【文献】
A Garces Correa et al.,Artifact removal from EEG signals using adaptive filters in cascade,Journal of Physics:Conference Series,2007年,vol.90, no.012081,pp.1-10
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プロセッサは、前記EEG記録に棘波再検討プログラムを実行して、前記EEG記録の複数の棘波を検出し、検出された前記複数の棘波を前記複数の電極の各電極によって分類し、且つ、検出された前記複数の棘波を各電極で数学的に平均化するように構成され、前記ユーザーインターフェースは、複数のオーバビュー平均の各々の表示を可能とすることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
脳波図(「EEG」)は、大脳機能を評価するために人間の脳の電気的活動を測定し記録する診断ツールである。複数の電極が人間の頭部に取り付けられ、ワイヤによって機械に接続される。機械は信号を増幅して、人間の脳の電気的活動を記録する。その電気的活動は、複数のニューロンにわたる神経活動の総和によって作り出される。これらのニューロンは、小電圧電場を生成する。これらの電圧電場の総計により、人間の頭の上の電極が検出及び記録可能な電気的な読み取り値が生じる。EEGは複数のより単純な信号の重畳である。正常な成人では、EEG信号の振幅は一般的には1μV乃至100μVの範囲にあり、硬膜下電極で測定した場合のEEG信号は概ね10乃至20mVである。電気信号の振幅と時間的ダイナミクスのモニタリングにより、その人間の基礎的な神経活動及び医学的状態についての情報が得られる。
【0003】
EEGは、てんかんの診断のため;意識消失又は認知症に伴う問題を確認するため;昏睡状態の人間の脳の活動を確認するため;睡眠障害を調べるため;手術中の脳の活動、及びその他の身体的な問題をモニタリングするために行われる。
【0004】
EEGの間、複数の電極(一般的には17〜21個であるが、少なくとも70箇所の標準位置が存在する)が人間の頭部に取り付けられる。電極は、人間の脳葉即ち脳の領域に対する電極の位置によって参照符を付される。参照符は次の通りである:F=前頭部;Fp=前頭極部;T=側頭部;C=中心部;P=頭頂部;O=後頭部;及びA=耳朶部(耳電極)。位置を更に限定するために数字が用いられ、また「z」点は人間の頭部の正中線上の電極部位に関連する。EEGディスプレイ上に、心電図(「EKG」)が現れてもよい。
【0005】
EEGは、モンタージュと称する種々の電極の組み合わせを用いた異なる増幅器からの脳波を記録する。モンタージュは、一般的には、大脳皮質を横断するEEGの空間的分布のクリアな映像を提供するために形成される。モンタージュは、記録電極の空間的アレイから得られる電気的マップであり、好ましくは特定の時点において調べられた特定の電極の組み合わせをいう。
【0006】
双極モンタージュでは、あるチャンネルの電極入力2を次のチャンネルの入力1に接続することによって連続した電極の対がリンクされて、隣接するチャンネルが1つの電極を共有することになる。電極の双極チェーン(bipolar chain)は前から後に向かって(長さ方向に)又は左から右に向かって(横方向に)延びるように接続することができる。双極モンタージュ(bipolar montage)では、2つのアクティブな電極部位の間の信号どうしが比較され、記録された活動の差が得られる。他のタイプのモンタージュは、基準電極モンタージュ(referential montage)、即ち単極モンタージュ(monopolar montage)である。基準電極モンタージュでは、種々の電極が各増幅器の入力1に接続され、基準電極が各増幅器の入力2に接続される。基準電極モンタージュでは、アクティブ電極部位において信号が収集され、共通基準電極と比較される。
【0007】
基準電極モンタージュは、波形の真の振幅及び形態を決定するのによい。側頭部電極については、CZが一般的な良好な頭皮の基準である。
【0008】
電気的活動の起源を位置決定(「局在化(localization)」)可能であることは、EEGの解析が可能であるために重要である。双極モンタージュにおける正常又は異常な脳波の局在化は、通常、「位相反転(phase reversal)」、即ちあるチェーン内の2つのチャンネルの反対方向を向いた振れ(deflection)を特定することによって達成される。基準電極モンタージュでは、全てのチャンネルが同じ方向の振れを示し得る。アクティブな電極における電気的活動が、基準電極における活動と比較したとき正である場合は、振れは下向きとなる。電気的活動が基準電極と同一である電極は振れを示さない。一般的に、上方向に最も大きい振れを有する電極は、基準電極モンタージュにおける最大の負の活動を表す。
【0009】
いくつかのパターンは、人間の発作の傾向を示す。医師はこれらの波形を「てんかん様異常」又は「てんかん波形」と呼ぶことがある。これらには、棘波、鋭波、及び棘徐波放電が含まれる。左側頭葉等の脳の特定の領域における棘波及び鋭波は、部分的な発作がその領域からきている可能性があることを示している。一方、原発性全身性発作は、脳の両半球にわたって広がる棘徐波放電(特にそれらが両半球で同時に始まる場合)によって示唆される。
【0010】
脳波にはいくつかのタイプ、即ちα波、β波、δ波、θ波、及びγ波が存在する。α波は8乃至12ヘルツ(Hz)の周波数を有する。α波は、通常は、人がリラックスしているときか、目を閉じているが緊張しているときの覚醒状態においてみられる。α波は、人が目を開くか、集中しているときには止まる。β波は13Hz乃至30Hzの周波数を有する。β波は、通常、人が緊張しているとき、考えているとき、興奮しているとき、又はある特定の薬物を高用量摂取したときにみられる。δ波は、3Hz未満の周波数を有する。δ波は、通常、人が就寝(ノンレム睡眠即ち夢を見ない睡眠)中、又は若年齢の子供であるときにのみみられる。θ波は4Hz乃至7Hzの周波数を有する。θ波は、通常、人が就寝(夢を見る睡眠即ちレム睡眠)中、又は若年齢の子供であるときにのみみられる。γ波は、30Hz乃至100Hzの周波数を有する。γ波は、通常、精神活動及び運動機能が高まっている間にみられる。
【0011】
以下の定義は、本明細書で用いられる。
【0012】
「振幅(amplitude)」とは、谷から最大ピーク(正又は負)の間の垂直方向の距離を指す。振幅は、ニューロン集団のサイズ及び成分生成時のその活動の同期に関する情報を表す。
【0013】
用語「アナログ/デジタル変換」とは、アナログ信号が、更なる処理のためにコンピュータに格納することができるデジタル信号に変換される場合を指す。アナログ信号は「現実世界での」信号(例えば、脳波図、心電図、又は眼電図等の生理学的信号)である。それらを格納してコンピュータで操作するためには、これらの信号はコンピュータが理解可能な離散デジタル形式に変換されなければならない。
【0014】
「アーチファクト(artifact)」は、EEGによって頭皮に沿って検出されるが、脳でない起源から生ずる電気的信号である。患者関連アーチファクト(例えば運動、発汗、心電図、眼球運動等)と、技術的アーチファクト(50/60Hzアーチファクト、ケーブル移動、電極ペースト関連)とが存在する。
【0015】
用語「差動増幅器(differential amplifier)」とは、電気生理学的機器において重要な要素である。差動増幅器は、2つの入力の差を拡大する(1対の電極当たり1つの増幅器)。
【0016】
「持続時間(duration)」は、電圧変化の開始から基準値への復帰までの時間間隔である。持続時間は、成分の発生に関与するニューロンの同時活動化の測定値でもある。
【0017】
「電極(electrode)」は、回路の非金属部分との電気的な接触を確立するために用いられる導電体を指す。EEG電極は、通常はステンレス鋼、錫、金、又は塩化銀コーティングで覆われた銀で作られた小型の金属ディスクである。それらは、頭皮上の特定の位置に置かれる。
【0018】
「電極ゲル(electrode gel)」は、電極の柔軟な延長部として作用し、電極リードの動きによるアーチファクトを発生しにくくするものである。このゲルによって皮膚との接触が最大化され、皮膚を通しての低抵抗の記録が可能になる。
【0019】
用語「電極配置(electrode positioning)」(10/20システム)は、古典的な脳波記録のための頭皮電極の標準的な配置を指す。このシステムの重要な点は、鼻根部−外後頭隆起及び固定点の間の10/20範囲のパーセンテージで表す距離である。これらの点には、前頭極部(Fp)、中心部(C)、頭頂部(P)、後頭部(O)、及び側頭部(T)と符号付けされている。正中線電極は、ゼロを表す下付文字zを有する符号が付される。奇数番号は左脳半球上の点のための下付文字として用いられ、偶数は右脳半球上の点のために用いられる。
【0020】
「脳波図(electroencephalogram)」又は「EEG」とは、脳波計によって作られる、頭皮から脳の電気的活動を記録することによる脳波波形を指す。
【0021】
「脳波計(electroencephalograph)」は、脳波(脳造影図とも称する)を検出し、記録するための装置を指す。
【0022】
「てんかん様(epileptiform)」とは、てんかんの場合に類似していることを指す。
【0023】
「フィルタリング」とは、信号から不要な周波数を除去するプロセスを指す。
【0024】
「フィルタ」は、信号の周波数成分を変化させる装置である。
【0025】
「モンタージュ(montage)」は、電極の配置を意味する。EEGは、双極モンタージュ又は基準電極モンタージュのいずれかでモニタリングすることができる。双極は、1つのチャンネル当たり2つの電極が存在し、従って各チャンネル毎に基準電極が存在することを意味する。基準電極モンタージュは、全てのチャンネルに対して共通の基準電極が存在することを意味する。
【0026】
「形態(morphology)」とは、波形の形状を指す。波形形状又はEEGパターンは、波形を形成するべく組み合わされた周波数によって、及びそれらの位相と電圧の関係によって決定される。波形パターンは、「単形性(monomorphic)」であると記述することができる。個々のEEG活動が、1つの支配的な活動からなるものに見えるものである。「多形性(polymorphic)」。個々のEEG活動が複雑な波形を形成するべく組み合わされる複数の周波数からなるものである。「正弦波様(Sinusoidal)」。サイン波に類似している波形である。単形性の活動は通常は正弦波様である。「過渡波形(transient)」。バックグラウンドの活動とは明確に異なる独立した波形又はパターンである。
【0027】
「棘波(スパイク、spike)」とは、鋭いピークと20ミリ秒〜70ミリ秒未満の持続時間を有する過渡波形を指す。
【0028】
用語「鋭波」とは、鋭いピークと70ミリ秒〜200ミリ秒の持続時間を有する過渡波形を指す。
【0029】
用語「ニューラルネットワークアルゴリズム」とは、てんかん様異常である可能性が高い、鋭波である過渡波形を特定するアルゴリズムを指す。
【0030】
「ノイズ」とは、望ましい信号を改変する不要な信号を指す。ノイズは複数の起源を有し得る。
【0031】
「周期性」とは、パターン又は要素の時間的な分布(例えば、概ね一定周期での特定のEEG活動の出現)を指す。その活動は、全般性か、局在性か、又は片側性のものであり得る。
【0032】
EEGエポック(EEG epoch)は、時間及び周波数の関数としてのEEG信号の振幅である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
EEGデータを医師又は技師に提示するための種々の技術が開発されてきた。しかし、これらの技術は依然として不十分である。何がアーチファクトであるか、根底にある信号が何であるかをどのように見いだすかを知ることは、EEGの解釈における最も難しい問題の1つである。よりクリーンなEEGを発生させるべくアーチファクトをアルゴリズム的に除去するための技術が多数開発されてきたが、これらの技術が商業的に利用されるためには、どのように元の信号がクリーンな信号に変化させられたかをユーザが見ることを可能にするユーザインタフェースの開発が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明は、EEGにおけるアーチファクト除去のためのユーザインタフェースを提供することによって、この問題の解決を提供する。これは、2つの主な理由のために重要である。第1に、これは、そのよりクリーンなEEGが、アーチファクトがない場合に提示されるであろうものを正しく表しているという確信をユーザに与える。第2に、ユーザは、有用な情報が存在しているか否かを決定するために、元の信号か、又は部分的にクリーンにした後の信号を見ることを望むことがある。
【0035】
本発明においては、「クリーンな(clean)」EEGを生成するプロセスが、一連のステップを有する。例えば、電気的な問題に関連するアーチファクトが1つのステップとなり得る。別のステップは、瞬目の除去であろう。別のステップは、表面の筋肉の除去となろう。更に別のステップは、舌運動の効果の除去となろう。各ステップは、アルゴリズム的フィルタの一種であるが、これは一定の周波数範囲内のすべてを除去する古典的なフィルタとは全く異なるものである。現在EEGは一般的にはチャンネルによって組織化された一連の出力波形として表示される。チャンネルは通常は2つの頭皮電極の間の電位差を表すが、チャンネルがある電極と電極グループの平均又は他の集約との差を表すこともあり得る。出力波形は、電圧である縦軸と、時間である横軸とを有する。チャンネルの組のいくつかが1つのページに表示され、あるチャンネルの組をモンタージュと称する。
【0036】
モンタージュに表示された情報は、通常は一定の周波数範囲を除去することによってフィルタリングすることができる。また、出力波形の振幅を制限する「ペンの振れ」の制限や、振幅が限度未満になるまで水平線を引くこと等の他の選択肢が存在することも多い。
【0037】
アーチファクトフィルタを導入する場合、ユーザは、どのアーチファクトフィルタが適用されているかを選択し、それをディスプレイ上で確認する能力が必要である。加えて、アーチファクトフィルタの効果を表している各チャンネルの出力波形の組を同時に示す能力も必要とする。他の選択肢は、選択済みのフィルタの組を全て適用した後の信号とともに、元の信号も同時に示すことであろう。ユーザが、元の信号とフィルタリング済み信号との差の出力波形を見ることを望むこともあり得る。ユーザが、アーチファクトフィルタリングのプロセスの異なる点における信号を示す出力波形を見ることを望むこともあり得る。例えば、ユーザが、筋肉アーチファクトは除去されているが、瞬目によるものは残されたままの出力波形を見ることを望むこともあり得る。瞬目等のいくつかのアーチファクトを除去するために、ソフトウェアはそのパターンを検出する特定の認識アルゴリズムを使用することがある。この場合、ユーザが、出力波形からパターンの効果が除去されたままの状態で、単に瞬目又は他のパターンが存在していたことの表示を見ることを望むこともあり得る。(EEGを読み取る人たちは、患者が覚醒していることを判別する一方法として瞬目を用いるが、その瞬目は大きいアーチファクトを生成し、それが影響を及ぼすチャンネルの他の情報を不明確にする。)
【0038】
本発明の他の特徴は、種々の出力波形の色及び暗度/強調度を選択できる能力である。ユーザのなかには、アーチファクトフィルタリング済み出力波形がバックグラウンドに基準として存在した状態で元の信号を主要な信号表示とすることを望む者もいる。また、ユーザのなかには、フィルタリング済み出力波形の1つを主要な信号表示とすることを望む者もいる。この理由のため、またかなりの割合の人間が一定の色に対する色覚異常をもつため、色の選択は重要である。
【0039】
アーチファクトフィルタリングプロセスの別の態様は、それが信号を基礎的な信号の組に分割することである。このことは、アーチファクトが除去された後であっても、脳からの真の信号の種々の成分を見る際に有用となり得る。例えば、個々のてんかん様パターンから分離されたゆっくりした波が存在することがある。ユーザが、真の信号の様々な部分を見るのを容易化するために、あるチャンネルにおいてこれらの成分を分離して見ることの選択を望むこともある。最も顕著なアーチファクトを除去する前にこれを行っても役に立たない可能性が高い。
【0040】
本発明の別の態様は、EEGを評価するために用いられる標準的なプログラムにおける、1組の予め選択されたアーチファクトフィルタを適用する1つの「ボタン」である。このボタンにより、技師が、技師による検討のためにフィルタリング済み出力波形及びフィルタリング前の出力波形のオンオフを切り換えることが可能となる。
【0041】
本発明の一態様は、EEG記録の解析のための方法である。前記方法は、複数の電極、増幅器、及びプロセッサを備える機械からEEG記録を生成することを含む。前記方法は、前記EEGを処理して、解析のための処理済みEEG記録を形成することも含む。前記方法は、前記処理済みEEG記録におけるパターンを認識することも含む。
【0042】
本発明の別の態様は、EEG記録を解析するためシステムである。前記システムは、複数のEEG信号を生成するための複数の電極と、前記複数のEEG信号の各々を増幅するために、複数のワイヤによって前記複数の電極の各々に接続された少なくとも1つの増幅器と、前記複数のEEG信号からEEG記録を生成するために、前記増幅器に接続されたプロセッサと、EEG記録の表示のために前記プロセッサに接続されたディスプレイとを備える。前記プロセッサは、前記処理済みEEG記録におけるパターンに認識するべく構成されている。
【0043】
本発明の更に別の態様は、EEG記録を解析するための方法である。前記方法は、複数の電極、増幅器、及びプロセッサを備える機械からEEG記録を生成することを含む。前記方法は、前記EEGを処理して、解析のための処理済みEEG記録を形成することも含む。前記方法は、前記処理済みEEG記録における複数の事象を検出することも含む。前記方法は、前記複数の事象を事象密度グラフとして提示することも含む。
【0044】
本発明の別の態様は、処理済みEEGレポートを生のEEGレポートに重ねて、医師又は技師が報告された活動をクリアに見ることができるようにするEEGシステム及び方法を提供する。
【0045】
この実施形態は、各エポックからのアーチファクト除去の結果が、次の及び前のエポックからの結果と結合(stitched)されている短い重複エポック(overlapping epochs)を選択する能力を提供する。この結合は多くの方法で行うことができるが、好ましい方法では、2つのエポックからの信号を、重み付けがエポック中心からの距離の割合に比例する加重平均を用いて結合される。
【0046】
例えば、2秒間のエポックの長さが、1秒間のインクリメント(エポックステップ)とともに選択される。BSS及び他の技術を用いたアーチファクト除去を、秒1及び2のチャンネルの組に対して行い、2秒間の長さの「クリーンな」結果を生成する。次にアーチファクト除去を秒2及び3に対して行い、重複したクリーンな結果を生成する。この結果は、記録の第2の秒に重複する。各チャンネルについて、2つの重複する結果を加重平均して、不連続のない最終的な結果を生成する。第1のエポックの中心により近い秒の部分において、第1のエポックからの値をより高く重み付けし、第2のエポックの中心により近い部分についても同様にする。当業者は、記録を通して移動中に異なる又は可変であるエポック長又はステップを選択できるということを理解されよう。同様に、異なる結合技術を用いてもよい。
【0047】
本発明の一態様は、EEG信号からアーチファクトをフィルタリングするための方法である。前記方法は、複数の電極、増幅器、及びプロセッサを備える機械からEEG記録を生成することを含む。前記方法は、チャンネルの組からの前記EEG信号を複数のエポックに変換することも含む。前記複数のエポックの各々は、2秒間以下のエポック持続時間長さと、1秒間以下のインクリメントとを有する。前記方法は、ブラインド信号源分離アルゴリズムを用いて前記複数のエポックの各々からのアーチファクトをフィルタリングし、複数のクリーンなエポックを生成することも含む。前記方法は、前記複数のクリーンなエポックを結合して処理済みEEG記録を生成することも含む。
【0048】
本発明の更に別の態様は、ブラインド信号源分離アルゴリズムを用いてEEG信号からアーチファクトをフィルタリングする方法である。前記方法は、複数の電極、増幅器、及びプロセッサを備える機械からEEG記録を生成することを含む。前記方法は、チャンネルの組からの前記EEG信号を複数のエポックに変換することも含む。前記方法は、ブラインド信号源分離アルゴリズムを用いて前記複数のエポックの各々からのアーチファクトをフィルタリングし、複数のクリーンなエポックを生成することも含む。前記方法は、前記複数のクリーンなエポックを結合して処理済みEEG記録を生成することも含む。
【0049】
本発明の更に別の態様は、EEG信号からアーチファクトをフィルタリングするためのシステムである。前記システムは、電極と、増幅器と、プロセッサと、ディスプレイとを備える。前記電極は、EEG信号を生成する。前記増幅器は、複数のワイヤによって前記複数の電極の各々に接続され、前記EEG信号を増幅する。前記プロセッサは、前記増幅器に接続され、前記EEG信号からのEEG記録を生成する。前記ディスプレイは、前記プロセッサに接続され、EEG記録を表示する。前記プロセッサは、チャンネルの組からの前記複数のEEG信号の各々を複数のエポックに変換し、ブラインド信号源分離アルゴリズムを用いて前記複数のエポックの各々からアーチファクトを除去して複数のクリーンなエポックを生成し、前記複数のクリーンなエポックを結合して、表示のための処理済みEEG記録を生成するべく構成されている。
【0050】
本発明の更に別の態様は、アーチファクト除去アルゴリズムを用いてEEG信号からアーチファクトをフィルタリングするための方法である。前記方法は、複数の電極、増幅器、及びプロセッサを備える機械からEEG信号を生成することを含む。前記方法は、チャンネルの組からの前記EEG信号を複数のエポックに変換することも含む。前記方法は、アーチファクト除去アルゴリズムを用いて前記複数のエポックの各々からアーチファクトをフィルタリングして、複数のクリーンなエポックを生成することも含む。前記方法は、前記複数のクリーンなエポックを結合して、処理済みEEG記録を生成することも含む。
【0051】
本発明の更に別の態様は、エポック時間及びインクリメントを選択することによってEEG信号からアーチファクトをフィルタリングするための方法である。前記方法は、患者のEEG信号を、患者に取り付けられた複数の電極、増幅器、及びプロセッサを備える機械から生成することを含む。前記方法は、エポック時間長さ及びエポック時間インクリメントを選択することも含む。前記方法は、アーチファクト除去アルゴリズムを用いて複数のエポックの各々のアーチファクトをフィルタリングし、複数のクリーンなエポックを生成することも含む。前記方法は、前記複数のクリーンなエポックの各々に加重平均を割り当てることも含む。前記方法は、前記複数のクリーンなエポックを結合して重複させ、不連続のない処理済みEEG記録を生成することも含む。
【0052】
本発明の更に別の態様は、EEG信号からアーチファクトをフィルタリングするためのシステムである。前記システムは、電極、プロセッサ、及びディスプレイを備える。前記電極は、EEG信号を生成する。前記プロセッサは前記電極に接続され、前記EEG信号からEEG記録を生成する。前記ディスプレイは前記プロセッサに接続され、EEG記録を表示する。前記プロセッサは、エポック時間長さ及びエポック時間インクリメントを選択し、アーチファクト除去アルゴリズムを用いて複数のエポックの各々のアーチファクトをフィルタリングして複数のクリーンなエポックを生成し、前記複数のクリーンなエポックの各々に加重平均を割り当て、前記複数のクリーンなエポックを結合して重複させ、不連続のない処理済みEEG記録を生成するべく構成されている。
【0053】
本発明の更に別の態様は、EEGデータを表示するための方法である。前記方法は、EEG信号から元のEEGレポートを生成することを含む。前記元のEEGレポートは、複数の電極とプロセッサとを備えるEEG機械から生成される。前記元のEEGレポートは第1の複数のチャンネルを含む。前記方法は、前記元のEEG信号にアーチファクト低減を行って処理済みEEGレポートを生成することも含む。前記処理済みEEGレポートは第2の複数のチャンネルを含む。前記方法は、前記処理済みEEGレポートを前記元のEEGレポートに重ねて、結合されたEEGレポートを生成することも含む。前記処理済みEEGレポートのx軸は、前記元のEEGレポートのx軸と位置合わせされる。前記処理済みEEGレポートのy軸は、前記元のEEGレポートのy軸と位置合わせされる。前記元のEEGレポートの前記第1の複数のチャンネルは、前記処理済みEEGレポートの前記第2の複数のチャンネルと等価である。前記方法は、前記結合されたEEGレポートを表示することも含み、このとき前記処理済みEEGレポートは前記元のEEGレポートから視覚的に区別される。元のEEGレポートの前記第1の複数のチャンネルの1つのチャンネルの上の特定の時間における活動は、その特定の時間における前記処理済みEEGレポートの前記第2の複数のチャンネルの対応するチャンネル上で特定可能である。前記活動は、好ましくは、棘波、鋭波、棘徐波放電、アーチファクト等である。
【0054】
本発明の更に別の態様は、結合されたEEGレポートを表示するための方法である。前記方法は、EEG信号から元のEEGレポートを生成することを含む。前記元のEEGレポートは、複数の電極とプロセッサとを備えるEEG機械から生成される。前記元のEEGレポートは第1の複数のチャンネルを含む。前記方法は、前記元のEEG信号にアーチファクト低減を行って処理済み連続EEGレポートを生成することも含む。前記処理済みEEGレポートは第2の複数のチャンネルを含む。前記方法は、前記処理済み連続EEGレポートを前記元のEEGレポートに重ねて、結合されたEEGレポートを生成することも含む。前記処理済み連続EEGレポートのx軸は、前記元のEEGレポートのx軸と位置合わせされる。前記処理済み連続EEGレポートのy軸は、前記元のEEGレポートのy軸と位置合わせされる。前記元のEEGレポートの前記第1の複数のチャンネルは、前記処理済み連続EEGレポートの前記第2の複数のチャンネルと等価である。前記方法は、前記結合されたEEGレポートを表示することも含み、このとき前記処理済みEEGレポートは前記元のEEGレポートから視覚的に区別される。元のEEGレポートの前記第1の複数のチャンネルの1つのチャンネルの上の特定の時間における活動は、その特定の時間における前記処理済み連続EEGレポートの前記第2の複数のチャンネルの対応するチャンネル上で特定可能である。
【0055】
本発明の更に別の態様は、EEGデータを表示するためのシステムである。前記システムは、患者コンポーネント、機械コンポーネント、及びディスプレイスクリーンを備える。前記患者コンポーネントは、EEG信号を生成するための複数の電極を備える。前記EEG機械コンポーネントは、増幅器とプロセッサとを備える。前記プロセッサは、EEG信号から元のEEGレポートを生成するように構成されている。前記元のEEGレポートは第1の複数のチャンネルを含む。前記プロセッサは、前記元のEEG信号にアーチファクト低減を行って処理済みEEGレポートを生成するようにも構成されている。前記処理済みEEGレポートは第2の複数のチャンネルを含む。前記プロセッサは、前記処理済みEEGレポートを前記元のEEGレポートに重ねて、結合されたEEGレポートを生成するようにも構成されている。前記処理済みEEGレポートのx軸は、前記元のEEGレポートのx軸と位置合わせされる。前記処理済みEEGレポートのy軸は、前記元のEEGレポートのy軸と位置合わせされる。前記元のEEGレポートの前記第1の複数のチャンネルは、前記処理済みEEGレポートの前記第2の複数のチャンネルと等価である。前記ディスプレイスクリーンは、結合されたEEGレポートを表示し、前記処理済みEEGレポートは前記元のEEGレポートから視覚的に区別され、前記元のEEGレポートの前記第1の複数のチャンネルの1つのチャンネルの上の特定の時間における活動は、その特定の時間における前記処理済み連続EEGレポートの前記第2の複数のチャンネルの対応するチャンネル上で特定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】
図1は、19チャンネルを有する生のEEGレポートの一部を示す図である。
図1Aは、
図1の円1Aの拡大図である。
【
図2】
図2は、エポックが重なっていない19チャンネルを有する処理済みEEGレポートの一部を示す図である。
図2Aは、
図2の円2Aの拡大図である。
【
図3】
図3は、EEGレポートのエポックの部分が重複するように結合されている処理済み連続EEGレポートの一部を示す図である。
図3Aは、
図3の円3Aの拡大図である。
【
図4】
図4は、生のEEGレポートに重ねられた処理済みEEGレポートを有する結合されたEEGレポートの一部を示す図である。
図4Aは、
図4の円Aの拡大図である。
図4Bは、
図4の円Bの拡大図である。
図4Cは、
図4の円Cの拡大図である。
【
図5】
図5は、EEGレポートのエポックの部分が重複するように結合されている処理済み連続EEGレポートの一部を示す図である。
【
図6】
図6は、EEGデータを表示するための方法の流れ図である。
【
図7】
図7は、アーチファクト低減の方法の流れ図である。
【
図8】
図8は、患者の上で使用されるEEGシステムを示す図である。
【
図9】
図9は、EEGの電極配置のためのマップである。
図9は、EEGの電極配置のための国際10−20法電極システムを表すマップである。
【
図10】
図10は、EEGの電極配置のための詳細なマップである。
図10は、EEGの電極配置のための、米国脳波学会(American Electroencephalographic Society)によって標準化された中間10%電極位置を表す詳細なマップである。
【
図11】
図11は、EEGシステムのEEG機械コンポーネントのブロック図である。
【
図14】
図14は、重複部分で結合されたエポックの図である。
【
図15】
図15は、不連続、即ち処理済みの結合されたEEG記録からの失われた情報を生ずる、従来技術のエポックの結合の例である。
【
図16】
図16は、EEGデータを表示するための方法の流れ図である。
【
図17】
図17は、アーチファクト低減の方法の流れ図である。
【
図18】
図18は、EEG記録を解析するためのシステムのブロック図である。
【
図27】
図27は、発作、筋肉アーチファクト、及び眼球運動アーチファクトを含むEEG記録の図である。
【
図31】
図31は、記録されたモンタージュを用いて筋肉アーチファクトを除去した後のEEG記録の第1の時間における患者の麻痺性EEG記録の図である。
【
図32】
図32は、CZ基準電極モンタージュを用いて筋肉アーチファクトを除去した後のEEG記録の第1の時間における患者の麻痺性EEG記録の図である。
【
図33】
図33は、記録されたモンタージュを用いて筋肉アーチファクトを除去した後のEEG記録の第2の時間における患者の麻痺性EEG記録の図である。
【
図34】
図34は、CZ基準電極モンタージュを用いて筋肉アーチファクトを除去した後のEEG記録の第2の時間における患者の麻痺性EEG記録の図である。
【
図35】
図35は、記録されたモンタージュを用いて筋肉アーチファクトを除去した後のEEG記録の第3の時間における患者の麻痺性EEG記録の図である(患者は麻痺状態になっており、従って筋肉活動がない)。
【
図36】
図36は、CZ基準電極モンタージュを用いて筋肉アーチファクトを除去した後のEEG記録の第3の時間における患者の麻痺性EEG記録の図である(患者は麻痺状態になっており、従って筋肉活動がない)。
【
図37】
図37は、EEG信号からアーチファクトをフィルタリングするための一般的方法の流れ図である。
【
図38】
図38は、EEG信号からアーチファクトをフィルタリングするための特定の方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
生のEEGレポート、即ち元のEEGレポート100が
図1に示されている。元のEEGレポート100は、レポートのY軸105に示すように、複数のチャンネルFP1−Ref乃至O2−Refを有する。レポートのX軸は時間である。元のEEGレポート100は、アーチファクト低減を施されていない。元のEEGレポートは、筋肉運動、眼球運動、発汗、電極ケーブル等の種々の起源からのアーチファクトを含む。しかし、EEGは、医師又は技師が、患者の脳の活動を正確に解析するためにEEGレポートから探し出そうとしているある一定の活動も有し得る。例えば、時間655.000における
図1Aに示す活動は、医師又は技師にとって重要な患者の脳活動の一定の段階を示している可能性がある。しかし、通常は医師又は技師は、アーチファクトが存在するため、生のEEGレポート100を検討しようとはしない。
【0058】
図2は、アーチファクト低減とEEGレポートを再形成するためにエポックの結合処理を受けている、
図1の元のEEGレポート100の処理済みEEGレポート110の図である。処理済みEEGレポート110は、レポートのY軸115に示すように、複数のチャンネルFP1−Ref乃至O2−Refを有する。レポートのX軸は時間である。
図2Aに示すように、時間655.000における処理済みEEGレポート110は、時間655.000における元のEEGレポート100とは見かけが全く異なっている。これは主としてEEGレポートを再形成するためのエポックの結合に起因するが、医師又は技師が処理済みEEGレポート110のみしか見ていない場合には、医師又は技師が時間655.000における真の活動を知ることはない。
【0059】
図3は、アーチファクト低減とEEGレポートを再形成するために重複するエポックの結合処理を受けている、
図1の元のEEGレポート100の処理済み連続EEGレポート120の図である。処理済みEEGレポート120は、レポートのY軸125に示すように、複数のチャンネルFP1−Ref乃至O2−Refを有する。レポートのX軸は時間である。
図3Aに示すように、時間655.000における処理済みEEGレポート120は、
図2の処理済みEEGレポート110より時間655.000における元のEEGレポート100に見かけがより類似している。しかし、元のEEGレポート100と処理済みEEGレポート110又は処理済み連続EEGレポート120との間で交互に切り換えることによって患者の脳活動を解析する際には、依然として困難が伴う。
【0060】
図4は、元のEEGレポート100と処理済みEEGレポート110を含む結合されたEEGレポート130の図である。結合されたEEGレポート130の図は、発明を明示する目的で5つのチャネルしか有していないが、当業者であれば、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく、結合EEGレポート130が、16、20、27又は任意の数のチャンネルを有し得ることを理解されよう。
【0061】
図4、
図4A、
図4B、及び
図4Cに示すように、元のEEGレポート100は第1の線種を有し、処理済みEEGレポート110は、医師及び技師が元のEEGレポート100と処理済みEEGレポート110とを容易に視覚的に区別できるようにするために第1の線種とは区別される第2の線種を有する。別の実施形態では、元のEEGレポート100は第1の色(例えば、青)を有し、処理済みEEGレポート200は、医師及び技師が元のEEGレポート100と処理済みEEGレポート110とを容易に視覚的に区別できるようにするために第1の色とは区別される第2の色(例えば、赤)を有する。
【0062】
図4、特に
図4Cに示すように、元のEEGレポート100のチャンネルは、y軸135の整合を有するように処理済みEEGレポート110のチャンネルと位置合わせされる。
【0063】
図4、特に
図4Aに示すように、元のEEGレポート100のx軸は、結合されたEEGレポート130における2つのEEGレポートの時間的整合を有するように処理済みEEGレポート110のx軸と位置合わせされる。
【0064】
更に、元のEEGレポート100と処理済みEEGレポート110の両方の振幅は、信号の重複を避けるために各々のチャンネル内に収められる。
【0065】
図4Bに示すように、元のEEGレポート100は処理済みEEGレポート110とは全く異なっており、医師又は技師は、処理済みEEGレポート110と比較して元のEEGレポート100に示す活動に関心を向けることができる。
【0066】
元のEEGレポート100と処理済み連続EEGレポート120との比較を示すために、処理済み連続EEGレポート120を、
図4に示す処理済みEEGレポート110に置き換え可能であることを当業者は理解されよう。
【0067】
図5は、
図3のEEGレポート120に基づくEEGレポート140の図であり、より明確なチャンネルの表示のためにチャンネルが除いて示されている。結合されたEEGレポート140の図は、発明を明示するために5つのチャネルしか有していないが、当業者であれば、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく、結合EEGレポート140が、16、20、27又は任意の数のチャンネルを有し得ることを理解されよう。
【0068】
EEGデータを表示するための方法700の流れ図が、
図6に示されている。ブロック701において、EEG信号から元のEEGレポートを生成する。元のEEGレポートは、複数の電極、増幅器、及びプロセッサを備えるEEG機械から生成される。元のEEGレポートは、第1の複数のチャンネルを含む。ブロック702において、元のEEG信号をチャンネルの組からエポックに分割する。エポックの各々は所定の持続時間長さと重複インクリメントとを有する。ブロック703において、エポックにアーチファクト低減を行い、アーチファクト低減エポックを生成する。ブロック704では、アーチファクト低減エポックを、連続EEG記録のための重複する隣接エポックと結合して処理済み連続EEGレポートを生成する。結合された重複するエポック及び連続処理済みEEGレポートは、ディスプレイスクリーン、好ましくはモニタ上に表示される。結合された重複するエポック及び連続処理済みEEGレポートは、結合からタイムフレームを消失すること、即ち医師又は技師が読み取るEEGレポートにおける不連続の形成はない。エポックの重複以降も全ての脳活動が残る。脳活動は、好ましくは棘波、鋭波、棘徐波放電、アーチファクト等である。
【0069】
図7は、EEGデータを表示するための好ましい方法800の流れ図である。ブロック801において、好ましくは患者に取り付けられた電極、増幅器、及びプロセッサを備える機械からの患者のEEG信号から、元のEEGレポートを生成する。ブロック802では、元のEEG信号を、チャンネルの組から複数のエポックに分割する。複数のエポックの各々はエポック持続時間長さと重複インクリメントを有する。ブロック803では、複数のエポックに対して第1のアーチファクト低減を行って電極アーチファクトを除去する。ブロック804では、複数のエポックに対して第2のアーチファクト低減を行って筋肉アーチファクトを除去する。ブロック805では、複数のエポックに対して第3のアーチファクト低減を行って眼球運動アーチファクトを除去する。ブロック806では、複数のエポックを結合して重複させる。複数のエポックの各々は隣接エポックと重複して処理済み連続EEGレポートを形成する。ブロック807では、処理済み連続EEG記録を結合されたエポックから生成する。
【0070】
複数のエポックの各々は、好ましくは2秒間のエポック持続時間長さと1秒間のインクリメントとを有する。或いは、複数のエポックの各々が4秒間のエポック持続時間長さと2秒間のインクリメントとを有する。アーチファクト除去アルゴリズムは、好ましくはブラインド信号源分離アルゴリズムである。ブラインド信号源分離アルゴリズムは、好ましくはCCAアルゴリズム又はICAアルゴリズムである。クリーンなエポックは好ましくは加重平均を用いて結合し、加重平均の重み付けは好ましくはエポック中心からの距離の割合に比例したものとする。
【0071】
図8に示すように、EEGシステムは全体に符号20が付されている。システムは、好ましくは患者コンポーネント30、EEG機械コンポーネント40、及びディスプレイコンポーネント50を備える。患者コンポーネント30は、患者15に取り付けられ、かつEEG機械コンポーネント40にケーブル38によって配線された複数の電極35a、35b、35cを備える。EEG機械コンポーネント40は、CPU41と増幅器コンポーネント42とを備える。EEG機械コンポーネント40は、結合されたEEGレポートの表示のため、及び処理済みEEGレポートから結合されたEEGレポートへ若しくは処理済みEEGレポートから元のEEGレポートへの切り換えのためにディスプレイコンポーネント50に接続される。
図11に示すように、EEG機械コンポーネント40は、好ましくは結合エンジン65、アーチファクト低減エンジン66、オーバレイエンジン67、メモリ61、メモリコントローラ62、マイクロプロセッサ63、DRAM64、及び入力/出力部68を備える。当業者であれば、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく、機械コンポーネント40が他のコンポーネントも備え得ることは理解されよう。
【0072】
患者は、患者の頭部に取り付けられた複数の電極を有し、電極からのワイヤは、プロセッサへの信号を増幅するための増幅器に接続され、プロセッサは、電極からの信号を解析し、EEG記録を形成するために用いられる。脳は、患者の頭部の異なる点において異なる信号を発生する。複数の電極が、
図9及び
図10に示すように患者の頭部に配置される。例えば、
図9のFp1は、
図5ではチャンネルFP1−Refにおいて表される。電極の数によってEEGのチャンネルの数が決まる。チャンネル数が多くなるほど、より詳細な患者の脳活動の表示が生成される。好ましくは、EEG機械コンポーネント40の増幅器42の各々は、患者15の頭部に取り付けられた2つの電極35に対応する。EEG機械コンポーネント40からの出力は、2つの電極によって検出される電気的活動の差である。各電極の配置はEEGレポートのために重要である。電極対が相互に近づくほど、EEG機械コンポーネント40によって記録される脳波の差が小さくなるからである。EEGは、自動化アーチファクトフィルタリングのために最適化される。次にニューラルネットワークアルゴリズムを用いてEEG記録を処理して処理済みEEG記録を生成する。この処理済みEEC記録は表示のために解析される。
【0073】
EEGからのアーチファクトの除去のためのアルゴリズムは、一般的にはCCA(canonical correlation analysis,正準相関分析)及びICA(Independent Component Analysis,独立成分分析)のようなブラインド信号源分離(Blind Source Separation,BSS)アルゴリズムを用いて、チャンネルの組からの信号を成分波即ち「信号源(source)」の組に変換する。アーチファクトを含むものと判定された信号源を除去し、残余信号源をチャンネルの組に再構成する。
【0074】
図12は、隣接する未処理エポック1及び2の分離された図である。エポック1は重複部分3を有し、エポック2は重複部分4を有する。この例において、重複部分3及び4は概ね2秒間の長さを有する。したがって、重複部分3及び4は、生のEEG記録における同じタイムフレーム(2秒)を表す。
【0075】
図13は、隣接する処理済みエポック5及び6の図である。アーチファクト低減は、これらのエポック5及び6に対して行われている。処理済みエポック5及び6は、未処理エポック1及び2と同じタイムフレームを表す。したがって、エポック5は未処理エポック1のアーチファクト低減の結果であり、エポック6は未処理エポック2のアーチファクト低減の結果である。処理済みエポック5は重複部分7を有し、処理済みエポック6は重複部分8を有する。したがって、重複部分7及び8は、処理済みEEG記録における同じタイムフレーム(2秒)を表す。更に、重複部分7は重複部分3と同じタイムフレームであり、重複部分8は重複部分4と同じタイムフレームである。更に、重複部分3、4、7、及び8は全て同じタイムフレームを表す。
【0076】
図14は、隣接する処理済みエポック5及び6の連続処理済みEEG記録の部分9への結合を示す図である。部分10は、隣接する処理済みエポック5及び6からの重複部分7及び8である。図示するように、一切の情報は失われておらず、処理済みEEG記録は、エポックがともに結合されたところに急な終了点を有していない、連続なものとなる。
【0077】
図15は、従来技術による重複部分のないエポックの結合方法を示す図である。処理済みEEG記録の部分12は結合部分11を有し、この結合部分は処理済みエポック5及び6の同じタイムフレームから変化したものである。結合部分11は、
図14の部分10とは異なる。
【0078】
EEGデータを表示するための方法900の流れ図が
図16に示されている。ブロック901において、EEG信号から元のEEGレポートが生成される。元のEEGレポートは、複数の電極、及びプロセッサを備えるEEG機械から生成される。元のEEGレポートは、第1の複数のチャンネルを含む。ブロック902において、元のEEG信号にアーチファクト低減を行い、処理済みEEGレポートを生成する。処理済みEEGレポートは、第2の複数のチャンネルを含む。ブロック903では、処理済みEEGレポートを元のEEGレポートに重ねて、結合されたEEGレポートを生成する。処理済みEEGレポートのx軸は、元のEEGレポートのx軸と位置合わせされる。処理済みEEGレポートのy軸は、元のEEGレポートのy軸と位置合わせされる。元のEEGレポートの第1の複数のチャンネルは、処理済みEEGレポートの第2の複数のチャンネルと等価である。ブロック904では、結合されたEEGレポートを、ディスプレイスクリーン上、好ましくはモニタ上に表示する。処理済みEEGレポートは元のEEGレポートから視覚的に区別される。元のEEGレポートの第1の複数のチャンネルの1つのチャンネルの上の特定の時間における活動は、その特定の時間における処理済みEEGレポートの第2の複数のチャンネルの対応するチャンネル上で特定可能である。前記活動は、好ましくは、棘波、鋭波、棘徐波放電、アーチファクト等である。
【0079】
図17は、生のEEGデータのアーチファクト低減のための好ましい方法902の流れ図である。ブロック902aにおいて、元のEEG信号を、チャンネルの組から複数のエポックに分ける。複数のエポックの各々はエポック持続時間長さと重複インクリメントとを有する。ブロック902bでは、複数のエポックに対して第1のアーチファクト低減を行って電極アーチファクトを除去する。ブロック902cでは、複数のエポックに対して第2のアーチファクト低減を行って筋肉アーチファクトを除去する。ブロック502dでは、複数のエポックに対して第3のアーチファクト低減を行って眼球運動アーチファクトを除去する。ブロック902eでは、複数のエポックを結合して重複させる。複数のエポックの各々は隣接エポックと重複して処理済み連続EEGレポートを形成する。
【0080】
複数のエポックの各々は、好ましくは2秒間のエポック持続時間長さと1秒間のインクリメントとを有する。或いは、複数のエポックの各々が4秒間のエポック持続時間長さと2秒間のインクリメントとを有する。アーチファクト除去アルゴリズムは、好ましくはブラインド信号源分離アルゴリズムである。ブラインド信号源分離アルゴリズムは、好ましくはCCAアルゴリズム又はICAアルゴリズムである。クリーンなエポックは好ましくは加重平均を用いて結合し、加重平均の重み付けは好ましくはエポック中心からの距離の割合に比例したものとする。
【0081】
図18は、EEGの自動化アーチファクトフィルタリングのためのユーザインタフェースのためのシステム25を示す。患者15は電極キャップ31を着用する。電極キャップは複数の電極35a〜35cからなり、これらの電極は患者の頭部に取り付けられるとともに電極35からのワイヤ38がEEG機械コンポーネント40に接続される。EEG機械コンポーネントはプロセッサを備えたコンピュータ41への信号を増幅するための増幅器42から構成され、プロセッサは、電極35からの信号を解析しEEG記録51を形成するために用いられる。EEG記録はディスプレイ50上に視認することが可能となる。コンピュータ41上のボタンは、キーボードとディスプレイ50上のタッチスクリーンボタンのいずれを介した場合であっても、それによってEEGから複数のアーチファクトを除去するための複数のフィルタを適用してクリーンなEEGの生成を可能とするものである。本発明とともに利用される電極の更なる詳細な説明は、Method And Device For Quick Press On EEG Electrodeという名称のWilsonらに付与された米国特許第8112141号に記載されており、この米国特許は、参照によりその全体を本明細書に組み入れるものとする。そのEEGは、自動化アーチファクトフィルタリングのために最適化される。次にEEG記録はニューラルネットワークアルゴリズムを用いて処理され、処理済みEEG記録が生成され、処理済みEEG記録は表示のために解析される。
【0082】
図19乃至
図23は、解析されたEEG記録を示す。Easy SpikeReviewプログラムを開くと、初めに
図19に示すようにオーバビューウィンドウ200が提示される。このオーバビューは、棘波検出メカニズムによって検出された種々の棘波焦点からの平均を示す。これらのオーバビュー平均を形成するため、棘波の検出を検出焦点(電極)によって分類し、次に特定の焦点での全検出を数学的に平均する。例えば、EEGの第1列は、T3電極での検出の最大点を有する2969の事象の平均を表す。EEGの列は、好ましくは、白色の細い帯によって他の列から分離されるのが好ましい。EEGの列の各々は、別個のグループの平均を表す。各平均の主要電極局在点、及び各平均に組み入れられた検出事象の数、205は、EEGの列の上に示されている。検出局在点電極を含むチャンネルは、赤色で強調表示215される。引き起こされる電位と同様に、複数の検出値を平均することにより、信号対ノイズ比が高くなり、てんかん様異常の分布の領域を描出することが容易になる。
【0083】
Easy SpikeReviewウィンドウの種々の機能には、ページ当たり棘波検出を選択する能力223、EEG電圧振幅セレクタ224、モンタージュセレクタ225、LFF(TC)226、HFF227、刻み228、及びカスタムフィルタ229が含まれる。現在のビューに含まれない他のタブへのナビゲーションも、前後タブ222を用いて可能である。オーバビュー平均のページが2ページ以上存在する場合には、下側バー230をクリックすることで次のページに進む。モンタージュバー210を右クリックするとモンタージュコントロールが表示される。
【0084】
SpikeDetector出力の感度は、再検討プロセスの間に動的に調節することができる。これは再検討プロセスはラベル付けされた検出感度スライダ220を用いて行われる。Easy SpikeReviewが初めに開かれるとき、検出感度スライダ220は左端の位置にセットされている。この位置では、SpikeDetectorニューラルネットワークアルゴリズムが、てんかん様異常である可能性が高い鋭い過渡波形を特定する。即ち、検出器が、実際のてんかん様異常である可能性が高いものに割り当てる事象が存在する。この設定では偽陽性検出の割合は最小となる。従って、この設定では、偽陽性ノイズに対する真のてんかん様シグナルの比率は最大である。しかし、あまりよい形で形成されていない棘波及び鋭波は、その最小感度に設定されたスライダでは明確ではなくなることがある。検出器の感度は、スライダ220を右側のドラッグすることによって速やかに調節することができ、これにより感度を高め、従ってあまりよい形で形成されていない、又は振幅がより小さい過渡波形を特定する可能性を高められる。次に新しいグループが棘波平均のオーバビュー表示に現れてもよい。真の棘波検出の増加に応じて、偽陽性検出も増加する。
【0085】
まれなてんかん様異常を有する記録、又は最低感度に設定されたSpikeDetectorニューラルネットワークがてんかん様異常をよく認識できない記録では、検出感度スライダ220を最大に切り換えることで、実際のてんかん様異常を可視化が可能になることがある。そのような場合、まれな事象を特定するためには、個々の生の検出の評価が必要となることが多い。オーバビューページ上の棘波平均の後に全ての生の検出を連続して表示することによって、又は
図20に示すように、EEGウィンドウの上部の位置タブ221を段階的に選択することにより各電極位置での検出を再検討することによって、この評価を行うことができる。既に見た検出は、痕跡アスタリスク325でマーク付けされる。
【0086】
EEGウィンドウの上部の電極位置タブ221のいずれかをクリックすることにより、特定の電極位置から生ずる生の(非平均化)棘波検出300が表示される。個々の検出は白色の細い帯で分離され、検出点はEEGの1秒セグメントに中心が置かれ、淡い垂直な灰色の線によって示され、その上部に検出時間の表示305が設けられる。検出に関与した電極を含むチャンネルは赤色強調表示310される。個々の検出335のいずれかの上でマウスを左ダブルクリックすると、その特定の検出355が現れる、
図21に示すような拡大EEGビュー400が表示されることになる。拡大ビュー400上での左ダブルクリックにより、ユーザは、連続した個々の検出300の表示に戻ることになる。
【0087】
(EEGウィンドウの上のタブ221からアクセスされた)個々の棘波検出を視認する場合、事例となる棘波には、必要な例の上でマウスを左クリックすることによって手でマーク付けすることができる。選択された棘波330の輪郭を描く矩形が現れる。全ての検出のマーク付け又はマーク解除は、ツールバーのMark All又はUnMark Allボタン315で行うことができる。手でマーク付けされた検出は、FinalReportに現れる棘波平均に含められる。これらの手でマーク付けされた事象は、
図22に示すように、FinalReport500におけるそれらの平均の直後に連続して表示することも可能であり、また資料保存の目的又は他の検討者による評価のために印刷523することが可能である。
【0088】
EEGウィンドウの上部のFinalReportタブ528をクリックすると、選択された焦点505における全ての手でマーク付けされた実例の棘波又は鋭波510の概略が表示される。初めのデフォルトビューには、電極焦点505によって分類された、ユーザが選択した手でマーク付けされた事象の数学的平均が示される。説明した通り、頭部電圧の二次元画像表示(topogram)及び連続する個々のユーザが選択した事象は、メニューオプションの選択又はマウスの右クリックでの選択によって表示される。電圧の二次元画像表示は、基準電極モンタージュにおけるEEGを見るときにのみ形成される。
図23は、18個のユーザが選択した棘波605及び構成成分である棘波610a〜610cのグループ平均を示すFinalReportの印刷プレビュー600の図である。プログラムが閉じられるとき522、ユーザがマーク付けした棘波及び見られた事象も含めて全ての変化は自動的に保存される。
【0089】
図24は、EEG記録からアーチファクトを除去するための一般的な方法1000の流れ図である。ブロック1001において、ユーザインタフェースを用いて、EEG記録から自動的に除去されるべき複数のアーチファクトを選択する。ブロック1002では、EEGを生成する。ブロック1003では、EEGから複数のアーチファクトを除去するために複数のフィルタを適用する。ブロック1004では、クリーンなEEGを生成する。
【0090】
図25は、EEG記録からアーチファクトを除去するための別の方法1100の流れ図である。ブロック1101において、複数の電極、増幅器、及びプロセッサを備える機械からEEGを生成する。ブロック1102では、EEGからアーチファクトを除去するために複数のフィルタを順次適用する。ブロック1103では、クリーンなEEGを生成する。ブロック1104では、クリーンなEEGを表示する。
【0091】
図26は、CZ基準電極モンタージュ1400の図である。
【0092】
一実施例では、BSS−CCAと呼ばれるアルゴリズムを用いて、EEGから筋肉活動の効果を除去する。記録されたモンタージュに対してそのアルゴリズムを用いても、最適な結果が得られないことが多い。この場合、基準電極が国際10−20標準におけるCZ等の頭頂部電極の1つであるモンタージュを用いるのが概ね適切である。このアルゴリズムでは、アーチファクト除去の前に、記録されたモンタージュが初めにCZ基準電極モンタージュに変換される。CZにおける信号が、それが最適な選択ではないことを示している場合は、アルゴリズムは最適となるものを見つけるために利用可能な基準電極のリストを漸次確認してゆく。
【0093】
ユーザが選択したモンタージュに対して直接BSS−CCAを行うことも可能である。しかし、これには2つの問題がある。第1に、これにはユーザが視認するために選択されたモンタージュの各々に対して高額なアーチファクト除去プロセスを行う必要がある。第2に、アーチファクト除去はモンタージュ毎に変化するものであり、ユーザが最適基準電極を用いて基準電極モンタージュを選択したときにしか最適なものとならない。EEGを検討するために必要となるモンタージュは、アーチファクト除去のために最適なモンタージュと同一でない場合が多いため、これは良い解決とはならない。
【0094】
アーチファクト除去アルゴリズムは、好ましくはブラインド信号源分離アルゴリズムである。ブラインド信号源分離アルゴリズムは、好ましくはCCAアルゴリズム又はICAアルゴリズムである。
【0095】
図27乃至
図29は、どのようにEEG信号からのアーチファクト除去が、読み手に対して脳の真の活動をより明確に示すことを可能とするかを示す。
図27は、発作、筋肉アーチファクト、及び眼球運動アーチファクトを含むEEG記録の
図1500である。
図28は、
図27のEEG記録から筋肉アーチファクトを除去した
図1600である。
図29は、
図28のEEG記録から眼球運動アーチファクトを除去した
図1700である。
【0096】
図30は、発作を示す棘波検出の
図1800である。即ち、発作可能性1810;律動性スペクトログラム、左脳半球、1−25Hz 1820;律動性スペクトログラム、右脳半球、1−25Hz 1830;相対的非対称性スペクトログラム、大脳半球、0−18Hz 1840;ピーク包絡線、大脳半球、2−20Hz 1850;棘波検出(5秒エポック当たりカウント)1860;咀嚼アーチファクト可能性1870を示す。
【0097】
図31、
図33、及び
図35は、記録されたモンタージュを用いて筋肉アーチファクトを除去した後のEEG記録の3つの期間(第3の期間では、患者が麻痺状態とされて筋肉活動が存在しない2300)での患者の麻痺性EEG記録の図である。
図32、
図34、及び
図36は、CZ基準電極モンタージュを用いて筋肉アーチファクトを除去した後のEEG記録の3つの期間(第3の期間では、患者が麻痺状態とされて筋肉活動が存在しない2400)での患者の麻痺性EEG記録の図である。赤色は元の信号1905であり、黒色は再構成1910である。記録されたモンタージュを用いて、全ての脳の活動を除去し、黒色の再構成はほとんどフラット1900、2100、2300に現れる。しかし、CZ基準電極モンタージュを用いると、脳の活動は保持された状態で、患者が麻痺状態にあるときの第3の期間2400と類似した初めの2つの期間2000、2200が現れる。
【0098】
図37は、EEG信号からのアーチファクトのフィルタリングのための一般的な方法1200の流れ図である。ブロック1201において、複数の電極、増幅器、及びプロセッサを備える機械からEEG信号を生成する。ブロック1202では、EEG信号をチャンネルの組から複数のエポックに変換する。ブロック1203では、アーチファクト除去アルゴリズムを用いて、複数のエポックの各々からのアーチファクトをフィルタリングして、複数のクリーンなエポックを生成する。ブロック1204では、クリーンなエポックを結合して、処理済みEEG記録を生成する。
【0099】
複数のエポックの各々は、好ましくは2秒間のエポック持続時間長さと1秒間のインクリメントとを有する。或いは、複数のエポックの各々が4秒間のエポック持続時間長さと2秒間のインクリメントとを有する。
【0100】
アーチファクト除去アルゴリズムは、好ましくはブラインド信号源分離アルゴリズムである。ブラインド信号源分離アルゴリズムは、好ましくはCCAアルゴリズム又はICAアルゴリズムである。
【0101】
クリーンなエポックは好ましくは加重平均を用いて結合し、加重平均の重み付けは好ましくはエポック中心からの距離の割合に比例したものとする。
【0102】
図38は、EEG信号からアーチファクトをフィルタリングするための特定の方法1300の流れ図である。ブロック1301において、機械からEEG信号を生成する。ブロック1302では、そのEEG記録信号に対してエポック時間長さ及びエポック時間インクリメントを選択する。ブロック1303では、アーチファクト除去アルゴリズムを用いて、複数のエポックの各々からのアーチファクトをフィルタリングする。ブロック1304では、アーチファクト除去済みエポックから複数のクリーンなエポックを生成する。ブロック1305では、複数のクリーンなエポックの各々に加重平均を割り当てる。ブロック1306では、クリーンなエポックを結合して処理済みEEG記録を生成する。
【0103】
複数のエポックの各々は、好ましくは2秒間のエポック持続時間長さと1秒間のインクリメントとを有する。或いは、複数のエポックの各々が4秒間のエポック持続時間長さと2秒間のインクリメントとを有する。
【0104】
アーチファクト除去アルゴリズムは、好ましくはブラインド信号源分離アルゴリズムである。ブラインド信号源分離アルゴリズムは、好ましくはCCAアルゴリズム又はICAアルゴリズムである。
【0105】
クリーンなエポックは好ましくは加重平均を用いて結合し、加重平均の重み付けは好ましくはエポック中心からの距離の割合に比例したものとする。