(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車線維持制御と軌跡追従制御を行うことが可能な車両が高速道路で軌跡追従制御を行っているときに、先行車両が分岐車線に入り、自車両の前方からいなくなる場合がある。特許文献2によれば、このとき渋滞等で自車両が低速走行していると、運転支援制御が自動的にキャンセルされる。すると、運転者は運転支援を受けられなくなり、運転者の負担が増加する。
【0007】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、走行状態に応じて運転支援制御を適切に行えるようにし、運転者の負担を軽減することができる運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、先行車両を認識する先行車両認識部と、自車両が走行する車線のレーンマークを認識するレーンマーク認識部と、前記先行車両認識部により認識される前記先行車両の軌跡に追従するように前記自車両を制御する軌跡追従制御部と、前記自車両の車速が所定車速以上である場合に、前記レーンマーク認識部により認識される前記レーンマークに沿って車線維持するように前記自車両を制御する車線維持制御部と、を備える運転支援装置において、前記自車両が前記所定車速以上の走行状態に移行することを予測する予測部を更に備え、前記軌跡追従制御部が前記自車両を制御している状態で、前記先行車両が前記先行車両認識部の認識対象から外れ、且つ、前記車速が前記所定車速未満であり、且つ、前記予測部により前記自車両が前記所定車速以上の走行状態に移行することが予測される場合に、前記車線維持制御部が前記自車両を制御することを特徴とする。
【0009】
本発明では、軌跡追従制御部が自車両を制御している状態で、先行車両が先行車両認識部の認識対象から外れ、且つ、車速が所定車速未満であり、且つ、予測部により自車両が所定車速以上の走行状態に移行することが予測される場合に、車線維持制御部が自車両を制御する。本発明によれば、自車両が高速道路で軌跡追従制御を行いつつ低速走行しているときに、先行車両が分岐車線に入る等により自車両前方からいなくなった場合であっても、自車両の運転支援制御が継続して行われる。このため、運転者は運転支援を継続して受けられるようになり、運転者の負担が軽減する。
【0010】
また、本発明において、前記軌跡追従制御部により前記自車両を制御する際に、最大目標車速以下となる前記車速にて前記自車両と前記先行車両との車間を保つように前記自車両の加減速制御を行う先行車両追従制御部を更に備え、前記予測部は、前記最大目標車速と前記所定車速とを比較し、前記最大目標車速が前記所定車速以上である場合に前記自車両が前記所定車速以上の走行状態に移行すると予測するようにしてもよい。
【0011】
本発明によれば、自車両前方から先行車両がいなくなっても、自車両が所定車速以上の走行状態に移行される状況であることを予測でき、自車両の運転支援制御を継続して行える。このため、運転者は運転支援を継続して受けられるようになり、運転者の負担が軽減する。
【0012】
また、本発明において、前記予測部は、前記最大目標車速と前記所定車速との比較を、前記先行車両が前記先行車両認識部の認識対象から外れてから所定猶予時間が経過するまでの間に継続して行うようにしてもよい。
【0013】
本発明によれば、所定猶予時間の間に最大目標車速が変更されることにより自車両が所定車速以上の走行状態に移行される状況であることを予測でき、自車両の運転支援制御を継続して行える。このため、運転者は運転支援を継続して受けられるようになり、運転者の負担が軽減する。
【0014】
また、本発明において、前記所定猶予時間が経過するまでの間は、前記車線維持制御部が前記自車両を制御するようにしてもよい。
【0015】
本発明によれば、予測部が最大目標車速と所定車速との比較を行う所定猶予時間の間に一時的に車線維持制御を行うことができるようになり、運転者の負担が軽減する。
【0016】
また、本発明において、前記予測部は、前記自車両が高速道路に位置している場合に前記自車両が前記所定車速以上の走行状態に移行すると予測するようにしてもよい。
【0017】
本発明によれば、自車両前方から先行車両がいなくなっても、自車両が所定車速以上の走行状態に移行される状況であることを予測でき、自車両の運転支援制御を継続して行える。このため、運転者は運転支援を継続して受けられるようになり、運転者の負担が軽減する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、自車両が高速道路で軌跡追従制御を行いつつ低速走行しているときに、先行車両が分岐車線に入る等により自車両前方からいなくなった場合であっても、自車両の運転支援制御が継続して行われる。このため、運転者は運転支援を継続して受けられるようになり、運転者の負担が軽減する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る運転支援装置について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
[第1実施形態]
<運転支援装置12の構成>
運転支援装置12の構成について、
図1を用いて説明する。運転支援装置12は、カメラ14及びレーダ16により取得される情報に基づいて自車両10の前方の物体及び環境を認識する認識制御部20と、自車両10の操舵に関する処理を行う操舵制御部22と、自車両10の走行に関する処理を行う走行制御部24と、操舵制御部22から出力される操舵指令に応じて動作する操舵部26と、走行制御部24から出力される加速指令に応じて動作する駆動部28と、走行制御部24から出力される減速指令に応じて動作するブレーキ部30と、を有する。
【0022】
カメラ14は自車両10の前方のレーンマークや物体、例えば先行車両92(
図3参照、以下同様)等を撮影して画像情報を取得する。カメラ14としては、単眼カメラやステレオカメラを使用可能である。レーダ16は電磁波や超音波を用いて先行車両92のような自車両10の前方の物体を検出する。レーダ16としては、ミリ波レーダ、マイクロ波レーダ、レーザレーダ、赤外線センサ、超音波センサ等を使用可能である。車速センサ18は自車両10の車速Vを検出する。
【0023】
認識制御部20は、ECUにより構成される。ECUは、マイクロコンピュータを含む計算機であり、CPU(中央処理装置)、メモリであるROM(EEPROMも含む。)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、その他、A/D変換器、D/A変換器等の入出力装置、計時部としてのタイマ等を有する。ECUは、CPUがROMに記録されているプログラムを読み出し実行することで各種機能実現部(機能実現手段)、例えば各種制御部、演算部、及び処理部等として機能する。本実施形態で認識制御部20を構成するECUは、レーンマーク認識部32及び先行車両認識部34として機能する。なお、ECUは複数に分割してもよく、又は、他のECUと統合してもよい。
【0024】
レーンマーク認識部32は、カメラ14により取得される画像情報に基づいて、自車両10の前方の物体及び環境情報を認識するように構成される。レーンマーク認識部32により路面上のレーンマークが認識される。認識処理には周知のアルゴリズムを使用可能である。先行車両認識部34は、カメラ14の画像情報やレーダ16の検出情報に基づいて先行車両92を認識するように構成される。例えばミリ波レーダの反射波に基づいて、自車両10の前方に位置する先行車両92の位置と、自車両10から先行車両92までの距離(以下、車間距離という。)と、自車両10と先行車両92との相対速度等を認識するように構成される。
【0025】
操舵制御部22は、ECUにより構成される。本実施形態で操舵制御部22を構成するECUは、制御管理部(予測部)36、車線維持制御部40及び軌跡追従制御部42として機能する。また、操舵制御部22はタイマ44を備える。制御管理部36は、車速センサ18及び先行車両認識部34から取得する情報に基づいて車線維持制御を行うか、軌跡追従制御を行うか、いずれの運転支援制御も行わないか、を決定するように構成される。更に、制御管理部36は、決定の際に自車両10が高速走行状態に移行するかを所定の予測方法により予測するように構成される。車線維持制御部40は、自車両10をレーンマークに沿って車線維持させるための各種演算を行うように構成される。軌跡追従制御部42は、自車両10を先行車両92の軌跡に追従させるための各種演算を行うように構成される。
【0026】
走行制御部24は、ECUにより構成される。本実施形態で走行制御部24を構成するECUは、車速制御部48として機能する。車速制御部48は、先行車両92が認識される場合に、自車両10の車速Vを先行車両92に合わせて走行させ、且つ、車速Vに応じた車間距離を維持させるための各種演算を行うように構成される。更に走行制御部24は車速記憶部50を備える。車速記憶部50は、軌跡追従制御時に車速Vの上限値となる最大目標車速Vmaxを記憶する。最大目標車速Vmaxは、運転者が操作可能な車速設定スイッチ54の操作により変更可能である。
【0027】
操舵部26、駆動部28、ブレーキ部30は共にECUにより構成される。操舵部26は操舵制御部22から送信される操舵指令に応じてモータ56を動作させる。モータ56はステアリングシャフト(図示せず)を一方向又は他方向に回転させる。駆動部28は走行制御部24から送信される加速指令に応じて駆動源58を動作させる。自車両10がエンジン車両の場合は加速指令に応じてスロットルバルブ等を動作させて、駆動源(エンジン)58を動作させる。自車両10が電動モータを含む電動車両の場合は加速指令に応じて駆動源(電動モータ)58を動作させる。ブレーキ部30は走行制御部24から送信される減速指令に応じてブレーキアクチュエータを動作させて、ブレーキ60を動作させる。
【0028】
<運転支援装置12の運転支援処理>
運転支援装置12で行われる運転支援処理について、
図2及び
図3を用いて説明する。
図2に示す処理は所定時間毎、例えばms(ミリ秒)オーダの極めて短い時間毎に継続して行われる。また、下記一連の処理の前に、制御管理部36は、タイマ44をリセットする。ステップS1にて、カメラ14、レーダ16、車速センサ18は各種情報を検出する。
【0029】
ステップS2にて、認識制御部20は各種認識を行う。レーンマーク認識部32は、カメラ14が取得した画像情報に基づいて所定の認識処理を行い、自車両10が走行するレーンマークを認識する。先行車両認識部34は、レーダ16の検出情報に基づいて所定の認識処理を行い、自車両10の前方に位置する先行車両92の有無を認識する。先行車両認識部34は、先行車両92を認識した場合に、先行車両92の位置と、車間距離と、自車両10と先行車両92との相対速度等を認識する。
【0030】
ステップS3にて、制御管理部36は車速センサ18で検出された自車両10の車速Vが所定車速VH1以上か否かを判定する。本実施形態では自車両10が高速走行している場合、又は、高速走行状態に移行することが予測される場合に車線維持制御が行われるようにしている。自車両10が高速走行していること、又は、高速走行状態に移行することの判定材料には所定車速VH1が用いられる。所定車速VH1としては、例えば高速道路の法定最低速度(日本の場合は50km/s)が設定されている。車速センサ18で検出された車速Vが所定車速VH1以上である場合(ステップS3:YES)、制御管理部36は自車両10が高速道路を高速走行しているものと判定し、車線維持制御部40により車線維持制御を行うよう決定する。そして、ステップS4に移行する。一方、車速センサ18で検出された車速Vが所定車速VH1未満である場合(ステップS3:NO)、制御管理部36は自車両10が高速走行していないものと判定する。そして、ステップS6に移行する。
【0031】
ステップS4にて、制御管理部36は、タイマ44をリセットする。次いで、ステップS5にて、車線維持制御部40は車線維持制御を行う。車線維持制御部40は、自車両10がレーンマークに沿って車線維持できるように、レーンマーク認識部32にて認識されたレーンマークの情報に基づいて、所定の演算処理を行う。例えば、自車両10の基準位置がレーンマークのエッジと一定距離を維持するように、各種演算処理を行う。そして、演算処理により操舵の指令値を求め、操舵指令として操舵部26に送信する。操舵部26は操舵指令に応じてモータ56を回転させる。このようにして、自車両10はレーンマークに沿って車線維持する。
【0032】
車線維持制御の際に、先行車両認識部34で先行車両92が認識されない場合は次のような処理が行われる。車速制御部48は車速記憶部50に記憶される最大目標車速Vmaxと車速センサ18で検出される車速Vとを比較し、車速Vが最大目標車速Vmaxに近づくように各種演算処理を行う。そして、演算処理により加減速の指令値を求め、加速指令又は減速指令として駆動部28又はブレーキ部30に送信する。駆動部28は加速指令に応じて駆動源58を動作させ、ブレーキ部30は減速指令に応じてブレーキ60を動作させる。このようにして、自車両10は最大目標車速Vmaxを維持する。
【0033】
車線維持制御の際に、先行車両認識部34で先行車両92が認識される場合は次のような処理が行われる。車速制御部48は先行車両認識部34にて認識された自車両10から先行車両92までの距離と車速センサ18で検出される車速Vとに基づいて、車速Vに応じた車間距離を維持するように各種演算処理を行う。そして、演算処理により加減速の指令値を求め、加速指令又は減速指令として駆動部28又はブレーキ部30に送信する。駆動部28は加速指令に応じて駆動源58を動作させ、ブレーキ部30は減速指令に応じてブレーキ60を動作させる。このようにして、自車両10は先行車両92との車間を車速Vに応じた距離に維持する。但し、先行車両92の車速又は車速Vが最大目標車速Vmaxを超える場合に、車速制御部48は加速指令を送信しない。このため、自車両10は最大目標車速Vmaxを超えて走行しない。
【0034】
ステップS6にて、制御管理部36は先行車両認識部34の認識結果に基づいて先行車両92があるか否かを判定する。例えば、
図3に示すように、先行車両92の走行位置が走行車線L1上のP1であると、自車両10の先行車両認識部34は先行車両92を認識する。先行車両92を認識する場合(ステップS6:YES)、制御管理部36は先行車両92があるものと判定し、軌跡追従制御部42により軌跡追従制御を行うように決定する。そして、ステップS7に移行する。
【0035】
一方、
図3に示すように、先行車両92が走行車線L1から分岐車線L2に外れるとする。先行車両92の走行位置が分岐車線L2上のP2又はP3であり、更に、新たな先行車両94との車間距離が離れていると、自車両10の先行車両認識部34は先行車両94を認識しない。先行車両92、94を認識しない場合(ステップS6:NO)、制御管理部36は先行車両92、94がないものと判定する。そして、ステップS9に移行する。
【0036】
ステップS7にて、制御管理部36は、タイマ44をリセットする。次いで、ステップS8にて、軌跡追従制御部42は軌跡追従制御を行う。軌跡追従制御部42は、自車両10が先行車両92の軌跡に追従するように、先行車両認識部34にて認識された先行車両92の情報に基づいて、所定の演算処理を行う。例えば、カメラ14が取得した画像情報に基づいて先行車両92を認識し、先行車両92の横位置に基づく軌跡に追従するように、各種演算処理を行う。そして、演算処理により操舵の指令値(例えばモータ56の回転数等)を求め、操舵指令として操舵部26に送信する。操舵部26は操舵指令に応じてモータ56を回転させる。このようにして、自車両10は先行車両92の軌跡に追従する。
【0037】
軌跡追従制御の際に、車速制御部48は先行車両認識部34にて認識された自車両10から先行車両92までの距離と車速センサ18で検出される車速Vとに基づいて、車速Vに応じた車間距離を維持するように各種演算処理を行う。そして、演算処理により加減速の指令値を求め、加速指令又は減速指令として駆動部28又はブレーキ部30に送信する。駆動部28は加速指令に応じて駆動源58を動作させ、ブレーキ部30は減速指令に応じてブレーキ60を動作させる。このようにして、自車両10は先行車両92に追従する。但し、先行車両92の車速又は車速Vが最大目標車速Vmaxを超える場合に、車速制御部48は加速指令を送信しない。このため、自車両10は最大目標車速Vmaxを超えて走行しない。
【0038】
ステップS9にて、タイマ44がリセットされている場合(ステップS9:YES)、すなわちタイマ44がゼロである場合、ステップS10にて、制御管理部36は、タイマ44による計時を開始する。そして、ステップS11に移行する。一方、ステップS9にて、タイマ44がリセットされていない場合(ステップS9:NO)、すなわちタイマ44がゼロでない場合、制御管理部36は、タイマ44をそのままの状態にする。そして、ステップS11に移行する。
【0039】
ステップS11にて、制御管理部36は、軌跡追従制御の際の車速上限である最大目標車速Vmaxが所定車速VH1以上か否かを判定する。車速記憶部50に記憶される最大目標車速Vmaxが所定車速VH1以上である場合(ステップS11:YES)、制御管理部36は、自車両10が所定車速VH1以上の高速走行状態に移行するものと予測する。最大目標車速Vmaxが所定車速VH1以上に設定されているということは、高速走行して先行車両92に追従できる状態である。このとき、制御管理部36は、車線維持制御部40により車線維持制御を行うように決定する。そして、既に説明したステップS5に移行する。一方、車速記憶部50に記憶される最大目標車速Vmaxが所定車速VH1未満である場合(ステップS11:NO)、制御管理部36は、自車両10が所定車速VH1以上の高速走行状態に移行しないものと予測する。そして、ステップS12に移行する。
【0040】
ステップS12にて、制御管理部36は、先行車両92を認識しなくなってからの経過時間が所定の猶予時間Tset(例えば5s)以下か否かを判定する。タイマ44で計時される時間が猶予時間Tset以下である場合(ステップS12:YES)、既に説明したステップS5に移行する。このとき、車線維持制御部40は一時的に車線維持制御を行う。このため、自車両10の前方から先行車両92がいなくなっても、所定の猶予時間Tsetの間は車線維持制御、及び、ステップS1以降の処理が継続して実行される。猶予時間Tsetが経過するまでの間に運転者が車速設定スイッチ54を用いて最大目標車速Vmaxを所定車速VH1以上に再設定する場合がある。この場合は、ステップS11にて、最大目標車速VmaxがVH1以上と判定されるため(ステップS11:YES)、既に説明したステップS5に移行する。
【0041】
一方、最大目標車速Vmaxが所定車速VH1未満のままで、タイマ44で計時される時間が猶予時間Tsetを超えた場合(ステップS12:NO)、ステップS13に移行する。ステップS13にて、制御管理部36は運転支援制御を行わないことを決定する。ステップS14にて、制御管理部36は、タイマ44による計時を停止する。既にタイマ44が停止されている場合は、タイマ44をそのまま停止状態にする。
【0042】
<第1実施形態のまとめ>
本実施形態に係る運転支援装置12は、先行車両92を認識する先行車両認識部34と、自車両10が走行する車線のレーンマークを認識するレーンマーク認識部32と、先行車両認識部34により認識される先行車両92の軌跡に追従するように自車両10を制御する軌跡追従制御部42と、自車両10の車速Vが所定車速VH1以上である場合に、レーンマーク認識部32により認識されるレーンマークに沿って車線維持するように自車両10を制御する車線維持制御部40と、自車両10が所定車速VH1以上の走行状態に移行することを予測する予測部(制御管理部36)を備える。そして、軌跡追従制御部42が自車両10を制御している状態で、先行車両92が先行車両認識部34の認識対象から外れ、且つ、車速Vが所定車速VH1未満であり、且つ、予測部(制御管理部36)により自車両10が所定車速VH1以上の走行状態に移行することが予測される場合に、車線維持制御部40が自車両10を制御する。
【0043】
本実施形態に係る運転支援装置12によれば、自車両10が高速道路で軌跡追従制御を行いつつ低速走行しているときに、先行車両92が分岐車線L2に入る等により自車両10の前方からいなくなった場合であっても、自車両10の運転支援制御が継続して行われる。このため、運転者は運転支援を継続して受けられるようになり、運転者の負担が軽減する。
【0044】
また、本実施形態に係る運転支援装置12は、軌跡追従制御部42により自車両10を制御する際に、最大目標車速Vmax以下となる車速Vにて自車両10と先行車両92との車間を保つように自車両10の加減速制御を行う先行車両追従制御部(走行制御部24)を備える。そして、予測部(制御管理部36)は、最大目標車速Vmaxと所定車速VH1とを比較し、最大目標車速Vmaxが所定車速VH1以上である場合に自車両10が所定車速VH1以上の走行状態に移行すると予測する。
【0045】
本実施形態に係る運転支援装置12によれば、自車両10の前方から先行車両92がいなくなっても、自車両10が所定車速VH1以上の走行状態に移行される状況であることを予測でき、自車両10の運転支援制御を継続して行える。このため、運転者は運転支援を継続して受けられるようになり、運転者の負担が軽減する。
【0046】
また、本実施形態に係る運転支援装置12において、予測部(制御管理部36)は、最大目標車速Vmaxと所定車速VH1との比較を、先行車両92が先行車両認識部34の認識対象から外れてから猶予時間Tsetが経過するまでの間に継続して行う。
【0047】
本実施形態に係る運転支援装置12によれば、猶予時間Tsetの間に最大目標車速Vmaxが変更されることにより自車両10が所定車速VH1以上の走行状態に移行される状況であることを予測でき、自車両10の運転支援制御を継続して行える。このため、運転者は運転支援を継続して受けられるようになり、運転者の負担が軽減する。
【0048】
また、本実施形態に係る運転支援装置12において、猶予時間Tsetが経過するまでの間は、車線維持制御部40が自車両10を制御する。
【0049】
本実施形態に係る運転支援装置12によれば、予測部(制御管理部36)が最大目標車速Vmaxと所定車速VH1との比較を行う猶予時間Tsetの間に一時的に車線維持制御を行うことができるようになり、運転者の負担が軽減する。
【0050】
なお、猶予時間Tsetの間に実行される車線維持制御の結果、自車両10が先行車両94に追いつくと、ステップS2にて、先行車両認識部34が先行車両94を認識できるようになる。ステップS3にて、車速センサ18で検出される自車両10の車速Vが所定車速VH1未満である場合(ステップS3:NO)、ステップS6に移行する。ステップS6では先行車両94があると判定されるため(ステップS6:YES)、ステップS7及びステップS8に移行する。この段階で、制御管理部36は、車線維持制御部40による車線維持制御を停止すると共に、軌跡追従制御部42により軌跡追従制御を行うように決定する。
【0051】
[第2実施形態]
<運転支援装置12aの構成>
運転支援装置12aの構成について、
図4を用いて説明する。運転支援装置12aの多くの構成は
図1に示す運転支援装置12の構成と同じである。このため、同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
運転支援装置12aが運転支援装置12と異なる部分は、制御管理部36aの判定材料である。
図1に示す制御管理部36は、自車両10が所定車速VH1以上の走行状態に移行することを予測する際に、予測の判定材料として車速記憶部50に記憶される最大目標車速Vmaxを用いる。一方、
図4に示す制御管理部36aは、自車両10aが所定車速VH1以上の走行状態に移行することを予測する際に、予測の判定材料として位置情報取得装置64で取得される自車両10aの位置情報を用いる。
【0053】
位置情報取得装置64は、自車両10aの走行位置を取得する。例えば、ナビゲーションシステムや、VICS(登録商標)のような通信情報システムを利用して自車両10aの位置情報を取得可能である。また、路側装置により位置情報を取得することも可能である。
【0054】
<運転支援装置12aの動作>
運転支援装置12aの動作について、
図5を用いて説明する。
図5で示す処理のうち、ステップS21〜ステップS26、ステップS28の処理は、
図2で示すステップS1〜ステップS3、ステップS5、ステップS6、ステップS8、ステップS13の処理と同じである。このためこれらの処理の説明は省略する。
【0055】
ステップS27にて、制御管理部36aは、自車両10aが高速道路を走行しているか否かを判定する。位置情報取得装置64により取得される自車両10aの走行位置が高速道路である場合(ステップS27:YES)、制御管理部36aは、自車両10aが所定車速VH1以上の高速走行状態に移行するものと予測する。走行位置が高速道路ということは、自車両10aが高速道路を渋滞等で低速走行している可能性が高いためである。このとき、制御管理部36aは、車線維持制御部40により車線維持制御を行うように決定する。そして、ステップS5と同処理のステップS24に移行する。一方、走行位置が高速道路でない場合(ステップS27:NO)、制御管理部36aは、自車両10aが所定車速VH1以上の高速走行状態に移行しないものと予測する。そして、ステップS28に移行する。ステップS28にて、制御管理部36aは運転支援制御を行わないことを決定する。
【0056】
<第2実施形態のまとめ>
本実施形態に係る運転支援装置12aにおいて、予測部(制御管理部36a)は、自車両10aが高速道路に位置している場合に自車両10aが所定車速VH1以上の走行状態に移行すると予測する。
【0057】
本実施形態に係る運転支援装置12aによれば、第1実施形態と同等の効果が得られる。
【0058】
[他の実施形態]
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、第1実施形態と第2実施形態を組み合わせて、
図2で示すステップS11、ステップS12の処理と、
図5で示すステップS27の処理の両方を行うことも可能である。
【0059】
また、第1実施形態において、
図2で示すステップS11の処理では所定車速VH1を判定材料として使用しているが、他の所定車速VH2(>VH1)を判定材料として使用することも可能である。
【0060】
また、第1、第2実施形態では、所定車速VH1に高速道路の法定最低速度(日本の場合は50km/s)が設定されている。しかし、別の速度を設定することも可能である。
【0061】
また、第1実施形態において、
図2で示すステップS12の処理を省略することも可能である。
【0062】
また、
図1及び
図4で示す軌跡追従制御部42は、無線通信を介して外部から先行車両92の位置情報を取得して、軌跡追従制御を行うことも可能である。例えば、先行車両92が取得した位置情報(GPS情報等)を、先行車両92から直接的に取得することも可能である。又は、交通インフラ等を介して間接的に取得することも可能である。