(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
a)8重量%〜40重量%の、2以上の官能価を有する芳香族ポリイソシアネート、2以上の官能価を有する脂肪族ポリイソシアネートおよび2以上の官能価を有する脂環式ポリイソシアネートからなる群から選択される1種以上のポリイソシアネート化合物、
b)40重量%〜85重量%の、400〜8000g/molのモル質量Mnおよび1.5〜6の官能価を有する1種以上のポリヒドロキシ化合物、
c)任意に、400g/mol未満のモル質量および2〜4の官能価を有する1種以上のポリヒドロキシ化合物、
d)1重量%〜25重量%の、1種以上の非イオン性イソシアネート反応性親水化剤(ただし、成分b)および成分c)である場合を除く)、
e)0.5重量%〜7重量%の、1種以上のイオン性または潜在イオン性イソシアネート反応性親水化剤(ただし、成分f)である場合を除く)、
f)任意に、32〜400g/molのモル質量および1〜3の官能価を有する1種以上のポリアミン、および
g)0.1重量%〜4重量%の、1種以上のジヒドラジド化合物
(前記量はポリウレタンポリマーの全構成成分に関する)を含んでなるアニオン性親水化および非イオン性親水化ポリウレタンポリマーを含有するポリウレタン水性分散体であって、成分g)がカルボヒドラジドである、ポリウレタン水性分散体。
成分b)は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよびポリカーボネートポリオールからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリウレタン水性分散体。
成分d)は、少なくとも1つのヒドロキシル基またはアミノ基を有するポリオキシアルキレンエーテルであることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリウレタン水性分散体。
それぞれ請求項1に定義されている、成分a)、成分b)、任意に成分c)、成分d)、および成分e)が第一級または第二級アミノ基を有さない場合の成分e)をまず反応させて、ポリウレタンプレポリマーの重量に関して1重量%〜5重量%の量の遊離イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを調製し、更なる工程で、ポリウレタンプレポリマーを、それぞれ請求項1に定義されている、任意に成分f)、成分g)、および成分e)が第一級または第二級アミノ基を有する場合の成分e)により連鎖延長させ、水相に移すことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のポリウレタン水性分散体の製造方法。
木材、プラスチック、金属、ガラス、布地、皮革、紙材および繊維からなる群から選択される材料を被覆するのに適した被覆剤を製造するための、請求項1に記載のポリウレタン分散体の使用。
【発明を実施するための形態】
【0010】
別の態様では、本発明は、
a)8重量%〜40重量%の、2以上の官能価を有する脂肪族ポリイソシアネート、および脂環式ポリイソシアネートからなる群から選択される1種以上のポリイソシアネート化合物、
b)40重量%〜85重量%の、400〜8000g/molの分子量M
nおよび1.5〜6の官能価を有する1種以上のポリヒドロキシ化合物、
c)任意に、400g/mol未満の分子量および2〜4の官能価を有する1種以上のポリヒドロキシ化合物、
d)1重量%〜25重量%の、1種以上の非イオン性イソシアネート反応性親水化剤、
e)0.5重量%〜7重量%の、1種以上のイオン性または潜在イオン性イソシアネート反応性親水化剤、
f)0.5重量%〜10重量%の、32〜400g/molの分子量および1〜3の官能価を有する1種以上のポリアミン、および
g)0.1重量%〜4重量%の、1種以上のジヒドラジド化合物
(前記量はポリウレタンポリマーの全構成成分に関しており、合計100重量%となる)を含んでなるアニオン性親水化および非イオン性親水化ポリウレタンポリマーを含有するポリウレタン水性分散体を提供する。
【0011】
好ましくは、本発明のポリウレタンポリマーは、
10重量%〜40重量%の成分a)、
42重量%〜80重量%の成分b)、
2重量%〜21重量%の成分d)、
0.7重量%〜5重量%の成分e)、
0.5重量%〜7重量%の成分f)、および
0.2重量%〜3重量%の成分g)
(前記量はポリウレタンポリマーの全構成成分に関しており、合計100重量%となる)を含んでなる。
【0012】
2以上の官能価を有する芳香族ポリイソシアネートは、ポリトルイレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(粗MDI)からなる群から選択される。
【0013】
本発明において、脂肪族ポリイソシアネートは、芳香族構造に直接結合したNCO基を有さない。
【0014】
好ましくは、ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−および2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメトキシブタン−1,4−ジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−および1、4−ジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、二量体脂肪酸のジイソシアネート;リジンメチルエステルジイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(即ちイソホロンジイソシアネート、即ちIPDI)、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化2,4−および2,6−トリレンジイソシアネートからなる群から選択される。より好ましくは、ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートからなる群から選択される。
【0015】
2より大きい官能価を有するポリイソシアネートを、ある割合で使用することも可能である。そのようなポリイソシアネートは、ウレトジオン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有する変性ジイソシアネートを包含する。
【0016】
好ましくは、対象の化合物は、2〜4、好ましくは2〜2.6、より好ましくは2〜2.4の平均官能価を有する前記した種類の脂肪族ポリイソシアネートまたは脂肪族ポリイソシアネート混合物である。
【0017】
化合物b)として使用できるポリマーポリオールは、400〜8000g/mol、好ましくは400〜6000g/mol、より好ましくは500〜3000g/molの分子量M
nを有する。そのヒドロキシル価は、22〜400mgKOH/g、好ましくは30〜300mgKOH/g、より好ましくは40〜250mgKOH/gである。そのようなポリマーポリオールは、1.5〜6、好ましくは1.8〜3、より好ましくは1.9〜2.1のヒドロキシル官能価を有する。
【0018】
本発明のためのポリオールb)は、単独化合物または混合物としての、ポリウレタン被覆剤の技術分野で知られている有機ポリヒドロキシル化合物、例えば、一般的なポリエステルポリオール、ポリエーテルポリカーボネートポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリエステルポリオール、ポリウレタンポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂である。ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールまたはポリカーボネートポリオールが好ましい。
【0019】
ポリエーテルポリオールは、例えば、スチレンオキシドの重付加物、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシドの重付加物、エピクロロヒドリンの重付加物、並びにそれらの混合付加生成物およびグラフト生成物、多価アルコールまたはその混合物の縮合により得られたポリエーテルポリオール、多官能性アルコール、アミンおよびアミノアルコールのアルコキシル化により得られたポリエーテルポリオールを包含する。
【0020】
適当なヒドロキシ官能性ポリエーテルは、1.5〜6.0、好ましくは1.8〜3.0のヒドロキシル官能価、50〜700mgKOH/g、好ましくは100〜600mgKOH/gのヒドロキシル価、および400〜4000g/mol、好ましくは400〜3500g/molの分子量M
nを有しており、その例は、ヒドロキシ官能性スターター分子(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトールまたはそれらの混合物)のアルコキシル化生成物、およびプロピレンオキシドまたはブチレンオキシドを有する他のヒドロキシ官能性化合物である。ポリエーテル成分b)として好ましいものは、400〜4000g/molの分子量を有するポリプロピレンオキシドポリオールおよびポリテトラメチレンオキシドポリオールである。これに関して、特に低分子量のポリエーテルポリオールは、相応して高いOH含量を有するので水溶性であり得る。しかしながら、500〜3000g/molの分子量を有する水不溶性のポリプロピレンオキシドポリオールおよびポリテトラメチレンオキシドポリオール、並びにそれらの混合物が特に好ましい。ポリエステルポリオールb)の特に適当な例は、ジオールおよび所望によりトリオールおよびテトラオールと、ジカルボン酸および所望によりトリカルボン酸およびテトラカルボン酸、またはヒドロキシカルボン酸またはラクトンとの一般的な重縮合物である。遊離ポリカルボン酸に代えて、対応するポリカルボン酸無水物、またはポリエステルを調製するための低級アルコールの対応するポリカルボン酸エステルを使用することもできる。適当なジオールの例は、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオールおよび異性体、ネオペンチルグリコールまたはネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートであり、最後に挙げた3つ化合物が好ましい。2より大きい官能価を得るために、所望により、3の官能価を有するポリオールを、ある割合で使用することもでき、その例は、トリメチロールプロパン、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールベンゼンまたはトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートである。
【0021】
適当なジカルボン酸の例は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、テトラクロロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、スベリン酸、2−メチルコハク酸、3,3−ジエチルグルタル酸、2,2−ジメチルコハク酸を包含する。これら酸の無水物が存在する場合は、それを使用することもできる。従って本発明では、無水物は、用語「酸」に含まれる。ポリオールの平均官能価が2以上であれば、モノカルボン酸、例えば安息香酸およびヘキサンカルボン酸を使用することもできる。飽和脂肪族または芳香族酸、例えばアジピン酸またはイソフタル酸が好ましい。ポリカルボン酸として、所望によりより少ない量で同様に使用されるものは、トリメリット酸である。
【0022】
末端ヒドロキシル基を有するポリエステルポリオールの調製における反応体として同様に使用できるヒドロキシカルボン酸は、例えば、コハク酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシステアリン酸などである。適当なラクトンは、例えば、ε−カプロラクトン、ブチロラクトンおよびそれらの同族体である。
【0023】
好ましいポリエステルポリオールb)は、ブタンジオールおよび/またはネオペンチルグリコールおよび/またはヘキサンジオールおよび/またはエチレングリコールおよび/またはジエチレングリコールと、アジピン酸および/またはフタル酸および/またはイソフタル酸とに基づく。特に好ましいポリエステルポリオールb)は、ブタンジオールおよび/またはネオペンチルグリコールおよび/またはヘキサンジオールと、アジピン酸および/またはフタル酸とに基づく。
【0024】
考えられるポリカーボネートポリオールは、炭酸誘導体、例えば、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはホスゲンと、ジオールとの反応により得られる。適当なそのようなジオールの例は、エチレングリコール、1,2−および1,3−プロパンジオール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、およびラクトン変性ジオールを包含する。好ましくは、ジオール成分は、40重量%〜100重量%の1,6−ヘキサンジオールおよび/またはヘキサンジオール誘導体、好ましくは末端OH基に加えてエーテル基またはエステル基も有するヘキサンジオール誘導体、例えば1molのヘキサンジオールと少なくとも1mol、好ましくは1〜2molのε−カプロラクトンとの反応により、またはジ−またはトリヘキサングリコールを生成するためのヘキサンジオール同士のエーテル化により得られた生成物を含有する。ポリエーテル−ポリカーボネートポリオールを使用することもできる。
【0025】
ジメチルカーボネートおよびヘキサンジオールおよび/またはブタンジオールおよび/またはε−カプロラクトンに基づくポリカーボネートポリオールb)が好ましい。ジメチルカーボネートおよびヘキサンジオールおよび/またはε−カプロラクトンに基づくポリカーボネートポリオールが特に好ましい。
【0026】
ポリウレタン樹脂を合成するために所望により使用できる低分子量ポリオールc)は一般に、ポリマー鎖を剛直におよび/または分岐する効果を有する。その分子量は、好ましくは62〜200であり、その官能価は、好ましくは2〜3である。適当なポリオールc)は、脂肪族基、脂環式基または芳香族基を有してよい。ここで挙げられる例は、一分子あたり約20個までの炭素原子を有する低分子量ポリオール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオール、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、水素化ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)およびそれらの混合物、並びにトリメチロールプロパン、グリセロールまたはペンタエリスリトールであり得る。エステルジオール、例えば、δ−ヒドロキシブチル−ε−ヒドロキシカプロン酸エステル、ω−ヒドロキシヘキシル−γ−ヒドロキシ酪酸エステル、β−ヒドロキエチルアジペートまたはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートを使用することもできる。ヘキサンジオールおよび/またはトリメチロールプロパンおよび/またはブタンジオールが好ましい。トリメチロールプロパンおよび/またはブタンジオールが特に好ましい。
【0027】
好ましくは化合物d)は、少なくとも1つのヒドロキシル基またはアミノ基を有するポリオキシアルキレンエーテルである。より好ましくは、これらのポリエーテルは、30重量%〜100重量%の割合のエチレンオキシド由来単位を有する。そのような化合物は、1〜2の官能価を有する直鎖構造のポリエーテル、および一般式(I):
【化1】
[式中、R
1およびR
2は、互いに独立してそれぞれ、酸素および/または窒素原子により中断されていてよい二価の脂肪族、脂環式または芳香族C
1〜18基を示し、
R
3は、アルコキシ末端ポリエチレンオキシド基を示す]
で示される化合物を包含する。
【0028】
非イオン性親水化作用を有する化合物d)の他の例は、(例えば、Ullmanns Encyclopaedie der technischen Chemie, 第4版、第19巻、Verlag Chemie, Weinheim 第31〜38頁における)適当なスターター分子のアルコキシル化によって一般的に得られるタイプの、一分子あたり平均して5〜70個、好ましくは7〜55個のエチレンオキシド単位を有する単官能性ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールを包含する。
【0029】
適当なスターター分子は、例えば、飽和モノアルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、異性体のペンタノール、ヘキサノール、オクタノールおよびノナノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、シクロヘキサノール、異性体メチルシクロヘキサノールまたはヒドロキシメチルシクロヘキサン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンまたはテトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、不飽和アルコール、例えば、アリルアルコール、1,1−ジメチルアリルアルコールまたはオレイルアルコール、芳香族アルコール、例えば、フェノール、異性体クレゾールまたはメトキシフェノール、芳香脂肪族アルコール、例えば、ベンジルアルコール、アニシルアルコールまたはシンナミルアルコール、第二級モノアミン、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ビス−(2−エチルヘキシル)アミン、N−メチル−およびN−エチルシクロヘキシルアミンまたはジシクロヘキシルアミン、並びに複素環式第二級アミン、例えば、モルホリン、ピロリジン、ピペリジンまたは1H−ピラゾールである。好ましいスターター分子は、飽和モノアルコールである。スターター分子として、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを使用することが特に好ましい。
【0030】
アルコキシル化反応に適したアルキレンオキシドは特に、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドであり、これらは、アルコキシル化反応において任意の順序でまたは混合物として使用することができる。
【0031】
これらの構成単位の分子量M
nは、1の官能価について、300g/mol〜6000g/mol、好ましくは500g/mol〜4000g/mol、より好ましくは750g/mol〜3000g/molである。
【0032】
非イオン性親水化作用を有するこのタイプの適当な単官能性化合物d)の例は、単官能性アルコキシポリエチレングリコール、例えばメトキシポリエチレングリコール(MPEG Carbowax(登録商標) 2000またはMethoxy PEG-40、分子量範囲1800〜2200、The Dow Chemical Company)、単官能性ポリエーテルモノアルキルエーテル、例えばブタノールおよびエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドから合成され、2250g/molの平均分子量M
nを有するBayer Material Science製LB 25、単官能性ポリエーテルアミン(Jeffamine(登録商標) M 1000、PO/EOモル比3/19、およびM 2070、PO/EOモル比10/31、Huntsman Corp.)である。
【0033】
化合物d)として好ましく使用されるものは、MPEG Carbowax(登録商標) 2000、LB 25またはJeffamine(登録商標) M 2070である。MPEG Carbowax(登録商標) 2000またはLB 25が特に好ましい。
【0034】
好ましくは、イオン性成分e)は、カチオン性またはアニオン性のいずれかであり得る。より好ましくは、成分e)は、スルホニウム基、アンモニウム基、ホスホニウム基、カルボキシレート基、スルホネート基、ホスホネート基、または塩形成により前記基に転化できる基(潜在イオン性基)を有する化合物の群から選択される。好ましく適当なイソシアネート反応性基は、ヒドロキシル基およびアミン基である。
【0035】
適当なイオン性または潜在イオン性化合物e)は、例えば、モノ−およびジヒドロキシカルボン酸、モノ−およびジアミノカルボン酸、モノ−およびジヒドロキシスルホン酸、モノ−およびジアミノスルホン酸およびモノ−およびジヒドロキシホスホン酸またはモノ−およびジアミノホスホン酸、並びにそれらの塩、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ヒドロキシピバリン酸、N−(2−アミノエチル)−β−アラニン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸、エチレンジアミン−プロピル−またはブチルスルホン酸、1,2−または1,3−プロピレンジアミン−β−エチルスルホン酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、グリシン、アラニン、タウリン、リジン、3,5−ジアミノ安息香酸、IPDIおよびアクリル酸の付加物(EP−A 0 916 647、実施例1)並びにそのアルカリ金属塩および/またはアンモニウム塩;ブト−2−エン−1,4−ジオールへの亜硫酸水素ナトリウムの付加物、ポリエーテルスルホネート、例えばDE−A 2 446 440(第5〜9頁、式I〜III)に記載されている2−ブテンジオールおよびNaHSO
3のプロポキシル化付加物、親水性合成成分としてのカチオン性基に転化できる構成単位、例えばN−メチルジエタノールアミンである。好ましいイオン性または潜在イオン性化合物は、1.9〜2.1の官能価を有し、カルボキシル基またはカルボキシレート基および/またはスルホネート基および/またはアンモニウム基を有するイオン性または潜在イオン性化合物である。特に好ましいイオン性化合物は、1.9〜2.1のアミン官能価を有し、イオン性基または潜在イオン性基としてスルホネート基を有しており、その例は、N−(2−アミノエチル)−β−アラニンの塩、2−(2−アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸の塩、またはIPDIおよびアクリル酸の付加物(EP−A 0 916 647、実施例1)の塩である。
【0036】
連鎖延長のために使用されるポリアミンf)は、好ましくは1〜2の官能価を有する。好ましくはポリアミンf)は、ジアミンおよびポリアミンからなる群から選択される。より好ましくは、ポリアミンは、エチレンジアミン、1,2−および1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの異性体混合物、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,3−および1,4−キシリレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−および−1,4−キシリレンジアミン、4,4−ジアミノジシクロヘキシルメタンおよびジメチルエチレンジアミンからなる群から選択される。好ましくは、ポリアミンf)は、ヒドラジンおよびヒドラジン水和物を含まない。
【0037】
成分f)として基本的に適しているものは、NCO基に対して異なった反応性を有する活性水素を有する化合物、例えば、第一級アミノ基に加えて第二級アミノ基も有するか、またはアミノ基(第一級または第二級)に加えてOH基も有する化合物である。そのような化合物の例は、第一級/第二級アミン、例えば、3−アミノ−1−メチルアミノプロパン、3−アミノ−1−エチルアミノプロパン、3−アミノ−1−シクロヘキシルアミノプロパン、3−アミノ−1−メチルアミノブタン、アルカノールアミン、例えばN−アミノエチルエタノールアミン、エタノールアミン、3−アミノプロパノールまたはネオペンタノールアミンである。
【0038】
イソホロンジアミン(IPDA)が好ましい。
【0039】
好ましくは、成分g)は、カルボヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ヘプタン二酸ジヒドラジド、オクタン二酸ジヒドラジド、ノナン二酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、ヘキサデカン二酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、1,4−ナフトエ酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、4,4’−ビスベンゼンジヒドラジド、2,6−ピリジンジヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノ二酢酸ジヒドラジドおよびイタコン酸ジヒドラジドからなる群から選択される。より好ましくは、成分g)としてカルボヒドラジドを選択する。
【0040】
本発明のポリウレタンポリマーにおいて使用される成分g)の量は、好ましくは0.1重量%〜2重量%であって、より好ましくは0.1重量%〜1重量%の成分g)を使用する。
【0041】
別の態様では、本発明のポリウレタンポリマーは、
10重量%〜40重量%の、2以上の官能価を有する脂肪族ポリイソシアネートおよび2以上の官能価を有する脂環式ポリイソシアネートからなる群から選択される1種以上のポリイソシアネート化合物、
42重量%〜80重量%の、400〜8000g/molの分子量M
nおよび1.5〜6の官能価を有する1種以上のポリエステルポリオール、
5重量%〜15重量%の、1種以上の非イオン性イソシアネート反応性親水化剤、
0.7重量%〜5重量%の、1種以上のイオン性または潜在イオン性イソシアネート反応性親水化剤、
1.0重量%〜7重量%のイソホロンジアミンおよび/またはエチレンジアミン、および
0.2重量%〜3重量%の、1種以上のジヒドラジド化合物
(前記量はポリウレタンポリマーの全構成成分に関しており、合計100重量%となる)を含んでなる。
【0042】
本発明の別の態様では、本発明のポリウレタンポリマーは、
10重量%〜20重量%の、2以上の官能価を有する脂肪族ポリイソシアネートおよび2以上の官能価を有する脂環式ポリイソシアネートからなる群から選択される1種以上のポリイソシアネート化合物、
60重量%〜80重量%の、400〜8000g/molの分子量M
nおよび1.5〜6の官能価を有するポリエーテルポリオール並びに400〜8000g/molの分子量M
nおよび1.5〜6の官能価を有するポリカーボネートポリオールからなる群から選択される1種以上のポリヒドロキシ化合物、
2重量%〜5重量%の、1種以上の非イオン性イソシアネート反応性親水化剤、
0.7重量%〜3重量%の、1種以上のイオン性または潜在イオン性イソシアネート反応性親水化剤、
4重量%〜7重量%のイソホロンジアミンおよび/またはエチレンジアミン、および
0.2重量%〜3.0重量%の、1種以上のジヒドラジド化合物
(前記量はポリウレタンポリマーの全構成成分に関する)を含んでなる。
【0043】
本発明のPU分散体を調製するため、この技術分野で知られている方法の全て、例えば、プレポリマー混合物、アセトン法または溶融分散法を使用できる。PUR分散体は、好ましくはアセトン法により調製する。
【0044】
本発明はまた、成分a)、成分b)、任意に成分c)、成分d)、および成分e)が第一級または第二級アミノ基を有さない場合の成分e)をまず反応させて、ポリウレタンプレポリマーの重量に関して1重量%〜5重量%の量の遊離イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを調製し、更なる工程で、ポリウレタンプレポリマーを、任意に成分f)、および成分g)により連鎖延長させ、水相に移すことを特徴とする、本発明のポリウレタン水性分散体の製造方法を提供する。
【0045】
本発明は更に、成分e)が第一級または第二級アミノ基を有さない場合、成分a)、成分b)、任意に成分c)、および成分d)をまず反応させて、ポリウレタンプレポリマーの重量に関して1重量%〜5重量%の量の遊離イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを調製し、更なる工程で、ポリウレタンプレポリマーを、場合により成分e)が第一級または第二級アミノ基を有する場合の成分e)、成分f)および成分g)により連鎖延長させ、水相に移すことを特徴とする、本発明のポリウレタン水性分散体の製造方法を提供する。
【0046】
アセトン法によりPUR分散体を調製するためには、典型的には、ポリウレタンプレポリマーの重量に関して1重量%〜5重量%の量の遊離イソシアネート基を有するイソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーを調製するために、成分b)、任意に成分c)、成分d)および第一級または第二級アミノ基を有さない成分e)、並びにポリイソシアネート成分a)を初期導入物として完全にまたは部分的に導入し、水混和性であるがイソシアネート基に対しては不活性である溶媒を用いて所望により希釈し、混合物を50〜120℃の範囲の温度に加熱する。イソシアネート付加反応を促進するために、ポリウレタン化学で知られている触媒を使用することができる。ジラウリン酸ジブチルスズが好ましい。
【0047】
適当な溶媒は、典型的な脂肪族ケト官能性溶媒、例えば、アセトン、ブタノンである。溶媒は、調製開始時だけでなく、所望により開始後に少しずつ添加してもよい。アセトンまたはブタノンが好ましい。
【0048】
その後、反応開始時に添加しなかった成分a)〜g)を、計量添加する。
【0049】
ポリウレタンプレポリマーの調製において、イソシアネート基とイソシアネート反応性基の物質量比は、1.0〜3.5、好ましくは1.1〜3.0、より好ましくは1.1〜2.5である。
【0050】
プレポリマーを調製するための成分a)、成分b)、任意に成分c)、成分d)および成分e)の反応は、部分的にまたは完全に実施されるが、完全に実施することが好ましい。このようにしてポリウレタンプレポリマーがバルクまたは溶液として得られ、これは、ポリウレタンプレポリマーの重量に関して1重量%〜5重量%の量で含有する。
【0051】
その後、更なる処理工程で、まだ実施していないか或いは部分的にしか実施していない場合は、得られたプレポリマーを、アセトンまたはブタノンのような脂肪族ケトンを用いて溶解する。
【0052】
重合反応終了後、ポリマー溶液は、水に添加して分散させるか、または水を添加して分散させる。分散前に、或いは分散用水と混合した中和用アミンを添加するかまたは分散用水および中和用アミンを並行して添加することにより分散と同時に、アミンおよび/または塩基を用いた酸性基の中和、従って塩への転化を実施してよい。中和度は50%〜150%、好ましくは60%〜120%であってよい。分散を実施した後、使用した溶媒の一部または全てを留去してよい。好ましい中和用アミンは、ジメチルエタノールアミン、エチルジイソプロピルアミン、メチルジエタノールアミンおよび2−アミノメチル−2−メチルプロパノールである。
【0053】
その後、可能なNH
2およびNH官能性の成分f)および成分g)並びに成分e)が第一級または第二級アミノ基を有する場合の成分e)を、残余イソシアネート基と反応させる。この連鎖延長/停止は、分散前に溶媒中で、分散中に、または分散後に水中で行うことができる。水中に分散させる前に連鎖延長を行うことが好ましい。
【0054】
NH
2またはNH基を有する成分e)およびf)の定義を満たす化合物を連鎖延長のために使用する場合、プレポリマーの連鎖延長は、好ましくは分散前に行う。
【0055】
連鎖延長度、換言するとプレポリマーの遊離NCO基に対する、連鎖延長に使用する化合物のNCO反応性基の当量比は、40%〜100%、好ましくは60%〜100%、より好ましくは70%〜100%である。
【0056】
アミン成分e)およびf)は、所望により、本発明の方法において個々にまたは混合物として水または溶媒に希釈した形態で使用され、基本的に、あらゆる添加順序が可能である。
【0057】
水または有機溶媒を希釈剤として使用するならば、希釈剤含量は好ましくは70重量%〜95重量%である。
【0058】
プレポリマーからの本発明のポリウレタン分散体の調製は、連鎖延長の後に行う。このため、溶解および連鎖延長したポリウレタンポリマーを、必要に応じて強い剪断を伴って(例えば激しく撹拌しながら)分散用水に添加するか、或いは逆に、分散用水をプレポリマー溶液に撹拌しながら添加する。溶解プレポリマーに水を添加することが好ましい。
【0059】
分散工程後に分散体中に存在する溶媒は、典型的には後に留去する。実際には、分散中に溶媒を除去することも可能である。
【0060】
本発明のポリウレタン分散体の固形分は、20〜70重量%、好ましくは30〜65重量%、より好ましくは35〜62重量%である。
【0061】
本発明はまた、木材、プラスチック、金属、ガラス、布地、皮革、紙材および繊維、例えば、ガラス繊維、ポリマー繊維およびグラファイト繊維のための被覆剤を製造するため、好ましくは布地被覆剤を製造するための、本発明のポリウレタン分散体の使用も提供する。
【0062】
本発明のポリウレタン分散体を含んでなる水性被覆組成物は、更なる成分として、助剤および添加剤を含有してよい。助剤および添加剤は、共バインダー、増粘剤、接着促進剤、滑剤、湿潤剤、染料、光安定剤、老化防止剤、顔料、流れ制御剤、帯電防止剤、UV吸収剤、フィルム形成助剤、消泡剤または可塑剤、並びに光安定剤および老化防止剤であってよい。
【0063】
本発明のポリウレタン分散体は、表面被覆のための水系被覆剤における成分として使用される。このため、本発明のポリウレタン分散体は、例えば、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリウレタン−ポリアクリレート系、ポリアクリレート系、ポリエーテル系、ポリエステル−アポリアクリレート系、アルキド樹脂系、付加重合体系、ポリアミド/イミド系またはポリエポキシド系の水性分散体のような更なる成分と混合される。
【0064】
被膜は、一液型用または必要に応じて二液型用の吹付装置を用いて、種々の吹付法、例えば、圧縮空気吹付法、無気吹付法または静電吹付法により形成することができる。別の態様では、本発明のポリウレタン分散体を含んでなる塗料および被覆剤は、他の方法、例えば、引き塗り、ロール塗布、噴霧、浸漬、射出、印刷またはナイフ塗布によって適用することもできる。
【実施例】
【0065】
原料および方法:
Desmophen(登録商標) PE 200 ABD:アジピン酸、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびブタンジオールのポリエステルポリオール、ヒドロキシル価56、M
n=2000g/mol(Bayer MaterialScience AG(レーフエルクーゼン))。
Desmophen(登録商標) C 2200:ヘキサンジオールおよびジメチルカーボネートのポリカーボネートポリオール、ヒドロキシル価56、M
n=2000g/mol(Bayer MaterialScience AG(レーフエルクーゼン))。
PTHF 2000:ポリテトラヒドロフランポリオール、ヒドロキシル価56、M
n=2000g/mol(Aldorich(ドイツ国))。
ポリエーテル LB 25:エチレンオキシド/プロピレンオキシド(エチレンオキシド割合84%)に基づく単官能性ポリエーテル、ヒドロキシル価25、M
n=2250g/mol(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国))。
Desmodur(登録商標) H:HDI、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国))。
IPDA:イソホロンジアミン(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国))。
AAS:ジアミノスルホネート、水中45%濃度、H
2N-CH
2-CH
2-NH-CH
2-CH
2-SO
3Na(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国))。
HyHy:ヒドラジン水和物(Aldorich(ドイツ国))。
CHY:カルボヒドラジド(Aldorich(ドイツ国))。
【0066】
PU分散体について、以下のように形成した独立フィルムの物理的性質を測定した。
正確な間隔を空けて配置した2本の磨きロールからなるフィルム塗布機は、後方ロール前方の間隔に差し込んだ剥離紙を有していた。剥離紙と前方ロールとの間隔は、隙間ゲージを用いて調節した。この間隔は、得られた被膜の(湿潤)フィルム厚に対応しており、被膜ごとに所望の付着量に調節することができた。2層以上の被覆を、順次行うこともできた。
【0067】
個々の被膜を形成するため、アニオン性アクリルポリマーの添加により4500mPasに粘度調節した後、生成物を、剥離紙と前方ロールとの間に注入した;剥離紙を垂直下向きに引っぱり、対応するフィルムを剥離紙上に形成した。2層以上被覆する場合は、個々の被膜ごとに乾燥し、剥離紙を再び差し込んだ。このようなフィルム試料の物理的性質は、DIN 53504に従って標準条件(20℃、65%大気湿度)下で24時間貯蔵した後に測定した。物理的フィルム特性は、150℃で30分間乾燥した後に測定した。ε
b=破断点伸び(単位:%)、σ
最大=引張強さ(単位:MPa)。
【0068】
膨潤度を測定するため、独立フィルムを、室内で24時間、酢酸エチル中で膨潤させ、膨潤後のフィルム片の体積変化を、定規で測定した。
【0069】
0.1〜0.2mm厚のフィルムを、50×20mm寸法に打ち抜き、室温で2時間、酢酸エチル中で貯蔵した。あらゆる方向に比例して変化したと仮定して、体積膨潤度を計算した。
【0070】
塩化カルシウム安定性を測定するため、まず、50gの分散体を丸底フラスコに導入し、室温で撹拌した。ビュレットを用いて、0.3モル塩化カルシウム溶液をゆっくりと滴加した。PU分散体の著しい増粘または凝集が生じた時点での塩化カルシウム溶液の体積を記録した。
【0071】
特に記載のない限り、全てのパーセントは重量による。
固形分は、DIN−EN ISO 3251に従って測定した。
特に記載のない限り、NCO含量は、DIN−EN ISO 11909に従って容量分析により測定した。
【0072】
本発明のPU分散体の調製:
実施例1(比較例)
87.4gのHDIを、50℃で400gのポリエステルポリオールPE 200 ABDに添加し、理論NCO値(NCO−1=5.52%)に達するまで100℃で反応を行い、プレポリマーを得た。次いで、866gのアセトンを80℃で添加し、混合物を40℃に冷却し、プレポリマーを溶解した。23.1gのIPDAおよび37.1gのAASの水338g中連鎖延長用溶液を添加し、混合物を15分間撹拌した。生成物を432gの水に分散させ、アセトンを40℃、120mbarで留去した。41.3%の固形分および6.7のpHを有する水性分散体を得た。
【0073】
実施例2(比較例)
87.4gのHDIを、50℃で393gのポリエステルポリオールPE 200 ABDおよび16.2gの単官能性親水化剤LB25に添加し、理論NCO値(NCO−1=5.42%)に達するまで100℃で反応を行い、プレポリマーを得た。次いで、882gのアセトンを80℃で添加し、混合物を40℃に冷却し、プレポリマーを溶解した。23.1gのIPDAおよび37.1gのAASの水205g中連鎖延長用溶液を添加し、混合物を15分間撹拌した。生成物を579gの水に分散させ、アセトンを40℃、120mbarで留去した。41.6%の固形分および6.7のpHを有する水性分散体を得た。
【0074】
実施例3(比較例)
87.4gのHDIを、50℃で400gのポリエステルポリオールPE 200 ABDに添加し、理論NCO値(NCO−1=5.52%)に達するまで100℃で反応を行い、プレポリマーを得た。次いで、882gのアセトンを80℃で添加し、混合物を40℃に冷却し、プレポリマーを溶解した。12.2gのCHYおよび37.1gのAASの水74g中連鎖延長用溶液を添加し、混合物を15分間撹拌した。生成物を588gの水に分散させ、アセトンを40℃、120mbarで留去した。40.5%の固形分および6.6のpHを有する水性分散体を得た。
【0075】
実施例4(本発明)
87.4gのHDIを、50℃で393gのポリエステルポリオールPE 200 ABDおよび15.8gの単官能性親水化剤LB25に添加し、理論NCO値(NCO−1=5.42%)に達するまで100℃で反応を行い、プレポリマーを得た。次いで、882gのアセトンを80℃で添加し、混合物を40℃に冷却し、プレポリマーを溶解した。12.2gのCHYおよび37.1gのAASの水74g中連鎖延長用溶液を添加し、混合物を15分間撹拌した。生成物を693gの水に分散させ、アセトンを40℃、120mbarで留去した。40.7%の固形分および6.5のpHを有する水性分散体を得た。
【0076】
実施例5(比較例)
87.4gのHDIを、50℃で393gのポリエステルポリオールPE 200 ABDおよび15.8gの単官能性親水化剤LB25に添加し、理論NCO値(NCO−1=5.52%)に達するまで100℃で反応を行い、プレポリマーを得た。次いで、882gのアセトンを80℃で添加し、混合物を40℃に冷却し、プレポリマーを溶解した。11.6gのIPDA、3.4gのHyHyおよび37.1gのAASの水154g中連鎖延長用溶液を添加し、混合物を15分間撹拌した。生成物を615gの水に分散させ、アセトンを40℃、120mbarで留去した。41.3%の固形分および6.7のpHを有する水性分散体を得た。
【0077】
実施例6(比較例)
87.4gのHDIを、50℃で393gのポリエーテルポリオールPTHF 2000に添加し、理論NCO値(NCO−1=5.52%)に達するまで100℃で反応を行い、プレポリマーを得た。次いで、882gのアセトンを80℃で添加し、混合物を40℃に冷却し、プレポリマーを溶解した。23.1gのIPDAおよび37.1gのAASの水205g中連鎖延長用溶液を添加し、混合物を15分間撹拌した。生成物を565gの水に分散させ、アセトンを40℃、120mbarで留去した。42.4%の固形分および7.0のpHを有する水性分散体を得た。
【0078】
実施例7(本発明)
87.4gのHDIを、50℃で392gのポリエステルポリオールPE 200 ABDおよび15.7gの単官能性親水化剤LB25に添加し、理論NCO値(NCO−1=5.42%)に達するまで100℃で反応を行い、プレポリマーを得た。次いで、882gのアセトンを80℃で添加し、混合物を40℃に冷却し、プレポリマーを溶解した。12.2gのCHYおよび37.1gのAASの水74g中連鎖延長用溶液を添加し、混合物を15分間撹拌した。生成物を692gの水に分散させ、アセトンを40℃、120mbarで留去した。42.2%の固形分および6.6のpHを有する水性分散体を得た。
【0079】
実施例8(比較例)
87.4gのHDIを、50℃で393gのポリカーボネートポリオールC2200に添加し、理論NCO値(NCO−1=5.52%)に達するまで100℃で反応を行い、プレポリマーを得た。次いで、882gのアセトンを80℃で添加し、混合物を40℃に冷却し、プレポリマーを溶解した。23.1gのIPDAおよび37.1gのAASの水205g中連鎖延長用溶液を添加し、混合物を15分間撹拌した。生成物を565gの水に分散させ、アセトンを40℃、120mbarで留去した。40.6%の固形分および6.6のpHを有する水性分散体を得た。
【0080】
実施例9(本発明)
87.4gのHDIを、50℃で392gのポリカーボネートポリオールC2200および15.7gの単官能性親水化剤LB25に添加し、理論NCO値(NCO−1=5.42%)に達するまで100℃で反応を行い、プレポリマーを得た。次いで、882gのアセトンを80℃で添加し、混合物を40℃に冷却し、プレポリマーを溶解した。12.2gのCHYおよび37.1gのAASの水74g中連鎖延長用溶液を添加し、混合物を15分間撹拌した。生成物を692gの水に分散させ、アセトンを40℃、120mbarで留去した。41.4%の固形分および6.9のpHを有する水性分散体を得た。
【0081】
【表1】
【0082】
表から明らかであるように、本発明の分散体だけが、高い電解液安定性を有すると同時に、良好な物理的性質の組み合わせを示した。比較例5
*は、構造的に類似したヒドラジンが連鎖延長剤としてあまり有効ではないことを示している。