【実施例】
【0078】
以下の実施例は、本発明を例示する。
【0079】
温度は、摂氏温度(℃)の単位で測定される。
【0080】
他に特に指示がない限り、反応または実験は室温で行われる。
略語:
RT:室温
RH:相対湿度
PXRD:粉末X線回折
DSC:示差走査熱量測定
DVS:動的水蒸気収着
TGA:熱重量分析
ACN(アセトニトリル)
EtOAc(酢酸エチル)
DCM(ジクロロメタン)
DMA(N,N−ジメチルアセトアミド)
DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)
DMSO(ジメチルスルホキシド)
MTBE(メチルtert−ブチルエーテル)
THF(テトラヒドロフラン)
TFA(トリフルオロ酢酸)
【0081】
[実施例1] 式(I)の化合物の結晶形態1および結晶形態2の調製
下記スキーム1は、式(I)の化合物の結晶形態1および結晶形態2の調製を示す。
【0082】
【化5】
【0083】
4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−2−[テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル(トリフルオロアセチル)−アミノ]−安息香酸トリフルオロアセテート(3.7Kg、7mol)の無水DCM(36L)およびN,N−ジメチルホルムアミド(14mL)中懸濁液に、塩化オキサリル(1.78L、21mol)を添加する。混合物を約1.5時間撹拌し、蒸発させて油性残渣にし、次いで、無水DCMを添加し、2回蒸発させる。
【0084】
式(II)の塩化アシルを、無水DCM中に懸濁させ、懸濁液を5−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−1H−インダゾール−3−イルアミン(1.6Kg、6.1mol)の無水ピリジン(16L)中溶液に、−40/−30℃にてゆっくりと徐々に添加する。5−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−1H−インダゾール−3−イルアミンが完全に反応すると添加を止める。約1時間後、溶媒を蒸発させ、DCM(55L)、メタノール(6.5L)およびMTBE(55L)を順次添加する。精製された式(IV)の保護された化合物をろ過し、DCM/MTBE/MeOHの10/10/1混合物を用いて洗浄し、真空下で乾燥させる(3.8Kg)。
【0085】
そのようにして得られた、95%を超えるHPLC純度を有する粗N−[5−(3,5−ジフルオロベンジル)−1H−インダゾール−3−イル]−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2−[(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−2,2,2−トリフルオロ−アセチル)−アミノ]−ベンズアミドをメタノール中に溶かし、K
2CO
3の水/メタノール溶液を10℃にて添加する。溶液をろ過し、水中に滴下する。非晶質のN−[5−(3,5−ジフルオロベンジル)−1H−インダゾール−3−イル]−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−ベンズアミドの沈殿物をろ過し、水を用いて洗浄し、真空下で乾燥させる(2.88Kg)。
【0086】
乾燥させた非晶質のN−[5−(3,5−ジフルオロベンジル)−1H−インダゾール−3−イル]−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−ベンズアミド5.5gをエタノール130mL中に懸濁させ、10分間、加熱還流する。約70mLのエタノールが蒸留され、その後、室温に冷却する。水110mLを添加し、懸濁液に、55mgの結晶形態1を用いてシード添加する。結晶形態1への変換をDSCによってモニターするために、サンプリングしながら、懸濁液を約72時間撹拌する。次いで、懸濁液をろ過し、乾燥させて、4.3gの所望の結晶形態1を得る。
【0087】
乾燥させた非晶質のN−[5−(3,5−ジフルオロベンジル)−1H−インダゾール−3−イル]−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−ベンズアミド(2.88Kg)を、約10体積のエタノール中においてスラリーにし、所望の結晶形態2へ変換させる。次いで、20体積の水を添加し、懸濁液をろ過する。生成物を、最終的に真空下で乾燥させ、そのようにして、約2.6KgのN−[5−(3,5−ジフルオロベンジル)−1H−インダゾール−3−イル]−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−ベンズアミド(4.6mol)を、所望の結晶形態2の状態で得る。
【0088】
[実施例2]:粉末X線回折(PXRD)を用いた分析結果
化合物(I)の結晶形態3、非晶質形態、結晶形態1および結晶形態2を、粉末X線回折(PXRD)によって特性決定した。粉末X線回折は、Thermo/ARL XTRA装置を使用し、CuKα源(45kV、40mA 1.8kW−Kα1放射線、波長λ=1.54060オングストローム)、2°から40°の間の2θを用いて、室温にて粉末サンプルを照射して行った。
【0089】
走査速度は、1.20°/分(1ステップ当たり1秒の計時にて0.020°ステップ)であった。
【0090】
X線回折図において、回折2θの角度が横軸(x軸)上に、線強度が縦軸(y軸)上にプロットされる。
【0091】
式(I)の化合物の結晶形態のためのX線粉末回折ピークを定義するパラグラフにおいて、「およその(at about)」という用語は、「表...に報告されているおよその2θ角(...at about 2−theta angles reported in table...)」という表現の中で使用される。これは、当業者によって認識されているように、ピークの正確な位置は、機械間で、サンプルによって、わずかに異なることがあるまたは利用される測定条件のわずかな変動の結果としてわずかに異なることがあるので、ピークの正確な位置(すなわち、列挙されている2θ角値)が、絶対的な値であるとみなされるべきではないことを示すためである。
【0092】
先のパラグラフにおいて、式(I)の化合物の非晶質形態および結晶形態は、
図1、2、3および4に示されているX線粉末回折パターンと実質的に同一のX線粉末回折パターンを与え、表1、2、3および4に示されている2θ角値において、最も顕著なピークを実質的に有することも述べられている。この状況における「実質的に」という用語の使用は、X線粉末回折パターンの2θ角値が、機械によって、サンプルによって、わずかに異なることがあるまたは測定条件のわずかな変動の結果としてわずかに異なることがあるため、図に示されているまたは表に引用されているピーク位置は、この場合も絶対的な値であると解釈されるべきではないことを示すことも意図するということが当然認識される。
【0093】
この点において、測定条件(例えば、機器および/またはサンプル調製など)によって、1つ以上の測定誤差を有するX線粉末回折パターンが得られ得ることは、当技術分野において知られている。特に、X線粉末回折パターンの強度が、測定条件およびサンプル調製によって変化し得ることは、一般に知られている。
【0094】
例えば、X線粉末回折の当業者であれば、ピークの相対強度は、例えば、サンプルの分析に影響を及ぼし得るような、サイズが30ミクロンを超える粒子および単一でないアスペクト比によって影響を受ける可能性があることを理解している。
【0095】
当業者であれば、サンプルが回折計の中に位置する正確な高さおよび回折計のゼロ点補正によって、反射の位置が影響を受ける可能性があることも理解している。
【0096】
サンプルの表面平面性が、結果に影響を及ぼすこともある。
【0097】
よって、当業者であれば、本明細書において提示されている回折パターンデータが、絶対的であるとみなされるべきではないことを認識している(さらなる情報のために、「Fundamentals of Powder Diffraction and Structural Characterization」,Pecharsky and Zavalij,Kluwer Academic Publishers,2003を参照のこと)。したがって、本発明に記載されている式(I)の化合物の非晶質形態および結晶形態は、
図1、2、3および4に示されているX線粉末回折パターンと全く同一のX線粉末回折パターンを与える非晶質形および結晶に限定されず、
図1、2、3および4に示されているものと実質的に同一のX線粉末回折パターンを与える式(I)の化合物の非晶質形態および結晶形態のいずれのサンプルまたはバッチも、本発明の範囲内に含まれることが当然理解される。X線粉末回折の当業者は、X線粉末回折パターンの実質的な同一性を判断することが可能である。
【0098】
一般に、X線粉末回折における回折角の測定誤差は、約2θ=0.5度以下であり(または、より適切には、約2θ=0.2度以下)、
図1、2、3および4におけるX線粉末回折パターンについて考察する場合ならびに本文においておよび表1、2、3および4において言及されているパターンを比較する場合またはピーク位置を解釈する場合には、そのような程度の測定誤差を考慮に入れるべきである。
【0099】
したがって、例えば、式(I)の化合物の結晶形態が、約2θ=20.1度(または言及されている他の角のうちのいずれか1つ)において、少なくとも1つの特定のピークを有するX線粉末回折パターンを有することが述べられている場合には、これは、2θ=20.1度プラスマイナス0.5度または2θ=20.1度プラスマイナス0.2度であると解釈することができる。
【0100】
結晶形態3、非晶質形態、結晶形態1および結晶形態2のX線回折図は、それぞれ
図1、2、3および4に報告されている。結晶形態3、結晶形態1および結晶形態2のX線回折ピーク位置は、それぞれ表2、3および4に報告されている。
【0101】
【表2】
【0102】
【表3】
【0103】
【表4】
【0104】
[実施例3]:示差走査熱量測定(DSC)を用いた分析結果
DSC分析は、Mettler Toledo Starシステム装置を用いて実施した。アルミニウム製DSCパンに、2−4mgのサンプルを入れた。分析の温度範囲は、25℃から最大値の300℃の間であった。サンプルを窒素静的条件下にて、10℃/分の加熱速度で分析した。
【0105】
図5は、非晶質形態、結晶形態1および結晶形態2のDSCサーモグラムを報告している。
【0106】
結晶形態1の観測された融解吸熱は、およそ188℃−196℃の範囲であり(ピーク温度)、デルタHは54−64J/gの範囲である。結晶形態2の観測された融解吸熱は、およそ197℃−198.5℃の範囲であり(ピーク温度)、デルタHは72−78.5J/gの範囲である。DSCの開始および/またはピーク温度値は、装置によって、方法によってまたはサンプルによって、わずかに異なることがあるため、引用されている値は、絶対的であるとみなされるべきではないことが理解される。実際に、観測される温度は、温度変化の割合ならびにサンプル調製技術および使用される特定の機器によって決まる。そのような種々の条件を適用して得られる温度値は、プラスマイナス約4℃だけ変化し得ることが推定され、考慮に入れられる。
【0107】
[実施例4]:動的水蒸気収着(DVS)を用いた分析結果
観測された水の取り込みは、そのような物質のサンプルを、DVS1000(SMS)を用いた吸湿性試験に供することによって検討した。装置は、秤量されたサンプルを、一定温度および制御温度で、相対湿度(RH)のプログラムされた変化に曝す「制御雰囲気微量天秤(controlled atmosphere microbalance)」である。測定されたパラメータ(重量、時間およびRH)は、Excelワークシートに報告され、試験されるRH範囲にわたって吸湿曲線を得ることができる。例えば、0%から90%RHの間の収着/脱着サイクルを、25℃の制御温度で行うことができる。RHの連続的な変化は、例えば、10%および3%のものである可能性があり、サンプル重量の平衡時に、ソフトウェアによって操作される。この条件は、例えば、0.005%/分などの定速のパーセント重量変化で明確に示すことができる。
【0108】
図6は、式(I)の化合物の非晶質形態、結晶形態1および結晶形態2のDVSプロファイルを報告している。相対湿度(RH、%)値はx軸上に報告されており、一方、質量変化(%)はy軸上に報告されている。曲線は、25℃において、0%RHから90%RHの間の収着ステップに関連している。
【0109】
実験の結果は、化合物(I)の結晶形態1および結晶形態2が、25℃/90%RHにおいて、それぞれ0.6%および0.2%の水の取り込みによって特性決定されることを示している。そのような水の取り込みは、25℃の一定温度でRHを低下させることによって可逆である。化合物(I)の結晶形態1および2は、低吸湿性を有すると考えることができる。
【0110】
実験の結果はまた、化合物(I)の非晶質形態が、25℃/90%RHにおいて、2.5%の水の取り込みによって特性決定され、この水の取り込みは、25℃の一定温度でRHを低下させることによって可逆であることを示している。化合物(I)の非晶質形態は、結晶形態1および2に比べて高い吸湿性を示す。化合物(I)の非晶質形態の水の取り込みは、結晶形態1および2に比べて高い。さらなる態様として、化合物(I)の非晶質形態の水の取り込みは、30%RHよりも低いRH値から1%を超え、その後、高RH値の領域で傾きが増加する。
【0111】
[実施例5]:熱重量分析(TGA)を用いた分析結果
TGA分析は、Perkin−Elmer TGA−7装置を用いて実施した。アルミニウム製DSCパンに、5÷10mgのサンプルを入れた。分析の温度範囲は、30°から最大値の約250℃の間であった。サンプルを窒素気流下にて(酸化および熱分解の影響を取り除くため)、2℃/分の加熱速度で分析した。
【0112】
[実施例6]:NMR分析
1H NMR実験は、結晶形態3サンプルについて、28℃の一定温度で、Varian Inova500分光計を用いて行い(
図8を参照のこと)、結晶形態1サンプルについて、28℃の一定温度で、Varian Inova400分光計を用いて行った(
図7を参照のこと)。少量の各サンプルを、0.75mLのDMSO−d
6中に溶かし、5mm NMR管に移して、その後の分析を行った。
【0113】
同一の
1H NMRスペクトルが、異なる結晶形態から得られる、すなわち、結晶形態1および2は、同一の
1H NMRスペクトルを有しており、結晶形態1のスペクトルのみが報告されている。結晶形態3のスペクトルは、残留溶媒の存在を示すためだけに報告されており、それらのシグナルは、生成物のシグナルと明確に区別され、
図8において矢印によって強調されている。
【0114】
[実施例7]:経口使用のための製剤のパーセント組成
【0115】
【表5】