【文献】
CORONADO V A ET AL,Polymorphisms in canine ATP7B: Candidate modifier of copper toxicosis in the Bedlington terrier,THE VETERINARY JOURNAL,2008年,vol. 177, no. 2,293 - 296
【文献】
Zhi-Ying Wu et al,J. Mol. Med.,84(2006),p.438-442
【文献】
Wijmenga C. et al.,Proceedings of the Nutrition Society,63(2004),p.31-39
【文献】
Stuehler B. et al.,J. Mol. Med.,82(2004),p.629-634
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
BICF2P506595(配列番号1)、BICF2P772765(配列番号2)、BICF2S2333187(配列番号3)、BICF2P1324008(配列番号4)、およびBICF2P591872(配列番号5)のSNPの有無を検出することを含む、請求項4に記載の方法。
コンピュータシステムにおいて実行される場合、コンピュータシステムに請求項7に記載のすべてのステップを実施するように指示するプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム。
肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性を決定する方法であって、試料中のイヌのゲノムにおける、請求項1に定義されている多型から選択される1つまたは複数の多型の有無を検出することを含む方法。
試料中のイヌのゲノムにおける、ChrX_63397393(SNP ATP7a_Reg16_F_42;配列番号143)の多型の有無を検出することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
コンピュータシステムにおいて実行される際に、コンピュータシステムに請求項22に記載の全ステップを実施するよう指示するプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0025】
肝臓の銅蓄積に対する感受性またはそれからの保護の確認
肝臓における銅の蓄積は、ラブラドールレトリーバー、ドーベルマン・ピンシェル、ジャーマンシェパード、キースハウンド、コッカースパニエル、ウェストハイランド・ホワイトテリア、ベッドリントンテリア、およびスカイテリアを含む多数のイヌの血統における肝疾患をもたらす。任意の血統の正常イヌの肝臓における平均銅濃度は、乾燥重量を基準にして200〜400mg/kgであるが、新生児のイヌは一般にそれより高い肝臓銅濃度を有する。イヌの肝臓における銅の量は、生検によって測定することができる。
【0026】
肝臓の銅蓄積に対して感受性であるイヌは、銅を蓄積する傾向を有し、その結果その肝臓銅濃度は、乾燥重量を基準にして400mg/kgを超えるレベルに達する。肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性を本発明により決定することは、イヌが400mg/kg、例えば600mg/kgを超え、800mg/kgを超え、1000mg/kgを超え、1500mg/kgを超え、2000mg/kgを超え、5000mg/kgを超え、または10000mg/kgを超えるレベルにまで肝臓銅を蓄積する危険性または可能性を決定することを含む。
【0027】
肝臓の銅蓄積から保護されるイヌは、肝臓銅を蓄積する危険性または可能性が低く、その結果その肝臓銅濃度が乾燥重量を基準にして400mg/kgを超えるに至る可能性は低い。肝臓の銅蓄積から保護されるイヌの肝臓銅濃度は、600mg/kg未満、例えば500mg/kg未満、400mg/kg未満、または300mg/kg未満であろう。イヌが肝臓の銅蓄積から保護される可能性を本発明により決定することは、イヌが肝臓銅を600mg/kg未満、例えば500mg/kg未満、400mg/kg未満、または300mg/kg未満のレベルにまで蓄積する可能性を決定することを含む。
【0028】
肝臓銅の蓄積は、組織化学によって評価することができる。例えば、肝銅濃度は、以前に記載された通り、銅の分布を評価するためのルベアン酸染色技法を用いた組織化学によって半定量的に評価することができる(Van den Inghら、(1988)Vet Q10:84〜89)。濃度は、次の通り0から5のスケールに段階付けすることができる。0=銅の存在なし、1=いくつかの銅陽性顆粒を含む孤立性肝細胞および/または細網組織球(reticulohistiocytic)(RHS)細胞、2=少数〜中程度の数の銅陽性顆粒を含む小集団の肝細胞および/またはRHS細胞、3=中程度の数の銅陽性顆粒を含む大集団または広範囲の肝細胞および/またはRHS細胞、4=多数の銅陽性顆粒を有する広範囲の肝細胞および/またはRHS細胞、ならびに5=多数の銅陽性顆粒を有する肝細胞および/またはRHS細胞が分散して存在する。この段階付けシステムによると、2を超える銅スコアは異常である。
【0029】
したがって、本発明によりイヌが肝臓の銅蓄積から保護されている可能性を決定することは、Van den Inghらに記載されている段階付けシステムを用いて、イヌが3未満またはそれに等しい、例えば2.5、2、1.5未満またはそれに等しい、あるいは1未満またはそれに等しいスコアを付与される可能性の決定に関与し得る。肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性を本発明により決定することは、Van den Inghらに記載されている段階付けシステムを用いて、イヌが2を超えるまたはそれに等しい、例えば2.5、3、3.5を超えるまたはそれに等しい、あるいは4を超えるまたはそれに等しいスコアを付与される危険性または可能性の決定に関与し得る。
【0030】
保護の可能性または感受性は、例えば危険性因子、パーセンテージまたは確率として表すことができる。イヌが銅を上述のレベルまで蓄積するであろうか否か決定することもできる。例えば、肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性またはイヌがそれから保護されている可能性を決定する方法は、イヌが銅を400mg/kgを超えるレベルまで蓄積するであろうか否か決定することを含むことができる。
【0031】
肝臓銅の400mg/kgを超えるレベルまでの蓄積は、肝疾患を伴い、最終的に肝不全に至り得る。したがって、イヌのゲノムが肝臓の銅蓄積からの保護を示す1つまたは複数の多型を含むかを決定することは、イヌが慢性肝炎、肝硬変および肝不全等、肝臓の銅蓄積に起因し得る疾患または状態を発症する可能性が低いことを示す。反対に、イヌのゲノムが肝臓の銅蓄積に対する感受性を示す1つまたは複数の多型を含むかを決定することは、このような疾患または状態に対するイヌの感受性を示す。したがって、本発明は、慢性肝炎、肝硬変および肝不全などの肝臓の銅蓄積と関連する疾患に対するイヌの感受性またはそれからの保護の可能性を検査する方法を提供する。
【0032】
銅蓄積に対する感受性またはそれからの保護の多型および徴候
本発明者らは、イヌのゲノムにおいて、肝臓の銅蓄積に対する感受性と関連する多数の多型を発見した。したがって、本発明は、これらのゲノム位置における1つまたは複数の多型マーカーを用いた、肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性を決定する方法に関する。
【0033】
したがって、本発明は、イヌを検査して肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性を決定する方法であって、試料中のイヌのゲノムにおける、
(a)Chr22_3167534(配列番号144)、Chr22_3135144(配列番号145)、Chr20_55461150(配列番号146)、ChrX_120879711(配列番号147)、Chr19_6078084(配列番号148)、Chr15_62625262(配列番号149)、Chr14_39437543(配列番号150)、Chr15_62625024(配列番号151)、Chr3_86838677(配列番号152)、Chr24_4011833(配列番号153)、Chr18_60812198(配列番号154)、Chr10_65209946(配列番号155)および染色体位置22:3135287におけるCGCCCCリピート、
(b)前記多型(a)と連鎖不平衡にある1つまたは複数の多型、および/または
(c)Chr32_38904515(配列番号156)、Chr8_4892743(配列番号157)およびChr8_4880518(配列番号158)
から選択される1つまたは複数の多型の有無を検出することを含む方法を提供する。
【0034】
本発明者らは、イヌのゲノムにおいて、肝臓の銅蓄積からの保護と関連する多型も発見した。したがって、本発明は、これらのゲノム位置における1つまたは複数の多型マーカーを用いた、イヌが肝臓の銅蓄積から保護されている可能性を決定する方法に関する。
【0035】
したがって、本発明は、イヌを検査してイヌが肝臓の銅蓄積から保護されている可能性を決定する方法であって、試料中のイヌのゲノムにおける、(a)Chr22_3135144(配列番号145)および(b)(a)と連鎖不平衡にある1つまたは複数の多型から選択される1つまたは複数の多型の有無を検出することを含む方法も提供する。
【0036】
「多型の有無を検出すること」という語句は、典型的には、多型がイヌのゲノム中に存在するかどうかを決定することを意味する。多型は、一塩基多型(SNP)、マイクロサテライトまたはリピート多型、挿入多型および欠失多型を含む。好ましくは、多型はSNPである。SNPの有無を検出することは、SNPの遺伝子型を同定することまたはイヌのゲノムに存在するヌクレオチド(単数または複数)をSNPについてタイピングすることを意味する。典型的には、両方の相同性の染色体上の同じ位置に存在するヌクレオチドが決定されるであろう。即ち、一方または両方の対立遺伝子が遺伝子型決定され、一方または両方の対立遺伝子の同一性が、この遺伝子型決定に基づき決定される。イヌは、SNPの第1の対立遺伝子に関してホモ接合型であり、第2の対立遺伝子に関してヘテロ接合型またはホモ接合型であると決定され得る。多型が、マイクロサテライトまたはリピート配列である場合、方法は典型的には、リピート数の決定に関与するであろう。
【0037】
疾患または病態に対する個体の感受性またはそれからの個体の保護などの個体の表現型を決定することは、疾患または病態の原因となる多型の検出に限定されない。遺伝子マッピングの試験においては、個体の試料中の一連のマーカー遺伝子座における遺伝子変化が、所与の表現型との関連について検査される。そのような関連が特定のマーカー遺伝子座と表現型との間で見出されれば、それは、そのマーカー遺伝子座における変化が関心のある表現型に影響するか、またはそのマーカー遺伝子座における変化は遺伝子型が決定されていない、真の表現型に関係した遺伝子座と連鎖不平衡にあるかのいずれかであることを示唆する。互いに連鎖不平衡にある多型の群の場合には、特定の個体におけるすべてのそのような多型の存在の知識は一般的には余剰な情報を提供する。したがって、イヌのゲノムが、肝臓の銅蓄積または銅関連肝疾患に対する感受性またはそれからの保護を示す1つまたは複数の多型を含むかどうかを決定するとき、多型のそのような群のただ1つの多型だけを検出することが必要である。
【0038】
連鎖不平衡の結果として、機能的感受性/保護的多型ではないが、機能的多型と連鎖不平衡にある多型は、機能的多型の存在を示すマーカーとして作用し得る。本発明の多型と連鎖不平衡にある多型は、肝臓の銅蓄積に対する感受性またはそれからの保護を示す。
【0039】
したがって、本明細書において定義した多型の位置の任意の1つは、直接的に、換言すれば、その位置に存在するヌクレオチドを決定することにより、または間接的に、例えば前記多型の位置と連鎖不平衡にある他の多型の位置に存在するヌクレオチドを決定することにより、タイピングすることができる。
【0040】
連鎖不平衡は、集団中の異なった遺伝子座における対立遺伝子の非ランダムの配偶子関連性である。ランダムな組合せにより独立に遺伝されるのではなく一緒に遺伝される傾向を有する多型は、連鎖不平衡にある。2つの多型が一緒の頻度が、2つの多型の個々の頻度の積であれば、多型は互いにランダムに組み合わされまたは独立に遺伝される。例えば、異なった多型部位における2つの多型が集団中の染色体の50%に存在する場合に、2つの対立遺伝子が集団中の染色体の25%に一緒に存在すれば、そのとき、それらはランダムに組み合わされていると言われる。より高いパーセンテージは2つの対立遺伝子が連関していることを意味するであろう。2つの多型の頻度が、集団中で個々に、同時に2つの多型の頻度の積より大きければ、第1の多型は第2の多型と連鎖不平衡にあることになる。集団中において、2つの多型が一緒の頻度が、10%を超え、例えば30%を超え、50%を超え、または70%を超え、2つの多型の個々の頻度の積を超えるならば、第1の多型は第2の多型と連鎖不平衡にあることになる。
【0041】
研究は、連鎖不平衡がイヌには大量にあることを示した(Extensive and breed−specific linkage disequilibrium in Canis familiaris、 Sutterら、Genome Research 14:2388〜2396)。連鎖不平衡にある多型は、物理的に近接していることが多く、それは、それらが共遺伝されるからである。本明細書において言及した多型と連鎖不平衡にある多型は、同じ染色体上に位置する。イヌで連鎖不平衡にある多型は、典型的には5mb以内、好ましくは2mb以内、1mb以内、700kb以内、600kb以内、500kb以内、400kb以内、200kb以内、100kb以内、50kb以内、10kb以内、5kb以内、1kb以内、500bp以内、100bp以内、50bp以内または10bp以内の多型である。
【0042】
本明細書において定義した多型の位置のいずれか1つと連鎖不平衡にある多型を、日常的技法を使用して同定することは、当業者の能力の内であろう。可能性のある多型が選択されれば、当業者は、この多型とどの多型の型または対立遺伝子とが、本明細書において定義した多型のどれと有意に相関しているかを、容易に決定することができる。
【0043】
より詳細には、多型が本明細書において定義した多型のどの1つと連鎖不平衡にあるかどうかを決定するために、当業者は、イヌのパネルで、候補の多型および1つまたは複数の本明細書において定義した多型の遺伝子型を決定すべきである。パネルのサイズは、統計的に有意な結果を達成するのに十分であるべきである。典型的には、少なくとも100、好ましくは少なくとも150、または少なくとも200頭の、異なったイヌからの試料が遺伝子型を決定されるべきである。パネル中のイヌは任意の血統であってよいが、典型的には同じかまたは類似の遺伝的血統背景を有するであろう。イヌのパネルで多型が遺伝子型を決定されれば、多型の1つまたは複数の対の間の連鎖不平衡は、多数の容易に入手できる統計用パッケージのいずれか1つを使用して測定することができる。フリーソフトウェアパッケージの例は、Haploview(Haploview:analysis and visualisation of LD and haplotype maps、Barrettら、2005、Bioinformatics、21(2):263〜265)であり、http://www.broadinstitute.org/haploview/haploviewでダウンロードできる。用いることのできるソフトウェアの別の一例は、PLINK(http://pngu.mgh.harvard.edu/purcell/plink/)である。
【0044】
連鎖不平衡の尺度はD’である。D’の0.5〜1の範囲は、多型の対が連鎖不平衡にあることを示し、1は最も有意の連鎖不平衡を示す。したがって、候補の多型と特定の本明細書において定義した多型とについて、D’が、0.5〜1、好ましくは0.6〜1、0.7〜1、0.8〜1、0.85〜1、0.9〜1、0.95〜1または最も好ましくは1であることがわかれば、候補の多型は、本明細書において定義した多型を予測するということができ、それ故、肝臓の銅蓄積に対する感受性またはそれからの保護を示すであろう。本発明の好ましい方法において、本明細書において定義した多型と連鎖不平衡にあるにある多型は、680kb以内でありかつ本明細書において定義した多型と同じ染色体上にあり、多型の対間の連鎖不平衡の計算された尺度D’は、0.9以上である。
【0045】
連鎖不平衡の他の尺度はRの2乗であり、ここで、Rは補正係数である。「決定係数」としても知られるRの2乗は、第1の多型の遺伝子型における分散の第2の多型の遺伝子型に占める分率である。したがって、候補の多型と特定の本明細書において定義した多型とに対して0.5というRの2乗は、候補の多型が特異的多型における分散の50%を占めることを意味するであろう。Rの2乗はHaploviewなどの標準的統計用パッケージから出せる。典型的には、0.25以上のRの2乗(R>0.5または<−0.5)は大きい相関と見なされる。したがって候補の多型と特定の本明細書において定義した多型とについて、Rの2乗が0.5以上、好ましくは0.75以上、0.8以上、0.85以上、0.9以上または0.95以上であると見出されれば、候補の多型は本明細書において定義した多型を予測するということができ、肝臓の銅蓄積に対する感受性またはそれからの保護を示すであろう。本発明の好ましい方法において、本明細書において定義した多型と連鎖不平衡にあるにある多型は、680kb以内でかつ本明細書において定義した多型と同じ染色体上にあり、多型の対の間の連鎖不平衡の計算された尺度、Rの2乗は0.5以上である。
【0046】
本発明の多型とLDにある多型のハプロタイプを構築することも可能である。1つまたは複数の多型は、本発明の多型と個別にはほんの弱いLDにある場合であっても、組み合わせて用いれば強いLDになり得る。例えば、ある1個の多型は、0.25を下回るRの2乗(R-squared)値を有し得る。しかし、個々に0.25を下回るRの2乗を有する2個以上の突然変異は、組み合わせると、0.5を上回るRの2乗を有し得る。したがって、これらの多型は、組み合わせて用いて、肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性またはそれからイヌを保護する可能性を決定することができる。
【0047】
したがって、本発明の方法は、本明細書に定義されている多型と連鎖不平衡にある2個以上の多型の有無を検出することを含むことができ、前記2個以上の多型それぞれのRの2乗は個々に、0.25以下となり得るが、前記2個以上の多型の組合せのRの2乗は、0.5以上である。
【0048】
多型が本明細書において定義した多型と連鎖不平衡にあり、したがって相関していると確認されれば、当業者は、どの型の多型、すなわちどの対立遺伝子が、肝臓の銅蓄積に対する感受性またはそれからの保護と関連するかを容易に決定することができる。これは、イヌのパネルを肝臓の銅蓄積について表現型解析し、イヌを肝臓の銅蓄積のレベルに関して分類することにより達成することができる。次に、イヌのパネルは、関心のある多型について遺伝子型を決定される。次に、遺伝子型は、遺伝子型と肝臓の銅レベルとの関連を決定し、それによりどの対立遺伝子が肝臓の銅蓄積に対する感受性またはそれからの保護と関連するかどうかを決定するために、肝臓銅のレベルと相関づけされる。
【0049】
肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性を示すことが判明した本発明の多型は、表17および18に同定されている。特に、これらは:Chr22_3167534(配列番号144)、Chr20_55461150(配列番号146)、ChrX_120879711(配列番号147)、Chr32_38904515(配列番号156)、Chr19_6078084(配列番号148)、Chr15_62625262(配列番号149)、Chr14_39437543(配列番号150)、Chr15_62625024(配列番号151)、Chr3_86838677(配列番号152)、Chr8_4892743(配列番号157)、Chr24_4011833(配列番号153)、Chr18_60812198(配列番号154)、Chr8_4880518(配列番号158)、Chr10_65209946(配列番号155)およびChr22_3135144(配列番号145)である。
【0050】
加えて、ATP7B遺伝子におけるマイクロサテライトリピートは、肝臓の銅蓄積に対する感受性と関連することが判明した。これは、ゲノム位置3135287において開始する第22染色体におけるCGCCCCリピートである(22:3135287)。リピート配列は、
図3において図解されている(配列番号236〜238)。2個(配列番号236)、3個(配列番号237)、4個(配列番号238)および潜在的にはそれ以上の個数のリピートが存在し得る。したがって、本発明の方法は、イヌのゲノムにおけるCGCCCCリピートの数を決定することを含み得る。
【0051】
肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性を決定する方法は、試料中のイヌのゲノムにおける、
(a)Chr22_3167534(配列番号144)、Chr22_3135144(配列番号145)、Chr20_55461150(配列番号146)、ChrX_120879711(配列番号147)、Chr19_6078084(配列番号148)、Chr15_62625262(配列番号149)、Chr14_39437543(配列番号150)、Chr15_62625024(配列番号151)、Chr3_86838677(配列番号152)、Chr24_4011833(配列番号153)、Chr18_60812198(配列番号154)、Chr10_65209946(配列番号155)および染色体位置22:3135287におけるCGCCCCリピート、
(b)前記多型(a)と連鎖不平衡にある1つまたは複数の多型、および/または
(c)Chr32_38904515(配列番号156)、Chr8_4892743(配列番号157)およびChr8_4880518(配列番号158)
から選択される1つまたは複数の多型の有無を検出することを含む。
【0052】
本発明を実施するために、任意の数および任意の組合せの多型を検出することができる。少なくとも2つの多型が検出されることが好ましい。2〜5、3〜8、5〜10または8〜15個の多型が検出されることが好ましい。
【0053】
イヌのDNAは、
(i)1つまたは複数の多型(a);
(ii)1つまたは複数の多型(b);
(iii)1つまたは複数の多型(c);
(iv)1つまたは複数の多型(a)および1つまたは複数の多型(b);
(v)1つまたは複数の多型(a)および1つまたは複数の多型(c);または
(vi)1つまたは複数の多型(b)および1つまたは複数の多型(c)
のそれぞれの位置でタイピングすることができる。
【0054】
好ましくは、肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性を決定する方法は、試料中のイヌのゲノムにおける、
(a)Chr22_3167534(配列番号144)、Chr22_3135144(配列番号145)、Chr20_55461150(配列番号146)、Chr19_6078084(配列番号148)、Chr3_86838677(配列番号152)、Chr10_65209946(配列番号155)およびChrX_63338063(配列番号142);または
(b)ChrX_120879711(配列番号147)、Chr15_62625262(配列番号149)、Chr22_3167534(配列番号144)、Chr8_4892743(配列番号157)、Chr24_4011833(配列番号153)およびChr18_60812198(配列番号154)
の有無を検出することを含む。
【0055】
高銅と関連する突然変異の対立遺伝子を表18に提示する。よって、本発明の肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性を決定する方法は、Chr22_3167534(配列番号144)のA対立遺伝子、Chr20_55461150(配列番号146)のA対立遺伝子、ChrX_120879711(配列番号147)のC対立遺伝子、Chr32_38904515(配列番号156)のC対立遺伝子、Chr19_6078084(配列番号148のT対立遺伝子、Chr15_62625262(配列番号149)のA対立遺伝子、Chr14_39437543(配列番号150)のG対立遺伝子、Chr15_62625024(配列番号151)のA対立遺伝子、Chr3_86838677(配列番号152)のC対立遺伝子、Chr8_4892743(配列番号157)のT対立遺伝子、Chr24_4011833(配列番号153)のG対立遺伝子、Chr18_60812198(配列番号154)のA対立遺伝子、Chr8_4880518(配列番号158)のA対立遺伝子、Chr10_65209946(配列番号155)のT対立遺伝子および/またはChr22_3135144(配列番号145)のG対立遺伝子の有無を決定し、これによってイヌのゲノムが銅蓄積に対する感受性を示す多型を有するか決定することを含み得る。
【0056】
染色体位置22:3135287におけるCGCCCCリピートの追加のコピー毎に、銅蓄積の危険性を増加させることが判明した。よって、肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性を決定する方法は、染色体位置22:3135287におけるCGCCCCリピートの数を決定することを含み得る。2個以上のリピート、例えば、3または4個のリピートの存在は、肝臓の銅蓄積に対する感受性を示す。
【0057】
本発明の好ましい方法において、多型(a)と連鎖不平衡にある多型は、SNPである。連鎖不平衡にあることの結果として、この多型は、肝臓の銅蓄積に対する感受性を示すであろう。多型(a)と連鎖不平衡にあるSNPの例を表19に提示し、このSNPの前後の配列を表20に示す。これらのSNPは、単独で用いて、あるいは1つまたは複数の多型(a)および/または(c)と組み合わせて用いて、肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性を決定することができる。したがって、本発明の方法は、試料中のイヌのゲノムにおける、表19および表20における多型から選択される1つまたは複数の多型の有無を検出することを含むことができる。
【0058】
本発明者らは、肝臓の銅蓄積からの保護を示す、ATP7A遺伝子における多型を以前に発見した。例えば、(ChrX_63338063;SNP ATP7a_Reg3_F_6;配列番号142)。よって、肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性を決定する方法は、試料中のイヌのゲノムにおける、
(d)ChrX_63338063(SNP ATP7a_Reg3_F_6;配列番号142)および/または
(e)前記多型(d)と連鎖不平衡にある1つまたは複数の多型
から選択される1つまたは複数の多型の有無を検出することをさらに含むことができる。
【0059】
Chr22_3135144のA対立遺伝子およびChrX_63338063のT対立遺伝子は、低銅または肝臓の銅蓄積からの保護と関連する。逆に、Chr22_3135144のG対立遺伝子およびChrX_63338063のC対立遺伝子は、高銅または肝臓の銅蓄積に対する感受性と関連する。よって、肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性を決定する方法は、Chr22_3135144のAもしくはG対立遺伝子および/またはChrX_63338063のTもしくはC対立遺伝子の有無を決定することを含み得る。Chr22_3135144のA対立遺伝子および/またはChrX_63338063のT対立遺伝子の存在は、イヌが、肝臓の銅蓄積から保護される可能性があることを示し、Chr22_3135144のG対立遺伝子および/またはChrX_63338063のC対立遺伝子の存在は、イヌが、肝臓の銅蓄積に対し感受性が高い可能性があることを示す。
【0060】
肝臓の銅蓄積からの保護と関連することが判明した多型は、イヌが肝臓の銅蓄積から保護されている可能性を決定する方法において用いることができる。よって、本発明は、イヌを検査してイヌが肝臓の銅蓄積から保護されている可能性を決定する方法であって、試料中のイヌのゲノムにおける、(a)Chr22_3135144(配列番号145)および(b)(a)と連鎖不平衡にある1つまたは複数の多型から選択される1つまたは複数の多型の有無を検出することを含む方法を提供する。
【0061】
本発明を実施するために、任意の数および任意の組合せの多型を検出することができる。好ましくは、少なくとも2個の多型が検出される。好ましくは、2〜5、3〜8、5〜10または8〜15個の多型が検出される。
【0062】
したがって、イヌのDNAは、
(i)多型(a)および/または
(ii)1つまたは複数の多型(b)
のそれぞれのポジションにおいて分類することができる。
【0063】
イヌが肝臓の銅蓄積から保護されている可能性を決定する方法は、試料中のイヌのゲノムにおける、(c)ChrX_63338063(SNP ATP7a_Reg3_F_6;配列番号142)および/または(d)(c)と連鎖不平衡にある1つまたは複数の多型の有無を検出することをさらに含むことができる。ChrX_63338063(SNP ATP7a_Reg3_F_6;配列番号142)と連鎖不平衡にある多型の例は、ChrX_63397393(SNP ATP7a_Reg16_F_42;配列番号143)である。さらなる例を表19および表20に提示する。したがって、イヌが肝臓の銅蓄積から保護されている可能性を決定する方法は、試料中のイヌのゲノムにおける、(c)ChrX_63338063(SNP ATP7a_Reg3_F_6;配列番号142)および/または(d)ChrX_63397393(SNP ATP7a_Reg16_F_42;配列番号143)の有無を検出することをさらに含むことができる。
【0064】
好ましくは、イヌが肝臓の銅蓄積から保護されている可能性を決定する方法は、試料中のイヌのゲノムにおける、
Chr22_3167534(配列番号144)、Chr22_3135144(配列番号145)、Chr20_55461150(配列番号146)、Chr19_6078084(配列番号148)、Chr3_86838677(配列番号152)、Chr10_65209946(配列番号155)およびChrX_63338063(配列番号142)
の有無を検出することを含む。
【0065】
上に示す通り、Chr22_3135144のA対立遺伝子およびChrX_63338063のT対立遺伝子は、低銅または肝臓の銅蓄積からの保護と関連する。逆に、Chr22_3135144のG対立遺伝子およびChrX_63338063のC対立遺伝子は、高銅または肝臓の銅蓄積に対する感受性と関連する。よって、イヌが肝臓の銅蓄積から保護されている可能性を決定する方法は、Chr22_3135144のAもしくはG対立遺伝子および/またはChrX_63338063のTもしくはC対立遺伝子の有無を決定することを含むことができる。Chr22_3135144のA対立遺伝子および/またはChrX_63338063のT対立遺伝子の存在は、イヌが、肝臓の銅蓄積から保護される可能性があることを示し、Chr22_3135144のG対立遺伝子およびChrX_63338063のC対立遺伝子の存在は、イヌが、肝臓の銅蓄積から保護される可能性が低いことを示す。
【0066】
本明細書に記載されている高い肝臓銅または肝臓の銅蓄積に対する感受性と関連することが判明した多型も、イヌが肝臓の銅蓄積から保護されている可能性を決定する方法において用いることができる。高い肝臓銅と関連する対立遺伝子の非存在の決定は、イヌが肝臓の銅蓄積から保護されている可能性の決定に役立つことができる。したがって、イヌが肝臓の銅蓄積から保護されている可能性を決定する方法は、試料中のイヌのゲノムにおける、
(e)Chr22_3167534(配列番号144)、Chr22_3135144(配列番号145)、Chr20_55461150(配列番号146)、ChrX_120879711(配列番号147)、Chr19_6078084(配列番号148)、Chr15_62625262(配列番号149)、Chr14_39437543(配列番号150)、Chr15_62625024(配列番号151)、Chr3_86838677(配列番号152)、Chr24_4011833(配列番号153)、Chr18_60812198(配列番号154)、Chr10_65209946(配列番号155)および染色体位置22:3135287におけるCGCCCCリピート、
(f)前記多型(e)と連鎖不平衡にある1つまたは複数の多型、および/または
(g)Chr32_38904515(配列番号156)、Chr8_4892743(配列番号157)およびChr8_4880518(配列番号158)
から選択される1つまたは複数の多型の有無を検出することを含むことができる。
【0067】
本発明者らは、以前、イヌのGOLGA5、ATP7AおよびUBL5各遺伝子におけるまたはその領域おける多型が、イヌにおける肝臓の銅蓄積に対する感受性を示すことを発見した(実施例1および2)。したがって、これらの多型は、本発明の多型と組み合わせて用いてイヌが肝臓の銅蓄積に対して感受性であるまたはそれから保護されている危険性または可能性を決定するための、改良された遺伝子検査を提供することができる。したがって肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性およびそれからのイヌの保護を決定する本発明の方法は、(I)肝臓の銅蓄積に対して感受性を示すイヌのGOLGA5、ATP7AまたはUBL5の遺伝子における多型および/または(II)前記多型(I)と連鎖不平衡にある多型の有無を検出することをさらに含むことができる。本発明の多型に加えて、いかなる個数およびいかなる組合せのこれらの多型が検出されてもよい。好ましくは、少なくとも2個のさらなるこれらの多型が検出される。好ましくは、2〜5個、3〜8個または5〜10個の多型がさらに検出される。
【0068】
したがって、イヌのDNAは、(i)多型(I)および/または(ii)1つまたは複数の多型(II)のそれぞれの位置においてさらにタイピングすることができる。さらに、イヌのDNAは、
(i)2個以上の多型(I)、
(ii)2個以上の多型(II)または
(iii)1つまたは複数の多型(I)および1つまたは複数の多型(II)
のそれぞれの位置においてタイピングすることができる。
【0069】
2つの多型(I)があるとき、各多型は、GOLGA5、ATP7AおよびUBL5遺伝子の別々の1つでもあってよく、またはこれらの遺伝子のただ1つだけであってもよい。3つ以上の多型(I)、例えば3〜10個のそのような多型があるとき、多型は、同じ遺伝子中に、2つの遺伝子中にまたは3つのすべての遺伝子中にあってもよい。
【0070】
同様に、2つの多型(II)があるとき、各多型は、GOLGA5、ATP7AおよびUBL5遺伝子の別々の1つの中に、またはこれらの遺伝子のただ1つだけの中にある多型と連鎖不平衡にあってよい。3つ以上の、例えば3〜10個のそのような多型(II)があるとき、多型は、同じ遺伝子中の、2つの遺伝子中にまたは3つのすべての遺伝子中にある多型と連鎖不平衡にあってよい。
【0071】
本発明の好ましい方法は、肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性を示す、GOLGA5、ATP7AまたはUBL5遺伝子中の少なくとも1つの多型(I)および前記多型(I)と連鎖不平衡にある少なくとも1つの多型(II)の有無を検出することをさらに含む。
【0072】
本発明の好ましい方法において、感受性を示す多型(I)および/または(II)はSNPである。SNPは、肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性を示す、GOLGA5、ATP7aもしくはUBL5遺伝子中のまたはその領域中の任意のSNPおよび/またはそれらと連鎖不平衡にあるSNPであってよい。
【0073】
したがって、本発明の方法は、表4、表5および表6において特定されたSNPから選択される、イヌのゲノムが肝臓の銅蓄積に対する感受性を示す1つまたは複数の多型を含むかどうかを決定することをさらに含むことができる。表4および5において、各SNPは、配列中の位置61に位置する。第1のおよび第2の対立遺伝子は、各SNPに対してその遺伝子座([第1の/第2の])で提供される。表6には、各SNPに対する第1のおよび第2の対立遺伝子も示されている。任意の数のSNPが、表4、5および6から任意の組合せで使用することができる。SNPは異なったタイプの多型と組み合わせることもできる。
【0074】
好ましくは、肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性またはイヌが肝臓の銅蓄積から保護されている可能性を決定する方法は、表4および表6中のSNPから選択される1つまたは複数のSNP、および/またはそれらと連鎖不平衡にある1つまたは複数のSNPの有無を検出することをさらに含む。したがって、1つまたは複数のSNPが、BICF2P506595(配列番号1の位置61)、BICF2P772765(配列番号2の位置61)、BICF2S2333187(配列番号3の位置61)、BICF2P1324008(配列番号4の位置61)、BICF2P591872(配列番号5の位置61)、ATP7a_Reg4_F_9(配列番号131の位置164)、UBL5_Reg1F_16(配列番号132の位置97)、golga5_Reg1_24(配列番号133の位置70)、golga5_26(配列番号134の位置88)、golga5_27(配列番号135の位置104)、golga5_28(配列番号136の位置139)、golga5_29(配列番号137の位置128)、golga5_30(配列番号138の位置95)、golga5_31(配列番号139の位置106)、atp7areg17_32(配列番号140の位置95)、atp7areg17_33(配列番号141の位置90)およびそれらと連鎖不平衡にある1つまたは複数のSNPから選択されることが好ましい。したがって、これらの16個のSNPのいずれかまたはこれらの16個のSNPのいずれかと連鎖不平衡にある任意のSNPはタイピングすることができる。これら16個のSNPの少なくとも2つまたは連鎖不平衡にあるSNPがタイピングされることが好ましい。
【0075】
より好ましくは、本発明の方法は、表4中のSNPから選択される1つまたは複数のSNPの有無を検出することをさらに含む。したがって、これらの5個のSNPのいずれかまたはこれらの5個のSNPのいずれかと連鎖不平衡にある任意のSNPをタイピングすることができる。好ましくは、これらの5個のSNPの少なくとも2個または連鎖不平衡にあるSNPがタイピングされる。より好ましくは、すべての5個の位置がタイピングされる。したがって、タイピングされるヌクレオチド(単数または複数)は、
・配列番号1(BICF2P506595、SNP1)の位置61;
・配列番号2(BICF2P772765、SNP2)の位置61;
・配列番号3(BICF2S2333187、SNP3)の位置61;
・配列番号4(BICF2P1324008、SNP4)の位置61;
・配列番号5(BICF2P591872、SNP5)の位置61;または
・これらの位置のいずれか1つと連鎖不平衡にある任意の位置と同等の位置から選択されることが好ましい。好ましくは、該方法は、BICF2P506595のSNP(配列番号1)、BICF2P772765(配列番号2)、BICF2S2333187(配列番号3)、BICF2P1324008(配列番号4)、およびBICF2P591872(配列番号5)の有無を検出することを含む。
【0076】
SNP1はGOLGA5遺伝子のイントロンの中に位置する。SNP2、3および4はUBL5遺伝子の領域中に位置する。SNP5は、ATP7A遺伝子の領域中に位置する。したがって本発明の検出方法は、1つまたは複数のこれらの遺伝子の内部にまたは領域中に(コード領域中にまたはそれ以外に)ある任意のSNP、または連鎖不平衡にある任意の他のSNPに関する。
【0077】
実施例2は、銅蓄積に対する感受性のBooleanモデルを確立するためのSNP1〜5の使用を示す。表3は、3つのゲノムの遺伝子座における対立遺伝子の2元状態を示す。2元値は、イヌが銅蓄積に対する感受性を示す対立遺伝子(「悪い」対立遺伝子)を有することを示す。例えば、000は、3種の悪い対立遺伝子のいずれも有しないことを表す。111は、3種の悪い対立遺伝子をすべて有することを表す。
【0078】
SNP BICF2P506595(SNP1)のA対立遺伝子、SNP BICF2P772765(SNP2)のG対立遺伝子、SNP BICF2S2333187(SNP3)のC対立遺伝子、SNP BICF2P1324008(SNP4)のG対立遺伝子およびSNP BICF2P591872(SNP5)のA対立遺伝子は、本発明者らにより、肝臓の銅蓄積に対する感受性を示すことが決定された。これらの対立遺伝子がホモ接合型のイヌは、肝臓の銅蓄積に対し感受性が高い。したがって、本発明の好ましい方法は、SNP BICF2P506595のA対立遺伝子、SNP BICF2P772765(SNP2)のG対立遺伝子、SNP BICF2S2333187(SNP3)のC対立遺伝子、SNP BICF2P1324008(SNP4)のG対立遺伝子および/またはSNP BICF2P591872(SNP5)のA対立遺伝子の有無を決定し、これによってイヌのゲノムが肝臓の銅蓄積に対する感受性を示す多型を含むか決定することをさらに含む。より好ましい方法は、SNP BICF2P506595のAA遺伝子型、SNP BICF2P772765のGG遺伝子型、SNP BICF2S2333187のCC遺伝子型、SNP BICF2P1324008のGG遺伝子型および/またはSNP BICF2P591872のAAもしくはAG遺伝子型の有無を検出することを含む。
【0079】
したがって、肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性またはイヌが肝臓の銅蓄積から保護されている可能性を決定する好ましい方法は、
(i)SNP BICF2P506595(SNP1)のAA遺伝子型、
(ii)SNP BICF2P772765(SNP2)のGG遺伝子型、
(iii)SNP BICF2S2333187(SNP3)のCC遺伝子型、
(iv)SNP BICF2P1324008(SNP4)のGG遺伝子型および/または
(v)SNP BICF2P591872(SNP5)のAAもしくはAG遺伝子型
の有無を検出し、これによってイヌのゲノムが、肝臓の銅蓄積からの保護および/または肝臓の銅蓄積に対する感受性を示す1つまたは複数の多型を含むか決定することをさらに含む。より好ましい方法は、遺伝子型(i);遺伝子型(ii)、(iii)および(iv);または遺伝子型(v)の有無を検出することを含む。さらにより好ましい方法は、すべての5つの遺伝子型(i)から(v)のすべての有無を検出することを含む。
【0080】
イヌのゲノム中に存在するヌクレオチド(単数または複数)を、表4、5、6、8、18および20のいずれかで特定された位置でタイピングすることは、表4、5、6、8、18および20において特定された配列と厳密に対応する配列中のこの位置に存在するヌクレオチドがタイピングされることを意味し得る。しかしながら、表4において特定された配列番号1〜5、表5中の配列番号6〜130、表6中の配列番号131〜141、配列番号142および表8中の配列番号143、表18中の配列番号144〜158および表20中の配列番号159〜226において提示された厳密な配列は、検査されるイヌに必ず存在するわけではないことは理解されるであろう。したがって、存在するヌクレオチドのタイピングは、表4、5、6、8、18および20において特定された位置において、または該配列中の同等のまたは対応する位置においてであり得る。したがって、ここで使用された同等という用語は、表4、5、6、8、18および20において特定された位置においてまたは対応する位置においてを意味する。SNPの配列およびそれに伴って位置は、例えば、イヌのゲノム中におけるヌクレオチドの欠失または付加のために変化し得る。当業者は、配列番号1〜226の各々における関連ある位置に対応するまたは同等の位置を、例えばGAP、BESTFIT、COMPARE、ALIGN、PILEUPまたはBLASTなどのコンピュータプログラムを使用して、決定することができるであろう。UWGCG Packageは、相同性またはラインアップ配列を計算するために使用することができる(例えばそれらの初期設定で使用)GAP、BESTFIT、COMPARE、ALIGN、およびPILEUPを含むプログラムを提供する。BLASTアルゴリズムも、通常はその初期設定で、2つの配列を比較またはラインアップするために使用することができる。2つの配列のBLAST比較を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationから公的に入手できる(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)。このアルゴリズムは、下でさらに説明する。配列のアラインメントおよび比較のための同様に公的に入手できるツールは、European Bioinformatics Instituteのウェブサイト(http://www.ebi.ac.uk)で見出すことができ、例えばALIGNおよびCLUSTALWプログラムがある。
【0081】
多型が肝臓の銅蓄積に対する感受性または保護を示すかどうかを決定するために使用することができる種々の異なった方法がある。典型的には、候補の多型を多型のデータベースおよび肝臓の銅蓄積に対する感受性または保護とのそれらの関連と比較する。そのようなデータベースは、イヌのパネルを、肝臓の銅蓄積について、例えば肝生検材料により表現型解析することにより発生させて、イヌを銅蓄積のレベルに関して分類する。パネル中のイヌは、多型のパネルに対して遺伝子型も決定する。そのようにして、各遺伝子型と肝臓銅のレベルとの関連を決定することが可能である。したがって、多型が、肝臓銅に対する感受性またはそれからの保護のどちらを示すかを決定することは、データベース中における多型の位置を突き止めることにより達成される。
【0082】
対象の多型の位置が、上記のようにしてデータベース中で突き止められなくても、それでもなお、多型が、肝臓の銅蓄積に対する感受性またはそれからの保護のどちらを示すかを決定することは可能である。これは、イヌのパネルを肝臓の銅蓄積について表現型解析して、イヌを肝臓の銅蓄積レベルに関して分類することにより達成することができる。次に、イヌのパネルは、関心のある多型について遺伝子型を決定する。次に、遺伝子型は、遺伝子型と肝臓の銅レベルとの関連を決定するために、肝臓銅のレベルと相関づけされる。
【0083】
本発明の1つまたは複数の多型の有無がイヌのゲノム中で検出されると、イヌが肝臓の銅蓄積から保護されるかそれに対して感受性であるかがそれにより決定される。各多型は、単独でまたは他の多型との組合せで、イヌの肝臓の銅蓄積からの保護またはそれに対する感受性を示す。
【0084】
肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性またはイヌが肝臓の銅蓄積から保護されている可能性を決定するため、本明細書に定義されている多型の1つまたは複数を遺伝子型決定することができる。高銅と関連する1つまたは複数の対立遺伝子の存在は、イヌが、肝臓の銅蓄積に対し感受性が高いことを示す。逆に、低銅と関連する1つまたは複数の対立遺伝子の存在は、イヌが、肝臓の銅蓄積から保護される可能性があることを示す。例えば、イヌが肝臓の銅蓄積から保護されるかどうかを決定するために、イヌからのDNA試料を使用して、イヌのゲノム中のChr22_3135144でのSNPの遺伝子型を決定することができる。この機能的変異はATP7B(X染色体上の)中に位置して、A対立遺伝子保護的である。SNPの遺伝子型が決定されれば、イヌが肝臓の銅蓄積から保護されるかどうかを決定することは可能である。A対立遺伝子の存在は肝臓の銅蓄積からの保護を示す。対立遺伝子(AA)に対してホモ接合性のイヌは、肝臓の銅蓄積から保護される可能性が最も高い。したがって、本発明の好ましい方法は、イヌのゲノム中におけるATP7B SNPのA対立遺伝子の有無を決定することを含む。該方法は、イヌがATP7B SNPのA対立遺伝子に対してホモ接合性であるかまたはヘテロ接合性であるかを決定することを含むことができる。
【0085】
方法が、肝臓の銅蓄積に対する感受性または肝臓の銅蓄積からの保護を示す複数の多型の有無を検査することを含む場合、結果を組み合わせて、イヌが、肝臓の銅蓄積に対し感受性が高いまたは肝臓の銅蓄積から保護される危険性または可能性の総合的な評価をもたらすモデルを用いることができる。実施例6は、複数の多型を用いてモデルを作成することのできる仕方を説明する。好ましくは、段階的モデリング技法が用いられる。モデル作成の単純化された例を実施例2に記載する。表3は、GOLGA5、UBL5およびATP7A各遺伝子の領域における5個のSNPの組合せの異なる遺伝子型候補と、高銅(600mg/kgを超える肝臓レベル)を有しこれらの遺伝子型を有するイヌのパーセンテージを提示する。この例において、肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性を決定するために、イヌから得られたDNA試料を用いてイヌのゲノムにおける5個のSNPを遺伝子型同定することができる。SNPの遺伝子型が決定されると、これらは実施例2に提供されているキーに基づき、すなわち遺伝子型と高銅との関連の程度に基づき、2進値に変換することができる。次に、表3を用いて、その遺伝子型パターンと高銅を有するイヌのパーセンテージに基づき、2進値を危険性因子へと変換する。
【0086】
イヌは、本発明の方法により、任意の年齢、例えば0〜12歳、0〜6歳、0〜5歳、0〜4歳、0〜3歳、0〜2歳または0〜1歳で検査することができる。好ましくは、イヌはできるだけ若い年齢で、例えば生後1年、生後6カ月または生後3カ月以内に検査される。イヌは、好ましくは、銅蓄積が起こる前に検査される。イヌの履歴はわかってもわからなくてもよい。例えば、イヌは、知られた両親の子であってもよく、および銅蓄積に関する両親の履歴が知られていてもよい。あるいは、イヌは、親子関係および履歴の知られていない迷子または救助されたイヌであってもよい。
【0087】
本発明の任意の方法により検査されるイヌは、いかなる血統のものでもよい。本発明は、混血または交雑種のイヌ、または雑種のまたは異系交配されたイヌのゲノムが、肝臓の銅蓄積からの保護またはそれに対する感受性を示す1つまたは複数の多型を含むかどうかを決定する方法を提供する。
【0088】
本発明の方法において、イヌは、肝臓の銅蓄積に対し感受性が高いと疑われているイヌであり得る。あるいは、イヌは、肝臓の銅蓄積から保護されていると疑われ得る。
【0089】
典型的には、イヌは、ラブラドールレトリーバー(Retriver)、ドーベルマンピンシェル、ジャーマンシェパード、キースホンド、コッカースパニエル、ウェストハイランドホワイトテリア、ベドリントンテリアおよびスカイテリアから選択される血統を遺伝的に継承しているであろう。イヌは、混血のもしくは交雑種のイヌ、または雑種のもしくは異系交配されたイヌであってよい。イヌは、そのゲノムの少なくとも25%、少なくとも50%、または少なくとも100%が、いずれかの純粋な血統またはより好ましくは、本明細書に記載されている任意の血統から継承されていてよい。イヌは、純粋種であってよい。本発明の一実施形態において、検査されるイヌの一方または両方の親が純粋種のイヌでありまたはあった。他の実施形態において、1頭または複数の祖父母が純粋種のイヌでありまたはあった。検査されるイヌの祖父母の1、2、3または4頭全部が純粋種のイヌであってよく、またはあったとしてもよい。
【0090】
イヌはラブラドールレトリーバーの血統を遺伝的に継承していることが好ましい。イヌは、純粋種のラブラドールレトリーバーであってよい。あるいは、イヌは混血のもしくは交雑種のイヌ、または異系交配のイヌ(雑種)であってもよい。イヌの両親の一方または両方が純粋種のラブラドールレトリーバー犬であってよい。イヌの祖父母の1、2、3または4頭が純粋種のラブラドールレトリーバー犬であってよい。イヌは、その遺伝的背景においてラブラドールレトリーバーの血統の少なくとも50%または少なくとも75%を有していてよい。したがって、イヌのゲノムの少なくとも50%または少なくとも75%は、ラブラドールレトリーバーの血統に由来してよい。
【0091】
イヌの遺伝的血統背景は、遺伝的マーカーの、例えばSNPまたはマイクロサテライトの対立遺伝子の頻度を評価することにより決定することができる。イヌにおける異なったSNPまたはマイクロサテライトの対立遺伝子の頻度の組合せは、イヌの血統または混血血統のイヌを作り出す血統が決定されることを可能にする特色を提供する。そのような遺伝子検査は商業的に利用できる検査である。あるいは、イヌは、例えばイヌの飼い主または獣医によりそれが特定の血統を継承すると推定されるという理由で、特定の血統の遺伝的継承について検査する必要がないこともある。これは、例えば、イヌの祖先の知識のため、またはその外観のためであり得る。
【0092】
本発明の予測検査は、イヌの遺伝的血統の背景/継承または1種または複数種の他の疾患に対する感受性の決定などの1つまたは複数の他の予測または診断検査と併せて実施してもよい。
【0093】
多型の検出
本発明による多型の検出は、イヌからの試料中のポリヌクレオチドまたはタンパク質と多型に対して特異的な結合剤とを接触させて、該結合剤がポリヌクレオチドまたはタンパク質に結合するどうかを決定することを含むことができ、この場合、結合剤の結合は多型の存在を示し、結合剤の結合の欠如は、多型の存在しないことを示す。
【0094】
該方法は、試料がイヌのDNAを含有する場合に、イヌからの試料について、一般にインビトロで実施される。試料は、典型的には、イヌの体液および/または細胞を含み、例えば、口腔スワブなどのスワブを使用して得ることができる。試料は、血液、尿、唾液、皮膚、頬細胞または毛根試料であってよい。試料は、通常、方法が実施される前に処理され、例えばDNA抽出を実施することができる。試料中のポリヌクレオチドまたはタンパク質は、物理的または化学的のいずれかで、例えば適当な酵素を使用して、切断することができる。一実施形態においては、多型の検出に先立って、試料中のポリヌクレオチドの一部が、例えば、クローニングにより、またはPCRに基づく方法を使用して、コピーされまたは増幅される。
【0095】
本発明において、任意の1つまたは複数の方法は、イヌにおける1つまたは複数の多型の有無を決定することを含むことができる。多型は、典型的には、イヌのポリヌクレオチドまたはタンパク質中における多型の配列の存在を直接決定することにより検出される。そのようなポリヌクレオチドは、典型的には、ゲノムのDNA、mRNAまたはcDNAである。多型は、下記の方法など任意の適当な方法により検出することができる。
【0096】
特異的な結合剤は、優先的なまたは高い親和性をもって多型を有するタンパク質またはポリペプチドに結合するが、他のポリペプチドまたはタンパク質には結合しないかまたは低い親和性でのみ結合する作用剤である。特異的な結合剤は、プローブまたはプライマーであってよい。プローブは、タンパク質(抗体など)またはオリゴヌクレオチドであり得る。プローブは標識することができ、または間接的に標識することが可能であってもよい。プローブのポリヌクレオチドまたはタンパク質に対する結合は、プローブまたはポリヌクレオチドもしくはタンパク質のいずれかを不動化するために使用することができる。
【0097】
該方法においては一般に、多型は、イヌの多型のポリヌクレオチドまたはタンパク質に対する作用剤の結合を決定することにより検出することができる。しかしながら、一実施形態において、作用剤は、例えば、変異位置に隣接するヌクレオチドまたはアミノ酸に結合することにより、対応する野生型配列に結合することもできるとはいえ、野生型配列に対する結合様式は、多型を含むポリヌクレオチドまたはタンパク質の結合とは検出可能な程度に異なるであろう。
【0098】
該方法は、2つのオリゴヌクレオチドプローブが使用される、オリゴヌクレオチド連結アッセイに基づくことができる。これらのプローブは、多型を含むポリヌクレオチドの隣接する領域に結合し、結合後に適当なリガーゼ酵素により2つのプローブが連結されて一緒になることが可能になる。しかしながら、プローブの一方の中に単一のミスマッチが存在すると、結合および連結が妨げられ得る。したがって連結したプローブは、多型を含むポリヌクレオチドでのみ生じ、したがって連結された生成物の検出は、多型の存在を決定するために使用することができる。
【0099】
一実施形態において、プローブは、ヘテロ二重鎖分析に基づくシステムにおいて使用される。そのようなシステムでは、プローブが多型を含むポリヌクレオチド配列に結合したとき、それは多型が生じる部位でヘテロデュプレックスを形成し、それ故、二本鎖構造を形成しない。そのようなヘテロデュプレックス構造は、一本鎖または二本鎖特異的酵素の使用により検出することができる。典型的には、プローブはRNAプローブであり、ヘテロ二重鎖領域はリボヌクレアーゼHを使用して切断され、多型は切断生成物を検出することにより検出される。
【0100】
方法は、例えば、PCR Methods and Applications 3、268〜71(1994)およびProc.Natl.Acad.Sci.85、4397〜4401(1998)に記載されている蛍光性化学的切断ミスマッチ分析に基づくことができる。
【0101】
一実施形態においては、それが多型を含むポリヌクレオチドに結合する場合にのみ、PCR反応を開始させるPCRプライマー、例えば配列特異的PCRシステムが使用され、多型の存在はPCR生成物を検出することにより決定することができる。好ましくは、プライマーの多型に相補性の領域はプライマーの3’末端にまたはその付近にある。多型の存在は、Taqman PCR検出システムなどの、蛍光性染料および消光剤に基づくPCRアッセイを使用して決定することができる。
【0102】
特異的な結合剤は、多型の配列によりコードされたアミノ酸配列に特異的に結合することができる。例えば、作用剤は、抗体または抗体のフラグメントであってもよい。検出方法は、ELISAシステムに基づくことができる。方法は、RFLPに基づくシステムであってよい。これは、ポリヌクレオチド中における多型の存在が、制限酵素により認識される制限部位を作り出すかまたは破壊する場合に使用することができる。
【0103】
多型の存在は、多型の存在がゲル電気泳動中のポリヌクレオチドまたはタンパク質の移動度に生じさせる変化に基づいて決定することができる。ポリヌクレオチドの場合には、一本鎖配座の遺伝子座の多型(SSCP)または変性グラジエントゲル電気泳動(DDGE)分析を使用することができる。多型を検出する他の方法においては、多型領域を含むポリヌクレオチドを、多型を含む領域を通して配列を決定して多型の存在を決定する。
【0104】
多型の存在は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)によって検出することもできる。特に、多型は、二重ハイブリッド形成プローブシステムによって検出することができる。この方法は、互いに近接に位置し、かつ関心のある標的ポリヌクレオチドの内部セグメントに相補性の2つのオリゴヌクレオチドプローブの使用を含み、この場合2つのプローブの各々は蛍光団で標識されている。任意の適当な蛍光性標識または染料を、蛍光団として使用することができ、その結果1つのプローブ(供与体)の蛍光団の発光波長が第2のプローブ(受容体)の蛍光団の励起波長と重なる。代表的供与体蛍光団はフルオレセイン(FAM)であり、および代表的受容体蛍光団は、テキサスレッド、ローダミン、LC−640、LC−705およびシアニン5(Cy5)を含む。
【0105】
蛍光共鳴エネルギー移動が起こるためには、2つの蛍光団は、両プローブの標的に対するハイブリッド形成時に、密接して近づくことが必要である。供与体蛍光団が適当な波長の光で励起されたとき、発光スペクトルのエネルギーが受容体プローブの蛍光団に移動してその蛍光を生じる。したがって、供与体蛍光団にとって適当な波長における励起中の、この波長の光の検出はハイブリッド形成、および2つのプローブの蛍光団の密接な関連を示す。各プローブは、蛍光団を用いて1つの末端で標識することができ、その結果上流(5’)に位置するプローブはその3’末端で標識され、下流(3’)に位置するプローブはその5’末端で標識される。標的配列に結合したときの2つのプローブの間の間隔は、1〜20ヌクレオチド、好ましくは1〜17ヌクレオチド、より好ましくは1〜10ヌクレオチド、例えば1、2、4、6、8または10ヌクレオチドの間隔であることができる。
【0106】
2つのプローブの第1のものは、多型に隣接する遺伝子の保存配列に結合するようにデザインすることができ、第2のプローブは、1つまたは複数の多型を含む領域に結合するようにデザインすることができる。第2のプローブにより標的とされる遺伝子の配列内の多型は、生じる塩基ミスマッチが原因の溶融温度変化を測定することにより検出することができる。溶融温度における変化の程度は、ヌクレオチド多型に関与する数および塩基のタイプに依存するであろう。
【0107】
多型タイピングも、プライマー伸張技法を使用して実施することができる。この技法では、多型の部位周囲の標的領域がコピーされ、または例えばPCRを使用して増幅される。次に単一塩基シークエンシング反応を、多型の部位から1塩基離れてアニールするプライマーを使用して実施する(対立遺伝子特異的ヌクレオチド組み込み)。次に、プライマー伸張生成物を検出して、多型の部位に存在するヌクレオチドを決定する。伸張生成物を検出することができる数通りの方法がある。1検出方法においては、例えば、蛍光標識されたジデオキシヌクレオチドターミネーターが、伸張反応を多型の部位で停止するために使用される。あるいは、質量改変されたジデオキシヌクレオチドターミネーターが使用されて、プライマー伸張生成物が質量分析法を使用して検出される。1種または複数種のターミネーターを特異的に標識することにより、伸張されたプライマーの配列を、およびそれ故に、多型の部位に存在するヌクレオチドを推測することができる。2種以上の反応生成物を反応ごとに分析することができて、その結果、2つ以上のターミネーターが特異的に標識されていれば、両方の相同性染色体に存在するヌクレオチドを決定することができる。
【0108】
本発明は、肝臓の銅蓄積に対する感受性または肝臓の銅蓄積からの保護の予測に使用するための、本明細書において定義した多型の任意のもの検出に使用できるプライマーまたはプローブをさらに提供する。本発明のポリヌクレオチドは、本明細書において定義したSNPを検出するためのプライマー伸張反応のためのプライマーとしても使用することができる。
【0109】
そのようなプライマー、プローブおよび他のポリヌクレオチドフラグメントの長さは、好ましくは、少なくとも10、好ましくは少なくとも15または少なくとも20、例えば少なくとも25、少なくとも30または少なくとも40ヌクレオチドであろう。それらの長さは、典型的には40、50、60、70、100または150ヌクレオチドまでであろう。プローブおよびフラグメントの長さは、本発明の全長のポリヌクレオチド配列を除いて、150ヌクレオチドを超えてもよく、例えば200、300、400、500、600、700ヌクレオチドまで、またはさらに5または10ヌクレオチドなど数ヌクレオチドまでであってよい。
【0110】
本発明の多型の遺伝子型同定のためのプライマーおよびプローブは、表4、5、6、8、18および20中の配列を使用し、当技術分野において知られる任意の適当なデザインソフトウェアを使用して、デザインすることができる。これらのポリヌクレオチド配列の相同体は、プライマーおよびプローブをデザインするのにも適しているであろう。そのような相同体は、典型的には、少なくとも70%の相同性、好ましくは少なくとも80%、90%、95%、97%または99%の相同性を、例えば少なくとも15、20、30、100またはそれを超える隣接したヌクレオチドの領域にわたって有する。相同性は、ヌクレオチドの同一性(「硬い相同性」と称されることもある)に基づいて計算することができる。
【0111】
例えば、UWGCGパッケージは、相同性を計算するために使用することができるBESTFITプログラムを提供する(例えばその初期設定で使用)(Devereuxら、(1984) Nucleic Acids Research 12、p387〜395)。PILEUPおよびBLASTアルゴリズムは、例えば、Altschul S.F.(1993) J Mol Evol 36:290〜300;Altschul,S.F.ら(1990)J Mol Biol 215:403〜10に記載されたように、相同性またはラインアップ配列(相等のまたは対応する配列の同定など)を計算するのに使用することができる(典型的にはそれらの初期設定で)。
【0112】
BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)から公的に入手できる。このアルゴリズムは、データベース配列中の同じ長さのワードで整列化したとき、ある正の値の閾値スコアTとマッチするか、またはそれを充足するかのいずれかである、検索配列における長さWの短いワードを同定することにより、高スコアリング配列ペア(HSP)を最初に同定することを含む。Tは、近隣ワードスコア閾値(Altschulら、上記参照)と呼ばれる。これらの最初の近隣ワードのヒットが、それらを含有するより長いHSPの検索を開始するための種として作用する。このワードヒットは、累積アラインメントスコアを増加することができる限り、それぞれの配列に沿って両方向に延長される。それぞれの方向でのワードのヒットの延長は、累積アラインメントスコアがその到達した最大値から数量Xだけ低下したとき;累積スコアが1つまたは複数の負のスコアリング残基のアラインメントの累積によってゼロもしくはそれ以下になったとき;または、いずれかの配列の末端に達したときに停止する。BLASTアルゴリズムパラメーターW、TおよびXはアラインメントの感度およびスピードを決定する。BLASTプログラムは、初期設定として、ワード長(W)11、BLOSUM62スコアリングマトリックス(HenikoffおよびHenikoff(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915〜10919を参照されたい)アラインメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=4、および両方の鎖の比較を使用する。
【0113】
BLASTアルゴリズムは2つの配列間の類似性の統計学的分析も実施する;例えば、KarlinおよびAltschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:5873〜5787を参照されたい。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つ尺度は、2つのポリヌクレオチド配列の間でマッチが偶然に起こるであろう確率の指標を提供する、最小合計確率(P(N))である。例えば、第1の配列と第2の配列との比較における最小合計確率が約1未満、好ましくは約0.1未満、より好ましくは約0.01未満であるとき、および最も好ましくは約0.001未満であるなら、配列は他の配列と類似であると考えられる。
【0114】
相同性配列は、典型的には、少なくとも1、2、5、10、20以上の変異により相違し、変異はヌクレオチドの置換、欠失または挿入であってよい。
【0115】
プライマーまたはプローブなどの本発明のポリヌクレオチドは、単離されたまたは実質的に精製された形態で存在し得る。本発明のポリヌクレオチドは、その使用目的に干渉しない担体または希釈剤と混合し、それでもなお実質的に単離されたと見なすことができる。それらは、実質的に精製された形態であってもよく、その場合、一般に、製剤のポリヌクレオチドの少なくとも90%、例えば少なくとも95%、98%または99%を占めることになる。
【0116】
検出抗体
検出抗体は、1つの多型に対して特異的であるが、本明細書において記載した任意の他の多型には結合しない抗体である。検出抗体は、例えば、免疫沈殿技法を含む精製、単離またはスクリーニングの方法において有用である。
【0117】
抗体は、本発明のポリペプチドの特異的エピトープに対するものであってもよい。抗体、または他の化合物は、それが特異的であるタンパク質に対して優先的なまたは高い親和性をもって結合するが、他のポリペプチドには実質的に結合しないかまたは低い親和性でしか結合しないとき、ポリペプチドに「特異的に結合する」。抗体の特異的結合能力を決定するための競争的結合または放射免疫アッセイに対する種々のプロトコールが当技術分野において周知である(例えばMaddoxら、J .Exp.Med.158、1211〜1226、1993を参照されたい)。そのような免疫測定は、典型的には、特異的タンパク質とその抗体との間のコンプレックスの形成およびコンプレックス形成の測定を包含する。
【0118】
この発明の目的のために、用語「抗体」は、特に断らない限り、本発明のポリペプチドに結合するフラグメントを含む。そのようなフラグメントは、Fv、F(ab’)およびF(ab’)
2フラグメント、ならびに一本鎖抗体を含む。さらに、抗体およびそれらのフラグメントは、キメラ抗体、CDRグラフト抗体またはヒト化抗体であってもよい。
【0119】
抗体は、生物学的試料(本明細書において言及した任意のそのような試料など)中の本発明のポリペプチドを検出するための方法において使用することができ、その方法は
I.本発明の抗体を提供することと、
II.抗体抗原コンプレックスの形成が可能な条件下で、生物学的試料を前記抗体と共にインキュベートすることと、
III.前記抗体を含む抗体抗原コンプレックスが形成されているかどうかを決定することと
を含む。
【0120】
本発明の抗体は、任意の適当な方法により生成させることができる。抗体を調製し特徴づけるための手段は当技術分野において周知である。例えば、HarlowおよびLane(1988)「Antibodies:A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY.を参照されたい。例えば、抗体は、宿主動物中で全ポリペプチドまたはそれらのフラグメント、例えばそれらの抗原性エピトープ、(今後「免疫原」と称する)に対して抗体を生じさせることにより生成させることができる。フラグメントは、本明細書において言及したフラグメント(典型的には少なくとも10個または少なくとも15個のアミノ酸の長さ)の任意のものであってよい。
【0121】
ポリクローナル抗体を生成させる方法は、適当な宿主動物、例えば実験動物を免疫原で免役して、イムノグロブリンを動物の血清から単離することを含む。したがって、動物に免疫原を接種し、続いて動物から血液を取り出して、IgG分画を精製することができる。モノクローナル抗体を生成させるための方法は、所望の抗体を生成する細胞を不死化することを含む。ハイブリドーマ細胞は、接種された実験動物からの脾臓細胞と腫瘍細胞とを融合することにより生成させることができる(KohlerおよびMilstein(1975) Nature 256、495〜497)。
【0122】
所望の抗体を生成する不死化された細胞は、従来の手順により選択することができる。ハイブリドーマは、培養で増殖させるかまたは腹水の形成のために腹腔内に注入するかまたは同種異系の宿主または免疫不全の宿主の血液ストリーム中に注入することができる。ヒト抗体は、ヒトリンパ球のインビトロでの免疫化に続く、エプスタインバールウイルスを用いるリンパ球の形質転換により調製することができる。
【0123】
モノクローナルおよびポリクローナル抗体の両方の生成のために、実験動物は、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス、モルモット、ニワトリ、ヒツジまたはウマであることが適当である。所望であれば、免疫原は、免疫原が、例えばアミノ酸残基の1つの側鎖を通して、適当な担体に結合された複合体として投与することができる。担体分子は、通常、生理学的に許容される担体である。得られた抗体は単離して、所望であれば精製することができる。
【0124】
検出キット
本発明は、本明細書において定義した1つまたは複数の多型をタイピングするための手段を含むキットも提供する。特に、そのような手段は、本明細書において定義した多型を検出するかまたは検出に役立つことができる、本明細書において定義した特異的な結合剤、プローブ、プライマー、プライマーのペアまたは組合せ、または、抗体フラグメントを含む抗体を含むことができる。プライマーまたはペアまたはプライマーの組合せは、本明細書において論じた検出されるべき多型を含むポリヌクレオチド配列のPCR増幅のみを起こす配列特異的プライマーであることができる。プライマーまたはプライマーのペアは、多型のヌクレオチドに対して二者択一的に特異的ではなくてもよいが、上流(5’)および/または下流(3’)領域に対して特異的であり得る。これらのプライマーは、領域がコピーされるべき多型のヌクレオチドを包含することを可能にする。プライマー伸張技法で使用するのに適したキットは、標識されたジデオキシヌクレオチド三リン酸(ddNTP)を特異的に含むことができる。これらは、伸張生成物の検出およびそれに続く多型の位置に存在するヌクレオチドの決定を可能にするために、例えば蛍光標識または質量改変され得る。
【0125】
キットは、多型が存在しないことを検出することができる特異的な結合剤、プローブ、プライマー、プライマーのペアまたは組合せ、または抗体を含むこともできる。キットは、緩衝剤または水溶液を含むことができる。
【0126】
キットは、上記の方法の実施形態の任意のものが実施されることを可能にする1種または複数種の他の試薬または器具を追加して含むことができる。そのような試薬または器具は、以下の1つまたは複数を含むことができる:作用剤の多型に対する結合を検出する手段、蛍光性標識などの検出可能な標識、ポリヌクレオチドに作用し得る酵素、典型的にはポリメラーゼ、制限酵素、リガーゼ、リボヌクレアーゼHもしくは標識をポリヌクレオチドに付けることができる酵素、酵素試薬のための適当な緩衝剤(単数または複数)もしくは水溶液、本明細書において論じた多型に隣接する領域に結合するPCRプライマー、陽性および/もしくは陰性対照、ゲル電気泳動装置、試料からDNAを単離する手段、個体から試料を得る手段例えばスワブもしくは針を含む器具など、または検出反応をその上で実施することができるウェルを含む指示具。キットは、本発明の特異的な結合剤、好ましくはプローブを含むポリヌクレオチドアレイなどのアレイであることができ、またはそれを含むことができる。キットは、通常、キットを使用するための説明書のセットを含む。
【0127】
生物情報科学
多型の配列は、電子書式で、例えばコンピュータデータベースで貯蔵することができる。したがって、本発明は、
(a)Chr22_3167534(配列番号144)、Chr22_3135144(配列番号145)、Chr20_55461150(配列番号146)、ChrX_120879711(配列番号147)、Chr19_6078084(配列番号148)、Chr15_62625262(配列番号149)、Chr14_39437543(配列番号150)、Chr15_62625024(配列番号151)、Chr3_86838677(配列番号152)、Chr24_4011833(配列番号153)、Chr18_60812198(配列番号154)、Chr10_65209946(配列番号155)および染色体位置22:3135287におけるCGCCCCリピート、
(b)前記多型(a)と連鎖不平衡にある1つまたは複数の多型、および/または
(c)Chr32_38904515(配列番号156)、Chr8_4892743(配列番号157)およびChr8_4880518(配列番号158)
から選択される1つもしくは複数の多型、ならびにそれらと肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性との関連に関する情報を含むデータベースを提供する。データベースは、本明細書に記載されている他の多型のいずれかに関する情報を含むこともできる。データベースは、多型に関するさらなる情報、例えば、多型と肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性との関連の程度を包含することができる。
【0128】
本発明は、
(a)Chr22_3135144(配列番号145)および
(b)(a)と連鎖不平衡にある1つまたは複数の多型
から選択される1つまたは複数の多型に関する情報と、
これらと肝臓の銅蓄積からのイヌの保護との関連と
を含むデータベースも提供する。
【0129】
データベースは、本明細書に記載されている他の多型のいずれかに関する情報を含むこともできる。データベースは、多型に関するさらなる情報、例えば、多型と肝臓の銅蓄積からのイヌの保護との関連の程度を包含することができる。
【0130】
本明細書に記載したデータベースは、イヌのゲノムが肝臓の銅蓄積からの保護またはそれに対する感受性を示す1つまたは複数の多型を含むかどうかを決定するために使用することができる。そのような決定は、電子的手段により、例えばコンピュータシステム(PCなど)を使用することにより実施することができる。
【0131】
典型的には、イヌのゲノムが肝臓の銅蓄積に対する感受性または肝臓の銅蓄積からの保護を示す1つまたは複数の多型を含むかどうかの決定は、コンピュータシステムにイヌからの遺伝的データをコンピュータシステムに入力することと、遺伝的データを本明細書に定義されているデータベースと比較することと、この比較に基づいて、イヌのゲノムが肝臓の銅蓄積に対する感受性または肝臓の銅蓄積からの保護を示す1つまたは複数の多型を含むかどうかを決定することとにより実施されるであろう。次に、この情報は、イヌの肝臓銅レベルの管理を導くために用いることができる、あるいは情報に基づく繁殖目的に用いることができる。
【0132】
本発明は、前記プログラムをコンピュータ上で走らせるときに本発明の方法のすべてのステップを実施するためのプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムも提供する。前記プログラムをコンピュータ上で走らせるときに本発明の方法を実施するための、コンピュータで可読の媒体上に貯蔵したプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム製品も提供される。コンピュータシステムにおいて実行される場合、コンピュータシステムに本発明の方法を実施するように指示する搬送波上のプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム製品も、追加で提供される。
【0133】
図10に例示したように、本発明は、本発明による方法を実施するために整えられた装置も提供する。装置は、典型的には、PCなどのコンピュータシステムを含む。一実施形態において、該コンピュータシステムは、イヌの遺伝的データを受け取る手段20;データを多型に関する情報を含むデータベース10と比較するためのモジュール30;および前記比較に基づいて、イヌのゲノムが肝臓の銅蓄積からのイヌの保護またはそれに対するイヌの感受性を示す1つまたは複数の多型を含むかどうかを決定するための手段40を備える。
【0134】
品種改良手段
育種価は個体の親としての価値と定義され、農業において家畜の望ましい特色を改良するために普通に使用される。イヌの全体的銅処理能力を改良して慢性肝炎などの銅関連疾患の発生を減少させるためには、肝臓の銅蓄積から保護されまたは肝臓の銅蓄積に対して感受性でない血統についてイヌを選択するのが有利であろう。この問題は、血統を知らせるために、イヌが肝臓の銅蓄積から保護されまたは肝臓の銅蓄積に対して感受性でないかどうかを決定するために使用することができる多型を使用することにより解決される。
【0135】
例えば、2頭のイヌの子孫の銅処理能力は、ATP7B遺伝子座における両親の遺伝子型により影響され得る。この遺伝子座における特定の変異の移動は、子孫にとって利益であり得る。遺伝子座における遺伝子型を決定することにより、将来の親の育種価を評価して、それにより所与の血統対が適当であるかどうかに関する決定をすることが可能であろう。
【0136】
したがって、本発明は、肝臓の銅蓄積から保護される子孫を作出することについてイヌを選択する方法であって、本発明の方法により、候補の第1のイヌで、イヌのゲノムが肝臓の銅蓄積からの保護を示す1つまたは複数の多型を含むかどうかを決定し、それにより候補の第1のイヌが肝臓の銅蓄積から保護される子孫を作出するのに適するかどうかを決定することを含む方法を提供する。該方法は、本発明の方法により、第1のイヌと性が反対の第2のイヌで、イヌのゲノムが肝臓の銅蓄積からの保護を示す1つまたは複数の多型を含むかどうかを決定することをさらに含むことができる。結果が第1のおよび/または第2のイヌが肝臓の銅蓄積からの保護を示す遺伝子型を有するということであれば、その場合、肝臓の銅蓄積から保護される子孫を産するために、第1のイヌを第2のイヌと交配させることができる。
【0137】
例えば、該方法は、Chr22_3135144(配列番号145)から選択される1つまたは複数の多型およびそれらと連鎖不平衡にある1つもしくは複数の多型の有無を、候補の第1のイヌのゲノムで決定することを含むことができる。より好ましくは、方法は、SNP ChrX_63338063(ATP7a_Reg3_F_6 SNP;配列番号142)、またはChrX_63397393(ATP7a_Reg16_F_42 SNP;配列番号143)等の前記SNPと連鎖不平衡にある1つもしくは複数の多型の有無を決定することをさらに含む。本発明の方法は、Chr22_3135144(配列番号145)のA対立遺伝子および/またはChrX_63338063(配列番号142)のT対立遺伝子の有無を決定することを含むことができる。1つまたは複数のこれらのSNPの存在は、第1のイヌが肝臓の銅蓄積から保護されており、したがって第2のイヌと交配させるのによい候補であることを示す。第1のおよび/または第2のイヌのいずれかにおけるホモ接合は、このことにより子孫がホモ接合性であり、それにより肝臓の銅蓄積から選択される可能性が増大するので、最も好ましい。
【0138】
本発明は、銅蓄積に対する感受性を示す本発明の多型を使用することにより、肝臓の銅蓄積から保護される子孫を産するためのイヌを選択する方法も提供する。イヌのゲノム中のそのような多型が存在しないことは、そのイヌが交配のためのよい候補であることを示す。したがって、本発明の方法は、候補の第1のイヌのゲノムが肝臓の銅蓄積に対する感受性を示す1つまたは複数の多型を含むかどうかを決定すること;およびそれにより候補の第1のイヌが肝臓の銅蓄積から保護される子孫を産するのに適するかどうかを決定することを含むことができる。
【0139】
方法は、第一のイヌ候補のゲノムにおける、
(a)Chr22_3167534(配列番号144)、Chr22_3135144(配列番号145)、Chr20_55461150(配列番号146)、ChrX_120879711(配列番号147)、Chr19_6078084(配列番号148)、Chr15_62625262(配列番号149)、Chr14_39437543(配列番号150)、Chr15_62625024(配列番号151)、Chr3_86838677(配列番号152)、Chr24_4011833(配列番号153)、Chr18_60812198(配列番号154)、Chr10_65209946(配列番号155)および染色体位置22:3135287におけるCGCCCCリピート、
(b)前記多型(a)と連鎖不平衡にある1つまたは複数の多型、および/または
(c)Chr32_38904515(配列番号156)、Chr8_4892743(配列番号157)およびChr8_4880518(配列番号158)
から選択される1つまたは複数の多型の有無を検出することを含むことができる。
【0140】
方法は、第一のイヌとは異なる性別の第二のイヌのゲノムが、肝臓の銅蓄積に対する感受性を示す1つまたは複数の多型を含むかを決定することをさらに含むことができる。したがって、方法は、第二のイヌのゲノムにおける、
(a)Chr22_3167534(配列番号144)、Chr22_3135144(配列番号145)、Chr20_55461150(配列番号146)、ChrX_120879711(配列番号147)、Chr19_6078084(配列番号148)、Chr15_62625262(配列番号149)、Chr14_39437543(配列番号150)、Chr15_62625024(配列番号151)、Chr3_86838677(配列番号152)、Chr24_4011833(配列番号153)、Chr18_60812198(配列番号154)、Chr10_65209946(配列番号155)および染色体位置22:3135287におけるCGCCCCリピート、
(b)前記多型(a)と連鎖不平衡にある1つまたは複数の多型、および/または
(c)Chr32_38904515(配列番号156)、Chr8_4892743(配列番号157)およびChr8_4880518(配列番号158)
から選択される1つまたは複数の多型の有無を検出することを含むことができる。
【0141】
結果が、第一および/または第二のイヌのゲノムが肝臓の銅蓄積に対する感受性を示す遺伝子型を持たないものであれば、肝臓の銅蓄積に対して感受性ではない子孫を作出するために第一のイヌを第二のイヌと交配することができる。
【0142】
方法は、第1のイヌ候補のゲノムにおける、(I)肝臓の銅蓄積に対する感受性を示すGOLGA5、ATP7AまたはUBL5遺伝子における多型、および/または(II)前記多型(I)と連鎖不平衡にある多型の有無を検出することをさらに含むことができる。方法は、候補の第1のイヌのゲノムで、表4〜6において特定されたSNPから選択される1つまたは複数の多型およびそれらと連鎖不平衡にある1つもしくは複数の多型の有無を決定することを含むことが好ましい。これらの多型の1つまたは複数の存在は、第1のイヌが肝臓の銅蓄積に対して感受性であり、したがって肝臓の銅蓄積から保護される子孫を産するために第2のイヌと交配させるべきよい候補ではないことを示す。
【0143】
第1のイヌ候補および/または第2のイヌ候補は、いかなる血統のものであってもよい。好ましくは、第1のイヌ候補および/または第2のイヌ候補は、ラブラドールレトリーバー、ドーベルマンピンシェル、ジャーマンシェパード、キースホンド、コッカースパニエル、ウェストハイランドホワイトテリア、ベドリントンテリアおよびスカイテリアから選択される血統を遺伝的に継承している。候補の第1のイヌおよび/または第2のイヌは、ラブラドールレトリーバーの血統を遺伝的に継承していることがより好ましい。イヌは、純粋種のラブラドールレトリーバーであってよい。あるいは、イヌは混血のもしくは交雑種のイヌ、または異系交配のイヌ(雑種)であってもよい。イヌの両親の一方または両方が純粋種のラブラドールレトリーバー犬であってもよい。イヌの祖父母の1、2、3または4頭が純粋種のラブラドールレトリーバー犬であってもよい。イヌは、その遺伝的背景において、少なくとも50%または少なくとも75%のラブラドールレトリーバーの血統を有することができる。したがって、イヌのゲノムの少なくとも50%または少なくとも75%は、ラブラドールレトリーバーの血統に由来してよい。
【0144】
イヌの遺伝的血統の継承は、遺伝的マーカーの、例えばSNPまたはマイクロサテライトの対立遺伝子の頻度を評価することにより決定することができる。イヌにおける異なったSNPまたはマイクロサテライトの対立遺伝子の頻度の組合せは、イヌの血統または混血血統のイヌを作り出す血統が決定されることを可能にする特色を提供する。そのような遺伝子検査は商業的に利用できる検査である。あるいは、イヌは、それがラブラドールレトリーバーの血統を継承すると、例えばイヌの飼い主または獣医により推定されるという理由で、ラブラドールレトリーバーの血統継承について検査される必要がないこともある。これは、例えばイヌの祖先の知識のため、またはその外観のためであり得る。
【0145】
オールブリードクラブ登録により認められた血統の最も純粋種のイヌは「非公開の血統台帳」により管理される。血統台帳は、典型的には、例えば、血統協会またはケンネルクラブにより保持される、与えられた血統の承認されたイヌの公式登録である。それは、イヌがそれらの両親の両方とも登録されている場合にのみ追加され得るなら、一般に「非公開」血統台帳と称される。大部分の血統は非公開の血統台帳を有し、その結果、遺伝的多様性は既存集団の外側から導入され得ないので近親交配が生じる。ケンネルクラブにより認められた多くの血統において、これは、遺伝的疾患または障害ならびに同腹子の数の減少、短命および自然受胎不能などの他の問題の高い発生率を生じている。
【0146】
近親交配に関連する問題を回避するためには、血縁的により密接なイヌに比較して血縁的に互いにより隔たった特定の血統の中で、血統についてイヌを選択するのが有利であろう。したがって本発明の一態様において、候補の第1のイヌおよび候補の第2のイヌの遺伝的血統の継承が、2頭のイヌの縁続きの程度を決定するために決定される。本発明のこの態様において、用語「遺伝的血統の継承」は、特定の血統内のイヌの遺伝的祖先の系統に関する。イヌの遺伝的血統の継承は本明細書に記載したようにして決定することができる。イヌの遺伝的継承を決定することにより、彼らがいかに密接に関係しているかを決定するために、単一血統内でイヌの間を区別することは可能である。
【0147】
したがって、本発明の一態様において、候補の第1のイヌと候補の第2のイヌとの縁続きの程度が決定され、それは候補の第1のイヌの遺伝的血統の継承を同じ血統の候補の第2のイヌと比較することを含む。好ましくは、イヌは純粋種のイヌである。各イヌの遺伝的血統の継承は、例えば、前記イヌにおいて、1つまたは複数の血統特異的多型の有無を確認することにより決定することができる。
【0148】
縁続きの程度は、イヌが共通して有する血統特異的多型の数から決定することができる。例えば、同じ血統の2頭のイヌは、0〜100%の、例えば10〜90%、20〜80%、30〜70%または40〜60%の検査済み血統特異的多型を共通して有することができる。したがって2頭のイヌは、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%の検査済み血統特異的多型を共通して有することができる。2頭のイヌの間に共通の検査済み血統特異的多型のパーセンテージは、それらの縁続きの程度の尺度として使用することができる。本発明のこの態様において、2頭のイヌは、彼らが遺伝的に十分無関係である場合にのみ、一緒に交配させるであろう。例えば、彼らは、60%、50%、40%、30%または20%未満の検査済み血統特異的多型を共通して有する場合にのみ、一緒に交配させることができる。
【0149】
本発明は、被験対象のイヌと交配させることについて1頭または複数のイヌを選択する方法であって、
(a)被験対象のイヌおよび被験対象のイヌと性が反対の2頭以上のイヌの検査群中の各イヌについて、ゲノムが肝臓の銅蓄積からの保護を示す1つまたは複数の多型、および/または肝臓の銅蓄積に対して感受性を示す1つまたは複数の多型を含むかどうかを決定することと、
(b)被験対象のイヌと交配させることについて検査群から1頭または複数のイヌを選択することと
を含む方法も提供する。
【0150】
検査群は、少なくとも2、3、4、5、10、15、20、25、30、50、75、100または200頭の異なったイヌ、例えば2〜100、5〜70または10〜50頭のイヌからなってよい。イヌは、通常、肝臓の銅蓄積から保護されるという根拠で検査群から選択される。検査群から選択される1頭または複数のイヌは、被験対象のイヌと同じかまたは類似の血統を遺伝的に継承していてよい。
【0151】
被験対象のイヌおよび検査群中の各イヌの血統は任意でよい。被験対象のイヌおよび/または検査群中の各イヌは、ラブラドールレトリーバー、ドーベルマンピンシェル、ジャーマンシェパード、キースホンド、コッカースパニエル、ウェストハイランドホワイトテリア、ベドリントンテリアおよびスカイテリアから選択される血統を遺伝的に継承していることが好ましい。イヌは、ラブラドールレトリーバーの血統を遺伝的に継承していることがより好ましい。イヌは純粋種のラブラドールレトリーバーであってよい。あるいは、イヌは、混血のもしくは交雑種のイヌ、または異系交配のイヌ(雑種)であってもよい。イヌの両親の一方または両方が、純粋種のラブラドールレトリーバー犬であってもよい。イヌの祖父母の1、2、3または4頭が純粋種のラブラドールレトリーバー犬であってもよい。イヌは、その遺伝的背景において、少なくとも50%または少なくとも75%のラブラドールレトリーバーの血統を有することができる。したがって、イヌのゲノムの少なくとも50%または少なくとも75%は、ラブラドールレトリーバーの血統に由来してよい。
【0152】
肝臓の銅蓄積からの保護またはそれに対する感受性に関する多型の有無に基づいて、検査群内の肝臓の銅蓄積から保護される可能性が最も高いイヌが、被験対象のイヌと交配させるために選択され得る。あるいは、検査群内の肝臓の銅蓄積から保護される可能性が高い多数のイヌが、被験対象のイヌと交配させるために選択される。例えば、検査群中の少なくとも2、3、4、5、10、15または20頭のイヌを選択することができる。その上、他の因子、例えば地理的位置、年齢、品種改良状態、既往歴、疾患感受性または身体的特性に基づいて選択されたイヌの群から、さらに選択することもできる。
【0153】
上で説明したように、遺伝的に最も無関係の同じ血統内でイヌを交配させることが好ましい。これは、遺伝的多様性を血統内で増加または維持し、かつ子孫に生じる近親交配に関係する問題の可能性を減少させるためである。したがって、検査群からのイヌのさらなる選択は、被験対象のイヌとの遺伝的関係に基づくことができる。したがって、方法は、
(a)被験対象のイヌの遺伝的血統の継承を、同じ血統のかつ被験対象のイヌと性が反対の2頭以上のイヌの検査群中の各イヌの遺伝的血統の継承と比較することと、
(b)この比較から、被験対象のイヌと検査群中の各イヌとの間の縁続きの程度を決定することと、
(c)被験対象のイヌと交配させることについて検査群から1頭または複数のイヌを選択することと、
をさらに含むことができる。
【0154】
イヌは、被験対象のイヌ(すなわち、精液をとるべきイヌ)とのそれらの関係に基づいて検査群から選択することができる。検査群から選択された1頭または複数のイヌは、イヌの検査群内で最も隔たった関係にある(すなわち最低の縁続きの程度を有する)ことが好ましい。被験対象のイヌおよび検査群中のイヌの遺伝的血統の継承は、すでに知られていてよく、または例えば市販の血統検査により決定してもよい。
【0155】
したがって、本発明は、1頭または複数の適当なイヌを被験対象のイヌと交配させるために推薦する方法を提供する。推薦は、被験対象のイヌの飼い主または世話人、獣医、イヌ飼育者、ケンネルクラブまたは血統登録に対して行うことができる。
【0156】
本発明は、肝臓の銅蓄積からの、性が反対の少なくとも2頭のイヌの保護またはそれに対する感受性が、場合により同じ血統内で、彼らを一緒に交配させる前に決定される、イヌを交配させる方法にも関する。
【0157】
肝臓の銅蓄積からのイヌの保護またはそれに対する感受性は、電子書式中、例えばコンピュータデータベース中に貯蔵することができる。したがって、本発明は、肝臓の銅蓄積に対する感受性またはそれからの保護、および1頭または複数のイヌの性に関する情報を含むデータベースを提供する。データベースは、イヌについてのさらなる情報、例えば、イヌの血統を遺伝的に継承している品種改良状態、年齢、地理的位置、既往歴、疾患感受性または身体的特性を含むことができる。データベースは、通常、各イヌについての固有の識別名、例えばイヌの登録名をさらに含む。データベースは、遠隔で、例えばインターネットを使用して評価することができる。
【0158】
本発明を以下の実施例により例示する。
【実施例1】
【0159】
全ゲノム関連研究および情報価値のある遺伝子を潜在的に含有する領域の同定
本実施例は、銅蓄積の遺伝的予測検査の開発に利用される一般アプローチについて記載する。全ゲノム関連研究および情報価値のある遺伝子を潜在的に含有するゲノムの領域の同定に用いられる方法論についても詳述する。
【0160】
銅蓄積の遺伝的予測検査の開発に用いられる一般アプローチを次に示す。第一に、肝臓の銅蓄積により「影響を受ける」または「影響を受けない」と診断されたイヌから収集された試料を、多数のマーカーによる遺伝子型決定アレイにおいて実験を行った。これは、「全ゲノム関連研究」として知られている。このデータの解析は、情報価値のある遺伝子を潜在的に含有する領域の指標をもたらした。次に、関心のある遺伝子を有する領域における情報価値のあるSNPをモデル作成に用いた。並行して、関心のある遺伝子を配列決定して、疾患における遺伝的効果をより良く説明するコード突然変異または他の突然変異を探索した。続いて、さらなるモデル作成においてこれらの突然変異を用いた。実際には、このプロセスは、技術における進行中の改善のためのループおよび平行軌道(loops and parallel tracks)に関与する。
【0161】
患者採用
254頭のラブラドールレトリーバーからデータを収集した。2通りの仕方でイヌを採用した。臨床的に罹患したイヌを、委託した獣医師によりユトレヒト大学獣医学部肝臓学科(Hepatology department of the Faculty of Veterinary Medicine, Utrecht University)に入院させた。オランダラブラドールレトリーバーブリードクラブ(Dutch Labrador retriever breed club)の登録ファイルにより、罹患したイヌの最も重要な(First line)血縁を積極的に採用した。
【0162】
診断
イヌ全頭に身体検査を行い、凝固検査のために血液を収集し、肝臓酵素(アルカリホスファターゼおよびアラニンアミノトランスフェラーゼ)、胆汁酸およびアルブミンを決定した。DNA単離のためにEDTA血液試料を用いた。
【0163】
腹腔鏡検査もしくは開腹手術の際に収集または安楽死後に採取して、Trucut 14ゲージ針機器により超音波ガイドされるMenghini技法により239頭のイヌから肝生検を得た(Teskeら、1992、Vet. Rec. 131:30〜32)。肝生検を4%緩衝化ホルマリンにおいて3時間固定し、70%エタノールに移し、パラフィンに包埋した。5ミクロン切片をスライド上に載せ、ヘマトキシリン・エオシン(ルーチン評価)、ワンギーソン(von Giesson)(レティキュリン染色)およびルベアン酸(銅染色)で染色した。
【0164】
診断は、本出願人らの委員会の認可した病理学者による肝生検の組織学的評価に基づいて行った(TSGAMvdI)。以前に記載された0〜5のスケールで、銅蓄積の重症度をスコア化した(Teskeら、1992、Vet. Rec. 131:30〜32)。銅を含まない容器内に追加的な肝生検を収集し、凍結乾燥し、機器中性子放射化分析(INAA)により乾燥重量肝臓における定量的な銅を決定した(Bodeら、2008、Anal. Bioanal. Chem. 390:1653〜1658)。
【0165】
組織学的スコアを下に記載する。
グレード0 − 銅なし。
グレード1 − 単独的な(solitary)肝細胞が、数個の銅陽性顆粒を含有する。
グレード2 − 肝細胞の小さな群または区域が、少量から中程度の量の銅陽性顆粒を含有する。
グレード3 − 肝細胞のより大きな群または区域が、中程度の量の銅陽性顆粒を含有し、これは銅含有マクロファージと関連することもある。
グレード4 − 通常、銅含有マクロファージと関連する、多くの銅陽性顆粒を有する肝細胞の大きな区域。
グレード5 − 通常、銅含有マクロファージと関連する、多くの銅陽性顆粒を有する肝細胞の拡散した汎小葉的(pan-lobular)存在。
【0166】
試料表現型決定
銅関連慢性肝炎は、以前に表現型的に特徴づけられた(Hoffmannら、2006、J. Vet. Intern. Med. 20: 856〜861)。肝生検の評価に基づき、4種の表現型を定義した。
【0167】
22kチップデータ(後述を参照)の目的のために、本出願人らは、600mg/kg乾燥重量を上回る肝臓銅濃度を「影響を受ける」と、400mg/kg乾燥重量を下回る肝臓銅濃度を「影響を受けない」と命名した(quantaff)。
【0168】
最も明確な銅中毒症の症例および対照の二元的(binary)表現型も適用した(cutox)。症例は、肝臓銅レベル>1200mg/kgまたは銅染色>3および肝炎の組織学的兆候を有するものとして定義した。対照は、肝臓銅レベル<400mg/kgおよび染色<2を有するものとしておよび組織学的に異常なしとして定義した。より分離された表現型を用いて、遺伝的マッピングの分解能を増加させた。
【0169】
ルベアン酸染色に基づく病理学者による半定量的スコア化を定量的表現型(ra)として用い(スコア0〜5)、肝生検を行った全てのイヌにおいて利用した。
【0170】
肝臓組織における定量的銅レベルを定量的表現型(cuq)として用い、これは、65〜3870mg/kgに及んだ。
【0171】
遺伝子型決定(Illumina 22Kチップ)
およそ22,000SNP遺伝子座の測定を目標とする第一世代Illuminaイヌ遺伝子型決定アレイ(22Kチップ)を用いて、ゲノムワイド遺伝子型決定を行った。本出願人らは、このアレイにおいて251種のイヌDNA試料の実験を行った。
【0172】
カイ二乗解析
カイ二乗検定の収集により、データを解析した。二自由度検定を用いた。次に、p値により遺伝子座をランク付けして、さらなる調査の優先順位をつけた。
【0173】
ペアワイズ解析
典型的には、遺伝的マッピングは、全ゲノムにわたり広がるマーカーにおいて、選択された試料を遺伝子型決定することにより行われる。疾患等、形質に関して試料を表現型決定した。試料は典型的には、単一の亜集団から選択され、可能な限り該集団内で無関係となるよう選択される。この操作は、集団構造から偽陽性ヒットを得る危険性を低下させるために行われる。
【0174】
以前のイヌの遺伝学的研究において、イヌは常に大量の変動的な遺伝子選択下に置かれているため、これらの厳密な判断基準を満足させることは困難であった。これは、血統、地理、時間および社会的派閥のサブタイプにわたるデータセットにおける集団構造を作製する。集団構造および密接に関係した試料の存在下でイヌの遺伝的データを解析するための新たな方法が開発される必要があった。ペアワイズマッピングは、この目的のために開発された最も成功した方法であった。
【0175】
個体群における遺伝的形質と関連する多型を決定するための方法、即ち「分配マッピング」(「2Dマッピング」としても知られる)を開発した。この方法は現在、二元的条件(症例/対照試験)に限定されている。遺伝的連関を有する複合的疾患は一般に、2種以上の遺伝子により推進される。これらの遺伝子は、直線的でない仕方で相互作用する可能性があり、伝統的な方法を用いたこれらのマッピングをより困難なものとしている。遺伝子座は、該個体ペアにおける表現型に寄与するか否かのどちらかであるため、個体ペアのレベルに作用することにより、複数の遺伝子の影響を取り除くことが可能となる。このプロセスの完全な作業を後述する。この解析を行った後、他の方法を用いて各区域における危険性対立遺伝子を抽出し、モデルを構築して表現型を予見することが可能となる。
【0176】
「分配マッピング」アルゴリズムは、50キロベース毎に停止しつつゲノム全体にわたり走査する。これらのポイントそれぞれにおいて、全個体ペアを解析する。ペア毎に、染色体全体の遺伝子型を解析し、可能性のある3つのシナリオの下で遺伝子型の可能性を比較する。第1のシナリオは、この個体ペアにおいて表現型を推進する劣性突然変異が存在することである。第2のシナリオは、この個体ペアにおいて表現型を推進する優性突然変異が存在することである。第3のシナリオは、この位置におけるイヌのペアにおける表現型には重要な突然変異が存在しないことである。可能性は、後述する隠れマルコフモデルを用いて計算される。これらの可能性を比較することにより、該ポイントにおける劣性または優性表現型推進型突然変異の存在に向けたまたはこれに対するこの個体ペアのベイズ(Bayes)因子を導くことが可能である。これらの値の対数が採用され、そこで、正の値は、劣性または優性突然変異シナリオに向かうより大きい重みを表し、負の値は、そこに重要な突然変異が存在しないことに向かうより強い証拠を表す。
【0177】
個体ペアは、該遺伝子座における対数ベイズ因子の順に選別される。次に、ペアの対数ベイズ因子は、データの各パーセンタイルにおける証拠の累積的重みの記録を採用して、降順で合計される。多くの場合、ある対数ベイズ因子は、陽性となり、ある因子は陰性となるであろう。このことは、記録された値が、データのパーセンテージを上昇させ、続いて降下させる効果を与える。この値の最大値は、劣性または優性モデルいずれかに向かう証拠の重みの尺度を与える。これは、「ピーク値」と称される。
【0178】
一部の事例において、アルゴリズムは、ゲノムの特にホモ接合型区域または高密度の多型を有する区域に向けた偏りを有する。この効果は、4種の可能性のある症例/対照状態(症例−症例、症例−対照、対照−症例、対照−対照)にわたり並べ替えた全ペアを用いたプロセスの実施により定量化される。任意の遺伝子座に関して、並べ替えたモデル下のピーク値を正常ピーク値から引き、これにより補正されたピーク値を得る。次に、ゲノムにわたる補正されたピーク値を比較し、対象とする領域を得ることが可能となる。
【0179】
この方法は、肝臓における銅負荷と関連する多数の位置のマッピングに用いられてきた。これらの位置は、形質連関遺伝子を示すハプロタイプパターンによりマークされる。続いて、可能性のある遺伝子に関して位置を調査した。
【0180】
領域遺伝子解析
次に、全ゲノム関連研究において同定された領域を、可能性のある遺伝子に関して解析した。プロセスは、情報価値のある領域境界を同定することと、Ensemblにおける領域における全遺伝子を同定することと、銅または肝臓機能に関係する関連性のあるタンパク質ドメインを探索することと、銅に連関する経路のメンバーシップを探索することと、関連性のある組織において発現される遺伝子を探索することとに関与した。この情報に基づき、次に、疾患関与の可能性により、遺伝子の優先順位をつけた。
【0181】
このプロセスにより、銅蓄積または肝疾患と関連する多数の候補遺伝子を同定した。
【0182】
遺伝子型決定(Illumina 170Kチップ)
上述の22Kチップよりも新しいSNPチップを利用できるようになり、これは、より多様なソース由来の172,115種のマーカーを有する(170Kチップ)。このチップは、1Mb当たり平均して70種を超えるマーカーを含有する。本出願人らは、22Kチップにおける試料と同一およびさらなるDNA試料の実験をこのアレイにおいて行った。
【0183】
解析
170Kチップの結果を用いて、GenABELソフトウェア(Aulchenkoら、2007、Bioinformatics, 23: 1294〜1296)によりゲノムワイド関連解析を行った。98%の個体において分類が成功したSNPおよび遺伝子型決定が成功した98%のSNPを有する個体を解析において維持した。少なくとも20頭の保因者が存在する場合、解析においてSNPを維持した。有意に関連するSNPを、解析後にハーディ・ワインベルグ平衡(HWE)に関してチェックした。
【0184】
常染色体の遺伝子型情報に基づき、遺伝的血縁を推定した。集団部分構造が遺伝的血縁マトリックスの計算により説明される多遺伝子モデル(Aulchenkoら、2007、Genetics、177: 577〜585)により、3種の形質(銅中毒症、ルベアン酸染色スコアおよびmg/kgで表す定量的肝臓銅)の遺伝率を推定した。年齢および性別を共変数としてモデル化した。多次元的スケーリングプロットにより集団層別化をチェックした。多遺伝子モデルおよびゲノム対照の推定の残渣においてスコア検定を行うことにより、層別化のための補正を行った。関数grammas(Aminら、2007、PloS One、2: e1274)およびfasta(Chenら、2007、Am. J. Hum. Genetics、81: 913〜926)を用いて、集団層別化のために補正した。grammas解析において千回の並べ替えを用いて、ゲノムワイド補正されたp値を得た。雄雌別々にX染色体を解析した。
【0185】
上述のペアワイズ方法をここでも適用した。
【0186】
総計で、109496種のマーカーおよび253頭のイヌが、品質制御を通過した。形質毎の表現型および計算された遺伝率(H2)の概要を表1に表す。
【0187】
【表1】
【0188】
ゲノムワイド関連解析は、ゲノムワイドに有意な結果に近いヒットをもたらした。全3種の解析の上位5種の有意なSNPの結果を表2に表す。
【0189】
【表2】
【0190】
ゲノムワイドに有意な領域(grammasにおける1000回の並べ替え後のp値は0.11であった)に近いものを第22染色体のra遺伝子型により同定した。関連する領域は、染色体の始まりにおける15Mb領域に及ぶことが判明した。候補遺伝子ATP7Bは、3.12〜3.16Mbにおけるこの領域に位置した。この遺伝子の解析を実施例5に記載する。
【実施例2】
【0191】
3領域モデル作成
本実施例は、肝臓の銅蓄積に対する感受性を決定するための3領域モデルの作成について記載する。この研究は、国際公開第2009/044152(A2)号パンフレット、国際公開第2010/038032(A1)号パンフレットおよび国際公開第2010/116137(A1)号パンフレットにおいても記載されている。
【0192】
実施例1に記載されている領域解析において優先順位をつけた、遺伝子におけるおよびその周囲のSNPをデータセットから抽出した。これらを単独およびハプロタイプにおいて解析して、肝臓銅レベルと関連する情報価値のある対立遺伝子パターンを探索した。
【0193】
これらのパターンのうち最も有意なもの(一自由度カイ二乗検定による)をモデルにおいて用いた。3種の遺伝子(ATP7A、UBL5−オルソログおよびGOLGA5)付近のSNPをモデルにおける使用のために選んだ。次に、0または1のいずれかにより各遺伝子パターンが表され(1は、より高い危険性の遺伝子型またはパターン)、3桁のパターンによる3種のパターンの組合せ(例えば、0−0−0または0−1−1)によるブーリアン(Boolean)モデルを作成した。したがって、1−1−1は、高い肝臓銅の最大の危険性を表す。
【0194】
表3は、銅蓄積を予見するための3領域モデルの結果を示す。各領域は、単一のSNPまたはSNP群のいずれかを用いる。モデルは、3ゲノム領域におけるSNPのこの単純なモデルを用いた、イヌの遺伝子型に応じた疾患の危険性における明らかな差を示す。
【0195】
【表3】
【0196】
表3の2進値に対するキーを以下に提示する。
ゲノムの遺伝子座第8染色体(CFA8)、GOLGA5遺伝子領域:
1=BICF2P506595のSNPにAA遺伝子型がある場合
0=BICF2P506595のSNPの任意の他の遺伝子型がある場合
ゲノムの遺伝子座第32染色体(CFA32)、UBL5遺伝子領域:
1=BICF2P772765にGG、BICF2S2333187にCCおよびBICF2P1324008にGGがある場合
0=これらのSNPのいずれかが異なった遺伝子型を示す場合
ゲノムの遺伝子座X染色体(CFAX)、ATP7A遺伝子領域:
1=BICF2P591872にAAまたはAGがある場合
0=BICF2P591872にGGがある場合
【0197】
表3は、3つのゲノムの遺伝子座における対立遺伝子の2元状態を表す。ゲノムの遺伝子座CFA8において、1つのSNPが使用された(SNP1)。ゲノムの遺伝子座CFA32において3つのSNPが使用された(SNP2、3および4)。ゲノムの遺伝子座CFAXにおいて1つのSNPが使用された(SNP5)。2元値は、銅蓄積に対する感受性を示す対立遺伝子(「悪い」対立遺伝子)を有するイヌを示す。例えば000は、3つの悪い対立遺伝子のいずれも有しないことを表す。111は、3つの悪い対立遺伝子のすべてを有することを表す。
【0198】
表4は、表3中の結果のために使用されたSNPの位置および配列を示す。
【0199】
結果は、3つのゲノムの遺伝子座(GOLGA5、UBL5およびATP7A遺伝子の中および周辺にある)は銅蓄積に対する感受性と関連することを示す。さらに、銅蓄積に対する感受性を示すこれらの領域中のSNPを表5に示す。
【0200】
【表4】
【0201】
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【表5-5】
【表5-6】
【表5-7】
【表5-8】
【表5-9】
【表5-10】
【表5-11】
【表5-12】
【表5-13】
【表5-14】
【実施例3】
【0202】
肝臓の銅蓄積に対する感受性と関連するさらに別のSNPおよび保護SNPの同定
本実施例は、肝臓の銅蓄積に対する感受性と関連するさらなるSNPと、また、ATP7A遺伝子におけるいくつかの保護性SNPの同定について記載する。この研究は、国際公開第2010/038032(A1)号パンフレットおよび国際公開第2010/116137(A1)号パンフレットにも記載されている。
【0203】
実施例2で同定された3つの遺伝子を調べて肝臓の銅蓄積に対する感受性と関連するさらなるSNPを同定した。3つの同定された遺伝子のエクソンを残らず網羅する33個の単位複製配列を選んだ。これらは、ラブラドールレトリーバーの血統のイヌからのゲノムのDNAの72個の試料中で増幅されていた。試料は、高銅(600mg/kgを超える肝臓銅のレベル)または正常銅肝臓レベル(400mg/kg未満)のいずれかのイヌから採取した。増幅された生成物は、サンガー法により両方向で配列を決定した。DNASTARにより供給されるソフトウェア「Seqman4.0」を各単位複製配列中の配列のアセンブルに使用した。次にアセンブリーを検査して一塩基変異(SNP)を見出した。次に、これらの変異は、両方向からの配列におけるSNPで、基準強度(base−intensity)を検査することにより遺伝子型を決定される。2つの方向からのSNPの遺伝子型が10個を超える試料中で不一致であれば、SNPはアーチファクトと分類されておよび無視される。同定された感受性SNPを表6に提示する。
【0204】
ATP7Aのコード領域における保護性SNPの発見
保護性SNPを発見した(ATP7A Reg3_F_6;ChrX_63338063)。これは、表7に提示されており、このSNPの前後の配列は、表8に提示されている。このSNPは、ATP7A遺伝子(X染色体連関遺伝子)のコード領域中にあり、コード配列中に変化を生じさせる。性別およびATP7A遺伝子型による肝臓銅の平均レベルの試験を実施した(表9)。
図1は、表9のデータをグラフで図示する。
図2は、同じデータを銅の組織学的スコアとして図示する。p値(0.000396)は、群として、組織学的なスコアと性別遺伝子型とに対するクラスカル・ワリス検定により決定した。T対立遺伝子の存在はイヌが高い肝臓銅から保護されることを示すことがデータから明らかである。
【0205】
結果は、慢性肝炎の雌のバイアスを説明することができる。雄イヌは、1コピーのX染色体を有するだけなので、ATP7A遺伝子座でヘミ接合性である。X連関劣性遺伝子の効果は、雄のX染色体のヘミ接合性状態のために、雌よりも雄において見られる可能性が高い。この場合、保護効果は劣性であるので、雌集団における方が多くの症例が見られる。
【0206】
保護SNPは、ATP7Aのアミノ酸328位におけるトレオニンのイソロイシンへの変化を生じさせ、可能な水素結合の数の3から0への減少および疎水性の増大、可能性としてタンパク質の形状の変化をもたらす。この位置におけるトレオニンは、ウマ、ヒト、チンパンジーおよびイルカを含む多くの哺乳動物を通じて保存され、タンパク質の機能におけるこのアミノ酸の重要性を示す。
【0207】
ATP7Aにおける、さらに別の保護性だが非コード領域にあるSNPの発見
ATP7A遺伝子の配列決定により、コード領域のATP7a_Reg3_F_6(ChrX_63338063)のSNPとほとんど完全な連鎖不平衡にあるイントロンのSNPが明らかになった。コード領域のSNPと同様に、イントロンのSNP(ATP7a_Reg16_F42)は、肝臓の銅蓄積からの保護と有意に関連する(表7)。遺伝子型と疾患状態の独立性における2種類の自由度によるカイ2乗検定を用いて両者の有意性を測定した。疾患状態は、銅定量化が>600mg/kg(乾燥肝臓重量)かつ組織学スコアが>=2.5に対して陽性であり、銅定量化が<400mg/kg(乾燥肝臓重量)かつ組織学スコアが<2.5に対して陰性であった。予想の表は、2個の変数の独立性を予見する試料内における遺伝子型頻度および疾患頻度のベイズ法による予測に基づいていた。
【0208】
非コード領域のSNPとコード領域のSNPとの間の連鎖不平衡の計算された尺度は、D’=0.93、Rの2乗=0.86である。したがって、このSNP同士はほぼ完全に不平衡にある。
【0209】
ATP7a_Reg16_F42の前後の配列を表8に示す。
【実施例4】
【0210】
ATP7Aの保護SNPの血統および地理的多様性に関する調査
本実施例は、ATP7A保護性コード領域SNPの血統および地理的多様性の調査について記載する。
【0211】
ATP7Aのコード領域のSNP(ATP7a_Reg3_F_6;ChrX_63338063)は、該SNPが他の血統においても存在するかどうかを決定するために、ラブラドールレトリーバーに加えて他の血統のイヌからのDNA試料においても遺伝子型を決定された。表10は、各遺伝子型のイヌの数について、結果を示す。「T」の縦欄はホモ接合体の雌(TT)およびヘミ接合体の雄(T)を示す。結果は、SNPは多様なイヌの血統に存在し、したがって種々の異なった血統、混血のイヌおよび雑種における銅蓄積からの保護の指標として使用することができることを示す。該SNPのT対立遺伝子は、米国および日本のラブラドール集団にも見出され、イヌの地理的位置はSNPの効用の障害ではないことを示す。
【0212】
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【0213】
【表7】
【0214】
【表8】
【0215】
【表9】
【0216】
【表10】
【実施例5】
【0217】
ATP7B配列決定
本実施例は、ATP7B(cDNAおよびgDNA)の配列決定および銅蓄積と関連する突然変異の解明について記載する。
【0218】
ATP7B配列決定 − cDNA
アンプリコン選択およびプライマー配列
Perlプライマーによりプライマーを開発し、NCBIプライマーBlastを用いて特異性に関してチェックした。プライマーは、ATP7Bの偽遺伝子(ゲノムポジション(4:38596510〜38597615)における1106bp断片ではなく、活性ATP7Bに特異的となるよう設計される必要があった。プライマー(表11)は、ATP7Bの偽遺伝子とミスマッチするプライマーを開発することにより保証された。NCBIデータベースに従って、主な焦点の断片は、ATP7Bのエクソン2に位置した。しかし、Ensembleは、この断片が、その中間に33塩基対イントロンを有するエクソン2(ENSCAFE00000046065)およびエクソン3(ENSCAFE00000046071)の両方であると言う。
【0219】
【表11】
【0220】
配列決定
Pfxポリメラーゼ(Invitrogen、米国カールスバッド)を用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行った。SeqMan(DNAstar8.1)を用いて配列決定の結果を解析した。NCBI(Build2.1)およびEnsembl(CanFam 2.0、2005年5月、データベースバージョン62.2r)により結果を比較した。メンデル遺伝との不一致(Mendelian inconsistency)に関してラブラドール系図をチェックした。
【0221】
結果
プライマー最適化のための肝臓RNAから調製されたビーグルcDNAの配列決定は、関心のある断片を明らかにし、ATP7Bの同時gDNA配列決定により、本出願人らのラブラドールサブセットにおけるDNAのこの部分のみを最終的に配列決定した。配列決定結果は、2種の関心のあるコード非同義突然変異を明らかにした:SNPおよびリピート。さらに、本出願人らは、2種のゲノムブラウザNCBIおよびEnsembl間の矛盾の一つを解決することができた。ATP7Bのエクソン1の配列は、未だ解明されていないため、エクソンのナンバリングは、エクソン2から開始する。
【0222】
ATP7Bコードリピート(Chr22_3135287)
ATP7B遺伝子のエクソン構造の予見において、2種のオンラインゲノムデータベース(NCBIおよびEnsembl)間に矛盾が存在する。NCBIによると、エクソン2は、1237塩基対(bp)の長さである。しかし、Ensemblは、この1237bpは、2個のエクソンである、即ち、エクソン2(971bp)、イントロン2−3(33bp)およびエクソン3(233bp)であると言う。本出願人らの配列決定結果は、エクソン2が、実際に1237塩基対長であり、イントロン配列が存在しないことを示す。
【0223】
別の注目すべき発見は、33bpコード断片が、可変的な長さであることである(
図3)。Ensembleは、4個のリピートを示すが、NCBIは、ヘテロ接合性(3および4リピート)を示す。本出願人らが配列決定したビーグルも、ヘテロ接合型であるが、2および3リピートを有する。本出願人らのラブラドールサブセットにおいて、本出願人らは、ホモ接合型(3リピート)、ヘテロ接合型(3および4リピート)およびホモ接合型(4リピート)イヌを見出した。このリピートにおける第1のCの染色体位置は、22:3135287である。リピートは、ATP7Bの第3および第4の重金属関連ドメインの間に位置する(
図4)。真獣類哺乳動物の間の多種(multispecies)アライメントは、この特定の領域が十分に保存されていないことを示す。イヌは、このポジションにおけるCGCCCCリピートが発見された唯一の種である。
【0224】
NCBI由来のリピート前後の配列を表12に示す。
【0225】
【表12】
【0226】
ATP7B 790G>A(Chr22_3135144)
本出願人らは、リピートのおよそ144bp上流が、非同義突然変異(ATP7B 790 G>A)であることを見出した。このSNPは、染色体ポジション3135144におけるエクソン2にも位置している。これは、G>A置換であり、その結果として、アミノ酸アラニンは、トレオニンに置換される。SNPは、第3の重金属関連ドメインに位置する。
【0227】
ATP7B配列決定 − ゲノム
完全表現型データが利用できる98頭のイヌにおいてBeckmann CoulterによりATP7Bの再配列決定(Sanger)を行った。エクソンおよびエクソン−イントロン境界を配列決定した。
【0228】
SeqMan(DNAstar8.1)を用いて配列決定の結果を解析した。NCBI(Build2.1)およびEnsembl(CanFam 2.0、2005年5月、データベースバージョン62.2r)により結果を比較した。メンデル遺伝との不一致に関してラブラドール系図をチェックした。
【0229】
結果
98頭のラブラドールにおけるATP7Bの全gDNA配列決定の解析は、2種のエクソン非同義突然変異(SNP ATP7B 790 G>A;Chr22_3135144を包含)および4種のエクソン同義突然変異を明らかにした。イントロンにおける9種の単一の塩基対置換を検出した。さらに、イントロン領域において3種の単一の塩基対インデルおよび7bp欠失を検出した。6塩基対のコードリピート(上述)も見出された。表現型との関係の統計解析を行った。リピートおよび2種の非同義SNPのみが、98頭のラブラドールの群において表現型と有意な関連を有していた。拡張されたセットのイヌにおいてこれら3種の突然変異を試験し(次節を参照)、機能的効果の証拠を探索した。
【0230】
ATP7B 4145G>A
ATP7B 4145G>A SNPは、終止コドンのおよそ154bp上流の、ATP7Bの末端に位置している(エクソン21、染色体ポジション3167534)。これは、G>A置換がアルギニンの代わりにアミノ酸グルタミンをもたらす非同義突然変異である(
図5)。
【0231】
拡張されたセットのラブラドールにおける突然変異の分類および効果の予見
ATP7Bにおいて見出された2種の関心のあるSNP(SNP790G>AおよびSNP4145G>A)およびリピートを、より大型のサブセットのラブラドールレトリーバーにおいてさらに解析した。SNP790G>Aのため、267頭のラブラドールおよび1頭のビーグル(対照)を分類し、SNP4145G>Aのため、SNaPshotにより総計242頭のラブラドールを分類した。リピートのため、Genescanにより216頭のイヌを分類した。突然変異の分類に用いたプロトコールを、より詳細に後述する。
【0232】
Genescan
Genescanを行って、3プライマープロトコールを用いてATP7BにおけるDNA断片長多型を分類した。Platinum Taqポリメラーゼは、ショットタンデム型GCリピートを検出することができないため、アンプリコンのPCR増幅にPfxポリメラーゼを用いた。フォワードプライマーにM13テールを付加されたものを除いて、配列決定に用いたものと同一のプライマーをGenescanにも用いた。プライマー配列を表13に収載した。
【0233】
【表13】
【0234】
Applied Biosystems GeneMapperソフトウェアバージョン4.0によりGenescan結果を解析した。マイクロサテライトの長さおよび長さの差ならびに個体がマイクロサテライトのこの遺伝子座においてホモ接合型であるかヘテロ接合型であるかに焦点を置いた。ピークを互いにおよびサイズ標準と比較して、ピークの信頼性を決定した。
【0235】
SNaPshot
拡張された群のラブラドールレトリーバーにおいて正確なSNP解析のためにSNaPshotを行った。
【0236】
790G>Aのため、配列決定に用いた(機能的ATP7B特異的)プライマーを、SNaPshotプロトコールのPCR反応にも用いた。PerlプライマーによりSNP 4145G>AのPCRプライマーを開発し、NCBIプライマーBlastによりチェックした。これらのプライマーは、イントロン配列も取り込まれているため、機能的ATP7B遺伝子に特異的であった。加えて、両方のSNPのため、SNaPshotプライマーを設計した。プライマー配列を表14に提示する。
【0237】
【表14】
【0238】
SNaPshotプロトコールは、PCRステップを除いて、どちらのSNPも同一であった。標準Platinum Taqポリメラーゼを用いてSNP 4145G>Aの鋳型を作製した。対照的に、SNP 790G>Aの鋳型は、GCリッチストレッチをより的確に増幅することのできるPfxポリメラーゼを用いて作製した。
【0239】
Applied Biosystems GeneMapperソフトウェアバージョン4.0により結果を解析した。各色が別の塩基を表す異なる色と、個体のヘテロ接合性またはホモ接合性に焦点を置いた。ピークを互いにおよびサイズ標準と比較して、ピークの信頼性を決定した。
【0240】
多種アライメント
他種間の突然変異領域の保存をチェックするため、Ensemble多種アライメントツールを用いて多種アライメントを形成した。両方の単一塩基は、異なる種にわたって高度に保存されているが、一方、コードリピートは保存されていない。イヌは、該ポジションにリピートを有する唯一の種である。
【0241】
突然変異効果の予見
数種の予見プログラムによりタンパク質機能に予見される可能な有害効果に関して両方のSNPを評価した:
・Align−GVGD(http://agvgd.iarc.fr/index.php)
ツールは、アミノ酸の生物物理学的特徴およびタンパク質の複数の配列アライメントを組み合わせて、対象とする遺伝子におけるミスセンス置換が、豊富な有害から豊富な中立の範囲に収まる場所を予見する。
・PolyPhen(http://genetics.bwh.harvard.edu/pph/index.html)
直接的な物理および比較考察を用いたヒトタンパク質の構造および機能におけるアミノ酸置換の可能な影響の予見。
・PhD−SNP(http://gpcr.biocomp.unibo.it/cgi/predictors/PhD-SNP/PhD-SNP. cgi)
ツールは、ヒト有害一塩基多型の予測装置(predictor)として用いられる。
・SNAP(http://rostlab.org/services/snap/)
これは、タンパク質機能における単一アミノ酸置換の効果を評価するための方法である。
【0242】
予測プログラムは、主に、ヒトのデータ入力に基づくため、あらゆるプログラムが、イヌアミノ酸置換の効果を予見することができるとは限らない。用いられる予測プログラムによると、ATP7B 790 G>Aは、タンパク質機能に最も有害な効果を有することが疑われる。
【0243】
LD計算
ATP7Bにおけるコード突然変異およびATP7Bの第1の部分における672種のSNPのために、プログラムHaploviewを用いてLDの2種の尺度(信頼区間を有するD’およびRの2乗)を計算した。GWAS由来の上位3種の最も関連したSNPの結果を表15に表す。高D’および低Rの2乗は、測定される突然変異のいずれかの組合せの対立遺伝子頻度における差を示す。領域(Chr22の最初の15Mb)におけるLD構造を
図6に表す。この領域における突然変異および数種のSNPの間に高LDが存在し、GWAS解析において関連する大きな区域をもたらす。
【0244】
【表15】
【0245】
コード突然変異と表現型との統計的関連
拡張されたセットのラブラドールにおいてATP7Bにおけるコード突然変異を分類し、線形モデルを用いて、同一モデルにおける単一の突然変異および全突然変異の、突然変異の効果の規模および方向(ベータ)ならびに関連の有意性(p値)を決定した。211頭のラブラドールのため、ATP7Bにおける全3種の突然変異およびATP7Aにおける突然変異を分類した。このセットにおいて、各イヌの危険性対立遺伝子の数を決定し、RA染色に基づく肝臓銅における危険性対立遺伝子の数の効果を計算した。
【0246】
結果変数としての銅のraスコア化による線形モデリングを、ATP7Bコード突然変異の共変数として年齢、性別および突然変異を用いて行った。単一対立遺伝子効果および他の2種に対し補正した各突然変異の効果の両方を計算し、結果を表16にまとめる。相加的な仕方で突然変異をモデル化したため、効果は、対立遺伝子の余剰のコピー全てに対し推定された。
【0247】
790 G/A(Chr22_3135144)突然変異は、保護的であることが判明したが、一方、リピートの余剰のコピー全て(Chr22_3135287)およびポジション4145における余剰のA全て(Chr22_3167534)は、肝臓銅の有意により高いRAスコア化をもたらした。
【0248】
【表16】
【0249】
疾患表現型に寄与するあらゆる公知のコード突然変異の効果を研究するため、ATP7Bにおける3種の突然変異と共に、以前に発見されたATP7Aコード突然変異の分類が成功した211頭のラブラドールにおいて線形モデリングを行った。個々のイヌ毎に危険性対立遺伝子の数を計数した。危険性対立遺伝子は次の通りであった:ATP7Aコード突然変異のC、ATP7B 790、G/AのG(Chr22_3135144)、染色体位置22:3135287におけるATP7Bリピートの3リピートおよびATP7B 4145 G/AのA(Chr22_3167534)。結果変数は、RA銅染色(レベル0〜5)に基づく肝臓銅レベルであり、危険性対立遺伝子の数を共変数としてモデル化した。余剰の危険性対立遺伝子は全て、3.5 e−08の非常に有意なp値を有する0.33のRA染色スコアにおける有意な増加をもたらした。
図7は、定量的肝臓銅レベルにおける危険性対立遺伝子の数の効果を示す。
【実施例6】
【0250】
SNP遺伝子型決定およびモデル作成
本実施例は、SNPの遺伝子型決定およびモデル作成について記載する。
【0251】
CACH表現型のDNA試料のSOLID配列決定(SOLID 3配列決定プラットフォームを用いる)によりSNPを同定した。加えて、以前の研究由来のSNPならびにATP7A、COMMD1、ATOX1およびATP7B遺伝子の配列決定は、解析に包含された。
【0252】
あらゆる利用できる表現型のDNA試料において、GeneSeekによりSNPを遺伝子型決定した。カイ二乗検定の収集によりSNPを解析した。表現型および遺伝子型間の独立の帰無仮説により、二自由度検定を用いた。用いた表現型を次に示す:
・組織学的スコア>=2.5vs.組織学的スコア<2.5
・定量的銅>600vs.定量的銅<400
【0253】
カイ二乗検定と共に、定量的銅および組織学的スコアに対し相関係数検定を適用した。corrcoef関数を用いたMATLABにおいて検定を行って、p値および相関係数を生じた。次に、p値により遺伝子座をランク付けして、さらなる調査の優先順位をつけた。有意性0.001を超えるゲノム領域を、実施例1における見出し「領域遺伝子解析」の節に記載されている潜在的な候補遺伝子に関して調査した。
【0254】
次に、選択されたSNPに関して遺伝子型を検査した。corrcoef関数は、低いメンバーシップの群を有する順序データ(遺伝子型等)において偽陽性を生じることもあるため、表現型に差を有する少なくとも2群において10種以上の試料を含有するSNPのみのフィルターをSNPにかけた。残りのSNPは、モデル作成において用いた。
【0255】
最終データは、260種の試料において遺伝子型決定された386種のSNPからなる。解析は、肝臓の銅蓄積に対する感受性または肝臓の銅蓄積からの保護と有意に関連する多くのSNPを同定した。この解析を表17に示す。前後の配列を包含するSNPに関するさらなる情報を表18に提示する。
【0256】
SNPと連鎖不平衡にある、したがって、肝臓の銅蓄積に対する感受性または肝臓の銅蓄積からの保護とも関連するSNPの例を表19および表20に提示する。
【0257】
【表17-1】
【表17-2】
【0258】
【表18-1】
【表18-2】
【表18-3】
【0259】
【表19-1】
【表19-2】
【表19-3】
【表19-4】
【表19-5】
【表19-6】
【表19-7】
【表19-8】
【表19-9】
【0260】
【表20-1】
【表20-2】
【表20-3】
【表20-4】
【表20-5】
【表20-6】
【表20-7】
【表20-8】
【表20-9】
【0261】
モデル作成
表17〜表20において同定された突然変異は、単独で用いて、肝臓の銅蓄積に対する感受性または肝臓の銅蓄積からの保護を決定することができる。しかし、肝臓の銅蓄積に対する感受性または肝臓の銅蓄積からの保護を評価するより的確な方法は、突然変異の組合せに関与するモデルの使用により達成することができる。表17および表18における突然変異は、後述するモデル作成において用いた。
【0262】
変数
選ばれた変数は、Geneseek遺伝子型決定において同定された全突然変異と、雄が0雌が1としてコードされる性別であった。遺伝子型は、0、1または2の順序形態でコードされた(第2の対立遺伝子の計数)。
【0263】
log10定量的銅および組織学的スコアの、2種のレポーター(reporter)変数を用いた。これらは両者共に、遺伝学およびおよそ互いに対し直線的に応答すると考えられるため、この種類の線形モデリングの優れた候補となる。
【0264】
方法
変数の数および利用できる試料サイズのため、全ての遺伝的効果を一緒にモデル化できるとは限らない。これを解決するため、段階的モデリング技法を用いた。この技法は、モデルにおける係数の推定の有意性を観察しつつ因子を挿入および除去することにより、モデルにおいていずれの因子を用いるべきかを決定する。用いた正確な方法を下に述べる:
1.データを平均パッチ(mean-patched)して、欠損データを可能にする。
2.MATLAB段階的コマンドを用いて、平均パッチデータにおいて段階的回帰を行った。これは、係数0.9前後の信頼区間を用いる。
3.次に、選択された変数および係数を記録し、適切な分散分布に関して残渣を検査した。
4.診断に適切なカットオフを探索するため、オッズ比、罹患率(prevalance)補正した陽性適中率(predicted value)および罹患率補正した陰性適中率を、全潜在的カットオフに対して作成して、異なるカットオフにおけるPPVおよびNPV間のトレードオフ(trade-off)を示すチャートを作成した。これらの目的のため、陽性は、組織学的スケールで>2.5および定量的銅スケールで>600mg/kg銅であった。
【0265】
モデル決定において用いる因子の鍵を表21に示す:
【0266】
【表21】
【0267】
結果
段階的ツールを用いたモデリングは、
図8および
図9に示す予測関数を生じた。
図8は、組織学的銅スコアの段階的モデリングを図解する。
図9は、対数定量的銅スコアの段階的モデリングを図解する。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1]
イヌを検査して肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性を決定する方法であって、試料中のイヌのゲノムにおける、
(a)Chr22_3167534(配列番号144)、Chr22_3135144(配列番号145)、Chr20_55461150(配列番号146)、ChrX_120879711(配列番号147)、Chr19_6078084(配列番号148)、Chr15_62625262(配列番号149)、Chr14_39437543(配列番号150)、Chr15_62625024(配列番号151)、Chr3_86838677(配列番号152)、Chr24_4011833(配列番号153)、Chr18_60812198(配列番号154)、Chr10_65209946(配列番号155)および染色体位置22:3135287におけるCGCCCCリピート、
(b)前記多型(a)と連鎖不平衡にある1つまたは複数の多型、および/または
(c)Chr32_38904515(配列番号156)、Chr8_4892743(配列番号157)およびChr8_4880518(配列番号158)
から選択される1つまたは複数の多型の有無を検出することを含む方法。
[2]
試料中のイヌのゲノムにおける、
(d)ChrX_63338063(配列番号142)および/または
(e)前記多型(d)と連鎖不平衡にある1つまたは複数の多型
から選択される1つまたは複数の多型の有無を検出することをさらに含む、上記[1]に記載の方法。
[3]
1つまたは複数の多型が、一塩基多型(SNP)である、上記[1]または[2]のいずれか一項に記載の方法。
[4]
試料中のイヌのゲノムにおける、
BICF2P506595(配列番号1)、BICF2P772765(配列番号2)、BICF2S2333187(配列番号3)、BICF2P1324008(配列番号4)、BICF2P591872(配列番号5)、ATP7a_Reg4_F_9(配列番号131)、UBL5_Reg1F_16(配列番号132)、golga5_Reg1_24(配列番号133)、golga5_26(配列番号134)、golga5_27(配列番号135)、golga5_28(配列番号136)、golga5_29(配列番号137)、golga5_30(配列番号138)、golga5_31(配列番号139)、atp7areg17_32(配列番号140)、atp7areg17_33(配列番号141)およびそれらと連鎖不平衡にある1つまたは複数のSNPから選択される1つまたは複数のSNPの有無を検出することをさらに含む、上記[1]から[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5]
BICF2P506595(配列番号1)、BICF2P772765(配列番号2)、BICF2S2333187(配列番号3)、BICF2P1324008(配列番号4)、およびBICF2P591872(配列番号5)のSNPの有無を検出することを含む、上記[4]に記載の方法。
[6]
試料中のイヌのゲノムにおける、
(a)Chr22_3167534(配列番号144)、Chr22_3135144(配列番号145)、Chr20_55461150(配列番号146)、Chr19_6078084(配列番号148)、Chr3_86838677(配列番号152)、Chr10_65209946(配列番号155)およびChrX_63338063(配列番号142)、または
(b)ChrX_120879711(配列番号147)、Chr15_62625262(配列番号149)、Chr22_3167534(配列番号144)、Chr8_4892743(配列番号157)、Chr24_4011833(配列番号153)およびChr18_60812198(配列番号154)
の有無を検出することを含む、上記[1]から[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7]
多型(a)と連鎖不平衡にある多型が、多型(a)の680kb以内にあり多型(a)と同一の染色体上に存在し、多型対間の連鎖不平衡の計算された尺度R2が0.5を超えるまたはそれに等しい、上記[1]から[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8]
上記[1]に定義されているおよび場合により上記[2]から[7]のいずれか一項に定義されている1つまたは複数の多型、ならびにそれらと肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性との関連に関する情報を含むデータベース。
[9]
肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性を決定する方法であって、
(a)イヌのゲノムにおける、上記[1]に定義されているおよび場合により上記[2]から[7]のいずれか一項に定義されている1つまたは複数の多型の有無に関するデータをコンピュータシステムに入力することと、
(b)データを、上記[1]に定義されているおよび場合により上記[2]から[7]のいずれか一項に定義されている1つまたは複数の多型、ならびにそれらと肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性との関連に関する情報を含むコンピュータデータベースと比較することと、
(c)比較に基づいて、肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性を決定することと
を含む方法。
[10]
コンピュータシステムにおいて実行される場合、コンピュータシステムに上記[9]に記載のすべてのステップを実施するように指示するプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム。
[11]
上記[10]に記載のコンピュータプログラムおよび上記[8]に記載のデータベースを含むコンピュータ記憶媒体。
[12]
上記[9]に記載の方法を実施するように構成されているコンピュータシステムであって、
(a)イヌのゲノムにおける、上記[1]に定義されているおよび場合により上記[2]から[7]のいずれか一項に定義されている多型の有無に関するデータを受け取るための手段と、
(b)上記[1]に定義されているおよび場合により上記[2]から[7]のいずれか一項に定義されている1つまたは複数の多型、ならびにそれらと肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性との関連に関する情報を含むデータベースと、
(c)データをデータベースと比較するためのモジュールと、
(d)前記比較に基づいて、肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性を決定するための手段と
を含むコンピュータシステム。
[13]
肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性を決定する方法であって、試料中のイヌのゲノムにおける、上記[1]に定義されている多型から選択される1つまたは複数の多型および場合により上記[2]から[7]のいずれか一項に定義されている多型から選択される1つまたは複数の多型の有無を検出することを含む方法。
[14]
肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性を決定するための、上記[1]に定義されている多型から選択される1つまたは複数の多型および場合により上記[2]から[7]のいずれか一項に定義されている多型から選択される1つまたは複数の多型の使用。
[15]
肝臓の銅蓄積から保護される可能性が高い子孫を作出することについてイヌを選択する方法であって、
・上記[1]から[7]、[9]および[13]のいずれか一項に記載の方法に従って、候補の第1のイヌのゲノムが肝臓の銅蓄積に対する感受性を示す1つまたは複数の多型を含むかどうかを決定し、それにより候補の第1のイヌが肝臓の銅蓄積から保護される可能性が高い子孫を作出するのに適するかどうかを決定することと、
・場合により、上記[1]から[7]、[9]および[13]のいずれか一項に記載の方法に従って、第1のイヌと反対の性の第2のイヌのゲノムが肝臓の銅蓄積に対する感受性を示す1つまたは複数の多型を含むかどうかを決定することと、
・場合により、第1のイヌと第2のイヌとを交配して、肝臓の銅蓄積から保護される可能性が高い子孫を作出することと
を含む方法。
[16]
イヌが、ラブラドールレトリーバーの血統を遺伝的に継承している、上記[1]から[7]、[9]、[13]もしくは[15]のいずれか一項に記載の方法または上記[14]に記載の使用。
[17]
イヌを検査してイヌが肝臓の銅蓄積から保護されている可能性を決定する方法であって、試料中のイヌのゲノムにおける、(a)Chr22_3135144(配列番号145)および(b)(a)と連鎖不平衡にある1つまたは複数の多型から選択される1つまたは複数の多型の有無を検出することを含む方法。
[18]
試料中のイヌのゲノムにおける、(c)ChrX_63338063(配列番号142)および/または(d)(c)と連鎖不平衡にある1つまたは複数の多型の有無を検出することをさらに含む、上記[17]に記載の方法。
[19]
試料中のイヌのゲノムにおける、(c)ChrX_63338063(配列番号142)および/または(d)ChrX_63397393(SNP ATP7a_Reg16_F_42;配列番号143)の有無を検出することを含む、上記[18]に記載の方法。
[20]
イヌを検査して肝臓の銅蓄積に対するイヌの感受性を決定する方法であって、試料中のイヌのゲノムにおける、
(e)Chr22_3167534(配列番号144)、Chr22_3135144(配列番号145)、Chr20_55461150(配列番号146)、ChrX_120879711(配列番号147)、Chr19_6078084(配列番号148)、Chr15_62625262(配列番号149)、Chr14_39437543(配列番号150)、Chr15_62625024(配列番号151)、Chr3_86838677(配列番号152)、Chr24_4011833(配列番号153)、Chr18_60812198(配列番号154)、Chr10_65209946(配列番号155)および染色体位置22:3135287におけるCGCCCCリピート、
(f)前記多型(e)と連鎖不平衡にある1つまたは複数の多型、および/または
(g)Chr32_3890451(配列番号156)、Chr8_4892723(配列番号157)およびChr8_4880518(配列番号158)
から選択される1つまたは複数の多型の有無を検出することをさらに含む、上記[17]から[19]のいずれか一項に記載の方法。
[21]
試料中のイヌのゲノムにおける、
BICF2P506595(配列番号1)、BICF2P772765(配列番号2)、BICF2S2333187(配列番号3)、BICF2P1324008(配列番号4)、BICF2P591872(配列番号5)、ATP7a_Reg4_F_9(配列番号131)、UBL5_Reg1F_16(配列番号132)、golga5_Reg1_24(配列番号133)、golga5_26(配列番号134)、golga5_27(配列番号135)、golga5_28(配列番号136)、golga5_29(配列番号137)、golga5_30(配列番号138)、golga5_31(配列番号139)、atp7areg17_32(配列番号140)、atp7areg17_33(配列番号141)およびそれらと連鎖不平衡にある1つまたは複数のSNPから選択される1つまたは複数のSNPの有無を検出することをさらに含む、上記[17]から[20]のいずれか一項に記載の方法。
[22]
試料中のイヌのゲノムにおける、
BICF2P506595(配列番号1)、BICF2P772765(配列番号2)、BICF2S2333187(配列番号3)、BICF2P1324008(配列番号4)、およびBICF2P591872(配列番号5)のSNPの有無を検出することを含む、上記[21]に記載の方法。
[23]
試料中のイヌのゲノムにおける、
Chr22_3167534(配列番号144)、Chr22_3135144(配列番号145)、Chr20_55461150(配列番号146)、Chr19_6078084(配列番号148)、Chr3_86838677(配列番号152)、Chr10_65209946(配列番号155)およびChrX_63338063(配列番号142)の有無を検出することを含む、上記[17]から[22]のいずれか一項に記載の方法。
[24]
多型(a)と連鎖不平衡にある多型が、多型(a)の680kb以内かつそれと同一染色体上にあり、多型ペア間の連鎖不平衡の計算された尺度R2が0.5以上である、上記[17]から[23]のいずれか一項に記載の方法。
[25]
上記[17]に定義されているおよび場合により上記[18]から[24]のいずれか一項に定義されている1つまたは複数の多型、ならびにそれらと肝臓の銅蓄積からのイヌの保護またはそれに対するイヌの感受性との関連に関する情報を含むデータベース。
[26]
イヌが肝臓の銅蓄積から保護されている可能性を決定する方法であって、
(a)イヌのゲノムにおける、上記[17]に定義されているおよび場合により上記[18]から[24]のいずれか一項に定義されている1つまたは複数の多型の有無に関するデータをコンピュータシステムに入力することと、
(b)データを、上記[17]に定義されているおよび場合により上記[18]から[24]のいずれか一項に定義されている1つまたは複数の多型、ならびにそれらと肝臓の銅蓄積からのイヌの保護またはそれに対するイヌの感受性との関連に関する情報を含むコンピュータデータベースと比較することと、
(c)比較に基づいて、イヌが肝臓の銅蓄積から保護されている可能性を決定することと
を含む方法。
[27]
コンピュータシステムにおいて実行される際に、コンピュータシステムに上記[26]に記載の全ステップを実施するよう指示するプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム。
[28]
上記[28]に記載のコンピュータプログラムと、上記[25]に記載のデータベースとを含むコンピュータ記憶媒体。
[29]
上記[26]に記載の方法を実施するように構成されているコンピュータシステムであって、
(a)イヌのゲノムにおける、上記[17]に定義されているおよび場合により上記[18]から[24]のいずれか一項に定義されている1つまたは複数の多型の有無に関するデータを受け取るための手段と、
(b)前記多型およびそれらと肝臓の銅蓄積からのイヌの保護またはそれに対するイヌの感受性との関連に関する情報を含むデータベースと、
(c)データをデータベースと比較するためのモジュールと、
(d)前記比較に基づいて、イヌが肝臓の銅蓄積から保護されている可能性を決定するための手段と
を含むコンピュータシステム。
[30]
イヌが肝臓の銅蓄積から保護されている可能性を決定する方法であって、イヌのゲノムにおける、(a)Chr22_3135144(配列番号145)および(b)(a)と連鎖不平衡にある1つまたは複数の多型から選択される1つまたは複数の多型の有無を検出することを含む方法。
[31]
イヌが肝臓の銅蓄積から保護されている可能性を決定するための、上記[17]に定義されているおよび場合により上記[18]から[24]のいずれか一項に定義されている多型の使用。
[32]
肝臓の銅蓄積から保護される可能性のある子孫を作出するためのイヌを選択する方法であって、
− 上記[17]から[24]、[26]および[30]のいずれか一項に記載の方法に従って、第1のイヌ候補のゲノムが、肝臓の銅蓄積からの保護を示す1つまたは複数の多型を含むか決定し、これによって第1のイヌ候補が、肝臓の銅蓄積から保護される可能性のある子孫の作出に適しているか決定することと、
− 場合により、第1のイヌとは異なる性別の第2のイヌのゲノムが、上記[17]から[24]、[26]および[30]のいずれか一項に記載の肝臓の銅蓄積からの保護を示す1つまたは複数の多型を含むか決定することと、
− 場合により、第1のイヌと第2のイヌとを交配して、肝臓の銅蓄積から保護される可能性のある子孫を作出することと
を含む方法。
[33]
イヌが、ラブラドールレトリーバーの血統を遺伝的に継承している、上記[17]から[24]、[26]、[30]もしくは[32]のいずれか一項に記載の方法または上記[31]に記載の使用。