特許第6231497号(P6231497)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6231497吊足場と共に使用するように構成されたサスペンションコネクタシステムおよび関連方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231497
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】吊足場と共に使用するように構成されたサスペンションコネクタシステムおよび関連方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/00 20060101AFI20171106BHJP
   E04G 5/06 20060101ALI20171106BHJP
   F16B 5/10 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   E04G5/00 301J
   E04G5/06 Z
   F16B5/10 H
【請求項の数】23
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-556679(P2014-556679)
(86)(22)【出願日】2013年2月7日
(65)【公表番号】特表2015-512003(P2015-512003A)
(43)【公表日】2015年4月23日
(86)【国際出願番号】US2013025178
(87)【国際公開番号】WO2013119836
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2016年2月1日
(31)【優先権主張番号】61/596,341
(32)【優先日】2012年2月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514198390
【氏名又は名称】サフウェイ サービシズ,リミテッド ライアビリティー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Safway Services,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】グルムベルク,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】スクラフォード,ロイ
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第01461651(GB,A)
【文献】 特開2003−343526(JP,A)
【文献】 国際公開第82/001026(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/00
E04G 5/06
F16B 5/10
E04G 3/30
E04G 1/15
E04G 21/14−21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に連結されるように構成された固定構造であって、前記固定構造が板または板状構造を含む、固定構造と、
前記固定構造と取り外し可能に係合し、かつ吊足場システムの少なくとも一部を少なくとも部分的に支持するように構造化されたサスペンションコネクタアセンブリと
前記サスペンションコネクタアセンブリは、1対の中央連結部によって連結された1対の直立部及び固定構造受入領域を有するコネクタフレームアセンブリと、前記直立部と同一の長さで前記直立部の間に配置された1対の直立中間板と、前記直立中間板の間に配置された1対の短いガセット板とを含み、前記固定構造受入領域は、前記板または板状構造を受けるように構造化されていることを特徴とするサスペンションコネクタシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のサスペンションコネクタシステムにおいて、前記固定構造が、ダブテール板構造を含み、前記サスペンションコネクタアセンブリが、前記ダブテール板構造を受けるように構造化されている固定構造受入領域を含み、そのように受けられた時に、前記サスペンションコネクタおよび前記固定構造が、ダブテール相互連結部で取り外し可能に係合することを特徴とするサスペンションコネクタシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のサスペンションコネクタシステムにおいて、前記サスペンションコネクタアセンブリが、コネクタフレームアセンブリと、少なくとも1つの係止構造と、連結装置を受けて支持するための少なくとも1つの追加構造とを含むことを特徴とするサスペンションコネクタシステム。
【請求項4】
請求項に記載のサスペンションコネクタシステムにおいて、前記固定構造が、ダブテール板構造を含み、前記サスペンションコネクタアセンブリが、前記ダブテール板構造を受けるように構造化されている固定構造受入領域を含み、そのように受けられた時に、前記サスペンションコネクタおよび前記固定構造が、ダブテール相互連結部で取り外し可能に係合することを特徴とするサスペンションコネクタシステム。
【請求項5】
請求項に記載のサスペンションコネクタシステムにおいて、前記固定構造が、高さが低い構造を含み、前記サスペンションコネクタアセンブリが、前記高さが低い構造と摺動可能に連結されるように構造化されている固定構造受入領域を含むことを特徴とするサスペンションコネクタシステム。
【請求項6】
請求項に記載のサスペンションコネクタシステムにおいて、前記固定構造が、板または板状構造を含み、前記コネクタフレームアセンブリが、前記板または板状構造と係合するように構造化されている固定構造受入領域を含み、さらに、前記サスペンションコネクタアセンブリが前記固定構造と係合する時に、前記少なくとも1つの係止構造が、前記サスペンションコネクタアセンブリを前記固定構造に係止して固定するように構成されていることを特徴とするサスペンションコネクタシステム。
【請求項7】
請求項に記載のサスペンションコネクタシステムにおいて、前記少なくとも1つの係止構造が、第1のコネクタ係止構造および第2のコネクタ係止構造を含み、前記第1のコネクタ係止構造が、前記サスペンションコネクタアセンブリを前記固定構造に少なくとも部分的に係止して固定し、前記第2のコネクタ係止構造が、前記第1のコネクタ係止構造を前記コネクタフレームアセンブリに対して少なくとも部分的に係止して固定することを特徴とするサスペンションコネクタシステム。
【請求項8】
請求項に記載のサスペンションコネクタシステムにおいて、前記固定構造が、ダブテール板構造を含み、前記サスペンションコネクタアセンブリが、前記ダブテール板構造を受けるように構造化されている固定構造受入領域を含み、そのように受けられた時に、前記サスペンションコネクタおよび前記固定構造が、ダブテール相互連結部で取り外し可能に係合することを特徴とするサスペンションコネクタシステム。
【請求項9】
請求項に記載のサスペンションコネクタシステムにおいて、連結装置を受けて支持するための前記少なくとも1つの追加構造が、チェーンまたはチェーン状連結装置を受けるための管構造を含むことを特徴とするサスペンションコネクタシステム。
【請求項10】
請求項に記載のサスペンションコネクタシステムにおいて、(i)前記吊足場システムが、1つもしくは複数の作業プラットフォームアセンブリまたは作業プラットフォームシステムを含むことと、(ii)前記固定構造が連結するように構成されている前記構造物が、海洋プラットフォーム構造物を含むこととのうちの少なくとも1つを特徴とするサスペンションコネクタシステム。
【請求項11】
吊足場システムの少なくとも一部を少なくとも部分的に支持するように構造化されたサスペンションコネクタシステムにおいて、
板または板状構造を含む固定構造と、
サスペンションコネクタアセンブリにおいて、
前記板または板状構造の少なくとも一部と取り外し可能に係合するように構造化されている固定構造受入領域を含むコネクタフレームアセンブリと、
前記サスペンションコネクタアセンブリを前記固定構造に少なくとも部分的に係止して固定するように構成された第1のコネクタ係止構造と、
前記第1のコネクタ係止構造を前記コネクタフレームアセンブリに対して少なくとも部分的に係止して固定するように構成された第2のコネクタ係止構造と、
前記コネクタフレームアセンブリに連結され、連結装置を受けて支持するように構成された少なくとも1つの追加構造と
を含むサスペンションコネクタアセンブリと
を含むことを特徴とするサスペンションコネクタシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のサスペンションコネクタシステムを使用する方法において、
前記構造物に前記固定構造を連結するステップと、
前記サスペンションコネクタアセンブリを前記固定構造と取り外し可能に係合させるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
前記固定構造が、板または板状構造を含み、
前記サスペンションコネクタアセンブリが、固定構造受入領域を含み、
前記取り外し可能に係合させるステップが、前記固定構造受入領域を使用して、前記板または板状構造を係合させるステップを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法において、
前記サスペンションコネクタアセンブリが、前記固定構造受入領域を含むコネクタフレームアセンブリと、第1のコネクタ係止構造と、第2のコネクタ係止構造と、連結装置支持構造とを含み、
前記方法が、
前記第1のコネクタ係止構造を使用して、前記サスペンションコネクタアセンブリを前記固定構造に少なくとも部分的に係止するステップと、
前記第2のコネクタ係止構造を使用して、前記コネクタフレームアセンブリおよび前記固定構造のうちの少なくとも1つに対して、前記第1のコネクタ係止構造を少なくとも部分的に係止するステップと、
前記連結装置支持構造を使用して、連結装置を受けて支持するステップと、
前記連結装置を使用して、前記吊足場システムの少なくとも一部を吊るすステップと
のうちの少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記連結装置支持構造が管構造を含み、
前記連結装置が、チェーンまたはチェーン状連結装置を含み、
前記固定構造が、ダブテール板構造を含み、
前記サスペンションコネクタアセンブリが、前記ダブテール板構造を受けるように構造化されている固定構造受入領域を含み、前記取り外し可能に係合させるステップが、固定構造に対して前記サスペンションコネクタを摺動可能に位置付けし、ダブテール相互連結部を形成するステップをさらに含み、前記吊るすステップが、前記チェーンまたはチェーン状連結装置を使用して、前記吊足場システムの前記少なくとも一部を吊るすステップを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項12に記載の方法において、構造物に連結された複数のサスペンションコネクタシステムを提供するために、前記固定構造を連結する前記ステップと、前記サスペンションコネクタアセンブリを前記固定構造と取り外し可能に係合させる前記ステップとのうちの少なくとも1つを繰り返し、前記吊足場システムを吊るすように前記複数のサスペンションコネクタシステムを構成し、前記足場システムが、1つもしくは複数の作業プラットフォームアセンブリまたは作業プラットフォームシステムを任意選択で含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項12に記載の方法において、前記サスペンションコネクタアセンブリを係合解除して、前記固定構造から取り外し、そのように取り外した時に、前記固定構造を前記構造物に連結したままにすることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項11に記載のサスペンションコネクタシステムにおいて、前記少なくとも1つの追加構造が、管または管状構造を含み、前記連結装置が、前記吊足場システムの前記少なくとも一部に連結するように構成されたチェーンまたはチェーン状連結装置を含み、前記第1のコネクタ係止構造が、中央部と、前記中央部に少なくとも部分的に連結され、かつ前記中央部から遠ざかるように延在する複数の側部とを含み、前記側部間に、前記管構造を受けるための開口部をさらに含むことを特徴とするサスペンションコネクタシステム。
【請求項19】
請求項18に記載のサスペンションコネクタシステムにおいて、前記固定構造が、ダブテール板構造を含み、前記固定構造受入領域が、前記ダブテール板構造を受けるように構造化されており、そのように受けられた時に、前記サスペンションコネクタおよび前記固定構造が、ダブテール相互連結部で取り外し可能に係合することを特徴とするサスペンションコネクタシステム。
【請求項20】
請求項11に記載のサスペンションコネクタシステムにおいて、前記固定構造が台形構造を含むことを特徴とするサスペンションコネクタシステム。
【請求項21】
請求項20に記載のサスペンションコネクタシステムにおいて、前記固定構造が前記固定構造受入領域内に受けられた時に、前記台形構造が、前記サスペンションアセンブリと係合するために使用されている傾斜した、または角度がついた対称的な表面を含む単一の剛直構造を含むことを特徴とするサスペンションコネクタシステム。
【請求項22】
請求項11に記載のサスペンションコネクタシステムにおいて、前記固定構造が、前記固定構造受入領域と係合するように構造化されている対向面を含む構造を含むことを特徴とするサスペンションコネクタシステム。
【請求項23】
請求項11に記載のサスペンションコネクタシステムにおいて、前記固定構造が、前記固定構造受入領域と係合するように構造化されている対向するステップ状構造を含むことを特徴とするサスペンションコネクタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2012年2月8日付で出願された米国仮特許出願第61/596,341号明細書の利益を主張するものであり、その全開示内容を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、一般に、様々な構造物の様々な部分に接近するために組み立てられる足場の分野に関する。より詳細には、本発明は、足場を吊るし、または掛けるために使用することができるサスペンションコネクタシステムに関する。一態様では、サスペンションコネクタシステムは、海洋船などの構造物から足場を吊るし、または掛けるために使用することができる。
【背景技術】
【0003】
作業プラットフォームアセンブリを含む足場システムは通常、組立て、修理、検査などのために構造物に作業者が接近するのに利用する時に、吊るされ、または掛けられる。そのような足場システムは通常、「吊足場システム」もしくは「掛足場システム」(または、より簡単に吊足場もしくは掛足場)と呼ばれ、全体的に、かつ単独で吊るされる足場システムと、支持構造によって部分的に支持される足場システム(例えば、掛支持足場システム)とを含む。足場が吊るされ、または掛けられる構造物は、I形鋼などの露出した構造部材を備えた鋼構造物または船の形態をとることが多い。これらの露出した構造部材は、典型的には、構造物または船体に連結され、そこから延在し、吊足場が取り付けやすく、かつ吊るしやすくなっている。
【0004】
しかしながら、そのような構造物、例えば海洋石油掘削プラットフォームおよび汲上プラットフォームの種類によっては、殻部または殻部表面が平坦または少なくとも概ね平坦であり、足場システムを固定し、または吊るすために使用することができる露出した構造部材は、あるとしてもごくわずかである。図8は、そのような構造物の例示的実施例を示す。現在では、メキシコ湾だけで、運転中の「甲板昇降式」石油掘削装置が何百基もあると考えられている。これらの構造物は、滑らかな鋼殻部を備えた遠洋航行船である。これらの船は、運転中、かなりの石油収益を生み出す。
【0005】
環境および他の条件により、上記のように、これらの構造物には、頻繁でなくても周期的な検査、清浄および修理が必要である。例えば、摩耗した殻部表面、もしくは瓦礫を採取もしくは収集する壁を修理するために、または他のスポット修理を行うために、かつ/または、構造物に対して取り付けられた装置を修理するために。さらに、足場が吊るされるかもしれないであろう構造物の高さは、かなり大きくなり得ることが多い。例えば、海洋プラットフォーム構造物によっては、水面から上方、約50フィートから100フィートを超える所にある。
【0006】
これらおよび他の用途について、試みられている1つの解決策には、プレートアイ(「アイプレート」とも呼ばれる)またはパッドアイなどの溶接連結部を設置することが必要である。さらに、プレートアイおよびパッドアイなどの連結部は、様々な理由により決して理想的ではない。例えば、船または他の構造物が、修理のために乾ドックに配置された場合、構造物に溶接されているプレートアイまたはパッドアイは、構成要素の突出面積が小さいことから、船体に穴を開け得る。さらに、船の建造後に加えられるリギング連結部は、当初意図されたような目的以外の目的に使用され得るという点で、リギング作業中および巻上作業中における危険の可能性がある。またさらに、プレートアイおよびパッドアイは船から延在し、これにより、構造物内に付着し、もしくは埋め込まれ得るあらゆる瓦礫または物質(例えば、海洋生成物)を収集しやすくなる。したがって、プレートアイおよびパッドアイの構造は、収集された物質と共に、船(または他の構造物)をある場所から別の場所に輸送する間、推進抵抗を増加し得る。最後に、プレートアイおよびパッドアイは、一般に掛支持足場向けに設計されておらず、そのような足場を船または他の構造物から、容易に使用可能な方法で連結しやすくはしない。より一般的には、吊足場または掛足場をこれらの構造物から適切に固定することができないため、検査、改修または修理のためにそれらの殻部に接近するのに、構造物の使用を止めなければならず、その結果、休止時間および収益損失が生じる。
【0007】
したがって、少なくともこれらの理由により、1つもしくは複数の上記問題に対応した、新規もしくは改良されたサスペンションコネクタシステム、具体的には、構造物(例えば、海洋プラットフォーム)から足場を吊るし、もしくは掛けるために使用することができるサスペンションコネクタシステム、および/または使用方法を開発することができるならば、有利であろう。
【発明の概要】
【0008】
少なくともいくつかの実施形態によれば、構造物に連結されるように構成された固定構造と、固定構造と取り外し可能に係合し、かつ吊足場システムの少なくとも一部を少なくとも部分的に支持するように構造化されたサスペンションコネクタアセンブリとを含むサスペンションコネクタシステムが本明細書で開示される。
【0009】
少なくともいくつかの他の実施形態によれば、吊足場システムの少なくとも一部を少なくとも部分的に支持するように構造化されたサスペンションコネクタシステムにおいて、板または板状構造を含む固定構造と、サスペンションコネクタアセンブリにおいて、板または板状構造の少なくとも一部と取り外し可能に係合するように構造化されている固定構造受入領域を含むコネクタフレームアセンブリと、サスペンションコネクタアセンブリを固定構造に少なくとも部分的に係止して固定するように構成された第1のコネクタ係止構造と、第1のコネクタ係止構造をコネクタフレームアセンブリに対して少なくとも部分的に係止して固定するように構成された第2のコネクタ係止構造と、コネクタフレームアセンブリに連結され、連結装置を受けて支持するように構成された少なくとも1つの追加構造とを含むサスペンションコネクタアセンブリとを含むサスペンションコネクタシステムが開示される。
【0010】
サスペンションコネクタシステムを使用する方法は、本開示の実施形態によって開示される。本方法は、少なくともいくつかの実施形態では、構造物に固定構造を連結するステップと、サスペンションコネクタアセンブリを固定構造と取り外し可能に係合させるステップとを含む。
【0011】
さらに、少なくともいくつかのさらなる例示的実施形態では、本発明は、1つまたは複数のサスペンションコネクタシステムから吊るされるように構成され、少なくともいくつかの実施形態では、それらから吊るされている足場システムと組み合わせて、構造物に対して実施および/もしくは設置するように構成された1つまたは複数のサスペンションコネクタシステムに関する。
【0012】
本発明の様々な他の態様および実施形態は、本開示を徹底的に検討することから明らかになる。
【0013】
新規であると考えられる本開示の特徴について、添付の請求項に詳細に記載する。本開示の実施形態は、添付の図面を参照しながら開示するが、単なる例示的目的のためのものである。本開示は、その用途において、図面に示した構成の詳細または構成要素の配置に限定されない。本開示は、他の実施形態が可能であり、または、他の様々な方法で実施もしくは実行することができる。様々な構造物、アセンブリ、構成要素などの代表的な構成要素、材料および寸法について図面に示すが、そのような図面および他の情報は、本開示に含まれ、かつ本開示の一部を構成することに留意する。同じ参照番号は、同じ構成要素を示すために使用する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A図1Aは、本開示の少なくともいくつかの実施形態による、組み立てられた形態のサスペンションコネクタシステムの斜視図であり、サスペンションコネクタシステムの構成要素は、固定構造およびサスペンションコネクタアセンブリを含み、サスペンションコネクタアセンブリは、コネクタフレームアセンブリと、第1のコネクタ係止構造と、第2のコネクタ係止構造と、複数のコネクタ保持機構とをさらに含む。
図1B図1Bは、本開示の少なくともいくつかの実施形態による、組み立てられていない(または、少なくとも部分的に組み立てられていない)形態のサスペンションコネクタシステムの斜視図であり、サスペンションコネクタシステムの構成要素は、固定構造およびサスペンションコネクタアセンブリを含み、サスペンションコネクタアセンブリは、コネクタフレームアセンブリと、第1のコネクタ係止構造と、第2のコネクタ係止構造と、複数のコネクタ保持機構とをさらに含む。
図2A図2Aは、図1A図1Bのコネクタフレームアセンブリの斜視図である。
図2B図2Bは、図1A図1Bのコネクタフレームアセンブリの正面図である。
図2C図2Cは、切断線2C−2Cにおける、図1A図1Bのコネクタフレームアセンブリの上面断面図である。
図2D図2Dは、切断線2D−2Dにおける、図1A図1Bのコネクタフレームアセンブリの側断面図である。
図3A図3Aは、図2A図2Dにおけるコネクタフレームアセンブリの一部の拡大斜視図である。
図3B図3Bは、図2A図2Dにおけるコネクタフレームアセンブリの一部の拡大正面図である。
図3C図3Cは、図2A図2Dにおけるコネクタフレームアセンブリの一部の拡大上面図である。
図3D図3Dは、図2A図2Dにおけるコネクタフレームアセンブリの一部の拡大側面図である。
図4A図4Aは、図1A図1Bにおける第1のコネクタ係止構造の拡大正面図である。
図4B図4Bは、図1A図1Bにおける第1のコネクタ係止構造の拡大上面図である。
図4C図4Cは、図1A図1Bにおける第1のコネクタ係止構造の拡大側面図である。
図5A図5Aは、図1Aおよび図1Bのサスペンションシステムの側面図であり、サスペンションコネクタシステムの組立て(設置)を含むシステムの使用について、さらに示す。
図5B図5Bは、図1Aおよび図1Bのサスペンションシステムの側面図であり、サスペンションコネクタシステムの分解を含むシステムの使用について、さらに示す。
図6図6は、本開示の例示的実施形態による、構造物に対して位置付けされ、吊足場システムを支持しているのが示されたサスペンションコネクタシステムの例示的配置を示す。
図7図7は、本開示の代替実施形態による、固定構造およびサスペンションコネクタアセンブリを含むサスペンションコネクタシステムを示す。
図8図8は、本開示の実施形態によるサスペンションコネクタシステムと共に使用することができる例示的構造物を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1Aおよび図1Bは、本開示の実施形態による、一般に参照番号10で参照されるサスペンションコネクタシステム10の斜視図である。図1Aは、具体的には、組み立てられた形態のサスペンションコネクタシステム10を示し、図1Bは、組み立てられていない(または、少なくとも部分的に組み立てられていない)形態のサスペンションコネクタシステム10を示す。組立ておよび分解については、図6をさらに参照して、本明細書でさらに説明する。示すように、サスペンションコネクタシステム10は、固定構造12と、一般に参照番号14(図1B)で参照されるサスペンションコネクタアセンブリとを含む。少なくともいくつかの実施形態によれば、サスペンションコネクタアセンブリ14は、コネクタフレームアセンブリ16と、第1のコネクタ係止構造18と、第2のコネクタ係止構造20と、1対のコネクタ保持機構22とを含む。
【0016】
固定構造12は、本開示の実施形態によれば、より大きい構造物(その代表的な例を後の図に示す)に固定される板または板状構造の形態をとる。より具体的には、固定構造12は、荷重(例えば、続いて掛けられるべき足場からの大きい荷重)を構造物全体にわたって、例えば様々な船構造部材に分散および伝達する方法で、外殻部(例えば、船体)に典型的に固定されている。固定構造12は、少なくともいくつかの実施形態では、傾斜した、または角度がついた対称的な表面32a〜32b(32aは隠れている)を含む単一の剛直な台形構造の形態をとり、表面32a〜32bは、さらに以下に説明するようなサスペンションアセンブリ14と係合するために使用される。
【0017】
有利なことには、固定構造18の形状は、レーザ切断などの1つまたは複数の低コストの方法によって作ることができる。本開示の少なくともいくつかの実施形態によれば、示した固定構造12は、8.88インチの長さ「W」、5.25インチの幅「W」、および1.25インチの厚さまたは高さ「H」を含み得る。これらの寸法によって一般に、固定構造12は、少なくともいくつかの実施形態によれば、高さが低い構造を含む。
【0018】
第2のコネクタ係止構造20は、ハンドル部36によって連結されている1対のピン構造34a〜34bを含む。第2のコネクタ係止構造は、サスペンションアセンブリ16を貫通して延在するように寸法付けされており、サスペンションアセンブリ16からピン構造34a〜34bが突出し、適所に保持されるようになっている。示すように、保持機構22のそれぞれは、ピン構造34a〜34bのそれぞれ1つを貫通し、保持する。
【0019】
図2A図2Dはそれぞれ、上記コネクタフレームアセンブリ16の斜視図、正面図、上面断面図および側断面図を示す。コネクタフレームアセンブリ16は、外側フレーム構造40を含み、外側フレーム構造40は、少なくともいくつかの実施形態では、1対の中央連結部44a〜44bによって連結された1対の直立(例えば、鉛直)部42a〜42bを有するU字形フレーム構造の形態をとることができる。図3A図3Dはそれぞれ、図2A図2Dにおけるコネクタフレームアセンブリの一部の拡大斜視図、拡大正面図、拡大上面図および拡大側面図を示す。すなわち、図3A図3Dは、外側フレーム構造40をより詳細に示す。
【0020】
図2A図2Dおよび図3A図3Dを参照すると、コネクタフレームアセンブリ16は、フレーム構造40の直立部42a〜42bの間に離間し、かつ、直立部42a〜42bと長さにおいて概ね同一の広がりを有する1対の追加の直立(例えば、鉛直)板構造46、48(「中間板」とも呼ぶ)と、1対のより短い板構造50、52(「ガセット板」とも呼ぶ)とをさらに含む。直立部42aの一部は、固定構造12を受けるために開いたままであり、直立部42bの一部は、固定構造の止具として機能する。板構造46、48、50、52は、示すような板構造(また具体的には、板構造の延長部)を受ける係合穴部54a〜54hを介して外側フレーム構造40に連結されている。フレームアセンブリ16は、管(もしくは管状)構造の形態もしくは構造をとり、または、管(もしくは管状)構造を含む複数の連結構造と、より具体的には外側に位置付けされた1対の第1のより小さい管構造56a〜56bと、より小さい管構造間の中央に配置されている第2のより大きい管構造58とをさらに含む。示すように、管構造56a〜56bおよび58のそれぞれは、円形でチューブ状の構造であり、より大きい管構造は、より小さい管構造より、大きい直径を有し、より小さい管構造は、それぞれ同じ直径である。様々な代替実施形態は、本開示の範囲内にあると考えられ、考慮される。例えば、管構造56a〜56bおよび58はそれぞれ、同じ大きさであってもよいため、同じ直径を有してもよい。少なくともいくつかの実施形態によれば、フレームアセンブリ構成要素は、典型的には溶接され、またはその他の方法で接合され、確実に連結される。
【0021】
引き続き図2A図2Dおよび図3A図3Dを参照すると、管構造56a〜56bおよび58のそれぞれは、直立板構造46、48(穴部を介して)内および直立部42a〜42b内に存在し、かつそれらを貫通して、再度穴部(具体的には、図3A図3Bに示す)を介し、それらそれぞれの外表面を越えて(すなわち、フレームアセンブリ16の正面および裏面を越えて)延在するように、位置付けされている。例えば、管構造56a〜56bは、第1の種類の連結装置を受けて支持するように構成され、管構造58は、第2の種類の連結装置を受けて支持するように構成されている。より具体的には、本開示の実施形態によれば、管構造56a〜56bは一般に、掛支持足場の取付具として機能するように構成され、管構造58はより一般に、吊足場システムの取付具として構成されている。示すように、連結構造56a〜56bは典型的に、連結構造58より、小さい装置を収容するであろう。具体的には、チェーンカプラ装置59を備えたチェーン機構57を含むそのようなチェーンまたは他の連結装置は、本明細書でさらに説明するような吊足場システムを吊るし、または掛けるために利用することができる。一実施例では、構造58は、少なくともいくつかの実施形態では、チェーンカプラ装置59と共にチェーン機構57(仮想線で示す)を、または同様の連結装置を受けることができる。要するに、サスペンション連結システム10は、構造56a〜56bおよび58を含み、構造56a〜56bおよび58は、支持足場構成要素を掛ける(例えば、チェーンおよび/もしくは他の連結機構を介して)ための連結部として機能することができ、または機能するように構成されている。
【0022】
少なくともいくつかの実施形態によれば、管構造58は、フレーム構造40の穴部61a〜61b内に嵌まり、かつ関連するチェーンの全強度を維持するように、直径を含み、またはその他の方法でそのように寸法付けされている。例えば、ある実施形態では、管構造58は、各直径が2.9インチの穴部61a〜61b内に嵌まる2.875インチの直径を含み、3/8等級100チェーンの全強度を維持する。少なくともいくつかの実施形態によれば、各管構造56a〜56bは、それぞれの穴部63aおよび63a’内、ならびに、65bおよび65b’内に嵌まり、かつ、それぞれの足場締付具(図示せず)を収容するように、それぞれの直径を含み、またはその他の方法でそのように寸法付けされている。例えば、ある実施形態では、管構造56a〜56bはそれぞれ、1.9インチの直径を有し、フレーム構造40内にある、直径が1.925インチの穴部内に嵌まる。
【0023】
図2Bおよび図3Cを参照すると、フレーム構造40は、一般に参照番号83で参照される、固定構造12を受けるための固定構造受入領域を含む。少なくともいくつかの実施形態によれば、フレーム構造40は、全長「L」を有し、フレーム構造受入領域は、寸法「D1」、「D2」および「T」を含む。一例示的実施形態では、寸法D1は9.19インチであり、寸法D2は7.93インチであり、寸法Tは0.50インチであり、フレーム構造40の全長「L」は13インチである。見てわかるように、本開示の少なくともいくつかの実施形態によれば、固定構造は「ダブテール板」と呼び、または、その形態をとることができる。「ダブテール板」は、ダブテール板を受けるために対応し、かつ囲む形態を有する固定構造受入領域83を介して固定構造40と整合し、ダブテールもしくはダブテール状の相互連結部または接合部を提供するようになっている。
【0024】
ここで図7を参照すると、本開示の代替実施形態による固定構造12’およびサスペンションコネクタアセンブリ14’が示される。より具体的には、制限するものではなく例として、固定構造12の角度がついた表面32a〜32b(例えば、図1Bに示す)の1つまたは両方を、再成形し、または固定構造12’のステップもしくはステップ状構造32a’および32b’と置き換えることができ、ステップもしくはステップ状構造32a’および32b’は、サスペンションアセンブリ14’と整合し、係合するように構造化されている。例えば、少なくともいくつかの実施形態によれば、ステップまたはステップ状構造32a’および32b’は、山形鋼に似せて構造化することができ、山形鋼は、典型的には、直角もしくはほぼ直角に形成された「L字形」の表面または断面を含む。さらに、少なくともいくつかの実施形態によれば、固定構造は、上部(または下部)がカットされている少なくとも一部分を含むように構造化することができ、それによって、さらに以下に説明するようなサスペンションコネクタアセンブリの1つまたは様々な実施形態と係合するように、リップ部、突起部、または他の構造もしくは表面を設ける。本明細書における本開示の実施形態によれば、さらに図7に示すように、固定構造14’は、固定構造12’と一致し、かつ固定構造12’と係合することができるように、一般に寸法付けされ、形作られている固定構造受入領域’83’を含む。固定構造およびサスペンションコネクタアセンブリの代替実施形態は、本開示の範囲内にあると考えられ、考慮される。
【0025】
図4A図4Cはそれぞれ、図1A図1Bにおける第1のコネクタ係止構造18の拡大正面図、拡大上面図および拡大側面図である。示すように、第1のコネクタ係止構造18は、中央部62によって連結され、かつ中央部62から遠ざかる(例えば、上方へ遠ざかる)ように延在する1対の「車両状」側部60a〜60b(「タング」とも呼ぶ)を含む、一般に剛直な単一の構造である。少なくともいくつかの実施形態では、第1のコネクタ係止構造は、板または板状構造である。第1のコネクタ係止構造18はまた、使用者が手で握り、保持しやすいように、屈曲部64構造を含む。各側部60a〜60bは、それぞれ1対の開口部66a〜66bおよび68a〜68bを含み、開口部66a〜66bおよび68a〜68bは、少なくともいくつかの実施形態によれば、図5a〜5bについて説明するようなピン76を収容するように寸法付けされている。例えば、曲線をつけられた(例えば、丸い)表面72に管構造58が接触または当接するまで管構造58を受けるために、管構造受入溝部または管構造受入開口部70が、側部60a〜60bの間に形成され、第1のコネクタ係止構造18の移動を制限する。
【0026】
少なくともいくつかの実施形態によれば、第1のコネクタ係止構造18は、さらに以下に説明するような受入領域83内に位置付けされた時の固定構造の動き相対的動きを側部60a〜60bが係止し、または防ぐのに十分な高さ「H」を有する。一例示的実施形態では、高さ「H」は8インチである。さらに、少なくともいくつかの実施形態によれば、第1のコネクタ係止構造18は、受入領域83内に嵌まり、それを貫通し、かつ、図3Cについて先に説明したようなその寸法D1およびD2を貫通するように寸法付けされた全幅「W」を有する。一実施形態では、全幅「W」は7.75インチである。また一実施形態では、管構造受入溝部は、直径が2.875インチの管構造58を収容するために、3.15インチの幅「L」を有する。
【0027】
設置/取外し−使用
図5Aおよび図5Bは、図1Aおよび図1Bのサスペンションコネクタシステムの側面図であり(便宜上、同一ページに再度示す)、図1A図1Bと共に、例示的構造物74(例えば、石油掘削装置プラットフォーム)に対するシステムの実施(設置/取外し)および使用の例示的工程をさらに示す。
【0028】
例示的工程の第1のステップにより、固定構造12を構造物74に固定し(例えば、溶接し)、またはその他の方法で確実に連結する。構造物74に対する固定構造の固定を、示した例示軸の「Y」方向に対応している矢印75で示す。少なくともいくつかの実施形態では、固定構造を構造物のその周囲全体に溶接し、固定構造と構造物(例えば、プラットフォーム、船舶、船など)との間を完全に、もしくは少なくとも実質的に密封して結合し、腐食物もしくは他の瓦礫もしくは物質の侵入もしくは巻込みを排除し、または実質的に排除しようとすることができる。
【0029】
第2のステップでは、コネクタ保持機構22を第2のコネクタ係止構造20(上述)から取り外す。コネクタ保持機構を取り外すことにより、第2のコネクタ係止構造20が動くことができる。
【0030】
第3のステップでは、第2のコネクタ係止構造20をコネクタフレームアセンブリ16に対して初期位置から最終位置までの距離だけ摺動および後退させ(典型的には外側に)、またはその他の方法で移動させる。示すように、初期位置および最終位置は予め決定し、例えば、これらの位置は複数の装置(例えば、ピン、ロールピンなど)76によって決定し、これらの装置によって、動きが、予め決定した距離に制限される。第2のコネクタ係止構造20の動きを、示した例示軸のX方向に対応している矢印78で示す。第2のコネクタ係止構造20が動くことにより、第1のコネクタ係止構造18が動くことができる。
【0031】
第4のステップでは、第1のコネクタ係止構造18をコネクタフレームアセンブリ16に対して初期(例えば、上昇)位置から最終(例えば、下降)位置まで、典型的には下方に(例えば、重力によって、もしくは、手による引張りなどの追加補助力と重力とによって)摺動させ、またはその他の方法で移動させる。示すように、初期位置および最終位置は、予め決定する。例えば、これらの位置は、第1の係止構造内の穴部(図4Aに示した穴部66a〜66bおよび68a〜68b)を貫通し、かつ穴部と整合している複数の装置(例えば、六角ボルトおよびワッシャアセンブリなど)80、81によって決定し、その結果、第1のコネクタ係止構造18の動きは、予め決定した距離に制限される。言いかえれば、第1のコネクタ係止機構の移動がこれらの位置間の距離に制限される限り、初期位置および最終位置が限界位置である。装置80および81は、第1のコネクタ係止構造18がサスペンションコネクタアセンブリから完全に取り外されるのを防ぐが、第1のコネクタ係止構造18の自由な動きは可能にする。自由な動きを、示した例示軸のマイナスY方向に対応している矢印82で示す。
【0032】
第5のステップでは、サスペンションコネクタアセンブリ14を、係合するように、固定構造12上もしくは固定構造12に対して摺動させ、またはその他の方法で位置付けする。より具体的には、少なくともいくつかの実施形態によれば、一般に参照番号83で参照され、図1B(および図2B)に示した固定構造受入領域または固定構造受入溝部内にサスペンションコネクタアセンブリ14を受けて係合するために、傾斜した、または角度がついた表面32a〜32b(図1B)が、コネクタフレーム構造40の表面と係合する。そのような動きを、示した例示軸のマイナスX方向に対応している矢印84で示す。サスペンションコネクタアセンブリ14と固定構造12との間の動きは、少なくともいくつかの実施形態では、手で動かして、掛けることができるように、緩い滑りばめ(固定構造12とアセンブリ14との接触表面に沿った)を特徴とし得ると考えられる。一般に、固定構造12は、少なくとも部分的に板42aによって形成された受入領域83の開口端部に受けられ、固定構造が板構造42bの少なくとも一部によって止められるまで、摺動が続く。
【0033】
この時点で、固定構造がサスペンションコネクタアセンブリ14の重量に耐えるように、サスペンションコネクタアセンブリ14は、固定構造12上に「掛け」られる。さらに、固定構造12は、固定構造受入領域83内のサスペンションコネクタアセンブリ14内、またはサスペンションコネクタアセンブリ14に対して保持される。そのような嵌合係合により、固定構造12とサスペンションコネクタアセンブリ14との間の相対的動きはX(およびマイナスX)方向に制限され、Y(およびマイナスY)方向ならびにZ(およびマイナスZ)方向の相対的動きは防止される。
【0034】
第6のステップでは、第1のコネクタ係止構造18が固定構造12と係合するまで、第1のコネクタ係止構造を上記方向82と反対の方向、すなわち、矢印86で示した方向(示した例示軸のY方向に対応している)に摺動させる。より具体的には、部分60aおよび60b(図4A)が固定構造12に隣接するまで、第1の係止構造を摺動させ、またはその他の方法で移動させる。18。サスペンションアセンブリ14は、固定構造12に対して少なくとも部分的に固定し、その結果、X(およびマイナスX)方向の相対的動きが防止される。
【0035】
第7のステップでは、第2のコネクタ係止構造20を、示した例示軸のマイナスX方向に対応している矢印88で示した方向に摺動させ、またはその他の方法で移動させる。そのような動きは、第1のコネクタ係止構造18を固定するのに必要な程度(上記の予め決定した距離に再度対応している)である。より具体的には、固定構造12と係合する位置(例えば、上昇位置)に第1のコネクタ係止構造を固定するために、動きが続く。
【0036】
また最終ステップでは、コネクタフレームアセンブリ16と、第1のコネクタ係止構造18とを貫通する部分を介して、示すように、係合するように第2のコネクタ係止構造20に対してコネクタ保持機構22を再挿入する。ここで、サスペンションコネクタアセンブリ14を、構造物72にさらに取り付けられている固定構造12に対して設置する。したがって、サスペンションコネクタシステム10は、掛足場システムまたは吊足場システムを支持するように、設置され、かつ構成または構造化されている。
【0037】
同様に、サスペンションコネクタアセンブリ14は、固定構造から取り外してもよく、したがって、少なくともこの意味では、サスペンションコネクタシステム10は「取り外し可能」、または少なくとも実質的に取り外し可能である。より具体的には、固定構造12からサスペンションアセンブリを取り外し、もしくは取り除く工程または実施には、一般に、上記ステップの順序を逆にすることと、そのような関連する各ステップ中における、サスペンションコネクタシステムのそれぞれの構成要素について説明したような相対的動きを逆にすることとが必要である。例えば、上記ステップ5を逆にした場合には、サスペンションコネクタアセンブリ14を固定構造12から分離し、もしくは取り外すために摺動させ、またはその他の方法で、固定構造12から遠ざかるように位置付けすることができ、そのような動きを、示した例示軸のX方向に対応している矢印90で示す。
【0038】
上述のように、サスペンションコネクタシステム10は、本明細書で記述したような固定構造に固定されるように構成されている取り外し可能なサスペンションコネクタアセンブリ14を含む。言いかえれば、本開示の実施形態によれば、固定構造と、固定構造と係合するように構成または構造化されているサスペンションコネクタアセンブリとを含むサスペンションコネクタシステム10が開示される。したがって、サスペンションコネクタシステムを、無許可のリギング、巻上げ、もしくは吊下げに対して利用することができる可能性が低くなり、またはなくなる。
【0039】
本明細書で説明した種類の多数のサスペンションコネクタシステムを使用して、上記手順を複数回繰り返し、掛足場システムまたは吊足場システムを支持するのに適切な方法で位置付けされている複数のサスペンションコネクタシステムを有する構造物を提供することができる。より具体的には、図6は、本明細書の上記手順によって構造物72に対して位置付けされたサスペンションコネクタシステム10の例示的配置92の概略図を示し、このように、サスペンションコネクタシステム10は、一般に参照番号100で示される吊足場システムと共に使用するのに適し、または、吊足場システムと組み合わされる。そのような吊足場システムは、例えば、チェーン連結装置およびチェーン連結アセンブリなどの連結装置または連結アセンブリによって、別の構造物から吊るすのに適した作業プラットフォームシステム(連接作業プラットフォームアクセスシステムを含む)を含む、掛支持足場、吊足場を含む。
【0040】
上記方法は、段階的順序で概要を述べたが、行為またはステップを特定の時系列で完了することが必ずしも必須ではない。さらに、そのようなステップの排除、修正、再配列、組合せ、順序変更は、本開示の範囲内であると考えられ、考慮される。
【0041】
吊足場を使用して作業範囲が完了した後、例えば、プラットフォームなどの構造物にペンキを塗り、またはその他の方法で改装した後、ならびに、固定構造から吊足場およびサスペンションコネクタアセンブリを取り外した後に、固定構造のみ(または複数のそのような構造)が構造物に取り付けられたままであることが考えられる。有利なことには、固定構造は、高さが低い、または高さが非常に低い構造であるように設計される。したがって、固定構造を有する船または他の構造物を水中で輸送する場合に、固定構造は、推進抵抗を大幅には増加させない。さらに、固定構造は、抵抗を低減するためにフェアリングを含んでもよいことが考えられる。
【0042】
有利なことには、本開示によって提供するサスペンションコネクタシステムは、サスペンションコネクタシステムが取り付けられている構造物の連続作業を継続しながら構造物に接近しやすい着実な選択肢を提供することができる。有利なことには、構造物の初期建造中、乾ドック内での修理中、または運転中に現場で設置されながらの修理中に、固定構造10(例えば、「ダブテール」板または他の適切な形状もしくは装置の形態)を構造物(例えば、船)に固定することができる。また、修理、改修または検査のために接近しやすくするのに、構造物を乾ドックまたは他の場所に移動させる(ひいては、構造物の運転および使用を止める)必要性が、減り、またはなくなる。
【0043】
しかしながら、本明細書で示す説明は、具体的には、構造物、典型的には、構造物の少なくとも概ね平坦な、または外側の表面(例えば、殻部)に対するサスペンションコネクタシステムの実施に焦点を置いている。これは単に、例として意図される。実際に、サスペンションコネクタシステムを実施するための同一または類似(もしくは実質的に類似)の工程を、様々な他の種類の構造物に関連させて利用し得ることが理解されるべきである。
【0044】
所与のサスペンションコネクタシステムの異なる構成要素、アセンブリおよび構造の特定形状は、多くの場合、異なり得る。単なる一例では、管構造は、他の形状をとることができ、他の連結装置を収容するように構造化され得る。また上述のように、固定構造は、他の外形を有する他の形状をとることができる。
【0045】
他の実施形態のサスペンションコネクタシステムを形成することができる材料は、実施形態によって異なり得る。例えば、そのようなサスペンションコネクタシステムの構成要素に適した材料は、金属(例えば、鋼、アルミニウムなど)を含み得るが、他の適切な材料も含み得る。吊足場システムは、典型的には金属(例えば、鋼、アルミニウムなど)からなる構成要素を含み得る。また、そのような構成要素は、固形状、波形状、格子状、平滑なもの、または他の適切な構成のものからなり得る。例えば、そのような足場アセンブリのパネル部は、とりわけ、木材シート、合板、屋根デッキ材料、フレーム上、格子上の金属、鋼シートなどからなり得る。また、サスペンションコネクタシステムから、支持構造に対して吊足場システムを吊るす際に、様々な種類のリンケージを用い得ることが理解されるべきである。上述のように、そのようなリンケージは、典型的にはチェーンを含むと考えられるが、典型的には柔軟であり(例えば、ワイヤ、ワイヤロープまたは類似した種類のリンケージ)、場合によっては剛直な他のリンケージを含み得る。
【0046】
少なくともいくつかの実施形態では、吊足場システムは、複数の個別構成要素から形成された作業プラットフォームシステムを含むことができ、したがって作業者は、作業プラットフォームシステムの既存の設置された部分上に物理的に支持されながら、作業プラットフォームシステムの既存の部分を修正し、または、それに追加することができる。少なくともいくつかの実施形態では、そのような状況の作業者は、手工具のみを使用して、作業プラットフォームシステムの構成要素を拡張し、移動させ、または、取り外すことができ、作業プラットフォームシステムの既存の構成要素に追加し、または、それらから取り去るのに、機械工具、巻上機、クレーンまたは他の装置を必要としない。少なくともいくつかの実施形態では、作業プラットフォームシステムの設置は、本質的に「空中で」行うことができる。すなわち、作業プラットフォームシステムは、複数の吊上装置または巻上装置を使用することによって、1つずつ順番に「空中で」組み立て、共に連結することができる。しかしながら、代替実施形態では、1つまたは複数の足場システム構成要素を、地上で、または遠隔地で予め組み立て、次いで、予め組み立てられたモジュールとして所望の場所へ移動させ、かつ引き上げ、構造物から吊るすことも可能である。
【0047】
上で説明していないが、他の実施形態では、他の種類の構成要素も吊足場システム内に含めることができる。例えば実施形態によっては、レールシステムを、1つまたは複数の部分に取り付けることができる。そのようなシステムのレールは、とりわけ、チェーン、ケーブル(例えば、亜鉛メッキ航空機ケーブル)、綱などの様々な材料から製造することができる。例えば、レールは、亜鉛メッキ航空機ケーブルであってもよい。さらに追加の実施形態では、手すり台座もまた、作業エンクロージャシステムを組み立てるために使用することができる。例えば、様々な目的で作業領域を囲むために、防水布、シートなどを手すり台座に取り付けることができる。
【0048】
したがって、本発明の特定の実施形態について上で詳細に示し、説明してきたが、添付の請求項の範囲から逸脱せずに、多くの変更および修正を行い得ることが理解されるべきである。とりわけ、本発明の範囲は、上記のように、構成要素の数、その材料、その形状、その相対配置などに限定されず、むしろ上記の開示は、例示的実施形態として単に示していることが理解されるべきである。
【0049】
本明細書でなされた表現は、本明細書で包含されるあらゆる実施形態が安全であり、あらゆる特定の安全基準を満たすことを表現するものとは考慮されないものとする。実際に、安全な作業は、例えば、設置、保守、関係者の訓練などの方法を含む、本発明の範囲外の多くの因子に依存し得る。さらに、サスペンションコネクタシステムの様々な要素の互いに対する相対的な位置付けもしくは動きを説明するための用語もしくは参照(例えば、矢印)、および/または別の基準点(例えば、掘削装置もしくは船などの構造物への)、本発明は、1つもしくは複数のそのような上記関係特性を満たさない、または必ずしも満たさないという特徴を有する様々な他の実施形態を包含するものと意図されることが理解されるべきである。
【0050】
したがって、具体的には、本発明は、本明細書に含まれる実施形態および図に限定されず、それら実施形態の部分を含む実施形態の修正形態、および、以下の請求項の範囲内にあるような異なる実施形態の要素の組合せを含むことが意図される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7
図8