特許第6231539号(P6231539)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231539
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】平型導体用コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/83 20110101AFI20171106BHJP
   H01R 12/73 20110101ALI20171106BHJP
【FI】
   H01R12/83
   H01R12/73
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-241250(P2015-241250)
(22)【出願日】2015年12月10日
(65)【公開番号】特開2017-107765(P2017-107765A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2016年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】行武 広章
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−334755(JP,A)
【文献】 特開2013−038068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00 − 12/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平型導体の嵌合室を有するハウジングと、
前記嵌合室に挿入した前記平型導体と導通接触する端子とを備える平型導体用コネクタにおいて、
前記端子は、
前記嵌合室の底面に沿って前記嵌合室の開口側から前記嵌合室の奥側に伸長する基部と、
前記嵌合室に挿入した前記平型導体と導通接触する接触部を有し、前記基部から底面の上方へ伸長するばね片部とを有し、
前記基部は、
前記開口側で前記底面に固定される固定片と、
前記固定片における前記奥側の端部を支点として前記底面に対して離間方向へ回動変位する可動片とを有し、
前記ばね片部は、
前記可動片の前記奥側の端部から前記開口側へ屈曲する第1の屈曲部と、
前記第1の屈曲部から前記開口側へ伸びる伸長部と、
前記伸長部における前記開口側の端部から前記奥側へ屈曲し前記接触部に繋がる第2の屈曲部とを有しており、
前記接触部が前記嵌合室に挿入した前記平型導体の押圧により前記基部に向けて変位すると、前記接触部に繋がる前記第2の屈曲部が、前記第1の屈曲部を回動支点として前記基部に向けて前記第1の屈曲部の屈曲高さの上端よりも低い位置まで沈み込むように回動変位することで、前記可動片が前記支点を介して回動変位して前記底面から離れるとともに前記第1の屈曲部も回動変位して前記底面から離れることを特徴とする平型導体用コネクタ。
【請求項2】
前記接触部は、前記底面から離れて上方に回動変位した前記第1の屈曲部を回動支点として前記嵌合室の開口側へ前記平型導体と摺動接触しながら回動変位する請求項1記載の平型導体用コネクタ。
【請求項3】
前記接触部は、前記第1の屈曲部が前記底面から離れて上方に回動変位した前記平型導体との嵌合途中で前記平型導体と摺動接触する距離が最大となり、その後、前記第1の屈曲部が前記底面に戻る前記平型導体との嵌合状態での有効嵌合長が前記距離よりも短くなるように変位する請求項1又は請求項2記載の平型導体用コネクタ。
【請求項4】
前記嵌合室に挿入した前記平型導体と導通接触する接触部を有する他の端子をさらに備えており、
前記ハウジングは、前記平型導体を前記嵌合室へ水平に対して斜めに挿入するのをガイドする挿入ガイド面を有しており、
前記他の端子の前記接触部は、前記挿入ガイド面の延長線を超えて前記嵌合室の内側に突出しない位置に配置されている請求項1〜請求項3何れか1項記載の平型導体用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平型導体を基板等に接続するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
接続対象部材となる平型導体を基板の回路に導通接続するために、平型導体用コネクタが使用されている。例えばメモリカード、ICカード、グラフィックボードのような硬質基板にて形成された平型導体を接続するためには、いわゆるカードエッジコネクタが用いられる(特許文献1参照)。こうしたカードエッジコネクタ(以下、単に「コネクタ」という。)は、平型導体をハウジングの嵌合室に斜めに挿入した後、挿入した先端側を回動中心としてコネクタの実装基板と水平になるように回転させ、それによって平型導体の接点部が嵌合室に突出する端子の接点部と導通接触して基板間接続を実現するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−306606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、こうした平型導体用のコネクタの課題として挿抜力が大きくなるという課題がある。例えばグラフィックボードのような平型導体では極数が200極を超えるようなものもある。このように平型導体の極数が多いと自ずとコネクタの端子数も多くなり、そうすると平型導体の挿入する際に撓ませることが必要な接点部の数も多くなることから、コネクタに対する平型導体の挿抜が硬くなり操作性が悪くなるという課題がある。コンピュータ等の情報処理装置の機能が多様化、高度化し、基板が処理する信号数が多くなればなるほど、端子数は増える傾向にあることから、カードエッジコネクタの分野ではますます平型導体の挿抜力を低減させる必要性は高まっている。
【0005】
以上のような従来技術を背景になされたのが本発明である。その目的は平型導体用のコネクタについて平型導体の挿抜力を低く抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、本発明は以下のように構成される。
【0007】
本発明は、平型導体の嵌合室を有するハウジングと、嵌合室に挿入した平型導体と導通接触する端子とを備える平型導体用コネクタについて、前記端子は、嵌合室の底面に沿って嵌合室の開口側から嵌合室の奥側に伸長する基部と、嵌合室に挿入した平型導体と導通接触する接触部を有し、基部から底面の上方へ伸長するばね片部とを有し、前記基部は、前記開口側で前記底面に固定される固定片と、固定片における前記奥側の端部を支点として前記底面に対して離間方向へ回動変位する可動片とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明では、端子が嵌合室の底面に沿う基部と、底面の上方へ伸長して接触部を有するばね片部とを有し、ばね片部の全体が嵌合室の底面から浮いて接触部を弾性支持するばねとして機能する。それのみならず本発明では嵌合室の底面に沿わせる端子の基部についても、固定片における前記奥側の端部を支点として前記底面に対して離間方向へ回動変位する可動片を有しており、この可動片が接触部を弾性支持するばねとして機能する。したがって、嵌合室の底面に沿う可動片と底面の上方へ伸長するばね片部とを合わせた長さを、接触部を弾性変位させるばね長として利用することができる。よって、本発明によれば端子を柔らかく変位させることができるようになり、これにより平型導体の挿入力を低減することができる。
【0009】
前記ばね片部は、前記可動片の前記奥側の端部から前記開口側へ屈曲する第1の屈曲部を有し、第1の屈曲部は、嵌合室に挿入した平型導体の押圧により前記接触部が前記基部に向けて変位すると、前記接触部を嵌合室の開口側へ平型導体と摺動接触させながら回動変位させる回動支点として構成することができる。
【0010】
本発明によれば、平型導体に押されて基部に向かって変位する接触部を、そのまま基部に向かって押し下げるように変位させるのではなく、第1の屈曲部を回動支点として嵌合室の開口側へ回動変位させることができる。したがって接触部は、基部の可動片による回動変位と第1の屈曲部による嵌合室の開口側へ向かう回動変位との重畳的な作用によって、基部の全体が底面に固定してある場合と比較して、平型導体と摺動接触する距離をより長くすることができる。よって本発明であれば、平型導体に付着している異物を広い範囲でワイピングすることができ、端子の平型導体との高い接触信頼性を得ることができる。
【0011】
前記ばね片部は、第1の屈曲部から前記開口側へ伸びる伸長部と、伸長部における前記開口側の端部から前記奥側へ屈曲し前記接触部に繋がる第2の屈曲部とを有するものとして構成できる。
【0012】
本発明によれば、伸長部と第2の屈曲部とをばね長として利用することができるため、基部の可動片から接触部に至るまでのばね長が長くなり、平型導体と柔らかく接触させることができ、平型導体の挿入力を低減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の平型導体用コネクタによれば、ハウジングの嵌合室の底面に沿わせる基部に可動片を設けることで端子のばね長が長くなり、平型導体と接触する端子を柔らかく変位させることができる。したがって平型導体の挿入力を低減することができ、平型導体の接続作業性を向上することができる。
【0014】
また、可動片の回動変位と第1の屈曲部の回動変位との重畳的な作用によって接触部が嵌合室の開口側へ回動変位して平型導体と摺動接触する距離を長くすることができるため、平型導体に付着する異物を、平型導体の挿入側端部から広い範囲でワイピングすることができ、極数の多い平型導体に対する接続信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態による平型導体用のコネクタの正面、平面、右側面を含む外観斜視図。
図2図1のコネクタの正面図。
図3図2のA部拡大図。
図4図1のコネクタに備える第1の端子の外観斜視図。
図5図1のコネクタに備える第2の端子の外観斜視図。
図6図3のB−B断面図。
図7図6に続く平型導体の嵌合過程を示す説明図。
図8図7に続く平型導体の嵌合状態を示す説明図。
図9図6図8相当の断面図で示す平型導体の嵌合過程を説明する模式図であり、分図(a)は平型導体の挿入前の端子(実線)と平型導体の挿入状態の端子(二点鎖線)とを比較する説明図、分図(b)は平型導体の挿入状態の端子(実線)と可動片が回動変位しない比較例の端子(二点鎖線)とを比較する説明図、分図(c)は平型導体との嵌合状態の端子を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の平型導体用コネクタの一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では平型導体用コネクタとして、カードエッジコネクタを例として説明する。接続対象部材となる平型導体は硬質基板P1である。
【0017】
本明細書、特許請求の範囲、図面では、図1で示すカードエッジコネクタ1(以下、単に「コネクタ1」という。)の幅方向をX方向、前後方向をY方向、高さ方向をZ方向として説明する。また、高さ方向Zにおける平面を「上」とし、底面を「下」とする。さらに前後方向Yにおける正面を「前」とし、背面を「後」として説明する。こうした上下、前後の特定は本発明に係るコネクタの実装方向、使用方向を限定するものではない。
【0018】
コネクタ1の構成〔図1図5
【0019】
コネクタ1は、幅方向Xに沿って長尺に形成したハウジング2を備えている。ハウジング2は、矩形状の上面壁2a、左右の側面壁2b、底面壁2c、背面壁2dが形成されている。
【0020】
このうち上面壁2aの内側面には第1の端子3を取付ける第1の端子取付溝2a1がコネクタ1の前後方向Yに沿って形成されている(図3)。隣り合う第1の端子3は、第1の取付溝2a1を形成する隔壁2a2によって構造的に絶縁されて配置されている。また、底面壁2cにも同様に第2の端子4を取付ける第2の端子取付溝2c1が形成されており、隣り合う第2の端子4は第2の端子取付溝2c1を形成する隔壁2c2によって構造的に絶縁されて配置されている。なお、本実施形態のコネクタ1は、第1の端子3と第2の端子4をそれぞれ230本備えており、そのため硬質基板P1の挿入力が大きくなり易い多極コネクタとして構成されている。
【0021】
ハウジング2の内部には、硬質基板P1を挿入して第1の端子3,第2の端子4と導通接続する嵌合室2eが形成されている。嵌合室2eは、ハウジング2の内壁面で囲まれた内部空間によって形成されている。具体的には、前述した上面壁2a、側面壁2b、底面壁2cおよび背面壁2dの各内側面によって囲まれて形成される内部空間として形成されている。
【0022】
嵌合室2eの前側には平型導体である硬質基板P1の挿入口となる開口2e1が形成されており、嵌合室2eの奥側(後側)には背面壁2dの内側面である奥壁2e2が形成されている。嵌合室2eを形成する上面壁2aの前側の内側面には、硬質基板P1の挿入をガイドする挿入ガイド面2a3が形成されている。前述した第2の端子取付溝2c1の溝底面は嵌合室2eの底面2e5を構成する。
【0023】
嵌合室2eは開口2e1からの深さの違いから、上側嵌合室2e3と下側嵌合室2e4とに分かれている。上側嵌合室2e3は嵌合状態にある硬質基板P1の収容空間として形成されている。下側嵌合室2e4は後述する第2の端子4の変位空間として形成されており、ばね長を長く取ることができるように、上側嵌合室2e3よりも嵌合室2eの奥側(奥壁2e2の方)へ深く形成されている。
【0024】
第1の端子3は、その外観を図4で示すように、実装基板P2にはんだ付けする基板接続部3aと、ハウジング2の背面壁2dの高さ方向に沿って伸長する縦片部3b、縦片部3bから前側へ伸長する横片部3c、横片部3cの前端から下向きに屈曲する接触部3dとが形成されている。
【0025】
第1の端子3はハウジング2の背面壁2dの後側から第1の端子取付溝2a1に挿入され、横片部3cに側方突起として設けた固定部3c1において圧入されて固定される。
【0026】
第2の端子4は、その外観を図5で示すように、実装基板P2にはんだ付けする基板接続部4a、ハウジング2の正面で高さ方向に沿って伸長する縦片部4b、縦片部4bから後側へ伸長する基部4c、基部4cから上方へ伸長するばね片部4dが形成されている。
【0027】
基部4cは、ハウジング2の第2の端子取付溝2c1に配置される。基部4cには、第2の端子取付溝2c1に固定する突起状の固定片4c1が形成されている。固定片4c1には可動片4c2が連続して形成されている。可動片4c2は、固定片4c1との連続箇所を支点として嵌合室2eの底面2e5に対して離間方向へ回動変位するようになっている。基部4cは、固定片4c1と可動片4c2が嵌合室2eの底面2e5に接するように配置されていることで、コネクタ1の全体の高さが低くなるようにしている。例えば基部4cが底面2e5から浮いていると、ばね片部4dの上方への高さ位置が高くなり、ハウジング2の全高が高くなってしまうが、本実施形態ではそうしたことがない。
【0028】
ばね片部4dは、嵌合室2eの底面2e5から上方に伸長するばねとして形成されている。ばね片部4dは、図5の側面視で示すようにS字状に形成されている。具体的には、下側から順に、可動片4c2から嵌合室2eの開口2e1側へ屈曲する第1の屈曲部4d1と、第1の屈曲部4d1の端部から開口2e1側へ伸長する伸長部と4d2と、伸長部4d2における開口2e1側の端部から嵌合室2eの奥側へ屈曲する第2の屈曲部4d3と、硬質基板P1の接点部と導通接触する接触部4d4とが形成されている。
【0029】
このようにばね片部4dは、互いに向かい合うように屈曲する第1の屈曲部4d1と第2の屈曲部4d2とを伸長部4d2で繋ぐ形状とすることで、ばね長を長く確保している。そして可動片4c2もまたばねとして機能させることができるため、更にばね長を長く確保しており、これにより接触部4d4が柔らかく変位できるようにして、硬質基板P1の挿入力を低減している。
【0030】
正面向かって左右の側面壁2bには、それぞれ実装基板P2にはんだ付けされる固定金具5が取付けられている。
【0031】
コネクタ1に対する硬質基板P1の嵌合〔図6図9
【0032】
次に、コネクタ1に対する硬質基板P1の嵌合方法について説明する。硬質基板P1の嵌合前では、コネクタ1は図6で示すように実装基板P2に実装されている。
【0033】
そして図7で示すように、硬質基板P1を嵌合室2eの開口2e1から斜めに挿入する。硬質基板P1は、第2の端子4のばね片部4dによる押圧を受けて挿入ガイド面2a3のガイドを受けて先端が奥壁2e2と当接するまで嵌合室2eの内部に挿入されていく。
【0034】
このとき第2の端子4の接触部4d4は、図6から図7へ変位する状態を図9(a)の実線と二点鎖線との違いで示すように、嵌合室2eの開口2e1に向けて移動するように回動変位する。これは第1に、接触部4d4が硬質基板P1によって下方に押圧されることで、第1の屈曲部4d1を回動支点として、第2の屈曲部4d3が開口2e1側へ下向きに沈み込むように回動変位することで起きる。第2に、固定片4c1を回動支点として、可動片4c2が嵌合室2eの底面2e5から離れる方向に上向きに回動変位することで起きる。
【0035】
接触部4d4は、これらの2つの回動変位の重畳的な作用によって、嵌合室2eの開口2e1側へ硬質基板P1と摺動接触しながら回動変位することができる。このとき、接触部4d4は、ばね片部4dのみならず可動片4c2を合わせた長さをばね長として利用して回動変位することができるので、第2の端子4を柔らかく変位させることで硬質基板P1の挿入力を低減し、接続作業性を向上することができる。
【0036】
また、図9(b)で示すように、前述の2つの回動変位によって接触部4d4が硬質基板P1と摺動接触する距離d1を長くできることから優れたワイピング効果をも発揮する。即ち、図9(b)は、硬質基板P1を挿入した状態で、可動片4c2が回動変位する場合の接触部4d4(実線)と、可動片4c2を回動変位させないようにした場合の接触部4d4(二点鎖線)とを比較して示す図である。実線で示す可動片4c2が回動変位する場合には、接触部4d4が開口2e1の側へ回動することから、硬質基板P1に対する摺動接触する距離d1が、二点鎖線で示す可動片4c2を回動変位させない場合の距離d2よりも距離d3だけ長くすることができる。したがって、コネクタ1であれば、硬質基板P1に基板カスのような異物が付着している場合に、接触部4d4が硬質基板P1の端子の長さ方向(嵌合方向)に沿う広い範囲でそうした異物をワイピングして除去することができるため、硬質基板P1との高い接触信頼性を得ることができる。
【0037】
次に、図7で示す硬質基板P1を挿入した状態から、図8で示す水平になるまで硬質基板P1を回動させる。このとき硬質基板P1は、接触部4d4を押圧することで、嵌合室2eの底面2e5に接するまで可動片4c2を回動変位させるとともに、第1の端子3の接触部3dを上方に押圧する。これによって硬質基板P1が第1の端子3と第2の端子4とに導通接触することになる。
【0038】
硬質基板P1を水平位置に回転させた嵌合状態では、図9(c)で示すように、硬質基板P1に対する接触部4d4の接触位置は、図7図9(b)の実線で示す接触位置よりも硬質基板P1の先端側へ距離d4だけ戻ることになり、その有効嵌合長は距離d5となる。したがって、接触部4d4は、図9(b)で示す硬質基板P1の挿入時には、図9(c)で示す嵌合状態での接触位置を超えてワイピング効果を発揮することができる。したがって、接触部4d4はワイピングによって既に異物が除去されている硬質基板P1の接触面に対して接触して、信頼性の高い導通接触を実現することができる。
【0039】
実施形態の変形例
【0040】
上記実施形態のコネクタ1は、硬質基板P1と嵌合していない状態で、基部4cの可動片4c2が嵌合室2eの底面2e5と接触するものを例示したが、可動片4c2が底面2e5に対して傾斜して底面5e2に対して予め離間しているものとしてもよい。
【0041】
上記実施形態のコネクタ1は、接触部3dが嵌合室2eに突出しており、上面壁2aの挿入ガイド面2a3の延長線上を超えて嵌合室2eの内側に突出するように配置されているが(図9(a)参照)、当該延長線上を超えないものとして形成することもできる。接触部3dが挿入ガイド面2a3の延長線上を超えて位置していると、硬質基板P1を挿入ガイド面2a3に沿わせて挿入した際に接触部3dと接触してしまい、それを押圧して変位させながら挿入する必要があり、そうすると挿入力が高くなってしまう。しかしながら、接触部3dを上面壁2aの挿入ガイド面2a3の延長線上よりも嵌合室2eの内側に突出しないように配置すれば、硬質基板P1を挿入ガイド面2a3に沿って挿入しても接触部3dと接触しないため、軽い力で挿入することができる。
【0042】
上記実施形態のコネクタ1は、230極のものを示したが、平型導体を挿抜する際に複数の端子を撓ませるための挿入力を低減する必要のあるコネクタであれば、それ以外の極数であってもよい。ただし本発明のコネクタ1は前述のようにばね片部4dと可動片4c2とを合わせた全長をばね長として柔らかく撓ませることができ、これにより平型導体の挿入力を低減することができるので、端子数が多ければ多いコネクタほど効果的である。
【符号の説明】
【0043】
1 コネクタ
2 ハウジング
2a 上面壁
2a1 第1の端子取付溝
2a2 隔壁
2a3 挿入ガイド面
2b 側面壁
2c 底面壁
2c1 第2の端子取付溝
2c2 隔壁
2d 背面壁
2e 嵌合室
2e1 開口
2e2 奥壁
2e3 上側嵌合室
2e4 下側嵌合室
2e5 底面
3 第1の端子
3a 基板接続部
3b 縦片部
3c 横片部
3c1 固定部
3d 接触部
4 第2の端子
4a 基板接続部
4b 縦片部
4c 基部
4c1 固定片
4c2 可動片
4d ばね片部
4d1 第1の屈曲部
4d2 伸長部
4d3 第2の屈曲部
4d4 接触部
5 固定金具
P1 硬質基板
P2 実装基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9