特許第6231557号(P6231557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231557
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】ユーザ端末、基地局及びプロセッサ
(51)【国際特許分類】
   H04W 92/18 20090101AFI20171106BHJP
【FI】
   H04W92/18
【請求項の数】16
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2015-513680(P2015-513680)
(86)(22)【出願日】2014年4月11日
(86)【国際出願番号】JP2014060523
(87)【国際公開番号】WO2014175082
(87)【国際公開日】20141030
【審査請求日】2016年2月16日
(31)【優先権主張番号】特願2013-93039(P2013-93039)
(32)【優先日】2013年4月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】キュリーズ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】守田 空悟
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 顕徳
(72)【発明者】
【氏名】柏瀬 薦
【審査官】 米倉 明日香
(56)【参考文献】
【文献】 3GPP TR 22.803 V1.0.0 (2012-08),2012年 9月14日
【文献】 Alcatel-Lucent, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,device discovery for D2D proximity services,3GPP TSG-RAN WG1 #72b R1-130954,2013年 4月 6日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直接的な端末間通信であるD2D通信を制御するネットワークを有する移動通信システムにおけるユーザ端末であって、
前記D2D通信に適用されるモードとして、前記ネットワークによって前記D2D通信が制御される第1のモードと、前記ネットワークの代わりに前記ユーザ端末によって前記D2D通信が制御される第2のモードと、から一方を選択する制御部を備え、
前記制御部は、前記ネットワークの状況に応じて送信される所定の信号の受信状況に基づいて、前記第1のモードと前記第2のモードとから一方を選択することを特徴とするユーザ端末。
【請求項2】
前記所定の信号は、前記第2のモードを選択することを許可する許可信号であり、
前記制御部は、前記許可信号を受信した場合、前記第2のモードを選択することを特徴とする請求項1に記載のユーザ端末。
【請求項3】
前記ユーザ端末は、前記ネットワークに含まれる1以上の基地局のそれぞれから信号を受信し、
前記制御部は、前記1以上の基地局の全てから前記許可信号を受信した場合に、前記第2のモードを選択することを特徴とする請求項2に記載のユーザ端末。
【請求項4】
前記制御部は、災害に関する情報を示す緊急速報を受信した後に前記許可信号を受信した場合、前記第2のモードを選択することを特徴とする請求項2に記載のユーザ端末。
【請求項5】
前記許可信号は、前記D2D通信に使用すべき周波数帯を示す情報を含むことを特徴とする請求項2に記載のユーザ端末。
【請求項6】
前記モードとして前記第2のモードが選択されている場合において、前記制御部は、前記ネットワークに含まれるコアネットワークを経由する通信であるセルラ通信が可能である場合、前記セルラ通信よりも前記D2D通信を優先して行うことを特徴とする請求項2に記載のユーザ端末。
【請求項7】
前記許可信号は、前記ネットワークの状況が、前記ネットワークに含まれる基地局の上位装置からバックホールを介した前記基地局への信号が途絶したという状況である場合、送信されることを特徴とする請求項2に記載のユーザ端末。
【請求項8】
前記許可信号は、前記ネットワークの状況が、前記ネットワークに含まれる基地局の上位装置からバックホールを介した前記基地局への信号が途絶するとともに、前記基地局に隣接する隣接基地局からX2インターフェイスを介した前記基地局への信号が途絶したという状況である場合、送信されることを特徴とする請求項2に記載のユーザ端末。
【請求項9】
前記許可信号は、前記ネットワークの状況が、前記ネットワークに含まれる基地局への電源供給が遮断され、かつ、前記基地局が備えるバッテリの残量が閾値を下回ったという状況である場合、送信されることを特徴とする請求項2に記載のユーザ端末。
【請求項10】
前記所定の信号は、前記第2のモードを選択することを禁止する禁止信号であり、
前記制御部は、前記禁止信号を受信した場合、前記第1のモードを選択することを特徴とする請求項1に記載のユーザ端末。
【請求項11】
前記モードとして前記第2のモードが選択されている場合において、前記制御部は、前記ネットワークに含まれる基地局から信号を受信してから前記許可信号を所定期間受信しない場合には、前記第1のモードを選択することを特徴とする請求項2に記載のユーザ端末。
【請求項12】
前記制御部は、前記ネットワークに含まれる基地局から、災害に関する情報を示す緊急速報を受信した後に前記基地局からの信号が所定期間途絶した場合、前記第2のモードを選択することを特徴とする請求項1に記載のユーザ端末。
【請求項13】
前記モードとして前記第2のモードが選択されている場合において、前記制御部は、前記基地局からの信号を受信できた場合、前記第1のモードを選択することを特徴とする請求項12に記載のユーザ端末。
【請求項14】
直接的な端末間通信であるD2D通信を制御するネットワークと、前記ネットワークに含まれる基地局とを有する移動通信システムにおける基地局であって、
前記D2D通信に適用されるモードとして、前記ネットワークによって前記D2D通信が制御される第1のモードと、前記ネットワークの代わりにユーザ端末によって前記D2D通信が制御される第2のモードと、から一方を選択可能な前記ユーザ端末に、前記第2のモードを選択することを許可する許可信号、又は、前記第2のモードを選択することを禁止する禁止信号を送信する送信部と、
前記基地局を含む前記ネットワークの状況に応じて、前記許可信号又は前記禁止信号を送信する制御を行う制御部と、を備えることを特徴とする基地局。
【請求項15】
前記制御部は、前記第2のモードを選択することが禁止されている場合に、前記第2のモードを選択している前記ユーザ端末が、前記基地局との接続の確立を要求した場合、前記接続の確立に用いられる信号と共に前記禁止信号を送信することを特徴とする請求項14に記載の基地局。
【請求項16】
直接的な端末間通信であるD2D通信を制御するネットワークを有する移動通信システムにおけるユーザ端末に備えられるプロセッサであって、
前記D2D通信に適用されるモードとして、前記ネットワークによって前記D2D通信が制御される第1のモードと、前記ネットワークの代わりに前記ユーザ端末によって前記D2D通信が制御される第2のモードと、から一方を選択する処理を実行し、
前記ネットワークの状況に応じて送信される所定の信号の受信状況に基づいて、前記第1のモードと前記第2のモードとから一方を選択する処理を実行することを特徴とするプロセッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、D2D通信をサポートする移動通信システムに適用されるユーザ端末、基地局及びプロセッサに関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、リリース12以降の新機能として、端末間(Device to Device:D2D)通信の導入が検討されている(非特許文献1参照)。
【0003】
D2D通信では、近接する複数のユーザ端末が、直接的な通信を行う。一方、移動通信システムの通常の通信(セルラ通信)のデータパスは、コアネットワークを経由する。
【0004】
ところで、ユーザ端末が自由にD2D通信を行った場合、ユーザ端末の周囲に存在する他のユーザ端末及び基地局への干渉が発生することがあるため、現状、コアネットワークを含むネットワークが主導して、D2D通信を制御することが想定されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP技術報告 「TR 22.803 V1.1.0」 2012年11月
【発明の概要】
【0006】
しかしながら、例えば、地震などの災害の発生により、ネットワークの状況が不安定である場合、ネットワークがD2D通信を制御し続けることが困難であるため、D2D通信が不能になるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、D2D通信を有効に活用できるユーザ端末、基地局及びプロセッサを提供する。
【0008】
一実施形態によれば、ユーザ端末は、直接的な端末間通信であるD2D通信を制御するネットワークを有する移動通信システムにおけるユーザ端末である。前記ユーザ端末は、前記D2D通信に適用されるモードとして、前記ネットワークによって前記D2D通信が制御される第1のモードと、前記ネットワークの代わりに前記ユーザ端末によって前記D2D通信が制御される第2のモードと、から一方を選択する制御部を備える。前記制御部は、前記ネットワークの状況に応じて送信される所定の信号の受信状況に基づいて、前記第1のモードと前記第2のモードとから一方を選択する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、LTEシステムの構成図である。
図2図2は、UEのブロック図である。
図3図3は、eNBのブロック図である。
図4図4は、LTEシステムにおける無線インターフェイスのプロトコルスタック図である。
図5図5は、LTEシステムで使用される無線フレームの構成図である。
図6図6は、セルラ通信におけるデータパスを示す図である。
図7図7は、D2D通信におけるデータパスを示す図である。
図8図8は、第1実施形態に係る移動通信システムの動作例を示すシーケンス図である。
図9図9は、パブリックセーフティ許可信号に含まれるバンド情報を説明するための図である。
図10図10は、eNB200と上位装置とのバックホールを介した接続確認の処理を説明するフローチャートである。
図11図11は、第1タイマが満了したときの処理を説明するフローチャートである。
図12図12は、第2タイマが満了したときの処理を説明するフローチャートである。
図13図13は、eNB200と上位装置とのバックホールを介した接続確認の処理を説明するフローチャートである。
図14図14は、eNB200と隣接eNB200nとのX2インターフェイスを介した接続確認の処理を説明するフローチャートである。
図15図15は、第3タイマが満了したときの処理を説明するフローチャートである。
図16図16は、第3nタイマが満了したときの処理を説明するフローチャートである。
図17図17は、eNB200への電源供給の監視処理を説明するフローチャートである。
図18図18は、eNB200のバッテリの残量が所定の閾値を下回った場合の処理を説明するフローチャートである。
図19図19は、パブリックセーフティ禁止信号の送信の判定処理を説明するためのフローチャートである。
図20図20は、eNB200からのパブリックセーフティ許可信号の受信状況に基づくUE100の処理を説明するためフローチャートである。
図21図21は、第4タイマが満了したときの処理を説明するフローチャートである。
図22図22は、eNB200nからのパブリックセーフティ許可信号の受信状況に基づく処理を説明するためフローチャートである。
図23図23は、第4nタイマが満了したときの処理を説明するフローチャートである。
図24図24は、UE100におけるeNB200nの状態の取り扱い処理を説明するフローチャートである。
図25図25は、eNB200と上位装置とのバックホールを介した接続確認の処理を説明するフローチャートである。
図26図26は、第5タイマが満了したときの処理を説明するフローチャートである。
図27図27は、eNB200への電源供給の監視処理を説明するフローチャートである。
図28図28は、第2実施形態に係る移動通信システムの動作例を示すシーケンス図である。
図29図29は、eNB200からの信号の受信状況に基づくUE100のD2D通信モードの選択処理を説明するためのフローチャートである。
図30図30は、第7タイマが満了したときの処理を説明するフローチャートである。
図31図31は、eNB200nからの信号の受信状況に基づいて、UE100のD2D通信に適用されるモードを選択する処理を説明するためのフローチャートである。
図32図32は、許可更新タイマが満了したときの処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態の概要]
実施形態に係るユーザ端末は、直接的な端末間通信であるD2D通信を制御するネットワークを有する移動通信システムにおけるユーザ端末であって、前記D2D通信に適用されるモードとして、前記ネットワークによって前記D2D通信が制御される第1のモードと、前記ネットワークの代わりに前記ユーザ端末によって前記D2D通信が制御される第2のモードと、から一方を選択する制御部を備える。前記制御部は、前記ネットワークの状況に応じて送信される所定の信号の受信状況に基づいて、前記第1のモードと前記第2のモードとから一方を選択する。これにより、ネットワークの状況に応じて、第1のモードと第2のモードとから適宜選択することができるため、D2D通信を有効に活用できる。
【0011】
第1実施形態において、前記所定の信号は、前記第2のモードを選択することを許可する許可信号であり、前記制御部は、前記許可信号を受信した場合、前記第2のモードを選択する。これにより、基地局が、ユーザ端末によってD2D通信が制御されるタイミングを指定できるため、ユーザ端末が自由に第2のモードを適用してD2D通信を行うことを抑制できる。その結果、干渉の発生を抑制できる。
【0012】
第1実施形態において、前記ユーザ端末は、前記ネットワークに含まれる1以上の基地局のそれぞれから信号を受信し、前記制御部は、前記1以上の基地局の全てから前記許可信号を受信した場合に、前記第2のモードを選択する。これにより、ユーザ端末の周囲に存在する基地局の全てが、第2のモードを適用してD2D通信を行うことを許可しているため、ユーザ端末が、第2のモードを適用して、D2D通信を行っても、基地局への干渉が発生する可能性が低い。
【0013】
第1実施形態において、前記制御部は、災害に関する情報を示す緊急速報を受信した後に前記許可信号を受信した場合、前記第2のモードを選択する。これにより、基地局から緊急速報が送信された後に、パブリックセーフティ許可信号が送信されているため、ネットワークの状況が不安定である可能性が高い。このため、パブリックセーフティ許可信号が誤って送信された場合に第2のモードが選択されることを抑制できる。
【0014】
第1実施形態において、前記許可信号は、前記D2D通信に使用すべき周波数帯を示す情報を含む。これにより、ユーザ端末が、D2D通信に使用する周波数帯を用いて自由にスケジューリングする場合に比べて、D2D通信を行うユーザ端末が与える干渉を抑制できる。
【0015】
第1実施形態において、前記モードとして前記第2のモードが選択されている場合において、前記制御部は、前記ネットワークに含まれるコアネットワークを経由する通信であるセルラ通信が可能である場合、前記セルラ通信よりも前記D2D通信を優先して行う。これにより、D2D通信は、コアネットワークを経由して通信を行うセルラ通信に比べて、不安定な状況のネットワークにかかる負荷を低減することができる。
【0016】
第1実施形態において、前記許可信号は、前記ネットワークの状況が、前記ネットワークに含まれる基地局の上位装置からバックホールを介した前記基地局への信号が途絶したという状況である場合、送信される。このようにネットワークの状況が悪い場合、ユーザ端末の制御によってD2D通信が行われることにより、D2D通信を有効活用することができる。
【0017】
第1実施形態において、前記許可信号は、前記ネットワークの状況が、前記ネットワークに含まれる基地局の上位装置からバックホールを介した前記基地局への信号が途絶するとともに、前記基地局に隣接する隣接基地局からX2インターフェイスを介した前記基地局への信号が途絶したという状況である場合、送信される。
【0018】
第1実施形態において、前記許可信号は、前記ネットワークの状況が、前記ネットワークに含まれる基地局への電源供給が遮断され、かつ、前記基地局が備えるバッテリの残量が閾値を下回ったという状況である場合、送信される。
【0019】
第1実施形態において、前記所定の信号は、前記第2のモードを選択することを禁止する禁止信号であり、前記制御部は、前記禁止信号を受信した場合、前記第1のモードを選択する。これにより、基地局が、ユーザ端末によってD2D通信が制御されるタイミングを指定できるため、ユーザ端末が自由に第2のモードを適用してD2D通信を行うことを抑制できる。その結果、干渉の発生を抑制できる。
【0020】
第1実施形態において、前記モードとして前記第2のモードが選択されている場合において、前記制御部は、前記ネットワークに含まれる基地局から信号を受信してから前記許可信号を所定期間受信しない場合には、前記第1のモードを選択する。これにより、基地局がパブリックセーフティを許可していない場合に、ユーザ端末がいつまでも第2のモードでD2D通信を行うことを抑制できる。
【0021】
第2実施形態において、前記制御部は、前記ネットワークに含まれる基地局から、災害に関する情報を示す緊急速報を受信した後に前記基地局からの信号が所定期間途絶した場合、前記第2のモードを選択する。これにより、ユーザ端末は、基地局からパブリックセーフティ許可信号を受信しなくても、第2のモードを選択することができる。
【0022】
第2実施形態において、前記モードとして前記第2のモードが選択されている場合において、前記制御部は、前記基地局からの信号を受信できた場合、前記第1のモードを選択する。これにより、基地局がパブリックセーフティ禁止信号を送信しない場合であっても、ユーザ端末が第1のモードを選択できるため、ユーザ端末がいつまでも第2のモードでD2D通信を行うことを抑制できる。
【0023】
実施形態に係る基地局は、直接的な端末間通信であるD2D通信を制御するネットワークと、前記ネットワークに含まれる基地局とを有する移動通信システムにおける基地局であって、前記D2D通信に適用されるモードとして、前記ネットワークによって前記D2D通信が制御される第1のモードと、前記ネットワークの代わりに前記ユーザ端末によって前記D2D通信が制御される第2のモードと、から一方を選択可能なユーザ端末に、前記第2のモードを選択することを許可する許可信号、又は、前記第2のモードを選択することを禁止する禁止信号を送信する送信部と、前記基地局を含む前記ネットワークの状況に応じて、前記許可信号又は前記禁止信号を送信する制御を行う制御部と、を備える。
【0024】
その他実施形態において、前記制御部は、前記第2のモードを選択することが禁止されている場合に、前記第2のモードを選択している前記ユーザ端末が、前記基地局との接続の確立を要求した場合、前記接続の確立に用いられる信号と共に前記禁止信号を送信する。
【0025】
実施形態に係るプロセッサは、直接的な端末間通信であるD2D通信を制御するネットワークを有する移動通信システムにおけるユーザ端末に備えられるプロセッサであって、前記D2D通信に適用されるモードとして、前記ネットワークによって前記D2D通信が制御される第1のモードと、前記ネットワークの代わりに前記ユーザ端末によって前記D2D通信が制御される第2のモードと、から一方を選択する処理を実行し、前記ネットワークの状況に応じて送信される所定の信号の受信状況に基づいて、前記第1のモードと前記第2のモードとから一方を選択する処理を実行する。
【0026】
以下、図面を参照して、3GPP規格に準拠して構成されるセルラ移動通信システム(以下、「LTEシステム」)にD2D通信を導入する場合の各実施形態を説明する。
【0027】
[第1実施形態]
以下、第1実施形態について、説明する。
【0028】
(LTEシステム)
図1は、本実施形態に係るLTEシステムの構成図である。
【0029】
図1に示すように、LTEシステムは、複数のUE(User Equipment)100と、E−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)10と、EPC(Evolved Packet Core)20と、を含む。E−UTRAN10及びEPC20は、ネットワークを構成する。
【0030】
UE100は、移動型の無線通信装置であり、接続を確立したセル(サービングセル)との無線通信を行う。UE100はユーザ端末に相当する。
【0031】
E−UTRAN10は、複数のeNB200(evolved Node−B)を含む。eNB200は基地局に相当する。eNB200は、セルを管理しており、セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。
【0032】
なお、「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として使用される他に、UE100との無線通信を行う機能を示す用語としても使用される。
【0033】
eNB200は、例えば、無線リソース管理(RRM)機能と、ユーザデータのルーティング機能と、モビリティ制御及びスケジューリングのための測定制御機能と、を有する。
【0034】
EPC20は、MME(Mobility Management Entity)/S−GW(Serving−Gateway)300と、OAM(Operation and Maintenance)400とを含む。また、EPC20は、コアネットワークに相当する。
【0035】
MMEは、UE100に対する各種モビリティ制御等を行うネットワークノードであり、制御局に相当する。S−GWは、ユーザデータの転送制御を行うネットワークノードであり、交換局に相当する。
【0036】
eNB200は、X2インターフェイスを介して相互に接続される。また、eNB200は、S1インターフェイスを介してMME/S−GW300と接続される。
【0037】
OAM400は、オペレータによって管理されるサーバ装置であり、E−UTRAN10の保守及び監視を行う。
【0038】
次に、UE100及びeNB200の構成を説明する。
【0039】
図2は、UE100のブロック図である。図2に示すように、UE100は、アンテナ101と、無線送受信機110と、ユーザインターフェイス120と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機130と、バッテリ140と、メモリ150と、プロセッサ160と、を有する。メモリ150及びプロセッサ160は、制御部を構成する。
【0040】
制御部は、D2D通信に適用されるモードとして、通常モードと、パブリックセーフティモードとから一方を選択する。なお、通常モード及びパブリックセーフティモードについては、後述する。
【0041】
UE100は、GNSS受信機130を有していなくてもよい。また、メモリ150をプロセッサ160と一体化し、このセット(すなわち、チップセット)を、制御部を構成するプロセッサ160’としてもよい。
【0042】
アンテナ101及び無線送受信機110は、無線信号の送受信に用いられる。アンテナ101は、複数のアンテナ素子を含む。無線送受信機110は、プロセッサ160が出力するベースバンド信号を無線信号に変換してアンテナ101から送信する。また、無線送受信機110は、アンテナ101が受信する無線信号をベースバンド信号に変換してプロセッサ160に出力する。
【0043】
ユーザインターフェイス120は、UE100を所持するユーザとのインターフェイスであり、例えば、ディスプレイ、マイク、スピーカ、及び各種ボタンなどを含む。ユーザインターフェイス120は、ユーザからの操作を受け付けて、該操作の内容を示す信号をプロセッサ160に出力する。
【0044】
GNSS受信機130は、UE100の地理的な位置を示す位置情報を得るために、GNSS信号を受信して、受信した信号をプロセッサ160に出力する。
【0045】
バッテリ140は、UE100の各ブロックに供給すべき電力を蓄える。
【0046】
メモリ150は、プロセッサ160によって実行されるプログラムと、プロセッサ160による処理に使用される情報と、を記憶する。
【0047】
プロセッサ160は、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号などを行うベースバンドプロセッサと、メモリ150に記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、を含む。プロセッサ160は、さらに、音声・映像信号の符号化・復号を行うコーデックを含んでもよい。プロセッサ160は、後述する各種の処理及び各種の通信プロトコルを実行する。
【0048】
図3は、eNB200のブロック図である。図3に示すように、eNB200は、アンテナ201と、無線送受信機210と、ネットワークインターフェイス220と、メモリ230と、プロセッサ240と、を有する。メモリ230及びプロセッサ240は、制御部を構成する。なお、メモリ230をプロセッサ240と一体化し、このセット(すなわち、チップセット)を、制御部を構成するプロセッサ240’としてもよい。
【0049】
メモリ230には、eNB200の状態が記憶される。制御部は、所定の条件に基づいて、eNB200の状態を選択する。eNB200の状態の詳細は、後述にて説明する。
【0050】
アンテナ201及び無線送受信機210は、無線信号の送受信に用いられる。アンテナ201は、複数のアンテナ素子を含む。無線送受信機210は、プロセッサ240が出力するベースバンド信号を無線信号に変換してアンテナ201から送信する。また、無線送受信機210は、アンテナ201が受信する無線信号をベースバンド信号に変換してプロセッサ240に出力する。
【0051】
ネットワークインターフェイス220は、X2インターフェイスを介して隣接eNB200と接続され、S1インターフェイスを介してMME/S−GW300と接続される。ネットワークインターフェイス220は、X2インターフェイス上で行う通信及びS1インターフェイス上で行う通信に用いられる。
【0052】
メモリ230は、プロセッサ240によって実行されるプログラムと、プロセッサ240による処理に使用される情報と、を記憶する。
【0053】
プロセッサ240は、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号などを行うベースバンドプロセッサと、メモリ230に記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPUと、を含む。プロセッサ240は、後述する各種の処理及び各種の通信プロトコルを実行する。
【0054】
図4は、LTEシステムにおける無線インターフェイスのプロトコルスタック図である。
【0055】
図4に示すように、無線インターフェイスプロトコルは、OSI参照モデルのレイヤ1乃至レイヤ3に区分されており、レイヤ1は物理(PHY)レイヤである。レイヤ2は、MAC(Media Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、を含む。レイヤ3は、RRC(Radio Resource Control)レイヤを含む。
【0056】
物理レイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。物理レイヤは、物理チャネルを用いて上位レイヤに伝送サービスを提供する。UE100の物理レイヤとeNB200の物理レイヤとの間では、物理チャネルを介してデータが伝送される。
【0057】
MACレイヤは、データの優先制御、及びハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理などを行う。UE100のMACレイヤとeNB200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータが伝送される。eNB200のMACレイヤは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式など)、及び割り当てリソースブロックを決定するMACスケジューラを含む。
【0058】
RLCレイヤは、MACレイヤ及び物理レイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤとeNB200のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータが伝送される。
【0059】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
【0060】
RRCレイヤは、制御プレーンでのみ定義される。UE100のRRCレイヤとeNB200のRRCレイヤとの間では、各種設定のための制御信号(RRCメッセージ)が伝送される。RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとeNB200のRRCとの間にRRC接続がある場合、UE100は接続状態であり、そうでない場合、UE100はアイドル状態である。
【0061】
RRCレイヤの上位に位置するNAS(Non−Access Stratum)レイヤは、セッション管理及びモビリティ管理などを行う。
【0062】
図5は、LTEシステムで使用される無線フレームの構成図である。LTEシステムは、下りリンクにはOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplexing Access)、上りリンクにはSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)がそれぞれ使用される。
【0063】
図5に示すように、無線フレームは、時間方向に並ぶ10個のサブフレームで構成され、各サブフレームは、時間方向に並ぶ2個のスロットで構成される。各サブフレームの長さは1msであり、各スロットの長さは0.5msである。各サブフレームは、周波数方向に複数個のリソースブロック(RB)を含み、時間方向に複数個のシンボルを含む。各シンボルの先頭には、サイクリックプレフィックス(CP)と呼ばれるガード区間が設けられる。リソースブロックは、周波数方向に複数個のサブキャリアを含む。1つのサブキャリア及び1つのシンボルにより構成される無線リソース単位はリソースエレメント(RE)と称される。
【0064】
UE100に割り当てられる無線リソースのうち、周波数リソースはリソースブロックにより特定でき、時間リソースはサブフレーム(又はスロット)により特定できる。
【0065】
下りリンクにおいて、各サブフレームの先頭数シンボルの区間は、主に物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)として使用される制御領域である。また、各サブフレームの残りの区間は、主に物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)として使用できる領域である。さらに、各サブフレームには、セル固有参照信号(CRS)が分散して配置される。
【0066】
上りリンクにおいて、各サブフレームにおける周波数方向の両端部は、主に物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)として使用される制御領域である。また、各サブフレームにおける周波数方向の中央部は、主に物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)として使用できる領域である。さらに、各サブフレームには、復調参照信号(DMRS)及びサウンディング参照信号(SRS)が配置される。
【0067】
(D2D通信)
次に、LTEシステムの通常の通信(セルラ通信)とD2D通信とを比較して説明する。
【0068】
図6は、セルラ通信におけるデータパスを示す図である。ここでは、eNB200−1との接続を確立したUE100−1と、eNB200−2との接続を確立したUE100−2と、の間でセルラ通信を行う場合を例示している。なお、データパスとは、ユーザデータ(ユーザプレーン)の転送経路を意味する。
【0069】
図6に示すように、セルラ通信のデータパスはネットワークを経由する。詳細には、eNB200−1、S−GW300、及びeNB200−2を経由するデータパスが設定される。
【0070】
図7は、D2D通信におけるデータパスを示す図である。ここでは、eNB200−1との接続を確立したUE100−1と、eNB200−2との接続を確立したUE100−2と、の間でD2D通信を行う場合を例示している。
【0071】
例えば、UE100−1及びUE100−2のうち一方のUE100が、近傍に存在する他方のUE100を発見することで、D2D通信が開始される。なお、D2D通信を開始するために、UE100は、自身の近傍に存在する他のUE100を発見する(Discover)機能を有する。また、UE100は、他のUE100から発見される(Discoverable)機能を有する。
【0072】
図7に示すように、D2D通信のデータパスはネットワークを経由しない。すなわち、UE間で直接的な無線通信を行う。このように、UE100−1の近傍にUE100−2が存在するのであれば、UE100−1とUE100−2との間でD2D通信を行うことによって、ネットワークのトラフィック負荷及びUE100のバッテリ消費量を削減するなどの効果が得られる。
【0073】
(通常モード及びパブリックセーフティモード)
UE100は、通常モード(第1のモード)及びパブリックセーフティモード(第2のモード)のうち、一方のモードで、D2D通信を行う。すなわち、通常モード及びパブリックセーフティモードの一方のモードが、D2D通信のモード(D2D通信モード)として適用される。
【0074】
通常モードは、ネットワークによってD2D通信が制御されるモードである。ネットワークは、eNB200及びeNB200の上位装置(例えば、MME/S−GW300)を含む。通常モードでは、ネットワークが、D2D通信における無線リソースのスケジュールを行うことによって、D2D通信を制御する。ネットワークは、D2D通信の制御として、D2D通信の開始又は終了の指示をUE100に行ってもよい。
【0075】
パブリックセーフティモードは、ネットワークの代わりにUE100によってD2D通信が制御されるモードである。パブリックセーフティモードでは、UE100がD2D通信における無線リソースのスケジュールを行うことによって、D2D通信を制御する。
【0076】
パブリックセーフティモードでは、セルラ通信が可能である場合、セルラ通信よりもD2D通信が優先して行われてもよい。例えば、ユーザが通話を開始する操作を行った場合、D2D通信における通信相手端末の発見処理を行い、且つ、通信相手端末が発見できない場合に、セルラ通信を行うための処理を開始してもよい。
【0077】
通常モードは、一般的なモードであるのに対し、パブリックセーフティモードは、ユーザが自由に選択できないモードである。後述するように、所定条件下において、パブリックセーフティモードは、選択される。
【0078】
また、通常モードでは、D2D通信を行ったUE100に対して、課金が行われるのに対し、パブリックセーフティモードでは、D2D通信を行ったUE100に対して、課金が行われなくてもよい。
【0079】
(eNB200の状態)
eNB200の状態は、以下に示すように、いくつかの種類に分類される。本実施形態において、eNB200の状態は、5種類に分類される。
【0080】
第1のeNB200の状態は、パブリックセーフティに関するeNB200の状態である。パブリックセーフティに関するeNB200の状態は、パブリックセーフティ禁止状態(public saftey 禁止状態)又はパブリックセーフティ許可状態(public saftey 許可状態)である。eNB200は、パブリックセーフティに関するeNB200の状態として、パブリックセーフティ禁止状態及びパブリックセーフティ許可状態のいずれか一方を選択する。
【0081】
パブリックセーフティ禁止状態は、eNB200が、自局の配下のUE100がパブリックセーフティモードを選択することを禁止している状態である。パブリックセーフティ許可状態は、eNB200が、自局の配下のUE100がパブリックセーフティモードを選択することを許可している状態である。eNB200が正常に動作している場合、パブリックセーフティ禁止状態が選択される。
【0082】
第2のeNB200の状態は、バックホールに関するeNB200の状態である。バックホールに関するeNB200の状態は、バックホール接続状態又はバックホール途絶状態である。eNB200は、バックホールに関するeNB200の状態として、バックホール接続状態及びバックホール途絶状態のいずれか一方を選択する。
【0083】
バックホール接続状態は、eNB200がバックホールを介してeNB200の上位装置と接続されている状態であり、eNB200とeNB200の上位装置とのバックホールを介した通信が可能な状態である。バックホール途絶状態は、eNB200がバックホールを介した上位装置との接続が途絶している状態であり、eNB200とeNB200の上位装置とのバックホールを介した通信が不能な状態である。
【0084】
第3のeNB200の状態は、n番目の隣接eNB200nの接続に関するeNB200の状態である。隣接eNB200nの接続に関するeNB200の状態は、eNB200n接続状態又はeNB200n途絶状態である。eNB200は、隣接eNB200nの接続に関するeNB200の状態として、eNB200n接続状態及びeNB200n途絶状態のいずれか一方を選択する。
【0085】
eNB200n接続状態は、eNB200がX2インターフェイスを介してeNB200に隣接する隣接eNB200nと接続されている状態で有り、eNB200とeNB200nとのX2インターフェイスを介した通信が可能な状態である。eNB200n途絶状態は、eNB200がX2インターフェイスを介したeNB200nとの接続が途絶している状態で有り、eNB200とeNB200nとのX2インターフェイスを介した通信が不能の状態である。
【0086】
第4のeNB200の状態は、電源供給に関するeNB200の状態である。電源供給に関するeNB200の状態は、電源供給あり状態又は電源供給なし状態である。eNB200は、電源供給あり状態及び電源供給なし状態のいずれか一方を選択する。
【0087】
電源供給あり状態は、eNB200に外部から電源供給がある状態である。電源供給なし状態は、eNB200に外部から電源供給がない状態である。
【0088】
第5のeNB200の状態は、緊急速報に関するeNB200の状態である。緊急速報に関するeNB200の状態は、緊急速報送信状態又は緊急速報停止状態である。eNB200は、緊急速報送信状態及び緊急速報停止状態のいずれか一方を選択する。
【0089】
緊急速報送信状態は、eNB200が緊急速報を送信した状態である。緊急速報停止状態は、eNB200が緊急速報の送信を停止した状態である。
【0090】
eNB200は、上述した第1から第5の状態のそれぞれについて、所定の状態を選択している。
【0091】
(第1実施形態に係る移動通信システムの概略動作)
次に、第1実施形態に係る移動通信システムの概略動作について、図8及び図9を用いて説明する。
【0092】
図8は、第1実施形態に係る移動通信システムの動作例を示すシーケンス図である。図9は、パブリックセーフティ許可信号に含まれるバンド情報を説明するための図である。
【0093】
図8に示すように、ステップS101において、eNB200は、パブリックセーフティ許可信号の送信の判定処理を行う。パブリックセーフティ許可信号の送信の判定処理の詳細は、後述する。以下において、eNB200が、パブリックセーフティ許可信号の送信を行うと判定したと仮定して説明を進める。
【0094】
ステップS102において、eNB200は、パブリックセーフティ許可信号を送信する。eNB200は、パブリックセーフティ許可信号をブロードキャストで送信してもよいし、ユニキャストで送信してもよい。UE100は、パブリックセーフティ許可信号を受信する。
【0095】
図9に示すように、パブリックセーフティ許可信号は、D2D通信に使用すべき周波数帯を示す情報を含む。
【0096】
具体的には、例えば、図9(A)に示すように、パブリックセーフティ許可信号は、パブリックセーフティを許可することを示すフラグ(public saftey 許可フラグ)、D2D通信に使用可能な周波数帯の数(band数)、及びD2D通信に使用すべき周波数帯(band 1)を示す情報を含む。
【0097】
また、図9(B)に示すように、パブリックセーフティ許可信号は、パブリックセーフティを禁止することを示すフラグ(public saftey 禁止フラグ)、D2D通信に使用可能な周波数帯の数(band数)、及びD2D通信に使用すべき複数の周波数帯(band 1、band 2)を示す情報を含んでもよい。なお、UE100は、パブリックセーフティ禁止フラグがオフである場合に、パブリックセーフティモードを選択できる。
【0098】
また、図9(C)に示すように、パブリックセーフティ許可信号は、パブリックセーフティを禁止することを示すフラグ(public saftey 禁止フラグ)及びD2D通信に使用可能な周波数帯の数(band数)を示す情報を含んでもよい。パブリックセーフティ許可信号が、D2D通信に使用すべき周波数帯を示す情報を含んでいない場合、全ての周波数帯域を用いてD2D通信を行うことが可能であることを示してもよい。
【0099】
また、図9(D)に示すように、パブリックセーフティ許可信号は、パブリックセーフティを禁止することを示すフラグ(public saftey 禁止フラグ)、緊急レベルを示す情報(緊急レベル大)、D2D通信に使用可能な周波数帯の数(band数)、及びD2D通信に使用すべき複数の周波数帯(band 1、band 2)を示す情報を含んでもよい。
【0100】
また、図9(E)に示すように、パブリックセーフティ許可信号は、パブリックセーフティを禁止することを示すフラグ(public saftey 禁止フラグ)、D2D通信に使用すべき周波数帯の全てに対して許可するD2D通信の種類(受信許可、送信禁止)を示す情報、D2D通信に使用可能な周波数帯の数(band数)、及びD2D通信に使用すべき複数の周波数帯(band 1、band 2)を示す情報を含んでもよい。
【0101】
また、図9(F)に示すように、パブリックセーフティ許可信号は、パブリックセーフティを禁止することを示すフラグ(public saftey 禁止フラグ)、D2D通信に使用可能な周波数帯の数(band数)、D2D通信に使用すべき複数の周波数帯(band 1、band 2)を示す情報、及び、D2D通信に使用すべき周波数帯のそれぞれに対して許可するD2D通信の種類(受信許可、送信禁止、送信許可(前方))を示す情報を含んでもよい。なお、「送信許可(前方)」とは、D2D通信を受信したUE100に対してのみ送信してもよいことを示す。
【0102】
また、図9(G)に示すように、パブリックセーフティ許可信号は、パブリックセーフティを禁止することを示すフラグ(public saftey 禁止フラグ)、D2D通信に使用可能な周波数帯の数(band数)、D2D通信に使用すべき複数の周波数帯(band 1、band 2)を示す情報、及び、優先度を示す情報(優先度1、優先度2)を含んでもよい。優先度が高い周波数帯(例えば、優先度1のband 1)は、優先度が低い周波数帯(例えば、優先度2のband 2)よりも優先して使用される。
【0103】
なお、例えば、先に示されている周波数帯の方が、後に示されている周波数帯よりも優先度が高いというように、周波数帯を示す情報の順番によって優先度が示されてもよい。例えば、図9(B)において、band 1の方がband 2よりも優先度が高くてもよい。
【0104】
図8に戻り、ステップS103において、UE100は、パブリックセーフティ許可信号を受信したことに基づいて、パブリックセーフティモードを選択する。
【0105】
ステップS104において、eNB200は、パブリックセーフティ禁止信号の送信の判定処理を行う。パブリックセーフティ禁止信号の送信の判定処理の詳細は、後述する。以下において、eNB200が、パブリックセーフティ禁止信号の送信を行うと判定したと仮定して説明を進める。
【0106】
ステップS105において、eNB200は、パブリックセーフティ禁止信号を送信する。eNB200は、パブリックセーフティ禁止信号をブロードキャストで送信してもよいし、ユニキャストで送信してもよい。UE100は、パブリックセーフティ禁止信号を受信する。
【0107】
ステップS106において、UE100は、パブリックセーフティ禁止信号を受信したことに基づいて、通常モードを選択する。
【0108】
なお、UE100は、パブリックセーフティ禁止信号を受信しなくても、パブリックセーフティ許可信号の受信状況に基づいて、通常モードを選択してもよい。
【0109】
(eNB200の動作)
次に、eNB200の動作について、説明する。具体的には、(1)パブリックセーフティ許可信号の送信の判定処理、及び、(2)パブリックセーフティ禁止信号の送信の判定処理、について説明する。
【0110】
(1)パブリックセーフティ許可信号の送信の判定処理
(A)処理動作パターン1
まず、バックホールを介した通信が途絶えた場合に、eNB200がパブリックセーフティ許可信号を送信するケースについて、図10〜12を用いて説明する。
【0111】
図10は、eNB200と上位装置とのバックホールを介した接続確認の処理を説明するフローチャートである。図11は、第1タイマが満了したときの処理を説明するフローチャートである。図12は、第2タイマが満了したときの処理を説明するフローチャートである。
【0112】
まず、eNB200と上位装置とのバックホールを介した接続確認の処理を説明する。
【0113】
図10に示すように、ステップS201において、eNB200は、eNB200の上位装置から、バックホールを介して、アライブ信号(alive信号)を受信したか否かを判定する。
【0114】
eNB200は、アライブ信号を受信しなかった場合(Noの場合)、処理を終了する。一方、eNB200は、アライブ信号を受信した場合(Yesの場合)、ステップS202の処理を行う。
【0115】
ステップS202において、eNB200は、上位装置にアライブ信号を受信したことを示すアライブアック(alive ack)を返信する。
【0116】
ステップS203において、eNB200は、パブリックセーフティ禁止状態を選択する。これにより、パブリックセーフティに関するeNB200の状態は、パブリックセーフティ禁止状態になる。すなわち、eNB200は、eNB200の配下において、UE100が、UE100によって制御されるD2D通信を行うことを禁止する。
【0117】
ステップS204において、eNB200は、第1タイマを起動する。eNB200は、第1タイマがすでに起動している場合は、第1タイマを再起動する。これにより、第1タイマは、最初からカウントを開始する。
【0118】
ステップS205において、eNB200は、第2タイマが起動中であるか否かを判定する。eNB200は、第2タイマが起動中でない場合(Noの場合)、処理を終了する。一方、eNB200は、第2タイマが起動中である場合(Yesの場合)、ステップS206の処理を行う。
【0119】
ステップS206において、eNB200は、第2タイマを停止し、処理を終了する。
【0120】
次に、第1タイマが満了したときの処理を説明する。第1タイマが満了したときに、eNB200は、ステップS221の処理を行う(図11参照)。
【0121】
なお、第1タイマが起動してから満了するまでの時間は、eNB200が、上位装置から所定の周期で送信されるアライブ信号を受信する通常の間隔よりも長く設定される。すなわち、第1タイマは、eNB200と上位装置とのバックホールを介した通信が不能になった場合に満了するように設定される。第1タイマは、eNB200がeNB200と上位装置とのバックホールを介した通信が不能になったことを検出するためのタイマである。
【0122】
図11に示すように、ステップS221において、eNB200は、eNB200の状態がパブリックセーフティ禁止状態であるか否かを判定する。eNB200は、eNB200の状態がパブリックセーフティ禁止状態でない場合(Noの場合)、処理を終了する。一方、eNB200は、eNB200の状態がパブリックセーフティ禁止状態である場合(Yesの場合)、ステップS222の処理を行う。
【0123】
ステップS222において、eNB200は、パブリックセーフティ許可状態を選択する。これにより、eNB200の状態は、パブリックセーフティ許可状態になる。すなわち、eNB200は、eNB200の配下において、UE100が、UE100によって制御されるD2D通信を行うことを許可する。
【0124】
ステップS223において、eNB200は、第2タイマを起動し、処理を終了する。
【0125】
次に、第2タイマが満了したときの処理を説明する。第2タイマが満了したときに、eNB200は、ステップS241の処理を行う(図12参照)。
【0126】
図12に示すように、ステップS241において、eNB200は、eNB200の状態がパブリックセーフティ許可状態であるか否かを判定する。eNB200は、eNB200の状態がパブリックセーフティ許可状態でない場合(Noの場合)、処理を終了する。一方、eNB200は、eNB200の状態がパブリックセーフティ許可状態である場合(Yesの場合)、ステップS242の処理を行う。
【0127】
ステップS242において、eNB200は、パブリックセーフティ許可信号を送信すると判定する。これにより、eNB200は、パブリックセーフティ許可信号をUE100に送信する。
【0128】
ステップS243において、eNB200は、第2タイマを起動する。
【0129】
以上の処理により、eNB200は、ネットワークの状況が、eNB200の上位装置からバックホールを介したeNB200への通信が途絶したという状況である場合に、パブリックセーフティ許可信号を送信する。
【0130】
(B)処理動作パターン2
次に、バックホールを介した通信及び隣接eNBとのX2インターフェイスを介した通信が途絶えた場合に、eNB200がパブリックセーフティ許可信号を送信するケースについて、図13〜16を用いて説明する。
【0131】
図13は、eNB200と上位装置とのバックホールを介した接続確認の処理を説明するフローチャートである。図14は、eNB200と隣接eNB200nとのX2インターフェイスを介した接続確認の処理を説明するフローチャートである。図15は、第3タイマが満了したときの処理を説明するフローチャートである。図16は、第3nタイマが満了したときの処理を説明するフローチャートである。
【0132】
今回のケースにおいて、eNB200だけでなく、eNB200に隣接するn個の隣接eNB200nが存在するとして、説明を行う。なお、第2タイマの満了時の処理は、上述と同一の処理が行われる。
【0133】
まず、eNB200と上位装置とのバックホールを介した接続確認の処理を説明する。
【0134】
図13に示すように、ステップS301、S302、S305、S306は、図10に示すステップS201、S202、S205、S206に対応する。
【0135】
ステップS303において、eNB200は、バックホール接続状態を選択する。これにより、バックホールに関するeNB200の状態は、バックホール接続状態になる。
【0136】
ステップS304において、eNB200は、第3タイマを起動する。eNB200は、第3タイマがすでに起動している場合は、第3タイマを再起動する。すなわち、第3タイマは、最初からカウントを開始する。
【0137】
次に、eNB200とn番目の隣接eNB200nとのX2インターフェイスを介した接続確認の処理を説明する。
【0138】
図14に示すように、ステップS321において、eNB200は、n番目のeNB200nからアライブ信号を受信したか否かを判定する。
【0139】
eNB200は、アライブ信号を受信しなかった場合(Noの場合)、処理を終了する。一方、eNB200は、アライブ信号を受信した場合(Yesの場合)、ステップS322の処理を行う。
【0140】
ステップS322において、eNB200は、eNB200nにアライブ信号を受信したことを示すアライブアック(alive ack)を返信する。
【0141】
ステップS323において、eNB200は、eNB200n接続状態に変更する。これにより、eNB200nの接続に関するeNB200の状態は、eNB200n接続状態になる。
【0142】
ステップS324において、eNB200は、第3nタイマを起動する。eNB200は、第3nタイマがすでに起動している場合は、第3nタイマを再起動する。これにより、第3nタイマは、最初からカウントを開始する。
【0143】
ステップS325、S326は、図10に示すステップS205、S206に対応する。
【0144】
次に、第3タイマが満了したときの処理を説明する。第3タイマが満了したときに、eNB200は、ステップS341の処理を行う。
【0145】
なお、第3タイマは、第1タイマと同様のタイマである。したがって、第3タイマが起動してから満了するまでの時間は、eNB200が、eNB200nから所定の周期で送信されるアライブ信号を受信する通常の間隔よりも長く設定される。
【0146】
図15に示すように、ステップS341において、eNB200は、バックホールに関するeNB200の状態がバックホール接続状態であるか否かを判定する。eNB200は、eNB200の状態がバックホール接続状態でない場合(Noの場合)、処理を終了する。一方、eNB200は、eNB200の状態がバックホール接続状態である場合(Yesの場合)、ステップS342の処理を行う。
【0147】
ステップS342において、eNB200は、バックホール途絶状態を選択する。これにより、eNB200の状態は、バックホール途絶状態になる。
【0148】
ステップS343において、eNB200は、接続状態のeNB200nが存在するか否かを判定する。eNB200は、eNB200nの接続に関するeNB200の状態の全てが、eNB200n接続状態でない場合(eNB200n途絶状態である場合:Yesの場合)、ステップS344の処理を行う。一方、eNB200nは、その他の場合(Noの場合)には、処理を終了する。なお、その他の場合(Noの場合)とは、eNB200nの接続に関するeNB200の状態が、少なくとも1つ以上、eNB200n接続状態である場合である。
【0149】
ステップS344、S345は、図11のステップS222、S223に対応する。
【0150】
次に、第3nタイマが満了したときの処理を説明する。第3nタイマが満了したときに、eNB200は、ステップS361の処理を行う。
【0151】
なお、第3nタイマが起動してから満了するまでの時間は、eNB200が、n番目のeNB200nから所定の周期で送信されるアライブ信号を受信する通常の間隔よりも長く設定される。すなわち、第3タイマは、eNB200とeNB200nとのX2インターフェイスを介した通信が不能になった場合に満了するように設定される。第3タイマは、eNB200が、eNB200とeNB200nとのX2インターフェイスを介した通信が不能になったことを検出するためのタイマである。
【0152】
図16に示すように、ステップS361において、eNB200は、n番目のeNB200nと接続状態であるか否かを判定する。eNB200は、隣接eNB200nの接続に関するeNB200の状態が、eNB200n接続状態でない場合(eNB200n途絶状態である場合:Noの場合)、処理を終了する。一方、eNB200は、eNB200の状態がeNB200n接続状態である場合(Yesの場合)、ステップS362の処理を行う。
【0153】
ステップS362において、eNB200は、n番目の隣接eNB200nの接続に関するeNB200の状態について、eNB200n途絶状態を選択する。これにより、n番目の隣接eNB200nの接続に関するeNB200の状態が、eNB200n途絶状態になる。
【0154】
ステップS363は、図15のステップS343に対応する。
【0155】
ステップS364において、eNB200は、バックホールに関するeNB200の状態がバックホール途絶状態であるか否かを判定する。eNB200は、eNB200の状態がバックホール途絶状態でない場合(Noの場合)、処理を終了する。一方、eNB200は、eNB200の状態がバックホール途絶状態である場合(Yesの場合)、ステップS365の処理を行う。
【0156】
ステップS365、S366は、図11のステップS222、S223に対応する。
【0157】
以上の処理により、eNB200は、ネットワークの状況が、上位装置からバックホールを介したeNB200への信号が途絶すると共に、eNB200nからX2インターフェイスを介したeNB200への信号が途絶したという状況である場合に、パブリックセーフティ許可信号を送信する。
【0158】
(C)処理動作パターン3
次に、eNB200への電源供給が遮断され、且つ、eNB200が備えるバッテリの残量が閾値を下回った場合に、eNB200がパブリックセーフティ許可信号を送信するケースについて、図17、18を用いて説明する。なお、第2タイマの満了時の処理は、上述と同一の処理が行われる。
【0159】
図17は、eNB200への電源供給の監視処理を説明するフローチャートである。図18は、eNB200のバッテリの残量が所定の閾値を下回った場合の処理を説明するフローチャートである。
【0160】
今回のケースにおいて、eNB200は、eNB200への電源供給が遮断された場合、eNB200が備えるバッテリを用いて、駆動する。
【0161】
図17に示すように、ステップS401において、eNB200は、外部から電源供給が行われているか否かを判定する。eNB200は、電源供給が行われている場合(Noの場合)、ステップS402の処理を行う。一方、eNB200は、電源供給が行われていない場合(すなわち、eNB200への電源供給が遮断されている場合:Yesの場合)、ステップS403の処理を行う。
【0162】
ステップS402において、eNB200は、電源供給あり状態を選択する。これにより、電源供給に関するeNB200の状態は、電源供給あり状態になる。
【0163】
ステップS403において、eNB200は、電源供給なし状態を選択する。これにより、電源供給に関するeNB200の状態は、電源供給なし状態になる。これにより、eNB200は、eNB200が備えるバッテリを用いて、駆動する。
【0164】
ステップS404において、eNB200は、バッテリの残量の監視を開始する。
【0165】
次に、バッテリの残量を監視により、バッテリの残量が所定の閾値を下回ったと判定した場合に行う処理を説明する。
【0166】
図18に示すように、ステップS421において、eNB200は、電源供給なし状態であるか否かを判定する。eNB200は、電源供給に関するeNB200の状態が電源供給なし状態でない場合(すなわち、電源供給あり状態の場合:Noの場合)、処理を終了する。一方、eNB200は、eNB200の状態が電源供給なし状態である場合(Yesの場合)、ステップS422の処理を行う。
【0167】
ステップS422、S423は、図11のステップS222、S223に対応する。
【0168】
以上の処理により、eNB200は、ネットワークの状況が、eNB200への外部から電源供給が遮断され、且つ、eNB200が備えるバッテリの残量が閾値を下回ったという状況である場合に、パブリックセーフティ許可信号を送信する。
【0169】
(2)パブリックセーフティ禁止信号の送信の判定処理
次に、パブリックセーフティ禁止信号の送信の判定処理について、図19を用いて説明する。
【0170】
図19は、パブリックセーフティ禁止信号の送信の判定処理を説明するためのフローチャートである。
【0171】
eNB200は、パブリックセーフティ許可信号を送信した後に、以下に説明する処理を行う。今回のケースでは、eNB200の上位装置からバックホールを介したeNB200への通信が途絶したという状況により、eNB200がパブリックセーフティ許可信号を送信したと仮定して説明する。
【0172】
図19に示すように、ステップS501、S502、S506〜S508は、図10に示すステップS201、S202、S204〜S206に対応する。
【0173】
ステップS503において、eNB200は、パブリックセーフティに関するeNB200の状態がパブリックセーフティ許可状態であるか否かを判定する。eNB200は、eNB200の状態がパブリックセーフティ許可状態でない場合(パブリックセーフティ禁止状態である場合:Noの場合)、ステップS504の処理を行う。一方、eNB200は、eNB200の状態がパブリックセーフティ許可状態である場合(Yesの場合)、ステップS506の処理を行う。
【0174】
ステップS504において、eNB200は、パブリックセーフティ禁止信号を送信すると判定する。これにより、eNB200は、パブリックセーフティ禁止信号をUE100に送信する。
【0175】
ステップS505において、eNB200は、パブリックセーフティ禁止状態を選択する。これにより、eNB200の状態は、パブリックセーフティ禁止状態になる。
【0176】
以上により、eNB200と上位装置とのバックホールを介した通信が回復した後(ネットワークの状況が回復した後)に、eNB200は、一度だけパブリックセーフティ禁止信号を送信する。
【0177】
(UE100の動作)
次に、UE100の動作について、説明する。具体的には、(1)サービングeNB200、及び、(2)全eNB200、について説明する。
【0178】
(1)サービングeNB200
まず、UE100がサービングしているeNB200からの信号の受信状況に基づいて、D2D通信に適用されるモードを選択する処理を、図20及び図21を用いて説明する。
【0179】
図20は、eNB200からのパブリックセーフティ許可信号の受信状況に基づくUE100の処理を説明するためフローチャートである。図21は、第4タイマが満了したときの処理を説明するフローチャートである。
【0180】
図20に示すように、ステップS601において、UE100は、eNB200からパブリックセーフティ許可信号を受信したか否かを判定する。UE100は、パブリックセーフティ許可信号を受信していない場合(Noの場合)、処理を終了する。一方、UE100は、パブリックセーフティ許可信号を受信している場合(Yesの場合)、ステップS602の処理を行う。
【0181】
ステップS602において、UE100は、パブリックセーフティモード(public safetyモード)を選択する。
【0182】
ステップS603において、UE100は、第4タイマを起動する。
【0183】
次に、第4タイマが満了したときの処理を説明する。第4タイマが満了したときに、UE100は、ステップS621の処理を行う。
【0184】
図21に示すように、ステップS621において、UE100は、パブリックセーフティモードを選択しているか否かを判定する。UE100がパブリックセーフティモードを選択していない場合(すなわち、通常モードを選択している場合:Noの場合)、処理を終了する。一方、UE100がパブリックセーフティモードを選択している場合(Yesの場合)、ステップS622の処理を行う。
【0185】
ステップS622において、UE100は、eNB200からの信号を検知しているか否かを判定する。UE100は、eNB200からの信号を検知していない場合(Noの場合)、処理を終了する。一方、UE100は、eNB200からの信号を検知している場合(Yesの場合)、ステップS623の処理を行う。
【0186】
なお、UE100は、eNB200からパブリックセーフティ禁止信号を受信している場合に、ステップS623の処理を行ってもよい。
【0187】
ステップS623において、UE100は、通常モードを選択する。
【0188】
ステップS624において、UE100は、第4タイマを停止する。
【0189】
以上より、UE100は、パブリックセーフティ許可信号を受信した場合に、パブリックセーフティモードを選択する。
【0190】
また、UE100は、パブリックセーフティモードが選択されている場合において、eNB200から信号を受信してから、パブリックセーフティ許可信号を所定期間受信しない場合に、通常モードを選択する。
【0191】
なお、UE100は、eNB200からパブリックセーフティ禁止信号を受信した場合に、通常モードを選択してもよい。
【0192】
(2)全eNB200
次に、UE100が検知している全てのeNB200からの信号の受信状況に基づいて、D2D通信に適用されるモードを選択する処理を、図22〜24を用いて説明する。
【0193】
図22は、eNB200nからのパブリックセーフティ許可信号の受信状況に基づく処理を説明するためフローチャートである。図23は、第4nタイマが満了したときの処理を説明するフローチャートである。図24は、UE100におけるeNB200nの状態の取り扱い処理を説明するフローチャートである。
【0194】
UE100は、n個のeNB200から信号を受信していると仮定して、説明を進める。
【0195】
図22に示すように、ステップS641において、UE100は、n番目のeNB200nからパブリックセーフティ許可信号を受信したか否かを判定する。UE100は、パブリックセーフティ許可信号を受信していない場合(Noの場合)、処理を終了する。一方、UE100は、パブリックセーフティ許可信号を受信している場合(Yesの場合)、ステップS642の処理を行う。
【0196】
ステップS642において、UE100は、n番目のeNB200nの状態をパブリックセーフティ許可状態であると記憶する。
【0197】
ステップS643において、UE100は、第4nタイマを起動する。UE100は、第4nタイマがすでに起動している場合は、第4nタイマを再起動する。
【0198】
ステップS644において、UE100は、パブリックセーフティ禁止状態であるeNB200nが存在しないか否か(全てのeNB200nがパブリックセーフティ許可状態であるか否か)を判定する。すなわち、UE100は、全てのeNB200nからパブリックセーフティ許可信号を受信しているか否かを判定する。UE100は、検知できているeNB200nの全てがパブリックセーフティ許可状態である場合(Yesの場合)、ステップS645の処理を行う。一方、UE100は、その他の場合(Noの場合)には処理を終了する。なお、その他の場合(Noの場合)とは、検知できているeNB200の一部がパブリックセーフティ許可状態でない場合や、検知できているeNB200の全てがパブリックセーフティ許可状態でない(パブリックセーフティ禁止状態である)場合を含む。
【0199】
ステップS645において、UE100は、パブリックセーフティモード(public safetyモード)を選択する。
【0200】
次に、第4nタイマが満了したときの処理を説明する。第4nタイマが満了したときに、UE100は、ステップS661の処理を行う。
【0201】
図23に示すように、ステップS661において、UE100は、n番目のeNB200nがパブリックセーフティ許可状態であるか否かを判定する。n番目のeNB200nがパブリックセーフティ許可状態でない場合(パブリックセーフティ禁止状態である場合:Noの場合)、処理を終了する。一方、n番目のeNB200nがパブリックセーフティ許可状態である場合(Yesの場合)、ステップS662の処理を行う。
【0202】
ステップS662において、UE100は、eNB200nからの信号を検知しているか否かを判定する。UE100は、eNB200nからの信号を検知していない場合(Noの場合)、処理を終了する。一方、UE100は、eNB200nからの信号を検知している場合(Yesの場合)、ステップS663の処理を行う。
【0203】
ステップS663において、UE100は、n番目のeNB200nの状態をパブリックセーフティ禁止状態であると記憶する。
【0204】
ステップS664において、UE100は、第4nタイマを停止する。
【0205】
以上より、UE100は、1以上のeNB200nのそれぞれから信号を受信し、1以上のeNB200nの全てから許可信号を受信した場合に、パブリックセーフティモードを選択する。
【0206】
次に、UE100におけるeNB200nの状態の取り扱いを説明する。本実施形態において、UE100は、所定の条件において、検知できていないeNB200nがパブリックセーフティ許可状態であるかパブリックセーフティ禁止状態であるか否かを示すパブリックセーフティ情報を破棄する。
【0207】
図24において、ステップS681において、UE100は、検知できているeNB200nの全てがパブリックセーフティ禁止状態であるか否かを判定する。UE100は、検知できているeNB200nの全てがパブリックセーフティ禁止状態である場合(Yesの場合)、ステップS682の処理を行う。一方、UE100は、その他の場合(Noの場合)には処理を終了する。なお、その他の場合(Noの場合)とは、検知できているeNB200の一部がパブリックセーフティ禁止状態でない場合や、検知できているeNB200の全てがパブリックセーフティ禁止状態でない場合を含む。
【0208】
ステップS682において、UE100は、検知できていないeNB200nのパブリックセーフティ情報を有しているか否かを判定する。UE100は、検知できていないeNB200nのパブリックセーフティ情報を有していない場合(Noの場合)、処理を終了する。一方、UE100は、検知できていないeNB200nのパブリックセーフティ情報を有している場合(Yesの場合)、ステップS683の処理を行う。
【0209】
ステップS683において、UE100は、検知できていないeNB200nのパブリックセーフティ情報を破棄する。すなわち、UE100は、当該パブリックセーフティ情報をメモリ150から消去する。
【0210】
以上より、検知できないeNB200nのパブリックセーフティ状態によって、UE100がD2D通信モードを正常に選択できないことを抑制することができる。
【0211】
(第1実施形態の変形例)
次に、第1実施形態の変形例について、図25〜27を用いて説明する。なお、上述した実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様の部分は、説明を適宜省略する。
【0212】
本変形例では、eNB200が緊急速報を送信した後に、ネットワークの状況が悪化し、パブリックセーフティ許可信号を送信するケースを説明する。なお、第2タイマの満了時の処理は、上述と同一の処理が行われる。
【0213】
本変形例では、上述した実施形態にあるように、バックホールを介した通信が途絶える場合、又は、eNB200への外部からの電源供給が遮断されるという場合において、eNB200がパブリックセーフティ許可信号を送信するケースについて、2種類の処理動作パターンを説明する。
【0214】
まず、eNB200が緊急速報をUE100に送信(ブロードキャスト)したと仮定して説明を進める。緊急速報は、災害に関する情報を示す情報である。例えば、緊急速報は、地震又は/及び津波の発生又は発生する可能性が高いことを示す情報である。緊急速報は、災害に関する情報をUE100に速く知らせることを目的としてブロードキャストされる。
【0215】
eNB200は、緊急速報をブロードキャストした場合、第5タイマを起動する。eNB200は、第5タイマがすでに起動している場合は、第5タイマを再起動する。
【0216】
eNB200は、第5タイマを起動した後、eNB200は、緊急速報送信状態を選択する。これにより、緊急速報に関するeNB200の状態は、緊急速報送信状態になる。
【0217】
第5タイマが満了した場合、eNB200は、緊急速報停止状態を選択する。
【0218】
(A)処理動作パターン1
次に、処理動作パターン1について、図25及び26を用いて説明する。図25は、eNB200と上位装置とのバックホールを介した接続確認の処理を説明するフローチャートである。図26は、第5タイマが満了したときの処理を説明するフローチャートである。
【0219】
なお、第5タイマは、第1タイマと同様のタイマである。したがって、第5タイマが起動してから満了するまでの時間は、eNB200が、上位装置から所定の周期で送信されるアライブ信号を受信する通常の間隔よりも長く設定される。
【0220】
図25に示すように、ステップS701〜S703は、図13に示すステップS301〜S303に対応する。
【0221】
ステップS704において、eNB200は、第5タイマを起動する。eNB200は、第5タイマがすでに起動している場合は、第5タイマを再起動する。
【0222】
ステップS705において、eNB200は、電源供給なし状態であるか否かを判定する。eNB200は、電源供給に関するeNB200の状態が電源供給なし状態である場合(Yesの場合)、処理を終了する。一方、eNB200は、eNB200の状態が電源供給なし状態でない場合(すなわち、電源供給あり状態の場合:Noの場合)、ステップS706の処理を行う。
【0223】
ステップS706において、eNB200は、パブリックセーフティに関するeNB200の状態について、パブリックセーフティ禁止状態を選択する。
【0224】
ステップS707及びS708は、図10に示すステップS205及びS206に対応する。
【0225】
次に、第5タイマが満了したときの処理を説明する。第5タイマが満了したときに、eNB200は、ステップS721の処理を行う。
【0226】
図26に示すように、ステップS721及びS722は、図15に示すステップS341及びS342に対応する。
【0227】
ステップS723において、eNB200は、緊急速報に関するeNB200の状態が緊急速報送信状態であるか否かを判定する。eNB200は、eNB200の状態が緊急速報送信状態でない場合(Noの場合)、処理を終了する。eNB200は、eNB200の状態が緊急速報送信状態である場合(Yesの場合)、ステップS724の処理を行う。
【0228】
ステップS724及びS725は、図15に示すステップS345及びS344に対応する。
【0229】
(B)処理動作パターン2
次に、処理動作パターン2について、図27を用いて説明する。図27は、eNB200への電源供給の監視処理を説明するフローチャートである。
【0230】
図27に示すように、ステップS741、S742及びS747は、図17に示すステップS401、S402及びS403に対応する。
【0231】
ステップS743において、eNB200は、バックホール途絶状態か否かを判定する。eNB200は、バックホールに関するeNB200の状態がバックホール途絶状態である場合(Yesの場合)、処理を終了する。一方、eNB200は、eNB200の状態がバックホール途絶状態でない場合(Noの場合)、ステップS744の処理を行う。
【0232】
ステップS744〜S746は、図25に示すステップS706〜S708に対応する。
【0233】
ステップS748〜S750は、図26に示すステップS723〜S724に対応する。
【0234】
以上より、UE100は、緊急速報を受信した後に、パブリックセーフティ許可信号を受信した場合、パブリックセーフティモードを選択する。
【0235】
(第1実施形態のまとめ)
本実施形態において、UE100(UE100の制御部)は、ネットワークの状況に応じて送信されるパブリックセーフティ許可信号及びパブリックセーフティ禁止信号の受信状況に基づいて、通常モードとパブリックセーフティモードとから一方を選択する。これにより、ネットワークの状況に応じて、通常モードとパブリックセーフティモードとから適宜選択することができるため、D2D通信を有効に活用できる。例えば、ネットワークの状況が正常である場合には、通常モードが選択されることにより、ネットワークがD2D通信を制御するため、UE100の周囲に存在する他のUE100及びeNB200への干渉を抑制できる。一方、ネットワークの状況が異常である場合には、パブリックセーフティモードが選択されることによって、ネットワークの状況が不安定であっても、D2D通信を有効に活用できる。
【0236】
本実施形態において、UE100は、パブリックセーフティ許可信号を受信した場合、パブリックセーフティモードを選択する。これにより、eNB200が、UE100によってD2D通信が制御されるタイミングを指定できるため、UE100が自由にパブリックセーフティモードを適用してD2D通信を行うことを抑制できる。その結果、干渉の発生を抑制できる。
【0237】
本実施形態において、UE100は、1以上のeNB200nのそれぞれから信号を受信し、UE100は、1以上のeNB200nの全てからパブリックセーフティ許可信号を受信した場合に、パブリックセーフティモードを選択する。これにより、UE100の周囲に存在するeNB200nの全てが、パブリックセーフティモードを適用してD2D通信を行うことを許可しているため、UE100が、パブリックセーフティモードを適用して、D2D通信を行っても、eNB200nへの干渉が発生する可能性が低い。
【0238】
本実施形態において、UE100は、緊急速報を受信した後に、パブリックセーフティ許可信号を受信した場合、パブリックセーフティモードを選択する。これにより、eNB200から緊急速報が送信された後に、パブリックセーフティ許可信号が送信されているため、ネットワークの状況が不安定である可能性が高い。このため、パブリックセーフティ許可信号が誤って送信された場合にパブリックセーフティモードが選択されることを抑制できる。
【0239】
本実施形態において、パブリックセーフティ許可信号は、D2D通信に使用すべき周波数帯を示す情報を含む。これにより、UE100が、D2D通信に使用する周波数帯を用いて自由にスケジューリングする場合に比べて、D2D通信を行うUE100が与える干渉を抑制できる。
【0240】
本実施形態において、パブリックセーフティモードが選択されている場合において、UE100は、セルラ通信が可能である場合、セルラ通信よりもD2D通信を優先して行う。これにより、D2D通信は、コアネットワークを経由して通信を行うセルラ通信に比べて、不安定な状況のネットワークにかかる負荷を低減することができる。
【0241】
本実施形態において、ネットワークの状況が、上位装置からバックホールを介したeNB200への信号が途絶したという状況である場合、パブリックセーフティ許可信号が送信される。また、ネットワークの状況が、上位装置からバックホールを介したeNB200への信号が途絶するとともに、eNB200nからX2インターフェイスを介したeNB200への信号が途絶したという状況である場合、パブリックセーフティ許可信号が送信される。また、ネットワークの状況が、eNB200への電源供給が遮断され、かつ、eNB200が備えるバッテリの残量が閾値を下回ったという状況である場合、パブリックセーフティ許可信号が送信される。このようにネットワークの状況が悪い場合、UE100の制御によってD2D通信が行われることにより、D2D通信を有効活用することができる。
【0242】
本実施形態において、UE100は、パブリックセーフティ禁止信号を受信した場合、通常モードを選択する。これにより、eNB200が、UE100によってD2D通信が制御されるタイミングを指定できるため、UE100が自由にパブリックセーフティモードを適用してD2D通信を行うことを抑制できる。その結果、干渉の発生を抑制できる。
【0243】
本実施形態において、UE100は、eNB200から信号を受信してからパブリックセーフティ許可信号を所定期間受信しない場合には、通常モードを選択する。これにより、eNB200がパブリックセーフティを許可していない場合に、UE100がいつまでもパブリックセーフティモードでD2D通信を行うことを抑制できる。
【0244】
[第2実施形態]
(第2実施形態に係る移動通信システムの概略動作)
次に、第2実施形態に係る移動通信システムの概略動作について、図28を用いて説明する。図28は、第2実施形態に係る移動通信システムの動作例を示すシーケンス図である。
【0245】
上述した実施形態では、eNB200がパブリックセーフティ許可信号を送信していたが、本実施形態では、eNB200がパブリックセーフティ許可信号を送信せずに、UE100がパブリックセーフティモードを選択する。
【0246】
図28に示すように、ステップS801において、eNB200は、緊急速報を送信する。UE100は、緊急速報を受信する。
【0247】
ステップS802において、UE100は、緊急速報の受信に基づいて、タイマを起動する。
【0248】
ステップS803において、UE100は、T1が経過して、タイマが満了した場合、パブリックセーフティモードを選択する。
【0249】
ステップS804において、eNB200は、信号を送信する。UE100は、信号を受信する。当該信号として、例えば、アライブ信号である。
【0250】
ステップS805において、UE100は、信号の受信に基づいて、通常モードを選択する。
【0251】
(UE100の動作)
次に、UE100の動作について、図29及び図30を用いて、説明する。図29は、eNB200からの信号の受信状況に基づくUE100のD2D通信モードの選択処理を説明するためのフローチャートである。図30は、第7タイマが満了したときの処理を説明するフローチャートである。
【0252】
図29に示されるように、ステップS821において、UE100は、eNB200から信号を受信したか否かを判定する。UE100は、信号を受信していない場合(Noの場合)、処理を終了する。一方、UE100は、信号を受信している場合(Yesの場合)、ステップS822の処理を行う。
【0253】
ステップS822において、UE100は、第6タイマを起動する。UE100は、第6タイマがすでに起動している場合は、第6タイマを再起動する。第6タイマが満了した場合、UE100は、UE100におけるeNB200からの信号の受信状態(以下、UE100の受信状態)をeNB200から信号を受信できていることを示す受信中状態から、eNB200から信号を受信できていないことを示す未受信状態に移行する。
【0254】
ステップS823において、UE100は、UE100の受信状態が未受信状態である場合、UE100の受信状態を、未受信状態から受信中状態に移行する。
【0255】
ステップS824において、UE100は、eNB200から受信した信号が緊急速報である否かを判定する。UE100は、信号が緊急速報である場合(Yesの場合)、ステップS825の処理を行う。一方、UE100は、eNB200から受信した信号が緊急速報でない場合(Noの場合)、ステップS826の処理を行う。
【0256】
ステップS825において、UE100は、第7タイマを起動する。UE100は、第7タイマがすでに起動している場合は、第7タイマを再起動する。
【0257】
ステップS826において、UE100は、UE100のD2D通信に適用されるモード(D2D通信モード)がパブリックセーフティモード(public safetyモード)であるか否かを判定する。UE100は、D2D通信モードがパブリックセーフティモードである場合、通常モードを選択する。一方、UE100は、D2D通信モードがパブリックセーフティモードでない場合、処理を終了する。
【0258】
次に、第7タイマが満了したときの処理を説明する。第7タイマが満了したときに、UE100は、ステップS841の処理を行う。
【0259】
ステップS841において、UE100は、UE100の受信状態が受信中状態であるか否かを判定する。UE100は、UE100の受信状態が受信中状態でない場合(Noの場合)、ステップS842の処理を行う。一方、UE100は、UE100の受信状態が受信中状態である場合(Yesの場合)、ステップS843の処理を行う。
【0260】
ステップS842において、UE100は、パブリックセーフティモードを選択する。
【0261】
ステップS843において、UE100は、通常モードを選択する。
【0262】
以上の処理により、UE100は、第7タイマが満了した場合に、eNB200からの信号を受信できている場合、通常モードを選択する。一方、UE100は、第7タイマが満了した場合に、eNB200からの信号を受信できていない場合、パブリックセーフティモードを選択する。
【0263】
また、eNB200は、eNB200から緊急速報以外の信号を受信した場合、通常モードを選択する。
【0264】
なお、UE100が、D2D通信モードとして、パブリックセーフティモードを選択して、D2D通信を行う場合に、UE100は、例えば、eNB200からマスタ情報ブロック(MIB)又はシステム情報ブロック(SIB)に含まれるD2D通信に使用すべき周波数帯を示す情報を利用してもよい。または、UE100は、eNB200との接続の確立の際に、RRCメッセージに含まれるD2D通信に使用すべき周波数帯を示す情報を利用してもよい。
【0265】
(第2実施形態のまとめ)
第2実施形態では、UE100は、eNB200から緊急速報を受信した後にeNB200からの信号が所定期間途絶した場合、すなわち、第7タイマが満了した場合、eNB200は、ステップS221の処理を行う。これにより、UE100は、eNB200からパブリックセーフティ許可信号を受信しなくても、パブリックセーフティモードを選択することができる。したがって、例えば、災害により、eNB200がパブリックセーフティ許可信号を送信する前にダウンした場合であっても、eNB200が緊急速報を送信していれば、UE100は、パブリックセーフティモードによってD2D通信を行うことができる。
【0266】
第2実施形態では、UE100は、eNB200からの信号を受信できた場合、通常モードを選択する。これにより、eNB200がパブリックセーフティ禁止信号を送信しない場合であっても、UE100が通常モードを選択できるため、UE100がいつまでもパブリックセーフティモードでD2D通信を行うことを抑制できる。
【0267】
[その他実施形態]
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0268】
上述した実施形態では、eNB200が、パブリックセーフティ許可信号及びパブリックセーフティ禁止信号の判定処理を行っていたが、これに限られない。eNB200の上位装置が当該判定処理を行ってもよい。
【0269】
また、上述した第1実施形態では、「(2)パブリックセーフティ禁止信号の送信の判定処理」において、eNB200は、パブリックセーフティ禁止信号を一度だけ送信していたが、これに限られない。eNB200は、ネットワークの状況が回復した後に、一度だけでなく、定期的又は不定期に、パブリックセーフティ禁止信号を送信してもよい。
【0270】
また、UE100は、パブリックセーフティモードである場合に、パブリックセーフティ許可信号を送信しているeNB200を検知できなくなった場合(すなわち、UE100がeNB200から報知メッセージを受信できなくなった場合)、パブリックセーフティ禁止信号を受信するまで、又は、パブリックセーフティモードの許可更新タイマが満了するまで、パブリックセーフティモードを維持してもよい。
【0271】
具体的には、UE100は、図31及び図32に示すような処理を行ってもよい。図31は、eNB200nからの信号の受信状況に基づいて、UE100のD2D通信に適用されるモードを選択する処理を説明するためのフローチャートである。ここで、eNB200nは、パブリックセーフティ許可信号を送信しているeNB200であってもよいし、他のeNB200であってもよい。図32は、許可更新タイマが満了したときの処理を説明するフローチャートである。
【0272】
図31に示すように、ステップS901において、UE100は、eNB200nから信号を受信したか否かを判定する。UE100は、信号を受信していない場合(Noの場合)、処理を終了する。一方、UE100は、信号を受信した場合(Yesの場合)、ステップS902の処理を行う。
【0273】
ステップS902において、UE100は、第8タイマを起動する。UE100は、第8タイマがすでに起動している場合は、第8タイマを再起動する。
【0274】
第8タイマが満了した場合、UE100は、UE100におけるeNB200nからの信号の受信状態を未受信状態に移行する。すなわち、UE100は、eNB200nに対するUE100の受信状態が未受信状態であると記憶する。
【0275】
ステップS903において、UE100は、eNB200nに対するUE100の受信状態が未受信状態であるか否かを判定する。UE100は、eNB200nに対するUE100の受信状態が未受信状態である場合(Yesの場合)、ステップS904の処理を行う。一方、UE100は、eNB200nに対するUE100の受信状態が未受信状態でない場合(Noの場合)、ステップS905の処理を行う。
【0276】
ステップS904において、UE100は、許可更新タイマを起動する。UE100は、許可更新タイマがすでに起動している場合は、許可更新タイマを再起動する。
【0277】
ステップS905において、UE100は、eNB200nに対するUE100の受信状態を受信中状態に移行する。すなわち、UE100は、eNB200nに対するUE100の受信状態が受信中状態であると記憶する。
【0278】
ステップS906において、UE100は、eNB200nから受信した信号がパブリックセーフティ許可信号であるか否かを判定する。UE100は、受信信号がパブリックセーフティ許可信号でない場合(Noの場合)、処理を終了する。一方、UE100は、受信信号がパブリックセーフティ許可信号である場合(Yesの場合)、ステップS907の処理を行う。
【0279】
ステップS907において、UE100は、UE100におけるeNB200nの状態をパブリックセーフティ許可状態に移行する。すなわち、UE100は、UE100におけるeNB200nの状態をパブリックセーフティ許可状態であると記憶する。
【0280】
ステップS908において、ステップS904と同様に、UE100は、許可更新タイマを起動する。
【0281】
次に、許可更新タイマが満了したときの処理を説明する。許可更新タイマが満了したときに、UE100は、ステップS921の処理を行う。
【0282】
図32に示すように、ステップS921において、UE100は、eNB200nに対するUE100の受信状態が未受信状態であるか否かを判定する。UE100は、eNB200nに対するUE100の受信状態が未受信状態である場合、処理を終了する。UE100は、eNB200nに対するUE100の受信状態が未受信状態でない場合、ステップS922の処理を行う。
【0283】
ステップS922において、UE100は、UE100におけるeNB200nの状態をパブリックセーフティ禁止状態に移行する。すなわち、UE100は、eNB200nの状態がパブリックセーフティ禁止状態であると記憶する。
【0284】
UE100は、UE100におけるeNB200nの状態が、パブリックセーフティ許可状態である場合、パブリックセーフティモードを選択する。一方、UE100は、eNB200nの状態が、パブリックセーフティ禁止状態である場合、通常モードを選択する。
【0285】
なお、UE100は、UE100が検知している全てのeNB200nの状態が、パブリックセーフティ許可状態である場合、パブリックセーフティモードを選択し、それ以外の場合に、通常モードを選択するという処理を行ってもよい。なお、それ以外の場合とは、UE100が検知できているeNB200nの一部の状態が、パブリックセーフティ許可状態でない場合や、UE100が検知できているeNB200nの全てがパブリックセーフティ許可状態でない場合を含む。
【0286】
また、UE100は、以下のように、eNB200からパブリックセーフティ禁止信号を受信できない場合であっても、UE100は、通常モードを選択して、パブリックセーフティモードから通常モードへ移行してもよい。
【0287】
具体的には、まず、UE100がパブリックセーフティモードを選択している場合であり、且つ、eNB200を検知できないと仮定して、説明を進める。
【0288】
例えば、UE100の移動によって、新たにeNB200−1を検知した場合で、且つ、eNB200−1からの信号を検知してから所定期間、eNB200−1からのパブリックセーフティ許可信号を受信できない場合、UE100は、通常モードを選択してもよい。
【0289】
また、eNB200は、パブリックセーフティモードを選択しているUE100が接続セットアップ要求を行った場合で、且つ、eNB200の状態がパブリックセーフティ禁止状態である場合(すなわち、UE100が、パブリックセーフティモードを選択することが禁止されている場合)、eNB200は、UE100との接続手続中に、UE100にパブリックセーフティモードではなく、通常モードを選択するように指示してもよい。すなわち、eNB200は、UE100との接続の確立に用いられる信号(例えば、RRC接続セットアップ)と共に、パブリックセーフティ禁止信号を送信してもよい。また、eNB200は、UE100との接続の確立に用いられる信号の中に、eNB200の状態がパブリックセーフティ禁止状態である旨を示す情報を含めて、当該信号をUE100に送信してもよい。
【0290】
なお、パブリックセーフティモードを選択しているUE100は、eNB200との接続の確立の要求に、UE100がパブリックセーフティモードを選択していることを示す情報を含めもよい。
【0291】
また、上述した各実施形態及び変形例は、それぞれ適宜組み合わせてもよいことは勿論である。
【0292】
例えば、第2実施形態に示されるように、緊急速報を受信してからパブリックセーフティ許可信号を受信せずに、パブリックセーフティモードを選択したUE100が、パブリックセーフティ禁止信号を受信することにより通常モードを選択してもよい。
【0293】
上述した実施形態では、本発明をLTEシステムに適用する一例を説明したが、LTEシステムに限定されるものではなく、LTEシステム以外のシステムに本発明を適用してもよい。
【0294】
なお、日本国特許出願第2013−093039号(2013年4月25日出願)の全内容が、参照により、本願明細書に組み込まれている。
【産業上の利用可能性】
【0295】
以上のように、本発明に係るユーザ端末、基地局及びプロセッサは、D2D通信を有効に活用できるため、移動通信分野において有用である。
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