(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
(III.詳細な説明)
本発明は、式Iを有する化合物、ならびにカテプシン、特に、カテプシンKまたはカテプシンLの調節が治療上有用である状態の処置においてこれら化合物を使用する組成物および方法を包含する。
【0020】
本明細書で使用される場合、以下の定義は、別段示されなければ、適用されるものとする。
【0021】
「アルキル」とは、1〜10個の炭素原子および好ましくは、1〜6個の炭素原子を有する、一価の飽和脂肪族炭化水素基をいう。この用語は、例示によれば、直鎖状および分枝状の炭化水素基(例えば、メチル(CH
3−)、エチル(CH
3CH
2−)、n−プロピル(CH
3CH
2CH
2−)、イソプロピル((CH
3)
2CH−)、n−ブチル(CH
3CH
2CH
2CH
2−)、イソブチル((CH
3)
2CHCH
2−)、sec−ブチル((CH
3)(CH
3CH
2)CH−)、t−ブチル((CH
3)
3C−)、n−ペンチル(CH
3CH
2CH
2CH
2CH
2−)、およびネオペンチル((CH
3)
3CCH
2−)を含む。
【0022】
「アルコキシ」とは、基、−O−アルキルであって、ここでアルキルは、本明細書で定義されるとおりであるものをいう。アルコキシとしては、例示によれば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、t−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシなどが挙げられる。
【0023】
「アシル」とは、基、H−C(O)−、アルキル−C(O)−、置換されたアルキル−C(O)−、アルケニル−C(O)−、置換されたアルケニル−C(O)−、アルキニル−C(O)−、置換されたアルキニル−C(O)−、シクロアルキル−C(O)−、置換されたシクロアルキル−C(O)−、シクロアルケニル−C(O)−、置換されたシクロアルケニル−C(O)−、アリール−C(O)−、置換されたアリール−C(O)−、ヘテロアリール−C(O)−、置換されたヘテロアリール−C(O)−、複素環式−C(O)−、および置換された複素環式−C(O)−であって、ここでアルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、複素環式、および置換された複素環式が、本明細書で定義されるとおりであるものをいう。アシルは、「アセチル」基、CH
3C(O)−を含む。
【0024】
「アミノ」とは、基、−NH
2をいう。
【0025】
「アリール」または「アル(Ar)」とは、1個の環(例えば、フェニル)または複数の縮合環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有する6〜14個の炭素原子の一価芳香族炭素環式基であって、上記縮合環は、結合点が上記芳香族アリール基の原子を介していることを条件として、芳香族(例えば、2−ベンゾオキサゾリノン、2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−オン−7−イルなど)であってもなくてもよいものをいう。好ましいアリール基としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0026】
「アルケニル」とは、2〜6個の炭素原子および好ましくは、2〜4個の炭素原子を有し、少なくとも1個および好ましくは、1〜2個の部位の二重結合不飽和を有する直鎖状または分枝状の炭化水素基をいう。このような基は、例えば、ビ−ビニル、アリル、およびブタ−3−エン−1−イルとして例示される。そのcis異性体およびtrans異性体、またはこれら異性体の混合物は、この用語内に含まれる。
【0027】
「アルキニル」とは、2〜6個の炭素原子および好ましくは、2〜3個の炭素原子を有し、少なくとも1個および好ましくは、1〜2個の部位の三重結合不飽和を有する直鎖状または分枝状の一価炭化水素基をいう。このようなアルキニル基の例としては、アセチレニル(−C≡CH)およびプロパルギル(−CH
2C≡CH)が挙げられる。
【0028】
「シクロアルキル」とは、1個の環または複数の環(縮合環系、架橋環系、およびスピロ環系を含む)を有する3〜10個の炭素原子の環式アルキル基をいう。適切なシクロアルキル基の例としては、例えば、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなどが挙げられる。
【0029】
「ハロ」または「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードをいい、好ましくは、フルオロまたはメチルをいう。
【0030】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」とは、基、−OHをいう。
【0031】
「ヘテロアリール」とは、1〜10個の炭素原子と、酸素、窒素、および硫黄からなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子とを、環内に有する芳香族環をいう。このようなヘテロアリール基は、1個の環(例えば、ピリジニル、イミダゾリルまたはフリル)または複数の縮合環(例えば、インドリジニル、キノリニル、ベンゾイミダゾリルまたはベンゾチエニル)を有し得、ここで上記縮合環は、結合点が芳香族ヘテロアリール基の原子を介することを条件として、芳香族であってもなくてもよく、そして/またはヘテロ原子を含んでいても含んでいなくてもよい。1つの実施において、上記ヘテロアリール基の窒素環原子および/または硫黄環原子は、必要に応じて、N−オキシド(N→O)、スルフィニル、またはスルホニル部分を提供するように酸化される。好ましいヘテロアリールとしては、ピリジニル、ピロリル、インドリル、チオフェニル、およびフラニルが挙げられる。
【0032】
「複素環」、「複素環式」、「ヘテロシクロアルキル」、および「ヘテロシクリル」とは、1個の環または複数の縮合環(縮合環系、架橋環系およびスピロ環系を含む)を有し、3〜15個の環原子(1〜4個のヘテロ原子を含む)を有する飽和または不飽和の基をいう。これら環原子は、窒素、硫黄、または酸素からなる群より選択され、ここで縮合環系において、上記環のうちの1個以上は、結合点が、非芳香族環を介することを条件として、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり得る。1つの実施において、上記複素環式基の窒素原子および/または硫黄原子は、必要に応じて、N−オキシド、−S(O)−、または−SO
2−部分を提供するように酸化される。
【0033】
複素環およびヘテロアリールの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アゼチジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、ジヒドロインドール、インダゾール、ブリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、フタルイミド、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、チアゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、モルホリニル、チオモルホリニル(チアモルホリニルともいわれる)、1,1−ジオキソチオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジン、テトラヒドロフラニルなど。
【0034】
「ニトロ」とは、基、−NO
2をいう。
【0035】
「ニトロソ」とは、基、−NOをいう。
【0036】
別段示されなければ、本明細書で明示的に定義されていない置換基の命名法は、官能基の末端部分、続いて、結合点に向かって隣り合う官能基を名付けることによって起こる。例えば、置換基「アリールアルキルオキシカルボニル」とは、基、(アリール)−(アルキル)−O−C(O)−をいう。
【0037】
用語「置換された」とは、特定の基またはラジカルを修飾するために使用される場合、上記特定の基またはラジカルの1個以上の水素原子が各々独立して、互いに以下で定義されるとおりの同じまたは異なる置換基で置換されることを意味する。
【0038】
上記特定の基またはラジカルの中の飽和炭素原子上の1個以上の水素の代わりに使用される置換基(1個の炭素上の任意の2個の水素が=O、=NR
70、=N−OR
70、=N
2または=Sで置換され得る)は、別段特定されなければ、−R
60、ハロ、=O、−OR
70、−SR
70、−NR
80R
80、トリハロメチル、−CN、−OCN、−SCN、−NO、−NO
2、=N
2、−N
3、−SO
2R
70、−SO
2O
−M
+、−SO
2OR
70、−OSO
2R
70、−OSO
2O
−M
+、−OSO
2OR
70、−P(O)(O
−)
2(M
+)
2、−P(O)(OR
70)O
−M
+、−P(O)(OR
70)
2、−C(O)R
70、−C(S)R
70、−C(NR
70)R
70、−C(O)O
−M
+、−C(O)OR
70、−C(S)OR
70、−C(O)NR
80R
80、−C(NR
70)NR
80R
80、−OC(O)R
70、−OC(S)R
70、−OC(O)O
−M
+、−OC(O)OR
70、−OC(S)OR
70、−NR
70C(O)R
70、−NR
70C(S)R
70、−NR
70CO
2−M
+、−NR
70CO
2R
70、−NR
70C(S)OR
70、−NR
70C(O)NR
80R
80、−NR
70C(NR
70)R
70および−NR
70C(NR
70)NR
80R
80であり、ここでR
60は、必要に応じて置換されたアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され、各R
70は、独立して、水素またはR
60であり;各R
80は、独立して、R
70であるか、または代わりに、2個のR
80は、それらが結合される窒素原子と一緒になって、5員、6員または7員のヘテロシクロアルキルを形成し、上記ヘテロシクロアルキルは、O、NおよびSからなる群より選択される1〜4個の同じまたは異なるさらなるヘテロ原子を必要に応じて含み得、そのうちのNは、−HまたはC
1−C
3アルキル置換を有し得;そして各M
+は、正味の1個の正電荷を有する対イオンである。各M
+は、独立して、例えば、アルカリイオン(例えば、K
+、Na
+、Li
+);アンモニウムイオン(例えば、
+N(R
60)
4);またはアルカリ土類金属(例えば、[Ca
2+]
0.5、[Mg
2+]
0.5、または[Ba
2+]
0.5であり得る(「下付文字0.5」は、例えば、このような二価のアルカリ土類金属イオンの対イオンのうちの一方が本発明の化合物のイオン化形態であり得、他方が代表的な対イオン(例えば、クロリド)であるか、または本発明の2個のイオン化化合物がこのような二価のアルカリ土類金属イオンの対イオンとして働き得るか、または本発明の二重にイオン化した化合物がこのような二価のアルカリ土類金属イオンの対イオンとして働き得ることを意味する)。具体例として、−NR
80R
80は、−NH
2、−NH−アルキル、N−ピロリジニル、N−ピペラジニル、4N−メチル−ピペラジン−1−イルおよびN−モルホリニルを含むことが意味される。
【0039】
好ましい実施において、好ましい実施において、置換される基は、1個、2個、3個、もしくは4個の置換基、1個、2個、もしくは3個の置換基、1個もしくは2個の置換基、または1個の置換基を有する。
【0040】
上記で定義される全ての置換された基において、置換基を定義することによって起こる(例えば、置換基(これは、それ自体が置換されたアリール基で置換されており、この置換されたアリール基は、置換されたアリール基でさらに置換されている)として置換されたアリール基を有する置換されたアリール基))ポリマーは、本明細書に含むことは意図されないことは、理解される。このような場合において、このような置換の最大数は、3である。例えば、置換されたアリール基の連続置換は、−置換されたアリール−(置換されたアリール)−置換されたアリールに制限される。
【0041】
別段示されなければ、本明細書で明示的に定義されていない置換基の命名法は、官能基の末端部分、続いて、結合点に向かって隣り合う官能基を名付けることによって起こる。例えば、例えば、置換基「アリールアルキルオキシカルボニル」とは、基、(アリール)−(アルキル)−O−C(O)−をいう。
【0042】
「立体異性体」とは、同じ原子結合性を有するが、空間において異なる原子配置を有する化合物に言及する。立体異性体としては、cis−trans異性体、EおよびZ異性体、エナンチオマー、およびジアステレオマーが挙げられる。
【0043】
「互変異性体」とは、原子の電子的結合においておよび/またはプロトンの位置においてのみ異なる分子の交互の形態(例えば、エノール−ケトおよびイミン−エナミン互変異性体)、または−N=C(H)−NH−環原子配置を含むヘテロアリール基の互変異性形態(例えば、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、およびテトラゾール)に言及する。当業者は、他の互変異性環原子配置があり得ることを認識する。
【0044】
「患者」とは、ヒトおよび非ヒト動物(特に、哺乳動物)に言及する。
【0045】
「薬学的に受容可能な塩」とは、化合物の薬学的に受容可能な塩をいい、その塩は、当該分野で周知の種々の有機性および無機性の対イオンから得られ、例示に過ぎないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどを含み;そして上記分子が塩基性官能基を含む場合、有機酸または無機酸の塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩など)を含む。
【0046】
「薬学的に有効な量」および「治療上有効な量」とは、特定の障害もしくは疾患、またはその症状のうちの1つ以上を処置するために、そして/または上記疾患もしくは障害の発生を防止するために十分な化合物の量をいう。腫瘍形成性の増殖性障害および新生物に関しては、薬学的に有効な量または治療上有効な量は、とりわけ、上記腫瘍を縮小させる、または上記腫瘍の増殖速度を低下させるために十分な量を含む。
【0047】
「溶媒和物」とは、溶媒分子と溶質の分子またはイオンとの組み合わせによって形成される複合体をいう。上記溶媒は、有機化合物、無機化合物またはその両方の混合物であり得る。溶媒のいくつかの例としては、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、および水があげられるが、これらに限定されない。
【0048】
同様に、上記の定義が、許されない置換パターン(例えば、5個のフルオロ基で置換されたメチル)を含むとは意図されないことが理解される。このような許されない置換パターンは、当業者によって容易に認識される。
【0049】
本発明は、新規チオセミカルバゾン化合物、ならびに上記化合物を作製するための方法、ならびにカテプシン、特に、カテプシンKおよび/またはカテプシンLの阻害が治療上有用である状態の処置においてこれら化合物を使用する方法を提供する。これら状態としては、新生物、骨粗鬆症、原生動物の寄生生物感染およびウイルス感染が挙げられるが、これらに限定されない。これら状態の重篤度およびこれら状態によって引き起こされる苦痛を考慮すれば、新たな処置がこれら状態を処置するために開発されることは極めて重大である。
【0050】
1つの実施において、本発明は、式Iの化合物、その溶媒和物、または薬学的に受容可能な塩を提供し:
【化7】
ここで
Xは、C(=O)、CH(OR
6)および
【化8】
からなる群より選択され;
nは、0、1、2または3であり;
mは、0、1、2または3であり;
pは、0、1、2または3であり;
R
1は、水素、C
1−C
3アルキル、アリールまたはアリールアルキルであり;
R
2は、水素またはC
1−C
3アルキルであり;
各R
3およびR
5は、ヒドロキシル、C
1−C
3アルキル、C
1−C
2アルコキシ、フルオロ、およびクロロからなる群より独立して選択され;
各R
4は、ヒドロキシル、C
1−C
6アルキル、C
1−C
6アルコキシ、ハロ、アミノ、ニトロ、ニトロソおよびアシルからなる群より独立して選択され;そして
R
6は、水素およびメチルからなる群より選択される。
【0051】
好ましくは、n、mおよびpは、独立して、0または1である。いくつかの実施において、R
1およびR
2は、独立して、水素またはメチルである。特定の実施において、R
1およびR
2はともに、水素である。他の実施において、nは1であり、R
3は、ヒドロキシル、メチル、メトキシ、およびフルオロからなる群より選択される。代替の実施において、pは1であり、R
5は、ヒドロキシル、メチル、メトキシおよびフルオロからなる群より選択される。さらに他の実施において、mは1であり、R
4は、ハロおよびアシルからなる群より選択される。
【0052】
他の実施において、Xは、C(=O)またはCH(OR
6)である。好ましい実施において、Xは、C(=O)である。特定の実施において、mは0である。他の実施において、nは0であり、pは0である。特定の実施において、mは1であり、必要に応じて、R
4は、ハロまたはアシルである。特定の好ましい実施において、R
4は、置換されたアリール−C(O)−または置換されていないアリール−C(O)−であり、より好ましくは、R
4は、ベンゾイルである。特定の実施において、nおよびpの各々は、独立して、0または1であり;そしてR
3およびR
5の各々は、ヒドロキシル、メチル、メトキシおよびフルオロからなる群より独立して選択される。
【0053】
特定の実施において、本発明は、式IIの化合物:
【化9】
を提供し、ここでX、R
3、R
4、R
5、n、mおよびpは、上記で定義されるとおりである。好ましくは、n、mおよびpは、独立して、0または1である。いくつかの実施において、R
1およびR
2はともに、水素である。他の実施において、nは1であり、R
3は、ヒドロキシル、メチル、メトキシ、およびフルオロからなる群より選択される。代替の実施において、pは1であり、R
5は、ヒドロキシル、メチル、メトキシおよびフルオロからなる群より選択される。さらに他の実施において、R
4は、ハロおよびアシルからなる群より選択される。
【0054】
好ましい実施において、本発明は、式II−aの化合物:
【化10】
を提供し、ここでmは、0または1であり、R
3、R
4、R
5、n、およびpは、上記で定義されるとおりである。好ましくは、nおよびpは、独立して、0または1である。他の実施において、nは1であり、R
3は、ヒドロキシル、メチル、メトキシ、およびフルオロからなる群より選択される。代替の実施において、pは1であり、R
5は、ヒドロキシル、メチル、メトキシおよびフルオロからなる群より選択される。好ましい実施において、mは0である。他の実施において、mは1であり、R
4は、ハロおよびアシルからなる群より選択される。
【0055】
さらに別の実施において、本発明は、式II−bの化合物:
【化11】
を提供し、ここでmは、0または1であり、R
3、R
4、R
5、n、およびpは、上記で定義されるとおりである。好ましくは、nおよびpは、独立して、0または1である。好ましい実施において、mは0である。
【0056】
他の実施において、本発明は、式IIIの化合物:
【化12】
を提供し、ここでX、R
3、R
4、R
5、n、mおよびpは、上記で定義されるとおりである。好ましくは、n、mおよびpは、独立して、0または1である。いくつかの実施において、R
1およびR
2はともに、水素である。他の実施において、nは1であり、R
3は、ヒドロキシル、メチル、メトキシ、およびフルオロからなる群より選択される。代替の実施において、pは1であり、R
5は、ヒドロキシル、メチル、メトキシおよびフルオロからなる群より選択される。さらに他の実施において、R
4は、ハロおよびアシルからなる群より選択される。
【0057】
好ましい実施において、本発明は、式III−aの化合物:
【化13】
を提供し、ここでR
3、R
4、R
5、n、mおよびpは、上記で定義されるとおりである。好ましくは、n、mおよびpは、独立して、0または1である。他の実施において、nは1であり、R
3は、ヒドロキシル、メチル、メトキシ、およびフルオロからなる群より選択される。代替の実施において、pは1であり、R
5は、ヒドロキシル、メチル、メトキシおよびフルオロからなる群より選択される。好ましい実施において、mは0である。他の実施において、mは1であり、R
4は、ハロおよびアシルからなる群より選択される。
【0058】
本発明の別の局面は、表1もしくは表2から選択される化合物、またはその溶媒和物、互変異性体、立体異性体および/もしくは薬学的に受容可能な塩を提供する。
【表1】
【表2】
【0059】
種々の置換基の性質に依存して、本発明のチオセミカルバゾン化合物は、塩の形態にあり得る。このような塩としては、薬学的使用に適した塩(「薬学的に受容可能な塩」)、獣医学的用途に適した塩などが挙げられる。このような塩は、当該分野で周知であるように、酸または塩から得られ得る。
【0060】
1つの実施において、上記塩は、薬学的に受容可能な塩である。一般に、薬学的に受容可能な塩は、親化合物の所望の薬理学的活性のうちの実質的に1種以上を保持し、ヒトへの投与に適しているそれら塩である。薬学的に受容可能な塩としては、無機酸または有機酸と形成される酸付加塩が挙げられる。薬学的に受容可能な酸付加塩を形成するために適した無機酸としては、例示によれば、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ヒドロハライド酸(hydrohalide acid)(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸など)、硫酸、硝酸、リン酸など。薬学的に受容可能な酸付加塩を形成するために適した有機酸としては、例示によれば、以下が挙げられるが、これらに限定されない:酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、パルミチン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、アルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸など)、アリールスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、4 クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸など)、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸など。
【0061】
薬学的に受容可能な塩はまた、親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオン)によって置換されるか、または有機塩基(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミン、モルホリノ、ピペリジン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、アンモニアなど)と配位するかのいずれかである場合に形成される塩を含む。
【0062】
上記チオセミカルバゾン化合物およびその塩はまた、当該分野で周知であるように、水和物、溶媒和物およびN−オキシドの形態にあり得る。
【0063】
別の実施において、本発明は、表1もしくは表2に見いだされる化合物、またはその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、もしくは薬学的に受容可能な塩を提供する。
【0064】
システインプロテアーゼは、アンチパラレルβシート構造を介してそれらのタンパク質基質に結合することが公知である。本発明の改善されかつ強力なシステインプロテアーゼインヒビターの発見は、これらプロテアーゼの基質の上記βシートコンホメーションを摸倣し、それらの比較的固い活性部位に十分に合う固い炭素骨格へと上記チオセミカルバゾン官能基の賢明な拡張から生じた(McGrath, et aI. J. Mol. BioI. (1995),247: 251−259; Gillmor, et aI., Protein Science, (1997),6: 1603−1611; Choe, et aI., Bioorg. Med. Chern. Lett. (2005), 13:2141−2156;およびHuang et al., Bioorg. Med. Chern. (2003), 11: 21−29)。実際に、本発明の化合物は、システインプロテアーゼ阻害の驚くほど強力なインヒビターであり、低ナノモル濃度レベル(例えば、10nM以下)のIC50値を有する。よって、本発明の化合物は、寄生生物疾患状態(例えば、マラリア、リーシュマニア症およびトリパノソーマ症(例えば、シャーガス病)の処置において、寄生生物のシステインプロテアーゼ(上記カテプシンL様のシステインプロテアーゼ(例えば、クルザイン)が挙げられる)のインヒビターとして使用され得る。さらに、本発明の化合物はまた、他の哺乳動物の障害(例えば、癌および炎症性障害)の処置において、関連する哺乳動物のシステインプロテアーゼ(カテプシンL、カテプシンB、カテプシンH、カテプシンKおよびカテプシンSが挙げられる)のインヒビターとしての使用が見いだされる。
【0065】
本明細書で記載される化合物は、カテプシンの強力かつ選択的なインヒビターである。この活性の結果として、上記化合物は、カテプシン活性を阻害するために、種々のインビトロ、インビボおよびエキソビボの状況で使用され得る。
【0066】
1つの実施において、上記方法は、上記カテプシンと、上記化合物とを、細胞の中で接触させる工程をさらに包含する。別の実施において、上記接触は、インビボで起こる。別の実施において、上記接触は、インビトロで起こる。
【0067】
別の実施において、本発明は、カテプシンによって媒介される障害を処置するための方法を提供し、上記方法は、その必要な患者に、上記ショウガを処置するために有効な、治療上有効な量の化合物を投与する工程を包含し、ここで上記化合物は、式Iの化合物である。
【0068】
さらに別の実施において、上記カテプシンによって媒介される障害は、カテプシン(例えば、カテプシンKまたはカテプシンL)がアップレギュレートされる癌(例えば、上皮起源および間葉起源両方の癌(とりわけ、乳癌、脳の癌、肺癌、消化管の癌、膵臓癌、結腸直腸癌、黒色腫、および頭頸部癌が挙げられる)である。本発明の化合物はまた、T細胞白血病、胸腺腫、T細胞リンパ腫およびB細胞リンパ腫(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫または形質転換(CD20+)緩慢性リンパ腫)、結腸癌、前立腺癌、卵巣癌(例えば、卵巣上皮癌または原発性腹膜癌)および肺癌(例えば、非小細胞肺癌または小細胞肺癌)のような腫瘍において治療効果を有し得る。
【0069】
本明細書で記載されるチオセミカルバゾン化合物を含む薬学的組成物は、従来の混合、溶解、造粒、糖衣作製、すり潰し、乳化、被包、捕捉または凍結乾燥のプロセスによって製造され得る。上記組成物は、上記活性化合物を薬学的に使用され得る調製物へと加工処理するのを容易にする、1種以上の生理学的に受容可能なキャリア、希釈剤、賦形剤または補助剤を使用して、従来の様式で処方され得る。
【0070】
上記チオセミカルバゾン化合物は、それ自体で上記薬学的組成物に、または本明細書で記載されるように、水和物、溶媒和物、N−オキシドもしくは薬学的に受容可能な塩の形態で処方され得る。代表的には、このような塩は、その対応する遊離酸および遊離塩基より水性溶液中でより溶解性であるが、その対応する遊離酸および遊離塩基より低い溶解度を有する塩もまた、形成され得る。
【0071】
1つの実施において、本発明は、上記のように、本発明の化合物から選択される化合物を含む薬学的処方物を提供する。
【0072】
上記化合物は、種々の処方物および投与量で提供され得る。上記化合物は、薬学的に受容可能な形態(上記化合物がそれ自体で薬学的組成物に、または本明細書で記載されるように、水和物、溶媒和物、N−オキシドもしくは薬学的に受容可能な塩の形態で処方され得る場合を含む)で提供され得る。代表的には、このような塩は、その対応する遊離酸および遊離塩基より水性溶液中でより溶解性であるが、その対応する遊離酸および遊離塩基より低い溶解度を有する塩もまた、形成され得る。
【0073】
1つの実施において、上記化合物は、以前に注記されるように、非毒性の薬学的に受容可能な塩として提供される。本発明の化合物の適切な薬学的に受容可能な塩は、酸付加塩(例えば、塩酸、フマル酸、p−トルエンスルホン酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、炭酸またはリン酸と形成されるもの)を含む。アミン基の塩はまた、四級アンモニウム塩(ここで上記アミノ窒素原子は、適切な有機基(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアラルキル部分)を有する)を含み得る。さらに、本発明の化合物が酸性部分を有する場合、その適切な薬学的に受容可能な塩は、金属塩(例えば、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩;およびアルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム塩またはマグネシウム塩)を含み得る。
【0074】
本発明の薬学的に受容可能な塩は、従来の手段によって、例えば、上記生成物の遊離塩基形態と、適切な酸の1種以上の等価物とを、上記塩が不溶性である溶媒もしくは媒体中で、または真空中で除去される水のような溶媒中で反応させることによって、あるいは凍結乾燥によって、またはいまある塩のアニオンを適切なイオン交換樹脂上の別のアニオンで交換することによって、形成され得る。
【0075】
本発明は、その範囲内に、上記チオセミカルバゾン化合物の溶媒和物およびその塩(例えば、水和物)を含む。
【0076】
上記チオセミカルバゾン化合物は、1個以上の不斉中心を有し得、よって、エナンチオマーおよびジアステレオマーの両方として存在し得る。全てのこのような異性体およびこれらの混合物が本発明の範囲内に包含されることは、理解されるべきである。
【0077】
上記チオセミカルバゾン化合物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、槽内の注射もしくは注入、皮下注射、またはインプラント)によって、吸入スプレー、鼻、膣、直腸、舌下、尿道(例えば、尿道坐剤)もしくは局所の投与経路(例えば、ゲル、軟膏剤、クリーム剤、エアロゾルなど)によって、投与され得、単独でまたは一緒に、各投与経路に適した従来の非毒性の薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、賦形剤およびビヒクルを含む適切な投与単位処方物に処方され得る。温血動物(例えば、マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サルなど)の処置に加えて、本発明の化合物は、ヒトにおいて有用であり得る。
【0078】
上記チオセミカルバゾン化合物の投与のための薬学的組成物は、簡便なことには、投与単位形態で提示され得、薬学分野で周知の方法のうちのいずれかによって調製され得る。上記薬学的組成物は、例えば、上記活性成分を、液体キャリアもしくは微細に分割された固体キャリアまたはその両方と均一にかつ密に会合した状態にし、次いで、必要であれば、所望の処方物へと上記生成物を形作ることによって、調製され得る。上記薬学的組成物において、上記活性な目的の化合物は、所望の治療効果を生じるために十分な量で含まれる。例えば、本発明の薬学的組成物は、実質的に任意の投与様式(例えば、局所、眼、経口、口内、全身、鼻、注射、経皮、直腸、膣などが挙げられる)に適した形態、または吸入(inhalation or insufflation)による投与に適した形態をとり得る。
【0079】
局所投与のために、本発明の化合物は、当該分野で周知であるように、液剤、ゲル、軟膏剤、クリーム剤、懸濁物などとして処方され得る。
【0080】
全身用処方物は、注射、例えば、皮下、静脈内、筋肉内、髄膜下または腹腔内の注射による投与のために設計したもの、ならびに経皮、経粘膜、経口または肺への投与のために設計したものを含む。
【0081】
有用な注射用調製物としては、水性または油性のビヒクル中の上記活性化合物の無菌懸濁物、溶液またはエマルジョンを含む。上記組成物はまた、処方剤(formulating agent)(例えば、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤)を含み得る。上記注射用処方物は、単位投与形態で、例えば、アンプルまたは複数用量容器で提示され得、追加の保存剤を含み得る。
【0082】
あるいは、上記注射用処方物は、適切なビヒクル(滅菌の発熱物質を含まない水、緩衝液、デキストロース溶液などが挙げられるが、これらに限定されない)で使用前に再構成するための粉末形態で提供され得る。この目的のために、上記活性化合物は、任意の当該分野で公知の技術(例えば、凍結乾燥)によって乾燥され得、使用前に再構成され得る。
【0083】
経粘膜投与のために、透過される予定の障壁に適した透過剤が、処方物中で使用される。個の様な透過剤は、当該分野で公知である。
【0084】
経口投与のために、上記薬学的組成物は、薬学的に受容可能な賦形剤(例えば、結合剤(例えば、α化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロースまたはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはグリコール酸デンプンナトリウム);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム))とともに従来の手段で調製される、例えば、ロゼンジ、錠剤またはカプセル剤の形態をとり得る。上記錠剤は、当該分野で周知の方法によって、例えば、糖、フィルムまたは腸溶性コーティングで被覆され得る。さらに、経口での使用に適した形態で、上記活性成分として2,4−置換されたピリミジンジアミン(pyrmidinediamine)を含む薬学的組成物としてはまた、例えば、トローチ、ロゼンジ、水性または油性の懸濁物、分散性の散剤または粒剤、エマルジョン、硬質もしくは軟質のカプセル剤、またはシロップ剤もしくはエリキシル剤が挙げられ得る。経口での使用が意図された組成物は、薬学的組成物の製造のために当該分野で公知の任意の方法に従って調製され得、このような組成物は、薬学的に精密なかつ口に合う調製物を提供するために、甘味剤、矯味矯臭剤、着色剤および保存剤からなる群より選択される1種以上の薬剤を含み得る。錠剤は、錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に受容可能な賦形剤と混合した状態の活性成分を含む。これら賦形剤は、例えば、不活性希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム);造粒および崩壊剤(例えば、コーンスターチ、またはアルギン酸);結合剤(例えば、デンプン、ゼラチンまたはアカシア);および滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク)であり得る。上記錠剤は、被覆されていなくてもよいし、それらは、消化管での崩壊および吸収を遅延させ、それによって、より長期間にわたって持続した作用を提供する公知の技術によって被覆されていてもよい。例えば、時間遅延物質(time delay material)(例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリル)が使用され得る。それらはまた、制御放出のための浸透性治療用錠剤を形成するために、米国特許第4,256,108号;同第4,166,452号;および同第4,265,874号に記載される技術によって被覆され得る。本発明の薬学的組成物はまた、水中油型エマルジョンの形態にあり得る。
【0085】
経口投与のための液体調製物は、例えば、エリキシル剤、液剤、シロップ剤もしくは懸濁物の形態をとり得るか、またはそれらは、使用前に水もしくは他の適切なビヒクルで再構成するための乾燥生成物として提示され得る。このような液体調製物は、薬学的に受容可能な添加剤(例えば、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素化食用脂);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール、cremophoreTMまたは分画植物性油);および保存剤(例えば、pヒドロキシ安息香酸メチル、またはpヒドロキシ安息香酸プロピル、またはソルビン酸))とともに従来の手段によって調製され得る。上記調製物はまた、適切な場合、緩衝化塩、保存剤、矯味矯臭剤、着色剤および甘味剤を含み得る。
【0086】
経口投与のための調製物は、周知であるように、上記活性化合物の制御された放出を与えるように適切に処方され得る。
【0087】
口内投与のために、上記組成物は、従来の様式で処方された錠剤またはロゼンジの形態をとり得る。
【0088】
直腸および膣の投与経路のために、上記活性化合物は、液剤(停留浣腸のために)、従来の坐剤用基剤(例えば、カカオ脂または他のグリセリド)を含む坐剤または軟膏剤として処方され得る。
【0089】
鼻投与または吸入(inhalation or insufflation)による投与のために、上記活性化合物は、簡便には、加圧パックまたはネブライザからのエアロゾルスプレーの形態で、適切なプロペラント、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、フルオロカーボン、二酸化炭素または他の適切なガスを使用して、送達され得る。加圧エアロゾルの場合、その投与単位は、計量された量を送達するためにバルブを提供することによって決定され得る。吸入器(inhaler or insufflator)で使用するためのカプセルまたはカートリッジ(例えば、ゼラチンから構成されるカプセルおよびカートリッジ)が処方され得る(上記化合物および適切な粉末基剤(例えば、ラクトースまたはデンプン)の粉末混合物を含む)。
【0090】
上記薬学的組成物は、滅菌した水性または油性の注射用懸濁物の形態にあり得る。この懸濁物は、上記で言及したそれら適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して公知の技術に従って処方され得る。上記滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁物であり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。上記チオセミカルバゾン化合物はまた、上記薬物の直腸投与または尿道投与のために坐剤の形態で投与され得る。特定の実施において、上記化合物は、尿道坐剤として、例えば、受精能状態、特に男性におけるものの所において使用するために、例えば、精巣機能不全の処置のために、処方され得る。
【0091】
本発明によれば、チオセミカルバゾン化合物は、直腸投与または尿道投与に適した医薬を含む、組成物または医薬を製造するために使用され得る。本発明はまた、坐剤を含む尿道投与または直腸投与に適した形態で、チオセミカルバゾン化合物を含む組成物を製造するための方法に関する。
【0092】
局所使用のために、上記チオセミカルバゾン化合物を含む、クリーム剤、軟膏剤、ゼリー剤、ゲル、液剤または懸濁物などが、使用され得る。特定の実施において、上記チオセミカルバゾン化合物は、ポリエチレングリコール(PEG)との局所投与のために処方され得る。これら処方物は、必要に応じて、さらなる薬学的に受容可能な成分(例えば、希釈剤、安定化剤および/またはアジュバント)を含み得る。特定の実施において、上記局所処方物は、本明細書で記載されるものの中でも、乾癬、接触性皮膚炎およびアトピー性皮膚炎を含む、アレルギー状態および/または皮膚状態の処置のために処方される。
【0093】
本発明によれば、チオセミカルバゾン化合物は、局所投与に適した医薬を含む、組成物または医薬を製造するために使用され得る。本発明はまた、局所投与に適した形態にあるチオセミカルバゾン化合物を含む組成物を製造するための方法に関する。
【0094】
本発明によれば、チオセミカルバゾン化合物はまた、当該分野で公知の種々の吸入デバイスおよび方法のうちのいずれかによって送達され得る(例えば:米国特許第6,241,969号;同第6,060,069号;同第6,238,647号;同第6,335,316号;同第5,364,838号;同第5,672,581号;WO96/32149;WO95/24183;米国特許第5,654,007号;同第5,404,871号;同第5,672,581号;同第5,743,250号;同第5,419,315号;同第5,558,085号;WO98/33480;米国特許第5,364,833号;同第5,320,094号;同第5,780,014号;同第5,658,878号;同第5,518,998号;同第5,506,203号;同第5,661,130号;同第5,655,523号;同第5,645,051号;同第5,622,166号;同第5,577,497号;同第5,492,112号;同第5,327,883号;同第5,277,195号;米国特許公開番号20010041190;同第20020006901;および同第20020034477が挙げられる)。
【0095】
上記チオセミカルバゾン化合物の特定の例を投与するために使用され得るデバイスの中には、are 当該分野で周知のもの(例えば、用量計量吸入器、液体ネブライザ、乾燥粉末吸入器、スプレー用容器、サーマルベポライザーなどが含まれる。特定のチオセミカルバゾン化合物の投与のための他の適切な技術は、電気流体力学式エアロゾル生成器を含む。
【0096】
さらに、上記吸入デバイスは、好ましくは、使用しやすい、簡便に持ち運びするのに十分小さい、複数用量を提供し得る、および耐久性があるという意味で実用的である。市販の吸入デバイスのうちのいくつかの具体例は、Turbohaler(Astra, Wilmington, DE)、Rotahaler(Glaxo, Research Triangle Park, NC)、Diskus(Glaxo, Research Triangle Park, NC)、Ultraventネブライザ(Mallinckrodt)、Acorn IIネブライザ(Marquest Medical Products, Totowa, NJ)、Ventolin用量計量吸入器(Glaxo, Research Triangle Park, NC)などである。1つの実施において、チオセミカルバゾン化合物は、乾燥粉末吸入器またはスプレー用容器によって送達され得る。
【0097】
当業者が認識するように、チオセミカルバゾン化合物の処方物、送達される処方物の量、および単一用量の投与の継続期間は、使用される吸入デバイスのタイプおよび他の要因に依存する。ネブライザのようないくつかのエアロゾル送達システムに関して、投与頻度および上記システムが作動される時間の長さは、上記エアロゾル中のチオセミカルバゾン化合物の濃度に主に依存する。例えば、投与期間が短いほど、ネブライザ溶液中でより高濃度のチオセミカルバゾン化合物が使用され得る。用量計量吸入器のようなデバイスは、より高いエアロゾル濃度を生じ得、いくつかの実施において、所望の量のチオセミカルバゾン化合物を送達するためにより短い期間にわたって作動され得る。乾燥粉末吸入器のようなデバイスは、所定の薬剤の投入量が、上記デバイスから排出されるまで活性薬剤を送達する。このタイプの吸入器において、所定の粉末の量の2 チオセミカルバゾン化合物の量は、単一の投与で送達される用量を決定する。チオセミカルバゾンの処方物は、選択された吸入デバイスで所望の粒度を生じるように選択される。
【0098】
乾燥粉末吸入器からの投与のためのチオセミカルバゾン化合物の処方物は、代表的には、チオセミカルバゾン化合物を含む微細に分割した乾燥粉末を含み得るが、上記粉末はまた、バルク剤、緩衝化剤、キャリア、賦形剤、別の添加剤などを含み得る。添加剤は、チオセミカルバゾン化合物の乾燥粉末処方物中に、例えば、特定の粉末吸入器からの送達のために必要とされる場合粉末を希釈するために、上記処方物の加工処理を容易にするために、有利な粉末特性を上記処方物に提供するために、上記吸入デバイスからの上記粉末の分散を促進するために、上記処方物を安定化するために(例えば、抗酸化剤または緩衝化剤)、上記処方物に味をもたらすなどのために含まれ得る。代表的な添加剤としては、モノサッカリド、ジサッカリド、およびポリサッカリド;糖アルコールおよび他のポリオール(例えば、ラクトース、グルコース、ラフィノース、メレジトース、ラクチトール、マルチトール、トレハロース、スクロース、マンニトール、デンプン、またはこれらの組み合わせ);界面活性剤(例えば、ソルビトール、ジホスファチジルコリン、またはレシチン);などが挙げられる。
【0099】
本発明はまた、吸入による投与に適したチオセミカルバゾン化合物を含む薬学的組成物に関する。本発明によれば、チオセミカルバゾン化合物は、吸入による投与に適した医薬を含む、組成物または医薬を製造するために使用され得る。本発明はまた、吸入による投与を含む、投与に適した形態にあるチオセミカルバゾン化合物を含む組成物を製造するための方法に関する。例えば、乾燥粉末処方物は、従来技術(例えば、上記で言及した刊行物のうちのいずれか、および例えば、Baker, et al., 米国特許第5,700,904号に記載される)を使用して、いくつかの方法で製造され得る。下気道での最大沈着に適したサイズ範囲の粒子は、微粉化、製粉などによって作製され得る。そして液体処方物は、上記チオセミカルバゾン化合物を適切な溶媒(例えば、水)の中に適切なpH(緩衝化剤または他の賦形剤を含む)で溶かすことによって、製造され得る。
【0100】
本明細書で記載されるチオセミカルバゾン化合物を含む薬学的組成物は、従来の混合、溶解、造粒、糖衣作製、すり潰し、乳化、被包、捕捉または凍結乾燥のプロセスによって製造され得る。上記組成物は、薬学的に使用され得る調製物へと上記活性化合物の加工処理を容易にする、1種以上の生理学的に受容可能なキャリア、希釈剤、賦形剤または補助剤を使用して従来の様式で処方され得る。
【0101】
眼への投与のために、上記チオセミカルバゾン化合物は、眼への投与に適した、液剤、エマルジョン、懸濁物などとして処方され得る。眼に化合物を投与するために適した種々のビヒクルは、当該分野で公知である。具体的な非限定的例は、米国特許第6,261,547号;同第6,197,934号;同第6,056,950号;同第5,800,807号;同第5,776,445号;同第5,698,219号;同第5,521,222号;同第5,403,841号;同第5,077,033号;同第4,882,150号;および同第4,738,851号に記載される。
【0102】
長期間の送達のために、上記チオセミカルバゾン化合物は、移植物または筋肉内注射による投与のためのデポー調製物として処方され得る。上記活性成分は、適切なポリマー物質、または疎水性物質(例えば、受容可能な油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂とともに、または溶解性が乏しい誘導体として、例えば、溶解性が乏しい塩として、処方され得る。あるいは、経皮吸収のために上記活性化合物をゆっくりと放出する接着性ディスクまたはパッチとして製造される経皮送達システムが、使用され得る。この目的のために、浸透増強剤が、上記活性化合物の経皮浸透を促進するために使用され得る。適切な経皮パッチは、例えば、米国特許第5,407,713号;同第5,352,456号;同第5,332,213号;同第5,336,168号;同第5,290,561号;同第5,254,346号;同第5,164,189号;同第5,163,899号;同第5,088,977号;同第5,087,240号;同第5,008,110号;および同第4,921,475号に記載される。
【0103】
あるいは、他の薬学的送達システムが使用され得る。リポソームおよびエマルジョンは、活性化合物を送達するために使用され得る送達ビヒクルの周知の例である。特定の有機溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO))もまた使用され得るが、通常は、毒性がより高いとい犠牲を払って使用され得る。
【0104】
上記薬学的組成物は、所望であれば、上記活性化合物を含む1以上の単位投与形態を含み得るパックまたはディスペンサーデバイスで提示され得る。上記パックは、例えば、金属またはプラスチックのホイルを含み得る(例えば、ブリスターパック)。上記パックまたはディスペンサーデバイスは、投与説明書によって達成され得る。
【0105】
投与される化合物の量は、種々の要因(例えば、処置されている特定の状態、投与様式、処置されている状態の重篤度、ならびに患者の年齢および体重、特定の活性化合物のバイオアベイラビリティーなどが挙げられる)に依存する。有効な投与量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0106】
当業者に公知であるように、チオセミカルバゾン化合物の好ましい投与量はまた、処置されている固体の年齢、体重、全身的な健康状態および状態の重篤度に依存する。投与量はまた、上記固体の性別および/または吸入によって投与される場合、上記個体の肺容量に合わせて調整することが必要であり得る。投与量はまた、1つより多くの状態を被っている個体、または肺容量および通常どおりに呼吸する能力に影響を及ぼすさらなる状態(例えば、肺気腫、気管支炎、肺炎、呼吸器感染など)を有する個体に合わせて調整され得る。上記化合物の投与量、および投与頻度はまた、上記化合物が状態の急性エピソードの処置のために、または障害の予防的処置のために処方され得る場合に依存する。例えば、アレルギー状態の急性エピソードとしては、アレルギー関連喘息、移植片拒絶などが挙げられる。熟練開業医は、特定の個体の最適な用量を決定し得る。
【0107】
予防的投与のために、上記化合物は、以前に記載された状態のうちの1つを発生させるリスクがある患者に投与され得る。例えば、患者が特定の薬物に対してアレルギー性であるか否かが未知である場合、上記化合物は、上記薬物に対するアレルギー応答を回避または改善するために、上記薬物投与前に投与され得る。あるいは、予防的投与は、根底にある障害が診断された患者において症状の始まりを回避するために適用され得る。例えば、化合物は、上記アレルゲンに対して予測される曝露の前に、アレルギーに苦しんでいるひとに投与され得る。化合物はまた、上記障害の始まりを防止するために、上記の疾患のうちの1つに対して知られた因子に繰り返し曝露される健康な個体に、予防的に投与され得る。例えば、化合物は、健康な個体がアレルギーを発生させないようにする試みにおいて、アレルギーを誘導することが公知のアレルゲン(例えば、ラテックス)に繰り返し曝露される上記個体に投与され得る。あるいは、化合物は、喘息エピソードの重篤度を低下させるかまたは喘息エピソードを全体的に回避するために、喘息発作を誘発する活動に参加する前に、喘息に罹患している患者に投与され得る。
【0108】
投与される化合物の量は、種々の要因(例えば、処置されている特定の適応症、投与様式、所望の利益が予防的であるか治療的であるか、処置されている適応症の重篤度、ならびに患者の年齢および体重、特定の活性化合物のバイオアベイラビリティーなどが挙げられる)に依存する。有効な投与量の決定は、十分に、当業者の能力の範囲内である。
【0109】
有効な投与量は、インビトロアッセイから最初に概算され得る。例えば、動物で使用するための最初の投与量は、インビトロアッセイで測定される場合、活性化合物のIC
50以上である上記特定の化合物の循環血中濃度または血清濃度を達成するように処方され得る。上記特定の化合物のバイオアベイラビリティーを考慮して、このような循環血中濃度または血清濃度を達成するように投与量を計算することは、十分に当業者の能力の範囲内である。ガイダンスのために、読み手には、Fingl & Woodbury, 「General Principles」, In: Goodman and Gilman’s The Pharmaceutical Basis of Therapeutics, Chapter 1, pp. 1−46, 最新版, Pergamagon Press、およびそこで引用される参考文献が参照される。
【0110】
最初の投与量はまた、インビボデータ(例えば、動物モデル)から概算され得る。上記の種々の疾患を処置または予防するための化合物の効力を試験するために有用な動物モデルは、当該分野で周知である。過敏症またはアレルギー反応の適切な動物モデルは、Foster, (1995) Allergy 50(21Suppl):6−9, discussion 34−38およびTumas et al., (2001), J. Allergy Clin. Immunol.107(6):1025−1033に記載される。アレルギー性鼻炎の適切な動物モデルは、Szelenyi et al., (2000), Arzneimittelforschung 50(11):1037−42; Kawaguchi et al., (1994), Clin. Exp. Allergy 24(3):238−244およびSugimoto et al., (2000), Immunopharmacology 48(1):1−7に記載される。アレルギー性結膜炎の適切な動物モデルは、Carreras et al., (1993), Br. J. Ophthalmol. 77(8):509−514; Saiga et al., (1992), Ophthalmic Res. 24(1):45−50;およびKunert et al., (2001), Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 42(11):2483−2489に記載される。全身性肥満細胞症の適切な動物モデルは、O’Keefe et al., (1987), J. Vet. Intern. Med. 1(2):75−80およびBean−Knudsen et al., (1989), Vet. Pathol. 26(1):90−92に記載される。高IgE症候群の適切な動物モデルは、Claman et al., (1990), Clin. Immunol. Immunopathol. 56(1):46−53に記載される。B細胞リンパ腫の適切な動物モデルは、Hough et al., (1998), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:13853−13858およびHakim et al., (1996), J. Immunol. 157(12):5503−5511に記載される。アトピー性障害(例えば、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹およびアトピー性喘息)の適切な動物モデルは、Chan et al., (2001), J. Invest. Dermatol. 117(4):977−983およびSuto et al., (1999), Int. Arch. Allergy Immunol. 120(Suppl 1):70−75に記載される。移植片拒絶の適切な動物モデル(例えば、HVGRのモデル)は、O’Shea et al., (2004), Nature Reviews Drug Discovery 3:555−564; Cetkovic−Curlje & Tibbles, (2004), Current Pharmaceutical Design 10:1767−1784;およびChengelian et al., (2003), Science 302:875−878に記載される。当業者は、ヒト投与に適した投与量を決定するためにこのような情報を慣用的に適合させ得る。
【0111】
投与量は、代表的には、約0.0001または0.001または0.01mg/kg/日〜約100mg/kg/日の範囲にあるが、とりわけ、上記化合物の活性、そのバイオアベイラビリティー、投与様式および上記で考察される種々の要因に依存して、より高くてもより低くてもよい。投与量および間隔は、治療効果または予防効果を維持するために十分である上記化合物の血漿レベルを提供するために個々に調節され得る。例えば、上記化合物は、とりわけ、投与様式、処置されている具体的な適応症および処方する医師の判断に依存して、1週間に1回、1週間に数回(例えば、1日おき)、1日に1回または1日に複数回投与され得る。局部投与または選択的取り込み(例えば、局部局所投与(local topical administration))の場合に、活性化合物の有効局部濃度は、血漿濃度に関連しなくてもよい。当業者は、過度の実験無くして、有効な局部投与量を最適化し得る。
【0112】
好ましくは、上記化合物は、実質的に毒性を引き起こすことなく、治療利益または予防利益を提供する。上記化合物の毒性は、標準的薬学手順を使用して決定され得る。毒性効果と治療(または予防)効果との間の用量比は、治療指数である。高い治療指数を示す化合物は、好ましい。
【0113】
上記チオセミカルバゾンまたは上記化合物を含む薬学的処方物の投与のためのキットもまた提供され、上記キットは、本明細書で開示されるとおりの、少なくとも1つのチオセミカルバゾンまたは少なくとも1つのチオセミカルバゾンを含む組成物の投与量を含み得る。キットは、上記化合物の適切なパッケージングおよび/または使用説明書をさらに含み得る。キットはまた、上記少なくとも1つのチオセミカルバゾンまたは少なくともチオセミカルバゾンを含む組成物の送達のための手段(例えば、吸入器、スプレーディスペンサー(例えば、鼻スプレー)、注射用シリンジまたはカプセル剤、錠剤、坐剤のプレッシャーパック(pressure pack)、または本明細書で記載されるとおりの他のデバイスを含み得る。
【0114】
さらに、本発明の化合物は、キットの形態で組み立てられ得る。上記キットは、上記化合物および投与用の組成物を調製するための試薬を提供する。上記組成物は、乾燥もしくは凍結乾燥形態、または溶液、特に滅菌溶液形態にあり得る。上記組成物が乾燥形態にある場合、上記試薬は、液体処方物を調製するための薬学的に受容可能な希釈剤を含み得る。上記キットは、上記組成物を投与または分与するためのデバイス(シリンジ、ピペット、経皮パッチ、または吸入器が挙げられるが、これらに限定されない)を含み得る。
【0115】
上記キットは、本明細書で記載される化合物と関連した使用のための他の治療用化合物を含み得る。1つの実施において、上記治療剤は、免疫抑制剤または抗アレルゲン化合物である。これら化合物は、別個の形態で提供されてもよいし、本発明の化合物と混合されていてもよい。
【0116】
上記キットは、上記組成物の調製および投与、上記組成物の副作用ならびに任意の他の関連情報のための適切な説明書を含む。上記説明書は、任意の適切な形態にあり得る(印刷物、ビデオテープ、コンピューター読み取り可能なディスク、または光学ディスクが挙げられるが、これらに限定されない)。
【0117】
1つの実施において、本発明は、本発明の化合物から選択される化合物、パッケージング、および使用説明書を含むキットを提供する。
【0118】
長期間(例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、または8週間、またはそれより長く)にわたって個体に有効な処置を提供するために、チオセミカルバゾンまたは組成物の十分な投与量を含むキットがまた、提供され得る。
【0119】
上記でまとめられた実施が、上記で明示的に記載されていないさらなる実施を生じるように、任意の適切な組み合わせで一緒に使用され得ること、およびこのような実施が本発明の一部であるとみなされることは、当業者によって認識される。
【実施例】
【0120】
(IV.実施例)
本発明は、以下の実施例を参照することによってさらに理解される。これら実施例は、本発明を例示するに過ぎないことが意図される。本発明は、例示される実施形態によって範囲が限定されるのではなく、上記実施形態が本発明の1つの局面の例証として意図されるに過ぎない。機能的に等価な任意の方法は、本発明の範囲内である。本明細書で記載されるものに加えて、本発明の種々の改変は、前述の説明および添付の図面から当業者に明らかになる。このような改変は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入る。以下の略語は、注記されるとおりに使用した(表3):
【表3】
(A. 1,4−ジベンゾイルベンゼン(1))
【化14】
【0121】
三塩化アルミニウム(1.37g, 10.33mmol)を、無水ジクロロメタンおよび過剰なベンゼン中の二塩化テレフタロイル(1.0g, 4.42mmol)の溶液に添加した。12時間にわたって室温において窒素ガスの不活性雰囲気下で撹拌した後、上記反応混合物を、10% HCl(50mL)で処理し、上記生成物を、酢酸エチルで抽出した(3×20mL)。その合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。上記有機層を減圧下で濃縮した後、フラッシュクロマトグラフィーを使用する精製(シリカゲル, ヘキサン:酢酸エチル, 80:20)から、1,4−ジベンゾイルベンゼン 1(0.405g, 1.41mmol)を32%収率で得た。
(B. 3−ベンゾイルベンゾフェノンチオセミカルバゾン(3)、2−[(3−ベンゾイルフェニル)(フェニル)メチレン]−N−メチルヒドラジンカルボチオアミド(27)、および2−[(3−ベンゾイルフェニル)(フェニル)メチレン]−1−メチルヒドラジンカルボチオアミド(28))
【化15】
【0122】
p−トルエンスルホン酸(0.026g, 0.02mmol)を、無水メタノール(20mL)中の1,3 ジベンゾイルベンゼン 2(2.00g, 6.98mmol)の溶液に添加した。還流しながら10分間にわたって撹拌した後、チオセミカルバジド(0.476g, 5.235mmol)を上記反応混合物に添加し、26時間にわたって窒素ガスの不活性雰囲気下で撹拌した。26時間後、メタノールを減圧下で除去し、次いで、50mLの水を添加した。上記生成物を酢酸エチルで抽出し(2×50mL)、その合わせた有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、上記溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィーを使用する精製(シリカゲル, ヘキサン:酢酸エチル, 勾配 90:10〜52:48)から、3−ベンゾイルベンゾフェノンチオセミカルバゾン 3(0.829g, 5.235mmol)を淡黄色固体として44%収率で得た。HRMS (ESI) 計算値 C
21H
17N
3OSH
+ (M+H)
+ 360.11651, 実測値 360.11654。単離された生成物 3は、300および320nmでのHPLCによれば、99.3%純粋であった;保持時間 7.225(方法: 0〜25分, 50〜100% アセトニトリル, 50〜0% 水)。この精製した生成物を、生物学的試験に供した。
【0123】
化合物27および28は、化合物3の合成で得られた副生成物である。HRMS (ESI) 計算値 C
22H
20ON
3SH
+ (M+H) 374.1322, 実測値 374.1324。化合物27および28の単離収率は、それぞれ、2.5%および2.4%であった。メチル基の結合位置は、確認されなかった。
(C. 4−ベンゾイルベンゾフェノンチオセミカルバゾン(4))
【化16】
【0124】
触媒量のp−トルエンスルホン酸を、無水メタノール(10mL)中の1,4 ジベンゾイルベンゼン 1(0.286g, 1mmol)の溶液に添加した。還流しながら10分間にわたって撹拌した後、チオセミカルバジド(0.182g, 2mmol)を上記反応混合物に添加し、12時間にわたって窒素ガスの不活性雰囲気下で撹拌した。12時間後、メタノールを減圧下で除去し、次いで、10mLの水を添加した。上記生成物を酢酸エチルで抽出し(2×20mL)、その合わせた有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、上記溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィーを使用する精製(シリカゲル, ヘキサン:酢酸エチル, 勾配 70:30)から、4−ベンゾイルベンゾフェノンチオセミカルバゾン 4(0.012g, 0.033mmol)を3.3%収率で得た。HRMS (ESI) 計算値 C
21H
17N
3OSH
+ (M+H)
+ 360.11651, 実測値 360.11649。
(D. 3−ベンゾイルベンズヒドロールチオセミカルバゾン(6))
【化17】
【0125】
1,3 ジベンゾイルベンゼン 2(2.00g, 6.98mmol)を、無水エタノール(20mL)中、窒素ガスの不活性雰囲気下で溶解した。上記反応混合物を、0℃へと冷却し、続いて、水素化ホウ素ナトリウム(0.090g, 2.094mmol)を添加した。上記反応混合物を4時間にわたって撹拌し、少量の水を添加してクエンチした。上記反応混合物を減圧下で濃縮し、上記生成物を、水から酢酸エチルで抽出した(2×50mL)。その合わせた有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、上記溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィーを使用する精製(シリカゲル, ヘキサン:酢酸エチル, 勾配 93:7〜30:70)から、3−ベンゾイルベンズヒドリル 5(0.601g, 2.084mmol)を30%収率で得た。
【0126】
p−トルエンスルホン酸(0.007g, 0.03mmol)を、無水テトラヒドロフラン(10mL)中の3−ベンゾイルベンズヒドリル 5(0.396g, 1.09mmol)の溶液に添加した。還流しながら10分間にわたって撹拌した後、チオセミカルバジド(0.199g, 2.19mmol)を上記反応混合物に添加し、窒素ガスの不活性雰囲気で2日間にわたって撹拌した。2日後、テトラヒドロフランを減圧下で除去し、水(50mL)を添加した。上記生成物を、酢酸エチルで抽出し(2×20mL)、その合わせた有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、上記溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィーを使用する精製(シリカゲル, ヘキサン:酢酸エチル, 勾配 88:12〜0:100)から、3−ベンゾイル benzhydrol チオセミカルバゾン 6(0.228g, 0.631mmol)を、白色固体として57%収率で得た。HRMS (ESI) 計算値 C
21H
19N
3OSH
+ (M+H)
+ 362.1321, 実測値 362.1336。
(E. 1−(3−メチルベンゾイル),3−(3−メチルベンゾイル)ベンゼンチオセミカルバゾン(thisosemicarbazone)(9))
【化18】
【0127】
トリエチルアミン(5.61mL, 40mmol)を、0℃において、無水ジクロロメタン(35mL)中のN,O−ジメチルヒドロキシルアミンヒドロクロリド(2.926g, 30mmol)の溶液に滴下した。10分間にわたって撹拌した後、6mLの無水ジクロロメタンに溶解した二塩化イソフタロイル(2.03g, 10mmol)を滴下した。上記反応混合物を室温へと戻し、5時間にわたって撹拌した。上記反応混合物を水(50mL)でクエンチし、上記生成物を、ジクロロメタンで抽出した(2×50mL)。その合わせた有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、上記溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィーを使用する精製(シリカゲル, ジクロロメタン:メタノール, 95:5)から、N
1,N
3−ビスメトキシ−1,3−ベンゼンジカルボキサミド 7(2.465g, 9.77mmol)を97%収率で得た。
【0128】
3−ブロモトルエン(6.684g, 39.08mmol)を、無水テトラヒドロフラン(30mL)中に窒素の不活性雰囲気下で溶解した。上記溶液を5分間にわたって撹拌し、−78℃へと冷却し、続いて、ヘキサン中のn−ブチルリチウム(2.5M; 13.6mL)を滴下した。3.5時間にわたって撹拌した後、二塩化イソフタロイルのWeinrebアミドを滴下し、上記溶液を1時間にわたって−78℃で撹拌した。上記反応混合物を、1M HCl(40mL)でクエンチし、上記生成物をジクロロメタンで抽出した(2×50mL)。その合わせた有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、上記溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィーを使用する精製(シリカゲル, ヘキサン:酢酸エチル, 勾配, 95:5〜70:30)から、2.465g, 9.77mmol) 1−(3−メチルベンゾイル),3−(3−メチルベンゾイル)ベンゼン 8を72%収率で得た。
【0129】
p−トルエンスルホン酸(0.018g, 0.09mmol)を、無水メタノール(10mL)中の1−(3−メチルベンゾイル),3−(3−メチルベンゾイル)ベンゼン 8(0.300g, 0.95mmol)の溶液に添加した。還流しながら10分間にわたって撹拌した後、チオセミカルバジド(0.086g, 0.954mmol)を上記反応混合物に添加し、12時間にわたって窒素ガスの不活性雰囲気下で撹拌した。12時間後、メタノールを減圧下で除去し、次いで、10mLの水を添加した。上記生成物を、ジクロロメタンで抽出し(2×30mL)、その合わせた有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、上記溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィーを使用する精製(シリカゲル, ヘキサン:酢酸エチル, 勾配 90:10〜80:20)から、1−(3−メチルベンゾイル),3−(3−メチルベンゾイル)ベンゼンチオセミカルバゾン 9(0.063g, 0.016mmol)を、白色固体として17%収率で得た。HRMS (ESI) 計算値 C
23H
21N
3OSH
+ (M+H)
+ 388.14781, 実測値 388.14793。上記生成物は、約80%純粋であると決定され、さらに精製せずに生物学的試験に供した。
(F. 1,3−ビス(2−フルオロ−ベンゾイル)−5−ブロモベンゼンチオセミカルバゾン)
【化19】
【0130】
トリエチルアミン(5.32mL, 37.84mmol)を、0℃において、無水ジクロロメタン(45mL)中のN,O−ジメチルヒドロキシルアミンヒドロクロリド(2.768g, 28.38mmol)の溶液に滴下した。10分間にわたって撹拌した後、無水ジクロロメタン(15mL)中の2−フルオロベンゾイルクロリド(0.303mL, 2.52mmol)を滴下した。上記反応混合物を室温へと戻し、5時間にわたって撹拌した。上記反応混合物を水(60mL)でクエンチし、上記生成物をジクロロメタンで抽出した(2×60mL)。その合わせた有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、上記溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィーを使用する精製(シリカゲル, ヘキサン:酢酸エチル, 勾配 93:7〜60:40)から、2−フルオロ−N−メトキシ−N−メチル−ベンズアミド(3.116, 17mmol)を90%収率で得た。
【0131】
ペンタン(1.6M, 7.72mL)中のTert−ブチルリチウムを、無水エーテル(30mL)中、−78℃において、窒素ガス流の下で1,3,5 トリブロモベンゼン(0.972g, 3.09mmol)の溶液に滴下した。2時間後、無水エーテル(5mL)に溶解した2−フルオロ−N−メトキシ−N−メチル−ベンズアミド(1.132g, 6.18mmol)を滴下し、上記反応混合物を、ゆっくりと室温になるようにし、24時間にわたって撹拌した。24時間後、上記反応混合物を水(30mL)でクエンチし、上記生成物をエーテルで抽出した(2×50mL)。その合わせた有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、上記溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィーを使用する精製(シリカゲル, ヘキサン:酢酸エチル, 勾配 95:5〜60:40)から、2−1,3−ビス(2−フルオロ−ベンゾイル)−5−ブロモベンゼン 10(0.617g, 6.18mmol)を50%収率で得た。
【0132】
p−トルエンスルホン酸(0.006g, 0.03mmol)を、無水テトラヒドロフラン(15mL)中の1,3−ビス(3−フルオロ−ベンゾイル)−5−ブロモベンゼン 10(0.190g, 0.473mmol)の溶液に添加した。還流しながら10分間にわたって撹拌した後、チオセミカルバジド(0.088g, 0.97mmol)を上記反応混合物に添加し、28時間にわたって窒素ガスの不活性雰囲気下で撹拌した。28時間後、テトラヒドロフランを減圧下で除去し、次いで、10mLの水を添加した。上記生成物をEtOAcで抽出し(2×50mL)、その合わせた有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、上記溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィーを使用する精製(シリカゲル, ヘキサン:酢酸エチル, 勾配 90:11〜30:70)から、1,3−ビス(2−フルオロ−ベンゾイル)−5−ブロモベンゼンチオセミカルバゾン 11(0.068g, 0.143mmol)を30%収率で得た。HRMS (ESI) 計算値 C
21H
14BrF
2N
3OSH
+ (M+H)
+ 474.0082, 実測値 474.0087。
(G. 1,3−ビス−(4−フルオロベンゾイル)ベンゼンチオセミカルバゾン(13))
【化20】
【0133】
三塩化アルミニウム(6.53g, 49.5mmol)を、ジクロロメタン(100mL)中の二塩化イソフタロイル(5.0g, 24.8mmol)の溶液に添加した。還流しながら30分間にわたって加熱した後、モノフルオロベンゼン(2.835g, 29.5mmol)を添加し、還流しながら撹拌を継続した。12時間にわたって撹拌した後、上記反応混合物を砕氷上に注いだ。得られた溶液を10% NaOH(100mL)で中和し、ジクロロメタンで抽出した(3×100mL)。その合わせた有機層を、水、続いてブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させた。上記有機相を減圧下で濃縮した後、フラッシュクロマトグラフィーを使用する精製(シリカゲル, ヘキサン:酢酸エチル, 60:40)から、1,3−ビス−(4−フルオロベンゾイル)ベンゼン 12(3.37g, 10.5mmol)を白色固体として42%収率で得た; 1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 8.130 (t, J = 1.5 Hz, 1H, ArH), 8.00 (dd, J = 7.5 Hz, 1.5 Hz, 1H, ArH), 7.87 (m, 4H, ArH), 7.64 (t, J = 8.0 Hz, 1H, ArH), 7.18 (m, 4H, ArH)。
【0134】
1,3−ビス−(4−フルオロベンゾイル)ベンゼン 12(0.347g, 1.08mmol)を、無水メタノール(50mL)に溶解した。上記溶液を還流しながら15分間にわたって加熱し、チオセミカルバジド(0.049g, 0.54mmol)および触媒量のp−トルエンスルホン酸を添加した。還流しながらの10時間後、その得られた溶液を減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーを使用する精製(シリカゲル, ヘキサン:酢酸エチル, 70:30)から、所望の1,3−ビス−(4−フルオロベンゾイル)ベンゼンチオセミカルバゾン(0.11g, 0.278mmol, 52%収率)を白色固体として得た;
1H NMR (500 MHz, CDCl
3): δ 8.67(s, 1H, N
H), 7.97 (m, 1H, Ar
H), 7.90 (m, 1H, Ar
H), 7.83 (m, 1H, Ar
H), 7.75 (m, 1H, Ar
H), 7.68 (m, 1H, Ar
H), 7.500 (m, 2H, Ar
H), 7.39 (s, 1H, N
H2), 7.31 (m, 2H, Ar
H), 7.22 ( ddd, J = 8.5 Hz, 5.0 Hz, 3.0 Hz, 1H, Ar
H), 7.16 (ddd, J = 8.5 Hz, 5.0 Hz, 3.0 Hz, 1H, Ar
H), 7.06 (ddd, J = 8.5 Hz, 5.0 Hz, 3.0 Hz, 1H, Ar
H), 6.36 (s, 1H, N
H2); HRMS (ESI) 計算値 C
21H
15F
2N
3OSH (M+H)
+ 396.0970, 実測値 394.0834; HPLC保持時間 13.740, 13.966分。
(H. 1,3−ビス−(4−メトキシベンゾイル)ベンゼンジチオセミカルバゾン(33))
【化21】
【0135】
三塩化アルミニウム(2.79g, 21mmol)を、ジクロロメタン(50mL)中の二塩化イソフタロイル(2.0g, 10mmol)の溶液に添加した。還流しながら30分間にわたって加熱した後、アニソール(1.29mL, 11.8mmol)を添加し、還流しながら撹拌を継続した。20時間にわたって撹拌した後、上記反応混合物を砕氷上に注いだ。得られた溶液を10% NaOH(100mL)で中和し、ジクロロメタンで抽出した(3×100mL)。その合わせた有機層を水で、続いて、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させた。上記有機相を減圧下で濃縮した後、フラッシュクロマトグラフィーを使用する精製(シリカゲル, ヘキサン:酢酸エチル, 60:40)から、1,3−ビス−(4−メトキシベンゾイル)ベンゼン 14(1.5g, 4.33mmol)を白色固体として43%収率で得た;
1H NMR (500 MHz, CDCl
3): δ 8.09 (t, J = 1.0 Hz, 1H, Ar
H), 7.95 (dd, J = 7.5 Hz, 1.5 Hz, 2H, Ar
H), 7.84 (ddd, J = 8.9, 4.7, 2.5 Hz, 4H, Ar
H), 7.61 (td, J = 7.5 Hz, 0.4 Hz, 1H, Ar
H ), 6.97 (ddd, J = 8.9, 4.9, 2.85 Hz, 4H, Ar
H), 3.88 (s, 6H, OC
H3);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3): δ 194.70, 163.53, 138.80, 132.73, 132.60, 1320.61, 129.63, 128.32, 113.76, 55.53。
【0136】
1,3−ビス−(4−メトキシベンゾイル)ベンゼン 14(0.45g, 1.3mmol)を、無水メタノール(48mL)に溶解した。上記溶液を還流しながら15分間にわたって加熱し、チオセミカルバジド(0.059g, 0.64mmol)および触媒量のp−トルエンスルホン酸を添加した。還流しながらの10時間の後、上記混合物を減圧下で濃縮した。得られた固体をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル, 60:40)を使用して精製して、純粋な1,3−ビス−(4−メトキシベンゾイル)ベンゼンジチオセミカルバゾン 33(0.10g, 0.238mmol, 37%収率)を白色固体として得た。HRMS (ESI) 計算値 C
24H
25N
6O
2S
2 (M+H)
+ 493.1475, 実測値 493.1470; HPLC保持時間 11.424, 11.664, 11.832分。
(I. 1−(4−ヒドロキシベンゾイル)−3−(4−メトキシベンゾイル)ベンゼンチオセミカルバゾン(17); 1−(4−メトキシベンゾイル)−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)ベンゼンチオセミカルバゾン(18)および1−(4−ヒドロキシベンゾイル)−3−(4−メトキシベンゾイル)ベンゼンジ−チオセミカルバゾン(19))
【化22】
【0137】
ジクロロメタン(25mL)中の1,3−ビス−(4−メトキシベンゾイル)ベンゼン 14(700mg, 2.02mmol)の十分に撹拌した溶液に、三フッ化ホウ素・硫化ジメチル錯体(BF
3・SMe
2, 10mL)を添加した。上記反応を、16時間にわたって室温で撹拌し、次いで、水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した(3×30mL)。その合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗製生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル, ヘキサン:酢酸エチル, 50:50)を使用して精製して、純粋な1−(4−ヒドロキシベンゾイル)−3−(4−メトキシベンゾイル)ベンゼン 16(0.2g, 0.60mmol)を白色固体として30%収率で得た;
1H NMR (500 MHz, アセトン−d
6): δ 9.19 (s, O
H), 7.89 (dt, J = 2 Hz, 0.5 Hz, 1H, Ar
H), 7.85 (dd, J = 7.5 Hz, 1.5 Hz, 2H, Ar
H), 7.72 (ddd, J = 10.0 Hz, 5.0 Hz, 3.0 Hz, 2H, ArH), 7.66 (ddd, J = 9.5 Hz, 5.0 Hz, 3.0Hz, 2H, Ar
H), 7.59 (td, J = 7.5 Hz, 0.5 Hz, 1H, Ar
H), 6.96 (ddd, J = 9.5 Hz, 4.5 Hz, 2.5 Hz, 2H, Ar
H), 6.86 (ddd, J = 9.5 Hz, 5.0 Hz, 3.0 Hz, 2H, Ar
H), 3.78 (s, 3H, OC
H3);
13C NMR (125 MHz, アセトン−d
6): δ193.70, 193.56, 163.61, 161.941, 138.58, 138.35, 132.62, 132.41, 132.30, 130.16, 129.67, 128.75, 128.56, 115.25, 113.78, 55.12。
【0138】
1−(4−ヒドロキシベンゾイル),3−(4−メトキシベンゾイル)ベンゼン 16(0.20g, 0.602mmol)を、無水メタノール(10mL)に溶解した。上記溶液を、還流しながら15分間にわたって加熱し、チオセミカルバジド(0.066g, 0.725mmol)および触媒量のp−トルエンスルホン酸を添加した。還流しながらの12時間後、上記溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィーを使用する精製(シリカゲル, ヘキサン:酢酸エチル, 60:40)から、モノ−チオセミカルバゾン化合物 17および18の所望の混合物(0.01g, 0.0247mmol, 4%収率)、ならびにジ−チオセミカルバゾン化合物19 (0.015g, 0.0314mmol, 5.2%収率)を、ともに淡黄色固体として得た。
【0139】
化合物17および18: HRMS (ESI) 計算値 C
22H
19N
3O
3SH
+ (M+H) 406.1220, 実測値 406.1221; 化合物19: HRMS (ESI) 計算値 C
23H
22N
6O
2S
2H
+ (M+H) 479.1318, 実測値 479.1319、化合物17、18および19: HPLC保持時間 8.247, 8.454, 8.586, 8.752分。化合物17、18および19の混合物を、同じ反応から2つの画分として集めた。画分2は、予備LC−MSに基づいて、画分1より純粋であると考えられる。さらに、化合物17、18および19は、画分1および2において、種々の量で存在するようである。両方の画分を、生物学的試験に供した。
(J. 1,3−ビス−(4−イソプロポキシベンゾイル)ベンゼンチオセミカルバゾン(22))
【化23】
【0140】
ジクロロメタン(85mL)中の1,3−ビス−(4−メトキシベンゾイル)ベンゼン 14(1.80g, 5.2mmol)の十分に撹拌した溶液に、三フッ化ホウ素・硫化ジメチル錯体(BF
3・SMe
2, 15mL)を添加した。上記混合物を27時間にわたって撹拌した。上記反応を水でクエンチした後、上記混合物を酢酸エチルで抽出した(3×80mL)。その合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、真空下で濃縮した。得られた固体を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル, ヘキサン:酢酸エチル, 50:50)を使用してさらに精製して、純粋な1,3−ビス−(4−ヒドロキシベンゾイル)ベンゼン 20(0.62g, 1.95mmol)を白色固体として38%収率で得た;
1H NMR (500 MHz, アセトン−d
6): δ 9.28 (s, OH), 8.04 (td, J = 1.7 Hz,1.3 Hz, 1H, Ar
H), 7.98 (dd, J = 7.7 Hz,1.75 Hz, 2H, Ar
H), 7.80 (ddd, J = 9.5 Hz, 4.8 Hz, 2.75 Hz, 4H, Ar
H), 7.73 (td, J = 7.9 Hz, 0.45 Hz, 1H, Ar
H), 7.00 (ddd, J = 9.5 Hz, 4.8 Hz, 2.75 Hz, 4H, Ar
H)。
【0141】
市販のマイクロ波リアクター(Biotage)を使用して反応を行った。マイクロ波バイアル中、1,3−ビス−(4−ヒドロキシベンゾイル)ベンゼン 20(0.310g, 0.975mmol)、イソプロピルブロミド(0.851g, 6.92mmol)および炭酸カリウム(0.955g, 6.91mmol)を、磁性式撹拌子とともにDMF(10mL)に添加した。上記バイアルのふたをきつく締め、上記反応混合物を室温から90℃へと2時間にわたって加熱した。上記反応混合物を室温へと冷却した後、上記バイアルを開け、上記混合物を丸底フラスコに移した。上記混合物を水(50mL)でクエンチし、エーテルで抽出した(2×50mL)。その有機層をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。その粗製生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル, ヘキサン:酢酸エチル, 50:50)を使用して精製して、純粋な1,3−ビス−(4−イソプロポキシベンゾイル)ベンゼン 21(0.23g, 0.57mmol)を白色固体として59%収率で得た;
1H NMR (500 MHz, アセトン−d
6): δ 8.07 (t, J = 1.95 Hz, 1H, Ar
H), 7.99 (dd, J = 7.6 Hz, 1.8 Hz, 2H, Ar
H), 7.84 (ddd, J = 9.6 Hz, 5.2 Hz, 3.0 Hz, 4H, Ar
H), 7.71 (td, J = 8.0 Hz, 0.25Hz, 1H, Ar
H), 7.05 (ddd, J = 10.1 Hz, 5.3 Hz, 3.2Hz, 4H, Ar
H), 4.76 (Septet, J = 6.05 Hz, 2H, C
H(CH
3)
2), 1.35 (d, J = 6.05 Hz, 12H, CH(
CH3)2);
13C NMR (125 MHz, アセトン−d
6): δ 205.23, 193.51, 162.03, 138.41, 132.40, 130.25, 129.22, 128.57, 115.07, 69.96, 21.33。
【0142】
1,3−ビス−(4−イソプロポキシベンゾイル)ベンゼン 21(0.14g, 0.39mmol)を、無水メタノール(20mL)に溶解した。上記溶液を還流しながら for 15分間にわたって加熱し、チオセミカルバジド(0.043g, 0.47mmol)および触媒量のp−トルエンスルホン酸を添加した。還流しながらの10時間後、上記溶媒を真空下で除去し、得られた固体を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル, ヘキサン:酢酸エチル, 50:50)を使用してさらに精製して、所望の1,3−ビス−(4−イソプロポキシベンゾイル)ベンゼンチオセミカルバゾン 22を白色固体として得た(0.05g, 0.105mmol, 27%収率); HRMS (ESI) 計算値 C
27H
29N
3O
3SH
+(M+H)
476.2002, 実測値 476.2005; HPLC保持時間 18.440, 18.767分。
(K. 1,3−ビス−(4−イソプロポキシベンゾイル)ベンゼンジチオセミカルバゾン(23))
【化24】
【0143】
1,3−ビス−(4−イソプロポキシベンゾイル)ベンゼン 21(0.092g, 0.255mmol)を、無水メタノール(12mL)に溶解した。上記溶液を還流しながら15分間にわたって加熱し、チオセミカルバジド(0.019g, 0.21mmol)および触媒量のp−トルエンスルホン酸を添加した。還流しながらの8時間後、上記溶媒を真空下で除去し、得られた固体を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル, ヘキサン:酢酸エチル, 50:50)を使用してさらに精製して、所望の1,3−ビス−(4−イソプロポキシベンゾイル)ベンゼンジチオセミカルバゾン 23を淡黄色固体として得た(0.02g, 0.042mmol, 16%収率); HRMS (ESI) 計算値 C
28H
32N
6O
2S
2H
+ (M+H)
549.2101, 実測値 549.2103; HPLC保持時間 10,788, 11.355, 11.525分。
(L. 1,3−ビス−(4−ブロモベンゾイル)ベンゼンチオセミカルバゾン(24))
【化25】
【0144】
三塩化アルミニウム(1.36g, 10.2mmol)を含むフラスコに、窒素下でブロモベンゼン(15mL, 142.8mmol)を添加した。塩化イソフタロイル(Isophthalylchloride)(1.00g, 4.88mmol)を、最小限の量のブロモベンズアルデヒドに溶解し、シリンジを介して上記反応フラスコに添加した。上記反応系を還流しながら6時間にわたって撹拌し、その後、それを室温で12時間にわたって撹拌し、続いて、さらに3時間還流しながら撹拌した。上記反応をH
2O(20mL)でクエンチした。次いで、得られた混合物を、アイスバス中で冷却した50mLの10% HClに添加した。上記混合物を酢酸エチルで抽出し(3×10mL)、その合わせた有機層を、脱イオン水、希HCl、脱イオン水、およびブラインで連続的に洗浄した。粗製生成物を、白色固体として有機層の中で壊し、濾過することで集めた。上記固体の、酢酸エチルからの再結晶化によって、1,3−ビス−(4−ブロモベンゾイル)ベンゼン 23を31%収率で得た。
1H NMR (DMSO−d
6, 500 MHz) δ 8.14−8.13 (m, 1H, ArH), 7.95 (dd, J =7.5 Hz, 1.5 Hz, 2H, ArH), 7.70−7.64 (m, 9H, ArH)。
【0145】
1,3−ビス−(4−ブロモベンゾイル)ベンゼン 23(0.550g, 1.21mmol)を、乾燥THF(20mL)に溶解した。上記溶液を、還流しながら15分間にわたって加熱し、チオセミカルバジド(0.220g, 2.42mmol)および触媒量のp−トルエンスルホン酸(0.023g, 0.121mmol)を添加した。還流しながらの24時間後、得られた溶液を減圧下で濃縮し、その残渣をジクロロメタン(25mL)に溶解した。その有機層を脱イオン水(15mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮した。上記粗製生成物を、カラムクロマトグラフィーを介して精製して、二重の(the double)縮合生成物 24を<1%収率で得た(6.7 mg, 11.3μmol)。二重縮合生成物のみが単離できた。
1H NMR (DMSO−d
6, 500 MHz) δ 9.87 (2H, bs, N
H), 8.46 (2H, brs, N
H), 8.29 (2H, brs, N
H), 7.84 (1H, t, J = 7.5 Hz, Ar
H), 7.64 (4H, d, J = 8.5 Hz, Ar
H), 7.56 (4H, d, J = 7.5 Hz, Ar
H), 7.48 (2H, dd, J = 7.5 Hz, 1.5 Hz, Ar
H), 7.20 (1H, s, Ar
H). HRMS (ESI) 計算値 C
22H
18Br
2N
6S
2H
+ (M+H)
+ 588.9474, 実測値 588.9461。
(M. 1,3,5−トリベンゾイルベンゼンチオセミカルバゾン(25))
【化26】
【0146】
メタノール(16mL)を含む丸底フラスコに、1,3,5−トリベンゾイルベンゼン(0.250g, 0.640mmol)を添加した。これを、窒素下で撹拌し、還流するまで加熱した。次いで、チオセミカルバジド(0.05536g, 0.608mmol)を上記フラスコに添加し、続いて、p−トルエンスルホン酸(0.00122g, 0.0064mmol)を添加した。上記反応混合物を還流しながら14時間にわたって撹拌した。上記粗製混合物を、カラムクロマトグラフィーを使用して精製し、ヘキサン中35% 酢酸エチルで溶離したところ、上記生成物はなお不純物を含んでいたが、さらに精製せずに試験に供した。HRMS (ESI) 計算値 C
28H
21O
2N
3SH
+ (M+H)
+ 464.14272, 実測値 464.14267。化合物25は、NMRによれば約80%純粋であると概算されたので、さらに精製せずに生物学的試験に供した。
(N. 生物学的活性)
【0147】
ヒト肝臓カテプシンL(Sigma)を、種々の濃度の試験化合物とともに5分間にわたって25℃で予めインキュベートした。上記アッセイを基質 Z−Phe−Arg−アミノメチルクマリン(「Z−F−R−AMC」 Bacchem)を添加することによって開始し、最終のアッセイ条件は、1nM カテプシンL、50μM Z−F−R−AMC、100mM 酢酸ナトリウム pH 5.5、1mM EDTA(Omnipure)、3 mM DTT(EMD)、0.01% BRIJ 35(Sigma)、および2.0% DMSO(Acros)であった。試験化合物を、最終濃度範囲 10μM〜10pMを含むようにDMSOおよび水で連続希釈した。反応を、ブラック96ウェルCorning 3686アッセイマイクロプレートと、励起フィルター波長および発光フィルター波長、それぞれ355nmおよび460nmでThermo Fluoroskan Ascent FLマイクロプレートリーダーを使用して5分間にわたって25℃で蛍光をモニターした。データを分析して、同じマイクロプレートで最低三連でGraphPad Prism 4.03ソフトウェアを利用してIC
50値を決定した。
【0148】
組換えヒトプロカテプシンKを、Enzo Life Sciencesから得た。プロ酵素の活性化を、32.5mM 酢酸ナトリウム pH 3.5、EDTA 1mM、NaCl 500mM、ヒトプロカテプシンK 5.5μM中、室温で行った。活性化時間を最適化したところ、35〜150分間のの間で変化した。カテプシンKを、試験化合物とともに種々の濃度で5分間にわたって25℃で予めインキュベートした。上記アッセイを、基質Z−Phe−Arg−アミノメチルクマリン(「Z−F−R−AMC」 Bacchem)を添加することによって開始し、最終アッセイ条件は、1.5nM カテプシンK、50μM Z−F−R−AMC、150mM 酢酸ナトリウム pH 5.5、2.5mM EDTA(Omnipure)、2.5mM DTT(EMD)、0.01% BRIJ 35(Sigma)、および4.0% DMSO(Acros)であった。試験化合物を、最終濃度範囲 10μM〜10pMを含むように、DMSOおよび水で連続希釈した。上記反応を、5分間にわたって25℃で、ブラック96ウェルCorning 3686アッセイマイクロプレートと、励起フィルター波長および発光フィルター波長、それぞれ355nmおよび460nmでThermo Fluoroskan Ascent FLマイクロプレートリーダーを使用して、蛍光をモニターした。データを分析して、同じマイクロプレートで最低三連でGraphPad Prism 4.03ソフトウェアを利用してIC
50値を決定した。
【0149】
ヒト肝臓カテプシンB(Calbiochem)を、種々の濃度の試験化合物とともに5分間にわたって37℃で予めインキュベートした。上記アッセイを基質 Z−Arg−Arg−アミノメチルクマリン(「Z−R−R−AMC」 Bacchem)を添加することによって開始し、最終のアッセイ条件は、最終容積 200μL中、1.1nM カテプシンB、60μM Z−R−R−AMC、126mM リン酸ナトリウムカリウム pH 6.0(Fisher)、0.3mM EDTA(Omnipure)、2.7mM DTT(Omnipure)、0.004% BRIJ 35(Sigma)、および2.0% DMSO(Acros)であった。試験化合物を、最終濃度範囲 20μM〜10pMを含むようにDMSOおよび0.01% BRIJ 35で連続希釈した。反応を、5分間にわたって37℃で、ブラック96ウェルCorning 3686アッセイマイクロプレートと、励起フィルター波長および発光フィルター波長、それぞれ355nmおよび460nmでThermo Fluoroskan Ascent FLマイクロプレートリーダーを使用して、蛍光をモニターした。データを分析して、同じマイクロプレートで最低三連でGraphPad Prism 4.03ソフトウェアを利用してIC
50値を決定した。
【表4】