【文献】
BOJINOV Vladimir B,Synthesis and energy-transfer properties of fluorescence sensing bichromophoric system based on Rhodamine 6G and 1,8-naphthalimide,Sens Actuators B Chem,2009年12月 4日,Vol.143 No.1,Page.42-49,Available online 15 September 2009
【文献】
YUAN Lin,Development of FRET-Based Dual-Excitation Ratiometric Fluorescent pH Probes and Their Photocaged Derivatives,Chem Eur J,2012年,Vol.18 No.4,Page.1247-1255,Published online: December 27, 2011
【文献】
GRIMM Jonathan B,Synthesis of Rhodamines from Fluoresceins Using Pd-Catalyzed C-N Cross-Coupling,Org Lett,2011年12月16日,Vol.13 No.24,Page.6354-6357,Published on Web 11/17/2011
【文献】
KIM Ha Na,Study on various fluorescein derivatives as pH sensors,Tetrahedron Lett,2011年 5月 4日,Vol.52 No.18,Page.2340-2343
【文献】
Scheucher, Elisabeth,Magnetic Optical Sensor Particles for pH Measurement,AIP Conference Proceedings(8th International Conference on the Science and Clinical Applications of Magnetic Carriers, 2010),2010年,Page.15-19
【文献】
MADSEN Jeppe,Synthesis of Rhodamine 6G-Based Compounds for the ATRP Synthesis of Fluorescently Labeled Biocompatible Polymers,Biomacromolecules,2011年 6月,Vol.12 No.6,Page.2225-2234
【文献】
Koide Kazunori,Scalable and concise synthesis of dichlorofluorescein derivatives displaying tissue permeation in live zebrafish embryos,Chembiochem : a European journal of chemical biology,2008年 1月25日,Vol. 9, No. 2,Page. 214-218
【文献】
KIERAT Radoslaw M,A fluorescent redox sensor with tuneable oxidation potential,Bioorg Med Chem Lett,2010年 2月15日,Vol.20 No.4,Page.1457-1459
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】pHセンサー化合物(a)PBI−4453、(b)PBI−4479、(c)PBI−4959、(d)PBI−5004、および(e)PBI−5183の分子構造を示す。
【
図2】(a)化合物PBI−4453および(b)化合物PBI−4479の蛍光発光スペクトルを示す。
【
図3-1】化合物(a)PBI−4453、(b)PBI−4479の蛍光発光のpH依存性を実証するグラフを示す。
【
図3-2】化合物(c)PBI−4959、(d)PBI−5004の蛍光発光のpH依存性を実証するグラフを示す。
【
図3-3】化合物(e)PBI−5183の蛍光発光のpH依存性を実証するグラフを示す。
【
図4】PBI−4479の発光および励起蛍光強度プロフィールを実証するグラフを示す。
【
図5】PBI−4479の−20℃での安定性プロフィールを表示するグラフを示す。
【
図6】PBI−4479の4℃での安定性プロフィールを実証するグラフを示す。
【
図7】PBI−4479の室温での安定性プロフィールを実証するグラフを示す。
【
図8】pHセンサーPBI−4479の蛍光発光強度および(HPLCを介して)純度を示す。
【
図9】U2−OS細胞におけるPBI−4479およびPBI−4453の毒性プロフィールを実証するグラフを示す。
【
図10】U2−OS HaloTag−NLS細胞におけるPBI−4479の不浸透性を実証する発光細胞生存率アッセイを示す。
【
図11】U2−OS細胞におけるPBI−4479による非特異的標識化の欠如を示す。
【
図12】PBI−4479を使用したHaloTag−EDG1の内部移行の検出を示す。
【
図13】PBI−4479を使用したHaloTag−B2ARの内部移行の検出を示す。
【
図14】PBI−4479を使用したHaloTag−DOR1の内部移行の検出を示す。
【
図15】PBI−4479を使用したHaloTag−EGFRの内部移行の検出を示す。
【
図16】落射蛍光による受容体の内部移行の検出を示す。
【
図17】ダイナミン(K44A)によるHaloTag−EDG1の内部移行の防止を示す。
【
図18】DYNASOREによるHaloTag−EDG1の内部移行の阻止を示す。
【
図19】DYNASOREの洗い出しによるHaloTag−EDG1の内部移行の回復を示す。
【
図21】細胞内におけるpHセンサーPBI−4479、PBI−4959、およびPBI−5004の非毒性を示す。
【
図22】野生型U2−OS細胞におけるpHセンサーPBI−4479、PBI−4958、PBI−4959、PBI−4994、PBI−4995、およびPBI−5004の非特異的結合の程度を示す。
【
図23】非刺激U2−OS HaloTag−EDG1安定細胞株におけるpHセンサーPBI−4479の標識化およびバックグラウンドの程度を示す。
【
図24】非刺激U2−OS HaloTag−EDG1安定細胞株におけるpHセンサーPBI−4958の標識化およびバックグラウンドの程度を示す。
【
図25】非刺激U2−OS HaloTag−EDG1安定細胞株におけるpHセンサーPBI−4959の標識化およびバックグラウンドの程度を示す。
【
図26】非刺激U2−OS HaloTag−EDG1安定細胞株におけるpHセンサーPBI−4994の標識化およびバックグラウンドの程度を示す。
【
図27】非刺激U2−OS HaloTag−EDG1安定細胞株におけるpHセンサーPBI−4995の標識化およびバックグラウンドの程度を示す。
【
図28】非刺激U2−OS HaloTag−EDG1安定細胞株におけるpHセンサーPBI−5004の標識化およびバックグラウンドの程度を示す。
【
図29】U2−OS HaloTag−EDG1安定細胞株における作動薬刺激の後の、pHセンサーPBI−4479の輝度を示す。
【
図30】U2−OS HaloTag−EDG1安定細胞株における作動薬刺激の後の、pHセンサーPBI−4958の輝度を示す。
【
図31】U2−OS HaloTag−EDG1安定細胞株における作動薬刺激の後の、pHセンサーPBI−4959の輝度を示す。
【
図32】U2−OS HaloTag−EDG1安定細胞株における作動薬刺激の後の、pHセンサーPBI−4994の輝度を示す。
【
図33】U2−OS HaloTag−EDG1安定細胞株における作動薬刺激の後の、pHセンサーPBI−4995の輝度を示す。
【
図34】U2−OS HaloTag−EDG1安定細胞株における作動薬刺激の後の、pHセンサーPBI−5004の輝度を示す。
【
図35】HaloTag−NLSを安定して発現しているU2−OS細胞におけるpHセンサーPBI−4479の不浸透性を示す。
【
図36】HaloTag−NLSを安定して発現しているU2−OS細胞におけるpHセンサーPBI−4994およびPBI−4995の不浸透性を示す。
【
図37】HaloTag−NLSを安定して発現しているU2−OS細胞におけるpHセンサーPBI−4958およびPBI−4959の不浸透性を示す。
【
図38】HaloTag−NLSを安定して発現しているU2−OS細胞におけるpHセンサーPBI−5004の浸透性を示す。
【
図39】1uMのS1Pを有する細胞不浸透性pHセンサーPBI−4959を使用した、HaloTag−EDG1の内部移行を検出する能力を示す。
【
図40】1uMのS1Pを有さない細胞不浸透性pHセンサーPBI−4959を使用した、HaloTag−EDG1のバックグラウンド内部移行を検出する能力を示す。
【
図41】1uMのS1Pを有する細胞不浸透性pHセンサーPBI−4979を使用した、HaloTag−EDG1の内部移行を検出する能力を示す。
【
図42】1uMのS1Pを有さない細胞不浸透性pHセンサーPBI−4959を使用した、HaloTag−EDG1のバックグラウンド内部移行を検出する能力を示す。
【
図43】1uMのS1Pを有する、または有さない刺激の後の、細胞浸透性pHセンサーPBI−5004を使用した、HaloTag−EDG1の内部移行を検出する能力を示す。
【
図44】U2−OS細胞におけるFACS陰性対照を示す。
【
図45】U2−OS HaloTag−ECS細胞におけるpHセンサーPBI−4479を使用したFACS分析を示す。
【
図46】塩基および酸により滴定されたときの、PBI−4479の単一試料の蛍光強度の損失および回復を示す。
【0023】
定義
本明細書で使用されるとき、用語「最大蛍光」は、任意の特定の蛍光剤の(例えば、特定のアッセイ、特定の条件下、特定の環境などにおける)ピーク蛍光強度を意味する。
【0024】
本明細書で使用されるとき、用語「環境」は、空間に存在する薬剤または実体に影響を与え得る特定の化学的および物理的特性を有する任意の物理的空間を意味する。例示的な環境には、インビトロ環境、インビボ環境(例えば、動物の全身)、細胞内環境、エンドソーム環境、細胞外環境、膜内環境などが含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書で使用されるとき、用語「実体(entity)」は、任意の別個に識別可能または限定可能な分子単位を意味する。実体は、天然または合成の作成物であり得、水素分子(H
2)と同じくらい小さい、またはタンパク質、リボヌクレオタンパク質複合体、合成粒子、ポリヌクレオチド、核酸、またはウイルス粒子と同じほどの大きさであり得る。
【0026】
本明細書で使用されるとき、用語「反応性基」は、共有結合のためにパートナー化学部分と反応することができる化学部分を意味する。部分は、単一のパートナー部分、一連のパートナー部分との高い反応性に基づいて、または多くのパートナーとの反応性に基づいて反応性基と考慮され得る。
【0027】
本明細書で使用されるとき、用語「アルキル」は、特定された数の炭素原子を有する、または数が特定されていない場合、20個までの炭素原子を有する、直鎖、分岐鎖、および環状の基を含む飽和脂肪族基を意味する。用語「C
4〜C
6アルキル」は、本明細書で使用されるとき、炭素が4〜6個の炭素原子の直鎖または分岐鎖を意味する。用語「シクロアルキル」は、本明細書で使用されるとき、炭素の数が特定されない限り、3〜20個の炭素原子を有する単環式、二環式、または三環式の脂肪族環(例えば、C
6シクロアルキル、シクロヘキサンなど)を意味する。「ヘテロアルキル」は、アルコキシ、アミノ、イミノ、イミド、アルキル、アルキルアミノ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、メルカプト、ニトロ、チオアルコキシ、カルボキサルデヒド、カルボキシル、カルボアルコキシ、およびカルボキサミドが含まれるが、これらに限定されない1、2、3つ、またはそれ以上の置換基で置換されているアルキル基を意味し、炭素環式アリール、複素環式アリール、およびビアリール基などが含まれるが、これらに限定されず、これらの全ては場合により置換され得る。
【0028】
本明細書で使用されるとき、用語「アリール」は、非置換または置換芳香族環(例えば、N、O、およびSから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員環)を意味する。「ヘテロアリール」は、アルコキシ、アミノ、イミノ、イミド、アルキル、アルキルアミノ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、メルカプト、ニトロ、チオアルコキシ、カルボキサルデヒド、カルボキシル、カルボアルコキシ、およびカルボキサミドが含まれるが、これらに限定されない1、2、3つ、またはそれ以上の置換基で置換されているアリール基を意味し、炭素環式アリール、複素環式アリール、およびビアリール基などが含まれるが、これらに限定されず、これらの全ては場合により置換され得る。好ましいアリール基には、フェニル、ピリジルル、ピリミジル、ピラジニル、トリアジル、フリル、チエニル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、チアジアゾリル、およびテトラゾリハロフェニル、低級アルキルフェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントレニル、およびナフタセニルが含まれる。アリール基への結合点は、アリール基が結合していないときに水素原子を含有する環における、任意の炭素または窒素原子と定義される。炭素または窒素原子に存在する3個までのアリール環水素は、ヘテロシクロアルキル基を参照して上記に記載されたものから選択される基により独立して置換され得る。
【0029】
本明細書で使用されるとき、用語「ハロ」または「ハロゲン」は、Cl、Br、Fおよび/またはI置換基を意味する。用語「ハロアルキル」などは、異なるハロ原子の混合物を含む、Cl、Br、F、またはI原子に置き換えられている少なくとも1個の水素原子を有する脂肪族炭素ラジカルを意味する。
【0030】
用語「アルコキシド」は、本明細書で使用されるとき、直鎖または分岐鎖に配列されている1〜20個の炭素を有するアルコールのオキシアニオンを意味する。例示的なアルコキシドには、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、ブトキシド、およびt−ブトキシドが含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
蛍光センサー剤(例えば、分子)、ならびにその使用および製造の方法が本明細書に提供される。特に、周囲環境のpHの変化時(例えば、1つの細胞環境から別のものへの移動時)、蛍光(例えば、強度)に検出可能な変化を示す、センサー剤が提供される。
【0032】
幾つかの実施形態において、センサーが存在する範囲内(例えば、細胞外、細胞内、細胞質、核、エンドソームなど)の環境(例えば、近接環境)のpHの変更時、蛍光特性(例えば、発光、励起、波長、振幅、強度など)における検出可能な変化(例えば、増加または減少)を示す、蛍光センサーが提供される。幾つかの実施形態において、シグナルの検出可能な変化(例えば、蛍光発光のオン/オフ、蛍光強度の低減)は、pHの変化時(例えば、中性から酸性へ、中性から塩基性へ、酸性から塩基性へ、塩基性から酸性へ、弱塩基性から高度な塩基性へ、弱酸性から高度な酸性へ、など)において検出可能である。幾つかの実施形態において、センサー剤は、第1のpH環境(例えば、酸性)において蛍光性である。幾つかの実施形態において、センサー剤は、第2のpH環境(例えば、中性、塩基性)において非蛍光性である。他の実施形態において、センサー剤は、第1のpH環境と比較すると、第2のpH環境(例えば、中性、塩基性)において低レベルの蛍光性を示す。幾つかの実施形態において、センサー剤は、タンパク質(例えば、酵素、受容体など)、目的の分子、複合体、抗体、多糖(例えば、デキストランなど)、ウイルス粒子、核酸、ポリヌクレオチド、脂質、小分子などに、(例えば、共有的に、非共有的に、直接的に、間接的に(例えば、リンカー、または他の基、部分、もしくは分子を介して))結合および/または連結するように構成されている。
【0033】
幾つかの実施形態において、本発明は、R置換窒素が非保護である、または脱保護される場合、光誘導性電子移動(PET)消光を示すピペラジノローダミン分子を提供する。幾つかの実施形態において、そのようなピペラジノローダミン分子は、塩基性から中性のpHにおいて暗く(例えば、非蛍光性であり、低レベルの蛍光性(例えば、そうでなければ同じ条件下で最大蛍光の<10%、<5%、<4%、<3%、<2%、<1%)を示し)、酸性pHにおいて蛍光性(例えば、最大蛍光の>50%、最大蛍光の>75%、最大蛍光の>90%、最大蛍光の>95%、最大蛍光の99%)である、蛍光性pHセンサーをもたらす。構造的に類似しているローザミン構造は、水溶性ではなく、好ましくない/望ましくない細胞相互作用に関与する、ならびに/または(例えば、細胞オルガネラおよび/もしくは区画内において)区画化する傾向がある。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されているピペラジノローダミン分子は、有用な傾向センサー剤(例えば、pHセンサー剤)をもたらす。
【0034】
幾つかの実施形態において、センサー剤は、ローダミンのコア構造(例えば、ローダミンクラスのコア構造、ローダミン様のコア構造など)を含む。幾つかの実施形態において、ローダミンのコア構造はローダミンクラスの化合物を含む。本明細書において提供されるセンサー剤は、ローダミンコア構造の構造に限定されない。任意のローダミンクラスの化合物、ローダミン関連構造、またはローダミン誘導体が、コア構造としての使用が見出され、例えば、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン123、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)、テトラメチルローダミン(TMR)、TMRのイソチオシアネート誘導体(TRITC)スルホローダミン101、テキサスレッド、ローダミンレッド、NHS−ローダミン、およびこれらの誘導体である。
【0035】
幾つかの実施形態において、センサー剤は、ローダミンクラスのコアに結合している1つ以上のピペラジン基、ピペラジンクラスの化合物、置換ピペラジン基、またはピペラジン誘導体を含む。幾つかの実施形態において、適切なピペラジンクラスの化合物には、フェニルピペラジン、ベンジルピペラジン、ジフェニルメチルピペラジン(ベンズヒドリルピペラジン)、ピリジニルピペラジン、ピリミジニルピペラジン、1,4−置換ピペラジン、および三環式化合物が含まれるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、ピペラジン基は、任意の適切な置換基および/または官能基を含む。幾つかの実施形態において、1つ以上の置換基および/または官能基は、ピペラジンクラスの化合物の任意の位置に配置されている。幾つかの実施形態において、ピペラジン基は、ローダミンクラスのコア構造のアミノ基に結合している。幾つかの実施形態において、1つのピペラジン基は、ローダミンクラスのコアのそれぞれのアミノ基に結合している。幾つかの実施形態において、置換ピペラジン基は、前記ローダミンクラスのコア構造上のアミノ基に結合している。幾つかの実施形態において、センサー剤は、2つのピペラジン基(例えば、置換ピペラジン基)を含む。幾つかの実施形態において、ピペラジン基の環窒素のうちの1個は、ローダミンコア(例えば、アミノ基)に結合している。幾つかの実施形態において、ピペラジン基は、ピペラジン基の環窒素のうちの1個に結合している置換基および/または官能基を含む。
【0036】
幾つかの実施形態において、センサー剤は、式Iの一般構造:
【化9】
を含み、式中、R
1〜R
12は、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、アルコキシド基、アルキル基、アリール基、CO
2H、SO
3H、L−CO
2H、L−SO
3H、L−W、またはL−CSであり、Lは、0〜16個の非水素原子を含み、かつエステル、酸、スルホン酸、スルファミド、アミン、アミド、アルコール、エーテル、チオエーテル、ハロゲン化物、単結合、二重結合、三重結合、および芳香族結合の任意の適切な組み合わせを含む、直鎖、分岐鎖、および/または環状の共有結合であり、Wは、反応性基であり、Xは、O、CR
17、MR
17であり、R
17は、H、F、Cl、Br、I、OH、アルコキシド基、アルキル基、アリール基、CO
2H、SO
3H、L−CO
2H、L−SO
3H、L−Y、またはL−CSであり、Mは、C、N、O、Si、P、S、Ge、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Bl、およびPoから選択される。
【0037】
幾つかの実施形態において、センサー剤は、式IIの一般構造:
【化10】
を含み、式中、R
1およびR
2は、独立して、H、アルキル基、アリール基、L、L−W、またはS−L−Wであり、R
3〜R
8は、独立して、H、F、Cl、アルコキシド基、アルキル基、アリール基であり、R
9〜R
12は、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、アルコキシド基、アルキル基、アリール基、CO
2H、SO
3H、L−CO
2H、L−SO
3H、L−R、L−W、またはL−CSであり、Lは、0〜16個の非水素原子を含み、かつエステル、酸、スルホン酸、スルファミド、アミン、アミド、アルコール、エーテル、チオエーテル、ハロゲン化物、単結合、二重結合、三重結合、および芳香族結合の任意の適切な組み合わせを含む、直鎖、分岐鎖、および/または環状の共有結合であり、Wは、例えば、SE、ヨードアセトアミド、マレイミド、酸ハロゲン化物、イソシアネート、ハロゲン化スルホニルなどから選択される反応性基であり、Xは、O、CR
13、MR
17であり、R
17は、H、アルキル基、アルキル基、アリール基、L、L−W、L−R、またはL−CSであり、Mは、C、N、O、Si、P、S、Ge、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Bl、およびPoから選択される。
【0038】
幾つかの実施形態において、センサー剤は、式IIIの一般構造:
【化11】
を含み、式中、R
1およびR
2は、独立して、H、アルキル基、アリール基、L、L−W、またはL−CSであり、R
3〜R
8は、独立して、H、F、Cl、アルコキシド基、アルキル基、アリール基であり、R
9〜R
12は、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、アルコキシド基、アルキル基、アリール基、CO
2H、SO
3H、L−CO
2H、L−SO
3H、L−R、L−W、またはL−CSであり、Lは、0〜16個の非水素原子を含み、かつエステル、酸、スルホン酸、スルファミド、アミン、アミド、アルコール、エーテル、チオエーテル、ハロゲン化物、単結合、二重結合、三重結合、および芳香族結合の任意の適切な組み合わせを含む、直鎖、分岐鎖、および/または環状の共有結合であり、Wは、反応性基であり、Xは、O、CR
17、MR
17であり、R
17は、H、アルキル基、アルキル基、アリール基、L、L−R、L−W、またはL−CSであり、Mは、C、N、O、Si、P、S、Ge、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Bl、およびPoから選択され、各nは、独立して2〜4であり、各個別のR
13、R
14、R
15、およびR
16は、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、アルコキシド基、アルキル基、アリール基、CO
2H、SO
3H、L−CO
2H、L−SO
3H、L−R、L−W、またはL−CSである。幾つかの実施形態において、R
13または関連するCは、R
3または関連するCと環状構造を形成し、R
14または関連するCは、R
4または関連するCと環状構造を形成し、R
15または関連するCは、R
8または関連するCと環状構造を形成し、および/あるいはR
16または関連するCは、R
7または関連するCと環状構造を形成する。
【0039】
幾つかの実施形態において、センサー剤は、式IVの一般構造:
【化12】
を含み、式中、R
2は、H、アルキル基、アリール基、L、L−W、またはL−CSであり、R
3〜R
8は、独立して、H、F、Cl、アルコキシド基、アルキル基、アリール基、であり、R
9〜R
12は、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、アルコキシド基、アルキル基、アリール基、CO
2H、SO
3H、L−CO
2H、L−SO
3H、L−R、L−W、またはL−CSであり、Lは、0〜16個の非水素原子を含み、かつエステル、酸、スルホン酸、スルファミド、アミン、アミド、アルコール、エーテル、チオエーテル、ハロゲン化物、単結合、二重結合、三重結合、および芳香族結合の任意の適切な組み合わせを含む、直鎖、分岐鎖、および/または環状の共有結合であり、Wは、反応性基であり、Xは、O、CR
17、MR
17であり、R
17は、H、アルキル基、アルキル基、アリール基、L、L−R、L−W、またはL−CSであり、Mは、C、N、O、Si、P、S、Ge、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Bl、およびPoから選択され、Yは、任意のN−R
18であり、R
18は、独立して、またはR
3もしくはR
4との環状構造の一部として環化されている任意のアルキル基またはアリール基である。
【0040】
幾つかの実施形態において、センサー剤は、式Vの一般構造:
【化13】
を含み、式中、R
1およびR
2は、独立して、H、アルキル基、アリール基、L、L−W、またはL−CSであり、R
3〜R
6は、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、アルコキシド基、アルキル基、アリール基、CO
2H、SO
3H、L−CO
2H、L−SO
3H、L−R、L−W、またはL−CSであり、Lは、0〜16個の非水素原子を含み、かつエステル、酸、スルホン酸、スルファミド、アミン、アミド、アルコール、エーテル、チオエーテル、ハロゲン化物、単結合、二重結合、三重結合、および芳香族結合の任意の適切な組み合わせを含む、直鎖、分岐鎖、および/または環状の共有結合であり、Wは、反応性基である。
【0041】
幾つかの実施形態において、センサー剤は、式VIの一般構造:
【化14】
を含み、式中、R
1およびR
2は、独立して、H、アルキル基、アリール基、L、L−W、またはL−CSであり、R
3〜R
6は、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、アルコキシド基、アルキル基、アリール基、CO
2H、SO
3H、L−CO
2H、L−SO
3H、L−R、L−W、またはL−CSであり、Lは、0〜16個の非水素原子を含み、かつエステル、酸、スルホン酸、スルファミド、アミン、アミド、アルコール、エーテル、チオエーテル、ハロゲン化物、単結合、二重結合、三重結合、および芳香族結合の任意の適切な組み合わせを含む、直鎖、分岐鎖、および/または環状の共有結合であり、Wは、反応性基である。
【0042】
特定の実施形態において、上記の構造(式I〜VI)のR基(R
1〜R
18)は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、フェニル、ベンジル、ハロ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシル、カルボニル、アルデヒド、ハロホルミル、カルボン酸エステル、カルボキシレート、カルボキシル、エステル、ヒドロペルオキシ、ペルオキシ、エーテル、ヘミアセタール、ヘミケタール、アセタール、ケタール、オルトエステル、アミド、アミン、イミン、イミド、アジド、アゾ、シアネート、ニトレート、ニトライト、ニトリル、ニトロ、ニトロソ、ピリジン、チオール、スルフィド、ジスルフィド、スルホキシド、スルホン、スリフィン酸、スルホン酸、チオシアネート、チオン、チアール、ホスフィン、ホスホン酸、ホスフェート、および/またはホスホジエステル基の任意の組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、1つ以上のR基(R
1〜R
18)は、置換アルキル部分を含む。幾つかの実施形態において、置換アルキル部分は、その長さに沿った1つ以上の位置で1つ以上の官能基(例えば、官能基を含有するO、N、S、またはP)を示すアルキル鎖を含む。
【0043】
好ましい実施形態において、センサー剤は、ローダミンクラスのコアおよび1つ以上のR置換ピペラジノ基を含む。コアは、ローダミンクラスの化合物を含み得る、それらからなり得る、またはそれらから実質的になり得る。特定の実施形態において、R置換ピペラジノ基は、ローダミンクラスのコア上の1つ以上のアミノ基に(例えば、直接的に、または適切なリンカー基を介して)結合している。
【0044】
幾つかの実施形態において、センサー剤は、式VII〜XIIのうちの1つの構造:
【化15】
を含み、式中、各Rは、独立して、炭素が1〜20個のアルキル基(例えば、直鎖、分岐鎖、環状、もしくはこれらの組み合わせ)、置換アルキル基(例えば、CH
2COCH
2COOH)、または末端置換アルキル基(例えば、(CH
2)
4SO
3-)を含み、R
1は、アルキル基、アリール基、置換アルキルまたはアリール基、任意の適切な官能基(例えば、OH、SH、リガンド、NH(CH
2O)
u(CH
2)
v−ハロゲン(ここで、u=0〜10であり、v=0〜10である)など)を含む。
【0045】
幾つかの実施形態において、センサー剤は、式XIIIのうちの1つの構造:
【化16】
を含む。
【0046】
幾つかの実施形態において、センサー剤は、式XIVのうちの1つの構造:
【化17】
を含む。
【0047】
幾つかの実施形態において、センサー剤は、第1のpHまたはpH範囲(例えば、中性、塩基性、または酸性)において非蛍光性である(例えば、蛍光を示さない)。幾つかの実施形態において、センサー剤は、塩基性pH(例えば、pH>7、pH>8、pH>9、pH>10、その間の範囲など)において非蛍光性である。幾つかの実施形態において、センサー剤は、中性pHまたは、弱酸性もしくは弱塩基性のpH(例えば、pH7、pH5.5〜7.5、pH5〜8、その間の範囲など)において非蛍光性である。幾つかの実施形態、センサー剤は、約pH7.2において非蛍光性である。幾つかの実施形態において、センサー剤は、第1のpHまたはpH範囲(例えば、中性、塩基性、または酸性)において弱蛍光性(例えば、最大蛍光の<10%、最大蛍光の<5%、最大蛍光の<1%)である。幾つかの実施形態において、センサー剤は、塩基性のpH(例えば、pH>7、pH>8、pH>9、pH>10、その間の範囲など)において弱蛍光性(例えば、最大蛍光の<10%、最大蛍光の<5%、最大蛍光の<1%)である。幾つかの実施形態において、センサー剤は、中性のpH、または弱酸性もしくは弱塩基性のpH(例えば、pH7、pH5.5〜6.5、pH5〜8、その間の範囲など)において弱蛍光性(例えば、最大蛍光の<10%、最大蛍光の<5%、最大蛍光の<1%)である。幾つかの実施形態において、センサー剤は、約pH7.2において弱蛍光性(例えば、最大蛍光の<10%、最大蛍光の<5%、最大蛍光の<1%)である。幾つかの実施形態において、蛍光は、任意の適切な単位(例えば、計数毎秒(CPS))の使用により測定および/または比較される。幾つかの実施形態において、蛍光は、参照測定値(例えば、参照試料、対照試料、蛍光体無含有対照など)と比べて測定および/または報告される。幾つかの実施形態において、蛍光は、(例えば、モニターされている条件下、標準条件下、対照条件下などにおける)最大または最小蛍光シグナルと比べて測定および/または報告される。
【0048】
幾つかの実施形態において、センサー剤は、第2のpHまたはpH範囲(例えば、中性、塩基性、または酸性)で蛍光する。幾つかの実施形態において、センサー剤は、酸性pH(例えば、pH<7、pH<6、pH<5、pH<4、pH<3,その間の範囲など)において蛍光性である。幾つかの実施形態において、センサー剤は、酸性pH(例えば、pH<7、pH<6、pH<5、pH<4、pH<3,その間の範囲など)において高度に蛍光性(例えば、最大蛍光の>50、最大蛍光の>60%、最大蛍光の>70%、最大蛍光の>80%、最大蛍光の>90%、最大蛍光の>95%、最大蛍光の>99%)である。幾つかの実施形態において、センサー剤は、pH1.0〜5.5(例えば、pH1.0、pH1.1、pH1.2、pH1.3、pH1.4、pH1.5、pH1.6、pH1.7、pH1.8、pH1.9、pH2.0、pH2.1、pH2.2、pH2.3、pH2.4、pH2.5、pH2.6、pH2.7、pH2.8、pH2.9、pH3.0、pH3.1、pH3.2、pH3.3、pH3.4、pH3.5、pH3.6、pH3.7、pH3.8、pH3.9、pH4.0、pH4.1、pH4.2、pH4.3、pH4.4、pH4.5、pH4.6、pH4.7、pH4.8、pH4.9、pH5.0、pH5.1、pH5.2、pH5.3、pH5.4、およびpH5.5)の間で最大蛍光性である。
【0049】
幾つかの実施形態において、センサー剤は、酸性範囲(例えば、pH1〜5、pH1〜5.5、pH1〜6、pH1〜6.5、pH1〜6.9)において最大励起を示し、pHが増加すると励起強度が減少し、中性範囲(例えば、pH5.5〜8.5)においてゼロまたはほぼゼロ蛍光(例えば、最大蛍光の<1%、最大蛍光の<5%)に達する。幾つかの実施形態において、センサー剤の蛍光は、pHが(例えば、酸性から中性または塩基性のpHに)増加すると、減少する。幾つかの実施形態において、中性、弱酸性、または弱塩基性のpH範囲(例えば、pH6.0、pH6.5、pH7.0、pH7.5、pH8.0、pH8.5)における蛍光強度は、酸性のpH範囲(例えば、pH3.5、pH4.0、pH4.5、pH5.0、pH5.5、pH6.0)における蛍光強度の10%未満である。幾つかの実施形態において、pHにおける小さな変化(例えば、pH0.1、pH0.2、pH0.3、pH0.4、pH0.5)は、蛍光強度の変化として検出可能である。
【0050】
幾つかの実施形態において、適切なセンサー剤は、第1のpH(例えば、中性または塩基性)において非蛍光性または低蛍光性であるが、第2のpH(例えば、酸性)において鮮明に蛍光性であること、光に対して安定であること、化学的に安定していること、生物学的環境下で安定であること、生物学的環境下で非反応性であること、細胞に対して非毒性であること、接合し得ること、別の分子または複合体との共有結合のためにリンカーまたは官能基を含有すること、水溶性であること、細胞膜浸透性であること、細胞膜不浸透性であること、シグナルを可逆的に利得/損失すること(例えば、無限可逆性)、バックグラウンドが低いこと、生体系内で区画化しないこと、細胞内に局在化すること、細胞内に局在化しないことなどの特性のうちの1つを提供する。
【0051】
幾つかの実施形態において、センサー剤は、水性、生物学的、および/もしくは物理学的条件下(または他の望ましい条件下)において安定している。幾つかの実施形態において、センサー剤は、生理学的条件(または他の望ましい条件下)において安定しており、少なくとも10分間…20分間…30分間…1時間…2時間…6時間…12時間…24時間…48時間…72時間…96時間、その間の範囲、またはそれ以上)の半減期を示す。幾つかの実施形態において、センサー剤は、広範囲のpH、例えば、pH0.5…pH1.0…pH2.0…pH3.0…pH4.0…pH5.0…pH6.0…pH7.0…pH8.0…pH9.0…pH10.0、その間の範囲、またはそれ以上において安定している。幾つかの実施形態において、センサー剤は、広範囲の塩または緩衝剤濃度(例えば、0nM…10nM…100nM…1μM…10μM…100μM…1mM…10mM…100mM…1M…10M、その間の範囲、またはそれ以上)において安定している。
【0052】
幾つかの実施形態において、細胞膜(例えば、形質膜、核膜、オルガネラ膜(例えば、エンドソーム膜、ミトコンドリア膜、葉緑体膜など)など)を受動的に横断する蛍光センサー剤が提供される。幾つかの実施形態において、センサー剤は、1つのpH環境(例えば、酸性、塩基性、中性、またはそれらの多様な程度)から別のもの(例えば、酸性、塩基性、中性、またはそれらの多様な程度)へ膜を横断する時に蛍光の検出可能な変化を示す。幾つかの実施形態において、センサー剤は膜不浸透性である。幾つかの実施形態において、センサー剤は、1種類以上の生体膜(例えば、形質膜、核膜、エンドソーム膜、ミトコンドリア膜、葉緑素膜など)を(例えば、受動的に、および/または他の方法で)横断することができない。幾つかの実施形態において、センサー剤は、担体なしでは1種類以上の膜を横断することができない。幾つかの実施形態において、センサー剤は、細胞浸入を得るためにエンドサイトーシスを必要とする。
【0053】
幾つかの実施形態において、蛍光センサー剤は、目的の実体(例えば、ペプチド、タンパク質、多糖、脂質、小分子、分子、核酸、ポリヌクレオチド、粒子(例えば、ウイルス粒子、ナノ粒子など)、複合体、巨大分子、化合物など)に(例えば、共有的または非共有的に)結合している。幾つかの実施形態において、蛍光センサー剤は、第1の環境(例えば、細胞外、中性pHなど)から第2の環境(細胞内、酸性など)への目的の実体(例えば、分子、粒子、複合体、巨大分子、化合物、核酸、ポリヌクレオチドなど)の移動をモニターする。幾つかの実施形態において、蛍光センサー剤は、目的の実体の周囲環境におけるpHの変化をモニターするために、目的の実体に結合している。幾つかの実施形態において、目的の実体への結合は可逆的(例えば、切断可能(例えば、光切断可能、化学的に切断可能、酵素的に切断可能))である。
【0054】
幾つかの実施形態において、センサー剤は、別の実体に共有結合している、非共有共役している、生体接合している(例えば、デキストラン)、および/または抗体接合している。幾つかの実施形態において、センサー剤は、細胞により内部移行している(例えば、エンドサイトーシスにより取り込まれている)別の実体に共有結合している、非共有共役している、生体接合している(例えば、デキストラン)、および/または抗体接合している。幾つかの実施形態において、センサー剤は、目的の実体(例えば、分子、粒子、複合体、巨大分子、化合物、核酸、ポリヌクレオチドなど)と共有結合している。幾つかの実施形態において、センサー剤は、目的のタンパク質(例えば、細胞表面受容体)および/またはタンパク質複合体に共有結合している。幾つかの実施形態において、センサー剤は、目的の実体に非共有的に配位されている。幾つかの実施形態において、センサー剤は、目的のタンパク質(例えば、細胞表面受容体)および/またはタンパク質複合体に非共有的に配位されている。幾つかの実施形態において、センサーは、細胞内部移行(例えば、細胞受容体の内部移行をモニターすることにより)、細胞外または細胞内のpHの変化(例えば、正常および/または病理学的な細胞プロセスに起因する)、細胞内輸送(例えば、1つの細胞領域またはオルガネラから別のものへの移動)、シグナル伝達事象(例えば、細胞内区画における局所的条件に変化を引き起こす)などを検出することができる。
【0055】
幾つかの実施形態において、センサー剤は細胞表面を標的にする。幾つかの実施形態において、センサー剤は、細胞表面タンパク質および/または受容体に直接的または間接的に連結されている。幾つかの実施形態において、細胞表面タンパク質は、pHセンサー剤と安定した(例えば、共有)結合を形成する、タンパク質(例えば、酵素、ヒドラーゼ、デハロゲナーゼ)との融合体として提供(例えば、発現)される。幾つかの実施形態において、センサー剤は、目的のタンパク質(例えば、細胞表面タンパク質、疾患マーカータンパク質)との融合体の一部であるタンパク質(例えば、酵素、ヒドラーゼ、デハロゲナーゼ)と安定した(例えば、共有)結合を形成する基質に(例えば、共有的または非共有的に)連結される。幾つかの実施形態において、センサー剤は、疾患状態(例えば、癌、感染など)を示す細胞表面受容体を標的にする。幾つかの実施形態において、センサー剤は、(例えば、腫瘍細胞の酸性周囲環境における)腫瘍標的化に有用性が見出される。
【0056】
幾つかの実施形態において、センサー剤は、第2の実体(例えば、薬剤、部分、タンパク質、化合物、巨大化合物、粒子、抗体、多糖など)への結合のために1つ以上の部位、置換基、および/または官能基を含む。幾つかの実施形態において、結合部位は、センサー剤の蛍光および/またはpH感受性に影響を与えない位置に配置される。幾つかの実施形態において、結合部位は、センサー剤が第2の実体と(例えば、共有的または非共有的に)連結することができるように反応性基を提供する。幾つかの実施形態において、結合部位は、センサー剤を第2の実体に連結させる既知のカップリング化学(例えば、マレイミド/チオール、カルボン酸/チオール、クリックケミストリー、ディールス・アルダー、ジスルフィド交換、ヒドラジドカップリング、カルボン酸/アミン、ビオチン/ステプトアビビジンなど)を利用する官能基を提示する。本発明は、センサー剤を第2の実体にカップリングする化学に限定されるものではない。任意の適切なカップリング化学が、本発明の範囲内である。
【0057】
幾つかの実施形態において、センサー剤は、リンカー部分により、第2の実体を含む、または第2の実体に連結されている。幾つかの実施形態において、リンカー部分は、センサー剤の一部である。幾つかの実施形態において、リンカー部分は、第2の実体への結合のため、カップリング化学を介してセンサー剤に付加される。幾つかの実施形態において、リンカー部分(例えば、センサー剤および第2の実体を接続する部分)が提供される。本発明は、任意の特定のリンカー部分に限定されるものではない。事実、多様なリンカー部分が考慮され、適切なリンカーには、アルキル基、メチレン炭素鎖、エーテル、ポリエーテル、アルキルアミドリンカー、ペプチドリンカー、修飾ペプチドリンカー、ポリ(エチレングリコール)(PEG)リンカー、ストレプトアビジン−ビオチンもしくはアビジン−ビオチンリンカー、ポリアミノ酸(例えば、ポリリシン)、官能化PEG、多糖、グリコサミノグリカン、樹状ポリマー(WO93/06868およびTomalia et al.Angew.Chem.Int.Ed.Engl.29:138−175(1990)、これらはその全体が参照として本明細書に組み込まれる)、PEG−キレート剤ポリマー(W94/08629、WO94/09056、およびWO96/26754、これらはその全体が参照として本明細書に組み込まれる)、オリゴヌクレオチドリンカー、リン脂質誘導体、アルケニル鎖、アルキニル鎖、ジスルフィド、またはこれらの組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、リンカーは、アルキル、アルケニル、アルキニル、フェニル、ベンジル、ハロ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシル、カルボニル、アルデヒド、ハロホルミル、カルボン酸エステル、カルボキシレート、カルボキシル、エステル、ヒドロペルオキシ、ペルオキシ、エーテル、ヘミアセタール、ヘミケタール、アセタール、ケタール、オルトエステル、アミド、アミン、イミン、イミド、アジド、アゾ、シアネート、ニトレート、ニトライト、ニトリル、ニトロ、ニトロソ、ピリジン、チオール、スルフィド、ジスルフィド、スルホキシド、スルホン、スリフィン酸、スルホン酸、チオシアネート、チオン、チアール、ホスフィン、ホスホン酸、ホスフェート、および/またはホスホジエステル基の任意の組み合わせを含む。任意の適切な官能基を利用する任意の適切なリンカーは、本発明の実施形態の範囲内である。
【0058】
幾つかの実施形態において、センサー剤は、細胞、細胞外、生物学的および/または病理的構成成分(例えば、タンパク質、核酸、小分子、脂質、多糖、ウイルスなど)に連結されている。幾つかの実施形態において、センサー剤は、細胞表面分析物または細胞外分析物に、それらの内部移行をモニターするために連結されている。幾つかの実施形態において、細胞表面分析物は、細胞表面構成成分(例えば、脂質、受容体など)である。幾つかの実施形態において、細胞表面分構成成分は、細胞表面受容体(例えば、イオンチャンネル結合受容体(例えば、アセチルコリン受容体)、酵素結合受容体(例えば、受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼ関連受容体、受容体様チロシンホスファターゼ、受容体セリン/トレオニンキナーゼ、受容体グアニリルシクラーゼ、ヒスチジンキナーゼ関連受容体)、および/またはGタンパク質共役受容体/7−膜貫通受容体)を含む。本明細書に記載される実施形態における使用が見出される特定の膜貫通受容体には、アンギオテンシン2 1型受容体(AT1R)、バソプレシン2受容体(V2R)、デルタ−オピオイド受容体(OPRD1)および上皮増殖因子受容体(EGFR)デルタオピオイド受容体、バソプレシン2受容体、EDG1受容体、β2−アドレナリン受容体(ADRB2)、アルギニンバソプレシン受容体2(AVPR2)、セロトニン受容体1a(HTR1A)、m2ムスカリン性アセチルコリン受容体(CHRM2)、ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体5(CCR5)、ドーパミンD2受容体(DRD2)、カッパオピオイド受容体(OPRK)またはα1a−アドレナリン受容体(ADRA1A)、インスリン増殖因子−1受容体(IGF−R)などが含まれるが、これらに限定されない。本発明の方法および組成物は、本明細書に列記されている細胞表面構成成分(例えば、細胞膜タンパク質)に限定されないことが、理解されるべきである。幾つかの実施形態において、センサー剤からの蛍光シグナル(またはシグナルの欠如)は、連結構成成分の内部移行を検出するために、検出および/またはモニターされる。幾つかの実施形態において、内部移行時(例えば、エンドサイトーシス、ファゴサイトーシスなど)、連結構成成分は中性pH環境から酸性環境に移行する。幾つかの実施形態において、連結構成成分の内部移行は、センサー剤からの蛍光発光を検出またはモニターすることにより、検出および/またはモニターされる。幾つかの実施形態において、受容体内部移行(例えば、エンドサイトーシス)は、近中性から酸性へのpHの変化を伴う。幾つかの実施形態において、関連受容体の内部移行時に蛍光の変更を受けるセンサー剤が提供される。幾つかの実施形態において、中性pHから酸性pHへの移動時(例えば、センサーが結合している受容体の内部移行時)に、蛍光発光の(例えば、非蛍光性から検出可能な蛍光への)増加を経るセンサーが提供される。
【0059】
幾つかの実施形態において、細胞の内部移行および/またはエンドサイトーシスをモニター、検出、または定量化するpHセンサー剤およびその使用方法が提供される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されている組成物および方法は、任意の種類のエンドサイトーシス、例えば、クラスリン仲介、カベオレ、マクロピノサイトーシス、またはファゴサイトーシスをモニターするために有用である。幾つかの実施形態において、エンドサイトーシスは、プロセスに関与するエンドサイトーシス経路および/またはエンドサイトーシス構成成分に関わりなくモニターされる。幾つかの実施形態において、本明細書に提供される組成物および方法は、細胞内部移行に関連するpH変化を検出およびモニターし、それによって細胞内部移行(例えば、エンドサイトーシス)を検出および/またはモニターする。幾つかの実施形態において、組成物および方法は、全種類の細胞内部移行および/またはエンドサイトーシスを検出するように構成される。幾つかの実施形態において、ダイナミン依存性エンドサイトーシスを検出する組成物および方法が提供される。幾つかの実施形態において、組成物および方法は、1種類以上のエンドサイトーシス、例えば、クラスリン仲介、カベオレ、マクロピノサイトーシス、ファゴサイトーシス、および/またはダイナミン依存性を検出するために提供される。幾つかの実施形態において、組成物および方法は、単一の種類のエンドサイトーシス、例えば、クラスリン仲介、カベオレ、マクロピノサイトーシス、ダイナミン依存性、またはファゴサイトーシスを検出するために提供される。
【0060】
幾つかの実施形態において、pHセンサー剤は、酵素(例えば、ヒドラーゼ、デハロゲナーゼなど)の基質である、または酵素の基質に結合している。幾つかの実施形態において、pHセンサー剤は、基質である、あるいは酵素(例えば、ヒドラーゼ、デハロゲナーゼなど)または突然変異酵素(例えば、センサー剤と共有結合を形成するもの、もしくは相互作用時に基質に結合するもの)の基質である。幾つかの実施形態において、pHセンサーは、基質と高度に安定した、および/または共有の結合を形成するように操作された酵素に共有的に、または非共有的に結合している。幾つかの実施形態において、pHセンサーは、基質と高度に安定した、および/または共有の結合を形成するように操作された酵素の基質に非共有的に結合している。そのような酵素および基質は、例えば、米国特許第7,935,803号、米国特許第7,888,086号、米国特許第7,867,726号、米国特許第7,425,436号、および米国特許第7,238,842号に記載されており、これらはそれぞれその全体が参照として本明細書に組み込まれる。幾つかの実施形態において、pHセンサー(または結合した酵素基質)と酵素(例えば、その基質と高度に安定した、および/または共有の結合を形成するように操作されたもの)との(例えば、共有結合性)相互作用は、酵素の局所環境のpHをモニターすることを可能にする。幾つかの実施形態において、酵素は、融合タンパク質の一部である。幾つかの実施形態において、融合タンパク質は、生体系(例えば、細胞)内の特定の領域または区画に局在化する。幾つかの実施形態において、融合タンパク質は、細胞表面、細胞膜、オルガネラ膜、細胞質、オルガネラ(例えば、ミトコンドリア、核など)などに局在化する。幾つかの実施形態において、融合タンパク質の局在化は、pHセンサーの局在化を(例えば、融合タンパク質、酵素基質、およびpHセンサーの共有結合性相互作用を介して)もたらす。
【0061】
幾つかの実施形態において、pHセンサーは、任意の適切な蛍光に基づいたアッセイ(例えば、フェルスター共鳴エネルギー転移(FRET)、光退色後蛍光回復(FRAP)、光退色による蛍光損失(FLIP)、光退色後蛍光局在化(FLAP)、蛍光相関分光法(FCS)、蛍光相互相関分光法(FCCS)、蛍光寿命画像化(FLIM)、生物発光共鳴エネルギー転移(BRET)などに使用が見出される。幾つかの実施形態において、pHセンサーから、またはpHセンサーへのエネルギー移行は、適切なpH条件(例えば、酸性pH)下においてのみ可能である、および/または検出可能である。
【0062】
幾つかの実施形態において、pHセンサー剤は、担体(例えば、タンパク質、ペプチド、多糖、小分子、脂質、核酸、ポリヌクレオチド、巨大分子複合体など)に結合、連結、配位、および/または接合している。適切な担体は、水溶性または水不溶性であり得る。幾つかの実施形態において、センサー剤のpH検知能に干渉しない任意の担体には、本発明の実施形態における使用が見出される。幾つかの実施形態において、センサー剤の蛍光、可溶性、安定性、膜浸透性、pKa、最大励起、最大発光、最大蛍光強度、ゼロ蛍光の範囲などに干渉しない任意の担体には、本発明の実施形態における使用が見出される。幾つかの実施形態において、担体は、pHセンサーの細胞取り込みを促進する。幾つかの実施形態において、担体は、pHセンサーの細胞局在化を促進する。幾つかの実施形態において、担体は、pHセンサーの安定性、可溶性、膜浸透性などを増強する。幾つかの実施形態において、pHセンサー剤は、多糖(例えば、分岐鎖グルカン(例えばデキストラン))に配位されている。幾つかの実施形態において、多糖接合センサー剤は、水溶性であり、生体系(例えば、細胞)内で安定している、ならびに/またはファゴサイトーシスおよび/もしくはエンドサイトーシス経路により内部移行され得る。適切な水溶性担体には、デキストラン、セファローズ、被覆ビーズ、量子ドット、非pH感受性蛍光体、ナノ粒子などが含まれるが、これらに限定されない。pHセンサーを量子ドットまたは他の非pH感受性蛍光体(または他の検出可能な部分)と連結させることは、pHの検知および局在化を(例えば、局所pHにかかわりなく)可能にする。デキストランは、pH検知の担体分子として、エンドサイトーシスなしで膜浸透性であること、および包括的な内部移行を可能にすることを含む多数の利点を提供する。特定の実施形態では、複数のセンサー剤が単一のデキストラン(または他の担体)に連結している。幾つかの実施形態では、1つ以上のセンサー剤および1つ以上の他の検出可能な薬剤(例えば、蛍光標識、造影剤、蛍光標識など)が単一のデキストラン(または、他の担体)に連結している。
【0063】
幾つかの実施形態において、pHセンサーは、パートナー実体と特異的に会合する抗体(例えば、二次抗体)または他の標的部分と接合している。幾つかの実施形態において、抗体接合センサー剤は、抗体のpH環境のモニタリングを提供する。幾つかの実施形態において、抗体接合センサー剤は、抗体(例えば、組み換え抗体)の細胞内部移行の検出またはモニタリングを提供する。幾つかの実施形態において、抗体接合pHセンサーは、抗体誘発性内部移行をモニターする。例えば、多様な癌細胞が細胞膜抗原を発現する。抗原に結合することができ、癌細胞により内部移行される抗体をスクリーニングすることは、癌細胞の内部に特異的に送達される毒素、薬物、または短距離同位体を標的にする新規治療法の開発を助ける強力なツールを提供することができる。幾つかの実施形態において、細胞表面抗原への結合時の抗体の内部移行は、抗体連結pHセンサー剤によりモニターされる。
【0064】
幾つかの実施形態において、pHセンサーは、特定の組織、細胞型、細胞領域、亜細胞領域などを、(例えば、標的部分または細胞構成成分(例えば、表面受容体)への(例えば、直接的または間接的な)連結により)標的にする。幾つかの実施形態において、標的化センサー剤は、特定の場所(例えば、細胞表面、細胞質、心外膜など)のpHの(例えば、時点またはリアルタイムでの)測定および/またはモニタリングを可能にする。
【0065】
幾つかの実施形態において、センサー剤は、造影剤官能基を更に含み、画像化(例えば、CT、MRI、PET、核医学など)に有用性を提供する。幾つかの実施形態において、センサー剤は造影剤に連結している。幾つかの実施形態において、造影剤官能基を有するセンサー剤は、インビボ画像化用途に有用性が見出される。
【0066】
幾つかの実施形態において、構成成分、試薬、センサー剤(例えば、反応性センサー剤)、対照、基質、および/または材料(例えば、マルチウエルプレート、細胞)を含有するキットが提供される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されている方法またはアッセイを実施するキットが提供される。
【0067】
幾つかの実施形態において、複数のフォーマットにより実施される方法およびアッセイが提供される。幾つかの実施形態において、方法およびアッセイは、ハイスループットの方法で実施される。幾つかの実施形態において、本明細書に提供されるアッセイは、マルチウエルプレート、例えば、96ウエル、384ウエルなどにより素早く実施される。幾つかの実施形態において、アッセイおよび方法は、ハイスループットスクリーニング適合ミックスおよびリードフォーマット(例えば、非画像、フローなどに基づいたもの)を提供する。
幾つかの実施形態において、組成物、方法、および/またはアッセイを評価、定量化、検出、および/またはモニターする系、装置、または器機が提供される。幾つかの実施形態において、系、装置、および/または器機は、センサーにより発光される蛍光の量またはその変化を検出、定量化、またはモニターするために提供される。幾つかの実施形態において、検出、定量化、および/またはモニタリングは、1つ以上の分光光度計、蛍光光度計、照度計、光電子増倍管、フォトダイオード、比濁計、光子計数器、電極、電流計、電圧計、容量センサー、フローサイトメーター、CCDなどを含む装置、系、または器機により提供される。幾つかの実施形態において、方法およびアッセイは蛍光検出を化学的(例えば、pHの変化)および/または生物学的(例えば、エンドサイトーシス、細胞内輸送、病原性などの)現象と相関させるために提供される。幾つかの実施形態において、センサー剤の検出に適した装置が選択され、および/または提供される。
【0068】
実験
実施例1
pHセンサー剤の蛍光
実験は、本発明の実施形態を開発する際に、例示的なpHセンサー剤PBI−4453およびPBI−4479の蛍光特性を決定するために実施した(
図1を参照すること)。蛍光励起および発光強度を一連の波長により測定した(
図2を参照すること)。化合物PBI−4453は、541nmの最大励起および571nmの最大発光を示す(
図2Aを参照すること)。化合物PBI−4479は、534nmの最大励起および562nmの最大発光を示す(
図2Bを参照すること)。蛍光検出は、一連のpH値において実施した(
図3を参照すること)。化合物PBI−4453は、約5.84のpKaを有し、pH4.15以下で約5.84の最大蛍光強度を示し、pH7.53以上で最大蛍光損失の約5%以下を示す(
図3Aを参照すること)。化合物PBI−4479は、約6.1のpKaを有し、pH3以下で約6.1の最大蛍光強度を示し、pH8以上で最大蛍光損失の約1%以下を示す(
図3Bを参照すること)。
【0069】
実施例2
安定性
PBI−4479をDMSOにより2mMに溶解して、およそ2.33mg/mLにした。2mM溶液の350uLのアリコートを、光から遮蔽して−20℃、4℃、および室温で保存した。安定性は、溶液を調製し、保存したときから0日目、1日目、1週間目、1か月目、4か月目、および6か月目に蛍光発光強度を測定し、HPLC純度を試験することによって確立した。蛍光測定では、それぞれのアリコートを4mLの0.1Mリン酸ナトリウムpH4.0に希釈し(1uL)、4.5mLのプラスチックキュベットに直接入れて、バイアルを逆さにして混合した。562nmの最大発光ピークを、1.5nmのスリット幅で532nmの励起を使用するHoribaJobinYvonフルオロメーターの使用により得た。HPLC測定では、それぞれのアリコートを0.1Mリン酸ナトリウムpH4.0で1mMに希釈し、2uLを試験した。それぞれのアリコートの純度を、四要素ポンプおよびダイオードアレイ検出器を備えたAgilent 1100液体クロマトグラフィー系の使用により試験した。ダイオードアレイ検出器を254nmおよび532nmに設定した。溶出を、水中0.1%のTFAを含有する移動相(A)およびHPLC等級アセトにトリルを含有する移動相(B)の使用により実施した。Phenomenex Synergi MAX−RPカラム(50×4.6mm、2.6μm)を使用して、クロマトグラフィーを実施した。HPLCは以下のように実施した。3%〜60%の移動相(B)の勾配を3.60分間実施し、60%の移動相(B)を1分間保持し、6分間で100%の移動相(B)まで傾斜させ、100%の移動相(B)を2分間更に保持し、次に1.5分間かけて3%の移動相(B)に戻る。カラムには、出発条件に再平衡するまで2.5分間かけた。これらの条件下において、生成物はおよそ3.7分で溶出する。生成物の純度(面積率)を254nmおよび532nmで報告した。
【0070】
蛍光発光強度およびHPLCによる純度の両方の結果は、180日間の研究にわたって極めて僅かな差を示す(表1および
図4〜8を参照すること)。それぞれのデータセットの相対標準偏差(RSD)は低く、色素の最小化学変化を示している。溶液が室温で保存されたとき、僅かな劣化が蛍光強度において観察される。これらのデータに基づくと、化合物PBI−4479は、室温未満において少なくとも180日間安定している。
【表1】
【0071】
実施例3
毒性
色素PBI−4479およびPBI−4453の毒性をU2OS細胞において試験した。細胞を、96ウエルプレート中のMcCoy 5A培地+10%FBSに20,000細胞/ウエルで平板培養した。次に化合物をMcCoy 5A培地+10%FBSで2倍に段階的に希釈して、10×の作業溶液にした。10ulの作業溶液を細胞に加えて、0nM〜20uMの最終濃度にした。次に処理細胞を37℃、5%CO
2で一晩インキュベートした。毒性は、製造会社のプロコールに従ってPromegaのCELLTITER−GLO発光細胞生存率アッセイを使用した試験した。24時間にわたって多用な濃度の化合物には毒性が見られなかった(
図9を参照すること)。
【0072】
実施例4
浸透性および特異性
実験は、本発明の実施形態を開発する際に、pHセンサーの浸透性および特異性を決定するために実施した。U2−OS細胞(特異性のため)およびU2−OS NLS細胞(核局在化配列(NLS)によりHaloTagタンパク質を安定して発現するU2−OS細胞、浸透性のため)を、PBI−4479センサーにより試験した。細胞を、LTIIチャンバースライド上の200ulのMcCoy 5A培地+10%FBS(「完全培地」)に40,000細胞/ウエルで平板培養した。次に細胞を37℃、5%CO
2で一晩インキュベートした。次に細胞をPBI−4479により0〜20uMで1時間パルスした。次に培地を細胞から取り除き、McCoy 5A培地+10%FBS中の1uMのオレゴングリーンにより15分間追跡し、続いて完全培地による5分間の洗浄を3回行った。次に細胞をOlympus FV500により画像化した。結果は、PBI−4479が浸透性であり、U2−OS細胞において安定して発現しているHaloTag−NLSを標識しないことを実証している(
図10を参照すること)。更にPBI−4479は、非特異的に野生型U2−OS細胞に結合しない、または野生型U2−OS細胞を標識しない(
図11を参照すること)。
【0073】
実施例5
GPCRおよび非GPCR内部移行
実験は、本発明の実施形態を開発する際に、内部移行/エンドサイトーシスを検出およびモニターするために実施した。IL6シグナル配列を含有するHaloTag(HT7)−受容体融合タンパク質を(一時的または安定的に)発現するU2−OS細胞を使用した。以下のHT7−受容体融合タンパク質が、U2−OS細胞において発現した。IL6−HT7−β2AR(β2アドレナリン受容体、NM_000024.3)、IL6−HT7−EDG1(内皮分化増殖遺伝子1、NM_001400)、IL6−HT7−DOR1(δ−オピオイド受容体、NM_000911)、およびIL6−HT7−EGFR(上皮増殖因子受容体、AB528482)。細胞を、ウエル中の完全培地において2×10
5細胞/mLで平板培養した。次に細胞を37℃、5%CO
2で一晩インキュベートした。次に培地を、0.5%炭ストリップFBS(Hyclone)を有する200ulのMcCoy 5A培地に代えて、37℃、5%CO
2で約1時間インキュベートした。次に細胞を、1uMのセンサーPBI−4479により標識し、37℃、5%CO
2で10分間インキュベートした。次に細胞を200ulの完全培地により3回洗浄して、あらゆる非結合センサーを除去した。次に細胞を、対応する作動薬(IL6−HT7−β2ARには1uMのイソプロテレノール、IL6−HT7−EDG1には1uMのS1P、IL6−HT7−DOR1には1uMのSNC80、およびIL6−HT7−EGFRには1ng/mLのrhEGF)により刺激し、Olympus FV500により5分毎に1時間かけて画像化した。実験は、多様な受容体(例えば、Gタンパク質共役受容体およびチロシンキナーゼ受容体、
図12〜15を参照すること)の内部移行を検出する、および輸送をモニターするpHセンサーの能力を実証し、落射蛍光(共焦点検出に限定されない検出)を使用して、pHセンサーの内部移行を検出する、および輸送をモニターすることができることを実証している(
図16を参照すること)。
【0074】
実施例6
内部移行の阻止
実験は、本発明の実施形態を開発する際に、内部移行/エンドサイトーシスの阻止を検出およびモニターする、本明細書に記載されているpHセンサーの能力を実証するために実施した。
【0075】
HaloTag−EDG1融合タンパク質を安定して発現するU2−OS細胞を、実施例5に記載されように平板培養した。一晩インキュベートした後、細胞には、受容体仲介エンドサイトーシスを防止する優性陰性突然変異体である、(Dr.R.Lefkowitz at Howard Hughes Medical Instituteより提供された)Dynamin K44A+/−FLAGを、製造会社のプロトコールに従ってMirus TransIT(登録商標)−LT1形質移入試薬を使用して一時的に形質移入した。形質移入した24時間後、細胞を、1uMの不浸透性のHaloTag−Alexa 488リガンドによりMcCoy 5A+10%FBS中で5分間標識した。非結合リガンドを、200ulのMcCoy 5A+10%FBSで3回洗浄することにより素早く除去した。細胞を、1uMのS1P(D−エリスロスフィンゴシン−1−リン酸、EDG1作動薬)により60分間刺激し、次に3.7%PFA(パラホルムアルデヒド)により固定し、0.1%のトリトンX−100により浸透性にし、3%のNGS(正常ヤギ血清)により阻止し、一次抗体α−M2 FLAG(Sigma 1:500)およびヤギα−マウスAlexa 594(Molecular Probes−Life Technologies)により標識した。画像を前記に記載されたように取得した。ダイナミンはHaloTag−EDG1タンパク質の内部移行を防止した(
図17を参照すること)。pHセンサーは、この特定の実験には使用しなかった。しかし、系が作動していること、例えば、発現、標識化、局在化、および阻止が全て予想されたように機能したことが、補強証拠である。
【0076】
ダイナミンに加えて、ダイナミンの可逆的で非競合的な阻害剤であるDYNASOREを、内部移行/エンドサイトーシスの阻止に使用することもでき、本発明のpHセンサーを使用して阻止が検出され、モニターされる。HaloTag−EDG1融合タンパク質を安定して発現するU2−OS細胞を、上記に記載されたように平板培養した。一晩インキュベートした後、細胞を、1uMのHaloTag pHセンサー(PBI−4479)および80uMのDynasore(Sigma)により30分間同時に標識した。対照細胞は、1uMのHaloTag pHセンサーで標識したが、Dynasoreでは処理しなかった。次に細胞を1uMのS1Pで60分間刺激し、前記に記載されたように画像化した。DYNASOREは、pHセンサーにより検出されたように、作動薬の存在下でHaloTag−EDG1のダイナミン依存性内部移行/エンドサイトーシスを防止した(
図18を参照すること)。
【0077】
実施例7
内部移行の回復
実験は、本発明の実施形態を開発する際に、内部移行をモニターおよび検出するpHセンサーの能力を更に実証するために実施した。そのような実験では、HaloTag−EDG1の阻止された内部移行が回復した。HaloTag−EDG1融合タンパク質を安定して発現するU2−OS細胞を、上記に記載されたように平板培養した。一晩インキュベートした後、細胞を、HaloTag pHセンサー(PBI−4479)および80uMのDYNASORE(Sigma)により同時に標識した。対照細胞は、HaloTag pHセンサーで標識したが、DYNASOREでは処理しなかった。次に細胞を1uMのS1Pで刺激し、画像化した(
図17のT=0)。この時点では、DYNASOREは、HaloTag−EDG1のダイナミン依存性内部移行/エンドサイトーシスを防止する。次にDYNASOREを、McCoy 5A培地+10%FBSにより5分間、3回洗浄して除去し、培地を、1uMのS1Pを含有する完全培地に代えた。細胞を60分間インキュベートし、前記に記載されたように画像化した。HaloTag−EDG1の内部移行は、pHセンサーで検出およびモニターされたように、回復した(
図19を参照すること)。
【0078】
実施例8
例示的なpHセンサー剤よび前駆体分子
多様なpHセンサーおよび前駆体分子が、本発明の実施形態の開発の際に生成された(
図20を参照すること)。)。そのようなセンサー剤および前駆体の例の構造および合成手順が、下記に提供される。これらの分子は、例であることが意図され、本発明の範囲を限定するものとして見なされるべきではない。
【0079】
【化18】
3′,6′−ビス(4−メチルピペラジン−1−イル)−ローダミン(5,6)−カルボン酸。
圧力管において、3′,6′−ジヨード−ローダミン(5′,6′)カルボン酸(50.0mg、0.084mmol)、1−メチル−ピペラジン(33.5mg、0.334mmol)、カリウムtert−ブトキシド(18.8mg、0.167mmol)、Cul(15.9mg、0.083mmol)、および22,2,2−トリフルオロエタノール(5ml)を油浴により110℃で11日間加熱した。揮発物を減圧下で除去し、残渣を1:1:0.1のACN/水/TFAに取った。固体を濾過し、粗混合物をRP−HPLCに付し、濃縮すると、橙色の固体(29.0mg、64.2%)を得た。
【0080】
【化19】
N−(24−クロロ−3,6,9,12,15,18−ヘキサオキサテトラコシル)−3′,6′−ビス(4−メチルピペラジン−1−イル)−ローダミン−(5,6)カルボキサミド(PBI−4453)。
DMF(3ml)中の3′,6′−ビス(4−メチルピペラジン−1−イル)−ローダミン(5,6)−カルボン酸(29.0mg、0.053mmol)に、O−(Nスクシンイミジル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(19.4mg、0.0644mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(46.7Ill、0.268mmol)を加えた。反応混合物を、CH
2Cl
2(46.7l、0.268mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(160.9μl、0.064mmol)中の0.4M溶液として、24−クロロ−3,6,9,12,15,18−ヘキサオキサテトラコサン−1−アミン−HClを加える前に、3時間撹拌した。反応を一晩撹拌し、揮発物を減圧下で除去して、暗色の固体を得て、それを1:1:0.01のACN/水/TFAに溶解し、RP−HPLCHPLCHPLCクロマトグラフィーに付して、生成物を赤色の固体として得た。MS(ESI) m/z C
49H
68ClN
5O
10(M+H
+)に対する計算値921.5、実測値922.6。
【0081】
【化20】
4−(4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル)ブタン−l−スルホン酸。
クロロベンゼン(10mL)中のブタンスルトン(1.15ml、11.28mmol)および1−Boc−ピペラジン(2.0g、10.74mmol)を110℃で一晩加熱して、黄色の沈殿物を得た。混合物を室温に冷却し、溶媒をデカントし、ジエチルエーテルを、激しく撹拌しながら30分間かけて加えた。得られた懸濁液を濾過して、生成物(3.2g、92.4%)を黄色の固体として得た。
1H−NMR(300MHz,DMSO)δ4.01(t,9.1Hz,2H)、3.45(t,11.8Hz,1H)、3.10(m,4H)、2.94(m,2H)、1.75(m,2H)、1.62(m,2H)、1.41(s,1H);MS(ESI) m/z C
13H
25N
2O
5S(M−H
+)に対する計算値321.2、実測値321.2。
【0082】
【化21】
4−(ピペラジン−1−イル)ブタン−1−スルホン酸HCl塩。
CH
3OH(15mL)および濃HCl(1.5mL)中の4−(4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル)ブタン−l−スルホン酸(1.0g、3.10mmol)を3時間撹拌した。揮発物を減圧下で除去し、得られた黄色の固体を高真空下で一晩乾燥した。
1H−NMR(300MHz,DMSO)δ3.67(m,br,8H)、3.61(t,7.2Hz,2H)、3.00(t,7.2Hz,2H)、2.00−1.83(m,4H);MS(ESI) m/z
8H
19N
2O
3S(M+H
+)に対する計算値223.1、実測値223.1。
【0083】
【化22】
3′,6′−ビス(4−(4−スルホブチル)ピペラジン−1−イル)−ローダミン(5′,6′)カルボン酸(PBI−4474)。
3′,6′−ジヨードローダミン(5′,6′)カルボン酸(50.0mg、0.084mmol)、4−(ピペラジン−1−イル)ブタン−l−スルホン酸−HCl(43.3mg、0.168mmol)、カリウム−tert−ブトキシド(46.9mg、0.418mmol)、およびCuI(31.8mg、0.168)を圧力管に投入し、2,2,2−トリフルオロエタノール(3mL)を加えた。管に蓋をして、油浴により110℃で10日間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、粗物質を30mlの水に懸濁し、10分間撹拌し、遠心分離した。母液をデカントし、濾過し、濃縮して15mLにし、RP−HPLCに付して、生成物(6.5mg、9.5%)を赤色の固体として得た。MS(ESI) m/z C
37H
45N
4O
11S
2(M+H
+)に対する計算値785.3、実測値785.5。
【0084】
【化23】
4,4′−(4,4′−((6′,5′)−((24−クロロ−3,6,9,12,15,18−ヘキサオキサテトラコシル)−3′,6′−ビス(4−(4−スルホブチル)ピペラジン−1−イル)ローダミン(5′,6′)カルボキサミド(PBI−4479)。
PBI−4474(6.5mg、0.008mmol)、O−(N−スクシンイミジル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(3.0mg、0.009mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(7.21μl、0.041mmol)を、DMF(1ml)中で1時間撹拌した。溶液に、CH
2Cl
2(46.7μl、0.268mmol)中の0.4M溶液として、24−クロロ−3,6,9,12,15,18−ヘキサオキサテトラコサン−1−アミン−HClを加え、1時間撹拌した。揮発物を減圧下で除去し、残渣を水に溶解し、RP−HPLCHPLCに付して、生成物(9.6mg、96.4%)を赤色の固体として得た。MS(ESI) m/z C
55H
81ClN
5O
16S
2(M+H
+)に対する計算値1166.5、実測値1166.5。
【0085】
PBI−4479−10,000MWアミノデキストラン(PBI−4627)。
1mlのDMF中のPBI−4474(15.0mg、0.019mmol)、O−(N−スクシンイミジル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(6.9mg、0.023mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(16.6μl、0.095mmol)を、2時間撹拌した。揮発物を減圧下で除去して、赤色の膜を得て、それを0.1Mのリン酸緩衝液に溶解した。リン酸溶液に、10,000NWのアミノデキストラン(33mg)を加え、混合物を暗黒下で一晩撹拌した。得られた粗物質をサイズ排除クロマトグラフィー(Sephadex(登録商標)G−50、H20溶出剤)により精製して、生成物を、凍結乾燥の後に赤色の固体として得た。
【0086】
【化24】
ジメチルアミノ−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ローダミン(5′,6′)−カルボン酸。
磁気撹拌バーを備えた圧力管中の3′−(ジメチルアミノ)−6′−ヨード−3−オキソ−3H−スピロ[イソベンゾフラン−1,9′−キサンテン]−5,6−カルボン酸(29mg、57μmol)、N−メチルピペラジン(11.3mg、113μmol)、ヨウ化銅(I)(5.4mg、28μmol)、およびナトリウムtert−ブトキシド(5.4mg、57μmol))の混合物に、2mLの2,2,2−トリフルオロエタノールを加えた。容器を密閉し、撹拌しながら、油浴により120℃で一晩(約16時間)加熱した。この時間の後、反応物を油浴から取り出し、開放する前に室温に冷却した。約2mlの水を加え、得られたスラリーを遠心分離した。上澄みを分取HPLCに付し、適切な画分を蒸発させると、赤色の固体(12mg、PBI−44%)を生じた。MS(ESI) m/z C
28H
28N
3O
5+(M
+)に対する計算値486.20。実測値486。Ex/Em 545/572nm。
【0087】
【化25】
ヘキサヒドロキノイイジノ−(4−メチルピペラジン−1−イル}−ローダミン−6′−カルボン酸。
磁気撹拌バーを備えた圧力管中の12−ヨード−3′−オキソ−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロ−3′H−スピロ[クロメノ[2,3−f]ピリド[3,2,1−ij]キノリン−9,1′−イソベンゾフラン]−6′−カルボン酸(21mg、37μmol)、N−メチルピペラジン(7.4mg、74μmol)、ヨウ化銅(I)(3.5mg、19μmol)、およびナトリウムtert−ブトキシド(3.6mg、37μmol))の混合物に、2mLの2,2,2−トリフルオロエタノールを加えた。容器を密閉し、撹拌しながら、油浴により120℃で一晩(約16時間)加熱した。この時間の後、反応物を油浴から取り出し、開放する前に室温に冷却した。約2mlの水を加え、得られたスラリーを遠心分離した。上澄みを分取HPLCに付し、適切な画分を蒸発させると、赤色の固体(15mg、75%)を生じた。MS(ESI) m/z C
32H
32N
3O
5+(M
+)に対する計算値538.2、実測値538.3。Ex/Em 559/586nm。
【0088】
【化26】
2,5−ジオキソピロリジン−1−イル−3−(((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)ベンゾエート。
3−(((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)安息香酸(0.5g、1.99mmol)、O−(N−スクシンイミジル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(718.8mg、2.39mmol)、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.04mL、6.0mmol)を、無水DMFに溶解し、1時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルに希釈し、水およびブラインで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、白色の固体を得て、それをヘプタンで粉砕し、高真空下で乾燥して、生成物(492.0mg)を白色の固体として得た。
1H−NMR(300MHz,CDCl
3)δ8.01(m,1H)、7.60(m,1H)、7.46(m,1H)、4.37(d,6.0Hz,1H)、2.89(s,4H)、1.44(s,9H)。MS(ESI) m/z C
17H
19N
2O
6(M−H
+)に対する計算値347.1、実測値347.2。
【0089】
【化27】
tert−ブチル3−((2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)ベンジルカルバメート。
10mLのDMF中の2,5−ジオキソピロリジン−1−イル3−(((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)ベンゾエート(50.0mg、1.14mmol)の溶液に、2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エタンアミン−HCl(53.0mg、0.22mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.14mL、0.79mmol)を加えた。反応物に蓋をして、一晩撹拌した。揮発物を減圧下で除去して、黄色の固体を得て、それをDCMに溶解し、セライトで吸収し、乾燥し、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン)精製に付して、生成物(37.0mg、56.4%)を白色の固体として得た。
1H−NMR(300MHz,CDCl
3)δ7.61(m,1H)、7.63(m,1H)、7.40(m,1H)、4.34(d,5.7Hz,1H)、3.54(m,H)、1.72(m,2H)、1.53(s,9H)、1.44(s,9H)。MS(ESI) m/z C
23H
38ClN
2O
5(M+H
+)に対する計算値457.2、実測値457.2。
【0090】
【化28】
3−(アミノメチル)−N−(2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)ベンズアミド−HCl。
tert−ブチル3−((2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)ベンジルカルバメートを、HCl−ジオキサン(1mL)で処理し、一晩撹拌した。既発物を減圧下で除去し、残渣をEt
2Oで粉砕して、生成物(49.9mg、0.14mmol)を白色の固体として得た。
【0091】
【化29】
3′,6′−ビス(4−(4−スルホブチル)ピペラジン−1−イル)ローダミン(5′,6′)スクシンイミジルエステル。
PBI−4474(25.0mg、0.03mmol)、O−(N−スクシンイミジル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(19.2mg、0.06mmol)、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(16.6μL、0.1mmol)を、DMF(2ml)中で1時間撹拌した。粗混合物を濃縮し、RP−HPLC精製に付して、生成物を赤色の固体として得た。
【0092】
【化30】
4−((3−((2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)ベンジル)−3′,6′−ビス(4−(4−スルホブチル)ピペラジン−1−イル)ローダミン(5′,6′)カルボキサミド(PBI−4958)。
3′,6′−ビス(4−(4−スルホブチル)ピペラジン−1−イル)ローダミン(5′,6′)スクシンイミジルエステル(10.0mg、0.01mmol)、DMF(0.05mL、0.01mmol)中0.25Mの3−(アミノメチル)−N−(2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)ベンズアミド−HCl、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミンを、1mLのDMF中で1時間撹拌した。粗混合物を水で希釈し、RP−HPLC分取クロマトグラフィーに付して、生成物を、凍結乾燥の後に赤色の固体(1.3mg、10.5%)として得た。MS(ESI) m/z C
55H
72ClN
6O
13S
2(M+H
+)に対する計算値1123.4、実測値1123.5。
【0093】
【化31】
tert−ブチル(1−(3−((2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)−3−オキソ−6,9,12,15−テトラオキサ2−アザヘプタデカン−17−イル)カルバメート。
1mLのDMF中の2,2−ジメチル−4−オキソ−3,8,11,14,17−ペンタオキサ−5−アザイコサン−20−酸(20.0mg、0.05mmol)の溶液に、O−(N−スクシンイミジル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(19.8mg、0.07mmol)、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.03mL、0.16mL)を加えた。混合物を0.5時間撹拌した。0.5mLのアリコートを、3−(アミノメチル)−N−(2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)ベンズアミド(0.1mL、0.03mL)の0.25M溶液で処理した。混合物を、濃縮する前に1.5時間撹拌して、生成物を黄色の油状物として得た。
【0094】
【化32】
1−アミノ−N−(3−((2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)ベンジル)−3,6,9,12−テトラオキサペンタデカン−15−アミド−HCl。
tert−ブチル(1−(3−((2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)−3−オキソ−6,9,12,15−テトラオキサ−2−アザヘプタデカン−17−イル)カルバメート(20.0mg、0.3mmol)を、撹拌しながら4.0MのHCl−ジオキサン(0.8mL)により一晩処理した。混合物をセライトで吸収し、乾燥し、フラッシュクロマトグラフィーに付して、生成物(8.0mg、98.9%)を無色の油状物として得た。
【0095】
【化33】
4−((1−(3−((2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)−3−オキソ−6,9,12,15−テトラオキサ−2−アザヘプタデカン−17−イル)−3′,6′−ビス(4−(4−スルホブチル)ピペラジン−1−イル)ローダミン(5′,6′)カルボキサミド(PBI−4994)。
3′,6′−ビス(4−(4−スルホブチル)ピペラジン−1−イル)ローダミン(5′,6′)スクシンイミジルエステル(5.0mg、0.005mmol)、DMF(0.27mL、0.007mmol)中0.025Mの3−(アミノメチル)−N−(2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)ベンズアミド−HCl、および3滴のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを、1mLのDMF中で1時間撹拌した。粗混合物を水で希釈し、RP−HPLC分取クロマトグラフィーに付して、生成物を、凍結乾燥の後に赤色の固体(1.1mg、14.2%)として得た。MS(ESI) m/z C
66H
93ClN
7O
18S
2(M+H
+)に対する計算値1370.6、実測値1370.6。
【0096】
【化34】
2,5−ジオキソピロリジン−1−イル−4−(((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)ベンゾエート。
20mlのDMF中の4−(((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)安息香酸(1.0g、3.98mmol)およびO−(N−スクシンイミジル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(1.44g、4.78mmol)の溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.0mL、5.97mmol)を加えた。混合物を2時間撹拌し、減圧下で濃縮して、赤色の固体を得て、それをEtOAに溶解し、30%クエン酸溶液で洗浄した。有機層を保持し、Na
2SO
4で乾燥し、濃縮して、黄色の粘着性固体を得た。
【0097】
【化35】
tert−ブチル4−((2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)ベンジルカルバメート。
10mLのDMF中の2,5−ジオキソピロリジン−1−イル4−(((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)ベンゾエート(50.0mg、0.14mmol)の溶液に、2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エタンアミン−HCl(42.4mg、0.17mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.13mL、0.72mmol)を加えた。反応物に蓋をして、一晩撹拌した。揮発物を減圧下で除去して、黄色固体を得て、それをEtOAcに溶解し、水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濃縮した。残渣をDCMに溶解し、セライトで吸収し、乾燥し、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン)精製に付して、生成物(32.0mg、48.8%)を白色の固体として得た。
1H−NMR(300MHz,CDCl
3)δ7.73(d,8.4Hz,2H)、7.32(d,8.4Hz,2H)、4.34(d,6.6,2H)、3.65−3.42(m,8H)、2.75(m,4H)、1.5(s,9H)1.2(m,10H)。MS(ESI) m/z C
23H
38ClN
2O
5(M+H
+)に対する計算値457.2、実測値457.7。
【0098】
【化36】
4−(アミノメチル)−N−(2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)ベンズアミド−HCl。
tert−ブチル4−((2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)ベンジルカルバメート(32.0mg、0.07mmol)を、HCl−ジオキサン(1mL)で処理し、一晩撹拌した。揮発物を減圧下で除去し、残渣をEt
2Oで粉砕して、生成物(27.0mg、98.0%)を白色の固体として得た。
【0099】
【化37】
4−((4−((2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)ベンジル))−3′,6′−ビス(4−(4−スルホブチル)ピペラジン−1−イル)ローダミン(5′,6′)カルボキサミド(PBI−4959)。
3′,6′−ビス(4−(4−スルホブチル)ピペラジン−1−イル)ローダミン(5′,6′)スクシンイミジルエステル(10.0mg、0.01mmol)、DMF(0.05mL、0.01mmol)中0.25Mの3−(アミノメチル)−N−(2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)ベンズアミド−HCl、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミンを、1mLのDMF中で1時間撹拌した。粗混合物を水で希釈し、RP−HPLC分取クロマトグラフィーに付して、生成物を、凍結乾燥の後に赤色の固体(1.1mg、8.9%)として得た。MS(ESI) m/z C
55H
72ClN
6O
13S
2(M+H
+)に対する計算値1123.5、実測値1123.4。Ex/Em 532/564nm。
【0100】
【化38】
tert−ブチル(1−(4−((2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)−3−オキソ−6,9,12,15−テトラオキサ−2−アザヘプタデカン−17−イル)カルバメート。
1mLのDMF中の2,2−ジメチル−4−オキソ−3,8,11,14,17−ペンタオキサ−5−アザイコサン−20−酸(20.0mg、0.05mmol)の溶液に、O−(N−スクシンイミジル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(19.8mg、0.07mmol)、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.03mL、0.16mL)を加えた。混合物を0.5時間撹拌した。0.5mLのアリコートを、4−(アミノメチル)−N−(2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)ベンズアミド−HCl(0.1mL、0.03mL)の0.25M溶液で処理した。混合物を、濃縮する前に一晩撹拌して、生成物を黄色の油状物として得た。
【0101】
【化39】
1−アミノ−N−(4−((2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)ベンジル)−3,6,9,12−テトラオキサペンタデカン−15−アミド−HCl。
tert−ブチル(1−(4−((2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)−3−オキソ−6,9,12,15−テトラオキサ−2−アザヘプタデカン−17−イル)カルバメート(20.0mg、0.3mmol)を、撹拌しながら4.0MのHCl−ジオキサン(0.8mL)により一晩処理した。混合物をセライトで吸収し、乾燥し、フラッシュクロマトグラフィーに付して、生成物(17.0mg、93.5%)を無色の油状物として得た。
【0102】
【化40】
4−((1−(4−((2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)−3−オキソ−6,9,12,15−テトラオキサ−2−アザヘプタデカン−17−イル))3′,6′−ビス(4−(4−スルホブチル)ピペラジン−1−イル)ローダミン(5′,6′)カルボキサミド(PBI−4995)。
3′,6′−ビス(4−(4−スルホブチル)ピペラジン−1−イル)ローダミン(5′,6′)スクシンイミジルエステル(10.0mg、0.011mmol)、DMF(0.54mL、0.0136mmol)中0.025Mの3−(アミノメチル)−N−(2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)ベンズアミド−HCl、および3滴のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを、1mLのDMF中で1時間撹拌した。粗混合物を水で希釈し、RP−HPLC分取クロマトグラフィーに付して、生成物を、凍結乾燥の後に赤色の固体(4.9mg、31.5%)として得た。MS(ESI) m/z C
66H
93ClN
7O
18S
2(M+H
+)に対する計算値1370.6、実測値1371.0。
【0103】
【化41】
2,5−ジオキソピロリジン−1−イル−4−(((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)シクロヘキサンカルボキシレート。
40mlのDMF中の4−(((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)シクロヘキサンカルボン酸(2.0g、7.77mmol)およびO−(N−スクシンイミジル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(2.81g、9.33mmol)の溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.71mL、15.54mmol)を加えた。混合物を3時間撹拌し、減圧下で濃縮して、赤色の固体を得て、それをEtOAに溶解し、30%クエン酸溶液で洗浄した。有機層を保持し、Na
2SO
4で乾燥し、濃縮して、黄色を帯びた粘着性固体(0.69g、24.9%)を得た。
【0104】
【化42】
tert−ブチル((4−((2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)シクロヘキシル)メチル)カルバメート。
5mLのDMF中の2,5−ジオキソピロリジン−1−イル4−(((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)シクロヘキサンカルボキシレート(81.7mg、0.14mmol)の溶液に、2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エタンアミン−HCl(50.0mg、0.19mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.10mL、0.57mmol)を加えた。反応物に蓋をして、一晩撹拌した。揮発物を減圧下で除去して、黄色の残渣を得て、それをDCMに溶解し、セライトで吸収し、乾燥し、フラッシュクロマトグラフィー(MeOH/DCM)精製に付して、生成物(35.0mg、39.3%)を白色の固体として得た。
【0105】
【化43】
4−(アミノメチル)−N−(2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)シクロヘキサンカルボキサミド−HCl。
tert−ブチル((4−((2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)シクロヘキシル)メチル)カルバメート(35.0mg、0.076mmol)を、HCl−ジオキサン(1mL)で処理し、一晩撹拌した。揮発物を減圧下で除去し、残渣をEt
2Oで粉砕して、生成物(23.0mg、76.2%)を白色の固体として得た。
【0106】
【化44】
4−(((4−((2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)シクロヘキシル)メチル))3′,6′−ビス(4−(4−スルホブチル)ピペラジン−1−イル)ローダミン(5′,6′)カルボキサミド(PBI−5004)。
3′,6′−ビス(4−(4−スルホブチル)ピペラジン−1−イル)ローダミン(5′,6′)スクシンイミジルエステル(10.0mg、0.01mmol)、DMF(0.05mL、0.01mmol)中(0.25M)の4−(アミノメチル)−N−(2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)シクロヘキサンカルボキサミド−HCl、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミンを、1mLのDMF中で1時間撹拌した。粗混合物を水で希釈し、RP−HPLC分取クロマトグラフィーに付して、生成物を、凍結乾燥の後に赤色の固体(4.3mg、33.6%)として得た。MS(ESI) m/z C
55H
77ClN
6O
13S
2(M+)に対する計算値1128.5、実測値1128.0。Ex/Em 532/560nm。
【0107】
【化45】
4−(ブチルカルバモイル)−2−(3−(4−メチルピペラジン−1−イウム−1−イリデン)−6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−3H−キサンテン−9−イル)ベンゾエート(PBI−5183)。
DMF(3ml)中の3′,6′−ビス(4−メチルピペラジン−1−イル)−ローダミン(5,6)−カルボン酸(19.3mg、0.030mmol)に、O−(Nスクシンイミジル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(15.4mg、0.049mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(16.5μL、0.268mmol)を加えた。反応混合物を、ブチルアミン(29.0μLl、0.017mmol)を加える前に3時間撹拌した。反応を一晩撹拌し、揮発物を減圧下で除去して、暗色の固体を得て、それを1:1:0.01のACN/水/TFAに溶解し、RP−HPLCクロマトグラフィーに付して、生成物を赤色の固体として得た。MS(ESI) m/z C35H42N5O4(M+H+)に対する計算値596.3、実測値596.4。
【0108】
実施例9
U2−OS細胞におけるHaloTag pHセンサーの毒性
HaloTag pHセンサーの非毒性を実証するため、U2−OS細胞をBI−4959、PBI−5004、およびPBI−4479に曝露した。U2−OS細胞を、96ウエルプレートのウエルに10,000細胞/ウエルで平板培養し、一晩インキュベートした。翌日、0〜10uMの(1:2に段階的に希釈した)PBI−4959、PBI−5004、またはPBI−4479を細胞に加え、再び一晩インキュベートした。インキュベートした後、HaloTag(登録商標)pHセンサーを含有した培地を取り除き、100ulの新たな培地(McCoy 5A+10%FBS)を加えた。細胞生存率を、製造会社のプロトコール(Promega Corporation)に従ってCELLTITER Glo細胞生存率アッセイの使用により決定した。発光は、GloMAX(登録商標)−Multi照度計により読み取った。
図21は、野生型U2−OS細胞に対するpHセンサーの非毒性を実証している。
【0109】
実施例10
pHセンサーの特異性
特異性を実証するため、U2−OS細胞を、PBI−4959、PBI−4958、およびPBI−4479に曝露した。U2−OS細胞を、8ウエルLab−Tek(登録商標)IIチャンバーカバーグラス系のウエルに40,000細胞/ウエルで平板培養し、37℃/5%CO
2で一晩インキュベートした。翌日、細胞を、2uMのPBI−4959、PBI−4958、PBI−4479、PBI−4994、PBI−4995、またはPBI−5004+500nMのDRAQ5により37℃/5%CO
2で15分間標識した。次に細胞をMcCoy 5A+0.5%cFBSで3回洗浄し、37℃/5%CO
2で10分間インキュベートした。画像を、Olympus FV500により37℃/5%CO
2で連続的に取得した。
図22は、野生型U2−OS細胞においてpHセンサーの非特異的な結合がないことを実証している。
【0110】
実施例11
pHセンサーの更なる評価
pHセンサーの標識化、バックグラウンド、結合効率、および輝度の程度を更に評価するため、U2−OS細胞をPBI−4449、PBI−4958、PBI−4959、PBI−4994、PBI−4995、またはPBI−5004に曝露した。U2−OS HaloTag(商標)−EDG1(Promega Corporation)細胞を、8ウエルLab−Tek(登録商標)IIチャンバーカバーグラス系に40,000細胞/ウエルで平板培養し、37℃/5%CO
2で一晩インキュベートした。翌日、培地をMcCoy 5A+0.5%cFBSに代え、37℃/5%CO
2で一晩インキュベートした。インキュベートした後、細胞を、PBI−4449、PBI−4958、PBI−4959、PBI−4994、PBI−4995、またはPBI−5004(1:2に段階的に希釈して0〜4uM)により37℃/5%CO
2で10分間パルスした。非結合pHセンサーを細胞から除去し、1uMのHaloTag(商標)Alexa488+500nMのDRAQ5により37℃/5%CO
2で10分間追跡した。次に細胞をMcCoy 5A+0.5%cFBSで3回洗浄し、37℃/5%CO
2で10分間インキュベートした。次に、1uMのS1P(スフィンゴシン−1−リン酸)を細胞に加え、画像を、Olympus FV500により37℃/5%CO
2で連続的に取得した。
図23〜28は、t=0分で試験したpHセンサーの標識化およびバックグラウンドの程度を実証する。
図29〜34は、S1Pによるt=20分でのpHセンサーの輝度を実証する。
【0111】
実施例12
pHセンサーの浸透性
pHセンサーの浸透性を評価するため、U2−OS細胞を、PBI−4479、BI−4958、PBI−4959、PBI−4994、PBI−4995、またはPBI−5004に曝露した。U2−OS HaloTag(登録商標)−NLS(Promega Corporation)細胞を、8ウエルLab−Tek(登録商標)IIチャンバーカバーグラス系のウエルに40,000細胞/ウエルで平板培養し、37℃/5%CO2で一晩インキュベートした。翌日、細胞を、2uMのPBI−4449、PBI−4958、PBI−4959、PBI−4994、PBI−4995、またはPBI−5004により37℃/5%CO
2で10分間標識した。pHセンサーを細胞から除去し、1uMのHaloTag(登録商標)オレゴングリーン(Promega Corporation)+500nMのDRAQ5により37℃/5%CO
2で10分間追跡した。次に細胞をMcCoy 5Aで3回洗浄し、画像を、Olympus FV500により37℃/5%CO
2で連続的に取得した。
図35〜38は、試験したpHセンサーの浸透性および非浸透性を実証している。
【0112】
実施例13
pHセンサーの使用による内部移行の検出
不浸透性のpHセンサーを使用して内部移行を評価するため、U2−OS HaloTag(登録商標)−EDG1細胞(Promega Corporation)を、PBI−4479、PBI−4958、PBI−4959、PBI−4994、またはPBI−4995に曝露し、HaloTag(登録商標)−EDG1細胞の内部移行を評価した。U2−OS HaloTag(登録商標)−EDG1細胞を、8ウエルLab−Tek(登録商標)IIチャンバーカバーグラス系のウエルに40,000細胞/ウエルで平板培養し、37℃/5%CO
2で一晩インキュベートした。翌日、培地をMcCoy 5A+0.5%cFBSに代え、37℃/5%CO
2で一晩インキュベートした。インキュベートした後、細胞を、500nMのPBI−4479、PBI−4958、PBI−4959、PBI−4994、またはPBI−4995+500nMのDRAQ5により37℃/5%CO
2で10分間パルスした。次に細胞をMcCoy 5A+0.5%cFBSで3回洗浄し、37℃/5%CO
2で10分間インキュベートした。次に、1uMのS1P(スフィンゴシン−1−リン酸)または担体(DMSO)を細胞に加え、画像を、Olympus FV500により37℃/5%CO2で連続的に取得した。
図39〜42は、試験した不浸透性pHセンサーの使用による、受容体の内部移行およびバックグラウンドを検出する能力を実証している。
【0113】
浸透性のpHセンサーを使用して内部移行を評価するため、U2−OS HaloTag(登録商標)−EDG1細胞(Promega Corporation)を、PBI−5004に曝露し、HaloTag(登録商標)−EDG1細胞の内部移行を評価した。U2−OS HaloTag(登録商標)−EDG1(Promega Corporation)細胞を、8ウエルLab−Tek(登録商標)IIチャンバーカバーグラス系のウエルに40,000細胞/ウエルで平板培養し、37℃/5%CO
2で一晩インキュベートした。翌日、培地をMcCoy 5A+0.5%cFBSに代え、37℃/5%CO
2で一晩インキュベートした。インキュベートした後、1uMのS1P(スフィンゴシン−1−リン酸)を加え、細胞を37℃/5%CO
2で30分間インキュベートした。次に細胞を、500nMのPBI−5004+500nMのDRAQ5により37℃/5%CO
2で10分間標識した。次に細胞をMcCoy 5A+0.5%cFBSで3回洗浄し、画像を、Olympus FV500により37℃/5%CO
2で連続的に取得した。
図43は、試験した細胞浸透性pHセンサーの使用により刺激した後の、受容体内部移行を検出する能力を実証する。
【0114】
実施例14
pHセンサーの使用によるFACS検出
FACS検出における使用を実証するため、U2−OSまたはU2−OS HaloTag−ECS(細胞外表面表示HaloTga)を完全培地+0.5%cFBSによる6ウエルプレートのウエルに500,000細胞/ウエルで平板培養し、37℃/5%CO
2で18時間インキュベートした。インキュベートした後、細胞を、1uMの不浸透性pHセンサーPBI4479により37℃/5%CO2で15分間標識した。次に細胞を、完全培地+0.5%cFBSで3回洗浄し、37℃/5%CO
2で1時間インキュベートした。次に細胞を収集し、PBSに再懸濁し、濾過し、Guava(Ex 546/560nm)により選別した。
【0115】
図44〜45は、本発明のpHセンサーがFACS検出に使用され得ることを実証している。HaloTagを表面に表示する細胞は、pHセンサーに結合する。1時間後、内部移行は、初期エンドソーム、後期エンドソーム、リソソーム、または酸性区分におけるpHセンサーの蛍光の増加により観察される。
【0116】
実施例15
塩基および酸により滴定されたときのPBI−4479の蛍光強度の損失および回復
この実施例は、pH4で最も蛍光性である本発明のpHセンサーのPBI−4479の蛍光強度が、塩基性pHで滴定され、次に酸性pHで滴定されたときに回復され得るかを決定するために実施した。センサーの濃度の乱れを制限するため、実験は大量で実施し、pHは、濃塩基、次に酸を滴下して調整した。生成物を最初にDMSOに溶解して、濃縮貯蔵液を作り出し、次に少量を、100mLの10mMリン酸カリウム緩衝液、pH4.0に希釈した。蛍光は、2nmスリット幅を維持しながら528nmの励起および557nmの発光を使用して、実験の全体にわたってHoribaJobinYvon Fluorologに記録した。最大励起および発光も、分子の蛍光特性が変化した場合、それぞれのアリコートにおいて決定した。pHは、較正pHプローブ(Denver Instruments Model 215pHメーター)を使用してモニターした。1mLのアリコートを、溶液がおよそ1pH単位に増加したときに取り出し、蛍光は、上記に記述されたパラメーターを使用して測定した。溶液には、最初に2N水酸化ナトリウムを、pHのおよそ8が得られるまで撹拌しながら滴下して滴定した。溶液には、次に4N塩酸を、pHのおよそ4が得られるまで滴定した。
【0117】
図46は、塩基および酸により滴定されたときの、PBI−4479の単一試料の蛍光強度の損失および回復を実証している。これは、本発明のpHセンサーが細胞へのGPCR輸送(シグナルの増加)、ならびにGPCR再循環(シグナルの損失)をモニターするために使用され得ることを更に実証している。一般に、本発明のpHセンサーは、シグナルの利得/損失による環境pHのフラックスをモニターするために使用され得る。
【0118】
本明細書に提供されている全ての出版物および特許は、それらの全体が参照として本明細書に組み込まれる。本発明に記載されている組成物および方法の変更および変形は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者には明白である。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して記載されてきたが、請求される本発明は、そのような特定の実施例に過度に限定されるべきではないことが理解されるべきである。事実、本発明を実施するために記載された様式の、関連分野の当業者には明白である多様な変更は、本発明の範囲内であることが意図される。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕ローダミンクラスのコア構造と、1つ以上の置換ピペラジン基とを含む、pHセンサー剤。
〔2〕前記置換ピペラジン基が、前記ローダミンクラスのコア構造上のアミノ基に結合している、前記〔1〕に記載のpHセンサー剤。
〔3〕2つの置換ピペラジン基を含む、前記〔1〕に記載のpHセンサー剤。
〔4〕前記置換ピペラジン基が、前記置換ピペラジンの第1の窒素において前記ローダミンクラスのコア構造に結合している、前記〔1〕に記載のpHセンサー剤。
〔5〕前記置換ピペラジン基が、前記置換ピペラジンの第2の窒素に結合している置換基を含む、前記〔4〕に記載のpHセンサー剤。
〔6〕前記置換基がアルキル基を含む、前記〔5〕に記載のpHセンサー剤。
〔7〕前記アルキル基がヘテロアルキル基を含む、前記〔5〕に記載のpHセンサー剤。
〔8〕前記pHセンサー剤が、酸性pHで蛍光性である、前記〔1〕に記載のpHセンサー剤。
〔9〕前記pHセンサー剤が、酸性pHで最大限に蛍光性である、前記〔8〕に記載のpHセンサー剤。
〔10〕前記pHセンサー剤が、中性pHで最大蛍光の5%未満を示す、前記〔10〕の記載のpHセンサー剤。
〔11〕前記pHセンサー剤が、中性pHで非蛍光性である、前記〔10〕に記載のpHセンサー剤。
〔12〕前記ローダミンクラスのコア構造が、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン123、カルボキシテトラメチルローダミン、テトラメチルローダミン、テトラメチルローダミンのイソチオシアネート誘導体、スルホローダミン101、テキサスレッド、ローダミンレッド、またはNHS−ローダミンを含む、前記〔1〕に記載のpHセンサー剤。
〔13〕前記置換ピペラジン基が、ピペラジン環置換基を含み、前記置換基が、アルキル鎖または置換アルキル鎖から選択される、前記〔1〕に記載のpHセンサー剤。
〔14〕前記置換アルキル鎖が、CH2(CH2)nSO3-およびCH2(CH2)nCO2Hから選択され、式中、n=0〜25である、前記〔13〕に記載のpHセンサー剤。
〔15〕一般構造:
を含み、式中、R1〜R12が、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、アルコキシド基、アルキル基、ヘテロアルキル基、アリール基、CO2H、SO3H、L−CO2H、L−SO3H、L−W、またはL−CSであり、Lが、0〜16個の非水素原子を含み、かつエステル、酸、スルホン酸、スルファミド、アミン、アミド、アルコール、エーテル、チオエーテル、ハロゲン化物、単結合、二重結合、三重結合、および芳香族結合のうちの適切な組み合わせを含む、直鎖、分岐鎖、および/または環状の共有連結であり、Wが、反応性基であり、Xが、O、CR17、MR17であり、R17が、H、F、Cl、Br、I、OH、アルコキシド基、アルキル基、アリール基、CO2H、SO3H、L−CO2H、L−SO3H、L−Y、またはL−CSであり、Mが、C、N、O、Si、P、S、Ge、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Bl、およびPoから選択される、前記〔1〕に記載のpHセンサー剤。
〔16〕R1およびR2が、独立して、H、アルキル基、アリール基、L、L−W、またはL−CSであり、R3〜R8が、独立して、H、F、Cl、アルコキシド基、アルキル基、アリール基であり、R9〜R12が、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、アルコキシド基、アルキル基、アリール基、CO2H、SO3H、L−CO2H、L−SO3H、L−R、L−W、またはL−CSである、前記〔15〕に記載のpHセンサー剤。
〔17〕一般構造:
を含み、式中、R1およびR2が、独立して、H、アルキル基、アリール基、L、L−W、またはL−CSであり、R3〜R8が、独立して、H、F、Cl、アルコキシド基、アルキル基、アリール基であり、R9〜R12が、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、アルコキシド基、アルキル基、アリール基、CO2H、SO3H、L−CO2H、L−SO3H、L−R、L−W、またはL−CSであり、Lが、0〜16個の非水素原子を含み、かつエステル、酸、スルホン酸、スルファミド、アミン、アミド、アルコール、エーテル、チオエーテル、ハロゲン化物、単結合、二重結合、三重結合、および芳香族結合のうちの適切な組み合わせを含む、直鎖、分岐鎖、および/または環状の共有連結であり、Wが、反応性基であり、Xが、O、CR17、MR17であり、R13が、H、アルキル基、アルキル基、アリール基、L、L−R、L−W、またはL−CSであり、Mが、C、N、O、Si、P、S、Ge、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Bl、およびPoから選択され、各nが、独立して2〜4であり、各個別のR13、R14、R15、およびR16が、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、アルコキシド基、アルキル基、アリール基、CO2H、SO3H、L−CO2H、L−SO3H、L−R、L−W、またはL−CSである、前記〔1〕に記載のpHセンサー剤。
〔18〕1つ以上の環状構造が、R13または関連するCとR3または関連するC、R14または関連するCとR4または関連するC、R15または関連するCとR8または関連するC、およびR16または関連するCとR7または関連するCから選択される基の間の結合により形成される、前記〔17〕に記載のpHセンサー剤。
〔19〕一般構造:
を含み、式中、R2が、H、アルキル基、アリール基、L、L−W、またはL−CSであり、R3〜R8が、独立して、H、F、Cl、アルコキシド基、アルキル基、アリール基、であり、R9〜R12が、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、アルコキシド基、アルキル基、アリール基、CO2H、SO3H、L−CO2H、L−SO3H、L−R、L−W、またはL−CSであり、Lが、0〜16個の非水素原子を含み、かつエステル、酸、スルホン酸、スルファミド、アミン、アミド、アルコール、エーテル、チオエーテル、ハロゲン化物、単結合、二重結合、三重結合、および芳香族結合のうちの適切な組み合わせを含む、直鎖、分岐鎖、および/または環状の共有連結であり、Wが、反応性基であり、Xが、O、CR13、MR17であり、R17が、H、アルキル基、アルキル基、アリール基、L、L−R、L−W、またはL−CSであり、Mが、C、N、O、Si、P、S、Ge、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Bl、およびPoから選択され、Yが、N−R18であり、R18が、独立して、またはR3もしくはR4との環状構造の一部として環化されているアリール基またはアルキル基である、前記〔1〕に記載のpHセンサー剤。
〔20〕一般構造:
を含み、式中、R1およびR2が、独立して、H、アルキル基、アリール基、L、L−W、またはL−CSであり、R3〜R6が、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、アルコキシド基、アルキル基、アリール基、CO2H、SO3H、L−CO2H、L−SO3H、L−R、L−W、またはL−CSであり、Lが、0〜16個の非水素原子を含み、かつエステル、酸、スルホン酸、スルファミド、アミン、アミド、アルコール、エーテル、チオエーテル、ハロゲン化物、単結合、二重結合、三重結合、および芳香族結合のうちの適切な組み合わせを含む、直鎖、分岐鎖、および/または環状の共有連結であり、Wが、反応性基である、前記〔1〕に記載のpHセンサー剤。
〔21〕一般構造:
を含み、式中、R1およびR2が、独立して、H、アルキル基、アリール基、L、L−W、またはL−CSであり、R3〜R6が、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、アルコキシド基、アルキル基、アリール基、CO2H、SO3H、L−CO2H、L−SO3H、L−R、L−W、またはL−CSであり、Lが、0〜16個の非水素原子を含み、かつエステル、酸、スルホン酸、スルファミド、アミン、アミド、アルコール、エーテル、チオエーテル、ハロゲン化物、単結合、二重結合、三重結合、および芳香族結合のうちの適切な組み合わせを含む、直鎖、分岐鎖、および/または環状の共有連結であり、Wが、反応性基である、前記〔1〕に記載のpHセンサー剤。
〔22〕前記〔1〕に記載のpHセンサー剤に連結されている目的の実体を含む、組成物。
〔23〕前記目的の実体が、タンパク質、ペプチド、多糖、脂質、または小分子から選択される、前記〔22〕に記載の組成物。
〔24〕前記目的の実体がタンパク質であり、前記タンパク質が、細胞表面受容体、抗体、または酵素である、前記〔23〕に記載の組成物。
〔25〕前記目的の実体が多糖であり、前記多糖がデキストランである、前記〔23〕に記載の組成物。
〔26〕前記目的の実体および前記pHセンサー剤がリンカー部分により連結されている、前記〔22〕に記載の組成物。
〔27〕環境のpHを検出する方法であって、
a)前記〔1〕に記載のpHセンサー剤を前記環境と接触させることと、
b)前記pHセンサー剤から蛍光を検出することと、
c)前記蛍光を前記pHと相関させることと、
を含む、方法。
〔28〕前記蛍光を相関させることが、前記蛍光の強度を対照値と比較することを含む、前記〔27〕に記載の方法。
〔29〕環境のpHの変化をモニターする方法であって、
a)前記〔1〕に記載のpHセンサー剤を前記環境と接触させることと、
b)前記pHセンサー剤から蛍光を経時的に検出することと、
c)蛍光の変化をpHの変化と相関させることと、
を含む、方法。
〔30〕前記pHセンサー剤から蛍光を経時的に検出することが、蛍光をリアルタイムで検出することを含む、前記〔29〕に記載の方法。
〔31〕前記pHセンサー剤から蛍光を経時的に検出することが、蛍光を多様な時点で検出することを含む、前記〔29〕に記載の方法。
〔32〕第1のpH環境から第2のpH環境への目的の実体の移動を検出する方法であって、
a)前記〔1〕に記載のpHセンサー剤を前記第1のpH環境と接触させることと、
b)前記第1のpH環境における前記pHセンサー剤の蛍光を検出することと、
c)前記pHセンサー剤の前記蛍光をモニターすることと、を含み、前記蛍光の変化が、前記pHセンサー剤の第2のpH環境への移動を示す、方法。
〔33〕前記第1のpH環境が細胞外であり、前記第2のpH環境が細胞内である、前記〔32〕に記載の方法。
〔34〕前記蛍光がリアルタイムでモニターされる、前記〔32〕に記載の方法。
〔35〕前記pHセンサー剤が目的の実体と連結されている、前記〔32〕に記載の方法。
〔36〕前記目的の実体が、タンパク質、ペプチド、多糖、脂質、または小分子から選択される、前記〔35〕に記載の方法。
〔37〕前記目的の実体がタンパク質であり、前記タンパク質が、細胞表面受容体、抗体、または酵素である、前記〔36〕に記載の方法。
〔38〕容器の中に前記〔1〕〜〔21〕のいずれか一項に記載のpHセンサー剤を含む、キット。
〔39〕容器の中に前記〔22〕〜〔26〕のいずれか一項に記載の組成物を含む、キット。