBとして提供される、請求項1から13のいずれか一項に記載の組合せTNP創傷用ドレッシングのための硬化性シーラント組成物。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の組合せTNP創傷用ドレッシングのための硬化性シーラント組成物を調整する方法であって、
前に規定したようなポリマー(i)、ポリマー(ii)および触媒(iii)を混合して少なくとも1つのパートAおよび少なくとも1つのパートBを形成するステップと、
少なくとも1つのパートAおよび少なくとも1つのパートBを、連携して施すのに、例えば二重筒シリンジから連携して施すのに適したそれぞれの容器中または支持体上に密閉するステップと、
を備える、方法。
【請求項16】
請求項1から14のいずれか一項に記載の組合せTNP創傷用ドレッシングのためのシーラント組成物を施用するのに適した器具であって、
複数の筒または複数のカセットを有する施用デバイスと、押出し手段と、混合手段と、
を備え、
前記筒またはカセットは、請求項1から14のいずれか一項に記載のシーラント組成物を、パートAおよびパートBをそれぞれの筒またはカセット中に収容するように含み、前記施用デバイスはそれぞれのパートを接触させるための手段を有する、器具。
【請求項17】
組成物を塗布するためのアプリケーターを備え、組成物を塗布に合わせて設定するための手段を含み、例えば一体型スプレッダーを具備したアプリケーターを備える、請求項16に記載の器具。
【請求項18】
請求項1から14のいずれか一項に記載の組合せTNP創傷用ドレッシングのためのシーラント組成物でシールするのに適した器具であって、
創傷部位に対して内方側に適用されることになる、第1の皮膚および/または創傷接触表面と、創傷部位に対して外方側に適用されることになる第2のカバー表面と、を含む、創傷および該創傷の周辺の皮膚を覆うための、局所陰圧(TNP)創傷ドレッシングを含み、
第1の表面および/または第2の表面とそれぞれ異なる表面またはコーティングを含む、前記第1の表面および/または前記第2の表面の外周に、外周領域が設けられ、
前記第1の表面が、シリコーン表面またはシリコーン含有表面などの皮膚親和性がある表面であり、かつ
組成物が請求項1に記載のように施された場合に、前記外周領域が、前記組成物に対する第1の表面および/または第2の表面の粘着性よりもそれぞれ高く、前記組成物に対する粘着性を示し、前記外周領域がテクスチャー処理されているか又は化学的粘着性があるコーティングまたは表面を含む、器具。
【請求項19】
創傷および該創傷の周辺の皮膚を覆うための局所陰圧(TNP)創傷用ドレッシングと、皮膚親和性があるシーラントと、を含む、局所陰圧(TNP)創傷治療の分野で使用するのに適したキットであって、
前記シーラントが、請求項1から14のいずれか一項に記載の組合せTNP創傷用ドレッシングのための組成物であり、
前記ドレッシングが、創傷部位に対して内方側に適用されることになる、皮膚および/または創傷への第1の接触表面と、創傷部位に対して外方側に適用されることになる第2のカバー表面と、を含み、
第1の表面が、シリコーン表面またはシリコーン含有表面などの皮膚親和性がある表面であり、かつ前記ドレッシングが、携帯可能および/または断続型の陰圧源のための、ドレープ、機能性創傷治療層、および一体型アタッチメントを組み込んだ、組合せNPWTドレッシングであり、陰圧分配層と、任意選択の創傷分泌物吸収層と、を備え、かつ前記ドレッシングが、任意で蒸散を促進する、キット。
【請求項20】
携帯可能な陰圧源をさらに備える請求項19に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、組成物、器具、キット、それらを使用する方法、および創傷保護の分野での、詳細には先進的創傷管理における、より詳細には創傷部位への局所陰圧(TNP)療法の適用におけるそれらの使用に関する。限定するものではないが、とりわけ、特定の実施形態は、創傷部位を覆うことを意図した創傷用ドレッシングからのTNP療法を適用する際の陰圧損失の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
それを必要とするヒトまたは動物対象の回復過程を助けるための多くの様々な種類の創傷用ドレッシングが知られている。これらの様々な種類の創傷用ドレッシングとしては、多くの様々な種類の材料および層、例えば、上に重なるドレープを伴うガーゼ、パッドおよび/または発泡体パッド、あるいは創傷用多層ドレッシングが挙げられる。複雑な創傷の管理または回復のための先進的創傷管理用ドレッシングが、知られている。先進的創傷管理用ドレッシングは、創傷滲出液の管理(ALLEVYN、DURAFIBER、Gentle Border)、感染管理(ACTICOAT、IODOSORB)、点滴部位の治療(IV3000)、創傷周辺の易感染性皮膚の管理など、NPWT(RENASYS F/AB、PICO)、術後外科用ドレープ(OPSITE)、一時的なバイオスキンドレッシング(BIOBRANE)のための具体的準備を含むように仕立てられたドレッシングである。先進的創傷管理用ドレッシングとしては、数ある中でも、例えば、Gentle Border(登録商標)ドレッシングおよびTNP療法用複合多層ドレッシングが挙げられる。
【0003】
真空支援閉鎖VAC(商標)または陰圧創傷療法(NPWT)と呼ばれることもあるTNP療法が、最近、創傷の回復率を向上させるための成功的機構として提案されている。大気圧以下の圧力を使用するこのような療法は、慢性創傷、切開性創傷、開放性創傷、および腹部創傷などの広範な範囲の創傷に適用可能である。
【0004】
TNP療法に際して、真空ポンプなどの吸引源を利用して、陰圧領域、すなわち、印加される圧力が周囲の圧力より低い領域を作り出す。吸引源は、創傷末梢を覆って配置され、創傷末梢の周辺または周囲でシールされたドレッシングまたはドレープによって陰圧を作り出す。創傷滲出液およびその他の潜在的に有害な物質は、ドレッシングまたはドレープの下に閉じ込められ、そこから抜き取られる。本明細書を通して、用語「創傷カバー」、「創傷用ドレッシング」および「ドレッシング」は、そうでないことを指摘または暗示しない限り、以後、互換的に使用され、用語「ドレープ」は、そうでないことを指摘しない限り、このような創傷カバー、創傷用ドレッシングまたはドレッシングを指すと解釈される。本明細書を通して、用語「シーラント」および「組成物」は、そうでないことを指摘または暗示しない限り、以後、互換的に使用される。
【0005】
多くの既知技術が、創傷閉じ込め効果の低いシールを提供する。効果の低いシールは、陰圧の損失をもたらす。効果的なシールを作り出すことは、対象または着装者が動いている際に摩擦または剪断にさらされる創傷の事例において、あるいは、接近し難いまたは踵などの効果的に被覆し難い複雑な身体トポグラフィー(body topography)または複雑な身体輪郭(body geography)上の創傷、例えば、凹状または凸状表面上などの創傷の事例において、とりわけ困難を伴う。
【0006】
陰圧の損失は、適用された療法の有効性を低下させ得る、すなわち、器具は、最適状態に及ばないレベルの陰圧で作動するか、警報状態に移る。このことは、療法を継続しなければならない期間を延長し、かつ創傷の総合的な回復を弱めまたは制約する可能性がある。
【0007】
さらに、真空源が有限のエネルギー源(例えば、スプリング駆動機構のような機械的に動力を供給されるシステム(SNaP(登録商標) Spiracur)、または有限な電池寿命を有する電池駆動PICO(商標)のような化学的に動力を供給されるシステム)に依拠する携帯可能であると共に使い捨てのTNP療法器具の場合、電池を交換するか再充電する間、療法を中断しなければならない。効果の低いシールは、電池に対してより過重な要求を課し、かつポンプ能力の増加を要求し、このことは、携帯可能であると共に使い捨て器具の目的に逆行する。多くのTNPシステムは、陰圧センサー、および陰圧損失の検出で起動される自動運転停止器具を含む。対象は、可能なら陰圧損失の原因を確認するか、ドレッシングを再貼付した後に療法を再開できることを教示される。
【0008】
創傷部位に隣接したまたは取り囲む皮膚とドレッシングまたはドレープとの間のシールの有効性を改善するための1つの取り組みは、皮膚(例えば、角質層など)に粘着するドレッシングまたはドレープ(創傷に接触するその表面が強粘着性粘着剤を含む)を使用することである。このような粘着剤としては、ポリウレタン系ドレッシングまたはドレープ上のコーティングとして提供される、例えば、アクリル系感圧型粘着剤(PSA)が挙げられる。しかし、これらの粘着剤は、皮膚にあまりにも完全に粘着する傾向があり、ドレッシングまたはドレープの調整または再配置、あるいはドレッシングまたはドレープの除去が、対象に対して苦痛を引き起こすか、あるいは、薄いまたはもろい皮膚に対して傷害を引き起こす可能性がある。ドレープ、機能性創傷治療層、および陰圧源のための一体型アタッチメントを組み込んだ穏やかに粘着する組合せドレッシングを含むPICO(商標)(Smith & Nephew)は、いくつかのアクリル系PSAで被覆されたポリウレタン製の粘着性「留置」ストリップと一緒になって、かなりの改善をもたらす。
穏やかに粘着するドレッシングは、貼付され、かつ対象に対する苦痛なしに再配置することができ、一旦満足のいくように配置されると、その外側外縁の周囲に貼付される粘着性ストリップによって適切な位置に固定され、ドレッシング外縁および取り囲む皮膚の上に重ねられる。PICO(商標)は、単純な創傷位置上では見事に機能するが、ストリップを円滑に貼付するのが困難である可能性のあるより複雑な表面に対して十分に適しているわけではない。
【0009】
ドレッシングのドレープポーションに貼付される親水コロイド系ガスケットを組み込んだKalyptoのNPWTドレッシングを用いるさらなる取り組みが採用される。
【0010】
健常なまたは傷害された皮膚表面の固有のテクスチャーは、ドレッシングなどのシート状材料で覆われた場合に、皮膚とドレッシングの間のシールを空気透過性にし陰圧損失をもたらす、裸眼で見えるチャネルまたはマイクロチャネルをもたらす。このようなマイクロチャネルは、流体シーラントを導入すること、およびそのシーラントを適切な位置でゲル化または固化させ、それによってマイクロチャネルに柔軟に栓をすることによってシールするのが最良であることがある。シリコーンをベースにした二パート型粘着性シーラントMepiseal(商標)を1つの部分で混合し、健康な皮膚に塗布した後、その上にドレッシングを粘着し、それによって、有害な創傷滲出液をシーラントの境界の内部に収容することができる。最近の使用で、Mepiseal(商標)は、創傷用フィラーで被覆または満たされた創傷の周辺に塗布されるTNPシーラントとしての、創傷、フィラーおよびシーラントの上および周辺に配置されるアクリル系ドレープとしての応用を見出しており、アクリル系PSA粘着剤を使用して、創傷の周囲または周辺の皮膚およびシーラントの表面に強固に粘着する。したがって、ドレープは、上に重なって、前以て配置された硬化して可撓性ポリマーを形成するMeposeal(商標)でシールを形成する。シーラントは、アクリル系ドレープに優先的に粘着し、このことが、ドレッシングを除去または交換する際に対象に対して引き起こされる、ドレッシング自体を除去することの苦痛を超える何らかの苦痛を最小にする。
【0011】
Mepiseal(商標)は、アクリルで被覆されたポリウレタン系ドレープと一緒になって効果的に機能するが、強固に粘着するドレープは、対象に対して苦痛を引き起こす傾向がある。シールは、非常に効果的なので、Mepiseal(商標)を、皮膚接触層として優れた特性を有することが知られているシリコーンをベースにしたドレープなどのそれほど十分ではない粘着、皮膚により優しいドレープと共に、理論的には使用することができる。しかし、本発明者らは、Mepiseal(商標)は、シリコーンをベースにした皮膚接触層を組み込んだTNPドレッシングおよびドレープ、例えばPICO(商標)と適合性がないことを見出した。関連する2つの別々の問題が存在する。第一に、本発明者らは、皮膚に塗布され、続いて新たな方式でPICO(商標)ドレッシングで覆われるシリコーンをベースにしたMepiseal(商標)エラストマーは、ドレッシング縁端の不安定な粘着をもたらし、該ドレッシングを着装している対象の低レベルの運動によって著しく乱され、外縁でのドレッシングの持ち上がりをもたらすが、それはドレッシングと共にきれいに剥がれることを見出した。第二に、PICOドレッシングを配置した後にPICOと皮膚との境界面に新たな方式で塗布されたMepiseal(商標)は、皮膚およびこのようなドレッシングまたはドレープの双方に等しく粘着したが、2者に橋を架けるMepiseal(商標)シールの欠陥を伴う。このことは、Mepiseal(商標)の粘着欠陥によって引き起こされ、皮膚およびドレッシングの双方に粘着して留まる残存物をもたらすように思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO2004/108175
【特許文献2】WO2009/156709
【特許文献3】US3,808,178
【特許文献4】US3,646,155
【特許文献5】US3,274,155
【特許文献6】US2005/0100692
【特許文献7】US4,714,739
【特許文献8】US7,543,843
【特許文献9】US5,397,848
【特許文献10】US7,132,170
【特許文献11】WO2012/069794
【特許文献12】WO2012/069793
【特許文献13】US5,153,231
【特許文献14】US2006/0217016
【特許文献15】US3,928,629
【特許文献16】US4,529,553
【特許文献17】FR-A-1 528 464
【特許文献18】FR-A-2 372 874
【特許文献19】EP-1633830-A2
【特許文献20】US2012/0116334
【特許文献21】US2011/0213287
【特許文献22】US2011/0282309
【特許文献23】US2011/0028918
【特許文献24】US2011/0054421
【特許文献25】WO2011/000622
【特許文献26】WO2011/000621
【特許文献27】WO2011/135285
【特許文献28】WO2011/135286
【特許文献29】US7964766
【特許文献30】US7615036
【特許文献31】GB 1020005.3
【特許文献32】GB 1019997.4
【特許文献33】GB 1104512.7
【特許文献34】PCT/GB2011/000629
【特許文献35】WO00/74738
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】B.G. Willoughby and K.W. Scott、Understanding cure with the scanning vibrating needle curemeter (scanning VNC)、RTL/2844、Rapra Technology Limited、Scawbury
【非特許文献2】L.M. Lopez, A.B. Cosgrove、J.P.Hernandez-Ortiz、T.A. Osswald、Modeling the Vulcanization Reaction of Silicone Rubber、Polym. Eng. Sci. 2007、47、675〜683
【非特許文献3】Walter Noll、Chemistry and Technology of Silicones、Academic Press、1968年、第2版、1〜9頁
【非特許文献4】Y. Walid、Z. Al-AniおよびR. Gray、Silicone impression materials and latex gloves. Is interaction fact or fallacy ? 、Dent Update、2012、39、pp.39〜42
【非特許文献5】I. WebsterおよびP.J. West、Adhesives for Medical Applications, in Polymeric Biomaterials、改訂増補版、S. Dumitriu, Marcel Dekker Inc.、第2版、2001年、ISBN 9780824705695、706頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述の問題を少なくとも軽減することが、特定の実施形態の目的である。
【0015】
皮膚親和性のある皮膚接触表面を組み込んだ創傷用ドレッシングを粘着または配置するための効果的なシーラントとして、創傷周辺の皮膚に施用することのできる分注可能な皮膚親和性のある組成物を提供することが、特定の実施形態の目的である。好ましくは、ドレッシングのための、および凹部または陥没部などの不規則状の皮膚トポグラフィーのための、好ましくは先進的創傷管理用ドレッシング、より好ましくは陰圧ドレッシング、より好ましくは創傷部位で陰圧を保持することのできる組合せTNP療法用ドレッシングのためのシーラントとして施用できる組成物が提供される。
【0016】
特定の実施形態の目的は、皮膚親和性のある皮膚接触層または表面を皮膚親和性シーラントと一緒に含み、流体を通さない方式で創傷部位に共に貼付されるように構成された、ドレッシング、好ましくは先進的創傷管理用ドレッシング、より好ましくは陰圧ドレッシング、より好ましくは組合せTNP療法用ドレッシングを含む、創傷用ドレッシングキットを提供することであり、すなわち創傷カバー、ドレッシングまたはドレープは、創傷部位のシーラントと共に陰圧に有効な方式、例えば、陰圧を保持するような方式で貼付され、TNP療法で使用することができるように構成することができる。
【0017】
特定の実施形態の目的は、皮膚親和性シーラントと共に使用するためのシリコーンをベースにした皮膚接触層または表面を含み、創傷部位に流体を通さない方式で貼付されるように構成された、創傷用ドレッシングまたはカバー、好ましくは先進的創傷管理用ドレッシングの形態の器具を提供することである。好ましくは、創傷カバーは、陰圧に有効な方式で、例えば、創傷部位を陰圧に保持するような方式で貼付されるように構成される。
【0018】
特定の実施形態の目的は、創傷を、シリコーンをベースにした皮膚接触表面を皮膚親和性シーラントと共に含み、陰圧に有効な方式で、すなわち創傷部位の陰圧を保持するような方式で貼付される、創傷用ドレッシングまたはドレープ、好ましくは先進的創傷管理用ドレッシングを介して伝達されるTNP療法で治療する方法を提供することである。
【0019】
特定の実施形態のさらなる目的は、シリコーンをベースにした皮膚接触表層を皮膚親和性シーラントと共に含み、創傷部位の陰圧を保持するような方式で陰圧に有効である、創傷用ドレッシングまたはドレープ、好ましくは先進的創傷管理用ドレッシングを使用して、創傷への陰圧の伝達を管理することである。
【0020】
特定の実施形態のさらなる目的は、創傷周辺の皮膚と創傷用ドレッシングとの間に、マイクロチャネルおよびマクロチャネル、すなわち皮膚地肌の特徴および身体トポグラフィーの特徴をシールする弾性シールを準備することである。前者は、シールにとって本質的であるが、後者は、不規則的な身体輪郭表面を平面化することによって潜在的な隙間または漏洩部に栓をして、ドレッシングの受け入れに適合するようにする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
第1の実施形態によれば、少なくとも1つのパートAおよび少なくとも1つの部分Bの間に配分される、創傷治療で使用するための硬化性組成物であって、1分子につき少なくとも1つのアルケニル基または部分を有する1種または2種以上のアルケニル基含有ポリマー(i)、1分子につき少なくとも1つのSi-H単位を有する1種または2種以上のSiH含有ポリマー(ii)、およびアルケニル含有ポリマー(i)のSiH含有ポリマー(ii)への添加によって硬化させるための触媒(iii)を含み、パートAおよびパートBは、独立して、23℃、10s-1の剪断速度で300Pa・sまでの範囲の、好ましくは10〜100Pa・sの範囲の粘度を有し、かつ1つのパートに組み合わせた場合に、23℃で0.5分〜25分の範囲の硬化時間を有し、前記硬化性組成物は、創傷用ドレッシングの周辺の場所に施す場合であって、前記創傷用ドレッシングが創傷部位および創傷部位の周辺の皮膚を覆って、前記ドレッシングの外縁および前記外縁の周辺の皮膚に密着してそれらを覆うようにして施す場合に、前記外縁および皮膚と接触したまま32℃で硬化し、0.5分から30分未満の範囲の時間でゼロまたは低いタックを示すエラストマーとなる。
【0022】
「単位」とは、本明細書中で言及する場合、基または部分あるいはそれらの一部である。「部分」とは、本明細書中で言及する場合、その周辺の2つ以上の側面に配置されたさらなる原子を有する、すなわち、2以上の原子価を有する非特定の原子の基である。「基」とは、本明細書中で言及する場合、その1つの側面に配置されたさらなる原子を有する、すなわち原子価1を有する非特定の原子の基である。本明細書中で、Si-H単位は、SiH単位と同一の意味を有する。
【0023】
前に定義したようなポリマー(i)および(ii)は、触媒の存在下で架橋してコポリマー、より好ましくは硬化されたエラストマーを形成する反応基を組み込んだ流体相ポリマーである。適切には、パートAは、触媒をポリマー(i)と一緒に含み、パートBは、ポリマー(ii)を任意選択で残りのポリマー(i)と一緒に含む。適切には、ポリマー、触媒、および任意選択のさらなる成分は、双方のパートの容積および粘度を均衡させるような方式で配分される。好ましくは、ポリマー(i)は、アルケニルシロキサン含有ポリマーである。
【0024】
前記ドレッシングの外縁は、より正確には、前記ドレッシングの外周と呼ぶことができ、それゆえ、前記外周は、前記創傷部位の周辺の皮膚を覆い、前記組成物は、前記外周およびそれに近接したおよび/またはその周辺の皮膚に密着してそれらを覆うようにして施される。
【0025】
本明細書を通して、ゼロタックまたは低いタックとは、低いタック以下の範囲のタックを指す。
【0026】
硬化時間および低タック時間は、前記パートを混合および/または施用した時刻をt=0とした場合の時間で示される。好ましくは、実際上、これらの行為は実質上同時である。
【0027】
好ましくは、パートは、施用の前または最中に、組み合わされ、密に混合される。
【0028】
好ましくは、組成物は、前記外周および皮膚と接触して硬化して、それらの間に弾性シールを形成する。
【0029】
好ましくは、組成物は、ドレッシングおよび皮膚に同時に接触するように施用される。しかし、このような選択は、双方の表面に対する同時的整合における人為的過誤を見込むべきである。代わりにまたは付加的に、組成物は、ドレッシングおよび皮膚の双方に接触するように施用され、続いて撫で付けられる。
【0030】
液状ポリマー、とりわけRTV-2シリコーンの硬化を監視するためのいくつかの方法が、当技術分野で公知であり、これらの方法は、走査振動針式硬化試験機(B.G. Willoughby and K.W. Scott、Understanding cure with the scanning vibrating needle curemeter (scanning VNC)、 RTL/2844、Rapra Technology Limited、Scawbury)または示差走査熱量計(L.M. Lopez、A.B. Cosgrove、J.P. Hernandez-Ortiz、T.A. Osswald, Modeling the Vulcanization Reaction of Silicone Rubber, Polym. Eng. Sci.、2007、47、675〜683)などの器具を用いる、材料の完全硬化プロファイルのすべてにわたる連続監視から、典型的には明白な物理的変化に基づく経験的単一点測定、例えばゲル化点に到達するのに要する時間を記録することまで様々である。
【0031】
実施例中に記載の試験中に、塗布部位から他の表面への未硬化シーラントの移行は、明らかな欠点であることが見出された。硬化プロファイル上の明白な単一点を画定する目的に関して、硬化時間は、手による動的硬化時間を意味すると解釈される。手による動的硬化時間は、本明細書中で、短時間の軽い接触にさらした場合に、材料がもはや皮膚(すなわち、指先)に移行しない硬化時間(特定温度での)と定義される。
【0032】
付加硬化性RTVシリコーンに関する硬化プロファイルの温度依存性のため、任意の測定値間の比較は、同一温度で実施されること、およびその温度が報告されていることが重要である。英国薬局方(BP)、1993年、第14版、A222、Appendix XX中のMethods of Test for Surgical Dressings中に示されている指針によれば、空調温度は20℃±2℃と解される。シリコーン工業界内では、付加硬化性RTV-2シリコーンの硬化パラメーターを23℃の公称温度で報告している多くの事例が存在し、これは、粘度などのその他の温度依存性特性に関する標準試験法に従っており(粘度を測定する場合、DIN EN ISO 3219:1994は、23.0℃±0.2℃の測定温度を好ましいと記述している)、標準試験法の例には、Wacker Siliconesによって報告されたポットライフ(Silpuran(登録商標)2445A/Bに関する技術データシート、バージョン1.3およびSilpuran(登録商標)2450A/Bに関する技術データシート、バージョン1.3では23℃、Wacker Chemie AG、ミュンヘン)、Bluestar Siliconesによって報告された最大可使時間(Silbione(登録商標)Difference、ヘルスケア用途のためのシリコーンでは23℃、Bluestar Silicones France, SAS、リヨン)、およびMomentiveによって報告されたポットライフ(ヘルスケア用途のためのシリコーンゲルでは初期粘度が23℃で2倍になる時間として定義される、152-053-00E-GL, Momentive Performance Materials Inc.、コロンバス)が含まれる。皮膚に塗布される材料の温度を考える場合、皮膚の温度は、名目上32℃と解されることに留意されたい。臨床環境において、硬化性RTV-2シリコーンを、薄いビード、層またはフィルムとして皮膚と密着させて塗布する場合、材料は、皮膚と急速に熱的平衡に到達すると仮定される。
【0033】
文献の範囲内では、硬化プロファイルに沿ったその他の不連続箇所が定期的に使用され、注目されるのは、その後に、混合されたシリコーンを、なお、使用し、注ぎ入れ、広げるなどができる最大期間を通常的には示すポットライフである。流動が重要な必要条件である場合、ポットライフは、通常、初期粘度が2倍になるのに必要な時間として示され(Elastosil, Prosessing RTV-2 silicone rubbers, 6020e/06.06, Wacker Chemie AG、ミュンヘン)、およびゴムを考える場合に適切な尺度であるタックフリー時間(定義により、材料が、一旦硬化すると、何らかの認識できるタックまたは粘着力を有さないに違いない時間)を、手による動的硬化時間と同様の方法で評価することができる。
【0034】
好ましくは、組成物は、23℃で、0.5分〜20分、より好ましくは0.5〜18分、より好ましくは0.5〜16分、最も好ましくは12分、最も好ましくは0.5〜5分の範囲の、前に定義したような硬化時間を有する。硬化時間は、前に定義したような手による動的硬化時間である。32℃での値は、本発明の応用においてとりわけ有益であり、好ましくは、32℃での硬化時間は、0.5〜10分、より好ましくは0.5〜8分、最も好ましくは0.5〜7分の範囲にある。
【0035】
タックは、以後、硬化した組成物からプローブを引き離すのに必要な最大の力として測定される。しかし、タックフリー時間または低タック時間を求める目的の場合には、接触および持ち上げ試験を、対照されるサンプルに関して指を用いて時々実施し、タックフリー時間または低タック時間を、サンプルが接触で粘着せず、かつ持ち上がらない時間として求めた。
【0036】
好ましくは、タックフリー時間は、0.5〜25分、より好ましくは0.5〜22分の範囲にある。好ましくは、組成物は、混合後0.5分〜22分の範囲の段階で、組成物に接触する紙または衣類などの品目に粘着しないような、前に定義したようなタックを有する。指によるタックは、施用された組成物の表面に接触して、その「ねばつき性」を求めることによって得ることのできる比較的主観的な評価である。高い(H)、低(L)および中度(M)などの説明的用語は、それゆえ、予備的尺度と考えることができる。
【0037】
好ましくは、高さが1mmのサンプルとして硬化した後の組成物は、1分につき300mmの伸長速度で20%の伸長をもたらすのに必要とされる荷重が、1cmの幅につき1.4kgf(kgfcm-1)以下の範囲、好ましくは0.001〜1.4kgfcm-1の範囲にあるような、明確に好ましくは20%の伸長をもたらすのに0.001〜14.0kgfcm-2として、より好ましくは0.001〜5.0kgfcm-2の範囲にあるような伸長度を有する。
【0038】
パートAおよびパートBのそれぞれの粘度が、混合前の所定の成分に関するものであることは明らかであろう。適切には、成分は、施用できる粘度に混合される。好ましくは、硬化した組成物は、50%以上の、後で定義されるような破断時伸びを有する。
【0039】
好ましくは、硬化した組成物は、5kgfcm-2以上の、後で定義するような引張り強度を有する。
【0040】
好ましくは、硬化した組成物に関して、永久歪は、20%〜0%の範囲にある。
【0041】
好ましくは、組成物は、任意選択で粘度調整剤および/または硬化時間調整剤を組み込み、高められた粘度および短縮された硬化時間を提供するSilpuran (商標)2445である。
【0042】
好ましくは、組成物は、創傷部位およびその周辺の皮膚を覆うTNPドレッシングの外縁を覆うように、好ましくはドレッシングおよびその周辺の皮膚に橋を架けるシーラントとして施用される。好ましくは、組成物は、前に規定したような位置に施用され、ここで、ドレッシングは、創傷およびその周辺の皮膚を覆うための、皮膚および/または創傷と接触する表面を含み、該接触表面は、皮膚親和性であり、好ましくはシリコーン表面である。
【0043】
好ましくは、ドレッシングとドレッシング周辺の皮膚との境界に架かる、任意でさらに、部分的に重なり合うドレッシング間の境界に架かる、任意でさらに、ドレッシングの周辺の、および/またはドレッシングの下にある、および/またはドレッシングに近接する皮膚のトポグラフィー状の凹状形体に架かる、不連続または連続なビードまたはフィルムの形態で施される。
【0044】
好ましくは、組成物は、容易に接近可能である創傷、接近が困難な創傷、暴露および隠された創傷、大型および小型の創傷、規則的および不非規則的形状の創傷、平面的であって、トポグラフィー状の不規則な、でこぼこの、または複雑な創傷の中から選択される創傷に、より好ましくは、踵、仙骨部、軸部、鼠蹊部、肩、頸部、足、指、膝、肘、手から選択される部位上に、または仙骨部の割れ目や窩などから選択される創傷部位に近接または隣接した凹部に貼付するのに適したドレッシングをシールするために施用される。
【0045】
好ましくは、組成物は、ドレープ、機能性創傷治療層、および一体型アタッチメント(陰圧源、好ましくは携帯可能および/または断続型の陰圧源のための)を組み込んだ、陰圧創傷療法(NPWT)用創傷用ドレッシング、好ましくは組合せTNPドレッシングのためのシーラントとして施用される。
【0046】
前に定義したような組成物は、WO2004/108175に記載のような組成物以外であり、かつ明らかに異なるか、あるいはそれから選択した組成物に相当することもあり;好ましくは、組成物は、前に規定したのと異なるタックを有する2つ以上のパートからなる付加硬化性RTVシリコーン製剤ではない、そのため、それは、創傷周囲の皮膚、創傷外縁のすぐ外側に、および皮膚に背を向ける側であるその上側に塗布されるように制約される。医療で使用するための物品は、創傷周囲の皮膚を、とりわけ創傷から創傷外側の皮膚への創傷液の漏洩を防御し、同時に、液体、例えば、創傷の外側から内部への尿の通過を防御することを主な目的として、塗布され、製剤が硬化して、皮膚に粘着するエラストマーを形成した後に、後者が硬化した後の製剤に添加される物品に粘着させることができる。より好ましくは、それは、Mepiseal(商標)ではない。
【0047】
WO2004/108175の組成物が、創傷用ドレッシングの外縁に重なるおよび外縁周辺の暴露されるシールを形成するのに、およびこのような創傷用ドレッシング、特に先進的創傷管理用ドレッシング、より特に創傷用TNPドレッシング、最も特に組合せ創傷用TNPドレッシングを、穏やかに粘着する粘着性を有するドレッシングを粘着およびシールすることを主な目的とし、かつ/または陰圧を保持するためのドレッシングをシールすることを主な目的として貼付するより大きな要求に本来的に適していないこと、さらには、穏やかに粘着された創傷用ドレッシングの外縁をこのようなドレッシングの外縁周辺の皮膚にシーリングするのに適していないこと、さらには、皮膚の不規則部または凹部または複雑な身体トポグラフィーまたは複雑な身体輪郭を充填してドレッシングの粘着のための平らな表面を提供する目的に適していないことは明らかであろう。
【0048】
好ましくは、組成物は、皮膚および/または創傷に接触する皮膚親和性表面を含む創傷カバーを、創傷部位またはその周辺の正しい位置でシールするためのシーラントであり、皮膚湿潤化特性を備えた分注可能な皮膚親和性組成物であり、それによって、皮膚および創傷カバーと接触させて施用し、硬化して伸長可能なエラストマー、すなわち、健康な皮膚の伸張性に匹敵する伸長性を有するエラストマーになると、皮膚と創傷カバーとの間の境界面のシールを提供する。さらなる利点として、該シーラントは、皮膚に優先して創傷用ドレッシングに粘着するか、その皮膚に対する粘着性を超えるまたは相当する粘着力を有する。
【0049】
組成物は、ドレッシングを配置した後に、創傷用ドレッシングをシールすることを可能にする利点を提供し、それによって、ドレッシングを全般的にシールするように、または該当するなら漏洩を特別にシールするように意図した位置に組成物をより正確に施用することを可能にする。創傷用TNPドレッシングの場合、組成物は、シール前にNPを確立することを可能にする。組成物は、硬化後の外的影響によって乱されることが最小である暴露型シールを形成し、それによって流体を通さない最善のシールを形成する。組成物は、創傷に接触するシリコーン表面を有する「粘着しにくい」ドレッシングをはじめとするドレッシング、および皮膚トポグラフィーが不規則的な部位などの創傷部位の皮膚をはじめとする皮膚の双方に対して見事な粘着力を提供する。組成物は、シールが身体の動きに耐えて、脱離または粘着欠陥に悩むことなしに1、2、3、4、5、6または7日から10日までの間無傷のままであることを可能にする優れた機械的特性を提供する。さらに、組成物は、皮膚に対する牽引損傷を最小にする優れた伸長度を提供する。
【0050】
さらなる実施形態は、創傷治療の分野で使用するためのキット、器具、使用、および方法(創傷部位を治療する方法を含む)を提供する。
【0051】
実施形態は、施用するための組成物、または施用された場合に、流体を通さない皮膚親和性カバーで覆われた創傷周辺にシールを形成するための組成物を提供する。本明細書中で、流体とは、液体および気体を包含する。しかし、「流体」は、「蒸気」を包含するとは解釈されず、好都合な水蒸気透過速度(MVTR)は、本明細書中で構想されるドレッシングの必要条件である。創傷カバーは、創傷滲出液を含む流体に対して不透過性であるか、または実質上不透過性である。該カバーは、空気を通さないか、実質上通さず、それによって、ドレッシングが貼付され、その周辺を組成物でシールされた創傷部位の陰圧を維持することができる。創傷滲出液およびその他の流体を、創傷部位および/または器具およびそれに付随する任意の捕集手段の内部に保持することができる。
【0052】
特定の実施形態は、創傷部位にTNPを印加するのを容易にする方法を提供し、それによって、陰圧を発生させる真空ポンプなどの陰圧源での電力消費が効率的になり、陰圧および結果的に療法を、所望されるような長さで継続することができる。特定の実施形態は、創傷部位にTNPを印加するのを容易にし、それによって、創傷部位に陰圧を効果的に印加し、創傷治癒における療法を所望されるように容易にすることができる。
【0053】
特定の実施形態は、外的影響によって実質上乱されないTNPドレッシングを創傷部位に貼付することを容易にする。
【0054】
特定の実施形態は、ドレッシングを装着している患者または対象に著しい苦痛をもたらすことなしに、ドレッシングを所望のような創傷部位に正確に配置または再配置することを容易にする。
【0055】
特定の実施形態は、ドレッシングを装着している患者または対象に過度の苦痛をもたらすことなしに、創傷部位からドレッシングを除去することを容易にする。
【0056】
特定の実施形態は、創傷用ドレッシングを、患者または対象に対する過度の苦痛なしに、創傷部位に効果的に貼付できる利点を提供する。ポンプを創傷用ドレッシングに連結し、創傷部位をTNP療法の過程中に生じた陰圧に維持し、陰圧損失に起因するポンプによる非効率的な電力使用なしに、意図した寿命の間運転することができる。
【0057】
これより、実施形態を、単なる非限定的例として、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1a】TNPドレッシングの従来の貼付法およびシール形成を図解した図である。
図1b】TNPドレッシングの従来の貼付法およびシール形成を図解した図である。
図1c】TNPドレッシングの従来の貼付法およびシール形成を図解した図である。
図1d】TNPドレッシングの従来の貼付法およびシール形成を図解した図である。
図1e】TNPドレッシングの従来の貼付法およびシール形成を図解した図である。
図1f】TNPドレッシングの従来の貼付法およびシール形成を図解した図である。
図1g】TNPドレッシングの従来の貼付法およびシール形成を図解した図である。
図2a】実施形態の創傷カバーキット、器具およびシーラントの対象に対する適用およびシール形成を図解した図である。
図2b】実施形態の創傷カバーキット、器具およびシーラントの対象に対する適用およびシール形成を図解した図である。
図2c】実施形態の創傷カバーキット、器具およびシーラントの対象に対する適用およびシール形成を図解した図である。
図2d】の実施形態の創傷カバーキット、器具およびシーラントの対象に対する適用およびシール形成を図解した図である。
図2e】実施形態の創傷カバーキット、器具およびシーラントの対象に対する適用およびシール形成を図解した図である。
図2f】実施形態の創傷カバーキット、器具およびシーラントの対象に対する適用およびシール形成を図解した図である。
図2g】実施形態の創傷カバーキット、器具およびシーラントの対象に対する適用およびシール形成を図解した図である。
図2h】実施形態の創傷カバーキット、器具およびシーラントの対象に対する適用およびシール形成を図解した図である。
図3a】実施形態の創傷カバーキット、器具およびシーラントの対象に対する適用およびシール形成を図解した図である。
図3b】実施形態の創傷カバーキット、器具およびシーラントの対象に対する適用およびシール形成を図解した図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図面において、同様の参照番号は、同様のパーツを指す。図面中、パーツの縮尺は一律でない。
【0060】
特定の実施形態の組成物は、以下で定義するような粘度によって特徴付けられる。粘度(η)は、DIN EN ISO 3219:1994, Annex Bにより測定した。好ましくは、粘度は、10〜100Pa・sの範囲にある。
【0061】
組成物は、上向きまたは下向きでよい任意の創傷部位の周辺のまたは近接する皮膚に施用され、該組成物は、エラストマーの形態を獲得するまで、さらには施用により任意の不規則部または凹部に流れるように皮膚を湿らすまで、著しく流れること、落下すること、滴り落ちることなどなしに、正しい位置に留まることができる。組成物は、結果として、創傷領域周囲の皮膚と密な機械的粘着または分散粘着で接触し、それによって、シールを形成する。同様の方式で、組成物は、ドレッシングと密な機械的粘着または分散粘着で接触し、それによってシールを形成する。
【0062】
組成物を、組み合わせ、塗布に適した粘度までの部分的硬化を可能にすることができるか、あるいは、塗布中に剪断力にさらした場合に適切な粘度が達成されるようなチキソトロピー特性を有することができる。
【0063】
組成物は、広く伝播する陰圧によって欠陥部分に引きずり込まれ、次いで硬化し得るような流動特性を有することができる。硬化したシーラントは、好ましくは、ある程度の流動または順応性、例えば、伸長度を保持し、結果として、該シーラントは、皮膚上で遭遇する動的状態に適応することができる。
【0064】
好ましくは、前記もしくは後記のような、または特許を請求されるような、組成物、キット、器具、使用、または方法は、次の特性、すなわち、皮膚湿潤化特性、施用可能な特性、皮膚との親和性、皮膚への粘着性、伸長性、順応性、機械的に固定する特性、流体を通さない特性、シールの有効性、表面タック性、水蒸気透過性(MVP)、優先的粘着もしくは粘着性、および後記で定義するようなその他の特性のいずれかを備えるか、提供する。
【0065】
本明細書中で、「施用可能な」組成物とは、前記または後記で規定されるような範囲の粘度を有する組成物を指す。このような組成物は、正しい位置に施用することができ、かつ施用後に正しい位置に留まることができる。高粘度組成物は施用するのが物理的に困難であり、低粘度組成物は、重力または衣類などによる摩擦にさらされると正しい位置に留まらない傾向がある。中粘度組成物は、当技術分野で公知の「垂れなしで塗り広げることのできる」組成物を包含し、塗り広げることのできる等級の組成物とはそれらの低減された流動性において相違し、中粘度組成物は、10mmの施用厚さまで、重力下で垂直または傾斜した表面から流れ去ることも、垂れることもない。高粘度組成物は、当技術分野で公知のように、より小さな体積で、適切に大きな断面積の施用ヘッドまたは開口部を用いて、あるいは機械的に好都合な施用手段を用いて施用することができる。好ましくは、中粘度組成物は、前に定義したように、垂れずに塗り広げることができる。
【0066】
「皮膚親和性」とは、本明細書中で使用する場合、創傷カバーを皮膚に貼付または再貼付できる能力、装着者への外傷なしに、かつ皮膚に実質的傷害をもたらすことなしに、創傷カバーを皮膚から除去できる能力を指す。皮膚親和性材料としては、アクリル系PSAなどの粘着性または非粘着性材料、シリコーンおよびシリコーンをベースにした材料、ならびに後で列挙するようなその他の材料が挙げられる。とりわけ周知の皮膚親和性材料は、シリコーンを含むか、シリコーンをベースにしており、皮膚親和性材料は、シリコーンまたはシリコーンをベースにした材料に相当する特性を有すると認識されている。残念ながら、一般に入手可能なシリコーンをベースにしたシーラントは、ドレッシングの下に塗布した場合に、創傷に接触するシリコーン層を組み込んだドレッシングの機能を妨害する。実施形態は、シリコーンをベースにしたシーラントとドレープとの間のシールを優先的に粘着することを提供して対処する方策を提供する。シーラントおよび/またはドレッシングは、皮膚上での0.3〜3.0N/25分の硬化後に、皮膚への粘着を示すことができる。適切には、シーラント、あるいは皮膚および/または創傷に親和性のあるドレッシングの表面は、皮膚からの除去に関して、アクリル系ドレッシングのそれを超えない皮膚傷害指数Hxを有する。Hxは、0.1未満、好ましくは0.5未満であればよい、好ましくは、粘着は、皮膚を剥がすことのない除去を可能にする。
【0067】
硬化した組成物、キット、器具および方法に関する実施形態は、陰圧に有効である。本明細書中で、陰圧に有効とは、陰圧の損失または実質的損失なしに創傷に陰圧を伝達するための、あるいは陰圧損失のないTNP、または実質上陰圧損失のないTNP、あるいは創傷部位の陰圧を保持するような組成物、キット、器具、または方法を指す。このような特性は、本明細書中で、流体を通さない、または実質上流体を通さないとも呼ばれる。流体とは、前に規定したように液体または空気を指す。しかし、本出願中に記載のドレッシングは、蒸散を許容してもよく、したがって、ドレッシングからの流体損失が起こり得ることを理解されたい。詳細には、組成物、キットまたは器具は、患者または対象に適用され、患者または対象の皮膚と器具との間の境界面を、創傷部位の陰圧を維持または保持するような方式で準備することができる。ドレッシングの特定箇所での陰圧損失を測定するのは、実際的でなく、ドレッシングとシールとを一緒にした総合的陰圧有効性として言及され、ドレッシング中への、より詳細にはドレッシングのNPチャンバー中への空気の漏洩速度として表現することができる。
【0068】
市販の陰圧システムは、陰圧損失許容度の仕様を提示している。RENASYS*EZ(商標)システムは、2l min-1の、RENASYS*EZ Plus(商標)は2.5l min-1の許容度を有し、有限の電力寿命、例えば有限の電池寿命を有する現在開発中の携帯可能なシステムは、5〜10ml min-1の仕様を有する。一般に、漏洩速度は、システムポンプの規模および/または電源の種類に関連づけられる。好ましくは、本明細書に記載のような携帯可能なNPWTシステムのための陰圧に有効なシールとは、20ml min-1以下、より好ましくは15ml min-1以下、より好ましくは5ml min-1以下の漏洩速度を指している。典型的なシールは、3ml min-1未満、2ml min-1未満、または1ml min-1未満、例えば0.5l min-1以下の漏洩速度を示す。
【0069】
陰圧漏洩速度は、陰圧領域中への空気浸透のような、本質的には陰圧の減少である。陰圧有効性の尺度は、本明細書に記載のような組成物によってシールされたドレッシングの、または本明細書に記載のようにシールされたドレッシングの、真空ポンプまたは機械的反発力もしくはスプリングなどの陰圧源を使用して印加された陰圧を保持する能力として示される。本明細書中で規定されるような態様および実施形態は、創傷を被覆するのに採用されると、20ml min-1までの範囲の陰圧漏洩速度(単位時間当たりの空気流)を示す。陰圧漏洩速度は、ある程度まで、ドレッシングの種類、ドレッシングの大きさおよび創傷の大きさ、創傷を覆うために貼付される多様なドレッシング、身体外形、対象の皮膚の状態などに依存し、それゆえ、有用なパラメーターは、被覆された所定の創傷部位での漏洩速度の低下%であり、漏洩速度の低下は、好ましくは、20%以上、すなわち20%〜100%の範囲にある。本明細書中で、漏洩速度の低下%は、100-(最終漏洩速度/初期漏洩速度)×100として定義される。例えば、100ml/分の漏洩速度が1ml/分の漏洩速度まで低下した創傷の場合、漏洩速度の低下%は、100-(1/100)×100=99%である。
【0070】
実施形態は、所定のNPを維持するのを保証するのに必要とされる仕事量を劇的に低下させる。このことは、例えば、ポンプ能力および/または電池寿命に限りがある携帯可能なNPWTデバイスの使用を可能にする。陰圧を効率的にシールするドレッシングは、複数の部分的に重なるまたは隣接するドレッシングの貼付を必要とする創傷、および外形的に複雑な創傷部位などの、大きな、または複雑な創傷を被覆するのに必要とされる。このような部分的に重なるドレッシングは、皮膚とドレッシングとのシールに対応した方式でシールすることができ、本明細書中で、皮膚とドレッシングとのシールとは、ドレッシングとドレッシングとのシールに対応する貼付を指す。
【0071】
本明細書中で、流体状シーラント組成物の「皮膚湿潤化特性」とは、エラストマー形態になる前に、皮膚の凹部またはチャネル中に流れ落ちる能力を指す。良好な皮膚湿潤化およびドレッシング湿潤化特性は、シーラントが皮膚およびドレッシング表面のチャネルを満たすことによって、さらには皮膚およびドレッシング表面に鍵をかけることによる粘着要因を提供することによって、前に規定したような効率的なシールの形成を可能にする。組成物の貧弱な皮膚湿潤化能力は、皮膚に施用した場合の、シーラントの顕著な小滴の形成によって容易に観察することができる。好ましくは、組成物は、清潔で乾燥した皮膚での、その小滴の90°以下、より好ましくは45°以下、より好ましくは20°以下、例えば、15°以下の接触角(好ましくは、皮膚およびドレッシングに同時に接触するように一旦撫で付けて)によって特徴付けられる皮膚湿潤化特性を有する。それによって、組成物と皮膚との貧弱な相互作用が、実質上限定される。
【0072】
本明細書中で、粘着への言及は、施用可能なシーラントによる皮膚またはドレッシングの表面の湿潤化を含む機械的固定のような機械的手段、および化学粘着性表面の貼付によるなどの化学的手段による粘着を包含する。好ましくは、粘着は、主として、皮膚とドレッシングとの境界面の組成物の、硬化後の再粘着を可能にするべとつくまたはべとつかない化学粘着の成分との相互作用による。
【0073】
硬化した組成物の粘着力は、本明細書中で使用する場合、簡便には、結合された2つの材料を引き離すのに必要な平均力の尺度である剥離強度として定義される。好ましくは、180°の角度で皮膚にシールされたまたは別のドレッシングにシールされたドレッシングの引き離しに関する剥離強度は、皮膚に粘着されたまたは別のドレッシングに粘着されたPICO留置ストリップの引き離しに関するそれと同等であり、かつ皮膚に粘着されたまたは別のドレッシングに粘着されたPICOドレッシング(製品コード66800866)の引き離しに関するそれよりも大きい。皮膚またはドレッシングからの剥離の変動性を考慮すると、鋼鉄に180°の角度でシールされたドレッシングを引き離すのに要求される力を測定することが、特に有益であるとは限らない。好ましくは、剥離強度は、PICO留置ストリップのそれと同等であり、PICOドレッシング(製品コード66800866)のそれより大きい。シーラントの粘着力は、例えば、シーラントが自己再貼付に適さない単回使用用であるか、硬化後の反復的自己粘着を可能にするものでよい。
【0074】
本明細書中で、皮膚を覆うドレッシングへの「優先的粘着」または皮膚への粘着を超える粘着への言及は、シーラントを付着したままドレッシングを除去すること、または皮膚の擦れまたは摩擦を必要としない簡単な剥離行為により皮膚から残留シーラントを除去することを可能にするような特性である。優先的粘着とは、シーラント組成物が意図的に塗布されたドレッシングの任意の一部、例えば、その皮膚および/または創傷に接触する表面、ドレッシングおよび上側表面および/または上部フィルムの縁端領域に対する粘着を指す。剥離は、タブまたは剥離紙を準備することによって容易にすることができ、あるいは手でまたはピンセットなどを用いて掴み、引き剥がすことによって行うことができる。
【0075】
シーラント組成物は、隠されたまたは好ましくは暴露された方式で施用され、それによって、シーラント組成物は、ドレッシングで覆われるか、部分的または完全に暴露されたまま残る。したがって、暴露された施用を意図したシーラント組成物は、硬化後に衣服およびその他の物体に粘着しないことが重要である。これは、最良の場合でも不便を、最悪の場合にはシーラントおよびシールの破壊をもたらす。したがって、本明細書中で規定される組成物は、好ましくは、硬化して、ゼロから低いタックのエラストマーになる。
【0076】
タックは、材料を別の表面と接触させた場合に急速に形成される結合の尺度である。試験は、ASTM D2979-01中に示されている基準に基づく。好ましくは、組成物は、前に規定したように、0〜400kgfcm-2、好ましくは0〜300kgfcm-2、より好ましくは0〜250kgfcm-2、より好ましくは0〜200kgfcm-2、例えば0〜175kgfcm-2の範囲のタックを有する。
【0077】
一実施形態において、組成物は、硬化して、前に規定したように、好ましくは0〜200kgfcm-2、最も好ましくは0〜175kgfcm-2、例えば0〜125kgfcm-2、0〜110kgfcm-2、または0〜100kgfcm-2のゼロから低いレベルのタックを有する。
【0078】
最善の結果は、外部物体に対して著しい粘着によって引き起こされるシール欠陥状態を招くことなしにある程度の再粘着を可能にすることと、生じたドレッシング外縁の持ち上がりを促進することとの間の均衡を可能にする選択的タック組成物を用いて得られる。したがって、さらなる実施形態において、組成物は、硬化して、好ましくは前に規定したように、40〜400kgfcm-2、好ましくは40〜300kgfcm-2、より好ましくは40〜250kgfcm-2、より好ましくは40〜200kgfcm-2、例えば40〜175kgfcm-2の範囲の低レベルのタックを有する。
【0079】
タックによる粘着は、加圧下での長い接触と共に増大する。品目は、軽い接触で組成物に粘着しない可能性があるが、粘着は、加圧下での長い接触に由来する可能性がある。本明細書中で定義されるようなタックは、短時間の接触または「滞留時間(dwell time)」で記録される。
【0080】
タックは、プローブと組成物との非常に軽い圧力下での短い接触について測定される。しかし、粘着(タックによる)は、接触時間および圧力と共に増大する。有利には、組成物は、1〜7日間のドレッシング装着の間、組成物が、荷重(典型的には、手足または体重)下で30分から8時間(着座、休息または睡眠時間)接触する外部物体に優先的には粘着しないようなゼロから低いタックを有する。したがって、組成物は、37℃で1時間硬化した場合に、0〜400kgfcm-2の範囲、好ましくは前に規定したような範囲のタックを有するべきである。
【0081】
有利には、ゼロタックまたは低タックの硬化エラストマーのフィルムまたは撫で付けられたビードは、支えのないエラストマーとして吊り下げられた場合、その平面形状を維持し(すなわち、回復の早い変形性であり、例えば、カールせず、または絡み付いたフィルムとしてそれ自体で閉じることもなく、優先的には平坦な平面またはカールした平面または円筒形状で横たわる)、皮膚およびドレッシングから選択される表面に引き寄せられ、少なくともほぼ1cmの距離で配置される。この形状維持と引き寄せの組合せは、1cm以内の距離の表面に対して、吊り下げられたままで残るよりもフィルムとして優先的に横たわることをもたらす。このことは、吊り下げられたフィルムに近接して、垂直から垂直線に対して少なくとも30°までの角度で、配置された表面に近接して吊り下げられたフィルムに関してもあてはまり、その結果、フィルムまたはビードは、表面の重力的により低い面上に横たわる。さらに、フィルムは、表面が水平に配向された場合、一旦表面に引き寄せられると、そのより低い重力面と粘着したままで留まる。引き寄せられたフィルムは、表面に優先的に引き寄せられて留まり、その1cm以内での直接接触で保持されたさらなる皮膚またはドレッシングの表面に対しては、低減された引き寄せを有する。引き寄せられたフィルムは、隣接した皮膚およびドレッシングの表面にそのフィルムがその境界面の全域に存在するように等しく引き寄せられる。
【0082】
この現象は、組成物が、任意の箇所で部分的に引き離されても、その付近の他の物体によって一緒に引きずられることにはならない、すなわち、「羽ばたかず(not flap about)」、残りのシールの完全性に対してさらなる歪をもたらさない、硬化したシールを形成することを可能にする。さらに、それは、皮膚とドレッシングとの境界面の全域で若干のシーラント効果を有し続け、その効果は、境界面における漏洩陰圧の効果によって増幅される。
【0083】
この現象は、シリコーン表面によって提供される低い表面エネルギー環境、局所双極子相互作用、粘弾性特性などを含む効果に帰される。
【0084】
本明細書中で、伸長性エラストマーとは、ドレッシングを装着している対象によって動きにさらされた場合に、エラストマーの粘着欠陥に優先して順応するエラストマーを指す。これに関して、その内容が参照により本明細書に組み込まれるWO2009/156709のドレープに関して記載の特性が参照される。好ましくは、組成物は、硬化し、または塗布されて、皮膚の伸長性および/または貼付しようとするドレッシングの伸長性に対して適合性があり、かつ似通い、模擬した、または近い伸長性を有するエラストマーを形成する。
【0085】
伸長性は、その伸長度または引張り強度および破断時伸びの関数として測定される。本明細書中で、伸長度は、材料長さの20%の伸びをもたらすのに必要な力として定義される。
【0086】
高さが1mmの硬化したサンプルに関して、1分につき300mmの伸び速度で20%の伸びをもたらすのに必要な荷重は、幅1cmにつき1.4kgf(kgfcm-1)以下(英国薬局方(BP)、1993、第14版、A222、Appendix XX G中の外科用ドレッシングに関して示されている指針)、好ましくは実質上0〜1.4kgfcm-1でなければならない。標準的な引張り試験機の場合、誤差の限界は0〜1kgFSLの範囲で±0.01kgfcm-1である。したがって、伸長度は、0.001〜1.4(±0.01)kgfcm-1、好ましくは0.001〜1.0(±0.01)kgfcm-1、より好ましくは0.001〜0.5(±0.01)kgfcm-1、より好ましくは0.001〜0.2(±0.01)kgfcm-1、最も好ましくは0.001〜0.15(±0.01)kgfcm-1である。
【0087】
固定幅の標本の両端で20%の伸びをもたらすのに必要なサンプルの荷重を測定する際には、標本の高さが断面積を規定する。したがって、実際の高さを規定することが、伸長性に関する適切なパラメーターを求める際に重要である。
【0088】
実施例中に記録した高さ測定から、硬化したシリコーン生成物の最小高さは、0.07mm、最大は1.58mmであることが観察された。撫で付けられた外縁の平均高さを記録すると、結果は、0.20〜0.65mmに及んだ。
【0089】
塗布できるシーラントの高さに関する厳密な上限および下限は存在しないが、シーラントは、0.01〜5.00mm、より好ましくは0.05〜2.00mmの範囲の高さで塗り広げられ、シーラントの大部分は、0.10〜1.00mmの範囲にある可能性が高いと思われる。
【0090】
示したこれらの3つの高さ範囲の上端で(0.001〜1.40kgfcm-1の範囲の荷重下で)、高さが5.00mmのサンプルは、0.002〜2.80kgfcm-2の範囲の伸長度を有する材料を必要とし、高さが2.00mmのサンプルは、0.005〜7.00kgfcm-2の範囲の伸長度を有する材料を必要とし、1.00mmのサンプルは、0.010〜14.00kgfcm-2の範囲の伸長度を有する材料を必要とする。
【0091】
規定されたシーラントの示した高い方の高さで、この高さは、材料を伸長する間に皮膚に発生する荷重が規定された所定の明確な閾値であることを可能にし、装着中の牽引損傷または不快に関する可能性を最小化する。
【0092】
異なる範囲の荷重およびサンプル高さの下での伸長度の値(kgfcm-2)を示した。比較を容易にするため、それらの値を、MPaおよびN mm-2にも変換した。
【0093】
【表1】
【0094】
したがって、高さが1.00mmのサンプルの伸長度は、0.001〜14.00kgfcm-2、好ましくは0.001〜10.00kgfcm-2、より好ましくは0.001〜5.00kgfcm-2、より好ましくは0.001〜2.00kgfcm-2、最も好ましくは0.001〜1.50kgfcm-2である。
【0095】
この値をMPa(またはN mm-1)で表現することもできる。
【0096】
【表2】
【0097】
したがって、高さが1.00mmのサンプルの伸長性は、0.001〜1.37MPa、好ましくは0.001〜0.98MPa、より好ましくは0.001〜0.49MPa、より好ましくは0.001〜0.20MPa、最も好ましくは0.001〜0.15MPaである(0.001〜1.37N.mm-2、好ましくは0.001〜0.98N.mm-2、より好ましくは0.001〜0.49N.mm-2、より好ましくは0.001〜0.20N.mm-2、最も好ましくは0.001〜0.15N.mm-2とも表現できる)。
【0098】
本明細書中で、破断時伸びは、張力下での材料の最大伸び%として定義される(サンプルの伸び/初期長さ)×100。
【0099】
硬化したサンプルの破断時伸びは、50%以上、好ましくは50%〜50000%、より好ましくは100%〜5000%、より好ましくは100%〜1200%、例えば50%〜1200%、または150%〜1200%、または200%〜1200%でよい。
【0100】
引張り強度は、弾性材料の剛性の尺度であり、単位面積当たりの力として示される応力の無次元である歪に対する比率である。好ましくは、引張り強度は、5kgfcm-2を超え、より好ましくは15kgfcm-2を超え、より好ましくは25kgfcm-2を超え、例えば、25kgfcm-2〜少なくとも50または100kgfcm-2までの範囲にある。
【0101】
シーラントにとって重要な特性は、材料が印加された荷重に応答して伸長し、しかもその伸長荷重を除去した後に当初の寸法を回復するような、材料の弾性である。適切には、シーラントの弾性は、シーラントが塗布される表面、すなわち、シーラントが塗布される皮膚および/または創傷の表面、ドレッシングまたは身体部分、または手足の弾性と適合性があるか、それらの表面の弾性に一致する。本明細書中で、永久歪(permanent set)または引張り歪(tensile set)は、硬化した材料が、1分間の伸長の後にその当初の長さを回復する能力として定義される。
【0102】
硬化したサンプルの永久歪は、300%または500%の伸長後に1000%以下、好ましくは20%〜実質上0%でなければならない。簡便には、測定値は、20%の伸長で求められ、300%〜500%の伸長での測定値と比べて同一の値またはより低い値を有する。
【0103】
本明細書中で、組成物またはシーラントを施用する文脈で、組成物またはシーラントからなるビードへの言及は、境界面などの箇所に、境界線の線に沿って、または皮膚の欠陥もしくは空洞内に、例えば不連続または連続シールとして施用される組成物またはシーラントを包含する。このシールは、シーラントまたはフィラーの応用に関する技術分野で公知のように、球状の斑点(spot)もしくは塗布痕(dab)、細長い線もしくはビード、または詰め物である目に見える外観を有する。
【0104】
本明細書中で、ドレッシングの縁端領域への言及は、先進的創傷管理創傷治療の技術分野、例えば、ALLEVYN(商標)Gentle Border(Smith & Nephew)、Mepilex(Moinlycke)、PICO(商標)(Smith & Nephew)で知られている通りである。適切には、縁端領域は、ドレッシングのその表面の縁端を意味する。縁端は、創傷周辺の無傷の皮膚のみに接触することを意図し、かつ創傷およびその周辺の一部の皮膚に接触することを意図した中央ポーションを囲む。縁端領域は、縁端の一部または全部にわたる粘着促進領域(以後、外辺領域と呼ぶ)を含み得る。粘着促進外辺領域は、特記しない限り、ドレッシングのどちらの表面にも配置され得る。粘着促進末外辺領域は、最小の表面積で存在できる。別法として、粘着促進外辺領域のために意図された特性をドレッシング表面のすべてにわたって再生することが、その領域に異なる特性を付与する手段としてその領域またはその一部に限定するよりもより安価である可能性がある。粘着促進外辺領域は、所望の特性を付与するための任意の所望の断面積のものである可能性がある。
【0105】
組成物は、皮膚とドレッシングとの間の接合部を連結するシールを提供すること、好ましくはさらに部分的に重なり合うドレッシング間の接合部を連結するシールを提供することとに取り組む。とりわけ有利には、本発明者らは、組成物が、ドレッシングを皮膚にシールする、または2つのドレッシングを互いに部分的に重ねてシールする二重の目的で見事に機能することを見出した。
【0106】
実施形態は、一般に、先進的創傷管理での使用に適用できることが理解されるであろう。簡潔には、先進的創傷管理は、例えば、創傷滲出液のとりわけ、管理(ALLEVYN、DURAFIBER、Gentle Border)、感染管理(ACTICOAT、IODOSORB)、iv部位治療(IV3000)、創傷周辺の易感染性皮膚の管理、NPWT(RENASYS F/AB、PICO)、外科用ドレープなどの術後ケア(OPSITE)、一時的バイオスキンドレッシング(BIOBRANE)などのための特別の準備を含むように仕立てられた創傷用ドレッシングに関連して使用されるドレッシングを使用する創傷特異的治療を提供して、創傷に取り組む。先進的創傷管理用ドレッシングとしては、数ある中でも、例えば、Gentle Border(登録商標)ドレッシングが挙げられる。先進的創傷管理の一態様が、管理中に、組織の浮腫を低減すること、血流および顆粒組織の形成を促進すること、過剰な滲出液を除去することによって多くの形態の創傷の閉鎖および/または治癒を助け、かつ細菌荷重(したがって、感染リスク)を低減することのできる、TNP療法である。TNP療法システムは、また、流体を除去することによって、および並置された閉鎖位置中の組織を安定化するのを助けることによって、外科的に閉鎖された創傷の治癒を助けることができる。TNP療法のさらに有益な用途は、過剰な流体の除去が重要であり、かつ移植片の組織への密接な近接が組織の生存を確実にするために要求される、移植片および組織片において見出される可能性がある。実施形態は、より詳細には、局所陰圧(TNP)療法システムなどでの使用に適用できる。
【0107】
本明細書を通して、創傷に対して言及されることが認識されるであろう。この意味で、用語「創傷」は、広く解釈されるべきであり、皮膚が、静脈確保点などで裂かれ、切断され、穿刺されている、または外傷が挫傷を引き起こしている、開放性および閉鎖性創傷を包含することを理解されたい。したがって、創傷は、流体が生じる、または生じない可能性のある、組織の任意の傷害領域として広く定義される。このような創傷の例には、限定はされないが、切開傷、裂傷、擦過傷、打撲傷、火傷、糖尿病性潰瘍、圧迫潰瘍、人工肛門、外科創傷、美容創傷、外傷、および静脈性潰瘍などが含まれる。本明細書中でとりわけ強調されて取り組まれる創傷は、とりわけ踵、仙骨部、軸部、鼠径部、肩、頸部、足、指、膝、肘、手、ならびにその他の輪郭をもつトポグラフィー部位および凹状部位をはじめとする、身体のトポグラフィー的に複雑な場所またはその隣接した創傷である。
【0108】
組成物および施用方法
一実施形態において、組成物は、ヒドロシリル化反応に従う任意のポリマーを含むことができる。一方のポリマー(i)は、好ましくはアルケニル基を含み、他方のポリマー(ii)は、好ましくはSi-H部分を含む。シロキサンポリマーの基は、ケイ素および酸素原子を交互に含む構造を基本にし、ケイ素に結合した様々な有機部分を含む。硬化は、エラストマーの流動を低下させる処理と定義することができる。この変化は、一般には、ポリマー分子間の連結反応によって引き起こされる。水素化ケイ素(Si-H)部分がポリシロキサンの一部である場合、アルケニル基はシロキサンポリマーの一部であるか、さもなくば非シロキサンポリマーの一部であり得る。アルケニル官能基の位置は、決定的に重要なわけではなく、分子鎖の終端または分子鎖に沿った非終端位に存在できる。
【0109】
ポリマー(i)および/または(ii)は、市販されているか、公知の技術で得ることができる。適切には、ポリマー(i)および/または(ii)は、独立に、公知および新規な流体相ホモポリマー性およびコポリマー性ポリマー、それらの絡み合った系、ならびにこれらの混合物から選択される。組成物は、次いで、硬化してコポリマーを形成し、組成物中には、それらの絡み合った系、および存在するなら、その他の非反応性ポリマーとの混合物を含むこともできる。
【0110】
コポリマー性ポリマーは、2種以上のモノマー種に由来するすべてのハイブリッド、例えば、交互、周期的、統計的、ランダム、ブロック、直鎖状、分枝状、星状、グラフト、および懸垂状コポリマーを包含する。絡み合ったシステムとしては、相互貫入ネットワーク(IPN)および半相互貫入ネットワーク(SIPN)が挙げられる。これらのポリマーが、有機および無機部分の双方を組み込むことができる場合もある。
【0111】
好ましくは、ポリマー(i)および(ii)は、シロキサンおよび修飾されたシロキサンをはじめとするシリコーン、ポリエステルおよびポリエーテルウレタンをはじめとするポリウレタン(PU)、エラストマー性ポリエーテルポリエステル、ポリグリコール酸、エチルビニルアセテートなどのポリアセテート、ポリアクリレート、多糖類のポリ酸誘導体(カルボキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルキトサンおよびそのコポリマーなど)、ならびにコポリマー、絡み合ったシステムおよびこれらの混合物を含むそれらのハイブリッドから選択される。
【0112】
組成物は、有機水素シロキサン単位と有機アルケニルシロキサン単位との間の付加硬化反応を利用することができる。これらの単位を、前に定義したような、広範な範囲のポリマー性、コポリマー性、絡み合った、および混合されたポリマー中に組み込むことができる。したがって、好ましいシロキサンポリマー(i)および(ii)は、これらのそれぞれの単位を含み、より好ましくはポリオルガノシロキサンである。ポリマー(i)は、好ましくは、アルケニル含有単位を含むポリジオルガノシロキサンポリマーであり、より好ましくはポリジオルガノアルケニルシロキサンポリマーである。好ましくは、ポリマー(ii)は、SiH単位を含むポリジオルガノシロキサンポリマーであり、より好ましくはポリジオルガノ水素シロキサンポリマーである。
【0113】
シロキサンおよび有機単位の双方を使用した有機-無機ハイブリッドポリマーシステムの例には、アクリレートで官能化されたシロキサンコポリマー(コンタクトレンズでの用途が見出されている、US3,808,178号);ハイブリッドグラフト(例えば、架橋性HDPEのためのシラングラフト技術(US3,646,155)における、有機ポリマーがポリシロキサン鎖にグラフトされ、またはシロキサンが有機ポリマーにグラフトされ、ハイブリッドグラフトを使用して、シロキサン結合の形成を介して有機ポリマーの架橋を可能にする);ハイブリッドブロックコポリマー、例えばシリコーン-ポリカーボネートブロックコポリマー(US3,274,155);およびシリコーンとエチレンコポリマーとのビニル含有シリコーンコポリマーで架橋されたハイブリッドコポリマー(織物を被覆する上での用途を見出いしている、US2005/0100692)が含まれる。
【0114】
IPNは、特別な部類のハイブリッドポリマーシステムを意味し、これらのシステムは、機械的絡み合いと一方のポリマーが別のポリマーの周辺で硬化する架橋との組合せを利用し、これらのシステムとしては、白金で触媒される付加硬化性シリコーンと絡み合った熱可塑性樹脂、例えば、シリコーン-ウレタンおよびシリコーン-ポリアミドシステムを含むシリコーン-ウレタンIPNおよび半IPN(一般的応用分野を有するか、織物を被覆する上での特殊な用途を見出している、US4,714,739、US7,543,843);シリコーンポリマー中で固定化された親水性成分(コンタクトレンズ材料としての用途を見出されている、US5,397,848);および類似の粘着性を有する非反応性ポリマーの周辺で硬化されたシリコーンポリマー(織物を被覆する上での用途が見出されている、US7,132,170)が挙げられる。
【0115】
ポリマーは、また、変性シリコーン(MS)(カテーテルチューブなどの接着剤としての用途が見出されている)から選択することもできる。
【0116】
好ましい組成物は、ポリジオルガノシロキサンポリマー(i)および/または(ii)および/またはそれらのそれぞれの前記ポリマーとの組合せを含む。ポリマーがポリジオルガノシロキサンポリマー(i)および(ii)を含むか本質的にはそれらからなる組成物は、例えば、低毒性が有利である応用分野、好ましくは医療もしくは歯科の応用分野、または低毒性もしくは好ましい生体適合性を必要とする非医療もしくは非歯科の応用分野で特定の利点を有する。
【0117】
代わりにまたは付加的に、ポリマー(i)および(ii)は、市販されている(Silpuran 2445A/Bなど)か、前に規定したような粘度、硬化時間、タック、および任意選択のその他の特性に関して最適化されたその変形体である。
【0118】
ポリマー(i)および(ii)は、ポリマー鎖の長さに沿って位置し、かつ/またはポリマー鎖の末端キャッピング単位もしくはこれらの組合せとしての、それぞれのアルケニル含有単位、および有機水素シロキサン単位を含むことができる。ポリマー(i)の鎖および末端キャッピング中のアルケニル単位は、好ましくは、任意選択で置換され、あるいは1つまたは複数のアリール基または部分を含むC2〜20アルケニルから選択されるアルケニル基または部分RAlkを含む。RAlkは、末端または非末端不飽和を含むことができ、式(i-I):
(i-I) -RAlk1-CRAlk1=CRAlk22
(式中、基RAlk1およびRAlk2は、独立に、H、C1〜20アルキル、C5〜20アリール基、およびこれらの組合せから選択され、部分RAlk1は、単結合、C1〜20アルキル、C5〜20アリール基、およびこれらの組合せから選択される。RAlk2の一方は、ポリマー鎖に連結している部分でよい。より好ましくは、各RAlkは、独立に、ビニル、アリル、プロペニルから、末端および非末端不飽和のブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、およびデセニル基から選択され、最も好ましくはビニルおよびヘキセニル基から選択される)でよい。
【0119】
好ましくは、ポリマー(i)は、式(i-II):
(i-II) ≡Si-RAlk、より詳細には式(i-III)および/または(i-IV):
(i-III) -O-SiR1RAlk-O-
(i-IV) -O-SiR12RAlk
(式中、RAlkは、前に定義した通りであり、1つまたは複数の基R1は、アルキルおよびアリール基、より好ましくはC1〜20アルキル、C5〜20アリール基、およびこれらの組合せから、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、および/またはデシル基または部分から好適には独立に選択される有機基である)のアルケニル含有単位を含むポリジオルガノシロキサンポリマーまたはコポリマーを含む。
【0120】
より詳細には、ポリマー(i)は、式(i-V)および(i-VI):
(i-V) Pi-O-SiR1RAlk-O-Pi
(i-VI) Pi-O-SiR12RAlk
(式中、Piは、同一または異なる単位を組み込むことのできるポリマー鎖の残部を意味し、R1は前に定義した通りである)から選択される。
【0121】
ポリマー(i)は、また、1分子当たりケイ素に結合された少なくとも2つのC2〜C6アルケニル基を示し、かつ例えば10〜300000mPa・s、すなわち0.01〜300Pa・sの粘度を有するポリオルガノシロキサンを含むことができ、結果として、パートA中でパートAのさらなる成分と、および任意選択でさらにパートB中でパートBのさらなる成分と組み合わされた場合に、該当するなら、パートAおよびパートBは、前に規定したような範囲の粘度を有し、詳細には、次式の少なくとも2種のシロキシル単位から形成できる:
【0122】
【化1】
【0123】
(式中、
・YはC2〜C6アルケニル、例えば、ビニル、アリル、またはヘキセニル基、好ましくはビニル基であり、
・Rは、触媒の活性に望ましくない効果を及ぼさない一価の炭化水素基であり、一般には、1〜8個(両端を含む)の炭素原子を有するアルキル基(メチル、エチル、プロピルおよび3,3,3-トリフルオロプロピル基など)、シクロアルキル基(シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチル基など)、およびアリール基(キシリル、トリルおよびフェニルなど)から選択され、
・dは、1または2であり、eは、0、1または2であり、かつd+e=1、2または3である)、
任意選択で、すべてのその他の単位は、次の平均式からなる単位である:
【0124】
【化2】
【0125】
(式中、Rは、前と同様の意味を有し、f=0、1、2または3である)。
【0126】
ポリマー(i)の例には、例えば、ジメチルビニルシリル末端を含むジメチルポリシロキサン、トリメチルシリル末端を含む(メチルビニル)(ジメチル)ポリシロキサンコポリマー、またはジメチルビニルシリル末端を含む(メチルビニル)(ジメチル)ポリシロキサンコポリマーがある。
【0127】
ここでは、ケイ素に結合されている酸素原子の数によりシリコーン単位を示すのに当技術分野で受け入れられている慣習を利用する。この慣習は、この酸素原子の数を示すのに、文字M、D、TおよびQ(「mono」、「di」、「tri」および「quatro」の省略形)を使用する。シリコーンのこの命名法は、例えば、Walter Nollによる著作「Chemistry and Technology of Silicones」、Academic Press、1968年、第2版、1〜9頁に記載されている。
【0128】
ポリマー(i)は、また、少なくとも2つのアルケニル、好ましくはビニル基を所持するシリコーン樹脂でよい。このようなシリコーン樹脂は、式R3SiO1/2のMシロキサン単位、式R2SiO2/2のDシロキサン単位、式RSiO3/2のTシロキサン単位、および式SiO4/2のQシロキサン単位のそれらから選択される少なくとも2種の異なるシロキサン単位を含み、ここで、Rは、これらのシロキサン単位の少なくとも1種がTまたはQシロキサン単位であり、かつM、DおよびTシロキサン単位の少なくとも2種がアルケニル基を含むとの条件で、一価の炭化水素基を意味する。
【0129】
シリコーン樹脂は、
・(a)式R'SiO3/2の三価シロキサン単位TVi
(b)式R3SiO1/2の一価シロキサン単位M、および
(c)式SiO4/2の四価シロキサン単位Qから本質的にはなる、式MTViQのオルガノポリシロキサン樹脂;
・(a)式RR'SiO2/2の二価シロキサン単位DVi
(b)式R3SiO1/2の一価シロキサン単位M、および
(c)式SiO4/2の四価シロキサン単位Qから本質的にはなる、式MDViQのオルガノポリシロキサン樹脂;
・(a)式RR'SiO2/2の二価シロキサン単位DVi
(b)式R2SiO2/2の二価シロキサン単位D、
(b)式R3SiO1/2の一価シロキサン単位M、および
(c)式SiO4/2の四価シロキサン単位Qから本質的にはなる、式MDDViQのオルガノポリシロキサン樹脂;
・(a)式R'R2SiO1/2の一価シロキサン単位MVi、および
・(b)式SiO4/2の四価シロキサン単位Qから本質的にはなる、式MViQのオルガノポリシロキサン樹脂;ならびに
・(a)式R'R2SiO1/2の一価シロキサン単位MVi
(b)式R'SiO3/2の三価シロキサン単位TVi、および
(c)式SiO4/2の四価シロキサン単位Qから本質的にはなる、式MViTViQのオルガノポリシロキサン樹脂;(式中、Rは、メチルなどの一価の炭化水素基を意味し、R'はビニル基を意味する)からなる群から選択することができる。
【0130】
このような樹脂は、市販されている周知の分枝状オルガノポリシロキサンオリゴマーまたはポリマーである。それらは、溶液、好ましくはシロキサン溶液の形態で提供される。
【0131】
ポリマー(ii)の鎖および末端キャッピング中のポリ有機水素シロキサン単位は、好ましくは、式ii-I(-O-SiR2H-O-)および式ii-II(-O-SiR22H)から選択され、より好ましくは、ポリマー(ii)は、式ii-III(Pii-O-SiR2H-O-Pii)および式ii-IV(Pii-O-SiR22H)から選択され、ここで、Piiは、同一または異なる単位を組み込むことのできるポリマー鎖の残部を意味し、1つまたは複数の基R2は、C1〜20アルキル、C5〜20アリールおよびこれらの組合せ、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルおよび/またはデシル基から好適には独立に選択される有機基である。
【0132】
ポリマー(ii)は、好ましくは、1種または複数の単位ii-I(-O-SiR2H-O-)および/または単位ii-II(-O-SiR22H)、ならびに1種または複数の単位ii-V(-O-SiR22-O-)および/または単位ii-VI(-O-SiR23)を組み込んだポリ有機水素シロキサン-ポリジオルガノシロキサンコポリマー(ここで、R2は、前に定義した通りである)を、より好ましくは、ポリ有機水素シロキサン末端キャッピング単位を組み込んだコポリマーを含み、すなわち、ポリマー鎖は、基または部分ii-VII(≡Si-H)で、より好ましくは前に定義した通りの式ii-II(-O-SiR22H)の単位で終結している。最も好ましくは、ポリマー(ii)は、メチル水素シロキサン-ジメチルシロキサンコポリマーを含む。
【0133】
ポリマー(ii)は、また、1分子当たりケイ素に結合した少なくとも2つの水素原子、および好ましくは少なくとも3つの≡SiH単位を示し、かつ例えば1〜5000mPa・sすなわち0.001〜5Pa・s、300Pa・sまでの前に規定したような粘度を有するポリオルガノシロキサンを含み、その結果、部分B中で部分Bのさらなる成分と組み合わせた場合に、部分Bは、前に規定したような範囲の粘度を有し、とりわけ、次式のシロキシル単位から形成することができる:
【0134】
【化3】
【0135】
(式中、
・Xは、触媒の活性に好ましくない影響を及ぼさない一価の炭化水素基であり、一般には、1〜8個(両端を含む)の炭素原子を有するアルキル基(メチル、エチル、プロピルおよび3,3,3-トリフルオロプロピル基など)、シクロアルキル基(シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチル基など)、およびアリール基(キシリル、トリルおよびフェニルなど)から選択され、
・gは、1または2、好ましくは1であり、iは、0、1または2であり、かつg+i=1、2または3であり、任意選択で、すべてのその他の単位は、次の平均式からなる単位である:
【0136】
【化4】
【0137】
(式中、Xは、前記と同様の意味を有し、jは0、1、2または3である)。
【0138】
ポリマー(ii)の例が、ポリメチルヒドロシロキサンまたはメチルヒドロジメチルシロキサンコポリマーである。
【0139】
ポリマーがi-III、i-IV、ii-Iおよびii-IIに加えて例えばその他の単位を含む場合、これらは、適切には、外界温度でまたは滅菌条件下でそれぞれのポリマーと反応性でない。
【0140】
適切には、(ii)によって提供されるケイ素結合水素原子と(i)によって提供されるケイ素結合アルケニル部分との比率は、少なくとも0.5:1、好ましくは1:1である。
【0141】
好ましくは、硬化性組成物の実施形態は、次のスキーム:
Pi-RAlk1-CRAlk1=CRAlk22+Pii-SiHR2R2/P→[触媒]→Pi-RAlk1-CHRAlk1CRAlk22-SiR2R2/PPii
より好ましくは、
【0142】
【化5】
【0143】
(式中、整数は前に定義した通りであり、R1/Pは、前に定義した通りのPiおよびR1から選択され、R2/Pは、前に定義した通りのPiiおよびR2から選択される)による付加硬化触媒反応に従う。
【0144】
ポリマー(i)、ポリマー(ii)および触媒(iii)は、少なくとも1つのパートAおよび少なくとも1つのパートB中に、隔離状態で、外界温度でも熱または放射線などの滅菌条件下でも反応性のないそれぞれのパートAおよびパートBを提供する方式で配分される。配分は、また、容積および粘度を考慮して決定することができる。
【0145】
好ましくは、ポリマー(i)、ポリマー(ii)および触媒(iii)は、少なくとも1つのパートAおよび少なくとも1つのパートB中に、ポリマー(ii)がパートAには存在せず、ポリマー(i)がパートBには存在しない、またはパートBが、モル比:(Si-H単位または部分)/(アルケニル単位または部分)で表して2000以上の痕跡量のポリマー(i)を組み込むような方式で配分される。このような組成物は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる例えばWO2012/069794中に開示のように、有効線量のγ線または放射線で滅菌することができる。
【0146】
少なくとも1つのパートAおよび少なくとも1つのパートBは、実質上等しい容積および粘度あるいは異なる容積および/または粘度を有することができる。パートAまたはパートBは、容積および/または粘度を増加または低下させるような量の適切な粘度調整剤または希釈剤を組み込むことができる。この手段によって、異なる容積および粘度を有するパートAおよびパートBは、混合および施用の容易さおよび完全性を改善するために容積および粘度を調和させることができる。増粘または減粘に適した希釈剤は、例えば、任意の所望粘度で入手可能なシリコーンオイルである。代わりにまたは付加的に、少なくとも1つのパートAおよび少なくとも1つのパートBは、その内容が参照により本明細書に組み込まれる例えばWO2012/069793中に開示のように、121℃以上に高められた温度で28時間まで熱的に安定であるそれぞれの容器中に、またはそれぞれの支持体上に密閉される。
【0147】
それによって、その一次包装中で滅菌することによって、組成物を、最終的に無菌にすることができ、この特性は、無菌性保証レベル(SAL)によって特徴付けることができる。SALは、ISO 11139:2006中で、滅菌後に品目上に発生する単一の生存可能微生物の確率として定義される。用語「SAL」は、10-n(典型的にはn=3、4、5または6)の形式の定量値を取り、好ましくはSAL=10-3または10-6である。
【0148】
前に定義したような触媒は、前に定義したような、より好ましくは前に図示したような付加硬化反応を触媒するのに有効な任意の触媒でよい。適切な触媒は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、例えばUS5,153,231、US2006/0217016、US3,928,629およびUS4,529,553中に開示されているような、任意の既知形態の白金、ロジウム、パラジウム、ニッケルなどの付加硬化ヒドロシリル化触媒から選択される。
【0149】
白金触媒は、白金黒;シリカ(シリカゲルなど)、炭素(粉末木炭など)をはじめとする担体上に沈積されたような白金;塩化白金またはクロロ白金酸およびそのアルコール溶液;白金酸およびクロロ白金酸の塩;および白金錯体(白金/オレフィン、白金/アルケニルシロキサン、白金/β-ジケトン、白金/ホスフィンなど)から選択することができる。クロロ白金酸は、六水和物または無水形態でよい。白金錯体は、クロロ白金酸およびその六水和物から、または塩化白金、二塩化白金、四塩化白金、およびそれらのジビニルテトラメチルジシロキサンとの中和化錯体から、任意選択でジメチルビニルシロキシで末端キャップされたポリジメチルシロキサンで希釈して調製することができる。
【0150】
パラジウム触媒は、パラジウム/炭素、塩化パラジウムなどから選択することができる。
【0151】
ロジウム触媒は、塩化ロジウム、および一般式iii-I(RhX3(SR2)3)またはiii-II(Rh2(CO)4X2)を有する1種または複数のロジウム錯体から選択することができ、ここで、各Xは、ハロゲン原子を表し、各Rは、1〜8個(両端を含む)の炭素原子を有するアルキルもしくはアリール基またはこれらの組合せ、あるいはR'3SiQ基(Qは、1〜6個(両端を含む)の炭素原子を有する二価の脂肪族炭化水素基を表し、R'は、1〜8個(両端を含む)の炭素原子を有するアルキルもしくはアリール基またはこれらの組合せ)、あるいは(CH3)Si-基を表し、1分子当たり1つを超えないR'は、(CH3)3Si-である。例えば、塩化ロジウム/ジ(n-ブチル)スルフィド錯体などである。
【0152】
ニッケル触媒は、好ましくは、ビス(1,5-シクロオクタジエニル)ニッケル(Ni(COD)2)などのM2Ni(0)から、およびMNi(0)Gから選択されるゼロ価ニッケルであり、ここで、Mは、C8〜12の二座アルケン環式炭化水素環であり、Gは、水素原子、リン基のリン原子に結合された置換または非置換の炭化水素基、またはこれらの混合物を有する単座および二座のリン基から選択される。
【0153】
組成物は、触媒阻害剤を含むことができる。適切な阻害剤は、当技術分野で公知である。例えば、触媒阻害剤は、Cavi-Care、またはその内容が参照により本明細書に組み込まれるUS5,153,231中に開示されているように、ポリメチルビニルシロキサン環状化合物およびアセチレン性アルコール(メチルブチノールなど)から選択することができる。
【0154】
好ましくは、組成物は、例えば下記の化合物から選択される付加反応遅延剤または架橋阻害剤を含む:
・任意選択で環状形態でもよい少なくとも1つのアルケニルで置換されたポリオルガノシロキサン(テトラメチルビニルテトラシロキサンがとりわけ好ましい)、
・有機ホスフィンおよびホスファイト、
・不飽和アミド、
・マレイン酸アルキル、および
・アセチレン性アルコール。
【0155】
これらのアセチレン性アルコール(FA-A-1 528 464およびFR-A-2 372 874参照)は、ヒドロシリル化反応の好ましい熱的ブロッカーに属し、式:
(R')(R'')C(OH)-C≡CH
を有し、式中、
・R'は、直鎖もしくは分枝のアルキル基、またはフェニル基であり、
・R''は、H、直鎖もしくは分枝のアルキル基、またはフェニル基であり(基R'、R''および三重結合に対してα位の炭素原子は環を形成することもできる)、
・R'およびR''中に含まれる炭素原子の総数は、少なくとも5、好ましくは9〜20である。
【0156】
挙げることのできる例には、次の化合物が含まれる:
・1-エチニル-1-シクロヘキサノール
・3-メチル-1-ドデシン-3-オール
・3,7,11-トリメチル-1-ドデシン-3-オール
・1,1-ジフェニル-2-プロピン-1-オール
・3-エチル-6-エチル-1-ノニン-3-オール
・2-メチル-3-ブチン-2-オール
・3-メチル-1-ペンタデシン-3-オール。
【0157】
これらのα-アセチレン性アルコールは、市販製品である。このような遅延剤は、シリコーン組成物中のポリオルガノシロキサンの総重量に対して最大で3000ppmの比率で存在する。メチルブチノールを、Cavi-Care中でのように選択することができる。
【0158】
組成物は、非発泡性でもよいし、硬化反応中の一部としてまたは硬化反応中に気体または蒸気を放出する任意の薬剤から選択される発泡剤(iv)を含めた発泡性でもよく、発泡剤は、例えば、下記のような、H-供与体、OH含有薬剤、水素結合形成剤から選択される:
・メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、n-ヘキサノール、n-オクタノール、およびベンジルアルコールをはじめとするアルコール(n-プロパノール、n-ブタノール、n-ヘキサノールおよびn-オクタノールがとりわけ好ましい)、
・ポリオール、例えば4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオールおよび1,7ヘプタンジオールをはじめとするジオール、
・少なくとも1つのシラノール基を有するシランまたはポリシラン、または
・水。
【0159】
組成物は、ヒドロシリル化の後に、発泡できるか、ゲル特性を有するシリコーンエラストマーを形成する。用語「シリコーンゲル」は、例えば2〜50mmの針入度(ASTM D2137の針入度測定法で測定して、ロッドおよびコーンの重量:62.5g)で特徴付けられる架橋シリコーン製品を意味する。
【0160】
シリコーンゲルのための組成物を調製する場合、該組成物は、次の単位を含む少なくとも1種の非官能化ポリオルガノシロキサンを有することができる:
a) M=(R6)3SiO1/2型の末端シロキシル単位(ここで、R6基は、同一または異なって、任意選択で置換されている直鎖または分枝のC1〜C6アルキル基および/または置換もしくは非置換アリール基に該当する)
b) D=(R7)2SiO2/2型の同一または異なるシロキシル単位(ここで、R7基は、R6と同様の定義に該当する)。
【0161】
これらのゲルの物理的特性は、Si-アルケニルおよびSiH官能基を所持するシロキシル単位のレベルを変えることによって、かつ存在するなら当従来技術分野で周知の非官能化ポリオルガノシロキサンの重量比率を変えることによって、用途に応じて調整される。
【0162】
シリコーンゲルの粘着特性を高めるために、組成物は、さらに、1分子当たり1つのSi-アルケニル基を所持する、欧州特許出願EP-1633830-A2により教示されているような単官能性ポリオルガノシロキサンを含むことができる。
【0163】
さらに、組成物は、強化用または増量用フィラーなどの無機フィラーを含むこともできる。これらのフィラーは、非常に微細に粉砕された製品の形態で提供することができ、その平均粒子直径は、0.1μm未満である。これらのフィラーとしては、とりわけ、フュームドシリカおよび沈降シリカが挙げられ、それらの比表面積は、一般に10m2/gを超え、一般には20〜300m2/gの範囲内にある。
【0164】
これらのフィラーは、平均粒子直径が0.1μmを超えるより粗く粉砕された製品の形態で提供することもできる。このようなフィラーの例としては、とりわけ、摩砕石英、炭酸カルシウム、珪藻土系シリカ、焼成粘土、ルチル型酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、種々の形態のアルミナ(水和または非水和型)、窒化ホウ素、リトポン、またはメタホウ酸バリウムを挙げることができ、それらの比表面積は、一般に、30m2/g未満である。
【0165】
フィラーは、例えば、適切なシラン、短鎖シロキサン、脂肪酸、または樹脂系シリコーン材料で該フィラーを処理することによって得ることのできる疎水性表面を有することができる。ヘキサメチルジシラザンで処理されたフュームドシリカを考慮に入れることができ、あるいは、半透明性が維持される場合、ビニル「Q」強化樹脂を使用できる。フィラーは、疎水性でよい。フィラーの表面を疎水性にするのに適した材料および方法は、文献中に記載されており、当業者にとって公知である。フィラーは、粒径が異なるいくつかの種類のフィラーの混合物から構成することもできる。
【0166】
組成物は、チキソトロープ剤を含むことができる。チキソトロープ剤は、塗布中に該組成物が粘着性になり、かつ塗布後にもはや動かされない場合により高い粘度に戻る特性を、組成物に付与する。チキソトロープ剤としては、シリカなどのフィラー、および特定シリコーンをベースにした物質が挙げられる。
【0167】
組成物は、さらなる成分、例えば、その他の補助剤、没食子酸プロピルなどの保存剤、伸展剤、レオロジー調節剤、粘着促進剤、または粘着抑制剤、組成物を塗布された皮膚の浸軟を防止するための水蒸気透過性(MVP)または水蒸気透過速度(MVTR)増強剤(それによって、皮膚は、蒸散を行い、液体を通すが、なおシーラントおよび細菌障壁などとして機能することができる)を含むことができる。適切には、このようなさらなる成分は、組成物に対して前に規定したような特性を付与する。
【0168】
有利には、例えば、組成物は、前に規定したような皮膚湿潤化特性を含み、それによって、効果的なシールを提供し、皮膚と創傷用ドレッシングとの間に生じたマイクロチャネルを閉鎖することができる。
【0169】
組成物は、前に規定したような伸長性を有する。所望の伸長性は、当技術分野で知られているように、ポリマーの架橋性または鎖長、フィラー含有量、鎖の絡み合いなどを適合させることによって付与される。
【0170】
組成物は、意図した目的のための任意の所望の活性を有することのできる活性薬剤を含むことができ、有効医薬成分(API)などを含むことができる。
【0171】
抗微生物剤、殺生物剤および消毒剤は、銀、特にナノ結晶性銀、および誘導体(例えば、銀錯体、および塩、例えば、イオン性銀、銀ゼオライト、酸化銀、硝酸銀、酢酸銀、塩化銀、銀スルファジアジン)、ビグアニド(例えばポリヘキサメチレンビグアニド)、グルコン酸クロルヘキシジンおよびその酢酸塩、クロルヘキシジン酢酸塩および二酢酸塩、マヌカ蜂蜜、過酸化物(例えば、過酸化水素)、ヨウ素(例えば、ポビドンヨウ素)、次亜塩素酸ナトリウム、銅、銅錯体、亜鉛(例えば、酸化亜鉛、亜鉛ピリチオン)、金、金錯体、リン酸塩、アミン、アミド、およびスルホンアミド(例えば、ヘキサチジン、プロフラビン、マフェニド、ニトロフラゾン、ノルフロキサシン)、抗生物質(例えば、ゲンタマイシン、バシトラシン、リファンピシン)、アルコールおよび酸(例えば、エタノール、フェノキシエタノール、ムピロシン)から選択することができる。
【0172】
栄養剤、鎮痛剤およびその他の疼痛管理技術は、適切には、鎮痛薬及び麻酔薬を含み、アメトカイン、リグノカイン、非ステロイド性抗炎症薬、ヒドロコルチゾンなどの抗炎症薬、皮膚への粘着を低減するためのパラフィン、皮膚の脱水を低減するための尿素、皮膚の治癒を促進するための緩衝成分から選択される。
【0173】
止血剤は、キチン、キトサン、カオリン;アミノ酸、アミノカプロン酸、トラネキサム酸、アミノメチル安息香酸などの抗線維素溶解剤;プロテイナーゼ阻害剤(アプロチニン、α1-アンチトリプシン、C1-阻害剤、カモスタットなど)、ビタミンKおよびその他の止血剤(ビタミンK、フィトメナジオン、メナジオンなど);フィブリノゲン(ヒトフィブリノゲンなど);局所止血剤(吸収性ゼラチンスポンジ、酸化セルロース、テトラガラクツロン酸ヒドロキシメチルエステル、アドレナロン、トロンビン、コラーゲン、アルギン酸カルシウム、エピネフリンなど);血液凝固因子(凝固因子IX、II、VIIおよびXの組合せ、凝固因子VIII、VIII阻害剤バイパス活性、凝固因子IX、凝固因子VII、フォン・ウィルブランド因子および凝固因子VIIIの組合せ、凝固因子XIII、エプタコグα(活性型)、ノナコグα、トロンビンなど);および全身性止血剤(エタムシレート、カルバゾクロム、バトロキソビン、ロミプロスチム、エルトロンボパグ)から選択できる。
【0174】
活性薬剤としては、さらに、超吸収剤、臭気管理剤、織布または不織布、ゲル化可能な繊維を含む組合せ材料;増殖因子、創傷清浄化剤(機械的、自己融解および酵素的);細胞内殖に影響を及ぼす再吸収性ドレッシングおよびミクロ構造材;細胞、組織(例えば、自家移植治療);指示薬;染料および着色剤および呈色指示薬、酸化亜鉛および酸化チタンなどの白色化剤を挙げることができる。
【0175】
組成物は、それを、皮膚またはドレッシングに、パレットナイフ、シリンジ、ロールオンアプリケーター、噴霧、擦りつけ、ブラシ、発泡体、スポンジ、不織布などによる任意の既知方式で塗布できる形態でよく、ドレッシングに部分的または完全に一体化されて、または手で塗布することができる。スポンジを使用するアプリケーターが、Chloraprep、すなわちhttp://www.chloraprep.co.ukで示されている。混合を必要とする二パート型硬化系の場合、ミキシングヘッドを備えた二重筒シリンジを採用できる。
【0176】
したがって、好ましくは、組成物は、連携施用デバイスから連携して施すのに適したそれぞれの容器中または支持体上に密閉された、好ましくは二重筒シリンジのためのそれぞれの筒またはそれぞれのカセット中に密閉された少なくとも1つのパートAおよび少なくとも1つのパートBとして提供され、より好ましくは連携施用デバイスと一緒に提供される。
【0177】
より好ましくは、ミキシングヘッドおよび材料の伸展を可能にするスプレッダーチップを備えた二重筒シリンジを使用することができる(例えば、スタティックミキサーおよびスプレッダーチップを取り付けた事前充填式二重シリンジ送達システム(L-システム)、Medmix Systems Ag、http://www.medmix.ch/L-SYSTEM.html)。
【0178】
特定の実施形態では、一体型スプレッダーを備えたアプリケーターを使用することに明らかな利点が存在する。材料を皮膚とドレッシング外縁との間の接合部に直接的に塗布する場合、この材料を、最適な配置を確保にするように取り扱うことが好都合である。一体型スプレッダーは、シーラントを取り扱う際の相互汚染を最小にする。取り扱い中の相互汚染は、シーラントの汚染微生物による汚染、シーラントの外来物による汚染、シーラントの化学物質による汚染(このような化学物質はシーラントに対して影響を及ぼす可能性がある)、および職員または器具のシーラントによる汚染に関係する可能性がある。他の実施形態では、例えば身体の凹部を充填する場合などに、スプレッダーのないアプリケーターを使用することに利点が存在する。
【0179】
組成物が硬化システムである場合、化学汚染は、硬化過程に有害な影響を及ぼす可能性がある。例えば、組成物が、白金で触媒されるRTV-2シリコーンである場合、ラテックスまたはニトリルを含有する手袋との接触は、硬化に影響を及ぼす可能性がある。示した例により引き起こされる問題は、特定の種類の手袋で混ぜた場合の、ポリビニルシロキサン歯科用印象材料の硬化遅延に関して、歯科雑誌中に記録されている(Y. Walid、Z. Al-AniおよびR. Gray、Silicone impression materials and latex gloves. Is interaction fact or fallacy ?、Dent Update、2012、39、pp.39〜42)。
【0180】
したがって、医療上の硬化において、スプレッダーを備えた一体型アプリケーターは、臨床医が、シーラントを取り扱うのに手袋をした(手袋の化学組成物にさらされた)指を使用できないという障害を克服し、手袋をしない指を使用する可能性を克服し、かくして手を直接患者と接触させること(この取り組みは、ほとんどの臨床的硬化にとって不適切であるだけではなく硬化性組成物が臨床医の指先に移行する結果をもたらす可能性が高い)を排除し、かつ任意のその他の医療用デバイスまたは用具を硬化性組成物で汚染するという必要性を克服する。
【0181】
硬化システムの場合、シーラントは、それを陰圧によって欠陥部分に引き込み、次いで硬化することができるような流動特性を有することができる。硬化したシーラントは、好ましくは、それが皮膚上で遭遇する動的状態に適応することができるような、ある程度の流動または順応性を持ち続ける。
【0182】
硬化した組成物の除去特性が、考慮すべきさらなる問題である。好ましくは、それは、実質上一体となって除去されるのを可能にする特性を有するべきである。好ましくは、シーラントを、ドレッシングまたはドレープに粘着させて除去できる。
【0183】
シーラントは、非発泡性でよく、あるいは凹部または皮膚もしくはドレッシングの欠陥部分に拡がるための、ある程度の発泡性または膨張性を有してもよい。シーラントは、それが陰圧によって欠陥部分に引き込まれるような流動特性を有することができる。
【0184】
装着中の特性は、シールの有効性にとっての鍵である。皮膚とドレッシングとの境界面に配置されたシーラントは、皮膚とドレッシングに固着しなければならないが、一旦硬化したら、衣類に優先的に固着するほどべたべた(接着性)であってはならない、すなわち、シーラントは、皮膚に優先して、さらには衣類およびその他の無関係な品目に優先してドレッシングに固着しなければならない。シーラントは、耐シャワー性でなければならない。
【0185】
とりわけ有利には、シーラントは、漏洩部の位置選定および塞栓を可能にするため、または以前に硬化したシーラント周辺の皮膚およびドレッシングに粘着するために、硬化すると以前に硬化したシーラントに粘着するように構成される。
【0186】
好ましくは、シーラントは、流体を通さず、好ましくは空気を通さないシールを作り出し、強化するTNPシーラントである。
【0187】
一実施形態において、組成物は、前に規定したような粘度および硬化性を有するように任意選択で変性されていてもよい、Silpuran(登録商標)2445(Wacker)などのRTV-2シリコーンを含む。粘度および硬化性の改変は、当技術分野で知られている通りであり、適切には、例えばフュームドシリカなどのフィラー、任意選択で半透明のフィラーまたは樹脂、または前に規定したような強化樹脂を組み込むことによって、前に規定した粘度を達成すること、あるいはパートAおよびパートBを混合し、塗布する前に、前に規定した粘度まで事前反応させることを可能にすることである。硬化速度を増大させることは、当技術分野で知られているように、例えば、触媒量を増加させること、または存在するなら触媒阻害剤の量を低減することである。伸長性は、前に記載のように、添加剤を使用して、またはポリマーまたはそれらの反応性部位を改変することによって増大させることができる。
【0188】
前に規定したようなドレッシングは、任意の創傷用ドレッシングでよく、好ましくは、創傷に接触するSi表面を有する創傷用ドレッシングであり、より好ましくは、またTNPドレッシングを採用することができ、前に規定したような外周領域を含むように任意選択で改変されていてもよい。既知のTNPドレッシングとしては、TNP用のSmith & Nephew使い捨てキット(例えばSmith & Nephew、RENASYS-F/AB)、腹部ドレッシングキット(Smith & Nephew、RENASYS-F/P)、ポート付発泡体ドレッシングキット(Smith & Nephew、RENASYS-G)、ガーゼドレッシングキット(Smith & Nephew、PICO(商標)ドレッシングキット)、およびTNP用KCIキット(例えば、V.A.C.(商標)GranuFoamドレッシングキット)などが挙げられる。陰圧を用いて創傷を治療するさらなるドレッシングおよび方法は、参照により本明細書に組み込まれる次の出願中に開示されている:すなわち、2011年12月30日に出願の米国特許出願第13/381885号(US2012/0116334として公開);2010年9月20日に出願の米国特許出願第12/886088号(US2011/0213287として公開);2011年4月21日に出願の米国特許出願第13/092042号(US2011/0282309として公開);2010年9月20日に出願の米国特許出願第12/744277号(US2011/0028918として公開);および2010年9月20日に出願の米国特許出願第12/744218号(US2011/0054421として公開)、さらにWO2011/000622、WO2011/000621、WO2011/135285、WO2011/135286、US7964766、およびUS7615036(すべてSmith & Nephew)であり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0189】
従来のTNPドレッシングは、その上に配置されるドレープと共に貼付され、その第2の面は空気を通さない。このようなドレッシングは、さらに、前に規定したように、組織(創傷)接触層、陰圧分配層、および任意選択の創傷滲出液吸収層を含むことができる。PICO(商標)ドレッシングは、一体型の空気を通さない表面を組み込んでおり、ドレープ材料からなるいくつかの粘着性ストリップと一緒になって供給される。前に規定したような器具は、任意選択でこのようなストリップを省くことができる。前に規定したようなシーラントは、任意選択で、粘着性ストリップのないPICO(商標)ドレッシングに塗布することができる。
【0190】
好ましくは、このようなドレッシングは、創傷および/または組織に接触するシリコーン含有層、および創傷部位にNPWTを適用した場合に瘢痕組織の形成を阻害するのに十分な量および比率の好ましくはシリコーンを含む開放エリアを含み、かつ開放エリアは創傷接触層の全面積の約20%以下を構成するような特徴によって特徴付けられる。
【0191】
とりわけ有利なことに、ドレッシングは、創傷に陰圧を印加するための器具のパートであり、創傷を覆って配置され、創傷の上に実質上流体不透過性のシールを作り出すように構成されたドレッシング;ドレッシングに連結されるように構成された陰圧源;および陰圧源を作動させ、陰圧源の複数のデューティサイクルを複数の連続し同等の持続時間にわたって監視し、かつ複数のデューティサイクルの1つのデューティサイクルがデューティサイクルの閾値を超えるかどうかを判定するように構成された制御装置を備える。
【0192】
シーラントは、ドレッシングに、その皮膚および/または創傷に接触する表面の任意の一部、縁端領域および/またはその上部表面またはその一部で優先的に粘着する。ドレッシングは、例えば、縁端領域を備えることができ、ここで、シーラントは、該縁端領域に優先的に粘着する。皮膚に接触する表面は、創傷部位に対して内側に塗布されることになる創傷カバーまたはドレッシングの第1の面上に準備することができ、創傷カバーおよびドレッシングは、外側に塗布されることになる第2の面を備え、ここで、縁端領域は、創傷カバーの第2の面上に準備される。このような配置は、ビード、任意選択でスムーザーを提供して、ドレッシングと該ドレッシング周辺の皮膚との間の境界(主に皮膚および第2の面を含む)に架かるフィルム状シールを形成することができる。このような配置は、シールに付加的な機械的強度を提供する。
【0193】
別法として、外辺領域は、創傷カバーまたはドレッシングの第1の面上に準備することができる。
【0194】
調製方法
さらなる態様において、前に規定したような組成物の調製は、ポリマー(i)、ポリマー(ii)および触媒(iii)を準備すること、粘度、硬化時間およびタックに関する特性、ならびに任意選択で付加的に前に規定したような弾性特性を付与するための成分を組み込むことを含む。2つ以上のパート中に前に規定したような硬化性組成物を調製するための方法は、当技術分野で公知である。
【0195】
さらなる態様は、請求項1から12のいずれか一項に記載のような硬化性組成物の調製方法であって、該方法は、前に規定したようなポリマー(i)、ポリマー(ii)および触媒(iii)を混合して少なくとも1つのパートAおよび少なくとも1つのパートBを形成するステップ;少なくとも1つのパートAおよび少なくとも1つのパートBを、連携して施すのに、例えば二重筒シリンジから連携して施すのに適したそれぞれの容器中または支持体上に密閉するステップを含む。
【0196】
滅菌方法
さらなる態様は、硬化性組成物を滅菌する方法であって、該方法は、熱的に安定なそれぞれの容器中または支持体上に密閉された少なくとも1つのパートAおよび少なくとも1つのパートBを121℃以上に高められた温度で28時間まで加熱すること、または少なくとも1つのパートAおよび少なくとも1つのパートBを照射することを含み、ここで、ポリマー(i)、ポリマー(ii)および触媒(iii)は、少なくとも1つのパートAおよび少なくとも1つのパートB中に、ポリマー(ii)がパートAに存在せず、かつポリマー(i)がパートBに存在しないか、あるいはパートBが、モル比:(Si-H単位または部分)/(アルケニル単位または部分)として表して2000以上の痕跡量のポリマー(i)を組み込んでいるような方式で配分され、放射線源は、滅菌有効線量のγ線、X線、および電子ビーム放射線からなる群から選択される。
【0197】
器具
さらなる態様は、創傷治療の分野で使用するのに適した器具の形態であり、該器具は、複数の筒および複数のカセットを有する施用デバイス、押出し手段および混合手段を備え、前記の筒およびカセットは、前に規定したような組成物を、パートAおよびパートBをそれぞれの筒またはカセット中に収容するように含み、該デバイスはそれぞれのパートを接触させるための手段を有する。
【0198】
好ましくは、混合手段、接触手段および/または押出し手段は、デバイスと一体化して、またはデバイスから切り離して準備される。混合手段は、静的または動的手段でよい。器具は、パートAおよびパートBを施用される前に混合して、より高い粘度まで部分硬化させるための滞留チャンバーを組み込むことができる。
【0199】
好ましくは、器具は、使い捨て式の一体型の筒およびカセットを備える。
【0200】
好ましくは、組成物を塗布するためのアプリケーターを備えた器具は、組成物を塗布に合わせて設定するための手段を含み、例えば、一体型スプレッダーを具備したアプリケーターを備える。さらなる態様は、創傷部位を覆うために前に規定したようなシーラント組成物と共に使用するための器具の形態であり、該器具は、創傷部位から見て内側に塗布されることになる皮膚および/または創傷に接触する第1の表面、および創傷部位から見て外側に塗布されることになる第2のカバー表面を含み、ここで、領域は、第1の表面および/または第2の表面とそれぞれ異なり、シーラントに対してそれぞれ第1のおよび/または第2の表面の粘着性を超える粘着性を示す、表面またはコーティングを含む第1の表面および/または第2の表面の外周に準備される。第2の表面は、ポリウレタン(高水蒸気透過性)でよい。外周領域は、優先的に粘着するものでよい。
【0201】
例えば、外辺領域は、フィルム表面にハッチングパターン、圧痕、またはランダムなチャネル、または峰および溝を作り出す任意の適切なパターンの形状の微小エンボスを有するエンボス加工されたフィルムでよい。このような峰から溝までの高さは、0.1〜30μm、好ましくは0.1〜20μm、0.5〜15μm、0.5〜10μm、0.1〜5μm、0.5〜5μm、または0.1〜2μmの範囲でよい。このようなエンボス加工は、フィルムを模様を彫ったローラーの間に通すことによって達成することができる。ローラーは、フィルムに鏡像パターンを提供する。その他の技術としては、レーザーエッチング、または外辺領域の表面エネルギーを改変する方法、例えば、外辺領域に提供される材料表面のコロナ処理またはプラズマ処理、あるいはポリマーの表面エネルギーを改変するために当技術分野で一般的に知られている任意の技術、例えば、化学コーティングもしくは酸化剤を挙げることができる。
【0202】
ドレッシングは、その頂面および/または底面に、シーラントのドレッシングへの粘着性が皮膚に対するよりも大きいようにテクスチャー処理された領域を含む外周領域を備えることができる。粘着性は、機械的塞栓(mechanical keying)によって改善され、ドレッシングの縁端領域の表面構造の粗さおよび毛羽立った性質、およびシーラントとドレッシングとの間の接触面積の大きさの関数である。
【0203】
器具は、第1の面の縁端領域またはその近隣にエラストマー性シーラント、好ましくは皮膚湿潤化特性を有する皮膚親和性ガスケットを備えることができる。
【0204】
ドレッシングの皮膚に接触する表面は、粘着性または非粘着性でよく、乾燥型粘着剤、感圧型粘着剤、接触型粘着剤、ホットメルト型粘着剤、多パート型粘着剤、一パート型粘着剤、またはその他の粘着剤から選択することができる。好ましくは、粘着剤は、シリコーンゲル、シリコーン感圧型粘着剤、合成ラテックス、親水コロイド、親水ゲル、ポリウレタン、シアノアクリレート、感圧型粘着剤、アクリル、ホットメルト、または当技術分野で公知の皮膚への接触塗布に使用されるその他の粘着剤から選択される。
【0205】
皮膚と接触する好ましい表面は、アクリル系PSAおよびシリコーンゲル系粘着剤を含む。
【0206】
創傷カバーおよびドレッシングは、シールを支持するのを助けるために可撓性である。ドレッシングは、例えば、従来の先進的創傷用ドレッシング(Allevyn、Allevyn Adhesive、Allevyn Gentle Border、Allevyn Gentle、Allevyn Ag Gentle Border、Allevyn Ag Gentle、Mepilex、Mepilex Borderなど)を包含する、前に規定したような外周領域を含むように改変された既知の創傷カバーまたはドレッシングを含むことができる。
【0207】
また、TNPドレッシングを、前に規定したような外周領域を含むように任意選択で改変して採用することができる。既知のTNPドレッシングとしては、TNP用のSmith & Nephew使い捨てキット(Smith & Nephew、RENASYS-F/ABなど)、腹部ドレッシングキット(Smith & Nephew、RENASYS-F/P)、ポート付発泡体ドレッシングキット(Smith & Nephew、RENASYS-G)、ガーゼドレッシングキット(Smith & Nephew、PICO(商標)ドレッシングキット);およびTNP用KCIキット(例えば、V.A.C.(商標)GranuFoamドレッシングキット)などが挙げられる。陰圧を用いて創傷を治療するさらなるドレッシングおよび方法が、参照により本明細書に組み込まれる以下の出願中に開示されている:すなわち、2011年12月30日に出願の米国特許出願第13/381885号(US2012/0116334として公開);2010年9月20日に出願の米国特許出願第12/886088号(US2011/0213287として公開);2011年4月21日に出願の米国特許出願第13/092042号(US2011/0282309として公開);2010年9月20日に出願の米国特許出願第12/744277号(US2011/0028918として公開);および2010年9月20日に出願の米国特許出願第12/744218号(US2011/0054421として公開)。
【0208】
従来のTNPドレッシングは、その上に配置されるドレープと共に貼付され、その第2の面は空気を通さない。このようなドレッシングは、付加的に、前に規定したような組織(創傷)接触層、陰圧分配層、および創傷滲出液吸収層を備えることができる。PICO(商標)ドレッシングは、一体型の空気を通さない表面を組み込んでおり、ドレープ材料からなるいくつかの粘着性ストリップと一緒に供給される。前に規定したような器具は、任意選択でこのようなストリップを省くことができる。前に規定したようなシーラントは、任意選択で、粘着性ストリップのないPICO(商標)ドレッシングに塗布することができる。
【0209】
皮膚に接触する表面は、皮膚に接触する中央領域(粘着剤を準備した)を含むことができ、外周領域は、皮膚に接触する領域上に準備されるもの以外の粘着剤を含む。
【0210】
必要なら、これらのシステムは、前に規定したような外周領域に適切な皮膚親和性粘着剤を塗布して使用するために構成することができる。
【0211】
キットおよびその構成要素
さらなる態様は、創傷治療の分野で使用するためのキットであり、該キットは創傷およびその周辺の皮膚を覆うためのドレッシングを含み、該ドレッシングは皮膚および/または創傷に接触する第1の表面、および皮膚親和性シーラントを備え:ここで、
a)シーラントは、前に規定したような組成物であるか、
b1)第1の表面は創傷に接触するシリコーン層であり、シーラントは、ドレッシングの少なくとも一部の間の、ドレッシングの外辺とドレッシング周辺の皮膚との間の境界に架かる不連続または連続したシールとして塗布されるように構成され、
b2)第1の表面は、シリコーンであるかシリコーンをベースにしており、シーラントは、ドレッシングの少なくとも一部の間の、ドレッシングの外辺とドレッシングの下にある皮膚との間の境界に架かる不連続または連続したシールとして塗布されるように構成されるか、あるいは
b3)シーラントは、身体トポグラフィーの不規則性に対してドレッシングを貼付するために準備された部位を提供する、フィラーとして準備され、
c)創傷用ドレッシングは、創傷部位から見て内側に塗布されることになる皮膚および/または創傷に接触する第1の表面、および創傷部位から見て外側に塗布されることになる第2のカバー表面を備え、ここで、外周領域は、第1の表面および/または第2の表面とそれぞれ異なり、前に規定したようなシーラントに対してそれぞれ第1のおよび/または第2の表面のシーラントに対する粘着性を超える粘着性を示す表面またはコーティングを含む第1の表面および/または第2の表面の外周に準備される。
【0212】
好ましくは、キットは、創傷およびその周辺の皮膚を覆うためのドレッシング、ならびに皮膚親和性シーラントを含み、ここで、シーラントは前に規定したような組成物であり、ドレッシングは、創傷部位から見て内側に塗布されることになる皮膚および/または創傷に接触する第1の表面、および創傷部位から見て外側に塗布されることになる第2のカバー表面を備え、ここで、第1の表面は、シリコーン表面またはシリコーン含有表面などの皮膚親和性表面である。
【0213】
キットのさらなる特徴は、本明細書で特許を請求する通りである。b)またはc)のためのシーラントは、例えば、第1のパートおよび第2のパートを含む二パート型以上の硬化性組成物、例えば、前に規定したような二パート型組成物、二パート型樹脂などのエポキシ、シアノアクリレート、アクリル、硬化性シリコーンシステム、ポリウレタンまたはポリウレタン硬化システム、官能基に連結したシリコーン鎖で官能化されたポリマーシステム、ポリウレタン硬化性官能基で官能化されたポリマーシステム、または乾燥システムなどの非硬化システム(可撓性固体または揮発性溶媒の存在で流動性を付与されるエラストマー、例えば、パテ、ゲル、親水ゲル、キセロゲル、風乾シリカゲル、水または溶媒ベースのアクリルなどのエラストマー噴霧を含む)などの硬化システムから選択することができる。好ましくは、シーラントは、シリコーンまたはその官能等価体を含む。好ましくは、シーラントは、硬化性シリコーンシステムから選択される。硬化性シリコーンシステムとしては、付加硬化性RTV-2シリコーンシステムが挙げられる。
【0214】
前に規定したようなキット中に含まれる硬化性または非硬化性シーラント組成物は、前に規定したような新規な二パート型以上のシーラント組成物に関するいずれかの特性または特徴を有することができる。好ましくは、シーラント組成物は、皮膚親和性であり、皮膚湿潤化特性を備え、皮膚とドレッシングの境界面に施用すると流体を通さない弾性シールを形成し、該シーラントは、皮膚に優先してドレッシングに粘着するか、皮膚に対するその粘着力に等しいかそれを超える粘着力を有する。
【0215】
適切には、シーラントは、皮膚に優先してドレッシングに粘着する。シーラントは、ドレッシングの任意の面に粘着することができる。上面は、典型的にはPUフィルムである。創傷接触層は、粘着性でも非粘着性でもよい。
【0216】
好ましくは、シーラントは、ドレッシングの皮膚接触層の粘着面に粘着し、皮膚に接触するアクリル系PSAおよびシリコーンゲル粘着剤、ホットメルトSiPSA粘着剤などから選択される。
【0217】
TNP療法キットの場合、シーラントは、空気を通さないシールを作り出すか増強し、創傷カバーは、その第2の面が空気を通さないドレープ、および陰圧源と連通するための吸引ポートを備える。
【0218】
ドレッシングは、前に規定した通りであり、優先的粘着を高めるための外周領域を組み込むことができるか、あるいは、市販の形態でもよく、市販の形態としては、創傷滲出液の管理(Allevyn、Allevyn Adhesive、Allevyn Gentle Border、Allevyn Gentle、Allevyn Ag Gentle Border、Allevyn Ag Gentle、Mepilex、Mepilex Borderなど);感染管理用ドレッシング(ACTICOAT、IODOSORBなど);iv部位治療用ドレッシング(IV3000など);創傷周辺の易感染性皮膚を管理するためのドレッシング;術後外科ドレープ(OPSITEなど);一時的バイオスキンドレッシング(BIOBRANEなど)のための特別の準備を含む前に言及したようなドレッシングなどの従来の先進的創傷用ドレッシングが挙げられ、また、TNPドレッシングを採用することもでき、該TNPドレッシングとしては、Smith & NephewのTNP用使い捨てキット(Smith & Nephew、RENASYS-F/AB)、腹部ドレッシングキット(Smith & Nephew、RENASYS-F/P)、ポート付発泡体ドレッシングキット(Smith & Nephew、RENASYS-G)、ガーゼドレッシングキット(Smith & Nephew、PICO(商標)ドレッシングキット)、およびTNP用KCIキット(V.A.C. (商標)GranuFoamドレッシングキット)などが挙げられる。
【0219】
創傷カバーが組織(創傷)接触層、陰圧分配層、および任意選択の創傷滲出液吸収層を含むさらなる層が一体化されている一体型TNPキットを利用することができ、該創傷カバーは、例えばPICO(商標)ドレッシングのように、任意選択で、創傷滲出液からの蒸散または液体蒸発を可能にする。
【0220】
一部のキットは、真空ポンプを含む。
【0221】
一般的シーラント
キット中のシーラント成分は、創傷部位の少なくとも一部またはその周辺に配置するのに適した施用可能な皮膚親和性組成物を含む、創傷カバーをシールするための、任意の新規シーラント組成物または創傷治療の分野での新規用途のための既知組成物の形態でのさらなる態様であり、ここで、該シーラントは、皮膚湿潤化特性を備え、皮膚とドレッシングとの境界面に施用されると、流体を通さない弾性シールを形成し、該シーラントは、皮膚に優先してドレッシングに粘着するか、皮膚に対するその粘着力と同等以上の粘着力を有する。
【0222】
さらなる態様は、創傷部位の少なくとも一部またはその周辺に施用した場合に、皮膚の凹部などを満たして、ドレッシングを配置するための連続したまたは平らな表面を形成するための皮膚親和性組成物を含む、創傷治療の分野で使用するための既知または新規な組成物の形態である。好ましくは、フィラーは、皮膚湿潤化特性を備え、かつ創傷の周辺または近隣の皮膚に施用した場合に、弾性のある詰め物を形成する。フィラーは、ドレッシングを配置するための連続したまたは平らな表面を形成することができ、ここで、フィラーは、皮膚に優先してドレッシングに粘着するか、皮膚に対するその粘着力と同等以上の粘着力を有する。別法として、フィラーは、近接する創傷の汚染を防止するための生体バリア(bio barrier)として作用することができる。
【0223】
とりわけ有利には、キット、シーラント組成物および/またはドレッシングもしくは創傷カバーは、最終的に、無菌であり得る。乾熱、蒸気、放射線など、器具を滅菌するための技術は公知である。GB 1020005.3、GB 1019997.4およびGB 1104512.7には、最終的に滅菌可能な二パート型組成物、およびそれらの滅菌方法が開示されている。該方法は、熱滅菌および放射線滅菌、詳細にはγ線、電子ビームまたはX線放射線滅菌を包含する。好ましくは、シーラントは、最終的に滅菌可能であるか無菌であり、第1のパートおよび第2のパートを熱的に安定な容器中または支持体上で121℃以上に高められた温度で28時間まで加熱することによって、または第1のパートおよび第2のパートをγ線、X線、電子ビーム放射線からなる群から選択される放射線源を用い、有効な無菌性保証レベルを提供する線量で照射することによって、施用前に滅菌される。
【0224】
さらなる態様は、前に規定したような組成物を施用または放出し、硬化させる方法であり、所望の位置に、硬化温度で硬化時間にわたって施用することを含む。
【0225】
組成物は、手で混合し施用することができる。別法として、任意の形態の施用デバイスを採用することができ、例えば、組成物を、例えば、二重筒シリンジを使用して、例えば二重筒シリンジのそれぞれの筒を作動させることにより、またはそれぞれのカセットに装填し、それによって作動させることにより、連携して施す連携施用デバイスを使用して施用することができる。
【0226】
該方法は、シーラントを押さえつけてトポグラフィーを満たすこと、続いてその上にドレッシングを配置することを含むことができる。
【0227】
さらなる態様は、前に規定したような硬化した組成物を含むエラストマーである。
【0228】
使用方法
さらなる態様は、前に規定したような粘度およびタックを有する組成物を施用する方法であり、該方法は、前に規定したような硬化性組成物(組成物は前に規定したような粘度を有する)のパートAおよびパートBを混合しそれによって硬化を開始すること、ドレッシング外縁および前記外縁周辺の皮膚に同時的に接触させたりそれらを覆ったりするような位置に施すことを含み、前記ドレッシングは、創傷部位およびその周辺の皮膚を覆い、規定されたようなレベルのタックに到達するために規定された時間に相当する時間の後に、弾性シールを形成する。
【0229】
さらなる態様は、創傷治療用ドレッシングをシールする方法であり、該方法は、創傷およびその周辺の皮膚を覆うドレッシングを配置すること、前に規定したような硬化性組成物(組成物は前に規定したような粘度を有する)のパートAおよびパートBを混合しそれによって硬化を開始すること、前記ドレッシングの外縁および前記外縁周辺の皮膚に同時に接触したり覆ったりするような位置に施用することを含み、規定されたようなレベルのタックに到達するために規定された時間に相当する時間の後に、ドレッシングと皮膚との間に弾性シールが形成される。
【0230】
好ましくは、組成物は、前に規定したような連携して施す連携施用デバイスを使用して、例えば、二重筒シリンジを使用して、例えば二重筒シリンジのそれぞれの筒を作動させることにより、またはそれぞれのカセットに装填し、それによって作動させることよって施用され、ここで、好ましくは、シリンジは、施用されるシーラントを構成するための一体型手段、例えば一体型スプレッダーヘッドを組み込んでいる。
【0231】
治療方法
さらなる態様は、それを必要とするヒトまたは動物対象における、ドレッシングのシール方法または創傷部位の治療法であり、該方法は、
創傷部位をドレッシングで被覆すること、
ドレッシングとその周辺の皮膚との間の境界面に、創傷部位の少なくとも一部の周囲に、境界面をシールするような方式で組成物(組成物は前に規定した通りである)を施用すること、を含む。
【0232】
好ましくは、シーラント組成物の施用は、共同施用のための前に規定したようなデバイスによる。
【0233】
好ましくは、該方法は、さらに、組成物を施用する前に、ドレッシングの位置を調整することを含む。
【0234】
好ましくは、シーラントは、創傷部位をドレッシングで被覆した後に施用される。
【0235】
好ましくは、創傷用ドレッシングは、陰圧を保持するように構成され、該方法は、さらに、創傷部位に連結された陰圧源を使用して、創傷部位に陰圧を印加することを含む。
【0236】
好ましくは、陰圧の印加は、シーラントを施用する前に実施される。
【0237】
好ましくは、陰圧の印加は、創傷部位を覆って配置された創傷用ドレッシングと流体連通する携帯可能な陰圧源による。
【0238】
このましくは、該方法は、創傷部位に伝達された陰圧を、発生させた陰圧と対照して監視することを含む。
【0239】
好ましくは、ドレッシングは、ドレープ、機能性創傷治療層、および一体型アタッチメント(陰圧源、好ましくは携帯可能および/または断続式陰圧源のための)を組み込んでいる組合せNPWTドレッシングである。
【0240】
さらなる実施形態は、創傷部位の治療方法に関するものであり、該方法は、
ドレッシングを創傷部位に貼付すること(ここで、該ドレッシングは、創傷部位を取り囲む皮膚と接触して配置されるように構成された外側外周を備える)、および
シーラント組成物をドレッシングの外周に施用すること(ここで、該シーラント組成物は、ドレッシングの外周および外周を取り囲む皮膚の双方と密着して覆って硬化し、急速にゼロまたは低いタックを獲得し、好ましくは急速にタックフリーになる)を含む。
【0241】
好ましくは、シーラント組成物は、外周の1つまたは複数の不連続な点、区画、長さと密着してそれらを覆って硬化する。
好ましくは、シーラント組成物は、外周およびその周辺の皮膚の実質上すべてと密着してそれらを覆って硬化する。
好ましくは、ドレッシングは、その外周に、皮膚接触面と、および皮膚から離れて皮膚の反対側に向けて配置されることになる外面とを含む(ここで、シーラント組成物は、ドレッシングの外面に接触し、その上に重なって硬化する)。
【0242】
好ましくは、シーラントは、32℃で、混合または施用から0.5分〜20分の範囲の時間でタックフリーになる。
好ましくは、該方法は、少なくとも2種のプレポリマーを混合してシーラントを形成することを含む。
好ましくは、シーラントは、前に規定したように指触がそのサンプルを持ち上げられない場合に、タックフリーである。
好ましくは、創傷用パッキン材料は、創傷部位を部分的または完全に満たすように配置される。
好ましくは、ドレッシングは、実質上流体を通さないドレープを含み、陰圧は、陰圧源を使用し、ドレープを通ってまたはドレープの下を潜って創傷部位に印加される。
好ましくは、開口部が、ドレープ中にまたは下を潜って、創傷部位を陰圧源に連結するように作り出される。
好ましくは、ドレッシングは、ドレッシングの少なくとも下側の粘着剤またはドレッシングの少なくとも下側に配置された粘着剤で、創傷部位を覆って粘着される。
シーラントは、ドレッシングを創傷部位に貼付する前に施用することができる。
好ましくは、シーラントは、ドレッシングを創傷部位に貼付した後に施用される。
【0243】
例えば、該方法は、創傷部位を創傷カバーで覆うこと、および創傷部位の少なくとも一部の周囲の皮膚にシーラントを準備することを扱い;該創傷カバーは、シーラントに接触し、創傷を覆って流体を通さないシールを形成し、ここで、該シーラントは、皮膚親和性であり、かつ皮膚湿潤化特性を有し、皮膚とのおよび創傷カバーとの境界面にシールを準備し、創傷カバーに優先的に粘着するか、皮膚に対するその粘着力と同等以上の粘着力を有し、ここで、創傷カバーの皮膚接触層は皮膚親和性である。
【0244】
シーラントは、また、健康な皮膚を創傷滲出液の傷害作用から保護することができるが、このことは、副次的目的であり、シーラント以外の代わりの手段によって達成できる。
【0245】
前に規定したようなシーラント組成物を前に規定したような方法により施用することによって、シーラントを準備することができる。
該方法は、さらに、組成物を施用する前に、ドレッシングの位置を調整することを含むことができる。
フィラー系シーラントは、ドレッシングを配置する前または後、好ましくは前に準備することができる。
シーラントは、創傷部位を被覆する前または後に準備することができる。好ましくはシーラントの準備は、創傷部位を被覆した後に実施される。
【0246】
好ましくは、創傷用ドレッシングは、実質上流体を通さないドレッシングであるか、陰圧を保持するように構成され、該方法は、さらに、創傷部位に連結された陰圧源を使用して、創傷部位に陰圧を印加することを含む。
好ましくは、陰圧の印加は、シーラントを準備する前に実施される。
好ましくは、陰圧の印加は、創傷部位を覆って配置された創傷用ドレッシングと流体連通する携帯可能な陰圧源による。
【0247】
該方法は、伝達された陰圧を発生させた陰圧と対照して監視することを含むことができる。これは、ドレッシングを貼付している間に、使用者にフィードバックを提供するのに使用することができる。
典型的には、NPは、ポンプの位置で、あるいはポートの末端で監視される。
好ましくは、ドレッシングを貼付し、NP源を作動させ、ポンプダウンを開始し、NP損失を示す警告を検知し、ドレッシングを擦ってNP損失部位を閉鎖し、NP損失部位またはドレッシング外縁周辺にシーラントを一般には塗布する。
【0248】
該方法は、好ましくは、創傷部位をTNPで治療する方法であり、好ましくは、ここで、ドレッシングは、ドレープ、機能性創傷治療層、および一体型アタッチメント(陰圧源、好ましくは、携帯可能および/または断続式陰圧源のための)が組み込まれている組合せTNPドレッシングである。
有利には、シーラントの準備は、シーラント組成物を施用することによって行われ、ここで、該組成物は、施用された場合に、実質上流体を通さないシールを作る能力のある材料を形成する流体である。これは、見事な湿潤化特性を提供する。
好ましくは、該方法は、さらに、シールを形成する前に、創傷カバーの位置を調整することを含む。
【0249】
創傷部位を覆った後にシーラントを施用することがとりわけ有利である。このことは、いくつかの利点を有し、前に規定したようなドレッシング、ドレープまたは器具の再配置を可能にする。しかし最も重要で大きな意義は、シーラントを塗布する前に縁端を撫で付けることを介して空気の漏洩を最小にすることを可能にし、シーラントの塗布を必要とする位置が容易に見分けられることである。
【0250】
別法として、施用は、創傷部位を覆う前に実施することができる。これは、再配置が想定されず、シーラントの塗布を必要とする位置が容易に見分けられる場合にとりわけ適している。
【0251】
シーラントは、連続的または不連続的配置で塗布することができる。例えば、シーラントは、ドレッシングまたはドレープの外縁にガスケットを形成するように塗布することができ、あるいは、外縁の不連続箇所に塗布することができる。不連続箇所は、高い応力箇所または修復箇所として確認できる。例えば、特定の応力にさらされた箇所、またはカバーの皺が観察される箇所をシールすることができる。とりわけ有利には、不連続箇所として塗布することは、優先的な粘着が確かでない場合の潜在的外傷を低減する。このことは、創傷カバーを再貼付する前に手で除去する必要があり得る残留物の量を低減する。さらなる利点として、不連続箇所として塗布することは、創傷カバーがかろうじて受け入れ可能な皮膚親和性であるが反復的な再調整および再配置および再貼付が、外傷ではないが不快感を生じさせる可能性の高い場合において、潜在的外傷を低減する。創傷カバーが不正確に配置され、再配置することが好ましい場合では、弱い箇所が、シーラントの不連続塗布によって局所的に強化され得る。
【0252】
シーラントは、前に規定したような任意の公知方式で、例えば、容器からの直接塗布によって塗布することができる。例には、局所用薬剤の塗布のために市販されて使用されている一次包装体、例えば、クリーム、発泡体、ゲル、ローションおよび軟膏が含まれる。ポット、ポーチおよびチューブなどの容器が知られている。これらは、塗布過程を手助けする開口部または一体型ノズル、例えば、INTRASITEGel APPLIPAK(Smith & Nephew)を有することができる。
塗布は、シーリングのために知られている一連の道具、例えば、パレットナイフまたはシリンジ(混合を必要とする二パート型硬化系のための)、スタティックミキサーヘッドを備えた二重筒シリンジを使用することができ、さらに材料の伸展を可能にするスプレッダーチップを使用して配置を容易にすることができる(例えば、スタティックミキサーおよびスプレッダーチップを取り付けた事前充填式二重シリンジ送達システム(L-システム)、Medmix Systems Ag、http://www.medmix.ch/L-SYSTEM.html)。塗布は、噴霧、擦りつけ、ブラシ、発泡体、スポンジ、不織布で行うことができる。これらの材料を、ドレッシングまたはアプリケーターの中に部分的に、または完全に一体化することができ、あるいは手での塗布を可能にすることができる。スポンジを使用するアプリケーターが、Chloraprepを用いて示されている(http://www.chloraprep.co.uk)。
【0253】
有利には、アプリケーターは、一体型スプレッダーを含む。材料が皮膚とドレッシング外縁との間の接合部に直接塗布されるなら、最適配置を確保するため、この材料を取り扱うのが有利である。一体型スプレッダーは、シーラントを取り扱う場合の相互汚染を最小にする。取り扱い中の相互汚染は、シーラントの汚染微生物による汚染、シーラントの外来物による汚染、シーラントの化学物質(このような化学物質は、シーラントに影響を及ぼす可能性がある)による汚染、および職員または器具のシーラントによる汚染に関係する可能性がある。
【0254】
別法として、スプレッダーのないアプリケーターが有益であることもある。
【0255】
組成物が硬化性システムであるなら、化学汚染は、硬化過程に有害な影響を及ぼす可能性がある。例えば、組成物が白金で触媒されるRTV-2シリコーンであるなら、ラテックスまたはニトリル含有手袋との接触は、硬化に影響を及ぼすことがある。医療上の硬化において、スプレッダーを具備した一体型アプリケーターは、それゆえ、臨床医が、シーラントを取り扱うのに手袋をした(手袋の化学組成物にさらされた)指を使用できないという障害を克服し、手袋をしていない指を使用する可能性を克服し、かくして、患者に直接手で接触することを(この取り組みはほとんどの臨床的硬化にとって不適切であるだけではなく、硬化性組成物を臨床医の指先に移行する結果をもたらす可能性が高い)排除し、任意のその他の医療用デバイスまたは用具を硬化性組成物で汚染する必要性を克服する。
【0256】
一体型スプレッダーを備えた無菌アプリケーターの使用は、無菌技術を使用して実施されるべきシーラントの塗布および取り扱いを可能にする。
【0257】
一体型スプレッダーを備えたアプリケーターが無菌であると、このことは、任意の二次的滅菌用具を準備する必要性なしにデバイスを無菌現場で使用することを可能にする利点を有し、臨床医は、適用中にシーラントを取り扱うことを望むはずである。
【0258】
シーラントの除去は、さらなる考慮すべき問題である。好ましくは、それは実質上一体として除去すべきである。シーラントを、器具、すなわちドレッシングまたはドレープに粘着させて除去できるのが好ましい。
【0259】
好ましくは、創傷カバーは、実質上流体を通さないドレープまたはドレッシングであり、任意選択で陰圧源との流体連通のための手段を組み込んでおり、該方法は、さらに、創傷部位に流体連通する陰圧源を使用して創傷部位に陰圧を印加することを含む。
好ましくは、陰圧の印加は、創傷部位を覆って配置された創傷用ドレッシングと流体連通する真空ポンプを使用して行われる。
【0260】
好ましくは、NPWT法は、創傷部位に伝達された陰圧を発生させた陰圧と対照して監視することを含む。とりわけ有利には、該実施形態は、伝達された陰圧の発生させた陰圧からの偏りを最小にする。
方法は、さらに、ドレープの中にまたは下を潜って少なくとも1つの開口部を、陰圧源に連結するように作り出すことを含むことができる。陰圧源に連結するための多くの技術は当技術分野で公知である。
【0261】
方法は、さらに、当技術分野で公知のように、創傷部位中に発泡体を配置することを含むことができる。一部の実施形態において、創傷部位を創傷用パッキン材料で部分的または完全に満たすことが好ましいことがある。この創傷用パッキン材料は、任意選択ではあるが、特定の創傷、例えば、より深い創傷で望ましいことがある。創傷用パッキン材料は、創傷用ドレッシングに加えて使用することができる。創傷用パッキン材料は、一般に、多孔性で適合性のある材料、例えば発泡体(例えば、網状発泡体)およびガーゼを含むことができる。好ましくは、創傷用パッキン材料は、創傷部位の内部で、いくらかの空間を満たすのに適合するような大きさまたは形状にされる。創傷用ドレッシングは、次いで、創傷部位を覆って配置され、創傷用パッキン材料は、創傷部位の上に重なる。創傷用パッキン材料を使用するなら、一旦、創傷部位を覆って創傷用ドレッシングをシールすると、TNPが、ポンプから、創傷用ドレッシングを通って、創傷用パッキン材料を通って、創傷部位に伝達される。この陰圧は、創傷部位から創傷滲出液およびその他の流体または分泌液を吸いとる。
【0262】
NPWTは、0〜-650mmHgの範囲、より好ましくは0〜-250mmHgの範囲の陰圧値を使用することを考えられた。キットのための陰圧範囲は、約-20mmHg〜-200mmHg、より好ましくは-40〜-200mmHgでよい(これらの圧力は、標準外気圧に対する相対値であり、したがって、-200mmHgは、実際面で約560mmHgであることに留意されたい)と想定されている。より好ましくは-40〜-200mmHgでよい。これは、Renasysポンプ(EZ+&GO)などの市販ポンプで利用可能な設定範囲である。適切には、圧力範囲は、約-40mmHg〜-150mmHgでよい。別法として、-75mmHgまでの、-80mmHgまでの、または-80mmHgを超える圧力範囲を使用できる。また、適切には、-75mmHg未満の圧力範囲も使用できる。別法として、-100mmHgを超える圧力範囲、または-150mmHgを超える範囲の圧力も使用できる。
【0263】
キャニスターのないNPWT(創傷滲出液を収容する専用のキャニスターを省略)も、従来のNPWTと同様の範囲の陰圧値を使用することを考慮に入れている。より好ましくは、-40〜200mmHg、より好ましくは-40〜-140mmHgである。
【0264】
特定の実施形態によれば、準備される圧力は、所望され予め定めらた1つまたは複数の圧力プロファイルにより、ある時間にわたって調節することができることを理解されよう。例えば、このようなプロファイルは、2つの所定陰圧P1およびP2の間の陰圧を、圧力を所定の時間T1にわたってP1で実質上一定に保持し、次いで、ポンプの仕事量を変えることまたは流体の流れを制限することなどの適切な手段で、新たな所定圧力P2に調整する(ここでも、さらなる所定時間T2にわたって圧力を実質上一定に保持することができる)ように調節することを含むことができる。2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の所定圧力値およびそれぞれの時間を任意選択で利用することができる。適切には、例えば、正弦曲線(sinusoidal)、歯痛(sore tooth)、心臓収縮-拡張などのような、より複雑な振幅/振動数の波形の圧力流プロファイルを提供することもできる。
【0265】
好ましくは、ドレッシングは、携帯可能なNPWTシステムの一部である。滲出液は、携帯可能なキャニスター中で、または好ましくはドレッシングの内部で管理される。陰圧源は、携帯可能であるか、あるいは断続的に連結されてもよい。好ましくは、皮膚接触層は、粘着性シリコーンゲル、その他の粘着剤、または粘着性シリコーンゲルとその他の粘着剤との組合せである。
【0266】
先進的NPWT(ここでは、「組合せ」)ドレッシングは、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、例えば、PCT/GB2011/000629中に記載されており、次に記載の通りである。
創傷接触層は、例えばホットピン(hot pin)法、レーザーアブレーション法、超音波法、または若干のその他の方法によって穿孔された、ポリウレタン層、ポリエチレン層、またはその他の可撓性層の形態で存在することができるか、さもなければ、液体および気体に対して透過性にされ、流体が層を通って流動することを可能にする。創傷接触層は、創傷用ドレッシングのその他の材料中への組織貫入を防止するのを助ける。穿孔は、小さく、この要件に十分合致するが、なお流体の通過を可能にする。例えば、0.025mm〜1.2mmの範囲の大きさを有するスリットまたは孔として形成された穿孔は、小さく、創傷用ドレッシング中への組織貫入を防止するのを助けるのに十分であるが、一方で、創傷滲出液がドレッシング中に流れることを可能にすると考えられる。創傷接触層は、創傷用ドレッシングの全体を一緒に保持するのを助け、創傷部位の陰圧を維持するために、吸収パッドの周囲に空気を通さないシールを作り出すのを助ける。創傷接触層は、また、任意選択のより下のおよびより上の粘着層のための担体としても機能する。例えば、創傷用ドレッシングの下側表面上に、より低圧の感圧型粘着剤を準備し、一方で、創傷接触層の上側表面103上により高圧の感圧型粘着剤層を準備することができる。シリコーン、ホットメルト、親水コロイドまたはアクリルをベースにした粘着剤あるいはその他のこのような粘着剤でよい感圧型粘着剤を、創傷接触層の両側上に、または任意選択で選択された一方の上に形成するか、どちらにも形成しなくてもよい。より低圧の感圧型粘着剤層を利用すると、創傷用ドレッシングが創傷部位の周囲の皮膚に粘着するのを助ける。
【0267】
多孔性材料層は、創傷接触層の上に配置される。この多孔性層、または透過層は、液体および気体を含む流体の創傷部位から創傷用ドレッシングの上層中への透過を可能にする。詳細には、透過層は、開放空気チャネルを、吸収層がかなりの量の滲出液を吸収した場合でさえも、創傷エリアを覆って陰圧を連通するように維持できることを確実にする。層は、創傷部位の全体が、同等の陰圧になるように、前記のような陰圧創傷治療の間に印加される典型的な圧力下で開放されたままでなければならない。層は、三次元構造を有する材料、例えば、編んだまたは織ったスペーサー構造体(例えば、Baltex 7970横糸で編んだポリエステル)で形成される。もちろん、その他の材料も利用できる。
【0268】
透過層を横切る水分流を調節するのを助ける材料の構造は周知である。例えば、底部層中で使用される編糸に比べてより多くの単繊維を有する編糸から作られる頂部層を有することによって、液体は、底部層に比べて頂部層に沿ってより多く運ばれる傾向がある。使用に際し、この差異は、液体を創傷床からドレッシングの中央領域に引き抜く傾向があり、吸収層は、液体を閉じ込めるのを助け、それ自体液体を、液体を蒸散させることのできるカバー層に向かって運ぶ。
【0269】
透過層を横切る液体の流れ(すなわち、頂部および底部のスペーサー層の間に形成されるチャネル領域に垂直な)を改善するための技術、例えば、3D構造体をドライクリーニング用薬剤で処理して、透過層の親水性能力を妨害する可能性のある前に使用されたミネラルオイル、脂肪および/またはワックスなどの任意の製造品を除去するのを助けることは公知である。
【0270】
吸収性材料層は、透過層の上に用意される。天然または合成の発泡体または不織材料でよく、かつ超吸収性材料であるか、それを任意選択で含んでいてもよい吸収性材料は、流体、とりわけ液体のための貯蔵器を形成し、それらの流体を創傷部位から除去し、カバー層に向かって引き抜く。吸収層の材料は、また、創傷用ドレッシング中に捕集された液体が揺れ動く方式で流動するのを防止する。吸収層は、また、流体を創傷部位から引き抜くような吸上げ作用を介して、流体を層の全域に分配し、吸収層の全域に貯蔵するのを助ける。このことが、吸収層のエリア中での凝集を防止するのを助ける。吸収材料の能力は、陰圧を印加した場合の創傷の滲出液の流速を管理するのに十分でなければならない。使用の際に、吸収層は、陰圧を受けるので、吸収層の材料は、このような状況下で液体を吸収するように選択される。陰圧下で液体を吸収することのできるいくつかの材料、例えば、超吸収材料が存在する。吸収層は、典型的には、ALLEVYN(商標)発泡体、Feudenberg 114-224-4および/またはChem-Posite(商標)11C-450から製造することができる。
【0271】
適切には、吸収層は、全体に分散された乾燥粒子の形態の超吸収性材料を有する不織セルロース繊維からなる層である。セルロース繊維の使用は、ドレッシングによって集められた液体を急速かつ均等に分配するのを助ける、急速吸上げ要素を導入する。多数の撚糸様繊維の並置は、液体分配を助ける繊維質パッド中での強力なキャピラリー作用をもたらす。この方式で、超吸収性材料に液体が効率的に供給される。また、吸収層のすべての領域に液体が供給される。
【0272】
吸上げ作用は、また、液体が頂部カバー層と接触させるのを助けて、ドレッシングの蒸散速度を促進し増加させる。
【0273】
平衡は、ドレッシングの芯の内部で樹立され、それによって、水分は、吸収層からエリアを取り囲む乾燥剤に移動し、水分が頂部フィルムにぶつかるにつれて、フィルムは変化し、流体の蒸気は蒸散を開始する。水分の勾配が、ドレッシングの内部で確立されて、流体を創傷床から連続的に除去し、ドレッシングが滲出液で満杯にならないことを確実にする。
【0274】
適切には、吸収層は、吸引ポートの下に横たわるように配置された少なくとも1つの通過孔を含むことができる。
【0275】
気体透過性であるが任意選択で水蒸気透過性のカバー層は、創傷用ドレッシングの幅にわたって伸びている。例えば、一方の側に感圧型粘着剤を有するポリウレタンフィルム(例えば、Elastollan SP9109)でよいカバー層は、気体に対して不透過性であり、したがって、この層は、創傷をカバーし、それを覆って創傷用ドレッシングが配置される創傷空洞をシールする。この方式で、カバー層と創傷部位の間に有効なチャンバーが形成され、そこで陰圧を確立することができる。カバー層を創傷接触層に、ドレッシングの境界線周囲の縁端領域でシールして、縁端エリアを通って空気が引き込まれないことを、例えば、粘着または溶接技術を介して確実にすることができる。カバー層は、創傷を外来性細菌汚染から保護し(細菌バリア)、創傷滲出液に由来する液体が層を通って移行すること、およびフィルムの外表面から蒸発することを可能にする。カバー層は、典型的には、2つの層、ポリウレタンフィルムおよび該フィルム上に拡がる粘着剤パターンを含む。ポリウレタンフィルムは、水蒸気透過性であり、湿った場合に高められた水透過速度を有する材料から製造することができる。
【0276】
この蒸散過程は、創傷空洞に陰圧が印加される場合でさえ発生し、創傷空洞に陰圧を印加した場合のカバー層の全域での圧力差が、カバー層の全域での水蒸気透過速度に与える影響は無視できることが見出された。
【0277】
カバーフィルムに開口部を準備して、ドレッシングに陰圧を印加することを可能にすることができる。吸引ポートを、開口部を覆うカバーフィルムの頂部にシールし、開口部を介して陰圧に連通することができる。ある長さのチューブを、第1の末端を吸引ポートに、第2の末端をポンプユニットに連結して、ドレッシングから流体をポンプで汲み出すことを可能にする。
液体に対して不透過性であるが、気体に対して透過性であるフィルターエレメントを準備して、液体バリアとして機能させ、液体が創傷用ドレッシングから漏出できないことを確実にすることができる。
【0278】
操作に際し、創傷用ドレッシングは、創傷部位を覆ってシールされ、創傷空洞を形成する。ポンプユニットは、開口部を介して透過層に連通されるポートの連結ポーションで陰圧を印加する。流体は、創傷接触層の下の創傷部位から創傷用ドレッシングを通って開口部に向かって引き抜かれる。流体は、透過層を通って開口部に向かって移動する。流体が透過層を通って引き抜かれるにつれて、創傷滲出液は吸収層中に吸収される。
【0279】
溶媒をベースにした、または硬化性もしくは固化性シーラントを硬化させる場合、シーラントを塗布すること、器具すなわちドレープまたはドレッシングを貼付すること、および陰圧を開始することとの間に、任意の所望の順序で適切な遅延を課すことができる。遅延は、個々のシステムに依存し、適切には、それぞれの場合に数分を超えない。ほとんどの場合、これらの操作は、時間をおかずに連続して実施し、最適なシールおよび最適な吸上げを確実にすることができる。
【0280】
創傷用ドレッシングは、それが使用される創傷の大きさおよび種類にとって必要であるような大きさに合わせて作ることができる。創傷用組合せTNPドレッシングは、前以て寸法に合わせて作られ、典型的には、合わせるために切断されることはないが、一部の事例では、Cutiplast、Smith & Nephew #66001464(4cm×5cm)のように寸法に合わせるために切断される。前以て寸法に合わせて作られるTNPドレッシングとしては、非粘着性Allevyn(Smith & Nephew #66000663、70cm×40cm)、Elastoplastoプラスチック(Elastoplast、直径2〜3cmの円形)、Acticoat ExFix(Smith & Nephew #66800637、平行面間距離が3.8cmの六辺形)などが挙げられる。創傷用TNPドレッシングは、特大の創傷または易感染性皮膚の特大の領域を被覆するための多重部分重ね合わせとして貼付することができる。
【0281】
実施形態によれば、創傷接触層は、任意選択であることを理解されよう。この層は、使用するなら、水に対して多孔性であり、下にある創傷部位に面する。編まれたまたは織られたスペーサー構造体などの透過層を使用して、気体および流体の除去を、創傷のすべてのエリアが等しい圧力にさらされるように分配する。カバー層は、フィルター層と一緒になって、実質上液体を通さないシールを、創傷を覆って形成する。したがって、陰圧をポート150に印加すると、陰圧は、カバー層の下の創傷空洞に連通される。この陰圧は、かくして、標的の創傷部位で実現される。空気および創傷滲出液を含む流体は、創傷接触層および透過層を通って引き抜かれる。創傷用ドレッシングのより低い層を通って引き抜かれる創傷滲出液は、吸収層中に放散され吸収され、そこで捕集され貯蔵される。空気および水蒸気は、創傷用ドレッシングを通りフィルター層を通りドレッシングから吸引ポートを通り上向きに引き抜かれる。創傷滲出液の水含有量の一部を、吸収層を通してカバー層中に引き抜き、次いでドレッシングの表面から蒸発させる。
【0282】
ポンプで陰圧を印加すると、ドレッシングは、一部の実施形態において、部分的に崩壊し、ドレッシングのすぐ下の空気の一部またはすべてを排気することの結果として皺になった外観を呈示する。一部の実施形態において、ポンプは、ドレッシング中に、例えばドレッシングと創傷部位を取り囲む皮膚との間の境界面で何らかの漏洩があるかどうかを検出するように構成することができる。漏洩が発見されたら、このような漏洩は、好ましくは、治療を継続する前に補修される。
【0283】
創傷部位の治療は、好ましくは、創傷が所望レベルの治癒に到達するまで継続される。一部の実施形態において、特定の時間が経過した後、またはドレッシングが創傷の流体で満杯なら、ドレッシングを交換するのが望ましいこともある。このような取り替えの際に、ポンプは、そのままにし、ドレッシングのみ取り替えることができる。
【0284】
さらなる態様は、前に規定したような組成物、キット、または器具の、創傷を被覆するための、好ましくは前に規定したような陰圧創傷療法用ドレッシングのための使用を提供する。該シーラント組成物、キットおよび器具は、例えば、医療用ドレッシングをシールするのに、例えば創傷滲出液の流出もしくは空気の流入、または感染を抑制するのに、あるいはNPWTを適用するための真空シールを提供するのに有用である可能性がある。
【0285】
このような使用は、慢性、急性、外傷性、亜急性および開裂創傷、潰瘍(圧迫性または糖尿病性)、中間層熱傷、弁状創傷および移植創傷から選択される創傷への使用を含む。これらの創傷には、開放性、湿性、肉芽性創傷、好ましくは潰瘍、癌性組織(肛門周囲および会陰の創傷など)の切除に由来するような手術創傷が含まれる。このような創傷の最良の治癒のためには、創傷周囲の組織が累進的に収縮し、創傷が縮小することを同時に可能にしながら、創傷を、それ自体を閉じることおよび流体の蓄積を可能にすることから保護しなければならない。NPWTにおける創傷のパッキン材料は、それゆえ、創傷を支持し、それを開いたままにする一種の「ステント」として機能する。
【0286】
シーラント組成物、キットまたは器具は、清潔、無菌、滅菌の用途で使用するのにとりわけ適している。好ましくは、組成物、キットまたは器具は、当技術分野で公知のように、または前に規定したように無菌にされ、バリア手段の内部に包装される。さらに、バリア手段は、感染に対するバリアを提供し、それによって、組成物、キットまたは器具は、二重に包まれた品目であり、このことは、滅菌シールされた包装の第1の層を除去して、内外が完全に無菌である、シリンジ用の、またはそれに組み込まれたカートリッジ、粘着性ストリップなどの容器または支持体を露わにすることを見込んでおり、滅菌環境中への持ち込みを容易にする。さらなるバリア手段を省略した組成物は、容器または支持体および付随するバリア手段の滅菌されていない外表面を含む。前記のような医療器具のための標準的条件を利用して組成物を滅菌することはできないので、このような組成物を無菌の現場に持ち込むことはできない。
【0287】
医療用ドレッシングのためのシーラントは、任意の公知のまたは新規な方式で塗布することができる。WO00/74738(Guyuron)には、創傷をシールするための、とりわけ、潜在的感染を最小にするための、シリコーンをベースにしたRTV-2組成物の使用が開示されている。したがって、該シーラントは、適切には、創傷の頂部に注型し、皮膚を取り囲み、硬化を可能にすることによって使用することができる。
【0288】
WO2004/108175(Molnlycke Health Care AB)には、皮膚または創傷周囲の皮膚を崩壊させるための、とりわけ、潜在的感染を最小にし、かつ創傷滲出液の有害な影響から保護するための、シリコーンをベースにしたRTV-2組成物の使用が開示されている。シーラントは、創傷周辺の皮膚または崩壊している皮膚に塗布することによって、粘着性または非粘着性ドレッシングを創傷を覆って、かつシーラントと接触させて貼付すること、および硬化を可能にすることによって、あるいは粘着性または非粘着性ドレッシングを貼付すること、創傷にドレッシングを貼付すること、および硬化を可能にすることによって使用される。どちらの場合においても、ドレッシングは、創傷周辺の皮膚にシールされる。実施形態は、外科医、臨床医または患者に、これらの既知の方式またはその修正形態において使用するための滅菌シーラントを提供することによって、これらの方法に対して見事な改善を提供する。
【0289】
好ましい実施形態において、組成物は、創傷を覆って正しい位置に配置されたドレッシングの縁端に施用される。
【0290】
さらなる態様は、創傷用ドレッシングのため以外の、前に規定したようなキット、シーラントまたは器具の医療または非医療的、歯科または非歯科的使用を提供する。このような使用としては、染料、保存剤、ゲル、発泡体、エアロゾル、医薬、粘着剤、カプセル材料、毛髪/皮膚の治療、美容での使用、歯科での使用、剥離コーティング、コーティング、粘着剤およびシーラント、創傷治療、皮膚の治療(瘢痕低減を含む)、空洞治療、医療デバイスのカプセル化(生体医療応用分野のための電子デバイスのカプセル化)、鋳型作製、整形外科、薬物送達システム(抗菌システムを含む)、止血および医薬システム、栄養摂取(食品の製造を含む)、航空宇宙、海洋および海底応用分野、生態学的に敏感な応用分野、監禁され隔離された生物体(低い免疫性を有するような)もしくはそれらの生息地、または監禁され隔離された媒体または大気、滅菌、清浄または無菌的応用分野、植物また生物体などの生存体の発芽または繁殖が挙げられ、上記のいずれか、とりわけ航空宇宙、海底滅菌、清浄または無菌、発芽または繁殖のための装置、器具または構成要素の製造および修復を含む。
【0291】
実施形態は、次の利点の1つまたは複数を有する:
空気漏洩を低減するように高められたシーリング。
潜在的感染性物質の流入を低減するように高められたシーリング(例えば、仙骨部創傷における糞便および尿汚染による感染)。
滲出液の漏洩を低減するように高められたシーリング。
湾曲したドレッシング外周を容易にシールすることを可能にする。
複雑な身体輪郭に従って3次元ドレッシングの外周をシールし、漏洩を除去または低減する能力を増強する。
部分的に重なっているドレッシングのシーリング。
縁端が身体外形に隙間のない外径で順応するか、あるいは高レベルの変形にさらされるドレッシングのシーリング。
ドレッシングが、大きな動き(例えば、頸部、肩、腕、肘、前腕、手首、手、鼠径部、膝、足首、踵、足)にさらされるシステムのシーリング。
シーリングを覆うおよびシーリングの上に機械的留置。
【0292】
従来の先進的創傷用ドレッシング、従来のNPWTドレープ/ドレッシングまたはPICO(商標)および前に規定したシーラントに適した、いくつかの具体的実施形態を以下に示す。
【0293】
実施形態1[皮膚とドレッシング外縁との間の境界面の連続ガスケット]
1. 創傷エリアを取り囲む皮膚を整え、清潔にする。過度な毛髪を刈り込んで創傷への密な接近を確実にすべきである。
2. 治療すべき創傷に適した前に規定したようなドレッシングを使用し、適切な剥離ハンドルを取り去り、ドレッシングの粘着側を皮膚に固定する。創傷を覆うドレッシングを撫で付け、残りの剥離ハンドルを取り去り、ドレッシングが創傷周囲のすべてに粘着されるのを確実にする(Allevyn Gentle Border使用説明書の修正バージョン参照、http://global.smith-nephew.com/us/product25361 5871.htm)。
3. 皮膚とドレッシング外縁の間の境界面にシーラントを、シーラントが皮膚とドレッシング外縁の全外周との間に連続ガスケットを形成するように塗布する。
NPWTシステムの場合、ドレッシングを、ステップ2のように創傷に粘着させ、陰圧を印加し、どんな漏洩でも最小にすべきである。空気漏洩を最小にしたなら、シーラントをステップ3のように塗布すべきである。
実施形態を図2d図2fの例により図示する。
【0294】
実施形態2[皮膚とドレッシング外縁+留置ストリップとの間の境界面の連続ガスケット]
実施形態1のステップ1および2に続いて、
3. 留置ストリップを貼付し、ドレッシング縁端、シーラントおよび皮膚を覆う。シーラントが硬化システムであるなら、ここで遅延時間を遵守する必要があるかもしれない。
NPWTシステムの場合、ドレッシングを、ステップ2のように創傷に粘着させ、陰圧を印加し、どんな漏洩でも最小にすべきである。空気漏洩を最小にしたなら、シーラントおよび留置ストリップをステップ3のように塗布または貼付すべきである。
【0295】
実施形態3[皮膚とドレッシング外縁との間の境界面の局所シーリング]
実施形態1のステップ1および2に続いて、
3. 創傷周囲エリアからドレッシング外縁まで皮膚を覆って拡がるドレッシングを検査する。シールが不十分である可能性があり、ドレッシングを撫で付けることによって改善することが容易でない場所(シール困難なエリア、身体輪郭が複雑なエリア、ドレッシング材料が部分的に重なったエリア、毛髪のあるエリア、ドレッシングが膨れた、テント状、または皺になっているセクション)を確認する。皮膚とドレッシング外縁との間の境界面のこれらの不連続箇所にシーラントを塗布する。
該実施形態を図2gの例により図示する。
【0296】
実施形態4[皮膚とドレッシング外縁+留置ストリップとの間の境界面の局所シーリング]
実施形態1のステップ1および2に続いて、
3. 創傷周囲エリアからドレッシング外縁まで皮膚を覆って拡がるドレッシングを検査する。シールが不十分である可能性があり、ドレッシングを撫で付けることによって改善することが容易でない場所(シール困難なエリア、身体輪郭が複雑なエリア、ドレッシング材料が部分的に重なったエリア、毛髪のあるエリア、ドレッシングが膨れた、テント状、または皺になっているセクション)を確認する。皮膚とドレッシング外縁との間の境界面のこれらの不連続箇所にシーラントを塗布する。
4. ドレッシング縁端、シーラントおよび皮膚を覆って、留置ストリップを貼付する。
NPWTシステムの場合には、ドレッシングをステップ2のように創傷に粘着させるべきであり、陰圧を印加し、どんな漏洩も最小にすべきである。空気漏洩を最小にしたなら、シーラントおよび留置ストリップをステップ3および4のように塗布または貼付すべきである。
【0297】
実施形態5
[皮膚接触層の下の皮膚に塗布されるガスケット]
(従来の先進的創傷用ドレッシング、従来のNPWTドレープ/ドレッシングの場合)
好ましくは実施形態1のステップ1に続いて、
1a. シーラントを皮膚に直接的に、シーラントが創傷の全外周の周りに材料の連続ループを形成するように塗布する。
好ましくは実施形態1のステップ2に続いて、
(PICOの場合)
ドレッシングは、一体化されたドレッシング縁端を有するNPWTシステムのパート(最新のPICOドレッシングのような)であり、この場合、ステップ1aは、シーラントの連続ループを、ドレッシングを続いて貼付する場合に、ドレッシング縁端を覆うだけである位置で皮膚に直接的に塗布するように実施すべきである。
さらに、ドレッシング縁端、シーラントおよび皮膚を覆って、留置ストリップを貼付することができる。
実施形態を図3bの例により図示する。
【0298】
実施形態6[皮膚接触層の下のドレッシングに塗布されるガスケット]
(従来の先進的創傷用ドレッシングおよび妥当なレベルの内部剛性を有する任意のドレッシングの場合)
好ましくは実施形態1のステップ1に続いて、
2. 妥当なレベルの内部剛性を有する治療すべき創傷に適したドレッシングを使用し、適切な剥離ハンドルを取り去る。シーラントをドレッシングの皮膚接触面に、シーラントがドレッシング外縁の近くで材料の連続ループを形成するように直接塗布する。ドレッシング粘着側およびシーラントを皮膚に固定する。創傷を覆うドレッシングを撫で付けて、ドレッシングが創傷の全周囲に粘着するのを確実にする。
さらに、留置ストリップを、ドレッシング縁端、シーラントおよび皮膚を覆って貼付することができる。
【0299】
これより図1aを参照するが、発泡体をベースにした従来のNPWTにおいて、創傷空洞(1)は多孔性発泡体パッキン材料(2)またはその他の創傷用フィラー(それらは形状に合うように切断する必要があることもある)で満たされるか、覆われる(図1b)。創傷周囲エリアを保護するためにストリップ(4)を貼付してもよい。次いで、アサンブラージを図1cに示すように覆い、流体に対してかなり非透過性である前記のような粘着性の可撓性シート(ドレープ、3)を用いてシールする。
【0300】
図1dを参照すると、ドレープ(3)に穴(5)を開け、ドレープ下の創傷部位への真空の連結を可能にすることができる。別法として、真空を、ドレープ(3)の下のまたはそれを貫く任意の種類の開口部またはチャネル通して創傷部位(1)および任意選択のフィラー(2)に連結することができる。図1eに示すように、真空ライン(6)は、穴(5)に連結される導管またはチューブを含むことができ、かつ穴(5)の周囲のドレープ(3)に粘着するように構成された粘着シートによってその近接端で取り囲まれたポートを含むことができる。他の実施形態において、真空ライン(6)は、ドレープ(3)を貫いてまたはドレープ(3)の下を潜って通過することができ、かつフィラー中の開口部または溝中に収納されるか、ガーゼ中に包むことができる。真空ライン(6)の遠位端(示さない)は、真空源(一般にはポンプ、示さない)に連結される。図1fにおいて、ドレープ(3)で閉じ込められた創傷空洞および組織は、大気圧の力の下で収縮し、目に見えてパッキン材料またはドレッシングを圧縮する。しかし、システムは、陰圧を減損しやすい可能性がある。必要なら、さらなる留置ストリップ(7)を付加することができる。
【0301】
一部の実施形態において(示さない)、発泡性無菌組成物を、シリンジから創傷部位に施用することができる。該組成物は、施用されると一度硬化し、創傷床(1)に接触する発泡したブロックを形成する。ドレープが、その上に配置され、従来の方式により正しい位置でシールされる。真空ラインが、従来の方式によりドレープに貼付され、それによって、真空ラインを介して真空を開始することができる。創傷空洞は、図1fに関して説明したような方式に対応して挙動する。このシステムは、発泡体フィラーの適合性を改善し、シーリング用粘着性ドレープに加えられる応力を少しは低減する。
【0302】
別法として、発泡したブロック(2)は、開口部(5)を通って突き出るボタンを含む。ボタンは、折り取られて、発泡体中への開口部を提供する。次いで、真空ライン(6)を、開口部(5)に連結し、従来の方式で真空ポンプに連結する。
【0303】
図1gは、前記実施形態におけるようなNPWT用シーラントを図示する。シーラント(8)は、創傷部位(1)周辺もしくは周囲の皮膚(1a)、または融解している皮膚に塗布される。粘着性または非粘着性ドレープ(3)は、創傷(1)を覆う任意選択のドレッシング(示さない)と共に、シーラント(8)と接触させて貼付され、該シーラントは、ドレープ(3)と接触して硬化することを許容される。真空ライン(6)は、ドレープ(3)の開口部を通って、または図1dおよび図1eに示すような任意のその他の従来方式でドレープに連結され、それによって、真空を開始することができる。シーラントは、創傷床に伝達される陰圧の質を改善する。シーラントは、前記のように製造、調製、そして送達することができる。
【0304】
図2aは、皮膚および/創傷と接触するシリコーン表面(13a)、一体型真空ポート(15)および真空ライン(16)を備えた組合せNPWTドレッシング(13)を使用する前記手順を示す。ドレッシング(13)を貼付する前に任意選択のフィラー(示さない)を挿入することができる。図2bは、携帯式ポンプ(17)を使用する陰圧の印加を示す。図2cは、ドレッシング縁端を撫で付けるステップを示す。図2dにおいて、シーラント(18)は、ドレッシング(13)を貼付した後に、ドレッシング外縁と皮膚との間の境界面にシリンジ(19)を使用して施用される。図2eにおいて、シーラント(18)は、ドレッシング(13)と皮膚(1a)との間の境界に架かることが示される。この図も、すべての図と同様、均等な縮尺で表現されていない。この図では特に、シーラントおよびドレッシングの厚さの縮尺を正しく認識することが有用である。PICOの縁端(18)は、ほぼ0.1mmの厚さを有する。シーラントは、ビードとして施用され、好都合には、撫で付けて0.05〜0.15mmの厚さに相当するフィルムにされる。真空チャンバーとドレッシング外縁(18)との間は、ほぼ2〜2.5cmであり、シーラント(18)は、適切には、皮膚上に3〜5mm、縁端上に同様の距離で伸長される。シーラントは、前に記載のように、製造、調製および送達することができる。
【0305】
図2d図2gおよび図3bは、シーラント(18)を、真空ライン(16)のための一体型ポート(15)を含む組合せドレッシング/ドレープ(13)をシールするために施用することに関する変形体を示す。シーラントは、前に記載のように、製造、調製および送達することができる。これらの組合せドレッシング(13)の場合、シーラント(18)を無傷の皮膚に接触するドレープ(3)の縁端領域に下にある皮膚領域(1a)に施用する前記の方法(図1g)は、判断が非常に不正確である。この縁端領域が皮膚(1a)に接触する場所を前以て判断することが困難である場合、図2d図2e図2fおよび図2gに示すように、組合せドレッシング(13)の外縁周辺に施用するのが有利である。シーラント(18)は、図2fに示すようにドレッシング外周全体の上に塗布することができ、あるいはシーラント(18)は、図2gに示すように、陰圧の損失が観察されるか疑われる位置で、ドレープ外縁に施用することができる。
図2hを参照すると、不規則的な身体トポグラフィーに近接する創傷をシールすることを図示する。創傷は、仙骨部潰瘍であり、ドレッシングは、部分的には、仙骨割れ目(1b)の上に重なる。これは、著しい陰圧漏洩の原因であり、ドレッシングを間隙の輪郭に合わせることを必要とし、ひるがえって、ドレッシング外周の反対側のシールを危うくする。ドレッシングは、図2a図2cに図示したような方式で貼付される。しかし、図2hにおいて、シーラント(18)は、ドレッシング(13)を貼付した後に、図2dの方法に従って、ドレッシング外縁と皮膚との間の境界面にシリンジ(19)を使用して施用される。この場合、シーラント(18)は、ドレッシング(13)の下にある、および/または該ドレッシングから突き出ている凹部(1b)中にも埋戻しの充填物として施用される。図2iでは、ドレッシング(13)と皮膚(1a)との間に境界面が存在しない、間隙(1b)を満たすシーラント(18)を示す。シーラントは、前記のように製造、調製および送達することができる。
図3aにおいて、シーラント(18)は、従来のNPWTドレープにその外縁で、シーラントを撫で付けるためのスプレッダーヘッドを有するアプリケーター(19)を使用してシールすべき双方の表面上に塗布される。シーリングは、皮膚とドレッシングとの境界面、ドレッシングとドレッシングの間で行うことができる。しかし、すべての場合に、シーラントは、ドレッシングの外面に塗布される。
別法として、図3bでガスケット(18)として図示したように、シーラント(18)を、組合せドレッシングに直接的に施用し、次いで、創傷を覆って貼付することができる。すべての場合に、粘着性のテープ状ストリップ(7)で覆い、粘着およびシールの双方が申し分ないことを確実にすることができる。すべての場合に、硬化、シーリングおよび真空操作は、前記と同様である。
【0306】
本説明の他のパートで説明される、患者を治療するための方法、組成物および器具に関するさらなる詳細は、本明細書中の図の説明に組み込まれていることもあることに留意されたい。
【0307】
本明細書の説明および特許請求の範囲を通して、用語「含む(comprise)」、「保持する(contain)」およびそれらの変形体は、「含むが限定はされない」ことを意味し、それらの用語は、その他の部分、付加物、成分、整数、またはステップを除外するものとは解釈されない(解釈しない)。本明細書の説明および特許請求の範囲を通して、単数形は、文脈がそうでないことを要求しない限り、複数を包含する。詳細には、不定冠詞を使用する場合、本明細書は、文脈がそうでないことを要求しない限り、複数および単数を想定していると理解されたい。
【0308】
特定の態様、実施形態または実施例に関連して記載された特徴、整数、特性、化合物、化学部分または基は、それらと矛盾しない限り、本明細書に記載の任意のその他の態様、実施形態または実施例にも適用可能であると理解されたい。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約および図面を含む)に開示のすべての特徴は、および/またはそうして開示された任意の方法または工程のすべてのステップは、このような特徴および/またはステップの少なくとも一部が相互に両立しない組合せを除外して、任意の組合せの中で組み合わせることができる。それ自体明示していない限り、任意の前記実施形態の詳細を、限定であると考えるべきでない。実施形態は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約および図面を含む)で開示の特徴の任意の新規な特徴、または任意の新規な組合せに関する可能性があるか、あるいはそのように開示された任意の方法のステップまたは工程の任意の新規な特徴、または任意の新規な組合せに関する。
【0309】
本明細書中で、ピリオドまたはコンマのどちらも、十進法のマーカーとして使用される。
【0310】
読者の注意は、本出願と関連して本明細書と同時にまたは本明細書に先立って提出された、および本明細書と共に公衆閲覧に向けて公開されたすべての論文および文献に向けられ、すべてのこのような論文および文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0311】
以下の実施例は、非限定的説明として提供される。
組成物
前に定義したようなi)、ii)およびiii)を組み込んだ2つのパートを有するRTV-2 Si組成物、その物理的特性の文献値をTable T1(表3)に、実験値をTableT2(表4)に示す。
従来技術との比較
P1 Cavi-Care(商標)(20g)、ポリマーパートAおよびパートB、製品コード4563(Smith & Nephew)
これは、市販の現場発泡ドレッシングである。
P2 Mepiseal(商標)(3ml)、ポリマーパートAおよびパートB、参照番号283100(Molnlycke)
これは、創傷エリア内の創傷滲出液を接触している無傷の皮膚からシールすることを意図した市販の施用可能な粘着性シーラントである。
P3 Silpuran(登録商標)2450 ポリマーパートAおよびパートB、参照番号60063054および60063056(双方とも、Wacker Chemie AG)。
これは、補綴における整列、衝撃、制動部材などのような注型用の市販エラストマーである。
請求項に記載の実施例
I1 Silpuran(登録商標)2445A/B ポリマーパートAおよびパートBポリマー、参照番号60063054および60063056(双方とも、Wacker Chemie AG)。
これは、補綴における整列、衝撃、制動部材などのような注型用の市販エラストマーである。
【0312】
【表3】
【0313】
実施例T2-パラメーター検定
サンプルを、それらのパラメーターが、前記のような組成物として適しているかどうかについて評価し、判定した。結果をTable T2(表4)に示す。
温度
伸長性、永久歪、引張り、破断時伸び、プローブタック試験の場合、環境を温度20℃±2℃、相対湿度65%±15%に調整した。粘度、手による動的硬化時間およびタックフリー時間の試験の場合、温度はそれぞれの場合で指定する。
シリコーンの高さ
実施例中に記録された高さの測定値から、硬化したシリコーン製品の最低高さは0.07mmであり、最大は1.58mmであった。撫で付けられた外縁の平均高さは0.20〜0.65mmの範囲であることが記録された。
塗布できるシーラントの高さに対する厳密な上限または下限はないが、シーラントは、0.01〜5.00mm、より好ましくは0.05〜2.00mmの範囲の高さで広げられ、大部分のシーラントは0.10〜1.00mmの範囲にある可能性が高い思われる。
【0314】
サンプルの詳細
伸長性、永久歪、引張りおよび破断時伸びの試験のための標本調製
RTV-2シリコーンを加工するための方法およびノウハウについての一般的ガイダンスは、当技術分野で開示されている(例えば、Elastosil, Processing RTV-2 silicone rubbers, 6020e/06.06、Wacker Chemie AG、ミュンヘン)。
P1: パートAおよびパートBを、50:50(v/v)の比率で使い捨て容器中に分注し、手で激しく10秒間混合し、PTFE製平底鋳型中に注ぎ入れたほぼ5mmの深さを与えるのに十分な材料を採用した。同伴する大きな気体泡の除去は、材料を高所からできる限り細い流れとして注ぎ入れることによって達成された。鋳型を、水平面上に室温でほぼ5分間放置した。次いで材料を135℃で10分間硬化させ、放冷し、鋳型から取り出した。
P2: パートAおよびパートBを、50:50(v/v)の比率で、市販のMepisealユニットに存在する一体型スタティックミキサーを介して、PTFE製平底鋳型中に分配した。移行の時点でほぼ5mmの深さを与えるのに十分な材料を採用した。複数のMepisealユニットを必要とする場合には、これらを、材料の可使時間内に迅速に継続して分注した。移行直後に、材料の頂部をすくいとり、平坦な上部表面を得た。鋳型を、水平面上に室温でほぼ5分間放置した。次いで、材料を135℃で10分間硬化させ、放冷し、鋳型から取り出した。
P3: パートAおよびパートBを、50:50(w/w)の比率で使い捨て容器中に分注し、手で激しく3分間混合し、真空チャンバー(10mbarに設定された)に移し、排気した。触媒されるすすぎ洗い混合物内で泡の崩壊が観察されるまで、排気を継続した。泡が崩壊した時点で、排気を直ちに中止し、材料をPTFE製平底鋳型中に注ぎ入れた。ほぼ5mmの深さを与えるのに十分な材料を採用した。鋳型を、水平面上に室温でほぼ5分間放置した。次いで、材料を135℃で10分間硬化させ、放冷し、鋳型から取り出した。
I1: パートAおよびパートBを、16要素の螺旋スタティックミキサーDN6.5を介してPTFE製平底鋳型中に分注した。ほぼ5mmの深さを与えるのに十分な材料を採用した。鋳型は、水平面上に室温でほぼ5分間放置した。次いで、材料を135℃で10分間硬化させ、放冷し、鋳型から取り出した。
【0315】
方法
粘度
粘度は、剪断または引張り応力による流体の変形に対する抵抗性の尺度であり、液体、懸濁液またはスラリーの流動性の指標を与える。サンプルの粘度は、剪断速度および剪断応力を同時に測定する回転粘度計を使用して測定される。P1、P2、P3およびI1のそれぞれのためのポリマーAおよびBは、直径60mm、2°の鋼鉄製コーンを使用するコーンプレート型レオメーターで独立に試験した。サンプルは、23℃で5〜15s-1の範囲の剪断速度にわたって、DIN EN ISO 3219:1994、Annex Bにより試験した。粘度は、10s-1の剪断速度での剪断応力を使用して計算され、Pa・sで示される。
【0316】
【数1】
【0317】
硬化プロファイルの評価:手による動的硬化時間およびタックフリー時間
手による動的硬化時間およびタックフリー硬化時間(またはより叙述的には、ゼロ〜低いタック)に達する時間を評価した。ペトリ皿中に分注するに先立って、すべての材料、接触器具、および試験エリアの環境を、指定の試験温度で熱的に平衡させた(最短で1時間の調整時間)。P1、P3およびI1は、事前充填した50:50(v/v)の二重筒シリンジから、16要素螺旋スタティックミキサーDN6.5を介して分注した。P2は、それが供給される一次包装上の一体型スタティックミキサーを介して分注された。組成物は、ペトリ皿の直径と交差するラインとして迅速に分注され、この手順の最後の時点を時刻t=0とした。
【0318】
ペトリ皿中のサンプル表面に指を軽く短く触れることにより、断続的な試験を実施した。サンプルを、触れた場合に指に移行する材料から、触れた場合に材料を指に移行させないことが観察される材料への変遷について評価した。この点に到達する時間を記録し、手による動的硬化時間と定義した。
手による動的硬化時間に続いて、「タックフリー」に到達するのに要する時間を評価するための断続的試験を継続した。評価者が、選択された1本の指の掌球を材料の頂面に1秒間軽く置き、ペトリ皿に対する何らかの乱れまたはペトリ皿の持ち上げを引き起こすことなしに、サンプルから指を垂直に静かに持ち上げることができる段階に、サンプルのタックが落ち着いた場合に、この時間を記録し、タックフリー時間と定義する。
【0319】
これらの試験に本質的に伴う主観性を最小にするため、同一の評価者が、すべての硬化プロファイル評価を実施した。すべての場合に、タックフリー時間は、右手中指の掌球を使用して評価した。採用される名目皮膚接触面積を測定するために、微細な無機粉末を、高コントラストの表面上に撒き、評価者が、このモデル上で1回のタックフリー時間評価を実施した。作られた圧痕を画像化し、Image Pro Plus v6.6画像解析ソフトウェア(Media Cybernetics Inc、米国)を使用し、グレースケール閾値化により面積を求めた。接触面積は189mm2と測定された。各サンプルとペトリ皿の合計質量は8g〜10gの範囲にあることが見出された。
基板の重要性が強調されるべきであり、材料と皮膚との相互作用と、同一材料と鋼鉄との相互作用との間の何らかの直接的相関関係を引き出すのは、用心して行わなければならない。さらに、人による、それどころか異なる環境条件に暴露された同一人によるヒトの皮膚の相違が重大であることもある(I. WebsterおよびP.J. West、Adhesives for Medical Applications, in Polymeric Biomaterials、改訂増補版、S. Dumitriu, Marcel Dekker Inc.、第2版、2001年、ISBN 9780824705695、706頁)。
【0320】
プローブタック試験
タックは、材料を別の表面に接触させた場合に急速に形成される結合の尺度である。試験は、ASTM D2979-01中に示された基準に基づいた。材料の深さがほぼ2mmの平板をポリカーボネート製サンプルホルダー上に分注する。上部を撫で付けて、平坦な表面を作り出し、十分に混合されたサンプル(50:50v/v)を37℃で24時間硬化させる。表面仕上げが13μm rmsの清浄なステンレススチール棒をサンプルと10mm/sの速度、1sの滞留時間で接触させた。プローブを、サンプルから10mm/sで引き離し、サンプルからプローブを引き離すための最大力を記録した。タックは、プローブと接触したサンプルの断面積当たりの力として示される。測定は、2つの別個に硬化されたサンプルの長さに沿って行われ、1つのデータ集合として扱われた。
【0321】
【数2】
【0322】
伸長性および永久歪
伸長性は、ドレッシングの順応性の指標、および製品を20%まで伸ばすのがどれほど容易であるかの尺度を与える。それは、標準試験法BS EN 13726-4「Test methods for primary wound dressings-Part 4-Conformability」を使用して実施した。
【0323】
サンプルを、引張り試験機の2つのジョーの間に配置し、定速(300mm/分)で、20%の伸びに達するまで引き離す。この時点で、製品を引き伸ばすのに要した力を測定し、kgfcm-2として記録した。
【0324】
【数3】
【0325】
引張り強度および破断時伸び
引張り強度は、材料サンプルを破断するのに要する力の尺度である。破断時伸びは、長さの%増加として表現されたサンプルの破断点である。試験は、標準試験法BP1993 Appendix XX E「Minimum Breaking Load-Method 1」を利用して実施した。
サンプルを、引張り試験機の2つのジョーの間に配置し、定速(300mm/分)で、破断点に達するまで引き離す。この時点で、製品を破断するのに要する力を測定し、kgfcm-2として記録した。破断時伸びは、当初のゲージ長さからのパーセント増加として測定され記録された。
【0326】
【数4】
【0327】
結果
【0328】
【表4】
【0329】
20℃での手による動的硬化時間
23℃での手による動的硬化時間
23℃でのタックフリー時間
32℃での手による動的硬化時間
32℃でのタックフリー時間
【0330】
【表5A】
【0331】
【表5B】
【0332】
結論
組成物をブロックおよびビードとして型どり、方法に関連した特性および弾性特性を次のように調べた、ここでチェックマークは合格、○は不合格である;
【0333】
【表6】
【0334】
P1、P2およびP3は、粘度があまりにも低すぎるか、硬化するもしくは低タックになるのがあまりにも遅いため不合格であることが見出された。さらにP1およびP2は、シールの完全性のために必要とされる弾性特性に関して不合格であった。P3およびI1は、シールの完全性のために必要とされる弾性特性に関して合格し、I1のみが弾性および方法に関連する特性の双方に関して合格した。
本発明者らは、驚くべきことに、23℃で、低タック時間が、硬化時間に比べて著しく長いことを見出し、このことは本発明者らが、初めに、本発明中で取り組まれる問題に対する代わりの解決策を探さなければならないことを示した。しかし、一般に受け入れられている皮膚温度である32℃での低タック時間の測定を実施することに関して、本発明者らは、さらに驚くべきことに、I1に関して低タック時間の劇的短縮を見出し、本発明者らは、直面する問題を克服したことを見出し、解決策を見出した。
【0335】
実施例A〜D:ドレッシングおよび皮膚への施用
陰圧下でのPICOドレッシング
実施例の記述
最初に、実施例Aが、剃りまたは刈取りによる準備がなされていない対象に対する対照実験として、実施された。したがって、必ずしも舞台条件(theatre condition)を示すものではないが、それにもかかわらず、皮膚評価が実施され、剃りまたは刈取りを必要としないと考えられる前腕上で実験を実施した。実施例は、完全硬化には不十分であるが、組成物を施用することの容易さの申し分のない指標である9分間実施した。
実施例B、CおよびDを、Aの検証として実施し、剃りまたは刈取りによる準備がなされていない場合に適切な皮膚表面を有する対象に関して2時間の装着時間で実施した。塗布部位に毛髪が存在すると、このことが、結果を妨害することが見出され、これらの結果を棄却した。
【0336】
手順
ステップ0:清浄で乾燥した無傷の皮膚に組成物を塗布した。組成物を施用して、PICOドレッシング縁端が位置するエリアの皮膚上に材料の連続ビードを形成した。
ステップ1a/1b:塗布可能ならステップ0のようにそれに施用された組成物を有する清浄で乾燥した無傷の皮膚に、ドレッシングを貼付した:
(a) PICOドレッシング(15cm×20cm、製品コード66800866(Smith & Nephew)を有するキットの形態で供給されるような)、または
(b) 留置ストリップ(15cm×20cm、製品コード66800866(Smith & Nephew)を有するキットの形態で供給されるような)。
ドレッシングは、ドレッシングの中線が、ポートの遠位(d)または近位(p)で、前上腕に沿って長さ方向に走るように方向を定められた。データロガーを組み込み臨床試験用に改変したPICOポンプ(製品コード66800866(Smith & Nephew)を有するキットの形態で供給されるような)を使用するNPWTを、貼付した((a)のみ)。ドレッシングの縁端エリアを撫で付けて、空気漏洩を最小にした((a)および(b))。
ステップ2a:貼付できるなら、4つの留置ストリップを、皮膚とドレッシング外縁との間の接合部に直接的に貼付した。ストリップを、それらがドレッシングの外周を完全に覆うように貼付した。
ステップ2b:貼付できるなら、組成物の連続ビードを、皮膚とドレッシング外縁との接合部に直接的に塗布した。材料を、それがドレッシングの外周を完全に覆うように塗布した。
ステップ3:ドレッシング貼付を開始した後の所定の時点で、NPWTを停止し、ドレッシングを完全に除去した。
目標達成の質を観察し、Table 1(表10、表11)に示した。
測定し、結果をTable 2(表12)に示した。
【0337】
手順表AおよびB
【0338】
【表7】
【0339】
手順表C
この場合、各実験は、表中のC1を対照として、対象の反対側の前腕上で対照に対して実施した。
ステップ0において、10cm×15cmの可撓性テンプレートを、それがPICOドレッシングの意図した位置を覆うように配置し、組成物の連続ビードを、テンプレート外縁からほぼ1cm離れた皮膚に塗布した。
ステップ0またはステップ2bの場合、シーラントP2をシリンジ中に準備するが、シーラントP1、P3およびI1については、指示された(ステップ0シリンジ、ステップ2bシリンジ)パートAおよびパートBを、シリンジキャップを取り付けた二重筒カートリッジの別々のチャンバー中に移した(ディスペンサー、50ml、1:1/2:1、医療用、無地、部品番号DS50-01-00M;二重筒シリンジカートリッジ、50ml、1:1、無添加PP、医療用、部品番号CS 050-01-32M;シリンジピストンAおよびB、50ml、1:1、無添加PE、Si製O-リング、医療用、部品番号KSD 50-01-02SM;シリンジキャップ、1:1/2:1、無添加PE、医療用、部品番号VB200-SM;16要素螺旋スタティックミキサー、DN6.5×16、1:1/2:1、緑色、部品番号MB6.5-16-Sから構成される50ml、1:1、S-System、MedMix System Ag)。カートリッジピストンを挿入し、空気ヘッドスペースを追い出し、プレポリマーの表面でピストンをフラッシュし、固定した。使用に先立って、充填されたカートリッジおよび付随するスタティックミキサーを、37℃で熱的に平衡させた。
ステップ3において、ドレッシングを除去すると、シリコーンビードは、皮膚および創傷接触層から引き離され、次いで、シリコーンの高さを、デジタルキャリパーを使用して、各ドレッシング外縁の中央領域およびドレッシングのそれぞれの角の中央領域中の8か所で測定した。
【0340】
【表8】
【0341】
手順表D
実施例Cと同様のステップ
撫で付けられるステップ2bでは、シリコーンのビードを、清浄で乾燥した指先またはシリンジ先端を使用して撫で付けた。シリコーンを、ドレッシング外縁の目に見えるすべての皺または折り目に注入した。材料を、それが皮膚およびドレッシング縁端の上部表面へ部分的に重なるように塗り広げた。
注ぎ入れられるステップ2bでは、P1を、供給された混合ポット中に分注し、2つの成分を15秒間激しく混合した。硬化性シリコーン発泡体を、皮膚とPICOドレッシング外縁との間の接合部に、それがドレッシングの外周を完全に覆うように注意して注ぎ入れた。
ステップ3の測定は、D8およびD9、D11、D12およびD13については実施しなかった。
【0342】
【表9】
【0343】
観察A
【0344】
【表10】
【0345】
A-結論:
1. Mepisealを、アクリル系感圧型粘着剤の創傷接触層を支えるドレープ下の無傷の皮膚に使用した場合、それは十分に機能することが見出された。Mepisealは、ドレープの粘着を妨害しなかった。ドレープを除去すると、Mepisealは、ドレープに優先的に粘着し、皮膚からのきれいな除去を可能にすることが見出された。
2. MepisealをPICOドレッシング縁端の直下で使用した場合、ドレッシングの皮膚への最初の取り付けは、皮膚と創傷に接触するシリコーン層との間のMepisealの存在によって妨害されることが見出された。RTV-2シリコーンが硬化するまで、ドレッシング縁端を連続的に撫で付けて粘着を促進する必要があった。硬化後に、ドレッシング縁端の皮膚への粘着性が改善され、陰圧損失の低減が記録されたが、外縁の持ち上がりが認められ、問題が残った。それがドレッシング縁端の下で、かつパッドの下に位置するように、Mepisealを皮膚上に配置する場所を知ることの複雑性、遭遇する相当程度の外縁持ち上がり、および除去の際に発生する厄介さは、市販製品に関する否定的属性と考えられる。
3. PICOドレッシングの貼付、それに続く皮膚とドレッシング外縁との間の境界面でのMepisealは、MepisealをPICOドレッシング下に塗布することに優る明白な3つの利点を有した:すなわち
・ドレッシングの再配置を可能にした。
・Mepisealの塗布に先立って、縁端を撫で付けることにより、空気漏洩を最小にすることを可能にした。
・Mepisealを塗布する必要のある位置が容易に見えた(このことは、PICOドレッシングを貼付する前に、皮膚にMepisealを塗布する必要のある場合にはそうではなかった)。
【0346】
Mepisealを塗布すると、PICOドレッシングは陰圧下にあった。ドレッシング縁端下での材料の流動は観察されなかった。より好ましい製品は、さもないと漏洩が、外部環境からの空気流入を可能にする位置で、陰圧によりドレッシング縁端の下に引き込まれる能力を有する。
【0347】
ドレッシングを、身体の移動し伸長可能な表面にわたって用いると、Mepisealはドレッシング外縁から剥がれた。この貼付のためのより好ましい製品は、ドレッシングおよび皮膚の双方へ粘着し、動的身体表面に貼付する場合に遭遇する動きに適応するように十分に伸長性である。
【0348】
今後のいずれのシーラントでも、色を考慮すべきである。Mepisealによって形成される白色のシリコーンビードは、眼に対して美的洗練さを欠くと思われたが、それは、その位置を探知する方法を提供し、除去にとって容易な位置選定を可能にした。それゆえ、この応用分野では、半透明シリコーンの使用を考慮すべきである。
【0349】
貼付の8〜9分後に除去すると、一部のMepisealがドレッシングに粘着し、一部が皮膚に粘着するような、MepisealのPICOドレッシングへの非優先的粘着が存在した。この応用分野のためのより好ましい製品は、ドレッシングの除去と共に皮膚からきれいに除去された。
【0350】
観察B〜D
Table 1B〜1D(表11)において、MI(シールの機械的完全性)に関して次の表記が使用される:
i)対照:装着中にドレッシング縁端の時々の持ち上がりが観察された。持ち上がりは、ドレッシングの角で最も典型的に観察された。
ii)留置ストリップ:装着中にドレッシング縁端または留置ストリップの持ち上がりは観察されなかった。
iii-1)ビード-下:ドレッシング縁端の著しい持ち上がりはなかった。縁端での皺およびテント形成は、シリコーンが硬化するにつれてしかるべき位置に配置された。
iii-2)ビード-下:ドレッシング縁端は、ドレッシング外縁の小さな部分に沿って持ち上がる。これらの位置で、縁端は、創傷接触層の下のシリコーンビードからドレッシング外縁の外側までの皮膚の上で上昇した。
iii-3)ビード-下:ドレッシング縁端は、ドレッシング外縁の重要な部分に沿って持ち上がる。これらの位置で、縁端は、創傷接触層の下のシリコーンビードからドレッシング外縁の外側までの皮膚の上で上昇した。
iv-1)ビード/撫で付けられた/注入された-外縁:装着中にドレッシング縁端の持ち上がりは観察されなかった。硬化したシリコーンは、皮膚に粘着し、ドレッシングの上部フィルムに粘着し、間の隙間に詰められた。このシールの機械的完全性の欠陥は観察されなかった。
iv-2) ビード/撫で付けられた/注入された-外縁:ドレッシング外縁の小さな部分に沿ったシールの粘着欠陥。粘着欠陥は、装着中のシールの著しい破壊として観察された。破壊時点で、皮膚上のシリコーンは粘着したままであり、ドレッシング上のシリコーンも粘着したままであったが、これらの2つの表面に詰まっているシリコーンの機械的欠陥が明らかに認められた。
iv-3) ビード/撫で付けられ/注入された-外縁:ドレッシング外縁のかなりの部分に沿ったシールの粘着欠陥。粘着欠陥は、装着中のシールの著しい破壊として観察された。破壊時点で、皮膚上のシリコーンは粘着したままであり、ドレッシング上のシリコーンも粘着したままであったが、これらの2つの表面に詰まっているシリコーンの機械的欠陥が明らかに認められた。
iv-4) ビード/撫で付けられた/注入された-外縁:シリコーンビードからのドレッシングの離脱。ビードは皮膚に粘着したままであった。ドレッシング縁端が動きに、したがって伸長にさらされる解剖学的エリアにおいて、皮膚に粘着したたビードがドレッシングから剥がれた。このことは、典型的には、ドレッシングの角で最も顕著であった。結果は、動きにさらされるエリアでドレッシングに物理的に付着されなかった皮膚に付着された残留ビードである。
iv-5) ビード/撫で付けられた/注入された-外縁:皮膚からのビードの離脱。製品は、ドレッシングに粘着したままであった。ドレッシング縁端が動きに、したがって伸長にさらされる解剖学的エリアにおいて、ドレッシングに粘着したビードが、皮膚から剥がれた。このことは、典型的には、ドレッシングの角で最も顕著であった。結果は、動きにさらされるエリアで、皮膚に物理的に付着されなかったドレッシングに付着した残留製品である。
【0351】
【表11A】
【0352】
【表11B】
【0353】
【表11C】
【0354】
【表11D】
【0355】
【表12】
【0356】
考察
ドレッシングアタッチメントの変動およびこれに付随する空気流入は、志願者によって相当に変化する。かくして、変形体に関するデータは、同一志願者の反対の腕に配置された対照ドレッシングに関してのみ、同一の時間枠中で比較されるべきである。実施例中に報告される試験中、塗布された製品の規則的な上記の目視検査を行い、特に、ドレッシング外縁の持ち上がりおよび製品の機械的欠陥の症候を捜した。さらに、ポンプによって記録されたデータを使用して、漏洩速度が効果的に低減されたかどうかを明らかにした。
【0357】
前記のPICOドレッシングなどの複合NPWTドレッシングの場合、ドレッシングを貼付する前の皮膚へのシーラントの塗布は、厄介な工程であることが見出された。効果的なシールを形成するために、シーラントは、ドレッシング縁端エリアと皮膚との間に配置する必要がある。必要な注意深い位置決めおよびドレッシングの貼付と一緒になったシーラントの正確なトポグラフィーに合わせた塗布を確実にするためのテンプレート(または他の方法)の使用は、ドレッシングを直観的に容易に貼付する使用方法を提供しなかった。シーラントを他の表面に移すことができるなら、創傷接触シリコーン層を有するドレッシングの、貼付され、次いで機能性の損失なしに再配置される能力を低下させる。前記実施例において、創傷接触層の下に塗布された多くの変形体は、漏洩速度を低減し、それらは、外縁の持ち上がりを促進することによってドレッシングの留置を否定的に妨害した。
【0358】
シーラントを塗布するのに好ましい方法は、複合NPWTドレッシングを、標準的な慣例:まずドレッシングを貼付し、陰圧を印加し、次いで縁端を撫で付けて空気漏洩を最小にすること、と調和して貼付することであることが実証された。次に、シーラントを皮膚とドレッシング外縁との間の接合部に直接的に塗布する。この方法は、ドレッシングを創傷に容易に貼付し、必要なら再配置するのを可能にし、創傷接触シリコーン層と皮膚との間のシールを最適にする。次いで、シーラントは、2つの鍵となる次の課題を達成することができる。:
・ドレッシングを留置し、創傷接触シリコーン層と皮膚との間の完全なシールを維持する
・二次的シールを提供する
【0359】
要約すると、P2は、ドレッシング外縁に塗布されると、容易に粘着欠陥を経験するので、適していないことが見出された。P2の比較的長い硬化時間および固有のタックも、この応用分野に対して望ましくない特性であった。
P1は、粘着欠陥の問題を克服したが、塗布時にこの低粘度製品をコントロールすることは、この応用分野にとっての最適に達していない。
P3は、空気漏洩の最良の低減を提供することが観察された。該材料は、塗布中に、硬化しているシリコーンのかなりの流れを止める適度に高い粘度を有したが、硬化時間は、あまりにも長かった。
I1は、改善された材料特性および機械的特性-色、より高い破断時伸び、より低いショアー硬度およびより高い引裂き強度を有することが見出された。視覚的に、これは、最良のシールを提供すると思われた。
【0360】
結論
この出願中でシーラントとして使用するのに理想的な製品は、皮膚に十分に粘着し、ドレッシング縁端の上部フィルムに十分に粘着するべきである。製品は、伸長性であり(皮膚の動きに容易に順応するために)、大きな破断時伸びを有するべきである(粘着欠陥を回避するために)。
理想的には、製品は、塗布されたエリアに留まるような比較的高い粘度(またはチキソトロピー性)を有するべきである。しかし、はやり、製品は、アプリケーターから射出され、ドレッシング外縁の任意の皺または折り目に順応することが可能でなければならない。
製品が硬化する場合、硬化時間は、製品が塗布されたエリアから流れ去らず、またはドレッシングの貼付時間を著しく延長させないように十分に迅速でなければならない。
理想的には、製品は高いMVTRを有するべきである。
理想的には、除去は、非外傷性でなければならない。
理想的には、製品は、改善された外観のために半透明でなければならない。
理想的には、製品は、硬化後に、衣類またはその他の表面に粘着しないように、べたついてはならない。
理想的には、製品は、除去後に、皮膚上に残留物を残してはならない。
【符号の説明】
【0361】
1 創傷空洞
1a 皮膚領域
2 フィラー
3 ドレープ
4 ストリップ
5 穴
6 真空ライン
7 留置ストリップ
8 シーラント
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図1g
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図2g
図2h
図2i
図3a-i】
図3a-ii】
図3b