【文献】
SUDA, T. et al.,"Purification and characterization of the Fas-ligand that induces apoptosis.",J. EXP. MED.,1994年 3月 1日,Vol.179, No.3,pp.873-879
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0005】
第一態様によれば、本発明は、融合タンパク質アイソフォームの混合物を含む組成物に関し、それぞれの融合タンパク質は、少なくとも1つの細胞外CD95ドメイン(APO−1;Fas)またはその機能性フラグメント、および、Fcドメインである少なくとも1つの第二のドメインまたは約4.0〜約8.5のpIの範囲内に分布するその機能性フラグメントを含む。したがって、本明細書において用いられる細胞外CD95ドメインを「第一のドメイン」とも呼んでよく、一方で、Fcドメインを「第二のドメイン」と呼んでよい。
【0006】
第一のドメインタンパク質は、細胞外CD95ドメイン、好ましくは哺乳類の細胞外ドメイン、特にヒトタンパク質、すなわちヒト細胞外CD95ドメインである。融合タンパク質の第一のドメイン、すなわち細胞外CD95ドメインは、好ましくは、ヒトCD95(配列番号1)のアミノ酸170、171、172または173に至るまでのアミノ酸を含む。シグナルペプチド(例えば配列番号1の1〜25位)は存在してもしなくてもよい。
【0007】
特に治療目的では、ヒトタンパク質の使用が好ましい。
【0008】
融合タンパク質は、同一または異なってよい1つまたは複数の第一のドメインを含んでよい。しかしながら、1つの第一のドメイン、すなわち、1つの細胞外CD95ドメインを含む融合タンパク質が好ましい。
【0009】
好ましい実施態様によれば、Fcドメインまたはその機能性フラグメント、すなわち本発明に係る融合タンパク質の第二のドメインは、CH2および/またはCH3ドメインを含み、および場合により、ヒンジ領域ドメインの少なくとも一部、またはそれらに由来する修飾免疫グロブリンドメインを含む。免疫グロブリンドメインは、IgG、IgM、IgD、またはIgE免疫グロブリンドメイン、または、それらに由来する修飾免疫グロブリンドメインであってよい。好ましくは、第二のドメインは、少なくとも定常IgG免疫グロブリンドメインの一部を含む。IgG免疫グロブリンドメインは、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4ドメインから、またはそれらの修飾ドメインから、選択してよい。好ましくは、第二のドメインは、ヒトFcドメイン、例えばIgG Fcドメイン、例えばヒトIgG1 Fcドメインである。
【0010】
融合タンパク質は、同一または異なってよい1つまたは複数の第二のドメインを含んでよい。しかしながら、1つの第二のドメイン、すなわち1つのFcドメインを含む融合タンパク質が好ましい。
【0011】
さらに、第一および第二のドメインは、ともに、好ましくは同一種由来である。
【0012】
第一のドメイン、すなわち細胞外CD95ドメインまたはその機能性フラグメントは、N末またはC末に位置してよい。第二のドメイン、すなわちFcドメインまたは機能性フラグメントもまた、融合タンパク質のC末またはN末に位置してよい。しかしながら、細胞外CD95ドメインは融合タンパク質のN末が好ましい。
【0013】
さらに好ましい実施態様によれば、融合タンパク質はAPG101(CD95−Fc、配列番号1の26〜400位)である。配列番号1に定められるように、APG101は、ヒト細胞外CD95ドメイン(アミノ酸26〜172)およびヒトIgG1 Fcドメイン(アミノ酸172〜400)を含む融合タンパク質であってよく、場合により、N末シグナル配列(例えば配列番号1のアミノ酸1〜25)をさらに含む。シグナルペプチドの存在は、APG101の未熟型を示す。成熟の過程で、シグナルペプチドは切断される。特に好ましい実施態様によれば、シグナル配列は切断される。シグナル配列を含むAPG101は、用語「無修飾APG101」にも含まれる。さらなる実施態様では、融合タンパク質は、APG101と、少なくとも70%の同一性、より好ましくは75%の同一性、80%の同一性、85%の同一性、90%の同一性、95%の同一性、96%の同一性、97%の同一性、98%の同一性、99%の同一性を有するポリペプチドである。本出願によれば、用語「同一性」は、比較される2つのアミノ酸配列の不変性の(換言すれば同じ位置に同一アミノ酸を共有する)程度に関する。
【0014】
用語「APG101」は、シグナルペプチドを有する、および/または、有さない、配列番号1の26〜400位の融合タンパク質を表す。用語「APG101」はまた、CD95細胞外ドメインのN末がトランケートされた形態を含む融合タンパク質も含む。
【0015】
別の好ましい実施態様では、本発明に係る融合タンパク質は、APG101の機能性フラグメントである。本明細書において用いられる用語「フラグメント」は一般に、「機能性フラグメント」、すなわち、対応する野生型または全長タンパク質が有するのと本質的に同一の生物学的活性および/または特性を有する、野生型または全長タンパク質のフラグメントまたは一部を指す。
【0016】
当業者は、本発明に係る融合タンパク質を設計および生産する方法を知っている。しかしながら、融合タンパク質アイソフォーム、特にAPG101アイソフォームの混合物は、後述の方法により得られる。そのような方法は、例えば、PCT/EP04/03239に記載されている。好ましい実施態様によれば、本発明の融合タンパク質の設計は、両ドメイン間に少なくとも1つのアミノ酸オーバーラップを作るための、第一のドメインおよび第二のドメインの末端のアミノ酸(単数または複数)の選択を含む。第一および第二のドメインの間または2つの第一のドメインの間のオーバーラップは、好ましくは1、2または3アミノ酸長である。より好ましくは、オーバーラップは、1アミノ酸長である。オーバーラップするアミノ酸の例はS、E、K、H、T、P、およびDである。
【0017】
本発明に係る組成物は、タンパク質アイソフォームの混合物を含む。本明細書において用いられる用語「アイソフォーム」は、同一タンパク質の異なる形態、例えばAPG101(特にシグナル配列を有さないAPG101)の異なる形態を指す。そのようなアイソフォームは、対応する無修飾タンパク質(すなわち、いかなる修飾もない所定のコード配列から翻訳および発現されるタンパク質)と比較すると、例えば、タンパク質の長さによって、アミノ酸(すなわち置換および/または欠失、および/または翻訳後修飾)によって、異なり得る。異なるアイソフォームは、例えば、SDS−電気泳動のような電気泳動、および/または本発明によれば好ましい分画電気泳動により、区別することができる。
【0018】
タンパク質の長さが異なるアイソフォームは、例えば、対応する無修飾タンパク質と比べた場合に、N末および/またはC末が伸長および/または短縮され得る。例えば、本発明に係るAPG101アイソフォームの混合物は、無修飾の形態でのAPG101、および、N末および/またはC末が伸長および/または短縮されたその変異体を含み得る。
【0019】
したがって、好ましい実施態様によれば、本発明に係る混合物は、APG101のN末および/またはC末が短縮された変異体を含む。
【0020】
特に好ましいものは、N末が短縮された融合タンパク質を含む、融合タンパク質アイソフォームの混合物である。
【0021】
短縮された融合タンパク質は、N末が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45および/または50アミノ酸トランケートされた配列番号1を含み得る。好ましい短縮された融合タンパク質は、N末が16、20、または25アミノ酸トランケートされた配列番号1を有する。
【0022】
そのようなN末が短縮された融合タンパク質は、本発明に関して、無修飾APG101の−1、−2、−3、−4、−5、−6、−7、−8、−9、−10、−11、−12、−13、−14、−15、−16、−17、−18、−19、−20、−21、−22、−23、−24、−25、−26、−27、−28、−29、−30、−35、−40、−45および/または−50N末が短縮された変異体とも呼んでよく、そして含んでよい。特に好ましいものは、−17、−21および/または−26N末が短縮された変異体である。番号付けは、配列番号1によるシグナル配列を含むAPG101タンパク質を指し、番号はN末がトランケートされたAPG101変異体における最初のアミノ酸を指す。
【0023】
これは、N末が16アミノ酸トランケートされた配列番号1を有する短縮された融合タンパク質は、−17と命名されたAPG101変異体に相当し、配列番号1のアミノ酸17〜400を有するタンパク質をもたらし、N末が20アミノ酸トランケートされたものは−21(配列番号1のアミノ酸21〜400)に相当し、そして、N末が25アミノ酸トランケートされたものは−26(配列番号1のアミノ酸26〜400)に相当することを意味する。
【0024】
APG101アイソフォームのC末の短縮の例は、C末Lysクリッピングである。
【0025】
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明に係る組成物の融合タンパク質の混合物は、好ましくは、修飾アイソフォームに対して、50モル%の無修飾APG101、より好ましくは40モル%の無修飾APG101、より好ましくは30モル%の無修飾APG101、より好ましくは20、より好ましくは10モル%の無修飾APG101、より好ましくは5モル%の無修飾APG101、および、さらにより好ましくは3モル%の無修飾APG101、そして、最も好ましくは1モル%および/またはそれ未満の無修飾APG101を含む。最も好ましいものは、全く無修飾APG101を含まない融合タンパク質アイソフォームの混合物を含む実施態様である。
【0026】
上記に概説されるように、アイソフォームは、アミノ酸の置換、アミノ酸の欠失および/またはアミノ酸の追加により異なってもよい。そのような置換および/または欠失は、1つまたは複数のアミノ酸を含んでよい。しかしながら、本実施態様によれば、1つのアミノ酸の置換が好ましい。
【0027】
本発明に係るアイソフォームは、翻訳後修飾に関して異なってもよい。本発明に係る翻訳後修飾は、制限されずに、ミリストイル化、パルミトイル化、イソプレニル化またはグリピエーション(glypiation)のような、特に膜局在化のための疎水基の付加、リポイル化(lipoyation)などの酵素活性を高めるための補助因子の付加、より小さな化学基の付加、例えばアシル化、ホルミル化、アルキル化、メチル化、C末でのアミド化、アミノ酸付加、γ−カルボキシル化、グリコシル化、ヒドロキシル化、酸化、グリシル化(glycilation)、ビオチン化および/またはペグ化を含んでよい。
【0028】
本発明によれば、シアル酸の付加、Fcに基づくグリコシル化、特にFcに基づくN末グリコシル化、および/またはpyro−Glu−修飾が、翻訳後修飾の好ましい実施態様である。
【0029】
好ましい実施態様によれば、本発明の組成物に含まれる融合タンパク質は、多量のシアル酸を含む。本発明によれば、シアル酸の含有量は、好ましくは約4.0〜7.0モルNeuAc/モルAPG101、より好ましくは4.5〜6.0モルNeuAc/モルAPG101、そして最も好ましくは約5.0モルNeuAc/モルAPG101である。本明細書において用いられるシアル酸は、ノイラミン酸のN−またはO−置換誘導体を指す。好ましいシアル酸は、N−アセチルノイラミン酸(NeuAc)である。アミノ基は一般に、アセチル基またはグリコリル基のいずれかを担うが、他の修飾が示されている。ヒドロキシル置換基はかなり異なってよい。好ましいヒドロキシル置換基は、アセチル基、ラクチル基、メチル基、硫酸基および/またはリン酸基である。シアル酸の付加は、一般に、よりアニオン性のタンパク質を生じる。生じる負電荷は、この修飾に、タンパク質の表面電荷を変化させる能力および結合能力を与える。多量のシアル酸は、より高い血清安定性をもたらし、それにより、薬物動態を改善し、免疫原性を低下させる。本発明のAPG101アイソフォームの高度のシアリル化は、多量の二分岐構造により説明され得る。本発明の方法により得られる本発明の組成物におけるAPG101アイソフォームがそのような高度のシアル酸付加を示すことは、非常に驚くべきことであると考えるべきである。
【0030】
本発明によれば、グリコシル化は、本明細書で定義される融合タンパク質、その機能性フラグメントの官能基に、糖を付加する反応をいう。特にそれは、APG101またはそのアイソフォームへの糖の付加に関する。糖は、例えば、N結合またはO結合により付加されてよい。N結合型の糖は、アスパラギンまたはアルギニン側鎖の窒素に付加される。O結合型の糖は、セリン、トレオニン、チロシン、ヒドロキシリジンまたはヒドロキシプロリン側鎖の、ヒドロキシ酸素に付加される。本発明によれば、N結合、特にFcに基づくN末グリコシル化が好ましい。特に好ましいN結合型グリコシル化の部位は、APG101(配列番号1)のN118位、N136位および/またはN250位に位置する。
【0031】
本発明に係るフコシル化は、分子へのフコース糖単位の付加に関する。本発明に関して、融合タンパク質への、特にAPG101への、フコース糖単位のそのような付加は、特に好ましいタイプのグリコシル化を代表する。フコシル化された形態の大部分は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)の減少を導く。したがって、融合タンパク質アイソフォームの混合物は、ADCCの減少により特徴付けられ、製剤用途および診断用途に有益である。
【0032】
もちろん、本明細書で定義する第一および第二のドメインの他に、本発明に係る融合タンパク質は、さらなる標的化ドメインのようなさらなるドメイン、例えば、単鎖抗体またはそのフラグメントおよび/またはシグナルドメインを含んでよい。さらなる実施態様によれば、本発明により用いられる融合タンパク質は、組み換え発現後に宿主細胞からの分泌を可能にするN末シグナル配列を含んでよい。シグナル配列は、融合タンパク質の第一のドメインと同じシグナル配列であってよい。あるいは、シグナル配列は、異なるシグナル配列であってもよい。異なる実施態様では、融合タンパク質は、シグナルペプチドのような追加のN末配列がない。
【0033】
本発明に係る組成物は、プロテアーゼによるN末分解に関してより高い安定性を提供する、N末がブロックされた融合タンパク質、および、プロテアーゼによるN末の分解に関してより高い安定性を提供するフリーのN末を有する、融合タンパク質を含んでよい。
【0034】
タンパク質のN末をブロックする修飾は、当業者に知られている。しかしながら、N末をブロックする、本発明による好ましい翻訳後修飾は、pyro−Glu−修飾である。Pyro−Gluは、ピロリドンカルボン酸とも呼ばれる。本発明に係るPyro−Glu−修飾は、側鎖カルボキシル基を有するα−アミノ基の濃縮を介したグルタミンの環化による、N末グルタミンの修飾に関する。修飾されたタンパク質は、半減期の増加を示す。そのような修飾は、グルタミン酸残基においても生じ得る。特に好ましいものは、N末が短縮された融合タンパク質−26に関して、pyro−Glu−修飾、すなわちピロリドンカルボン酸である。
【0035】
本出願の好ましい実施態様では、本発明に係る組成物は、N末がブロックされた融合タンパク質を80〜99モル%、および/または、フリーのN末を有する融合タンパク質を1〜20モル%含む。
【0036】
さらに好ましい実施態様によれば、組成物は、融合タンパク質の高分子量の形態、例えば凝集体を、0.0〜5.0モル%、より好ましくは0.0〜3.0モル%およびさらにより好ましくは0.0〜1.0モル%含む。好ましい実施態様では、本発明に係る組成物は、融合タンパク質アイソフォームのいかなる凝集体(特に、APG101の二量体または凝集体)も含まない。二量体または凝集体は通常、溶解度に対してマイナスの効果があるため望ましくない。
【0037】
本明細書に記載のように、APG101の機能形態は、ヒンジ領域において、2つの分子の配列番号1に関する179位または/および182位でジスルフィド架橋により連結している、2つの融合タンパク質を含む(
図7参照)。ジスルフィド架橋は、2つの分子の配列番号1に関して173位で形成されてもよく、改善された安定性をもたらす。配列番号1に関して173位でのジスルフィド架橋が必要でない場合は、この位置のCys残基を別のアミノ酸により置換することができ、または欠失させることができる。
【0038】
好ましい実施態様では、本発明に係る混合物は、本明細書中に記載の本発明に係る方法により提供される。
【0039】
本発明によれば、融合タンパク質アイソフォームの混合物は、約4.0〜約8.5のpIの範囲内に分布する。さらなる実施態様では、本発明に係る組成物に含まれる融合タンパク質アイソフォームの混合物のpIの範囲は、約4.5〜約7.8、より好ましくは約5.0〜約7.5である。
【0040】
等電点(pI)は、特定の分子または表面が電荷を持たないpH値により定義される。周囲媒質のpH範囲に応じて、タンパク質のアミノ酸は、異なる正電荷または負電荷を有し得る。タンパク質の全電荷の合計は、特定のpHの範囲(その等電点、すなわちpI値)ではゼロである。電界中のタンパク質分子が、このpH値を有する媒質のポイントに到達すると、その電気泳動移動度は低減し、この場所に留まる。当業者は、所定のタンパク質のpI値を決定する方法、例えば分画電気泳動を熟知している。本技術は極めて高い分解度が可能である。電荷が1つ異なるタンパク質を、分離および/または分画することができる。
【0041】
本明細書に記載の本発明に係る組成物は、製剤、診断および/または研究の用途に用いてよい。ヒトの医学および獣医学に適用してよい。
【0042】
本発明の別態様は、本発明に係る組成物を含む製剤に関する。
【0043】
好ましい実施態様によれば、製剤は、
(a)リン酸、より好ましくは約1mM〜約100mMのリン酸バッファー、より好ましくは約5mMのリン酸〜約85mMのリン酸、より好ましくは約20mM〜約80mMのリン酸、より好ましくは約30mM〜約70mMのリン酸、さらにより好ましくは約40mM〜約60mMのリン酸、最も好ましくは約50mMのリン酸、
(b)粘度増強剤、好ましくは約0.1〜10重量%の粘度増強剤、より好ましくは1〜8重量%の粘度増強剤、より好ましくは約3重量%〜約7重量%の粘度増強剤、さらにより好ましくは約6重量%〜約7重量%の粘度増強剤、および最も好ましくは約5重量%の粘度増強剤を含み、そして、
(c)4〜8の範囲のpH値を有する。
【0044】
本発明に関して、用語「リン酸」は、当業者に公知の任意の適切なリン酸バッファーを含む。特に好ましい実施態様によれば、リン酸バッファーは、リン酸ナトリウムである
【0045】
粘度増強剤または粘度増加剤は当業者によく知られており、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ゼラチン、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、二酸化ケイ素、スターチ、キサンタンガムなどを含む。当然存在してよいさらなる賦形剤は、サッカロース、ソルビトールおよび/またはグリシンを含む。しかしながら、本発明によって特に好ましい粘度増強剤はソルビトールである。特に好ましい実施態様によれば、粘度増強剤ソルビトールは、約5重量%で存在する。
【0046】
本発明に係る製剤のpH値は、約4〜8の範囲内である。好ましい実施態様によれば、5〜8、より好ましくは6〜8、およびさらにより好ましくは6.5〜8の範囲内である。特に好ましい実施態様によれば、pHは、約6.5、約7.0、または約7.5である。
【0047】
特に好ましい実施態様によれば、本発明に係る製剤は、約30mMのリン酸ナトリウムまたは約50mMのリン酸ナトリウム、約5%のソルビトールを含み、約6.5のpH値を示す(
図10のバッファー5および6を参照)。
【0048】
驚くべきことに、そのタイプの製剤において提供される本発明の組成物は、非常に安定しており、凝集体を形成する傾向がない。例えば、本発明の製剤は、APG101の低減した断片化によりさらに特徴付けられる。さらに、高いタンパク質濃度、例えば約20mg/mlを安定型で提供することが可能であった。
【0049】
本発明に係る組成物および/または製剤は、それを必要とする対象、特にヒト患者に、適切な手段により、特定の状態の治療に十分な投与量で投与することができる。例えば、本発明に係る組成物および/または製剤は、薬学的に許容できる担体、希釈剤および/またはアジュバントと一緒に、医薬組成物として製剤化してよい。治療効率および毒性は、標準的なプロトコルに従って決定してよい。医薬組成物は、全身性に、例えば腹腔内、筋肉内、または静脈内に、または、局所的に、例えば鼻腔内、皮下または髄腔内に、投与してよい。投与される組成物および/または製剤の投与量は、もちろん、治療される対象および対象の状態、例えば対象の体重、対象の年齢および治療される疾患または損傷のタイプおよび重症度、投与方法および処方医師の判断に依存する。例えば、0.001〜100mg/kgの1日投与量が適切である。
【0050】
本発明の別態様は、本発明に係る組成物または製剤を含む医薬組成物または製剤に関し、少なくとも1つのさらなる活性薬剤を含む。どのさらなる活性薬剤を用いるかは、治療される適応症による。例えば、ドキソルビシン、シスプラチンまたはカルボプラチンなどの細胞傷害性薬剤、サイトカインまたは他の抗腫瘍性薬剤を、ガン治療で用いてよい。
【0051】
本発明に係る製剤および/または組成物は、薬学的に許容できる担体、希釈剤、および/またはアジュバントをさらに含んでよい。本明細書で用いられる場合、用語「担体」は、用いられる用量および濃度で曝された細胞または哺乳類に非毒性である担体、賦形剤および/または安定剤を含む。しばしば、生理的に許容できる担体、pH緩衝水溶液またはリポソーム。生理的に許容できる担体の例は、リン酸バッファー、クエン酸バッファーおよび他の有機酸バッファーなどのバッファー(しかしながら、本発明の製剤に関しては、リン酸バッファーが好ましい);アスコルビン酸を含む抗酸化剤、低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリジン;単糖類、二糖類、および、グルコース、マンノースまたはデキストリンを含む他の糖類、ゲル化剤、例えばEDTA、糖、アルコール類、例えばマンニトールまたはソルビトール;塩を形成する対イオン、例えばナトリウム;および/または非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN、ポリエチレンまたはポリエチレングリコールを含む。
【0052】
好ましい実施態様によれば、本発明に係る組成物および/または製剤を用いて、CD95シグナル伝達経路、特に、CD95L(すなわちCD95受容体リガンド)により引き起こされる外部アポトーシス経路を阻害することができる。特に、当該組成物は、自己免疫疾患、AIDS、心疾患、例えば心筋梗塞、移植片対宿主障害、移植拒絶、脳損傷、例えば脳卒中、脊髄損傷、敗血症、肝炎、炎症と関連する疾患、虚血性再灌流障害および腎障害から選択される疾患の予防および/または治療において用いることができる。もちろん、本明細書に記載の組成物および/または製剤は、がん、好ましくは固形がん、例えば、脳腫瘍、例えば、グリア芽腫の治療に用いてよい。あるいは、治療されるガンは、リンパ性または骨髄性の起源のガンであってよい。
【0053】
本発明の別態様は、発明に係る組成物を生産する方法に関する。好ましい実施態様によれば、当該方法は以下のステップを含む。
(a)細胞採取物を提供するフィードバッチ(feed batch)生産工程による、本発明により提供される組成物の生産、および、
(b)細胞採取物からの、本発明の組成物の分離。
【0054】
従来技術より知られる方法と比較した、本発明の方法の一つの利点は、その高い収率である。
【0055】
ステップ(a)、すなわち、「細胞採取物を提供するフィードバッチ生産工程による、本発明に係る組成物を生産する方法」は、以下において「上流工程(USP)」ともいう。本発明のステップ(a)による方法は、「本発明のUSP」とも呼ばれる。
図1は、従来技術による上流工程および本発明の上流工程の好ましい実施態様の比較を示す。
【0056】
ステップ(b)、すなわち、「細胞採取物からの、本発明の組成物の分離」は、以下において「下流工程(DSP)」ともいう。
【0057】
好ましくは、ステップ(a)は、適切な採取物パラメーターが得られるまでの所定のマスター細胞バッチの一連の培養ステップを含み、沈降および融合タンパク質(好ましくは上清を含む)の濾過が続く。本発明の好ましい実施態様では、上流工程の工程ステップは、以下のステップを含むシリーズとして要約され得る。
【0058】
融解、
継代培養、
50 lバイオリアクター、
200 lバイオリアクター、
1000 lバイオリアクター、
沈降、
深層濾過、および、
0.2μm濾過。
【0059】
もちろん、継代培養から1000 lバイオリアクターへの培養ステップの実施は、本発明の実施の単なる1つの方法である。例えば、培養ステップは、様々な大きさのバイオリアクターで同様に実施してよい。もちろん、一連の継代培養ステップの間、当業者は、例えば、温度、生育時間、培地などの適切なパラメーターを決定することができる。極めて重要な因子は、適切な採取物パラメーターを獲得することであり、それは力価、細胞密度であり得て、力価は、好ましくは0.5g/l〜5g/l、より好ましくは1g/l〜3g/l、より好ましくは1.5g/l〜5g/lの範囲内であり、そして最も好ましくは1.8g/l〜2g/lである。細胞密度の好ましい値の例は、約1×106〜1×108細胞/ml、好ましくは約1×107細胞/mlである。本発明の特に好ましい実施態様では、力価は約1.8g/l〜約2g/lであり、細胞密度は約1×107細胞/mlである。
【0060】
本発明に係る方法は、好ましくは、ペプトンを含む基礎培地および既知組成培地中で行なわれる。
【0061】
ステップ(b)は、捕獲クロマトグラフィー、ウイルス不活化、一連のアニオンおよび/またはカチオンクロマトグラフィー、ウイルス濾過および/または所望のタンパク質終濃度への調節を含んでよい。
【0062】
ステップ(a)により得られるAPG101アイソフォームを含む組成物を、上記で定義されたステップ(b)により精製する下流工程は、クロマトグラフィーステップ、ウイルス不活化ステップ、限外濾過ステップ、透析濾過ステップおよびウイルス濾過ステップを含む。好ましい実施態様によれば、この下流工程は、3つの異なるクロマトグラフィーステップを含む。第一のクロマトグラフィーステップは、標的タンパク質を捕獲するため、および/または、工程に関連する不純物(例えば、HCP、DNA)を除去するため、およびまたは、産物含有画分の量を減らすための樹脂を用いて行われる。対応する樹脂は当業者により選択することができる。樹脂の例は、Mab Select SuREであり、本発明による好ましい実施態様でもある。
【0063】
この第一のクロマトグラフィーステップの後、ウイルス不活化ステップが続く。好ましくは、このウイルス不活化ステップは、酸性条件下(例えば、pH3.5±0.2)で行なって不活化プールのコンディショニングを続けるか、または、より酸性でないpH値、例えばpH5.0で行なう。ウイルス不活化のためのバッファーマトリックス、および、その後のpH5.0の調節は、20nMクエン酸ナトリウムバッファーのみに基づいてよい。
【0064】
このウイルス不活化ステップのクロマトグラフィーの後、工程に関連する不純物、例えばDNAを減少させるために、イオン交換ステップが行われる。本発明によれば、特にフロースルーモードでは、アニオン交換クロマトグラフィー(AIEX)ステップが好ましい。標的タンパク質はAIEXカラムを通過し、一方で、DNAは樹脂に結合する。好ましくは、AIEXフロースループールを、続いて、いかなるコンディショニングもせずに、カラムに基づくさらなるステップを用いて処理する。この随意的なさらなるステップは、ウイルス汚染および残存するHCP、DNAおよびブリーチされた(bleached)プロテイン−Aリガンドの全体的な低減に寄与する。好ましい実施態様によれば、ミックスモードの樹脂capto−MMCが充填された(operated)カラムを結合/溶出モードで用いる。
【0065】
溶出液はウイルスフィルター(VF)を通過し、その後、限外−透析濾過ステップ(UF/DF)にアプライされる。本発明によれば、≦100 l/m2の特定の容積ロード(specific volumetric load)を、ウイルス濾過ステップで得ることができる。好ましくは、約30kDのカットオフを有する膜が用いられる。もちろん、上述の単一の精製ステップは、同一または同等の効果が得られる当業者に知られるステップにより置き換えることができる。
【0066】
最後に、UF/DF被保持物(retentate)が製剤化され、本発明に係るAPG101組成物の濃度は、所望のタンパク質濃度、例えば20±2mg/mlに調節される。
【0067】
図2は、本発明に係る下流工程の好ましい実施態様のフロースキームを示す。
図3から得ることができるように、本発明の下流工程は、従来技術より知られる下流工程に勝る多くの利点により特徴付けられる。例えば、ウイルス不活化の後、中性pH値での保持ステップは必要でない。ウイルス濾過ステップに関しては、以前の工程で知られる37g/m2と比較して、≦100 l/m2の容積ロードが可能である。さらに、PBSでの10mg/mlと比較して、本発明の製剤バッファーを用いて20mg/mlのような高いタンパク質濃度が到達可能である。
【0068】
本明細書に記載の、本発明に係る組成物を生産する方法は、4.0〜8.5の範囲のpIでのAPG101アイソフォームをもたらす。このように提供される組成物は、不要な、より高い分子量の形態、例えば二量体または凝集体を、ごく少量のみ含む。このように提供されるAPG101アイソフォームは、多量のシアル酸含有量、および多量のフコシル化された形態を含む、Fcに基づくN末グリコシル化により特徴付けられる。
【実施例】
【0069】
(実施例1)
本発明に係る組成物を生産する方法
本発明に係る組成物を生産する方法は、上記に定義した上流工程と下流工程とを含む。
【0070】
1.上流工程
【0071】
1.1 バッチの定義
APG101アイソフォームを含む組成物は、フェドバッチ培養で生産される。マスター細胞バンクMCB1AGAの2バイアルを解凍する。第三継代培養の生存能力は>90%でなければならず、生菌数は>1.5×106細胞/mLでなければならない。両方のバイアルがこれらの仕様を満たすならば、より高い生存能力を有する培養を第四継代培養およびシードリアクターの接種のために用いる。より低い生存能力を有する培養は、第三継代培養後に破棄する。第一のシードバイオリアクターに接種する前に、最大で合計≧4Lまでの容量の振とうフラスコ内で細胞培養を増殖させる。第一のシードバイオリアクターとして、50L Xcellerexディスポーザルバイオリアクター(XDR)を用いる。細胞培養は、第二のシードリアクター200L XDR内に移す前に、3日間培養する。さらに3日培養した後、1000Lの生産リアクターに接種する。採取工程は、13日目に、または、生存能力が61%未満に低下した場合はそれよりも早く、開始する。
【0072】
1.2 細胞株
使用されるマスター細胞バンク(MCB)を、「MCB1AGA」と称す。
【0073】
1.3 融解および継代培養
2つのMCBの低温バイアルを継続的に蘇生する。その後、融解工程を各バイアルに適用する:36.8℃(設定値)のWFIを含むビーカー内で、小さい氷晶が残るまで低温バイアルを解凍する。それから、6mM L−グルタミン(終濃度)および50nM MTX(終濃度)で補充された、約10mLの冷却した(5±3℃)生育培地(培地番号3001772、PAAより購入)内に細胞を移す。残存するDMSOを除去するために、冷却した(5±3℃)培地中での洗浄ステップを、遠心分離を介して行なう。遠心分離ステップ後に、細胞ペレットを、50mLの予め温めた(36.8±1℃)培地中に再懸濁する。細胞濃度および生存能力を、Cedex細胞計測器を用いて測定する。最後に、このOut−of−Freeze培養液を、250ml振とうフラスコを用いて50mlの作業体積(working volume)で、振とうインキュベーター内でインキュベートする。
【0074】
第一および第二の継代培養は、500ml振とうフラスコを用いて、120ml(第一継代培養)および150mL(第二継代培養)の作業体積で行なわれる、安定分割(stability split)である。第三および第四の継代培養は、第一の増殖フェーズであり、2000mL振とうフラスコ中で800mLの作業体積で行なわれる。これらの初めの4つの継代培養には、6mM L−グルタミンおよび50nM MTX(終濃度)で補充された、予め温めた(36.8±1℃)生育培地(培地番号3001772、PAAより購入)を、培養培地として用いる。
【0075】
細胞濃度および生存能力の測定は、各培養ステップの前に、Cedex細胞計測器を用いて行なう。次の継代培養は、細胞生育に応じて準備する。
【0076】
5番の継代培養では、振とうフラスコを5Lガラスボトル内にプールする。このプールを、細胞濃度および生存能力のためにサンプルする。それから、実際のVCCに応じて、必要な細胞培養量を50Lシードバイオリアクター内に移す。
【0077】
1.4シードバイオリアクター(50L)
50Lシードバイオリアクターは、着床式磁気駆動アジテーターシステムおよび1mmスパージャディスクを具備する。接種の前に、50Lバイオリアクターを、6mM L−グルタミン(終濃度)で補充された約20Lの生育培地(培地番号3001772、PAAより購入)で満たす。これらのパラメーターを、培地の事前コンディショニングおよびシードトレイン(seed train)培養工程に適用する。
【0078】
工程パラメーターがその許容できる範囲内に安定したときに、接種移行を開始する。接種後、25Lの最終作業体積までリアクターを培地で満たす。50Lバイオリアクター内での細胞集団の増殖の間、工程にフィードは追加しない。pHは、スパージャを介したCO2により調節する。酸素レベルは、必要に応じて、酸素を用いた水中エアレーションにより調節する。空気のオーバーレイのガスフローをヘッドスペースに適用する。pCO2の調節に用いることができる流速0.1L/分の加圧空気を用いた水中エアレーションを行なう。シードバイオリアクター内での培養時期の予定は、200Lシードバイオリアクターの接種の3日前である。
【0079】
1.5 シードバイオリアクター(200L)
200Lシードバイオリアクターは、着床式磁気駆動アジテーターシステムおよび1mmスパージャディスクを具備する。接種の前に、200Lバイオリアクターを、6mM L−グルタミン(終濃度)で補充された、約100Lの生育培地(培地番号3001772、PAAより購入)で満たす。これらのパラメーターを、培地の事前コンディショニングおよびシードトレイン培養工程に適用する。
【0080】
工程パラメーターがその許容できる範囲内に安定したときに、接種移行を開始する。接種後、培地を120Lの最終作業体積に添加する。200Lバイオリアクター内での細胞集団の増殖の間、工程にフィードは追加しない。pHは、CO2ガスにより訂正する。酸素レベルは、必要に応じて、酸素を用いた水中エアレーションにより調節する。空気のオーバーレイのガスフローをヘッドスペースに適用する。pCO2の調節に用いることができる流速0.4L/分の加圧空気を用いた水中エアレーションを行なう。シードバイオリアクター内での培養時期の予定は、1000Lの生産バイオリアクター内に細胞を移行する3日前である。
【0081】
1.6 フェドバッチ生産工程
APG101アイソフォームを含む組成物の生産工程は、フェドバッチ培養である。1000Lの生産バイオリアクターは、着床式磁気駆動アジテーターシステムおよび1mmスパージャディスクを具備する。接種前に、1000Lバイオリアクターを、6mM L−グルタミン(終濃度、最終的な開始容量720Lで計算)で補充された約580Lの増殖培地(培地番号3001829、Becton Dickisonより購入)で満たす。工程パラメーターがその許容できる範囲内であるときに、シードバイオリアクターから生産バイオリアクターへの接種移行を開始する。生産バイオリアクター内の、接種後の標的細胞濃度は、720Lの全容量中、0.3*106生菌/mLである。シードバイオリアクター細胞培養液の必要容量を生産リアクターに移し、それから、720Lの開始容量に達成するまで増殖培地(培地番号3001829、Becton Dickisonより購入)で満たす。細胞培養は、3日目に開始するFeedmedium A(PM30728)、および、グルコースFeedmedium B(PM30729)を用いてフィードする。
【0082】
毎日のフィードはFeed Bを用いて別々に開始し、Feed Aおよびグルコースは同時にフィードすることができる。
【0083】
−Feedmedium B:
サンプリング後の3日目に開始するボーラスフィード。
フィード速度3〜6日:5.184g/L/d(720Lの開始容量で計算)
フィード速度7〜12日:2.592g/L/d(720Lの開始容量で計算)
−Feedmedium A:
サンプリング後の3日目に開始するボーラスフィード。
フィード速度3〜5日:43.2g/L/d(720Lの開始容量で計算)
フィード速度6〜12日:21.6g/L/d(720Lの開始容量で計算)
−D−グルコースフィード:実際のD−グルコース濃度が<5g/Lになったときにグルコースを添加し、7日目に開始する。D−グルコース濃度は、必要量のD−グルコースフィードを添加することにより、5g/Lに調節する。
【0084】
酸素レベルは、3つの優先事項を有する酸素調節カスケードの適用により調節する:優先事項1は、10L/分のガスフローに到達するまでの、必要に応じた処理空気の流れからなる。それから、撹拌(優先事項2)を、撹拌スピードが100rpmに到達するまで、連続的に増加させる。3つめの優先事項は、必要に応じた水中注入O2からなる。
【0085】
空気のオーバーレイのフローをヘッドスペースに適用する。
【0086】
pHは、CO2を用いて調節する。必要であれば、必要な場合に添加する1M Na2CO3を調製する。気泡の形成を定期的に観察し、必要であれば消泡剤を添加する。
【0087】
採取工程を、培養13日目に、または、生存能力が<61%未満に低下した場合は(Cedex)、それよりも早くに開始する。工程の最初のステップは細胞の沈降であり、ここで、細胞ブロスを10±5℃までクールダウンする。温度が20℃未満のときに、撹拌、通気およびpH調節を切る。沈降の最短で12時間後に、浄化ステップを開始する。上清を2ステップの深層濾過および0.2μm濾過により浄化する。
【0088】
1.7 沈降
採取工程は、沈降ステップにより開始する。培養ブロスを、最終的に10±5℃までクールダウンする。温度が<20℃のときに、撹拌、pO2およびpH調節を止める。沈降の最短で12時間および最長で22時間後に、深層濾過を開始する。
【0089】
1.8 濾過
PallからのStax(商標)Disposable Depth Filter Systemsを用いて、7×PDK5および2×PDD1デプスフィルターを装着して深層濾過を行なう。浄化の後に、0.2μm濾過を行なう。デプスフィルターに、流速≦100L/m2/hで約900LのPBSを流す。残存する液体を、空気でシステムの外に吹き飛ばす。濾過工程は、ポンプ流速≦3、5L/分および最大圧力1.0barで行なう。産物回収を増加させるために、フィルターをその後、約60LのPBS(pH7、25)でリンスし、加圧空気を用いて0.8barの最大圧力で吹き飛ばす。濾過した採取物を、壁のダクトを直接通ってGDスイート(suite)内に移し、1000L Mixtainer内に集めて室温で保管する。
【0090】
2.下流工程
説明目的のために、下流工程中のそれぞれの精製ステップの説明を以下に示す。
【0091】
2.1 プロテインAの捕獲(C10)
上記による濾過物質を、深層濾過(depth filtrated)(0.2μm)に移し、温度を5±3℃にした。工程の前に、採取物を4つの等量のアリコートに分けて室温で一晩保管し、21±3℃の最終的な工程温度に到達させた。採取の工程は、いかなる追加のコンディショニングもせずに、4サイクルで行なった。
【0092】
低pHステップを介して、溶出を誘導した。4サイクルのUV280プロファイルは非常に一致した。そして、溶出ステップ中に典型的なシングルピークを含む予期される形状を示す。
【0093】
プロテインAのランの収率は、94〜98%の間で変動する。それ故に、プロテインAのランの産物回収は、予期した範囲内であった。さらに、全回収は互いに同程度であり、移行および適応の工程中に得られたデータを裏付けた。
【0094】
2.2ウイルス不活化(V10)
プロテインA溶出液の回収直後に、5分以内に20mMクエン酸を固定容量(仕様:pH3.5±0.2)添加し、エンベロープウイルスを不活化した。得られたウイルス不活化溶液を、室温(21±3℃)で75±15分間、別々にインキュベートした。最終的に、固定容量の20mMクエン酸三ナトリウムの添加を介して不活化溶液のpHをpH5.0±0.2に調節して、ウイルス不活化を止めた。全体のコンディショニングスキームは以下のとおりであった:
【0095】
続いて、コンディショニングしたウイルス不活化溶液を、0.22μmフィルター(Sartobran P)を介して濾過し、潜在的に形成される沈殿物を分離し、工程溶液中の微生物増殖を阻害した。コンディショニングした各ウイルス不活化バッチを21±3℃で保管し、最終的に、AIEX(C20)ステップを介した工程の前にプールした。
【0096】
2.3AIEX(C20)−カラム
ウイルス不活化、pH調節および濾過に続いて、コンディショニングしたウイルス不活化プールを、Capto Qカラムを用いてFTモードで2サイクル処理した。当該方法は、定置洗浄(cleaning in place)ステップ1(0.5M NaOHバッファー)、平衡化ステップ(20mMクエン酸ナトリウム、pH5)、コンディショニングしたウイルス不活化溶液のロードステップ、洗浄ステップ(20mMクエン酸ナトリウム、pH5.0)、再生ステップ(20mMクエン酸ナトリウム、1M NaCl、pH5.5)、定置洗浄ステップ2(0.5M NaOH)、および、保管ステップ(0.01M NaOH)を含む。
【0097】
2サイクルのUV280プロファイルは一致し、コンディショニングしたプロテインA溶出液の適用の間、UV280吸収プロファイルの予期される増加を示す。
【0098】
バイオバーデンの低減に取り組むために、得られたフロースルー画分それぞれを、最後に0.22μmで濾過した(Sartobran P)。その後、個々の画分をプールし、MMCステップ(C30)を介したさらなる工程まで、21±3℃で保管した。本発明の方法により得られるAPG101アイソフォームの混合物のAIEX画分、および、本発明でない方法により得られるAPG101の、IEFによる比較を
図4aおよび
図4bに示す。
【0099】
AIEXランの収率は、ほぼ100%であった。
【0100】
2.4 MMC(C30)−カラム
C20ステップの後、AIEXの産物プールを、Capto MMCカラムを用いて3サイクルで処理した。方法は、定置洗浄ステップ(0.5M NaOHバッファー)、平衡化ステップ(20mMクエン酸ナトリウム、pH5.0)、AIEX産物/洗浄を用いたロードステップ、洗浄ステップ(20mMクエン酸ナトリウム、pH5.0)、溶出ステップ(50mMリン酸ナトリウム、105mM NaCl、pH7.4)、再生ステップ(3M NaCl、pH11)、定置洗浄ステップ(0.5M NaOH)、コンディショニングステップ(50mMリン酸ナトリウム、105mM NaCl、pH7.4)、および、保管ステップ(20mMリン酸ナトリウム、20%エタノール、pH7.5)を含んだ。
【0101】
溶出は、pH上昇を介して誘導された。3サイクルのUV280プロファイルは非常に一致し、溶出ステップにおいて、典型的なシングルピークを含む予期される形状を示す。
【0102】
続いて、溶出液画分を、0.22μmフィルター(Sartobran P)を用いてそれぞれ濾過し、21±3℃で保管した。ウイルス濾過ステップを介したさらなる工程の前に、特定のCapto MMC溶出液画分をプールした。
【0103】
MMCランの収率は、ほぼ100%の範囲であった。
【0104】
2.5 ウイルス濾過(I10)
C30ステップの後に、Capto MMC溶出液プール(1181mL)を、ウイルス濾過の前に、Durapore 0.1μmフィルター(Millipak 20)上を通過させた。ウイルス濾過は、0.8±0.1barの作動圧力で50mM PBS、pH7.4(Capto MMC溶出バッファー)を用いて平衡化されたPlanova 15Nウイルスフィルター(100cm2)上に0.1μm濾液(887mL)のアリコートをアプライして行なった。洗浄後の容量は、平衡化バッファーを用いて0.5mL/cm2であった。フィルター試験を、加圧空気のバブリングの検出に基づいたフィルター使用の前に行なった。濾液の流速は、工程の間、一定のままだった(ca.22L/m2*h)。
【0105】
ウイルス濾過は、99%の収率をもたらした。
【0106】
続いて、残存する0.1μm濾液およびウイルス濾過の濾液画分をプールし、後に続くUF/DFステップを介したさらなる工程まで、5±3℃で保管した。
【0107】
2.6 限外濾過/透析濾過(I20)
透析濾過の前に、I10濾液を、2つのPellicon 3 30 kDaカセットを用いて、AKTAクロスフローシステム上で25.0±2.0mgAPG101/mLのタンパク質濃度まで濃縮した。その後、透析濾過を行なって、バッファー系を以下のバッファーに変更した:
50mMリン酸ナトリウム、5%ソルビトール、pH6.5
【0108】
材料を上述の濃度まで限外濾過し、ファクター7.0±0.5により透析濾過した。限外濾過および透析濾過に関するパラメーターは以下であった:
被保持物フロー:450L/(m2*h)
TMP:1.2±0.1bar
【0109】
UF/DFは、97%の産物回収をもたらした。
【0110】
2.7 薬剤物質の濃度調節
終濃度の調節のために、規定容量(107mL)の製剤バッファー(50mMリン酸ナトリウム、5%ソルビトール、pH6.5)をUF/DF被保持物プールに添加した。A280により得られた最終的な薬剤物質の濃度は20.4mg/mLであった。最終的に、薬剤物質を0.22μmで濾過した(Sartobran P)。続いて、薬剤物質の200μL容量アリコートを500μLバイアル内に詰めた。
【0111】
2.8 全収率
ステップおよびProA−HPLCおよびA280分析により得られた全収率を表1に示す。標的分子のサンプリングは、収率の計算に考慮しなかった。
【0112】
【表1】
【0113】
APG101アイソフォームの混合物の同一性を、非還元SDS PageおよびIEFを用いて確認した。アイソフォームのパターンは、参照物質と比較してさらなる基礎バンドを示し、アイソフォームの分布が酸性pI側にわずかにシフトした。
【0114】
このことは、例えば、本発明の方法により得られたAX画分、および、本発明でない方法により得られたAPG101混合物の、IEFゲルを比較することにより、
図1により示される。
【0115】
本発明のAPG101アイソフォーム混合物は、糖類(N−グリカンシアル酸)の存在下ではさらに異なる。
【0116】
糖類(アンテナリティ(antennarity)/N−グリカン)
表2に、糖構造の分析を要約する。参照物質と本発明の組成物は同等の糖構造であるにもかかわらず、糖構造の分布は異なる。
【0117】
【表2】
【0118】
糖(シアル酸)
本発明の組成物のAPG101のモルあたりのシアル酸の量の分析を表3に要約する。
【0119】
【表3】
【0120】
常に、参照物質は、本発明の方法により生産されたものでないAPG101混合物に関する。
【0121】
最後に、APG101アイソフォームを含む本発明に係る混合物の生物活性を測定するためのアッセイを行なった。
【0122】
3.APG101アイソフォームのインビトロでの有効性の判定方法
Jurkat A3永久T細胞株を用いた細胞アッセイを、APG101の生物学的活性の決定のために用いた。この有効性を
図5に模式的に示す。
【0123】
Jurkat A3細胞を用いたこのアポトーシスアッセイを用いて、APG293(=CD95L−T4;250ng/ml)が誘導するアポトーシスの、APG101による阻害に関するEC50値を決定する。
【0124】
簡単にいうと、Jurkat A3細胞を、10%FBS、100ユニット/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンで補充されたRPMI 1640−培地+GlutaMAX(GibCo)を用いてフラスコ中で増殖させる。96ウェルマイクロタイタープレートに、ウェルあたり100,000細胞をまく。250ng/mlの一定濃度でのCD95L−T4(APG293)を、別々の96ウェルマイクロタイタープレート中で、異なる濃度のAPG101とともに、37℃で30分間インキュベートする。細胞へのAPG101/CD95L−T4混合物の添加の後に、37℃で3時間インキュベーションを行なう。溶解バッファー(250mM HEPES、50mM MgCl2、10mM EGTA、5% Triton−X−100、100mM DTT、10mM AEBSF、pH7.5)を添加することにより細胞を溶解させ、プレートを30分〜2時間の間、氷上に置く。アポトーシスは、カスパーゼ(例えばカスパーゼ3および7)の活性の増加に並行する。それ故に、カスパーゼの基質Ac−DEVD−AFCの切断を用いてアポトーシスの程度を決める。実際に、カスパーゼ活性は、ヨウ化プロピジウムおよびHoechst−33342を用いた細胞の染色後に形態学的に判定されるアポトーシス細胞の割合と相関する。
【0125】
カスパーゼ活性アッセイのために、20μlの細胞溶解物を、黒色の(black)96ウェルマイクロタイタープレートへ移す。50mM HEPES、1%スクロース、0.1% CHAPS、50μM Ac−DEVD−AFC、および25mM DTT、pH7.5を含むバッファー80μlの添加後、プレートをTecanマイクロタイタープレートリーダーに移し、所定の時間枠にわたる蛍光強度の増加をモニターする(励起波長400nm、発光波長505nm)。GraphPad Prismソフトウェアを用いて、APG101に関するEC50値(すなわち、所定濃度のCD95Lのアポトーシス誘導が50%低減)を計算する。
【0126】
有効性アッセイを用いた、APG101の生物学的活性の判定は、以下を可能にする:
・高い特異性。CD95との、その相互作用を介して、CD95L−T4は、JurkatA3細胞に対してアポトーシスを誘導する。APG101の添加により、CD95/CD95L−T4相互作用が特異的にブロックされる。
・関連のある細胞系の使用;アポトーシスの誘導は、CD95/CD95Lシグナル伝達の1つの重要な生理学的特徴であり、特徴がはっきりしたヒトT−細胞株Jurkat A3において観察することができる。
・96ウェルマイクロタイタープレートの適用に起因する高いサンプルスループットおよび短いインキュベーション時間。
【0127】
図6は、本発明でない方法により得られるAPG101と比較した、本発明の方法により得られるAPG101アイソフォーム混合物(発明サンプル)の生物学的活性(EC50)を示す。活性は同程度である。
【0128】
4. APG101製剤の熱蛍光分析
本発明に係る製剤の安定性を、熱蛍光分析により確認した(
図8および
図9参照)。
【0129】
APG101の熱転移点の決定を、熱蛍光(TF)分析を介して行なった。それにより、蛍光色素はタンパク質の疎水性パッチに結合する。温度上昇の間に、タンパク質はアンフォールドし、より多くの色素が結合することができ、蛍光シグナルの増大をもたらす。したがって、より高い熱転移点(融点、Tm)は、APG101に関し、より安定した状態を示す。アッセイの設定を表2に示す。
【0130】
【表4】
【0131】
熱転移点は、温度上昇の間の蛍光シグナルの増大の変曲点であると定義した。異なるバッファー系におけるAPG101の安定性を試験した(
図8)。
【0132】
熱蛍光分析を介して、APG101の熱転移点を、異なる賦形剤、すなわち糖、ポリアルコール、アミノ酸およびポリグリコールに関して、出発原料3を用いて決定した。実験的手法は上述と同一であった。結果を
図9に示す。Tm値は、サッカロース、ソルビトールおよびグリシンの濃度増加に伴って増加した。グリシルグリシン(Gly−Gly)またはPEGの添加は、ポジティブな安定化効果を示さなかった。
【0133】
さらに、本発明により調製したAPG101バッチを、市販のFas/Fcサンプルと比較するために、熱蛍光アッセイを行なった。50μg/mlのサンプル濃度(APG101またはFas/Fc)を用いた。
【0134】
熱蛍光アッセイは、熱安定性に関し、Sigmaから市販されるFas/Fcと比較して、本発明の2バッチのAPG101(バッチF10176およびバッチ1011626)の有意性を明確に示す(
図11)。